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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125906
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20240911BHJP
   G01R 31/3187 20060101ALI20240911BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240911BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
G01R31/28 V
G01R31/3187
H01L27/04 T
H01L21/66 F
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034033
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 真介
【テーマコード(参考)】
2G132
4M106
5F038
【Fターム(参考)】
2G132AA08
2G132AB02
2G132AD06
2G132AK08
2G132AK29
2G132AL05
2G132AL09
4M106AA02
4M106AA08
4M106AC02
4M106BA01
4M106DD01
5F038CD02
5F038CD06
5F038CD09
5F038DT02
5F038DT04
5F038DT05
5F038DT07
5F038DT12
5F038DT15
5F038DT19
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】半導体集積回路の検査のための端子のみをLSIテスタに接続して機能検査を行う場合に、LSIテスタに接続しない端子の縮退故障又は遷移故障を検出することを可能とする。
【解決手段】入出力切替回路41は、入出力端子である端子B1に信号を出力する出力回路と、端子B1からの信号を入力する入力回路とを備えている。端子B1用回路40(1)~端子B40用回路40(40)のそれぞれにおけるアンド回路45及びオア回路46と、アンド回路71及びオア回路72とにより、複数の出力回路と複数の入力回路とを同時に有効にして、端子B1~B40に出力した信号の論理と端子B1~B40から入力された信号の論理とがそれぞれ一致するか否かを検出することにより端子B1~B40における異常の有無を検出する検出回路として機能する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハチップ状態において機能検査が行われる半導体集積回路であって、
入力端子又は出力端子に切り替えて使用される複数の入出力端子と、
前記複数の入出力端子にそれぞれ信号を出力する複数の出力回路と、
前記入出力端子からの信号をそれぞれ入力する複数の入力回路と、
前記複数の出力回路と前記複数の入力回路とを同時に有効にして、前記入出力端子に出力した信号の論理と前記入出力端子から入力された信号の論理とがそれぞれ一致するか否かを検出することにより前記入出力端子における異常の有無を検出する検出回路と、
を備えた半導体集積回路。
【請求項2】
前記検出回路が、
前記入出力端子に出力した信号の論理と前記入出力端子から入力された信号の論理との間の論理積演算をそれぞれ行って、当該論理積演算の複数の演算結果間の論理積演算をさらに行い、最終的な演算結果を出力する第1の演算回路と、
前記入出力端子に出力した信号の論理と前記入出力端子から入力された信号の論理との間の論理和演算をそれぞれ行って、当該論理和演算の複数の演算結果間の論理和演算をさらに行い、最終的な演算結果を出力する第2の演算回路と、
から構成される請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記第1の演算回路が、前記入出力端子に出力した信号の論理と前記入出力端子から入力された信号の論理との間でそれぞれ行われた論理積演算の複数の演算結果を入力とする複数の第1のフリップフロップ回路をさらに備え、前記複数の第1のフリップフロップ回路の複数の出力間の論理積演算を行い最終的な演算結果として出力し、
前記第2の演算回路が、前記入出力端子に出力した信号の論理と前記入出力端子から入力された信号の論理との間でそれぞれ行われた論理和演算の複数の演算結果を入力とする複数の第2のフリップフロップ回路をさらに備え、前記複数の第2のフリップフロップ回路の複数の出力間の論理和演算を行い最終的な演算結果として出力する、
請求項2記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記検出回路が、
前記入出力端子に出力した信号の論理と前記入出力端子から入力された信号の論理との間の論理積演算又は論理和演算をそれぞれ行う複数の演算回路と、
前記複数の演算回路からの論理積演算又は論理和演算の複数の演算結果をシリアル信号に変換して出力するシフトレジスタと、
を有する請求項1記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の機能検査を行う際に、ウェハチップ状態のボンディングパッド上にプローブピンを接触させてウェハチップ状態の各ダイの電気的試験を行うようなEDS(Electrical Die Sorting)試験が行われる(例えば、特許文献1参照。)。このようなEDS試験を行うことによりパッケージ前の半導体集積回路において不良品の判別を行うことが可能となる。
【0003】
しかし、EDS試験では、ウェハチップ状態の半導体集積回路とLSIテスタとを接続して試験が行われるため、LSIテスタのピン本数と、検査対象の半導体集積回路の端子本数により、同時に何個の半導体集積回路の検査を実施できるかが制限されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-57288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、半導体集積回路には、検査のための端子と実動作に使用する端子とが存在する。そのため、同時に検査を実施できる半導体集積回路の数を増やすためには、検査のための端子のみをLSIテスタに接続して検査を実行すればよい。このように検査のための端子のみをLSIテスタに接続することにより、半導体集積回路の機能の検査を行うことが可能となる。なお、この検査のための端子には、検査のためだけに存在する端子だけでなく、状態切り替え等により実機能を兼ねることが可能に構成された端子が含まれる場合もある。
【0006】
ただし、上記のような検査のための端子を使用した検査では、実動作に使用する各端子の出力がハイレベル(Hレベルと略す。)又はロウレベル(以下Lレベルと略す。)に固定されてしまうような縮退故障、又は端子から入出力する信号に規定外の遅延が発生してしまうような遷移故障は検出できない。その結果、EDS試験に合格したにもかかわらずパッケージ化後の検査で不良となってしまう場合が発生することがあった。
【0007】
本発明の目的は、半導体集積回路の検査のための端子のみをLSIテスタに接続して機能検査を行う場合に、LSIテスタに接続しない端子の縮退故障又は遷移故障を検出することが可能な半導体集積回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の半導体集積回路は、ウェハチップ状態において機能検査が行われる半導体集積回路であって、
入力端子又は出力端子に切り替えて使用される複数の入出力端子と、
前記複数の入出力端子にそれぞれ信号を出力する複数の出力回路と、
前記入出力端子からの信号をそれぞれ入力する複数の入力回路と、
前記複数の出力回路と前記複数の入力回路とを同時に有効にして、前記入出力端子に出力した信号の論理と前記入出力端子から入力された信号の論理とがそれぞれ一致するか否かを検出することにより前記入出力端子における異常の有無を検出する検出回路とを備えている。
【0009】
また、本発明の半導体集積回路は、前記検出回路が、
前記入出力端子に出力した信号の論理と前記入出力端子から入力された信号の論理との間の論理積演算をそれぞれ行って、当該論理積演算の複数の演算結果間の論理積演算をさらに行い、最終的な演算結果を出力する第1の演算回路と、
前記入出力端子に出力した信号の論理と前記入出力端子から入力された信号の論理との間の論理和演算をそれぞれ行って、当該論理和演算の複数の演算結果間の論理和演算をさらに行い、最終的な演算結果を出力する第2の演算回路と、
から構成されていてもよい。
【0010】
さらに、本発明の半導体集積回路は、前記第1の演算回路が、前記入出力端子に出力した信号の論理と前記入出力端子から入力された信号の論理との間でそれぞれ行われた論理積演算の複数の演算結果を入力とする複数の第1のフリップフロップ回路をさらに備え、前記複数の第1のフリップフロップ回路の複数の出力間の論理積演算を行い最終的な演算結果として出力し、
前記第2の演算回路が、前記入出力端子に出力した信号の論理と前記入出力端子から入力された信号の論理との間でそれぞれ行われた論理和演算の複数の演算結果を入力とする複数の第2のフリップフロップ回路をさらに備え、前記複数の第2のフリップフロップ回路の複数の出力間の論理和演算を行い最終的な演算結果として出力するようにしてもよい。
【0011】
さらに、本発明の半導体集積回路は、前記検出回路が、
前記入出力端子に出力した信号の論理と前記入出力端子から入力された信号の論理との間の論理積演算又は論理和演算をそれぞれ行う複数の演算回路と、
前記複数の演算回路からの論理積演算又は論理和演算の複数の演算結果をシリアル信号に変換して出力するシフトレジスタとを有するような構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、半導体集積回路の検査のための端子のみをLSIテスタに接続して機能検査を行う場合に、LSIテスタに接続しない端子の縮退故障又は遷移故障を検出することが可能な半導体集積回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】半導体集積回路100の端子構成の概念図である。
図2】半導体集積回路100の全端子をLSIテスタ200の検査用ピンに接続して検査を行う場合の様子を示す図である。
図3】LSIテスタ200の検査用ピンのうちの信号ピンDPINの本数が500本である場合に、複数の半導体集積回路100を同時接続する様子を示す図である。
図4】EDS試験においてテスト用端子103のみをLSIテスタ200の検査ピンに接続する様子を示す図である。
図5】テスト用端子103のみをLSIテスタ200の検査ピンに接続した場合の、LSIテスタ200の全体の様子を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態の半導体集積回路における端子B1~B40の検査を行うための回路構成を示す図である。
図7図6に示した入出力切替回路41の回路構成を示す回路図である。
図8】入出力切替回路41の出力回路を有効状態とした出力動作時の状態を示す図である。
図9】入出力切替回路41の入力回路を有効状態とした入力動作時の状態を示す図である。
図10】入出力切替回路41の入力回路と出力回路とを同時に有効状態とした場合の状態を示す図である。
図11】本発明の第1の実施形態の半導体集積回路における通常動作状態における動作時のタイミングチャートである。
図12】通常動作状態であった半導体集積回路において内部テスト信号51をLレベルからHレベルとしてテスト状態にした場合の動作時のタイミングチャートである。
図13】本発明の第2の実施形態の半導体集積回路における端子B1~B40の検査を行うための回路構成を示す図である。
図14】本発明の第2の実施形態の半導体集積回路におけるテスト状態におけるタイミングチャートである。
図15】本発明の第3の実施形態の半導体集積回路における端子B1~B40の検査を行うための回路構成を示す図である。
図16図15に示したパラレルシリアル変換回路81の回路構成を示す図である。
図17】本発明の第3の実施形態の半導体集積回路におけるテスト状態におけるタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
まず、本実施形態の半導体集積回路(LSI:Large Scale Integrated circuit(大規模集積回路))について説明する前に、半導体集積回路のEDS試験について説明する。
【0016】
一般的に、ウェハチップ状態の半導体集積回路の機能検査を行う際には、LSIテスタの検査用ピンをウェハチップ状態の半導体集積回路の端子(パッド)接触させて検査が行われる。そのため、LSIテスタ側の検査用ピンの本数と、検査対象の半導体集積回路の端子本数とにより、何個の半導体集積回路を同時に検査することができるかが決まることになる。
【0017】
このような検査が行われる半導体集積回路100の端子構成の概念図を図1に示す。図1に示した半導体集積回路100は、電源端子101と、グランド端子102と、内部回路のテストに使用されるテスト用端子103と、実動作では必要となるが内部回路のテストには必要の無い実機能用端子104とを備えている。
【0018】
ここで、説明を簡単にするために、テスト用端子103は、A1~A10の10本の端子により構成され、実機能用端子104は、B1~B40の40本の端子により構成されるものとして説明する。
【0019】
半導体集積回路100の内部回路の試験方法には、メモリ素子に対しては、BIST(Built In System Test)、ロジック回路に対してはスキャンテスト等の試験方法が存在し、少量の端子数で大規模回路をテストする方法が各種確立されている。
【0020】
このような半導体集積回路100の全端子をLSIテスタ200の検査用ピンに接続して検査を行う場合の様子を図2に示す。
【0021】
図2では、半導体集積回路100のテスト用端子103(端子A1~A10)と、実機能用端子104(端子B1~B40)とがLSIテスタ200の検査用ピンに接続される様子が示されている。
【0022】
このように半導体集積回路100の全端子をLSIテスタ200の検査用ピンに接続する場合には、半導体集積回路100の全端子数に相当する本数の電源ピンDPS、信号ピンDPINがLSIテスタ200側でも使用されることになる。なお、単一電源の場合、グランド端子102は共通となる。また、正負電源を用いる場合等のように、複数種類の電源を必要とする場合もあるが、検査用ピンの数と比較して影響は少ないため説明は省略する。
【0023】
このように半導体集積回路の全端子をLSIテスタ200の検査用ピンに接続した場合、同時に検査可能な半導体集積回路の数が制限されてしまうことになる。
【0024】
例えば、LSIテスタ200の検査用ピンのうちの信号ピンDPINの本数が500本である場合に、複数の半導体集積回路100を同時接続する様子を図3に示す。
【0025】
1つの半導体集積回路100の電源端子101、グランド端子102以外の端子本数は50本である。そのため、半導体集積回路100の全端子をLSIテスタ200の検査用ピンに接続した場合、図3に示されるように、10個の半導体集積回路100しか同時に接続できない。
【0026】
なお、一般的には、電源ピンDPSの数よりも信号ピンDPINの数により同時接続可能な半導体集積回路100の数が制限されるため、電源ピンDPSの本数については言及しない。
【0027】
ここで、上記で説明した半導体集積回路100では、テスト用端子103のみを使用して内部回路の機能検査を実行することが可能である。そのため、図4に示すように、EDS試験においてテスト用端子103のみをLSIテスタ200の検査ピンに接続するようにすれば同時検査可能な半導体集積回路100の数を増やすことができる。
【0028】
図4に示したように、テスト用端子103のみをLSIテスタ200の検査ピンに接続した場合の、LSIテスタ200の全体の様子を図5に示す。
【0029】
図5を参照すると、半導体集積回路100の10本のテスト用端子103のみがLSIテスタ200の検査用ピンに接続されている。そのため、500本の検査用ピンを備えたLSIテスタ200には、50個の半導体集積回路100を同時に接続して検査を実行することが可能となる。
【0030】
ただし、図5に示したような検査方法では、検査が行われなかった実機能用端子104に縮退故障や遷移故障等の各種故障が存在していた場合、その故障を見つけることはできない。そのため、パッケージ組立を行った後の出荷試験であるファイナルテストにおいて、端子機能。特性不良品となって見つかる可能性がある。その結果、半導体集積回路製品の歩留まりの低下を招き、差損発生の要因になってしまうという問題があった。
【0031】
一方において、半導体集積回路100の全端子をLSIテスタ200に接続してEDS試験を実施しようとすると、同時測定可能な数が制限されてしまい、EDS試験の実施時間が長くなり、コスト増加要因になってしまうという問題が発生する。
【0032】
そこで、下記において説明する本実施形態の半導体集積回路では、EDS試験の際にLSIテスタに接続する端子数を削減するとともに、接続されていない端子の故障検出を実現することにより、EDS試験のテスト時間の短縮と、ファイナルテストでの歩留まり低下の抑制の両立を図るようにしている。
【0033】
つまり、本実施形態の半導体集積回路は、下記において説明するような回路構成とすることにより、検査のための端子のみをLSIテスタに接続して機能検査を行う場合に、LSIテスタに接続しない端子の縮退故障又は遷移故障を検出することを可能としている。
【0034】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態の半導体集積回路について説明する。
【0035】
本実施形態の半導体集積回路における端子B1~B40の検査を行うための回路構成を図6に示す。本実施形態の半導体集積回路は、ウェハチップ状態においてEDS試験等の機能検査が行われる半導体集積回路である。
【0036】
図6に示した回路構成では、端子B1~B40のそれぞれに、端子B1用回路40(1)~端子B40用回路40(40)がそれぞれ設けられている。また、図6では、端子B1用回路40(1)~端子B40用回路40(40)とともに、アンド回路71及びオア回路72が設けられている。
【0037】
アンド回路71は、端子B1用回路40(1)~端子B40用回路40(40)からそれぞれ出力されるテスト結果出力信号(H)B1~B40間の論理積演算を行って、その演算結果を最終的な検査結果として端子A2に出力する。
【0038】
オア回路72は、端子B1用回路40(1)~端子B40用回路40(40)からそれぞれ出力されるテスト結果出力信号(L)B1~テスト結果出力信号(L)B40間の論理和演算を行って、その演算結果を最終的な検査結果として端子A3に出力する。
【0039】
図6に示した回路構成によれば、テスト用端子103である端子A1~A3を用いて、実機能用端子104における端子B1~B40の故障検出を行うことが可能となっている。
【0040】
なお、端子B1用回路40(1)~端子B40用回路40(40)の回路構成はそれぞれ同様な回路構成となっている。そのため、図6では、端子B1に対して設けられた端子B1用回路40(1)の回路構成のみを説明して、端子B2用回路40(2)~端子B40用回路40(40)の回路構成についてはその説明を省略する。
【0041】
なお、端子B1~端子B40は、それぞれ、入力端子又は出力端子に切り替えて使用される入出力端子となっている。
【0042】
端子B1用回路40(1)は、図6に示されるように、入出力切替回路41と、オア回路42、43と、セレクタ44と、アンド回路45と、オア回路46とから構成されている。
【0043】
入出力切替回路41は、入出力端子である端子B1に信号を出力する出力回路と、端子B1からの信号を入力する入力回路とを備えている。そして、出力許可信号55がHレベルになると、出力信号58を端子B1に出力し、入力許可信号56がHレベルになると端子B1からの信号を入力するように構成されている。
【0044】
次に、図6に示した入出力切替回路41の回路構成について図7を参照して説明する。
【0045】
入出力切替回路41は、図7に示されるように、3ステート出力バッファ31と、オア回路32とから構成されている。
【0046】
なお、図7では、半導体集積回路の内部回路と端子部分の電圧差を調整する回路、静電気に対する保護回路等などは省略して示している。また、制御を正論理、負論理のいずれにより構成するかについては回路構成により決められるものであり、本実施形態の論理に限定されるものではない。
【0047】
3ステート出力バッファ31は、出力信号58、及び出力許可信号55により制御され、出力信号を端子B1に出力する回路である。具体的には、出力許可信号55がLレベルになると、3ステート出力バッファ31は出力状態をオープン状態とする。そして、出力許可信号55がHレベルの場合には、3ステート出力バッファ31は、出力信号58を同じ論理の信号を端子B1に出力する。
【0048】
オア回路32は、一方の入力端子に反転回路が接続されており、入力許可信号56の論理を判定した論理と、端子B1から入力した信号の論理との間の論理和演算を行って、その演算結果を入力信号57として出力している。つまり、入力許可信号56がLレベルとなり入力回路を無効状態にする場合には、入力信号57はHレベル固定となる。そして、入力許可信号56がHレベルとなり入力回路を有効状態にする場合には、端子B1における論理と同じ論理の信号を入力信号57として出力する。
【0049】
次に、この入出力切替回路41の出力回路を有効状態とした出力動作時の状態を図8に示す。
【0050】
出力回路を有効状態とする場合には、出力許可信号55はHレベルとなり、入力許可信号56はLレベルとなる。そのため、3ステート出力バッファ31は、出力信号58の論理状態をそのまま端子B1に出力する。
【0051】
この時、入力回路であるオア回路32は入力許可信号56がLレベルであるため無効状態となり、内部回路に出力される入力信号57はHレベルに固定される。
【0052】
次に、この入出力切替回路41の入力回路を有効状態とした入力動作時の状態を図9に示す。
【0053】
入力回路を有効状態とする場合には、出力許可信号55はLレベルとなり、入力許可信号56はHレベルとなる。そのため、3ステート出力バッファ31は、出力がオープン状態となり、端子B1は3ステート出力バッファ31から駆動されない状態になる。
【0054】
そして、入力許可信号56がHレベルとなるため、オア回路32の一方の端子にはLレベルが入力され、他方の端子には端子B1からの信号が入力される。つまり、オア回路32からは、端子B1における論理がそのまま入力信号57として出力されることになる。
【0055】
次に、本実施形態における特徴的な状態である、入出力切替回路41の入力回路と出力回路とを同時に有効状態とした場合の状態を図10に示す。
【0056】
入力回路と出力回路とを同時に有効状態とする場合には、出力許可信号55はHレベルとなり、入力許可信号56もHレベルとなる。
【0057】
そのため、3ステート出力バッファ31は、出力信号58の論理状態をそのまま端子B1に出力する。そして、入力許可信号56もHレベルとなるため、オア回路32からは、端子B1における論理がそのまま入力信号57として出力されることになる。
【0058】
つまり、この状態では、出力信号58における論理が3ステート出力バッファ31を経由して端子B1に出力され、その論理がオア回路32を経由して入力信号57として内部回路に出力されることになる。
【0059】
具体的には、出力信号58にHレベルを出力すれば、入力信号57もHレベルとなり、出力信号58にLレベルを出力すれば、入力信号57もLレベルとなる。
【0060】
そのため、入力回路と出力回路とを同時に有効状態として、出力信号58と入力信号57の論理が一致することを確認することにより、端子B1にはLSIテスタの検査用ピンを接続することなく、端子B1がHレベル又はLレベルに固定されてしまう縮退故障、及び信号の伝達に許容量以上の遅延が発生する遷移故障を検出することが可能となる。
【0061】
次に、図6に戻って入出力切替回路41以外の回路構成について説明する。
【0062】
オア回路42は、内部テスト信号51と、出力選択信号53との間の論理和演算を行って、その演算結果を出力許可信号55として出力する。オア回路43は、内部テスト信号51と、入力選択信号54との間の論理和演算を行って、その演算結果を入力許可信号56として出力する。
【0063】
そして、出力選択信号53は、Hレベルとなることにより入出力切替回路41を出力回路として機能させるための信号であり、入力選択信号54は、Hレベルとなることにより入出力切替回路41を入力回路として機能させるための信号である。
【0064】
ここで、内部テスト信号51は、半導体集積回路の内部において生成され、通常動作状態の場合にはLレベルとなり、EDS試験等のテスト状態の場合にはHレベルとなる信号である。つまり、通常動作状態の場合には、内部テスト信号51がLレベルとなるため、出力選択信号53はそのまま出力許可信号55として出力され、入力選択信号54はそのまま入力許可信号56として出力される。
【0065】
そして、テスト状態になると内部テスト信号51がHレベルとなるため、出力許可信号55、入力許可信号56のいずれも、出力選択信号53及び入力選択信号54の論理に関係なく、Hレベルとなる。
【0066】
つまり、内部テスト信号51がHレベルになると、入出力切替回路41では、出力回路と入力回路とが同時に有効になる。
【0067】
セレクタ44は、内部テスト信号51がLレベルの場合には、通常動作における出力信号50を選択して出力信号58として出力し、内部テスト信号51がHレベルの場合には、テスト入力信号52を選択して出力信号58として出力する。ここで、テスト入力信号52は、半導体集積回路のテストの際に、端子A1から入力される信号である。
【0068】
アンド回路45は、入出力切替回路41から出力されてきた入力信号57と、セレクタ44からの出力信号58との間の論理積演算を行って、その演算結果をテスト結果出力信号(H)B1として出力する。
【0069】
オア回路46は、入出力切替回路41から出力されてきた入力信号57と、セレクタ44からの出力信号58との間の論理和演算を行って、その演算結果をテスト結果出力信号(L)B1として出力する。
【0070】
ここで、テスト結果出力信号(H)B1は、テスト入力信号52をHレベルとしてテストを行った際の端子B1に対するテスト結果である。また、テスト結果出力信号(L)B1は、テスト入力信号52をLレベルとしてテストを行った際の端子B1に対するテスト結果である。
【0071】
ここで、テスト入力信号52をHレベルとした状態、及びLレベルとした状態のそれぞれにおいてテストを実施するのは、どちらか一方の状態のテストでは、端子B1がHレベル固定となるような異常、又はLレベル固定となるような異常の両方を検出することができないからである。
【0072】
このように、端子B1用回路40(1)~端子B40用回路40(40)のそれぞれにおけるアンド回路45及びオア回路46と、アンド回路71及びオア回路72とにより、複数の出力回路と複数の入力回路とを同時に有効にして、端子B1~B40に出力した信号の論理と端子B1~B40から入力された信号の論理とがそれぞれ一致するか否かを検出することにより端子B1~B40における異常の有無を検出する検出回路として機能する。
【0073】
この検出回路は、第1の演算回路と、第2の演算回路とから構成されている。そして、第1の演算回路は、端子B1~B40に出力した信号の論理と端子B1~B40から入力された信号の論理との間の論理積演算をアンド回路45によりそれぞれ行って、その論理積演算の複数の演算結果間の論理積演算をアンド回路71によりさらに行い、最終的な演算結果を端子A2に出力する。また、第2の演算回路は、端子B1~B40に出力した信号の論理と端子B1~B40から入力された信号の論理との間の論理和演算をオア回路46によりそれぞれ行って、その論理和演算の複数の演算結果間の論理和演算をオア回路72によりさらに行い、最終的な演算結果を端子A3に出力する。
【0074】
このように、内部テスト信号51をHレベルとしてテスト状態として、テスト入力信号52をHレベルとした状態で、出力信号58と入力信号57の両方がHレベルであれば、アンド回路45の演算結果であるテスト結果出力信号(H)B1もHレベルとなり端子B1がLレベル固定となるような縮退故障が発生していないことが確認できる。
【0075】
そして、端子B1用回路40(1)~端子B40用回路40(40)からそれぞれ出力される、テスト結果出力信号(H)B1~B40の全てがHレベルであれば、アンド回路71の最終的な出力結果もHレベルとなり、端子B1~B40の全てにおいて、Lレベル固定となるような縮退故障が発生していないことが確認できる。
【0076】
また、内部テスト信号51をHレベルとしてテスト状態として、テスト入力信号52をLレベルとした状態で、出力信号58と入力信号57の両方がLレベルであれば、オア回路46の演算結果であるテスト結果出力信号(L)B1もLレベルとなり端子B1がHレベル固定となるような縮退故障は発生していないことが確認できる。
【0077】
そして、端子B1用回路40(1)~端子B40用回路40(40)からそれぞれ出力される、テスト結果出力信号(L)B1~B40の全てがLレベルであれば、オア回路72の最終的な出力結果もLレベルとなり、端子B1~B40の全てにおいて、Hレベル固定となるような縮退故障は発生していないことが確認できる。
【0078】
最後に、本実施形態の半導体集積回路における動作時のタイミングチャートを図11図12に示す。
【0079】
図11は、通常動作状態における動作時のタイミングチャートである。
【0080】
通常動作状態では、内部テスト信号51はLレベルとなっている。そして、出力許可信号55がHレベルになると出力回路が有効状態となる。そして、出力回路が有効状態の場合、内部回路から出力された出力信号59はセレクタ44により出力信号58として出力され、3ステート出力バッファ31を経由して端子B1にも同じ論理の信号が出力される。なおこの状態においては、入力信号57は、入力無効状態となっている。
【0081】
次に、時刻T1において出力許可信号がLレベルとなり、入力許可信号56がHレベルになると出力回路は無効状態となり入力回路が有効状態となる。
【0082】
すると、出力信号58、59はいずれも論理無効状態となり、端子B1に入力された信号はオア回路32を経由して、入力信号57として内部回路に入力されることになる。
【0083】
次に、通常動作状態であった半導体集積回路において内部テスト信号51をLレベルからHレベルとしてテスト状態にした場合の動作時のタイミングチャートを図12に示す。なお、ここではテスト入力信号52をHレベルにするテストを行う場合についてのみ説明するが、テスト入力信号52をLレベルにするテストを行う場合でも論理が逆なだけで同様の動作が行われる。
【0084】
通常動作状態ではLレベルであった内部テスト信号51が時刻T2においてHレベルになると、半導体集積回路はテスト状態に移行し、出力許可信号55及び入力許可信号56がいずれもHレベルとなる。その結果、入力回路及び出力回路の両方が有効状態となる。
【0085】
そして、このテスト状態において、テスト入力信号52に図12に示すような信号が入力されると、このテスト入力信号52は、端子B1~B40の各端子において出力信号58として出力される。この出力信号58は、各端子のパッドを経由して入力信号57として内部回路に入力される。そのため、アンド回路45において、端子毎に出力信号58と入力信号57との間の論理積演算が行われテスト結果出力信号(H)B1~B40として出力されることになる。ここで、全ての端子B1~B40に異常が無ければ、テスト結果出力信号(H)B1~B40からも同様のHレベルの信号が出力されるはずである。
【0086】
そして、この40のテスト結果出力信号(H)B1~B40が全てHレベルであれば、これらの信号間の論理積を演算した最終的な検査結果もHレベルとなり、端子A2からHレベルの信号が出力されることになる。
【0087】
アンド回路71は、各端子からのテスト結果出力信号(H)B1~B40の全てがHレベルで一致したことを検出するための検出回路として機能する。
【0088】
なお、テスト入力信号52をLレベルとするテストを実施する場合には、オア回路72は、各端子からのテスト結果出力信号(L)B1~B40の全てがLレベルで一致したことを検出するための検出回路として機能する。
【0089】
端子B1~B40のいずれかにおいて縮退故障が発生した場合には、アンド回路71又はオア回路72の出力が期待論理とはならない。そのため、アンド回路71又はオア回路72の出力が期待論理とならない場合には、端子B1~B40のいずれかにおいて縮退故障が発生したと判定することができる。
【0090】
また、遷移故障を検出するためには、許容される遅延量までを包括するタイミングでテスト結果の出力である端子A2、A3の論理を判定する。もし、許容量される遅延量以上の遅延が発生した場合には、設定されたタイミングにおいて論理変化が間に合わず、端子A2、A3の論理が期待論理とならない。このように設定されたタイミングにおいて端子A2、A3の論理が期待論理とならないことを検出することにより、端子B1~B40のいずれかにおいて遷移故障が発生していることを検出可能となる。
【0091】
このように本実施形態の半導体集積回路によれば、テスト用端子103のみをLSIテスタ200に接続して機能検査を行う場合であっても、LSIテスタ200に接続しない実機能用端子104である端子B1~B40の縮退故障又は遷移故障を検出することが可能となる。
【0092】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態の半導体集積回について説明する。
【0093】
本実施形態の半導体集積回路における端子B1~B40の検査を行うための回路構成を図13に示す
【0094】
本実施形態の半導体集積回路では、図6に示した第1の実施形態の回路構成に対して、端子B1用回路40(1)~端子B40用回路40(40)が、それぞれ、端子B1用回路60(1)~端子B40用回路60(40)に置き換えられた構成となっている。また、本実施形態の半導体集積回路では、テストクロック信号61が端子A4から入力されるような回路構成となっている。
【0095】
そして、端子B1用回路60(1)~端子B40用回路60(40)は、第1の実施形態における端子B1用回路40(1)~端子B40用回路40(40)に対して、アンド回路45及びオア回路46の出力が、それぞれフリップフロップ回路62、63を介してアンド回路71、オア回路72にそれぞれ入力されている点が異なっている。
【0096】
本実施形態においても端子B1用回路60(1)の回路構成のみについて説明する。
【0097】
フリップフロップ回路62、63は、それぞれ、テストクロック信号61をクロック入力として動作し、アンド回路45及びオア回路46の出力信号をラッチして、テスト結果出力信号(H)B1、(L)B1として出力する。
【0098】
本実施形態においても検出回路は、第1の演算回路と、第2の演算回路とから構成されている。そして、第1の演算回路は、端子B1に出力した信号の論理と端子B1から入力された信号の論理との間でアンド回路45により行われた論理積演算の演算結果を入力とするフリップフロップ回路62をさらに備えている。そして、本実施形態においては、アンド回路71は、複数のフリップフロップ回路62の複数の出力間の論理積演算を行い最終的なテスト結果として出力する。
【0099】
また、第2の演算回路は、端子B1に出力した信号の論理と端子B1から入力された信号の論理との間でオア回路46により行われた論理和演算の演算結果を入力とするフリップフロップ回路63をさらに備えている。そして、本実施形態においては、オア回路72は、複数のフリップフロップ回路63の複数の出力間の論理和演算を行い最終的なテスト結果として出力する。
【0100】
次に、本実施形態の半導体集積回路におけるテスト状態におけるタイミングチャートを図14に示す。なお、ここではテスト入力信号52をHレベルにするテストを行う場合についてのみ説明するが、テスト入力信号52をLレベルにするテストを行う場合でも論理が逆なだけで同様の動作が行われる。
【0101】
通常動作状態ではLレベルであった内部テスト信号51が時刻T4においてHレベルになると、半導体集積回路はテスト状態に移行し、出力許可信号55及び入力許可信号56がいずれもHレベルとなる。その結果、入力回路及び出力回路の両方が有効状態となる。
【0102】
そして、このテスト状態において、テスト入力信号52がHレベルになると、異常が無ければアンド回路45の出力もHレベルとなる。そして、フリップフロップ回路62は、アンド回路45の出力を、テストクロック信号61の立ち上がりによりラッチしてテスト結果出力信号(H)B1として出力する。そのため、テスト結果出力信号(H)B1は、テストクロック信号61と同期化された信号となる。
【0103】
具体的には、テスト結果出力信号(H)B1~B40は、テストクロック信号61の立ち上がりに同期して、時刻T5においてHレベルとなり、時刻T6においてLレベルとなる。
【0104】
つまり、テスト結果出力信号(H)B1~B40のいずれかが、テスト入力信号52がHレベルとなってからテストクロック信号が立ち上がる時刻T5までに正常にHレベルとならなければアンド回路71の出力である端子A2出力もHレベルとはならない。また、テスト結果出力信号(L)B1~B40のいずれかが、テスト入力信号52がLレベルとなってからテストクロック信号が立ち下がる時刻T6までに正常にLレベルとならなければオア回路72の出力である端子A3出力もLレベルとはならない。
【0105】
この結果、端子B1~B40におけるHレベル出力の遅延量、Lレベル出力の遅延量の許容範囲は、テスト入力信号52の入力位相と、テストクロック信号61の立ち上がり位相差D1、D2でそれぞれ定義できるようになる。その結果、本実施形態によれば、より遅延量の要求が厳しい条件においても時間差を精密に調整して判定することができるようになるとともに、結果判定は次のテストクロック信号61の立ち上がり直前に行えることから、判定結果をLSIテスタ200側に出力する際の遅延の許容量が増すことから、判定動作の安定性も増すことができる。
【0106】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態の半導体集積回について説明する。
【0107】
本実施形態の半導体集積回路における端子B1~B40の検査を行うための回路構成を図15に示す
【0108】
本実施形態の半導体集積回路では、図6に示した第1の実施形態の回路構成に対して、アンド回路71及びオア回路72を削除して、パラレルシリアル変換回路81を設けた点が異なっている。また、本実施形態の半導体集積回路では、テストクロック信号61が端子A4から入力され、パラレルシリアル選択信号83が端子A5から入力されるような回路構成となっている。
【0109】
パラレルシリアル変換回路81は、端子B1用回路40(1)~端子B40用回路40(40)から出力されるテスト結果出力信号(H)B1~B40、及びテスト結果出力信号(L)B1~B40をシリアル信号84に変換して端子A2に出力するシフトレジスタとして機能する。
【0110】
パラレルシリアル選択信号83は、パラレルシリアル変換回路81における動作を、パラレル動作、又はシフトレジスタ動作に切り替えるための信号である。パラレルシリアル選択信号83がHレベルの場合、パラレルシリアル変換回路81はパラレル動作を行い、パラレルシリアル選択信号83がLレベルの場合、パラレルシリアル変換回路81はシフトレジスタ動作を行うように設定されている。
【0111】
次に、図15に示したパラレルシリアル変換回路81の回路構成を図16に示す。
【0112】
パラレルシリアル変換回路81は、図16に示されるように、直列に接続された複数のフリップフロップ回路85(1)~85(40)と、複数のフリップフロップ回路85(1)~85(40)のデータ入力を切り替えるための複数のセレクタ86(1)~86(39)と、複数のセレクタ87(1)~87(40)とから構成されている。
【0113】
セレクタ87(1)~87(40)は、それぞれ、テスト入力信号52がHレベルの場合には、テスト結果出力信号80H(B1)~80H(B40)を選択してセレクタ86(1)~86(39)のA入力、及びフリップフロップ回路85(40)のデータ入力に出力する。また、セレクタ87(1)~87(40)は、それぞれ、テスト結果入力52がLレベルの場合には、テスト結果出力信号80L(B1)~80L(B40)を選択してセレクタ86(1)~86(39)のA入力、及びフリップフロップ回路85(40)のデータ入力に出力する。
【0114】
ここで、直列に接続された40個のフリップフロップ回路85(1)~85(40)間には、それぞれ、39個のセレクタ86(1)~86(39)が挿入されている。
【0115】
そして、セレクタ86(1)~86(39)は、それぞれ、パラレルシリアル選択信号83がLレベルの場合には、B入力に接続された前段のフリップフロップ回路85の出力を次段のフリップフロップ回路85の入力に出力する。また、セレクタ86(1)~86(39)は、それぞれ、パラレルシリアル選択信号83がHレベルの場合には、A入力に接続されたセレクタ87(1)~87(40)からの出力を次段のフリップフロップ回路85の入力に出力する。
【0116】
次に、本実施形態の半導体集積回路におけるテスト状態におけるタイミングチャートを図17に示す。なお、ここではテスト入力信号52をHレベルにするテストを行う場合についてのみ説明するが、テスト入力信号52をLレベルにするテストを行う場合でも論理が逆なだけで同様の動作が行われる。
【0117】
通常動作状態ではLレベルであった内部テスト信号51が時刻T7においてHレベルになると、半導体集積回路はテスト状態に移行し、出力許可信号55及び入力許可信号56がいずれもHレベルとなる。その結果、入力回路及び出力回路の両方が有効状態となる。
【0118】
そして、このテスト状態において、パラレルシリアル変換回路81では、パラレルシリアル選択信号83がHレベルの時にはパラレル動作(セレクタ86におけるA入力経路)が行われ、パラレルシリアル選択信号83がLレベルの時にはシフトレジスタ動作(セレクタ86におけるB入力経路)が行われる。
【0119】
そして、テストクロック信号61が端子A4から入力され、パラレル動作時には、テストクロック信号61の立ち上がりに同期して、テスト結果出力信号H(B1)~H(B40)、又は、テスト結果出力信号L(B1)~L(B40)がラッチされる。そして、シフトレジスタ動作時には、テストクロック信号61の立ち上がりに同期して、ラッチされたテスト結果出力B1~B40がフリップフロップ回路85(1)~(40)間を順次転送される。
【0120】
なお、図16に示したパラレルシリアル変換回路81の回路構成はあくまでも一例であり、上記で説明したような動作を実現することが可能であればどのような回路構成であってもよい。
【0121】
ここで、パラレルシリアル選択信号83がHレベルの時におけるテストクロック信号61の立ち上がりにより、テスト結果出力信号(H)B1~B40は、フリップフロップ回路85(1)~85(40)にそれぞれラッチされる。その後、パラレルシリアル選択信号83がLレベルとなり、フリップフロップ回路85(1)~85(40)は、シフトレジスタ動作を行うようになり、テストクロック信号61に同期してラッチした信号を順次後段に転送する。
【0122】
そして、最終的にテスト結果出力B1~B40がパラレルシリアル変換された結果がシリアル信号84として端子A2から出力される。
【0123】
このような動作を、テスト入力信号52をLレベルとして、Lレベルのテスト結果出力信号(L)B1~B40に基づいてシリアル信号84を生成するテストと、テスト入力信号52をHレベルとして、Hレベルのテスト結果出力信号(H)B1~B40に基づいてシリアル信号84を生成するテストの2つの場合について実施する。
【0124】
本実施形態によれば、テスト結果として端子A2から出力されるシリアル信号84のどの部分が正常か異常であるのかを判定することにより、端子B1~B40のうちのどの端子に縮退故障又は遅延故障が発生しているのかを把握することができる。もしも、パッケージ化後の状態において未使用の端子がある場合において、故障が発生している端子が未使用の端子である場合には、パッケージ化後の製品を良品とすることも可能となる。例えば、製品としては端子B1~B10のみが使用される場合には、端子B11~B40のいずれかの端子に故障が発生していても製品としては良品判定することが可能となる。その結果、パッケージ化後の製品における歩留まり向上が図られることになる。
【符号の説明】
【0125】
31 ステート出力バッファ
32 オア回路
40(1)~40(40) 端子B1用回路~端子B40用回路
41 入出力切替回路
42、43 オア回路
44 セレクタ
45 アンド回路
46 オア回路
50 出力信号
51 部テスト信号
52 テスト入力信号
53 出力選択信号
54 入力選択信号
55 出力許可信号
56 入力許可信号
57 入力信号
58、59 出力信号
60(1)~60(40) 端子B1用回路~端子B40用回路
61 テストクロック信号
62、63 フリップフロップ回路
71 アンド回路
72 オア回路
80H(B1)~80H(B40) テスト結果出力信号
80L(B1)~80L(B40) テスト結果出力信号
81 パラレルシリアル変換回路
83 パラレルシリアル選択信号
84 シリアル信号
85(1)~85(40) フリップフロップ回路
86(1)~86(39) セレクタ
87(1)~87(40) セレクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17