(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126018
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ルテニウム錯体、その製造方法およびそれを用いるアリルアミン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 213/62 20060101AFI20240911BHJP
C07D 295/033 20060101ALI20240911BHJP
C07D 223/22 20060101ALI20240911BHJP
C07D 295/03 20060101ALI20240911BHJP
C07F 17/02 20060101ALI20240911BHJP
C07C 209/14 20060101ALI20240911BHJP
C07C 211/27 20060101ALI20240911BHJP
C07C 211/21 20060101ALI20240911BHJP
C07C 211/48 20060101ALI20240911BHJP
C07C 211/54 20060101ALI20240911BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240911BHJP
【FI】
C07D213/62 CSP
C07D295/033
C07D223/22
C07D295/03
C07F17/02
C07C209/14
C07C211/27
C07C211/21
C07C211/48
C07C211/54
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024030874
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2023033550
(32)【優先日】2023-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】水野 翔太
(72)【発明者】
【氏名】井上 宗宣
【テーマコード(参考)】
4C055
4H006
4H039
4H050
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA02
4C055BA21
4C055CA01
4C055DA01
4C055DA06
4C055GA02
4H006AA02
4H006AC52
4H006BA23
4H006BA44
4H006BA47
4H006BB31
4H039CA22
4H039CA71
4H039CD10
4H039CD30
4H050AA01
4H050AA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アリルアミン化合物製造用触媒として有用なルテニウム錯体、その製造方法およびそれを用いるアリルアミン化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)
で示されるルテニウム錯体、それを触媒として用いてアリルアミン化合物を製造する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4およびY
5は、各々独立に水素原子または炭素数1~10のアルキル基を表し、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4およびY
5のうち少なくとも1つは炭素数1~10のアルキル基を表す。R
1,R
2,R
3およびR
4は、各々独立に水素原子、ニトロ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、カルボキシル基またはハロゲン原子を表し、R
1,R
2,R
3およびR
4は隣り合う基同士で互いに結合し、環を形成していてもよい。R
5,R
6およびR
7は、各々独立に水素原子;メチル基;または炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14の単環、多環または縮合環式の芳香族炭化水素基を表す。Xはヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオンまたはハロゲン化物イオンを表す。)で示されるルテニウム錯体。
【請求項2】
R1,R2,R3およびR4が各々独立に水素原子、ニトロ基、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基またはカルボキシル基である請求項1に記載のルテニウム錯体。
【請求項3】
R5,R6およびR7が各々独立に水素原子、メチル基またはフェニル基である請求項1に記載のルテニウム錯体。
【請求項4】
Xがヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンまたはp-トルエンスルホン酸イオンである請求項1に記載のルテニウム錯体。
【請求項5】
Y1,Y2,Y3,Y4およびY5がメチル基である請求項1~4のいずれか一項に記載のルテニウム錯体。
【請求項6】
一般式(1)が、下記式(1-1)~(1-9)のいずれか1つの式で表される、請求項1に記載のルテニウム錯体。
【化2】
【化3】
【請求項7】
一般式(2)
【化4】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4およびY
5は、各々独立に水素原子または炭素数1~10のアルキル基を表し、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4およびY
5のうち少なくとも1つは炭素数1~10のアルキル基を表す。Xはヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオンまたはハロゲン化物イオンを表す。)で示されるルテニウム金属塩と、一般式(8)
【化5】
(式中、R
1,R
2,R
3およびR
4は、各々独立に水素原子、ニトロ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、カルボキシル基またはハロゲン原子を表し、R
1,R
2,R
3およびR
4は隣り合う基同士で互いに結合し、環を形成していてもよい。R
5,R
6およびR
7は、各々独立に水素原子;メチル基;または炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロおよびシアノ基からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14の単環、多環または縮合環式の芳香族炭化水素基を表す。)で示される2-(アリルスルファニル)ピリジン化合物または一般式(3)
【化6】
(式中、R
1,R
2,R
3およびR
4は前記と同じ意味を表す。)で示される2-メルカプトピリジン化合物および一般式(4)
【化7】
(式中、R
5,R
6およびR
7は前記と同じ意味を表す。)で示されるアリルアルコール化合物とを、反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化8】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4,Y
5,R
1,R
2,R
3,R
4,R
5,R
6,R
7およびXは前記と同じ意味を表す。)で示されるルテニウム錯体の製造方法。
【請求項8】
一般式(1)
【化9】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4およびY
5は、各々独立に水素原子または炭素数1~10のアルキル基を表し、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4およびY
5のうち少なくとも1つは炭素数1~10のアルキル基を表す。R
1,R
2,R
3およびR
4は、各々独立に水素原子、ニトロ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、カルボキシル基またはハロゲン原子を表し、R
1,R
2,R
3およびR
4は隣り合う基同士で互いに結合し、環を形成していてもよい。R
5,R
6およびR
7は各々独立に水素原子;メチル基;または炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14の単環、多環または縮合環式の芳香族炭化水素基を表し、Xはヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオンまたはハロゲン化物イオンを表す。)で示されるルテニウム錯体の存在下;または一般式(2)
【化10】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4,Y
5およびXは前記と同じ意味を表す。)で示されるルテニウム金属塩および一般式(3)
【化11】
(式中、R
1,R
2,R
3およびR
4は、前記と同じ意味を表す)で示される2-メルカプトピリジン化合物の存在下、一般式(5)
【化12】
(式中、R
8,R
9,R
10,R
11およびR
12は、各々独立に水素原子;炭素数1から10のアルキル基;ベンジル基;または炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基;ハロゲン原子;ニトロ基およびシアノ基からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14の単環、多環または縮合環式の芳香族炭化水素基を表し、R
8,R
9,R
10,R
11およびR
12は、隣り合う基同士で互いに結合し、環を形成していてもよい。)で示されるアリルアルコール化合物と、一般式(6)
【化13】
(式中、R
13およびR
14は、各々独立に水素原子;炭素数1~10のアルキル基;炭素数2~10のアルケニル基;炭素数1~10のハロアルキル基;炭素数1~10のアルキル基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数7~14のアラルキル基;または炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子およびシアノ基からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基を表す。R
13およびR
14は、隣り合う基同士で互いに結合し、環を形成していてもよい。また、R
13およびR
14のそれぞれから水素原子を取り除いた残基が、酸素原子;窒素原子;硫黄原子;炭素数1~10のアルキル基で置換されていてもよい2価のアミノ基;または炭素数6~12のアリール基で置換されていてもよい2価のアミノ基を介して互いに結合して環を形成していてもよい。)で示されるアミン化合物とを、反応させることを特徴とする、一般式(7)
【化14】
(式中、R
8,R
9,R
10,R
11,R
12,R
13およびR
14は、前記と同じ意味を表す)で表されるアリルアミン化合物および/または、一般式(7a)
【化15】
(式中、R
8,R
9,R
10,R
11,R
12,R
13およびR
14は、前記と同じ意味を表す)で表されるアリルアミン化合物の製造方法。
【請求項9】
反応溶媒が水であることを特徴とする、請求項8に記載のアリルアミン化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリルアミン化合物製造用触媒として有用なルテニウム錯体、その製造方法およびそれを用いるアリルアミン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アリルアミン化合物は農薬、医薬品、高分子化合物の改質剤として有用である。アリルアミン化合物の製造方法としては、ハロゲン化アリル化合物にアミン化合物を作用させて製造する方法(特許文献1,2および非特許文献1)が一般的に用いられている。また、アリル化剤としてアリルエステル化合物を用いる製造方法(非特許文献2)も知られている。
【0003】
アリル化剤としてアリルアルコール化合物を用いるアリルアミン化合物の製造法は、低コストであることに加えて、副生成物が水となるため、環境調和の観点からも優れている。例えば、アリルアルコール化合物をパラジウム錯体触媒存在下、アミン化合物と反応させて、アリルアミン化合物を製造する方法(特許文献3,4および非特許文献3,4)が知られている。一方、ルテニウム錯体触媒存在下、アミン化合物とアリルアルコール化合物からアリルアミン化合物を製造する方法は報告されておらず、また本発明のルテニウム錯体も報告されていない。
【0004】
従来のアリルアミン化合物の製造方法において、ハロゲン化アリル化合物をアリル化剤として用いた場合、目的とするアリルアミン化合物以外に副生成物として当量の塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等のハロゲン化水素が生成するため、その除去に多くのコストがかかるだけでなく、十分に除去されずに後行程や製造品の純度に影響を与えるという課題がある。また、アリルエステル化合物をアリル化剤として用いた場合、反応終了後にカルボン酸誘導体が廃棄物として副生するため、環境調和や原子効率の面からも優れた方法とは言い難い。また、アリル化剤としてアリルアルコールを使用する製造法では、反応に有機溶媒の使用が必要であることや、高価なパラジウムを触媒として用いる必要がある点が課題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開1987-445号公報
【特許文献2】特開2002-212148号公報
【特許文献3】特開1992-208233号公報
【特許文献4】特開2005-75728号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Organic Letters,17巻,752-755ページ,2015年
【非特許文献2】Journal of the American Chemical Society,131巻,4200-4201ページ,2008年
【非特許文献3】Organic Letters,19巻,6148-6151ページ,2017年
【非特許文献4】Asian Journal of Organic Chemistry,5巻,812-818ページ,2016年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ハロゲン化水素が副生するハロゲン化アリル化合物などの反応剤、カルボン酸誘導体が廃棄物として副生するアリルエステル化合物などの反応剤およびパラジウムなどの高価な遷移金属錯体を使用することなく、ルテニウム錯体を触媒として用い、有機溶媒を必要とせず水中でアリルアルコール化合物からアリルアミン化合物を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ルテニウム錯体を触媒として用いることで上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は一般式(1)
【0010】
【化1】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4およびY
5は、各々独立に水素原子または炭素数1~10のアルキル基を表し、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4およびY
5のうち少なくとも1つは炭素数1~10のアルキル基を表す。R
1,R
2,R
3およびR
4は、各々独立に水素原子、ニトロ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、カルボキシル基またはハロゲン原子を表し、R
1,R
2,R
3およびR
4は隣り合う基同士で互いに結合し、環を形成していてもよい。R
5,R
6およびR
7は、各々独立に水素原子;メチル基;または炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14の単環、多環または縮合環式の芳香族炭化水素基を表す。Xはヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオンまたはハロゲン化物イオンを表す。)で示されるルテニウム錯体に関する。
【0011】
また、本発明は、一般式(2)
【0012】
【化2】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4,Y
5およびXは前記と同じ意味を表す。)で示されるルテニウム金属塩と、一般式(8)
【0013】
【化3】
(式中、R
1,R
2,R
3およびR
4は前記と同じ意味を表す。R
5,R
6およびR
7は、各々独立に水素原子;メチル基;または炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロおよびシアノ基からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14の単環、多環または縮合環式の芳香族炭化水素基を表す。)で示される2-(アリルスルファニル)ピリジン化合物または一般式(3)
【0014】
【化4】
(式中、R
1,R
2,R
3およびR
4は前記と同じ意味を表す。)で示される2-メルカプトピリジン化合物および一般式(4)
【0015】
【化5】
(式中、R
5,R
6およびR
7は前記と同じ意味を表す。)で示されるアリルアルコール化合物とを、反応させることを特徴とする、一般式(1)
【0016】
【化6】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4,Y
5,R
1,R
2,R
3,R
4,R
5,R
6,R
7およびXは前記と同じ意味を表す。)で示されるルテニウム錯体の製造方法に関する。
【0017】
また、本発明は、一般式(1)
【0018】
【化7】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4,Y
5,R
1,R
2,R
3,R
4,R
5,R
6,R
7およびXは前記と同じ意味を表す。)で示されるルテニウム錯体の存在下;または一般式(2)
【0019】
【化8】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4,Y
5およびXは前記と同じ意味を表す。)で示されるルテニウム金属塩および一般式(3)
【0020】
【化9】
(式中、R
1,R
2,R
3およびR
4は、前記と同じ意味を表す)で示される2-メルカプトピリジン化合物の存在下、一般式(5)
【0021】
【化10】
(式中、R
8,R
9,R
10,R
11およびR
12は、各々独立に水素原子;炭素数1から10のアルキル基;ベンジル基;または炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基;ハロゲン原子;ニトロ基およびシアノ基からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14の単環、多環または縮合環式の芳香族炭化水素基を表し、R
8,R
9,R
10,R
11およびR
12は、隣り合う基同士で互いに結合し、環を形成していてもよい。)で示されるアリルアルコール化合物と、一般式(6)
【0022】
【化11】
(式中、R
13およびR
14は、各々独立に水素原子;炭素数1~10のアルキル基;炭素数2~10のアルケニル基;炭素数1~10のハロアルキル基;炭素数1~10のアルキル基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数7~14のアラルキル基;または炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子およびシアノ基からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基を表す。R
13およびR
14は、隣り合う基同士で互いに結合し、環を形成していてもよい。また、R
13およびR
14のそれぞれから水素原子を取り除いた残基が、酸素原子;窒素原子;硫黄原子;炭素数1~10のアルキル基で置換されていてもよい2価のアミノ基;または炭素数6~12のアリール基で置換されていてもよい2価のアミノ基を介して互いに結合して環を形成していてもよい。)で示されるアミン化合物とを、反応させることを特徴とする、一般式(7)
【0023】
【化12】
(式中、R
8,R
9,R
10,R
11,R
12,R
13およびR
14は、前記と同じ意味を表す)で表されるアリルアミン化合物および/または、一般式(7a)
【0024】
【化13】
(式中、R
8,R
9,R
10,R
11,R
12,R
13およびR
14は、前記と同じ意味を表す)で表されるアリルアミン化合物の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ルテニウム錯体を触媒として用い、アリルアルコール化合物からアリルアミン化合物を水中で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。
<ルテニウム錯体>
本発明のルテニウム錯体は、下記一般式(1)で示される化合物である(以下、ルテニウム錯体(1)ともいう。)。
【0027】
【化14】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4,Y
5,R
1,R
2,R
3,R
4,R
5,R
6,R
7およびXは前記と同じ意味を表す。)
本発明のルテニウム錯体(1)について説明する。
【0028】
Y1,Y2,Y3,Y4およびY5で表される炭素数1~10のアルキル基としては、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基等を例示することができる。合成が容易かつ入手容易な点で、メチル基が好ましい。
【0029】
R1,R2,R3およびR4で表される炭素数1~10のアルキル基としては、Y1,Y2,Y3,Y4およびY5で表される炭素数1~10のアルキル基で例示した置換基を例示することができる。収率が良い点で、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、またはtert-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
【0030】
R1,R2,R3およびR4で表される炭素数1~4のハロアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよく、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4,4-へプタフルオロブチル基等を例示することができる。
【0031】
R1,R2,R3およびR4で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を例示することができる。
【0032】
R1,R2,R3およびR4は隣り合う基同士で互いに結合し、環を形成していてもよく、具体的には、R1,R2,R3およびR4が置換しているピリジン環を含んで形成される、キノリン環、イソキノリン環、テトラヒドロキノリン環およびテトラヒドロイソキノリン環等を例示することができる。
【0033】
R1,R2,R3およびR4は、合成が容易かつ入手容易な点で、水素原子、ニトロ基、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基、またはカルボキシル基であることが好ましい。
【0034】
R5,R6およびR7で表される置換されていてもよい炭素数6~14の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等を例示することができる。該芳香族炭化水素基はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基;フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4,4-へプタフルオロブチル基等の炭素数1~4のハロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~4のアルコキシ基等;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基等で置換されていてもよい。該置換基の芳香族炭化水素基における置換位置に特に制限はない。R5,R6およびR7で表される置換されていてもよい炭素数6~14の単環、多環または縮合環式の芳香族炭化水素基としては、合成が容易な点で、フェニル基が好ましい。
【0035】
R5,R6およびR7は、合成が容易かつ入手容易な点で、水素原子、メチル基、またはフェニル基であることが好ましい。
【0036】
Xで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を例示することができる。合成が容易な点で、Xはヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、またはp-トルエンスルホン酸イオンが好ましく、ヘキサフルオロリン酸イオンがより好ましい。
【0037】
本発明のルテニウム錯体(1)としては、例えば、下記式(1-1)~(1-30)で示される化合物を例示することができ、(1-1)~(1-9)で表される化合物が好ましく、(1-1)~(1-6)で表される化合物がさらに好ましく、(1-1)、(1-2)、(1-3)、(1-4)、または(1-6)で表される化合物がことさら好ましい。なお、本発明のルテニウム錯体は、以下に例示した化合物の限りではない。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【化19】
<ルテニウム錯体の製造方法>
次に、本発明のルテニウム錯体(1)の製造方法について説明する。本発明のルテニウム錯体(1)の製造方法に関しては特に限定はなく、例えば、以下に示す製造法1または製造法2によって製造することができる。
【0043】
本発明の製造法1は、下記反応式に示すとおりである。
【0044】
【化20】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4,Y
5,R
1,R
2,R
3,R
4,R
5,R
6,R
7およびXは前記と同じ意味を表す。)
本発明の製造法1は、一般式(2)表されるルテニウム金属塩(以下、ルテニウム金属塩(2)ともいう。)と一般式(8)表される2-(アリルスルファニル)ピリジン化合物(以下、2-(アリルスルファニル)ピリジン化合物(8)ともいう。)とを、反応させて、ルテニウム錯体(1)を製造する方法である。
【0045】
製造法1に用いるルテニウム金属塩(2)は市販品を用いてもいいが、文献記載の方法(Chemical Communications,5227-5229ページ,2009年)を参考に調製することもできる。
【0046】
製造法1に用いる2-(アリルスルファニル)ピリジン化合物(8)は、文献記載の方法(Bulletin de la Societe Chimique de France,130巻,856-78ページ,1993年)を参考に調製することができる。
【0047】
本発明の製造法1における使用可能な反応溶媒の種類には、反応を阻害しない限り特に制限はない。使用可能な溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン等のハロアルカン;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4-フルオロエチレンカーボネート等の炭酸エステル;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、γ-ラクトン等のエステル;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン(NMP)等のアミド;N,N,N’,N’-テトラメチルウレア(TMU)、N,N’-ジメチルプロピレンウレア(DMPU)等のウレア;アセトニトリル、ベンゾニトリルを挙げることができる。これらの溶媒のうち1種類を単独で用いることができ、複数を任意の比率で混合して用いることもできる。ルテニウム錯体(1)の収率に特に優れることから、溶媒としてはジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、またはアセトニトリルが好ましく、アセトニトリルがさらに好ましい。
【0048】
本発明の製造法1の反応温度は特に制限はない。例えば、-78℃から150℃までの範囲で適宜選ばれた温度で行うことができる。収率が良い点で室温から80℃の範囲が好ましい。
【0049】
本発明の製造法1の反応時間は特に制限はない。例えば、10分間から100時間の範囲から適宜選ばれた反応時間で行うことができる。収率が良い点で1時間から48時間の範囲が好ましい。
【0050】
本発明の製造法1を実施するときのルテニウム金属塩(2)と2-(アリルスルファニル)ピリジン化合物(8)のモル比には特に制限はなく、ルテニウム金属塩(2)1モル当量に対して2-(アリルスルファニル)ピリジン(8)を1~1.2モル当量用いることが、収率に優れる点で好ましい。
【0051】
本発明の製造法1は、収率に優れる点で、不活性ガス雰囲気中にて実施するのが好ましい。該不活性ガスとして具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素ガス等を例示することができる。安価な点で窒素ガスまたはアルゴンが好ましい。
【0052】
本発明の製造法1によって製造したルテニウム錯体(1)は、当業者が有機金属化合物を精製するときの一般的な精製方法を適宜選択して用いることによって精製することができる。具体的な精製方法としては、ろ過、抽出、遠心分離、洗浄、結晶化、カラムクロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー等を挙げることができる。
【0053】
本発明の製造法2は、下記反応式に示すとおりである。
【0054】
【化21】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4,Y
5,R
1,R
2,R
3,R
4,R
5,R
6,R
7およびXは前記と同じ意味を表す。)
本発明の製造法2は、ルテニウム金属塩(2)および一般式(3)で表される2-メルカプトピリジン化合物(以下、2-メルカプトピリジン化合物(3)ともいう。)と、一般式(4)で表されるアリルアルコール化合物(以下、アリルアルコール化合物(4)ともいう。)とを、反応溶媒存在下に反応させて、ルテニウム錯体(1)を製造する方法である。
【0055】
製造法2に用いるルテニウム金属塩(2)は市販品を用いてもいいが、文献記載の方法(Chemical Communications,5227-5229ページ,2009年)を参考に調製することもできる。
【0056】
製造法2に用いる2-メルカプトピリジン化合物(3)の一部は市販されているが、文献記載の方法(The Journal of Organic Chemistry,76巻,1546-1553ページ,2011年)を参考に調製することができる。製造法2に用いるアリルアルコール化合物(4)の一部は市販されているが、文献記載の方法(Journal of Biotechnology,1巻,295-306ページ,1984年;The Journal of Organic Chemistry,69巻,1374-1377ページ,2004年)を参考に調製することができる。
【0057】
本発明の製造法2における使用可能な反応溶媒の種類には、反応を阻害しない限り特に制限はない。使用可能な溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン等のハロアルカン;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、CPME、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4-フルオロエチレンカーボネート等の炭酸エステル;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、γ-ラクトン等のエステル;DMF、DMAc、NMP等のアミド;TMU、DMPU等のウレア;アセトニトリル、ベンゾニトリル、を挙げることができる。これらの溶媒の内1種類を単独で用いることができ、複数を任意の比率で混合して用いることもできる。ルテニウム錯体(1)の収率に特に優れることから、溶媒としてはジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、アセトニトリルが好ましく、アセトニトリルがさらに好ましい。
【0058】
本発明の製造法2の反応温度は特に制限はない。例えば、-78℃から150℃までの範囲で適宜選ばれた温度で行うことができる。収率が良い点で60℃から100℃の範囲が好ましい。
【0059】
本発明の製造法2の反応時間は特に制限はない。例えば、10分間から100時間の範囲から適宜選ばれた反応時間で行うことができる。収率が良い点で1時間から48時間の範囲が好ましい。
【0060】
本発明の製造法2を実施するときのルテニウム金属塩(2)、2-メルカプトピリジン化合物(3)、およびアリルアルコール化合物(4)のモル比には特に制限はなく、ルテニウム金属塩(2)1モル当量に対して2-メルカプトピリジン化合物(3)を1~1.2モル当量、アリルアルコール化合物(4)を1~1.5モル当量用いることが、収率に優れる点で好ましい。
【0061】
本発明の製造法2は、収率に優れる点で、不活性ガス雰囲気中にて実施するのが好ましい。該不活性ガスとして具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素ガス等を例示することができる。安価な点で窒素ガスまたはアルゴンが好ましい。
【0062】
本発明の製造法2によって製造したルテニウム錯体(1)は、当業者が有機金属化合物を精製するときの一般的な精製方法を適宜選択して用いることによって精製することができる。具体的な精製方法としては、ろ過、抽出、遠心分離、洗浄、結晶化、カラムクロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー等を挙げることができる。
<アリルアミン化合物の製造方法>
次に、本発明の一般式(7)及び一般式(7a)で表されるアリルアミン化合物の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう。)について説明する。本発明の製造方法は、下記反応式に示すとおりである。
【0063】
【化22】
(式中、Y
1,Y
2,Y
3,Y
4,Y
5,R
1,R
2,R
3,R
4,R
5,R
6,R
7,R
8,R
9,R
10,R
11,R
12,R
13,R
14およびXは前記と同じ意味を表す。)
本発明のルテニウム錯体(1)の存在下;またはルテニウム金属塩(2)及び2-メルカプトピリジン化合物(3)の存在下、アリルアルコール化合物(5)(以下、アリルアルコール化合物(5)ともいう。)と一般式(6)で表されるアミン化合物(以下、アミン化合物(6)ともいう。)とを反応させて、一般式(7)で表されるアリルアミン化合物(以下、アリルアミン化合物(7)ともいう。)および/または一般式(7a)で表されるアリルアミン化合物(以下、アリルアミン化合物(7a)ともいう。)を得る製造方法である。
【0064】
本発明の製造方法に用いるアリルアルコール化合物(5)について例を挙げて説明する。
【0065】
R8,R9,R10,R11およびR12で表される炭素数1~10のアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基等を例示することができる。
【0066】
R8,R9,R10,R11およびR12で表される置換されていてもよい炭素数6~14の単環、多環または縮合環式の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等を例示することができる。該芳香族基は炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基で置換されていてもよい。該置換基の芳香族炭化水素基における置換位置に特に制限はない。
【0067】
R8,R9,R10,R11およびR12で表される芳香族炭化水素基は、炭素数1~4のアルキル基で置換されていてもよく、該炭素数1~4のアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を例示することができる。
【0068】
R8,R9,R10,R11およびR12で表される芳香族炭化水素基は、炭素数1~4のハロアルキル基で置換されていてもよく、該炭素数1~4のハロアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよく、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4,4-へプタフルオロブチル基等を例示することができる。
【0069】
R8,R9,R10,R11およびR12で表される芳香族炭化水素基は、炭素数1~4のアルコキシ基で置換されていてもよく、該炭素数1~4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等を例示することができる。
【0070】
R8,R9,R10,R11およびR12で表される芳香族炭化水素基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0071】
R8,R9,R10,R11およびR12は、隣り合う基同士で互いに結合し、環を形成していてもよい。
【0072】
本発明の製造方法に用いるアリルアルコール化合物(5)は市販品を用いてもよく、また文献記載の方法(Journal of Biotechnology,1巻,295-306ページ,1984年;The Journal of Organic Chemistry,69巻,1374-1377ページ,2004年)を参考に調製することもできる。
【0073】
本発明の製造方法に用いるアミン化合物(6)について例を挙げて説明する。
【0074】
R13およびR14は、各々独立に水素原子;炭素数1~10のアルキル基;炭素数2~10のアルケニル基;炭素数1~10のハロアルキル基;炭素数1~10のアルキル基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数7~14のアラルキル基;または炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子およびシアノ基からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基を表す。
【0075】
R13およびR14で表される炭素数1~10のアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基等を例示することができる。
【0076】
R13およびR14で表される炭素数2~10のアルケニル基としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよく、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、3-ブテニル基、5-ヘキセニル基等を例示することができる。
【0077】
R13およびR14で表される炭素数1~10のハロアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよく、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4,4-へプタフルオロブチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロへキシル基等を例示することができる。
【0078】
R13およびR14で表される置換されていてもよい炭素数7~14のアラルキル基としては、ベンジル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル等を例示することができる。
【0079】
R13およびR14で表される炭素数7~14のアラルキル基は、炭素数1~10のアルキル基で置換されていてもよく、該炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、n-オクチル基等を例示することができる。
【0080】
R13およびR14で表される炭素数7~14のアラルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0081】
R13およびR14で表される置換されていてもよい炭素数7~14のアラルキル基としては、(2-フルオロフェニル)メチル基、(3-フルオロフェニル)メチル基、(4-フルオロフェニル)メチル基、1-フェニルエチル基、1―フェニルプロピル基等を例示することができる。
【0082】
R13およびR14で表される置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等を例示することができる。
【0083】
R13およびR14で表される炭素数6~12のアリール基は、炭素数1~10のアルキル基で置換されていてもよく、該炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、n-オクチル基等を例示することができる。
【0084】
R13およびR14で表される炭素数6~12のアリール基は、炭素数1~10のハロアルキル基で置換されていてもよく、該炭素数1~10のハロアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよく、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4,4-へプタフルオロブチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロへキシル基等を例示することができる。
【0085】
R13およびR14で表される炭素数6~12のアリール基は、炭素数1~4のアルコキシ基で置換されていてもよく、該炭素数1~4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等を例示することができる。
【0086】
R13およびR14で表される炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子およびシアノ基からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基としては、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、キシリル基、2-(トリフルオロメチル)フェニル基、3-(トリフルオロメチル)フェニル基、4-(トリフルオロメチル)フェニル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2-シアノフェニル基、3-シアノフェニル基、4-シアノフェニル基、2-ニトロフェニル基、3-ニトロフェニル基、4-ニトロフェニル基、2-メチル-1-ナフチル基等を例示することができる。
【0087】
R13およびR14は、隣り合う基同士で互いに結合し、環を形成していてもよい。また、R13,R14のそれぞれから水素原子を取り除いた残基が2価の原子(団)を介して互いに結合して環を形成していてもよい。この場合の2価の原子(団)としては、酸素原子;窒素原子;硫黄原子;メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、へキシルアミノ基等の炭素数1~10のアルキル基で置換されていてもよい2価のアミノ基;フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等の炭素数6~12のアリール基で置換されていてもよいアミノ基等が挙げられる。
【0088】
本発明の製造方法に用いるアミン化合物(6)としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、へキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、(2,2,2-トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)アミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、アニリン、(4-メチルフェニル)アミン、(3-メチルフェニル)アミン、(2-メチルフェニル)アミン、ビス(4-メチルフェニル)アミン、ビス(3-メチルフェニル)アミン、ビス(2-メチルフェニル)アミン、(4-(tert-ブチル)フェニル)アミン、(3-(tert-ブチル)フェニル)アミン、(2-(tert-ブチル)フェニル)アミン、ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)アミン、ビス(3-(tert-ブチル)フェニル)アミン、ビス(2-(tert-ブチル)フェニル)アミン、(4-(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、(2-(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(4-(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2-(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、(4-メトキシフェニル)アミン、(3-メトキシフェニル)アミン、(2-メトキシフェニル)アミン、ビス(4-メトキシフェニル)アミン、ビス(3-メトキシフェニル)アミン、ビス(2-メトキシフェニル)アミン、(4-ニトロフェニル)アミン、(3-ニトロフェニル)アミン、(2-ニトロフェニル)アミン、ビス(4-ニトロフェニル)アミン、ビス(3-ニトロフェニル)アミン、ビス(2-ニトロフェニル)アミン、(4-フルオロフェニル)アミン、(3-フルオロフェニル)アミン、(2-フルオロフェニル)アミン、ビス(4-フルオロフェニル)アミン、ビス(3-フルオロフェニル)アミン、ビス(2-フルオロフェニル)アミン、(4-クロロフェニル)アミン、(3-クロロフェニル)アミン、(2-クロロフェニル)アミン、ビス(4-クロロフェニル)アミン、ビス(3-クロロフェニル)アミン、ビス(2-クロロフェニル)アミン、(4-シアノフェニル)アミン、(3-シアノフェニル)アミン、(2-シアノフェニル)アミン、ビス(4-シアノフェニル)アミン、ビス(3-シアノフェニル)アミン、ビス(2-シアノフェニル)アミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、カルバゾール、イミノスチルベン、1-フェニルピペラジン等を例示することができる。
【0089】
本発明の製造方法に用いるルテニウム錯体(1)は前記に記載のとおりである。また、ルテニウム金属塩(2)と2-メルカプトピリジン化合物(3)及び反応に用いるアリルアルコール(5)から、ルテニウム錯体(1)またはその類縁体を反応系中で合成し、同様に用いることができる。
【0090】
本発明の製造方法における使用可能な溶媒の種類には、反応を阻害しない限り特に制限はない。使用可能な溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン等のハロアルカン;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、CPME、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4-フルオロエチレンカーボネート等の炭酸エステル;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、γ-ラクトン等のエステル;DMF、DMAc、NMP等のアミド;TMU、DMPU等のウレア;アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、水を挙げることができる。これらの溶媒の内1種類を単独で用いることができ、複数を任意の比率で混合して用いることもできる。アリルアミン化合物の収率に特に優れることから、溶媒としてはアセトニトリル、アセトン、水が好ましく、安価かつ入手容易であり環境負荷の少ない点から水がさらに好ましい。
【0091】
本発明の製造方法の反応温度は特に制限はない。例えば、-78℃から150℃までの範囲で適宜選ばれた温度で行うことができる。収率が良い点で60℃から100℃の範囲が好ましい。
【0092】
本発明の製造法1の反応時間は特に制限はない。例えば、10分間から100時間の範囲から適宜選ばれた反応時間で行うことができる。収率が良い点で2時間から24時間の範囲が好ましい。
【0093】
本発明の製造方法において、収率に優れる点で、不活性ガス雰囲気中にて実施するのが好ましい。該不活性ガスとして具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素ガス等を例示することができる。安価な点で窒素ガスまたはアルゴンが好ましい。
【0094】
本発明の製造方法におけるアリルアルコール化合物(5)とアミン化合物(6)のモル比には特に制限はなく、アリルアルコール化合物(5)1モル当量に対してアミン化合物(6)を1~1.5モル当量用いることが、収率に優れる点で望まし
本発明の製造方法におけるルテニウム錯体(1)の使用量に特に制限はなく、通常はアリルアルコール化合物1モル当量に対して、0.01から0.2モル当量用いるのが好ましく、0.05モル当量から0.1モル当量用いるのがさらに好ましい。
【0095】
本発明での製造法におけるルテニウム金属塩(2)および2-メルカプトピリジン化合物(3)の使用量に特に制限はなく、通常はアリルアルコール化合物1モル当量に対して、それぞれ0.01から0.2モル当量用いるのが好ましく、0.05モル当量から0.1モル当量用いるのがさらに好ましい。
【0096】
本発明の一般的な実施形態は、反応容器にルテニウム錯体(1)とアリルアルコール化合物(5)を混合し、そこにアミン化合物(6)を加えて混合して反応を行うものである。反応終了後、製造したアリルアミン化合物(7)およびアリルアミン化合物(7a)は、当業者がアミン化合物を精製するときの一般的な精製方法を適宜選択して用いることによって精製することができる。具体的な精製方法としては、ろ過、抽出、遠心分離、洗浄、結晶化、カラムクロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー等を挙げることができる。
【実施例0097】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0098】
なお、1H-NMRスペクトルの測定には、Bruker ASCEND HD(400MHz;BRUKER製)を用いた。1H-NMRスペクトルは、重クロロホルム(CDCl3)、重アセトニトリル(CD3CN)または重ジクロロメタン(CD2Cl2)を測定溶媒とし、内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて測定した。
実施例1:ヘキサフルオロリン酸ペンタメチルシクロペンタジエニル(2―メルカプトピリジン)(アリル)ルテニウム(IV)(以下ルテニウム錯体(1-1))
【0099】
【化23】
アルゴン雰囲気下、ヘキサフルオロリン酸ペンタメチルシクロペンタジエニルトリス (アセトニトリル)ルテニウム(II)(120mg,0.24mmol)、2―(アリルスルファニル)ピリジン(40mg,0.26mmol)をアセトニトリル(3.0mL)に懸濁させ、室温で1時間撹拌した。撹拌後、反応混合物を濾過して固体物を除いた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をアセトニトリル(1.0mL)に溶解した後に、ジエチルエーテル(20mL)を加えた。得られた固形部を濾過して洗浄(ジエチルエーテル)することで、目的のルテニウム錯体(1-1)を得た(85mg,68%)。ルテニウム錯体(1-1):
1H-NMR(CD
3CN)δ(ppm):1.70(s,15H),2.32(d,J=10.2Hz,1H),2.61(d,J=10.6Hz,1H),4.06(dd,J=6.2,2.2Hz,1H),4.28(dd,J=6.2,2.7Hz,1H),4.65-4.73(m,1H),6.68(dt,8.32,1.06Hz,1H),7.00-7.04(m,1H),7.50-7.54(m,1H),7.96(dq,J=5.76,0.73Hz,1H).
実施例2:ルテニウム錯体(1-1)
【0100】
【化24】
アルゴン雰囲気下、ヘキサフルオロリン酸ペンタメチルシクロペンタジエニルトリス (アセトニトリル)ルテニウム(II)(120mg,0.24mmol)、2―メルカプトピリジン(40mg,0.26mmol)、アリルアルコール(21mg,0.36mmol)をアセトニトリル(3.0mL)に懸濁させ、80℃で1時間撹拌した。撹拌後、反応混合物を濾過して固体物を除いた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をアセトニトリル(1.0mL)に溶解した後に、ジエチルエーテル(20mL)を加えた。得られた固形部を濾過して洗浄(ジエチルエーテル)することで、目的のルテニウム錯体(1-1)を得た(59mg,47%)。
実施例3: ヘキサフルオロリン酸ペンタメチルシクロペンタジエニル(2―メルカプトピリジン)(2-メチルアリル)ルテニウム(III)(以下ルテニウム錯体(1-2))
【0101】
【化25】
アルゴン雰囲気下、ヘキサフルオロリン酸ペンタメチルシクロペンタジエニルトリス (アセトニトリル)ルテニウム(II)(120mg,0.24mmol)、2―((2-メチルアリル)チオ)ピリジン(22mg,0.26mmol)をアセトニトリル(3.0mL)に懸濁させ、室温で1時間撹拌した。撹拌後、反応混合物を濾過して固体物を除いた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をアセトニトリル(1.0mL)に溶解した後に、ジエチルエーテル(20mL)を加えた。得られた固形部を濾過して洗浄(ジエチルエーテル)することで、目的のルテニウム錯体(1-2)を得た(100mg,76%)。ルテニウム錯体(1-2):
1H-NMR(CD
3CN)δ(ppm):1.58(s,3H),1.66(s,15H),2.41(d,J=0.5Hz,1H),2.45(s,1H),3.46(d,J=3.2Hz,1H),3.98(d,J=3.2Hz,1H),6.82(dt,J=8.4,1.1Hz,1H),6.99-7.03(m,1H),7.63(ddd,J=8.3,7.5,1.6Hz,1H),7.79(dq,J=5.7,0.8Hz,1H).
実施例4:ヘキサフルオロリン酸ペンタメチルシクロペンタジエニル(2―メルカプトピリジン)(1-メチルアリル)ルテニウム(IV)(以下ルテニウム錯体(1-3))
【0102】
【化26】
アルゴン雰囲気下、ヘキサフルオロリン酸ペンタメチルシクロペンタジエニルトリス(アセトニトリル)ルテニウム(II)(120mg,0.24mmol)、(E)-2-(2-ブテン-1-チオール)ピリジン(22mg,0.26mmol)をアセトニトリル(3.0mL)に懸濁させ、室温で1時間撹拌した。撹拌後、反応混合物を濾過して固体物を除いた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をアセトニトリル(1.0mL)に溶解した後に、ジエチルエーテル(20mL)を加えた。得られた固形部を濾過して洗浄(ジエチルエーテル)することで、目的のルテニウム錯体(1-3)を得た(66mg,50%)。ルテニウム錯体(1-3):
1H-NMR(CD
3CN)δ(ppm):1.63(s,15H),1.67(s,3H),2.55(d,J=6.0Hz,1H),3.15(dd,J=10.2,6.0Hz,1H),3.79(d,6.0Hz,1H),4.70-4.77(m,1H),6.81(dt,J=8.4,1.1Hz,1H),6.94-6.98(m,1H),7.60-7.65(m,1H),7.91-7.93(m,1H).
実施例5: ヘキサフルオロリン酸ペンタメチルシクロペンタジエニル(2―メルカプトピリジン)(シンナミル)ルテニウム(III)(以下ルテニウム錯体(1-4))
【0103】
【化27】
アルゴン雰囲気下、ヘキサフルオロリン酸ペンタメチルシクロペンタジエニルトリス (アセトニトリル)ルテニウム(II)(12mg,0.24mmol)、2―(シンナミルチオール)ピリジン(30mg,0.26mmol)をアセトニトリル(3.0mL)に懸濁させ、室温で1時間撹拌した。撹拌後、反応混合物を濾過して固体物を除いた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をアセトニトリル(1.0mL)に溶解した後に、ジエチルエーテル(20mL)を加えた。得られた固形部を濾過して洗浄(ジエチルエーテル)することで、目的のルテニウム錯体(1-4)を得た(69mg,47%)。ルテニウム錯体(1-4):
1H-NMR(CD
3CN)δ(ppm):1.63(s,15H),2.77(d,J=9.8Hz,1H),3.97(dd,J=6.5,0.8Hz,1H),4.34(d,J=11.1Hz,1H),5.32-5.39(m,1H),6.80(dt,J=8.3,1.1Hz,1H),6.93-6.97(m,1H),7.38-7.51(m,5H),7.64(ddd,J=8.3,7.4,1.5Hz,1H),7.95(dq,J=5.8,0.8Hz,1H).
実施例6: ヘキサフルオロリン酸ペンタメチルシクロペンタジエニル(4-メチル-2-スルファニルピリジン)(アリル)ルテニウム(IV)(以下ルテニウム錯体(1-6))
【0104】
【化28】
アルゴン雰囲気下、ヘキサフルオロリン酸ペンタメチルシクロペンタジエニルトリス (アセトニトリル)ルテニウム(II)(121mg,0.24mmol)、2-(アリルチオ)-4-メチルピリジン(22mg,0.264mmol)をアセトニトリル(3.0mL)に懸濁させ、室温で1時間撹拌した。撹拌後、反応混合物を濾過して固体物を除いた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をアセトニトリル(1.0mL)に溶解した後に、ジエチルエーテル(20mL)を加えた。得られた固形部を濾過して洗浄(ジエチルエーテル)することで、目的のルテニウム錯体(1-6)を得た(75mg,57%)。ルテニウム錯体(1-6):
1H-NMR(CD
2Cl
2)δ(ppm):1.61(s,15H),2.33(s,3H),3.91(dd,J=6.3,2.7Hz,1H),4.32(dd,J=6.1,2.7Hz,1H),4.72-4.81(m,1H),6.11(t,J=0.9Hz,1H),6.84(dd,J=5.9,3Hz,1H),7.62(d,J=5.8Hz,1H).
実施例7:1―アリル-4-フェニルピペラジン
【0105】
【化29】
アルゴン雰囲気下、アリルアルコール(29mg,0.50mmol)、1―フェニルピペラジン(89mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物(1―アリル-4-フェニルピペラジン)を得た(99mg,98%)。1―アリル-4-フェニルピペラジン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):3.20(t,J=5.04Hz,4H),3.04(dt,J=6.60,1.22Hz,1H),2.60(t,J=5.04Hz,4H),5.16-5.25(m,2H),5.85-5.95(m,1H),6.82-6.86(m,1H),6.91-6.93(m,2H),7.22-7.28(m,2H).
実施例8:1―アリル-4-フェニルピペラジン
【0106】
【化30】
アルゴン雰囲気下、アリルアルコール(29mg,0.50mmol)、1―フェニルピペラジン(89.2mg,0.55mmol)、ヘキサフルオロリン酸ペンタメチルシクロペンタジエニルトリス(アセトニトリル)ルテニウム(II)(13mg,0.025mmol),2―メルカプトピリジン(3.8mg,0.025mmol),水(0.50mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物(1―アリル-4-フェニルピペラジン)を得た(60mg,59%)。
実施例9:N-アリル-N-ベンジルアミン
【0107】
【化31】
アルゴン雰囲気下、アリルアルコール(29mg,0.50mmol)、ベンジルアミン(59mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物(N-アリル-N-ベンジルアミン)を得た(32mg,43%)。N-アリル-N-ベンジルアミン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):1.45(brs,1H),3.28(dt,J=5.95,1.44Hz,2H),3.80(s,2H),5.11(dq,J=10.2,1.5Hz,1H),5.20(dq,17.2,1.7Hz,1H),5.89-5.99(m,1H),7.22-7.26(m,2H),7.30-7.35(m,3H).
実施例10:N-アリル-N,N-ジブチルアミン
【0108】
【化32】
アルゴン雰囲気下、アリルアルコール(29mg,0.50mmol)、ジブチルアミン(71mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物(N-アリル-N,N-ジブチルアミン)を得た(82mg,97%)。N-アリル-N,N-ジブチルアミン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):0.91(t,J=7.28Hz,6H),1.30(5,J=7.28Hz,4H),1.37-1.47(m,4H),2.38-2.42(m,4H),3.07(dt,J=6.48,1.39Hz,2H),5.08-5.11(m,1H),5.10(dq,J=17.2,1.67Hz,1H),5.81-5.91(m,1H).
実施例11:N-アリルアニリン
【0109】
【化33】
アルゴン雰囲気下、アリルアルコール(29mg,0.50mmol)、アニリン(51mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、100℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物(N-アリルアニリン)を得た(34mg,51%)。N-アリルアニリン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):3.75-3.76(m,3H),5.15(dd,J=10.3,1.3Hz,1H),5.27(dd,J=17.2,1.5Hz,1H),5.89-5.99(m,1H),6.61(d,J=8.6,1.0Hz,2H),6.68-6.82(m,1H),7.14-7.19(m,2H).
実施例12:N-アリル-N-メチルアニリン
【0110】
【化34】
アルゴン雰囲気下、アリルアルコール(29mg,0.50mmol)、N-メチルアニリン(59mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、100℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物(N-アリル-N-メチルアニリン)を得た(61mg,83%)。N-アリル-N-メチルアニリン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):2.91(s,3H),3.90(dt,J=5.0,1.6Hz,2H),5.11-5.18(m,2H),5.78-5.88(m,1H),6.67-6.73(m,3H),7.18-7.23(m,2H).
実施例13:N-アリル-4-(tert-ブチル)-N-(4-(tert-ブチル)フェニル)アニリン
【0111】
【化35】
アルゴン雰囲気下、アリルアルコール(29mg,0.50mmol)、ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)アミン(155mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、100℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物(N-アリル-4-(tert-ブチル)-N-(4-(tert-ブチル)フェニル)アニリン)を得た(24mg,15%)。N-アリル-4-(tert-ブチル)-N-(4-(tert-ブチル)フェニル)アニリン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):1.30(s,18H),4.31-4.32(m,2H),5.14(dd,J=10.4,1.6Hz,1H),5.27(dd,J=17.2,1.7Hz,1H),5.88-5.98(m,1H),6.93-6.96(m,4H),7.23-7.25(m,4H).
実施例14:N-アリルジベンザアゼピン
【0112】
【化36】
アルゴン雰囲気下、アリルアルコール(29mg,0.50mmol)、イミノスチルベン(106mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、100℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物(N-アリルジベンザアゼピン)を得た(9.3mg,8%)。N-アリルジベンザアゼピン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):4.39(dt,J=5.6,1.6Hz,1H),5.10(dq,J=10.3,1.6Hz,1H),5.29(dq,J=17.3,1.6Hz,1H),5.73-5.81(m,1H),6.75(s,2H),6,96-7.00(m,4H),7.05-7.07(m,2H),7.21-7.23(m,2H).
実施例15:1-シンナミル-4-フェニルピペラジン
【0113】
【化37】
アルゴン雰囲気下、1-フェニル-2-プロペン-1-オール(67mg,0.50mmol)、1―フェニルピペラジン(89mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物(1-シンナミル-4-フェニルピペラジン)を得た(110mg,79%)。1-シンナミル-4-フェニルピペラジン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):2.65(t,J=5.0Hz,4H),3.20-3.22(m,6H),6.30(dt,15.8,6.8Hz,1H),6.55(d,J=15.8Hz,1H),6.85(t,7.3Hz,1H),6.90-6.93(m,2H),7.22-7.34(m,5H),7.38-7.39(d,7.3Hz,2H).
実施例16:4-シンナミルモルホリン
【0114】
【化38】
アルゴン雰囲気下、シンナミルアルコール(67mg,0.50mmol)、モルホリン(48mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物(4-シンナミルモルホリン)を得た(63mg,62%)。4-シンナミルモルホリン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):2.32(s,2H),2.97(dd,J=6.8,1.3Hz,2H),3.55(t,J=6.7Hz,4H),6.07(dt,J=15.8,6.8Hz,1H),6.35(d,15.9Hz,1H),7.02-7.07(m,1H),7.10-7.14(m,2H),7.16-7.20(m,2H).
実施例17:(E)-1-フェニル-4-(3-(p-トリル)アリル)ピペラジン
【0115】
【化39】
アルゴン雰囲気下、1-(p-トリル)-2-プロペン-1-オール(74mg,0.50mmol)、1―フェニルピペラジン(89mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物((E)-1-フェニル-4-(3-(p-トリル)アリル)ピペラジン)を得た(95mg,65%)。(E)-1-フェニル-4-(3-(p-トリル)アリル)ピペラジン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):2.33(s,3H),2.66(t,J=5.0Hz.4H),3.19-3.24(m,6H),6.25(dt,J=15.8,6.8Hz,1H),6.51(d,J=15.8Hz,1H),6.82-6.87(m,1H),6.93(dd,J=8.8,0.9Hz,2H),7.12(d,J=7.9Hz,2H),7.23-7.29(m,4H).
実施例18:(E)-1-フェニル-4-(3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)アリル)ピペラジン
【0116】
【化40】
アルゴン雰囲気下、1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-プロペン-1-オール(101mg,0.50mmol)、1―フェニルピペラジン(89mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物((E)-1-フェニル-4-(3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)アリル)ピペラジン)を得た(169mg,98%)。(E)-1-フェニル-4-(3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)アリル)ピペラジン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):2.67(t,J=5.0Hz,4H),3.21-3.24(m,6H),6.40(dt,J=15.9,6.7Hz,1H),6.59(d,J=15.9Hz,1H),6.84-6.88(m,1H),6.91-6.94(m,2H),7.24-7.23(m,2H),7.46(d,J=8.2Hz,2H),7.56(d,J=8.3Hz,2H).
実施例19:(E)-1-(3-(4-クロロフェニル)アリル)-4-フェニルピペラジン
【0117】
【化41】
アルゴン雰囲気下、1-(4-クロロフェニル)-2-プロペン-1-オール(84mg,0.50mmol)、1―フェニルピペラジン(89mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物((E)-1-(3-(4-クロロフェニル)アリル)-4-フェニルピペラジン)を得た(143mg,92%)。(E)-1-(3-(4-クロロフェニル)アリル)-4-フェニルピペラジン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):2.65(t,J=5.0Hz,4H),3.19-3.23(m,6H),6.30(dt,J=15.9,7.0Hz,1H),6.49(d,J=15.9Hz,1H),6,83-6.88(m,1H),6.91-6.95(m,2H),7.18-7.29(m,5H),7.37(brs,1H).
実施例20:(E)-1-(3-(3-クロロフェニル)アリル)-4-フェニルピペラジン
【0118】
【化42】
アルゴン雰囲気下、1-(3-クロロフェニル)-2-プロペン-1-オール(84mg,0.50mmol)、1―フェニルピペラジン(89mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物((E)-1-(3-(3-クロロフェニル)アリル)-4-フェニルピペラジン)を得た(140mg,90%)。(E)-1-(3-(3-クロロフェニル)アリル)-4-フェニルピペラジン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):2.65(t,J=5.0Hz,4H),3.19-3.23(m,6H),6.27(dt,J=15.8,6.8Hz,1H),6.50(d,15.9Hz,1H),6.85(t,J=7.3Hz,1H),6.91-6.94(m,2H),7.24-7.32(m,6H).
実施例21:(E)-1-(3-(2-クロロフェニル)アリル)-4-フェニルピペラジン
【0119】
【化43】
アルゴン雰囲気下、1-(2-クロロフェニル)-2-プロペン-1-オール(84mg,0.50mmol)、1―フェニルピペラジン(89mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、100℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物((E)-1-(3-(2-クロロフェニル)アリル)-4-フェニルピペラジン)を得た(115mg,74%)。(E)-1-(3-(2-クロロフェニル)アリル)-4-フェニルピペラジン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):2.68(t,J=5.0Hz,4H),3.20-3.27(m,6H),6.29(dt,J=15.9,6.8Hz,1H),6.84-6.87(m,1H),6.92-6.97(m,2H),7.15-7.22(m,2H),7.23-7.29(m,3H),7.34(dd,J=7.7,1.5Hz,1H),7.55(dd,J=7.6,1.8Hz,1H).
実施例22:(E)-1-(3-(1-ナフチル)アリル)-4-フェニルピペラジン
【0120】
【化44】
アルゴン雰囲気下、1-(1-ナフチル)-2-プロペン-1-オール(92mg,0.50mmol)、1―フェニルピペラジン(89mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物((E)-1-(3-(1-ナフチル)アリル)-4-フェニルピペラジン)を得た(137mg,84%)。(E)-1-(3-(1-ナフチル)アリル)-4-フェニルピペラジン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):2.74(t,J=5.0Hz,4H),3.26(t,J=5.0Hz,4H),3.35(dd,J=6.8,1.4Hz,2H),6.34(dt,J=15.6,6.8Hz,1H),6.84-6.88(m,2H),6.91-6.96(m,1H),7.24-7.29(m,2H),7.33(d,J=15.6Hz,1H),7.43-7.54(m,3H),7.63(d,J=7.1Hz,1H),7.78(d,J=8.2Hz,1H),7.84-7.86(m,1H),8.11-8.13(m,1H).
実施例23:1-(2-メチルアリル)-4-フェニルピペラジン
【0121】
【化45】
アルゴン雰囲気下、β-メタリルアルコール(36mg,0.50mmol)、1―フェニルピペラジン(89mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物(1-(2-メチルアリル)-4-フェニルピペラジン)を得た(94mg,87%)。1-(2-メチルアリル)-4-フェニルピペラジン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):1.77(s,3H),2.52-2.55(m,4H),2.92(s,2H),3.18-3.20(m,4H),4.87-4.91(m,2H),6.82-6.87(m,1H),6.90-6.93(m.2H),7.22-7.28(m,2H).
【0122】
【化46】
アルゴン雰囲気下、3-メチル-2-ブテン-1-オール(43mg,0.50mmol)、1―フェニルピペラジン(89mg,0.55mmol)、ルテニウム錯体(1-1)(13mg,0.025mmol)、水(0.50mL)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、有機層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、目的の化合物(1-(1,1-ジメチル-2-プロペニル)-4-フェニルピペラジン)を得た(8mg,4%)。1-(1,1-ジメチル-2-プロペニル)-4-フェニルピペラジン:
1H-NMR(CDCl
3)δ(ppm):1.18(s,6H),2.72(t,J=5.0Hz,4H),3.18(t,J=5.0Hz,4H),5.05-5.10(m,2H),5.89(dd,J=18.0,5.9Hz,1H),6.83(tt,J=7.3H,1H),6.91-6.94(m,2H),7.22-7.28(m,2H).
合成が容易で、分子設計の自由度が高くアリルアミン化合物の製造用触媒として有用な新規錯体、その指示配位子、該新規錯体を含むアリルアミン化合物製造用触媒、および該触媒を用いたアリルアミン化合物の製造方法を提供する。