(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125941
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 9/18 20060101AFI20240911BHJP
B60C 9/20 20060101ALI20240911BHJP
B60C 9/22 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
B60C9/18 K
B60C9/18 G
B60C9/20 E
B60C9/22 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034085
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】尾花 直彦
(72)【発明者】
【氏名】柴田 紗生
(72)【発明者】
【氏名】河内 直人
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA39
3D131AA44
3D131AA46
3D131AA47
3D131BA02
3D131BA20
3D131BB03
3D131BC31
3D131BC34
3D131DA34
3D131DA43
3D131DA44
3D131DA52
3D131LA20
3D131LA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】タイヤの径成長の抑制とタイヤの耐偏摩耗性がより優れるタイヤを、提供する。
【解決手段】1層以上の周方向ベルト層T06bと、周方向ベルト層に隣接して設置される1対の交錯ベルト層T06cと、を備えたタイヤであって、周方向ベルト層のコードの長手方向剛性をELbとし、周方向ベルト層の層数をNbとし、1対の交錯ベルト層のうち最もタイヤ径方向内側に位置する最内交錯ベルト層のコードの長手方向剛性をELc1とし、最内交錯ベルト層のコードにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度をθ1とし、1対の交錯ベルト層のうち最もタイヤ径方向外側に位置する最外交錯ベルト層のコードの長手方向剛性をELc2とし、最外交錯ベルト層のコードにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度をθ2としたとき、以下の式(1)
ELb×Nb/(ELc1×cos
4θ1+ELc2×cos
4θ2)<0.6・・・(1)
を満たす。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1層以上の周方向ベルト層と、
前記周方向ベルト層に隣接して設置される1対の交錯ベルト層と、
を備えた、タイヤであって、
各前記周方向ベルト層のコードは、タイヤ周方向に対する角度αが、5°以下であり、
前記1対の交錯ベルト層は、タイヤ径方向において前記交錯ベルト層のコードどうしが互いに交錯しており、
前記周方向ベルト層のコードの長手方向剛性をELbとし、前記周方向ベルト層の層数をNbとし、前記1対の交錯ベルト層のうち最もタイヤ径方向内側に位置する最内交錯ベルト層のコードの長手方向剛性をELc1とし、前記最内交錯ベルト層のコードにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度をθ1とし、前記1対の交錯ベルト層のうち最もタイヤ径方向外側に位置する最外交錯ベルト層のコードの長手方向剛性をELc2とし、前記最外交錯ベルト層のコードにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度をθ2としたとき、以下の式(1)
ELb×Nb/(ELc1×cos4θ1+ELc2×cos4θ2)<0.6 ・・・(1)
を満たす、タイヤ。
【請求項2】
各前記交錯ベルト層のコードにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度は、15°~40°である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記周方向ベルト層の解剖コードの高歪領域における弾性率E1は、30~80GPaである、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記周方向ベルト層のコードは、複数本のフィラメントを有するとともに、全ての前記フィラメントについて、コード径Aに対するフィラメント径Bの比B/Aが0.13以下である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記タイヤは、前記周方向ベルト層を1層のみ備えている、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項6】
各前記交錯ベルト層は、それぞれのコードにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度が、互いに同じである、請求項1に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの径成長を抑制するために周方向ベルト層を配置することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のタイヤにおいては、周方向ベルト層の設置によってタイヤの径成長が抑制されるが、タイヤの耐偏摩耗性につき、向上の余地があった。
【0005】
本発明は、タイヤの径成長の抑制とタイヤの耐偏摩耗性がより優れるタイヤを、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕1層以上の周方向ベルト層と、
前記周方向ベルト層に隣接して設置される1対の交錯ベルト層と、
を備えた、タイヤであって、
各前記周方向ベルト層のコードは、タイヤ周方向に対する角度αが、5°以下であり、
前記1対の交錯ベルト層は、タイヤ径方向において前記交錯ベルト層のコードどうしが互いに交錯しており、
前記周方向ベルト層のコードの長手方向剛性をELbとし、前記周方向ベルト層の層数をNbとし、前記1対の交錯ベルト層のうち最もタイヤ径方向内側に位置する最内交錯ベルト層のコードの長手方向剛性をELc1とし、前記最内交錯ベルト層のコードにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度をθ1とし、前記1対の交錯ベルト層のうち最もタイヤ径方向外側に位置する最外交錯ベルト層のコードの長手方向剛性をELc2とし、前記最外交錯ベルト層のコードにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度をθ2としたとき、以下の式(1)
ELb×Nb/(ELc1×cos4θ1+ELc2×cos4θ2)<0.6 ・・・(1)
を満たす、タイヤ。
これにより、タイヤの径成長の抑制、耐偏摩耗性が優れる。
【0007】
〔2〕各前記交錯ベルト層のコードにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度は、15°~40°である、〔1〕に記載のタイヤ。
これにより、耐摩耗性を向上でき、耐久性を向上でき、また、径成長をさらに抑制できる。
【0008】
〔3〕前記周方向ベルト層の解剖コードの高歪領域における弾性率E1は、30~80GPaである、〔1〕又は〔2〕に記載のタイヤ。
これにより、周方向ベルト層のコードの耐切れ性を向上できる。
【0009】
〔4〕前記周方向ベルト層のコードは、複数本のフィラメントを有するとともに、全ての前記フィラメントについて、コード径Aに対するフィラメント径Bの比B/Aが0.13以下である、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のタイヤ。
これにより、周方向ベルト層のコードに関し、良好なコード強力を得つつ、耐切れ性を向上できる。
【0010】
〔5〕前記タイヤは、前記周方向ベルト層を1層のみ備えている、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載のタイヤ。
この場合、タイヤの径成長の抑制、耐偏摩耗性が優れる。
【0011】
〔6〕各前記交錯ベルト層は、それぞれのコードにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度が、互いに同じである、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載のタイヤ。
この場合、タイヤの径成長の抑制、耐偏摩耗性が優れる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、タイヤの径成長の抑制と、耐偏摩耗性が優れるタイヤを、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るタイヤの一部を、タイヤ幅方向の断面により概略的に示す、タイヤ幅方向断面図である。
【
図2】
図1のベルトの構成を説明するための説明図であり、当該ベルトの一部を概略的に示す、概略図である。
【
図3】
図2の周方向ベルト層の解剖コードのS-S曲線(荷重-歪曲線)の一例を示す図である。
【
図4】
図2の周方向ベルト層の生コードのS-S曲線(荷重-歪曲線)の一例を示す図である。
【
図5】
図2の周方向ベルト層の解剖コードを概略的に示す断面図である。
【
図6】
図2の周方向ベルト層の生コードの断面図である。
【
図7】比較例に係るタイヤの周方向ベルト層の生コードを示す断面図である。
【
図8】発明例1、2に係るタイヤの周方向ベルト層の生コードを示す断面図である。
【
図9】発明例1、2及び比較例に係るタイヤのそれぞれの周方向ベルト層の解剖コードのS-S曲線(荷重-歪曲線)を示す図である。
【
図10】発明例1、2に係るタイヤのそれぞれの周方向ベルト層の生コードのS-S曲線(荷重-歪曲線)を示す図である。
【
図11】本発明の任意の実施形態に係るタイヤに適用し得るタイヤ内部構造を説明するための図面であり、タイヤ半部をタイヤ幅方向の断面により概略的に示す、タイヤ幅方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るタイヤは、任意の種類の四輪車用空気入りタイヤに好適に利用でき、例えば重荷重用空気入りタイヤ(例えば、トラック・バス用空気入りタイヤ、オフ・ザ・ロード(建設車両用)空気入りタイヤ等)に特に好適に利用できる。
【0015】
以下、本発明に係るタイヤの実施形態について、図面を参照しつつ例示説明する。
各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
【0016】
図1~
図5は、本発明の一実施形態に係るタイヤT01について説明するための図面である。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤT01のタイヤ半部(タイヤ赤道面CLに対する一方側の部分)の一部を、タイヤ幅方向の断面により概略的に示す、タイヤ幅方向断面図である。
図2は、
図1のベルトT06の構成を説明するための説明図であり、当該ベルトT06のうちタイヤ赤道面CLに対する一方側におけるタイヤ周方向の一部分を概略的に示す、概略図である。
本実施形態のタイヤT01は、重荷重用空気入りタイヤとして、特にはトラック・バス用空気入りタイヤとして、構成されている。ただし、本明細書で説明する各例のタイヤT01は、任意の種類の四輪車用空気入りタイヤに好適に利用できる。
【0017】
図1に示すように、タイヤT01は、トレッド部T01tに、ベルトT06を備えている。ベルトT06は、カーカスT05のクラウン部に対してタイヤ径方向外側に配置されている。ベルトT06は、複数層(
図1の例では、5層)のベルト層T06pを備えている。
図2に示すように、各ベルト層T06pは、コードのゴム引き層からなり、すなわち、1本又は複数本のコードと、コードを被覆する被覆ゴムと、を含んでいる。各ベルト層T06pのコードは、スチールから構成されていると、好適である。
【0018】
図1及び
図2に示すように、本実施形態において、ベルトT06は、それぞれベルト層T06pとして、1層以上(
図1の例では、1層のみ)の周方向ベルト層T06bと、周方向ベルト層T06bに隣接して設置される一対の交錯ベルト層T06cと、を備えている。
図2に示すように、各周方向ベルト層T06bは、1本又は複数本のスチール製のコードT06bcと、コードT06bcを被覆する被覆ゴムT06brと、を含んでいる。各交錯ベルト層T06cは、1本又は複数本のスチール製のコードT06ccと、コードT06ccを被覆する被覆ゴムT06crと、を含んでいる。
各周方向ベルト層T06bのコードT06bcは、タイヤ周方向に略平行に延在しており、タイヤ周方向に対する角度α(
図2)が、5°以下である。コードT06bcは、直線状に延在していると好適である。
上記一対の交錯ベルト層T06cは、タイヤ径方向において互いに隣接する各一対の交錯ベルト層T06cのコードT06ccどうしが互いに交錯している(すなわち、当該一対の交錯ベルト層T06cのコードT06ccどうしは、タイヤ周方向一方側に向かうにつれて、タイヤ幅方向において互いに逆側へ向かって延在している)。
本実施形態において、1層の周方向ベルト層T06bは、一対の交錯ベルト層T06cよりもタイヤ径方向内側に配置されている。
【0019】
本実施形態において、ベルトT06は、以下の式(1)を満たしている。
ELb×Nb/(ELc1×cos
4θ1+ELc2×cos
4θ2)<0.6 ・・・(1)
式(1)において、
ELb:周方向ベルト層T06bのコードT06bcの長手方向剛性(kN)、
Nb:周方向ベルト層T06bの層数、
ELc1:上記一対の交錯ベルト層T06cのうち最もタイヤ径方向内側に位置する交錯ベルト層T06c(以下、「最内交錯ベルト層(T06c1)」ともいう。)のコードT06ccの長手方向剛性(kN)、
θ1:最内交錯ベルト層T06c1のコードT06ccにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度(°)、
ELc2:上記一対の交錯ベルト層T06cのうち最もタイヤ径方向外側に位置する交錯ベルト層T06c(以下、「最外交錯ベルト層(T06c2)」ともいう。)のコードT06ccの長手方向剛性(kN)、
θ2:最外交錯ベルト層T06c2のコードT06ccにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度(°)、である。
周方向ベルト層T06bと一対の交錯ベルト層T06cとは、例えば、タイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側へ向かって順番に、最内交錯ベルト層T06c1、最外交錯ベルト層T06c2、周方向ベルト層T06bの順に配設されていてもよいし、あるいは、
図2の例のように、周方向ベルト層T06b、最内交錯ベルト層T06c1、最外交錯ベルト層T06c2の順に配設されていてもよいし、あるいは、最内交錯ベルト層T06c1、周方向ベルト層T06b、最外交錯ベルト層T06c2の順に配設されていてもよい。周方向ベルト層T06bとこれに隣接する交錯ベルト層T06cとの間には、他のベルト層T06pが存在しない。周方向ベルト層T06bとこれに隣接する交錯ベルト層T06cとは、接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
図1の例において、Nb=1である。
周方向ベルト層T06bのコードT06bcの長手方向剛性ELb(kN)は、以下の式(2)から求められる。
ELb=Sb×Mb ・・・(2)
式(2)において、
Sb:周方向ベルト層T06bのコードT06bcの剛性(GPa)、
Mb:周方向ベルト層T06bのコードT06bcの単位幅あたりのスチール量(mm
2)、
である。
周方向ベルト層T06bのコードT06bcの剛性Sbは、コードT06bc(具体的には、後述の解剖コードKC)のS-S曲線(荷重-歪曲線)(
図3)において、1.0%歪における当該曲線の接線(破線)の傾きから求められる。
周方向ベルト層T06bのコードT06bcの単位幅あたりのスチール量Mbは、(コードT06bcを構成するフィラメントの総断面積)×(50mm幅当たりの打込み本数)から求められる。
周方向ベルト層T06bが複数層ある場合、周方向ベルト層T06bのコードT06bcの長手方向剛性は、周方向ベルト層T06bどうしで同じであると好適であるが、周方向ベルト層T06bどうしで異なる場合は、これらの平均値(すなわち、各周方向ベルト層T06bのコードT06bcの長手方向剛性を周方向ベルト層T06bの層数で割った値)をELbとして用いるものとする。
最内交錯ベルト層T06c1のコードT06ccの長手方向剛性ELc1は、以下の式(3)から求められる。
ELc1=Sc1×Mc1 ・・・(3)
式(3)において、
Sc1:最内交錯ベルト層T06c1のコードT06ccの剛性(GPa)、
Mc1:最内交錯ベルト層T06c1のコードT06ccの単位幅あたりのスチール量(mm
2)、
である。
最内交錯ベルト層T06c1のコードT06ccの剛性Sc1は、コードT06cc(具体的には、解剖コードKC)のS-S曲線(荷重-歪曲線)において、1.0%歪における当該曲線の接線(破線)の傾きから求められる。
最内交錯ベルト層T06c1のコードT06ccの単位幅あたりのスチール量Mc1は、(コードT06ccを構成するフィラメントの総断面積)×(50mm幅当たりの打込み本数)から求められる。
最外交錯ベルト層T06c2のコードT06ccの長手方向剛性ELc2は、以下の式(4)から求められる。
ELc2=Sc2×Mc2 ・・・(4)
式(4)において、
Sc2:最外交錯ベルト層T06c2のコードT06ccの剛性(GPa)、
Mc2:最外交錯ベルト層T06c2のコードT06ccの単位幅あたりのスチール量(mm
2)、
である。
最外交錯ベルト層T06c2のコードT06ccの剛性Sc2は、コードT06cc(具体的には、解剖コードKC)のS-S曲線(荷重-歪曲線)において、1.0%歪における当該曲線の接線(破線)の傾きから求められる。
最外交錯ベルト層T06c2のコードT06ccの単位幅あたりのスチール量Mc2は、(コードT06ccを構成するフィラメントの総断面積)×(50mm幅当たりの打込み本数)から求められる。
【0020】
周方向ベルト層T06bを設けることにより、径成長を効果的に抑制することができる。
さらに、本実施形態では、周方向ベルト層T06bとこれに隣接して設置される一対の交錯ベルト層T06cとが上記式(1)を満たしている。これにより、周方向ベルト層T06bと一対の交錯ベルト層T06cとの間の剛性差を適切な範囲内とし、それにより、径成長を抑制しつつ、タイヤT01の耐偏摩耗性を向上することができる。
【0021】
本明細書で説明する各例において、各交錯ベルト層T06cのコードT06ccにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度θ(
図2)は、15°以上であると、好適である。これにより、耐摩耗性をより向上できる。
本明細書で説明する各例において、各交錯ベルト層T06cのコードT06ccにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度θは、50°以下であると好適であり、40°以下であるとさらに好適である。これにより、耐久性を向上でき、また、径成長をさらに抑制できる。
【0022】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの高歪領域における弾性率E1は、30~80GPaであると、好適である。以下、このことについて説明する。
図5は、
図2の周方向ベルト層T06bの解剖コードKCを概略的に示す断面図である。
本明細書において、「解剖コード(KC)」とは、加硫済みのタイヤT01を解剖して、取り出した、ゴム付きのコードをいう。より具体的に、解剖コードKCは、加硫済みのタイヤT01から、コードを、なるべく当該コードの周りの被覆ゴムをそぎ落としながら取り出すことにより、得られるものであり、コードそのものと、当該コードの隙間(すなわち、コードの断面を見たときに、コードの断面の仮想外接円の内部領域のうち、コードが占めていない空隙部分。例えば、コードを構成するフィラメント間の隙間。)に付いた被覆ゴム(すなわち、前記空隙部分内に存在する被覆ゴム)と、からなるものである。例えば、
図5に概略的に示す周方向ベルト層T06bの解剖コードKCは、コードT06bcと、当該コードT06bcの隙間(コードT06bcを構成するフィラメントC12、C13間の隙間)に付いた被覆ゴムT06brと、からなる。
図3は、
図2の周方向ベルト層T06bの解剖コードKCのS-S曲線(荷重-歪曲線)の一例を示す図である。
図3において、一点鎖線は、0.25%歪の接線であり、破線は、1.0%歪の接線である。
周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの高歪領域における弾性率E1とは、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの荷重-歪曲線(
図3)において、1.0%歪における当該曲線の接線(破線)の傾きを、解剖コードKCひいてはコードT06bcを構成するフィラメントの断面積の総和で除した値をいう。
周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの高歪領域における弾性率E1が80GPa超だと、周方向ベルト層T06bと交錯ベルト層T06cとの剛性段差が大きくなって当該領域の歪も大きくなり、周方向ベルト層T06bのコードT06bcのコード耐切れ性が低下してしまう。一方で、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの高歪領域における弾性率E1が30GPa未満だと、それと連動して低歪領域における弾性率(後述のE2)が低下してしまい、内圧付与時のタイヤT01の径成長を有効に抑制することができなくなる。同様の理由により、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの高歪領域における弾性率E1は、40~70GPaであることが好ましい。
【0023】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bのコードT06bcは、
図6に例示するように、複数本のフィラメントを有すると、好適である。この場合、コードT06bcを構成する全てのフィラメントについて、コードT06bcのコード径Aに対するフィラメント径Bの比B/Aが0.13以下(好ましくは0.11以下)であると、好適である。
これにより、周方向ベルト層T06bのコードT06bcに関し、良好なコード強力を得つつ、耐切れ性を向上できる。比B/Aが0.13超だと、コード径Aに対してフィラメント径Bが大きくなり、コードT06bcの引張により生じるフィラメントの曲げ変形によるフィラメントの破断が生じやすくなってしまう。一方で、フィラメント径Bが小さすぎると十分なコードT06bcのコード強力を得られなくなるため、比B/Aは、0.09以上とすることが好ましい。
なお、
図6の例において、周方向ベルト層T06bのコードT06bcは、1本のコアフィラメントC12及び6本のシースフィラメントC13から構成されている。ただし、周方向ベルト層T06bのコードT06bcは、これとは異なる構成からなるものでもよい。
【0024】
本明細書で説明する各例において、タイヤT01は、
図1~
図2の例のように、周方向ベルト層T06bを1層のみ備えていると、好適である。
この場合、タイヤの径成長の抑制と耐久性の向上とを、より良好に両立できる。
ただし、タイヤT01は、周方向ベルト層T06bを複数層備えていてもよい。
【0025】
本明細書で説明する各例において、タイヤT01は、
図1~
図2の例のように、各交錯ベルト層T06cは、それぞれのコードT06ccにおけるタイヤ周方向に対する鋭角側の角度θ(
図2)が、互いに同じであると、好適である。
この場合、タイヤの径成長の抑制と耐久性の向上とを、より良好に両立できる。
【0026】
本明細書で説明する各例において、上記一対の交錯ベルト層T06cどうしの間のタイヤ径方向のゲージは、タイヤ幅方向中心部において、接地領域全幅50%の領域のゲージが0.46~0.66mmであると、好適である。
この場合、タイヤの径成長の抑制と耐久性の向上とを、より良好に両立できる。
【0027】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの低歪領域における弾性率E2は、15~60GPaであると、好適である。
周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの低歪領域における弾性率E2とは、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの荷重-歪曲線(
図3)において、0.25%歪における当該曲線の接線(一点鎖線)の傾きを、解剖コードKCひいてはコードT06bcを構成するフィラメントの断面積の総和で除した値をいう。
周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの低歪領域における弾性率E2が15GPa以上であることにより、内圧付与時のタイヤの径成長を有効に抑制することができる。一方で、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの低歪領域における弾性率E2が60GPa以下であることにより、解剖コードKCの高歪領域における弾性率E1が所望の範囲内となるように設定することができる。同様の理由により、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの低歪領域における弾性率E2は、25~60GPaであることがさらに好ましい。
【0028】
周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの高歪領域における弾性率E1を上記のような範囲に調整するには、周方向ベルト層T06bのコードT06bcとして、コアストランドを有しない、上記の複数本のフィラメントを撚り合わせてなるストランドをさらに撚り合わせてなるコードを用いることができる。併せて、フィラメントの径、ストランド数、撚り角度、コード等を調整することができる。
また、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの低歪領域における弾性率E2を上記のような範囲に調整するには、周方向ベルト層T06bのコードT06bcとして、コアストランドを有しない、上記の複数本のフィラメントを撚り合わせてなるストランドをさらに撚り合わせてなるコードを用いることができる。併せて、フィラメントの径、ストランド数、撚り角度、コード径等を調整すること等によりできる。これらに加えて、タイヤ製造時の拡張率に応じて決定することができる。
【0029】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの高歪領域における弾性率E1の、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの低歪領域における弾性率E2に対する比E1/E2は、1.1~3.0であることが好ましい。
比E1/E2が1.1以上であることにより、弾性率E1に対して弾性率E2を適度に大きくして、内圧付与時のタイヤの径成長を有効に抑制することができる。一方で、比E1/E2が3.0以下であることにより、弾性率E2に対して弾性率E1を適度に小さくして、周方向ベルト層T06bと交錯ベルト層T06cとの剛性段差を低減して当該領域の歪を低減し、コードT06bcのコード耐切れ性を向上させ得る。同様の理由により、上記比E1/E2は、1.1~2.5であることがさらに好ましい。
【0030】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの変曲点P(
図3)は、歪0.3~0.7%、且つ、荷重100~350Nの範囲内にあると、好適である。
周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの変曲点Pとは、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの荷重-歪曲線(
図3)において、0.25%歪の接線(一点鎖線)と1.0%歪の接線(破線)との交点である。
変曲点Pが、歪0.3%以上0.7%以下の場合、荷重100N未満の範囲だと、低荷重時の弾性率が低く、内圧付与時にタイヤの径成長を十分に抑制することができない。一方で、変曲点Pが、歪0.3%以上0.7%以下の場合、荷重350N超の範囲だと、高荷重時の弾性率が高く、周方向ベルト層T06bと交錯ベルト層T06cとの剛性段差により、当該領域の歪が大きくなって、コードT06bcのコード耐切れ性を十分に得ることができない。また、変曲点Pが、荷重100N以上350N以下の場合、歪0.3%未満の範囲だと高荷重時の弾性率が高く、周方向ベルト層T06bと交錯ベルト層T06cとの剛性段差により、当該領域の歪が大きくなって、コードT06bcのコード耐切れ性を十分に得ることができない。一方で、変曲点Pが、荷重100N以上350N以下の場合、歪0.7%超の範囲だと低歪領域における弾性率E2が低下してしまい、内圧付与時のタイヤの径成長を有効に抑制することができなくなる。このような観点から、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの変曲点Pは、歪0.3~0.6%、且つ、荷重100~320Nの範囲内にあることがより好ましい。
【0031】
上述した周方向ベルト層T06bの解剖コードKCにおける各物性を得るために好適な、周方向ベルト層T06bの生コードNCの物性について、以下に説明する。
なお、本明細書において、「生コード(NC)」とは、被覆ゴムが付いていない、コードそのものを指している。生コードNCは、タイヤT01を加硫する前におけるコードの状態に相当するといえる。例えば、
図6に概略的に示す周方向ベルト層T06bの生コードNCは、コードT06bcそのものである。
【0032】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bの生コードNCの変曲点は、歪1.5~3.0%、荷重30~80Nの範囲内にあることが好ましく、歪1.5~3.0%、荷重30~70Nの範囲内にあることがより好ましい。以下、このことについて説明する。
図4は、
図2の周方向ベルト層T06bの生コードNCのS-S曲線(荷重-歪曲線)の一例を示す図である。
周方向ベルト層T06bの生コードNCの変曲点は、周方向ベルト層T06bの生コードNCの荷重―歪曲線(
図4)における、10N荷重での接線と200N荷重での接線との交点をいう。
【0033】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bの生コードNCの低歪領域における弾性率E4が1~5GPaであることが好ましく、1~3GPaであることがより好ましい。
周方向ベルト層T06bの生コードNCの低歪領域における弾性率E4とは、周方向ベルト層T06bの生コードNCの荷重―歪曲線(
図4)において荷重が10Nの接線の傾きを、コードを構成するフィラメントの断面積の総和で除した値をいう。
周方向ベルト層T06bの生コードNCの低歪領域における弾性率E4が1~5GPaであることにより、ベルト成型、タイヤ加硫の工程において、適正なタイヤを製造することができ、加硫後のタイヤのバックリングの発生も有効に抑制することができる。
【0034】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bの生コードNCの高歪領域における弾性率E3は、30~80GPaであることが好ましく、35~75GPaであることがより好ましい。
周方向ベルト層T06bの生コードNCの高歪領域における弾性率E3とは、周方向ベルト層T06bの生コードNCの荷重―歪曲線(
図4)において荷重が200Nの接線の傾きを、コードを構成するフィラメントの断面積の総和で除した値をいう。
周方向ベルト層T06bの生コードNCの高歪領域における弾性率E3を上記の範囲内とすることにより、周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの高歪領域における弾性率E1を調整しやすくなる。
【0035】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bの生コードNCの高歪領域における弾性率E3の、周方向ベルト層T06bの生コードNCの低歪領域における弾性率E4に対する比E3/E4は、20~50であることが好ましく、25~45であることがより好ましい。
【0036】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bのコードT06bcは、
図6に例示するように、複数本のフィラメントC12、C13を撚り合わせてなるストランドC11を、さらに撚り合わせてなり、ストランドC11の数が3~5本であることが好ましい。
周方向ベルト層T06bの解剖コードKCの高歪領域における弾性率E1を適度に低くして、コード耐切れ性を向上させることができるからである。また、ストランド数を3本以上とすることにより、フィラメント径を比較的小さくしても周方向ベルト層T06bとしての強度を確保することができ、一方で、ストランド数を5本以下とすることで、ストランドの落ち込みの発生を抑制し、撚り性状を安定にすることができるからである。
【0037】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bのコードT06bcは、
図6に例示するように、ストランドC11の構造が、1+N構造であり、Nは、4~7の整数であり、フィラメントC12、C13のフィラメント径Bは、0.3mm以下であることが好ましい。
図6の例では、コードT06bcは、複数のシースストランドC11からなる(コアストランドは有していない)。各シースストランドC11は、1本のコアフィラメントC12の周りにN本(図示例では6本)のシースフィラメントC13が配置された、いわゆる「1+N構造」である。
コアフィラメントC12を1本とすることにより、コアフィラメントC12とシースフィラメントC13の撚り縮み量の差に起因するより不良の発生を抑制することができ、また、シースフィラメントC13を4本以上とすることにより、シースフィラメント間の隙間が大きくならないようにして撚り形状を安定させることができ、一方で、シースフィラメントC13を7本以下とすることにより、ゴムが浸入するための充分な隙間を確保することができるからである。また、コアストランドを設けないことで、コードT06bcの中心部の空間がゴムで満たされてストランド間の締め付け応力が分散され、接触部となるシースフィラメントC13の先行破断が抑制される結果、良好なスチールコード強力を得ることができるからである。また、フィラメントC12、C13のフィラメント径Bを0.3mm以下とすることにより、コードT06bcの引張により生じるフィラメントC12、C13の曲げ変形によるフィラメントC12、C13の破断を抑制することができるからである。
なお、ストランドの撚り方向とコードの撚り方向とは、同一方向であることが好ましい。
フィラメントのフィラメント径Bは、0.25mm以下であることがより好ましい。一方で、フィラメント径Bが小さすぎると十分なコード強力を得られなくなるため、フィラメント径Bは、0.15mm以上であることが好ましい。
【0038】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bのコードT06bcのコード径Aは、1.5~2.2mmとすることが好ましく、1.9~2.2mmがより好ましい。コード径Aを1.5mm以上とすることにより、周方向ベルト層T06bとしての強度を確保することができ、一方で、2.2mm以下とすることにより、タイヤの軽量化を図ることができる。
コアフィラメントC12のフィラメント径B12の、シースフィラメントC13のフィラメント径B13に対する比B12/B13は、1.10~1.16とすることが好ましい。比B12/B13を1.16以下とすることにより、シースフィラメントの配置に偏りが生じないようにしてコードの撚り性状を均一にすることができ、一方で、比B12/B13を1.10以上とすることにより、ゴムが浸入するための充分な隙間を確保することができるからである。
【0039】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bのコードT06bcにおける、シースストランドC11のコード軸に対する撚り角度は、15.0~25.0°とすることが好ましい。なお、撚り角度とは、コードの長手方向に対してストランドのらせん軸がなす角度であり、コードの長手方向における平均値とする。撚り角度を15.0°以上とすることにより、周方向ベルト層T06bの生コードNC及び解剖コードKCの高歪領域における弾性率E3、E1を上限値以下に設定することができ、一方で、25.0°以下とすることにより、撚り性状を安定化することができるからである。
【0040】
本明細書で説明する各例において、周方向ベルト層T06bのコードT06bcにおける、フィラメントC12、C13の材質は、特に限定されないものの、例えば炭素成分が0.80質量%以上である高炭素鋼であることが好ましい。フィラメントC12、C13の素材を高硬度である炭素成分が0.80質量%以上の高炭素鋼とすることで、十分なコード強力を得ることができる。一方で、耐疲労性の観点からは、炭素成分が1.5%以下であることが好ましい。
【0041】
図1~
図2の例において、ベルトT06は、2層の交錯ベルト層T06cと、1層の周方向ベルト層T06bとに加えて、それぞれベルト層T06pとして、1層の幅方向ベルト層T06aと、1層の保護ベルト層T06dと、をさらに備えている。
図2に示すように、幅方向ベルト層T06aは、1本又は複数本のコードT06acと、コードT06acを被覆する被覆ゴムT06arと、を含んでいる。幅方向ベルト層T06aのコードT06acは、タイヤ周方向に対して略90°の傾斜角度で傾斜して延びている。幅方向ベルト層T06aは、周方向ベルト層T06bのタイヤ径方向内側に位置しており、ベルトT06における最もタイヤ径方向内側のベルト層T06pである。
保護ベルト層T06dは、1本又は複数本のコードT06dcと、コードT06dcを被覆する被覆ゴムT06drと、を含んでいる。保護ベルト層T06dのコードT06dcは、タイヤ周方向に対して例えば15°~50°の傾斜角度で傾斜して延びている。好ましくはタイヤ周方向に対して15°~40°の傾斜角度で傾斜して延びている。本例では、2層の交錯ベルト層T06cのうちタイヤ径方向外側の交錯ベルト層T06cのコードT06ccと、保護ベルト層T06dのコードT06dcとは、タイヤ赤道面CLを境界とする同一のタイヤ幅方向半部においては、タイヤ幅方向内側から外側へ向かって、タイヤ周方向の同一方向に延びている。保護ベルト層T06dは、2層の交錯ベルト層T06cのタイヤ径方向外側に位置しており、ベルトT06における最もタイヤ径方向外側のベルト層T06pである。
図示例では、各ベルト層T06pのタイヤ幅方向の幅は、大きい方から順に、ベルト層T06c1、T06c2、T06b、T06a、T06dとなっているが、この場合に限定されない。
ベルト層T06pの層数や、ベルト層T06pのタイヤ幅方向の幅は、様々な構成とすることができる。
【0042】
本明細書で説明する各例においては、タイヤT01は、上述したベルトT06以外の部分においては、任意の内部構造を備えていてよい。以下、
図11を参照しつつ、タイヤT01の内部構造の一例について説明する。
図11の例の内部構造は、重荷重用空気入りタイヤに適用されると、特に好適なものである。なお、
図11の例におけるベルトT06の構成は、
図1~
図2の例のベルトT06の構成とは異なるが、
図1~
図2の例のベルトT06の構成を採用してもよい。
【0043】
図11に示すように、タイヤT01は、トレッド部T01tと、このトレッド部T01tのタイヤ幅方向の両端部からタイヤ径方向内側に延びる一対のサイドウォール部T01wと、各サイドウォール部T01wのタイヤ径方向内側の端部に設けられた一対のビード部T01bと、を備えている。ビード部T01bは、タイヤT01をリムに装着したときに、タイヤ径方向内側及びタイヤ幅方向外側においてリムに接するように構成される。
また、タイヤT01は、一対のビードコアT02と、一対のビードフィラーT03と、カーカスT05と、ベルトT06と、トレッドゴムT07と、サイドゴムT08と、インナーライナーT09と、を備えている。
【0044】
各ビードコアT02は、それぞれ、対応するビード部T01bに埋設されている。ビードコアT02は、周囲をゴムにより被覆されている複数のビードワイヤを備えている。ビードワイヤは、金属(例えばスチール)から構成されると好適であるが、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどからなる有機繊維から構成されてもよい。ビードワイヤは、例えば、モノフィラメント又は撚り線からなるものとすることができる。
【0045】
各ビードフィラーT03は、それぞれ、対応するビードコアT02に対してタイヤ径方向外側に位置する。ビードフィラーT03は、タイヤ径方向外側に向かって先細状に延びている。ビードフィラーT03は、ゴムから構成される。
一般的に、ビードフィラーは、「スティフナー」と呼ばれることがある。
図11に示すように、ビードフィラーT03は、複数(
図11の例では、2つ)のビードフィラー部T031、T032から構成されてもよい。これら複数のビードフィラー部T031、T032は、それぞれを構成するゴムの組成が、互いに異なる。ただし、各ビードフィラー部T031、T032は、それぞれを構成するゴムの組成が、当該ビードフィラー部T031、T032の全体にわたって実質的に同じである。これら複数のビードフィラー部T031、T032は、例えば、硬さが異なり得る。これら複数のビードフィラー部T031、T032は、例えば、タイヤ径方向に沿って配列(積層)される。例えば、これら複数のビードフィラー部T031、T032のうち、最もタイヤ径方向外側に位置するビードフィラー部T032が、他のビードフィラー部T031よりも、軟らかくてもよい。
あるいは、ビードフィラーT03は、1つのビードフィラー部のみから構成されてもよく、いいかえれば、当該ビードフィラーT03を構成するゴムの組成が、当該ビードフィラーT03の全体にわたって実質的に同じであってもよい。
【0046】
カーカスT05は、一対のビードコアT02間に跨っており、トロイダル状に延在している。カーカスT05は、1枚以上(
図11の例では、1枚)のカーカスプライT05pから構成されている。各カーカスプライT05pは、1本又は複数本のコードT05cと、コードT05cを被覆する被覆ゴムT05rと、を含んでいる。コードT05cは、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。
コードT05cは、金属(例えばスチール)から構成されると好適であるが、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどからなる有機繊維から構成されてもよい。
カーカスT05は、ラジアル構造であると好適であるが、バイアス構造でもよい。
【0047】
トレッドゴムT07は、トレッド部T01tにおいて、ベルトT06のタイヤ径方向外側に位置している。トレッドゴムT07は、トレッド部T01tのタイヤ径方向外側の面であるトレッド踏面を構成している。トレッド踏面には、トレッドパターンが形成されている。
【0048】
サイドゴムT08は、サイドウォール部T01wに位置している。サイドゴムT08は、サイドウォール部T01wのタイヤ幅方向外側の外表面を構成している。サイドゴムT08は、カーカスT05よりもタイヤ幅方向外側に位置している。サイドゴムT08は、ビードフィラーT03よりもタイヤ幅方向外側に位置している。サイドゴムT08は、トレッドゴムT07と一体で形成されている。
【0049】
インナーライナーT09は、カーカスT05のタイヤ内側に配置され、例えば、カーカスT05のタイヤ内側に積層されてもよい。インナーライナーT09は、例えば、空気透過性の低いブチル系ゴムで構成される。ブチル系ゴムには、例えばブチルゴム、及びその誘導体であるハロゲン化ブチルゴムが含まれる。インナーライナーT09は、ブチル系ゴムに限られず、他のゴム組成物、樹脂、又はエラストマーで構成することができる。
【0050】
図11に示すように、タイヤT01は、タイヤ径方向におけるカーカスT05とトレッドゴムT07との間に、クッションゴムT10を備えていてもよい。クッションゴムT10は、
図11の例のように、ベルトT06のタイヤ幅方向端部の近傍に位置していてもよい。
【0051】
図11に示すように、タイヤT01は、各ビード部T01bにおける、リムと接触するように構成された部分において、ゴムチェーファーT11を備えていてもよい。
【0052】
図11に示すように、タイヤT01は、各ビードコアT02の周りに、1枚又は複数枚(
図11の例では、1枚)のワイヤーチェーファーT14を備えていてもよい。ワイヤーチェーファーT14は、
図11の例のように、カーカスT05に対してビードコアT02とは反対側に配置されていてもよい。ワイヤーチェーファーT14は、金属(例えばスチール)から構成される。
図11に示すように、タイヤT01は、各ビードコアT02の周りに、1枚又は複数枚(
図11の例では、2枚)のナイロンチェーファーT13を備えていてもよい。ナイロンチェーファーT13は、
図11の例のように、カーカスT05に対してビードコアT02とは反対側に配置されていてもよい。ナイロンチェーファーT13は、ナイロンから構成される。
なお、
図11の例において、各ナイロンチェーファーT13は、ワイヤーチェーファーT14に対してビードコアT02とは反対側に配置されている。
【0053】
図11に示すように、タイヤT01は、各タイヤ半部において、タイヤ幅方向におけるビードフィラーT03とサイドゴムT08との間に、ハットゴムT12を備えていてもよい。
図11の例において、ハットゴムT12は、タイヤ幅方向におけるビードフィラーT03と各ナイロンチェーファーT13との間に配置されている。
【0054】
タイヤT01は、通信装置としてのRFタグ10を備えてよい。RFタグ10は、ICチップとアンテナとを備える。RFタグ10は、例えば、タイヤT01を構成する同種又は異種の複数の部材の間の位置に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、タイヤT01生産時にRFタグ10を取り付け易く、RFタグ10を備えるタイヤT01の生産性を向上させることができる。
図11の例のように、RFタグ10は、例えば、ビードフィラーT03と、ビードフィラーT03に隣接するその他の部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。
RFタグ10は、タイヤT01を構成するいずれかの部材内に埋設されていてもよい。このようにすることで、タイヤT01を構成する複数の部材の間の位置に挟み込まれて配置される場合と比較して、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。本例では、RFタグ10は、例えば、トレッドゴムT07、サイドゴムT08等のゴム部材内に埋設されてよい。
RFタグ10は、タイヤ幅方向断面視でのタイヤ外面に沿う方向であるペリフェリ長さ方向において、剛性の異なる部材の境界となる位置に、配置されないことが好ましい。このようにすることで、RFタグ10は、剛性段差に基づき歪みが集中し易い位置に、配置されない。そのため、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。本例では、RFタグ10は、例えば、タイヤ幅方向断面視でカーカスT05の端部と、このカーカスT05の端部に隣接する部材(例えばサイドゴムT08等)と、の境界となる位置に配置されないことが好ましい。
RFタグ10の数は特に限定されない。タイヤT01は、1個のみのRFタグ10を備えてもよく、2個以上のRFタグ10を備えてもよい。ここでは、通信装置の一例として、RFタグ10を例示説明しているが、RFタグ10とは異なる通信装置であってもよい。
【0055】
RFタグ10は、例えば、タイヤT01のトレッド部T01tに配置されてよい。このようにすることで、RFタグ10は、タイヤT01のサイドカットにより損傷しない。
RFタグ10は、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド中央部に配置されてよい。トレッド中央部は、トレッド部T01tにおいて撓みが集中し難い位置である。このようにすることで、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。また、タイヤ幅方向でのタイヤT01の両外側からのRFタグ10との通信性に差が生じることを抑制できる。本例では、RFタグ10は、例えば、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道面CLを中心としてトレッド幅の1/2の範囲内に配置されてよい。
RFタグ10は、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド端部に配置されてもよい。RFタグ10と通信するリーダーの位置が予め決まっている場合には、RFタグ10は、例えば、このリーダーに近い一方側のトレッド端部に配置されてよい。本例では、RFタグ10は、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド端を外端とする、トレッド幅の1/4の範囲内に配置されてよい。
【0056】
RFタグ10は、例えば、ビード部T01b間に跨る、1枚以上のカーカスプライT05pを含むカーカスT05より、タイヤ内腔側に配置されてよい。このようにすることで、タイヤT01の外部から加わる衝撃や、サイドカットや釘刺さりなどの損傷に対して、RFタグ10が損傷し難くなる。一例として、RFタグ10は、カーカスT05のタイヤ内腔側の面に密着して配置されてよい(
図11の点P32参照。)。別の一例として、カーカスT05よりタイヤ内腔側に別の部材がある場合に、RFタグ10は、例えば、カーカスT05と、このカーカスT05よりタイヤ内腔側に位置する別の部材と、の間に配置されてもよい。カーカスT05よりタイヤ内腔側に位置する別の部材としては、例えば、タイヤ内面を形成するインナーライナーT09が挙げられる。別の一例として、RFタグ10は、タイヤ内腔に面するタイヤ内面に取り付けられていてもよい(
図11の点P31、P33、P34参照。)。RFタグ10が、タイヤ内面に取り付けられる構成とすることで、RFタグ10のタイヤT01への取り付け、及び、RFタグ10の点検・交換が行い易い。つまり、RFタグ10の取り付け性及びメンテナンス性を向上させることができる。また、RFタグ10が、タイヤ内面に取り付けられることで、RFタグ10をタイヤT01内に埋設する構成と比較して、RFタグ10がタイヤ故障の核となることを防ぐことができる。
また、カーカスT05が、複数枚のカーカスプライT05pを備え、複数枚のカーカスプライT05pが重ねられている位置がある場合に、RFタグ10は、重ねられているカーカスプライT05pの間に配置されていてもよい。
【0057】
RFタグ10は、例えば、タイヤT01のトレッド部T01tで、1枚以上のベルト層T06pを含むベルトT06より、タイヤ径方向の外側に配置されてよい。一例として、RFタグ10は、ベルトT06に対してタイヤ径方向の外側で、当該ベルトT06に密着して配置されてよい(
図11の点P43参照。)。また、別の一例として、ベルト補強層を備える場合、当該ベルト補強層に対してタイヤ径方向の外側で、当該ベルト補強層に密着して配置されてよい。また、別の一例として、RFタグ10は、ベルトT06よりタイヤ径方向の外側で、トレッドゴムT07内に埋設されていてもよい(
図11の点P41参照。)。RFタグ10が、タイヤT01のトレッド部T01tで、ベルトT06よりタイヤ径方向の外側に配置されることで、タイヤ径方向でのタイヤT01の外側からのRFタグ10との通信が、ベルトT06により阻害され難い。そのため、タイヤ径方向でのタイヤT01の外側からのRFタグ10との通信性を向上させることができる。
また、RFタグ10は、例えば、タイヤT01のトレッド部T01tで、ベルトT06よりタイヤ径方向の内側に配置されていてもよい。このようにすることで、RFタグ10のタイヤ径方向の外側がベルトT06に覆われるため、RFタグ10は、トレッド面からの衝撃や釘刺さりなどに対して損傷し難くなる。この一例として、RFタグ10は、タイヤT01のトレッド部T01tで、ベルトT06と、当該ベルトT06よりタイヤ径方向の内側に位置するカーカスT05と、の間に配置されてよい(
図11の点P44参照。)。
また、ベルトT06が、複数枚のベルト層ベルト層T06pを備える場合に、RFタグ10は、タイヤT01のトレッド部T01tで、任意の2枚のベルト層ベルト層T06pの間に配置されてよい(
図11の点P42参照。)。このようにすることで、RFタグ10のタイヤ径方向の外側が1枚以上のベルト層ベルト層T06pに覆われるため、RFタグ10は、トレッド面からの衝撃や釘刺さりなどに対して損傷し難くなる。
【0058】
RFタグ10は、例えば、クッションゴムT10と、トレッドゴムT07との間やクッションゴムT10と、サイドゴムT08と、の間に挟み込まれて配置されてよい(
図11の点P51、53参照。)。このようにすることで、RFタグ10への衝撃を、クッションゴムT10により緩和できる。そのため、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
また、RFタグ10は、例えば、クッションゴムT10内に埋設されていてもよい。更に、クッションゴムT10は、隣接する同種又は異種の複数のゴム部材から構成されてよい。かかる場合に、RFタグ10は、クッションゴムT10を構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されてもよい(
図11の点P52参照。)。
この構成は、タイヤT01が重荷重用空気入りタイヤ(例えば、トラック・バス用空気入りタイヤ、オフ・ザ・ロード(建設車両用)空気入りタイヤ等)である場合に、特に好適である。
【0059】
RFタグ10は、例えば、タイヤT01のサイドウォール部T01w又はビード部T01bの位置に配置されてよい。RFタグ10は、例えば、RFタグ10と通信可能なリーダーに対して近い一方側のサイドウォール部T01w又は一方側のビード部T01bに配置されてよい。このようにすることで、RFタグ10とリーダーとの通信性を高めることができる。一例として、RFタグ10は、カーカスT05と、サイドゴムT08と、の間やトレッドゴムT07とサイドゴムT08と、の間に配置されてよい(
図11の点P61、P63参照。)。
RFタグ10は、例えば、タイヤ径方向において、タイヤ最大幅となる位置と、トレッド面の位置と、の間に配置されてよい。このようにすることで、RFタグ10がタイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側に配置される構成と比較して、タイヤ径方向でのタイヤT01の外側からのRFタグ10との通信性を高めることができる。
RFタグ10は、例えば、タイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側に配置されていてもよい。このようにすることで、RFタグ10は、剛性の高いビード部T01b近傍に配置される。そのため、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。一例として、RFタグ10は、ビードコアT02とタイヤ径方向又はタイヤ幅方向で隣接する位置に配置されてよい(
図11の点P62参照。)。ビードコアT02近傍は歪みが集中し難い。そのため、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
特に、RFタグ10は、タイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側であって、かつ、ビード部T01bのビードコアT02よりタイヤ径方向の外側の位置に配置されることが好ましい。このようにすることで、RFタグ10の耐久性を向上させることができるとともに、RFタグ10とリーダーとの通信が、ビードコアT02により阻害され難く、RFタグ10の通信性を高めることができる。
また、サイドゴムT08がタイヤ径方向に隣接する同種又は異種の複数のゴム部材から構成されている場合に、RFタグ10は、サイドゴムT08を構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
【0060】
RFタグ10は、ビードフィラーT03と、このビードフィラーT03に隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、ビードフィラーT03を配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグ10を配置することができる。そのため、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
RFタグ10は、例えば、ビードフィラーT03と、カーカスT05と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。カーカスT05のうちビードフィラーT03と共にRFタグ10を挟み込む部分は、ビードフィラーT03に対してタイヤ幅方向の外側に位置してもよく、タイヤ幅方向の内側に位置してもよい。カーカスT05のうちビードフィラーT03と共にRFタグ10を挟み込む部分が、ビードフィラーT03に対してタイヤ幅方向の外側に位置する場合には、タイヤ幅方向のタイヤT01の外側からの衝撃や損傷により、RFタグ10に加わる負荷を、より低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を、より向上させることができる。
また、ビードフィラーT03は、サイドゴムT08と隣接して配置されている部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ビードフィラーT03と、サイドゴムT08と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
更に、ビードフィラーT03は、ゴムチェーファーT11と隣接して配置されている部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ビードフィラーT03と、ゴムチェーファーT11と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
この構成は、タイヤT01が乗用車用空気入りタイヤである場合に、特に好適である。
【0061】
RFタグ10は、スティフナーT03と、このスティフナーT03に隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、スティフナーT03を配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグ10を配置することができる。そのため、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。RFタグ10は、例えば、スティフナーT03と、サイドゴムT08と、の間に挟み込まれて配置されてよい(
図11の点P74参照。)。
また、RFタグ10は、例えば、スティフナーT03と、カーカスT05と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい(
図11の点P72参照。)。カーカスT05のうちスティフナーT03と共にRFタグ10を挟み込む部分は、スティフナーT03に対してタイヤ幅方向の外側に位置してもよく、タイヤ幅方向の内側に位置してもよい。カーカスT05のうちスティフナーT03と共にRFタグ10を挟み込む部分が、スティフナーT03に対してタイヤ幅方向の外側に位置する場合には、タイヤ幅方向のタイヤT01の外側からの衝撃や損傷により、RFタグ10に加わる負荷を、より低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を、より向上させることができる。
スティフナーT03は、ゴムチェーファーT11と隣接して配置されている部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、スティフナーT03と、ゴムチェーファーT11と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
スティフナーT03は、タイヤ幅方向の外側でハットゴムT12に隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、スティフナーT03と、ハットゴムT12と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい(
図11の点P71参照。)。
スティフナーT03は、硬さの異なる複数のゴム部材から構成されてよい。かかる場合に、RFタグ10は、スティフナーT03を構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されていてもよい(
図11の点P73参照。)。
RFタグ10は、ハットゴムT12と、このハットゴムT12に隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。RFタグ10は、例えば、ハットゴムT12と、カーカスプライT05pと、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、RFタグ10への衝撃を、ハットゴムT12により緩和できる。そのため、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
この構成は、タイヤT01が重荷重用空気入りタイヤ(例えば、トラック・バス用空気入りタイヤ、オフ・ザ・ロード(建設車両用)空気入りタイヤ等)である場合に、特に好適である。
【0062】
RFタグ10は、例えば、ゴムチェーファーT11と、サイドゴムT08と、の間に挟み込まれて配置されてよい(
図11の点P8参照。)。このようにすることで、ゴムチェーファーT11を配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグ10を配置することができる。そのため、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
RFタグ10は、例えば、ゴムチェーファーT11と、カーカスT05と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、リムから加わる衝撃や損傷により、RFタグ10に加わる負荷を低減できる。そのため、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
【0063】
RFタグ10は、ナイロンチェーファーT13と、このナイロンチェーファーT13のタイヤ幅方向の外側又は内側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、タイヤ変形時に、RFタグ10の位置が変動し難くなる。そのため、タイヤ変形時にRFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。
ナイロンチェーファーT13は、例えば、タイヤ幅方向外側で、ゴムチェーファーT11と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ナイロンチェーファーT13と、ゴムチェーファーT11と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい(
図11の点P101参照。)。ナイロンチェーファーT13は、例えば、タイヤ幅方向外側で、サイドゴムT08と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ナイロンチェーファーT13と、サイドゴムT08と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい(
図11の点P91参照。)。
ナイロンチェーファーT13は、例えば、タイヤ幅方向内側で、スティフナーT03と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ナイロンチェーファーT13と、スティフナーT03と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。また、ナイロンチェーファーT13は、例えば、タイヤ幅方向内側で、ハットゴムT12と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ナイロンチェーファーT13と、ハットゴムT12と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい(
図11の点P92参照。)。更に、ナイロンチェーファーT13は、例えば、タイヤ幅方向内側で、カーカスT05と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ナイロンチェーファーT13と、カーカスT05と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。更に、ナイロンチェーファーT13は、例えば、タイヤ幅方向内側で、ワイヤーチェーファーT14と隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグ10は、ナイロンチェーファーT13と、ワイヤーチェーファーT14と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
このように、RFタグ10は、ナイロンチェーファーT13と、このナイロンチェーファーT13のタイヤ幅方向の外側又は内側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてよい。特に、RFタグ10のタイヤ幅方向外側が、ナイロンチェーファーT13に覆われることで、タイヤ幅方向でのタイヤの外側からの衝撃や損傷により、RFタグ10に加わる負荷を、より低減できる。そのため、RFタグ10の耐久性を、より向上させることができる。
この構成は、タイヤT01が重荷重用空気入りタイヤ(例えば、トラック・バス用空気入りタイヤ、オフ・ザ・ロード(建設車両用)空気入りタイヤ等)である場合に、特に好適である。
【0064】
RFタグ10は、ワイヤーチェーファーT14と、このワイヤーチェーファーT14のタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい(
図11の点P102参照。)。このようにすることで、タイヤ変形時に、RFタグ10の位置が変動し難くなる。そのため、タイヤ変形時にRFタグ10に加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグ10の耐久性を向上させることができる。ワイヤーチェーファーT14がタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材は、例えば、ゴムチェーファーT11などのゴム部材であってよい。また、ワイヤーチェーファーT14がタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材は、例えば、カーカスT05であってもよい。
【実施例0065】
本発明の効果を確かめるため、比較例、及び、発明例1、2に係るタイヤを作製し、試験を行い、評価したので、説明する。
各例のタイヤの諸元は、評価結果と共に以下の表1に示している。また、
図3及び
図4に、それぞれ、各例の解剖コードKC及び生コードNCのS-S曲線を示している。
各例のタイヤにおいて、ベルトT06は、一対の交錯ベルト層T06cと、そのタイヤ径方向内側に位置する1層以上の周方向ベルト層T06bと、を備えていた。発明例のタイヤのベルトT06は、基本的に
図1~
図2に示すものと同様であった。各例のタイヤにおいて、各交錯ベルト層T06cのコードT06ccは、タイヤ周方向に対する角度θが、互いに同じであった。
【0066】
各例のタイヤにおいて、周方向層コードの耐切れ性評価を行った。また、耐偏摩耗性効果を評価するため、前述のタイヤ構造及び後述の条件を設定し、FEMモデルで評価を行った。
周方向ベルト層T06bのコードT06bcの耐切れ性効果は、タイヤサイズ445/50R22.5のタイヤをリムに組み込み、規定内圧を充填し、最大負荷荷重の130%の荷重を負荷し、速度60km/hで2万kmドラム走行させた際の、走行後のコード切れ本数を計測することにより評価した。評価は、比較例の切れ本数に対する評価を100とした指数で表し、数値の大きい方が、切れ数が少なく良好であることを示す。
FEM評価の条件としては、内圧690kPa、荷重37.85kN、速度60km/hで転動させる、となる。各タイヤモデルに対し、タイヤ接地面ショルダー部の周方向摩耗エネルギーをFEMモデルを用いて算出し、耐偏摩耗評価の結果とする。数値がプラスかつ大きいほうが耐摩耗性が良い。
【0067】
【0068】
表1からわかるように、発明例1及び2は、比較例に対して、タイヤの耐偏摩耗性効果が優れる。
【0069】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本発明の一実施形態は「No.12_つくる責任、つかう責任」および「No.13_気候変動に具体的な対策を」などに貢献する技術となり得ると考えられる。
本発明に係るタイヤは、任意の種類の四輪車用空気入りタイヤに好適に利用でき、例えば重荷重用空気入りタイヤ(例えば、トラック・バス用空気入りタイヤ、オフ・ザ・ロード(建設車両用)空気入りタイヤ等)に特に好適に利用できる。