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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126033
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】PTPシート配給装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A61J3/00 310Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034152
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】110004059
【氏名又は名称】弁理士法人西浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA25
4C047JJ02
4C047JJ06
4C047KK06
4C047KK09
(57)【要約】
【課題】シート収納空間の横方向寸法が異なる複数のPTPカセットを簡単に装着することができるPTPシート配給装置を提供する。
【解決手段】複数のPTPカセット7と、複数のPTPカセット7が横方向に並んだ状態で支持されるカセット支持部13A~13Eを備えている。PTPカセット7は、複数のPTPシートSを各々重ねて整列させた状態で収納するシート収納空間71と、シート収納空間内の複数のPTPシートから最も端に位置する一枚のPTPシートが排出される排出口72を備えたシート収納部73と、一枚のPTPシートを排出口72から送り出す送出機構78を備えた機構収納部74からなる。機構収納部74の横方向の位置を調整できる取付構造75を介して、機構収納部74がカセット支持部13A~13Eに支持されている。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薬剤を複数の薬剤収納部にそれぞれ収納した複数のPTPシートを各々重ねて整列させた状態で収納するシート収納空間と、前記シート収納空間内の前記複数のPTPシートから最も端に位置する一枚の前記PTPシートが排出される排出口を備えたシート収納部と、前記一枚のPTPシートを前記排出口から送り出す送出機構を備えた機構収納部からなる複数のPTPカセットと、
前記複数のPTPカセットが横方向に並んだ状態で支持されるカセット支持部を備え、
前記機構収納部が、前記機構収納部の前記横方向の位置を調整できる取付構造を介して前記カセット支持部に支持されていることを特徴とするPTPシート配給装置。
【請求項2】
前記取付構造は、前記機構収納部に設けられた第1及び第2の係合部と、前記カセット支持部に設けられた第1及び第2の被係合部とからなり、
前記第1及び第2の被係合部は、記横方向と直交し且つ前記カセット支持部に沿う直交方向に間隔をあけて配置されて前記横方向に延びる第1及び第2の長尺部からなり、
前記第1及び第2の係合部は、調整時には前記第1及び第2の長尺部にガイドされて前記横方向に移動可能で且つ非調整時には前記第1及び第2の長尺部と係合して前記横方向に移動できない構造をそれぞれ有している請求項1に記載のPTPシート検出装置。
【請求項3】
前記第1の係合部は、前記第1の長尺部に係止された状態で前記第2の長尺部側に前記機構収納部が移動させられると蓄勢される弾性体を備えて前記機構収納部に対してスライドするスライダであり、
前記第2の係合部は、前記第1の係合部が前記第1の長尺部に係止されて前記弾性体が蓄勢されている状態から前記機構収納部が前記第1の長尺部側へ移動させられると、前記弾性体の放勢力で前記第2の長尺部に押し付けられる1以上のフックであり、
前記スライダ及び前記1以上のフックは、前記機構収納部の底部に設けられており、
前記第1及び第2の長尺部は、前記カセット支持部上面に設けられており、
前記第1の長尺部の前記カセット支持部から離れた端部には、前記幅方向に連続して延びて前記スライダと係合する第1のフランジ部が設けられており、
前記第2の長尺部の前記カセット支持部から離れた端部には、前記幅方向に連続して延びて前記1以上のフックと係合する第2のフランジ部が設けられている請求項2に記載のPTPシート配給装置。
【請求項4】
前記シート収納部は、前記機構収納部と対向する底壁部と前記底壁部の前記横方向の両縁部から立ち上がる一対の側壁部と、前記一対の側壁部の前記底壁部とは反対側に位置する上端部を連結する連結壁部と、前記排出口を備え且つ前記一枚のPTPシート以外の複数の前記PTPシートが前記排出口から一度に排出されることを阻止する排出阻止用壁部を備えている請求項1に記載のPTPシート配給装置。
【請求項5】
前記排出阻止用壁部は、前記一対の壁部に固定された固定部と、前記排出口に対する位置を調整可能に前記固定部に対して取り付けられた可動部とを備えている請求項4に記載のPTPシート配給装置。
【請求項6】
前記シート収納空間内の前記複数のPTPシートは上下方向に重ねて整列されており、
前記送出機構は、整列した前記複数のPTPシートの一番下のPTPシートを前記排出口から送り出すように構成されており、
前記排出阻止用壁部の前記可動部は、前記一番下のPTPシートと近接するが該一番下のPTPシートが前記排出口から排出されることは許容し、該一番下のPTPシートの上の二番目のPTPシートが前記排出口から排出されることを阻止するために位置が変えられる第1可動部材を有している請求項5に記載のPTPシート配給装置。
【請求項7】
前記第1可動部材は、前記一番下のPTPシートと接触すると撓む、可撓性を有する材料によって構成されており、
前記排出阻止用壁部の前記可動部は、前記二番目のPTPシートが前記排出口から排出されることを阻止するために位置が変えられる第2可動部材を更に有している請求項6に記載のPTPシート配給装置。
【請求項8】
前記第1の可動部材の位置を変えるために手動で操作される第1可動機構と、前記第2可動部材の位置を変えるために手動で操作される第2可動機構を更に備えている請求項7に記載のPTPシート配給装置。
【請求項9】
前記第1可動機構及び前記第2可動機構は、それぞれ前記第1可動部材及び第2可動部材の変更位置を目視で確認できるように前記固定部に目盛りが設けられている請求項8に記載のPTPシート配給装置。
【請求項10】
前記シート収納部は可動する部分を除いて一体に形成されている請求項5に記載のPTPシート配給装置。
【請求項11】
前記シート収納空間の前記横方向の寸法を調整するために前記シート収納空間内に挿入される少なくとも一枚の調整板を更に備えている請求項4に記載のPTPシート配給装置。
【請求項12】
前記連結壁部と前記底壁部には、前記シート収納空間内に挿入された前記調整板の上端部及び下端部と係合して前記調整板の位置を固定する1以上の位置決め用被係合部が設けられている請求項10に記載のPTPシート配給装置。
【請求項13】
前記シート収納部と前記機構収納部とは、分離可能な係合構造を介して係合されており、
前記シート収納部の裏面には、RFIDが装着されており、前記機構収納部には前記シート収納部が装着された際に、前記RFIDと対向する位置にRFID読取り部が設けられている請求項1に記載のPTPシート配給装置。
【請求項14】
前記シート収納部と前記機構収納部とは、分離可能な係合構造を介して係合されており、
前記機構収納部には、駆動用モータと該駆動用モータによって駆動されて回動して、前記シート収納部内の前記一番下のPTPシートを前記排出口に向かって搬送する搬送用ベルトが配置されている請求項6に記載のPTPシート配給装置。
【請求項15】
前記シート収納部と前記機構収納部とは、分離可能な係合構造を介して係合されており、
前記機構収納部の上面部には、前記シート収納部の底面部の離れた複数箇所とそれぞれ接触して前記シート収納部の前記機構収納部に対する姿勢を保持する複数の支持面が設けられている請求項1に記載のPTPシート配給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTPシートを一枚ずつ排出する複数のPTPカセットを備えたPTPシート配給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2011-19928号公報(特許文献1)には、複数のPTPカセットが横方向に並んだ状態で支持されるカセット支持部を備えたPTPシート配給装置が開示されている。この公報に示されたPTPカセットは、複数の薬剤を複数の薬剤収納部にそれぞれ収納した複数のPTPシートを各々重ねて整列させた状態で収納するシート収納空間と、シート収納空間内の複数のPTPシートから最も端に位置する一枚のPTPシートが排出される排出口を備えたシート収納部と、一枚のPTPシートを排出口から送り出す送出機構を備えている。複数のPTPカセットの全てはシート収納空間の横方向寸法が同じものである。したがって複数のPTPカセットは、横方向に等間隔をあけてカセット支持部に支持されている。
【0003】
また特開2021-186356号公報(特許文献2)には、シート収納空間の横方向寸法を変更する横幅拡縮機構を備えたPTPカセットが開示されている。特許文献2には、PTPカセットを支持する支持部としての棚に、PTPカセットの駆動部を兼ねた保持部が適宜のピッチで間隔をあけて固定されている。すなわち複数のPTPカセットを支持部に取り付ける複数の保持部の取付間隔は、横幅拡縮機構により設定されたシート収納空間の横方向寸法に合わせて定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-19928号公報
【特許文献2】特開2021-186356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載のPTPカセットのように、保持部が固定されている場合には、最初に設定したシート収納空間の横方向寸法を小さくする場合には問題がない。しかしながら横方向寸法を大きくする場合には、隣り合う保持部間の間隔を広げなければ、隣り合うPTPカセットの隣り合うシート収納部が干渉し合って、対応する保持部にシート収納部を取り付けることができない問題が生じる。しかしながら特許文献2に記載のPTPシート配給装置では、例えば、支持部としての棚を交換する等しなければ、保持部の位置を変更することはできない。
【0006】
本発明の目的は、シート収納空間の横方向寸法が異なる複数のPTPカセットを簡単に装着することができるPTPシート配給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下理解を容易にするために、添付の図面に記載した符号を本発明の構成要素に付記して、課題を可決するための手段を説明するが、付記した符号は、本発明を図面に示した実施例に限定解釈する根拠を許すものではない。
【0008】
本発明のPTPシート配給装置は、複数のPTPカセット7と、複数のPTPカセット7が横方向に並んだ状態で支持されるカセット支持部13A~13Eを備えている。PTPカセット7は、複数の薬剤を複数の薬剤収納部にそれぞれ収納した複数のPTPシートSを各々重ねて整列させた状態で収納するシート収納空間71と、シート収納空間内の複数のPTPシートから最も端に位置する一枚のPTPシートが排出される排出口72を備えたシート収納部73と、一枚のPTPシートを排出口72から送り出す送出機構78を備えた機構収納部74からなる。本発明においては、機構収納部74の横方向の位置を調整できる取付構造75を介して、機構収納部74がカセット支持部13A~13Eに支持されている。
【0009】
本発明によれば、シート収納空間の横方向寸法が異なるPTPカセットであっても、横方向の位置を調整できる取付構造75を介して機構収納部74をカセット支持部13A~13Eに取り付けるので、シート収納空間の横方向寸法が大きいPTPカセットであっても、簡単にカセット支持部に取り付けることができる。
【0010】
取付構造75は、機構収納部74に設けられた第1及び第2の係合部75A1,75A2と、カセット支持部3A~13Eに設けられた第1及び第2の被係合部75B1,75B2とから構成できる。第1及び第2の被係合部75B1,75B2は、横方向と直交し且つカセット支持部に沿う直交方向に間隔をあけて配置されて横方向に延びる第1及び第2の長尺部から構成できる。この場合、第1及び第2の係合部75A1,75A2は、位置調整時には第1及び第2の長尺部76A、76Bにガイドされて横方向に移動可能で且つ非位置調整時には第1及び第2の長尺部と係合して横方向に移動できない構造をそれぞれ有している。このような構造の取付構造であれば、機構収納部を横方向にスライドさせることにより、簡単に機構収納部の位置調整をすることができる。
【0011】
なお第1の係合部75A1は、第1の長尺部76Aに係止された状態で第2の長尺部76B側に機構収納部74が移動させられると蓄勢される弾性体77を備えて機構収納部74に対してスライドするスライダであり、第2の係合部75A2は、第1の係合部75A1が第1の長尺部76Aに係止されて弾性体77が蓄勢されている状態から機構収納部74が第1の長尺部76A側へ移動させられると、弾性体77の放勢力で第2の長尺部76Bに押し付けられる1以上のフックであるのが好ましい。これらスライダ及び1以上のフックは、機構収納部74の底部に設けられており、第1及び第2の長尺部76A、76Bは、カセット支持部の上面に設けられている。また第1の長尺部76Aのカセット支持部から離れた端部には、幅方向に連続して延びてスライダと係合する第1のフランジ部F1が設けられており、第2の長尺部76Bのカセット支持部から離れた端部には、幅方向に連続して延びて1以上のフックと係合する第2のフランジ部F2が設けられているのが好ましい。取付構造がこのような構成であれば、少ない部品点数で、横方向寸法の異なる複数のPTPカセットの取付を簡単に実現できる。
【0012】
シート収納部73は、機構収納部74と対向する底壁部73Aと底壁部73Aの横方向の両縁部から立ち上がる一対の側壁部73B,73Cと、一対の側壁部73B,73Cの底壁部73Aとは反対側に位置する上端部を連結する連結壁部73Dと、排出口72を備え且つ一枚のPTPシート以外の複数のPTPシートが排出口72から一度に排出されることを阻止する排出阻止用壁部73Eを備えているのが好ましい。この構造であれば、一度に複数枚のPTPシートが排出されるのを阻止できる。
【0013】
なお排出阻止用壁部73Eは、一対の壁部に固定された固定部73Fと、排出口72に対する位置を調整可能に固定部73Fに対して取り付けられた可動部73Gとを備えているのが好ましい。可動部の位置を調整することにより、排出口の大きさを変えることができるので、PTPシートをスムーズに排出することができる。
【0014】
シート収納空間71内の複数のPTPシートが、上下方向に重ねて整列されたものの場合には、送出機構78は整列した複数のPTPシートの一番下のPTPシートを排出口72から送り出すように構成されている。そして排出阻止用壁部73Eの可動部73Gは、一番下のPTPシートと近接するが該一番下のPTPシートが排出口72から排出されることは許容し、該一番下のPTPシートの上の二番目のPTPシートが排出口72から排出されることを阻止するために位置が変えられる第1可動部材73Gaを有しているのが好ましい。第1の可動部材73はPTPシートが反って変形している場合でも、一番下のPTPシートだけを排出するのに寄与する。
【0015】
第1可動部材73Gaは、一番下のPTPシートと接触すると撓む、可撓性を有する材料によって構成されているのが好ましい。この場合、排出阻止用壁部73Eの可動部73Gは、二番目のPTPシートが排出口72から排出されることを阻止するために位置が変えられる第2可動部材73Gbを更に有しているのが好ましい。このようにすると第1可動部材73Gaの位置調整が多少ラフであっても、一番下のPTPシートの排出ができなくなる自体が発生することを防止することができる。また第1可動部材73Gaが可撓性を有していても、第2可動部材73Gbの位置調整によって二番目のPTPシートが排出口72から排出されることを確実に阻止することができる。
【0016】
第1可動部材73Gaの位置を変えるために手動で操作される第1可動機構76Haと、第2可動部材73Gbの位置を変えるために手動で操作される第2可動機構76Hbを更に備えていてもよい。このようにすると工具を用いることなく、作業者が手動で操作により、第1可動部材73Ga及び第2可動部材73Gbの位置を簡単に調整できる。
【0017】
第1可動機構76Ha及び前記第2可動機構776Hbは、それぞれ第1可動部材73Ga及び第2可動部材73Gbの変更位置を目視で確認できるように固定部に設けられた目盛り6を備えている。目盛りMがあれば、目視で調整することの作業が大幅に楽になる。
【0018】
シート収納部73は可動する部分を除いて一体に形成されているのが望ましい。なお本願明細書で「一体」には、一体成形品のように接続部を含まないものの他に、複数の部品が固定手段によって相互に固定されている状態も含まれる。シート収納部73を可動する部分を除いて一体に形成すると、シート収納部73の機械的強度を高めることができるので、PTPカセットの交換頻度が高い場合でも、シート収納部が破損することを防止できる。
【0019】
シート収納空間1Aの横方向寸法を調整するためにシート収納空間71内に挿入される少なくとも一枚の調整板73Jを更に備えていてもよい。調整板73Jを用いれば、従来のようにシート収納部73に可動機構を設けることなく、シート収納空間1Aの横方向寸法を調整することができる。
【0020】
調整板73Jを用いる場合には、シート収納部の連結壁部73Dと底壁部73Aには、シート収納空間71内に挿入された調整板73Jの上端部及び下端部と係合して調整板73Jの位置を固定する1以上の位置決め用被係合部8が設けられているのが好ましい。このような構造を採用すると、調整板73Jと位置決め用被係合部8の係合だけで、調整板の装着が完了するので、シート収納空間の横方向寸法の変更を簡単に実行できる。
【0021】
シート収納部73と機構収納部74とは、分離可能な係合構造を介して係合されているのが好ましい。このようにすれば、シート収納部73を取り外して、機構収納部74を露出させた状態で、機構収納部74の位置決めをすることができるので、作業性が大幅に向上する。またシート収納部73の裏面には、RFIDが装着されており、機構収納部74にはシート収納部73が装着された際に、RFIDと対向する位置にRFID読取り部9が設けられていてもよい。このようにすればシート収納部73と機構収納部74とを分離した後、再度装着した場合でも、RFIDの機能によってシート収納部73の存在位置を常に確認することができる。
【0022】
またシート収納部73と機構収納部74とが、分離可能な係合構造を介して係合されている場合、機構収納部74には、駆動用モータ10と該駆動用モータ10によって駆動されて回動して、シート収納部内の一番下のPTPシートを排出口72に向かって搬送する搬送用ベルト11が配置されていてもよい。機構収納部74にこれらの駆動部品が収納されていれば、シート収納部の構造が簡単になるだけでなく、その重量も軽くすることができるので、シート収納部において必要とされる調整作業を行う作業者の負担を軽減できる。
【0023】
また機構収納部74の上面部には、シート収納部73の底面部の離れた複数箇所とそれぞれ接触してシート収納部の機構収納部に対する姿勢を保持する複数の支持面14が設けられているのが好ましい。このような支持面14を複数箇所設ければ、機構収納部74上に安定した姿勢でシート収納部73を装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態のPTPシート配給装置の正面図である。
図2】PTPシート供給部とPTPシート搬出部を離して示した図である。
図3】第1のハウジングの上半部の背面板を除いてた状態の第1のハウジングの背面図である。
図4図1のIV-IV線に沿って切った断面斜視図である。
図5図3のV-V線に沿って切断した断面斜視図である。
図6図1のVI-VI線断面図である。
図7】カセッ支持部の斜視図である。
図8】1つのPTPカセットのシート収納部を正面側から見た斜視図である。
図9】PTPカセットのシート収納部を背面側から見た斜視図である。
図10】PTPカセットのシート収納部の一部を切り欠いて正面側から見た斜視図である。
図11】(A)はPTPカセットの機構収納部が取付構造を介してカセット支持部に支持されている状態を示す図であり、(B)は図11(A)の要部の拡大図である。
図12】機構収納部を底面側から見た斜視図である。
図13】(A)及び(B)は、機構収納部の機構構造を説明するために機構収納部を右斜め方向及び左斜め上方向から見た斜視図である。
図14】シート収納部と機構収納部とが、分離可能な係合構造を介して係合されていることを説明するための分解断面図である。
図15】第2の検出装置を説明するために用いる図である。
図16】制御装置の機能を説明するために用いるブロック図である。
図17】PTPシート搬出部の第2のハウジング部の内部を上から見た図である。
図18図17のXVIII-XVIII線断面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下図面を参照して本発明のPTPシート配給装置の実施の形態の一例の詳細を説明する。
【0026】
[全体構成]
図1は本実施の形態のPTPシート配給装置1の正面図である。PTPシート配給装置1は、PTPシート供給部3と、PTPシート供給部3から供給される複数のPTPシートを排出するPTPシート搬出部5とから構成されている。PTPシート配給装置1は、図2に示すように別個に構成されたPTPシート供給部3とPTPシート搬出部5が、PTPシート供給部3の第1のハウジング部31の右側壁部に設けられたPTPシート排出口32と、PTPシート搬出部5の第2のハウジング部51の左側壁部に設けられたPTPシート受入口52とを整合させた状態で、横に並べられてされている。
【0027】
PTPシート供給部3の前方が開口する第1のハ構成ウジング部の上半部には、複数のPTPカセット7が上下方向に5段のカセット列7A~7Eを形成するように配置されている。1段目と5段目のカセット列7A及び7Eには、それぞれ最小幅寸法の15個のPTPカセット7が配置されており、2段目と3段目のカセット列7B及び7Cには、それぞれ中間幅寸法の13個のPTPカセット7が配置されており、4段目のカセット7Dには、最大間幅寸法の11個のPTPカセット7が配置されている。PTPシート供給部3の第1のハウジング部31の下半部には、5個の引出式収納部9と制御装置CD(図5)が収納される制御装置収納部11配置されている。図2に示すように、PTPシート供給部3の第1のハウジング部31の右側壁部の下部領域には、制御装置CDに接続された信号ケーブルを外に引き出すケーブル引出口33が形成されており、PTPシート搬出部5の第2のハウジング部51の左側壁部の下部領域にはケーブル引出口33から出された信号ケーブル引き入れるケーブル引入口53が形成されている。
【0028】
図3に示すように、PTPシート供給部3の上半部の後方側には、第1のハウジング部31の前方側開口部を塞ぐためのシャッタ12が配置されている。図4には、図1のIV-IV線に沿って切った断面斜視図が示されている。また図5には、図3のV-V線に沿って切断した断面斜視図が示されている。図3及び図4に示す状態では、シャッタ12が完全に上げられて第1のハウジング部31の背面側に移動している状態を示している。なお図3においては、理解を容易にするために、第1のハウジング31の上半部の背面板34(図4)が除いてある。シャッタ12は、安全のために設けられているものであって、作業者が帰宅する場合等に閉じられる。
【0029】
図4に示すように、第1のハウジング部31の内部には、後に詳しく説明するように、複数のPTPカセット7が装着される5つのカセット支持部13A~13Eと、搬送用コンベア装置15に含まれる第1のコンベア16と、後述する複数の第1の検出装置74Tとが収納されている。なお搬送用コンベア装置15は、第1のハウジング部31内に配置された第1のコンベア16と第2のハウジング部51内に配置された後述する第2のコンベア55とを備えている。図1及び図2並びに図6に示すように、PTPシート搬出部5の第2のハウジング部51の下側収納部54内には第2のコンベア55及び取出部56(図6)が収納されている。図6は、図1のVI-VI線断面図である。
【0030】
第2のハウジング51の下側収納部54の上には、制御装置CDの制御状態及び処方箋データの内容を表示する表示画面を備えた表示装置57が配置されている。表示装置57は、表示画面の位置を変えることを可能にする可動支持機構58を介して第2のハウジング部51内の棚部を構成する下側収納部54の天板54(第2のハウジング部51内の棚部に相当)に取り付けられている。このような構成を採用すると、第2のハウジング部51内の取出部56の上の広いスペースを利用して、任意の方向に表示画面を向けることができ、作業性が大幅に向上する。本実施の形態の配置によれば、PTPシート供給部3の第1のハウジング部31とPTPシート搬出部5の第2のハウジング部51を離せば、第1のコンベア16及び第2のコンベア55の点検を簡単に行うことができる。また両者を離すことができるので、搬送が容易である。
【0031】
図4の断面図に示すように、PTPシート供給部3の第1のハウジング部31の上側半部の内部には、5段のカセット列7A~7Eが上下方向に間隔をあけて収納されている。各カセット列7A~7Eを構成する各PTPカセット7は、図7に示すカセット支持部13A~13Eに支持されている。カセット支持部13A~13Eには、複数のPTPカセット7が横方向に並んだ状態で支持される。また5段のカセット列7A~7Eの後方には、落下通路17が形成され、落下通路17の底部側には搬送用コンベア装置15が設置されている。
【0032】
[PTPカセット]
図8には、1つのPTPカセット7のシート収納部73を正面側から見た斜視図を示している。図9はPTPカセット7のシート収納部73を背面側から見た斜視図である。図10は1つのPTPカセット7のシート収納部73の一部を切り欠いて正面側から見た斜視図である。一つのPTPカセット7は、複数の薬剤を複数の薬剤収納部にそれぞれ収納した複数のPTPシートSを各々重ねて整列させた状態で収納するシート収納空間71と、シート収納空間71内の複数のPTPシートから最も下に位置する一枚のPTPシートが排出される排出口72を備えたシート収納部73(図8図10)と、一枚のPTPシートを排出口72から送り出す送出機構78を備えた機構収納部74(図11及び図13)からなる。後に説明するように、シート収納部73と機構収納部74とは、分離可能な係合構造を介して係合されている。
【0033】
[PTPカセットのシート収納部の構造]
図8に示すシート収納部73は、機構収納部74と対向する底壁部73Aと底壁部73Aの横方向の両縁部から立ち上がる一対の側壁部73B,73Cと、一対の側壁部73B,73Cの底壁部73Aとは反対側に位置する上端部を連結する連結壁部73Dと、排出口72を備え且つ一枚のPTPシート以外の複数のPTPシートが排出口72から一度に排出されることを阻止する排出阻止用壁部73Eを備えている。排出阻止用壁部73Eは、一対の側壁部73B,73Cに固定された固定部73Fと、排出口72に対する位置を調整可能に固定部73Fに対して取り付けられた可動部73Gとを備えている。この構造であれば、一度に複数枚のPTPシートが排出されるのを阻止できる。また可動部73Gの位置を調整することにより、排出口72の大きさを変えることができるので、PTPシートをスムーズに排出することができる。なお本実施の形態のように、シート収納空間71内の複数のPTPシートSが、上下方向に重ねて整列されたものの場合には、後に説明する図13(A)及び(B)に示す送出機構78は、整列した複数のPTPシートの一番下のPTPシートを排出口72から送り出すように構成されている。
【0034】
排出阻止用壁部73Eの可動部73Gは、一番下のPTPシートと近接するが一番下のPTPシートが排出口72から排出されることは許容し、一番下のPTPシートの上の二番目のPTPシートが排出口72から排出されることを阻止するために上下方向の位置が変えられる第1可動部材73Gaと、第1可動部材73Gaの手前に位置して上下方向に位置調整されて、第1可動部材73Gaの露出長さを調整する第2可動部材73Gbを有している。第1可動部材73Gaは、PTPシートが反って変形している場合でも、一番下のPTPシートだけを排出するのに寄与する。本実施の形態では、第1可動部材73Gaは、一番下のPTPシートと接触すると撓む、ブラシのように可撓性を有する材料によって構成されている。第2可動部材73Gbは、二番目のPTPシートが排出口72から排出されることを確実に阻止するために位置が変えられる。このようにすると第1可動部材73Gaの位置調整が多少ラフであっても、一番下のPTPシートの排出ができなくなる事態が発生することを防止することができる。また第1可動部材73Gaが可撓性を有していても、第2可動部材73Gbの位置調整によって二番目のPTPシートが排出口72から排出されることを確実に阻止することができる。
【0035】
本実施の形態では、図9に示すように、第1可動部材73Gaの位置を変えるために手動で操作される第1可動機構73Haと、第2可動部材73Gbの位置を変えるために手動で操作される第2可動機構73Hbを更に備えている。第1可動機構73Haは、第1可動部材73Gaに連結されて上下方向にスライドする摺動板73Ha1とこの摺動板73Ha1の上下位置を調整する際に手動操作される操作ネジ73Ha2とを備えている。また第2可動機構73Hbは、第2可動部材73Gb自体が上下方向に延びた延長部73Hb1とこの延長部73Hb1の上下位置を調整する際に手動操作される操作ネジ73Hb2を備えている。このような位置調整構造を採用すると、工具を用いることなく、作業者が手動操作により、第1可動部材73Ga及び第2可動部材73Gbの位置を簡単に調整できる。
【0036】
第1可動機構73Ha及び第2可動機構73Hbは、それぞれ第1可動部材73Ga及び第2可動部材73Gbの変更位置を目視で確認できるように固定された目盛り付きの目盛り板Mを備えている。摺動板73Ha1及び延長部73Hb1は、目盛り板Mに対して上下方向に位置調整可能に支持されている。
【0037】
シート収納部73は可動する部分を除いて一体に形成されているのが望ましい。なお本願明細書で「一体」には、一体成形品のように接続部を含まないものの他に、複数の部品が固定手段によって相互に固定されている状態も含まれる。シート収納部73を、可動する部分を除いて一体に形成すると、シート収納部73の機械的強度を高めることができるので、PTPカセットの交換頻度が高い場合でも、シート収納部73が破損することを防止できる。
【0038】
図10に示すように、シート収納空間71の横方向寸法を調整するためにシート収納空間71内に挿入される少なくとも一枚の調整板73Jを更に設けてもよい。調整板73Jを用いることができるように、シート収納部73の連結壁部73Dと底壁部73Aには、シート収納空間71内に挿入された調整板73Jの上端部及び下端部と係合して調整板73Jの位置を固定する位置決め用被係合部73Kが設けられている。このような構造を採用すると、調整板73Jと位置決め用被係合部73Kの係合だけで、調整板73Jの装着が完了するので、シート収納空間71の横方向寸法の変更を簡単に実行できる。
【0039】
[機構収納部の取付構造]
図11(A)は、PTPカセット7の機構収納部74が取付構造75を介してカセット支持部(13A~13E)に支持されている状態を示す図であり、図11(B)は図11(A)の要部の拡大図である。図12は、機構収納部74を底面側から見た斜視図である。
【0040】
機構収納部74の横方向(複数のPTPカセット7が並ぶ方向またはカセット支持部(13A~13E)の長手方向)の位置を調整できる取付構造75(図9)を介して、機構収納部74がカセット支持部(13A~13E)に支持されている。
【0041】
図9及び図10に示すように、取付構造75は、機構収納部74に設けられた第1及び第2の係合部75A1,75A2と、カセット支持部13Bに設けられた第1及び第2の被係合部75B1,75B2とから構成されている。第1及び第2の被係合部75B1,75B2は、横方向Yと直交し且つカセット支持部13Bに沿う直交方向Xに間隔をあけて配置されて横方向に延びる第1及び第2の長尺部から構成できる。この場合、第1及び第2の係合部75A1,75A2は、位置調整時には第1及び第2の長尺部76A及び76Bにガイドされて横方向に移動可能で且つ非位置調整時には第1及び第2の長尺部76A及び76Bと係合して横方向に移動できない構造をそれぞれ有している。このような構造の取付構造75であれば、機構収納部74を横方向にスライドさせることにより、簡単に機構収納部74の位置調整をすることができる。
【0042】
なお第1の係合部75A1は、第1の長尺部76Aに係止された状態で第2の長尺部76B側に機構収納部74が移動させられると蓄勢される弾性体77を備えて機構収納部74に対してスライドするスライダである。また第2の係合部75A2は、第1の係合部75A1が第1の長尺部に係止されて弾性体77が蓄勢されている状態から機構収納部74が第1の長尺部76A側へ移動させられると、弾性体77の放勢力で第2の長尺部76Bに押し付けられる2つのフックである。これらスライダ(75A1)及び2つのフック(75A2)は、機構収納部74の底部に設けられており、第1及び第2の長尺部76A及び76Bは、カセット支持部(13A~13E)の上面に設けられている。また第1の長尺部76Aのカセット支持部13Bから離れた端部には、直交方向Xに突出して幅方向に連続して延びてスライダ(75A1)と係合する第1のフランジ部F1が設けられており、第2の長尺部76Bのカセット支持部(13A~13E)から離れた端部には、直交方向Xに突出して幅方向に連続して延びて2つのフック(75A2)と係合する第2のフランジ部F2が設けられている。取付構造がこのような構成であれば、少ない部品点数で、横方向(Y歩行)寸法の異なる複数のPTPカセットの取付を簡単に実現できる。
本実施の形態によれば、シート収納空間71(図8)の横方向寸法が異なるPTPカセット7であっても、横方向Yの位置を調整できる取付構造75を介して機構収納部74をカセット支持部(13A~13E)に取り付けるので、シート収納空間71の横方向寸法が大きいPTPカセットであっても、簡単にカセット支持部(13A~13E)に取り付けることができる。
【0043】
[シート収納部と機構収納部の係合構造]
図13(A)及び(B)は、機構収納部74の機構構造を説明するために機構収納部74を右斜め方向及び左斜め上方向から見た斜視図である。図14は、シート収納部73と機構収納部74とが、分離可能な係合構造を介して係合されていることを説明するための分解断面図である。シート収納部73と機構収納部74とは、分離可能な係合構造を介して係合されているので、シート収納部73を取り外して、機構収納部74を露出させた状態で、機構収納部74の位置決めをすることができ、作業性が大幅に向上する。
【0044】
図8に示したように、シート収納部73の底壁部73Aの裏面には、電波を用いて内蔵したメモリのデータを非接触で読み書きする記録媒体であるRFIDタグ73Rが装着されている(図8)。図13(A)及び(B)に示すように、機構収納部74にはシート収納部73が装着された際に、RFIDタグ73Rと対向する位置にRFID読取り部74Aが設けられている。このようにすればシート収納部73と機構収納部74とを分離した後、再度装着した場合でも、RFIDの機能によってシート収納部73の存在位置を常に確認することができる。
【0045】
また機構収納部74の上面部には、シート収納部73の底面部の離れた2箇所とそれぞれ接触してシート収納部73の機構収納部74に対する姿勢を保持する2つの支持面74B,74Cが設けられている。このような支持面74B,74Cを複数箇所設ければ、機構収納部74上に安定した姿勢でシート収納部73を装着することができる。そしてシート収納部73と機構収納部74とを、分離可能な係合構造を介して係合するために、シート収納部73には、図14に示すように、係合用フック73Lと係合用スリット73Mが設けられている。シート収納部73には、図14に示す係合用スリット73Mと同様の別の係合用スリットが,幅方向に対向する位置に設けられている。また機構収納部74には、係合用フック73Lが挿入されると係合する被係合構造を内部に備えた被係合部74Dと、係合用スリット73Mが嵌まる係合用凸部74Eが設けられている(図13(B)参照)。また機構収納部74には、前述の係合用スリット73Mと幅方向に対向する別の係合用スリットが,係合される係合用凸部74Fも設けられている(図13(A)参照)。被係合部74Dの内部には、挿入された係合用フック73Lに押されると蓄勢されるバネと、このバネが蓄勢された状態で係合する被係合片とが収納されており、係合状態から更に係合用フック73Lが押し込まれると、係合が解除されてバネの放勢力で係合用フック73Lを押し出す機構が収納されている。したがってシート収納部73を機構収納部74に上に載せた状態で、シート収納部73を奥に押し込む作業をすることにより、係合用フック73Lを被係合部74Dに押し込み、係合用スリット73Mを係合用凸部74Eに係合させ、前述の別の係合用スリットを係合用凸部74Fに係合させると、シート収納部73と機構収納部74は係合状態になる。そしてシート収納部73に更に押し込む力を加えると、係合用フック73Lが被係合部74D内の係合片から解除されて、被係合部74Dの内部のバネの放勢力で、シート収納部73は前方に押し出されて、シート収納部73と機構収納部74の係合状態が解除される。
【0046】
[機構収納部の機構]
図13(A)及び(B)に示すように、機構収納部74には、駆動用モータ74Nと駆動用モータ74Nによって駆動される歯車機構74Pにより回動するプーリ74Qにより、シート収納部73内の一番下のPTPシートを排出口72に向かって搬送する搬送用ベルト74Rが配置されている。搬送用ベルト74Rには、シート収納部73内の一番下のPTPシートを引っ掛けるフック74Sが装着されている。このフック74Sは、シート収納部73の底壁B73Aに設けられた細長いスリット73S(図8及び図14参照)内に移動可能に配置されている。機構収納部74にこれらの駆動部品が収納されていれば、シート収納部73の構造が簡単になるだけでなく、その重量も軽くすることができるので、シート収納部73において必要とされる調整作業を行う作業者の負担を軽減できる。
【0047】
図13(A)及び(B)に示すように示すように、機構収納部74のプーリ74Qの近傍には、PTPカセット7に設けられて排出口72からPTPシートが排出されたことを検出する第1の検出装置74Tが配置されている。第1の検出装置74Tは、搬送されるPTPシートに向かってスリット73Sを通して光を放出する発光ダイオードと、この発光ダイオードからの光がPTPシートによって反射された光を受光するフォトセンサとから構成されている。反射光を受光することにより、PTPシートが排出されたか否か検出される。複数のPTPカセット7の全てに、この第1の検出装置74Tが設けられている。第1の検出装置74Tは、本実施の形態のように、機構収納部74において排出口72から排出されるPTPシートの通過を検出できる位置に配置されているのが好ましい。そして本実施の形態では、第1の検出装置74Tが機構収納部74に供給される電力を用いて動作する。このような構成にすると、シート収納部73側には、電力を必要とする第1の検出装置74T等が一切搭載されていないので、保守作業等でシート収納部73を外す場合でも、配線の取り外しが必要ないという利点がある。
【0048】
[PTPシートの搬送機構]
PTPシート供給部3は、PTPシートSの搬送のために、搬送用コンベア装置15と、前述の複数の第1の検出装置74Tと、後述する第2の検出装置19(図15)と、制御装置CDを備えている。図4及び図5に示すように、搬送用コンベア装置15は、カセット支持部13A~13Eの後方の下部領域に配置されて、複数のPTPカセット7から排出されて落下したPTPシートを受け取って取出部56(図1図2)まで搬送する第1のコンベア16を備えている。制御装置CDは、処方箋データに従って、選択した1以上のPTPカセット7の機構収納部74にある送出機構78に駆動指令を与えて、1以上のPTPカセット7からPTPシートを排出する制御と搬送用コンベア装置15の制御を実行する。複数の第1の検出装置74Tは、複数のPTPカセット7にそれぞれ設けられて排出口72からPTPシートが排出されたことを検出する。図15に示された第2の検出装置19は、搬送用コンベア装置15によって搬送されるPTPシートを検出する。第2の検出装置19としては、例えば第1の検出装置74Tと同様の発光ダイオードとフォトセンサを組み合わせセンサ装置を用いることができるが、撮像装置(カメラ)の画像からコンベア16に搬送されてくるPTPシートの存在を確認する画像処理装置を用いて検出するものを用いることができる。
【0049】
[PTPシート搬出部の構成]
図17は、PTPシート搬出部5の第2のハウジング部51内部を上から見た図であり、図18図17のXVIII-XVIII線断面である。これらの図に示されるように、PTPシート搬出部5の第2のハウジング部51内に配置される取出部56は、第2のコンベア55により搬送された複数のPTPシートを受け入れる開口部57と、該開口部57の下にあって開口部57から落下する複数のPTPシートが載る底部58を備えている。そしてこの底部58の表面は、第2のコンベア55の搬送方向と交差する方向に延びる集束部59から開口部57に向かって広がるように延びる一対の傾斜面60を備えている。このようにする取出部56に落下した複数のPTPシートは底部58の集束部59に集まることになり、取出部56からの複数のPTPシートの取出が容易になる。
【0050】
取出部56には底部58上にPTPカセットが残っていることを検出する第3の検出装置61が設けられている。第3の検出装置61も第2の検出装置19と同様に、発光ダイオードとフォトセンサを組み合わせた複数のフォトセンサ装置を用いることができる。複数のフォトセンサ装置は、集束部59に沿って、所定の間隔をあけて設けるのが好ましい。また第3の検出装置61として、カメラの画像から集束部59に集まっているPTPシートの存在を確認する画像処理装置を用いることもできる。
【0051】
図1及び図2に示すように、取出部56と第2のコンベア55との間には、仕切り壁部63が設けられている。仕切り壁部63は、第2のコンベア55上の状況を仕切り壁部63の外側から視覚により確認することを可能にする構造を有している。具体的には、仕切り壁部63は、少なくとも一部が透明または半透明の材料から形成されている。このようにすると第2のコンベア55の上に複数のPTPシートが残っているか否かを、仕切り壁部を外すことなく確認できる。また仕切り壁部63を設けると、外光が直接第2のコンベア55の奥まで入ることを阻止できるので、外光によって第2の検出装置19による検出が影響を受けるのを防止できる。
【0052】
仕切り壁部63は、ヒンジ64により天板54Aに開閉可能に取付られている。何らかの理由で、PTPシートが第2のコンベア55の上に残った場合に、仕切り壁部63を外すかまた開くことにより、残ったPTPシートを簡単に除去することができる。
【0053】
[制御装置の機能]
図16に示すように、本実施の形態では、制御装置CDが、複数のPTPカセットに設けられた複数の第1の検出装置74Tの出力に基づいて計数されたPTPシートの数と、第2の検出装置19の出力に基づいて計数されたPTPシートの数が、処方箋データに指示されたPTPシートの数と不一致の場合に、アラーム発生装置21からアラームを発生させる検査機能を有している。なお図1及び図2に示した表示装置57の表示画面に、文字情報によってアラームを表示するようにしてもよく、アラームの発生の態様は任意である。本実施の形態によれば、複数の第1の検出装置74Tの出力に基づいて計数されたPTPシートの数と、第2の検出装置19の出力に基づいて計数されたPTPシートの数とが、処方箋データに指示されたPTPシートの数と不一致の場合に発生するアラームの発生によって、PTPシートの過不足が判るので、過不足の原因を作業者は直ぐに確認することができる。
【0054】
また制御装置CDは、2以上のPTPカセット7から同時にPTPシートが排出されないように各PTPカセット7の複数の送出機構78を制御する機能を有している。制御装置CDのこの機能により、搬送装置用コンベア15の第1のコンベア16上に落下した複数のPTPシートが重ならなくなるので、第2の検出装置19での検出誤りが減少する。
【0055】
搬送用コンベア装置15は、複数のPTPカセットから落下するPTPシートを受け取る第1のコンベア16(図4図5図15)と該第1のコンベア16から落下するPTPシートを受け取る第2のコンベア55(図6図17)とを備えている。第2のコンベア55は、第2のハウジング部51内に配置されており、第1のコンベア16と第2のコンベア55とは直交するように配置されている。第2のハウジング部51内にある取出部56は第2のコンベア55によって搬送される複数のPTPカセットを受け取る構造を有している。制御装置CDによって制御される搬送用コンベア装置15は、第1のコンベア16上に落下する複数のPTPシートが重ならないようにPTPシートを搬送するように第1のコンベア16を駆動する。そして第2の検出装置19は、第1のコンベア16から第2のコンベア55に落下する前に第1のコンベア16上に在るPTPシートを検出するように配置されている。その結果、第2のコンベア55上に落下するPTPシートの数を正確に計数できる。
【0056】
制御装置CDは、第3の検出装置61が1以上のPTPシートが底部58上に残っていることを検出している間は、複数の第1の検出装置74Tの出力に基づいて計数されたPTPシートの数と、第2の検出装置19の出力に基づいて計数されたPTPシートの数が、処方箋データに指示されたPTPシートの数と一致したことを検出しても、第2のコンベア55上の複数のPTPシートを取出部56に搬送するように第2のコンベア55を駆動する指令を搬送用コンベア装置15には与えない。このようにすれば、前回の配給で排出したPTPシートと今回の配給で排出したPTPシートが混在して取り出されることを阻止できる。
【0057】
なお制御装置CDは、第3の検出装置61が1以上のPTPシートが底部58上に残っていることを検出している間でも、複数の第1の検出装置74Tの出力に基づいて計数されたPTPシートの数と、1以上の第2の検出装置の出力に基づいて計数されたPTPシートの数が、処方箋データに指示されたPTPシートの数とが一致するまでは、処方箋データに従って、選択した1以上のPTPカセットの機構収納部74にある送出機構78に駆動指令を与える。このようにすれば、PTPカセットからのPTPシートの排出作業が影響を受けることはない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、シート収納空間の横方向寸法が異なるPTPカセットであっても、横方向の位置を調整できる取付構造を介して機構収納部をカセット支持部に取り付けるので、シート収納空間の横方向寸法が大きいPTPカセットであっても、簡単にカセット支持部に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 PTPシート配給装置
3 PTPシート供給部
5 PTPシート搬出部
7 PTPカセット
7A~7E カセット列
71 シート収納空間
72 排出口
73 シート収納部
73A 底壁部
73B,73C 側壁部
73D 連結壁部
73E 排出阻止用壁部
73G 可動部
73Ga 第1可動部材
73Gb 第2可動部材
73Ha 第1可動機構
73Hb 第2可動機構
73J 調整板
73K 位置決め用被係合部
73M スリット
74 機構収納部
74B,74C 支持面
74D 被係合部
74E,74F 係合用凸部
74L フック
74N 駆動用モータ
74P 歯車機構
74Q プーリ
74R 搬送用ベルト
74S フック
74T 第1の検出装置
75A1 第1の係合部
75A2 第2の係合部
9 引出式収納部
CD 制御装置
11 制御装置収納部
12 シャッタ
13A~13E カセット支持部
15 搬送用コンベア装置
16 第1のコンベア
19 第2の検出装置
21 アラーム発生装置
51 第2のハウジング部
55 第2のコンベア
56 取出部
57 表示装置
58 底部
59 収束部
61 第3の検出装置
63 仕切り壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18