(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125953
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ウエハ保持台
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034107
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116366
【弁理士】
【氏名又は名称】二島 英明
(72)【発明者】
【氏名】北林 桂児
(72)【発明者】
【氏名】木村 功一
(72)【発明者】
【氏名】先田 成伸
(72)【発明者】
【氏名】藤井 亮成
(72)【発明者】
【氏名】板倉 克裕
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA69
5F131EA04
5F131EB01
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB82
5F131KA23
5F131KA61
(57)【要約】
【課題】ベースプレートに真空吸着されるトッププレートを備えるウエハ保持台において、上記真空吸着を阻害することなく温度センサを配置することができるウエハ保持台を提供する。
【解決手段】ウエハ保持台は、ウエハが配置される上面を有するトッププレートと、前記トッププレートの下部に配置されたベースプレートと、を備える。前記トッププレートは、検知部および前記検知部から延びるリード線を有する温度センサと、前記温度センサが収納された配線経路と、前記ベースプレートの上部に前記トッププレートを真空吸着するための排気経路とを有する。前記配線経路は、前記検知部が配置された第一端部と、前記リード線が引き出された第二端部と、を有する。前記第二端部は、前記トッププレートの周面に設けられた開口を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハが載せられる上面を有するトッププレートと、
前記トッププレートの下部に配置されたベースプレートと、を備え、
前記トッププレートは、
検知部および前記検知部から延びるリード線を有する温度センサと、
前記温度センサが収納された配線経路と、
前記ベースプレートの上部に前記トッププレートを真空吸着するための第一排気経路と、を有し、
前記配線経路は、前記検知部が配置された第一端部と、前記リード線が引き出された第二端部と、を有し、
前記第二端部は、前記トッププレートの周面に設けられた開口を含む、
ウエハ保持台。
【請求項2】
前記配線経路は、前記トッププレートの内部に設けられた孔である、請求項1に記載のウエハ保持台。
【請求項3】
前記配線経路は、前記トッププレートの下面に設けられた溝である、請求項1に記載のウエハ保持台。
【請求項4】
前記配線経路の長さが20mm以上である、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項5】
前記検知部は、前記トッププレートの厚さを二等分する面よりも前記上面に近い位置に配置されている、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項6】
前記検知部は、前記トッププレートの前記上面から5mm以内に配置されている、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項7】
前記検知部は、前記配線経路の内面に接着されている、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項8】
前記リード線は、前記配線経路の前記第二端部に接着されている、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項9】
前記リード線は、前記配線経路における前記第一端部と前記第二端部との間に接着されている、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項10】
前記トッププレートの前記上面は、前記ウエハを吸着するための第二排気経路を有する、請求項2または請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項11】
前記ベースプレートの下部に冷却プレートを有し、
前記冷却プレートは、冷媒の流路を有する、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項12】
前記トッププレートは、冷媒の流路を有する、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項13】
前記温度センサおよび前記配線経路の各々は、複数設けられている、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウエハ保持台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プローバ用のウエハ保持台を開示する。プローバは、ウエハを個々のチップに切断する前に、ウエハを加熱しながら各チップの電気性能を測定する検査装置である。このウエハ保持台は、上部から下部に向かって順に、ウエハが載置される載置台、載置台を保持する保持部材、冷却モジュール、加熱体及び支持部材を備える。載置台、保持部材、冷却モジュールおよび加熱体の各々は、層状に構成され、かつ互いに重ねられている。保持部材は、複数の支柱を有する支持部材に支持される。この載置台は、ウエハを載置するための載置面と、載置面と反対側の面と、を備える。載置面は、ウエハを吸着するための吸着孔を有する。載置面と反対側の面は、保持部材を吸着するための吸着孔を有する。上記載置台、保持部材、冷却モジュール、加熱体および支持部材は、後述する本開示のウエハ保持台におけるトッププレート、ベースプレート、冷却プレート、及び台座に相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウエハの温度を精密に制御するため、ウエハ保持台の温度を精密に制御することが望まれる。ウエハ保持台に温度センサを配置すれば、トッププレートの温度を測定することができる。但し、トッププレートをベースプレートに吸着する場合、温度センサの具体的な配置の仕方、特に温度センサのリード線の取り回しが十分に検討されていない。
【0005】
本開示は、ベースプレートに真空吸着されるトッププレートを備えるウエハ保持台において、上記真空吸着を阻害することなく温度センサを配置することができるウエハ保持台を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るウエハ保持台は、ウエハが配置される上面を有するトッププレートと、前記トッププレートの下部に配置されたベースプレートと、を備える。前記トッププレートは、検知部および前記検知部から延びるリード線を有する温度センサと、前記温度センサが収納された配線経路と、前記ベースプレートの上部に前記トッププレートを真空吸着するための排気経路とを有する。前記配線経路は、前記検知部が配置された第一端部と、前記リード線が引き出された第二端部と、を有する。前記第二端部は、前記トッププレートの周面に設けられた開口を含む。
【発明の効果】
【0007】
上記ウエハ保持台は、ベースプレートに真空吸着されるトッププレートを備えるウエハ保持台において、上記真空吸着を阻害することなく温度センサを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るウエハ保持台の模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るウエハ保持台に用いられる温度センサの模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係るウエハ保持台のトッププレートの下面図である。
【
図4】
図4は、
図3のトッププレートのIV-IV断面図である。
【
図5】
図5は、
図3のトッププレートの変形例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係るウエハ保持台の模式図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係るウエハ保持台のトッププレートの下面図である。
【
図8】
図8は、
図7のトッププレートのVIII-VIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《本開示の実施形態の説明》
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
(1)本開示の一態様のウエハ保持台は、ウエハが配置される上面を有するトッププレートと、前記トッププレートの下部に配置されたベースプレートと、を備える。前記トッププレートは、検知部および前記検知部から延びるリード線を有する温度センサと、前記温度センサが収納された配線経路と、前記ベースプレートの上部に前記トッププレートを真空吸着するための第一排気経路とを有する。前記配線経路は、前記検知部が配置された第一端部と、前記リード線が引き出された第二端部と、を有する。前記第二端部は、前記トッププレートの周面に設けられた開口を含む。
【0011】
上記ウエハ保持台は、ベースプレートに真空吸着されるトッププレートを備えるウエハ保持台において、上記真空吸着を阻害することなく温度センサを配置することができる。温度センサの配線は、トッププレートの周面に設けられた開口から引き出される。換言すれば、温度センサはトッププレートの上面と下面との間に配置される。そのため、トッププレートからベースプレートに抜けるように温度センサのリード線が通されることがない。つまり、トッププレートからベースプレートに抜けるリード線の配線経路がない。このようなリード線の配線経路がなければ、トッププレートをベースプレートに適切に真空吸着することができる。トッププレートはベースプレートに真空吸着されるため、トッププレートとベースプレートとの密着性が向上し、トッププレートとベースプレートとの間で熱の移動を円滑に行うことができる。真空吸着されるトッププレートとベースプレートとは着脱式であるため、各部材のハンドリングおよび組付けが容易である。
【0012】
(2)上記(1)のウエハ保持台において、前記配線経路は、前記トッププレートの内部に設けられた孔としてもよい。
【0013】
トッププレートに孔で構成された配線経路は形成し易い。孔内に配置された温度センサは配線経路から脱落することがない。
【0014】
(3)上記(1)のウエハ保持台において、前記配線経路は、前記トッププレートの下面に設けられた溝としてもよい。
【0015】
トッププレートの下面に溝で構成された配線経路は形成し易い。溝で構成された配線経路には温度センサを配置し易い。
【0016】
(4)上記(1)から(3)のいずれかに記載のウエハ保持台において、前記配線経路の長さを20mm以上としてもよい。
【0017】
配線経路の長さが20mm以上あれば、リード線の長さも約20mm以上確保し易い。そのため、リード線と配線経路の内面との接触箇所をサーマルアンカーとして利用することができる。リード線にサーマルアンカーを設けることで、温度センサの配置に伴うクールスポットがトッププレートに形成されることを抑制できる。
【0018】
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載のウエハ保持台において、前記検知部は、前記トッププレートの厚さを二等分する面よりも前記上面に近い位置に配置されていてもよい。
【0019】
検知部が上記二等分する面よりも上面に近い位置に配置されていれば、上面近傍の温度を精度よく検知できる。
【0020】
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載のウエハ保持台において、前記検知部は、前記トッププレートの前記上面から5mm以内に配置されていてもよい。
【0021】
検知部がトッププレートの上面から5mm以内に配置されていれば、上面近傍の温度を精度よく検知できる。
【0022】
(7)上記(1)から(6)のいずれかに記載のウエハ保持台において、前記検知部は、前記配線経路の内面に接着されていてもよい。
【0023】
検知部を配線経路の内面に接着することで、配線経路内における検知部の位置ずれを防止できる。上記検知部の接着により、精度よくトッププレートの温度を測定することができる。リード線の少なくとも一部が配線経路の内面に接着されていなければ、リード線の伸縮を配線経路内で吸収することができる。
【0024】
(8)上記(1)から(7)のいずれかに記載のウエハ保持台において、前記リード線は、前記配線経路の前記第二端部に接着されていてもよい。
【0025】
リード線が配線経路の第二端部に接着されていることで、検知部から第二端部の開口に至るまでのリード線にたるみを持たせ易い。このたるみにより、リード線の伸縮を吸収することができる。
【0026】
(9)上記(1)から(8)のいずれかに記載のウエハ保持台において、前記リード線は、前記配線経路における前記第一端部と第二端部との間に接着されていてもよい。
【0027】
配線経路の第一端部と第二端部との間にリード線が接着されていれば、この接着箇所をサーマルアンカーとして利用し易い。
【0028】
(10)上記(1)から(9)のいずれかに記載のウエハ保持台において、前記トッププレートの前記上面は、前記ウエハを吸着するための第二排気経路を有してもよい。
【0029】
トッププレートの上面に第二排気経路を有することで、ウエハをトッププレートに密着させることができる。そのため、ウエハを均一に加熱または冷却することができる。
【0030】
(11)上記(1)から(10)のいずれかに記載のウエハ保持台において、前記ベースプレートの下部に冷却プレートを有し、前記冷却プレートは、冷媒の流路を有してもよい。
【0031】
トッププレートと独立した冷却プレートを有することで、トッププレートを薄くし易い。トッププレートは冷媒の流路を備える必要がなく、トッププレートにおける第一排気経路または第二排気経路の配置の自由度が高められる。
【0032】
(12)上記(1)から(10)のいずれかに記載のウエハ保持台において、前記トッププレートは、冷媒の流路を有してもよい。
【0033】
トッププレートが冷媒流路を有することで、トッププレートを効率的に冷却でき、さらにはウエハを効率的に冷却できる。
【0034】
(13)上記(1)から(12)のいずれかに記載のウエハ保持台において、前記温度センサおよび配線経路の各々は、複数設けられていてもよい。
【0035】
温度センサおよび配線経路の各々が複数設けられていることで、トッププレートの上面における複数個所の温度を検知することができる。
【0036】
《本開示の実施形態の詳細》
以下、本開示のウエハ保持台の詳細を図面に基づいて説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。各図面が示す部材の大きさおよび位置関係などは、説明を明確にする目的で表現されており、必ずしも実際の寸法関係などを表すものではない。
【0037】
《実施形態1》
実施形態1に係るウエハ保持台1は、プローバに用いられる。プローバは、回路が形成された半導体のウエハを個々のチップに切断する前に、所定の温度に制御したウエハにプローブカードを押し当て、各チップの電気性能を測定する検査装置である。この検査は、ウエハを通常の使用温度よりも高温に加熱して、不良になる可能性のあるチップを加速的に不良化させて取り除く。プローバは、検査の効率化のため、ウエハを冷却することもできる。
【0038】
本例のウエハ保持台1は、
図1に示すように、ウエハのチップを検査する際、ウエハを保持するためのものである。
図1において、ウエハは省略されている。ウエハ保持台1は、トッププレート10、ベースプレート20、冷却プレート40、ヒータ50、台座60、支持部70およびケーシング80を備える。トッププレート10、ベースプレート20、冷却プレート40、ヒータ50および台座60は、上から順に配置されている。トッププレート10はベースプレート20に対して着脱自在である。ベースプレート20からヒータ50までの各部材は、一体に結合されている。このウエハ保持台1の特徴の一つは、トッププレート10が所定の配置形態を有する温度センサ14を備えることにある。以下、ウエハ保持台1に備わる各構成を詳細に説明する。
【0039】
(トッププレート)
トッププレート10は、ウエハが載せられる上面11と、上面11の反対側に位置する下面12と、上面11と下面12とをつなぐ周面13と、を有するプレートである。トッププレート10の形状は、ウエハの形状に対応した形状であり、例えば円板状である。トッププレート10の大きさは、ウエハの直径よりも若干大きい程度である。ウエハの直径は、例えば300mmである。トッププレート10の厚さは、例えば5mm以上20mm以下である。本例のトッププレート10の厚さは7mmである。トッププレート10を構成する材料は、導電性と熱伝導性とを備える材料が利用できる。例えば、トッププレート10の材質は銅である。このようなトッププレート10には、温度センサ14が収納される配線経路15が設けられている。
【0040】
・温度センサ
温度センサ14は、
図2に示すように、検知部14dと、検知部14dから延びるリード線14wと、を有する。温度センサ14は、例えば測温抵抗体である。この温度センサ14は、例えば300℃程度まで測定できるものが利用できる。検知部14dは、例えば薄膜素子と、薄膜素子を覆う絶縁カバーとを備える。薄膜素子は、絶縁カバーから露出されていてもよい。絶縁カバーは、例えばフッ素樹脂のチューブである。リード線14wは、導体と絶縁被覆とを有する。導体は例えば銅線である。絶縁被覆は、例えばフッ素樹脂で構成される。リード線14wの形態は、配線経路15に収納できればどんな形態でもよい。リード線14wの形態は、例えば丸線でもフラットケーブルでもよい。本例のリード線14wは丸線である。
【0041】
温度センサ14の数は、一つでも複数でもよい。上面11の複数箇所の温度を測定する観点から、温度センサ14の数は複数とすればよい。複数の温度センサ14を用いる場合、各温度センサ14は上面11に対して概ね均等に配置されてもよい。本例では、
図3に示すように、上面11の中心部に一箇所と、上面11の中心と外縁との間において90°の間隔で4箇所の合計5箇所に温度センサ14の検知部14dが設けられている。温度センサ14の数は、例えば6以上、10以上、15以上、または20以上でもよい。
【0042】
・配線経路
配線経路15は、例えばトッププレート10の周面13から内部に向かって設けられた孔15hまたはトッププレート10の下面12に設けられた溝15rである。溝15rについては、
図7、
図8を参照して実施形態2で説明する。温度センサ14は検知部14dとリード線14wとを有する。
【0043】
図3,
図4に孔15hの一例を示す。孔15hは上面11と下面12との間に設けられている。孔15hは、トッププレート10の厚さに沿った方向と交差する方向に延びる。トッププレート10の厚さに沿った方向とは上面11から下面12に向かう方向である。孔15hは第一端部15fと第二端部15sとを有する。第一端部15fはトッププレート10の内部に設けられている。第二端部15sは周面13に設けられた開口を含む。周面13に設けられた開口から
図2に示した温度センサ14のリード線14wを引き出せるため、リード線14wおよびリード線14wの配線経路15がトッププレート10のベースプレート20への真空吸着を阻害することがない。本例の孔15hは上面11および下面12と平行な直線状に設けられている。本例とは異なり、孔15hは上面11および下面12に対して傾斜した傾斜孔でもよい。傾斜孔は、上面11および下面12と平行な孔に比べて全長を長く採り易い。孔15hの長さが長いと、後述する温度センサ14のリード線14wの長さも長く採れる。孔15hに収納されるリード線14wが長いと、サーマルアンカーが採り易い。本例では、1本の長い孔と、4本の短い孔とを有する。長い孔は、周面13から中心部にまで延びる孔である。短い孔は、周面13から中心に至る途中にまで延びた孔である。短い孔は、90°の間隔で設けられている。
【0044】
図5に孔15hの別の一例を示す。この孔15hは、孔15hの第一端部15fに座繰り15xと、座繰り15xの開口を塞ぐ蓋15cと、を備える。温度センサ14の検知部14dは、座繰り15xの内部に配置される。座繰り15xの幅は、孔15hにおける第一端部15f以外の箇所の幅よりも広くてもよい。座繰り15xの長さは、検知部14dの長さよりも長い。そのため、座繰り15xの内部に検知部14dを収納しやすい。この座繰り15xは、トッププレート10の下面12を切削することで形成できる。座繰り15xの下部には開口が形成される。蓋15cは、この開口を塞ぐように取り付けられる。蓋15cの厚さを調整することで、座繰り15x内での検知部14dの高さを調整できる。厚い蓋15cを用いれば、容易に検知部14dを上面11に近づけて配置できる。
【0045】
孔15hの断面形状は、例えば円形である。断面形状が円形の孔15hは形成し易い。孔15hの内径または断面積は、小さい方が孔15hの内部に温度センサ14を配置した際、サーマルアンカーとして利用しやすい。孔15hの内径または断面積は、温度センサ14を収納できる限り小さい方が好ましい。その理由は、温度センサ14と孔15hの内面との距離を可及的に小さくすることで、温度の測定精度を向上できるからである。本例の孔15hは、断面形状が円形で第一端部15fから第二端部15sまで一様な内径を有する。この孔15hは、温度センサ14の検知部14dおよびリード線14wが開口から収納できる寸法を有する。
【0046】
溝15rについては、後述する実施形態2において
図6から
図8を参照して説明する。
【0047】
配線経路15の形状は、直線状の他、例えばL字状またはT字状でもよい。この配線経路15の形状は、トッププレート10の上面11を上から透視した配線経路15の形状である。L字状の孔または溝は、例えば、L字を構成する第一辺と第二辺の交点が周面13に第二端部15sに含まれる開口を構成し、第一辺と第二辺の各端部が後述する温度センサ14の検知部14dが配置される第一端部15fを構成する。T字状の孔または溝は、例えば互いに間隔をあけて配置された温度センサ14の検知部14d同士をつなぐ第一溝と、第一溝の途中に交差して周面13に至る第二溝とを有する。
【0048】
配線経路15の本数は、例えば温度センサ14の数に応じた数とすることができる。この場合、一つの配線経路15に一つの温度センサ14が収納される。別の態様として、複数の温度センサ14を一つの配線経路15に配置することもできる。この場合、一つの配線経路15の第一端部15fに温度センサ14の検知部14dが配置され、配線経路15の途中にも別の温度センサ14の検知部14dが配置される。つまり、一つの配線経路15の一部には複数の温度センサ14のリード線14wが並列される。
【0049】
配線経路15の位置は、温度センサ14の測定精度の観点から、トッププレート10の上面11に近い位置とすることができる。例えば、配線経路15の中心線がトッププレート10の厚さを二等分する面よりも上面11に近い位置に配置されるように配線経路15を設けてもよい。また、上面11と配線経路15との最短距離は、例えば1.5mm以上5mm以下とする。本例の孔15hは、上面11から上記最短距離が2mmとなるように設けられている。
【0050】
このような位置に配線経路15が設けられた場合、温度センサ14は、例えばトッププレート10の厚さを二等分する面よりも上面11に近い位置に配置される。特に、温度センサ14は、トッププレート10の上面11から5mm以内に配置されていてもよい。但し、配線経路15があまり上面11に近接すると、トッププレート10における配線経路15の上部を構成する部分の厚さが薄くなり、上面11の剛性が部分的に低下する。この上面11の剛性の観点から、温度センサ14は、上面11から1.5mm以上離れた位置に配置されてもよい。上面11から温度センサ14までの距離は、配線経路15の内面と温度センサ14との接触箇所のうち、上面11から最も近い接触箇所までの距離のことである。
【0051】
配線経路15の長さは、上面11のうち、周面13からウエハの外周縁よりも内側の所定位置まで到達できる長さであればよい。配線経路15の長さは、第一端部15fと第二端部15sとの間の距離である。この配線経路15の長さは、例えば20mm以上である。さらに、この長さは、30mm以上、50mm以上または70mm以上であってもよい。配線経路15が長いほど、その内部に収納される温度センサ14のリード線14wも長くなるため、リード線14wと配線経路15の接触箇所をサーマルアンカーとして利用しやすい。サーマルアンカーは、温度センサ14の検知部14dから離れた位置で、リード線14wによる熱または冷熱の伝導を低減する構成のことである。トッププレート10に検知部14dが設けられると、リード線14wは伝熱経路となる。トッププレート10内に配置されたリード線14wの少なくとも一部を配線経路15の内面に接触させることで、上記リード線14wを通しての放熱を抑制することができる。リード線14wと配線経路15の内面との接触箇所は固定されていてもよい。
【0052】
(接着剤)
温度センサ14は、周面13に設けられた開口から検知部14d、リード線14wの順に温度センサ14を差し込まれる。温度センサ14は、検知部14dが孔15hの奥に位置する第一端部に達するまで孔15hに差し込む。温度センサ14のリード線14wは、開口から引き出される。必要に応じて、検知部14dおよびリード線14wの少なくとも一部は接着剤17で孔15hの内面に固定される。
【0053】
接着剤17は、例えばシリコーン系接着剤または加熱反応硬化型エポキシ系接着剤である。シリコーン系接着剤およびエポキシ系接着剤は、金属に対する接着力が良好で、耐熱性が高く、硬化時の体積収縮が少ない。接着剤17による温度センサ14の固定は、例えば検知部14dおよびリード線14wの少なくとも一部について行う。検知部14dを配線経路15の内面に接着剤17で固定することで、高い精度でトッププレート10の温度を検知できる。リード線14wを配線経路15の内面に接着剤17で固定することで、固定箇所をサーマルアンカーとして利用できる。サーマルアンカーの効果を重視する観点からは、配線経路15内の全域に接着剤17を充填することが好ましい。リード線14wに沿った複数箇所に接着剤17を分散して設けることで、接着剤17での固定箇所の間のリード線14wを拘束しない状態とできる。そのため、リード線14wの熱伸縮を吸収することができる。リード線14wの接着剤17による固定箇所は、開口で構成された第二端部15sでもよい。
【0054】
(第一排気経路・第二排気経路)
さらに、本例で用いられるトッププレート10は、
図1,
図3から
図5に示すように、第一排気経路12eおよび第二排気経路11eを備えている。第一排気経路12eは、トッププレート10をベースプレート20に吸着させるための排気経路である。第二排気経路11eは、ウエハを上面11に吸着させるための排気経路である。第一排気経路12eを備えることで、トッププレート10をベースプレート20に真空吸着させることができる。真空吸着時、トッププレート10とベースプレート20との密着性が向上し、トッププレート10とベースプレート20との間で熱の移動を円滑に行うことができる。真空吸着の停止時、トッププレート10とベースプレート20とを着脱自在にできる。第二排気経路11eを備えることで、ウエハを隙間なく上面11に吸着できる。そのため、むらなくウエハを加熱したり冷却したりできる。第一排気経路12eおよび第二排気経路11eは、次述する横孔、縦孔、横溝、および環状溝などで構成されている。
【0055】
第一排気経路12eは、
図1、
図3に示すように、横孔12h、縦孔12v、横溝12g、および環状溝12rを備える。横孔12hは上面11および下面12に沿って延びる孔で、トッププレート10の内部に配置される。この横孔12hは、トッププレート10の内部に配置される第一端部と、トッププレート10の周面13に配置される第二端部とを有する。第一端部は閉鎖端である。第二端部は開口端である。開口端には図示しない真空ポンプが接続される。横孔12hの第一端部には、縦孔12vがつながれる。縦孔12vは横孔12hと横溝12gとをつなぐ短い孔である。縦孔12vは、トッププレート10の厚さに沿った方向に延びる。横溝12gは、下面12に設けられた溝で、環状溝12rと交差するように設けられている。環状溝12rは、下面12に同軸状に設けられた複数の環状の溝である。本例の横孔12hは、周面13からトッププレート10の直径に沿って延びる直線状の孔である。この横孔12hは、トッププレート10を平面視した際、配線経路15および後述する第二排気経路11eの横孔11hのいずれとも重ならない位置に設けられている。本例の横溝12gは、直径に沿って延びる直線状の溝で、トッププレート10の周面13と最も外側の環状溝12rとの間から最も内側の環状溝12rにまで延びる。
【0056】
第二排気経路11eは、横孔11h、縦孔11v、および環状溝11rを備える。横孔11hは上面11および下面12に沿って延びる孔で、トッププレート10の内部に配置される。この横孔11hは、トッププレート10の内部に配置される第一端部と、トッププレート10の周面13に配置される第二端部とを有する。第一端部は閉鎖端である。第二端部は開口端である。開口端には図示しない真空ポンプが接続される。本例の横孔11hは、トッププレート10の直径に沿って延びる直線状の孔で、周面13から最も内側の環状溝11rの下部にまで延びる。縦孔11vは、横孔11hと各環状溝11rとをつなぐ。縦孔11vは、トッププレート10の厚さに沿った方向に延びる。最も内側の環状溝11rにつながる縦孔11vは、横孔11hの第一端部とつながる。環状溝11rは、上面11に同軸状に設けられた複数の環状の溝である。トッププレート10を平面視した際、各環状溝11rは、第一排気経路12eの各環状溝12rと重なる位置に設けられている。環状溝11rと環状溝12rは互いに重ならない位置に設けられてもよい。本例の横孔11hは、トッププレート10を平面視した際、配線経路15および第一排気経路12eの横孔12hのいずれとも重ならない位置に設けられている。つまり、配線経路15、第一排気経路12eの横孔12hおよび第二排気経路11eの横孔11hは、トッププレート10の中心軸回りのずれた位置に配置されている。
【0057】
(ベースプレート)
ベースプレート20はトッププレート10の下部に配置されたプレートである。ベースプレート20はトッププレート10を支持する。本例のベースプレート20は円板状である。ベースプレート20は、熱伝導性に優れ、かつ熱によって変形し難い材料によって構成されている。そのような材料は、例えば銅、アルミニウム、またはこれらを含む合金である。ベースプレート20の材料は、例えば窒化アルミニウム、炭化ケイ素(SiC)、酸化アルミニウム、または窒化ケイ素などのセラミックス、あるいはこれらセラミックスとシリコン(Si)との複合体でも良い。複合体は、例えばSiCの多孔質体にシリコンを含浸させたSi-SiCである。本例のベースプレート20の構成材料はSi-SiCである。ベースプレート20の表面は、例えばニッケルめっき層、またはアルマイト処理層を備えていても良い。ベースプレート20の上面にさらに、銅など構成された導電板が配置されていても良い。
【0058】
ベースプレート20の厚さは例えば、5mm以上20mm以下である。ベースプレート20の厚さが5mm以上であれば、ベースプレート20の剛性を確保し易い。ベースプレート20の厚さが20mm以下であれば、ベースプレート20の熱容量が小さくなり易い。熱容量が小さいベースプレート20の温度は、ヒータ50による加熱および冷却プレート40による冷却によって迅速に変化し易い。ベースプレート20の厚さは、7mm以上15mm以下でも良い。
【0059】
ベースプレート20の材料の熱伝導率は例えば、100W/m・K以上である。熱伝導率は、更に200W/m・K以上、300W/m・K以上、特に400W/m・K以上であっても良い。アルミニウムの熱伝導率は約230W/m・K、銅の熱伝導率は約400W/m・K、銀の熱伝導率は約420W/m・Kである。炭化ケイ素の熱伝導率は約200W/m・K、窒化アルミニウムの熱伝導率は約150W/m・Kである。
【0060】
(絶縁層)
図示していないが、ベースプレート20と冷却プレート40との間に絶縁層を備えていてもよい。絶縁層は、ベースプレート20と冷却プレート40との間を絶縁する。絶縁層は、例えば円形シート状である。絶縁層の材料は、ウエハの検査時の温度に耐える耐熱性を有する材料であれば特に限定されない。例えば絶縁層の材料は、セラミックスまたは樹脂である。セラミックスは、例えば窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、または窒化ケイ素である。樹脂は、例えばシリコーン樹脂である。絶縁層は、後述する支持部70に貫通される貫通孔を有する。プローバ以外を用途とするウエハ保持体では、上記絶縁層はなくてもよい場合がある。
【0061】
(冷却プレート)
冷却プレート40は、必要に応じてベースプレート20を冷却する部材である。本例の冷却プレート40は円板状である。冷却プレート40内には流路41が形成されている。流路41には冷媒が流される。ウエハの検査が終わった際、流路41に冷媒が流されることで、トッププレート10のベースプレート20が迅速に冷却される。その結果、新たなウエハの検査を開始するまでの時間を短縮することができる。冷却プレート40は、後述する支持部70に貫通される貫通孔を有する。
【0062】
(ヒータ)
ヒータ50は、ベースプレート20を通してトッププレート10を加熱する部材である。加熱されたベースプレート20は、ウエハを熱処理する。ヒータ50は、絶縁シート52と、絶縁シート52の内部に配置された抵抗加熱体51と、を備える。ヒータ50は、後述する支持部70に貫通される貫通孔を有する。
【0063】
本例の抵抗加熱体51は、例えばステンレス鋼の箔を部分的にエッチングすることによって形成された回路パターンである。絶縁シート52はヒータ50の外形を構成する。本例の絶縁シート52は、ベースプレート20と同等の外径を有する円板状である。抵抗加熱体51の端子には、電力を供給する配線がつながっている。絶縁シート52は、耐熱性に優れるシートによって構成されている。絶縁シート52は、例えばポリイミドなどの耐熱性樹脂、樹脂を含浸したマイカシート、またはセラミックスによって構成されている。本例のヒータ50は、回路パターンによって構成された抵抗加熱体51と、抵抗加熱体51を挟み込む2枚のシリコーンシートと、によって構成されている。
【0064】
(台座)
台座60は、
図1に示すように、ウエハ保持台1全体を支持する部材である。台座60の材料は、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、シリコンと炭化ケイ素の複合体、アルミニウムと炭化ケイ素の複合体、またはアルミニウムとシリコンと炭化ケイ素の複合体である。本例の台座60は板状部材である。
【0065】
(支持部)
支持部70は、台座60から上方に延び、ヒータ50と台座60との間に空間が形成されるようにベースプレート20を支持する。本例の支持部70は、複数の柱状部材によって構成されている。柱状部材は、中実の棒状部材であってもよいし、中空の筒状部材であってもよい。本例の柱状部材は、筒状部材で構成されている。筒状部材の内部には、図示しないシャフトが通されていてもよい。このシャフトは、台座60の上面およびベースプレート20の下面に接するフランジ部を有する。台座60の凹部内に突出するシャフトにナットを締め込むことで、シャフトも支持部70の構成部材の一つとして利用できる。
【0066】
支持部70の長さは、冷却プレート40およびヒータ50の積層体の厚さよりも大きい。そのため、ヒータ50と台座60との間に空間が形成されている。この空間は、空気断熱層として機能する。従って、ヒータ50の熱が台座60に逃げ難い。
【0067】
(ケーシング)
ケーシング80は、風などの外乱要因から台座60上の各構成部材を保護する部材である。具体的には、ケーシング80内には、ベースプレート20、冷却プレート40およびヒータ50が配置されている。本例のケーシング80は筒状の部材である。ケーシング80の下部は、台座60に固定されている。ケーシング80は、さらにトッププレート10を収納する構成であってもよい。その場合、トッププレート10は、ケーシング80と嵌め外し自在の切欠または突起を有していてもよい。この切欠または突起により、トッププレート10とケーシング80とを結合する継手などの連結機構を設ける必要がない。
【0068】
《実施形態2》
次に、実施形態2に係るウエハ保持台1について、
図6から
図8に基づいて説明する。実施形態2の説明は、主に実施形態1との相違点について行い、共通点については説明を省略する。
【0069】
実施形態2に係るウエハ保持台1は、
図6に示すように、トッププレート10が冷却プレート40を兼ねている点および一部の配線経路15の構成が実施形態1に係るウエハ保持台1と異なり、他の構成については基本的に実施形態1と共通である。
【0070】
本例のウエハ保持台1を構成するトッププレート10は、実施形態1のトッププレート10に比べて厚い。その厚さは例えば18mmである。本例のトッププレート10は、トッププレート10の材質、第一排気経路12eおよび第二排気経路11e、配線経路15を有する点は実施形態1と同様である。但し、
図6では、排気径路12e,環状溝12r,および横溝12gの一部を省略して示している。
【0071】
本例の配線経路15は、溝15rで構成されている。溝15rは、トッププレート10の下面12に設けられている。
図7に示すように、溝15rは、トッププレート10の内部に配置された第一端部15fと、トッププレート10の周面13に配置された第二端部15sとを有する。
図7において、第一排気経路12e、第二排気経路11eおよび冷媒の流路41は省略されている。第一端部15fは閉鎖端である。第二端部15sは開口端である。本例では、トッププレート10の周面13から中心軸に向かって延びる合計5本の溝15rが設けられている。5本の溝15rのうち4本の溝15rは、トッププレート10の中心軸回りに90°の間隔で設けられている。残る1本の溝15rは、4本の溝15rのうちの隣り合う2本の溝15rの間に設けられている。1本の溝15rは、他の4本の溝15rに比べて長い。
【0072】
この溝15rは、
図6に示すように溝15rだけで構成してもよいし、溝15rと縦孔15rvとを組み合わせた構成としてもよい。溝15rを溝15rだけで構成した場合、例えば溝15rの上面に温度センサ14の検知部14dを固定し、リード線14wを互いに離れた複数箇所で溝15rの上面に固定すればよい。溝15rは、
図8に示すように、トッププレート10の上面11および下面12に沿って延びる溝15rと、溝15rに対して交差する縦孔15rvと、を備えてもよい。この溝15rと縦孔15rvとの組み合わせは一例であり、他に縦孔15rvの代わりに又は縦孔15rvと共に溝15rに連通する傾斜孔を備えていてもよい。溝15rは上記第一端部15fと第二端部15sとを有する。縦孔15rvは、溝15rのいずれかの端部または途中から延びる短い溝である。この縦孔15rvの上端も第一端部15fの一つである。つまり、この溝15rの長さは、検知部14dが配置される縦孔15rvの上端から開口端である溝15rの第二端部15sまでのことである。
【0073】
本例の縦孔15rvは、溝15rの途中の二箇所からトッププレート10の上面11に向かって延びている。つまり、各縦孔15rvは、溝15rに直交されている。但し、縦孔15rvの上端部は上面11には達していない。冷媒の流路41を密に形成する観点から、縦孔15rvの数は少ないことが好ましい。縦孔15rvの長さは、温度センサ14の検知部14dの長さに概ね対応する。縦孔15rvの上端部は閉鎖端である。縦孔15rvの下端部は溝15rに連通する開口端である。この溝15rは、例えばトッププレート10の下面12を切削することにより形成される。溝15rの断面形状は、例えば矩形、U型またはV型である。本例では断面形状が矩形の溝15rである。
【0074】
この縦孔15rvの内部に温度センサ14の検知部14dが配置される。この温度センサ14は
図2で示した温度センサ14と共通の構成である。各縦孔15rv内に検知部14dを収納し、リード線14wを屈曲させて溝15r内に配置する。リード線14wの検知部14dとは反対側の端部は、周面13に設けられた第二端部15s、即ち開口端から引き出される。本例ではトッププレート10の中心軸に近い縦孔15rvと、中心軸から遠い縦孔15rvとがある。溝15rの第一端部15fから中心軸に近い縦孔15rvまでの溝15rには、何も収納されていない。中心軸に近い縦孔15rvと中心軸から遠い縦孔15rvとの間までの溝15rには、1本のリード線14wが配置される。中心軸から遠い縦孔15rvから第二端部15s、即ち開口端までの溝15rには2本のリード線14wが並列して配置される。つまり、本例の1本の溝には2つの温度センサ14が収納されている。検知部14dおよびリード線14wの少なくとも一部が接着剤17で溝15rの内面に固定されていてもよい。
【0075】
このトッププレート10の上面11と下面12との中間部には、冷媒の流路41が設けられている。
図7、
図8では、流路は省略している。流路41の形態は、例えば渦巻き状である。トッププレート10の周面13には、
図7に示すように、流路41への冷媒のインレット42とアウトレット43とが設けられている。
【0076】
トッププレート10内における流路41よりも下面12に近い箇所には、第一排気経路12eが設けられている。第一排気径路12eは、溝15rと交差する環状溝12rを有してもよいし、環状溝12rの代わりに、溝15rと交差しない円弧溝を有してもよい。トッププレート10内における流路41よりも上面11に近い箇所には、第二排気経路11eが設けられている。
【0077】
このようなウエハ保持台1は、トッププレート10が冷媒の流路41を有することで、効率的にトッププレート10を冷却することができる。
【0078】
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以上の実施形態は、プローバ用のウエハ保持台1を例として説明した。但し、本開示に係るウエハ保持台は、ウエハが載せられ、そのウエハの温度管理が必要とされるプローバ以外の装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0079】
1 ウエハ保持台
10 トッププレート
11 上面
11e 第二排気経路
11h 横孔
11r 環状溝
11v 縦孔
12 下面
12e 第一排気経路
12h 横孔
12g 横溝
12r 環状溝
12v 縦孔
13 周面
14 温度センサ
14d 検知部
14w リード線
15 配線経路
15f 第一端部
15s 第二端部
15h 孔
15r 溝
15rv 縦孔
15c 蓋
15x 座繰り
17 接着剤
20 ベースプレート
40 冷却プレート
41 流路
42 インレット
43 アウトレット
50 ヒータ
51 抵抗加熱体
52 絶縁シート
60 台座
70 支持部
80 ケーシング
【手続補正書】
【提出日】2024-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハが載せられる上面を有するトッププレートと、
前記トッププレートの下部に配置されたベースプレートと、を備え、
前記トッププレートは、
検知部および前記検知部から延びるリード線を有する温度センサと、
前記温度センサが収納された配線経路と、
前記ベースプレートの上部に前記トッププレートを真空吸着するための第一排気経路と、を有し、
前記第一排気経路は、前記トッププレートにおける前記ベースプレートと接する下面に設けられた溝を含み、
前記配線経路は、前記検知部が配置された第一端部と、前記リード線が引き出された第二端部と、を有し、
前記第二端部は、前記トッププレートの周面に設けられた開口を含み、
前記配線経路は、前記トッププレートから前記ベースプレートに抜けるような経路、および前記第一排気経路と交差する経路を有さず、
前記配線経路の長さが20mm以上であり、
前記検知部および前記リード線は、前記配線経路の内面に接着されている、
ウエハ保持台。
【請求項2】
前記配線経路は、前記トッププレートの内部に設けられた孔である、請求項1に記載のウエハ保持台。
【請求項3】
前記配線経路は、前記トッププレートの下面に設けられた溝である、請求項1に記載のウエハ保持台。
【請求項4】
前記検知部は、前記トッププレートの厚さを二等分する面よりも前記上面に近い位置に配置されている、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項5】
前記検知部は、前記トッププレートの前記上面から5mm以内に配置されている、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項6】
前記リード線は、前記配線経路の前記第二端部に接着されている、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項7】
前記トッププレートの前記上面は、前記ウエハを吸着するための第二排気経路を有する、請求項2または請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項8】
前記ベースプレートの下部に冷却プレートを有し、
前記冷却プレートは、冷媒の流路を有する、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項9】
前記トッププレートは、冷媒の流路を有する、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。
【請求項10】
前記温度センサおよび前記配線経路の各々は、複数設けられている、請求項2又は請求項3に記載のウエハ保持台。