(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125887
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】樹脂とアルミニウムとの複合材料からの資源回収方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/02 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
B29B17/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034007
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】514169714
【氏名又は名称】アルハイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】水木 伸明
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA27
4F401AB10
4F401AC10
4F401AD02
4F401BA10
4F401CA32
4F401EA07
(57)【要約】
【課題】樹脂とアルミニウムとからなる複合材料からアルミニウム成分を水素の発生材料として使用し、樹脂成分を溶融して樹脂材料として再利用する資源回収方法の提供を目的とする。
【解決手段】樹脂とアルミニウムとの複合材料を、アルカリ水溶液と反応させることで水素を得るとともに、前記複合材料中のアルミニウムを除去するステップと、前記複合材料からアルミニウムが除去された樹脂とアルミニウム溶解アルカリ水溶液との混合液から樹脂分を分離回収することを特徴とする。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂とアルミニウムとの複合材料を、アルカリ水溶液と反応させることで水素を得るとともに、前記複合材料中のアルミニウムを除去するステップと、
前記複合材料からアルミニウムが除去された樹脂とアルミニウム溶解アルカリ水溶液との混合液から樹脂分を分離回収することを特徴とする樹脂とアルミニウムとの複合材料からの資源回収方法。
【請求項2】
前記複合材料中のアルミニウム分が溶解されているアルミン酸アルカリ水溶液からアルミニウム成分を水酸化アルミニウムとして回収することで、アルカリ水溶液が再利用できることを特徴とする請求項1記載の樹脂とアルミニウムとの複合材料からの資源回収方法。
【請求項3】
前記混合液から分離回収された樹脂分を溶融回収することを請求項1記載の樹脂とアルミニウムとの複合材料からの資源回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃棄された樹脂とアルミニウムとの複合材料からの資源回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、医薬包装に使用されている樹脂シートとアルミニウム箔との複合材料や各種建築材料として使用されているアルミ・樹脂積層板等が使用された後に廃棄された場合に、近年はそのリサイクル方法が検討されている。
【0003】
例えば特許文献1には、樹脂フィルムが互いに密着して積層された複合材料の分別回収方法が記載されているが、樹脂層を溶媒にて溶解回収するものであり、その後に溶媒成分を蒸留回収しなければならず、工程が複雑であるとともに回収に必要な消費エネルギーが大きい問題もある。
また、同公報にはアルミニウム層を溶解することも記載されているが、その廃液処理が必要となる。
【0004】
本出願人はこれまでにも、廃棄されるアルミ系材料から有効な資源として水素を得る技術を検討している(特許文献2~4)。
本発明は、これらの技術を応用することで達成できたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-187808号公報
【特許文献2】特開2022-158693号公報
【特許文献3】特開2021-187685号公報
【特許文献4】特開2021-155239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、樹脂とアルミニウムとからなる複合材料からアルミニウム成分を水素の発生材料として使用し、樹脂成分を溶融して樹脂材料として再利用する資源回収方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る樹脂とアルミニウムとの複合材料からの資源回収目的は、樹脂とアルミニウムとの複合材料を、アルカリ水溶液と反応させることで水素を得るとともに、前記複合材料中のアルミニウムを除去するステップと、前記複合材料からアルミニウムが除去された樹脂とアルミニウム溶解アルカリ水溶液との混合液から樹脂分を分離回収することを特徴とする。
【0008】
ここで、前記複合材料中のアルミニウム分が溶解されているアルミン酸アルカリ水溶液からアルミニウム成分を水酸化アルミニウムとして回収することで、アルカリ水溶液が再利用できることが好ましく、前記混合液から分離回収された樹脂分を溶融回収することが好ましい。
【0009】
本発明に用いる樹脂とアルミニウムとからなる複合材料は、使用済みの従来は廃棄されているものをいう。
アルミニウムには、アルミニウムの合金も含まれる。
例えば、錠剤等の医薬包装として、PTP(Press Through Pack)包装が使用されている。
これは、凸部を形成した樹脂シートとアルミニウム箔とで錠剤を包んだものである。
一般的には厚さ200~300μmのPVC(ポリ塩化ビニル),PP(ポリプロビレン),PE(ポリエチレン)等のシートとアルミニウム箔とをヒートシールされている。
また、SP(Strip Package)包装はアルミ箔と樹脂材とを積層したラミネートシートをヒートシールしたものである。
また、建材の分野ではアルミニウム板と樹脂板とが積層された、いわゆるアルミ合板が使用されている。
【0010】
アルミニウム及びその合金はアルカリ性水溶液に投入すると、水素を発生させながら溶解する。
本発明はこの水素を回収し、水素資源として活用する。
また、アルカリ性水溶液にはアルミニウムが溶け、アルミン酸アルカリ水溶液ができる。
例えば、アルカリ水溶液としてpH13以上の水酸化ナトリウム水溶液を用いると、アルミン酸ナトリウムが出来るが、この溶液を冷却するとアルミン酸ナトリウムは水酸化アルミニウムの固体として沈殿し、これを回収すると水酸化ナトリウムのアルカリ水溶液が再生され、繰り返し利用できる。
ここで発生する水酸化アルミニウムも医薬品や化学薬品の原料、工業用材料等に利用できる。
【0011】
複合材料からアルミニウム成分をアルカリ水溶液に溶解させると、このアルカリ水溶液中に固形の樹脂が混合しているので、ロ過等にて固液分離することができる。
この分離された樹脂は押出機等にて溶融押出し、所定の大きさにカットすることでペレットとして回収できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る資源回収方法を用いると、複合材料からアルミニウムを水素として資源回収でき、樹脂を分離及び溶融することで樹脂材として再利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、資源の回収実験を行ったので説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0014】
使用済みのPTP包装材を100g回収し、pH13の水酸化ナトリウム水溶液100mlに投入した。
この実験を3回行った。
この際に発生した水素ガスは224~392mlであり、残りの樹脂分を回収し溶融したら約65~75gの樹脂が得られた。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂とアルミニウムとの複合材料を、アルカリ水溶液と反応させることで水素を得るとともに、前記複合材料中のアルミニウムを除去するステップと、
前記複合材料からアルミニウムが除去された樹脂とアルミニウム溶解アルカリ水溶液との混合液から樹脂分を分離回収するステップと、
前記アルミニウム溶解アルカリ水溶液から水酸化アルミニウムを得るステップと、
前記分離回収された樹脂分を溶融回収するステップとを有し、
前記複合材料は医薬包装として用いられるPTP(Press Through Pack)包装材であることを特徴とする樹脂とアルミニウムとの複合材料からの資源回収方法。