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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125958
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9794 20170101AFI20240911BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 36/899 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20240911BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240911BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61Q19/00
A61K36/899
A61K36/48
A61P17/00
A61P43/00 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034121
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000162021
【氏名又は名称】共栄化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩野 英生
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AD411
4C083BB51
4C083CC02
4C083EE12
4C088AB61
4C088AB74
4C088AC04
4C088BA08
4C088BA16
4C088BA18
4C088CA03
4C088CA25
4C088MA07
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZB22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】有効性と品質安定性、さらには生体安全性にすぐれたコラーゲン合成促進効果を有する組成物の提供を可能にすること。
【解決手段】米抽出物の蛋白分解酵素の加水分解物、米糠抽出物の蛋白分解酵素の加水分解物並びに大豆の蛋白分解酵素及び脂肪分解解酵素の加水分解物を有効成分として用いること。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米抽出物の蛋白分解酵素の加水分解物、米糠抽出物の蛋白分解酵素の加水分解物並びに大豆の蛋白分解酵素及び脂肪分解解酵素の加水分解物を有効成分として含むコラーゲン合成促進剤。
【請求項2】
米抽出物の蛋白分解酵素の加水分解物、米糠抽出物の蛋白分解酵素の加水分解物並びに大豆の蛋白分解酵素及び脂肪分解解酵素の加水分解物を有効成分として含む皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の植物由来成分からなり、生体安全性にすぐれた皮膚外用組成物であって、コラーゲン合成促進効果等を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線や加齢によるシワ、タルミを改善する皮膚外用剤の有効成分が求められており、例えば、真皮のコラーゲンに着目し、コラーゲン合成を促すことで、シワやたるみを改善する有効成分が提案されている。
近年、安全性の観点から、皮膚外用剤の有効成分として植物由来成分の開発が進んでおり、コラーゲン合成促進効果を有する植物由来成分も提案されているが(例えば、特許文献1,2)、効果の点で課題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05-221844号公報
【特許文献2】特開2019-014669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑みて、生体安全性の観点から天然物由来の新たな有効成分を見出すべく鋭意研究を行った。その結果、米抽出物の加水分解物、米糠抽出物の加水分解物及び大豆の加水分解物の組み合わせが、各単独の加水分解物よりもすぐれたコラーゲン合成促進効果を有することを見出した。
【0005】
従来、米抽出物の加水分解物、米糠抽出物の加水分解物及び大豆の加水分解物の組み合わせが、各単独の加水分解物よりもすぐれたコラーゲン合成促進効果を有することは知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、米抽出物の蛋白分解酵素の加水分解物、米糠抽出物の蛋白分解酵素の加水分解物並びに大豆の蛋白分解酵素及び脂肪分解解酵素の加水分解物を有効成分として含むコラーゲン合成促進剤である。
本発明は、米抽出物の蛋白分解酵素の加水分解物、米糠抽出物の蛋白分解酵素の加水分解物並びに大豆の蛋白分解酵素及び脂肪分解解酵素の加水分解物を有効成分として含む皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、米抽出物の蛋白分解酵素の加水分解物、米糠抽出物の蛋白分解酵素の加水分解物並びに大豆の蛋白分解酵素及び脂肪分解解酵素の加水分解物の組み合わせが、コラーゲン合成促進効果を有することにより、この組み合わせを配合したシワ及びたるみを改善する皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
本発明において用いる米及び米糠には特に制限はなく、玄米、発芽玄米、精白米、加工米又は有色素米(黒米、紫米、赤米等)、及び玄米、発芽玄米、有色素米の玄米に含まれる白糠及び/又は赤糠の使用が可能である。米の種類としては、粳米、もち米等のいずれを使用してもよい。また、加工米としては、抗アレルギー米、低蛋白米(例えば低グリテリン米)、強化米(例えばγ-アミノ酪酸米)等が挙げられる。
【0009】
本発明において、「大豆」とは、マメ科(Fabaceae)ダイズ属(Glycine)の大豆(Glycine max)であって、黒大豆、白大豆、赤大豆、緑大豆の何れでも良い。
【0010】
本発明においては、まずは、上述した米、米糠及び大豆を用いて抽出物を調製する。抽出物の調製は、米糠を、必要に応じて予め水洗い、乾燥し、又細切もしくは粉砕した上で、浸漬法、向流抽出法、水蒸気蒸留法、亜臨界抽出法、超臨界抽出法等の常法によって抽出溶媒に接触させることで行うことができる。また、当該抽出物は後述するように、加水分解処理を行う。
【0011】
抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類;n-ヘキサン、トルエン、クロロホルム等の炭化水素系溶媒等が挙げられ、それらは単独で又は二種以上混合して用いられる。
【0012】
それら抽出溶媒のうちでも、皮膚外用剤(化粧料又は医薬部外品)への幅広い適用が可能であるという点からも、本発明においては水或いは水と低級アルコール類又は水と多価アルコール類との混合溶媒の使用が好ましい。
【0013】
本発明において、米、米糠及び大豆の抽出物溶液を調製する際は、適宜、アルカリ調整剤又は酸性調整剤を用いてpHを調製することが好ましい。アルカリ調製剤としては、たとえば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウム塩、水酸化カリウム等のカリウム塩等が挙げられる。それらの中でも、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムが好ましい。また、酸性調整剤としては、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸、又は酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機酸等が挙げられる。
【0014】
上述の処理により得られる米、米糠及び大豆の抽出物に対して、抽出前又は抽出後、或いは抽出と並行して、加水分解処理を行う。加水分解処理としては、酸、アルカリ又は酵素による方法が挙げられるが、酵素を用いた加水分解処理が好ましい。
【0015】
加水分解処理に用いる酵素としては、蛋白分解酵素及び脂肪分解酵素が挙げられる。これらの酵素は植物種に応じて、それぞれの単独で使用しても複数の酵素を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
蛋白分解酵素としては、例えばアクチナーゼ等のアクチナーゼ類、ペプシン等のペプシン類、トリプシン、キモトリプシン等のトリプシン類、パパイン、キモパパイン等のパパイン類、グリシルグリシンペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ等のペプチダーゼ類、ブロメラインが挙げられ、脂肪分解酵素としてはリパーゼが挙げれる。蛋白分解酵素及び脂肪分解酵素を使用する場合、上述した酵素のいずれかを単独で用いても、複数を組み合わせても良い。
【0017】
また、上記酵素に加えて、澱粉分解酵素又は繊維素分解酵素を組み合わせて使用しても良い。例えば、澱粉分解酵素としては、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、β-ガラクトシダーゼ等を用いることができ、例えば、繊維素分解酵素としては、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ等が挙げられる。
【0018】
酵素を用いた加水分解処理は、上述した米、米糠及び大豆のそれぞれの抽出物溶液に対して酵素の1種又は2種以上を添加し、用いた酵素の至適pH及び至適温度付近の条件下で酵素反応させることによって実施される。2種以上の酵素を組み合わせ用いる場合は、用いる酵素の特性に応じて、2種以上の酵素を同時に作用させてもよく、反応条件を変え、又は変えずして順次作用させるようにしてもよい。
【0019】
以上の酵素を用いて加水分解処理終了後、酵素処理液を例えば80℃以上に加熱する方法等適宜の方法を用いて酵素を失活させ、酵素処理分解物溶液を得る。
【0020】
上記処理により得られる米抽出物の加水分解物、米抽出物の加水分解物及び大豆の加水分解物溶液は、一般にはpHを4~8に調整し、又必要ならば希釈或いは濃縮により適宜の濃度とした上、濾過等により不溶物を除去し、化粧料、医薬部外品又は外用医薬品(以下「化粧料等」という)の配合剤として利用することができる。また、場合によっては、スプレードライ法、凍結乾燥法など常法に従って粉末化してもよい。
【0021】
本発明に係る加水分解物の組み合わせを配合可能な皮膚外用剤(化粧料、医薬部外品、外用医薬品)に配合することができる。皮膚外用剤としては、例えば、乳液、クリーム、ローション、エッセンス、パック、マスク、口紅、ファンデーション、リクイドファンデーション、メイクアッププレスパウダー、ほほ紅、白粉、洗顔料、ボディシャンプー、頭皮,頭髪用シャンプー、育毛料、浴用剤等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
本発明に係る組成物の皮膚外用剤への配合量は、配合する製剤に応じて適宜調整可能であり、固形分量として、例えば、基礎化粧料の場合は、0.002~1.0重量%(固形分重量%、以下同じ)の範囲、メイクアップ化粧料の場合は、0.002~1.0重量%の範囲、又清浄用化粧料の場合は、0.002~10.0重量%の範囲であり、毛髪用化粧料の場合は、0.0001~5.0重量%の範囲である。
【0023】
本発明に係る有効成分である組成物を皮膚外用剤に配合する場合、一般的に皮膚外用剤に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、保湿剤、消炎剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、抗アクネ剤、細胞賦活剤、粉体成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白剤、抗シワ剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0024】
油性成分としては、例えば、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、ベルガモット油、ラベンダー油、バラ油、ベルガモット油、カミツレ油等の植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ビタミンA油;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、cis-11-エイコセン酸等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、パントテニルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2-エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0025】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N、N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N、N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N、N、N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′、N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0026】
乳化剤及び/又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖とタンパク質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来タンパク質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0027】
保湿剤としては、保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース、ラフィノース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、ヒアルロン酸発酵液、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体等)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、コラーゲンペプチド、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、エストラジオール、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0028】
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;ペクチン、プルラン、アロエ多糖体等の多糖類;トラガントガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;カルボシキビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体、ポリアクリル酸等が挙げられる。
【0029】
消炎剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、β-グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、ε-アミノカプロン酸、d-カンフル、dl-カンフル、酸化亜鉛、パンテノール、ピリドキシン塩酸塩、及びリボフラビン又はその誘導体等がある。
【0030】
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ピリチオン亜鉛、塩化ベンザルコニウム、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、臭化アルキルイソキノリニウム、レゾルシン、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、トリクロロカルバニド、トリクロロヒドロキシジフェノールエーテル、ヒノキチオール、1、2-ペンタンジオール、プロパンジオール、濃ベンザルコニウム塩化物液50、ハッカ油、ユーカリ油等の精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ、トウモロコシ等の植物由来のエタノール又は1、3-ブチレングリコール等がある。
【0031】
細胞賦活剤としては、パントテニルアルコール、メントール、dl-メントール、及びγ-オリザノール等がある。
【0032】
抗アクネ剤としては、イオウ、サリチル酸又はその塩、感光素201号、ジカプリル酸ピリドキシン等がある。
【0033】
粉体成分しては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、アズキ等)のパウダー等がある。
【0034】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2、4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0035】
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、アスタキサンチン等のカロテノイド、ビタミンE及びその誘導体(例えば、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールニコチン酸エステル)、ビタミンA又はその誘導体(パルミチン酸レチノール等)等がある。
【0036】
美白剤として、コウジ酸又はその誘導体、アスコルビン酸又はその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、ビタミンE又はその誘導体、ニコチン酸又はその誘導体、マグノリグナン(5、5'-ジプロピル-ビフェニル-2、2’-ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)、胎盤抽出液(プラセンタエキス)、リノール酸から選択される1以上のものが挙げられる。
【0037】
上記コウジ酸誘導体としては、例えばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレートなどのコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシドなどのコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL-アスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルマグネシウムなどのアスコルビン酸エステル塩類、L-アスコルビン酸-2-グルコシド(2-O-α-D-グルコピラノシル-L-アスコルビン酸)、L-アスコルビン酸-5-グルコシド(5-O-α-D-グルコピラノシル-L-アスコルビン酸)などのアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基など)、L-アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸テトララウリン酸エステルなどのL-アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3-O-エチルアスコルビン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸-6-O-パルミテートナトリウム等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン-β-D-グルコピラノシド)、α-アルブチン(ハイドロキノン-α-D-グルコピラノシド)等が、レゾルシノール誘導体としては、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、4-イソアミルレゾルシノール等が、2,5-ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2,5-ジアセトキシ安息香酸、2-アセトキシ-5-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-5-プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えば、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、ビタミンE誘導体としては、例えばビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等が、α-ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α-ヒドロキシオクタン酸等がある。
【0038】
抗シワ剤として、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンE又はその誘導体(酢酸トコフェロール等)、ビタミンC又はその誘導体(アスコルビン酸グルコシド、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩等)、パントテニルアルコール、トラネキサム酸、ナイアシンアミドが挙げられる。
【0039】
さらに、以下の植物又は微生物等の天然物由来の成分を併用することも可能である。例えば、コラーゲン又はその加水分解物、酵母抽出物又は加水分解物、乳酸菌培養物、イネ科植物、アブラナ科植物、ツバキ科植物、バラ科植物、ボタン科植物、ミカン科植物、ヒユ科植物、アマモ科植物、マメ科植物、キク科植物、マメ科植物、アオイ科植物、リンドウ科植物、シソ科植物、ハス科植物、ウリ科植物、ウコギ科植物、ナス科植物、ノウゼンカズラ科植物、マタタビ科植物、クワ科植物、アヤメ科植物、キキョウ科植物、モクセイ科植物、マタタビ科植物、クワ科植物、クロウメモドキ科植物、ラン科植物、ウルシ科植物、フクギ科植物、バレンシ科植物、ミカン科植物、フトモモ科植物、ユリ科植物、ベンケイソウ科植物、ヒノキ科植物、ヒルガオ科の植物及びキジカクシ科のいずれかから選択される1以上の植物の抽出物又はその加水分解物或いは発酵物、コンブ科、ミリン科及びアオサ科のいずれかから選択される1以上の海藻の抽出物又はその加水分解物或いは発酵物、クラゲ(ミズクラゲ、エチゼンクラゲ等の自己消化物)、ヒアルロン酸の加水分解物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又はその加水分解物或いは発酵物挙げられる。
【0040】
イネ科の植物由来成分としては、特に、イネ葉加水分解物、米発酵液、清酒由来の酒粕抽出物、マダケ又はモウソウチクのタケノコ皮抽出物が好ましい。また、アブラナ科植物由来の成分としては、白芥子の抽出物又はその加水分解物、白芥子の発酵物が好ましい。また、ツバキ科植物由来成分としては、特に、緑茶(やぶきた、さみどり、あさひ、ごこう、うじみどり、きょうみどり、うじひかり、さみどり、べにふうき等)及び紅茶(ダージリン、アッサム、セーロン、アールグレイ、蜜香紅茶等)が好ましい。バラ科植物由来成分としては、ダマスクバラの花の抽出物、モモの花、葉又は未成熟果実の抽出物、イチゴの花抽出物、サクラの花又は葉の抽出物、アンズの果実又は種子の抽出物が好ましい。また、ボタン科植物由来成分としては、ボタンの根又は花、及びシャクヤクの花又は根の抽出物が好ましい。また、ヒユ科植物由来成分としては、特に、アッケシソウ抽出物が好ましい。また、アマモ科植物由来成分としては、特に、アマモ又はコアマモの抽出物が好ましい。マメ科植物由来成分としては、特に、白大豆又は黒大豆の抽出物又は豆乳発酵液、アズキ抽出物、アカツメクサ抽出物、クズ根抽出物が好ましい。また、キク科植物由来成分としては、特に、ゴボウ根抽出物、ヒマワリ新芽抽出物、ハゴロモソウ抽出物、アルニカ抽出物又はカミツレ花抽出物が好ましい。アオイ科植物由来成分としては、ハイビスカス、ムクゲ又はフヨウの発酵物が好ましい。リンドウ科植物由来成分としては、ゲンチアナ抽出物が好ましい。また、シソ科植物としては、アオジソ抽出物、ムラサキシキブ果実抽出物が好ましい。ハス科植物由来成分としては、特に、ハスの花又はハス種子抽出物或いはハス種子発酵物が好ましい。ウリ科植物由来成分としては、特に、ヘチマ抽出物が好ましい。ウコギ科植物由来成分としては、オタネニンジンの抽出物又は発酵物が好ましい。ナス科植物由来成分としては、ナス(長ナス、水ナス、米ナス、賀茂ナス等)の抽出物が挙げられる。ノウゼンカズラ科植物由来成分としては、パウダルコ樹皮抽出物が好ましい。マタタビ科植物由来成分としては、未成熟のキウイ抽出物が好ましい。クワ科植物由来成分としては、ソウハクヒ抽出物、マルベリー果実抽出物、イチジクの果実又は樹皮の抽出物が好ましい。クロウメモドキ科植物由来成分としては、ナツメ果実抽出物が好ましい。また、アヤメ科植物由来成分としてはサフランが好ましい。キキョウ科植物由来成分としては、ヒカゲノツルニンジンの根の抽出物又は加水分解物が好ましい。ウルシ科植物由来成分としては、特に、マンゴ果実抽出物が好ましい。フクギ科植物由来成分としては、特に、マンゴスチン果実抽出物が好ましい。また、バレンシ科植物由来成分としては、チェリモヤ果実抽出物が好ましい。ミカン科植物由来成分として、温州ミカン、ベルガモット果実抽出物、グレープフルーツ又は晩白柚の果実(未成熟果実も含む)の抽出物、グレープフルーツ又はハッサク等の植物に含まれるフラボノイド及びその配糖体を含む抽出物、或いはサンショウ種子抽出物が好ましい。ユリ科植物由来成分としては、ホンカンゾウ、ヤブカンゾウ、カサブランカ、マドンナリリー、又はササユリの抽出物が好ましい。ベンケイソウ科植物由来成分としては、特に、イワベンケイ(紅景天)の抽出物又は発酵物が好ましい。モクセイ科植物由来成分としては、特に、ジャスミンの花抽出物が好ましい。ヒノキ科植物としては、特に、セイヨウネズ果実抽出物が好ましい。フトモモ科植物由来成分としては、特に、グアバ葉抽出物が好ましい。ラン科植物としては、特に、シランの根(白及)の抽出物が好ましい。ヒルガオ科植物由来成分としては、サツマイモの抽出物又はその発酵物或いは甘藷焼酎粕の抽出物又はその発酵物が好ましい。キジカクシ科植物由来成分としては、アスパラガスの抽出物が好ましい。コンブ科海藻由来成分としては、特に、コンブ抽出物が好ましく、ミリン科海藻由来成分としてはカタメンキリンサイ抽出物が好ましく、特に、アオサ科海藻由来成分としてはアナアオサ抽出物が好ましい。フノリ科海藻由来成分としては、特に、フノリ抽出物が好ましい。
【0041】
次に、製造例、処方例及び試験例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
【0042】
製造例1.米加水分解物溶液の調製(1)
精白した米250gに1000gの0.1%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1日間撹拌抽出した後、ろ布で粗ろ過して残った米の残渣を除去した。その抽出液を希塩酸で中和した後, 液量に対して, 蛋白分解酵素(アクチナーゼAS0.02%、パパイン0.02%)を加え, 40℃で2時間酵素分解処理を行い、その後80℃で1時間加熱して酵素を失活させ、室温まで冷却した。こうして得られた酵素処理液を精製ろ過し、淡褐色透明の米加水分解物溶液810gを得た(固形分濃度:1.40%)。
【0043】
製造例2.米加水分解物溶液の調製(2)
製造例1で用いたパパインの代わりにブロメラインを用いる他は製造例1と同様にして淡褐色透明の米加水分解物溶液797gを得た(固形分濃度:1.41%)。
【0044】
製造例3.米糠抽出物の加水分解物
米糠500gに0.1M乳酸水溶液1500gを加え、撹拌して米糠と乳酸水溶液を十分混合した後、室温に1日静置した。次に不溶物を濾過で除き、濾液をパパインで処理した。酵素処理は酵素を1.2mg使用し、酵素の至適pHに於いて、80℃1時間保持することによって行った。処理により生じた不溶物を濾別し、濾液をフィチン酸でpH6.5として淡黄色透明の米糠抽出物加水分解溶液731gを得た(固形分濃度3.50%)。
【0045】
製造例4.大豆加水分解物の調製(1)
黒大豆の種子の乾燥粉砕物10gに精製水200gを加え、80℃で1時間抽出した。得られた抽出液を粗ろ過したものをpH5に希塩酸を用いて調整した後、リパーゼ及びプロテアーゼ(パパイン)を0.01%の濃度となるように添加し、40℃で3時間作用させた。次に80℃で1時間処理して酵素を失活させた後ろ過し、淡褐色透明の黒大豆抽出物の加水分解物溶液(固形分濃度1.00%)164gを得た。
【0046】
製造例5.大豆加水分解物の調製(2)
製造例1において、黒大豆の種子に代えて、白大豆の種子を用いる他は、製造例1と同様の操作により、淡黄色透明の大豆抽出物の加水分解物溶液(固形分濃度1.01%)160gを得た。
【0047】
製造例6.組成物の調製方法
製造例1又は製造例2の米抽出物の加水分解物、製造例3の米糠抽出物の加水分解物及び製造例4又は製造例5の大豆抽出物の加水分解物及を混合して、本発明に係る組成物を調製した。表1に本発明に係る組成物の一例を示すが、本発明はそれらに限るものではない。
【0048】
[表1]
【0049】
表1に示す組成物の場合、例えば、組成物1における製造例1,3,4の加水分解物の固形分比は、2.80:7.00:1.00であり、組成物2における製造例1,3,4の加水分解物の固形分比は、1.40:1.75:1.00であり、組成物3における製造例1,2,4の加水分解物の固形分比は、1.41:1,75:1.00であり、組成物4における製造例1,3,5の加水分解物の固形分比は、1.39:1.73:1.00である。ただし、本発明の組成物の固形分濃度比はこれに限るもではなく、好ましくは、大豆抽出物の加水分解物:米抽出物の加水分解物の固形分濃度比=1.0:1.0~1.0:5.0であり、大豆抽出物の加水分解物:米糠抽出物の加水分解物の固形分濃度比=1.0:1.0~1.0:10である。
【0050】
試験例1.線維芽細胞コラーゲン合成促進効果の評価試験
ヒト真皮由来線維芽細胞NB1RGBを、0.5%NCS含有イーグル最少必須培地を入れた96穴マイクロプレートに1×104個/穴播種し、37℃,5.0%CO2の条件下に1日間プレ培養した後、組成物1,2を試料溶液としてそれぞれ培地に添加し、同条件でさらに5日間培養した。ここで、組成物1,2中の製造例1,3,4の加水分解物の濃度は、それぞれ培地中の溶液としての最終濃度が表1に示す組成物1,2の各加水分解の濃度となるように設定した。次に、培地を除去し、冷メタノール、冷エタノールで細胞を固定した後、0.1%シリウスレッド含有飽和ピクリン酸水溶液で染色を行った。精製水で洗浄後、0.1%NaOH:メタノール=1:1溶液にて抽出を行い、マイクロプレートリーダー(Model 680、バイオラッド社製)を用いて波長540nmでコラーゲン量を測定した。試料溶液に代えて同濃度のPBS(-)を添加した試料無添加の場合(Control)についても上記と同様の操作を行い、ここに得られたコラーゲン量に対する各試料添加時のコラーゲン量の相対値を求め、線維芽細胞コラーゲン合成率(%)とした。
【0051】
試験例1の結果を表2に示す。
[表2]
【0052】
表2に示すように、本発明の組成物1,2である製造例1、3,4の加水分解物の混合物は、同じ濃度の各単独の加水分解物と比較して、コラーゲン合成促進効果が高いことが確認された。すなわち、製造例1、3,4の加水分解物を組み合わせることで、各加水分解物を単独よりも、より高いコラーゲン合成促進効果を発揮し、シワやタルミ等の予防、改善用の皮膚外用剤の有効成分として有用であることが確認された。
【0053】
試験例3.Cペプチド合成評価試験
ヒト真皮由来線維芽細胞NB1RGBを、0.5%NCS含有イーグル最少必須培地を入れた96穴マイクロプレートに1×104個/穴播種し、37℃,5.0%CO2の条件下に1日間プレ培養した後、製造例1,3,4の加水分解物を、それぞれを試料溶液として培地に添加し、同条件でさらに5日間培養した。次に、培地を分取し、Procollagen Type I C-peptide (PIP) EIA Kit(タカラバイオ株式会社 MK101)を用いて吸光度(ABS450nm)を測定し、培地中のコラーゲンCペプチドの量を測定した。また、細胞に対しては、Hoechst 33342によるDNA染色を行い、蛍光強度(励起波長355nm、蛍光波長460nm)を測定してDNA量とし、Cペプチド量を表す450nmにおける吸光度を蛍光強度で割ったものを、DNAあたりのCペプチド量とした。試料溶液に代えて同濃度のPBS(-)を添加した試料無添加の場合(Control)についても上記と同様の操作を行い、ここに得られたDNAあたりのCペプチド量に対する各試料添加時のDNAあたりのCペプチド量の相対値を求め、Cペプチド合成率を算出した。
【0054】
試験例2の評価結果を表3に示す。
[表3]
【0055】
表3に示す通り、製造例1,3,4の加水分解物は、それぞれ本発明の組成物2に含まれる濃度でCペプチドの合成を促進することが確認された。Cペプチドは、細胞内で合成されたプロコラーゲンが、細胞外に分泌され、プロセシングを受けて切り離されたペプチドであることから、各加水分解物は、細胞内で合成されたプロコラーゲンの細胞外への分泌を促進する効果を有することが示唆される。
【0056】
試験例3.プロセシング関連遺伝子発現量の評価試験
正常ヒト線維芽細胞を0.5%NCS含有イーグル最少必須培地にて6×104個/mLに調製し、24ウェルプレートに1mLずつ播種して、5%CO2、飽和水蒸気下、37℃で培養した。24時間培養後、さらに、製造例1,3,4の抽出物を含んだ培養液(培養液全量に対して溶液として終濃度が製造例1の加水分解物が1.0%,製造例3の加水分解物が0.5%,製造例4の加水分解物が1.0%となるように調整したもの)を添加して培養した。また、比較対照として、加水分解物に代えて、PBS(-)溶液のみを含んだ培養液(培養液全量に対するPBS(-)の終濃度を1.0%に調整したもの)を添加した試験区(コントロール区)を設定した。24時間培養後、それぞれの試験区の細胞をTrizol試薬(Invitrogen社製0.5mLで回収した。回収した細胞に対してクロロホルム(和光純薬工業社製)100μL添加して撹拌混合し遠心分離機(TOMY社製/MX-160)で15,000rpm、4℃の条件下で15分間遠心分離した後、水層のみを200μL分取した。回収した水層にイソプロパノール(和光純薬工業社製)250μLを添加して撹拌混合し、15,000rpm、4℃の条件下で15分間遠心分離してtotal RNAの沈殿物を得た。Total RNAに75%エタノールを1mL添加して撹拌して洗浄し、15,000rpm、4℃条件下で15分間遠心分離して沈殿を回収した。回収したtotal RNAを所定のキット「PrimeScript RT reagent Kit with gDNA Eraser (Perfect Real Time)[タカラバイオ社製]」を用いて逆転写反応し、cDNAを合成した。合成したcDNAをサンプルとして、Thermal Cycler Dice(登録商標)Real Time System Single(タカラバイオ社製)、及びSYBR(登録商標)Premix Ex TaqTM II(Perfect Real Time)[タカラバイオ社製]を用いて、各種遺伝子の発現と、内部標準物質ACTB遺伝子の発現の検出を行った。ここで、ACTB(βアクチン)は、ハウスキーピング遺伝子(多くの組織や細胞中に共通して一定量発現する遺伝子であって、常に発現され,細胞の維持,増殖に不可欠な遺伝子である)の一つであり、発現量が常に一定とされていることから、PCRの実験では内部標準として用いられるものである。試験結果は、ACTB遺伝子の発現量を一定とした場合の、それぞれの試験区での各遺伝子の発現量を比較した。本試験系においては、コントロール区のそれぞれの遺伝子の発現量を100としたときの他の試験区でのその遺伝子の発現量の相対値を求めた。
【0057】
試験例3の結果を、表4~表6に示す。
[表4]
【0058】
[表5]
【0059】
[表6]
【0060】
表4~表6に示す通り、各加水分解物は、それぞれ本発明の組成物2に含まれる濃度で、ADAMTS遺伝子、BMP-1遺伝子及びLOX遺伝子の発現を亢進することが確認された。ADAMTS、BMP-1はプロコラーゲンのテロペプチドを切断する酵素であり、LOX遺伝子はコラーゲン繊維の架橋に関わる酵素であることから、細胞外のコラーゲンの繊維化を促進する効果を有することが示唆される。
【0061】
試験例4.コラーゲン発現に関するプロモーターの転写活性因子の発現評価試験
正常なヒトの線維芽細胞を、0.5%NCSを含むイーグル最少必須培地にて1×105個/mLに調製し、96穴マイクロプレートに100μLを播種して、5%CO2、飽和水蒸気下、37℃で培養した。24時間培養後、各転写因子の応答配列の塩基配列を組み込んだホタルルシフェラーゼレポーターベクター及び内部標準としてのウミシイタケルシフェラーゼを組み込んだベクター(Cignal SP1 Reporter Assay Kit、Cignal Ap-1 Reporter Assay Kit、Cignal SMAD Reporter Assay Kit)[QIAGEN社製]を細胞へViaFectトランスフェクション試薬[Promega社製]を用いて導入した。さらに、24時間後、製造例1,3,4の加水分解物をそれぞれ試料溶液とする試験区を設定し、各試験区に試料溶液を添加した。各試料溶液の添加濃度は、培地全量に対する溶液としての終濃度は、培養液全量に対して溶液として終濃度が製造例1の加水分解物が1.0%,製造例3の加水分解物が0.5%,製造例4の加水分解物が1.0%となるように調整した。各試料溶液を添加してから24時間培養後、培養した線維芽細胞を溶解し、溶解液のルシフェラーゼ活性をデュアルルシフェラーゼアッセイシステム[Promega社製]を用い、ルミノメーター(Promega GloMax-Multi+Detection System)にて測定した。各ホタルルシフェラーゼの測定値(ターゲットの転写量)をウミシイタケルシフェラーゼの測定値(細胞量)で割った数値を細胞あたりの転写活性量とした。なお、試料溶液の代わりに比較対照として同濃度のPBS(-)を培地に添加した区のルシフェラーゼ活性を100としてその相対値を算出した。
【0062】
試験例4の結果を表7~9に示す。
[表7]
【0063】
[表8]
【0064】
[表9]
【0065】
表7~9に示す通り、製造例1の加水分解物は、本発明の組成物2に含まれる濃度で、SP1 Reporter及びAP-1 Reporterの転写活性を亢進することが確認され、製造例3の加水分解物は、本発明の組成物2に含まれる濃度で、SP1 Reporter及びSMAD Reporterの転写活性を亢進することが確認され、製造例4の加水分解物は、SP1 Reporter、AP-1 Reporter及びSMAD Reporterの転写活性を亢進することが確認された。SP1 Reporter、AP-1 Reporter及びSMAD Reporterは、いずれもコラーゲン遺伝子の発現を促進するプロモーターであることから、コラーゲン遺伝子発現促進効果が得られることが示唆される。
【0066】
処方例1.化粧水
[成分] 部
本発明の組成物1 2.5
スクワラン 0.2
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
トコフェロール酢酸エステル 0.02
ナイアシンアミド 5.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
グリチルリチン酸モノアンモニウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
1,3-ブチレングリコール 5.0
クエン酸ナトリウム 0.2
メチルパラベン 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0067】
処方例2.化粧水
処方例1の化粧水において、本発明の組成物1に代えて本発明の組成物2(2.5部)を用いる他は、処方例1と同様の組成で処方例2を得た。
【0068】
処方例3.化粧水
[成分] 部
本発明の組成物3 2.5
ナイアシンアミド 0.5
トラネキサム酸 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
カプリル酸グリセリル 3.0
ラウリン酸ポリグリセリル-10 3.0
セタノール 2.0
ベヘニルアルコール 2.0
メチルパラベン 0.1
アスコルビン酸 3.0
グリチルリチン酸 0.5
β-グリチルレチン酸 0.05
トコフェロールニコチン酸エステル 0.1
レゾルシン 0.1
酸化亜鉛 2.0
dl-カンフル 0.5
グリセリン 2.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
水酸化カリウム 0.5
精製水 全量が100部となる量
【0069】
処方例4.化粧水
[成分] 部
本発明の組成物4 0.5
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
メチルパラベン 0.1
アスコルビン酸グルコシド 2.0
トラネキサム酸 1.0
イソプロピルメチルフェノール 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
イオウ 0.2
エストラジオール 0.1
ピリドキシン塩酸塩 0.5
グリセリン 5.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
クエン酸ナトリウム 0.2
メタ重亜硫酸ナトリウム 0.2
d-カンフル 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0070】
処方例5.乳液
[成分] 部
本発明の組成物2 2.5
スクワラン 5.0
シクロペンタンシロキサン 1.0
ヘキサラン 3.0
イソステアリン酸ヘキシルデシル 1.0
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 1.0
ラウリン酸ポリグリセリル-10 5.0
イソステアリン酸ポリグリセリル-10 5.0
ジパルミチン酸アスコルビル 15.0
水添大豆レシチン 1.5
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩 3.0
アルブチン 3.0
水酸化カリウム 0.5
グリセリン 3.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
キサンタンガム 0.2
シロキクラゲ多糖体 0.2
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
トコフェロール酢酸エステル 0.3
トコフェロールニコチン酸エステル 0.1
グリチルリチン酸 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
水溶性コラーゲン 1.0
加水分解コラーゲン 1.0
アセチルヒアルロン酸 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0071】
処方例6.乳液
処方例5の成分中、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩2.0部に代えてL-アスコルビン酸-2-グルコシド2.0部を用いるほかは処方例5と同様にして乳液を得た。
【0072】
処方例7.乳液
処方例5の成分中、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩2.0部に代えて及び水酸化カリウム0.5部に代えてトラネキサム酸1.0部を用いるほかは処方例5と同様にして乳液を得た。
【0073】
処方例8.乳液
処方例5の成分中、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩2.0部に代えて3-O-エチルアスコルビン酸3.0部を用いるほかは処方例5と同様にして乳液を得た。
【0074】
処方例9.乳液
処方例5の成分中、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩2.0部に代えてナイアシンアミド3.0部を用いるほかは処方例5と同様にして乳液を得た。
【0075】
処方例10.クリーム
[成分] 部
オリーブ油 5.0
スクワラン 5.0
ホホバ油 5.0
ホホバワックス 1.0
ベヘニルアルコール 1.0
ステアリルアルコール 1.0
キャンデリラワックス 1.0
乳酸菌発酵米 2.0
大豆由来水添レシチン 0.5
本発明の組成物2 2.5
カルボキシビニルポリマー 1.0
アルギン酸ナトリウム 1.0
グリセリン 4.0
PH調整剤 適量
防腐剤 適量
精製水 全量が100部となる量
【0076】
処方例11.クリーム
[成分] 部
本発明の組成物2 2.5
オリーブ油 5.0
ホホバ油 5.0
スクワラン 5.0
イソステアリン酸ヘキシルデシル 5.0
ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル
/ベヘニル) 5.0
カプリル酸グリセリル 1.0
ステアリン酸グリセリル 1.0
イソステアリルグリセリル 3.0
γ-オリザノール 0.1
ベヘニルアルコール 2.0
パルミチン酸 2.5
ナイアシンアミド 5.0
D-パントテニルアルコール 0.3
アラントイン 0.1
リボフラビン 0.01
レゾルシン 0.1
塩化ベンザルコニウム 0.05
尿素 3.0
β-グリチルレチン酸 0.1
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
グリチルリチン酸アンモニウム 0.1
アスコルビン 2-グルコシド 2.0
乳酸菌発酵米 2.0
水添レシチン 0.5
水添リゾレシチン 0.5
加水分解コラーゲン 1.0
キサンタンガム 1.0
酸化亜鉛 0.5
dl-カンフル 0.3
l-メントール 0.5
精製水 全量が100部となる量
【0077】
実施例12.パック
本発明の組成物2 2.5
ジプロピレングリコール 5.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 5.0
セタノール 3.0
ベヘニルアルコール 3.0
アラントイン 0.1
トラネキサム酸 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
グリチルリチン酸アンモニウム 0.1
β-グリチルレチン酸 0.1
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
サリチル酸 0.1
トコフェロール酢酸エステル 0.5
トコフェロールニコチン酸エステル 0.1
D-パントテニルアルコール 0.3
レゾルシン 0.1
イオウ 2.0
エストラジオール 0.002
水溶性コラーゲン 1.0
キサンタンガム 2.0
ミリスチン酸ポリグリセリル-6 1.0
ココイルグルタミン酸カリウム 1.0
水添レシチン 3.0
水酸化レシチン 3.0
精製水 全量が100部となる量
【0078】
処方例13.ヘアシャンプー
[成分] 部
本発明の組成物1 2.5
ラウレス硫酸ナトリウム 10.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 2.0
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.5
塩化ベンザルコニウム 1.0
ステアリルアルコール 2.0
ベヘニルアルコール 2.0
ジメチコン 3.0
アラントイン 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
サリチル酸 0.1
サリチル酸ナトリウム 0.1
トコフェロール酢酸エステル 0.1
ピリチオン亜鉛 0.3
安息香酸 0.2
トリクロサン 0.2
クエン酸 0.1
プロピレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
【0079】
実施例14.ヘアコンディショナー
[成分] 部
本発明の組成物2 2.5
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 1.0
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 1.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
塩化ベンザルコニウム 1.0
セタノール 3.0
ステアリルアルコール 1.0
アラントイン 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
サリチル酸 0.1
イオウ 0.5
臭化アルキルイソキノリニウム液(75%) 0.06
ピリチオン亜鉛 0.3
メチルパラベン 0.1
トリクロサン 0.2
レゾルシン 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0080】
処方例15.洗浄用化粧料
[成分] 部
本発明の組成物1 2.5
ココイルグリシンカリウム 5.0
グリセリン 10.0
カプリル酸グリセリル 1.0
ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム 10.0
水溶性コラーゲン 5.0
セタノール 3.0
ミリスチルアルコール 3.0
イソプロピルメチルアルコール 0.1
アラントイン 0.1
イオウ 0.5
グリチルリチン酸 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
グリチルリチン酸モノアンモニウム 0.1
β-グリチルレチン酸 0.05
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
サリチル酸 0.2
トコフェロール酢酸エステル 0.2
トリクロサン 0.1
トリクロロカルバニド 0.5
トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル 0.2
濃ベンザルコニウム塩化物液50 0.2
ベンザルコニウム塩化物 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0081】
処方例16.シートマスク
不織布に下記の成分を含浸させてシートマスクを得る。
[成分] 部
本発明の組成物2 2.0
グリセリン 3.0
1、3-ブチレングリコール 2.0
L-アスコルビン酸 2-グルコシド 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
キサンタンガム 1.0
水溶性コラーゲン 1.0
ヒアルロン酸ナトリウム 1.0
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
【0082】
処方例17.美容液
[成分] 部
本発明の組成物2 2.5
ヒアルロン酸ナトリウム 1.0
水溶性コラーゲン 1.0
トラネキサム酸 1.0
ナイアシンアミド 5.0
エタノール 2.0
グリセリン 5.0
1、3-ブチレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
クエン酸 0.3
クエン酸ナトリウム 0.6
カタメンキリンサイ抽出物 5.0
精製水 全量が100部となる量