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特開2024-125909情報提供装置、情報提供方法及び情報提供プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125909
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法及び情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20240911BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240911BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240911BHJP
【FI】
G06Q10/04
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034040
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】檜物 亮一
【テーマコード(参考)】
3C100
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA38
3C100AA57
3C100AA70
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB27
3C100BB33
5L010AA20
5L049AA20
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】品質目標を安定して達成すること。
【解決手段】実施形態の情報提供装置10は、収集部151及び評価部152を有する。収集部151は、製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を収集する。評価部152は、製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を基に、評価対象のロットの管理パラメータから予測される評価対象のロットの品質を評価する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を収集する収集部と、
前記製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を基に、評価対象のロットの管理パラメータから予測される前記評価対象のロットの品質を評価する評価部と、
を有することを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記製造済みのロットの中から、管理パラメータの特徴が前記評価対象のロットの管理パラメータの特徴と類似するロットを選択し、選択したロットの品質を基に、前記評価対象のロットの品質を評価することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記評価部は、基準値に対するばらつきのパターン及びばらつきの度合いを各管理パラメータの特徴として抽出し、抽出した特徴を用いて前記評価対象のロットの品質を評価することを特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記製造済みのロットの複数の管理パラメータのそれぞれに対応し、かつ管理パラメータの基準値に対するばらつきの度合いを表す離散値のそれぞれに対応する円グラフであって、対応するロットの品質が良品であった割合と不良品であった割合とを表す円グラフをマトリックス上に配置して表示させ、さらに、前記円グラフのうち、前記評価対象のロットの複数の管理パラメータの基準値に対するばらつきの度合いと共通する円グラフを把握可能に表示させる表示制御部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項5】
製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を収集し、
前記製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を基に、評価対象のロットの管理パラメータから予測される前記評価対象のロットの品質を評価する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報提供方法。
【請求項6】
製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を収集し、
前記製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を基に、評価対象のロットの管理パラメータから予測される前記評価対象のロットの品質を評価する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供方法及び情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの製造業において、目標とするPQCD(Productivity(生産性)、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(製造時間))を安定して実現し、製品の生産ができるようにすることが求められる。従来、特に製品の品質(Quality)を安定させるための技術が提案されている。
【0003】
例えば、目標とする品質特性を満たす製品を安定して製造できるようにするために、事前に鍵となるパラメータ(以下、管理パラメータ)と、管理パラメータの値がとるべき管理幅を決めておく方法が知られている。製造工程においては、管理パラメータの管理幅が守られる。また、管理パラメータと管理幅を管理する手段として、QMマトリックスが使われる場合がある。
【0004】
また、品質検査により製品の品質を保証する方法が知られている。例えば、不良品を市場に出荷しないようにするため、製造された製品の品質検査が行われる。そして、品質検査結果が合格になった製品のみが出荷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-55231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の通り、PQCDのうちQ(品質)の目標(品質目標)を達成するための技術が提案されている。しかしながら、従来の技術では、品質目標を安定して達成することが難しいという問題がある。
【0007】
例えば、製造に関する4M(原料の特性、設備の状態、人の作業、工程の状態)のばらつきが大きい場合、管理パラメータの管理幅を守って運転しても、不良品ができてしまうことがある。
【0008】
また、製品を受け取るユーザからの要求が一層厳しくなり、達成すべき品質レベルがより高くなった結果、品質検査で合格になったのに、ユーザから不良品として扱われるケースが増えてきており、品質検査だけでは品質保証ができない場合がある。
【0009】
一つの側面では、品質目標を安定して達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一側面にかかる情報提供装置は、製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を収集する収集部と、前記製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を基に、評価対象のロットの管理パラメータから予測される前記評価対象のロットの品質を評価する評価部と、を有することを特徴とする。
【0011】
一側面にかかる情報提供方法は、製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を収集し、前記製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を基に、評価対象のロットの管理パラメータから予測される前記評価対象のロットの品質を評価する、処理をコンピュータが実行することを特徴とする。
【0012】
一側面にかかる情報提供プログラムは、製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を収集し、前記製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を基に、評価対象のロットの管理パラメータから予測される前記評価対象のロットの品質を評価する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
一実施形態によれば、品質目標を安定して達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る情報提供装置の構成例を示す図である。
図2】集計データの例を示す図である。
図3】画面の例を示す図である。
図4】画面の例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係る情報提供装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】ハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願の開示する情報提供装置、情報提供方法及び情報提供プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、ここで説明する実施形態により本願の発明が限定されるものではない。また、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、各実施形態は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0016】
本実施形態の情報提供装置は、プラント等の施設における製品の製造に関する情報を提供する。製品は、オペレータが製造設備を運転することによって製品の製造が行われる。オペレータは、管理パラメータを設定することができる。管理パラメータは、製造設備の操作量、材料の投入量、処理時間等を決定するためのパラメータである。また、製品は、ロット単位で製造される。オペレータは、ロット単位で管理パラメータを設定する。
【0017】
図1を用いて、情報提供装置10の構成を説明する。図1は、第1の実施形態に係る情報提供装置の構成例を示す図である。図1に示すように、情報提供装置10は、通信部11、入力部12、出力部13、記憶部14及び制御部15を有する。
【0018】
通信部11は、他の装置との間でデータの通信を行う。入力部12は、データの入力を受け付ける。入力部12は、キーボード及びマウス等の入力装置と接続されるインタフェースであってもよい。出力部13は、データを出力する。出力部13は、ディスプレイ及びスピーカ等の出力装置と接続されるインタフェースであってもよい。
【0019】
記憶部14は、各種データ、及び制御部15が実行する各種プログラム等を記憶する。例えば、記憶部14は、メモリ及びハードディスク等の記憶装置である。この記憶部14は、制御部15が各種処理を実行する際の過程で得られるデータ、及び各種処理を実行したことで得られる処理結果等、情報提供装置10が実行する処理で発生する各種データを記憶する。記憶部14は、集計データ141を記憶する。
【0020】
集計データ141は、製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を集計したデータである。図2は、集計データの例を示す図である。
【0021】
図2に示す集計データ141の各レコード(行)は、製造済みのロットに対応する。また、集計データ141の各項目(列)は、管理パラメータ又は品質に対応する。管理パラメータは、「原料A.特性1」、「攪拌時間」、「内部温度」、「出口温度」、「反応時間」を含む。また、品質は、「粘度」によって表される。
【0022】
また、集計データ141の各セルは、管理パラメータ又は品質のばらつきの度合いを示す離散値である。ばらつきの度合いが「+X」であることは、管理パラメータ又は品質が上側(値が増加する側)にX段階ばらついていることを意味する。ばらつきの度合いが「-X」であることは、管理パラメータ又は品質が下側(値が減少する側)にX段階ばらついていることを意味する。ばらつきの度合いが「0」であることは、管理パラメータ又は品質が所定の範囲に収まっていることを意味する。
【0023】
制御部15は、情報提供装置10全体を司る処理部である。制御部15は、例えばプロセッサ等により実現される。制御部15は、収集部151、評価部152及び表示制御部153を有する。
【0024】
収集部151は、製造済みのロット及び評価対象のロットの管理パラメータ及び品質を収集する。ここで、製造済みのロット及び評価対象のロットでは、同じ製品が製造されているものとする。収集部151は、製造時の4Mデータ(原料データ、設備データ、人のデータ及び工程データ)及び製品の品質検査データから管理パラメータ及び品質を収集する。
【0025】
収集部151は、収集した製造済みロットの管理パラメータ及び品質のばらつきを、集計データ141として記憶部14に記憶させる。
【0026】
収集部151は、管理パラメータ又は品質があらかじめ決められた管理幅の中の上限値から下限値の間に収まっている場合、集計データ141における当該管理パラメータ又は品質の値を「0」に設定する。
【0027】
収集部151は、管理パラメータ又は品質が上限値を上回り、かつ上側の閾値を下回っている場合、集計データ141における当該管理パラメータ又は品質の値を「+1」に設定する。
【0028】
収集部151は、管理パラメータ又は品質が上側の閾値を上回っている場合、集計データ141における当該管理パラメータ又は品質の値を「+2」に設定する。
【0029】
収集部151は、管理パラメータ又は品質が下限値を上回り、かつ下側の閾値を上回っている場合、集計データ141における当該管理パラメータ又は品質の値を「-1」に設定する。
【0030】
収集部151は、管理パラメータ又は品質が下側の閾値を下回っている場合、集計データ141における当該管理パラメータ又は品質の値を「-2」に設定する。
【0031】
ここで、管理パラメータ「攪拌時間」の管理幅を「32~42」とし、上限値を「39」、下限値を「37」、上側の閾値を「40」、下側の閾値を「34」とする。例えば、収集部151は、あるロットの管理パラメータ「攪拌時間」が「38」であれば、当該ロットの集計データ141における「攪拌時間」列の値を「0」に設定する。また、例えば、収集部151は、あるロットの管理パラメータ「攪拌時間」が「39」であれば、当該ロットの集計データ141における「攪拌時間」列の値を「+1」に設定する。また、例えば、収集部151は、あるロットの管理パラメータ「攪拌時間」が「33」であれば、当該ロットの集計データ141における「攪拌時間」列の値を「-2」に設定する。
【0032】
なお、評価対象のロットは、製品の製造は完了していなくてもよい。その場合、評価対象のロットにおける一部の管理パラメータ及び製品の品質は未知である。
【0033】
評価部152は、製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を基に、評価対象のロットの管理パラメータから予測される評価対象のロットの品質を評価する。
【0034】
表示制御部153は、評価対象ロットの品質の評価に利用可能な画面を表示させる。例えば、表示制御部153は、出力部13を介して、ディスプレイ等に画面を表示させる。
【0035】
表示制御部153は、図3に示す画面を表示させる。図3は、画面の例を示す図である。図3に示すように、表示制御部153は、製造済みのロットの複数の管理パラメータのそれぞれに対応し、かつ管理パラメータの基準値に対するばらつきの度合いを表す離散値のそれぞれに対応する円グラフをマトリックス上に配置する。
【0036】
マトリックスの横軸は、管理パラメータが、製造過程で値が決まっていく順(時間順)に並び、右端の列は品質に対応する。縦軸は、管理パラメータ又は品質のばらつきを離散値(「-2」、「-1」、「0」、」、「+1」、「+2」の5段階)で表している。また、縦軸の値は、集計データ141の値に対応する。
【0037】
また、円グラフは、対応するロットの品質が良品であった割合と不良品であった割合とを表す。円グラフの実線で囲まれた部分は、良品であったロットの割合である。また、円グラフの破線で囲まれた部分は、不良品であったロットの割合である。
【0038】
例えば、管理パラメータ「原料A.特性1」のばらつき「-1」に対応する円グラフは、約90%の部分が実線で囲まれ、約10%の部分が破線で囲まれている。これは、管理パラメータ「原料A.特性1」のばらつきが「-1」であった製造済みのロットのうち、約90%の品質が良品であり、約10%の品質が不良品であったことを意味している。
【0039】
また、円グラフ間に引かれた線は、ロットにおける管理パラメータの遷移を表している。実線は良品であったロットに対応し、破線は不良品であったロットに対応する。
【0040】
図3には、管理パラメータ「原料A.特性1」、「攪拌時間」、「内部温度」、「出口温度」、「反応時間」が「+1」、「0」、「0」、「+1」、「0」と遷移し、製品が良品(品質「粘度」が「0」)であったロットが存在することが示されている。
【0041】
また、図3には、管理パラメータ「原料A.特性1」、「攪拌時間」、「内部温度」、「出口温度」、「反応時間」が「-1」、「0」、「-1」、「0」、「0」と遷移し、製品が不良品(品質「粘度」が「+2」)であったロットが存在することが示されている。
【0042】
さらに、表示制御部153は、円グラフのうち、評価対象のロットの複数の管理パラメータの基準値に対するばらつきの度合いと共通する円グラフを把握可能に表示させる。表示制御部153は、評価対象のロットを太線によって表す。すなわち、図3には、評価対象のロットの管理パラメータ「原料A.特性1」、「攪拌時間」、「内部温度」、「出口温度」が「+2」、「0」、「-2」、「0」であることが示されている。
【0043】
また、評価対象のロットは製造工程の途中であり、現在時刻においては、管理パラメータ「出口温度」まで設定済み(又は既知)であるが、管理パラメータ「反応時間」以降(品質を含む)は未設定(又は未知)である。
【0044】
表示制御部153は、円グラフの選択を受け付ける。そして、表示制御部153は、選択された円グラフに関して、ヒストグラム、変化トレンド、散布図、及びプロセストレンドを表示させる。
【0045】
ヒストグラムによれば、選択されたロットのパラメータの値が、過去の値と比べてどの程度大きいか、又は小さいがわかる。変化トレンドによれば、選択されたパラメータの値の変化の傾向、遷移状態の傾向、原料ロットとの関係等がわかる。散布図によれば、選択されたパラメータ間の関係がわかる。プロセストレンドによれば、選択されたパラメータに関連するプロセストレンドの確認ができる。これにより、パラメータが、どのような過程でその結果になったのかがわかる。
【0046】
図3のように、製造済みのロットの情報と比較することで、オペレータは、評価対象のロットの特徴を把握することができる。ロットの特徴は、管理パラメータ及び品質のパターン(太線の形状)、及びばらつきの度合い(縦軸)によって表される。
【0047】
ここで、多くの管理パラメータがばらついている場合でも、それぞれの管理パラメータが独立してばらついているわけではない。ある管理パラメータのばらつきがきっかけで、他の管理パターンが影響を受ける場合がある。
【0048】
例えば、図3において、ある円グラフが選択されると、表示制御部153は、選択された円グラフを通る線のみを表示する。これにより、表示されるロットが絞り込まれ、評価対象のロットとの比較が可能になる。
【0049】
例えば、図3で管理パラメータが「原料A.特性1」、ばらつきの度合いが「+2」の円グラフが選択されると、図4に示すように、表示制御部153は、当該円グラフを通るロットのみを表示させる。図4は、画面の例を示す図である。
【0050】
これにより、例えば、管理パラメータ「原料A.特性1」のばらつきが大きいと、管理パラメータ「内部温度」のばらつきが小さくなることがわかる。
【0051】
評価部152は、製造済みのロットの中から、管理パラメータの特徴が評価対象のロットの管理パラメータの特徴と類似するロットを選択し、選択したロットの品質を基に、評価対象のロットの品質を評価する。
【0052】
図4の例では、管理パラメータが「内部温度」、ばらつきの大きさが「-2」の円グラフが選択されている。
【0053】
評価部152は、評価対象のロットと類似するロットとして、管理パラメータ「原料A.特性1」から「出口温度」までが評価対象のロットと共通であり、管理パラメータ「反応時間」が「+2」であるロット、及び管理パラメータ「反応時間」が「0」であるロットを選択する。
【0054】
管理パラメータ「反応時間」が「+2」であるロットは、良品のロットである。管理パラメータ「反応時間」が「0」であるロットは、不良品のロットである。なお、品質「粘度」が「-1」、「0」、「+1」のロットは良品のロットである。品質「粘度」が「-2」又は「+2」のロットは不良品のロットである。
【0055】
評価部152は、選択したロットに不良品のロットが含まれる場合、評価結果を「要注意」とする。また、評価部152は、選択したロットに不良品のロットが含まれない場合、評価結果を「良好」とする。評価部152は、評価結果として「要注意」又は「良好」を出力する。
【0056】
このように、評価部152は、基準値に対するばらつきのパターン及びばらつきの度合いを各管理パラメータの特徴として抽出し、抽出した特徴を用いて評価対象のロットの品質を評価する。
【0057】
オペレータは、評価結果を受けて対応を行うことができる。例えば、評価結果が「良好」であれば、オペレータは現状の運転を続ける。これにより、評価対象のロットにおいて、良品が得られる可能性が高くなる。
【0058】
また、例えば、評価結果が「要注意」であれば、オペレータは、良品と不良品の違いを見つけ、良品になるような操作をすることが考えられる。評価対象のロットが運転中の場合には、オペレータは運転中に対処を実行する。評価対象のロットが運転後の場合には、オペレータは次のロットに向けて対処を実行する。
【0059】
例えば、図4に示すように、オペレータは、評価対象のロットにおいて、管理パラメータ「反応時間」のばらつきの大きさが「0」となるような操作を行うことで、良品が得られる可能性を高めることができる。
【0060】
図5を用いて、情報提供装置10の処理の流れを説明する。図5は、第1の実施形態に係る情報提供装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0061】
図5に示すように、まず、情報提供装置10は、過去のロット(製造済みのロット)及び評価対象ロットのデータを収集する(ステップS101)。
【0062】
そして、情報提供装置10は、過去のロットの管理パラメータのばらつき及び品質を可視化した画面を表示させる(ステップS102)。情報提供装置10は、図3及び図4に示すような、円グラフを配置した画面を表示させる。
【0063】
続いて、情報提供装置10は、過去のロットの管理パラメータのばらつきの集計結果、及び評価対象ロットの管理パラメータのばらつきに基づき、評価対象ロットを評価し(ステップS103)、評価結果を出力する(ステップS104)。
【0064】
例えば、情報提供装置10は、過去のロットの中から、評価対象のロットに類似するロットを選択する。情報提供装置10は、ロット間の類似度を、管理パラメータのばらつきの大きさにより計算することができる。情報提供装置10は、選択したロットの中に、製造された製品が不良品であったロットが含まれているか否かに基づき、評価対象のロットの評価を行う。
【0065】
[効果]
これまで説明してきたように、情報提供装置10は、収集部151及び評価部152を有する。収集部151は、製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を収集する。評価部152は、製造済みのロットの管理パラメータ及び品質を基に、評価対象のロットの管理パラメータから予測される評価対象のロットの品質を評価する。
【0066】
情報提供装置10によれば、過去の製造済みのロットに基づき、評価対象のロットの評価が行われる。このため、オペレータは、情報提供装置10による評価結果を参考にすることで、品質目標を安定して達成することができる。
【0067】
また、オペレータが管理幅の中で管理パラメータを設定していたとしても、不良品が製造される場合がある。情報提供装置10によれば、オペレータがそのような経験をすることを抑止し、オペレータのモチベーションを向上させることができる。
【0068】
また、情報提供装置10によれば、実際に不良品を製造してしまう無駄を、ある程度事前に回避することが可能になる。製品の検査が抜き取り検査である場合、不良品が出荷されてしまうリスクはあるが、情報提供装置10によれば、そのリスクを低減させることができる。
【0069】
評価部152は、基準値に対するばらつきのパターン及びばらつきの度合いを各管理パラメータの特徴として抽出し、抽出した特徴を用いて評価対象のロットの品質を評価する。評価部152は、製造済みのロットの中から、管理パラメータの特徴が評価対象のロットの管理パラメータの特徴と類似するロットを選択し、選択したロットの品質を基に、評価対象のロットの品質を評価する。
【0070】
これにより、情報提供装置10は、管理パラメータのばらつきが類似する過去のロットを参考に、評価対象のロットを評価し、また、適切な管理パラメータを提示することができる。
【0071】
表示制御部153は、製造済みのロットの複数の管理パラメータのそれぞれに対応し、かつ管理パラメータの基準値に対するばらつきの度合いを表す離散値のそれぞれに対応する円グラフであって、対応するロットの品質が良品であった割合と不良品であった割合とを表す円グラフをマトリックス上に配置して表示させ、さらに、円グラフのうち、評価対象のロットの複数の管理パラメータの基準値に対するばらつきの度合いと共通する円グラフを把握可能に表示させる。これにより、オペレータは評価対象のロットの特徴と過去の製造済みのロットの特徴とを直感的に比較することができる。
【0072】
[システム]
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0073】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0074】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0075】
[ハードウェア]
次に、情報提供装置10のハードウェア構成例を説明する。図6は、ハードウェア構成例を説明する図である。図6に示すように、情報提供装置10は、通信装置100a、HDD(Hard Disk Drive)100b、メモリ100c、プロセッサ100dを有する。また、図6に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0076】
通信装置100aは、ネットワークインタフェースカード等であり、他のサーバとの通信を行う。HDD100bは、図1に示した機能を動作させるプログラム及びDBを記憶する。
【0077】
プロセッサ100dは、図1に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD100b等から読み出してメモリ100cに展開することで、図1等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、情報提供装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ100dは、収集部151、評価部152及び表示制御部153と同様の機能を有するプログラムをHDD100b等から読み出す。そして、プロセッサ100dは、収集部151、評価部152及び表示制御部153と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0078】
このように、情報提供装置10は、プログラムを読み出して実行することで情報提供方法を実行する情報提供装置として動作する。また、情報提供装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、情報提供装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータ又はサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0079】
このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【符号の説明】
【0080】
10 情報提供装置
11 通信部
12 入力部
13 出力部
14 記憶部
15 制御部
141 集計データ
151 収集部
152 評価部
153 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6