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特開2024-126019内燃エンジンに気体燃料を供給するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126019
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】内燃エンジンに気体燃料を供給するための装置
(51)【国際特許分類】
   F02F 1/24 20060101AFI20240911BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20240911BHJP
   F02M 55/02 20060101ALI20240911BHJP
   F02M 69/50 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
F02F1/24 J
F02M21/02 G
F02M21/02 S
F02F1/24 Z
F02M55/02 360A
F02M69/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024033573
(22)【出願日】2024-03-06
(31)【優先権主張番号】10 2023 105 458.9
(32)【優先日】2023-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517449763
【氏名又は名称】エムアーエヌ トラック アンド バス エスエー
【氏名又は名称原語表記】MAN Truck & Bus SE
【住所又は居所原語表記】Dachauer Strasse 667, 80995 Muenchen, Bundesrepublik Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】100105360
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 光治
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ボグダンスキー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ライテル
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ヒンリヒセン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴァグナー
【テーマコード(参考)】
3G024
3G066
【Fターム(参考)】
3G024AA05
3G024DA18
3G024DA30
3G066AB05
3G066AC09
3G066AC10
3G066BA53
3G066BA67
3G066CA29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内燃エンジンに気体燃料を供給するための改良された装置を提供する。
【解決手段】本発明は、特に、気体燃料、好ましくは水素、を内燃エンジンの複数のシリンダに供給するための装置(10)に関する。装置は、長手方向のチャネル(28)と複数の分枝チャネル(34)を有するシリンダヘッド(24)を有し、複数の分枝チャネルは長手方向のチャネル(28)に沿って配置され、それぞれが長手方向のチャネルとシリンダヘッドの上側との間に配置される。装置は、複数の気体燃料インジェクタ(50)、を有し、複数の気体燃料インジェクタは、シリンダヘッド内に収容され、それぞれがシリンダヘッドの上側を越えて突出する一端部(24)に1つのガス燃料入口(52)を有する。装置は、気体燃料入口(52)と複数の分枝チャネルを相互接続する複数の気体燃料ライン(54)を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体燃料、好ましくは水素、を内燃エンジンの複数のシリンダに供給するための装置(10)であって、
長手方向のチャネル(28)および複数の分枝チャネル(34)を含むシリンダヘッド(24)を含み、
前記複数の分枝チャネル(34)は、前記長手方向のチャネル(28)に沿って配置されていて、それぞれが前記長手方向のチャネル(28)と前記シリンダヘッド(24)の上側の間に伸びるものであり、
さらに、複数の気体燃料インジェクタ(50)、好ましくは気体燃料吹き込みインジェクタ、を含み、
前記複数の気体燃料インジェクタ(50)は、前記シリンダヘッド(24)内に受け入れられて、それぞれが前記シリンダヘッド(24)の前記上側から突出する一端部に1つの気体燃料入口部(52)を含むものであり、
さらに、複数の前記気体燃料入口部(52)と前記複数の分枝チャネル(34)を相互接続する複数の気体燃料ライン(54)を含む、
装置(10)。
【請求項2】
前記複数の分枝チャネル(34)は、それぞれが、分枝孔として、好ましくは前記シリンダヘッド(24)の前記上側から始まる分枝孔として、構成されるものである、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記長手方向のチャネル(28)は、長手方向の孔として、好ましくは長手方向の貫通孔として、構成されるものである、請求項1または2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記長手方向のチャネル(28)の一端部は、プラグ(30)、好ましくはブラインド・リベット・プラグ、で閉じられ、
任意に、
前記一端部とは反対側の、前記長手方向のチャネル(28)の別の端部が、別のプラグ(32)、好ましくは別のブラインド・リベット・プラグ、で閉じられている、
請求項1乃至3のいずれかに記載の装置(10)。
【請求項5】
前記長手方向のチャネル(28)は、前記シリンダヘッド(24)の上部デッキ内および/または前記シリンダヘッド(24)の中間デッキ内に配置されるものである、請求項1乃至4のいずれかに記載の装置(10)。
【請求項6】
さらに、複数のシール要素(58)、好ましくは複数のOリング、を含み、
前記複数のシール要素(58)は、前記複数の気体燃料ライン(54)の複数の入口部分(56)と、前記複数の分枝チャネル(34)の複数の出口部分(36)との間をシールするものである、
請求項1乃至5のいずれかに記載の装置(10)。
【請求項7】
前記複数の入口部分(56)は前記複数の出口部分(36)に挿入され、および/または
前記複数のシール要素(58)は、前記複数の入口部分(56)と前記複数の出口部分(36)の間に配置され、好ましくは前記複数の入口部分(56)の外側環状溝内に保持されるものである、
請求項6に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記複数の入口部分(56)を前記シリンダヘッド(24)の前記上側に固定する複数の締結プレート(60)であって、好ましくは前記複数の締結プレート(60)を前記シリンダヘッド(24)にネジ止めすることによって、前記複数の入口部分(56)を前記シリンダヘッド(24)の前記上側に固定する複数の締結プレート(60)を含む、請求項6または7に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記シリンダヘッド(24)は、前記長手方向のチャネル(28)に開口する少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル(40、44)を含むものであり、
前記装置(10)は、さらに、前記少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル(40、44)内に配置された少なくとも1つのセンサ(42、46)を含むものである、
請求項1乃至8のいずれかに記載の装置(10)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル(40、44)は分枝孔として構成され、および/または
前記少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル(40、44)は、前記シリンダヘッド(24)の長手方向の外側面から前記長手方向のチャネル(28)に向かって伸びるものである、
請求項9に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル(40、44)は圧力センサ・アクセス・チャネル(44)を含み、前記少なくとも1つのセンサ(42、46)は前記圧力センサ・アクセス・チャネル(44)内に配置された圧力センサ(46)を含み、および/または
前記少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル(40、44)は温度センサ・アクセス・チャネル(40)を含み、前記少なくとも1つのセンサ(42、46)は前記温度センサ・アクセス・チャネル(40)内に配置された温度センサ(42)を含むものである、
請求項9または10に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記シリンダヘッド(24)は、前記長手方向のチャネル(28)内に開口する少なくとも1つの気体燃料供給チャネル(48)を含み、
好ましくは、
前記少なくとも1つの気体燃料供給チャネル(48)は分枝孔として構成され、および/または
前記少なくとも1つの気体燃料供給チャネル(48)は、前記シリンダヘッド(24)の長手方向の外側面から前記長手方向のチャネル(28)まで伸びるものである、
請求項1乃至11のいずれかに記載の装置(10)。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の装置(10)を有する気体燃料内燃エンジン、好ましくは水素内燃エンジン、を含む車両、好ましくは実用車、特に好ましくはトラックまたはバス。
【請求項14】
複数のシリンダヘッド(24)を使用するための方法であって、
同じ基本形状を有し、同じ長手方向のチャネル(28)、好ましくは同じ長手方向の孔、を含む前記複数のシリンダヘッド(24)を設けること、
液体燃料内燃エンジン、好ましくはディーゼル内燃エンジン、において前記複数のシリンダヘッド(24)の中の少なくとも1つのシリンダヘッドを利用すること、その際、それぞれの前記長手方向のチャネル(28)が液体燃料戻りチャネルとして使用されること、および
気体燃料内燃エンジン、好ましくは水素内燃エンジン、において前記複数のシリンダヘッド(24)の中の少なくとも1つの他のシリンダヘッドを使用すること、その際、それぞれの前記長手方向のチャネル(28)が気体燃料コモン・レールとして使用されること、
を含む方法。
【請求項15】
前記気体燃料内燃エンジンは、請求項1乃至12のいずれかに記載の装置(10)を含むものである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃エンジンの複数のシリンダに、気体燃料、好ましくは水素、を供給するための装置に関する。また、本発明は、複数のシリンダヘッドを使用するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジンからの有害排出ガス(排出物)の低減に向けて取組(努力)が行われる中で、気体燃料、特に水素、の燃焼は有望な技術である。しかし、乗用車(PKW)および実用車用、例えばトラック(LKW)用、の内燃エンジンの製造業者は、従来、ディーゼルおよびガソリン内燃エンジンの開発に注力してきたために、比較的高い開発費用または労力、およびそれに伴って気体燃料内燃エンジンを量産体制(Serienreife:成熟期)に至らせるまでに開発するための関連コストがかかる。
【0003】
国際公開第2020/126765号は、内燃エンジンの燃焼室に気体燃料を供給するための装置に関する。この装置は、長手(縦)方向の孔(ボア)(Laengsbohrung)を備えたシリンダヘッドを有してもよい。この長手方向の孔は、複数の気体燃料供給チャネル(通路)(Gaskraftstoff-Zufuhrkana)に供給するための集合管路(Sammelleitung)またはコモン・レールとして利用できる。その複数の気体燃料供給チャネルは、長手方向の孔から、例えば、燃焼室側から穿孔(穴開け加工)された分枝チャネル(Stichkanal)または分枝孔(ボア)(Stichbohrungen)として、分枝(分岐)していてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/126765号
【発明の開示】
【0005】
本発明の基礎的な目的は、内燃エンジンに気体燃料を供給するための改良された装置を実現することである。
【0006】
発明の概要
その目的(課題)は、独立請求項の特徴によって達成(解決)される。有利な他の展開形態が、従属請求項および詳細な説明に記載される。
【0007】
本開示の1つの態様(観点)は、内燃エンジンの複数のシリンダ(気筒)に気体燃料、好ましくは水素、を供給するための装置に関する。その装置は、1つの長手(縦)方向のチャネル(通路)(Laengskanal)(例えば気体燃料コモン・レールとして)と、複数の分枝チャネル(通路)とを有する(例えば多気筒の)シリンダヘッドを有する。その複数の分枝チャネルは、その1つの長手方向のチャネルに沿って配置され、それぞれその長手方向のチャネルとシリンダヘッドの上側(Oberseite:上部、頂部、上面)との間に伸びる。その装置は、複数の気体燃料インジェクタ(噴射装置)(例えばトップ・フィード型気体燃料インジェクタ)、好ましくは複数の気体燃料吹込みインジェクタ(Einblasinjektor)(例えば水素吹込みインジェクタ)を有し、その際、その複数の気体燃料インジェクタは、そのシリンダヘッド内に収容され、また、それぞれ(各気体燃料インジェクタ)が、シリンダヘッドの上側から(を越えて)突出する一端部に、1つの気体燃料入口部(インレット部)(Gaskraftstoffeinlass)を有する。その装置は、その複数の気体燃料入口部と複数の分枝チャネルとを互いに接続(連結)する複数の気体燃料ライン(配管、管路)(Gaskraftstoffleitung)を有する。
【0008】
利点として、その長手方向のチャネルは、内部に十分な量の、例えば水素のような気体燃料を一時的に貯蔵することができるシリンダヘッド内に直接組み込まれた(一体化された)気体燃料コモン・レールとして利用できる。従って、気体燃料コモン・レールを別途設けなくて済み、それによってその装置は特に省スペース型となる。気体燃料は、シリンダヘッドの外部に配管(gefuehrten:経路(ルート)設定)された気体燃料ラインを介して、複数の気体燃料インジェクタに供給可能である。従って、一方では、シリンダヘッドに起因して生じる気体燃料の加熱の低減を達成することができる。他方では、それによって、気体燃料インジェクタとして、多種多様な観点(例えば、信頼性、組込み性、開発供給業者からの入手可能性、等)で、所謂サイド・フィード型燃料インジェクタに対して利点を有し得る、所謂トップ・フィード型燃料インジェクタ(燃料インジェクタの上部での接続ポート)を使用できるようになる。さらに、リーク(漏出、漏れ)のリスクを低減して設置空間(取付けスペース)を節減することができるように、気体燃料ラインの各接続位置(点)はシリンダヘッド・カバーの下側に配置されてもよい。さらに、この装置では、量産体制に至るまでにかかる開発費用(労力)が比較的低いことも、特に(非常に)有利であり得る。気体燃料を供給するための装置をゼロから新規開発する(完全に開発し直す)代わりに、例えば液体燃料内燃エンジンのシリンダヘッドのような実証済みの(実績のある、既成)技術(bewaehrte Techniken)を用いることができる。その場合、液体燃料内燃エンジンのシリンダヘッド内に既に存在している長手方向のチャネルであって、液体燃料内燃エンジン内で液体燃料環流チャネル(通路)(Fluessigkraftstoff-Rueckflusskanal)として使用される/使用されていた長手方向のチャネルを、気体燃料コモン・レールに使用できることは、特に有利である。
【0009】
例示的な一実施形態において、複数の分枝チャネルは、それぞれが、好ましくはシリンダヘッドの上側(Oberseite)を始点とする、分枝孔(ボア)(Stichbohrung)として設計(ausgefuehrt:構成)される。従って、利点として、それらの分枝チャネルは、簡単な方法で非常に精度良く作製(hergestellt:形成)可能であり、既存の生産ラインに組み込むことが可能である。
【0010】
例示的な別の実施形態において、その長手方向のチャネルは、長手方向の孔(ボア)として、好ましくは長手方向の貫通孔(ボア)(Laengsdurchgangsbohrung)として、設計される。従って、利点として、その長手方向のチャネルは、簡単な方法で非常に精度良く作製(形成)可能である。その長手方向の貫通孔は、利点として、シリンダヘッドの両横側面(Querseiten)から作製(形成)されまたは穿孔(穴開け加工)されてもよく、それはいずれも、長手方向のチャネルを止り穴(Tiefbohrverfahre:ブラインドホール)として深部穿孔する場合と比べて、より工数の少ない(複雑さの少ない)深部穿孔法(Tiefbohrverfahren)で済むことになる。
【0011】
一実施形態において、その長手方向のチャネルの一端部が、プラグ、好ましくはブラインド・リベット・プラグ(Blindnietstopfen)、を用いて封止(シール)される。オプションとして(任意に)、その長手方向のチャネルのその一端部とは反対側に位置するその長手方向のチャネルの別の端部も、別のプラグ、好ましくは別のブラインド・リベット・プラグ、を用いて封止されてもよい。利点として、その長手方向のチャネルのその一端部または両端部は、そのように確実に封止することができる。
【0012】
別の実施形態において、その長手方向のチャネルがシリンダヘッドの上部(上側、アッパ)デッキ内に、および/またはシリンダヘッドの中間(中部)デッキ内に配置されている。従って、利点として、燃焼室面で始まりシリンダヘッドによって生じる、その長手方向のチャネルを通って流れる気体燃料の加熱をほんの僅かなものとすること(気体燃料のほんの僅かな加熱)が達成できる。
【0013】
別の実施形態においては、その装置はさらに複数のシール(封止)要素、好ましくは複数のOリング、を有しており、その複数のシール要素は、複数の気体燃料ラインの各入口部分(インレット部分またはセクション)と、複数の分枝チャネルの各出口部分(アウトレット部分またはセクション)との間をシール(封止)する。従って、利点として、複数の気体燃料ラインと複数の分枝チャネルの間の、信頼性があり設計構造的に僅かな費用(労力)で済む気密な接続(接続部)を実現することができる。それは、それ(接続)が、想定(予期)される10bar乃至40bar、好ましくは20bar乃至30bar、の気圧(気体圧力)に適合化されるからである。
【0014】
1つの実施形態の変形例において、複数の入口部分が複数の出口部分に挿入される(差し込まれる)、および/または、複数のシール要素が、複数の入口部分と複数の出口部分の間に配置され、好ましくは複数の入口部分の複数の外側(外周)環状溝内に収容(配置、保持)される。従って、利点として、複数の入口部分と複数の出口部分の間の確実で気密な接続(連結)を達成することができる。
【0015】
別の実施形態の変形例において、その装置はさらに複数の締結(固定)プレートを有し、その複数の締結プレートは、複数の入口部分をシリンダヘッドの上側(Oberseite)に、好ましくはその複数の締結プレートをシリンダヘッドにネジ止め(ボルト締結)することによって、動かないようにしっかりと固定(固着)する。従って、利点として、複数の気体燃料ラインの複数の入口部分を確実にかつそれと同時に簡単な締結(固定)を達成することができる。それは、それ(締結)が、想定(予期)される10bar乃至40bar、好ましくは20bar乃至30bar、の気圧に適合化されるからである。
【0016】
代替的に、例えば、それぞれ、コンプレッション・フィッティング法またはカッティング・リング・フィティング法(Schneidringverschraubung:cutting ring fitting)を用いて、複数の入口部分をシリンダヘッドに締結することも可能である。
【0017】
一実施形態において、シリンダヘッドはその長手方向のチャネルに開口する少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル(通路)(Sensor-Zugangskanal)を有しており、その装置はさらにその少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル内に配置された少なくとも1つのセンサを有する。このようにして、利点として、その長手方向のチャネル内の気体燃料に関する測定値の記録(Erfassung:捕捉、検出)を実現することでき、また、その記録は、容易に形成(作成)可能でもあり、外部から容易にアクセス可能でもある。
【0018】
代替的にまたは追加的に、その長手方向のチャネルの一端部上にまたは一端部内に、センサ(例えば、圧力センサまたは温度センサ)が配置されているようにしてもよい。オプションとして(任意に)、その一端部とは反対側にあるその長手方向のチャネルの一端部上にまたは一端部内に、別のセンサ(例えば、圧力センサまたは温度センサ)が配置されてもよい。
【0019】
別の実施形態において、その少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネルは、分枝孔として設計(構成)される。代替的にまたは追加的に、その少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネルは、シリンダヘッドの長手方向の外側面(Laengsaussenseite)から(を始端として)その長手方向のチャネルに向って(まで)伸びてもよい。それによって、利点として、その少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネルは、特に容易に形成(作製)可能であり、外部からこれ(チャネル)に特に容易にアクセス可能である。
【0020】
一実施形態において、その少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネルは1つの圧力センサ・アクセス・チャネルを含み、また、その少なくとも1つのセンサはその圧力センサ・アクセス・チャネル内に配置された1つの圧力センサを含んでいる。代替的にまたは追加的に、その少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネルは1つの温度センサ・アクセス・チャネルを含み、また、その少なくとも1つのセンサは、その温度センサ・アクセス・チャネル内に配置された1つの温度センサを含んでいる。それによって、利点として、設計構造的に簡単な形態で、その長手方向のチャネル内の気体燃料の温度および/または圧力を監視することが実現できる。
【0021】
別の実施形態において、そのシリンダヘッドは、長手方向のチャネル(内)に開口する少なくとも1つの気体燃料供給チャネルを有する。好ましくは、その少なくとも1つの気体燃料供給チャネルは分枝孔として構成され、および/または、その少なくとも1つの気体燃料供給チャネルはシリンダヘッドの長手方向の外側面から(を始端として)長手方向のチャネルまで(に向って)伸びる。そのようにして、利点として、容易に形成可能でありかつ外部から容易にアクセス可能な気体燃料の供給を実現できる。
【0022】
シリンダヘッドの上側(Oberseite)は、好ましくは、シリンダヘッドの燃焼室側とは反対(逆)方向に向けられ(ausgerichtet:整列され)てもよい。
【0023】
本開示の別の態様(観点)は、車両(自動車)、好ましくは実用車(Nutzfahrzeug)、特に好ましくはトラックまたはバス、に関する。その車両は、ここに開示されるような装置を有する気体燃料内燃エンジン、好ましくは水素内燃エンジン、を有する。
【0024】
ここに開示される装置を、乗用車、大型エンジン、オフロード車両、定置(固定)エンジン、船舶用エンジン等に使用することも可能である。
【0025】
本開示の別の態様(観点)は、複数の(例えば、多気筒の)シリンダヘッドの使用方法に関する。その方法は、同じ基本形状(型式)(例えば、鋳造製の基本形状(型式)または原型(マスタ)形状)と、同じ長手方向のチャネル、好ましくは同じ長手方向の孔(ボア)、とを有する複数の(例えば、多気筒の)シリンダヘッドを設ける(供給または準備する)こと(工程)を含んでいる。その方法は、(少なくとも)1つの液体燃料内燃エンジン、好ましくはディーゼル内燃エンジン、内の複数のシリンダヘッドの中の少なくとも1つ(シリンダヘッド)を使用すること(工程)を含み、その際、それぞれの長手方向のチャネルが液体燃料環流チャネルとして使用される。その方法は、(少なくとも)1つの気体燃料内燃エンジン、好ましくは水素内燃エンジン、内の複数のシリンダヘッドの中の少なくとも1つの他のもの(シリンダヘッド)を使用すること(工程)を含み、その際、それぞれの長手方向のチャネルが気体燃料コモン・レールとして使用される。このようにして、利点として、量産体制に至るまでの気体燃料内燃エンジンの開発費用(労力)を実質的に(wesentlich:かなり)低減することができる。シリンダヘッドを完全に新規開発する(完全に開発し直す)代わりに、液体燃料内燃エンジンの実証済みの(実績のある、既成)シリンダヘッドを用いることができる。その場合、特に有利なこととして、シリンダヘッド内に既に存在する長手方向のチャネルであって、液体燃料内燃エンジン内で液体燃料環流チャネルとして使用される/使用されていた長手方向のチャネルを、気体燃料コモン・レールに使用することができる。
【0026】
一実施形態において、その気体燃料内燃エンジン(例えば、その気体燃料内燃エンジンのみ)が、ここに開示される装置を含んでいる。好ましくは、その複数のシリンダヘッドの中の少なくとも1つの他のもの(シリンダヘッド)がその装置のシリンダヘッドであってもよい。
【0027】
好ましくは、その(少なくとも1つの)液体燃料内燃エンジン用の複数のシリンダヘッドの中の少なくとも1つの他のもの(シリンダヘッド)のみが、ここに開示される複数の分枝チャネル(通路)を有してもよく、その一方で、その(少なくとも1つの)液体燃料内燃エンジン用の複数のシリンダヘッドの中のその少なくとも1つ(シリンダヘッド)はそれを有しなくてもよい。
【0028】
上述した本発明の好ましい実施形態および特徴は、必要に応じて互いに組み合わせることができる。本発明の他の詳細および利点を、図面を参照して以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本開示の一実施形態による、気体燃料を供給するための装置の一部分の上面図である。
図2図2は、図1における線A-Aに沿った断面図である。
図3図3は、例示的な装置のシリンダヘッドの単なる概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
各図に示されている実施形態は少なくとも部分的に互いに一致しており、その結果、類似のまたは同様の部分は、同じ参照番号が付され、また、繰り返しを避けるために他の実施形態または図の説明を参照することによって説明される。
【0031】
図1および2は、内燃エンジンに(内燃エンジン用の、)気体燃料を供給するための装置10の部分図を示している。図3は、装置10のシリンダヘッド24の高度に概略化された図を示す。
【0032】
装置10は、シリンダヘッド24と、複数の気体燃料インジェクタ(噴射装置)50と、複数の気体燃料ライン(leitungen:配管、管路、導管)54とを有する。
【0033】
装置10は、気体燃料内燃エンジン、好ましくは水素内燃エンジン、に含まれていてもよい。その内燃エンジンは、例えば車両(Kraftfahrzeug:自動車)、好ましくは実用車(Nutzfahrzeug:ユティリティ・ビークル、商用車)に含まれていてもよい。その実用車は、例えばトラック(Lastkraftwagen:貨物自動車)またはバス(Omnibus)であってもよい。
【0034】
その内燃エンジンは、多シリンダ(気筒)内燃エンジンであり、または複数のシリンダを有する。その内燃エンジンは、直列四気筒、直列五気筒、または直列六気筒の内燃エンジンとして設計されることが特に好ましい。
【0035】
その内燃エンジンは、装置10に加えて、例えば、さらに、1シリンダ毎に少なくとも1つの吸気弁12、1シリンダ毎に少なくとも1つの排気弁14、および動弁機構16を有し得る。オプションとして(任意に)、その内燃エンジンは、さらに、1シリンダ毎に1つの点火装置22を有し得る。
【0036】
複数の吸気弁12を通して、内燃エンジンのその複数のシリンダまたは複数の燃焼室内に、好ましくは圧縮後の、燃焼空気を導入することができる。複数の排気弁14を通して、内燃エンジンの複数のシリンダまたは複数の燃焼室から排出ガスを放出することができる。複数の吸気弁12および複数の排気弁14は、シリンダヘッド24内に収容されていてもよい。
【0037】
動弁機構(Ventiltrieb:valve train、変動バルブ・トレイン、弁駆動装置)16は、複数の吸気弁12および複数の排気弁14を作動させるよう設計されてもよい。動弁機構16は、例えば、少なくとも1つのカムシャフト18と、複数の動力伝達(Kraftuebertragungshebel:伝動)レバー20、例えば複数のロッカ・アーム(Kipphebel:第1種てこ型(センターピボット式)ロッカ・アーム)、とを有してもよい。複数の動力伝達レバー20によって、複数の吸気弁12および複数の排気弁14を作動させることができる。複数の動力伝達レバー20によって、少なくとも1つのカムシャフト18と、複数の吸気弁12および複数の排気弁14との間に複数の作動的接続(Wirkverbindungen:連動)を形成することができる。動弁機構16を、可変式動弁機構(可変動バルブ・トレイン)とすることが可能である。動弁機構16は、シリンダヘッド24上に支持されてもよい。
【0038】
点火装置22は、それぞれのシリンダ内の可燃性混合気に点火するか、またはその点火を少なくとも支援(unterstuetzen:補助)することができる。例えば、複数の点火装置22は、それぞれ、点火(スパーク)プラグ(Zuendkerze)、グロー・プラグ(Gluehkerze)、または、例えば液体燃料の、自己着火(点火)の燃料量を噴射するための所謂パイロット燃料インジェクタ(Pilot-Kraftstoffinjektor)を有してもよい。点火装置22は各シリンダの(に対して)中央に配置されてもよい。複数の点火装置22は、シリンダヘッド24内に収容されてもよい。
【0039】
シリンダヘッド24は、内燃エンジンの複数の燃焼室またはシリンダを覆うよう機能する(カバーするために利用される)。従って、シリンダヘッド24は、多気筒シリンダヘッドとも称され得る。シリンダヘッド24は、好ましくは、4つの燃焼室もしくはシリンダをカバーするための四気筒シリンダヘッド、5つの燃焼室もしくはシリンダをカバーするための五気筒シリンダヘッド、または6つの燃焼室もしくはシリンダをカバーするための六気筒シリンダヘッドであってもよい。シリンダヘッド24は、直列に配置された複数のシリンダにわたって(またがり)長手方向に伸びていてもよい。シリンダヘッド24は、鋳造体(Gusskoerper)でありまたは鋳造製(gegossen)であることが好ましい。
【0040】
シリンダヘッド24は、内燃エンジンのエンジン・ブロックまたはクランクケースに取り付けられまたは固定され(befestigt)てもよい(図示せず)。例えば、シリンダヘッド24は、複数の締結(固定)要素(Befestigungselemente)26を利用して、エンジン・ブロックまたはクランクケースに(と)ネジ締結(verschraubt:ボルト締め、螺合、螺着)されてもよい。複数の締結要素26は、シリンダヘッド・ネジ(またはボルト)として設計されることが好ましい。
【0041】
シリンダヘッド24は、長手方向のチャネル28および複数の分枝チャネル(Stichkanaele)34を有する。オプションとして(任意に)、シリンダヘッド24は、例えば、さらに、少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル(通路)40、44、および/または、少なくとも1つの気体燃料供給チャネル48を有してもよい。
【0042】
長手方向のチャネル28は、シリンダヘッド24内に組み込まれた(一体化された)気体燃料コモン・レールとして利用することができる。長手方向のチャネル28内には、圧縮された気体燃料、好ましくは水素、を凝縮(verdichteter:圧縮)して一時的に貯蔵することができる。長手方向のチャネル28内の圧縮された気体燃料は、例えば、10bar乃至40bar、好ましくは20bar乃至30bar、の圧力を有してもよい。
【0043】
長手方向のチャネル28は、シリンダヘッド24(中)を長手方向に貫通して伸びてもよい。例えば、長手方向のチャネル28は、シリンダヘッド24の縦軸(長手方向軸)に対して実質的に平行であってもよい。長手方向のチャネル28は、シリンダヘッド24の両方の横側面(Querseiten:横断側面)間の貫通チャネルとして伸びていることが好ましい。
【0044】
長手方向のチャネル28は、長手方向の孔(ボア)として設計されることが特に好ましい。例えば、長手方向のチャネル28は、深部穿孔法(Tiefbohrverfahrens:深穴穿孔法)を用いて形成されてもよい。長手方向のチャネル28は、長手方向の貫通孔(ボア)として設計されることが好ましい。その長手方向の貫通孔は、例えば、シリンダヘッド24の両方の横側面(Querseiten)から穿孔されたものであってもよい。
【0045】
長手方向のチャネル28は、例えば、9mm乃至15mm、好ましくは11mm乃至13mm、特に好ましくは約12mm、の直径を有してもよい。
【0046】
長手方向のチャネル28は、シリンダヘッド24の上部(アッパ)デッキ内に、および/または、シリンダヘッド24の中間(中部)デッキ内に、配置されていることが好ましい。従って、好ましくは、長手方向のチャネル28は、シリンダヘッド24のファイア・デッキから或る距離を置いて配置されていてもよい。
【0047】
長手方向のチャネル28の一端部は、プラグ(Stopfen:詰め物、栓)30を用いて封止(シール)されてもよい。プラグ30は、ブラインド・リベット・プラグとして設計されていることが好ましい。その一端部は、シリンダヘッド24の一方の横側面(Querseite)に配置されてもよい。
【0048】
好ましくは、長手方向のチャネル28の別の端部は、別のプラグ32を用いて封止(シール)されてもよい。別のプラグ32(30)は、ブラインド・リベット・プラグとして設計されることが好ましい。その別の端部は、長手方向のチャネル28のその一端部とは反対側に配置されてもよい。その別の端部は、シリンダヘッド24の別の横側面に配置されてもよい。
【0049】
長手方向のチャネル28を気体燃料コモン・レールとして備えるこの例示的なシリンダヘッド24は、特に好ましくは、液体燃料内燃エンジン用の、好ましくはディーゼル内燃エンジン用の、シリンダヘッドから転用することができる。その液体燃料内燃エンジン用のシリンダヘッドは、長手方向のチャネル28を、具体的に別の目的で、即ち液体燃料を環流させるための液体燃料環流チャネルとして、有していてもよい。
【0050】
複数の分枝チャネル34は、長手方向のチャネル28に沿って配置される。複数の分枝チャネル34は、例えば、長手方向のチャネル28に沿って互いに或る距離を置いて(離間して)配置されてもよい。複数の分枝チャネル34は、例えば、互いに平行に配置(整列)されてもよい。複数の分枝チャネル34は、長手方向のチャネル28および/またはシリンダヘッド24の長手方向軸(縦軸)に対して或る角度で、好ましくは直角に、配置されてもよい。(各)気体燃料インジェクタ50毎に、または(各)気体燃料ライン54毎に、1つの分枝チャネル34が設けられることが好ましい。
【0051】
複数の分枝チャネル34は、それぞれ、長手方向のチャネル28とシリンダヘッド24の上側(Oberseite:上部、頂部、上面)との間に伸びる。詳しくは、複数の分枝チャネル34のそれぞれの出口部分(アウトレット部分またはセクション)36が、シリンダヘッド24の上側に配置されてもよい。複数の分枝チャネル34のそれぞれの入口部分(インレット部分またはセクション)38は、長手方向のチャネル28に配置されてもよい。長手方向のチャネル28は、複数の分枝チャネル34のそれぞれの入口部分38を通って伸びることができることが好ましい。
【0052】
複数の分枝チャネル34は、それぞれが分枝孔(ボア)(Stichbohrung:タップ孔)として設計されることが好ましい。例えば、複数の分枝チャネル34は、シリンダヘッド24の上側(Oberseite)から穿孔(穴開け加工)されてもよい。
【0053】
複数の分枝チャネル34は、シリンダヘッド24の上部(アッパ)デッキ内および/またはシリンダヘッド24の中間デッキ内に配置されることが好ましい。
【0054】
少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル40、44は、図3に例示的に示されているように、長手方向のチャネル28に開口してもよい。少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル40、44内には、長手方向のチャネル28内の気体燃料に関する測定値を検出するためのセンサ42、46が配置されてもよい。少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル40、44は、例えばそれぞれのセンサ42、46のキャリア(Traeger:支持体、補助物)またはスリーブによって、シール(abgedichtet)または封止(verschlossen:閉鎖)されてもよい。
【0055】
例えば、少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル40、44は、シリンダヘッド24の長手方向の外側面から(を始点として)長手方向のチャネル28に向って(まで)伸びてもよい。少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル40、44は、好ましくは分枝孔として設計されてもよい。少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル40、44は、好ましくは、シリンダヘッド24のその長手方向の外側面から穿孔(gebohrt:穴開け加工)されてもよい。
【0056】
例えば、少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル40、44は、内部に温度センサ42が配置される温度センサ・アクセス・チャネル40、および/または、内部に圧力センサ46が配置される圧力センサ・アクセス・チャネル44を含んでいてもよい。温度センサ42は、長手方向のチャネル28内の気体燃料の温度を検出することができる。圧力センサ46は、長手方向のチャネル28内の気体燃料の圧力を検出することができる。
【0057】
少なくとも1つのセンサ・アクセス・チャネル40、44は、好ましくは、シリンダヘッド24の上部(アッパ)デッキ内および/または中間デッキ内に配置されてもよい。
【0058】
少なくとも1つの気体燃料供給チャネル48は、図3に例示的に示されているように長手方向のチャネル28に開口してもよい。少なくとも1つの気体燃料供給チャネル48には、気体燃料ラインが接続されてもよく、それによってその気体燃料ラインを経由して気体燃料を少なくとも1つの気体燃料供給チャネル48に供給できるようにしてもよい(図示せず)。その気体燃料ラインは、例えば気体燃料タンクに接続されてもよい。
【0059】
例えば、少なくとも1つの気体燃料供給チャネル48は、シリンダヘッド24の長手方向の外側面(Laengsaussenseite)から(を始点として)長手方向のチャネル28まで(に向って)伸びてもよい。少なくとも1つの気体燃料供給チャネル48は、好ましくは、分枝孔として設計されてもよい。少なくとも1つの気体燃料供給チャネル48は、好ましくは、シリンダヘッド24のその長手方向の外側面から穿孔(穴開け加工)されてもよい。
【0060】
気体燃料インジェクタ50は、内燃エンジンの燃焼室またはシリンダ内に気体燃料を供給することができる。好ましくは、内燃エンジンのシリンダ毎に1つの気体燃料インジェクタ50を設けてもよい。
【0061】
複数の気体燃料インジェクタ50は、好ましくは、気体燃料を複数の燃焼室またはシリンダ内に吹き込む(噴射する)ことができる気体燃料吹込み(噴射)インジェクタ、好ましくは水素吹込みインジェクタ、として設計されてもよい。例えば、複数の気体燃料インジェクタ50は、10bar乃至40bar、好ましくは20bar乃至30bar、の圧力で気体燃料を吹き込むよう構成されてもよい。
【0062】
複数の気体燃料インジェクタ50は、シリンダヘッド24内に収容される。複数の気体燃料インジェクタ50は、それぞれ、シリンダヘッド24の上側(Oberseite)から(を越えて)突出する一端部に、気体燃料入口部(インレット部)52を有する。それに応じて、複数の気体燃料インジェクタ50は、所謂トップ・フィード型燃料インジェクタとして設計されてもよい。
【0063】
複数の気体燃料ライン54は、複数の気体燃料インジェクタ50のそれぞれの気体燃料入口部52と複数の分枝チャネル34とを互いに接続または連通させる。好ましくは、各分枝チャネル34が、複数の気体燃料ライン54の中の1つを介して、それぞれ1つの気体燃料インジェクタ50に接続または連通されていてもよい。複数の気体燃料ライン54は、好ましくは、複数の剛性の管路(starre Rohrleitungen:パイプライン)として、例えば金属製管路として、設計されてもよい。
【0064】
詳しくは、複数の気体燃料ライン54は、各々が、複数の分枝チャネル34のそれぞれの出口部分36の中の1つに接続された入口部分56を有してもよい。複数の入口部分56は、好ましくは、それぞれの出口部分36に挿入され(差し込まれ)てもよい。
【0065】
複数の入口部分56と複数の出口部分36の間には、複数のシール要素58が配置されてもよい。複数のシール要素58は、複数の入口部分56と複数の出口部分36の間をシールしてもよい。例えば、入口部分56/出口部分36毎に、2つのシール要素58が含まれてもよい。複数のシール要素58は、Oリングとして設計されることが好ましい。複数のシール要素58は、複数の入口部分56の複数の外側(外周)環状溝(Aussenringnuten)内に保持され得ることが好ましい。
【0066】
各入口部分56は、それぞれの締結(固定)プレート60を介してシリンダヘッド24の上側(Oberseite)にしっかりと固定(gesichert:保定、固着)されてもよい。複数の締結プレート60は、それぞれが、それぞれ(自己)の締結要素62を利用して、シリンダヘッド24に締結(固定)されてもよい。複数の締結要素62は複数の締結ネジ(ボルト)として設計されることが好ましい。
【0067】
複数の気体燃料ライン(配管)54は、少なくとも1つのケーブル・ガイド64に少なくとも部分的に架け渡される(跨る)よう(少なくとも1つのケーブル・ガイド64が少なくとも部分的に架け渡すよう)配置されてもよい。ケーブル・ガイド64は、好ましくは上部が(上向きに)開口しているケーブル・チャネル(通路)を有していて、中にケーブル・ハーネス66(図2のみに示されている)が配置されるもの(ケーブル・チャネル)であってもよい。好ましくは、ケーブル・ガイド64に架け渡される(跨る)(が架け渡す)気体燃料ライン54には、それぞれのケーブル・ガイド64に(が)跨る箇所(位置)に段状部(Stufenabschnitt:段部、屈曲部)68を設ける(有する)ことができ、それによって、好ましくは、ケーブル・ガイド64用の設置空間(Bauraum:取付けスペース)が形成(確保)されるようにしてもよい。
【0068】
本発明は、上述の好ましい例示的な実施形態に限定されない。むしろ、本発明の思想を同様に利用し、従って保護の範囲内に入る多数の変形例および変更が可能である。特に、本発明は、引用する請求項とは関係なく、従属請求項の構成および特徴の保護も請求する。特に、独立請求項1の個々の特徴は、それぞれ互いに独立して開示されるものである。さらに、従属請求項のそれぞれの特徴は、独立請求項1の全ての特徴とは関係なくも開示されるものであり、例えば、独立請求項1の、シリンダヘッド、気体燃料インジェクタおよび/または気体燃料ラインの存在および/または構成に関する諸特徴とは関係なく、開示されるものである。本明細書における全ての範囲の情報は、それぞれの範囲内にある全ての値が、個々に開示されるような形態で、例えばそれぞれの範囲の好ましいより狭い外側の限界としても開示されるような形態で、開示されるものと、理解されるものである。
【符号の説明】
【0069】
10 気体燃料を供給するための装置
12 吸気弁
14 排気弁
16 動弁機構
18 カムシャフト
20 動力伝達レバー
22 点火装置
24 シリンダヘッド
26 締結要素
28 長手方向のチャネル(通路)
30 プラグ
32 別のプラグ
34 分枝チャネル
36 出口部分
38 入口部分
40 温度センサ・アクセス・チャネル(通路)
42 温度センサ
44 圧力センサ・アクセス・チャネル
46 圧力センサ
48 気体燃料供給チャネル
50 気体燃料インジェクタ
52 気体燃料入口部
54 気体燃料ライン
56 入口部分
58 シール要素
60 締結プレート
62 締結要素
64 ケーブル・ガイド
66 ケーブル・ハーネス
68 段状部
図1
図2
図3
【外国語明細書】