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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125921
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ラベル、及びラベル付物品
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/10 20060101AFI20240911BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20240911BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20240911BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20240911BHJP
【FI】
G09F3/10 B
G09F3/02 Z
B65D25/20 Q
C09J7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034055
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】壽 孝真
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 颯太
【テーマコード(参考)】
3E062
4J004
【Fターム(参考)】
3E062AA01
3E062AA09
3E062AB01
3E062AB02
3E062AB14
3E062DA07
3E062JB04
3E062JC07
4J004AB01
4J004CB02
4J004CB03
4J004CC03
4J004CE03
4J004DA04
4J004DB01
4J004DB02
4J004EA04
4J004FA01
(57)【要約】
【課題】紙製の基材を備えたラベルであって、ラベルを被着体に貼付した後、ラベルを剥がした場合でも、被着体の表面に基材の一部が残存する可能性を低減できるラベルを提供する。
【解決手段】容器(5)に貼付するラベル(1)は、表示部として機能する第1面(11a)を有する紙製の基材(11)と、基材(11)の第1面(11a)とは反対側の第2面(11b)に対して積層された第1接着層(12)と、第1接着層(12)に対して積層されたフィルム層(13)と、フィルム層(13)に対して積層された第2接着層(14)と、を備え、ラベル(1)(1)を容器(5)に貼付する前の状態において、フィルム層(13)は、基材(11)の一部のみに対して積層されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に貼付するラベルであって、
表示部として機能する第1面を有する紙製の基材と、
前記基材の前記第1面とは反対側の第2面に対して積層された第1接着層と、
前記第1接着層に対して積層されたフィルム層と、
前記フィルム層に対して積層された第2接着層と、を備え、
自ラベルを被着体に貼付する前の状態において、前記フィルム層は、前記基材の一部のみに対して積層されている、ラベル。
【請求項2】
前記フィルム層は、植物性由来の材質を有している、請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記フィルム層は、前記基材の外縁側に偏在している、請求項1に記載のラベル。
【請求項4】
前記基材は、当該基材がカールする可能性を低減する、折り罫、切り込み、ミシン目または外縁形状を有している、請求項1から3のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項5】
請求項1に記載のラベルが物品に貼付されたラベル付物品であって、
前記フィルム層は、前記ラベルが貼付される前記物品の部分の形状に対応する位置に存在しているラベル付物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラベル、及びラベル付物品に関する。
【背景技術】
【0002】
商品等の被着体に貼付することで、ラベルの一部(非粘着部)を商品から飛び出るようにして、商品の注目性を高めるラベルが知られている。特許文献1には、被着体に貼付した後にその非粘着部が粘着性を有さず、塵や埃が付着しがたいラベルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-86260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
環境への配慮から基材を紙製とし、当該基材に接着層を形成すると、ラベルを被着体に貼付した後、ラベルを剥がした場合に、基材の表面の一部が剥がれて、被着体の表面に残存するという問題がある。
【0005】
本開示は、紙製の基材を備えたラベルであって、ラベルを被着体に貼付した後、ラベルを剥がした場合でも、被着体の表面に基材の一部が残存する可能性を低減できるラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るラベルは、被着体に貼付するラベルであって、表示部として機能する第1面を有する紙製の基材と、前記基材の前記第1面とは反対側の第2面に対して積層された第1接着層と、前記第1接着層に対して積層されたフィルム層と、前記フィルム層に対して積層された第2接着層と、を備え、自ラベルを被着体に貼付する前の状態において、前記フィルム層は、前記基材の一部のみに対して積層されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、ラベルを被着体に貼付した後、ラベルを剥がした場合でも、被着体の表面に基材の一部が残存する可能性を低減できるラベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一例に係るラベル付物品の斜視図である。
図2】本開示に係るラベルの断面図である。
図3】本開示に係るラベルの各部構成を説明するための斜視図である。
図4】本開示に係る他のラベルの例を示す図である。
図5】本開示に係る他のラベルを示す図である。
図6】機能層(基材、第1接着層)における角のRとラベルのカール量との関係を示す図である。
図7】本開示に係る他のラベルの例を示す図である。
図8】本開示に係るラベルが被着体に貼付される例を示す図である。
図9】一般的なトリガースプレー容器に本開示に係るラベルが貼着されたラベル付物品200を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態について、図1等を参照しながら詳細に説明する。図1は、本開示の一例に係るラベル付物品100の斜視図である。図1において、XYZ座標が記載されている。X軸は、ラベル付物品100を構成する容器5の幅方向を示す。Y軸は、容器5の奥行方向を示す。Z軸は、ラベル付物品100の高さ方向を示す。Z軸方向において、図面上方側を「上側」、図面下方側を「下側」と規定する。
【0010】
(ラベル付物品の概要構成)
図1を参照して、ラベル付物品100は、ラベル1及び容器5により構成されている。
【0011】
一般に、飲料、菓子、化粧品、薬、洗剤、及びシャンプーなどの様々な商品が、容器又は箱などに包装され、物品(商品)として流通している。これら商品には、広告宣伝及び原材料表示などのためラベルが貼付される。このラベルの中で、主として消費者の注意を惹き、かつ、広告宣伝機能を高めるため、一部分を商品の端部から突出させた状態で貼付できるPOPラベルなどが知られている。ラベル1は、そのようなPOPラベルである。なお、本開示に係るラベル1は、POPラベルに限定されず、本開示の技術的思想を含むのであれば、任意の種類のラベルであってよい。
【0012】
図1において、ラベル1は、四角形に形成されており、その一部分が容器5における胴体部の上方に突出した状態で容器5に貼付されている。ラベル1において、容器5における胴体部の上方に突出した領域を非粘着部2と称し、それ以外の容器5に貼付された領域を粘着部3と称する。ラベル1の各部構成については、図2等を参照して説明する。
【0013】
容器5は、収容物を収容し、かつ、ラベル1が貼付される容器である。容器5は、例えば、洗剤、シャンプー、リンス、又は食品類を収容する。容器5は、様々な、形状、大きさ、素材、又は重量等により構成されてよい。図1の例では、容器5は、直方形の胴体部を有し、胴体部の上面には内容物を注出するための注出部(不図示)が設けられ、その抽出部にキャップが被されている。
【0014】
(ラベルの各部構成)
続いて、ラベル1の各部について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、本開示に係るラベル1の断面図である。図3は、ラベル1の各部構成を説明するための斜視図である。以下、図2及び図3を参照してラベル1の各部構成を説明する。なお、図2及び図3において、ラベル1、非粘着部2、及び粘着部3の形状はそれぞれ、限定されないが、長方形であるものとして説明する。
【0015】
最初に本開示に係るラベル1の概念について説明すると次のとおりである。ラベル1は、被着体に貼付するラベルである。ラベル1は、表示部として機能する第1面11aを有する紙製の基材11と、基材11の第1面11aとは反対側の第2面11bに対して積層された第1接着層12と、第1接着層12に対して積層されたフィルム層13と、フィルム層13に対して積層された第2接着層14と、を備える。ラベル1を被着体(容器5)に貼付する前の状態において、フィルム層13は、基材11の一部のみに対して積層されている。
【0016】
ラベル1は、基材11が積層された側とは反対側の第1接着層12の主面に対して積層された機能層15を有してもよい。機能層15は、非粘着部2に対応する領域の少なくとも一部に積層されてよい。
【0017】
図2及び図3に示すように、ラベル1は、非粘着部2及び粘着部3を有する。非粘着部2は、第2接着層14が積層されていない領域に対応する。粘着部3は、第2接着層14が積層された領域に対応する。
【0018】
基材11は、紙製の基材である。基材11は、例えば、上質紙、片ツヤ紙、クラフト紙、グラシン紙、感熱紙、耐水紙、又はコート紙(グロス、アート)などであってよい。基材11は、大きさ、形状、又は厚み等が用途等に応じて適宜に決められてよい。
【0019】
また、基材11は、直立性の観点から、ガーレー法(JIS L-1096)による剛軟度測定値がMD方向(machine direction)で1.00mN以上、CD(cross direction)方向で0.35mN以上好ましい。上限値は、特に限定されないが、ガーレー法による剛軟度測定値が、MD方向で2.60mN以下、CD方向で1.20mN以下が好ましく、MD方向で2.38mN以下、CD方向で0.90mN以下がさらに好ましく、この場合、基材11の連続生産できる。
【0020】
基材11は、第1面11aと第2面11bとを有する。第1面11aは、表示部として機能し、広告宣伝及び/又は原材料表示等がなされる。第2面11bは、第1面11aと反対側の面であって、第1接着層12が積層される。
【0021】
第1接着層12は、基材11の第2面11bに対して積層される層である。第1接着層12を形成するための接着剤としては、ドライラミネートに使用する公知の接着剤、又は熱ラミネーションに使用する熱接着性樹脂などが挙げられる。
【0022】
フィルム層13は、第1接着層12に対して積層される層である。図2及び図3に示すように、ラベル1を被着体に貼付する前の状態において、フィルム層13は、基材11の一部のみに対して積層されている。フィルム層13を形成するためのフィルム材としては、例えば、パルプ由来樹脂シート、合成紙、合成樹脂製シート、金属蒸着シート、発泡樹脂シート、及びこれらが2層以上積層された積層シートなどが挙げられる。合成樹脂製シート等の材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン、ポリエチレンを含む共重合ポリマーなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系などが挙げられる。フィルム層13を形成するためのフィルム材として、環境に配慮した、植物性由来(パルプ由来)のセロハン、又は、生分解性能を有するPLA(Poly-Lactic Acid)が使用されてもよい。
【0023】
図2及び図3に示すように、フィルム層13は、基材11の外縁側に偏在していてよい。これにより、粘着部3以外の非粘着部2が被着体から飛び出すようにラベル1を貼付しやすくなる。
【0024】
第2接着層14は、フィルム層13に対して積層され、かつ、被着体に貼付される層である。第2接着層14を形成するための粘着剤としては、感圧型粘着剤が好ましいが、感熱型粘着剤を用いることもできる。感圧型粘着剤は、室温で粘着力を有し、かつ、その粘着力が長期間持続する粘着剤であり、従来公知のタックラベル等で広く使用されている。感熱型粘着剤は、室温で粘着性を示さず、加熱することにより粘着力を発揮し、かつ、その粘着力が長期間持続する粘着剤である。
【0025】
機能層15は、基材11が積層された側とは反対側の第1接着層12の主面に対して積層され、第1接着層12の接着力を低減する機能を有する。機能層15は、例えば第1接着層12に塗布されたインキ層又はニス層である。機能層15は、第1接着層12上の、非粘着部2に対応する領域の少なくとも一部に積層される。機能層15は、限定されないが、フィルム層13及び第2接着層14のそれぞれの厚みを合算した厚み、又はそれ以下の厚みを有する。
【0026】
ラベル1は、被着体に貼付される前の状態において、フィルム層13が積層された側とは反対側の第2接着層14の面に対して貼付された剥離紙(不図示)により支持されていてもよい。
【0027】
ただし、ラベル1は、必ずしも剥離紙により支持されていなくてよい。例えば、基材11の下面に剥離しやすい、シリコーン等の剥離剤を含有するニスが積層されている場合を考える。このとき、ラベル1がロール状で巻き取られることにより、ニス層と第2接着層14とが重なることになるが、ニス層が剥離剤を含むため、第2接着層14を容易に剥離できる。また、第2接着層14自体の粘性が低い場合には、ラベル1をロール状で巻き取ったとしても、第2接着層14を容易に剥離できる。このように、ラベル1は、必ずしも剥離紙により支持されなくてもよい。
【0028】
以上、図2及び図3を参照してラベル1の各部構成を説明した。なお、図2及び図3に示すラベル1は、一例であって、他の構成(形状等)により実現されてもよい。その一例を図4により説明する。
【0029】
図4は、本開示に係る他のラベル1の例を示す図である。符号401に示す図では、第2接着層14は、長方形に形成されているが、X軸方向における長さは機能層15よりも短く、X軸方向における両端が機能層15に挟まれている。これにより、符号401の図に示す第2接着層14は、図2及び図3に示す第2接着層14よりも、機能層15に対する相対的なX軸方向における幅が短くなる。このような構成は、被着体においてラベル1を貼付可能な領域の幅が狭い場合などに有効に適用できる。
【0030】
符号402に示す図では、第2接着層14は、外縁が長方形に形成された機能層15の一方の長辺から機能層15の短辺の方向(X軸方向)に向かって延在し、延在したその先端部分が円形に形成されている。例えば、被着体の一部が円形領域を含む場合には、その円形領域に第2接着層14の円形部分を貼付する。
【0031】
このように、本開示に係るラベル1は、被着体の構成(形状等)に適合するように第2接着層14の形状又はサイズ等を柔軟に変更できる。
【0032】
以上、本開示に係るラベル1の種々の構成を説明した。次に、ラベル1により得られる効果を説明する。
【0033】
今日では、百貨店、スーパーマーケット、ドラッグストア、又は本屋等においてPOPラベルを目にすることが多い。しかし、多くのPOPラベルはフィルム素材の基材を用いることから、環境への配慮が十分になされているとは言い難い。これに対して、本開示に係るラベル1は、紙製の基材を使用することから、環境配慮型のPOPラベルを提供できる。
【0034】
一方で、紙製の基材を使用したPOPラベルを被着体から剥がすと、被着体に紙が残るという課題が指摘される。この課題に対して、ラベル1は、第1接着層12と第2接着層14との間にフィルム層13を有する。これにより、ラベル1を被着体から剥がしたときに、第2接着層14とラベル1の各層との間に両層を分離させる方向の力を働かせる。このとき、第2接着層14が被着体から剥がれる力が、基材11が第1接着層12から分離する力、及び、フィルム層13が第1接着層12又は第2接着層14から分離する力よりも小さくなるように設定することで、被着体からラベル1を容易に剥離できる。その結果、紙製の基材の表面が剥がれて、被着体の表面に残存する可能性を低減できる。
【0035】
さらに、ラベル1では、フィルム層13は、基材11の一部のみに対して積層されている。つまり、ラベル1は、必要な領域にのみフィルム層13を設けることにより、環境負荷のさらなる低減を実現している。
【0036】
ここで、前述したように、フィルム層13に使用する材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、又はポリエチレン等であってよいが、環境負荷のさらなる低減を図るため、パルプ由来のセロハンを使用することが考えられる。ただし、セロハンは、吸湿性が高く、曲がり易い(カールしやすい)という特性を有する。セロハンがカールすると、ラベル1自体もカールする。それにより、ラベル1の視認性が低下して、ラベル1の広告宣伝効果が低下するという課題が考えられる。
【0037】
この課題に対して、本願発明者らは、フィルム層13にセロハンなどのカールしやすい材料を使用した場合であっても、ラベル1のカールを軽減しうる構成を鋭意検討し、その構成を見出すに至った。以下、その構成の一例を図5及び図6により説明する。
【0038】
図5は、本開示に係る他のラベル1を示す図である。図5に示すラベル1は、湾曲部4を有する。湾曲部4は、機能層15(基材11、第1接着層12)が長方形に形成されたと仮定したときに、第2接着層14(フィルム層13)が位置する側と反対側の長辺を湾曲させてなる部分である。
【0039】
ラベル1は、湾曲部4を有することにより、たとえフィルム層13にセロハンを使用した場合であっても、カール量を軽減するという効果を奏する。その効果を図6により説明する。
【0040】
図6は、機能層15(基材11、第1接着層12)における角のRとラベル1のカール量との関係を示す図である。符号601に示す表は、機能層15(基材11、第1接着層12)の形状が、(a)長方形、(b)R=5mmを有する長方形、(c)R=15mmを有する長方形、(d)R=25mmを有する長方形の場合の、それぞれのラベル1のカール量(mm)を示す。例えば、(a)の場合、カール量は-6.5mmである。この数値は、機能層15(基材11、第1接着層12)が、フィルム層13として使用したセロハンの吸湿により当初の位置より6.5mm反り返ったことを意味する。符号602に示すグラフは、(b)~(d)について、横軸をR(mm)、縦軸をカール量(mm)としたときのグラフを示す。図6より、機能層15(基材11、第1接着層12)における角のRが大きいほど、ラベル1のカール量が軽減されることが分かる。
【0041】
このように、ラベル1は、フィルム層13としてセロハンを使用することにより環境負荷を低減すると共に、湾曲部4を有することによりラベル1のカール量を軽減できる。その結果、ラベル1は、POPラベルとしての広告宣伝効果を維持できる。さらに、ラベル1は、湾曲部4を有することにより、広告宣伝に「優しさ、温かみ」などの印象を与えることもできる。
【0042】
このように、ラベル1は、機能層15(基材11、第1接着層12)における角にRを付けることをカール対策とする。このとき、ラベル1は、フィルム層13を基材11の一部のみに対して積層するため、フィルム層13としてセロハンが使用された場合であっても、セロハンによるカールの発生を軽減できる。さらに、ラベル1は、カール対策として次のような構成も採用できる。その詳細を図7により説明する。
【0043】
図7は、本開示に係る他のラベル1の例を示す図である。ラベル1は略長方形の機能層15(基材11、第1接着層12)を有し、機能層15は、Rが付けられた湾曲部4を有する。また、ラベル1は、湾曲部4から機能層15の中心方向に向かって形成された、2つの脆弱線6を有する。
【0044】
脆弱線6は、一例として、基材11に設けられた折り罫、切り込み、又はミシン目等である。脆弱線6は、カールの発生を物理的に軽減でき、カールが生ずる方向に垂直に近い方向に形成されるほど高いカール軽減効果をもたらす。つまり、脆弱線6は、カール防止の補強材として機能する。また、脆弱線6は、Z成分の方向成分を有するように設けられることにより(図7参照)、Z軸方向におけるラベル1の圧縮強度を高められる。これにより、脆弱線6は、ラベル1の自立性を高め、その結果、ラベル1の広告宣伝効果を長期間にわたって維持できる。
【0045】
図7において、脆弱線6は、湾曲部4から機能層15の中心方向に向かって2箇所形成されている。しかし、脆弱線6、湾曲部4から機能層15の中心方向に向かって1箇所のみ形成されてもよい。脆弱線6は、基材11に複数個所設けられてもよい。脆弱線6は、複数設けられるほどラベル1の強度を高める。
【0046】
以上のように、基材11は、基材11がカールする可能性を低減する、折り罫、切り込み、ミシン目または外縁形状を有していてよい。外縁形状の一例としては、湾曲部4が挙げられる。外縁形状は、多角形状であってよい。このとき、1つの角は、108度以上が好ましく、120度以上となるように設定されていることがさらに好ましい。また、外縁形状は、丸みを付けた角、面取りされた角、又は、外縁が滑らかに形成されていない屈曲した形状等であってもよい。
【0047】
次に、ラベル1が被着体に貼付される例を図8及び図9により説明する。
【0048】
図8は、本開示に係るラベル1が被着体に貼付される例を示す図である。図8に示すように、ラベル1は、被着体である、円筒形状の容器8に貼付されている。より具体的に、ラベル1は、容器8の円筒部位に貼付され、ラベル1も円筒状に湾曲する。これにより、ラベル1は、自立性を向上させつつ、容器と反対側にラベル1が倒れる(反る)ことを防止している。このように、ラベル1は、被着体側の形状に沿って貼付することによっても、ラベル1の自立性向上、及び/又は、カール対策などを講ずることもできる。
【0049】
なお、図8では、容器8は円筒形状を有するものとして説明している。しかしながら、容器8は、多角形状、楕円形状、又は円錐体等の形状であってもよい。容器8を上方から視たときに、ラベル1が湾曲形状(ラベルの2つの端部とラベルの中央部の位置関係が、直線状ではないように変化して容器8に貼付された形状)を有するような容器8の形状は、何れの形状であっても本開示に含まれる。
【0050】
図9は、一般的なトリガースプレー容器9にラベル1が貼着されたラベル付物品200を示す。符号901に示す図は、ラベル付物品200の正面図である。符号902に示す図は、ラベル付物品200の側面図である。
【0051】
本開示に係るラベル1は、物品の一例であるトリガースプレー容器に対しても好適に貼着できる。トリガースプレー容器9は、収納部が形成された容器本体91と、容器本体91の上方に取り付けられたトリガースプレー部92と、を有する。収納部内には、一般に、洗剤などのサニタリー品、香水などの化粧品、又は消毒液などの医療品などの各種の液状物品が充填されている。トリガースプレー部92は、容器本体91に取り付けるための取付け部92aと、取付け部92aの上方に設けられたケース体92bと、ケース体92bの前方に突設されたレバー付き噴射部92cと、を有する。取付け部92aの直径は、ケース体92bの幅よりも大きく、従って、取付け部92aとケース体92bの間には、段差(又は窪み)が存在している。
【0052】
ラベル付物品200は、ケース体92bの表面にラベル1の粘着部3aが貼着され、かつ、取付け部92aの表面にラベル1の粘着部3bが貼着されている。このように独立した粘着部3a及び粘着部3bは、1つの物品の中の異なる部分の面に貼着できる。一方、ラベル1の非粘着部2は、トリガースプレー容器9に接着しておらず、ケース体92b及び取付け部92aの外形から外側に突出している。
【0053】
以上の構成によれば、ラベル1は、1つの物品の中の異なる部分の面に粘着部3a及び粘着部3bを貼付でき、これにより、ラベル1の自立性向上、及び/又は、カール対策を講ずることができる。また、以上の構成によれば、フィルム層13は、ラベル1が貼付される物品の部分の形状に対応する位置に存在している、と言うこともできる。
【0054】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係るラベルは、被着体に貼付するラベルであって、表示部として機能する第1面を有する紙製の基材と、前記基材の前記第1面とは反対側の第2面に対して積層された第1接着層と、前記第1接着層に対して積層されたフィルム層と、前記フィルム層に対して積層された第2接着層と、を備え、自ラベルを被着体に貼付する前の状態において、前記フィルム層は、前記基材の一部のみに対して積層されている。
【0055】
上記の構成によれば、紙製の基材と第2接着層との間にフィルム層が介在している。ラベルを被着体に貼付した後、ラベルを剥がした場合に、第2接着層とラベルの各層との間に両層を分離させる方向の力が働く。このとき、第2接着層が被着体から剥がれる力が、基材が第1接着層から分離する力、及び、フィルム層が第1接着層又は第2接着層から分離する力よりも小さくうなるように設定しておくことで、ラベルは被着体から容易に剥離される。そのため、紙製の基材の表面が剥がれて、被着体の表面に残存する可能性を低減できる。
【0056】
また、フィルム層は、基材の一部のみに対して積層されているので、環境負荷を低減できる。
【0057】
さらに、環境に配慮したフィルム層(例えば、セロハン・PLA(Poly-Lactic Acid))を用いる場合において、当該フィルム層を基材の全体に設けると、使用状況下においてラベルカールを増長させるという課題がある。フィルム層を基材の一部のみに対して積層することにより、環境に配慮したフィルム層を用いた場合でも、ラベルがカールする可能性を低減できる。
【0058】
本開示の態様2に係るラベルは、前記の態様1において、前記フィルム層が、植物性由来の材質を有している。
【0059】
前記の構成によれば、植物由来という再生可能な材料を用いることにより、環境に配慮したラベルを実現できる。
【0060】
本開示の態様3に係るラベルは、前記の態様1または2において、前記フィルム層が、前記基材の外縁側に偏在している。
【0061】
前記の構成によれば、フィルム層が位置する部分が、被着体にラベルを貼付するための粘着部となる。フィルム層が基材の外縁側に偏在していることにより、粘着部以外の非粘着部が被着体から飛び出すようにラベルを貼付することが容易になる。
【0062】
本開示の態様4に係るラベルは、前記の態様1から3の何れかにおいて、前記基材は、当該基材がカールする可能性を低減する、折り罫、切り込み、ミシン目または外縁形状を有している。
【0063】
前記の構成によれば、基材がカールする可能性をより一層低減することができる。
【0064】
本開示の態様5に係るラベル付物品は、前記の態様1から4の何れかに記載のラベルが物品に貼付されたラベル付物品であって、前記フィルム層は、前記ラベルが貼付される前記物品の部分の形状に対応する位置に存在している。
【0065】
前記の構成によれば、ラベルが貼付される物品の部分の形状に合わせたラベルを実現できる。
【0066】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 ラベル
2 非粘着部
3、3a、3b 粘着部
4 湾曲部
5 容器
6 脆弱線
8a 口部
9 トリガースプレー容器
11 基材
12 第1接着層
13 フィルム層
14 第2接着層
15 機能層
91 容器本体
92 トリガースプレー部
92b ケース体
92c 噴射部
100、200 ラベル付物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9