(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125889
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】釣竿の性能を客観的に評価するための評価方法
(51)【国際特許分類】
A01K 87/00 20060101AFI20240911BHJP
A01K 97/00 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
A01K87/00 620Z
A01K97/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034011
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】小田 琢也
【テーマコード(参考)】
2B019
2B109
【Fターム(参考)】
2B019AA05
2B019AA06
2B019AA14
2B019AB02
2B019AB12
2B019AC00
2B109FA07
2B109FA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の特性を可視化して釣竿の性能を客観的に評価する評価方法を提供する。
【解決手段】釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出し、釣竿を使用した際の、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率の時系列データを算出し、釣竿の曲げ剛性(EI)と、曲率の時系列データとに基づき、釣竿を使用した際の、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置におけるひずみエネルギーの時系列データを算出し、ひずみエネルギーの動的な変化を、釣竿と共に表示するようにされる評価方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出し、
釣竿を使用した際の、前記釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率の時系列データを算出し、
前記釣竿の曲げ剛性(EI)と、前記曲率の時系列データとに基づき、釣竿を使用した際の、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置におけるひずみエネルギーの時系列データを算出し、
前記ひずみエネルギーの動的な変化を、前記釣竿と共に表示することを特徴とする釣竿の評価方法。
【請求項2】
前記釣竿の竿先に作用する荷重と、前記釣竿の保持角度とを含む複数の条件に基づき、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出する、請求項1に記載の釣竿の評価方法。
【請求項3】
前記ひずみエネルギーの算出値に応じて割り当てられたカラーマップの表示色を、前記釣竿の前記各位置毎に動的に表示する、請求項1に記載の釣竿の評価方法。
【請求項4】
前記カラーマップの表示色の設定値により表示色の使用範囲が設定される、請求項3に記載の釣竿の評価方法。
【請求項5】
前記設定値は、釣り動作又は釣種の少なくともいずれかにより異なるように設定される、請求項4に記載の釣竿の評価方法。
【請求項6】
前記釣り動作は、前記釣竿のキャスティング動作である、請求項5に記載の釣竿の評価方法。
【請求項7】
前記釣り動作は、前記釣竿に設けた仕掛け又はルアーの操作である、請求項5に記載の釣竿の評価方法。
【請求項8】
前記釣り動作は、前記釣竿のフッキング動作である、請求項5に記載の釣竿の評価方法。
【請求項9】
前記釣り動作は、前記釣竿の止め動作である、請求項5に記載の釣竿の評価方法。
【請求項10】
前記釣り動作は、前記釣竿の引き寄せ動作である、請求項5に記載の釣竿の評価方法。
【請求項11】
前記釣り動作は、前記釣竿の取込み動作である、請求項5に記載の釣竿の評価方法。
【請求項12】
釣竿を使用した際の、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における座標の時系列データを抽出し、
釣竿を使用した際の、前記釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率の時系列データを算出し、
算出された前記曲率の動的な変化を、前記釣竿と共に表示することを特徴とする釣竿の評価方法。
【請求項13】
釣竿を使用した際の、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置におけるひずみエネルギーを算出し、
該各位置におけるひずみエネルギーの、該釣竿の使用状態や動きに応じた動的な変化を、前記釣竿と共に表示して釣竿を評価するものであり、
前記各位置におけるひずみエネルギーの算出は、該各位置におけるひずみエネルギーの動的な時系列データの抽出であることを特徴とする釣竿の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿の性能を客観的に評価するための評価方法、特に、釣竿の性能を可視化して評価するための評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
釣竿には、様々な特性が要求される。釣竿の設計時に重要視される特性には、客観的に測定可能な客観的特性があり、例えば、竿体の曲げ剛性やねじれ剛性が挙げられる。
【0003】
釣竿のこのような客観的特性は、定量的なものではあるものの、釣竿の実際の動きが反映されたものではない、すなわち動的な評価ではないことから、このような特性をもって、釣竿の性能を客観的に評価することは事実上困難であるという問題がある。また、このような動的な評価を行うためには、釣竿の客観的特性をどのように表すか(示すか)という問題もある。
【0004】
従来より、釣竿の性能を客観的に評価することが求められているが、例えば、特開2013-153740号公報(特許文献1)には、物理的要素による数値化された感性的評価を用いて、樹脂製の管状若しくは板状の長尺部材を設計する設計システムが開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る方法では、釣竿の現実の使用状態や動きなどの動的な変化を必ずしも正確に反映できていないため、釣竿の性能を客観的に評価できているとは言い難く、また、そもそもこうした動的な変化を視覚的に把握することができていないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の一つは、釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の特性を可視化して釣竿の性能を客観的に評価する評価方法を提供することにある。
【0008】
本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による評価方法は、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出し、釣竿を使用した際の、前記釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率の時系列データを算出し、前記釣竿の曲げ剛性(EI)と、前記曲率の時系列データとに基づき、釣竿を使用した際の、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置におけるひずみエネルギーの時系列データを算出し、前記ひずみエネルギーの動的な変化を、前記釣竿と共に表示するようにされる。
【0010】
本発明の一実施形態による評価方法は、前記釣竿の竿先に作用する荷重と、前記釣竿の保持角度とを含む複数の条件に基づき、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出する。
【0011】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記ひずみエネルギーの算出値に応じて割り当てられたカラーマップの表示色を、前記釣竿の前記各位置毎に動的に表示する。
【0012】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記カラーマップの表示色の設定値により表示色の使用範囲が設定される。
【0013】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記設定値は、釣り動作又は釣種の少なくともいずれかにより異なるように設定される。
【0014】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記釣り動作は、前記釣竿のキャスティング動作である。
【0015】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記釣り動作は、前記釣竿に設けた仕掛け又はルアーの操作である。
【0016】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記釣り動作は、前記釣竿のフッキング動作である。
【0017】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記釣り動作は、前記釣竿の止め動作である。
【0018】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記釣り動作は、前記釣竿の引き寄せ動作である。
【0019】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記釣り動作は、前記釣竿の取込み動作である。
【0020】
本発明の一実施形態による評価方法は、釣竿を使用した際の、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における座標の時系列データを抽出し、釣竿を使用した際の、前記釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率の時系列データを算出し、算出された前記曲率の動的な変化を、前記釣竿と共に表示するようにされる。
【0021】
本発明の一実施形態による評価方法は、釣竿を使用した際の、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置におけるひずみエネルギーを算出し、該各位置におけるひずみエネルギーの、該釣竿の使用状態や動きに応じた動的な変化を、前記釣竿と共に表示して釣竿を評価するものであり、前記各位置におけるひずみエネルギーの算出は、該各位置におけるひずみエネルギーの動的な時系列データの抽出である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態によって、釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の特性を可視化して釣竿の性能を客観的かつ正確に評価する評価方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態による計測システムの全体構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態による評価システムの全体を説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態による評価システムにおける釣竿の特性を算出するためのフローを示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態による評価方法における釣竿の各位置におけるひずみエネルギーを可視化するためのフローを示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態による評価方法における釣竿の各位置における曲率を可視化するためのフローを示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態による評価方法における釣竿の各位置におけるひずみエネルギーを可視化した例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態による評価方法における釣竿の各位置における曲率を可視化した例を示す図である。
【0024】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、各図面において共通する構成要素に対しては同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0025】
図1は、本発明の評価方法に使用するひずみエネルギーや曲率を算出するために各種データを計測する計測システム1の全体の構成を模式的に示す図である。
図1に示されるように、計測システム1は、竿の各位置に所定のマーキング8を施した釣竿10と、該釣竿10の一端に取り付けられた錘20と、当該マーキング8を捉えるカメラ30とで構成される。操作者が、釣竿10を保持して釣りの動作を行うと、当該カメラ30が当該マーキング8を捉えることで、竿全体及びマーキングの各位置における変化を計測するように構成される。なお、当該計測システム1は、図示しない情報処理装置と接続するように構成されてもよい。また、計測システム1は、釣竿20を保持する保持装置をさらに設けるよう構成してもよい。また、計測システム1は、釣竿10、錘20、カメラ30以外の異なる別の装置と組み合わせて構成してもよい。
【0026】
このようにして、図示の計測システム1は、釣竿を使用した際の、釣竿10の速度と、加速度と、釣竿の各位置の座標とを検出する。そして、釣竿の各位置の座標に基づく曲率を算出、若しくは釣竿の各位置の座標に基づく曲率と剛性とから、釣竿10のひずみエネルギーを算出し、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率又はひずみエネルギーの動的な変化を、当該情報処理装置において、前記釣竿と共に表示するようにして釣竿の性能の評価を行う。詳細につき以下説明する。
【0027】
図2を参照して、本発明の一実施形態による釣竿の性能を評価するための評価システム100について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による釣竿の性能を評価するための評価システム100の全体構成を示すブロック図である。図示のように、本発明の一実施形態による評価システム100は、既述の計測システム1と、該計測システム1に接続される情報処理装置40と、を含むように構成される。当該情報処理装置40は、計測システム1と計測データの送受信を行うための通信部41と、後述する剛性(EI)、曲率、ひずみエネルギー等の釣竿の特性を算出するための制御部(演算部)42と、当該計測データや釣竿の特性を記憶するための記憶部43と、当該計測データや釣竿の特性を表示するための表示部44と、を備えるように構成される。ここで、当該情報処理装置40は、コンピュータ、スマートフォン、ウェアラブル端末、ゲーム再生機、又はクラウドシステムが考えられるが、これらに限られない。
【0028】
次に、
図3を参照して、本発明の一実施形態による釣竿の性能を評価するための方法について説明する。図示のように、本発明の一実施形態による評価方法において、まず、上述の情報処理装置40の制御部(演算部)42による、釣竿10の各位置の座標に基づく剛性(EI)の算出方法について説明する。具体的には、まず、釣竿(の穂先)に作用する荷重と釣竿を保持する保持角度とを定める条件を複数(例えば、5つの異なる条件)設定し、各条件における静荷重を計測する(ステップSA1)。例えば、条件1として、保持角度が0度で荷重が0kgの場合(マーカー間の距離を取得するため)、条件2として、保持角度が60-70度で荷重が小さい場合(釣竿の穂先が曲がる条件)、条件3として、保持角度が50度で荷重が条件2よりも大きい場合(釣竿の穂先から中央の間で曲がる条件)、条件4として、保持角度が40-50度で荷重が条件3よりも大きい場合(釣竿の竿元から中央の間で曲がる条件)、条件5として、保持角度が30-40度で荷重が最も大きい場合(釣竿の竿元で曲がる条件)が考えられる。
【0029】
次に、上記ステップにより計測された計測データの編集を行う(ステップSA2)。より詳細には、必要に応じて、計測データの繋ぎ合わせ、計測データ欠損修正、計測データの入れ替え修正、釣竿の各位置の順序変更等を行う。次に、掛けカーブの確認を行う(ステップSA3)。ここで、掛けカーブとは、釣竿に負荷を与えた時に釣竿が曲がった状態(曲がり状態)を言うものとする。その後、釣竿10の各位置の座標のデータ出力を行う(ステップSA4)。次に、上記条件1からマーカー間の距離を取得し、上記条件2ないし5から各位置の曲率半径を算出して、釣竿10の各位置の座標に基づく剛性(EI)を算出する(ステップSA5)。
【0030】
ここで、曲率の算出にあたり、釣竿に掛かる負荷が元部に移った場合、穂先部の曲率変化は小さく、同様に釣竿の元部も曲率変化が小さいため、近接するマーカー位置3点を単純に選んで計算を行っても、計測誤差により計算誤差が大きくなってしまうことがあるため、最適なマーカー位置3点を選んで計算を行うようにすると3点角度の時系列変化は滑らかな曲線となり、曲率の正確な計算が可能となる。
【0031】
次に、上述の情報処理装置40の制御部(演算部)42による、釣竿10の各位置の座標に基づく曲率の算出方法について説明する。まず、釣竿の動作による各位置の座標の時間的変遷(時間的変化)の計測を行う(SB1)。次に、計測された計測データの編集を行う(ステップSB2)。より詳細には、必要に応じて、計測データの繋ぎ合わせ、計測データ欠損修正、計測データの入れ替え修正、釣竿の各位置の順序変更等を行う。次に、編集後の計測データの確認を行う(ステップSB3)。ここで、編集後の計測データの確認とは、ノイズが無いかを確認すると共に想定される掛けカーブを示すかどうかを確認することを言うものとする。その後、釣竿10の各位置の座標及び仕掛けの座標の時系列データの出力を行う(ステップSB4)。なお、仕掛けの座標が必要な理由は、釣竿に掛かる力の作用線を算出し、各マーカー(各位置)から作用線までの距離を算出するためである。次に、出力された釣竿10の各位置の座標及び仕掛けの座標の時系列データに基づき、釣竿10の各位置における曲率の時系列データを算出する(ステップSB5)。
【0032】
ここで、曲率の算出にあたり、釣竿に掛かる負荷が元部に移った場合、穂先部の曲率変化は小さく、同様に釣竿の元部も曲率変化が小さいため、近接するマーカー位置3点を単純に選んで計算を行っても、計測誤差により計算誤差が大きくなってしまうことがあるため、最適なマーカー位置3点を選んで計算を行うようにすると3点角度の時系列変化は滑らかな曲線となり、曲率の正確な計算が可能となる。
【0033】
次に、上述の情報処理装置40の制御部(演算部)42により、上記のように算出された釣竿10の各位置の座標に基づく剛性(EI)と、同様に上記のように算出された釣竿10の各位置における曲率の時系列データとから釣竿10の各位置におけるひずみ(歪)エネルギーの時系列データを算出する(ステップSC)。また、上述の情報処理装置40の制御部(演算部)42による、上記ステップSA4において出力された釣竿10の各位置の座標のデータに基づき、各位置間の長さを出力する(ステップSA6)ことで、当該出力された各位置間の長さと、上記ステップSCで算出された釣竿10の各位置におけるひずみ(歪)エネルギーの時系列データとに基づき、釣竿10の各位置間のひずみ(歪)エネルギーの時系列データを算出することができる(ステップSD)。
【0034】
次に、
図4、5を参照して、本発明の一実施形態による釣竿の性能を評価するための方法について更に説明する。まず、
図4を参照して、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置におけるひずみエネルギーの動的な変化を、上述の情報処理装置40の表示部44において、釣竿と共に表示する(可視化する)方法について説明する。ここで、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置におけるひずみエネルギーの動的な変化を釣竿と共に表示する(可視化する)とは、釣竿が挙動を示す際にどの部分にどの位の歪エネルギーが溜まるかを視覚的に(色で)表示することを言うものとする。
【0035】
図示のように、ステップSAにおいて、釣竿10の各位置の座標剛性(EI)を算出し、ステップSBにおいて、釣竿10の各位置の座標の曲率を算出し、ステップSCにおいて、釣竿10の各位置の座標のひずみエネルギーを算出する。これらの各ステップについては、上述の通りであり、これ以上の詳細は省略する。ステップSEにおいて、上述の情報処理装置40の表示部44において釣竿と共に表示する(可視化する)ために、当該情報処理装置40の表示部44において又は通信部41を介して外部の装置より、カラーマップにおける色彩(表示色)の使用範囲を指定する。このようにして指定された情報は、適宜記憶部43に記憶するようにしてもよい。具体的には、数値0から100までの範囲に各色彩(表示色)が割り当てられており、数値0からどの数値の範囲にある色彩の範囲を使用するかを決定するため、カラーマップの最大値を指定する。当該最大値は、釣竿による釣り動作と釣種により異なる設定を行うことができる。このようにして、釣り動作と釣種に適した表示を行うことが可能となる。ここで、カラーマップとは、釣竿の各部分の曲率の大小を視覚化するための各表示色の配列表を指すものとする。数値0からどの数値の範囲にある色彩の範囲を使用するかを指定することにより、当該配列表のどの範囲の表示色を使用するかが決定されることとなる。
【0036】
次に、ステップSFにおいて、当該情報処理装置40の制御部(演算部)42により、釣竿10の各位置の座標のひずみエネルギーの時系列データにおけるひずみエネルギーの値に応じて、数値0から上述のステップで設定した最大値の間の色彩の範囲における各色彩(表示色)の割り当てを行い、表示部44において釣竿の各位置におけるひずみエネルギーの動的な変化を、当該各位置のひずみエネルギーの値に応じて割り当てられた色彩(表示色)を釣竿上に表示する(
図6に、ひずみエネルギーの変化を釣竿上に表示した例を示す)ようにすることで、釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の各位置におけるひずみエネルギーを可視化でき、これにより、釣竿の性能を客観的かつ正確に評価することが可能となる。
【0037】
次に、
図5を参照して、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率の動的な変化を、上述の情報処理装置40の表示部44において、釣竿と共に表示する(可視化する)方法について説明する。ここで、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率の動的な変化を釣竿と共に表示する(可視化する)とは、釣竿が挙動を示す際にどの部分が、どの位の曲率になるかを視覚的に(色で)表示することを言うものとする。
【0038】
図示のように、ステップSBにおいて、釣竿10の各位置の座標の曲率を算出する。当該ステップについては、上述の通りであり、これ以上の詳細は省略する。ステップSEにおいて、上述の情報処理装置40の表示部44において釣竿と共に表示する(可視化する)ために、当該情報処理装置40の表示部44において又は通信部41を介して外部の装置より、カラーマップにおける色彩(表示色)の使用範囲を指定する。このようにして指定された情報は、適宜記憶部43に記憶するようにしてもよい。具体的には、数値0から100までの範囲に各色彩(表示色)が割り当てられており、数値0からどの数値の範囲にある色彩の範囲を使用するかを決定するため、カラーマップの最大値を指定する。当該最大値は、釣竿による釣り動作と釣種により異なる設定を行うことができる。このようにして、釣り動作と釣種に適した表示が可能となる。ここで、カラーマップとは、釣竿の各部分の曲率の大小を視覚化するための各表示色の配列表を指すものとする。数値0からどの数値の範囲にある色彩の範囲を使用するかを指定することにより、当該配列表のどの範囲の表示色を使用するかが決定されることとなる。
【0039】
次に、ステップSFにおいて、当該情報処理装置40の制御部(演算部)42により、釣竿10の各位置の座標の曲率の時系列データにおける曲率の値に応じて、数値0から上述のステップで設定した最大値の間の色彩(表示色)の範囲における各色彩の割り当てを行い、表示部44において釣竿の各位置における曲率の動的な変化を、当該各位置の曲率の値に応じて割り当てられた色彩(表示色)を釣竿上に表示する(
図7に、曲率の変化を釣竿上に表示した例を示す)ようにすることで、釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の各位置における曲率を可視化でき、これにより、釣竿の性能を客観的かつ正確に評価することが可能となる。
【0040】
ここで、本発明の一実施形態による評価方法において、釣竿の各位置におけるひずみエネルギー又は曲率の算出は、該各位置におけるひずみエネルギー又は曲率の時系列データの抽出である。このように、釣竿の各位置におけるひずみエネルギー又は曲率の時系列データを用いることで、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた、釣竿のより客観的かつ正確な性能評価が可能となる。
【0041】
本発明の一実施形態による評価方法は、前記各位置におけるひずみエネルギーの変化と前記釣竿の使用態様に基づき、釣竿の性能を評価するようにされる。これは、釣竿の使用態様の如何によっては、釣竿の性能評価の観点が異なることを考慮したものである。これにより、釣竿の性能の評価が釣竿の使用態様に沿ってより正確に行うことが可能となる。
【0042】
本発明の一実施形態による評価方法において、当該釣竿の使用態様は、釣竿のキャスティング動作である。
【0043】
本発明の一実施形態による評価方法において、当該釣竿の使用態様は、釣竿に設けた仕掛け又はルアーの操作である。
【0044】
本発明の一実施形態による評価方法において、当該釣竿の使用態様は、釣竿のフッキング動作である。
【0045】
本発明の一実施形態による評価方法において、当該釣竿の使用態様は、釣竿の止め動作である。
【0046】
本発明の一実施形態による評価方法において、当該釣竿の使用態様は、釣竿の引き寄せ動作である。
【0047】
本発明の一実施形態による評価方法において、当該釣竿の使用態様は、釣竿の取込み動作である。
【0048】
本発明の一実施形態による評価方法は、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出し、釣竿を使用した際の、該釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率の時系列データを算出し、該釣竿の曲げ剛性(EI)と、該曲率の時系列データとに基づき、釣竿を使用した際の、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置におけるひずみエネルギーの時系列データを算出し、該ひずみエネルギーの動的な変化を、該釣竿と共に表示するようにされる。
【0049】
本発明の一実施形態による評価方法によれば、釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の特性を可視化して釣竿の性能を客観的かつ正確に評価する評価方法を提供することが可能となる。
【0050】
本発明の一実施形態による評価方法は、該釣竿の竿先に作用する荷重と、該釣竿の保持角度とを含む複数の条件に基づき、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出する。
【0051】
本発明の一実施形態による評価方法において、該ひずみエネルギーの算出値に応じて割り当てられたカラーマップの表示色を、該釣竿の該各位置毎に動的に表示する。また、本発明の一実施形態による評価方法において、該カラーマップの表示色の設定値により表示色の使用範囲が設定される。また、本発明の一実施形態による評価方法において、該設定値は、釣り動作又は釣種の少なくともいずれかにより異なるように設定される。
【0052】
本発明の一実施形態による評価方法は、釣竿を使用した際の、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における座標の時系列データを抽出し、釣竿を使用した際の、該釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率の時系列データを算出し、算出された該曲率の動的な変化を、該釣竿と共に表示するようにされる。
【0053】
本発明の一実施形態による評価方法によれば、釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の特性を可視化して釣竿の性能を客観的かつ正確に評価する評価方法を提供することが可能となる。
【0054】
本発明の一実施形態による評価方法は、釣竿を使用した際の、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置におけるひずみエネルギーを算出し、該各位置におけるひずみエネルギーの、該釣竿の使用状態や動きに応じた動的な変化を、該釣竿と共に表示して釣竿を評価するものであり、該各位置におけるひずみエネルギーの算出は、該各位置におけるひずみエネルギーの動的な時系列データの抽出である。
【0055】
本発明の一実施形態による評価方法によれば、釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の特性を可視化して釣竿の性能を客観的かつ正確に評価する評価方法を提供することが可能となる。
【0056】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0057】
1 計測システム
8 マーキング
10 釣竿
20 錘
30 計測カメラ
40 情報処理装置
41 通信部
42 制御部(演算部)
43 記憶部
44 表示部
100 評価システム