IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セレクタ バイオサイエンシーズ インコーポレーテッドの特許一覧

特開2024-126023非免疫抑制性の抗原特異的免疫治療薬の反復投与
<>
  • 特開-非免疫抑制性の抗原特異的免疫治療薬の反復投与 図1
  • 特開-非免疫抑制性の抗原特異的免疫治療薬の反復投与 図2
  • 特開-非免疫抑制性の抗原特異的免疫治療薬の反復投与 図3
  • 特開-非免疫抑制性の抗原特異的免疫治療薬の反復投与 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126023
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】非免疫抑制性の抗原特異的免疫治療薬の反復投与
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20240911BHJP
   A61K 31/436 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240911BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61K31/436
A61K31/519
A61K9/10
A61K47/02
A61K47/32
A61P37/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024061376
(22)【出願日】2024-04-05
(62)【分割の表示】P 2022012994の分割
【原出願日】2014-06-04
(31)【優先権主張番号】61/831,128
(32)【優先日】2013-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】511254321
【氏名又は名称】セレクタ バイオサイエンシーズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SELECTA BIOSCIENCES,INC.
【住所又は居所原語表記】65 Grove Street,Watertown,MA 02472,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルドナド,ロベルト,エー.
(72)【発明者】
【氏名】キシモト,タカシ,ケイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB21
4C076CC07
4C076DD15Z
4C076EE06A
4C076FF02
4C076FF16
4C084AA17
4C084MA23
4C084MA55
4C084MA66
4C084NA06
4C084ZB07
4C084ZB08
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086CB22
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA23
4C086MA55
4C086MA66
4C086NA06
4C086ZB08
(57)【要約】
【課題】
本発明は、免疫抑制を誘導しないプロトコルまたはそれらの構成要素を使用して、抗原特異的免疫治療薬の反復投与に関する。
【解決手段】いくつかの態様において、プロトコルは、被験体において免疫抑制を誘導しないことが過去に示されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体において、免疫抑制をもたらさない抗原特異的免疫治療薬を反復して投与するためにプロトコルを決定すること;および
プロトコルの1または2以上の要素を使用して、別の被験体に抗原特異的免疫治療薬を反復して投与すること
を含む、方法。
【請求項2】
決定することが、プロトコルの1または2以上の要素が被験体において抗原特異的寛容をもたらすことを実証することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性免疫モジュレーターを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
外因性免疫モジュレーターが、スタチン;mTORインヒビター;TGF-βシグナル剤;TGF-β受容体アゴニスト;ヒストンデアセチラーゼインヒビター;コルチコステロイド;ミトコンドリア機能のインヒビター;P38インヒビター;NF-κβインヒビター;レクチン受容体リガンド;アデノシン受容体アゴニスト;プロスタグランジンE2アゴニスト;ホスホジエステラーゼインヒビター;プロテアソームインヒビター;キナーゼインヒビター;Gタンパク質連結受容体アゴニスト;Gタンパク質連結受容体アンタゴニスト;グルココルチコイド;レチノイド;サイトカインインヒビター;サイトカイン受容体インヒビター;サイトカイン受容体アクチベーター;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アンタゴニスト;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アゴニスト;ヒストンデアセチラーゼインヒビター;カルシニューリンインヒビター;ホスファターゼインヒビター;酸化されたATP;IDO;ビタミンD3;シクロスポリンA;アリール炭化水素受容体インヒビター;レスベラトロール;アザチオプリン;6-メルカプトプリン;アスピリン;ニフルム酸;エストリオール;トリポリド;インターロイキン;シクロスポリンA、または、サイトカインまたはサイトカイン受容体を標的とするsiRNAを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
外因性免疫モジュレーターが、ラパマイシン、ミコフェノール酸またはCD22リガンドを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性抗原を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
抗原特異的免疫治療薬がまた、外因性免疫モジュレーターをも含むとき、外因性抗原および外因性免疫モジュレーターが、互いに連結されておらず、および、反復投与が、外因性抗原および外因性免疫モジュレーターの併用反復投与を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
外因性抗原が、治療用タンパク質、修飾抗原または発現された抗原を含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
発現された抗原が、修飾メッセンジャーRNAから発現される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
抗原特異的免疫治療薬が、内因性抗原に対する抗原特異的寛容をもたらす、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
内因性抗原が、自己抗原を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
自己抗原が、強直性脊椎炎;水疱性類天疱瘡;関節リウマチ;多発性硬化症;糖尿病;湿疹;炎症性腸疾患;ループスまたは全身性エリテマトーデス;多発性硬化症;原発性胆汁性肝硬変;乾癬;サルコイドーシス;全身性硬化症;強皮症;甲状腺炎;自己免疫性甲状腺疾患;橋本甲状腺炎;甲状腺中毒症;円形脱毛症;グレーブス病;ギラン-バレー症候群;セリアック病;シェーグレン症候群;リウマチ熱;胃炎自己免疫性萎縮性胃炎;自己免疫性肝炎;インスリン炎;卵巣炎;精巣炎;ブドウ膜炎;水晶体起因性ブドウ膜炎;重症筋無力症;原発性粘液水腫;悪性貧血;原発性硬化性胆管炎;自己免疫性溶血性貧血;アジソン病;強皮症;グッドパスチャー症候群;腎炎;乾癬;尋常性天疱瘡;天疱瘡;交感性眼炎;特発性血小板減少性紫斑病;特発性白血球減少症;ウェゲナー肉芽腫症または多発性/皮膚筋炎において見出されたものを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性抗原を含み、および、内因性免疫モジュレーターの存在下で投与されたとき、抗原特異的寛容をもたらす、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
内因性免疫モジュレーターが、アポトーシスまたは関連シグナル伝達に関与する物質および/または物質の組み合わせ、TまたはB細胞の生態に関与する物質および/または物質の組み合わせ、または、樹状細胞の生態に関与する物質および/または組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
反復投与を、抗原特異的免疫治療薬の初回投与または過去の反復投与の1週間~10年後に行う、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
反復投与を、抗原特異的免疫治療薬の初回投与または過去の反復投与の1週間後に行う、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
反復投与を、抗原特異的免疫治療薬の初回投与または過去の反復投与の2週間後に行う、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
反復投与を、抗原特異的免疫治療薬の初回投与または過去の反復投与の1~12ヶ月後に行う、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性抗原および外因性免疫モジュレーターを含むとき、外因性抗原が、外因性免疫モジュレーターとは異なる経路で反復して投与される、請求項6、7および15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
反復投与が、併用反復投与を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
抗原特異的免疫治療薬が、1より多くの外因性抗原を含む、請求項6、7および15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性抗原および外因性免疫モジュレーターを含むとき、外因性抗原が、外因性免疫モジュレーターとは異なる経路で反復して投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
反復投与が、併用反復投与を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
外因性抗原および外因性免疫モジュレーターが、互いに連結され、および、外因性免疫モジュレーターが、ERY1ペプチドを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
抗原特異的免疫治療薬が、プロトコルの要素の全てまたは実質的に全てを使用して、別の被験体に反復して投与される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性免疫モジュレーターに連結されたポリマー合成ナノ担体を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ポリマー合成ナノ担体に付着された免疫モジュレーターの積載量が、ポリマー合成ナノ担体全体の平均で、0.1%と50%(重量/重量)との間である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
積載量が、0.1%と20%(重量/重量)との間である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性免疫モジュレーターおよび外因性抗原を含むとき、ポリマー合成ナノ担体が、外因性抗原にさらに連結される、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性免疫モジュレーターおよび外因性抗原を含むとき、ポリマー合成ナノ担体が、外因性抗原と併用投与される、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
外因性免疫モジュレーターの免疫モジュレーターの積載量が、平均で、少なくとも95%、97%、98%または99%(重量/重量)である、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
抗原または免疫モジュレーターを含む抗原特異的免疫治療薬を、被験体に反復して投与すること
を含む方法であって、
抗原または免疫モジュレーターが、抗原または免疫モジュレーターの反復投与の際に免疫抑制を誘導することが過去に示されていないプロトコルの1または2以上の要素に従って反復して投与される、前記方法。
【請求項33】
決定することが、プロトコルの1または2以上の要素が被験体において抗原特異的寛容をもたらすことを実証することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性免疫モジュレーターを含む、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
外因性免疫モジュレーターが、スタチン;mTORインヒビター;TGF-βシグナル剤;TGF-β受容体アゴニスト;ヒストンデアセチラーゼインヒビター;コルチコステロイド;ミトコンドリア機能のインヒビター;P38インヒビター;NF-κβインヒビター;レクチン受容体リガンド;アデノシン受容体アゴニスト;プロスタグランジンE2アゴニスト;ホスホジエステラーゼインヒビター;プロテアソームインヒビター;キナーゼインヒビター;Gタンパク質連結受容体アゴニスト;Gタンパク質連結受容体アンタゴニスト;グルココルチコイド;レチノイド;サイトカインインヒビター;サイトカイン受容体インヒビター;サイトカイン受容体活性化剤;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アンタゴニスト;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アゴニスト;ヒストンデアセチラーゼインヒビター;カルシニューリンインヒビター;ホスファターゼインヒビター;酸化されたATP;IDO;ビタミンD3;シクロスポリンA;アリール炭化水素受容体インヒビター;レスベラトロール;アザチオプリン;6-メルカプトプリン;アスピリン;ニフルム酸;エストリオール;トリポリド;インターロイキン;シクロスポリンA、または、サイトカインまたはサイトカイン受容体を標的とするsiRNAを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
外因性免疫モジュレーターが、ラパマイシン、ミコフェノール酸またはCD22リガンドを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性抗原を含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
抗原特異的免疫治療薬がまた、外因性免疫モジュレーターをも含むとき、外因性抗原および外因性免疫モジュレーターが、互いに連結されておらず、および、反復投与が、外因性抗原および外因性免疫モジュレーターの併用反復投与を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
外因性抗原が、治療用タンパク質、修飾抗原または発現された抗原を含む、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
発現された抗原が、修飾メッセンジャーRNAから発現される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
抗原特異的免疫治療薬が、内因性抗原に対する抗原特異的寛容をもたらす、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
内因性抗原が、自己抗原を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
自己抗原が、強直性脊椎炎;水疱性類天疱瘡;関節リウマチ;多発性硬化症;糖尿病;湿疹;炎症性腸疾患;ループスまたは全身性エリテマトーデス;多発性硬化症;原発性胆汁性肝硬変;乾癬;サルコイドーシス;全身性硬化症;強皮症;甲状腺炎;自己免疫性甲状腺疾患;橋本甲状腺炎;甲状腺中毒症;円形脱毛症;グレーブス病;ギラン-バレー症候群;セリアック病;シェーグレン症候群;リウマチ熱;胃炎自己免疫性萎縮性胃炎;自己免疫性肝炎;インスリン炎;卵巣炎;精巣炎;ブドウ膜炎;水晶体起因性ブドウ膜炎;重症筋無力症;原発性粘液水腫;悪性貧血;原発性硬化性胆管炎;自己免疫性溶血性貧血;アジソン病;強皮症;グッドパスチャー症候群;腎炎;乾癬;尋常性天疱瘡;天疱瘡;交感性眼炎;特発性血小板減少性紫斑病;特発性白血球減少症;ウェゲナー肉芽腫症または多発性/皮膚筋炎において見出だされたものを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性抗原を含み、および、内因性免疫モジュレーターの存在下で投与されたとき、抗原特異的寛容をもたらす、請求項32または33に記載の方法。
【請求項45】
内因性免疫モジュレーターが、アポトーシスまたは関連シグナル伝達に関与する物質および/または物質の組み合わせ、TまたはB細胞の生態に関与する物質および/または物質の組み合わせ、または、樹状細胞の生態に関与する物質および/または物質の組み合わせを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
反復投与を、抗原特異的免疫治療薬の初回投与または過去の反復投与から1週間~10年後に行う、請求項32~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
反復投与を、抗原特異的免疫治療薬の初回投与または過去の反復投与の1週間後に行う、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
反復投与を、抗原特異的免疫治療薬の初回投与または過去の反復投与の2週間後に行う、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
反復投与を、抗原特異的免疫治療薬の初回投与または過去の反復投与の1~12ヶ月後に行う、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性抗原および外因性免疫モジュレーターを含むとき、外因性抗原が、外因性免疫モジュレーターとは異なる経路で反復して投与される、請求項37、38および46~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
反復投与が、併用反復投与を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
抗原特異的免疫治療薬が、1より多くの外因性抗原を含む、請求項37、38および46~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性抗原および外因性免疫モジュレーターを含むとき、外因性抗原が、外因性免疫モジュレーターとは異なる経路で反復して投与される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
反復投与が、併用反復投与を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
外因性抗原および外因性免疫モジュレーターが、互いに連結され、および、外因性免疫モジュレーターが、ERY1ペプチドを含む、請求項32~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
抗原特異的免疫治療薬が、プロトコルの要素の全てまたは実質的に全てを使用して、別の被験体に反復して投与される、請求項32~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性免疫モジュレーターに連結されたポリマー合成ナノ担体を含む、請求項32~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
ポリマー合成ナノ担体に付着された免疫モジュレーターの積載量が、ポリマー合成ナノ担体全体の平均で、0.1%および50%(重量/重量)との間である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
積載量が、0.1%と20%(重量/重量)との間である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
抗原特異的免疫治療薬が外因性免疫モジュレーターおよび外因性抗原を含むとき、ポリマー合成ナノ担体が、外因性抗原にさらに連結される、請求項57~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
抗原特異的免疫治療薬が、外因性免疫モジュレーターおよび外因性抗原を含むとき、ポリマー合成ナノ担体が、外因性抗原と併用投与される、請求項57~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
外因性免疫モジュレーターの免疫モジュレーターの積載量が、平均で、少なくとも95%、97%、98%または99%(重量/重量)である、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
外因性抗原または外因性免疫モジュレーターを、反復投与の際に免疫抑制を誘導しないことをプロトコルにおいて過去に実証された量で含む、抗原特異的免疫治療薬
を含む、組成物。
【請求項64】
抗原または免疫モジュレーターが、抗原特異的寛容をもたらすことがさらに示された量で存在する、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
外因性免疫モジュレーターが、スタチン;mTORインヒビター;TGF-βシグナル剤;TGF-β受容体アゴニスト;ヒストンデアセチラーゼインヒビター;コルチコステロイド;ミトコンドリア機能のインヒビター;P38インヒビター;NF-κβインヒビター;レクチン受容体リガンド;アデノシン受容体アゴニスト;プロスタグランジンE2アゴニスト;ホスホジエステラーゼインヒビター;プロテアソームインヒビター;キナーゼインヒビター;Gタンパク質連結受容体アゴニスト;Gタンパク質連結受容体アンタゴニスト;グルココルチコイド;レチノイド;サイトカインインヒビター;サイトカイン受容体インヒビター;サイトカイン受容体アクチベーター;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アンタゴニスト;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アゴニスト;ヒストンデアセチラーゼインヒビター;カルシニューリンインヒビター;ホスファターゼインヒビター;酸化されたATP;IDO;ビタミンD3;シクロスポリンA;アリール炭化水素受容体インヒビター;レスベラトロール;アザチオプリン;6-メルカプトプリン;アスピリン;ニフルム酸;エストリオール;トリポリド;インターロイキン;シクロスポリンA、または、サイトカインまたはサイトカイン受容体を標的とするsiRNAを含む、請求項63または64の組成物。
【請求項66】
外因性免疫モジュレーターが、ラパマイシン、ミコフェノール酸またはCD22リガンドを含む、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
外因性抗原が、治療用タンパク質、修飾抗原または発現された抗原を含む、請求項63または64に記載の組成物。
【請求項68】
発現された抗原が、修飾メッセンジャーRNAから発現される、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
抗原特異的免疫治療薬が、ポリマー合成ナノ担体を含む、請求項63~68のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
抗原特異的免疫治療薬が、1より多くの外因性抗原をさらに含む、請求項63~69のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
組成物が、キットである、請求項63~70のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項72】
抗原特異的免疫治療薬を製造する方法であって、方法が、外因性抗原または外因性免疫モジュレーターを、反復投与の際に免疫抑制を誘導しないことがプロトコルにおいて過去に実証された量で、生成することまたは得ることを含む、前記方法。
【請求項73】
抗原特異的免疫治療薬が、前の請求項のいずれか一項に定義されたとおりである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
方法が、プロトコルを決定することをさらに含む、請求項72または73に記載の方法。
【請求項75】
被験体において免疫抑制の誘導ではなく抗原特異的寛容を達成するための医薬の製造のための、外因性免疫モジュレーターまたは外因性抗原を含む、抗原特異的免疫治療薬。
【請求項76】
抗原特異的免疫治療薬、前の請求項のいずれか一項に定義されたとおりである、請求項75に記載の抗原特異的免疫治療薬。
【請求項77】
被験体において免疫抑制の誘導ではなく抗原特異的寛容を達成するための、外因性免疫モジュレーターまたは外因性抗原を含む、抗原特異的免疫治療薬。
【請求項78】
抗原特異的免疫治療薬が、前の請求項のいずれか一項に定義されたとおりである、請求項77に記載の抗原特異的免疫治療薬。
【請求項79】
請求項1~62のいずれか一項に記載の方法における使用のための、抗原特異的免疫治療薬。
【請求項80】
抗原特異的免疫治療薬が、前の請求項のいずれか一項に定義されたとおりである、請求項79に記載の抗原特異的免疫治療薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条の下で、2013年6月4日出願の米国仮出願第61/831,128号の利益を主張するものであり、その内容全体を参照によって本明細書に組み込む。
【0002】
本発明の分野
本発明は、免疫抑制を誘導しないプロトコルまたはそれらの要素を使用する抗原特異的な免疫療法薬の反復投与に関する。いくつかの態様において、プロトコルは、被験体において反復投与時に免疫抑制を誘導しないことが過去に示されている。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
自己免疫疾患、アレルギー、または、タンパク質または酵素補充療法を要する遺伝的または後天的欠乏症、および、生物学的治療を要する疾患などの特定の疾患または症状は、多くの場合、望ましくない免疫応答をもたらす。かかる望ましくない免疫応答は、免疫モジュレーター薬物の使用を通して減少される可能性がある。
【0004】
しかしながら、従来の免疫モジュレーター薬物は、広域作用性がある。追加的に、免疫抑制を維持するために、免疫モジュレーター薬物療法は、一般に、生涯にわたる命題である。残念ながら、広域作用性免疫モジュレーターの使用は、腫瘍、感染症、腎毒性および代謝障害などの重篤な副作用の危険性と関連する。したがって、新たな免疫モジュレーター療法は有益であろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明の概要
一側面において、被験体において免疫抑制をもたらさない抗原特異的免疫治療薬を反復して投与するためのプロトコルを決定すること;および、プロトコルの1または2以上の要素を使用して、別の被験体に抗原特異的免疫治療薬を反復して投与すること、を含む方法が提供される。
【0006】
別の側面において、被験体において免疫抑制をもたらさない抗原特異的免疫治療薬を反復して投与するためのプロトコルを決定することを含む方法、ここで、決定することは、被験体に抗原特異的免疫治療薬を反復して投与することを含む、が提供される。
【0007】
別の側面において、抗原または免疫モジュレーターを含む抗原特異的免疫治療薬を被験体に反復して投与することを含む方法であって、ここで、抗原または免疫モジュレーターは、抗原または免疫モジュレーターの反復投与の際に免疫抑制を誘導しないプロトコルの1または2以上の要素に従って、反復して投与される。
【0008】
提供される方法のいずれか1つの一態様において、方法は、抗原特異的免疫治療薬を得るか、または提供することをさらに含む。本明細書で提供される方法のいずれか1つの別の態様において、決定することは、プロトコルの1または2以上の要素が被験体において抗原特異的寛容をもたらすことを実証することをさらに含む。
【0009】
別の側面において、外因性抗原または外因性免疫モジュレーターを、反復投与の際に免疫抑制を誘導しないことをプロトコルにおいて過去に実証された量で含む抗原特異的免疫治療薬を含む組成物が提供される。本明細書で提供される組成物のいずれか1つの一態様において、組成物はキットである。
【0010】
提供される方法または組成物のいずれか1つの一態様において、抗原特異的免疫治療薬は、本明細書において提供される抗原特異的免疫治療薬のいずれか1つである。
【0011】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、プロトコルは、免疫抑制を誘導しないことが過去に示されているものである。
【0012】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原または免疫モジュレーターは、抗原特異的寛容もたらすことがさらに示された量で存在する。
【0013】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原特異的免疫治療薬は、外因性免疫モジュレーターを含む。本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、外因性免疫モジュレーターは、スタチン;mTORインヒビター;TGF-βシグナル剤;TGF-β受容体アゴニスト;ヒストンデアセチラーゼインヒビター;コルチコステロイド;ミトコンドリア機能のインヒビター;P38インヒビター;NF-κβインヒビター;レクチン受容体リガンド;アデノシン受容体アゴニスト;プロスタグランジンE2アゴニスト;ホスホジエステラーゼインヒビター;プロテアソームインヒビター;キナーゼインヒビター;Gタンパク質連結受容体アゴニスト;Gタンパク質連結受容体アンタゴニスト;グルココルチコイド;レチノイド;サイトカインインヒビター;サイトカイン受容体インヒビター;サイトカイン受容体アクチベーター;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アンタゴニスト;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アゴニスト;ヒストンデアセチラーゼインヒビター;カルシニューリンインヒビター;ホスファターゼインヒビター;酸化されたATP;IDO;ビタミンD3;シクロスポリンA;アリール炭化水素受容体インヒビター;レスベラトロール;アザチオプリン;6-メルカプトプリン;アスピリン;ニフルム酸;エストリオール;トリポリド;インターロイキン;シクロスポリンA、または、サイトカインまたはサイトカイン受容体を標的とするsiRNAを含む。本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、外因性免疫モジュレーターは、ラパマイシン、ミコフェノール酸またはCD22リガンドを含む。
【0014】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原特異的免疫治療薬は、外因性抗原を含む。
【0015】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原特異的免疫治療薬がまた、外因性免疫モジュレーターをも含むとき、外因性抗原および外因性免疫モジュレーターは、互いに連結されていない。本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、反復投与は、外因性抗原および外因性免疫モジュレーターの併用反復投与を含む。
【0016】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、外因性抗原は、治療用タンパク質、修飾抗原または発現された抗原を含む。本明細書中で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、発現された抗原は、修飾メッセンジャーRNAから発現される。
【0017】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原特異的免疫治療薬は、内因性抗原に対する抗原特異的寛容をもたらす。
【0018】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、内因性抗原は、自己抗原を含む。
【0019】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、自己抗原は、強直性脊椎炎;水疱性類天疱瘡;関節リウマチ;多発性硬化症;糖尿病;湿疹;炎症性腸疾患;ループスまたは全身性エリテマトーデス;多発性硬化症;原発性胆汁性肝硬変;乾癬;サルコイドーシス;全身性硬化症;強皮症;甲状腺炎;自己免疫性甲状腺疾患;橋本甲状腺炎;甲状腺中毒症;円形脱毛症;グレーブス病;ギラン-バレー症候群;セリアック病;シェーグレン症候群;リウマチ熱;胃炎自己免疫性萎縮性胃炎;自己免疫性肝炎;インスリン炎;卵巣炎;精巣炎;ブドウ膜炎;水晶体起因性ブドウ膜炎;重症筋無力症;原発性粘液水腫;悪性貧血;原発性硬化性胆管炎;自己免疫性溶血性貧血;アジソン病;強皮症;グッドパスチャー症候群;腎炎;乾癬;尋常性天疱瘡;天疱瘡;交感性眼炎;特発性血小板減少性紫斑病;特発性白血球減少症;ウェゲナー肉芽腫症または多発性/皮膚筋炎(poly/dermatomyositis)に見出されるものを含む。
【0020】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原特異的免疫治療薬は外因性抗原を含み、内因性免疫モジュレーターの存在下で投与されたとき、抗原特異的寛容をもたらす。
【0021】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、内因性免疫モジュレーターは、アポトーシスまたは関連シグナル伝達に関与する物質および/または物質の組み合わせ、TまたはB細胞の生態に関与する物質および/または物質の組み合わせ、または、樹状細胞の生態に関与する物質および/または物質の組み合わせ、を含む。
【0022】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、反復投与を、抗原特異的免疫治療薬の初回投与または過去の反復投与の1週間~10年後に行う。本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、反復投与を、抗原特異的免疫治療薬の初回投与または過去の反復投与の1週間後に行う。本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、反復投与を、抗原特異的免疫治療薬の初回投与または過去の反復投与の2週間後に行う。本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、反復投与を、抗原特異的免疫治療薬の初回投与または過去の反復投与の1~12週間後に行う。
【0023】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原特異的免疫治療薬は、外因性抗原および外因性免疫モジュレーターを含み、外因性抗原は、外因性免疫モジュレーターと異なる経路によって反復して投与される。本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、反復投与は、併用反復投与を含む。
【0024】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原特異的免疫治療薬は、1より多くの外因性抗原を含む。
【0025】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原特異的免疫治療薬が、外因性抗原および外因性免疫モジュレーターを含むとき、外因性抗原は、外因性免疫モジュレーターとは異なる経路によって反復して投与される。本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、反復投与は、併用反復投与を含む。
【0026】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、外因性抗原および外因性免疫モジュレーターは、互いに連結されている。本明細書で提供される方法および組成物のいずれか1つの別の態様において、外因性免疫モジュレーターはERY1ペプチドを含む。
【0027】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原特異的免疫治療薬は、プロトコルの要素の全てまたは実質的に全てを使用して、別の被験体に反復して投与される。
【0028】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原特異的免疫治療薬は、外因性免疫モジュレーターに連結されたポリマー合成ナノ担体を含む。
【0029】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、ポリマー合成ナノ担体に付着された免疫モジュレーターの積載量(load)は、ポリマー合成ナノ担体全体の平均で、0.1%と50%(重量/重量)との間である。本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、積載量は、0.1%と20%(重量/重量)との間である。
【0030】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、平均して、外因性免疫モジュレーターの免疫モジュレーターの積載量は、少なくとも95%、97%、98%または99%(重量/重量)である。
【0031】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原特異的免疫治療薬が、外因性免疫モジュレーターおよび外因性抗原を含むとき、ポリマー合成ナノ担体は、外因性抗原にさらに連結されている。本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原特異的免疫治療薬が、外因性免疫モジュレーターおよび外因性抗原を含むとき、ポリマー合成ナノ担体は、外因性抗原と併用投与される。
【0032】
別の側面において、本明細書で提供される抗原特異的免疫療法のいずれか1つを製造する方法が提供される。一態様において、方法は、外因性抗原または外因性免疫モジュレーターを、反復投与の際に免疫抑制を誘導しない量で生成することまたは得ることを含む。提供される方法のいずれか1つの別の態様において、量は、反復投与の際に免疫抑制を誘導しないことがプロトコルにおいて過去に実証された量である。提供される方法のいずれか1つの別の態様において、方法は、量またはプロトコルを決定することをさらに含む。
【0033】
別の側面において、被験体において免疫抑制の誘導ではなく抗原特異的寛容を達成するための医薬の製造のための、外因性免疫モジュレーターまたは外因性抗原を含む抗原特異的免疫治療薬が提供される。
【0034】
別の側面において、被験体において免疫抑制の誘導ではなく抗原特異的寛容を達成するための、外因性免疫モジュレーターまたは外因性抗原を含む抗原特異的免疫治療薬が提供される。一態様において、抗原特異的免疫治療薬は、本明細書で提供される方法のいずれか1つにおける使用のためのものである。
【0035】
本明細書で提供される方法または組成物のいずれか1つの別の態様において、抗原特異的免疫治療薬は、本明細書において提供される抗原特異的免疫治療薬のいずれか1つである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図の簡単な説明
図1図1は、抗原およびラパマイシンを含む抗原特異的免疫治療薬の反復投与からの結果を示す。
図2図2は、外因性免疫モジュレーターであるメトトレキサートを含む抗原特異的免疫治療薬の反復投与からの結果を示す。
図3図3は、外因性免疫モジュレーターであるメトトレキサートを含む抗原特異的免疫治療薬の反復投与からの結果を示す。
図4図4は、外因性免疫モジュレーター(ERY1ペプチド)に付着されている外因性抗原(OVA)によるCD8T細胞の欠失またはアネルギーを実証する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の詳細な説明
本発明を詳細に説明する前に、本発明が、具体的に例示された材料またはプロセスパラメータは当然変化し得るので、かかるものに限定されないということを理解すべきである。本明細書で使用する用語法は本発明の具体的な態様を記載するためのものにすぎず、本発明を記載するための代替的用語法の使用を限定することを意図しないということもまた理解されるべきである。
【0038】
上記または下記のいずれにおいても本明細書で引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的において、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
本明細書および添付のクレームで使用する場合、その内容が別途明確に指定していない限り、単数形の「a」、「an」および「the」は複数の言及物を包含する。例えば、「ポリマー(a polymer)」への言及は、2つまたは3つ以上のかかる分子の混合物または単一のポリマー種の異なる分子量の混合物を包含し、「合成ナノ担体」への言及は2つまたは3つ以上のかかる合成ナノ担体の混合物または複数のかかる合成ナノ担体を包含し、「DNA分子」への言及は、2つまたは3つ以上のかかるDNA分子の混合物または複数のかかるDNA分子を包含し、「免疫モジュレーター」への言及は、2つまたは3つ以上のかかる材料または複数のかかる免疫モジュレーターを包含する、等。
【0040】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprise)」または「comprises」もしくは「comprising」などの変形形態は、いずれか列挙された完全体(integer)(例えば特長、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップまたは限定)または完全体の群(例えば複数の特長、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップまたは限定)の包含を表示すると読むべきであって、いずれか他の完全体または完全体の群の排除を表示すると読むべきにおいてない。ゆえに、本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」は包括的であり、追加の、列挙されない完全体または方法/プロセスステップを排除しない。
【0041】
本明細書で提供される組成物および方法のいずれかのある態様において、「含む(comprising)」は「本質的にからなる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」で置換されてもよい。語句「本質的にからなる」は、明記された完全体(単数または複数)またはステップを、クレームされる発明の性質または機能に重大な影響を及ぼさないものと共に要するために、本明細書で使用される。本明細書で使用するとき、用語「からなる(consisting)」は、列挙された完全体(例えば特長、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップまたは限定)または完全体の群(例えば複数の特長、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップまたは限定)のみの存在を表示するために使用される。
【0042】
A.序文
前述したように、現在の従来の免疫モジュレーティング組成物は、広範作用性であり、一般的に、免疫系の全体的な全身のダウンレギュレーションをもたらす。本明細書中に提供される組成物および方法は、列挙された抗原特異的免疫治療薬が反復投与で使用されるときは特に、標的とされたより多くの免疫効果が得られる。反復投与の間の広域の免疫抑制は特に懸念される。なぜなら、それは一般に、反復投与された従来の免疫モジュレーティング組成物を受ける被験体に対し重大な有害事象につながり得る長期的な免疫抑制をもたらすであろうからである。その代わりに、本発明者らは、反復投与の間に長期的または広域の免疫抑制をもたらさない抗原特異的免疫モジュレート組成物および方法を提供することが可能であることを発見した。
【0043】
本発明者らは、予期せずに、驚くべきことに、問題および上記の制限は、本明細書に開示された発明を実施することによって克服され得ることを見出した。特に、本発明者らは、予想外に、それを反復して被験体における免疫抑制をもたらさない抗原特異的免疫治療薬を投与するためのプロトコルを決定することを含む方法を提供することが可能であることを見出した。プロトコルの1または2以上の要素を使用して反復して、別の被験体への抗原特異的免疫治療薬を投与することを含む。追加的に、本発明者らは、予想外に、被検体に抗原または免疫モジュレーターを含む抗原特異的免疫治療薬を反復して投与することを含む方法を提供することが可能であることを見出し、ここで、抗原または免疫モジュレーターは、抗原または免疫モジュレーターの反復投与時に免疫抑制を誘導しないプロトコルの1または2以上の要素に従って反復して投与される。いくつかの態様において、プロトコルは、過去に被験体において免疫抑制を誘導しないことが示されてきたものである。さらに、本発明者らは、予想外に、外因性抗原または反復投与時に免疫抑制を誘導しない量の外因性免疫モジュレーターを含む抗原特異的免疫治療薬を含有する組成物を提供することが可能であることを見出した。いくつかの態様において、量は、被験体における反復投与時に免疫抑制を誘導しないと、プロトコルで過去に実証されてきたものである。
【0044】
抗原特異的免疫治療薬の異なる種類、外因性および内因性の抗原の異なる種類、および外因性および内因性の免疫モジュレーターの別の種類を包含する、様々なさらなる態様および本発明の側面は、本明細書、例えば、例に開示される。
【0045】
ここで、以下に本発明をより詳細に説明する。
【0046】
B.定義
「投与すること」または「投与」または「投与する」は、薬理学的に有用なやり方で被験体へ材料を提供することを意味する。該用語は、いくつかの態様において投与させること(Causing to be administered)を包含することが意図される。「投与させること」とは、他の当事者に材料を投与するよう直接的または間接的に、させること、促すこと、奨励すること、援助すること、誘導すること、または、指示することを意味する。
【0047】
組成物、剤形または被験体への投与のための方法との関連において、「反復投与の際に免疫抑制を誘導しないことがプロトコルにおいて過去に実証された量」は、免疫抑制を誘導しないことが過去に示された実証プロトコルに従って投与されたとき、反復投与の際に免疫抑制を誘導しない抗原または免疫モジュレーターの量を指す。
【0048】
有効量は当然、医療従事者の知識と経験の範囲内で、処置されている具体的な被験体;状態、疾患または障害の重篤性;年齢、体調、サイズおよび体重を包含する個々の患者パラメータ;処置の持続期間;(存在する場合)併用治療の特質;投与の具体的な経路および同種の因子に依存するであろう。これらの因子は当業者には周知であり、ルーチンな実験法程度のことで対処され得る。一般に好ましくは、最大用量、すなわち、健全な医療的判断に従う最も高い安全な用量を使用することである。しかしながら、患者はより少ない用量、または耐容用量を、医療的理由、心理学的理由または事実上あらゆる他の理由で要求してもよいということは、当業者には理解されよう。
【0049】
特定の態様において、本発明の組成物における免疫モジュレーターおよび/または抗原の投与量または量は、約10μg/kg~約100,000μg/kgの範囲であり得る。いくつかの態様において、用量は、約0.1mg/kg~約100mg/kgの範囲であり得る。さらに他の態様において、用量は、約0.1mg/kg~約25mg/kg、約25mg/kg~約50mg/kg、約50mg/kg~約75mg/kgまたは約75mg/kg~約100mg/kgの範囲であり得る。代替的には、用量または量は、免疫モジュレーターおよび/または抗原の所望の量を提供する合成ナノ担体の数に基づいて投与され得る。例えば、有用な用量または量は、10、10、10、10または1010を超える合成ナノ担体(用量あたり)を包含する。有用な用量または量の他の例は、約1×10~約1×1010、約1×10~約1×10または約1×10~約1×10の合成ナノ担体(用量あたり)を包含する。
【0050】
「抗原」は、B細胞抗原またはT細胞抗原を意味する。「抗原のタイプ(単数または複数)」は、同じかまたは実質的に同じ抗原的特徴を共有する分子を意味する。いくつかの態様において、抗原は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、リポタンパク質、糖脂質、ポリヌクレオチド、多糖であってもよいか、または、細胞中に含有されるかまたは発現される。抗原が十分に定義または特徴付けされていないときなどのいくつかの態様において、抗原は、細胞または組織製造物、細胞片、細胞エキソソーム、ならし培地等に含有されてもよい。
【0051】
「抗原特異的」は、抗原またはその一部分の存在によりもたらされるか、または、抗原を特異的に認識または結合する分子を発生させる、いずれかの免疫応答をいう。例えば、免疫応答が抗原特異的抗体産生である場合、抗原に特異的に結合する抗体が生成される。別の例として、免疫応答が、抗原特異的B細胞またはCD4+T細胞、またはCD8+T細胞の活性化、増殖および/または活性である場合、その活性化、増殖および/または活性は、抗原またはその一部分の、単独での、または、MHC分子、B細胞等と複合しての認識によりもたらされる。
【0052】
「抗原特異的治療薬」とは、目的の抗原に対する被験体の免疫応答の寛容原性作用を有することが可能な治療薬を意味する。抗原特異的治療薬は、抗原または免疫モジュレーターを含み得る。特定の態様では、抗原特異的免疫治療薬は、抗原および免疫モジュレーターの両方を含み得、ここで、抗原は免疫モジュレーターと連結または切り離される。特定の態様において、抗原特異的免疫治療薬は、抗原と相互に連結されていない免疫モジュレーターを含み得、抗原および免疫モジュレーターを同時に反復して投与されている。かかる態様において、抗原および免疫モジュレーターは、同じ組成物または別個の組成物として投与されてもよく、それは、抗原特異的免疫治療薬を構成する抗原または免疫モジュレーターを含む組成物の全体である。ある態様において、抗原(すなわち、外因性抗原)および/または免疫モジュレーター(すなわち、外因性免疫モジュレーター)を含む抗原特異的免疫治療薬は、それぞれ、内因性免疫モジュレーターおよび/または内因性抗原と相互に作用してもよく、好ましくは、抗原特異的寛容をもたらし得る免疫応答をもたらすか、または、それにつながる。
【0053】
「抗原特異的免疫治療効果」は、目的の抗原(Agi)に対して、AgiのIgG力価(EC50として報告)が、陽性対照のレベルから、同じAgi投薬で、少なくとも50%低い力価(EC50として報告)まで変化することを意味する。一般に、J. R. Crowther, “ELISA: Theory and Practice”(1995 Humana Press)を参照。
【0054】
「平均」は、本明細書で使用するとき、特に注記しない限り算術平均値をいう。
【0055】
「B細胞抗原」は、B細胞によって認識され、それにおいて免疫応答を誘発する抗原を意味する(例えば、B細胞またはその上の受容体によって特異的に認識される抗原)。いくつかの態様において、T細胞抗原である抗原はまた、B細胞抗原である。他の態様において、T細胞抗原はまた、B細胞抗原ではない。B細胞抗原は、限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、などを包含する。いくつかの態様において、B細胞抗原は、非タンパク質抗原(すなわち、タンパク質抗原でも、ペプチド抗原でもない)を含む。
【0056】
「引き起こす」とは、直接的または間接的に(例えば、第三者を介して)起こった動作を行うことを意味する。ある態様において、本発明は、抗原特異的治療薬を反復してプロトコルの1または2以上の要素を使用して別の被験体に投与させることを含む。
【0057】
「組み合わせ」は、2つまたは3つ以上の材料および/または剤(本明細書において構成成分とも言う)に適用するとき、その2つまたは3つ以上の材料/剤が関連されている材料を定義することが意図される。構成成分は、例えば第1構成成分、第2構成成分、第3構成成分等、別個に識別されてもよい。本文脈における用語「組み合わされた」および「組み合わせること」はこれに従い解釈されるものとする。
【0058】
組み合わせにおける2つまたは3つ以上の材料/剤の関連は、物理的であっても、非物理的であってもよい。物理的に関連された材料/剤の例は、以下を包含する:
・2つまたは3つ以上の材料/剤を混和物中に(例えば同じ単位用量内に)含む組成物(例えば単位製剤);
・2つまたは3つ以上の材料/剤が化学的/物理化学的に結び付けられた(例えば架橋、分子凝集または共通のビヒクル部位への結合)、材料を含む組成物;
・2つまたは3つ以上の材料/剤が化学的/物理化学的に共パッケージ化された(co-packaged)(例えば、脂質ベシクル、粒子(例えばマイクロまたはナノ粒子)または乳化液滴の上または内に配置された)、材料を含む組成物;
・2つまたは3つ以上の材料/剤が共パッケージ化また一括提供された(co-presented)(例えば、一連の単位用量の一部として)、医薬キット、医薬パックまたは患者用パック。
【0059】
非物理的に関連され組み合わされた材料/剤の例は、以下を包含する:
・2つまたは3つ以上の材料/剤の少なくとも1つを、その2つまたは3つ以上の材料/剤の物理的関連を形成するための、その少なくとも1つの化合物/剤の即席の関連のための使用説明書と一緒に含む、材料(例えば単位製剤);
・2つまたは3つ以上の材料/剤の少なくとも1つを、その2つまたは3つ以上の材料/剤による組み合わせ治療のための使用説明書と一緒に含む、材料(例えば単位製剤);
・2つまたは3つ以上の材料/剤の少なくとも1つを、その2つまたは3つ以上の材料/剤の他のもの(単数または複数)が投与された(または投与されている)患者集団に投与するための使用説明書と一緒に含む、材料;
・2つまたは3つ以上の材料/剤の少なくとも1つを、その2つまたは3つ以上の材料/剤の他のもの(単数または複数)と組み合わせて使用するように具体的に適合された量または形態で含む、材料。
【0060】
本明細書で使用するとき、用語「組み合わせ治療」は、2つまたは3つ以上の材料/剤の組み合わせ(上記で定義)の使用を含む治療を定義することが意図される。ゆえに、本出願における「組み合わせ治療」、「組み合わせ」および材料/剤の「組み合わせた」使用は、同じ全体的な処置レジメンの一部として投与される材料/剤と言及してもよい。したがって、2つまたは3つ以上の材料/剤の各々の薬量法は異なっていてもよく、各々は同時に投与されてもよいし、異なる時刻に投与されてもよい。それゆえ、組み合わせの材料/剤は、逐次に(例えば、前または後に)または同時に、同じ医薬製剤において(すなわち一緒に)または異なる医薬製剤において(すなわち別個に)のいずれかで、投与されてもよいことが分かるであろう。同じ製剤において同時にとは、統一化製剤としてということであり、一方、異なる医薬製剤において同時には非統一化ということである。組み合わせ治療における2つまたは3つ以上の材料/剤の各々の薬量学はまた、投与経路に関しても異なっていてもよい。
【0061】
「併用(して)」は、2つまたは3つ以上の材料/剤を、時間的に相関された、好ましくは免疫応答におけるモジュレーションを提供するように時間的に充分に相関された、さらにより好ましくはその2つまたは3つ以上の材料/剤が組み合わせて投与される、やり方で、被験体に投与することを意味する。ある態様において、併用投与は、明記された期間内、好ましくは1ヶ月以内、より好ましくは1週間以内、なおより好ましくは1日以内、さらにより好ましくは1時間以内の、2つまたは3つ以上の材料/薬剤の投与を網羅してもよい。ある態様において、材料/剤は反復して併用投与されてよく、すなわち、併用投与などの、1回よりも多い機会における併用投与であってもよい。
【0062】
「連結(単数)」または「連結された」または「連結(複数)」(など)、化学的に相互に(例えば部位)は、1つの実体を関連付けることを意味する。いくつかの態様において、連結は共有結合であり、連結が、2つの実体間の共有結合の存在の関連で起こることを意味する。非共有結合態様において、非共有連結は、以下に限定されないが、電荷相互作用、親和性相互作用、金属配位、物理吸着、ホスト-ゲスト相互作用、疎水性相互作用、TTスタッキング相互作用、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、磁気相互作用、静電相互作用、双極子-双極子相互作用、および/またはそれらの組み合わせを含む、非共有結合性相互作用によって媒介される。ある態様において、カプセル化は、連結の形態である。
【0063】
「決定すること(determining)」または「決定する(determine)」または「実証する(demonstrating)」または「実証する(demonstrate)」は事実上の関係を把握することを意味する。これらの用語は、1または2以上の入力、例えば、プロトコルまたはプロトコル全体の要素と、1または2以上の出力、例えば、存在または免疫抑制の欠如、または抗原特異的寛容の達成との間の接続を確立することを意味する。ある態様において、本発明は、反復して抗原特異的治療薬を投与するためのプロトコルの1または2以上の要素が、被験体における免疫抑制をもたらさないことを決定することを包含する。
【0064】
決定などは、以下に限定されないが、実験を行う、または予測をすることを含むいくつかの方法で遂行されてもよい。例えば、免疫モジュレーターの投与量などのプロトコルの1または2以上の要素は、試験投与などの試験プロトコルの1または2以上の要素から始めること、および、投与のための用量などのプロトコルを決定する既知のスケーリング技術(アロメトリックまたはアイソメトリックスケーリングなど)を使用することによって決定されてもよい。別の実施形態において、用量などのプロトコルの1または2以上の要素は、例えば、経験およびガイドデータに基づく直接の実験を通して、被験体における様々な用量などの1または2以上の要素の変形形態をテストすることによって決定されてもよい。ある態様において、「決定」または「決定する」または「実証」または「実証する」は、「決定させる」または「実証させる」を含む。「決定させること」または「実証させること」は、実体に事実関係を確かめるように、させること、促すこと、奨励すること、援助すること、誘導することまたは指示すること、または、その実体と協力して行動することを意味し、直接もしくは間接的に、または明示的にもしくは黙示的に、を包含する。
【0065】
「剤形」は、被験体への投与に好適な媒体、担体、ビヒクルまたはデバイス中の薬理学的におよび/または免疫学的に活性な材料を意味する。本明細書で提供される組成物または用量のいずれか1つは、剤形中にあってもよい。
【0066】
「カプセル化する」は、合成ナノ担体内の物質の少なくとも一部分を封入することを意味する。いくつかの態様において、物質は合成ナノ担体内に完全に封入される。他の態様において、カプセル化される物質の大部分または全てが、合成ナノ担体の外部の局所環境に曝露されない。他の形態において、局所環境に曝露されるのが50%、40%、30%、20%、10%または5%(重量/重量)を超えない。カプセル化は、吸収(吸収は、物質の大部分または全てを合成ナノ担体の表面上に置き、その物質を合成ナノ担体の外部の局所環境に曝した状態にする)とは区別される。
【0067】
「免疫モジュレーター」は、寛容原性効果を有することをAPC(抗原提示細胞)に引き起こす化合物または化合物の組み合わせを意味する。寛容原性効果は一般に、望ましくない抗原特異的免疫応答を減少させ、阻害し、または阻止する、または、所望の抗原特異的な寛容原性免疫応答を促進する、APCによるサイトカインまたは他の因子の生成または発現、または、APCの遺伝子発現プロファイルの変化(例えば、共刺激分子の発現の変化)をいう。いくつかの態様において、免疫モジュレーターは、内因性または外因性であり得る。内因性免疫モジュレーターは、本明細書に提供されるように、反復投与の際に、被験体自身の体によって発生し、外因性抗原を含むものなどの抗原特異的免疫治療薬で抗原特異的寛容につながる免疫応答をもたらし得る免疫モジュレーターを含む。いくつかの態様において、本明細書で提供される外因性抗原を投与されたときに、内因性免疫モジュレーターは、抗原特異的寛容をもたらし得る。内因性免疫モジュレーターの例は、アポトーシス細胞および他のアポトーシスリガンドまたはマーカー、IL-10などの寛容原性サイトカインおよびCD22などの寛容原性応答に関与する細胞表面マーカーを含む。外因性免疫モジュレーターは、抗原特異的免疫治療薬の一部として、またはいくつかの他の治療的介入の一部として投与されるが、被験体自身の体内で発生しない免疫モジュレーターを含む。外因性の免疫モジュレーターの例は、ラパマイシンおよび本明細書に開示される他の免疫モジュレーターを含む。
【0068】
一態様において、免疫モジュレーターは、1または2以上の免疫エフェクター細胞においてAPCに制御性表現型を促進させるものである。例えば制御性表現型は、抗原特異的CD4+T細胞またはB細胞の産生、誘導、刺激または動員の阻害、抗原特異的抗体の産生の阻害、Treg細胞(例えばCD4+CD25highFoxP3+Treg細胞)の生成、誘導、刺激または動員、等により特徴付けられてもよい。これはCD4+T細胞またはB細胞の制御性表現型への転換の結果であってもよい。これはまた、CD8+T細胞、マクロファージおよびiNKT細胞などの他の免疫細胞におけるFoxP3の誘導の結果でもあってもよい。一態様において、免疫モジュレーターは、抗原を処理した後のAPCの応答に影響を与えるものである。別の態様において、免疫モジュレーターは、抗原の処理に干渉するものではない。さらなる態様において、免疫モジュレーターはアポトーシスシグナル分子ではない。別の態様において、免疫モジュレーターはリン脂質ではない。
【0069】
免疫モジュレーターは、以下に限定されないが、スタチン;ラパマイシンまたはラパマイシン類縁体などのmTORインヒビター;TGF-βシグナル剤;TGF-β受容体アゴニスト;トリコスタチンAなどのヒストンデアセチラーゼインヒビター;コルチコステロイド;ロテノンなどのミトコンドリア機能のインヒビター;P38インヒビター;6Bio、デキサメタゾン、TCPA-1、IKK VIIなどのNF-κβインヒビター;アデノシン受容体アゴニスト;ミソプロストールなどのプロスタグランジンE2アゴニスト(PGE2);ロリプラムなどのホスホジエステラーゼ4インヒビター(PDE4)などのホスホジエステラーゼインヒビター;プロテアソームインヒビター;キナーゼインヒビター;Gタンパク質連結受容体アゴニスト;Gタンパク質連結受容体アンタゴニスト;グルココルチコイド;レチノイド;サイトカインインヒビター;サイトカイン受容体インヒビター;サイトカイン受容体アクチベーター;ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体アンタゴニスト;ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体アゴニスト;ヒストンデアセチラーゼインヒビター;カルシニューリンインヒビター;ホスファターゼインヒビター;TGX-221などのPI3KBインヒビター;3-メチルアデニンなどのオートファジーインヒビター;アリールハイドロカーボン受容体インヒビター;プロテアソームインヒビターI(PSI);およびP2X受容体ブロッカーなどの酸化ATPを包含する。免疫モジュレーターはまた、IDO、ビタミンD3、シクロスポリンAなどのシクロスポリン、アリールハイドロカーボン受容体インヒビター、レスベラトロール、アザチオプリン(Aza)、6-メルカプトプリン(6-MP)、6-チオグアニン(6-TG)、FK506、サングリフェリンA、サルメテロール、マイコフェノレートモフェチル(MMF)、アスピリンおよび他のCOXインヒビター、ニフルミン酸、エストリオール;メトトレキサート、および、トリプトリドをも包含する。ある態様において、免疫モジュレーターは本明細書で提供される薬剤のいずれか1つを含んでいてもよい。
【0070】
免疫モジュレーターは、APCに免疫抑制効果を直接提供する化合物であっても、免疫抑制効果を間接的に(すなわち投与後に何らかの方式で処理された後に)提供する化合物であってもよい。したがって、免疫モジュレーターは、本明細書で提供される化合物のいずれかのプロドラッグ形態を包含する。
【0071】
免疫モジュレーターはまた、寛容原性免疫応答をもたらし、本明細書に提供されるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする核酸を包含する。ある態様において、したがって、免疫モジュレーターは、寛容原性免疫応答をもたらすペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする核酸であり、合成ナノ担体に連結されている核酸である。
【0072】
核酸は、mRNAなどのDNAまたはRNAであってもよい。ある態様において、本発明の組成物は、完全長補体などの補体、または本明細書で提供される核酸のいずれかの縮重(遺伝コードの縮重のため)を含む。ある態様において、核酸は、細胞株にトランスフェクトされるときに転写され得る発現ベクターである。ある態様において、発現ベクターは、とりわけ、プラスミドを含んでもよい。核酸は、単離されたまたは標準的な分子生物学的アプローチを用いて、例えば、核酸断片を生成するためにポリメラーゼ連鎖反応を使用して合成され得、次いでこれを精製し、発現ベクターにクローニングする。本発明の実施において有用な追加の技術は、Current Protocols in Molecular Biology 2007 by John Wiley and Sons, Inc.;Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Third Edition) Joseph Sambrook, Peter MacCallum Cancer Institute, Melbourne, Australia; David Russell, University of Texas Southwestern Medical Center, Dallas, Cold Spring Harborに見出されてもよい。
【0073】
ある態様において、本明細書で提供される免疫モジュレーターは、合成ナノ担体に連結されている。好ましい態様において、免疫モジュレーターは、合成ナノ担体の構造を構成する材料に追加された要素である。例えば、合成ナノ担体が1または2以上のポリマーで構成されている一態様において、免疫モジュレーターは、1または2以上のポリマーに追加されて連結された化合物である。別の例として、合成ナノ担体が1または2以上の脂質で構成されている一態様において、免疫モジュレーターはやはり、1または2以上の脂質に追加されて連結された化合物である。合成ナノ担体の材料がまた、免疫抑制効果をももたらす場合などのある態様において、免疫モジュレーターは、免疫抑制効果をもたらす合成ナノ担体の材料に追加されて存在する要素である。
【0074】
他の例示的な免疫モジュレーターは、低分子薬物、天然製品、抗体(例えばCD20、CD3、CD4に対する抗体)、生物製剤系薬物、炭水化物系薬物、ナノ粒子、リポソーム、RNAi、アンチセンス核酸、アプタマー、メトトレキサート、NSAID;フィンゴリモド;ナタリズマブ;アレムツズマブ;抗CD3;タクロリムス(FK506)等を包含するが、これらに限定されない。さらなる免疫モジュレーターは当業者に知られており、本発明はこの点において限定されない。
【0075】
本明細書で提供される方法、または組成物のいずれか1つのある態様において、免疫抑制剤はナノ結晶性形態などの形態にあり、それにより免疫抑制剤自体の形態は粒子または粒子様である。ある態様において、こうした形態はウイルスまたは他の外来病原体を模擬している。多くの薬物はナノ化されており、こうした薬物の形態を生じさせるための適切な方法は当業者に知られているであろう。ナノ結晶性ラパマイシンなどの薬物ナノ結晶は当業者に知られている(Katteboinaa, et al. 2009, International Journal of PharmTech Resesarch; Vol. 1, No. 3; pp682-694)。本明細書で使用するとき、「薬物ナノ結晶」は、担体またはマトリックス材料を包含しない、薬物(例えば免疫抑制剤)の形態をいう。いくつかの態様において、薬物ナノ結晶は、90%、95%、98%または99%、または、それ以上の薬物を包含する。薬物ナノ結晶の生成方法は、限定されないが、摩砕(milling)、高圧均質化、沈殿、噴霧乾燥、超臨界溶体急速膨張(RESS)、Nanoedge(登録商標)技術(Baxter Healthcare)およびNanocrystal Technology(商標)(Elan Corporation)を包含する。いくつかの態様において、薬物ナノ結晶の立体または静電安定性のために、界面活性物質または安定剤が使用されてもよい。いくつかの態様において、免疫モジュレーターのナノ結晶またはナノ結晶性形態は、免疫モジュレーター、特に不溶性のまたは不安定な(labile)免疫モジュレーターの溶解性、安定性および/または生物学的利用能を増大させるために使用されてもよい。
【0076】
「免疫抑制」は、(1)抗原特異的免疫治療薬の反復投与の結果として、免疫応答の永続的でない統計的に有意なダウンレギュレーション、または、(2)KLHが目的の抗原ではないと仮定すると、抗原特異的免疫治療薬の少なくとも1回の反復投与の後に、KLHチャレンジT細胞依存性抗体応答ELISAアッセイに対する非ヒト被験体の応答を意味し、ここで、応答は、KLH IgG力価(EC50として報告される)が、同じKLH投薬で、陽性対照のレベルから、陰性対照(「バックグラウンド」)の平均値より上の3倍の標準偏差に相当、または、それを下回る力価(EC50として報告される)への変化として特徴付けられる。一般に、J. R. Crowther, “ELISA: Theory and Practice”(1995 Humana Press)を参照。好ましい態様において、永続的でない統計的に有意なダウンレギュレーションは、ダウンレギュレーション(非処置群に対して測定された処置群)が、抗原特異的免疫治療薬の最後の反復投与から1週間よりも長い間、統計的に有意な差となる証拠がないこと、を意味する。様々な本発明の組成物、方法、プロトコルおよび投与量形態は、免疫抑制をもたらしも、誘発もしない。
【0077】
KLHチャレンジELISAアッセイは、文献において、例えば、J.T. Brisbin et al., Influence of In-Feed Virginiamycin on the Systemic and Mucosal Antibody Response of Chickens, Poultry Science 87:1995-1999 (2008)において、一般に記載されているか;または、例えばStellar Biotechnologies(332 East Scott Street, Port Hueneme, California 93041 USA)から商品ELI-01G Mouse Anti-KLH IgG ELISA KitまたはELI-03G NHP Anti-KLH IgG ELISA Kitとして、商業的に得られてもよい。
【0078】
抗KLH抗体力価を測定するためのELISA法、例えば、典型的なサンドイッチELISAは、以下のステップからなってもよい(i)目的の抗体の標的が基質ポリマーまたは他の好適な材料に連結されるように、ELISAプレートのコーティング材料を製造する(ii)水溶液中のコーティング材料(PBSなど)を製造し、マルチウェルプレート上にコーティングを一晩析出させるために、マルチウェルプレートのウェルにコーティング材料の溶液を送達する(iii)徹底的に洗浄緩衝液(PBS中の0.05%Tween-20など)でマルチウェルプレートを洗浄し、過剰なコーティング材料を除去する(iv)希釈液(PBS中の10%ウシ胎児血清など)を適用することによって非特異的結合のためにプレートをブロックする(v)洗浄緩衝液でプレートのブロッキング/希釈液を洗浄する(vi)必要に応じて希釈剤で、抗体および適切な標準(正の対照)を含有する血清サンプル(複数可)を希釈し、好適にELISA反応を飽和させる濃度を得る(vii)直列ELISA応答曲線を発生させるのに好適な濃度の範囲をカバーするようにマルチウェルプレート上で血漿サンプルを希釈する(viii)プレートをインキュベートして、抗体結合のターゲットを提供する(ix)洗浄緩衝液でプレートを洗浄して抗原に結合しない抗体を除去する(x)一次抗体に結合することが可能なビオチン連結検出抗体などの、同じ希釈液中適切な濃度の二次検出抗体を添加する(xi)適用される検出抗体でプレートをインキュベートし、その後、洗浄緩衝液で洗浄する(xii)ビオチン化抗体で見出されたビオチンに結合するストレプトアビジンHRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)などの酵素を添加し、インキュベーションする(xiii)マルチウェルプレートを洗浄する(xiv)プレートへ基質(複数可)(TMB溶液など)を添加する(xv)発色現像が完了したときに停止溶液(2N硫酸など)を適用する(xvi)基質のための特定の波長でプレートのウェルの光学密度を読み取る(570nmでの測定値の減算で450nm)(xvi)データへ好適なマルチパラメータ曲線フィットを適用し、プレート規格の半最大OD値が達成される曲線上の濃度などの半最大有効濃度(EC50)を定義する。
【0079】
「積載量」は、外因性免疫モジュレーター組成物(重量/重量)の免疫モジュレーターの量である。例えば、合成ナノ担体に結合したとき、積載量は全体の合成ナノ担体(重量/重量)で材料の総乾燥処方重量に基づいている。一般に、かかる積載量は、合成ナノ担体の集団にわたる平均として算出される。一態様において、積載量は、合成ナノ担体にわたって平均して、0.1%と99%との間である。別の態様において、積載量は、0.1%と50%との間である。別の態様において、免疫モジュレーターの積載量は、0.1%と20%との間である。別の態様において、免疫モジュレーターの積載量は、合成ナノ担体の集団にわたって平均して、25%を超えない。ある態様において、積載量は例に記載されてもよいか、またはそうでなければ、当該分野において知られているように、算出される。
【0080】
別の例として、免疫モジュレーターの形態が、ナノ結晶性免疫モジュレーターなどの、それ自体粒子または粒子様であるとき、免疫モジュレーターの積載量は粒子等における免疫モジュレーターの量(重量/重量)である。かかる態様において、積載量は90%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上に届き得る。
【0081】
「合成ナノ担体の最大寸法」は、合成ナノ担体のいずれかの軸に沿って測定されたナノ担体の最も長い寸法を意味する。「合成ナノ担体の最小寸法」は、合成ナノ担体のいずれかの軸に沿って測定された合成ナノ担体の最も小さい寸法を意味する。例えば、回転楕円状合成ナノ担体において、合成ナノ担体の最大および最小寸法は、実質的に同一であって、その径のサイズとなるであろう。同様に立方体様の合成ナノ担体において、合成ナノ担体の最小寸法は、その高さ、幅または長さのうち最小のものとなり、一方合成ナノ担体の最大寸法は、その高さ、幅または長さのうち最大のものとなろう。一態様において、サンプル中の合成ナノ担体の総数に基づいてサンプル中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、100nm以上である。一態様において、サンプル中の合成ナノ担体の総数に基づいてサンプル中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法は、5μm以下である。好ましくは、サンプル中の合成ナノ担体の総数に基づいてサンプル中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、110nmよりも大きく、より好ましくは120nmよりも大きく、より好ましくは130nmよりも大きく、より好ましくは150nmよりもなお大きい。本発明の合成ナノ担体の最大寸法と最小寸法とのアスペクト比は、態様によって変えてもよい。例えば、合成ナノ担体の最大寸法の最小寸法に対するアスペクト比は、1:1~1,000,000:1、好ましくは1:1~100,000:1、より好ましくは1:1~10,000:1、より好ましくは1:1~1000:1、なおより好ましくは1:1~100:1、さらにより好ましくは1:1~10:1で変えてもよい。好ましくは、サンプル中の合成ナノ担体の総数に基づいてサンプル中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法は、3μm以下、より好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、より好ましくは800nm以下、より好ましくは600nm以下、なおより好ましくは500nm以下である。好ましい態様において、サンプル中の合成ナノ担体の総数に基づいてサンプル中の合成ナノ担体の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、100nm以上、より好ましくは120nm以上、より好ましくは130nm以上、より好ましくは140nm以上、なおより好ましくは150nm以上である。合成ナノ担体寸法(例えば有効寸法)の測定は、いくつかの態様において、合成ナノ担体を液体(通常は水性)媒体中に懸濁し、動的光散乱(DLS)を使用する(例えばBrookhaven ZetaPALS機器を使用する)ことによって、得てもよい。例えば、合成ナノ担体の懸濁液は、水性緩衝剤から純水中に希釈されておよそ0.01~0.1mg/mLの最終合成ナノ担体懸濁濃度を達成し得る。希釈懸濁液は、DLS分析のために好適なキュベットの内部で直接調製されても、またはそれに移してもよい。次いでキュベットをDLS中に置き、制御された温度に平衡化し、次いで充分な時間スキャンして、媒体の粘度およびサンプルの屈折率に関する適切な入力に基づき、安定で再現可能な分布を獲得してもよい。次いで有効径または分布の平均値を報告する。高アスペクト比または非回転楕円状の合成ナノ担体の有効サイズの決定は、より正確な測定を得るために電子顕微鏡などの拡大技術(augmentative techniques)を要してもよい。合成ナノ担体の「寸法」または「サイズ」または「径」は、例えば動的光散乱を使用して得られる、粒子サイズ分布の平均値を意味する。
【0082】
「薬学的に許容し得る賦形剤」または「薬学的に許容し得る担体」は、組成物を処方するために薬理学的に活性な材料と一緒に使用される薬理学的に不活性な材料を意味する。薬学的に許容し得る賦形剤は、糖(例えばグルコース、ラクトース等)、抗菌剤などの保存剤、再構成助剤、着色剤、食塩水(リン酸緩衝化食塩水等)および緩衝剤を包含するが、これらに限定されない、当該分野において知られている種々の材料を含む。
【0083】
「プロトコル」は、被験体に、抗原特異的免疫療法薬を反復して投与するパターンを意味する。プロトコルは要素で構成され;ゆえにプロトコルは1または2以上の要素を含む。プロトコルのかかる要素は、投薬量、投薬頻度、投与経路、投薬期間、投薬速度、投薬の間隔、上記のいずれかの組み合わせ、等を含み得る。いくつかの態様において、かかるプロトコルは、本発明の1または2以上の組成物を1または2以上の試験被験体に投与するために使用されてもよい。これらの試験被験体における免疫応答は次いで、望ましい、または望ましいレベルの免疫学的効果を発生させることにおいて、そのプロトコルが有効か否かを決定するために査定され得る。プロトコルの要素の1または2以上が、非ヒト被験体などの試験被験体において予め実証された後、ヒトプロトコルに移行されてもよい。例えば、非ヒト被験体において実証された投薬量を、アロメトリックスケーリングまたは他のスケーリング方法などの確立された技術を使用してヒトプロトコルの要素としてスケーリングされ得る。プロトコルが望ましい効果を有していたか否かは、本明細書で提供されるか、または、その他の当該分野において知られている方法のうちのいずれかを使用して決定され得る。例えば、細胞の集団は、具体的な免疫細胞、サイトカイン、抗体、等が低減されたか、発生されたか、活性化されたか否か、等を決定するために、本明細書で提供される列挙された組成物および/または抗原特異的免疫治療薬が具体的なプロトコルに従って反復して投与された被験体から得てもよい。免疫細胞の存在および/または数を検出するための有用な方法としては、フローサイトメトリー法(例えばFACS)、および免疫組織化学法を包含するが、これらに限定されない。免疫細胞マーカーの特異的染色のための抗体および他の結合剤は市販されている。かかるキットは典型的に、細胞の不均質な集団からの望ましい細胞集団のFACSに基づく検出、分離および/または定量を可能にする、複数の抗原のための染色試薬を包含する。ある態様において、本明細書で提供される抗原特異的免疫治療薬は、プロトコルを含む要素の全てまたは実質的に全てを使用して別の被験体に反復して投与される。
【0084】
「反復投与時に免疫抑制を誘導しないことが過去に示されたプロトコル」とは、1または2以上のかかるプロトコル(完全なプロトコルまでを含む)の要素が、反復投与の少なくとも1時点の間、好ましくは、全体の間、免疫抑制をもたらさないこと前回に実証されたプロトコルを意味する。
【0085】
「提供すること」は、本発明を実行するために必要とされる物品もしくは物品のセットまたは方法を供給する、個人が行う行動または行動のセットを意味する。行動または行動のセットは、自身で直接的または間接的に取られてもよい。
【0086】
「被験体を提供する」とは、臨床医に被験体と接触させて本明細書で提供される組成物をその被験体に投与させるか、または、本明細書で提供される方法をその被験体において行わせる、いずれかの行動または行動のセットである。好ましくは、被験体は、本明細書中に提供される寛容原性免疫応答を必要とするものである。行動または行動のセットは、自身で直接的または間接的に取られてもよい。本明細書で提供される方法のいずれか1つの一態様において、方法はさらに被験体を提供することを含む。
【0087】
「反復投与」または「反複して投与」または「反複して投与すること」などは、過去に確立された免疫寛容の持続性をブーストまたは伸ばすことを意味する。これらの態様は一般に、確立された許容誤差が減少または減少のリスクがあるとき、1回の投与または1回での治療の短期コースを含み得る。反復投与は、次回の用量または抗原特異的免疫治療薬の初回用量の投与後に投与される抗原特異的治療薬の用量で開始される。投与される最初の抗原特異的免疫治療薬は、反復投与の間に投与された抗原特異的免疫治療薬と(組成物、投薬などの点で)同一または異なっていてもよい。ブーストすることは、一般に、抗原特異的免疫治療薬の初回投与または過去の反復投与の2週間~1年後、好ましくは1~6ヶ月後に行われる。本発明はまた、週に2回、毎週、隔週または任意の他の定期的なスケジュールで行われる、投与スケジュールを含む態様を包含する。
【0088】
「被験体」は、ヒトおよび霊長類などの温血動物;トリ;ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマおよびブタなどのペットまたは家畜;マウス、ラットおよびモルモットなどの実験動物;魚;爬虫類;動物園および野生動物;等を包含する動物を意味する。
【0089】
「合成ナノ担体(単数または複数)」は、自然界には見出されず、サイズにおいて5ミクロン以下の少なくとも1つの寸法を所有する離散性の物体を意味する。アルブミンナノ粒子は一般に、合成ナノ担体として包含されるが、特定の態様において、合成ナノ担体はアルブミンナノ粒子を含まない。ある態様において、本発明の合成ナノ担体はキトサンを含まない。他の態様において、本発明の合成ナノ担体は脂質系ナノ粒子ではない。さらなる態様において、本発明の合成ナノ担体はリン脂質を含まない。
【0090】
合成ナノ担体は、以下に限定されないが、1つまたは複数の脂質系ナノ粒子(本明細書において脂質ナノ粒子ともいわれ、すなわちその構造を構成する材料の大部分が脂質であるナノ粒子)、ポリマーナノ粒子、金属ナノ粒子、界面活性物質系エマルション、デンドリマー、バッキーボール、ナノワイヤ、ウイルス様粒子(すなわち、主にウイルス構造タンパク質で構成されるが、感染性ではなくまたは感染性が低い粒子)、ペプチドまたはタンパク質系粒子(本明細書においてタンパク質粒子ともいわれ、すなわち、その構造を構成する材料の大部分がペプチドまたはタンパク質である粒子)(アルブミンナノ粒子など)および/または脂質ポリマーナノ粒子などのナノ材料の組み合わせを使用して開発されたナノ粒子であり得る。合成ナノ担体は、回転楕円状、立方体様、ピラミッド状、楕円状、円筒状、ドーナツ状等を包含するが、これらに限定されない種々の異なる形状であってもよい。本発明に従う合成ナノ担体は1または2以上の表面を含む。本発明の実行に使用するように適合され得る例示的な合成ナノ担体は、(1)米国特許第5,543,158号(Gref et al.)に開示された生分解性ナノ粒子、(2)公開された米国特許出願第20060002852号(Saltzman et al.)のポリマーナノ粒子、(3)公開された米国特許出願第20090028910号(DeSimone et al.)のリソグラフィーにより構築したナノ粒子、(4)国際出願公開第2009/051837号(von Andrian et al.)の開示、(5)公開された米国特許出願第2008/0145441号(Penades et al.)に開示されたナノ粒子、(6)公開された米国特許出願第20090226525号(de los Rios et al.)に開示されたタンパク質ナノ粒子、(7)公開された米国特許出願第20060222652号(Sebbel et al.)に開示されたウイルス様粒子、(8)公開された米国特許出願第20060251677号(Bachmann et al.)に開示された核酸連結ウイルス様粒子、(9)国際公開第2010047839A1号または同第2009106999A2号に開示されたウイルス様粒子、(10)P. Paolicelli et al., Surface-modified PLGA-based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus-like Particles, Nanomedicine. 5(6): 843-853(2010)に開示されたナノ沈殿ナノ粒子、(11)米国特許公開第2002/0086049号に開示されたアポトーシス細胞、アポトーシス体、または、合成または半合成模倣物、または(12)Look et al., Nanogel-based delivery of mycophenolic acid ameliorates systemic lupus erythematosus in mice, J. Clinical Investigation 123(4): 1741-1749 (2013)に開示されたものを含む。ある態様において、合成ナノ担体は、1:1、1:1.2、1:1.5、1:2、1:3、1:5、1:7、または1:10よりも大きなアスペクト比を所有してもよい。
【0091】
約100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有する本発明に従う合成ナノ担体は、補体を活性化するヒドロキシル基を有する表面を含まないか、または代替的に補体を活性化するヒドロキシル基ではない部位から本質的になる表面を含む。好ましい態様において、約100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有する本発明に従う合成ナノ担体は、補体を実質的に活性化する表面を含まないか、または代替的に補体を実質的に活性化しない部位から本質的になる表面を含む。より好ましい態様において、約100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有する本発明に従う、合成ナノ担体は、補体を活性化する表面を含まないか、または代替的に補体を活性化しない部位から本質的になる表面を含む。ある態様において、合成ナノ担体は、ウイルス様粒子を排除する。ある態様において、合成ナノ担体は1:1、1:1.2、1:1.5、1:2、1:3、1:5、1:7、または1:10よりも大きなアスペクト比を所有してもよい。
【0092】
「T細胞抗原」は、CD4+T細胞抗原またはCD8+細胞抗原を意味する。「CD4+T細胞抗原」は、CD4+T細胞によって認識され、CD4+T細胞において免疫応答を引き起こす任意の抗原、例えば、クラスII主要組織適合遺伝子複合体分子(MHC)に結合した抗原またはその一部の提示を介してCD4+T細胞上のT細胞受容体によって特異的に認識される抗原を意味する。「CD8+T細胞抗原」は、CD8+T細胞によって認識され、CD8+T細胞において免疫応答を引き起こす任意の抗原、例えば、クラスI主要組織適合遺伝子複合体分子(MHC)に結合した抗原またはその一部の提示を介してCD8+T細胞上のT細胞受容体によって特異的に認識される抗原を意味する。いくつかの態様において、T細胞抗原である抗原はまた、B細胞抗原である。他の態様において、T細胞抗原はまた、B細胞抗原ではない。T細胞抗原は、一般にタンパク質またはペプチドである。
【0093】
「治療用タンパク質」は、被験体に投与されて治療効果を有してもよい、いずれかのタンパク質またはタンパク質に基づく治療を意味する。かかる治療は、タンパク質補充治療およびタンパク質補強治療を包含する。かかる療法はまた、外因性または外来性のタンパク質の投与、抗体治療および細胞または細胞に基づく治療も包含する。治療用タンパク質は、酵素、酵素補助因子、ホルモン、血液凝固因子、サイトカイン、成長因子、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を包含する。他の治療用タンパク質の例は本明細書中で別記する。治療用タンパク質は、細胞中で、細胞上で、または細胞によって、生成されてもよく、かかる細胞から得られるか、または、かかる細胞の形態で投与されてもよい。ある態様において、治療用タンパク質は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、細菌細胞、植物細胞、トランスジェニック動物細胞、トランスジェニック植物細胞、等中で、これらの細胞上で、またはこれらの細胞によって生成される。治療用タンパク質は、かかる細胞中で遺伝子組換えにより生成されてもよい。治療用タンパク質はまた、または、トランスフェクトされ、形質導入され、または他の方法でそれを発現させるように操作された自己細胞によって、生成されてもよい。代替的には、治療用タンパク質は、核酸として、またはリポソームなどの中に核酸を導入することによって投与されてもよい。代替的には、治療用タンパク質は、かかる形態から得られ、治療用タンパク質自体として投与されてもよい。被験体は、そのため、上記のいずれかを投与されている、投与を受けているか、または投与を受けることになる任意の被験体を包含する。
【0094】
「望ましくない免疫応答」は、抗原への曝露によりもたらされ、本明細書で提供される疾患、障害または状態(またはそれらの徴候)を促進または悪化させるか、または、本明細書で提供される疾患、障害または状態の徴候であるいずれかの望ましくない免疫応答をいう。かかる免疫応答は一般に、被験体の健康に悪影響を有するか、または、被験体の健康に対する悪影響の徴候となる。望ましくない免疫応答は、抗原特異的抗体の産生、抗原特異的B細胞の増殖および/または活性、または、抗原特異的CD4+T細胞の増殖および/または活性を包含する。
【0095】
C.本発明の組成物
抗原特異的免疫治療薬
合成ナノ担体
ある態様において、抗原特異的免疫治療薬は、関連する方法とともに、免疫モジュレーターおよび/または抗原を含む合成ナノ担体組成物を含む。
【0096】
種々多様な合成ナノ担体を本発明により使用し得る。いくつかの態様において、合成ナノ担体は、球状または回転楕円状である。いくつかの態様において、合成ナノ担体は平坦または平板形状である。いくつかの態様において、合成ナノ担体は立方体または立方体状である。いくつかの態様において、合成ナノ担体は卵形または長円である。いくつかの態様において、合成ナノ担体は円筒、円錐またはピラミッドである。
【0097】
いくつかの態様において、各合成ナノ担体が同様の性質を有するようにサイズまたは形状の点で比較的均一である合成ナノ担体の集団を使用することが望ましい。例えば、合成ナノ担体の総数に基づいて少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の合成ナノ担体は、合成ナノ担体の平均径または平均寸法の5%、10%または20%以内に入る最小寸法または最大寸法を有してもよい。
【0098】
合成ナノ担体は、中実または中空であり得、1または2以上の層を含み得る。いくつかの態様において、各層が、他の層(単数または複数)に対して、独自の組成物および独自の性質を有する。例を挙げると、合成ナノ担体は、コアが1つの層(例えばポリマーコア)でありシェルが第2の層(例えば脂質二分子層または脂質単分子層)であるコア/シェル構造を有していてもよい。合成ナノ担体は複数の異なる層を含んでいてもよい。
【0099】
いくつかの態様において、合成ナノ担体は任意で、1または2以上の脂質を含む。いくつかの態様において、合成ナノ担体はリポソームを含んでいてもよい。いくつかの態様において、合成ナノ担体は脂質二分子層を含んでいてもよい。いくつかの態様において、合成ナノ担体は脂質単分子層を含んでいてもよい。いくつかの態様において、合成ナノ担体はミセルを含んでいてもよい。いくつかの態様において、合成ナノ担体は脂質層(例えば、脂質二分子層、脂質単分子層、等)に囲まれたポリマーマトリックスを含むコアを含んでいてもよい。いくつかの態様において、合成ナノ担体は、脂質層(例えば、脂質二分子層、脂質単分子層、等)に囲まれた非ポリマーコア(例えば、金属粒子、量子ドット、セラミック粒子、骨粒子、ウイルス粒子、タンパク質、核酸、炭水化物、等)を含んでいてもよい。
【0100】
他の態様において、合成ナノ担体は金属粒子、量子ドット、セラミック粒子、等を含んでいてもよい。いくつかの態様において、非ポリマー合成ナノ担体は、金属原子(例えば金原子)の凝集体などの非ポリマー構成成分の凝集体である。
【0101】
いくつかの態様において、合成ナノ担体は任意で、1または2以上の両親媒性の実体を含んでいてもよい。いくつかの態様において、両親媒性の実体は安定性が増大されているか、均一性が改善されているか、または、粘度が増大されている合成ナノ担体の生成を促進し得る。いくつかの態様において、両親媒性の実体は、脂質膜(例えば、脂質二分子層、脂質単分子層、等)の内部表面に関連され得る。当該分野において知られている多くの両親媒性の実体は、本発明に従って合成ナノ担体を作ることにおける使用に好適である。かかる両親媒性の実体としては、以下に限定されないが、ホスホグリセリド;ホスファチジルコリン;ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC);ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE);ジオレイルオキシプロピルトリエチルアンモニウム(DOTMA);ジオレオイルホスファチジルコリン;コレステロール;コレステロールエステル;ジアシルグリセロール;ジアシルグリセロールスクシネート;ジホスファチジルグリセロール(DPPG);ヘキサンデカノール;ポリエチレングリコール(PEG)などの脂肪族アルコール;ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル;パルミチン酸またはオレイン酸などの表面活性脂肪酸;脂肪酸;脂肪酸モノグリセリド;脂肪酸ジグリセリド;脂肪酸アミド;ソルビタントリオレエート(Span(登録商標)85)グリココレート;ソルビタンモノラウレート(Span(登録商標)20);ポリソルベート20(Tween(登録商標)20);ポリソルベート60(Tween(登録商標)60);ポリソルベート65(Tween(登録商標)65);ポリソルベート80(Tween(登録商標)80);ポリソルベート85(Tween(登録商標)85);ポリオキシエチレンモノステアレート;サーファクチン;ポロキソマー(poloxomer);ソルビタントリオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル;レシチン;リゾレシチン;ホスファチジルセリン;ホスファチジルイノシトール;スフィンゴミエリン;ホスファチジルエタノールアミン(ケファリン);カルジオリピン;ホスファチジン酸;セレブロシド;ジセチルホスフェート;ジパルミトイルホスファチジルグリセロール;ステアリルアミン;ドデシルアミン;ヘキサデシルアミン;アセチルパルミテート;グリセロールリシノレエート;ヘキサデシルステアレート;イソプロピルミリステート;チロキサポール;ポリ(エチレングリコール)5000-ホスファチジルエタノールアミン;ポリ(エチレングリコール)400-モノステアレート;リン脂質;高い界面活性物質活性を有する合成および/または天然洗剤;デオキシコレート;シクロデキストリン;カオトロピック塩;イオンペア剤;および、これらの組み合わせを包含する。両親媒性実体構成成分は、異なる両親媒性実体の混合物であってもよい。これが界面活性物質活性を有する物質の包括的ではない例示的なリストであるということを当業者は認識するであろう。いずれかの両親媒性実体を、本発明に従って使用される合成ナノ担体の生成に使用されてもよい。
【0102】
いくつかの態様において、合成ナノ担体は任意で、1または2以上の炭水化物を含んでいてもよい。炭水化物は天然または合成であってもよい。炭水化物は誘導天然炭水化物であってもよい。特定の態様において、炭水化物は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、リボース、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、セルビオース、マンノース、キシロース、アラビノース、グルコン酸、ガラクトン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラトサミンおよびノイラミン酸が挙げられるが、これらに限定されない単糖または二糖を含む。特定の態様において、炭水化物は、プルラン、セルロース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシセルロース(HC)、メチルセルロース(MC)、デキストラン、シクロデキストラン、グリコーゲン、ヒドロキシエチルスターチ、カラギーナン、グリコン、アミロース、キトサン、Ν,Ο-カルボキシメチルキトサン、アルギンおよびアルギン酸、デンプン、キチン、イヌリン、こんにゃく、グルコマンナン、プスツラン、ヘパリン、ヒアルロン酸、カードランおよびキサンタンが挙げられるが、これらに限定されない多糖である。ある態様において、本発明の合成ナノ担体は多糖などの炭水化物を含まない(または具体的に排除される)。特定の態様において、炭水化物は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトールおよびラクチトールが挙げられるが、これらに限定されない糖アルコールなどの炭水化物誘導体を含んでいてもよい。
【0103】
いくつかの態様において、合成ナノ担体は1または2以上のポリマーを含み得る。いくつかの態様において、合成ナノ担体は、非メトキシ末端のプルロニックポリマーである1または2以上のポリマーを含む。いくつかの態様において、合成ナノ担体を構成するポリマーの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%または99%(重量/重量)が非メトキシ末端のプルロニックポリマーである。いくつかの態様において、合成ナノ担体を構成するポリマーの全てが非メトキシ末端のプルロニックポリマーである。いくつかの態様において、合成ナノ担体は非メトキシ末端のポリマーである1または2以上のポリマーを含む。いくつかの態様において、合成ナノ担体を構成するポリマーの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%または99%(重量/重量)が非メトキシ末端のポリマーである。いくつかの態様において、合成ナノ担体を構成するポリマーの全てが非メトキシ末端のポリマーである。いくつかの態様において、合成ナノ担体はプルロニックポリマーを含まない1または2以上のポリマーを含む。いくつかの態様において、合成ナノ担体を構成するポリマーの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%または99%(重量/重量)がプルロニックポリマーを含まない。いくつかの態様において、合成ナノ担体を構成するポリマーの全てがプルロニックポリマーを含まない。いくつかの態様において、かかるポリマーは、コーティング層(例えば、リポソーム、脂質単分子層、ミセル、等)で囲まれていてもよい。いくつかの態様において、合成ナノ担体の種々の要素はポリマーに連結され得る。
【0104】
免疫モジュレーターおよび/または抗原は、多くの方法のいずれかによって合成ナノ担体に連結され得る。一般に連結は、免疫モジュレーターおよび/または抗原と合成ナノ担体との間の結合の結果であり得る。この結合は、免疫モジュレーターおよび/または抗原が合成ナノ担体の表面に付着され、および/または合成ナノ担体内に含有され(カプセル化され)ることをもたらし得る。しかしながら、いくつかの態様において、免疫モジュレーターおよび/または抗原は、合成ナノ担体への結合ではなく、むしろ合成ナノ担体の構造の結果として、合成ナノ担体によってカプセル化される。好ましい態様において、合成ナノ担体は、本明細書で提供されるポリマーを含み、免疫モジュレーターおよび/または抗原はポリマーに連結される。
【0105】
連結が免疫モジュレーターおよび/または抗原と合成ナノ担体との間の結合の結果として起こるとき、連結は連結部位を介して起こってもよい。連結部位は免疫モジュレーターおよび/または抗原がその部位を通して合成ナノ担体に結合されるいずれかの部位であり得る。かかる部位は、アミド結合またはエステル結合などの共有結合ならびに免疫モジュレーターおよび/または抗原を合成ナノ担体に(共有結合的にまたは非共有結合的に)結合する別個の分子を包含する。かかる分子は、リンカー、または、ポリマーまたはそれらの単位を包含する。例えば、連結部位は、免疫モジュレーターおよび/または抗原が静電的に結合する荷電ポリマーを含み得る。別の例として、連結部位は、それが共有結合的に結合するポリマーまたはその単位を含み得る。
【0106】
好ましい態様において、合成ナノ担体は本明細書で提供されるポリマーを含む。これらの合成ナノ担体は完全にポリマー性であってもよく、ポリマーと他の材料との混合であり得る。
【0107】
いくつかの態様において、合成ナノ担体のポリマー同士が関連してポリマーマトリックスを形成する。これらの態様のうちのいくつかにおいて、免疫モジュレーターまたは抗原などの構成成分はポリマーマトリックスの1または2以上のポリマーと共有結合的に関連され得る。いくつかの態様において、共有結合的関連はリンカーによって媒介される。いくつかの態様において、構成成分は、ポリマーマトリックスの1または2以上のポリマーと非共有結合的に関連され得る。例えば、いくつかの態様において、構成成分は、ポリマーマトリックス内にカプセル化され、それによって囲まれ、および/または、それの全体にわたって分散され得る。代替的または追加的に、構成成分は、ポリマーマトリックスの1または2以上のポリマーと、疎水性の相互作用、電荷相互作用、ファンデルワールス力、等によって関連され得る。ポリマーマトリックスを形成するための多種多様なポリマーおよび方法は従来、知られている。
【0108】
ポリマーは、天然または非天然(合成)ポリマーであってもよい。ポリマーはホモポリマーまたは2つまたは3つ以上のモノマーを含むコポリマーであってもよい。並びの点で、コポリマーはランダム、ブロックであっても、ランダムとブロックとの並びの組み合わせを含んでもよい。典型的には、本発明に従ったポリマーは、有機ポリマーである。
【0109】
いくつかの態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドまたはポリエーテル、または、これらの単位を含む。他の態様において、ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)またはポリカプロラクトン、または、これらの単位を含む。いくつかの態様において、ポリマーは生分解性であることが好ましい。それゆえ、これらの態様において、ポリマーがポリ(エチレングリコール)またはポリプロピレングリコールまたはこれらの単位などのポリエーテルを含む場合、ポリマーは、生分解性となるように、ポリエーテルのブロックコポリマーおよび生分解性ポリマーを含むことが好ましい。他の態様において、ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)またはポリプロピレングリコールまたはこれらの単位などの、ポリエーテルまたはこれらの単位を、それだけでは含まない。
【0110】
本発明で使用するのに好適なポリマーの他の例は、以下に限定されないが、ポリエチレン、ポリカーボネート(例えばポリ(1,3-ジオキサン-2オン))、ポリ酸無水物(例えばポリ(セバシン酸無水物))、ポリプロピルフマラート、ポリアミド(例えばポリカプロラクタム)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチド-co-グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酸(例えばポリ(β-ヒドロキシアルカノアート)))、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリラート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリ尿素、ポリスチレンおよびポリアミン、ポリリジン、ポリリジン-PEG共重合体およびポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレンイミン)-PEG共重合体を包含する。
【0111】
いくつかの態様において、本発明に従ったポリマーは、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(1,3-ジオキサン-2オン));ポリ酸無水物(例えば、ポリ(セバシン酸無水物));ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール);ポリウレタン;ポリメタクリラート;ポリアクリラート;およびポリシアノアクリラートを包含するが、これらに限定されない、米国医薬品局(FDA)により21C.F.R.§177.2600の下でヒトにおける使用が認証されたポリマーを包含する。
【0112】
いくつかの態様において、ポリマーは親水性であり得る。例えば、ポリマーは、アニオン性基(例えばホスファート基、スルファート基、カルボキシラート基);カチオン性基(例えば四級アミン基);または極性基(例えばヒドロキシル基、チオール基、アミン基)を含んでよい。いくつかの態様において、親水性ポリマーマトリックスを含む合成ナノ担体は、合成ナノ担体内に親水性環境を発生させる。いくつかの態様において、ポリマーは疎水性であり得る。いくつかの態様において、疎水性ポリマーマトリックスを含む合成ナノ担体は、合成ナノ担体内に疎水性環境を発生させる。ポリマーの親水性または疎水性の選択は、合成ナノ担体内に組み込まれた(例えば、連結された)材料の特質に影響を有してもよい。
【0113】
いくつかの態様において、ポリマーは1または2以上の部位および/または官能基で修飾されてもよい。種々の部位または官能基が本発明に従って使用され得る。いくつかの態様において、ポリマーはポリエチレングリコール(PEG)で、炭水化物で、および/または、多糖から誘導された非環式ポリアセタールで、修飾されてもよい(Papisov, 2001、ACS Symposium Series, 786:301)。特定の態様は、米国特許第5543158号(Gref et al.)または国際公開第2009/051837号(Von Andrian et al.)の一般的教示を使用してなされてもよい。
【0114】
いくつかの態様において、ポリマーは脂質または脂肪酸基で修飾されてもよい。いくつかの態様において、脂肪酸基は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸またはリグノセリン酸の1または2以上であり得る。いくつかの態様において、脂肪酸基は、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アルファ-リノール酸、ガンマ-リノール酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸またはエルシン酸の1または2以上であってもよい。
【0115】
いくつかの態様において、ポリマーは、本明細書において集合的に「PLGA」と呼ばれる、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)およびポリ(ラクチド-co-グリコリド)などの、乳酸およびグリコール酸単位を含むコポリマー;および本明細書において「PGA」と呼ばれるグリコール酸単位を含むホモポリマー;および本明細書において集合的に「PLA」と呼ばれるポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチドおよびポリ-D,L-ラクチドなどの乳酸単位を含むホモポリマー、を包含するポリエステルであってもよい。いくつかの態様において、例示的なポリエステルは、例えば、ポリヒドロキシ酸;PEGコポリマーおよびラクチドとグリコリドとのコポリマー(例えば、PLA-PEGコポリマー、PGA-PEGコポリマー、PLGA-PEGコポリマーおよびこれらの誘導体)を包含する。いくつかの態様において、ポリエステルは、例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)-PEGコポリマー、ポリ(L-ラクチド-co-L-リジン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、ポリ[α-(4-アミノブチル)-L-グリコール酸]およびこれらの誘導体を包含する。
【0116】
いくつかの態様において、ポリマーはPLGAであってもよい。PLGAは、乳酸とグリコール酸との生体適合性かつ生分解性のコポリマーであり、乳酸:グリコール酸の比によってPLGAの種々の形態が特徴付けられる。乳酸は、L-乳酸、D-乳酸またはD,L-乳酸であってもよい。PLGAの分解速度は乳酸:グリコール酸比を変えることによって調節され得る。いくつかの態様において、本発明に従って使用されるPLGAは、およそ85:15、およそ75:25、およそ60:40、およそ50:50、およそ40:60、およそ25:75、または、およそ15:85の乳酸:グリコール酸比によって特徴付けられる。
【0117】
いくつかの態様において、ポリマーは1または2以上のアクリルポリマーであってもよい。特定の態様において、アクリルポリマーは、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸のコポリマー、メチルメタクリラートコポリマー、エトキシエチルメタクリラート、シアノエチルメタクリラート、アミノアルキルメタクリラートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリ(無水メタクリル酸)、メチルメタクリラート、ポリメタクリラート、ポリ(メチルメタクリラート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリラートコポリマー、グリシジルメタクリラートコポリマー、ポリシアノアクリラートおよび上記のポリマーの1または2以上を含む組み合わせを包含する。アクリルポリマーは、四級アンモニウム基の含有量の低いアクリルおよびメタクリル酸エステルの十分にポリマー化されたコポリマーを含んでよい。
【0118】
いくつかの態様において、ポリマーはカチオン性ポリマーであり得る。一般にカチオン性ポリマーは、核酸(例えば、DNA、またはその誘導体)の負に荷電されたストランドを濃縮および/または保護する能力がある。ポリ(リジン)(Zauner et al., 1998、Adv. Drug Del. Rev., 30:97; Kabanov et al., 1995, Bioconjugate Chem., 6:7)、ポリ(エチレンイミン)(PEI;Boussif et al., 1995, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1995, 92:7297)およびポリ(アミドアミン)デンドリマー(Kukowska-Latallo et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 93:4897; Tang et al., 1996, Bioconjugate Chem., 7:703; Haensler et al., 1993, Bioconjugate Chem., 4:372)などのアミン含有ポリマーは、生理学的なpHで正に荷電されて核酸とイオン対を形成し、様々な細胞株においてトランスフェクションを媒介する。ある態様において、本発明の合成ナノ担体はカチオン性ポリマーを含まなくてもよい(または排除してもよい)。
【0119】
いくつかの態様において、ポリマーはカチオン性の側鎖を持つ生分解性ポリエステル(Putnam et al., 1999, Macromolecules, 32:3658; Barrera et al., 1993, J, Am. Chem. Soc., 115: 11010; Kwon et al., 1989, Macromolecules, 22:3250; Lim et al., 1999, J. Am. Chem. Soc., 121:5633; Zhou et al., 1990, Macromolecules, 23:3399)であり得る。これらのポリエステルの例は、ポリ(L-ラクチド-co-L-リジン)(Barrera et al., 1993, J. Am. Chem. Soc., 115: 11010)、ポリ(セリンエステル)(Zhou et al., 1990, Macromolecules, 23:3399)、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)(Putnam et al., 1999, Macromolecules, 32:3658; Lim et al., 1999, J. Am. Chem. Soc., 121:5633)およびポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)(Putnam et al., 1999, Macromolecules, 32:3658; Lim et al., 1999, J. Am. Chem. Soc., 121:5633)を包含する。
【0120】
これらのおよび他のポリマーの特性およびそれらの製造方法は当該分野において周知である(例えば、米国特許第6,123,727号;5,804,178号;5,770,417号;5,736,372号;5,716,404号;6,095,148号;5,837,752号;5,902,599号;5,696,175号;5,514,378号;5,512,600号;5,399,665号;5,019,379号;5,010,167号;4,806,621号;4,638,045号;および4,946,929号;Wang et al., 2001, J. Am. Chem. Soc., 123:9480;Lim et al., 2001, J. Am. Chem. Soc., 123:2460;Langer, 2000, Acc. Chem. Res., 33:94;Langer, 1999, J. Control. Release, 62:7;Uhrich et al., 1999, Chem. Rev., 99:3181参照)。より一般には、特定の好適なポリマーを合成するための種々の方法が、Concise Encyclopedia of Polymer Science and Polymeric Amines and Ammonium Salts, Ed. by Goethals, Pergamon Press, 1980;Principles of Polymerization by Odian, John Wiley & Sons, Fourth Edition, 2004;Contemporary Polymer Chemistry by Allcock et al., Prentice-Hall, 1981;Deming et al., 1997, Nature, 390:386;および米国特許第6,506,577号、同第6,632,922号、同第6,686,446号および同第6,818,732号に記載されている。
【0121】
いくつかの態様において、ポリマーは直鎖状または分枝状ポリマーであり得る。いくつかの態様において、ポリマーはデンドリマーであり得る。いくつかの態様において、ポリマーは実質的に、互いに架橋され得る。いくつかの態様において、ポリマーは実質的に架橋を含まないこともあり得る。いくつかの態様において、ポリマーは架橋ステップを経験せずに本発明に従って使用され得る。本発明の合成ナノ担体は、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、前述のおよび他のポリマーのいずれかのブレンド、混合物および/または付加物を含んでよいことをさらに理解すべきである。本明細書中に列挙されるポリマーは、本発明に従って使用され得る包括的でない例示的なポリマーのリストを表すものであることを当業者は認識するであろう。
【0122】
いくつかの態様において、合成ナノ担体はポリマー構成成分を含まない。いくつかの態様において、合成ナノ担体は金属粒子、量子ドット、セラミック粒子等を含んでよい。いくつかの態様において、非ポリマー合成ナノ担体は、金属原子(例えば金原子)の凝集体などの非ポリマー構成成分の凝集体である。
【0123】
本発明に従って、組成物は、要素を、保存剤、緩衝剤、食塩水またはリン酸緩衝化食塩水などの薬学的に許容し得る賦形剤と組み合わせて含んでよい。組成物は、有用な剤形に到達するように従来の医薬製造および配合技術を使用して作られてもよい。ある態様において、本発明の合成ナノ担体を含むものなどの組成物は、保存剤と一緒に注射用の滅菌食塩水溶液に懸濁される。
【0124】
ある態様において、担体として合成ナノ担体を製造するとき、合成ナノ担体に構成成分を連結する方法が有用であってもよい。構成成分が小さな分子である場合、合成ナノ担体の組み立ての前にその構成成分をポリマーに結合することが有利であってもよい。ある態様において、構成成分をポリマーに結合し、次いでこのポリマー複合体を合成ナノ担体の構築に使用するというよりはむしろ、それらの表面基の使用を通して構成成分を合成ナノ担体に連結させるために使用される、表面基を有する合成ナノ担体を、調製することも有利であってもよい。
【0125】
特定の態様において、連結は共有結合性リンカーによりなされ得る。ある態様において、本発明に従って、ペプチドは、ナノ担体の表面のアジド基とアルキン基を含有する抗原および免疫モジュレーターとの1,3-双極子環状付加反応により、または、ナノ担体の表面のアルキンとアジド基を含有する抗原および免疫モジュレーターとの1,3-双極子環状付加反応により、形成される、1,2,3-トリアゾールリンカーを介して外部表面に共有結合的に連結され得る。かかる環状付加反応は好ましくは、好適なCu(I)リガンドと、Cu(II)化合物を触媒活性なCu(I)化合物に還元するための還元剤と共に、Cu(I)触媒の存在下で行われる。このCu(I)触媒アジド-アルキン環状付加(CuAAC)はまた、クリック反応といわれることもあり得る。
【0126】
追加的に、共有結合的連結は、アミドリンカー、ジスルフィドリンカー、チオエーテルリンカー、ヒドラゾンリンカー、ヒドラジドリンカー、イミンまたはオキシムリンカー、尿素またはチオ尿素リンカー、アミジンリンカー、アミンリンカーおよびスルホンアミドリンカーを含む共有結合性リンカーを含んでよい。
【0127】
アミドリンカーは、一方の抗原および免疫モジュレーターなどの構成成分上のアミンとナノ担体などの第2の構成成分のカルボン酸基との間のアミド結合を介して形成される。リンカー中のアミド結合は、好適に保護されたアミノ酸および活性化されたカルボン酸(N-ヒドロキシスクシンイミド活性化エステルなど)との従来のアミド結合形成反応のいずれかを使用して作られ得る。
【0128】
ジスルフィドリンカーは、例としてR-S-S-Rの形態の2つの硫黄原子間のジスルフィド(S-S)結合の形成を介して作られ得る。ジスルフィド結合は、チオール/メルカプタン基(-SH)を含有する構成成分とポリマーまたはナノ担体上の別の活性化チオール基との、または、チオール/メルカプタン基を含有するナノ担体と活性化チオール基を含有する構成成分との、チオール交換によって形成され得る。
【0129】
トリアゾールリンカー、具体的には、下記の形態
【化1】
(式中RおよびRが、いずれかの化学的実体であってもよい)の1,2,3-トリアゾールは、ナノ担体などの第1構成成分に付着されたアジドの、免疫モジュレーターまたは抗原などの第2構成成分に付着された末端アルキンとの1,3-双極子環状付加反応により作られる。1,3-双極子環状付加反応は、触媒の有無で、好ましくはCu(I)触媒を使用して、行われ、これにより2つの構成成分が1,2,3-トリアゾール官能性を通してつながれる。この化学は、Sharpless et al., Angew. Chem. Int. Ed. 41(14), 2596, (2002) および Meldal, et al, Chem. Rev., 2008, 108(8), 2952-3015により詳細に記載され、「クリック」反応またはCuAACと呼ばれることも多い。
【0130】
ある態様において、ポリマー鎖の末端にアジドまたはアルキン基を含有するポリマーが調製される。このポリマーは次いで、複数のアルキンまたはアジド基がナノ担体の表面上に位置するような様式で合成ナノ担体を調製するのに使用される。代替的に、合成ナノ担体は、別の経路により調製され得、その後にアルキンまたはアジド基で官能化され得る。構成成分は、アルキン(ポリマーがアジドを含有する場合)またはアジド(ポリマーがアルキンを含有する場合)基のどちらかの存在により調製される。構成成分は次に、触媒の有無で1,3-双極子環状付加反応を介してナノ担体と反応され、これにより1,4-二置換1,2,3-トリアゾールリンカーを通して構成成分が粒子に共有結合的に連結される。
【0131】
チオエーテルリンカーは、例としてR-S-Rの形態の硫黄-炭素(チオエーテル)結合の形成によって作られる。チオエーテルは、1つの構成成分上のチオール/メルカプタン(-SH)基の、第2構成成分上のハロゲン化物またはエポキシドなどのアルキル化基によるアルキル化によって作られ得る。チオエーテルリンカーはまた、1つの構成成分上のチオール/メルカプタン基の、マイケル受容体としてマレイミド基またはビニルスルホン基を含有する第2の構成成分上の電子不足アルケン基へのマイケル付加によっても形成され得る。別の方式において、チオエーテルリンカーは、1つの構成成分上のチオール/メルカプタン基と、第2構成成分上のアルケン基とのラジカルチオール-エン反応により調製され得る。
【0132】
ヒドラゾンリンカーは、1つの構成成分上のヒドラジド基と、第2構成成分上のアルデヒド/ケトン基との反応によって作られる。
【0133】
ヒドラジドリンカーは、1つの構成成分上のヒドラジン基と第2構成成分上のカルボン酸基との反応により形成される。かかる反応は一般に、カルボン酸が活性化試薬で活性化される場合のアミド結合の形成と同様の化学を使用して行われる。
【0134】
イミンまたはオキシムリンカーは、1つの構成成分上のアミンまたはN-アルコキシアミン(またはアミノオキシ)基と、第2構成成分上のアルデヒドまたはケトン基との反応により形成される。
【0135】
尿素またはチオ尿素リンカーは、1つの構成成分上のアミン基と、第2構成成分上のイソシアネートまたはチオイソシアネート基との反応により調製される。
【0136】
アミジンリンカーは、1つの構成成分上のアミン基と、第2構成成分上のイミドエステル基との反応により調製される。
【0137】
アミンリンカーは、1つの構成成分上のアミン基と、第2構成成分上のハロゲン化物、エポキシドまたはスルホナートエステル基などのアルキル化基とのアルキル化反応により作られる。代替的に、アミンリンカーはまた、1つの構成成分上のアミン基と第2の構成成分上のアルデヒドまたはケトン基との、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの好適な還元試薬を使用した還元アミノ化により作られ得る。
【0138】
スルホアミドリンカーは、1つの構成成分上のアミン基と、第2構成成分上のスルホニルハライド(スルホニルクロリド等)基との反応によって作られてもよい。
【0139】
スルホンリンカーは、求核基のビニルスルホンへのマイケル付加により作られる。ビニルスルホンまたは求核基のいずれかは、ナノ担体の表面上にあってもよいし、構成成分に付着されていてもよい。
【0140】
構成成分はまた、非共有結合性複合化法を介してナノ担体に複合化され得る。例えば、負に荷電された抗原および免疫モジュレーターは、静電吸着を通して正に荷電されたナノ担体に複合化され得る。金属リガンドを含有する構成成分はまた、金属-リガンド錯体を介して金属錯体を含有するナノ担体に複合化され得る。
【0141】
ある態様において、構成成分は、合成ナノ担体の組み立ての前に、ポリマー、例えばポリ乳酸-ブロック-ポリエチレングリコールに付着され得、合成ナノ担体がその表面上に反応性のまたは活性化可能な基を有するように形成され得る。後者の場合、構成成分は、合成ナノ担体の表面によって提示される付着化学と適合可能な基を有するように調製されてもよい。他の態様において、ぺプチド構成成分は、好適なリンカーを使用してVLPまたはリポソームに付着され得る。リンカーは、2つの分子同士を連結できる化合物または試薬である。ある態様において、リンカーは、Hermanson 2008に記載のホモ二官能性またはヘテロ二官能性試薬であり得る。例えば、表面上にカルボキシル基を含有するVLPまたはリポソーム合成ナノ担体を、EDCの存在下でホモ二官能性リンカー、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)で処置してADHリンカーを有する対応する合成ナノ担体を形成し得る。結果としてもたらされるADHにつながれた合成ナノ担体は次いで、NC上のADHリンカーの他の端部を介して酸基を含有するペプチド構成成分と複合化されて対応するVLPまたはリポソームペプチド複合体を生成する。
【0142】
利用可能な複合化方法の詳細な記載に関しては、Hermanson G T Bioconjugate Techniques, 2nd Edition Published by Academic Press, Inc., 2008を参照。共有結合性の付着に加えて、構成成分は、予め形成された合成ナノ担体への吸着によって連結され得るか、または、合成ナノ担体形成中のカプセル化によって連結され得る。
【0143】
修飾抗原
いくつかの態様において、列挙される組成物および/または列挙される抗原特異的免疫治療薬のいずれか1つは、修飾抗原を含み得、ここで、修飾は、様々な目的を果たし得、以下に限定されないが、(タンパク質またはペプチド抗原のPEG化などの)循環安定性の増加、(天然アミノ酸の非天然アミノ酸の置換などの)ペプチダーゼ分解に対する感度の低下、および(赤血球への付着などの)寛容原性のパフォーマンスの強化を含む。
【0144】
好ましい態様において、修飾抗原は赤血球に結合する結合部位と融合した目的の抗原を含む融合タンパク質を含む。かかる結合部位の例は、HN-WMVLPWLPGTLDGGSGCRGCONH(配列番号1)として文献に記載される合成12-AAペプチド(ERY1)を含み、これは、マウスのグリコホリン-A結合剤として文献に記載される12マー(mer)の配列を包含する。GGSG領域は、結合のために使用されるシステイン残基へのリンカーとして機能するように記載され、隣接アルギニン残基はpKaを低下させるために機能するように、その結果、システイン残基の反応性を増加させることが記載されている。他の態様において、融合タンパク質は発生され得、それは、マウスのグリコホリン-A結合部位または他の種(例えば、ヒト)と同等のかかる部位などの結合部位と融合させた目的の抗原を含む。特定の態様において、マウスは、グリコホリン-A結合TER-119抗体、または(TER-119のscFvなどの)それらの断片は、目的の抗原と融合され得る。一般に、S. Kontos et al., “Engineering antigens for in situ erythrocyte binding induces T-cell deletion” Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Jan 2;110(1):E60-8 (“Kontsos”)を参照。追加の赤血球結合部位は、一般に、Kontosの記事および関連文献に開示されたファージディスプレイまたはmAb/mAbの断片アプローチを使用して発生され得る。
【0145】
修飾抗原は、種々な経路を使用した投与に対して、種々の方法で製剤化され得る。適切な製剤アプローチ、および有用な経路は、本明細書の他の箇所で開示され、本発明に従って組成物および/または抗原特異的免疫治療薬に適用され得る。
【0146】
発現された抗原発現:
いくつかの態様において、列挙される組成物および/または列挙される抗原特異的免疫治療薬は、発現された抗原を含み得る。ここで、発現された抗原は、遺伝子構築物の送達後、好ましくは非免疫原性の高い遺伝子構築物を発現させる。かかる遺伝子構築物の例は、当技術分野で知られており、以下に限定されないが、直接注射、リポソーム、カチオン性脂質;または縮合DNA/RNA粒子、または遺伝子銃デリバリー:DNAまたはRNA;プラスミド;または(cDNA、メッセンジャーRNA、修飾メッセンジャーRNA、およびRNAiの形態を包含する)裸のDNAまたはRNAを含む様々な構造物をを包含する。一般には、J. R. Ohlfest et al., “Phenotypic correction and long-term expression of factor VIII in hemophilic mice by immunotolerization and nonviral gene transfer using the Sleeping Beauty transposon system” Blood 2005;105:2691-2698; A Tautzenberger et al., “Nanoparticles and their potential for application in bone” Int'l. J. of Nanomedicine 2012:7 4545-4557を参照。それらの直接注射を含む、修飾メッセンジャーRNAは、公開された米国特許出願第2013/0115272号(de Fougerolles et al.)、および、公開された米国特許出願第2012/0251618号(Schrum et al.)に開示されている。本明細書の他の場所に記載されているか、または当技術分野で一般に知られているタンパク質のいずれかは、発現された抗原の文脈での送達のために考慮されてもよい。
【0147】
発現された抗原は、種々の経路を使用した投与に対して、種々の方法で製剤化され得る。適切な製剤アプローチおよび有用な経路は、本明細書の他の箇所に開示され、本発明に従って組成物および/または抗原特異的免疫治療薬に適用され得る。
【0148】
抗原
本発明の実施において有用な抗原は、外因性および内因性の抗原を含む抗原の広い範囲から選択され得る。
【0149】
外因性抗原
本明細書の他の箇所で述べたように、外因性抗原は、治療用タンパク質、修飾抗原および発現された抗原を含み得る。
【0150】
治療用タンパク質は、本明細書において提供される治療タンパク質またはそれらのフラグメントまたは誘導体のいずれかを含み得る。治療用タンパク質は、以下に限定されないが、点滴可能な治療用のタンパク質、酵素、酵素補助因子、ホルモン、血液凝固因子、サイトカインおよびインターフェロン、成長因子、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体(例えば補充治療として被験体に投与されるもの)およびポンペ病に関連するタンパク質(例えば酸性グルコシダーゼアルファ、rhGAA(例えばミオザイムおよびルミザイム(Genzyme))を包含する(例えば、それは、代替療法として被験体に投与される)。治療用タンパク質はまた、血液凝固カスケードに関与するタンパク質も包含する。治療用タンパク質は、以下に限定されないが、第VIII因子、第VII因子、第IX因子、第V因子、フォン・ヴィレブランド因子、フォン・ヘルデブラント因子、組織プラスミノーゲンアクチベーター、インスリン、成長ホルモン、エリスロポエチンアルファ、VEGF、トロンボポエチン、リゾチーム、アンチトロンビン等を包含する。治療用タンパク質はまた、レプチンおよびアディポネクチンなどのアディポカインも包含する。治療用タンパク質の他の例は以下、および本明細書中に記載のとおりである。また、抗原として提供治療用タンパク質のいずれかのフラグメントまたは誘導体が包含される。
【0151】
リソソーム蓄積障害を有する被験体の酵素補充治療に使用される治療用タンパク質の例は、以下に限定されないが、ゴーシェ病の処置のためのイミグルセラーゼ(例えばCEREZYME(商標))、ファブリー病の処置のためのa-ガラクトシダーゼA(a-galA)(例えば、アガルシダーゼベータ、FABRYZYME(商標))、ポンペ病の処置のための酸性a-グルコシダーゼ(GAA)(例えば、アルグルコシダーゼ、LUMIZYME(商標)、MYOZYME(商標))、ムコ多糖症の処置のためのアリールスルファターゼB(例えば、ラロニダーゼ、ALDURAZYME(商標)、イデュルスルファーゼ、ELAPRASE(商標)、アリールスルファターゼB、NAGLAZYME(商標))を包含する。
【0152】
酵素の例は、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼおよびリガーゼを包含する。
【0153】
ホルモンの例は、メラトニン(N-アセチル-5-メトキシトリプトアミン)、セロトニン、チロキシン(またはテトラヨードチロニン)(甲状腺ホルモン)、トリヨードチロニン(甲状腺ホルモン)、エピネフリン(またはアドレナリン)、ノルエピネフリン(またはノルアドレナリン)、ドーパミン(またはプロラクチン阻害ホルモン)、抗ミュラー管ホルモン(またはミュラー管阻害因子またはホルモン)、アディポネクチン、副腎皮質刺激ホルモン(またはコルチコトロピン)、アンジオテンシノーゲンおよびアンジオテンシン、抗利尿性ホルモン(またはバソプレシン、アルギニンバソプレシン)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(またはアトリオペプチン)、カルシトニン、コレシストキニン、コルチコトロピン放出ホルモン、エリスロポエチン、卵胞刺激ホルモン、ガストリン、グレリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GIP、ゴナドトロピン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎盤性ラクトゲン、成長ホルモン、インヒビン、インスリン、インスリン様成長因子(またはソマトメジン)、レプチン、黄体形成ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、オレキシン、オキシトシン、副甲状腺ホルモン、プロラクチン、レラキシン、セクレチン、ソマトスタチン、トロンボポエチン、甲状腺刺激ホルモン(またはチロトロピン)、チロトロピン放出ホルモン、コルチゾール、アルドステロン、テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、エストラジオール、エストロン、エストリオール、プロゲステロン、カルシトリオール(1,25-ジヒドロキシビタミンD3)、カルシジオール(25-ヒドロキシビタミンD3)、プロスタグランジン、ロイコトリエン、プロスタサイクリン、トロンボキサン、プロラクチン放出ホルモン、リポトロピン、脳性ナトリウム利尿ペプチド、神経ペプチドY、ヒスタミン、エンドセリン、膵ポリペプチド、レニンおよびエンケファリンを包含する。
【0154】
血液および血液凝固因子の例としては、第I因子(フィブリノゲン)、第II因子(プロトロンビン)、組織因子、第V因子(プロアクセレリン、不安定因子)、第VII因子(安定因子またはプロコンベルチン)、第VIII因子(抗血友病性グロブリン)、第IX因子(クリスマス因子または血漿トロンボプラスチン構成成分)、第X因子(スチュアート・プローワー因子)、第Xa因子、第XI因子、第XII因子(ハーゲマン因子)、第XIII因子(フィブリン安定化因子)、フォン・ヴィレブランド因子、プレカリクレイン(フレッチャー因子)、高分子量キニノゲン(HMWK)(フィッツジェラルド因子)、フィブロネクチン、フィブリン、トロンビン、アンチトロンビンIII、ヘパリン補助因子II、プロテインC、プロテインS、プロテインZ、プロテインZ関係プロテアーゼインヒビター(ZPI)、プラスミノーゲン、アルファ2-アンチプラスミン、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)、ウロキナーゼ、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1(PAI1)、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-2(PAI2)、がんプロコアグラントまたはエポエチンアルファ(Epogen、Procrit)を包含する。
【0155】
サイトカインの例は、リンホカイン、インターロイキンおよびケモカイン、IFN-γなどのタイプ1サイトカイン、TGF-βおよびIL-4、IL-10およびIL-13などのタイプ2サイトカインを包含する。
【0156】
成長因子の例は、アドレノメデュリン(AM)、アンジオポエチン(Ang)、自己分泌型細胞運動刺激因子、骨形成タンパク質(BMP)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、上皮増殖因子(EGF)、エリスロポエチン(EPO)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、増殖分化因子-9(GDF9)、肝細胞増殖因子(HGF)、肝がん由来増殖因子(HDGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、マイグレーション刺激因子、ミオスタチン(GDF-8)、神経成長因子(NGF)および他のニューロトロフィン、血小板由来増殖因子(PDGF)、トロンボポエチン(TPO)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGF-α)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、血管内皮増殖因子(VEGF)、Wntシグナル経路、胎盤増殖因子(P1GF)、(ウシ胎児ソマトトロピン)(FBS)、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6およびIL-7を包含する。
【0157】
モノクローナル抗体の例としては、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アダリムマブ、アデカツムマブ、アフェリモマブ、アフツズマブ、アラシズマブペゴル(Alacizumab pegol)、ALD、アレムツズマブ、アルツモマブペンテテート(Altumomab pentetate)、アナツモマブマフェナトックス(Anatumomab mafenatox)、アンルキンズマブ、抗胸腺細胞グロブリン、アポリズマブ、アルシツモマブ、アセリズマブ(Aselizumab)、アトリズマブ(トシリズマブ)、アトロリムマブ(Atorolimumab)、バピネオズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ(Bectumomab)、ベリムマブ、ベンラリズマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ビシロマブ、ビバツズマブメルタンシン(Bivatuzumab mertansine)、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブベドチン、ブリアキヌマブ、カナキヌマブ、カンツズマブメルタンシン、カプロマブペンデチド、カツマキソマブ、セデリズマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、シタツズマブボガトクス(Citatuzumab bogatox)、シクスツムマブ、クレノリキシマブ、クリバツズマブテトラキセタン、コナツムマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダラツムマブ、デノスマブ、デツモマブ、ドルリモマブアリトクス(Dorlimomab aritox)、ドルリキシズマブ(Dorlixizumab)、エクロメキシマブ(Ecromeximab)、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ(Efungumab)、エロツズマブ、エルシリモマブ(Elsilimomab)、エンリモマブペゴル、エピツモマブシツキセタン(Epitumomab cituxetan)、エプラツズマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ(Ertumaxomab)、エタラシズマブ、エクスビビルマブ(Exbivirumab)、ファノレソマブ、ファラリモマブ(Faralimomab)、ファルレツズマブ、フェルビズマブ(Felvizumab)、フェザキヌマブ、フィジツムマブ(Figitumumab)、フォントリズマブ、フォラビルマブ(Foravirumab)、フレソリムマブ(Fresolimumab)、ガリキシマブ、ガンテネルマブ、ガンビリモマブ、ゲムツマブオゾガマイシン、GC1008、ギレンツキシマブ、グレムバツムマブベドチン(Glembatumumab vedotin)、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ(Gomiliximab)、イバリズマブ、イブリツモマブチウキセタン、イゴボマブ(Igovomab)、イムシロマブ、インフリキシマブ、インテツムマブ(Intetumumab)、イノリモマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、イラツムマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ(Lemalesomab)、レルデリムマブ、レキサツムマブ、リビビルマブ(Libivirumab)、リンツズマブ、ロボツズマブメルタンシン(Lorvotuzumab mertansine)、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マスリモマブ(Maslimomab)、マツズマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ(Minretumomab)、ミツモマブ、モロリムマブ(Morolimumab)、モタビズマブ、ムロモナブ-CD3、ナコロマブタフェナトクス(Nacolomab tafenatox)、ナプツモマブエスタフェナトクス(Naptumomab estafenatox)、ナタリズマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネレリモマブ(Nerelimomab)、ニモツズマブ、ノフェツモマブメルペンタン(Nofetumomab merpentan)、オクレリズマブ、オデュリモマブ(Odulimomab)、オファツムマブ、オララツマブ(Olaratumab)、オマリズマブ、オポルツズマブモナトクス(Oportuzumab monatox)、オレゴボマブ、オテリキシズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、パノバクマブ、パスコリズマブ(Pascolizumab)、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ペンツモマブ(Pintumomab)、プリリキシマブ、プリツムマブ(Pritumumab)、ラフィビルマブ(Rafivirumab)、ラムシルマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ(Robatumumab)、ロンタリズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サツモマブペンデチド(Satumomab pendetide)、セビルマブ(Sevirumab)、シブロツズマブ(Sibrotuzumab)、シファリムマブ、シルツキシマブ、シプリズマブ、ソラネズマブ、ソネプシズマブ(Sonepcizumab)、ソンツズマブ(Sontuzumab)、スタムルマブ、スレソマブ、タカツズマブテトラキセタン(Tacatuzumab tetraxetan)、タドシズマブ、タリズマブ、タネズマブ、タプリツモマブペプトクス(Taplitumomab paptox)、テフィバズマブ、テリモマブアリトクス(Telimomab aritox)、テナツモマブ(Tenatumomab)、テネリキシマブ、テプリズマブ、チシリムマブ(トレメリムマブ)、チガツズマブ、トシリズマブ(アトリズマブ)、トラリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ツビルマブ(Tuvirumab)、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、バパリキシマブ(Vapaliximab)、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ビシリズマブ、ボロシキシマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ジラリムマブ(Ziralimumab)およびズリモマブアリタオクス(Zolimomab aritox)を包含する。
【0158】
点滴治療または注射可能治療用タンパク質の例は、例えば、トシリツマブ(Roche/Actemra(登録商標))、アルファ-1アンチトリプシン(Kamada/AAT)、ヘマタイド(登録商標)(AffymaxおよびTakeda、合成ペプチド)、アルブインターフェロンアルファ-2b(Novartis/Zalbin(商標))、ルシン(登録商標)(Pharming Group、C1インヒビター補充治療)、テサモレリン(Theratechnologies/Egrifta、合成成長ホルモン放出因子)、オクレリズマブ(Genentech、RocheおよびBiogen)、ベリムバブ(GlaxoSmithKline/Benlysta(登録商標))、ペグロチカーゼ(Savient Pharmaceuticals/Krystexxa(商標))、ペグシチカーゼ、タリグルセラーゼアルファ(Protalix/Uplyso)、アガルシダーゼアルファ(Shire/Replagal(登録商標))、ベラグルセラーゼアルファ(Shire)を包含する。
【0159】
本発明の側面に従った有用な追加の治療用タンパク質は、当業者には明らかであり、本発明はこの点において限定されない。
【0160】
追加の外因性抗原は、修飾抗原または発現された抗原を含んでよい。
【0161】
目的の抗原および赤血球を標的とする部位との間の融合構築物などの修飾抗原は、本明細書の他の箇所に記載されており、本発明の実施において有用であり得る。
【0162】
免疫原性がないかまたは低い遺伝子ベクター、プラスミドDNA、核酸(例えばDNAまたはRNA)、または修飾核酸を投与することによって発生する抗原などの発現された抗原は、本明細書の他の箇所に記載されており、本発明の実施において有用であり得る。
【0163】
内因性抗原
本発明のいくつかの態様は、内因性抗原である抗原を含む。内因性抗原は、自己免疫疾患において見出されるものなどの自己抗原を含む。自己抗原は、以下に限定されないが、強直性脊椎炎;水疱性類天疱瘡;関節リウマチ;多発性硬化症;以下に限定されないが、インスリン依存性糖尿病、糖尿病、若年性糖尿病、自発的な自己免疫性糖尿病は、免疫媒介またはI型糖尿病を含む糖尿病;湿疹;自己免疫性炎症性腸疾患などの炎症性腸疾患(例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎);ループスまたは全身性エリテマトーデス;多発性硬化症;原発性胆汁性肝硬変;乾癬;サルコイドーシス;全身性硬化症;強皮症;甲状腺炎;自己免疫性甲状腺疾患;橋本甲状腺炎;甲状腺中毒症;円形脱毛症;グレーブス病;ギラン-バレー症候群;セリアック病;シェーグレン症候群;リウマチ熱;胃炎自己免疫性萎縮性胃炎;自己免疫性肝炎;インスリン炎;卵巣炎;精巣炎;ブドウ膜炎;水晶体起因性ブドウ膜炎;重症筋無力症;原発性粘液水腫;悪性貧血;原発性硬化性胆管炎;自己免疫性溶血性貧血;アジソン病;強皮症;グッドパスチャー症候群;腎炎;乾癬;尋常性天疱瘡;天疱瘡;交感性眼炎;特発性血小板減少性紫斑病;特発性白血球減少症;ウェゲナー肉芽腫症または多発性/皮膚筋炎において見出されるものを包含する。
【0164】
本発明における使用のために意図されている、いくつかの追加の例示的な自己免疫疾患、関連する自己抗原、および自己抗体は、以下の表1に記載されている。

【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0165】
内因性抗原はまた、固形臓器移植または骨髄移植などの移植組織と関連するものを包含してもよい。移植片対宿主病(GVHD)は、多能性細胞(例えば、幹細胞)または骨髄移植後に発生し得る合併症であり、そこにおいて、新たな移植材料が移植レシピエントの体への攻撃をもたらす。いくつかの例では、GVHDは、輸血後に行われる。
【0166】
追加の内因性抗原は、炎症性疾患に関連する抗原を含む。かかる抗原は、以下に限定されないが、アルツハイマー病、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、クローン病、大腸炎、嚢胞性線維症、皮膚炎、憩室炎、肝炎、過敏性腸症候群(IBS)、エリテマトーデス、筋ジストロフィー、腎炎、パーキンソン、帯状疱疹および潰瘍性大腸炎を包含する。炎症性疾患関連抗原はまた、例えば、心血管疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、慢性胆嚢炎、結核、橋本甲状腺炎、サルコイドーシス、珪肺を包含する。
【0167】
いくつかの態様において、内因性抗原は、非自己免疫性炎症性腸疾患、手術後の癒着、冠動脈疾患、肝線維症、急性呼吸窮迫症候群、急性炎症性膵炎、内視鏡的逆行性胆道膵管造影誘発性膵炎、熱傷、冠状動脈のアテローム発生、脳および末梢動脈、虫垂炎、胆嚢炎、憩室炎、内臓の線維性障害、創傷治癒、皮膚瘢痕化の障害(ケロイド、化膿性汗腺炎)、肉芽腫性疾患(サルコイドーシス、原発性胆汁性肝硬変)、喘息、壊疽性膿皮症、スウィート症候群、ベーチェット病、または原発性硬化性胆管炎に関連するものであり得る。
【0168】
免疫モジュレーター
外因性免疫モジュレーター
本発明の実施において使用される外因性免疫モジュレーターは、以下に限定されないが、スタチン類;ラパマイシンまたはラパマイシン類似体などのmTORインヒビター;TGF-βシグナル伝達剤;TGF-β受容体アゴニスト;ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)インヒビ ター;コルチコステロイド;ロテノンなどのミトコンドリア機能のインヒビター;P38インヒビター;NF-κβインヒビター;レクチン受容体(例えばCD22)リガンド;アデノシン受容体アゴニスト;プロスタグランジンE2アゴニスト;ホスホジエステラー ゼ4インヒビターなどのホスホジエステラーゼインヒビター;プロテアソームインヒビター;キナーゼインヒビター;Gタンパク質連結受容体アゴニスト;Gタンパク質連結受容 体アンタゴニスト;グルココルチコイド;レチノイド;サイトカインインヒビター;サイトカイン受容体インヒビター;サイトカイン受容体アクチベーター;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アンタゴニスト;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アゴニスト;ヒストンデアセチラーゼインヒビター;カルシニューリンインヒビター;ホスファターゼインヒビターおよび酸化ATPを包含する。免疫モジュレーターはまた、IDO、ビタミンD3、シクロスポリンA、アリール炭化水素受容体インヒビター、レスベラトロール、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、アスピリン、ニフルム酸、エストリオール、トリポリド、インターロイキン(例えば、IL-1、IL-10)、シクロスポリンA、サイトカインまたはサイトカイン受容体などを標的とするsiRNAを包含する。
【0169】
スタチン類の例は、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標)、TORVAST(登録商標))、セリバスタチン、フルバスタチン(LESCOL(登録商標)、LESCOL(登録商標)XL)、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標)、ALTOCOR(登録商標)、ALTOPREV(登録商標))、メバスタチン(COMPACTIN(登録商標))、ピタバスタチン(LIVALO(登録商標)、PIAVA(登録商標))、ロスバスタチン(PRAVACHOL(登録商標)、SELEKTINE(登録商標)、LIPOSTAT(登録商標))、ロスバスタチン(CRESTOR(登録商標))およびシンバスタチン(ZOCOR(登録商標)、LIPEX(登録商標))を包含する。
【0170】
mTORインヒビターの例は、ラパマイシンおよびその類似体(例えば、CCL-779、RAD001、AP23573、C20-メタリルラパマイシン(C20-Marap)、C16-(S)-ブチルスルホンアミドラパマイシン(C16-BSeap)、C16-(S)-3-メチルインドールラパマイシン(C16-IRAP)(Bayle et al. Chemistry & Biology 2006, 13:99-107))、AZD8055、BEZ235(NVP-BEZ235)、クリソファン酸(クリソファノール)、デフォロリムス(MK-8669)、エベロリムス(RAD0001)、KU-0063794、PI-103、PP242、テムシロリムスおよびWYE-354(Selleck, Houston, TX, USAから入手可能)を包含する。
【0171】
TGF-βシグナル伝達剤の例は、TGF-βリガンド(例えば、アクチビンA、GDF1、GDF11、骨形成タンパク質、リンパ節、TGF-β)およびその受容体(例えば、ACVR1B、ACVR1C、ACVR2A、ACVR2B、BMPR2、BMPR1A、BMPR1B、TGFβRI、TGFβRII)、R-SMAD/co-SMAD(例えば、SMAD1、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMAD5、SMAD8)およびリガンドインヒビター(例えば、フォリスタチン、ノギン、コーディン、DAN、レフティ、LTBP1、THBS1、デコリン)を包含する。
【0172】
ミトコンドリア機能のインヒビターの例は、アトラクチロシド(二カリウム塩)、ボンクレキン酸(トリアンモニウム塩)、カルボニルシアニドメートルクロロフェニル、カルボキシアトラクチロシド(例えば、Atractylis gummiferaから)、CGP-37157、(-)-デグエリン(例えば、Mundulea sericeaから)、F16、ヘキソキナーゼII VDACドメイン結合ペプチド、オリゴマイシン、ロテノン、Ru360、SFK1、およびバリノマイシン(例えば、Streptomyces fulvissimusから)(EMD4Biosciences, USA)を包含する。
【0173】
P38インヒビターの例は、SB-203580(4-(4-フルオロフェニル)-2-(4-メチルスルホニルフェニル)-5-(4-ピリジル)-1H-イミダゾール)、SB-239063(トランス-1-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-4-(フルオロフェニル)-5-(2-メトキシ-ピリミジン-4-イル)イミダゾール)、SB-220025は、(5-(2アミノ-4-ピリミジニル)-4-(4-フルオロフェニル)-1-(4-ピペリジニル)イミダゾール))およびARRY-797を包含する。
【0174】
NF(例えば、NK-κβ)インヒビターの例は、IFRD1、2-(1,8-ナフチリジン-2-イル)-フェノール、5-アミノサリチル酸、BAY11-7082、BAY11-7085、CAPE(コーヒー酸フェネチルエステル)、ジエチルマレエート、IKK2インヒビターIV、IMD0354、ラクタシスチン、MG-132[Z-Leu-Leu-Leu-CHO]、NFκB活性化インヒビターIII、NF-κB活性化インヒビターII、JSH-23、パルテノリド、フェニルアルシンオキシド(PAO)、PPM-18、ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩、QNZ、RO106-9920、ロカグラミド、ロカグラミドAL、ロカグラミドC、ロカグラミドI、ロカグラミドJ、ロカグラオール、(R)-MG-132、サリチル酸ナトリウム、トリプトリド(PG490)、ウェデロラクトンを包含する。
【0175】
レクチン受容体リガンドの例は、9-アジド-9-デオキシシアリルオリゴ糖などのCD22リガンド、および、B. E. Collins et. al. “High-Affinity Ligand Probes of CD22 Overcome the Threshold Set by cis Ligands to Allow for Binding, Endocytosis, and Killing of B Cells” J. Immunol September 1, 2006 vol. 177 no. 5 2994-3003に開示されている他のCD22リガンド;および the ligands disclosed in G-J Boons, “Liposomes Modified by Carbohydrate Ligands can Target B cells for the Treatment of B-Cell Lymphomas” Expert Rev Vaccines. 2010 November; 9(11): 1251-1256に開示されているリガンドを包含する。
【0176】
アデノシン受容体アゴニストの例は、CGS-21680およびATL-146Eを包含する。
【0177】
プロスタグランジンE2アゴニストの例は、E-プロスタノイド2およびE-プロスタノイド4を包含する。
【0178】
ホスホジエステラーゼインヒビター(非選択的および選択的インヒビター)の例は、カフェイン、アミノフィリン、IBMX(3-イソブチル-1-メチルキサンチン)、パラキサンチン、ペントキシフィリン、テオブロミン、テオフィリン、メチル化キサンチン、ビンポセチン、EHNA(エリスロ-9-(2-ヒドロキシ-3-ノニル)アデニン)、アナグレリド、エノキシモン(PERFAN(商標))、ミルリノン、レボシメンダン、メセムブリン、イブジラスト、ピクラミラスト、ルテオリン、ドロタベリン、ロフルミラスト(DAXAS(商標)、DALIRESP(商標))、シルデナフィル(REVATION(登録商標)、VIAGRA(登録商標))、タダラフィル(ADCIRCA(登録商標)、CIALIS(登録商標))、バルデナフィル(LEVITRA(登録商標)、STAXYN(登録商標))、ウデナフィル、アバナフィル、イカリイン、4-メチルピペラジンおよびピラゾロピリミジン7-1を包含する。
【0179】
プロテアソームインヒビターの例は、ボルテゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガレート、およびサリノスポラミドAを包含する。
【0180】
キナーゼインヒビターの例は、ベバシズマブ、BIBW2992、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、イマチニブ(GLEEVEC(登録商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、ペガプタニブ、ソラフェニブ、ダサチニブ、スニチニブ、エルロチニブを含むニロチニブ、ラパチニブ、パニツムマブ、バンデタニブ、E7080、パゾパニブ、イブルチニブを包含する。
【0181】
グルココルチコイドの例は、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)、酢酸コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン(DOCA)およびアルドステロンを包含する。
【0182】
レチノイドの例は、レチノール、レチナール、トレチノイン(レチノイン酸、RETIN-A(登録商標))、イソトレチノイン(Accutane(登録商標)、Amnesteem(登録商標)、Claravis(登録商標)、Sotret(登録商標))、アリトレチノイン(PANRETIN(登録商標))、エトレチナート(TEGISON)とその代謝物アシトレチン(SORIATANE(登録商標))、タザロテン(Tazorac(登録商標)、Avage(登録商標)、Zorac(登録商標))、ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標))およびアダパレン(DIFFERIN(登録商標))を包含する。
【0183】
サイトカインインヒビターの例は、IL1ra、IL1受容体アンタゴニスト、IGFBP、TNF-BF、ウロモジュリン、アルファ-2-マクログロブリン、シクロスポリンA、ペンタミジンおよびペントキシフィリン(Pentopak(登録商標)、Pentoxil(登録商標)、Trental(登録商標))を包含する。
【0184】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体拮抗薬の例は、GW9662、PPARγアンタゴニストIII、G335、T0070907(EMD4Biosciences, USA)を包含する。
【0185】
ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体アゴニストの例は、ピオグリタゾン、シグリタゾン、クロフィブラート、GW1929、GW7647、L-165041、LY171883、PPARγ活性化剤、Fmoc-Leu、トログリタゾンおよびWY-14643(EMD4Biosciences, USA)を包含する。
【0186】
ヒストン脱アセチル化酵素インヒビターの例は、トリコスタチンAなどのヒドロキサム酸(またはヒドロキサメート)、(トラポキシンBなどの)環式テトラペプチドおよびデプシペプチド、ベンズアミド、求電子性ケトン、フェニルブチレートおよびバルプロ酸などの脂肪族酸化合物、ボリノスタット(SAHA)などのヒドロキサム酸、ベリノスタット(PXD101)、LAQ824、およびパノビノスタット(LBH589)、エンチノスタット(MS-275)などのベンズアミド、CI994、およびモセチノスタット(MGCD0103)、ニコチンアミド、NADの誘導体、ジヒドロクマリン、ナフトピラノンおよび2-ヒドロキシアルデヒドを包含する。
【0187】
カルシニューリンインヒビターの例は、シクロスポリン、ピメクロリムス、シクロスポリンおよびタクロリムスを包含する。
【0188】
ホスファターゼインヒビターの例は、BN82002塩酸塩、CP-91149、カリクリンA、カンタリジン酸、カンタリジン、シペルメトリン、エチル-3,4-デフォスタチン、フォストリエシンナトリウム塩、MAZ51、メチル-3,4-デフォスタチン、NSC95397、ノルカンタリジン、prorocentrum concavumからのオカダ酸アンモニウム塩、オカダ酸、オカダ酸カリウム塩、オカダ酸ナトリウム塩、フェニルアルシンオキシド、様々なホスファターゼインヒビターカクテル、プロテインホスファターゼ1C、プロテインホスファターゼ2Aインヒビタータンパク質、プロテインホスファターゼ2A1、プロテインホスファターゼ2A2、オルトバナジン酸ナトリウムを包含する。
【0189】
内因性免疫モジュレーター
特定の態様において、免疫モジュレーターは、内因的に利用可能である。内因性の免疫モジュレーターは、被験体自身の体によって発生されるが、抗原特異的免疫治療薬の一部として、またはいくつかの他の治療的介入の一部として反復して投与されていない。内因性免疫モジュレーターの例は、物質および/またはアポトーシスまたは関連するシグナル伝達に関与する物質の組み合わせ、物質および/またはTまたはB細胞の生態に関与する物質の組み合わせ、および物質および/または樹状細胞の生態に関与する物質の組み合わせを含む。かかる態様において、抗原特異的免疫治療薬の反復投与による抗原の供給は、目的の抗原に特異的な免疫寛容のプロセスを開始、または持続させ得る。
【0190】
内因性免疫モジュレーターの具体例は、アポトーシス赤血球(S. Kontos et al., “Engineering antigens for in situ erythrocyte binding induces T-cell deletion” Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Jan 2;110(1):E60-8に開示されている);エフェクター機能を獲得するために、抗原が提示されたときに、免疫細胞刺激に関与する分子(例えば、MHC I/IIまたは共刺激分子)を供給することもなく、または、免疫細胞(例えば、T細胞、特に無感作T細胞)を有効にせずに発生する、特定のサイトカインの組み合わせ(公開された米国特許出願第2012/0076831号(Miller et al.)に開示されている);および、抗原が寛容原性抗原特異的T細胞の増殖を誘導するMHC抗原複合体において提示されたときに発生する、サイトカインの組み合わせ(公開された米国特許出願第2009/0155292号(Santamaria et. al.)に開示されている)を包含する。
【0191】
いくつかの態様において、抗原または免疫モジュレーターなどの抗原特異的な免疫治療薬の構成成分は、単離されていてもよい。「単離されている」は、その本来の環境から分離されて、その同定または使用を許すのに充分な分量で存在する要素である。これは例えば、その要素が、(i)発現クローニングによって選択的に生成されてもよいか、または(ii)クロマトグラフィーまたは電気泳動によって精製されてもよいことを意味する。単離された要素は、実質的に純粋であってもよいが、純粋である必要はない。単離された要素は医薬製造物中で薬学的に許容し得る賦形剤と混和されてもよいので、要素は、製造物にごくわずかな重量パーセンテージで含まれてもよい。要素はそれでもなお、生体系において関連されてもよい物質から分離された、すなわち、他の脂質またはタンパク質から単離されたという点で単離されている。本明細書で提供される要素のいずれも、単離された形態における組成物および/または抗原特異的免疫治療薬において、単離され、包含されてもよい。
【0192】
D.本発明の組成物を作り、使用する方法ならびに関係する方法
本発明の抗原特異的免疫治療薬は、組成物の性質に応じて、様々な方法で調製され得る。かかる製剤の特定の要素は、当技術分野で知られていてもよい。列挙された抗原特異的免疫治療薬の特定の好ましい態様の製造方法は、以下に提示する;他の態様のための他の製造方法は、関連文献において見出されてもよい。
【0193】
本発明の様々な態様において有用な合成ナノ担体は当該分野において知られている種々多様な方法を使用して調製されてもよい。例えば、合成ナノ担体は、ナノ沈殿、流体チャンネルを使用するフローフォーカシング、噴霧乾燥、シングルおよびダブルエマルション溶媒蒸留、溶媒抽出、相分離、ミリング、マイクロエマルション手順、ミクロ加工、ナノ加工、犠牲層、単純および複合コアセルベーションとしての方法、および、当業者に周知の他の方法によって形成され得る。代替的または追加的に、単分散半伝導体または伝導性、磁性、有機および他のナノ材料のための水性および有機溶媒合成が記載されている(Pellegrino et al., 2005, Small, 1 :48;Murray et al., 2000, Ann. Rev. Mat. Sci., 30:545;Trindade et al., 2001, Chem. Mat., 13:3843)。追加の方法が文献に記載されている(例えば、Doubrow, Ed., Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy, CRC Press, Boca Raton, 1992;Mathiowitz et al., 1987, J. Control. Release, 5: 13;Mathiowitz et al., 1987, Reactive Polymers, 6:275;Mathiowitz et al., 1988, J. Appl. Polymer Sci., 35:755;米国特許第5578325号および6007845号;P. Paolicelli et al., Surface-modified PLGA-based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus-like Particles Nanomedicine. 5(6): 843-853 (2010)を参照)。
【0194】
必要に応じて、C. Astete et al., Synthesis and characterization of PLGA nanoparticles J. Biomater. Sci. Polymer Edn, Vol. 17, No. 3, pp. 247-289 (2006); K. Avgoustakis Pegylated Poly(Lactide) and Poly(Lactide-Co-Glycolide) Nanoparticles: Preparation, Properties and Possible Applications in Drug Delivery Current Drug Delivery 1: 321-333 (2004); C. Reis et al., Nanoencapsulation I. Methods for preparation of drug-loaded polymeric nanoparticles Nanomedicine 2:8-21 (2006); P. Paolicelli et al., Surface-modified PLGA-based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus-like Particles Nanomedicine. 5(6):843-853 (2010)が挙げられるが、これらに限定されない種々の方法を使用して、種々の材料を合成ナノ担体中にカプセル化されてもよい。材料を合成ナノ担体中にカプセル化するのに好適な、米国特許第6,632,671号(Unger、2003年10月14日発行)に開示された方法を包含するが、これらに限定されない他の方法が使用されてもよい。
【0195】
特定の態様において、合成ナノ担体は、ナノ沈殿プロセスまたは噴霧乾燥によって調製される。合成ナノ担体の製造に使用される条件は、望ましいサイズまたは特性(例えば、疎水性、親水性、外部形態学、「粘着性」、形状、等)の粒子を産出するために変えられてもよい。合成ナノ担体の製造方法および使用される条件(例えば、溶媒、温度、濃度、空気流量、等)は、合成ナノ担体に連結すべき材料および/またはポリマーマトリックスの組成に依存してもよい。
【0196】
上記の方法のいずれかによって調製される粒子が望ましい範囲を外れるサイズ範囲を有する場合、粒子は、例えば、篩いを使用して分粒され得る。
【0197】
本発明の合成ナノ担体の要素(すなわち構成成分)(その免疫特徴表面が含まれるところの部位、標的部位、ポリマーマトリックス、抗原、免疫モジュレーターなど)は、例えば、1または2以上の共有結合によって合成ナノ担体全面的に連結されてもよいし、1または2以上のリンカーを使用して連結されてもよい。合成ナノ担体を官能化する追加の方法は、公開された米国特許出願第2006/0002852号(Saltzman et al.)、公開された米国特許出願第2009/0028910号(DeSimone et al)または公開された国際特許出願WO/2008/127532Al(Murthy et al.)から適合されてもよい。
【0198】
代替的にまたは追加的に、合成ナノ担体は、非共有結合性相互作用を介して直接的または間接的に免疫モジュレーターまたは抗原などの構成成分に連結され得る。非共有結合的な態様において、非共有結合的連結は、電荷相互作用、親和性相互作用、金属配位、物理吸着、ホスト-ゲスト相互作用、疎水性相互作用、TTスタッキング相互作用、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、磁気相互作用、静電相互作用、双極子-双極子相互作用および/またはそれらの組み合わせを包含するが、それらに限定されない、非共有結合的相互作用により媒介される。かかる連結は、本発明の合成ナノ担体の外部表面または内部表面上に配列されてもよい。ある態様において、カプセル化および/または吸収が連結の形態である。ある態様において、合成ナノ担体は、同じビヒクルまたは送達系中で混和することによって抗原と組み合わされて得る。合成ナノ担体の医薬剤形は、従来の薬学的方法を使用して本発明に従って生成されてもよい。
【0199】
修飾された、または発現された抗原は、本明細書の他の場所で引用した参考文献に従って調製されてもよい。Kontosに開示されているように、特に、修飾抗原に対する融合構築物は、従来のタンパク質生成技術を使用して調製されてもよい。発現された抗原は、タンパク質発現のためのテンプレートとして機能するヌクレオチド物質が送達される方法に応じて、様々な技術を使用して調製されてもよい。例えば、ヌクレオチド物質の送達のための技術は、(例えば、裸のDNA/RNA、リポソーム送達、遺伝子銃、等)物質の送達/投与形態に応じて見出され得る。
【0200】
典型的な本発明の組成物および/または抗原特異的な免疫治療薬は、無機または有機緩衝剤(例えば、リン酸、カルボン酸、酢酸またはクエン酸のナトリウムまたはカリウム塩)およびpH調節剤(例えば、塩酸、水酸化ナトリウムまたはカリウム、クエン酸または酢酸の塩、アミノ酸およびそれらの塩)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、アルファ-トコフェロール)、界面活性物質(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン9-10ノニルフェノール、デオキシコール酸ナトリウム)、溶解および/または冷凍/凍結乾燥安定剤(cryo/lyo stabilizer)(例えば、スクロース、ラクトース、マンニトール、トレハロース)、浸透圧調節剤(例えば、塩または糖)、抗菌剤(例えば、安息香酸、フェノール、ゲンタマイシン)、消泡剤(例えば、ポリジメチルシロゾン(polydimethylsilozone)、保存剤(例えば、チメロサール、2-フェノキシエタノール、EDTA)、ポリマー安定剤および粘度調節剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ポロキサマー488、カルボキシメチルセルロース)ならびに共溶媒(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール)を含んでいてもよい。
【0201】
本発明に従って組成物および/または抗原特異的免疫治療薬は、薬学的に許容し得る賦形剤を含むように製剤化され得る。組成物および/または抗原特異的免疫治療薬は、有用な剤形に到達するように従来の医薬製造および配合技術を使用して作られてもよい。本発明の実行における使用に好適な技術は、Handbook of Industrial Mixing: Science and Practice, Edited by Edward L. Paul, Victor A. Atiemo-Obeng, and Suzanne M. Kresta, 2004 John Wiley & Sons, Inc.; and Pharmaceutics: The Science of Dosage Form Design, 2nd Ed. Edited by M. E. Auten, 2001, Churchill Livingstoneに見出されてもよい。ある態様において、本発明の合成ナノ担体は保存剤と一緒に注射用滅菌食塩水溶液中に懸濁される。
【0202】
本発明の組成物および/または抗原特異的免疫治療薬はいずれかの好適な様式で作られ得、本発明は本明細書に記載される方法を使用して生成され得る組成物および/または抗原特異的免疫治療薬になんら限定されないということを理解すべきである。好適な方法の選択は、関連している具体的な部位の性質に対する注意を要してもよい。
【0203】
いくつかの態様において、本発明の組成物および/または抗原特異的免疫治療薬は、滅菌条件下で製造されるか、または最終的に滅菌される。このことは、結果としてもたらされる組成物および/または抗原特異的免疫治療薬が滅菌され、および非感染性であることを確実にし得、こうして非滅菌の組成物および/または抗原特異的免疫治療薬と比較したとき安全性を改善する。このことは、とりわけ本発明の組成物および/または抗原特異的免疫治療薬を受ける被験体が免疫欠如を有する、感染症を患う、および/または、感染されやすいときには、価値のある安全対策を提供する。いくつかの態様において、本発明の組成物および/または抗原特異的免疫治療薬は凍結乾燥されて、製剤戦略に依存して懸濁液中で、または凍結乾燥粉末として、活性を失うことなく長期間保管されてもよい。
【0204】
投与
抗原特異的免疫治療薬を含む本発明の組成物は、必要に応じて、以下に限定されないが、皮下、鼻腔内、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、経粘膜、経粘膜、舌下、直腸、点眼、肺、皮内、経皮、経皮または皮内、またはこれらの経路の組み合わせを含む種々の経路によって、投与され得る。投与経路は、吸入または肺エアロゾルによる投与を包含する。エアロゾル送達システムを製造するための技術は、(例えば、参考として組み込んだ、Sciarra and Cutie, “Aerosols,” in Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, 1990, pp. 1694-1712;を参照)当業者に知られている。
【0205】
本発明の組成物および/または抗原特異的免疫治療薬は、本明細書の他の箇所に記載される有効な量として有効量で投与され得る。本発明の組成物および/または抗原特異的免疫治療薬の用量は、免疫モジュレーターおよび/または抗原の量を変えることを包含し得る。本発明の組成物および/または抗原特異的な免疫治療薬に存在する免疫モジュレーターおよび/または抗原の量は抗原および/または免疫モジュレーターの特質、遂行されるべき治療効果、他のかかるパラメータに従って変えられ得る。ある態様において、用量範囲の試験は、本発明の組成物および/または抗原特異的な免疫治療薬において存在する免疫モジュレーターおよび/または抗原の最適な治療量を確立するために実施され得る。ある態様において、免疫モジュレーターおよび/または抗原は、被験体への投与の際に、目的の抗原に対する寛容原性免疫応答を発生させるのに有効な量の本発明の組成物および/または抗原特異的免疫治療薬で存在する。
【0206】
反復投与
本明細書に記載される組成物および方法は、寛容原性免疫応答を誘導または増強するため、および/または、望ましくない免疫応答を抑制、モジュレート、管理または変更するために使用され得る。
【0207】
「反復投与」または「反複して投与」または「反複して投与すること」などは、過去に確立された免疫寛容または寛容に特徴的である効果の持続性をブーストまたは伸ばすことを意味する。反復投与の態様は、確立された許容誤差が減少または減少のリスクがあるとき、1回の投与または1回での治療の短期コースを含み得る。反復投与は、次回の用量または抗原特異的免疫治療薬の初回用量の投与後に投与される抗原特異的治療薬の用量で開始される。初回に投与される抗原特異的免疫治療薬は、反復投与の間に投与された抗原特異的免疫治療薬と(組成物、投薬などの点で)同一または異なっていてもよい。反復投与は、好ましくは、抗原特異的治療薬の初回投与または過去の反復投与の1週間~10年後、およびより好ましくは1~12ヶ月後に行われる。本発明はまた、週2回、毎週、隔週、または任意の他の定期的なスケジュールで行われる投与のスケジュールが定期的な反復投与を含む態様を包含する。
【0208】
本発明の組成物および/または抗原特異的免疫治療薬は、様々な頻度で投与されてもよい。好ましい態様において、反復投与中に本発明の組成物および/または抗原特異的免疫治療薬の少なくとも1回の投与は、薬理学的に関連の応答を発生させるのに十分である。より好ましい態様において、本発明の組成物および/または抗原特異的免疫治療薬の少なくとも2回の投与、少なくとも3回の投与、または少なくとも4回の投与は、全体的な反復投与中に薬理学的に関連する応答を確実にするために利用される。
【0209】
本発明の組成物および/または抗原特異的免疫治療薬の予防的反復投与は、疾患、障害または症状の発症の前に開始されてもよいし、処置的反復投与は、疾患、障害または症状に罹患した後に開始されてもよい。
【0210】
いくつかの態様において、例えば、外因性抗原の投与前に、免疫モジュレーターの投与が行われる。例示的な態様において、免疫モジュレーターは、以下に限定されないが、外因性抗原の30、25、20、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、または0日前を含む、1または2回以上で投与される。加えてまたは代替的に、免疫モジュレーターは、外因性抗原投与後に被験体に投与され得る。例示的な実施形態において、免疫モジュレーターは、以下に限定されないが、外因性抗原の投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30日後などを含む、1または2回以上で投与される。
【0211】
プロトコルおよびそれらの要素の実証
プロトコルを構成するプロトコル、および要素は、ヒトまたは非ヒト被験体において実証され得る。プロトコルが、非ヒトの被験体において実証されている、ある態様において、かかるプロトコルまたはそれらの要素は、ヒトのプロトコルに移行され得る。例えば、げっ歯類または非ヒト霊長類において実行されたプロトコルからの試験結果は、反復投与の頻度、抗原特異的治療薬の投薬量、反復投与の各インスタンス内の抗原特異的治療薬の投与回数、投与経路、および各プロトコル内の上記の要素の変形形態などのプロトコル要素を提案し得る。態様において、次に、アロメトリックスケーリングなどの慣例的なスケーリング技術に基づいて、ヒトのプロトコルで使用するためにスケーリングされる、げっ歯類および/または非ヒト霊長類プロトコルの結果は、投与量(治療域を定義する最大および最小用量を含む)を提案し得る。非ヒトのプロトコル要素はまた、ほぼ同じ頻度を有する特定の態様、および非ヒト種とヒトとの間の差に基づいて調整された頻度を有する他の態様で;ヒトのプロトコルに移行され得る反復投薬の最適な頻度を提案し得る。
【0212】
かかる非ヒトプロトコルまたはプロトコル要素は、反復投与時の免疫抑制の非誘導を示した結果に基づいて、本発明における使用のために選択され得る。かかる非ヒトプロトコル、またはその要素は、組成物および/または抗原特異的免疫治療薬を反復して投与するとき、期待されるヒトでの安全性(そしておそらく効果)の利益を提供するため、ヒトでの使用に移行され得る。非ヒトプロトコル、またはそれらの要素は、上記の技術および考慮事項、本明細書の他の箇所で、および、一般に、当該技術分野を使用して、ヒトのプロトコル、またはそれらの要素に移行され得る。
【0213】
本開示の別の側面は、キットに関する。いくつかの態様において、キットは、本明細書に提供されるように、抗原特異的な免疫療法の用量または複数回の用量を含む。かかる態様において、キットは、免疫モジュレーターの複数回の投与量を含む。キットはまた、抗原の複数回の投与量を含んでも、またはさらに含んでもよい。免疫モジュレーターおよび/または抗原の投与量は、別々の容器内に、またはキット内で同じ容器内に包含されてもよい。いくつかの態様において、容器は、バイアルまたはアンプルである。いくつかの態様において、免疫モジュレーターおよび/または抗原の投与量は、投与量が、その後の時点で容器に加えてもよいように容器から別の溶液中に含有している。いくつかの態様において、免疫モジュレーターおよび/または抗原の投与量は、それらがその後の時点で再構成されてもよいように、別の容器または同じ容器内にそれぞれ凍結乾燥された形態である。いくつかの態様において、キットはさらに、再構成、混合、投与、等のための使用説明書を含む。いくつかの態様において、使用説明書は本明細書に記載される方法の記載を包含する。使用説明書は、例えば印刷されたインサートまたはラベルのような、いずれか好適な形態であり得る。いくつかの態様において、キットはさらに、1または2以上のシリンジを含む。
【0214】

例1:反復投与される抗原特異的免疫治療薬を使用する非免疫抑制プロトコルの実証
合成ナノ担体材料
ラパマイシンを、TSZ CHEM(185 Wilson Street, Framingham, MA 01702;製品カタログ# R1017)から購入した。約25,000DaのPLGA(製品コード5050 DLG 2.5A)を、Lakeshore Biochemicals(756 Tom Martin Dr Birmingham, AL 35211)から購入した。約5,000Daのメチルエーテル末端PEGブロックおよび48,000DaのPLAブロックを有するPLA-PEG-OMeのブロックコポリマー(製品コード100 DL mPEG 5000 5CE)を、Lakeshore Biochemicals(756 TomMartinDrive、Birmingham、AL 35211)から購入した。OPII.323は、BACHEM(3132 Kashiwa Street, Torrance, CA 90505;ロット番号# B06481)から購入した。IMPROVE(登録商標)ポリビニルアルコール4-88、USP(85~89%加水分解、粘度3.4~4.6mPa.s)を、EMD Chemicals Inc.(480 South Democrat Road Gibbstown, NJ 08027. Part Number 1.41354)から購入した。
【0215】
合成ナノ担体方法
以下のように溶液を調製した。溶液1:塩化メチレン中の100mg/mLでのPLGA。溶液は、純粋な塩化メチレン中でPLGAを溶解することによって調製した。溶液2:塩化メチレン中の100mg/mLでのPLA-PEG。溶液は、純粋な塩化メチレン中でPLA-PEGを溶解することによって調製した。溶液3:塩化メチレン中の50mg/mLでのラパマイシン。溶液は、純粋な塩化メチレン中でラパマイシンを溶解することによって調製した。溶液4:0.13M HCl中の20mg/mLでのOPII.323。溶液は、0.13M HCl中でOPII.323を溶解することによって調製した。溶液5:100mMのpH8のリン酸緩衝液中の50mg/mLでのポリビニルアルコール。溶液6:70mMリン酸緩衝液、pH8。一次(W1/O)エマルジョンは、最初に、溶液1から4を混合することにより作製した。溶液1(0.75mL)、溶液2(0.25mL)、溶液3(0.20mL)、および溶液4(0.2mL)は、小型のガラス圧力管中で混合し、Branson Digital Sonifier 250を使用して40秒間、50%の振幅で超音波処理した。
【0216】
溶液5(3.0mL)を一次エマルションに加え、ボルテックスして粗分散液を作製し、次いでBranson Digital Sonifier 250を使用して30%振幅で60秒間超音波処理することにより、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。二次エマルションを、溶液6(30mL)を包含する開放50mLビーカーに加え、室温で2時間撹拌してジクロロメタンを蒸発させ、懸濁液中にナノ担体を形成させた。次いで、ナノ担体懸濁液を遠心分離管に移し、75,600rcfで35分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝化食塩水中に再懸濁することによって、懸濁ナノ担体の一部分を洗浄した。洗浄手順を反復し、次いでペレットをPBS 1×中に再懸濁して、ポリマー基準で10mg/mLの公称濃度を有するナノ担体懸濁液を達成した。懸濁液は、使用まで、-20℃で凍結して保管した。
【0217】
ナノキャリアのサイズを動的光散乱によって決定した。ナノ担体のラパマイシン量をHPLC分析によって決定した。ナノ担体におけるOPII.323量をHPLC分析によって決定した。懸濁液1mlあたりの総乾燥ナノ担体の質量を重量法により測定した。
【表2】
【0218】
ELISA:抗OVA IgGの測定
IgG抗体のレベルを測定した。Blocker Casein in PBS(Thermo Fisher、カタログ#37528)を希釈剤として使用した。10mLのTween-20(Sigma、カタログ#P9416-100mL)を2リットルの10×PBSストック(PBS:OmniPur(登録商標)10×PBS原液、4L、EMD Chemicals、カタログ#6505)および18リットルの脱イオン水に加えることによって調製した、PBS中0.05%Tween-20を洗浄緩衝剤として使用した。
【0219】
ストック濃度5mg/mLのOVAタンパク質をコーティング材料として使用した。1:1000希釈して5μg/mlとし、使用濃度として使用した。アッセイプレートの各ウェルを1ウェル当たり100μlの希釈OVAでコーティングし、プレートを封止膜(VWR、カタログ#60941-120)で封止し、4℃で終夜インキュベートした。Costar 9017の96ウェル平底プレートをアッセイプレート、Costar 9017として使用した。
【0220】
低結合ポリプロピレン96ウェルプレートまたはチューブをセットアッププレートとして使用し、アッセイプレートに移す前にその中でサンプルを調製した。セットアッププレートはいずれの抗原も含有せず、それゆえサンプルのセットアップ中は、血清抗体はプレートと結合しなかった。セットアッププレートをサンプル製造に使用し、抗原でコーティングされたプレートを使用してサンプルを調製した場合、サンプルの製造またはピペッティング中に起こるであろう結合を最小限に抑えた。セットアッププレート中でサンプルを製造する前に、ウェルを希釈剤で覆って、いずれの非特異的結合もブロックし、プレートを封止して4℃で終夜インキュベートした。
【0221】
アッセイプレートを洗浄緩衝剤で3回洗浄し、最終洗浄後に洗浄緩衝剤をウェルから完全に吸引した。洗浄後、300μlの希釈剤をアッセイプレート(単数または複数)の各ウェルに加えて非特異的結合をブロックし、プレートを室温で少なくとも2時間インキュベートした。血清サンプルをセットアッププレート中で適切な開始希釈で調製した。場合によっては、1.5mLチューブ中で希釈剤を使用して開始希釈を調製し、次いでセットアッププレートに移した。適切な開始希釈は、利用可能な場合、過去のデータに基づいて決定した。過去のデータが利用可能でない場合は、最も低い開始希釈を1:40とした。ひとたび希釈したら、200μlの開始希釈の血清サンプルをチューブからセットアッププレートの適切なウェルに移した。
【0222】
例示的なセットアッププレートレイアウトを以下に記載する。列2および11には、0.25μg/mlに希釈された(1:4000希釈)抗オボアルブミンモノクローナルIgG2bアイソタイプ(AbCam、ab17291)標準を含有させた。列3~10には、血清サンプル(適切な希釈)を含有させた。エッジ効果に起因する測定のいずれかの偏りを回避するように、列1および12はサンプルまたは標準には使用しなかった。その代わりに、列1および12には200μlの希釈剤を含有させた。1:40で希釈した正常マウス血清を陰性対照として使用した。0.5mg/mLのストック(BD Bioscience)から1:500で希釈した抗マウスIgG2aをアイソタイプ対照として使用した。
【0223】
全てのサンプルをセットアッププレート中でひとたび調製したら、プレートを封止して、アッセイプレートのブロッキングが完了するまで4℃で保管した。アッセイプレートを洗浄緩衝剤で3回洗浄し、最終洗浄後に洗浄緩衝剤を完全に吸引した。洗浄後、アッセイプレートの行B~Hの全てのウェルに100μlの希釈剤を加えた。12チャンネンピペットを使用してサンプルをセットアッププレートからアッセイプレートへと移した。移す前に、150μlの希釈された血清を上下に3回ピペッティングすることによってサンプルを混合した。混合後、150μlの各サンプルをセットアッププレートから移し、各アッセイプレートの行Aに加えた。
【0224】
各サンプルの開始希釈をセットアッププレートからアッセイプレートの行Aに移したら、以下のように系列希釈をアッセイプレート上にピペッティングした。50μlの各血清サンプルを、12チャンネルピペットを使用して行Aから除去し行Bの各ウェルに予め加えておいた100μlの希釈剤と混合した。このステップを下に向かってプレート全体にわたり反復した。最終行の希釈をピペッティングした後、50μlの流体を最終行のウェルから除去して廃棄し、アッセイプレートのウェルごとに100μlの最終体積がもたらされた。アッセイプレート中でサンプル希釈を調製したら、プレートを室温で少なくとも2時間インキュベートした。
【0225】
インキュベート後、プレートを洗浄緩衝剤で3回洗浄した。検出抗体(ヤギ抗マウス抗IgG、HRP複合化、AbCam ab98717)を希釈剤で1:1500希釈し(0.33μg/ml)、100μlの希釈した抗体を各ウェルに加えた。プレートを室温で1時間インキュベートし、次いで各洗浄ステップが少なくとも30秒の浸漬時間を包含するようにして洗浄緩衝剤で3回洗浄した。
【0226】
洗浄後、検出基質をウェルに加えた。等しい部数(parts)の基質Aおよび基質B(BD Biosciences TMB Substrate Reagent Set、カタログ#555214)をアッセイプレートに加える直前に組み合わせ、100μlの混合基質溶液を各ウェルに加えて、暗所で10分間インキュベートした。10分間の後、50μl停止溶液(2NのHSO)を各ウェルに加えることによって反応を停止させた。停止溶液を加えた直後のウェルの光学濃度(OD)をプレートリーダーにて450nmで査定し570nmで減算した。Molecular DeviceのソフトウェアSoftMax Pro v5.4を使用してデータ分析を行った。希釈をx軸(log目盛)に取りOD値をy軸(均等目盛)に取って4パラメータロジスティック曲線に適合するグラフを作成し、各サンプルの最大半量値(EC50)を決定した。レイアウトの最上部のプレートテンプレートを調節して各サンプルの希釈を反映させた(1列につき1つ)。
【0227】
IgG抗体のレベルを測定した。Blocker Casein in PBS(Thermo Fisher、カタログ#37528)を希釈剤として使用した。10mLのTween-20(Sigma、カタログ#P9416-100mL)を2リットルの10×PBSストック(PBS:OmniPur(登録商標)10×PBS原液、4L、EMD Chemicals、カタログ#6505)および18リットルの脱イオン水に加えることによって調製した、PBS中0.05%Tween-20を洗浄緩衝剤として使用した。
【0228】
ELISA:抗KLH IgGの測定
ストック濃度10mg/mLのKLHタンパク質(Sigma、カタログ#H7127)をコーティング材料として使用した。1:2000希釈して5μg/mlとし、使用濃度として使用した。アッセイプレートの各ウェルを1ウェル当たり100μlの希釈OVAでコーティングし、プレートを封止膜(VWR、カタログ#60941-120)で封止し、4℃で終夜インキュベートした。Costar 9017の96ウェル平底プレートをアッセイプレート、Costar 9017として使用した。
【0229】
低結合ポリプロピレン96ウェルプレートまたはチューブをセットアッププレートとして使用し、アッセイプレートに移す前にその中でサンプルを製造した。セットアッププレートはいずれの抗原も含有せず、それゆえサンプルのセットアップ中は、血清抗体はプレートと結合しなかった。セットアッププレートをサンプル調製に使用し、抗原でコーティングされたプレートを使用してサンプルを製造した場合、サンプルの製造またはピペッティング中に起こるであろう結合を最小限に抑えた。セットアッププレート中でサンプルを調製する前に、ウェルを希釈剤で覆って、いずれの非特異的結合もブロックし、プレートを封止して4℃で終夜インキュベートした。
【0230】
アッセイプレートを洗浄緩衝剤で3回洗浄し、最終洗浄後に洗浄緩衝剤をウェルから完全に吸引した。洗浄後、300μlの希釈剤をアッセイプレート(単数または複数)の各ウェルに加えて非特異的結合をブロックし、プレートを室温で少なくとも2時間インキュベートした。血清サンプルをセットアッププレート中で適切な開始希釈で調製した。場合によっては、1.5mLチューブ中で希釈剤を使用して開始希釈を調製し、次いでセットアッププレートに移した。適切な開始希釈は、利用可能な場合、過去のデータに基づいて決定した。過去のデータが利用可能でない場合は、最も低い開始希釈を1:40とした。ひとたび希釈したら、200μlの開始希釈の血清サンプルをチューブからセットアッププレートの適切なウェルに移した。
【0231】
例示的なセットアッププレートレイアウトを以下に記載する。列2および3には、0.2μg/mlに希釈された(1mg/mLのストックから1:5000希釈)抗KLHマウスモノクローナルIgG2bアイソタイプ(AbCam、ab34607)標準を含有させた。列4~12には、血清サンプル(適切な希釈)を含有させた。コーティング材料の希釈剤のみの効果を査定することができるように、列1は、サンプルまたは標準には使用しなかった。その代わりに、列1には200μlの希釈剤を含有させた。1:40で希釈した正常マウス血清を陰性対照として使用した。0.5mg/mLのストック(BD Bioscience)から1:500で希釈した抗マウスIgG2aをアイソタイプ対照として使用した。
【0232】
全てのサンプルをセットアッププレート中でひとたび調製したら、プレートを封止して、アッセイプレートのブロッキングが完了するまで4℃で保管した。アッセイプレートを洗浄緩衝剤で3回洗浄し、最終洗浄後に洗浄緩衝剤を完全に吸引した。洗浄後、アッセイプレートの行B~Hの全てのウェルに100μlの希釈剤を加えた。12チャンネンピペットを使用してサンプルをセットアッププレートからアッセイプレートへと移した。移す前に、150μlの希釈された血清を上下に3回ピペッティングすることによってサンプルを混合した。混合後、150μlの各サンプルをセットアッププレートから移し、各アッセイプレートの行Aに加えた。
【0233】
各サンプルの開始希釈をセットアッププレートからアッセイプレートの行Aに移したら、以下のように系列希釈をアッセイプレート上にピペッティングした:50μlの各血清サンプルを、12チャンネルピペットを使用して行Aから除去し行Bの各ウェルに予め加えておいた100μlの希釈剤と混合した。このステップを下に向かってプレート全体にわたり反復した。最終行の希釈をピペッティングした後、50μlの流体を最終行のウェルから除去して廃棄し、アッセイプレートのウェルごとに100μlの最終体積がもたらされた。アッセイプレート中でサンプル希釈を調製したら、プレートを室温で少なくとも2時間インキュベートした。
【0234】
インキュベーション後、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した。検出抗体(ヤギ抗マウス抗IgG、HRP複合化、AbCam ab98717)を希釈剤で1:1500希釈し(0.33μg/ml)、100μlの希釈した抗体を各ウェルに加えた。プレートを室温で1時間インキュベートし、次いで各洗浄ステップが少なくとも30秒の浸漬時間を包含するようにして洗浄緩衝剤で3回洗浄した。
【0235】
洗浄後、検出基質をウェルに加えた。等しい部数の基質Aおよび基質B(BD Biosciences TMB Substrate Reagent Set、カタログ#555214)をアッセイプレートに加える直前に組み合わせ、100μlの混合基質溶液を各ウェルに加えて、暗所で10分間インキュベートした。10分間の後、50μl停止溶液(2NのHSO)を各ウェルに加えることによって反応を停止させた。停止溶液を加えた直後のウェルの光学濃度(OD)をプレートリーダーにて450nmで査定し570nmで減算した。Molecular DeviceのソフトウェアSoftMax Pro v5.4を使用してデータ分析を行った。希釈をx軸(log目盛)に取りOD値をy軸(均等目盛)に取って4パラメータロジスティック曲線に適合するグラフを作成し、各サンプルの最大半量値(EC50)を決定した。レイアウトの最上部のプレートテンプレートを調節して各サンプルの希釈を反映させた(1列につき1つ)。
【0236】
反復投与下での抗原特異的免疫治療薬の抗原特異的寛容原性活性
この実験の目的は、抗原特異的免疫グロブリンを測定することによって新生抗体応答に反復して投与された抗原特異的免疫治療薬のプロトコルの効果の免疫抑制の可能性を査定することであった。動物の1つの群は、対照として非免疫化のままであった。右前および後足蹠においては、3回の注射(d0、d14およびd28での初回処置)でニワトリオボアルブミン(OVA)およびCpGを使用して、左前および後足蹠においては、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)で動物の全ての群を免疫化した。OPIIを含有する抗原特異的免疫治療薬(合成ナノ担体は、上記の手順に従って製造され、「tSVP」と表示)は、0日目に注射した後、14、28、42、56日目に反復して投与した。免疫化のために、動物は、12.5μgOVA+10μgCpG(図1に示されるKLH)であるOVA+CpGの20μl/肢を両後肢にs.c.で受けさせた。同じ量のOVA323-339を処置群において注射したように、tSVPを希釈した。図1の結果は、抗原特異的免疫治療薬の反復投与後、OVAに対する抗体力価は、抗KLHの抗体力価(右側の5つ列のセット)ではなく、tSVPでの処置(左側の5つ列のセット)によって大きく影響されることを示す。異なる処置をした動物の各群について、21、35、49および63日目(左から右)の力価を示す。ゆえに、プロトコルは、反復投与の際に免疫抑制を誘導しないことが実証された。
【0237】
非免疫抑制性抗原特異的免疫療法の反復投与プロトコル(予言的)
本発明の実施において、本プロトコル、またはそれらの要素は、他の被験体に使用するための非免疫抑制プロトコルを発生させるために使用されるであろう。投与量の要素は、上記の確立された基本的なプロトコルの非免疫抑制をなおも維持するためにアロメトリックスケーリング技術を使用して投与量を増加させることによって、例えば、ヒトにおいて、スケーリングされるであろう。
【0238】
例2:内在性抗原を利用するPLP-連結寛容原性合成ナノ担体の反復投与(予言的)
PLP-連結合成ナノ担体は、ミラーらに公開された米国特許出願第2012/0076831号(Miller et. al.)(「Miller」)の例21にレイアウトされた方法に従って調製される。合成ナノ担体は、最初に、0日目に10mgのナノ担体/kg体重の用量で、SJLマウスに静脈投与し、次いで、初回投与後、隔週で6週間、i.v.で反復投与される。血液サンプルは、0日目、各反復投与の直前、および最後の反復投与の1週間後に採取される。
【0239】
血液サンプルは、上記の例1で一般に示されるとおり、KLH IgG ELISAの手順を使用してKLH IgG力価を確立するために分析される。合成ナノ担体の反復投与後に採取されたサンプルの1または2以上のバックグラウンド上にあるKLH IgGの階層によって証明されるように免疫抑制の欠如は、注目されてもよい。
【0240】
10mg/kgの初回投与後に、合成ナノ担体は、次いで、同一の10mg/kgの用量でマウスとヒトとの間の相対質量に基づいて、スケーリングされた投与量で、ヒト被験体にi.v.で反復して投与される。反復投薬の頻度は、初回投与後の3週間は毎週であり、その後は毎月である。ヒト被験体は、日和見感染症または抑制免疫系の他の症状の臨床的徴候に対してモニターされる。
【0241】
例3:内因性抗原を利用するナノゲル型寛容原性合成ナノ担体の反復投与(予言的)
ナノゲル型合成ナノ担体を含有するミコフェノール酸は、M. Look et. al. “Nanogel-based delivery of mycophenolic acid ameliorates systemic lupus erythematosus in mice” J Clin Invest. doi:10.1172/JCI65907 (2013)に開示された方法に従って調製される。合成ナノ担体は、最初に、動物の体重1キログラム当たりのMPA(「mpk」)0.625mgの用量で毎日4日間、C57BL/6マウスに静脈投与した後、初回投与後の6ヶ月間、i.v.で毎月反復して投与される。血液サンプルは、0日目、各反復投与の直前、および最後の反復投与の1週間後に採取される。
【0242】
血液サンプルは、上記の例1で一般に示されるとおり、KLH IgG ELISAの手順を使用してKLH IgG力価を確立するために分析される。合成ナノ担体の反復投与後に採取されたサンプルの1または2以上のバックグラウンド上にあるKLH IgGの階層によって証明されるように免疫抑制の欠如は、注目されてもよい。
【0243】
次いで、合成ナノ担体は、ヒト被験体に反復してi.v.で、すなわち、0.625mpkで、マウスとヒトとの間の相対質量に基づいて、スケーリングされた投与量で投与される。反復投与頻度は、0.625mpkで、初回投与後の6ヶ月間、毎月である。ヒト被験体は、日和見感染症または抑制免疫系の他の症状の臨床的徴候に対してモニターされる。
【0244】
例4:内因性免疫モジュレーターを利用する抗原融合タンパク質の反復投与(予言的)
マウス赤血球特異的単鎖Fv(scFv)抗体フラグメントとエリスロポエチンを組み合わせた融合タンパク質は、本明細書の他の箇所で考察され、Kontosらの開示を使用して発生される。次いで、融合タンパク質は、最初に、12週齢の雌のC57BL/6マウスに、用量当たりの融合タンパク質10μgを含有するように計算された用量で3日間、毎日i.v.で投与され、その後、i.v.で初回投与後6ヶ月間、隔週で反復投与される。血液サンプルは、0日目、各反復投与の直前、および最後の反復投与の1週間後に採取される。
【0245】
血液サンプルは、上記の例1で一般に示されるとおり、KLH IgG ELISAの手順を使用してKLH IgG力価を確立するために分析される。合成ナノ担体の反復投与後に採取されたサンプルの1または2以上のバックグラウンド上にあるKLH IgGの階層によって証明されるように免疫抑制の欠如は、注目されてもよい。
【0246】
ヒトエリスロポエチンおよびヒト赤血球に特異的なscFvフラグメントを含むヒト融合タンパク質が発生される。次いで、融合タンパク質は、最初に静注で、マウスとヒトとの間の相対的な血液量に基づいてスケールされた、マウスの10μgの用量に基づいた投与量でヒト被験体に3日間、毎日投与される。反復投与は、初回用量と同じである。反復投与頻度は、0.625mpkで、初回投与後の6ヶ月間、毎月である。ヒト被験体は、日和見感染症または抑制免疫系の他の症状の臨床的徴候に対してモニターされる。
【0247】
例5:外因性mRNAを抗原と外因性免疫モジュレーターを利用する寛容原性合成ナノ担体の反復投与(予言的)
pH応答性ポリ(βアミノエステル)(PBAE)コアおよびリン脂質シェルからなる分解性合成ナノ担体システムは、Su et al., “In vitro and in vivo mRNA delivery using lipid-enveloped pH responsive polymer nanoparticles” Mol Pharm. 2011 June 6; 8(3): 774-787 (“Su”)の開示に従って調製される。二重エマルジョン製剤戦略は、推進され、100mg/mlのMPAの濃度を有する溶液として存在するミコフェノール酸、一次エマルジョンにおいて、その後は、合成ナノ担体においてカプセル化される。使用されてもよいさらなるカプセル化のための戦略は、Moon et al.,” Interbilayer-Crosslinked Multilamellar Vesicles as Synthetic Vaccines for Potent Humoral and Cellular Immune Responses” Nat Mater. 2011 March ; 10(3): 243-251も参照。EPOのmRNAは、次いで、一般にSuによって開示された方法に従って、合成ナノ担体に連結される。また、Suに示されるように、mRNAのベースのワクチンまたはタンパク質の置換などの他の治療用タンパク質をコードするmRNAは、利用されてもよい。
【0248】
次いで、合成ナノ担体は、最初に、合成ナノ担体の7mg/kgを含有するように計算された用量でi.v.を介して、アカゲザルに点滴投与され、その後、初回投与後の6ヶ月間、隔月で、反復してi.v.投与される。血液サンプルは、0日目、各反復投与の直前、および最後の反復投与の1週間後に採取される。
【0249】
血液サンプルは、上記の例1で一般に示されるとおり、KLH IgG ELISAの手順を使用してKLH IgG力価を確立するために分析される。合成ナノ担体の反復投与後に採取されたサンプルの1または2以上のバックグラウンド上にあるKLH IgGの階層によって証明されるように免疫抑制の欠如は、注目されてもよい。
【0250】
次いで、合成ナノ担体は、サルと人間との間の相対質量に基づいてスケールされた初回の7mg/kgの用量の倍に基づいた投与量(すなわち、14mg/kg)で、ヒト被験体に反復してi.v.で投与される。反復投与頻度は、初回投与後の6ヶ月間、毎月である。ヒト被験体は、日和見感染症または抑制免疫系の他の症状の臨床的徴候に対してモニターされる。
【0251】
例6:外因性DNA抗原および外因性免疫モジュレーターを利用する寛容原性合成ナノ担体の反復投与(予言的)
ジェノスフェア(genosphere)形態の合成ナノ担体を調製する。ラパマイシンは、エタノールにラパマイシンを溶解し、脂質溶液とのラパマイシン溶液を組み合わせることによって合成ナノ担体においてカプセル化され、ナノ担体の調製に加えて乾燥成分の重量に基づいて計算された、4%w/wのラパマイシンの積載量に到達する。DNA相は、ヒトおよび非ヒト霊長類の両方に移行され得る、従来プラスミド技術を使用して、エリスロポエチン(「EPO」)をコードするcDNAを組み込んでいるプラスミドを含む。
【0252】
次いで、合成ナノ担体を、最初に、合成ナノ担体12mg/kgを含有するように計算された用量で、2日間毎日、アカゲザルにi.v.点滴を介して投与し、次いで、初回投与を始めてから6ヶ月間毎月、初回用量の倍の量をi.v.で反復して投与し、次いで、その後2ヶ月毎、25%ずつ漸減する(18mg/kg、12mg/kg、6mg/kg)。血液サンプルは、0日目、各反復投与の直前、および最後の反復投与の1週間後に採取される。
【0253】
血液サンプルを、上記の例1で一般に示されるとおり、KLH IgG ELISAの手順を使用してKLH IgG力価を確立するために分析する。合成ナノ担体の反復投与後に採取されたサンプルの1または2以上のバックグラウンド上にあるKLH IgGの階層によって証明されるように免疫抑制の欠如は、注目されてもよい。
【0254】
次いで、合成ナノ担体は、サルおよび人間の間の相対質量に基づいてスケールされ、反復してサルで投与された、24mg/kgを漸減したサルの用量(例えば、2ヶ月間隔で行う漸減で、24、18、12、および6mg/kg)に基づいた投与量で、ヒト被験体に反復してi.v.で投与される。反復投与頻度は、初回投与後の6ヶ月間、毎月である。ヒト被験体は、日和見感染症または抑制免疫系の他の症状の臨床的徴候に対してモニターされる。
【0255】
例7:外因性mmRNAを抗原および外因性免疫モジュレーターを利用する寛容原性合成ナノ担体の反復投与(予言的)
材料
ラパマイシンは、TSZ CHEM(185 Wilson Street, Framingham, MA 01702;製品カタログ# R1017)から購入する。約25,000DaのPLGAは、Lakeshore Biochemicals(756 Tom Martin Dr Birmingham, AL 35211)から購入する(製品コード5050 DLG 2.5A)。約5,000Daのメチルエーテル末端PEGブロックおよび48,000DaのPLAブロックを有するPLA-PEG-OMeブロックコポリマーは、Lakeshore Biochemicals(756 TomMartinDrive, Birmingham, AL 35211)から購入する(製品コード100 DL mPEG 5000 5CE)。EMPROVE(登録商標)ポリビニルアルコール4-88、USP(85~89%加水分解、3.4~4.6mPa.sの粘度)は、EMD Chemicals Inc.(480 South Democrat Road Gibbstown, NJ 08027)から購入する(品番1.41354)。
【0256】
組換えヒト顆粒球コロニー刺激因子(rhuG-CSF)修飾mRNAは、公開された米国特許出願第2013/0115272号(Fougerolles et al.)の開示に従って調製されている。
【0257】
方法
以下のように溶液を調製する。溶液1:塩化メチレン中の100mg/mLでのPLGA。溶液は、純粋な塩化メチレン中でPLGAを溶解することによって調製する。溶液2:塩化メチレン中の100mg/mLでのPLA-PEG。溶液は、純粋な塩化メチレン中でPLA-PEGを溶解することによって調製する。溶液3:塩化メチレン中の50mg/mLでのラパマイシン。溶液は、純粋な塩化メチレン中でラパマイシンを溶解することによって調製する。溶液4:0.13M HCl中の20mg/mLでのrhuG-CSF修飾mRNA。溶液は、0.13M HCl中でrhuG-CSF修飾mRNAを溶解することによって調製した。溶液5:100mMのpH8のリン酸緩衝液中の50mg/mLでのポリビニルアルコール。溶液6:70mMリン酸緩衝液、pH8。一次(W1/O)エマルジョンは、最初に、溶液1から4を混合することにより作製する。
【0258】
溶液1(0.75mL)、溶液2(0.25mL)、溶液3(0.20mL)、および溶液4(0.2mL)は、小型のガラス圧力管中で混合し、Branson Digital Sonifier 250を使用して、40秒間、50%の振幅で超音波処理する。溶液5(3.0mL)を一次エマルションに加え、ボルテックスして粗分散液を作製し、次いでBranson Digital Sonifier 250を使用して30%振幅で60秒間超音波処理することにより、二次(W1/O/W2)エマルションを形成する。二次エマルションを、溶液6(30mL)を含有する開放50mLビーカーに加え、室温で2時間撹拌してジクロロメタンを蒸発させ、懸濁液中にナノ担体を形成させる。次いで、ナノ担体懸濁液を遠心分離管に移し、75,600rcfで35分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝化食塩水中に再懸濁することによって、懸濁ナノ担体の一部分を洗浄する。洗浄手順を反復し、次いでペレットをPBS 1×中に再懸濁して、ポリマー基準で10mg/mLの公称濃度を有するナノ担体懸濁液を達成する。懸濁液は、使用まで、-20℃で凍結して保管する。
【0259】
次いで、最初に、合成ナノ担体12mg/kgを含有するように計算された用量で、合成ナノ担体を、2日間、毎日、アカゲザルにi.v.を介して点滴投与し、その後、初回投与後の6ヶ月間、毎月、同じ投与量(すなわち、12mg/kg)で、i.v.で反復して投与する。血液サンプルは、0日目、各反復投与の直前、および最後の反復投与の1週間後に採取される。
【0260】
血液サンプルは、上記の例1で一般に示されるとおり、KLH IgG ELISAの手順を使用してKLH IgG力価を確立するために分析される。合成ナノ担体の反復投与後に採取されたサンプルの1または2以上のバックグラウンド上にあるKLH IgGの階層によって証明されるように免疫抑制の欠如は、注目されてもよい。
【0261】
次いで、合成ナノ担体を、サルおよび人間の間の相対質量に基づいてスケールされ、反復してサルで投与された、12mg/kgの用量に基づいた投与量で、ヒト被験体に反復してi.v.で投与する。反復投与頻度は、初回投与後の6ヶ月間、毎月である。ヒト被験体は、日和見感染症または抑制免疫系の他の症状の臨床的徴候に対してモニターされる。
【0262】
例8:外因性mRNA抗原および外因性免疫モジュレーターを利用する寛容原性合成ナノ担体の反復投与(予言的)
組換えコロニー刺激因子(rhuG-CSF)修飾mRNAが、組換えヒトエリスロポエチン(rHuEPO)修飾mRNAに置換されること以外、例7の手順が反復される。ヒトエリスロポエチン(rHuEPO)修飾mRNAは、公開された米国特許出願2013/0115272号(de Fougerolles et al.)の開示に従って調製される。
【0263】
例9:連結されたイブプロフェンを有するメソポーラスシリカナノ粒子(予言的)
メソポーラスSiOナノ粒子コアをゾル-ゲルプロセスを通して作製する。ヘキサデシルトリメチル-アンモニウムブロミド(CTAB)(0.5g)を脱イオン水(500mL)に溶解し、次いで2MのNaOH水溶液(3.5mL)をCTAB溶液に加える。この溶液を30min撹拌し、次いでテトラエトキシシラン(TEOS)(2.5mL)を溶液に加える。結果としてもたらされるゲルを80℃の温度で3h撹拌する。形成する白色の沈殿をろ過により捕捉し、次いで脱イオン水で洗浄して室温で乾燥する。次いでHClのエタノール性溶液中に終夜懸濁することによって残存する界面活性物質を粒子から抽出する。粒子をエタノールで洗浄し、遠心分離し、超音波下で再分散させる。この洗浄手順を追加で2回反復する。
【0264】
次いで、SiOナノ粒子を(3-アミノプロピル)-トリエトキシシラン(APTMS)を使用してアミノ基で官能化する。これを行うために、粒子をエタノール(30mL)中に懸濁し、APTMS(50μl)を懸濁液に加える。懸濁液を室温で2h放置した後、エタノールを定期的に加えることによって体積を一定に保ちつつ4h沸騰させる。遠心分離および純粋なエタノールへの再分散による洗浄5サイクルにより、残存する反応物を除去する。
【0265】
別個の反応として、1~4nm径の金シードを作製する。まずこの反応に使用される全ての水を脱イオン化し、次いでガラスから蒸留する。水(45.5mL)を100mL丸底フラスコに加える。撹拌しながら、0.2Mの水性NaOH(1.5mL)、続いて1%のテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド(THPC)水溶液(1.0mL)を加える。THPC溶液を加えた2分後に、少なくとも15min熟成された10mg/mL塩化金酸水溶液(2mL)を加える。水に対する透析を通して、金シードを精製する。
【0266】
コア-シェルナノ担体を形成するために、まず上記で形成されたアミノ官能化SiOナノ粒子を金シードと室温で2h混合する。金装飾SiO粒子を、遠心分離を通して収集し、塩化金酸および重炭酸カリウムの水溶液と混合して金シェルを形成する。次いで粒子を遠心分離および水への再分散により洗浄する。粒子をイブプロフェンナトリウムの溶液(1mg/L)中に72h懸濁させることによってイブプロフェンを添加する。次いでフリーのイブプロフェンを遠心分離および水への再分散によって粒子から洗浄する。
【0267】
例10:シクロスポリンAを含有するリポソーム(予言的)
リポソームは薄膜水和を使用して形成される。1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)(32μmol)、コレステロール(32μmol)およびシクロスポリンA(6.4μmol)を純粋なクロロホルム(3mL)中に溶解する。この脂質溶液を50mLの丸底フラスコに加え、ロータリーエバポレータ上で60℃の温度で溶媒を蒸発させる。次いでフラスコを窒素ガスでフラッシュし残存する溶媒を除去する。リン酸緩衝化食塩水(2mL)および5個のガラスビーズをフラスコに加え、60℃で1h振盪して懸濁液を形成することによって脂質膜を水和させる。懸濁液を小圧力管に移し60℃で30sパルスを4サイクル、各パルス間30秒の遅れで超音波処理する。次いで懸濁液を室温で2h静置し、完全に水和させる。リポソームを遠心分離とそれの続くフレッシュなリン酸緩衝化食塩水中への再懸濁により洗浄する。
【0268】
例11:ポリマー-ラパマイシン複合体を含有するポリマーナノ担体(予言的)
PLGA-ラパマイシン複合体の調製:
酸末端基を有するPLGAポリマー(7525 DLG1A、酸価0.46mmol/g、Lakeshore Biomaterials;5g、2.3mmol、1.0当量)を30mLのジクロロメタン(DCM)に溶解する。N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.2当量、2.8mmol、0.57g)、その後に、ラパマイシン(1.0当量、2.3mmol、2.1g)および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(2.0当量、4.6mmol、0.56g)を添加する。混合物を2日間室温で撹拌した。次いで、この混合物を濾過して、不溶性ジシクロヘキシル尿素を除去する。濾液を容積で約10mLまで濃縮し、イソプロピルアルコール(IPA)100mLに加えて、PLGA-ラパマイシン複合体を沈殿させる。IPA層を除去し、次いで、ポリマーを、50mLのIPA、および、50mLのメチルt-ブチルエーテル(MTBE)で洗浄する。次いで、ポリマーを、2日間35℃で、真空下で乾燥させ、白色固形物(約6.5g)としてPLGA-ラパマイシンを得る。
【0269】
PLGA-ラパマイシン複合体およびオボアルブミンペプチド(323-339)を含有するナノ担体の調製:
PLGA-ラパマイシンを含有するナノ担体を、次のように例1に記載の手順に従って調製する:
ナノ担体形成のための溶液を次のように調製する:
溶液1:希塩酸水溶液中オボアルブミンペプチド323-339@20mg/mL。溶液を、0.13M塩酸溶液にオボアルブミンペプチドを室温で溶解することによって調製する。溶液2:塩化メチレン中PLGA-ラパマイシン@100mg/mL。溶液を、純粋な塩化メチレンにPLGA-ラパマイシンを溶解することによって調製する。溶液3:塩化メチレン中PLA-PEG@100mg/mL。溶液を、純粋な塩化メチレンにPLA-PEGを溶解することによって調製する。溶液4:100mMリン酸緩衝液(pH8)中ポリビニルアルコール@50mg/mL。
【0270】
一次油中水型エマルジョンを調製する。溶液1(0.2mL)、溶液2(0.75mL)および溶液3(0.25mL)を、小型圧力管中で混合し、Branson Digital Sonifier 250を使用して40秒間、50%の振幅で超音波処理することによって、W1/O1を調製する。その後、Branson Digital Sonifier 250を使用して30%振幅で60秒間超音波処理することにより、溶液4(3.0mL)を一次エマルションに加え、10秒間ボルテックスし、二次エマルション(W1/O/W2)を調製する。W1/O1/W2エマルションは、70mMのpH8のリン酸緩衝溶液(30mL)を含有するビーカーに加え、2時間、塩化メチレンを蒸発させ、ナノ担体のために形成することができるように、室温で撹拌する。遠心管にナノ担体の懸濁液を移し、75,600×gおよび35分間4℃で遠心分離し、上清を除去し、リン酸緩衝生理食塩水でペレットを再懸濁することによって、ナノ担体の一部を洗浄する。洗浄手順を反復し、ペレットを約10mg/mLの最終的なナノ担体の分散のためにリン酸緩衝生理食塩水中で再懸濁する。
【0271】
例12:ラパマイシンを含有する金ナノ担体(AuNC)の調製(予言的)
HS-PEG-ラパマイシンの調製:
PEG酸ジスルフィド(1.0eq)、ラパマイシン(2.0~2.5eq)、DCC(2.5eq)およびDMAP(3.0eq)の乾燥DMF溶液をrtで終夜撹拌する。不溶性ジシクロヘキシル尿素をろ過により除去し、濾液をイソプロピルアルコール(IPA)に加えてPEG-ジスルイフィド-ジ-ラパマイシンエステルを沈殿させ、IPAで洗浄し、乾燥させる。次いでポリマーをDMF中トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロリドで処置しPEGジスルフィドをチオールPEGラパマイシンエステル(HS-PEG-ラパマイシン)へと還元する。結果としてもたらされるポリマーを先に記載したようにしてIPAから沈殿させることによって回収して乾燥させて、H-NMRおよびGPCにより分析する。
【0272】
金NC(AuNC)の形成:
1mMのHAuCl4の水溶液500mLをコンデンサー付きの1L丸底フラスコ中で激しく撹拌しながら10min加熱還流する。次いで40mMのクエン酸三ナトリウムの溶液50mLを撹拌溶液に急速に加える。結果としてもたらされる濃いワインレッドの溶液を25~30min、還流状態に保ち、熱を取り除いて、溶液を室温まで冷却する。次いで溶液を、0.8μmメンブランフィルターを通してろ過しAuNC溶液を得る。AuNCは可視分光法および透過電子顕微鏡法を使用して特徴付けされる。AuNCは、約20nm径でシトラートによりキャッピングされ520nmにピーク吸収を有する。
【0273】
HS-PEG-ラパマイシンとのAuNC複合体:
HS-PEG-ラパマイシンの溶液(10mMのpH9.0炭酸緩衝剤中10μΜ)150μlを20nm径のシトラートキャッピングされた金ナノ担体(1.16nM)1mLに加え、2500:1のチオール:金モル比を生成する。混合物をアルゴン下、室温で1時間撹拌し、チオールを金ナノ担体上のシトラートと完全に交換させる。次いで、表面にPEG-ラパマイシンを有するAuNCを、12,000gで30分の遠心分離により精製する。上清を傾瀉した後、AuNC-S-PEG-ラパマイシンを含有するペレットを1×PBS緩衝剤でペレット洗浄する。次いで精製された金-PEG-ラパマイシンナノ担体をさらなる分析およびバイオアッセイのために好適な緩衝剤に再懸濁する。
【0274】
例13:ラパマイシンおよびオボアルブミンを含有するリポソーム(予言的)
リポソームは薄膜水和によって形成する。1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)(32μmol)、コレステロール(32μmol)およびラパマイシン(6.4μmol)を純粋なクロロホルム(3mL)中に溶解する。この脂質溶液を10mLのガラス管に加え、窒素ガス流下で溶媒を除去し、真空下で6hr乾燥させた。過剰量のオボアルブミンを含有する、2.0mLの25mMのMOPS緩衝剤pH8.5による膜の水和によって多層ベシクルを得る。脂質膜が管表面からはがれるまで管をボルテックスする。多層ベシクルを単層へと破壊するために、10サイクルの凍結(液体窒素)および解凍(30℃水浴)を適用する。次いでサンプルを25mMのMOPS緩衝剤pH8.5中1mLに希釈する。結果としてもたらされるリポソームのサイズを、200nm孔ポリカーボネートフィルターにサンプルを10回通過させることによる押出成型により、均質化する。結果としてもたらされるリポソームを、次いでさらなる分析およびバイオアッセイに使用する。
【0275】
例14:内因性抗原を利用する様々な追加の寛容原性合成ナノ担体の反復投与(予言的)
例9、10および12に開示された合成ナノ担体は、最初に、用量当たり30μgの免疫モジュレーターを提供する合成ナノ担体の用量で4日間毎日、C57BL/6マウスに静脈投与した後、初回投与後6ヶ月の毎月、反復してi.v.で投与される。血液サンプルは、0日目、各反復投与の直前、および最後の反復投与の1週間後に採取される。
【0276】
血液サンプルは、上記の例1で一般に示されるとおり、KLH IgG ELISAの手順を使用してKLH IgG力価を確立するために分析される。合成ナノ担体の反復投与後に採取されたサンプルの1または2以上のバックグラウンド上にあるKLH IgGの階層によって証明されるように免疫抑制の欠如は、注目されてもよい。
【0277】
次いで、合成ナノ担体を、マウスとヒトとの間の相対的な血液量に基づいたスケールされた投与量で、ヒト被験体に反復してi.v.で投与する。初回投与は、3日間毎日である。反復投与頻度は、初回投与と同じ用量で、初回投与後の6ヶ月間、毎月である。ヒト被験体は、日和見感染症または抑制免疫系の他の症状の臨床的徴候に対してモニターされる。
【0278】
例15:外因性抗原および外因性免疫モジュレーターを利用する寛容原性合成ナノ担体の反復投与(予言的)
最初に、合成ナノ担体12mg/kgを含有するように計算された用量で、例11および例13の合成ナノ担体を、2日間、毎日、アカゲザルにi.v.を介して点滴投与し、その後、初回投与後の6ヶ月間、毎月、同じ投与量で、i.v.で反復して投与する。血液サンプルは、0日目、各反復投与の直前、および最後の反復投与の1週間後に採取される。
【0279】
血液サンプルは、上記の例1で一般に示されるとおり、KLH IgG ELISAの手順を使用してKLH IgG力価を確立するために分析される。合成ナノ担体の反復投与後に採取されたサンプルの1または2以上のバックグラウンド上にあるKLH IgGの階層によって証明されるように免疫抑制の欠如は、注目されてもよい。
【0280】
次いで、合成ナノ担体は、サルおよび人間の間の相対質量に基づいてスケールされ、反復してビーグル犬で投与される、25mg/kgの用量に基づいた投与量で、ヒト被験体に反復してi.v.で投与される。反復投与頻度は、初回投与後の6ヶ月間、毎月である。ヒト被験体は、日和見感染症または抑制免疫系の他の症状の臨床的徴候に対してモニターされる。
【0281】
例16:外因性抗原を利用する様々な追加の寛容原性合成ナノ担体の反復投与(予言的)
例9、10および12に開示された合成ナノ担体は、最初に、用量当たり30μgの免疫モジュレーターを提供する合成ナノ担体の用量で4日間毎日、C57BL/6マウスに静脈投与した後、初回投与後6ヶ月の毎月、反復してi.v.で投与される。例7の組換えヒトエリスロポエチン(rHuEPO)修正mRNAを、合成ナノ担体と同時に、具体的には合成ナノ担体の各投与の24時間以内投与される。十分なmmRNAはhuEPOのミリリットル当たり10ミリユニットを達成するために投与される。血液サンプルは、0日目、各反復投与の直前、および最後の反復投与の1週間後に採取される。
【0282】
血液サンプルは、上記の例1で一般に示されるとおり、KLH IgG ELISAの手順を使用してKLH IgG力価を確立するために分析される。合成ナノ担体の反復投与後に採取されたサンプルの1または2以上のバックグラウンド上にあるKLH IgGの階層によって証明されるように免疫抑制の欠如は、注目されてもよい。
【0283】
次いで、合成ナノ担体を、マウスとヒトとの間の相対的な血液量に基づいたスケールされた投与量で、ヒト被験体に反復してi.v.で投与する。(上記のように)rHuEPOをコードする修飾mRNAは、ヒト被験体でrHuEPOのミリリットル当たり10~20ミリユニットを達成する投与量で、(本態様において、24時間以内に)同時に投与される。初回投与は、3日間毎日である。反復投与頻度は、初回投与と同じ用量で、初回投与後の6ヶ月間、毎月である。ヒト被験体は、日和見感染症または抑制免疫系の他の症状の臨床的徴候に対してモニターされる。
【0284】
例17:メトトレキサート(MTX)は抗原特異的免疫寛容につながる
年齢をマッチさせた(5~6週)C57BL/6雌マウスに、毎週、ニワトリオボアルブミン(pOVA)の粒子状形態の免疫原性25μgの注射を尾静脈に5回静脈注射した。動物の1つの群は、3回の最初の抗原注射とともに、同じ日および翌日以降2回、MTX200mgの腹腔内注射を3回受けた。未処理群は、抗原のみを受けた一方、処理群はMTX注射をi.p.で合計9回受けた(1~3、7~9、14~16日目)。4番目および5番目の注射日に、全ての動物は、pOVAのi.v.注射に加えて、CpG2mgに混和したキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)を後肢に皮下で20mg受けた。
【0285】
抗KLHおよび抗OVA抗体応答を異なる時点で、これらの動物の血液におけるモニターされた。図2に示すように、任意の治療が存在しない場合に動物がOVAに対する強い免疫応答を現した。対照的に、MTXの投与は、抗体応答をブロックし、抗原との5回の注射の後でも、最小限の力価が検出された。KLHおよびCpGは、MTXの処置(d21から)後に注射されたとき、強い抗KLH応答が全ての群において検出された。これらの結果は、MTXの免疫抑制効果は、21日目の後に消え、MTX注射の寛容原性効果が、同時に投与された抗原(OVA)(MTX治療期間後に提供された抗原ではない)に限られていたことを示す。
【0286】
したがって、これらの結果は、MTXおよび抗原との併用注射の反復投与は、免疫抑制に至ることなく、抗原特異的抗体の形成を防止し得ることを示す。ゆえに、プロトコルは、反復投与の際に免疫抑制を誘導しないことが実証された。
【0287】
例18:メトトレキサート(MTX)は複数の抗原および経路に対する寛容誘導につながる
MTXの複数回の注射が免疫寛容の確立につながり得るかどうかを試験するために、年齢をマッチさせた(5~6週)C57BL/6雌マウスに、毎週、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)200μgの注射を尾静脈に静脈で、およびCpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)2μgに混和したニワトリオボアルブミンの粒子状形態(pOVA)25μgで、後肢に皮下で注射した。動物の1つの群は、3回の最初の抗原注射とともに、同じ日および翌日以降2回、MTX200mgの腹腔内注射を3回受けた。未処理群は、抗原を5回受け(7、14、21および28日目)、処理群はMTX注射をi.p.で合計9回受けた(1~3、7~9、14~16日目)。
【0288】
抗KLHおよび抗OVA抗体応答を異なる時点で、これらの動物の血液におけるモニターされた。図2に示すように、任意の治療が存在しない場合に動物が、抗KLHおよび抗OVA IgG抗体力価によって測定され得る、KLHおよびOVAに対する強い免疫応答を現した。対照的に、MTXの投与は、抗体応答をブロックし、抗原との5回の注射の後でも、最小限の力価が検出された。
【0289】
したがって、これらの結果は、MTXおよび抗原との併用注射の反復投与は、免疫抑制に至ることなく、抗原特異的抗体の形成を防止し得ることを示す。これは、複数の抗原で、および異なる経路による投与で、見出された。また、プロトコルは、反復投与の際に免疫抑制を誘導しないことが実証された。
【0290】
例19:ERY1-OVAを使用するOTIモデル
材料:
Imject maleimide activated Ovalbumin:Thermoscientific、製品# 77126、ロット# OF185798、10mgおよびERY1ペプチド(配列:Trp-Met-Val-Leu-Pro-Trp-Leu-Pro-Gly-Thr-Leu-Asp-Gly-Gly-Ser-Gly-Cys-Arg-Gly-NH)(配列番号1)、CSBio、製品#CS11662、ロット# M613、MW2001、TFA塩、6mg、超純水および1×PBS緩衝液を得た。
【0291】
方法
Imject maleimide activated OVA(10mg)をOVA活性化超純水2mL中に溶解した。この溶液に、超純水0.6mL中で、ERY1ペプチド(6mg)の溶液を加えた。得られた溶液を周囲温度で1時間、その後、8℃で終夜撹拌した。わずかに濁った溶液を3mLの1×PBSで希釈し、0.45ミクロンのフィルターを介して濾過した。次いで、濾液を過剰のERY1ペプチドを除去するために、超純水で10KD MWCOアミコン-15ダイアフィルトレーションチューブに洗浄した。濃縮物をその後、1mg/mlの濃度(約9mL)中で、超純水で希釈した。溶液を、最終的に0.2ミクロンのフィルターで濾過し、ERY1-OVA複合体溶液(1mg/ml、約9mL)を得た。HPLC分析はERY1-OVA複合体として材料を確認した。
【0292】
赤血球結合ペプチドを使用した、CD8+T細胞寛容の誘導:
マウスのグリコホリン-A、具体的には({Kontos, 2013#8387})に結合するファージディスプレイによって発見される、合成12-aaペプチド(ERY1)は、赤血球に独自に存在し、赤血球を標的とする抗原に複合体化され得、免疫寛容を誘導し得る。いかなる特定の理論に束縛されないが、赤血球への結合が、赤血球のリサイクルとターンオーバーの間に自己抗原として抗原の処理をもたらすことが考えられる。
【0293】
オボアルブミン(OVA)に複合化されたERY1の投与後のCD8T細胞の欠失またはアネルギーを観察するため、T細胞を、MHC-CLIの複合体においてOVAのペプチドを認識するTCRを発現するOTI+トランスジェニック動物から単離した。これらの細胞は、ドナー細胞(CD45.2+)を追跡することができるようにするため、CD45分子(CD45.1+)におけるわずかなミスマッチを有する動物に移した。1つの動物の群(n=3)は、未処理および非免疫のまま(無感作)で、別の動物の群は、未処理のままであるが、免疫化した(無処理)一方で、最後の群は、OVAを0日目および5でERY1に複合化した。全ての動物(最初に、「無感作」群を除く)は、14日目に後肢皮下にOVA(10μg)およびCpG ODN(10μg)で免疫化した。5日後(19日目)、全ての動物を屠殺して、免疫化の部位(膝窩)から流入するリンパ節を切除し、移されたCD45.2+OTI+細胞の存在についてFACSにより分析した。
【0294】
図4に示すように、無感作のままであった動物は、そのリンパ節において、約0.7×10のOTI+細胞を有する。OVA+CpGの注射は、活性化およびこれらの細胞(21×10)の約30倍の拡大を誘導する一方で、ERY1-OVA複合体を用いた治療は、OTI細胞の増殖能力を完全阻害した。これらの結果は、本明細書で提供される組成物は、抗原の存在下で認識し、活性化する、CD8T細胞の能力を全滅させ得ることを示す。これは、本明細書に提供されるような抗原特異的免疫治療薬の結果として、免疫応答の永続的でない、および抗原特異的ダウンレギュレーションのための能力を示す。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2024126023000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体において、免疫抑制をもたらさない抗原特異的免疫治療薬を反復して投与するためにプロトコルを決定すること;および
プロトコルの1または2以上の要素を使用して、別の被験体に抗原特異的免疫治療薬を反復して投与すること
を含む、方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2024126023000001.xml
【外国語明細書】