(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126011
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】座席アセンブリ、クッション、並びに形成工具及び方法
(51)【国際特許分類】
A47C 27/12 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
A47C27/12 F
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024022768
(22)【出願日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】18/178,818
(32)【優先日】2023-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】599094510
【氏名又は名称】リア・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Lear Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】カーティス ハドソン
(72)【発明者】
【氏名】エリック レプケ
(72)【発明者】
【氏名】リサ スウィコスキー
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096BA00
(57)【要約】
【課題】非発泡クッション及び関連する座席アセンブリを形成する方法並びにそのシステム及び工具を提供すること。
【解決手段】ストランドメッシュ材料素材を、クッション部材を形成するように形作られた工具アセンブリの空洞の中へ挿入することを含む方法が提供される。第1の温度閾値より高い温度で流体を、工具アセンブリの形成面に画定された一連の開口を通して空洞の中へ循環させ、これにより、素材を軟化させ、素材の形状を形成面に適合させる。第2の温度閾値より低い温度で流体を、形成面における一連の開口を通して空洞の中へ循環させ、これにより、素材の形状を形成面に整え、クッション部材を形成する。ストランドメッシュ材料部材によって、座席アセンブリのクッションが提供される。第1の工具、第2の工具及び1つ以上の入口マニホールドを備えるシステムが提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストランドメッシュ材料素材を、クッション部材を形成するために形作られた工具アセンブリの空洞の中へ挿入することと、
第1の温度閾値より高い温度で流体を、前記工具アセンブリの形成面に画定された一連の開口を通して前記空洞の中へ循環させ、これにより、前記素材を軟化させ、前記素材の形状を前記形成面に適合させることと、
第2の温度閾値より低い温度で流体を、前記形成面に画定された前記一連の開口を通して前記空洞の中へ循環させ、これにより、前記素材の前記形状を前記形成面に整え、クッション部材を形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ストランドメッシュ材料素材を前記空洞の中へ挿入した後に、前記工具アセンブリの第1の工具を前記工具アセンブリの第2の工具に対して移動させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の工具は、前記一連の開口の第1の部分を画定し、前記第2の工具は、前記一連の開口の第2の部分を画定する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の工具を前記第2の工具に対して移動させることによって、前記ストランドメッシュ材料素材を圧縮することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ストランドメッシュ材料素材を前記工具アセンブリの前記空洞の中へ挿入する前に、前記素材に溝穴を止まり穴深さまで切削加工することと、前記素材を前記工具アセンブリの前記空洞の中へ挿入するときに前記形成面の突出部を前記素材の前記溝穴の中へ挿入することとを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の温度閾値は、前記素材の軟化温度より高く、前記第2の温度閾値は、前記素材の軟化温度より低い、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ストランドメッシュ材料素材を、複数の統合ポリマーストランドを有するポリマーメッシュとして形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ダイを通して材料を押出加工し、前記ダイから前記押出加工した材料を漏斗に通し、前記漏斗に通した後の前記押出加工した材料を1つ以上のローラーを介して移動させることによって、前記ストランドメッシュ材料素材を形成することと、前記素材を形成した後で前記素材を前記工具アセンブリの前記空洞の中へ挿入する前に、前記ストランドメッシュ材料素材を切断することとを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法によって形成されるストランドメッシュ材料部材を備える、座席アセンブリのクッション。
【請求項10】
第1の形成面を備え、前記第1の形成面を貫通する一連の第1の開口を画定する第1の工具と、
前記第1の形成面と協働して空洞を画定しクッション部材を形成するように形作られた第2の形成面を備え、前記第2の形成面を貫通する一連の第2の開口を画定する第2の工具と、
前記一連の第1の開口又は前記一連の第2の開口のうちの少なくとも一方を介して、前記空洞に流体的に接続される入口マニホールドと、
を備える、システム。
【請求項11】
前記第1の工具は、前記入口マニホールドと流体連通する1つ以上の第1のチャンバーを画定し、前記1つ以上の第1のチャンバーは、前記第1の形成面における前記一連の第1の開口を介して前記空洞に流体連通する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記入口マニホールドは、第1の入口マニホールドであり、前記第1の入口マニホールドは、前記第1の工具によって支持され、前記一連の第1の開口を介して前記空洞に流体的に接続され、
前記システムは、第2の入口マニホールドを更に備え、前記第2の入口マニホールドは、前記第2の工具によって支持され、前記一連の第2の開口を介して前記空洞に流体的に接続される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記一連の第1の開口及び前記空洞を介して前記入口マニホールドに流体的に結合される出口を更に備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記出口は、前記第1の工具又は前記第2の工具のうちの少なくとも一方において1つ以上の出口ポートによって少なくとも部分的に画定され、前記1つ以上の出口ポートのそれぞれは、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な閉鎖部材を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の工具及び前記第2の工具は、チャンバーの中央領域内に位置決めされ、前記チャンバーは、前記入口マニホールドに流体連通する少なくとも1つの入口を有するとともに、前記出口を画定する、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記入口マニホールドは、前記チャンバーの外周壁の少なくとも一部分に沿って延在し、前記入口は、前記チャンバーの前記外周壁に沿って位置決めされ、前記出口は、流体が前記チャンバー内で前記入口から前記出口へ径方向内向きに循環するように、前記チャンバーの前記中央領域を大気に流体的に接続するように位置決めされる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記入口は、偏向器を更に備え、前記偏向器は、前記入口マニホールドの中へ延在し、流体を前記チャンバーの中へ誘導するように位置決めされる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の形成面及び/又は前記第2の形成面から外向きに延在する1つ以上の位置決め部材を更に備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
前記入口マニホールドに流体連通する流体移送装置、加熱器及び弁と、コントローラーとを更に備え、前記コントローラーは、前記加熱器を前記入口マニホールドに選択的に流体的に結合して流体を前記空洞へ第1の温度で提供するように、また、前記加熱器から前記入口マニホールドを選択的に流体的に結合解除して流体を前記空洞へ前記第1の温度より低い第2の温度で提供するように前記弁を制御するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項20】
第1の形成面を備え、前記第1の形成面を貫通する一連の第1の開口を画定する第1の工具と、
前記第1の形成面と協働して空洞を画定しクッション部材を形成するように形作られた第2の形成面を備え、前記第2の形成面を貫通する一連の第2の開口を画定する第2の工具と、
1つ以上の入口マニホールドと、
前記入口マニホールドに流体連通する流体移送装置、弁及び加熱器を備える流体系と、
前記加熱器を前記入口マニホールドに選択的に流体的に結合して流体を前記空洞へ第1の温度で提供するように、また、前記加熱器から前記入口マニホールドを選択的に流体的に結合解除して流体を前記空洞へ前記第1の温度より低い第2の温度で提供するように前記弁を制御するように構成されるコントローラーと、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な実施形態は、非発泡クッション及び関連する座席アセンブリを形成する工具及び方法、並びに非発泡クッション及び座席アセンブリに関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、非発泡クッション及び関連する座席アセンブリを形成する方法、並びにそのシステム及び工具を提供するものであり、また、非発泡クッション及び座席アセンブリを提供する。
【0003】
本発明の一態様によれば、ストランドメッシュ材料素材を、クッション部材を形成するように成形される工具アセンブリの空洞の中へ挿入することと、第1の温度閾値より高い温度で流体を、工具アセンブリの形成面に画定された一連の開口を通して空洞の中へ循環させ、これにより、素材を軟化させ、素材の形状を形成面に適合させることと、第2の温度閾値より低い温度で流体を、形成面に確定された一連の開口を通して空洞の中へ循環させ、これにより、素材の形状を形成面に整え、クッション部材を形成することとを含む方法が提供される。
【0004】
本発明の別の態様によれば、上述の方法によって形成されるストランドメッシュ材料部材を備える、座席アセンブリのクッションが提供される。
【0005】
本発明の別の態様によれば、第1の形成面を備え、第1の形成面を貫通する一連の第1の開口を画定する第1の工具と、第1の形成面と協働して空洞を画定しクッション部材を形成するように形作られた第2の形成面を備え、第2の形成面を貫通する一連の第2の開口を画定する第2の工具と、一連の第1の開口又は一連の第2の開口のうちの少なくとも一方を介して、空洞に流体的に接続される入口マニホールドとを備えるシステムが提供される。
【0006】
本発明の別の態様によれば、第1の形成面を備え、第1の形成面を貫通する一連の第1の開口を画定する第1の工具と、第1の形成面と協働して空洞を画定しクッション部材を形成するように形作られた第2の形成面を備え、第2の形成面を貫通する一連の第2の開口を画定する第2の工具と、1つ以上の入口マニホールドと、入口マニホールドに流体連通する流体移送装置、弁及び加熱器を備える流体系と、加熱器を入口マニホールドに選択的に流体的に結合して流体を空洞へ第1の温度で提供するように、また、加熱器から入口マニホールドを選択的に流体的に結合解除して流体を空洞へ第1の温度よりも低い第2の温度で提供するように弁を制御するように構成されるコントローラーとを備えるシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る座席アセンブリの斜視図である。
【
図2】
図1の座席アセンブリで使用される、一実施形態に係るクッション部材の部分図である。
【
図4】
図3のシステムで使用される第1の工具の斜視図である。
【
図5】
図3のシステムで使用される第2の工具の斜視図である。
【
図6】
図4の第1の工具又は
図5の第2の工具の別の斜視図である。
【
図7】閉鎖位置にある、別の実施形態に係るシステムの概略上面図である。
【
図8】開放位置にある、
図7のシステムの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、実施形態を詳細に参照する。その例が添付図面に示されている。以下の詳細な説明において、様々な記載の実施形態の十分な理解を提供するために、数多くの特定の詳細を述べる。しかしながら、当業者には、様々な記載の実施形態をこれらの特定の詳細なしで実施することができることが明白であろう。他の事例において、既知の方法、手順、構成要素、回路、及びネットワークについては、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように詳細には説明していない。
【0009】
開示される実施形態は例示にすぎず、様々な代替形態が可能であることを理解されたい。図面は、必ずしも正確な縮尺比で描かれているとは限らず、いくつかの特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張又は最小化される場合がある。したがって、本明細書に開示される特定の構造的及び機能的な詳細は、限定するものと解釈されるべきではなく、単に、本開示に係る実施形態を様々に採用するために当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0010】
「1つ以上の」は、機能が1つの要素によって行われること、機能が例えば分散方式で2つ以上の要素によって行われること、複数の機能が1つの要素によって行われること、複数の機能が複数の要素によって行われること、又は上記の任意の組合せを含む。
【0011】
また、第1の、第2の、等の用語が、いくつかの事例において、様々な要素を説明するために本明細書において使用されるが、これらの要素はこれらの用語によって制限されるべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、或る要素を別の要素から区別するために使用されるにすぎない。例えば、様々な記載の実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の接点を第2の接点と称してもよく、同様に、第2の接点を第1の接点と称してもよい。第1の接点及び第2の接点は、どちらも接点であるが、同じ接点ではない。
【0012】
本明細書の様々な記載の実施形態の説明において使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的でしかなく、限定することを意図したものではない。様々な記載の実施形態の説明及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈上明らかに別段の指定がなされていない限り、単数形(“a”, “an” and “the”)は、複数形も含むことを意図したものである。また、「及び/又は」という用語は、本明細書において使用される場合、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる可能な組合せを指し、これを包含するために使用されることを理解されるであろう。さらに、「~を備える」又は「~を含む」という用語は、本明細書において使用される場合、明記された特徴、完全体、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外するものではないことを理解されるであろう。
【0013】
本明細書において使用される場合、「~する場合」という用語は、任意選択で、文脈に応じて、「~するとき」、又は「~するとすぐに」、又は「判断することに応じて」、又は「検出することに応じて」を意味するものと解釈される。同様に、「判断される場合」又は「[明記された条件又は事象]が検出される場合」という言い回しは、任意選択で、文脈に応じて、「判断するとすぐに」、又は「判断することに応じて」、又は「[明記された条件又は事象]を検出するとすぐに」、又は「[明記された条件又は事象]を検出することに応じて」を意味するものと解釈される。
【0014】
コントローラーという用語は、様々な構成要素及びシステムに対する1つ以上のコントローラー又は制御モジュールとして設けることができる。コントローラー及び制御システムは、任意の数のコントローラーを含むことができ、単一のコントローラーに統合することができ、又は様々なモジュールを有することができる。コントローラーのうちのいくつか又は全ては、コントローラーエリアネットワーク(CAN)又は他のシステムによって接続することができる。本明細書に開示される任意のコントローラー、回路、又は他の電気デバイスは、互いに協働して本明細書に開示される動作(複数の場合もある)を行う、任意の数のマイクロプロセッサ、集積回路、メモリデバイス(例えば、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、又はその他の好適な変形)及びソフトウェアを含むことができることが認識される。加えて、本明細書に開示される電気デバイスのうちの任意の1つ以上は、本明細書に開示される任意の数の機能を行うようにプログラミングされる非一時的コンピューター可読媒体に具現されるコンピュータープログラムを実行するように構成することができる。
【0015】
図1を参照すると、車両座席アセンブリ20等の座席アセンブリ20が示されている。他の例において、座席アセンブリ20は、前列の運転手又は同乗者座席、第2列座席、第3列座席、又は他の後列座席として成形及びサイズ決定することができ、図示のベンチスタイル座席、バケット座席、又は他の座席スタイルを含むことができる。さらに、座席アセンブリは、非収納式座席とすることができ、又は車両の床の空洞の中に折畳み可能かつ収納可能であり得る収納式座席とすることができる。加えて、座席アセンブリ20は、他の非車両用途で使用することができる。
【0016】
座席アセンブリ20は、フレーム22又は他の支持構造体を有する。座席アセンブリは、座席構成要素を有し、これらの座席構成要素は、少なくとも座席底部24及び座席背部26を含む。座席底部24は、着座した乗員を受け入れて乗員の骨盤及び大腿部を支持するようにサイズ決定することができる。座席背部26は、座席底部24から直立に延在して乗員の背中を支持するようにサイズ決定することができる。座席アセンブリは、加えて、ヘッドレスト27を有することができ、隣接する座席アセンブリのヘッドレスト27のみが示されている。座席底部24は、座席底部クッション28を有する。座席背部26は、座席背部クッション30を有する。フレーム22は、クッション28、30を支持するワイヤサスペンションマット又は他の構造体を含むことができる。
【0017】
フレーム22は、座席構成要素、例えば、座席底部24及び座席背部26の堅い構造的支持をもたらし、座席アセンブリの調整を提供するように互いに対して移動可能である複数のフレーム部材として設けることができる。フレームは、打抜き加工した鋼合金、繊維強化ポリマー、又は任意の好適な構造材料から形成することができる。フレーム22は、関連するクッションを支持する基板、例えば、パネルを更に備えることができる。
【0018】
1つ以上のトリムカバー32が、座席底部クッション28及び座席背部クッション30を覆い、座席アセンブリ20の座面を提供するために使用される。車両座席アセンブリ20は、トリムカバーなしで示されており、隣接する座席アセンブリにトリムカバー32が示されている。1つの例において、トリムカバー32は、クッション28、30の両方を覆う。他の例において、座席底部クッション及び座席背部クッションを覆うために複数のトリムカバーが設けられる。トリムカバー32は、繊維材料、皮革材料、人工皮革材料、ビニール材料、又は他の材料の1つ以上のパネルから形成することができる。
【0019】
座席クッション40について更に詳細に後述するが、この説明は、座席底部クッション28又は座席背部クッション30にも同様に適用することができる。本明細書に記載の座席クッション40は、加えて、他の座席構成要素、又は他の車両内部構成要素に使用することもできる。
【0020】
図示の例において、座席クッション40は、少なくとも1つの非発泡構成要素又は部材42を備える。1つの例において、図示のように、座席クッション40は、非発泡構成要素42のみから形成され、非発泡構成要素42は、フレーム22とトリムカバー32との間の座席構成要素のクッション性の全てを提供する。他の例において、座席クッション40は、非発泡構成要素42、及び成形ポリウレタンフォームから構成される構成要素等の1つ以上の発泡構成要素、又は他の非発泡構成要素から形成することができる。座席クッション40は、座席構成要素のクッション40の異なる領域、例えば、中央領域、及びサイドボルスター領域を提供するように位置決めされる非発泡構成要素及び発泡構成要素を有することができる。座席クッション40から従来の発泡体のいくつか又は全てを除去することによって、座席アセンブリ20に、支持及び快適性の改善、及び重量削減を提供することができる。
【0021】
1つの非限定的な例において、座席クッション40の非発泡構成要素すなわち部材42は、絡み合い三次元フィラメント構造体としても知られる、ストランドメッシュ材料によって形成される。ストランドメッシュ材料は、複数の統合ポリマーストランドを有するポリマーメッシュから作製される。ストランドメッシュ材料は、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPDE)材料から作製することができるが、所望の特性及び機能性を提供するために有効な他のポリマー及び材料も想定される。ストランドメッシュ材料は、多孔質メッシュ構造を提供するようにランダムに絡み合う、屈曲する、ループする、又は別様に位置決め及び配向され、互いに直接接合される直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の押出加工したフィラメントを使用して形成することができる。その一例が
図2の拡大図に示されている。
【0022】
図2を参照すると、クッションは、第1の面44と、第1の面44に対向して位置する第2の面46とを備えるストランドメッシュ材料部材42のクッション素材41すなわちストランドメッシュ材料素材41から形成することができる。側面47すなわち側縁部は、第1の面44と第2の面46との間に延在する。第1の面44は、座席アセンブリ20上に位置決めされ、座席アセンブリの乗員を支持することができる。様々な面44、46、47は、後述のシステムを介してクッション素材から形成することができ、面44、46、47上に、又は関連する面44、46、47の交点に凹部、溝、チャネル、凹面若しくは凸面、又は他の輪郭等の様々な特徴部を備えることができる。クッション素材41は、素材41から、クッション40内に様々な特徴部又は形状を形成するように後述のシステムで使用される1つ以上のスリット48すなわち切込みをクッション素材41内に備えることができる。
【0023】
クッション素材41は、上述のクッション40及び部材42を形成するストランドメッシュ材料を提供する、連結フィラメント構造体から形成することができる。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のプラスチックの固体顆粒又はペレット等の原材料をホッパーから押出機へ供給することができる。押出機は、原材料を溶融し、ダイプレートを通して搬送する。材料は、圧力を受けて溶融状態で押出機を出る。ダイプレートは、溶融材料が通過する複数の小さい円形貫通穴すなわち開口を介して材料をフィラメントへと押出加工し、単一のフィラメントが各ダイプレート穴から押出加工される。フィラメントは、ダイプレートから、フィラメントを連結又はグループ化するのに役立つ漏斗へ落下し、フィラメントは、屈曲又はループし、各フィラメントは少なくとも1つの他のフィラメントに接触して接着され、よりコンパクトな構成になる。連結フィラメント構造体は、次に、連結フィラメント構造体を一時的に支持し、多孔性及び密度を維持し、フィラメントを外側から冷却して固化するのに役立つ液体タンク等の流体槽に入る。タンクには様々なローラー及びコンベヤを設けることができ、連結フィラメント構造体は、例えば、切断ホイール、ウォータージェット、又は別の技法を使用して、クッション素材を形成するように所望のサイズ及び形状に切断することができる。1つの非限定的な例において、クッション素材41は、略直方柱として設けられる。
【0024】
クッション素材41は、1つ以上の溝穴すなわちスリット48を形成するために、後述のシステムで使用される前に更に切断することができる。クッション素材41は、溝穴48を形成するために、止まり穴深さまで、すなわち素材41を部分的に通して切断することができる。クッション素材41は、クッション40の所望の形状及びサイズ、並びにクッション40の所望の局在密度特性に基づいてニアネットシェイプに更に切断することができる。
【0025】
図3は、クッション素材41からクッション40を成形するシステム100を示している。クッション素材41がシステム100内に位置決めされることで、クッション素材41をクッション40の所望の最終形状へと、特徴部、例えば、凹部、輪郭等を有して成形する。クッション素材41は、材料を冷却して素材形態へと切断した後に、上述したような連結フィラメント構造体から形成される。
【0026】
システム100は、工具アセンブリ102を有する。工具アセンブリ102は、1つ以上の流体系104と流体連通する。各流体系104は、ポンプ又はファン等の流体移送装置106と、1つ以上の弁108と、加熱器110とを有する。流体系104は、空気等の加圧ガス又は液体の流れを工具アセンブリ102に、コントローラー112を介した流量コントローラーを用いて提供することができる。図示の非限定的な例において、流体系(複数の場合もある)104は、空気を工具アセンブリ102へ提供する。
【0027】
図3~
図6を参照すると、システム100の工具アセンブリ102は、第1の工具120及び第2の工具140を有する。第1の工具120は、第1の形成面122を有し、第1の形成面122は、第1の形成面122を貫通する一連の第1の開口124を画定する。第2の工具140は、第2の形成面142を有する。1つの非限定的な例において、第2の形成面142は、第2の形成面142を貫通する一連の第2の開口144を画定する。第1の形成面122及び第2の形成面142は、空洞160を画定するように協働し、素材41からクッション部材を形成するように成形される。空洞160は、凹状、凸状、又は他の複雑な形状、チャネル、凹部、湾曲部、面取り部、段状角部又は領域等を含む様々な形状を素材41からクッション40へと形成するように成形される。さらに、空洞160は、工具アセンブリ102が工具アセンブリ内で素材41を圧縮するように、素材41よりも体積が小さくなるようにサイズ決定することができ、これにより、クッション40内の異なる領域内で異なる局在密度を提供することができる。換言すれば、素材41は、空洞160よりも大きいサイズとすることができる。得られるクッション40内の局在密度の変動は、例えば、薄い部分すなわち領域であるほど密度が増大することにより、有利であり得る。
【0028】
集合的に、第1の工具120及び第2の工具140は、工具アセンブリの形成面122、142における開口124、144の一部分をそれぞれ画定する。第1の工具及び第2の工具のそれぞれにおける開口124、144は、円形として示されているが、開口には他の断面形状を設けることができる。開口124、144には、共通の直径を設けることができ、又は、例えば、工具アセンブリ102内のクッション素材41の様々な領域への流れをより良好に制御するために様々な直径を設けることができる。開口124、144は、加えて、形成面上で互いから略等間隔とすることができ、又は、開口の間の間隔は、異なるものとして、同様に工具アセンブリ102内のクッション素材41の様々な領域への流れを制御することができる。様々な例において、形成面122、142のうち、開口なしで設けられる或る特定の領域が存在してもよい。
【0029】
第1の工具120は、工具アセンブリ102が閉鎖されると、第2の工具140の対応する合わせ面146と協働する合わせ面126を有する。第1の工具120は、工具アセンブリを開閉するように第2の工具140に向かって及び第2の工具140から離れるように並進又は別様に移動させることができる。
【0030】
図示の例において、工具アセンブリ102は、第1の流体系104a及び第2の流体系104bを有する。第1の流体系104a及び第2の流体系104bは、互いに異なるものと図示及び説明されるが、他の例において、2つの流体系104a、2つの流体系104b、又は単一の流体系104a、104bを使用することができる。
【0031】
第1の流体系104aは、弁108を介して加熱器110aに選択的に接続される流体移送装置106aを有する。コントローラー112は、後述するように、第1の入口マニホールド114a及び第1の工具120に流体を提供するように弁108の位置及び加熱器110aの動作を制御する。第1の入口マニホールド114aは、例えば、流量を制御することによって、マニホールド114aの管路のそれぞれを通る流れを選択的に制御する弁108を更に有することができる。入口マニホールド114aは、一連の第1の開口124を介して第1の工具120及び空洞160に流体的に接続される。流体系104aは、入口マニホールド114aを介して工具アセンブリ102に流体的に接続される。入口マニホールド114aは、図示のように第1の工具120内に2つ以上の入口ポートを提供することができ、又は単一の入口を提供することができる。
【0032】
第2の流体系104bは、2つの流体移送装置106bを有する。一方の流体装置106bは加熱器110bに接続され、加熱器110bは、弁108を介して入口マニホールド114bに接続される。他方の流体移送装置106bは、別の弁108によって入口マニホールド114bに接続される。コントローラー112は、後述するように、第1の入口マニホールド114b及び第2の工具140に流体を提供するように弁108の位置、流体移送装置106b、加熱器110bを制御する。第1の入口マニホールド114aは、例えば、流量を制御することによって、マニホールド114aの管路のそれぞれを通る流れを選択的に制御する弁108を更に有することができる。入口マニホールド114aは、一連の第1の開口124を介して第1の工具120及び空洞160に流体的に接続される。流体系104aは、入口マニホールド114aを介して工具アセンブリ102に流体的に接続される。入口マニホールド114aは、図示のように第1の工具120の中への2つ以上の入口ポートを提供することができ、又は単一の入口を提供することができる。
【0033】
更なる例において、流体系104a、104bの様々な機能部を、例えば、単一のコントローラー112を用いて、又は1つの流体移送装置及び/又は加熱器を使用することによって組み合わせて、流体の流れを両方のマニホールド114a、114に提供すること等ができる。
【0034】
第1の工具120及び第2の工具140の内部は、形成面122、142に対向した1つ以上のチャンバーをそれぞれ形成することができ、関連する開口124、144によって形成面がそれぞれのチャンバー(複数の場合もある)に接続される。
図6は、形成面142に対向した第2の工具140の図を示しており、工具140は、内部支持壁152によって分割される4つのチャンバー150を有する。内部支持壁152は、形成面142の構造的支持をもたらし、また、流れストリームを分離して流れの均一性を維持又は制御することができる。他の例において、開口154は、図示のように支持壁152に設けて、チャンバー150間の横断流れを提供することができる。
【0035】
第1の工具120は、第2の工具140と同様に構成することができ、第1の工具において1つ以上の支持壁152が複数のチャンバー150を形成する。マニホールド114a、114b等の入口マニホールド114は、第1の工具及び/又は第2の工具140内で各チャンバー150に関連する1つ以上の入口ポートを提供することができる。したがって、第1の工具及び/又は第2の工具140内の異なるチャンバー150、並びに空洞160及び素材41の異なる領域への流れも同様に制御することができる。
【0036】
支持壁152に加えて、第1の工具及び第2の工具内のチャンバー150は、素材41を通る空洞160内への又は空洞160からの流れ方向を制御する様々な流れ偏向器、バッフル(そらせ板)、及び他の機能部を支持することができる。
【0037】
図示の例において、工具アセンブリ102には、第1の工具120、第2の工具140、又は両方の工具120、140内に形成される1つ以上の出口116が設けられる。出口116は、系104における流体が空気である場合、空洞160を介して直接、又はチャンバー150のうちの1つを介して空洞160を大気に流体的に接続して空洞160を通気させ、又は、閉鎖系の場合は、流体系(複数の場合もある)104a、104bへの戻り管路に接続されることができる。出口116には、バッフル(邪魔板)、板部材、又は弁等の閉鎖部材117を設けることができる。閉鎖部材117は、例えばコントローラー112によって、空洞を通気させる開放位置と、流体を空洞160に保持すなわち維持する閉鎖位置との間で更に制御されてもよい。様々な例において、閉鎖部材117は、例えば、空洞160内で所望の温度プロファイルを提供するために、流体移送装置106及び/又は加熱器110の動作中に開閉させることができる。他の例において、出口(複数の場合もある)116が閉鎖不能となるように、工具アセンブリ102は閉鎖部材117なしで設けられる。更なる例において、工具アセンブリ102は、画定された出口ポート116なしで設けられ、工具アセンブリ102は、合わせ面126、146間の様々な間隙又は間隔を介して通気させることができる。流体は、各流体系104a、104bから流れ、それぞれの入口マニホールド114a、114bに入り、空洞160に入り、次に出口(複数の場合もある)116に流れる。
【0038】
更なる例において、工具アセンブリ102には、他の入口マニホールド114b、114aの代わりに、単一の流体系114a又は114b、及び単一の出口116が設けられ、流体は順次、1つの入口マニホールドから、両方の工具120、140を通り、出口116に流れる。流体は順次、アセンブリ102内で、入口マニホールド114から流れ、第1の工具120内のチャンバー150を通り、第1の一連の開口124を通り、空洞160及び素材41を通り、一連の第2の開口144を通り、第2の工具140内のチャンバー150に入り、出口116に流れることができる。後述するように、流体は、素材41の成形を制御するように様々な温度とすることができる。
【0039】
素材41がストランドメッシュ材料から形成され、多孔質であるとき、入口マニホールド114に入る流体の流れは、第1の工具内の一連の第1の開口124を通り、素材41のストランドメッシュ材料を通り、第2の工具内の一連の第2の開口144を通り、出口116に流れる。したがって、流体は、素材41の内部のフィラメント及びストランド、並びに素材41の外面に沿ったストランドを対流的に加熱又は冷却する。
【0040】
第1の工具120及び/又は第2の工具140には、それぞれの形成面122、142から外向きに延在する1つ以上の位置決め部材170を設けることができる。図示の例において、第2の工具140には、複数の位置決め部材170がピンとして設けられる。位置決め機能部170を使用することで、工具アセンブリの閉鎖前及び閉鎖中に、工具上の所望の位置に素材を位置決めして素材41を保持することができる。素材41がフィラメント構造体であるとき、ピン170は、素材を工具上に位置決めする際、素材41内のフィラメント間に容易に延在する。更なる例において、位置決めピン170は、任意選択で、クッション40の除去を容易にするために工具アセンブリが開放しているときに引っ込むように、引込み式とすることができる。
【0041】
形成面122及び/又は形成面142には、1つ以上の突出部180を設けることで、クッション40内に対応するチャネル、凹部、ポケット、又は他の凹状領域を素材41から形成することができる。突出部180の幾何学形状に応じて、素材を工具アセンブリに挿入する前に、素材41を、突出部に対応する場所において切断することができる。例えば、チャネルが形成されるとき、素材41に止まり穴切り込みすなわちスリット48を切削して、得られるクッション40内のチャネルに隣接して逃げ部を提供し、隙間、反り、又は歪みを低減することができる。同様に、凹み領域が形成されるとき、凹部の外周に沿って素材41に止まり穴切り込みすなわちスリット48を切削して、突出した形成面180が凹み領域において素材材料を押すときに、得られるクッション40内の凹部に隣接して逃げ部を提供し、隙間又は反りを低減することができる。他の例において、平面的な切込み、湾曲した切込み、又は素材41内への貫通切込みの一部分若しくは部分切込みとしての別の複雑な幾何学形状の切込み等の他のタイプの切込みを設けることができる。これらの突出部180は、工具アセンブリ102の位置決め機能部又は部材を更に提供することができる。
【0042】
システム100は、コントローラー112も有する。コントローラー112は、加熱器110を入口マニホールド114に選択的に流体的に結合して流体を空洞160に第1の温度で提供するように、また、入口マニホールド114を加熱器110から選択的に流体的に結合解除して流体を空洞160に第1の温度より低い第2の温度で提供するように流体移送装置(複数の場合もある)106、弁108、及び加熱器(複数の場合もある)110を制御するように構成される。工具アセンブリ102が出口の閉鎖部材117を有する場合、コントローラー112は、空洞160内で流体を保持するか又は空洞を通気させるように閉鎖部材117の位置を制御することができる。例えば、コントローラー112は、流体を第1の温度で提供するときは閉鎖部材117を閉鎖することができ、流体を第2の温度で提供するときは閉鎖部材117を開放することができ、その逆も可能である。さらに、コントローラー112は、空洞160内の温度プロファイルを制御するために、流体を第1の温度及び/又は第2の温度で提供する間に閉鎖部材117を少なくとも部分的に開放する又は少なくとも部分的に閉鎖することができる。システム100は、工具アセンブリ102を通る流れを制御する際に使用される、温度センサー等の様々なセンサーを有することができる。第1の温度及び第2の温度は、素材41のフィラメントの材料の軟化温度に基づいて設定することができる。1つの例において、第1の温度は、軟化温度より高い温度のオフセットに、例えば、軟化温度を20℃~30℃上回って設定される。別の例において、第2の温度は、軟化温度より低い温度のオフセットに設定され、周囲温度で提供することができる。コントローラー112は、素材41の成形プロセスを更に制御するために、流体を第1の温度で空洞160の中へ提供する時間、流体を第2の温度で空洞160の中へ提供する時間、流体の流量、及び/又は流体の温度の上昇を更に制御することができる。コントローラー112は、加えて、工具120、140内の様々なチャンバー150、及び空洞160の異なる領域への流れを制御するように、入口マニホールド114内の個々の管路上の弁108を制御することができる。
【0043】
軟化温度は、材料のガラス転移温度を指し、融点より低い温度とすることができ、これにより、フィラメントを完全に溶融させることなく、素材41及び得られるクッション内の全体的なフィラメント構造及び多孔性を失うことなく、フィラメントを軟化させてフィラメント及び素材41の形状を変化させることが可能になる。
【0044】
様々な例において、システム100及びコントローラー112で使用できる、クッション素材41又はストランドメッシュ材料素材41からクッション40を形成する方法が提供される。第1のステップにおいて、素材を、クッション部材を形成するように形作られた工具アセンブリ102の空洞160の中に挿入する。素材が内部にある状態で工具アセンブリを閉鎖するために、素材を空洞の中へ挿入した後に、第1の工具120を工具アセンブリの第2の工具140に対して移動させる。素材41のサイズが空洞160よりも大きいものであり得る、例えば、素材の体積が空洞の体積よりも大きいものであり得るので、第1の工具120及び第2の工具140によって、素材41を圧縮することができる。様々な例において、空洞160のサイズ及び形状に対する素材41のサイズ及び形状に基づいて、素材41を異なる領域で異なる程度に圧縮することができる。
【0045】
溝穴(複数の場合もある)48が素材41内に切削されている場合、素材を工具アセンブリの空洞160の中へ挿入する際、形成面の突出部180を素材の溝穴の中に挿入する。
【0046】
素材41を工具アセンブリの中に挿入する前に工具120、140を予熱すること、又は、素材41を挿入した後にのみ、工具120、140への加熱を、第1の温度での流体の流れを介して行うことができることに留意されたい。
【0047】
第2のステップにおいて、コントローラー112は、第1の温度閾値より高い温度で流体を、入口マニホールド114の中へ入れ、工具アセンブリの形成面122に画定される一連の開口124を通して空洞160の中へ循環させ、これにより、素材41を軟化させ、素材の形状を形成面122、142に適合させるように、流体移送装置(複数の場合もある)106、弁108、及び加熱器(複数の場合もある)110を動作させる。コントローラー112は、閉鎖部材117を、例えば、概して流体を空洞160内に保持する閉鎖位置、及び/又は空洞160を通気させる開放位置へと更に制御することができる。
【0048】
第3のステップにおいて、コントローラー112は、次に、第2の温度閾値より低い温度で流体を、形成面122における一連の開口124を通して空洞160の中へ循環させるように流体移送装置106、弁108、及び加熱器110を制御し、これにより、素材41の形状を形成面122、142に整え、クッション部材を形成する。様々な例において、第1の温度閾値は、素材41の軟化温度より高く、第2の温度閾値は、素材41の軟化温度より低い。更なる例において、第3のステップ中に、流体を工具アセンブリに周囲温度で提供することができる。コントローラー112は、閉鎖部材117を、例えば、概して空洞160内の流体を通気させる開放位置、及び/又は閉鎖位置へと更に制御することができる。
【0049】
第2のステップは、素材41を軟化させ、素材41を形成面によって画定される形状に成形するための第1の温度サイクルとすることができ、第3のステップは、素材を素材41の形状に整えるための第2の温度サイクルとすることができる。様々な例において、第1のステップ、第2のステップ、及び第3のステップを順次行うことができる。
【0050】
図7及び
図8を参照すると、別の実施形態に係る工具アセンブリ200が概略的に示されている。様々な例において、工具アセンブリ200は、工具アセンブリ102の代わりに、
図3のシステム100で、概して上述の方法に従って使用することができる。上述したものと同じ又は同様の要素は、単純化するために、
図7及び
図8に関しては説明しない場合がある。
図7は、工具アセンブリ200の概略上面図を示しており、
図8は、開放位置にある、工具アセンブリ200の概略側面図を示している。
【0051】
工具アセンブリ200は、第1の工具220及び第2の工具240を有する。第1の工具220及び第2の工具240は、共通のチャンバー202の中央領域内にそれぞれ位置決めされる。第1の工具220及び第2の工具240のそれぞれは、チャンバー202内の支柱又は他の支持部材204によって支持することができる。第1の工具220は、第1の形成面222を有し、第1の形成面222は、第1の形成面222を貫通する一連の第1の開口224を画定する。第2の工具240は、第2の形成面242を有し、第2の形成面242は、第2の形成面242を貫通する一連の第2の開口244を画定する。第1の形成面222及び第2の形成面242は、協働して空洞260を画定し、空洞260は、クッション素材41からクッションを形成するために形作られている。第1の工具220は、合わせ面226を有し、合わせ面226は、工具アセンブリ200が閉鎖されると、第2の工具の対応する合わせ面246に接続する。第1の工具220は、工具アセンブリを開閉するように第2の工具240に向かって及び第2の工具240から離れるように並進又は別様に移動させることができる。
【0052】
チャンバー202は、流体系104a又は104b等の流体系と流体連通する周方向入口マニホールド208と流体連通する少なくとも1つの入口206を有する。入口マニホールド208は、チャンバー202の外周の周りに、又はチャンバーの外周の少なくとも一部分に沿って延在する。入口マニホールド208からチャンバー202への入口(複数の場合もある)206は、チャンバーの外周壁に沿って設けられる。周方向入口マニホールド208は、ポート210を介して入口マニホールド114から流体を受けることができ、又は入口マニホールドの一部分とすることができる。図示の例において、チャンバーは単一の入口206を有するが、他の数の入口206も想定される。周方向入口マニホールド208は、単一のポート210から、又は図示のように複数のポート210から流れを受けることができる。入口206は、関連する偏向器212を有することができる。偏向器は、所望の流れ角度でマニホールド208から誘導することに役立つように、周方向入口マニホールド208内に角度を付けて延在することができる。入口206は、
図7に示されているように、隣接する周方向流れマニホールド208に対して及び内部の流体の流れ方向に対して角度付けられる壁とともに更に形成することができる。1つの非限定的な例において、偏向器212及び入口206の角度は45度であるが、他の鋭角も想定される。1つの入口206のみが示されているが、複数の入口206及び偏向器も想定され、入口206は、チャンバー202内の渦流れ又は循環流れの生成を支援するように、周方向マニホールド208に沿って離隔される。
【0053】
チャンバー202は、出口214も画定する。出口214は、流体がチャンバー202内で入口(複数の場合もある)206からチャンバー202の外周に沿って(及び周方向入口マニホールド208から)出口214に径方向内向きに循環するように、チャンバー202の中央領域を大気に流体的に接続するように位置決めされる。これにより、概して、チャンバー202内で渦流れの幾何学形状が提供される。
【0054】
工具アセンブリ200は、システム100内に位置決めされ、上述の方法に従ってコントローラー112を介して制御することができる。様々な例によれば、流体は順次、アセンブリ102内で入口マニホールド114、周方向マニホールド208から、入口206を通りチャンバー202の中へ流れ、次に、工具220、240に向かう渦流れ又は循環流れの経路を有する。流体は、工具220、240における開口224、244を通り、空洞160及び素材41を通り、出口214へ流れる。上述したように、流体は、素材41の成形を制御するように様々な温度とすることができる。
【0055】
素材41がストランドメッシュ材料から形成され、多孔質であるとき、入口マニホールド114の中へ流れる流体は、第1の工具内の一連の第1の開口124を通り、素材41のストランドメッシュ材料を通り、第2の工具内の一連の第2の開口144を通り、出口116へ流れる。したがって、流体は、素材41の内部のフィラメント及びストランド、並びに素材41の外面に沿ったストランドを対流的に加熱又は冷却する。
【0056】
条項1.方法が提供され、ストランドメッシュ材料素材を、クッション部材を形成するために形作られた工具アセンブリの空洞の中へ挿入する。第1の温度閾値より高い温度で流体を、工具アセンブリの形成面に画定された一連の開口を通して空洞の中へ循環させ、これにより、素材を軟化させ、素材の形状を形成面に適合させる。第2の温度閾値より低い温度で流体を、形成面に確定された一連の開口を通して空洞の中へ循環させ、これにより、素材の形状を形成面に整え、クッション部材を形成する。
【0057】
条項2.ストランドメッシュ材料素材を空洞の中へ挿入した後に、工具アセンブリの第1の工具を工具アセンブリの第2の工具に対して移動させることを更に含む、条項1の方法。
【0058】
条項3.第1の工具は、一連の開口の第1の部分を画定し、第2の工具は、一連の開口の第2の部分を画定する、条項2の方法。
【0059】
条項4.第1の工具を第2の工具に対して移動させることによって、ストランドメッシュ材料素材を圧縮することを更に含む、条項2の方法。
【0060】
条項5.ストランドメッシュ材料素材を工具アセンブリの空洞の中へ挿入する前に、素材に溝穴を止まり穴深さまで切削加工することと、素材を工具アセンブリの空洞の中へ挿入するときに形成面の突出部を素材の溝穴の中へ挿入することとを更に含む、条項1~4のいずれか1つの方法。
【0061】
条項6.第1の温度閾値は、素材の軟化温度より高く、第2の温度閾値は、素材の軟化温度より低い、条項1~5のいずれか1つの方法。
【0062】
条項7.ストランドメッシュ材料素材を、複数の統合ポリマーストランドを有するポリマーメッシュとして形成することを更に含む、条項1~6のいずれか1つの方法。
【0063】
条項8.ダイを通して材料を押出加工し、ダイから押出加工した材料を漏斗に通し、漏斗に通した後の押出加工した材料を1つ以上のローラーを介して移動させることによって、ストランドメッシュ材料素材を形成することと、素材を形成した後で素材を工具アセンブリの空洞の中へ挿入する前に、ストランドメッシュ材料素材を切断することとを更に含む、条項7の方法。
【0064】
条項9.条項8の方法によって形成されるストランドメッシュ材料部材を備える、座席アセンブリのクッション。
【0065】
条項10.第1の形成面を備え、第1の形成面を貫通する一連の第1の開口を画定する第1の工具と、第1の形成面と協働して空洞を画定しクッション部材を形成するように形作られた第2の形成面を備え、第2の形成面を貫通する一連の第2の開口を画定する第2の工具とを備えるシステムが提供される。入口マニホールドは、一連の第1の開口又は一連の第2の開口のうちの少なくとも一方を介して、空洞に流体的に接続される。
【0066】
条項11.第1の工具は、入口マニホールドと流体連通する1つ以上の第1のチャンバーを画定し、1つ以上の第1のチャンバーは、第1の形成面における一連の第1の開口を介して空洞に流体連通する、条項10のシステム。
【0067】
条項12.入口マニホールドは、第1の入口マニホールドであり、第1の入口マニホールドは、第1の工具によって支持され、一連の第1の開口を介して空洞に流体的に接続され、システムは、第2の入口マニホールドを更に備え、第2の入口マニホールドは、第2の工具によって支持され、一連の第2の開口を介して空洞に流体的に接続される、条項10又は11のシステム。
【0068】
条項13.一連の第1の開口及び空洞を介して入口マニホールドに流体的に結合される出口を更に備える、条項10~12のいずれか1つのシステム。
【0069】
条項14.出口は、第1の工具又は第2の工具のうちの少なくとも一方において1つ以上の出口ポートによって少なくとも部分的に画定され、1つ以上の出口ポートのそれぞれは、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な閉鎖部材を備える、条項13のシステム。
【0070】
条項15.第1の工具及び第2の工具は、チャンバーの中央領域内に位置決めされ、チャンバーは、入口マニホールドに流体連通する少なくとも1つの入口を有するとともに、出口を画定する、条項13のシステム。
【0071】
条項16.入口マニホールドは、チャンバーの外周壁の少なくとも一部分に沿って延在し、入口は、チャンバーの外周壁に沿って位置決めされ、出口は、流体がチャンバー内で入口から出口へ径方向内向きに循環するように、チャンバーの中央領域を大気に流体的に接続するように位置決めされる、条項15のシステム。
【0072】
条項17.入口は、偏向器を更に備え、偏向器は、入口マニホールドの中へ延在し、流体をチャンバーの中へ誘導するように位置決めされる、条項16のシステム。
【0073】
条項18.第1の形成面及び/又は第2の形成面から外向きに延在する1つ以上の位置決め部材を更に備える、条項10~17のいずれか1つのシステム。
【0074】
条項19.入口マニホールドに流体連通する流体移送装置、加熱器及び弁と、コントローラーを更に備える、条項10~18のいずれか1つのシステム。コントローラーは、加熱器を入口マニホールドに選択的に流体的に結合して流体を空洞へ第1の温度で提供するように、また、加熱器から入口マニホールドを選択的に流体的に結合解除して流体を空洞へ第1の温度より低い第2の温度で提供するように弁を制御するように構成される。
【0075】
条項20.第1の形成面を備え、第1の形成面を貫通する一連の第1の開口を画定する第1の工具と、第1の形成面と協働して空洞を画定しクッション部材を形成するように形作られた第2の形成面を備え、第2の形成面を貫通する一連の第2の開口を画定する第2の工具と、を備えるシステムが提供される。1つ以上の入口マニホールドが設けられる。流体系には、入口マニホールドに流体連通する流体移送装置、弁及び加熱器が設けられる。コントローラーは、加熱器を入口マニホールドに選択的に流体的に結合して流体を空洞へ第1の温度で提供するように、また、加熱器から入口マニホールドを選択的に流体的に結合解除して流体を空洞へ第1の温度より低い第2の温度で提供するように弁を制御するように構成される。
【0076】
条項21.任意の組合せの上記の条項1~20のいずれか1つ。
【0077】
例示的な実施形態を上述したが、これらの実施形態が本開示による全ての可能な形態を表すことは意図されていない。その点で、本明細書に使用されている文言は、限定ではなく記述のための文言であり、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることが理解される。加えて、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、本開示による更なる実施形態を形成することができる。
【0078】
本出願は、2023年3月6日に出願された米国特許出願第18/178,818号の利益を主張し、その出願の開示内容は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【外国語明細書】