(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125950
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】半導体ウエハーの研磨パッド及び研磨方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240911BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20240911BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20240911BHJP
B24D 11/00 20060101ALI20240911BHJP
B24B 57/02 20060101ALI20240911BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
H01L21/304 622F
B24B37/24 B
B24B37/24 C
B24B37/00 H
B24D11/00 E
B24B57/02
C09K3/14 550Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034103
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】ノリタケ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 将太
(72)【発明者】
【氏名】黒部 久徳
(72)【発明者】
【氏名】岸本 正俊
【テーマコード(参考)】
3C047
3C063
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C047FF08
3C047GG01
3C063AA02
3C063AB05
3C063AB07
3C063BA02
3C063BB01
3C063BB03
3C063BC03
3C063BC09
3C063EE10
3C158AC04
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB09
3C158EB11
3C158EB12
5F057AA12
5F057AA24
5F057BA15
5F057CA12
5F057DA03
5F057EB03
5F057EB07
5F057EB10
(57)【要約】
【課題】半導体ウエハーの研磨において、安定した研磨が得られ、実用性が高い研磨パッドおよび研磨方法を提供する。
【解決手段】研磨パッド18は、その樹脂に含まれる水素原子の含有率をM
H(質量%)、炭素原子の含有率をM
C(質量%)、酸素原子の含有率をM
O(質量%)、窒素原子の含有率をM
N(質量%)、硫黄の含有率をM
S(質量%)、フッ素原子の含有率をM
F(質量%)としたとき、式(1)で表される研磨レート寄与度数PRNを有し、前記研磨レート寄与度数PRNは式(2)を満足する。
PRN=-5738M
H+849.6M
C+1766M
O
-40.7M
N-394.9M
S+219.4M
F ・・・ (1)
268.4≦PRN≦1516.3 ・・・ (2)
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥粒を含まない強酸化剤水溶液である研磨液を用いて半導体ウエハーを研磨する半導体ウエハーの研磨パッドであって、
前記研磨パッドは、炭素Cと、水素H、酸素O、窒素N、硫黄S、およびフッ素Fのうちの少なくとも1つとを含む高分子から成り、前記水素の含有率をMH(質量%)、前記炭素の含有率をMC(質量%)、前記酸素の含有率をMO(質量%)、前記窒素の含有率をMN(質量%)、前記硫黄の含有率をMS(質量%)、前記フッ素の含有率をMF(質量%)としたとき、式(1)で表される研磨レート寄与度数PRNを有し、研磨レート寄与度数PRNは式(2)を満足する
ことを特徴とする半導体ウエハーの研磨パッド。
PRN=-5738MH+849.6MC+1766MO
-40.7MN-394.9MS+219.4MF ・・・ (1)
268.4≦PRN≦1516.3 ・・・ (2)
【請求項2】
前記研磨パッドの研磨レート寄与度数PRNは、式(3)を満足するものである
ことを特徴とする請求項1の半導体ウエハーの研磨パッド。
268.4≦PRN≦959.3 ・・・ (3)
【請求項3】
前記研磨液は、前記強酸化剤の水溶液として過マンガン酸カリウム水溶液を含む
ことを特徴とする請求項1の半導体ウエハーの研磨パッド。
【請求項4】
前記研磨パッドを構成する樹脂は、PES(ポリエーテルサルフォン)樹脂、PSU(ポリサルフォン)樹脂、PPSU(ポリフェニルサルホン)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PU(ポリウレタン)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル))樹脂、EP(エポキシ)樹脂の硬化物(グリシジルエーテルタイプエポキシとアミン系硬化剤との硬化物)、PEG#400系アクリル樹脂(平均分子量が400となるポリエチレングリコールの両端にアクリル基が結合されているアクリレートモノマーを紫外線硬化させたアクリル樹脂)、PC(ポリカーボネート)樹脂、PVDF80%+HFP20%(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%による共重合体樹脂)、PVDF100%(ポリフッ化ビニリデン樹脂)のうちのいずれか1の樹脂である
ことを特徴とする請求項1の半導体ウエハーの研磨パッド。
【請求項5】
前記研磨パッドは、砥粒及び独立気孔又は連通気孔を有しない樹脂、独立気孔及び/又は連通気孔を有する樹脂、前記独立気孔及び/又は連通気孔内にシリカ砥粒、アルミナ砥粒、ジルコニア砥粒、マンガン酸化物砥粒、セリア砥粒のうちの少なくとも1つを砥粒として内包する樹脂のいずれか1から構成されている
ことを特徴とする請求項1の半導体ウエハーの研磨パッド。
【請求項6】
砥粒を含まない強酸化剤水溶液である研磨液、および樹脂製の研磨パッドを用いて半導体ウエハーを研磨する半導体ウエハーの研磨方法であって、
前記研磨パッドは、炭素と、水素、酸素、窒素、硫黄、フッ素のうちの少なくとも1つとを含む高分子から成り、前記水素原子の含有率をMH(質量%)、前記炭素原子の含有率をMC(質量%)、前記酸素原子の含有率をMO(質量%)、前記窒素原子の含有率をMN(質量%)、前記硫黄の含有率をMS(質量%)、前記フッ素原子の含有率をMF(質量%)としたとき、式(1)で表される研磨レート寄与度数PRNを有し、前記研磨レート寄与度数PRNは式(2)を満足する
ことを特徴とする半導体ウエハーの研磨方法。
【請求項7】
前記研磨パッドの研磨レート寄与度数PRNは、式(3)を満足するものである
ことを特徴とする請求項6の半導体ウエハーの研磨方法。
268.4≦PRN≦959.3 ・・・ (3)
【請求項8】
前記研磨液は、前記強酸化剤の水溶液として過マンガン酸カリウム水溶液を含む
ことを特徴とする請求項6の半導体ウエハーの研磨方法。
【請求項9】
前記研磨パッドを構成する樹脂は、PES(ポリエーテルサルフォン)樹脂、PSU(ポリサルフォン)樹脂、PPSU(ポリフェニルサルホン)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PU(ポリウレタン)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル))樹脂、EP(エポキシ)樹脂の硬化物(グリシジルエーテルタイプエポキシとアミン系硬化剤との硬化物)、PEG#400系アクリル樹脂(平均分子量が400となるポリエチレングリコールの両端にアクリル基が結合されているアクリレートモノマーを紫外線硬化させたアクリル樹脂)、PC(ポリカーボネート)樹脂、PVDF80%+HFP20%(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%による共重合体樹脂)、PVDF100%(ポリフッ化ビニリデン樹脂)のうちのいずれか1の樹脂である
ことを特徴とする請求項6の半導体ウエハーの研磨方法。
【請求項10】
前記研磨パッドは、砥粒及び独立気孔又は連通気孔を有しない樹脂、独立気孔及び/又は連通気孔を有する樹脂、前記独立気孔及び/又は連通気孔内にシリカ砥粒、アルミナ砥粒、ジルコニア砥粒、マンガン酸化物砥粒、セリア砥粒のうちの少なくとも1つを砥粒として内包する樹脂のいずれか1から構成されている
ことを特徴とする請求項6の半導体ウエハーの研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハー、特にSiC、GaN、InP等の難研磨ウエハーの研磨パッド及び研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
SiCウエハー、GaNウエハー、Siウエハー、Si酸化膜ウエハーなどの半導体ウエハーは、難研磨ウエハーとして知られている。そのような半導体ウエハーの研磨に際して、従来は、研磨砥粒が固定された樹脂研磨パッドを用いて研磨盤上で研磨を行なっていた。たとえば、特許文献1に記載されたCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法がそれである。このような砥粒を用いた研磨では、通常、研磨スラリーを循環させる過程で異物除去フィルタを透過させることで研磨スラリー内の異物を除去し、異物除去後の研磨スラリーが再度研磨盤に供給されるようになっている。
【0003】
上記のような従来の研磨方法では、研磨スラリー中の砥粒を除去するために非常に細かい網目のフィルタを用いると詰まりが生じて使用することができず、それに替えてやや大きい網目のフィルタを用いると、フィルタの除去能力が充分でなく、研磨スラリー中において残留した砥粒によって半導体ウエハーの研磨面にスクラッチ傷が発生する場合があった。また、研磨スラリー中の砥粒は、分散液よりも比重が大きく、貯留タンクや搬送管路内に沈殿して凝集し易いので、凝集砥粒が研磨パッドの上に流れると、研磨パッドの上で砥粒が不均質分散となり易く、ウエハーの研磨面に不均質研磨が発生する場合があった。
【0004】
これに対して、樹脂製の研磨パッドと化学液とを使用して研磨する方法が提案されている。たとえば、特許文献2に記載された研磨方法がそれである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特階2013-214784号公報
【特許文献2】特開2021-057368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、研磨パッドを構成する樹脂の種類によっては研磨レートが上下するので、必ずしも安定した研磨が得られず、実用性が得られないという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、樹脂製研磨パッドと化学液とを使用して半導体ウエハーを安定して研磨することができる半導体ウエハーの研磨パッド及び研磨方法を提供することにある。
【0008】
本発明者等は、以上の事情を背景として、どのような樹脂成分が半導体ウエハーの研磨レートの向上に有効かについて種々の研究を重ねた。先ず、炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、フッ素のうちの何れかの元素により構成されている樹脂を樹脂プレート(研磨定盤)として用い、強酸化剤として過マンガン酸カリウム:KMnO4)液を供給しつつSiCやGaN等の難研磨ウエハーの研磨試験を実施し、各元素の研磨れーとに対する寄与度を回帰分析した。その結果、酸素、炭素、フッ素は研磨レートを向上させる傾向があること、及び、窒素、硫黄、水素は研磨レートを低下させる履行があるとが、判明した。そして、上記の事実から、各元素の含有率に回帰分析の係数を掛けたものの合計を研磨レート寄与度数(後述の式(1))とし、その式(1)が表す研磨レート寄与度数が後述の式(2)を満たすような炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、フッ素の構成比となる樹脂を用いれば、高い研磨レートが得られることを見出した。また、その樹脂を用いて構成した砥粒内包型研磨パッドを用いると、さらに研磨レートを向上させることを見出した。本発明は、係る知見に基づいて得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の半導体ウエハーの研磨パッドの要旨とするところは、砥粒を含まない強酸化剤水溶液である研磨液を用いて半導体ウエハーを研磨する樹脂製の研磨パッドであって、前記研磨パッドは、炭素Cと、水素H、酸素O、窒素N、硫黄S、およびフッ素Fのうちの少なくとも1つとを含む高分子であって、前記水素の含有率をMH(質量%)、前記炭素の含有率をMC(質量%)、前記酸素の含有率をMO(質量%)、前記窒素の含有率をMN(質量%)、前記硫黄の含有率をMS(質量%)、前記フッ素の含有率をMF(質量%)としたとき、式(1)で表される研磨レート寄与度数PRNを有し、研磨レート寄与度数PRNは式(2)を満足することにある。
PRN=-5738MH+849.6MC+1766MO
-40.7MN-394.9MS+219.4MF ・・・ (1)
268.4≦PRN≦1516.3 ・・・ (2)
【0010】
また、奔発明の半導体ウエハーの研磨方向の要旨とするところは、砥粒を含まない強酸化剤水溶液である研磨液、および樹脂製の研磨パッドを用いて半導体ウエハーを研磨する半導体ウエハーの研磨方法であって、前記研磨パッドは、炭素と、水素、酸素、窒素、硫黄、フッ素のうちの少なくとも1つとを含む高分子から成り、前記水素原子の含有率をMH(質量%)、前記炭素原子の含有率をMC(質量%)、前記酸素原子の含有率をMO(質量%)、前記窒素原子の含有率をMN(質量%)、前記硫黄の含有率をMS(質量%)、前記フッ素原子の含有率をMF(質量%)としたとき、式(1)で表される研磨レート寄与度数PRNを有し、前記研磨レート寄与度数PRNは式(2)を満足することにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体ウエハーの研磨パッド及び研磨方法によれば、砥粒を含まない強酸化剤の水溶液である研磨液を用いることから、研磨液を循環させる循環経路の途中に細かな目開きのフィルタを使用することができるので、スクラッチ傷の発生を大幅に削減でき半導体ウエハーの研磨について安定した研磨が得られるとともに、砥粒の消費が抑制されて環境負荷が軽減される。また、前記樹脂製の研磨パッドは、炭素と、水素、酸素、窒素、硫黄、フッ素のうちの少なくとも1つとを含む高分子であって、前記研磨パッドの研磨レート寄与度数PRNが268.4以上且つ1516.3以下であるので、研磨レートが大幅に向上する。
【0012】
好適には、前記研磨パッドの研磨レート寄与度数PRNは、式(3)を満足するものである。これによれば、前記研磨パッドの研磨レート寄与度数PRNが268.4以上且つ959.3以下であるので、研磨レートが一層に向上する。
268.4≦PRN≦959.3 ・・・ (3)
【0013】
好適には、前記研磨液は、前記強酸化剤の水溶液として過マンガン酸カリウム水溶液を含む。これにより、過マンガン酸カリウム水溶液中に含まれる過マンガン酸カリウムイオンの還元が前記研磨パッドを構成する高分子により抑制されることで前記研磨パッド上に過マンガン酸塩が析出され、前記過マンガン酸塩の析出粒子を研磨粒子として前記半導体ウエハーが研磨される。
【0014】
好適には、前記研磨パッドを構成する樹脂は、PES(ポリエーテルサルフォン)樹脂、PSU(ポリサルフォン)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PU(ポリウレタン)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル))樹脂、EP(エポキシ)樹脂の硬化物(グリシジルエーテルタイプエポキシとアミン系硬化剤との硬化物)、PEG#400系アクリル樹脂(平均分子量が400となるポリエチレングリコールの両端にアクリル基が結合されているアクリレートモノマーを紫外線硬化させたアクリル樹脂)、PC(ポリカーボネート)樹脂、PVDF80%+HFP20%(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%による共重合体樹脂)、PVDF100%(ポリフッ化ビニリデン樹脂)のうちのいずれか1の樹脂である。これにより、金属イオンを含む研磨液が研磨パッドに接触することで、研磨パッドの上に金属酸化物粒子が生成される。
【0015】
好適には、前記研磨パッドは、砥粒及び独立気孔又は連通気孔を有しなくてもよいが、砥粒を有してもよいし、独立気孔及び/又は連通気孔を有していてもよい。さらに好適には、前記研磨パッドは、前記独立気孔及び/又は連通気孔内にシリカ砥粒、アルミナ砥粒、ジルコニア砥粒、マンガン酸化物砥粒、セリア砥粒のうちの少なくとも1つを砥粒として内包する。これにより、砥粒の遍在化により平坦化研磨が容易となるとともに、作用点が多くなって高い研磨レートが得られる。
【0016】
また、好適には、前記研磨パッドを用いた研磨方法の要旨とするところは、砥粒を含まない強酸化剤水溶液である研磨液、および樹脂製の研磨パッドを用いて半導体ウエハーを研磨する半導体ウエハーの研磨方法であって、前記研磨パッドは、炭素と、水素、酸素、窒素、硫黄、フッ素のうちの少なくとも1つとを含む高分子であって、前記水素原子の含有率をMH(質量%)、前記炭素原子の含有率をMC(質量%)、前記酸素原子の含有率をMO(質量%)、前記窒素原子の含有率をMN(質量%)、前記硫黄の含有率をMS(質量%)、前記フッ素原子の含有率をMF(質量%)としたとき、式(1)で表される研磨レート寄与度数PRNを有し、前記研磨レート寄与度数PRNは式(2)を満足することにある。
【0017】
これにより、砥粒を含まない強酸化剤の水溶液である研磨液を用いることから、研磨液を循環させる循環経路の途中に細かな目開きのフィルタを使用することができるので、スクラッチ傷の発生を大幅に削減でき半導体ウエハーの研磨について安定した研磨が得られるとともに、砥粒の消費が抑制されて環境負荷が軽減される。また、前記樹脂製の研磨パッドは、炭素と、水素、酸素、窒素、硫黄、フッ素のうちの少なくとも1つとを含む高分子であって、前記研磨パッドの研磨レート寄与度数PRNが268.4以上且つ1516.3以下であるので、研磨レートが大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施例の研磨プレートが用いられた、CMP法による研磨加工に用いられる研磨加工装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の研磨加工装置の貼付円盤の自転機構を模式的に説明する平面図である。
【
図3】
図1の研磨パッドを構成する樹脂の一例であるPES樹脂(ポリエーテルサルホン樹脂)の化学構造式を示す図である。
【
図4】
図1の研磨パッドを構成する樹脂の一例であるPSU樹脂(ポリサルホン樹脂)の化学構造式を示す図である。
【
図5】
図1の研磨パッドを構成する樹脂の一例であるPPSU樹脂(ポリフェニルサルホン樹脂)の化学構造式を示す図である。
【
図6】
図1の研磨パッドを構成する樹脂の一例であるPEEK樹脂(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)の化学構造式を示す図である。
【
図7】
図1の研磨パッドを構成する樹脂の一例であるPU樹脂(イソシアネートとポリオールより合成したポリウレタン樹脂)の化学構造式を示す図である。
【
図8】
図1の研磨パッドを構成する樹脂の一例であるPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)樹脂)の化学構造式を示す図である。
【
図9】
図1の研磨パッドを構成する樹脂の一例であるEP樹脂(エポキシ樹脂の硬化物)の化学構造式を示す図である。
【
図10】
図1の研磨パッドを構成する樹脂の一例であるPEG#400系アクリル樹脂の化学構造式を示す図である。
【
図11】
図1の研磨パッドを構成する樹脂の一例であるPC樹脂(ポリカーボネート樹脂)の化学構造式を示す図である。エポキシ樹脂の網目構造を示す摸式図である。
【
図12】
図1の研磨パッドを構成する樹脂の一例であるポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%との共重合体樹脂(PVDF(80%)-HFP(20%)樹脂)の化学構造式を示す図である。
【
図13】
図1の研磨パッドを構成する樹脂の一例であるPVDF(ポリフッ化ビニリデン樹脂)の化学構造式を示す図である。
【
図14】
図1の研磨パッドを構成する比較例樹脂であるメラミン樹脂(熱硬化物)の化学構造式を示す図である。
【
図15】
図1の研磨パッドを構成する比較例樹脂であるPA6(ポリアミド6樹脂)の化学構造式を示す図である。
【
図16】
図1の研磨パッドを構成する比較例樹脂であるPPS樹脂(直鎖タイプのポリフェニレンスルフィド樹脂)の化学構造式を示す図である。
【
図17】実験例1のSiCの研磨に用いた研磨パッドの樹脂、その樹脂を構成する元素毎の回帰分析の係数、研磨レート、表面粗さ、及び研磨レート寄与度数を示す表である。
【
図18】実験例1の各研磨例に用いた研磨パッドの樹脂の研磨レート寄与度数と実際の研磨レートとを示す図である。
【
図19】理論的に最も研磨レート寄与度数PRNを高くできると考えられる、炭素Cと酸素Oのみで、酸素Oがもっと多くなる高分子構造を示す図である。
【
図20】研磨パッドの研磨面に付着したペースト状の析出物質を、走査型電子顕微鏡を用いて撮像したSEM写真を用いて示す図である。
【
図21】
図20のSEM写真に示された粒子状物質のX線回折を行なうことにより得られたX線回折パターンと、過マンガン酸カリウムのX線回折パターンとを、対比して示す図である。
【
図22】実験例2のSiCの研磨に用いた研磨パッドの樹脂、研磨レート、表面粗さを示す表である。
【
図23】実施例2の研磨パッドのうちの砥粒内包型研磨パッドの構造を説明する模式図である。
【
図24】砥粒内包型研磨パッドLHA(登録商標)の研磨メカニズムを説明する模式図である。
【
図25】実験例3のSiCの研磨に用いた研磨パッドの樹脂、研磨レート、及び表面粗さを示す表である。
【
図26】実験例4のSiCの研磨に用いた研磨パッドの樹脂、研磨レート、及び表面粗さを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例0020】
図1は、本発明の一例の、SiCウエハー、GaNウエハー、InPウエハー等の化合物半導体ウエハーを研磨するための平面研磨装置10の要部を、ガイドローラ固定台を取り外して観念的に示している。
図1において、平面研磨装置10には、円形の研磨定盤(回転テーブル)12がその垂直な回転軸線C1まわりに回転可能に支持された状態で設けられており、その研磨定盤12は、定盤駆動モータ14により、図に矢印で示す1回転方向へ一定の速度で回転駆動されるようになっている。この研磨定盤12の上面すなわちワーク(半導体ウエハー)16が押しつけられる面には、シート状樹脂製の研磨パッド18が貼り着けられている。
【0021】
貼付円盤20の下面すなわち上記研磨パッド18と対向する面には、ワーク16が保持され、貼付円盤20によりワーク16が所定の荷重で研磨パッド18に押圧されるようになっている。また、平面研磨装置10の貼付円盤20の近傍には、滴下ノズル22が設けられており、図示しないタンクから送出された研磨液(ルブリカント)PFが上記研磨定盤12上に供給されるようになっている。
【0022】
平面研磨装置10には、研磨定盤12の回転軸線C1に平行な回転軸線まわりに回転可能、かつ、その回転軸線の方向および研磨定盤12の径方向に移動可能に配置された図示しない調整工具保持部材と、その調整工具保持部材の下面すなわち研磨パッド18と対向する面に取り付けられた図示しないダイヤモンドホイールのような研磨体調整工具(ドレッサ又はコンディショナー)とが必要に応じて設けられている。この調整工具保持部材およびそれに取り付けられた研磨体調整工具は、図示しない調整工具駆動モータにより回転駆動された状態で研磨パッド18に押しつけられ、且つ研磨定盤12の径方向に往復移動させられることにより、研磨パッド18の研磨面の調整がおこなわれてその研磨パッド18の表面状態が研磨加工に適した状態に常時維持されるようになっている。
【0023】
図2に示されるように、研磨定盤12上の回転軸線C1から偏心した位置には、被研磨体であるワーク16を吸着、接着或いは保持枠等を用いて下面において保持する短円柱状の貼付円盤20の外周面が、図示しないフレームに固定された位置固定のガイドローラ固定台28に設けられた一対の遊転ガイドローラ30および駆動ガイドローラ32に受けられて、貼付円盤20が自転軸線C2まわりに自転可能とされている。貼付円盤20は研磨定盤あるいは研磨パッド18の周速差に基づく回転力を受けて自転軸線2まわりに自転させられつつ、たとえば錘(ウエイト)34による荷重で貼付円盤20が研磨定盤12上の研磨パッド18に押しつけてられることで、ワーク16の研磨が行なわれるようになっている。
【0024】
研磨加工装置10による研磨加工に際しては、以下の研磨加工方法が適用される。すなわち、研磨定盤12に貼り着けられた研磨パッド18と、貼付円盤20およびその下面に保持されたワーク16とが、定盤駆動モータ14および駆動ガイドローラ32によりそれぞれの回転軸線C1および自転軸線C2まわりに回転駆動された状態で、上記滴下ノズル22から、研磨砥粒を含まない研磨液PFが研磨パッド18の表面上に供給されつつ、貼付円盤20に保持されたワーク16がその研磨パッド18に押しつけられる。これにより、ワーク16の被研磨面すなわち研磨パッド18に対向する面が、研磨液PFによる化学的研磨作用によって、平坦に研磨される。
【0025】
研磨パッド18は、気泡および砥粒を含まない緻密な樹脂、独立気孔又は連通気孔を含む気孔樹脂、或いは、独立気孔又は連通気孔内に砥粒(シリカ)を内包した砥粒内包型樹脂からシート状に成型されたものである。それらの樹脂は、炭素Cと、水素H、酸素O、窒素N、硫黄S、およびフッ素Fのうちの少なくとも1つとを含む高分子であって、水素Hの含有率をMH(質量%)、炭素Cの含有率をMC(質量%)、酸素Oの含有率をMO(質量%)、窒素Nの含有率をMN(質量%)、硫黄Sの含有率をMS(質量%)、フッ素Fの含有率をMF(質量%)としたとき、式(1)で表される研磨レート寄与度数PRNを有し、研磨レート寄与度数PRNは式(2)を満足する樹脂であり、好適には式(3)を満足する樹脂である。
PRN=-5738MH+849.6MC+1766MO
-40.7MN-394.9MS+219.4MF ・・・ (1)
268.4≦PRN≦1516.3 ・・・ (2)
268.4≦PRN≦959.3 ・・・ (3)
【0026】
研磨レート寄与度数PRNが、式(3)を満足する樹脂としては、
図3の化学構造式で表されるPES樹脂(ポリエーテルサルホン樹脂)、
図4の化学構造式で表されるPSU樹脂(ポリサルホン樹脂)、
図5の化学構造式で表されるPPSU樹脂(ポリフェニルサルホン樹脂)、
図6の化学構造式で表されるPEEK樹脂(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)、
図7の化学構造式で表されるPU樹脂(イソシアネートとポリオールより合成したポリウレタン樹脂)、
図8の化学構造式で表されるPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)樹脂)、
図9の化学構造式で表されるEP樹脂(エポキシ樹脂の硬化物であって、グリシジルエーテルタイプエポキシとアミン系硬化剤との硬化物)、
図10の化学構造式で表されるPEG#400系アクリル樹脂(平均分子量が400となるポリエチレングリコールの両端にアクリル基が結合されているアクリレートモノマーを紫外線硬化させたアクリル樹脂)、
図11の化学構造式で表されるPC樹脂(ポリカーボネート樹脂)、
図12の化学構造式で表されるポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%との共重合体樹脂(PVDF(80%)-HFP(20%)樹脂)、
図13の化学構造式で表されるPVDF(100%)樹脂(ポリフッ化ビニリデン樹脂)が、挙げられる。
【0027】
[実験例1]
以下、本発明者等が行った半導体ウエハーについての研磨の実験例を説明する。先ず、
図1に示す研磨加工装置10と同様に構成された装置を用い、
図14-
図16に化学構造式を示す樹脂からなる研磨パッドである比較例品1-3、
図4-
図13に化学構造式を示す樹脂からなる研磨パッドである実施例品1-11を用いた14種類の研磨加工を、4インチφのSiCウエハーについて、以下に示す研磨加工試験条件1の下で、研磨をそれぞれ行なった。比較例品1-3及び実施例品1-11の樹脂は、砥粒および気孔を含まない樹脂プレートかである。そして、研磨試験後のSiCウエハーの研磨レートPR及び表面粗さSaは、以下の研磨レートの測定方法および表面粗さ測定方法を用いた。また、比較例品1-3、実施例品1-11に用いたそれぞれの研磨パッドについて、式(1)を用いて研磨レート寄与度数PRNをそれぞれ算出した。
【0028】
[研磨加工試験条件1]
ワーク :4インチφのSiCウエハー(0001)面、傾斜角4°
ワーク回転数 :60rpm
研磨パッド径 :300mmφ
研磨パッド回転数 :60rpm
研磨圧力 :42kPa
研磨液 :KMnO4(0.25mol/l) pH=3.2
研磨液流量 :10ml/min
【0029】
[研磨レートの測定方法]
研磨加工試験前後のワークの質量差を、化学天秤を用いて求め、既知のワークの密度および研磨面の表面積から研磨量(磨耗厚み)を求め、その研磨量を研磨時間で除することで、研磨レートPR(nm/h)を算出した。
【0030】
[表面粗さ測定方法]
研磨加工試験後のシリコンウエハーの研磨面の表面プロファイルを、白色干渉顕微鏡(日立ハイテク社VS-1330)を用いて表面粗さを測定し、ISO25178で規定された算術平均粗さSaを算出した。
【0031】
図17には、実験例1により得られた、比較例品1-3に用いた3種類の研磨パッド、及び実施例品1-11にそれぞれ用いた11種類の研磨パッドをそれぞれ構成する樹脂の種類及びその樹脂に含まれる各元素の含有率(質量%)と、研磨試験結果(研磨レートPR(nm/h)と、研磨面の表面粗さSa(nm))と、研磨レート寄与度数PRNとが、それぞれ示されている。
【0032】
図17において、比較例品1~3の研磨パッドは、研磨レートPRが実用性の判定基準値である249(nm/min)を下まわる、比較的実用性の劣る研磨パッドのグループであり、実施例品1~11に用いた研磨パッドは、研磨レートPRが実用性の判定基準である250(nm/min)を上まわる、実用的に合格品の研磨パッドのグループである。表面粗さSa(nm)については、比較例品1~3および実施例品1-11のそれぞれの研磨パッドとの間において、平均値でいうとそれほどの差がない。なお、上記研磨レートPRの実用性の判定基準値は、メラミン樹脂製研磨パッドの研磨レートPRの3倍の値に設定されている。
【0033】
(研磨レート寄与度数PRNの式(1)の導出)
図17において、実施例品6のPET樹脂は、実施例品5のPU樹脂に対して、窒素Nと水素Hとの結合が炭素Cと酸素Oとの結合に替わることにより、研磨レートPRが倍程度に増加している。比較例品3のPPS樹脂は、実施例品1のPES樹脂に対して、酸素Oが無くなることにより、研磨レートPRが1/4程度に減少している。実施例品4のPEEK樹脂は、実施例品1のPES樹脂に対して、硫黄Sが無くなることにより、研磨レートPRが1.2倍程度に増加している。実施例品8のPEG#400系アクリル樹脂は、実施例品1のPES樹脂に対して、硫黄Sが無くなることにより、研磨レートPRが1.2倍程度に増加している。このような事実から、炭素Cおよび酸素Oの原子は研磨レートPRを上げる効果を有し、硫黄S、窒素N、水素Hの原子は研磨レートPRを上げる効果を有していると推定される。
【0034】
図17の回帰分析の係数(対含有率)は、比較例品1~3および実施例品1-11に含まれる炭素C、水素H、酸素O、窒素N、硫黄S、およびフッ素Fのそれぞれについて回帰分析を行なって得られた回帰式の係数である。それらの係数のうちの負の係数を有するH原子、N原子、及びS原子は、研磨レートPRを下げる効果を有し、正の係数を有するC原子、O原子、及びF原子は研磨レートPRを上げる効果を有することを示している。そして、それらC原子、H原子、O原子、N原子、S原子、およびF原子のそれぞれの係数の正負は、それらの原子が持つ酸化性・還元性と一致していることが、明確となった。そこで、水素の含有率をM
H(質量%)、前記炭素の含有率をM
C(質量%)、前記酸素の含有率をM
O(質量%)、前記窒素の含有率をM
N(質量%)、前記硫黄の含有率をM
S(質量%)、前記フッ素の含有率をM
F(質量%)とすると、回帰分析により得られた上記各元素の係数を各含有率に付すことで、研磨レート寄与度数PRNを前述の式(1)に示すように定義した。
【0035】
(研磨レート寄与度数PRNの範囲の導出)
比較例品1~3及び実施例品1~11のそれぞれについて、式(1)を用いて研磨レート寄与度数PRNを算出すると、
図17に示す値となる。また、それら研磨レート寄与度数PRNと比較例品1~3及び実施例品1~11のそれぞれの研磨レートPR(nm/h)との関係は、
図18に示す如くとなる。
図18において、実施例品1-11の研磨レート寄与度数PRNの最小値は268であり.最大値は959.3であった。これにより、前述の式(3)が導かれる。
【0036】
ところで、式(1)の実施例品1-11に含まれる炭素C、水素H、酸素O、窒素N、硫黄S、およびフッ素Fの係数値のうち、研磨レート寄与度数PRNへの寄与が最も大きい元素は、酸素Oである。また、研磨パッドを構成する樹脂であるためには、高分子構造の骨格としての炭素Cが必須である。よって、それらの事実から、理論的には、炭素Cと酸素Oのみで、酸素Oが最も多くなる分子構造が最も研磨レート寄与度数PRNを高くできると考えられる。このような樹脂は、
図19に示す高分子構造となる。この高分子において、炭素Cのモル比と酸素Oのモル比とは、炭素Cの原子量が12.01、酸素Oの原子量が15.99でることから1:2となる。また、炭素Cの質量比と酸素Oの質量比とは、0.273:0.727となる。
【0037】
このように、炭素Cの質量比と酸素Oの質量比とは、0.273:0.727であることから、水素Hの含有率MH=0、炭素Cの含有率MC=0.273、酸素Oの含有率MO=0.727、窒素Nの含有率MN=0、硫黄Sの含有率MS=0、フッ素Fの含有率MF=0を、式(1)の右辺に代入すると、研磨レート寄与度数PRNの理論的な最大値として、「1516.3」が得られる。これにより、前述の式(2)が導かれる。
【0038】
(研磨メカニズムの説明)
次に、砥粒および気孔を含まない樹脂プレートから成る比較例品1-3及び実施例品1-11を研磨パッドに用いたSiCウエハーの研磨加工において、砥粒を用いない研磨が可能な研磨メカニズムを以下に説明する。先ず、研磨液を構成する過マンガン酸カリウム水溶液は、C原子、O原子、及び/又はF原子を含むことで酸化力が強い樹脂と接触すると、樹脂から電子を奪うことが難しく、式(4)及び(5)に示す酸化反応が起きにくい。この状況下で研磨時の熱で起こる水分蒸発により、砥粒として機能する微小な結晶である過マンガン酸カリウムKMnO4を析出する。この時、析出した砥粒としての過マンガン酸カリウムKMnO4は式(4)及び(5)のように電子はく奪性が高いため、酸化力が高く研磨レートが高くなる。反対に、研磨液を構成する過マンガン酸カリウム水溶液は、H原子、N原子、及びS原子を含むことで還元性が強い樹脂と接触すると、式(4)又は(5)に示す酸化還元反応により、KMnO4(MnO4
-イオン)が還元されてMn2+イオンの溶出又はMnO2の析出が生じる。この時、Mn2+イオンが溶出した場合は、砥粒となる固形物が存在しないため、研磨ができない若しくは研磨レートが非常に低くなる。また、MnO2が析出した場合は、式(6)のように電子はく奪性が低いため、酸化力が低く研磨レートが低くなる。
【0039】
MnO4
-+8H++5e-⇔Mn2++4H2O ・・・ (4)
MnO4
-+4H++3e-⇔MnO2+2H2O ・・・ (5)
MnO2 +4H++2e-→Mn2++2H2O ・・・ (6)
【0040】
図20は、上記C原子、O原子、及び/又はF原子を含むことで酸化力が強い樹脂、すなわち実施例品1-11のいずれかの樹脂から構成された研磨パッドが研磨液を構成する過マンガン酸カリウム水溶液と接触することで、研磨パッドの表面のペースト状物質に含まれた微小な析出物(KMnO
4結晶)CPのSEM写真を示している。
図21は、その析出物CPのX線回折スペクトラムを示している。
図21において、析出物CPのX線回折スペクトラムは、KMnO
4のピークパターンと一致しているので、析出物CPはKMnO
4の析出物であることが判る。このKMnO
4の析出物CPが砥粒として機能するので、砥粒および気孔を含まない樹脂プレートから成る研磨パッドを用いても、SiCウエハーの研磨が行なわれる。
【0041】
[実験例2]
次に、
図22に示す比較例品4-7及び実施例品12-18の研磨パッドを、
図1に示す研磨加工装置10と同様に構成された装置に適用し、研磨加工試験条件1と同じ研磨加工試験条件2で、4インチφのSiCウエハーを研磨した。本実験例2では、実験例1に対して、市販研磨パッドや砥粒入り研磨パッドを使用している点、比較例品4の場合にはシリカ砥粒を含む遊離砥粒スラリーが用いられている点、実施例品13、15、17、18が砥粒内包型研磨パッドである点で、相違する。前述のように、実施例品12-18の研磨パッドを構成する樹脂は、いずれも研磨レート寄与度数PRNが、式(3)を満足する樹脂である。
【0042】
図22において、比較例品4と比較例品7とは、不織布パッド(ポリウレタン含浸ポリエステル繊維)である点で共通するが、比較例品4を用いた研磨では、比較例品7を用いた研磨よりも、研磨レートPRが倍以上高い。遊離砥粒スラリーが用いられているためであると考えられる。また、実施例品12-18は、比較例品5に比較して、高い研磨レートPRが得られている。
【0043】
図22において、実施例品12と実施例品13とは、エポキシ樹脂パッドである点で共通するが、実施例品13はシリカ砥粒を内包する砥粒内包型樹脂パッドである点で相違し、研磨レートPRが実施例品12よりも1.4倍程度高い。同様に、実施例品14と実施例品15とは、PEG#400系アクリル樹脂である点で共通するが、実施例品15はシリカ砥粒を内包する砥粒内包型樹脂パッドである点で相違し、研磨レートPRが実施例品14よりも1.8倍程度高い。また、実施例品16と実施例品17は、PES樹脂パッドである点で共通するが、実施例品17はシリカ砥粒を内包する砥粒内包型樹脂パッドである点で相違し、研磨レートPRが実施例品16よりも2.1倍程度高い。実施例品18は、実施例品17と同じ砥粒内包型樹脂パッドであるが、内包した砥粒がセリア砥粒である点で相違する。セリア砥粒を内包する砥粒内包型樹脂パッドである実施例品18は、シリカ砥粒を内包する砥粒内包型樹脂パッドである実施例品17に対して、0.84倍程度の比較的高い研磨レートPRがえられる。
【0044】
図23は、上記砥粒内包型研磨パッドの構成を説明する模式図である。
図23において、砥粒内包型研磨パッドLHAの母材樹脂42は、たとえば断面径の平均が0.05(μm)程度の繊維状を成しており、その繊維状の母材樹脂42の間隙にたとえば平均粒径が0.3(μm)の研磨砥粒44がその一部において母材樹脂42の外周に固着した状態で、或いはその間隙において母材樹脂42から分離した状態で存在している。ここで、繊維状の母材樹脂42の相互の間隙を連通させる連通気孔46を考えれば、研磨砥粒44はその連通気孔46内に設けられたものであると言える。そして、連通気孔46は、図示しない縦長気孔に連通し且つ相互に連通するように形成されている。つまり、研磨砥粒44は、その一部において連通気孔46の内壁に固着した状態で、或いはその連通気孔46内において母材樹脂42から分離した状態で存在しており、それぞれの連通気孔46は少なくとも1つ以上の研磨砥粒44を内包して母材樹脂42中に形成されている。この砥粒内包型研磨パッドLHAを用いた研磨に際しては、砥粒内包型研磨パッドLHAに内包された研磨砥粒44が研磨面に供給され、研磨レートPRが高められる。
【0045】
(砥粒内包型研磨パッドの研磨メカニズムの説明)
図24は、砥粒内包型研磨パッドLHAの研磨メカニズムを説明する模式図である。
図24において、研磨液PFの滴下により、砥粒内包型研磨パッドLHAの表面及び連通気孔46が研磨液PFにより満たされる。これにより、研磨液PFを構成する過マンガン酸カリウム水溶液が、C原子、O原子、及び/又はF原子を含むことで酸化力が強い母材樹脂42と接触することで、前述の式(4)又は(5)に示す酸化反応により電子が奪われ、砥粒として機能する微小な析出物(KMnO
4結晶)CPが析出される。この状態で、ワーク16が砥粒内包型研磨パッドLHAの表面上を移動させられると、析出物(KMnO
4結晶)CPおよび研磨砥粒44がワーク16に当たるとともに、研磨砥粒44の動きにより析出物CPがワーク16に当たる頻度が高められるので、高い研磨レートPRが得られる。
【0046】
[実験例3]
次に、
図25に示す比較例品8-9及び実施例品19-25の研磨パッドを、
図1に示す研磨加工装置10と同様に構成された装置に適用し、研磨加工試験条件3の条件下で、2インチφのGaNウエハーを研磨した。本実験例3では、実験例1に対して、GaNウエハーを研磨する点、比較例品8の場合にはシリカ砥粒を含む遊離砥粒スラリーが用いられている点、実施例品21、23、24、25が砥粒内包型研磨パッドである点で、相違する。前述のように、実施例品19-258の研磨パッドを構成する樹脂は、いずれも研磨レート寄与度数PRNが、式(3)を満足する樹脂である。
【0047】
[研磨加工試験条件3]
ワーク :2インチφのGaNウエハー(0001)Ga面
ワーク回転数 :60rpm
研磨パッド径 :300mmφ
研磨パッド回転数 :60rpm
研磨圧力 :50kPa
研磨液 :KMnO4(0.25mol/l) pH=1.0
研磨スラリー :KMnO4(0.25mol/l) pH=1.0
+シリカ(12.5wt%)
研磨液流量 :10ml/min
【0048】
図25において、比較例品8と比較例品9とは、硬質ポリウレタン樹脂パッド(気孔あり)である点で共通するが、比較例品8を用いた研磨では、比較例品9を用いた研磨よりも、研磨レートPRが10倍以上高い。遊離砥粒スラリーが用いられているためであると考えられる。また、実施例品19-25は、比較例品9に比較して、高い研磨レートPRが得られている。
【0049】
図25において、実施例品19、実施例品20、実施例品21は、PES樹脂パッドである点で共通するが、実施例品19は気孔を有しない樹脂プレートであり、実施例品20は連通気孔を有する樹脂パッドであり、実施例品21はシリカ砥粒を内容する砥粒内包型研磨パッドである点で相違している。実施例品21は、実施例品19および実施例品20に対して、10倍程度の高い研磨レートPRが得られている。実施例品22および実施例品23は、PEG#400系樹脂パッドである点で共通するが、実施例品22は独立気孔を有する樹脂パッドであり、実施例品23はシリカ砥粒を内容する砥粒内包型研磨パッドである点で相違している。実施例品23は、実施例品22に対して、6.5倍程度の高い研磨レートPRが得られている。実施例品24は、比較例品9に対して、PVDF(80%)+HFP(20%)樹脂のシリカ砥粒内包型研磨パッドである点で相違し、33倍程度の高い研磨レートPRが得られている。実施例品25は、比較例品9に対して、エポキシ樹脂のシリカ砥粒内包型研磨パッドである点で相違し、30倍程度の高い研磨レートPRが得られている。
【0050】
[実験例4]
次に、
図26に示す比較例品10及び実施例品26-27の研磨パッドを、
図1に示す研磨加工装置10と同様に構成された装置に適用し、研磨加工試験条件4の条件下で、2インチφのInPウエハーを研磨した。本実験例4では、実験例1に対して、InPウエハーを研磨する点、比較例品10の場合にはシリカ砥粒を含む遊離砥粒スラリーが用いられている点、実施例品27が砥粒内包型研磨パッドである点で、相違する。前述のように、実施例品26-27の研磨パッドを構成する樹脂は、いずれも研磨レート寄与度数PRNが、式(3)を満足する樹脂である。
【0051】
[研磨加工試験条件4]
ワーク :2インチφのInPウエハー(100)
ワーク回転数 :90rpm
研磨パッド径 :300mmφ
研磨パッド回転数 :90rpm
研磨圧力 :14kPa
研磨液 :KMnO4(0.25mol/l) pH=6.9
研磨スラリー :KMnO4(0.25mol/l) pH=6.7
+シリカ(12.5wt%)
研磨液流量 :10ml/min
【0052】
図26において、比較例品10は、硬質ポリウレタン樹脂パッド(気孔あり)であり、遊離砥粒スラリーが用いられているため、比較的高い研磨レートPRが得られている。実施例品26は、気孔および砥粒を含まないPES樹脂プレートから成り、比較例品10よりも8%程度の高い研磨レートPRが得られている。実施例品27は、連通気孔を有しその連通気孔内にシリカ砥粒を内包する砥粒内包型PES樹脂パッドから成り、比較例品10よりも2倍程度の高い研磨レートPRが得られている。
【0053】
上述のように、本実施例の樹脂から構成される研磨パッド18、研磨パッド18を用いた研磨方法によれば、砥粒を含まない強酸化剤の水溶液である研磨液PFを用いることから、研磨液PFを循環させる循環経路の途中に細かな目開きのフィルタを使用することができるので、スクラッチ傷の発生を大幅に削減でき半導体ウエハーの研磨について安定した研磨が得られるとともに、砥粒の消費が抑制されて環境負荷が軽減される。また、前記樹脂製の研磨パッドは、炭素と、水素、酸素、窒素、硫黄、フッ素のうちの少なくとも1つとを含む高分子であって、前記研磨パッドの研磨レート寄与度数PRNが268.4以上且つ1516.3以下であるので、研磨レートが安定して大幅に向上する。
【0054】
また、本実施例の樹脂から構成される研磨パッド18、研磨パッド18を用いた研磨方法によれば、好適には、前記研磨パッドの研磨レート寄与度数PRNは、式(3)を満足するものである。これによれば、前記研磨パッドの研磨レート寄与度数PRNが268.4以上且つ959.3以下であるので、研磨レートが一層に向上する。
【0055】
また、本実施例の樹脂から構成される研磨パッド18、研磨パッド18を用いた研磨方法によれば、研磨液PFは、強酸化剤の水溶液として過マンガン酸カリウム水溶液を含む。これにより、過マンガン酸カリウム水溶液中に含まれる過マンガン酸イオンの還元が前記研磨パッド18を構成する高分子により抑制されることで研磨パッド18上に過マンガン酸塩が析出され、過マンガン酸塩の析出粒子CPを研磨粒子としてワーク(半導体ウエハー)16が研磨される。
【0056】
また、本実施例の樹脂から構成される研磨パッド18、研磨パッド18を用いた研磨方法によれば、研磨パッド18を構成する樹脂は、PES(ポリエーテルサルフォン)樹脂、PSU(ポリサルフォン)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PU(ポリウレタン)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル))樹脂、EP(エポキシ)樹脂の硬化物(グリシジルエーテルタイプエポキシとアミン系硬化剤との硬化物)、PEG#400系アクリル樹脂(平均分子量が400となるポリエチレングリコールの両端にアクリル基が結合されているアクリレートモノマーを紫外線硬化させたアクリル樹脂)、PC(ポリカーボネート)樹脂、PVDF80%+HFP20%(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%による共重合体樹脂)、PVDF100%(ポリフッ化ビニリデン樹脂)のうちのいずれか1の樹脂である。これにより、金属イオンを含む研磨液PFが研磨パッド18に接触することで、研磨パッド18の上に金属酸化物粒子が析出される。
【0057】
また、本実施例の樹脂から構成される研磨パッド18、研磨パッド18を用いた研磨方法によれば、研磨パッド18は、砥粒及び独立気孔又は連通気孔を有しなくてもよいが、砥粒を有してもよいし、独立気孔及び/又は連通気孔を有していてもよい。さらに好適には、研磨パッド18は、独立気孔及び/又は連通気孔内にシリカ砥粒、アルミナ砥粒、ジルコニア砥粒、マンガン酸化物砥粒、セリア砥粒のうちの少なくとも1つを砥粒として内包する。これにより、砥粒の遍在化により平坦化研磨か容易となるとともに、作用点が多くなって高い研磨レートが得られる。
【0058】
また、本実施例の樹脂から構成される研磨パッド18を用いた研磨方法によれば、砥粒を含まない強酸化剤水溶液である研磨液PF、および樹脂製の研磨パッド18を用いて半導体ウエハーを研磨する半導体ウエハーの研磨方法であって、前記研磨パッドは、炭素と、水素、酸素、窒素、硫黄、フッ素のうちの少なくとも1つとを含む高分子であって、前記水素原子の含有率をMH(質量%)、前記炭素原子の含有率をMC(質量%)、前記酸素原子の含有率をMO(質量%)、前記窒素原子の含有率をMN(質量%)、前記硫黄の含有率をMS(質量%)、前記フッ素原子の含有率をMF(質量%)としたとき、式(1)で表される研磨レート寄与度数PRNを有し、前記研磨レート寄与度数PRNは式(2)を満足することにある。
【0059】
これにより、砥粒を含まない強酸化剤の水溶液である研磨液PFを用いることから、研磨液PFを循環させる循環経路の途中に細かな目開きのフィルタを使用することができるので、スクラッチ傷の発生を大幅に削減でき半導体ウエハーの研磨について安定した研磨が得られるとともに、砥粒44の消費が抑制されて環境負荷が軽減される。また、樹脂製の研磨パッド18は、炭素と、水素、酸素、窒素、硫黄、フッ素のうちの少なくとも1つとを含む高分子であって、前記研磨パッドの研磨レート寄与度数PRNが268.4以上且つ1516.3以下であるので、研磨レートが大幅に向上する。
【0060】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0061】
たとえば、前述の実施例では、研磨パッド18は、LHAパッド(登録商標)と称されるものであって、その母材樹脂42は繊維状を成すものであったが、これは本発明の好適な形態に過ぎず、本発明の研磨パッド18における母材樹脂42は、繰り返し単位毎に、炭素Cと、水素H、酸素O、窒素N、硫黄S、およびフッ素Fのうちの少なくとも1つとを含む樹脂であれば、気孔および砥粒を有しない緻密な樹脂から構成されたものであってもよい。
【0062】
また、前述の実施例においては、研磨パッド18、特にGaNウエハーの研磨に有効なLHAパッドは、網目状の連通気孔46を備えたものであったが、気泡状の連通気孔46を備えたものであってもよいし、連通気孔46のない緻密な樹脂から構成さでたものでも構わない。
【0063】
また、前述の実施例においては、研磨液PFは、過マンガン酸ナトリウムを水に溶解して得られる過マンガン酸ナトリウムイオンを含むものであってもよい。この場合には、研磨液PFが研磨パッド18に接触すると、研磨パッド18上には過マンガン酸塩として過マンガン酸ナトリウムが析出する。
【0064】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
前記研磨パッドは、砥粒及び独立気孔又は連通気孔を有しない樹脂、独立気孔及び/又は連通気孔を有する樹脂、前記独立気孔及び/又は連通気孔内にシリカ砥粒、アルミナ砥粒、ジルコニア砥粒、マンガン酸化物砥粒、セリア砥粒のうちの少なくとも1つを砥粒として内包する樹脂のいずれか1から構成されている
ことを特徴とする請求項1の半導体ウエハーの研磨パッド。
前記研磨パッドは、砥粒及び独立気孔又は連通気孔を有しない樹脂、独立気孔及び/又は連通気孔を有する樹脂、前記独立気孔及び/又は連通気孔内にシリカ砥粒、アルミナ砥粒、ジルコニア砥粒、マンガン酸化物砥粒、セリア砥粒のうちの少なくとも1つを砥粒として内包する樹脂のいずれか1から構成されている
ことを特徴とする請求項5の半導体ウエハーの研磨方法。
また、好適には、前記研磨パッドを用いた研磨方法の要旨とするところは、砥粒を含まない強酸化剤水溶液である研磨液、および樹脂製の研磨パッドを用いて半導体ウエハーを研磨する半導体ウエハーの研磨方法であって、前記研磨パッドは、炭素と、水素、酸素、窒素、硫黄、フッ素のうちの少なくとも1つとを含む高分子であって、前記水素原子の含有率をMH(重量率)、前記炭素原子の含有率をMC(重量率)、前記酸素原子の含有率をMO(重量率)、前記窒素原子の含有率をMN(重量率)、前記硫黄の含有率をMS(重量率)、前記フッ素原子の含有率をMF(重量率)としたとき、式(1)で表される研磨レート寄与度数PRNを有し、前記研磨レート寄与度数PRNは式(2)を満足することにある。
研磨パッド18は、気泡および砥粒を含まない緻密な樹脂、独立気孔又は連通気孔を含む気孔樹脂、或いは、独立気孔又は連通気孔内に砥粒(シリカ)を内包した砥粒内包型樹脂からシート状に成型されたものである。それらの樹脂は、炭素Cと、水素H、酸素O、窒素N、硫黄S、およびフッ素Fのうちの少なくとも1つとを含む高分子であって、水素Hの含有率をMH(重量率)、炭素Cの含有率をMC(重量率)、酸素Oの含有率をMO(重量率)、窒素Nの含有率をMN(重量率)、硫黄Sの含有率をMS(重量率)、フッ素Fの含有率をMF(重量率)としたとき、式(1)で表される研磨レート寄与度数PRNを有し、研磨レート寄与度数PRNは式(2)を満足する樹脂であり、好適には式(3)を満足する樹脂である。
PRN=-5738MH+849.6MC+1766MO
-40.7MN-394.9MS+219.4MF ・・・ (1)
268.4≦PRN≦1516.3 ・・・ (2)
268.4≦PRN≦959.3 ・・・ (3)
また、本実施例の樹脂から構成される研磨パッド18を用いた研磨方法によれば、砥粒を含まない強酸化剤水溶液である研磨液PF、および樹脂製の研磨パッド18を用いて半導体ウエハーを研磨する半導体ウエハーの研磨方法であって、前記研磨パッドは、炭素と、水素、酸素、窒素、硫黄、フッ素のうちの少なくとも1つとを含む高分子であって、前記水素原子の含有率をMH(重量率)、前記炭素原子の含有率をMC(重量率)、前記酸素原子の含有率をMO(重量率)、前記窒素原子の含有率をMN(重量率)、前記硫黄の含有率をMS(重量率)、前記フッ素原子の含有率をMF(重量率)としたとき、式(1)で表される研磨レート寄与度数PRNを有し、前記研磨レート寄与度数PRNは式(2)を満足することにある。