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特開2024-125997二次電池用ポリマー膜および二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125997
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】二次電池用ポリマー膜および二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/497 20210101AFI20240911BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20240911BHJP
   H01M 50/411 20210101ALI20240911BHJP
   H01M 50/423 20210101ALI20240911BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240911BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20240911BHJP
【FI】
H01M50/497
H01M50/489
H01M50/411
H01M50/423
H01M10/058
H01M50/414
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201213
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2023033398
(32)【優先日】2023-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】生駒 啓
(72)【発明者】
【氏名】島津 綾子
(72)【発明者】
【氏名】榮村 弘希
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
【Fターム(参考)】
5H021EE01
5H021EE02
5H021EE07
5H021HH00
5H021HH03
5H021HH06
5H029AJ06
5H029AJ12
5H029AK03
5H029AL12
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029CJ28
5H029DJ04
5H029EJ11
5H029EJ12
5H029HJ00
5H029HJ04
5H029HJ14
(57)【要約】
【課題】イオン伝導性、金属リチウム負極を使用するために重要なリチウムデンドライト耐性を有する二次電池用ポリマー膜を提供する。
【解決手段】透気度が10000秒より大きく、イオン伝導度が式(1)を満たす二次電池用ポリマー膜である。
(60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)/(25℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)×100≧120%・・・式(1)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透気度が10000秒より大きく、イオン伝導度が式(1)を満たす二次電池用ポリマー膜。
(60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)/(25℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)×100≧120%・・・式(1)
【請求項2】
厚み0.1μm以上の無孔層を有するポリマー膜であり、無孔層を構成するポリマーに対して20質量%以上400質量%以下の有機溶媒と、1.0質量%以上10.0質量%以下のリチウム元素を含有する二次電池用ポリマー膜。
【請求項3】
60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度が1×10-4S/cm以上である、請求項1に記載の二次電池用ポリマー膜。
【請求項4】
前記二次電池用ポリマー膜のイオン伝導度が式(2)を満たす請求項3に記載の二次電池用ポリマー膜。
(60℃24時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)/(60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)×100≦110%・・・式(2)
【請求項5】
前記二次電池用ポリマー膜が芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミドまたは芳香族ポリアミドイミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む請求項1~4のいずれかに記載の二次電池用ポリマー膜。
【請求項6】
正極、負極、電解液および請求項1~5のいずれかに記載の二次電池用ポリマー膜を備える二次電池。
【請求項7】
正極、負極、電解液およびポリマー膜を備える二次電池の製造方法であって、電解液を注液後、25℃以上60℃以下の温度条件で12時間以上72時間以下保管する工程を有する二次電池の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の製造方法で得られた二次電池。
【請求項9】
請求項6または8に記載の二次電池を含む乗り物、無人輸送機、無人飛行体、電子機器または定置電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用ポリマー膜および二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池のような二次電池は、スマートフォン、タブレット、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯ゲーム機などのポータブルデジタル機器、電動工具、電動バイク、電動アシスト補助自転車などのポータブル機器、および電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車などの自動車用途など、幅広く使用されている。
【0003】
リチウムイオン電池は、一般的に、正極活物質を正極集電体に積層した正極と、負極活物質を負極集電体に積層した負極との間に、二次電池用ポリマー膜を用いたセパレータと電解質が介在した構成を有している。リチウムイオン電池は、さらなる高エネルギー密度化が求められており、特に負極活物質に理論容量が最も高い金属リチウムを用いる検討が実施されている。
【0004】
二次電池用セパレータとして、ポリオレフィン系多孔質膜が用いられる場合、金属リチウムを負極に使用した電池の充電時に発生するリチウムデンドライトによる短絡が課題となる。さらに、電池が高容量化することで、二次電池用セパレータには、高温時での寸法安定性および耐熱破膜性の付与が求められる。
【0005】
これらの要求に対して、特許文献1には、負極の保護膜として多孔質膜中にイオン伝導性を有する高分子材料を含浸することが提案されている。また、特許文献2では、セパレータに耐熱性を付与するために耐熱樹脂を含む多孔質層を配することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-133940号公報
【特許文献2】国際公開第2018/155287号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、多孔質膜中にイオン伝導性を有する高分子材料であるフッ化ビニリデンのホモポリマーもしくはヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーを含浸する提案しているが、このような高分子材料は有機電解液に膨潤した際の強度が低く、Liデンドライトによる短絡を抑制する効果が不十分となることや、シャットダウン後の高温領域に到達した際、熱収縮率が大きくなり、高温時の寸法安定性および耐熱破膜性を十分に確保することができない。
【0008】
特許文献2では、多孔質膜であることから金属リチウム負極を使用するとLiデンドライトが空孔に従って成長してしまい、デンドライト耐性を有していない。
【0009】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、高いイオン伝導性、リチウムデンドライト耐性を有し、さらに高温時の寸法安定性を有する二次電池用ポリマー膜を提供することである。また、本二次電池用ポリマー膜を用いた優れた高容量、高出力、サイクル特性の二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者らは、高いイオン伝導性、リチウムデンドライト耐性を有する二次電池用ポリマー膜を提供するために、鋭意検討を重ねた。
【0011】
上記課題を解決するため本発明の二次電池用セパレータは次の構成を有する。
(1)透気度が10000秒より大きく、イオン伝導度が式(1)を満たす二次電池用ポリマー膜。
(60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)/(25℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)×100≧120%・・・式(1)
(2)厚み0.1μm以上の無孔層を有するポリマー膜であり、無孔層を構成するポリマーに対して20質量%以上400質量%以下の有機溶媒と、1.0質量%以上10.0質量%以下のリチウム元素を含有する二次電池用ポリマー膜。
(3)60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度が1×10-4S/cm以上である、(1)に記載の二次電池用ポリマー膜。
(4)前記二次電池用セパレータのイオン伝導度が式(2)を満たす(3)に記載の二次電池用ポリマー膜。
(60℃24時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)/(60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)×100≦110%・・・式(2)
(5)前記二次電池用ポリマー膜が、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミドまたは芳香族ポリアミドイミドからなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む(1)~(4)のいずれかに記載の二次電池用ポリマー膜。
(6)正極、負極、電解液および(1)~(5)のいずれかに記載の二次電池用ポリマー膜を用いる二次電池
(7)正極、負極、電解液およびポリマー膜を備える二次電池の製造方法であって、電解液を注液後、25℃以上60℃以下の温度条件で12時間以上72時間以下保管することを特徴とする二次電池の製造方法。
(8)(7)に記載の製造方法で得られた二次電池。
(9)(6)または(8)に記載の二次電池を含む乗り物、無人輸送機、電子機器または定置電源。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、イオン伝導性、リチウムデンドライト耐性を有する二次電池用ポリマー膜を提供することができる。また、本発明のポリマー膜を用いた二次電池は、優れた高容量、高出力、サイクル特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明の二次電池用ポリマー膜は、透気度が10000秒より大きく、イオン伝導度が式(1)を満たす二次電池用ポリマー膜である。
(60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)/(25℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)×100≧120%・・・式(1)
本発明の二次電池用ポリマー膜は、透気度が10000秒以上であり、実質的に膜厚方向に貫通する孔がない無孔構造と見なすことができる。そのため、負極に金属リチウムを用いた際に発生するリチウムデンドライトや、正極活物質から溶出する遷移金属のデンドライトの成長を物理的に阻害することができ電池の短絡を防止できるとともに電池のサイクル特性を向上することができる。また、無孔構造であるため、電池組立工程で発生する異物による短絡を物理的に抑制することができる。
【0015】
本発明の二次電池用ポリマー膜は、イオン伝導性の指標であるイオン伝導度が式(1)の関係を満たす。
(60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)/(25℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)×100≧120%・・・式(1)。
【0016】
式(1)は、60℃の高温で保管することで、二次電池用ポリマー膜のイオン伝導性がさらに向上することを表している。本発明の二次電池用ポリマー膜は予め25℃~60℃の条件で電解液中に12~72時間保管することで、二次電池用ポリマー膜中に電解液のイオンが含浸されることにより、イオン伝導性が向上する。その結果、二次電池用ポリマー膜が低抵抗になり、かかる二次電池用ポリマー膜をセパレータとして有する二次電池のレート特性、寿命特性が良好になる。式(1)は、(60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)/(25℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)×100≧130%がより好ましく、500≧(60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)/(25℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)×100≧150%がさらに好ましい。式(1)を満たす二次電池用ポリマー膜を得る方法は特に限られるものでは無いが、後述する熱処理条件、電解液中、または電池組立時の保管条件により得ることができる。
【0017】
本発明の二次電池用ポリマー膜は、60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度が1×10-4S/cm以上であることが好ましい。60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度は、電池特性、特に寿命特性の観点から、5×10-4S/cm以上であることがより好ましい。イオン伝導度の上限は、実質的に1×10-1S/cmになる。
【0018】
本発明の二次電池用ポリマー膜は、二次電池用セパレータのイオン伝導性の指標であるイオン伝導度が式(2)の関係であることが電池特性、特にレート特性の観点から好ましい。
(60℃24時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)/(60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)×100≦110%・・・式(2)。
【0019】
式(2)は、60℃の高温で一定時間以上保管した際に、イオン伝導性が変化しないことを表している。イオン伝導度の変化を式(2)を満たす範囲にすることによって、負極表面に不均一または高抵抗な被膜が形成され、電池の抵抗が高くなることによる大電流密度での充放電特性の低下を抑制することができる。式(2)は、(60℃24時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)/(60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)×100≦105%がより好ましく、95%≦(60℃24時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)/(60℃8時間保管後の25℃条件下でのイオン伝導度)×100≦105%がさらに好ましい。式(2)を満たす二次電池用ポリマー膜を得る方法は特に限られるものでは無いが、後述する熱処理条件、電解液中、または電池組立時の保管条件により得ることができる。
【0020】
本発明の二次電池用ポリマー膜の一態様として、厚み0.1μm以上の無孔層を有し、無孔層を構成するポリマーに対して20質量%以上400質量%以下の有機溶媒と、1.0質量%以上10.0質量%以下のリチウム元素を含有するものが挙げられる。
【0021】
ここで無孔層とは、走査型電子顕微鏡(SEM)にて得られるポリマー膜の断面画像において、一方の界面からもう一方の界面に向かって界面と垂直な直線を引き、直線と交わる50nm以上の空隙の個数を求め、空隙が10個以下である層をいう。無孔層を有することで、イオンの流れが均一となり、負極に金属リチウムを用いた際のリチウムデンドライトや、正極活物質から溶出する遷移金属のデンドライトの生成を抑制すると共に、生成したデンドライトの成長を物理的に阻害することができる。これにより、電池の短絡抑制とサイクル特性向上の効果が得られる。
【0022】
この無孔層の厚みが0.1μm未満であると、上記効果が得られない場合がある。無孔層の厚みはより好ましくは0.5μm以上であり、さらに好ましくは1.0μm以上である。無孔層厚みの上限は限定されないが、20.0μmを超えると抵抗が高くなり、電池の出力特性が低下することがある。
【0023】
また、ポリマー膜を構成するポリマーに対して20質量%以上400質量%以下の有機溶媒と、1.0質量%以上10.0質量%以下のリチウム元素を含有することで、ポリマー膜中を均一かつ低抵抗にリチウムイオンが移動することが可能となり、優れた電池特性、特に長期で安定したサイクル特性を得ることができる。
【0024】
本発明の有機溶媒は、特に限定されることなく、従来の二次電池に用いられている有機溶媒を使用することができる。上記有機溶媒として、具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、2メチル-γ-ブチロラクトン、アセチル-γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-エトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、アルキル-1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル、N-メチル-2-ピロリドン、スルホランなど、およびこれらの誘導体や混合物などが好ましく用いられる。
ポリマーに対して有機溶媒量が20質量%未満またはリチウム元素量が1.0質量%未満であると、抵抗が高くなったり、イオン移動経路が偏在することで、電池の出力特性が低下したり、リチウムデンドライトによる短絡やサイクル寿命低下が起きることがある。これらは、特に長期間で充放電をサイクルさせた際の短絡や容量低下につながる。一方で、ポリマーに対して有機溶媒量が400質量%を超えると、膜の強度が低下し、電池の短絡抑制効果が得られにくくなる。また、リチウム元素量が10.0質量%を超えると、膜内でリチウムイオンが析出し、短絡が起きることがある。
ポリマー膜中の有機溶媒量は、より好ましくはポリマーに対して50質量%以上350質量%以下であり、さらに好ましくは100質量%以上300質量%以下である。また、ポリマー膜中のリチウム元素量は、より好ましくはポリマーに対して2.0質量%以上10.0質量%以下であり、さらに好ましくは3.0質量%以上10.0質量%以下である。
【0025】
ポリマー膜中の有機溶媒量とリチウム元素量を上記範囲内とする方法は、特に限られるものでは無いが、後述するポリマーを用いて、後述する熱処理条件と保管条件を適用することにより得ることができる。
【0026】
二次電池用ポリマー膜のメルトダウン温度は、電池の安全性の観点から、300℃以上が好ましく、350℃以上がより好ましい。温度の上限は、電池材料の暴走温度の観点から500℃になる。
【0027】
二次電池用ポリマー膜を150℃で1時間保管した際の熱収縮率は、電池の安全性の観点から、-10%以上10%以下が好ましく、-5%以上5%以下がより好ましい。
【0028】
本実施形態において、二次電池用ポリマー膜の構成成分としては、イオン伝導性、耐熱性、強度、柔軟性を両立するポリマーであれば特に限定されず、具体的には、芳香族ポリアミド(アラミド)、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリエーテルケトン、芳香族ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリアリレート、芳香族ポリサルフォン、芳香族ポリエーテルサルフォン、芳香族ポリエーテルイミド、芳香族ポリカーボネート、ポリチオウレア、ゴム、ウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、超分子化合物、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂の混合物としてもよい。上記ポリマーとしては、特に、主鎖上に芳香族環を有するポリマーが好適である。中でも耐熱性に優れ、高強度であることから、例えば、芳香族ポリアミド(芳香族ポリイミド前駆体である芳香族ポリアミド酸を含む)、芳香族ポリイミドおよび芳香族ポリアミドイミドが挙げられる。上記ポリマーの含有量は二次電池用ポリマー膜全体のポリマーに対して30~100質量%であることが好ましく、より好ましくは全体の50~100質量%である。
【0029】
本実施形態において、ポリマー中に、下記化学式(I)~(III)のいずれかの構造を有するポリマーを含むことが好ましい。なお、芳香族ポリアミドとしては次の化学式(I)、芳香族ポリイミドとしては次の化学式(II)、芳香族ポリアミドイミドとしては次の化学式(III)で表される繰り返し単位を有するものである。
化学式(I):
【0030】
【化1】
【0031】
化学式(II):
【0032】
【化2】
【0033】
化学式(III):
【0034】
【化3】
【0035】
ここで、化学式(I)~(III)中のArおよびArは芳香族基であり、それぞれ単一の基であってもよいし、複数の基で、多成分の共重合体であってもよい。また、芳香環上で主鎖を構成する結合手はメタ配向、パラ配向のいずれであってもよい。さらに、芳香環上の水素原子の一部が任意の基で置換されていてもよい。
【0036】
本実施形態において用いる芳香族ポリアミドや芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミドとしては、化学式(I)~(III)中のArおよびArのすべての基の合計の25~100モル%が、フッ素基、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、シアネート基およびフルオレン基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基(置換基)を有する芳香族基であることが好ましい。フッ素基、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、シアネート基などの電子吸引性の強い置換基を有することで、クーロン反発力によりポリマー鎖間に、より大きな自由体積が形成され、有機溶媒やリチウム元素を取り込みやすい。また、フルオレン基などの嵩高い基を有することで、ポリマー鎖間の距離を離すことも効果的である。上記置換基を有する芳香族基がArおよびArのすべての基の合計の25モル%未満である場合、十分なイオン透過性が得られないことがある。上記置換基の割合は、ArおよびArのすべての基の合計の50~100モル%であることがより好ましい。
【0037】
さらに好ましくは、化学式(I)~(III)中のArおよびArのすべての基の合計の25~100モル%が、次の化学式(IV)~(VIII)で表される基から選ばれた少なくとも1つの基であることであり、その割合は50~100モル%であることがより好ましい。
化学式(IV)~(VIII):
【0038】
【化4】
【0039】
(化学式(IV)~(VIII)中の二重破線は、1または2本の結合手を表す)
ここで、化学式(IV)~(VIII)の芳香環上の水素原子の一部が、さらにフッ素、臭素、塩素などのハロゲン基;ニトロ基;シアノ基;メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシなどのアルコキシ基、カルボン酸基等の任意の基で置換されていてもよい。
【0040】
まず、本発明の二次電池用ポリマー膜に用いることができるポリマーを得る方法を芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリイミドを例に説明する。もちろん、本発明に用いることができるポリマーおよびその重合方法はこれに限定されるものではない。
【0041】
芳香族ポリアミドを得る方法は種々の方法が利用可能であるが、例えば、酸ジクロライドとジアミンを原料として低温溶液重合法を用いる場合には、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性有機極性溶媒中で合成される。溶液重合の場合、分子量の高いポリマーを得るために、重合に使用する溶媒の水分率を500ppm以下(質量基準、以下同様)とすることが好ましく、200ppm以下とすることがより好ましい。
【0042】
芳香族ポリイミドあるいはその前駆体である芳香族ポリアミド酸を得る方法として、例えば、テトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミンを原料として非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合により合成する方法などをとることができる。非プロトン性有機極性溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
【0043】
原料のテトラカルボン酸無水物および芳香族ジアミンの両者を等量用いると超高分子量のポリマーが生成することがあるため、モル比を、一方が他方の90.0~99.5モル%になるように調整することが好ましい。
【0044】
芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミドあるいはその前駆体である芳香族ポリアミド酸の対数粘度(ηinh)は、0.5~6.0dl/gであることが好ましい。対数粘度が0.5dl/g未満であると、ポリマー分子鎖の絡み合いによる鎖間の結合力が減少するため、靭性や強度などの機械特性が低下したり、熱収縮率が大きくなることがある。対数粘度が6.0dl/gを超えると、イオン透過性が低下することがある。
【0045】
次に、本発明の二次電池用ポリマー膜を製造する工程に用いる製膜原液(以下、単に製膜原液ということがある。)について、説明する。
【0046】
製膜原液には重合後のポリマー溶液をそのまま使用してもよく、あるいはポリマーを一度単離してから上述の非プロトン性有機極性溶媒や硫酸などの無機溶剤に再溶解して使用してもよい。
【0047】
製膜原液中のポリマーの濃度は、3~30質量%が好ましく、より好ましくは5~20質量%である。製膜原液には、イオン伝導性向上の観点から上述したリチウム塩を添加することが好ましい。リチウム塩の添加量は、リチウム塩のリチウムとポリマーの酸素のモル比が0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましいまた、製膜原液に無機粒子が含まれていても構わない。
【0048】
次に本発明の二次電池用ポリマー膜を製膜する方法について説明する。上記のように調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法により製膜を行うことができる。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがあり、いずれの方法で製膜しても差し支えないが、ここでは乾湿式法を例にとって説明する。なお、本発明の二次電池用ポリマー膜は、電極上に直接製膜することで積層複合体を形成してもよいが、ここでは、単独のフィルムとして製膜する方法を説明する。
【0049】
乾湿式法で製膜する場合は製膜原液を口金からドラム、エンドレスベルト、フィルム等の支持体上に押し出して膜状物とし、次いでかかる膜状物が自己保持性を持つまで乾燥する。乾燥条件は例えば、60~220℃、60分以内の範囲で行うことができる。ただし、ポリアミド酸ポリマーを使用し、イミド化させずに芳香族ポリアミド酸からなる膜を得たい場合、乾燥温度は60~150℃とすることが好ましく、より好ましくは60~120℃である。
【0050】
乾式工程を終えたフィルムは支持体から剥離されて湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれ、さらに延伸、乾燥、熱処理が行なわれる。延伸は延伸倍率として面倍率で0.8~8.0(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。1以下はリラックスを意味する。)の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは1.0~5.0である。また、熱処理としては80℃~500℃、イオン伝導性の観点、また高温でよりイオンを含浸させやすくする観点から好ましくは130℃~250℃、より好ましくは130~200℃の温度で、数秒から数10分間熱処理が実施されることが好ましい。ただし、ポリアミド酸ポリマーを使用し、イミド化させずにポリアミド酸からなる膜を得たい場合、熱処理温度は80~150℃とすることが好ましい。より好ましくは減圧下で80~120℃とすることである。熱処理時間は、5秒以上100分以下とすることが好ましく、30秒以上30分以下とすることがより好ましく、1分以上10分以下とすることがさらに好ましい。
【0051】
本発明の二次電池用ポリマー膜は、多孔質基材の少なくとも片面に前述のポリマーを用いたポリマー層が積層されていても構わない。多孔質基材としては、多孔膜、不織布、または繊維状物からなる多孔膜シートなどが挙げられ、貫通する孔を有してもよい。多孔質基材を構成する樹脂としては、電気絶縁性であり、電気的に安定で、電解液にも安定である樹脂から構成されていることが好ましい。また、シャットダウン機能を付与する観点から用いる樹脂は熱可塑性樹脂が好ましく、融点が200℃以下の熱可塑性樹脂がより好ましい。ここでのシャットダウン機能とは、リチウムイオン電池が異常発熱した場合に、熱で溶融することで多孔構造を閉鎖し、イオン移動を停止させて、発電を停止させる機能のことである。
【0052】
熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィンが挙げられる。多孔質基材はポリオレフィンを含むポリオレフィン製多孔質基材が好ましい。ポリオレフィン製多孔質基材は、融点が200℃以下であることがより好ましい。ポリオレフィンとしては、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、その共重合体、およびこれらを組み合わせた混合物などが挙げられ、例えばポリエチレンを90質量%以上含有する単層のポリオレフィン製多孔質基材、ポリエチレンとポリプロピレンからなる多層のポリオレフィン製多孔質基材などが挙げられる。
【0053】
ポリオレフィン製多孔質基材の製造方法としては、例えばポリオレフィン系樹脂をシートにした後に延伸することで多孔質化する方法やポリオレフィン系樹脂を流動パラフィンなどの溶剤に溶解させてシートにした後に溶剤を抽出することで多孔質化する方法が挙げられる。上記方法で得られたポリオレフィン製多孔質基材はポリマー層との密着性の観点から表面処理を行ってもよい。
【0054】
ポリオレフィン製多孔質基材の厚みは、3μm以上50μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以上、また30μm以下である。ポリオレフィン製多孔質基材の厚みが50μmより厚くなるとポリオレフィン製多孔質基材の内部抵抗が高くなる場合がある。また、ポリオレフィン製多孔質基材の厚みが3μmより薄くなると製造が困難になり、また十分な力学特性が得られない場合がある。
【0055】
ポリオレフィン製多孔質基材の透気度は、50秒/100cc以上1,000秒/100cc以下であることが好ましく、より好ましくは50秒/100cc以上500秒/100cc以下である。透気度が1,000秒/100ccよりも大きいと、十分なイオン移動性が得られず、電池特性が低下してしまう場合がある。50秒/100ccよりも小さい場合は、十分な力学特性が得られない場合がある。
【0056】
ポリオレフィン製多孔質基材のシャットダウン温度は140℃以下が好ましい。シャットダウン温度が140℃以下の場合、二次電池が高容量化、高出力化した際に、発熱開始温度が低下しても、シャットダウン機能が十分に作動することができる。シャットダウン温度は、二次電池が高容量化、高出力化した際に、発熱開始温度のさらなる低温化の観点から、135℃以下がより好ましく、積層する際の乾燥温度の観点から、100℃以上がより好ましい。
【0057】
次に、ポリオレフィン製多孔質基材の少なくとも片面にポリマー層を積層する積層フィルムの製造方法について説明する。上述した製膜原液をポリオレフィン製多孔質基材上に塗工し水槽中に浸漬させ、乾燥を行い、ポリマー層を積層する。乾燥温度は、二次電池用ポリマー膜が十分に乾燥でき、ポリオレフィン製多孔質基材の透気度を低下させないことから60~100℃、イオン伝導性の観点、また高温でよりイオンを含浸させやすくする観点から60~90℃が好ましく、60~80℃がより好ましい。塗工方法としては、公知の方法で塗工すればよい。例えば、ディップコーティング、グラビアコーティング、スリットダイコーティング、ナイフコーティング、コンマコーティング、キスコーティング、ロールコーティング、バーコーティング、吹き付け塗装、浸漬コーティング、スピンコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、パット印刷、他の種類の印刷などが利用できる。これらに限定されることはなく、用いる樹脂、無機粒子、分散剤、レベリング剤、使用する溶媒、多孔質基材などの好ましい条件に合わせて塗工方法を選択すればよい。
【0058】
塗工に使用するポリマー溶液のポリマー濃度は、2~6質量%が好ましく、より好ましくは3~4質量%がさらに好ましい。また、塗工性を向上させるために、例えば、多孔質基材にコロナ処理、プラズマ処理などの塗工面の表面処理を行ってもよい。
【0059】
上記のように作製した二次電池用ポリマー膜は、電池組立前、または電池組立工程における注液後に25℃以上60℃以下の温度条件で12時間以上72時間以下保管することが、ポリマー膜へのイオンの含浸の観点から好ましい。保管条件は、45℃以上60℃以下の温度条件で12時間以上48時間以下保管することがより好ましく、注液と保管の間に0.5mA/cm2以下の電流密度で二次電池の設計容量の5%以下の容量の充電容量、放電容量で充放電を2回以下行うことがさらに好ましい。
【0060】
[二次電池]
本発明の一態様として、本発明の二次電池用ポリマー膜を備えた二次電池を挙げることができる。リチウムイオン電池などの二次電池は、正極活物質を正極集電体に積層した正極と、負極活物質を負極集電体に積層した負極との間に、二次電池用セパレータと電解質が介在した構成となっている。本発明の二次電池用ポリマー膜は上記二次電池のセパレータに好適に用いることができる。
【0061】
正極は、活物質、バインダー樹脂、および導電助剤からなる正極材が集電体上に積層されたものであり、活物質としては、LiCoO、LiNiO、Li(NiCoMn)O、などの層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiMnなどのスピネル型マンガン酸化物、およびLiFePOなどの鉄系化合物などが挙げられる。バインダー樹脂としては、耐酸化性が高い樹脂を使用すればよい。具体的にはフッ素樹脂、アクリル樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂などが挙げられる。導電助剤としては、カーボンブラック、黒鉛などの炭素材料が用いられている。集電体としては、金属箔が好適であり、特にアルミニウムが用いられることが多い。
【0062】
負極は、活物質および/またはバインダー樹脂からなる負極材が集電体上に積層されたものであり、活物質としては、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンなどの炭素材料、スズやシリコンなどのリチウム合金系材料、Liなどの金属材料、およびチタン酸リチウム(LiTi12)などが挙げられる。バインダー樹脂としては、フッ素樹脂、アクリル樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂などが用いられる。集電体としては、金属箔が好適であり、特に銅箔が用いられることが多い。
【0063】
負極は、高容量の観点から金属Liが好ましく、金属Liを負極に用いる際には、二次電池用ポリマー膜が金属Liの少なくとも一部分に配置された構成がデンドライト耐性の観点から好ましい。すなわち、本発明の二次電池の別の態様においては、本発明の二次電池用ポリマー膜が金属Liの少なくとも一部分に配置された金属Li負極を用いてなる。
【0064】
電解液は、二次電池の中で正極と負極との間でイオンを移動させる場となっており、電解質を有機溶媒にて溶解させた構成をしている。電解質としては、アルカリ金属、特にリチウムのハロゲン化物、過塩素酸塩、チオシアン塩、ホウフッ化塩、リンフッ化塩、砒素フッ化塩、アルミニウムフッ化塩、トリフルオロメチル硫酸塩などが好ましく用いられる。例えば、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CFSO]、臭化リチウム(LiBr)、リチウムビス(オキサレート)ボラート、リチウムジフルオロ(オキサレート)ボラート、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドなどのリチウム塩(電解質)などの1種以上の塩を用いることができるが、六フッ化リン酸リチウム、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)が好ましい。
有機溶媒としては、前述したものが挙げられる
二次電池の作製方法として一例を記載するが、かかる例に限定されるものではない。まず活物質と導電助剤をバインダー溶液中に分散して電極用塗布液を調製し、この塗布液を集電体上に塗工して、溶媒を乾燥させることで正極、負極がそれぞれ得られる。乾燥後の塗工膜の膜厚は50μm以上500μm以下とすることが好ましい。得られた正極と負極の間に二次電池用ポリマー膜を、それぞれの電極の活物質層と接するように配置し、アルミラミネートフィルム等の外装材に封入し、電解液を注入後、負極リードや安全弁を設置し、外装材を封止する。
【0065】
本発明の二次電池の作成方法では、電解液を注液後、25℃以上60℃以下の温度条件で12時間以上72時間以下保管する工程を含むことが好ましい。上記工程を含むことにより、ポリマー膜への電解液とイオンの含浸を促進し、かつ、負極表面被膜形成が良好となる。また、長時間保管した際のイオン伝導性の変化を小さくすることができる。正極活物質、負極活物質のイオン伝導の観点から、45℃以上60℃以下の温度条件で12時間以上48時間以下保管することが好ましく、注液と保管の間に0.2C以下のレート条件で15分以下充放電を2回以下行うことがより好ましい。
【0066】
このようにして得られた二次電池は、耐熱破膜性が高く、かつ優れた電池特性を有し、また、低コストでの製造が可能となる。
【0067】
本発明の二次電池は、乗り物、無人輸送機、無人飛行体、電子機器、定置電源等の電源として好適に用いることができる。本発明の一態様として、上述の二次電池を含む乗り物、無人輸送機、無人飛行体、電子機器、及び定置電源を挙げることができる。
【実施例0068】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。本実施例で用いた測定法を以下に示す。
【0069】
[測定方法]
(1)透気度(単位:秒/100cc)
実施例で得られた電解液中で保管した後の二次電池用ポリマー膜を、ジエチルカーボネート(DEC)で3回洗浄後、80℃で1時間真空乾燥を行い、王研式透気抵抗度計(旭精工株式会社製、EGO-1T)を使用して、JIS P8117(1998)に準拠して5回測定し、計算した平均値を透気度とした。なお、透気度は10000秒が測定限界となり、ポリマー膜は実質的に無孔構造を有している。
【0070】
(2)各温度で保管後のイオン伝導度(単位:S/cm)
CR2032型コイン電池容器に入れたSUS304電極上に電解液(1M LiPF6 エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=1/1、三井化学社製)を5ml滴下した後、実施例で得られた二次電池用ポリマー膜を、電極部分をカバーするように置き、電解液(1M LiTFSI エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=1/1、三井化学社製)を5ml滴下してからもう1枚のSUS電極ではさみ、スプリングを導入、蓋を閉め、カシメを行い、イオン伝導度測定用コイン電池を作製した。イオン伝導度測定用コイン電池の積層体がずれないようにシリコン板で固定して評価セルを作製した。作製した評価セルについて、各温度に設定した恒温槽で保管した。保管条件は、60℃で8時間保管、60℃24時間保管、25℃で8時間保管の3条件になる。保管した後、25℃で3時間冷却した後、25℃の条件で電気化学試験装置(Biologic社製、型番:SP-150)にて振幅10mV、周波数1MHz-10mHzの条件で交流インピーダンスを測定し、複素平面上にプロットしたグラフから抵抗値を読み取り、下記式に代入し、イオン伝導度を計算した。5回測定し、計算した平均値をイオン伝導度とした。
σ=d1/AR
σ:イオン伝導度(S/cm)
d1:二次電池用ポリマー膜の厚み(cm)(電解液浸漬前)
A:電極の面積(cm
R:抵抗値(Ω)。
【0071】
(3)メルトダウン温度
実施例で得られた電解液中で保管した後の二次電池用ポリマー膜を50mm×50mmサイズに切り出し、ジエチルカーボネート(DEC)で3回洗浄後、80℃で1時間真空乾燥を行い、中央に12mmの貫通孔のある2枚のステンレス板で試料を挟み、さらにその両側から中央に12mmの貫通孔のある加熱ブロック板で挟んだ。貫通孔にタングステン・カーバイド製で直径9.5mmの球を乗せ、加熱ブロックを5℃/分で昇温していき、球が落下した際の温度を計測した。試験は5回実施し、平均値をメルトダウン温度(℃)とした。なお、測定装置の上限温度は400℃になる。
【0072】
(4)150℃熱収縮率
実施例で得られた電解液中で保管した後の二次電池用ポリマー膜を50mm×50mmサイズに切り出し、ジエチルカーボネート(DEC)で3回洗浄後、80℃で1時間真空乾燥を行いサンプルとした。切り出したサンプルの長手方向の長さ(50mm)をLMD1(mm)、幅方向の長さ(50mm)をLTD1(mm)と表した。サンプルを150℃に加熱した熱風オーブン内に1時間静置し加熱処理を行い、加熱処理後、放冷した。
オーブンから取り出したサンプルの長手方向および幅方向についてそれぞれ最も長さが短くなっている箇所の寸法を測定し、長手方向の長さをLMD2(mm)、幅方向の長さをLTD2(mm)と表した。面積熱収縮率は以下の式に基づいて算出した。
面積熱収縮率(%)=[(LMD1×LTD1-LMD2×LTD2)/LMD1×LTD1]×100
測定は各サンプルにつき5回実施して平均した。
【0073】
(5)耐デンドライト性
CR2032型コイン電池容器に入れたφ15mmの金属Li上に電解液(1M LiTFSI エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=1/1、三井化学社製)を8ml滴下した後、実施例で得られた二次電池用ポリマー膜を、電極部分をカバーするように置き、電解液(1M LiTFSI エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=1/1、三井化学社製)を8ml滴下してからもう1枚のφ15mmの金属Liではさみ、スプリングを導入、蓋を閉め、カシメを行い、耐デンドライト性測定用コイン電池を作製した。
得られたコイン電池を2Cの条件で、電流印加60分間充放電サイクルテストを行った。以下の基準で耐デンドライト性を判定した。
30サイクルを超えて電圧挙動が安定かつ短絡しない:〇
30サイクル以内に不安定な電圧挙動があるか、短絡し充放電できない:×。
【0074】
(6)電池作製
正極シートは、正極活物質としてLi(Ni5/10Mn2/10Co3/10)Oを92質量部、正極導電助剤としてアセチレンブラックとグラファイトを2.5質量部ずつ、正極結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部を、プラネタリーミキサーを用いてN-メチル-2-ピロリドン中に分散させた正極スラリーを、アルミ箔上に塗布、乾燥、圧延して作製した(塗布目付:9.5mg/cm)。この正極シートをφ15mmに打ち抜いた。負極は、φ16mmのリチウム金属箔(厚さ30μm)を使用した。次に、実施例で得られた二次電池用ポリマー膜をφ18mmに打ち抜いたサンプルの両面に上記正極と負極を活物質層がサンプルを隔てるように重ね、正極塗布部が全て負極塗布部と対向するように配置してコイン電池の容器に導入し、電解液を注液後、スプリングを導入、蓋を閉め、カシメを行い、コイン電池を得た。電解液は、ジエチルカーボネート:ジエチルカーボネート=1:1(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1モル/リットルとなるように溶解させ、作製した。電池組立後の保管条件は、実施例比較例に記載する。
【0075】
(7)レート特性
作製したコイン電池のレート特性を下記手順にて試験を行い、放電容量維持率にて評価した。充電条件を1.5C、4.2Vの定電流充電、放電条件を1.5C、2.5Vの定電流放電を1回行い、その後、充電条件を1.5C、4.2Vの定電流充電、放電条件を4C、2.5Vの定電流放電を1回行った。
〈放電容量維持率の算出〉
(4Cの放電容量)/(1.5Cの放電容量)×100で放電容量維持率を算出した。上記コイン電池を5個作製し、その平均値を放電容量維持率とした。〇:70%以上、△:60%以上70%未満、×:60%未満で判断した。
【0076】
(8)サイクル特性
作製したコイン電池のサイクル特性を下記手順にて試験を行い、放電容量維持率にて評価した。充電条件を1.5C、4.2Vの定電流充電、放電条件を1.5C、2.5Vの定電流放電とし、充放電を100回行った。
〈放電容量維持率の算出〉
(100回後の放電容量)/(1回目の放電容量)×100で放電容量維持率を算出した。
上記コイン電池を5個作製し、その放電容量維持率の平均値から以下の基準で判断した。
◎:80%以上、〇:70%以上80%未満、△:60%以上70%未満、×:60%未満。
【0077】
(9)長期サイクル特性
作製したコイン電池の長期サイクル特性を下記手順にて試験を行い、放電容量維持率にて評価した。充電条件を1.5C、4.2Vの定電流充電、放電条件を1.5C、2.5Vの定電流放電とし、充放電を500回行った。
〈放電容量維持率の算出〉
(500回後の放電容量)/(1回目の放電容量)×100で放電容量維持率を算出した。上記コイン電池を5個作製し、その放電容量維持率の平均値から以下の基準で判断した。
○:70%以上、△:50%以上70%未満、×:50%未満あるいは500回到達前に短絡が発生して試験終了。
【0078】
(10)SEM断面観察(無孔層厚み)
実施例で得られたポリマー膜について、クロスセクションポリッシャ(日本電子社製SM-9010)を用いて断面切削を行い、断面に白金コートをして観察試料とした。次に、電界放射走査型電子顕微鏡(日本電子社製JSM 6701F)を用いて、試料の断面を任意の倍率で撮影し、ポリマー膜の厚みを求めた。観察時の加速電圧は2.0kVとした。ポリマー膜が複合膜である場合は、無孔層と微多孔層の界面を、断面構造の違いもしくは画像コントラストから判定し、それぞれの厚みを求めた。
次に、10,000倍で撮影した画像から、以下の方法で無孔領域の厚みを求めた。ポリマー膜の一方の界面からもう一方の界面に向かって界面と垂直な直線を引き、直線と交わる50nm以上の空隙の個数を求め、空隙が10個以下であれば無孔領域と判定し、厚みを求めた。ポリマー膜が、無孔膜と微多孔膜からなる複合膜である場合、厚み方向の空隙の分布やサイズが変化しはじめる点を界面とみなした。
【0079】
(11)ポリマー膜中の有機溶媒量
実施例で得られた所定条件で保管後のポリマー膜について、下記装置および条件にて昇温脱離質量分析(TPD-MS)法により測定した。
加熱装置:特殊加熱装置(東レリサーチセンター社製)
質量分析装置:GC/MS QP2010SE(島津製作所社製)
加熱条件;室温~350℃、昇温速度5℃/min
雰囲気:ヘリウムガス(50mL/min)
MS感度:Gain1.70kV
標準物質:NaWO・2HO、二酸化炭素、1-ブテン、空気。
【0080】
(12)ポリマー膜中のリチウム元素量
実施例で得られた所定条件で保管後のポリマー膜に硫酸を加えて加熱炭化した後、加熱灰化した。この灰分を硫酸および硝酸で加熱分解し、希硝酸で溶解して定容とした。この溶液について、原子吸光分析装置ZA3300(日立ハイテクサイエンス製)を用いて、原子吸光分析法により測定した。
【0081】
(実施例1)
脱水したN-メチル-2-ピロリドンに、ジアミンとして2,2’-ジトリフルオロメチル-4,4’-ジアミノビフェニルを窒素気流下で溶解させ、30℃以下に冷却した。そこへ、系内を窒素気流下、30℃以下に保った状態で、ジアミン全量に対して99.5モル%に相当する2-フルオロテレフタル酸クロライド(酸ジクロライド)を30分かけて添加し、全量添加後、約2時間の撹拌を行うことで、芳香族ポリアミドを重合した。得られた重合溶液を、酸ジクロライド全量に対して97モル%の炭酸リチウムおよび6モル%のジエタノールアミンにより中和し芳香族ポリアミド樹脂濃度が10質量%である芳香族ポリアミド樹脂溶液を得た。得られた芳香族ポリアミド樹脂はDSCで吸熱ピークトップを有さず、融点を有さない耐熱性樹脂であるといえる。また、得られた芳香族ポリアミドの対数粘度ηinhは4dl/gであった。
【0082】
得られた芳香族ポリアミド樹脂溶液に脱水したN-メチル-2-ピロリドンを添加してポリマー濃度を4質量%とし、ミキサー(THINKY社製、型番:AR-250)を用いて撹拌および脱泡を行い、均一透明溶液を得た。得られた溶液を支持体であるガラス板上に膜状に塗布し、熱風温度70℃でポリマー膜が自己支持性を持つまで乾燥させた後、ポリマー膜を支持体から剥離した。次いで、30℃の水浴に導入することで、溶媒および中和塩などの抽出を行った。続いて、得られた含水状態のポリマー膜の表面の水を拭き取った後、温度150℃のテンター室内にて、3分の熱処理を施し、厚み5μmの無孔のポリマー膜を得た。得られたポリマー膜を55mm×55mmに切り出し、ポリマー膜の両面に45mm×45mmに切り出し銅箔集電体付きの金属Liで挟み、電極群を得た。1枚の90mm×200mmのアルミラミネートフィルムに上記銅箔集電体付きの金属Li・ポリマー膜・銅箔集電体付きの金属Li・ポリマー膜の順に挟み込み、アルミラミネートフィルムの長辺を折り、アルミラミネートフィルムの長辺2辺を熱融着し、袋状とした。袋状にしたアルミラミネートフィルムに電解液(1M LiTFSI エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=1/1、三井化学社製)1.5gを注入し、減圧含浸させながらアルミラミネートフィルムの短辺部を熱融着させてラミネート型電池とした。0.1Cにて10分間充放電を1回行った後、60℃24時間保管し、二次電池用ポリマー膜を得た。耐デンドライト性レート特性およびサイクル特性の電池評価に関しては、得られたポリマー膜を上述した方法のとおりに電池を組立後、0.1Cにて10分間充放電を1回行った後、60℃24時間保管した。保管後、電池評価を実施した。
【0083】
(実施例2)
酸クロライドとして2-クロロテレフタロイルクロライドを用いた以外は実施例1と同様にして二次電池用ポリマー膜を得た。なお、イオン伝導度、耐デンドライト性および電池評価前に行う保管条件も実施例1と同様に行った。
【0084】
(実施例3~11)
電解液中での保管条件を表に記載のとおりの条件とした以外は、実施例1と同様にして二次電池用ポリマー膜を得た。イオン伝導度、耐デンドライト性、レート特性およびサイクル特性の電池評価に関しては、電池組立後、充放電は実施せず、二次電池用ポリマー膜を製造する際の電解液中での保管条件と同様の条件で保管後、電池評価を実施した。
【0085】
(実施例12)
温度220℃のテンター室内にて、3分の熱処理を施した以外は実施例1と同様にして二次電池用ポリマー膜を得た。レート特性およびサイクル特性の電池評価に関しては、電池組立後、充放電は実施せず、二次電池用ポリマー膜を製造する際の電解液中での保管条件と同様の条件で保管後、電池評価を実施した。
【0086】
(実施例13)
実施例1と同様に芳香族ポリアミド樹脂を重合及び中和し、得られた芳香族ポリアミド樹脂溶液に脱水したN-メチル-2-ピロリドンを添加してポリマー濃度を4質量%とし、ミキサー(THINKY社製、型番:AR-250)を用いて撹拌および脱泡を行い、均一透明溶液(塗剤)を得た。ポリエチレン多孔質膜基材(厚み12μm、透気度164秒/100mL)の両面に塗剤をディップコートにて塗工した。塗工後11秒で水槽に浸漬し、水槽から取り出し後、75℃の乾燥温度で含有される溶媒が揮発するまで乾燥することで多孔質膜基材の両面に各厚み1μmの無孔のポリマー層を形成し、総厚み14μmの積層ポリマー膜を得た。得られた積層ポリマー膜を55mm×55mmに切り出し、積層ポリマー膜の両面に45mm×45mmに切り出し銅箔集電体付きの金属Liで挟み、電極群を得た。1枚の90mm×200mmのアルミラミネートフィルムに上記銅箔集電体付きの金属Li・積層ポリマー膜・銅箔集電体付きの金属Li・積層ポリマー膜の順に挟み込み、アルミラミネートフィルムの長辺を折り、アルミラミネートフィルムの長辺2辺を熱融着し、袋状とした。袋状にしたアルミラミネートフィルムに電解液(1M LiTFSI エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=1/1、三井化学社製)1.5gを注入し、減圧含浸させながらアルミラミネートフィルムの短辺部を熱融着させてラミネート型電池とした。0.1Cにて10分間充放電を1回行った後、60℃24時間保管し、二次電池用ポリマー膜を得た。耐デンドライト性、レート特性およびサイクル特性の電池評価に関しては、得られた積層ポリマー膜を上述した方法のとおりに電池を組立後、0.1Cにて10分間充放電を1回行った後、60℃24時間保管した。保管後、電池評価を実施した。
【0087】
(実施例14)
酸クロライドとして2-クロロテレフタロイルクロライドを用いた以外は、実施例13と同様にして二次電池用ポリマー膜を得た。レート特性およびサイクル特性の電池評価に関しては、上述した方法のとおりに電池を組立後、0.1Cにて10分間充放電を1回行った後、60℃24時間保管した。保管後、電池評価を実施した。
【0088】
(実施例15~23)
電解液中での保管条件を表に記載のとおりの条件とした以外は、実施例13と同様にして二次電池用ポリマー膜を得た。イオン伝導度、耐デンドライト性、レート特性およびサイクル特性の電池評価に関しては、電池組立後、充放電は実施せず、二次電池用ポリマー膜を製造する際の電解液中での保管条件と同様の条件で保管後、電池評価を実施した。
【0089】
(実施例24)
90℃の乾燥温度で含有される溶媒が揮発するまで乾燥した以外は実施例13と同様にして二次電池用ポリマー膜を得た。レート特性およびサイクル特性の電池評価に関しては、電池組立後、充放電は実施せず、二次電池用ポリマー膜を製造する際の電解液中での保管条件と同様の条件で保管後、電池評価を実施した。
【0090】
(比較例1)
何も塗工せず、実施例13で使用したポリエチレン製多孔質基材(厚み12μm、透気度160秒/100cc)のみで評価した。
【0091】
(比較例2)
温度300℃のテンター室内にて、3分の熱処理を施した以外は実施例1と同様にしてポリマー膜を得た。得られたポリマー膜を電解液(1M LiTFSI エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=1/1、三井化学社製)中で25℃24時間保管し、二次電池用ポリマー膜を得た。レート特性およびサイクル特性の電池評価に関しては、電池組立後、充放電は実施せず、25℃24時間保管した。保管後、電池評価を実施した。
【0092】
(比較例3)
電解液中で保管しなかったこと以外は比較例2と同様にして二次電池用ポリマー膜を得た。また、電池評価は、電池組立後、充放電は実施せず、かつ、保管せずに行った。
【0093】
(比較例4~11)
電解液中での保管条件を表に記載のとおりの条件とした以外は、比較例2と同様にして二次電池用ポリマー膜を得た。レート特性およびサイクル特性の電池評価に関しては、電池組立後、充放電は実施せず、二次電池用ポリマー膜を製造する際の電解液中での保管条件と同様の条件で保管後、電池評価を実施した。
【0094】
(比較例12)
100℃の乾燥温度で含有される溶媒が揮発するまで乾燥した以外は実施例13と同様にして二次電池用ポリマー膜を得た。得られた二次電池用ポリマー膜を電解液(1M LiTFSI エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=1/1、三井化学社製)中で25℃24時間保管して、二次電池用ポリマー膜を得た。レート特性およびサイクル特性の電池評価に関しては、電池組立後、充放電は実施せず、25℃24時間保管した。保管後、電池評価を実施した。
【0095】
(比較例13)
電解液中で保管しなかったこと以外は比較例12と同様にして二次電池用ポリマー膜を得た。また、電池評価は、電解液中で保管せずに行った。
【0096】
(比較例14~21)
電解液中での保管条件を表に記載のとおりの条件とした以外は、比較例12と同様にして二次電池用ポリマー膜を得た。レート特性およびサイクル特性の電池評価に関しては、電池組立後、充放電は実施せず、二次電池用ポリマー膜を製造する際の電解液中での保管条件と同様の条件で保管後、電池評価を実施した。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
表に記載のとおり、実施例は、いずれも耐デンドライト性、イオン伝導性を十分発現し、良好な電池特性が得られる。一方、比較例は、耐デンドライト性もしくは電池特性が不十分となった。