IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立建機ティエラの特許一覧

<>
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図1
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図2
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図3
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図4
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図5
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図6
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図7
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図8
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図9
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図10
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図11
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図12
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図13
  • 特開-電動式建設機械の駆動システム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125940
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】電動式建設機械の駆動システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240911BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20240911BHJP
   H02P 29/02 20160101ALI20240911BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20240911BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240911BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240911BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240911BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240911BHJP
【FI】
E02F9/20 C
E02F9/00 C
H02P29/02
B60L9/18 J
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034084
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】森 和繁
(72)【発明者】
【氏名】高橋 究
(72)【発明者】
【氏名】井上 亮弥
(72)【発明者】
【氏名】古東 宥輝
【テーマコード(参考)】
2D003
5H125
5H501
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB07
2D003BA05
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB01
2D003DB03
2D003DB07
2D003FA02
5H125AA12
5H125AC12
5H125AC24
5H125BA00
5H125CA01
5H125DD02
5H125EE08
5H125EE27
5H125EE41
5H501AA20
5H501CC04
5H501CC05
5H501CC10
5H501FF01
5H501GG03
5H501HB07
5H501JJ17
5H501LL01
5H501LL60
(57)【要約】
【課題】電動式建設機械の駆動システムにおいて,蓄電装置の蓄電残量を長持ちさせ,長時間運転できるようにする。
【解決手段】コントローラ33は,操作装置21~26が無操作の状態となって電動モータ11の回転数を基準回転数から低下させ,電動モータ11を低速回転数で駆動した後,操作装置21~26が操作された場合に,バッテリ10の蓄電残量に基づいて電動モータ11の上限トルクを決定して,電動モータ11の出力トルクを上限トルクに制限しながら電動モータ11の回転数を基準回転数に復帰させる復帰制御を実行する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置の電力により駆動される電動モータと,
前記電動モータによって駆動される油圧ポンプと,
前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される油圧アクチュエータと,
前記油圧アクチュエータを操作するための操作装置と,
前記電動モータの基準回転数を設定する回転数指示装置と,
前記電動モータを前記回転数指示装置で設定された基準回転数で駆動させると共に,前記操作装置が無操作の状態のときに,前記電動モータの回転数を前記基準回転数から低下させるコントローラとを備えた電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラは,
前記操作装置が無操作の状態となって前記電動モータの回転数を前記基準回転数から低下させた後,前記操作装置が操作された場合に,前記蓄電装置の蓄電残量に基づいて前記電動モータの上限トルクを決定して,前記電動モータの出力トルクを前記上限トルクに制限しながら前記電動モータの回転数を前記基準回転数に復帰させる復帰制御を実行することを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラは,前記蓄電装置の蓄電残量が第1閾値より多いときよりも少ないときの方が小さくなるように前記上限トルクを決定することを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラは,前記蓄電装置の蓄電残量が少なくなるほど小さくなるように前記上限トルクを決定することを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【請求項4】
請求項1に記載の電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラは,
前記蓄電装置の蓄電残量と前記復帰制御の上限トルクとの関係を設定したテーブルを記憶しており,
前記復帰制御により前記電動モータの回転数を前記基準回転数に復帰させるときの前記上限トルクを,前記蓄電装置の蓄電残量と前記テーブルとに基づいて,決定することを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラに記憶された前記テーブルは,前記蓄電残量が第1閾値よりも多い間は,前記復帰制御の上限トルクは第1トルクで一定となり,前記蓄電残量が前記第1閾値から前記第1閾値よりも低く設定された第2閾値までの間で,前記復帰制御の上限トルクは前記第1トルクから前記第1トルクよりも低く設定された第2トルクまで減少し,前記蓄電残量が前記第2閾値よりも少ない間は,前記復帰制御の上限トルクは前記第2トルクで一定となるように設定されていることを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【請求項6】
請求項5に記載の電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラに記憶された前記テーブルは,前記蓄電残量が前記第1閾値から前記第2閾値まで減少する間,前記復帰制御の上限トルクが前記第1トルクから前記第2トルクまで連続的に減少するように設定されていることを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【請求項7】
請求項1に記載の電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラは,
前記蓄電装置の蓄電残量と前記復帰制御の上限トルクの増分値との関係を設定したテーブルを記憶しており,
前記復帰制御により前記電動モータの回転数を前記基準回転数に復帰させるときの前記上限トルの増分値を,前記蓄電装置の蓄電残量と前記テーブルとに基づいて,所定時間毎に決定し,前記上限トルクの増分値を前回演算した上限トルクに加算することで,前記復帰制御の上限トルクを決定することを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【請求項8】
請求項7に記載の電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラは,
前記操作装置が無操作の状態にあって,前記電動モータの回転数を前記基準回転数から低下させたときは,前記電動モータを所定の低速回転数で駆動し,
前記電動モータを前記基準回転数で駆動するときは前記電動モータの出力トルクが第1上限トルクを超えないように前記電動モータを制御し,前記電動モータを前記低速回転数で駆動するときは前記電動モータの出力トルクが前記第1上限トルクよりも小さい第2上限トルクを超えないように制御し,
前記復帰制御を実行するときは,前記第2上限トルクに前記上限トルクの増分値を加算して前記復帰制御の最初の上限トルクを決定し,その後,前記上限トルクの増分値の加算を前記復帰制御の上限トルクが前記第1上限トルクに達するまで行うことを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【請求項9】
請求項7に記載の電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラに記憶された前記テーブルは,前記蓄電残量が第1閾値よりも多い間は,前記復帰制御の上限トルクの増分値は第1トルク増分値で一定となり,前記蓄電残量が前記第1閾値から前記第1閾値よりも低く設定された第2閾値までの間で,前記復帰制御の上限トルクの増分値は前記第1トルク増分値から前記第1トルク増分値よりも小さく設定された第2トルク増分値まで減少し,前記蓄電残量が前記第2閾値よりも少ない間は,前記復帰制御の上限トルクの増分値は前記第2トルク増分値で一定となるように設定されていることを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【請求項10】
請求項9に記載の電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラに記憶された前記テーブルは,前記蓄電残量が前記第1閾値から前記第2閾値まで減少する間,前記復帰制御の上限トルクの増分値が前記第1トルク増分値から前記第2トルク増分値まで連続的に減少するように設定されていることを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【請求項11】
請求項1記載の電動式建設機械の駆動システムにおいて,
前記コントローラの指令に基づいて前記蓄電装置から前記電動モータに供給される電力を制御するインバータと,
前記インバータと前記蓄電装置とを接続する電力供給線に接続され,充電器を介して外部電源に接続可能な給電コネクタとを更に備え,
前記給電コネクタは,前記外部電源の電力で前記蓄電装置を充電しながら,前記インバータに電力を供給し,前記電動モータを駆動可能であることを特徴とする電動式建設機械の駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,操作装置が無操作になってから所定時間を経過したとき,電動モータの回転数を基準回転数から所定の低速回転数に低下させる制御を行う電動式建設機械の駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の建設機械の多くは,ディーゼルエンジンを動力源とし,ディーゼルエンジンに連結された油圧ポンプから供給される圧油により油圧アクチュエータを作動させることで作業を行う。油圧アクチュエータの動作の指示は操作装置の操作によって行われる。このような建設機械の駆動システムにおいては,例えば特許文献1に記載のように,操作装置が無操作になってから所定時間を経過したとき,エンジンの回転数を回転数指示装置により指示された基準回転数から低速のアイドル回転数に低下させるオートアイドル制御を行い,その後,操作装置が操作されたとき,エンジンの回転数を低速のアイドル回転数から基準回転数に復帰するよう制御する技術が採用されている。
【0003】
一方,近年,燃費の向上,排ガス特性の改善,騒音の低減等の観点から,駆動源として蓄電装置(バッテリ)を搭載し,蓄電装置の電力で電動モータを駆動し,油圧ポンプを駆動する電動式油圧ショベル等の作業機械が開発され,実用化されている。
【0004】
このような電動式建設機械において,特許文献2は,ディーゼルエンジンで油圧ポンプを駆動する建設機械と同様に,操作装置が無操作になってから所定時間を経過したとき,電動モータの回転数を基準回転数から所定の低速回転数に低下させる制御を行い,その後,操作装置が操作されたとき,電動モータの回転数を所定の低速回転数から回転数指示装置によって指示された基準回転数に復帰させるようにしたものを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭60-038561号公報
【特許文献2】特許第5389100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載された電動式建設機械においては,操作装置が無操作になってから所定時間を経過したとき,電動モータの回転数を回転数指示装置によって指示された基準回転数から所定の低速回転数に低下させる制御を行うことにより,操作装置の非操作時の電力消費を抑えている。
【0007】
しかし,特許文献2においては,電動モータの回転数を所定の低速回転数に下げた後,操作装置が操作され,電動モータの回転数を所定の低速回転数から基準回転数に復帰させる際,蓄電装置の蓄電残量(SOC)が少ないときでも,電動モータの出力トルクが急峻に増加してしまい,蓄電残量に対する電力消費量の割合が大きくなってしまう。このため,蓄電装置の蓄電残量の減少が早まり,蓄電装置の蓄電残量を長持ちさせることができず,一度の充電で建設機械を長時間運転することができないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は,蓄電装置の蓄電残量を長持ちさせ,長時間運転することができる電動式建設機械の駆動システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために,本発明は,蓄電装置の電力により駆動される電動モータと,前記電動モータによって駆動される油圧ポンプと,前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される油圧アクチュエータと,前記油圧アクチュエータを操作するための操作装置と,前記電動モータの基準回転数を設定する回転数指示装置と,前記電動モータを前記回転数指示装置で設定された基準回転数で駆動させると共に,前記操作装置が無操作の状態のときに,前記電動モータの回転数を前記基準回転数から低下させるコントローラとを備えた電動式建設機械の駆動システムにおいて,前記コントローラは,前記操作装置が無操作の状態となって前記電動モータの回転数を前記基準回転数から低下させた後,前記操作装置が操作された場合に,前記蓄電装置の蓄電残量に基づいて前記電動モータの上限トルクを決定して,前記電動モータの出力トルクを前記上限トルクに制限しながら前記電動モータの回転数を前記基準回転数に復帰させる復帰制御を実行するものとする。
【0010】
このようにコントローラを設け,電動モータの回転数を基準回転数から低下させた後,操作装置が操作された場合に,蓄電装置の蓄電残量に基づいて電動モータの上限トルクを決定して,電動モータの出力トルクを上限トルクに制限しながら電動モータの回転数を基準回転数に復帰させる復帰制御を実行することにより,蓄電装置の蓄電残量が少なくなったとき,電動モータの回転数を基準回転数に復帰させる際の電力消費量を抑え,蓄電装置の蓄電残量を長持ちさせ,一度の充電で長時間運転することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば,蓄電装置の蓄電残量を長持ちさせ,長時間運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態における駆動システムを備えた電動式建設機械の側面図である。
図2】本実施形態に係わる電動式油圧ショベルの駆動システムを示す図である。
図3】油圧ショベルのキャビンの内部(運転室)を運転席側から見た図である。
図4】下部走行体,上部旋回体及び作業機を駆動するための油圧システムの全体構成の概略を示す図である。
図5】車体コントローラの処理機能を示す機能ブロック図である。
図6】モータトルク演算部のテーブルに設定したバッテリのSOCと復帰制御の上限トルクとの関係の一例を示す図である。
図7】車体コントローラの処理全体の流れを示すフローチャートである。
図8】バッテリのSOCが図6に示す第1閾値よりも減少して,例えば第2閾値になった場合の復帰制御における電動モータの出力トルクの変化を,復帰制御を行わない場合と比較して示す図である。
図9】バッテリのSOCが図6に示す第1閾値よりも減少して,例えば第2閾値になった場合の復帰制御における電動モータの回転数の変化を,復帰制御を行わない場合と比較して示す図である。
図10】本発明の第2の実施形態におけるバッテリのSOCと復帰制御の上限トルクの増分値との関係の一例を示す図である。
図11】第2の実施形態における車体コントローラの処理全体の流れを示すフローチャートである。
図12】バッテリのSOCが第1閾値よりも減少して,例えば第2閾値になった場合の第2の実施形態の復帰制御における電動モータの出力トルクの変化を,復帰制御を行わない場合と比較して示す図である。
図13】本発明の第3の実施形態に係わる電動式油圧ショベルの駆動システムを示す図であって,バッテリの電力で電動モータを駆動する場合を示す図である。
図14】第3の実施形態に係わる電動式油圧ショベルの駆動システムを示す図であって,外部電源の電力でバッテリを充電しながら電動モータを駆動する場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態を説明する。
【0015】
~建設機械~
図1は,本発明の第1の実施形態における駆動システムを備えた電動式建設機械の側面図である。本実施形態において,電動式建設機械は建設機械の代表例である履帯式の油圧ショベルである。
【0016】
図1において,本実施形態における電動式油圧ショベルは,下部走行体101と,上部旋回体102と,フロント作業機103とを備えている。
【0017】
下部走行体101は左右のクローラ101a,101bを備え,左右の走行モータ1a,1bを回転させることで走行装置101a,101bを駆動し,走行を行う。
【0018】
上部旋回体102は,旋回輪102aに設けられた旋回モータ1cを回転させることで,下部走行体101に対し旋回が可能である。上部旋回体102は運転室を形成するキャビン105を備えている。上部旋回体102の旋回フレーム102cの前部にスイングポスト104が取り付けられ,このスイングポスト104にフロント作業機103が上下動可能に取り付けられている。スイングポスト104はスイングシリンダ1gを伸縮させることで左右に回動し,フロント作業機103は上部旋回体102に対して左右に旋回する。
【0019】
フロント作業機103はブーム103a,アーム103b,バケット103cを備え,ブームシリンダ1d,アームシリンダ1e,バケットシリンダ1fを伸縮させることでブーム103a,アーム103b,バケット103cが駆動され,フロント作業機103の姿勢が変化する。
【0020】
左右のクローラ101a,101b間の中央フレームにはブレード106が取り付けられ,ブレード106は,ブレードシリンダ1hを伸縮させることで上下動作を行う。
【0021】
~駆動システム~
図2は,本実施形態に係わる電動式油圧ショベルの駆動システムを示す図である。
【0022】
図2において,本実施形態の駆動システムは,蓄電装置であるバッテリ10と,バッテリ10(蓄電装置)の電力により駆動される電動モータ11と,電動モータ11によって駆動される油圧ポンプ12及びパイロットポンプ13と,油圧ポンプ12から吐出された圧油により駆動される油圧アクチュエータである前述した走行モータ1a,1b,旋回モータ1c,ブームシリンダ1d,アームシリンダ1e,バケットシリンダ1f,スイングシリンダ1g,ブレードシリンダ1hと,油圧ポンプ12から油圧アクチュエータ1a~1hに供給される圧油の流れを制御する方向切換弁16a~16h(図4参照)と,方向切換弁16a~16hを切り換えるための操作信号を生成し,方向切換弁16a~16hを切り換えることで油圧アクチュエータ1a~1hを操作するための操作装置21~26(図3図4参照)と,電動モータ11の基準回転数Nsetを設定する回転数指示装置であるモータ回転数ダイヤル32と,電動モータ11をモータ回転数ダイヤル32(回転数指示装置)で設定された基準回転数Nsetで駆動させると共に,操作装置21~26が無操作の状態のときに,電動モータ11の回転数を基準回転数Nsetから低下させる車体コントローラ33(コントローラ)とを備えている。
【0023】
操作装置21~26が無操作の状態になったとき,電動モータ11の回転数を基準回転数Nsetから低下させる制御は,原動機がディーゼルエンジンである場合のオートアイドル制御に相当するものであり,本明細書において,この制御を低速回転数制御と言う。
【0024】
また,本実施形態の駆動システムは,バッテリ10から電動モータ11に供給される電力を制御するインバータ31と,バッテリ10に設けられ,バッテリ10の内部の制御及びバッテリ温度の取得を行うとともに,バッテリ10の蓄電残量又は充電率を示す充電状態(State of Charge,以下SOCと言う)を監視し,SCO信号を出力する蓄電電残量監視装置として機能するバッテリコントローラ10aと,操作装置21~26の操作の有無を検出し,操作情報信号として操作パイロット圧信号を出力する操作検出装置35と,通常制御モードと低速回転数制御モードのいずれかを選択するモード選択信号(ON/OFF信号)を出力するモード選択スイッチ36と,電動モータ11の回転数を検出し,モータ回転数検出信号を出力する回転センサ37とを備えている。
【0025】
モータ回転数ダイヤル32,バッテリコントローラ10a,操作検出装置35,モード選択スイッチ36,回転センサ37からのそれぞれの信号は車体コントローラ33に入力され,車体コントローラ33はそれらの信号に基づいて所定の演算処理(後述)を行い,インバータ31に電動モータ11の回転数とトルクを指令する。
【0026】
インバータ31とバッテリ10とは高圧の電力供給線41を介して電気的に接続され,インバータ31と電動モータ11とは高圧の電力供給線42を介して電気的に接続され,車体コントローラ33はインバータ31にトルクと回転数を指令し,インバータ31はその指令に基づいてバッテリ10から出力される高圧直流電流を高圧交流電流に変換し,バッテリ10から電動モータ11に供給される電力を制御することで,電動モータ11の回転数とトルクを制御する。
【0027】
油圧ポンプ12は可変容量型であり,ポンプ吸収トルクが最大トルクに制限されるようにポンプ傾転(容量)を制御するためのレギュレータ15を備えている。レギュレータ15は,油圧ポンプ12の吐出圧が導かれるレギュレータピストン15aと,レギュレータピストン15aに対向して位置するバネ15bとを有し,油圧ポンプ12の吐出圧がバネ15bの付勢力を超えて上昇すると,油圧ポンプ12の傾転(容量)を減少させ,油圧ポンプ12の傾転(容量)と油圧ポンプ12の吐出圧との積である油圧ポンプ12の吸収トルクがバネ15bによって設定された最大トルクに制限されるように制御する。
【0028】
~キャビン内部~
図3は,油圧ショベルのキャビン105の内部(運転室)を運転席側から見た図である。
【0029】
図3において,キャビン105内には,オペレータが着座する運転席20と,上部旋回体102及びフロント作業機103(ブーム103a,アーム103b,バケット103c)の動作を指示する操作装置21,22と,下部走行体101(左右のクローラ101a,101b)の動作を指示する操作装置23,24と,スイングポスト104の動作を指示する操作装置25と,ブレード106の動作を指示する操作装置26とが配置されている。
【0030】
操作装置21,22,23,24,26はレバー操作式であり,操作装置25はペダル操作式である。また,図示はしないが,操作装置23,24のレバーの根元にそれぞれペダルが付設され,操作装置23,24は,ペダル操作でも下部走行体101の走行動作を指示できるようになっている。
【0031】
操作装置21,22は運転席20の前部左右に設けられ,それぞれの操作レバーは左右,前後の十字方向に操作可能である。左側の操作装置21は操作レバーを左右方向に操作するとアーム103bの動作を指示し,前後方向に操作すると上部旋回体102の動作を指示する。右側の操作装置22は操作レバーを左右方向に操作するとバケット103aの動作を指示し,前後方向に操作するとブーム103aの動作を指示する。
【0032】
操作装置23,24は,運転席20の前側床部の中央部分に左右に並べて設けられ,左側の操作装置23は,操作レバーを前後方向に操作すると左クローラ101aの前進/後進の動作を指示し,右側の操作装置24は,操作レバーを前後方向に操作すると右クローラ101bの前進/後進の動作を指示する。
【0033】
操作装置25は運転席20の前側床部の,走行用の操作装置24の右側に設けられ,操作ペダルを前後方向に操作するとスイングポスト104の左右の旋回動作を指示する。操作装置26は運転席20に着座したオペレータの右側に設けられ,操作レバーを前後方向に操作するとブレード106の上下の動作を指示する。
【0034】
運転席20の右側の操作装置22の基端部分であって,運転席20に着座したオペレータの右側にはコンソールボックス27が設けられ,コンソールボックス27に上述したモード選択スイッチ36が設けられている。
【0035】
~油圧システム~
図4は,下部走行体101(左右のクローラ101a,101b),上部旋回体102及びフロント作業機103(ブーム103a,アーム103b,バケット103c)を駆動するための油圧システムの全体構成の概略を示す図である。
【0036】
図4において,操作装置21は,アーム103bと上部旋回体102の動作を指示する部分21aと,上部旋回体102の動作を指示する部分21bとに分けて図示され,操作装置22は,ブーム103aの動作を指示する部分22aと,バケット103cの動作を指示する部分22bとに分けて図示されている。
【0037】
操作装置21~26は,パイロットポンプ13の吐出圧に基づいて操作信号として操作パイロット圧を生成する油圧パイロット方式であり,操作レバー或いは操作ペダルを操作すると,その操作方向と操作量に応じてパイロットポンプ13(図2参照)の吐出圧を減圧して操作パイロット圧を生成する。これらの操作パイロット圧は,点線で示されるそれぞれのパイロットラインを介してコントロールバルブ16に導かれる。コントロールバルブ16内には前述した方向切換弁16a~16hのスプールが配置され,コントロールバルブ16内の各スプールは操作装置21~26から送られてきた操作パイロット圧によってストロークし,油圧ポンプ12から複数のアクチュエータ1a~1hに供給される圧油の流量と流れ方向を制御する。
【0038】
また,コントロールバルブ16内にはシャトルブロック16jが配置され,シャトルブロック16jは操作装置21~26から送られてきた操作パイロット圧のうちの最も高い圧力を選択して操作検出装置35に出力する。操作検出装置35は圧力センサであり,シャトルブロック16jにより選択された圧力(最も高い操作パイロット圧)を検出し,操作信号を車体コントローラ33に送信する。
【0039】
~車体コントローラ33~
図5は,車体コントローラ33の処理機能を示す機能ブロック図である。
【0040】
車体コントローラ33は,SOC情報取得部33a,圧力変換部33b,操作パイロット圧判定部33c,モータトルク演算部33d,モータ回転数演算部33eを有している。
【0041】
SOC情報取得部33aは,バッテリコントローラ10aから送られるSOC信号からSOC情報(蓄電残量情報)を取得し,そのSOC情報をモータトルク演算部33dに送る。
【0042】
圧力変換部33bは,操作検出装置35(圧力センサ)から送られる操作信号を操作パイロット圧のアナログ値に変換し,その操作パイロット圧のアナログ値を操作パイロット圧判定部33cに送る。
【0043】
操作パイロット圧判定部33cは,圧力変換部33bから送られる操作パイロット圧のアナログ値が,操作有無の判定値として予め設定した閾値より低いかどうかを判定し,操作装置21~26のいずれかが操作され(有操作であり)操作パイロット圧のアナログ値が閾値以上であるときは,操作ON信号をモータトルク演算部33dとモータ回転数演算部33eに送る。
【0044】
操作パイロット圧判定部33cは,操作装置21~26のいずれも操作されておらず(無操作であり),操作パイロット圧のアナログ値が閾値より低いときは,操作OFF信号をモータトルク演算部33dとモータ回転数演算部33eに送る。
【0045】
また,操作パイロット圧判定部33cは,操作パイロット圧判定部33cに備えられたカウンタによって無操作時間をカウントする。そして,無操作時間が低速回転数制御の要否判定値として予め設定した所定時間を経過すると,操作OFF信号に加え,所定時間経過信号をモータトルク演算部33dとモータ回転数演算部33eに送る。
【0046】
モータトルク演算部33dには,SOC情報取得部33aから送られる上記SOC情報及び操作パイロット圧判定部33cから送られる上記操作ON信号,又は操作OFF信号及び所定時間経過信号に加え,回転センサ37からモータ回転数検出信号が送られ,モード選択スイッチ36からモード選択信号(ON/OFF信号)が送られ,モータ回転数ダイヤル32から基準回転数信号が送られる。
【0047】
モータ回転数演算部33eには,操作パイロット圧判定部33cから送信される上記操作ON信号,又は操作OFF信号及び所定時間経過信号に加え,モード選択スイッチ36からモード選択信号(ON/OFF信号)が送られ,モータ回転数ダイヤル32から基準回転数信号が送られる。
【0048】
モータトルク演算部33d及びモータ回転数演算部33eは,それぞれ,モード選択スイッチ36から送られるモード選択信号がOFFかONかによって以下のように動作する。
【0049】
<モード選択信号がOFFであるとき>
モード選択スイッチ36から送られるモード選択信号がOFFで,通常制御モードが指示されているとき,モータトルク演算部33d及びモータ回転数演算部33eは,それぞれ,操作パイロット圧判定部33cから送られる操作ON信号,操作OFF信号及び所定時間経過信号の如何に係わらず,低速回転数制御は行わず,通常制御だけを行う。
【0050】
通常制御においては,モータトルク演算部33dは電動モータ11の通常制御の上限トルクTmax-N(第1上限トルク)をインバータ31に指令し,電動モータ11の出力トルクが通常制御の上限トルクTmax-Nを超えないように制御する。また,モータ回転数演算部33eは,モータ回転数ダイヤル32によって指示された基準回転数Nsetをインバータ31に指令し,電動モータ11の回転数が基準回転数Nsetになるように制御する。
【0051】
<モード選択信号がONであるとき>
モード選択スイッチ36から送られるモード選択信号がONで,低速回転数制御モードが選択されているとき,操作パイロット圧判定部33cから操作ON信号が送られる場合は,モータトルク演算部33d及びモータ回転数演算部33eは,それぞれ,上述した通常制御を行う。すなわち,モータトルク演算部33dは電動モータ11の通常制御の上限トルクTmax-Nをインバータ31に指令し,電動モータ11の出力トルクが通常制御の上限トルクTmax-Nを超えないように制御する。また,モータ回転数演算部33eは,モータ回転数ダイヤル32によって指示された基準回転数Nsetをインバータ31に指令し,電動モータ11の回転数が基準回転数Nsetになるように制御する。
【0052】
また,モード選択スイッチ36から送られるモード選択信号がONで,操作パイロット圧判定部33cから操作OFF信号が送られ,所定時間経過信号が送られない場合も,モータトルク演算部33d及びモータ回転数演算部33eは,それぞれ,上記通常制御を行う。
【0053】
一方,モード選択スイッチ36から送られるモード選択信号がONで,操作パイロット圧判定部33cから操作OFF信号と所定時間経過信号の両方が送られる場合は,モータトルク演算部33d及びモータ回転数演算部33eは,それぞれ,低速回転数制御を行う。
【0054】
この低速回転数制御において,モータトルク演算部33dは,上述した電動モータ11の通常制御の上限トルクTmax-N(第1上限トルク)よりも小さい電動モータ11の低速回転数制御の上限トルクTmax-idle(第2上限トルク)をインバータ31に指令し,電動モータ11の出力トルクが低速回転数制御の上限トルクTmax-idleを超えないように制御する。また,モータ回転数演算部33eは,モータ回転数ダイヤル32によって指示された基準回転数Nsetよりも低い所定の低速回転数Nidleをインバータ31に指令し,電動モータ11の回転数がその低速回転数Nidleになるように制御する。
【0055】
ここで,モータ回転数ダイヤル32によって指示される基準回転数Nsetが最大回転数の2000rpmである場合,所定の低速回転数Nidleは,好ましくは400~600rpmであり,本実施形態では例えば450rpmである。
【0056】
また,低速回転数制御を行っているときに,複数の操作装置21~26の少なくとも1つが操作され,操作パイロット圧判定部33cから送られる信号が操作OFF信号から操作ON信号に切り換わった場合,モータトルク演算部33d及びモータ回転数演算部33eは,それぞれ,低速回転数制御から通常制御に復帰する制御(以下復帰制御ということがある)を行う。
【0057】
この復帰制御において,モータトルク演算部33dは,バッテリ10のSOC(蓄電残量)が第1閾値E1(図6参照)より多いときよりも少ないときの方が小さくなる上限トルクTmax-Rを演算し,この上限トルクTmax-Rをインバータ31に指令し,電動モータ11の出力トルクが当該上限トルクTmax-Rに制限されるように制御する。モータ回転数演算部33eは,モータ回転数ダイヤル32によって指示された基準回転数Nsetをインバータ31に指令し,電動モータ11の回転数が基準回転数Nsetになるように制御する。
【0058】
このように本実施形態において,車体コントローラ33は,操作装置21~26が無操作の状態となって電動モータ11の回転数を基準回転数Nsetから低下させた後,操作装置21~26が操作された場合に,バッテリ10のSOC(蓄電残量)に基づいて電動モータ11の上限トルクTmax-Rを決定して,電動モータ11の出力トルクを上限トルクTmax-Rに制限しながら電動モータ11の回転数を基準回転数Nsetに復帰させる復帰制御を実行する。
また,本実施形態において,車体コントローラ33は,上限トルクTmax-Rの決定を,バッテリ10のSOCが第1閾値E1より多いときよりも少ないときの方が小さくなるように行い,更に好ましくは,バッテリ10のSOCが少なくなるほど小さくなるように上限トルクTmax-Rを決定する。
【0059】
<SOCと上限トルクTmax-Rとの関係>
次に,SOCと上限トルクTmax-Rとの関係について説明する。
【0060】
車体コントローラ33は,バッテリ10のSOCと電動モータ11の上限トルクTmax-Rとの関係を設定したテーブルを記憶しており,モータトルク演算部33dは,電動モータ11の回転数を基準回転数Nsetに復帰させるとき,バッテリ10のSOCとそのテーブルとに基づいて,復帰制御を実行する際の上限トルクTmax-Rを決定する。
【0061】
図6は,上記テーブルに設定したバッテリ10のSOCと復帰制御の上限トルクTmax-Rとの関係の一例を示す図である。SOCの単位は%である。
【0062】
図6において,車体コントローラ33に記憶されたテーブルは,SOCが第1閾値E1よりも多い間は,上限トルクTmax-Rは一定の第1トルクT1となり,SOCが第1閾値E1から第1閾値E1よりも低く設定された第2閾値E2までの間で,上限トルクTmax-Rは第1トルクT1から第2トルクT2まで減少し,SOCが第2閾値E2よりも少ない間は,上限トルクTmax-Rは第2トルクT2で一定となるように設定されている。
【0063】
また,本実施形態では,上記テーブルは,SOCが第1閾値E1から第2閾値E2まで減少する間,上限トルクTmax-Rは第1トルクT1から第2トルクT2まで連続的に減少するように設定されている。これによりSOCが第1閾値E1以下になり,通常制御から復帰制御に移行するときの電動モータ11の出力トルクの変化が緩やかとなり,オペレータに違和感を認識させずに復帰制御に移行することができる。
【0064】
車体コントローラ33に記憶されたテーブルは,第1閾値E1~第2閾値E2間のあるSOCを第1閾値として設定し,バッテリ10のSOCがその第1閾値まで減少したときに上限トルクTmax-Rがステップ的に減少するよう設定されていてもよい。
【0065】
ここで,第1トルクT1は,好ましくは,前述した通常制御の上限トルクTmax-Nに等しい値に設定される。第2トルクT2は,例えば,前述した低速回転数制御の上限トルクTmax-idleと通常制御の上限トルクTmax-Nとの間の値であって,復帰制御に際して電動モータ11の回転数が低速回転数から基準回転数Nsetに滑らかに上昇するような値に設定される。
【0066】
具体的には,第2トルクT2は,復帰制御の応答性を考慮し,低速回転数制御の上限トルクTmax-idleと通常制御の上限トルクTmax-Nとの差分Tmax-N-Tmin-LをΔTとした場合,好ましくは,通常制御の上限トルクTmax-Nよりも差分ΔTの30%~60%だけ,小さい値に設定される。本実施形態では,第2トルクTminは,通常制御の上限トルクTmax-Nよりも差分ΔTの40%だけ,小さい値に設定されている。
【0067】
また,第1閾値E1は,好ましくは,SOC50%~30%の範囲内の値に設定され,第2閾値E2は,好ましくは,SOC30%~10%の範囲内の値に設定され,本実施形態では,第1閾値E1はSOC40%に設定され,第2閾値E2はSOC25%に設定されている。
【0068】
<車体コントローラ33の処理全体の流れ>
図7は,車体コントローラ33の処理全体の流れを示すフローチャートである。以下に,図7を参照して,車体コントローラ33の処理内容を更に説明する。
【0069】
<通常制御モード>
まず,オペレータがモード選択スイッチ36をOFFにし,通常制御モードを選択した場合の処理の流れを説明する。
【0070】
図7において,車体コントローラ33は,まず,モード選択スイッチ36から送信された信号に基づいて,モード選択スイッチ36がONであるかどうかを判定する(ステップA)。ここでは,モード選択スイッチ36はOFFであるので,車体コントローラ33は,ステップAの判定を否定し,通常制御(ステップH)に移行する。
【0071】
通常制御では,前述したように,車体コントローラ33は,通常制御の上限トルクTmax-Nとモータ回転数ダイヤル32によって指示された基準回転数Nsetをインバータ31に指令し,電動モータ11の出力トルクが通常制御の上限トルクTmax-N(第1上限トルク)に制限され,電動モータ11の回転数が基準回転数Nsetになるように電動モータ11のトルクと回転数を制御する。
【0072】
以後,車体コントローラ33は,モード選択スイッチ36がONになるまでステップA→Hの通常制御を繰り返す。
【0073】
<低速回転数制御モード>
次に,オペレータがモード選択スイッチ36をONにし,低速回転数制御モードを選択した場合の処理の流れを,操作装置21~26の操作例に応じた場合分けをして説明する。
【0074】
<<(1) 操作装置21~26が全て無操作である場合>>
オペレータがモード選択スイッチ36をONにすると,車体コントローラ33はステップAの判定を肯定し,操作装置21~26が全て無操作(中立状態)であるかどうかを判定する(ステップB)。
【0075】
本操作例では,操作装置21~26が全て無操作であるため,車体コントローラ33はステップBの判定を肯定し,更に,前回の演算サイクルでインバータ31に指令した回転数が低速回転数制御の回転数であったかどうかを判定する(ステップC)。本操作例では,前回の演算サイクルは通常制御モードであり,インバータ31に指令した回転数は基準回転数Nsetであったため,車体コントローラ33はステップCの判定を否定し,更に,複数の操作装置21~26が全て無操作になってから所定時間経過したかどうかを判定する(ステップD)。本操作例では,この場合も前回の演算サイクルは通常制御モードであり,無操作時間のカウントはしていなかったため,車体コントローラ33はステップDの判定を否定し,ステップHの通常制御に移行する。
【0076】
通常制御では,上述したように,車体コントローラ33は,通常制御の上限トルクTmax-Nとモータ回転数ダイヤル32によって指示された基準回転数Nsetをインバータ31に指令し,電動モータ11の出力トルクが通常制御の上限トルクTmax-Nに制限され,電動モータ11の回転数が基準回転数Nsetになるように電動モータ11のトルクと回転数を制御する。
【0077】
以後,車体コントローラ33は,操作装置21~26のいずれかが操作され,ステップBの判定を否定するか,操作装置21~26が全て無操作である状態で所定時間を経過し,ステップDの判定を肯定するまで,ステップA→B→C→D→Hの処理を繰り返す。
【0078】
<<(2) 操作装置21~26が全て無操作で,所定時間を経過する前に操作装置21~26のいずれかが操作された場合>>
操作装置21~26が全て無操作で,所定時間を経過する前にオペレータが操作装置21~26のいずれかを操作した場合,車体コントローラ33はステップBの判定を否定し,低速回転数制御の無操作時間のカウントをクリアした後(ステップF),前回の演算サイクルでインバータ31に指令した回転数が低速回転数制御の回転数であったかどうかを判定する(ステップG)。本操作例では,前回の演算サイクルは通常制御であり,インバータ31に指令した回転数は通常制御の基準回転数Nsetであったため,車体コントローラ33はステップGの判定を否定し,再びステップHの通常制御に移行する。
【0079】
以後,車体コントローラ33は,操作装置21~26が全て再び無操作となり,ステップBの判定が肯定されるまで,ステップA→B→F→G→Hの処理を繰り返す。
【0080】
<<(3) 操作装置21~26が全て無操作で,所定時間を経過した場合>>
操作装置21~26が全て無操作で,所定時間を経過した場合,車体コントローラ33はステップDの判定を肯定し,ステップEの低速回転数制御に移行する。
【0081】
低速回転数制御では,上述したように,車体コントローラ33は,電動モータ11の低速回転数制御の上限トルクTmax-idle(第2上限トルク)をインバータ31に指令し,電動モータ11の出力トルクが低速回転数制御の上限トルクTmax-idleに制限されるように制御する。また,車体コントローラ33は,モータ回転数ダイヤル32によって指示された基準回転数Nsetよりも低い低速回転数制御の回転数Nidleをインバータ31に指令し,電動モータ11の回転数が所定の低速回転数Nidleになるように制御する。
【0082】
次の演算サイクルでは,前回の演算サイクルでインバータ31に指令した回転数は低速回転数制御の回転数Nidleであったため,車体コントローラ33はステップCの判定を肯定し,直接,ステップEの低速回転数制御に移行する。
【0083】
以後,車体コントローラ33は,操作装置21~26のいずれかが再び操作され,ステップBの判定が否定されるまで,ステップA→B→C→Eの処理を繰り返す。
【0084】
<<(4) 操作装置21~26が全て無操作で,所定時間を経過して低速回転数制御に移行した後,操作装置21~26のいずれかが操作された場合>>
操作装置21~26が全て無操作で,所定時間を経過して低速回転数制御に移行した後,操作装置21~26のいずれかが操作された場合は,車体コントローラ33はステップBの判定を否定し,低速回転数制御の無操作時間のカウントをクリアした後(ステップF),前回の演算サイクルでインバータ31に指令した回転数が低速回転数制御の回転数Nidleであったかどうかを判定する(ステップG)。本操作例では,今まで低速回転数制御を行い,インバータ31に指令した回転数は所定の低速回転数Nidleであったため,車体コントローラ33はステップGの判定を肯定し,低速回転数制御から通常制御に復帰する制御に移行する。
【0085】
この復帰制御において,車体コントローラ33は,まず,バッテリコントローラ10aから送られるSOC信号からSOC情報を取得し(ステップI),次いでバッテリ10のSOC(蓄電残量)に基づいて電動モータ11の上限トルクTmax-Rを決定し(ステップJ),この上限トルクTmax-Rとモータ回転数ダイヤル32によって指示された基準回転数Nsetをインバータ31に指令し(ステップK),電動モータ11のトルクと回転数を制御する。
【0086】
次いで,車体コントローラ33は,回転センサ37からのモータ回転数検出信号に基づいて,検出された電動モータ11の回転数が基準回転数Nsetに達したかどうかを判定し(ステップL),電動モータ11の回転数が基準回転数Nsetに達していない場合は,再度ステップJ,Kの処理を行い,電動モータ11の回転数が基準回転数Nsetに達するまでステップJ→K→Lの処理を繰り返す。これにより電動モータ11の出力トルクが復帰制御の上限トルクTmax-Rに制限されるように制御され,電動モータ11の回転数の上昇速度を抑えながら,電動モータ11の回転数が基準回転数Nsetになるように制御される。
【0087】
次いで,電動モータ11の回転数が基準回転数Nsetに達すると,ステップA→B→F→G→Hの処理を行う通常制御に移行する。
【0088】
~効果~
図8は,本実施形態において,バッテリ10のSOCが図6に示す第1閾値E1よりも減少して,例えば第2閾値E2になった場合の復帰制御における電動モータ11の出力トルクの変化を,バッテリ10のSOCが第1閾値E1よりも減少してもバッテリ10のSOCがTmaxのまま一定であって,本実施形態の復帰制御を行わない場合と比較して示す図である。
【0089】
図9は,バッテリ10のSOCが図6に示す第1閾値E1よりも減少して,例えば第2閾値E2になった場合の復帰制御における電動モータ11の回転数の変化を,同様に本実施形態の復帰制御を行わない場合と比較して示す図である。
【0090】
なお,バッテリ10のSOCがTmaxのまま一定で,本実施形態の復帰制御を行わない場合の電動モータ11の出力トルクの変化は,本実施形態において,バッテリ10のSOCが図6に示す第1閾値E1以上であって,復帰制御を行う場合の電動モータの出力トルクの変化に相当する。
【0091】
図8において,本実施形態の復帰制御を行わない場合は,低速回転数制御から通常制御に復帰するとき,電動モータ11の復帰制御の上限トルクは通常制御の上限トルクTmax-N(=T1)のままであるため,電動モータ11の出力トルクは,図8に点線TAで示すように,通常制御の上限トルクTmax-N(=T1)まで急峻に増大し,更に負荷の慣性によって電動モータ11の出力トルクのピークが上限トルクTmax-N(=T1)を超えた後,上限トルクTmax-N(=T1)へと収斂するよう変化する。
【0092】
このため,電動モータ11の回転数は,図9に点線で示すように,回転数のピークがモータ回転数ダイヤル32によって指示された基準回転数Nsetを大きく超えてから基準回転数Nsetに収斂するよう変化する。
【0093】
これに対し,本実施形態の復帰制御を行う場合は,バッテリ10のSOCが第1閾値E1よりも減少して,例えばE2になった場合,電動モータ11の復帰制御の上限トルクTmax-Rとして,通常制御の上限トルクTmax-N(=T1)よりも小さいT2が演算され(図6参照),低速回転数制御から通常制御に復帰するとき,電動モータ11の出力トルクはその上限トルクTmax-R(=T2)によって制限される。このため電動モータ11の出力トルクは,図8に実線TBで示すように,通常制御の上限トルクTmax-N(=T1)よりも小さい復帰制御の上限トルクTmax-R(=T2)まで上昇した後,更に負荷の慣性によって電動モータの出力トルクのピークが上限トルクTmax-R(=Tmin)をわずかに超えた後,上限トルクTmax-R(=T2)へと収斂するよう変化する。
【0094】
このため,電動モータ11の回転数は,図9に実線で示すように緩やかに基準回転数Nsetへと上昇し,基準回転数Nsetをわずかに超えた後,基準回転数Nsetに収斂するよう制御される。
【0095】
時刻Taで電動モータ11の回転数が基準回転数Nsetに達すると,復帰制御から通常制御に移行し,上限トルクは通常制御の上限トルクTmax-N(=T1)に切り換わる。
【0096】
このように本実施形態においては,バッテリ10のSOC(蓄電残量)に基づいて電動モータ11の上限トルクTmax-Rを決定し,この上限トルクTmax-Rをインバータ31に指令して,電動モータ11の出力トルクを上限トルクTmax-Rに制限しながら電動モータ11の回転数を基準回転数Nsetに復帰させる復帰制御を実行する。このため,バッテリ10のSOCが第1閾値E1よりも少なくなったとき,電動モータ11の回転数を所定の低速回転数Nidleから基準回転数Nsetに復帰させる際の電力消費量を抑え,バッテリ10の蓄電残量を長持ちさせ,一度の充電で長時間運転することができる。
【0097】
また,電動式油圧ショベルの稼動現場は,外部電源である充電装置まで遠い場合があり,充電装置も容易に動かすことはできない。
【0098】
本実施形態においては,復帰制御時にSOCが残っている場合でも早い段階で電動モータ11の復帰制御の上限トルクを下げ,電力消費量を抑えることによって,電動式油圧ショベルが充電装置に移動するとき,電動式油圧ショベルが充電装置に到達する前にバッテリ10の蓄電残量が枯渇する可能性を少なくすることができる。
【0099】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態を図10図12を用いて説明する。
【0100】
第1の実施形態では,復帰制御において,車体コントローラ33は,図6に示すバッテリのSOCと復帰制御の上限トルクTmax-Rとの関係を設定したテーブルに基づいて.バッテリ10のSOC(蓄電残量)が第1閾値E1より多いときよりも少ないときの方が小さくなるように上限トルクTmax-Rを決定し,電動モータ11の出力トルクがその上限トルクTmax-Rに制限されるように制御したが,復帰制御の上限トルクTmax-Rの決め方はこれに限られない。
【0101】
図10は,本発明の第2の実施形態における,車体コントローラ33に記憶されたテーブルに設定したバッテリのSOCと復帰制御の上限トルクの増分値との関係の一例を示す図である。
本実施形態において,車体コントローラ33に記憶されたテーブルには,図10に示すように図6の縦軸のパラメータを上限トルクTmax-Rの増分値ΔTに置き換えたバッテリ10のSOCと上限トルクTmax-Rの増分値ΔTとの関係が設定されている。
すなわち,図10において,車体コントローラ33に記憶されたテーブルには,バッテリ10のSOC(蓄電残量)が第1閾値E1よりも多い間は,上限トルクの増分値ΔTは第1トルク増分値ΔT1で一定となり,SOCが第1閾値E1から第1閾値E1よりも低く設定された第2閾値E2までの間で,上限トルクの増分値ΔTは第1トルク増分値ΔT1から第1トルク増分値ΔT1よりも小さく設定された第2トルク増分値ΔT2まで減少し,SOCが第2閾値E2よりも少ない間は,上限トルクの増分値ΔTは第2トルク増分値ΔT2で一定となるように設定されている。
また,好ましくは,上記テーブルは,SOCが第1閾値E1から第2閾値E2まで減少する間,上限トルクの増分値ΔTが第1トルク増分値ΔT1から第2トルク増分値ΔT2まで連続的に減少するように設定されている。
【0102】
図11は,第2の実施形態における車体コントローラの処理全体の流れを示すフローチャートである。
【0103】
本実施形態において,車体コントローラ33は,復帰制御により電動モータ11の回転数を基準回転数Nsetに復帰させるときの上限トルの増分値ΔTを,図10に示したバッテリ10のSOCと復帰制御の上限トルクの増分値ΔTとの関係を設定したテーブルに基づいて,図11のステップJ1に示すように,所定演算サイクル毎(所定時間毎)に決定し,上限トルクの増分値ΔTを前回演算した上限トルクTmax-Rに加算することで,復帰制御の上限トルクTmax-Rを決定する。
また,車体コントローラ33は,低速回転数制御の上限トルクTmax-idle(第2上限トルク)に上限トルクTmax-Rの増分値ΔTを加算して復帰制御の最初の上限トルクTmax-Rを決定し,その後,上限トルクの増分値ΔTの加算を復帰制御の上限トルクTmax-Rが通常制御の上限トルクTmax-N(第1上限トルク)に達するまで行う。
ここで,図10のバッテリのSOCと上限トルクの増分値ΔTとの関係が図6の縦軸のパラメータを復帰制御の上限トルクの増分値ΔTに置き換えたものであるため,所定時間毎に演算される復帰制御の上限トルクTmax-Rは,バッテリ10のSOC(蓄電残量)が第1閾値E1より多いときよりも少ないときの方が小さくなる。
【0104】
次いで,車体コントローラ33は,図11のステップKに示すように,その復帰制御の上限トルクTmax-Rと基準回転数Nsetを所定時間毎にインバータ31に指令し,電動モータ11の出力トルクを制御する。
【0105】
車体コントローラ33は,図11のステップMに示すように,所定時間毎に復帰制御の上限トルクTmax-Rが通常制御の上限トルクTmax-N(第1上限トルク)に達したかどうかを判定し,上限トルクの増分値ΔTの加算を上限トルクTmax-Rが通常制御の上限トルクTmax-N(第1上限トルク)に達するまで行う。
【0106】
図12は,バッテリのSOCが第1閾値E1よりも減少して,例えば第2閾値E2になった場合の本実施形態の復帰制御における電動モータの出力トルクの変化を,復帰制御を行わない場合と比較して示す図である。
【0107】
本実施形態において,上述したように,所定時間毎に上限トルクの増分値ΔTを演算し,上限トルクが通常制御の上限トルクTmax-Nに達するまで復帰制御の上限トルクTmax-Rを演算し,電動モータ11の出力トルクを制御することにより,図12に実線TCで示すように,復帰制御の上限トルクTmax-Rが通常制御の上限トルクTmax-Nになるまで,電動モータ11の出力トルクの増加速度を制限しながら電動モータ11の出力トルクを上昇させることができる。このため,本実施形態においても,基準回転数Nsetに復帰する際の電力消費量を少なくすることができる。また,本実施形態によれば,第1の実施形態よりも速やかに通常制御に復帰させることができる。
【0108】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態を図13及び図14を用いて説明する。
【0109】
図13及び図14は,第3の実施形態に係わる電動式油圧ショベルの駆動システムを示す図であり,図13はバッテリ10の電力で電動モータ11を駆動する場合を示し,図14は外部電源73の電力でバッテリ10を充電しながら電動モータ11を駆動する場合を示している。
【0110】
図13及び図14において,本実施形態の駆動システムは,電力供給線70を介して電力供給線41に接続され,電力供給線41に充電器72を介して外部電源73に接続可能な給電コネクタ71を更に備えている。充電器72は電力供給線74を介して給電コネクタ71に接続され,充電器72は外部電源73からインバータ31に電力を供給し,電動モータ11を駆動しながら,バッテリ10を充電することができる。
【0111】
図13において,バッテリ10のSOCが十分にあるときは,白抜きの矢印76で示すように,バッテリ10の電力が電力供給線41を介してインバータ31に供給され,インバータ31により電動モータ11が駆動される。
【0112】
バッテリ10のSOCが低下し,バッテリ10を充電するときは,図14に示すように,充電器72を電力供給線74を介して給電コネクタ71に接続し,外部電源73を給電コネクタ71に接続する。この状態でオペレータが油圧ショベルの始動スイッチをONにすると,2つの白抜きの矢印77a,77bの1つである矢印77aで示すように,外部電源73の電力が充電器72からバッテリ10に供給される。このとき,充電器72はバッテリ10のSOCに応じた電流を出力し,バッテリ10を充電し,バッテリ10の電圧が設定した電圧に達すると,充電が終了する。
【0113】
また,バッテリ10の充電中に電動モータ11を駆動した場合は,白抜きの他の1つの矢印77bで示すように,インバータ31は電動モータ11の駆動に必要な電流を充電器72から受け取り,充電器72の残りの電流でバッテリ10が充電され,バッテリ10を充電しながら,電動モータ11を駆動し,作業を行うことができる。
【0114】
また,第1の実施形態で説明したように,バッテリ10のSOCが第1閾値E1以下であるときは,復帰制御の上限トルクTmax-Rは第1トルクT1よりも小さい,例えば第2トルクT1であるため(図6差参照),上限トルクTmax-Rが小さくなった分,バッテリ10の充電中に駆動される電動モータ11の消費電力は低減する。第2の実施形態の場合も同様である。このため,バッテリ10を充電しながら電動モータ11を駆動するとき,低減した消費電力をバッテリ10の充電に回すことで,電動モータ11の消費電力が低減した分,バッテリ10の充電時間を短縮することができる。
【0115】
このように本実施形態においては,給電コネクタ71を介して充電器72及び外部電源73をインバータ31とバッテリ10に接続することにより,バッテリ10を充電しながら電動モータ11を駆動することができる。
【0116】
また,バッテリ10を充電しながら電動モータ1を駆動しても,復帰制御の上限トルクを小さくすることで,電動モータ11の消費電力は低減するため,電動モータ11の消費電力が低減した分,バッテリ10の充電時間を短縮することができる。
【0117】
<その他>
1.また,上記実施形態では,電動式建設機械が履帯式の油圧ショベルである場合について説明したが,電動式建設機械は履帯式の油圧ショベル以外の建設機械(例えば,ホイール式の油圧ショベル,油圧クレーン,ホイールローダ等)であってもよい。
【0118】
2.また,上記実施形態では,操作装置21~26の操作レバー或いは操作ペダルが操作されているかどうかを検出するのに圧力センサを用いたが,位置センサを用いて操作レバー或いは操作ペダルの操作の有無を検出してもよい。
【0119】
3.更に,上記実施形態では,操作装置21~26は,操作信号として操作パイロット圧を生成する油圧パイロット方式であるとしたが,操作装置21~26は,操作信号として電気信号を生成する電気レバー方式であってもよい。この場合は,操作装置21~26の操作信号(電気信号)を,直接,車体コントローラ33に送り,車体コントローラ33はそれらの操作信号から操作の有無を判定すればよい。
【符号の説明】
【0120】
1a~1h 複数の油圧アクチュエータ
10 バッテリ(蓄電装置)
10a バッテリコントローラ(蓄電電残量監視装置)
11 電動モータ
12 油圧ポンプ
16a~16h 複数の方向切換弁
21~26 複数の操作装置
31 インバータ
32 モータ回転数ダイヤル(回転数指示装置)
33 車体コントローラ(コントローラ)
35 操作検出装置
36 モード選択スイッチ
37 回転センサ
41 電力供給線
71 給電コネクタ
72 充電器
73 外部電源
SOC 充電状態(蓄電残量又は充電率)
Tmax-N 通常制御の上限トルク
Tmax-idle 低速回転数制御の上限トルク
Tmax-R 復帰制御の上限トルク
Nset 基準回転数
Nidle 所定の低速回転数(低速回転数制御の回転数)
E1 第1閾値
E2 第2閾値
T1 第1トルク
T2 第2トルク
ΔT 上限トルクの増分値
ΔT1 第1トルク増分値
ΔT2 第2トルク増分値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14