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特開2024-126061半導体モジュールの製造方法及び半導体モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126061
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】半導体モジュールの製造方法及び半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240912BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20240912BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/48 G
H01L23/48 J
H01L21/56 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034194
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐沢 達也
【テーマコード(参考)】
5F061
【Fターム(参考)】
5F061AA01
5F061BA04
5F061CA02
5F061CB02
5F061CB12
(57)【要約】
【課題】半導体モジュールの信頼性の低下を抑制する。
【解決手段】金属ベース上の1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第1半導体素子と第1導電板とを電気的に接続し、第2半導体素子と第2導電板とを電気的に接続し、1または複数の絶縁基板のおもて面に平行に配線される第1配線部を備える第1リードフレームと、第1配線部のおもて面に対して間隙を設けて重畳して第1配線部の配線方向に沿って配線される第2配線部を備える第2リードフレームと、枠状の筐体とが一体成型されたケースを、金属ベース上に配置し、第1及び第2リードフレームを金属ベース上の第1または第2回路パターンに接合する前に、重畳する第1及び第2配線部の一部の取付領域に、取付領域を第1配線部の裏面と第2配線部のおもて面から挟持する挟持部と、取付領域における間隙を充填する配線間隙部とを含む、1または複数の絶縁部材を取り付ける。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ベース上に、第1半導体素子、第2半導体素子、第1導電板及び第2導電板がおもて面に設けられた1または複数の絶縁基板を配置する第1配置工程と、
前記第1半導体素子と前記第1導電板とを電気的に接続し、前記第2半導体素子と前記第2導電板とを電気的に接続する配線工程と、
前記1または複数の絶縁基板のおもて面に平行に配線される第1配線部を備える第1リードフレームと、前記第1配線部のおもて面に対して間隙を設けて重畳して前記第1配線部の配線方向に沿って配線される第2配線部を備える第2リードフレームと、枠状の筐体とが一体成型されたケースを、前記金属ベース上に配置する第2配置工程と、
前記金属ベース上の第1回路パターンに前記第1リードフレームを接合し、前記金属ベース上の第2回路パターンに前記第2リードフレームを接合する接合工程と、
前記接合工程の前に行われる工程であって、重畳する前記第1配線部と前記第2配線部の一部の取付領域に、前記取付領域を前記第1配線部の裏面と前記第2配線部のおもて面から挟持する挟持部と、前記取付領域における前記間隙を充填する配線間隙部とを含む、1または複数の絶縁部材を取り付ける取付工程と、
を含む半導体モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記1または複数の絶縁部材のうち、
前記挟持部は、前記第2配線部のおもて面に接する第1部分と前記第1配線部の裏面に接する第2部分と前記第1部分及び前記第2部分の前記配線方向に平行であって同一平面を成すそれぞれの側部を接続する第3部分を含み、
前記配線間隙部の前記第1部分及び前記第2部分の前記それぞれの側部と同一方向を成す側部は、前記第3部分に接続されている、
請求項1に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記第2配置工程の前に、前記ケースを一体成型するケース作製工程をさらに有し、
前記1または複数の絶縁部材は、前記ケース作製工程後に、前記取付領域に取り付けられる、請求項2に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記接合工程後、前記筐体で囲われた収納領域内に封止部材を充填する封止工程をさらに有し、
前記封止工程の前に、前記1または複数の絶縁部材を前記取付領域から取り外す取り外し工程を含む、請求項2に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記第1リードフレームまたは前記第2リードフレームは、前記第1配線部または前記第2配線部から前記第1配線部のおもて面または前記第2配線部のおもて面に対して平行に突出する第3配線部を有し、
前記挟持部の前記第1部分または前記第2部分と、前記配線間隙部は、前記第3配線部を挟持する延長部分を含む、
請求項2に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記挟持部は、前記第2配線部のおもて面に接する第1部分と前記第1配線部の裏面に接する第2部分を含み、
前記1または複数の絶縁部材は、前記第1部分と前記配線間隙部の第1端部と接続する第3部分と、前記第2部分と前記配線間隙部の前記第1端部に対向する第2端部と接続する第4部分を含む、請求項1に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記第2配置工程の前に、前記ケースを一体成型するケース作製工程をさらに有し、
前記1または複数の絶縁部材は、前記ケース作製工程前に、前記取付領域に取り付けられる、請求項6に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記挟持部の前記第1配線部の裏面及び前記第2配線部のおもて面の前記配線方向に平行な側部側の先端には、前記先端から前記第1配線部及び前記第2配線部にそれぞれ向いたかえし部が設けられている、請求項1に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記1または複数の絶縁基板は、第1絶縁基板と第2絶縁基板を含み、前記第1回路パターンは前記第1絶縁基板上の前記第1導電板であり、前記第2回路パターンは前記第2絶縁基板上の前記第2導電板である、請求項1に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項10】
金属ベースと、
第1半導体素子、第2半導体素子、前記第1半導体素子と電気的に接続された第1導電板及び前記第2半導体素子と電気的に接続された第2導電板がおもて面に設けられ、前記金属ベース上に配置された1または複数の絶縁基板と、
前記1または複数の絶縁基板のおもて面に平行に配線される第1配線部を備え、前記金属ベース上の第1回路パターンに接合された第1リードフレームと、前記第1配線部のおもて面に対して間隙を設けて重畳して前記第1配線部の配線方向に沿って配線される第2配線部を備え、前記金属ベース上の第2回路パターンに接合された第2リードフレームと、枠状の筐体とが一体成型され、前記金属ベース上に配置されたケースと、
重畳する前記第1配線部と前記第2配線部の一部の領域を前記第1配線部の裏面と前記第2配線部のおもて面から挟持する挟持部と、前記領域における前記間隙を充填する配線間隙部を含む1または複数の第1絶縁部材と、
を有し、
前記挟持部は、前記第2配線部のおもて面に接する第1部分と前記第1配線部の裏面に接する第2部分を含み、
前記1または複数の第1絶縁部材は、前記第1部分と前記配線間隙部の第1端部と接続する第3部分と、前記第2部分と前記配線間隙部の前記第1端部に対向する第2端部と接続する第4部分を含む、
半導体モジュール。
【請求項11】
前記第2配線部の、おもて面、裏面及び、前記配線方向に対して垂直方向に対向する2つの側面を覆う第2絶縁部材を、さらに有する、請求項10に記載の半導体モジュール。
【請求項12】
前記1または複数の絶縁基板は、第1絶縁基板と第2絶縁基板を含み、前記第1回路パターンは前記第1絶縁基板上の前記第1導電板であり、前記第2回路パターンは前記第2絶縁基板上の前記第2導電板である、請求項10に記載の半導体モジュール。
【請求項13】
第1導電部及び前記第1導電部と電位が異なる第2導電部がおもて面に設けられた1または複数の絶縁基板を金属ベース上に配置する第1配置工程と、
前記1または複数の絶縁基板のおもて面に平行に配線される第1配線部を備える第1リードフレームと、前記第1配線部のおもて面に対して間隙を設けて重畳して前記第1配線部の配線方向に沿って配線される第2配線部を備える第2リードフレームと、枠状の筐体とが一体成型されたケースを、前記金属ベース上に配置する第2配置工程と、
前記第1導電部に前記第1リードフレームを接合し、前記第2導電部に前記第2リードフレームを接合する接合工程と、
前記接合工程の前に行われる工程であって、重畳する前記第1配線部と前記第2配線部の一部の取付領域に、前記取付領域を前記第1配線部の裏面と前記第2配線部のおもて面から挟持する挟持部と、前記取付領域における前記間隙を充填する配線間隙部とを含む、1または複数の絶縁部材を取り付ける取付工程と、
を含む半導体モジュールの製造方法。
【請求項14】
前記1または複数の絶縁部材のうち、
前記挟持部は、前記第2配線部のおもて面に接する第1部分と前記第1配線部の裏面に接する第2部分と前記第1部分及び前記第2部分の前記配線方向に平行であって同一平面を成すそれぞれの側部を接続する第3部分を含み、
前記配線間隙部の前記第1部分及び前記第2部分の前記それぞれの側部と同一方向を成す側部は、前記第3部分に接続されている、
請求項13に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項15】
前記第2配置工程の前に、前記ケースを一体成型するケース作製工程をさらに有し、
前記1または複数の絶縁部材は、前記ケース作製工程後に、前記取付領域に取り付けられる、請求項14に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項16】
前記接合工程後、前記筐体で囲われた収納領域内に封止部材を充填する封止工程をさらに有し、
前記封止工程の前に、前記1または複数の絶縁部材を前記取付領域から取り外す取り外し工程を含む、請求項14に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項17】
前記第1リードフレームまたは前記第2リードフレームは、前記第1配線部または前記第2配線部から前記第1配線部のおもて面または前記第2配線部のおもて面に対して平行に突出する第3配線部を有し、
前記挟持部の前記第1部分または前記第2部分と、前記配線間隙部は、前記第3配線部を挟持する延長部分を含む、
請求項14に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項18】
前記挟持部は、前記第2配線部のおもて面に接する第1部分と前記第1配線部の裏面に接する第2部分を含み、
前記1または複数の絶縁部材は、前記第1部分と前記配線間隙部の第1端部と接続する第3部分と、前記第2部分と前記配線間隙部の前記第1端部に対向する第2端部と接続する第4部分を含む、請求項13に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項19】
前記第2配置工程の前に、前記ケースを一体成型するケース作製工程をさらに有し、
前記1または複数の絶縁部材は、前記ケース作製工程前に、前記取付領域に取り付けられる、請求項18に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項20】
前記挟持部の前記第1配線部の裏面及び前記第2配線部のおもて面の前記配線方向に平行な側部側の先端には、前記先端から前記第1配線部及び前記第2配線部にそれぞれ向いたかえし部が設けられている、請求項13に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項21】
前記第1導電部は、前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第1回路パターン、または前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第1半導体素子のおもて面の第1主電極であり、
前記第2導電部は、前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第2回路パターン、または前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第2半導体素子のおもて面の第2主電極である、
請求項13に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項22】
金属ベースと、
第1導電部及び第2導電部がおもて面に設けられ、前記金属ベース上に配置された1または複数の絶縁基板と、
前記1または複数の絶縁基板のおもて面に平行に配線される第1配線部を備え、前記第1導電部に接合された第1リードフレームと、前記第1配線部のおもて面に対して間隙を設けて重畳して前記第1配線部の配線方向に沿って配線される第2配線部を備え、前記第2導電部に接合された第2リードフレームと、枠状の筐体とが一体成型され、前記金属ベース上に配置されたケースと、
重畳する前記第1配線部と前記第2配線部の一部の領域を前記第1配線部の裏面と前記第2配線部のおもて面から挟持する挟持部と、前記領域における前記間隙を充填する配線間隙部を含む1または複数の第1絶縁部材と、
を有し、
前記挟持部は、前記第2配線部のおもて面に接する第1部分と前記第1配線部の裏面に接する第2部分を含み、
前記1または複数の第1絶縁部材は、前記第1部分と前記配線間隙部の第1端部と接続する第3部分と、前記第2部分と前記配線間隙部の前記第1端部に対向する第2端部と接続する第4部分を含む、
半導体モジュール。
【請求項23】
前記第2配線部の、おもて面、裏面及び、前記配線方向に対して垂直方向に対向する2つの側面を覆う第2絶縁部材を、さらに有する、請求項22に記載の半導体モジュール。
【請求項24】
前記第1導電部は、前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第1回路パターン、または前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第1半導体素子のおもて面の第1主電極であり、
前記第2導電部は、前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第2回路パターン、または前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第2半導体素子のおもて面の第2主電極である、
請求項22に記載の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールの製造方法及び半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体モジュールには、平面視で重畳する2枚の板状の端子導体間の距離を一定以上に保つため、絶縁ブロックを設けたものがある(例えば特許文献1参照)。また、封止部材の充填が不十分でも平面視で重畳領域をもつ2つのリードフレーム間の短絡を防止するため、重畳領域の間隙を充填する部分を含む配線保持部を設けた半導体モジュールがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/073311号
【特許文献2】国際公開第2021/029150号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本件実施形態の課題としては、リードフレームの変形による半導体モジュールの信頼性の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、金属ベース上に、第1半導体素子、第2半導体素子、第1導電板及び第2導電板がおもて面に設けられた1または複数の絶縁基板を配置する第1配置工程と、前記第1半導体素子と前記第1導電板とを電気的に接続し、前記第2半導体素子と前記第2導電板とを電気的に接続する配線工程と、前記1または複数の絶縁基板のおもて面に平行に配線される第1配線部を備える第1リードフレームと、前記第1配線部のおもて面に対して間隙を設けて重畳して前記第1配線部の配線方向に沿って配線される第2配線部を備える第2リードフレームと、枠状の筐体とが一体成型されたケースを、前記金属ベース上に配置する第2配置工程と、前記金属ベース上の第1回路パターンに前記第1リードフレームを接合し、前記金属ベース上の第2回路パターンに前記第2リードフレームを接合する接合工程と、前記接合工程の前に行われる工程であって、重畳する前記第1配線部と前記第2配線部の一部の取付領域に、前記取付領域を前記第1配線部の裏面と前記第2配線部のおもて面から挟持する挟持部と、前記取付領域における前記間隙を充填する配線間隙部とを含む、1または複数の絶縁部材を取り付ける取付工程と、を含む半導体モジュールの製造方法が提供される。
【0006】
前記1または複数の絶縁部材のうち、前記挟持部は、前記第2配線部のおもて面に接する第1部分と前記第1配線部の裏面に接する第2部分と前記第1部分及び前記第2部分の前記配線方向に平行であって同一平面を成すそれぞれの側部を接続する第3部分を含み、前記配線間隙部の前記第1部分及び前記第2部分の前記それぞれの側部と同一方向を成す側部は、前記第3部分に接続されていてよい。
【0007】
前記第2配置工程の前に、前記ケースを一体成型するケース作製工程をさらに有し、前記1または複数の絶縁部材は、前記ケース作製工程後に、前記取付領域に取り付けられてよい。
【0008】
前記接合工程後、前記筐体で囲われた収納領域内に封止部材を充填する封止工程をさらに有し、前記封止工程の前に、前記1または複数の絶縁部材を前記取付領域から取り外す取り外し工程を含んでいてよい。
【0009】
前記第1リードフレームまたは前記第2リードフレームは、前記第1配線部または前記第2配線部から前記第1配線部のおもて面または前記第2配線部のおもて面に対して平行に突出する第3配線部を有し、前記挟持部の前記第1部分または前記第2部分と、前記配線間隙部は、前記第3配線部を挟持する延長部分を含んでいてよい。
【0010】
前記挟持部は、前記第2配線部のおもて面に接する第1部分と前記第1配線部の裏面に接する第2部分を含み、前記1または複数の絶縁部材は、前記第1部分と前記配線間隙部の第1端部と接続する第3部分と、前記第2部分と前記配線間隙部の前記第1端部に対向する第2端部と接続する第4部分を含んでいてよい。
【0011】
前記第2配置工程の前に、前記ケースを一体成型するケース作製工程をさらに有し、前記1または複数の絶縁部材は、前記ケース作製工程前に、前記取付領域に取り付けられてよい。
【0012】
前記挟持部の前記第1配線部の裏面及び前記第2配線部のおもて面の前記配線方向に平行な側部側の先端には、前記先端から前記第1配線部及び前記第2配線部にそれぞれ向いたかえし部が設けられていてよい。
【0013】
前記1または複数の絶縁基板は、第1絶縁基板と第2絶縁基板を含み、前記第1回路パターンは前記第1絶縁基板上の前記第1導電板であり、前記第2回路パターンは前記第2絶縁基板上の前記第2導電板であってよい。
【0014】
本発明の一観点によれば、金属ベースと、第1半導体素子、第2半導体素子、前記第1半導体素子と電気的に接続された第1導電板及び前記第2半導体素子と電気的に接続された第2導電板がおもて面に設けられ、前記金属ベース上に配置された1または複数の絶縁基板と、前記1または複数の絶縁基板のおもて面に平行に配線される第1配線部を備え、前記金属ベース上の第1回路パターンに接合された第1リードフレームと、前記第1配線部のおもて面に対して間隙を設けて重畳して前記第1配線部の配線方向に沿って配線される第2配線部を備え、前記金属ベース上の第2回路パターンに接合された第2リードフレームと、枠状の筐体とが一体成型され、前記金属ベース上に配置されたケースと、重畳する前記第1配線部と前記第2配線部の一部の領域を前記第1配線部の裏面と前記第2配線部のおもて面から挟持する挟持部と、前記領域における前記間隙を充填する配線間隙部を含む1または複数の第1絶縁部材と、を有し、前記挟持部は、前記第2配線部のおもて面に接する第1部分と前記第1配線部の裏面に接する第2部分を含み、前記1または複数の第1絶縁部材は、前記第1部分と前記配線間隙部の第1端部と接続する第3部分と、前記第2部分と前記配線間隙部の前記第1端部に対向する第2端部と接続する第4部分を含む、半導体モジュールが提供される。
【0015】
前記第2配線部の、おもて面、裏面及び、前記配線方向に対して垂直方向に対向する2つの側面を覆う第2絶縁部材を、さらに有していてよい。
【0016】
前記1または複数の絶縁基板は、第1絶縁基板と第2絶縁基板を含み、前記第1回路パターンは前記第1絶縁基板上の前記第1導電板であり、前記第2回路パターンは前記第2絶縁基板上の前記第2導電板であってよい。
【0017】
本発明の一観点によれば、第1導電部及び前記第1導電部と電位が異なる第2導電部がおもて面に設けられた1または複数の絶縁基板を金属ベース上に配置する第1配置工程と、前記1または複数の絶縁基板のおもて面に平行に配線される第1配線部を備える第1リードフレームと、前記第1配線部のおもて面に対して間隙を設けて重畳して前記第1配線部の配線方向に沿って配線される第2配線部を備える第2リードフレームと、枠状の筐体とが一体成型されたケースを、前記金属ベース上に配置する第2配置工程と、前記第1導電部に前記第1リードフレームを接合し、前記第2導電部に前記第2リードフレームを接合する接合工程と、前記接合工程の前に行われる工程であって、重畳する前記第1配線部と前記第2配線部の一部の取付領域に、前記取付領域を前記第1配線部の裏面と前記第2配線部のおもて面から挟持する挟持部と、前記取付領域における前記間隙を充填する配線間隙部とを含む、1または複数の絶縁部材を取り付ける取付工程と、を含む半導体モジュールの製造方法が提供される。
【0018】
前記1または複数の絶縁部材のうち、前記挟持部は、前記第2配線部のおもて面に接する第1部分と前記第1配線部の裏面に接する第2部分と前記第1部分及び前記第2部分の前記配線方向に平行であって同一平面を成すそれぞれの側部を接続する第3部分を含み、前記配線間隙部の前記第1部分及び前記第2部分の前記それぞれの側部と同一方向を成す側部は、前記第3部分に接続されていてよい。
【0019】
前記第2配置工程の前に、前記ケースを一体成型するケース作製工程をさらに有し、前記1または複数の絶縁部材は、前記ケース作製工程後に、前記取付領域に取り付けられてよい。
【0020】
前記接合工程後、前記筐体で囲われた収納領域内に封止部材を充填する封止工程をさらに有し、前記封止工程の前に、前記1または複数の絶縁部材を前記取付領域から取り外す取り外し工程を含んでいてよい。
【0021】
前記第1リードフレームまたは前記第2リードフレームは、前記第1配線部または前記第2配線部から前記第1配線部のおもて面または前記第2配線部のおもて面に対して平行に突出する第3配線部を有し、前記挟持部の前記第1部分または前記第2部分と、前記配線間隙部は、前記第3配線部を挟持する延長部分を含んでいてよい。
【0022】
前記挟持部は、前記第2配線部のおもて面に接する第1部分と前記第1配線部の裏面に接する第2部分を含み、前記1または複数の絶縁部材は、前記第1部分と前記配線間隙部の第1端部と接続する第3部分と、前記第2部分と前記配線間隙部の前記第1端部に対向する第2端部と接続する第4部分を含んでいてよい。
【0023】
前記第2配置工程の前に、前記ケースを一体成型するケース作製工程をさらに有し、前記1または複数の絶縁部材は、前記ケース作製工程前に、前記取付領域に取り付けられてよい。
【0024】
前記挟持部の前記第1配線部の裏面及び前記第2配線部のおもて面の前記配線方向に平行な側部側の先端には、前記先端から前記第1配線部及び前記第2配線部にそれぞれ向いたかえし部が設けられていてよい。
【0025】
前記第1導電部は、前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第1回路パターン、または前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第1半導体素子のおもて面の第1主電極であり、前記第2導電部は、前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第2回路パターン、または前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第2半導体素子のおもて面の第2主電極であってよい。
【0026】
本発明の一観点によれば、金属ベースと、第1導電部及び第2導電部がおもて面に設けられ、前記金属ベース上に配置された1または複数の絶縁基板と、前記1または複数の絶縁基板のおもて面に平行に配線される第1配線部を備え、前記第1導電部に接合された第1リードフレームと、前記第1配線部のおもて面に対して間隙を設けて重畳して前記第1配線部の配線方向に沿って配線される第2配線部を備え、前記第2導電部に接合された第2リードフレームと、枠状の筐体とが一体成型され、前記金属ベース上に配置されたケースと、重畳する前記第1配線部と前記第2配線部の一部の領域を前記第1配線部の裏面と前記第2配線部のおもて面から挟持する挟持部と、前記領域における前記間隙を充填する配線間隙部を含む1または複数の第1絶縁部材と、を有し、前記挟持部は、前記第2配線部のおもて面に接する第1部分と前記第1配線部の裏面に接する第2部分を含み、前記1または複数の第1絶縁部材は、前記第1部分と前記配線間隙部の第1端部と接続する第3部分と、前記第2部分と前記配線間隙部の前記第1端部に対向する第2端部と接続する第4部分を含む、半導体モジュールが提供される。
【0027】
前記第2配線部の、おもて面、裏面及び、前記配線方向に対して垂直方向に対向する2つの側面を覆う第2絶縁部材を、さらに有していてよい。
【0028】
前記第1導電部は、前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第1回路パターン、または前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第1半導体素子のおもて面の第1主電極であり、前記第2導電部は、前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第2回路パターン、または前記1または複数の絶縁基板のおもて面に設けられた第2半導体素子のおもて面の第2主電極であってよい。
【0029】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となりうる。
【発明の効果】
【0030】
開示の技術によれば、リードフレームの変形による半導体モジュールの信頼性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1の実施の形態の半導体モジュールの斜視図である。
図2】第1の実施の形態の半導体モジュールの平面図である。
図3】第1絶縁部材の取付例を示す断面図である。
図4】第2絶縁部材を示す断面図である。
図5】第1の実施の形態の半導体モジュールの製造方法の一例を示すフローチャートである。
図6】第1絶縁部材の第1の変形例を示す断面図である。
図7】第1絶縁部材の第2の変形例を示す半導体モジュールの平面図である。
図8】第1絶縁部材の第2の変形例を示す断面図である。
図9】第1絶縁部材の第3の変形例を示す半導体モジュールの平面図である。
図10】第2の実施の形態の半導体モジュールの平面図である。
図11】第2の実施の形態における第1絶縁部材の一例を示す断面図である。
図12】第2の実施の形態の半導体モジュールの製造方法の一例を示すフローチャートである。
図13】第1絶縁部材の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。
なお、以下の説明において、「おもて面」及び「上面」とは、図1図2の半導体モジュール10などにおいて、上側(+Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「上」とは、図1図2の半導体モジュール10などにおいて、上側(+Z方向)の方向を表す。「裏面」及び「下面」とは、図1図2の半導体モジュール10などにおいて、下側(-Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「下」とは、図1図2の半導体モジュール10などにおいて、下側(-Z方向)の方向を表す。必要に応じて他の図面でも同様の方向性を意味する。「おもて面」、「上面」、「上」、「裏面」、「下面」、「下」、「側面」は、相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。
【0033】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態の半導体モジュール及びその製造方法について、図1図9を用いて説明する。
図1は、第1の実施の形態の半導体モジュールの斜視図である。また、図2は、第1の実施の形態の半導体モジュールの平面図である。
図1図2の例では、3相インバータ回路の機能を含む半導体モジュール10が示されている。半導体モジュール10は、金属ベース11、第1絶縁基板21a、第2絶縁基板21b、ケース30、第1絶縁部材40、第2絶縁部材50を有する。
【0034】
金属ベース11は、半導体モジュール10の放熱用に用いられるものであり、熱伝導性に優れた金属を主成分とする。このような金属として、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を含む合金などがある。金属ベース11の耐食性を向上させるために、めっき処理が行われていてもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。
【0035】
第1絶縁基板21a、第2絶縁基板21bは、金属ベース11上に配置されている。第1絶縁基板21a、第2絶縁基板21bは、例えば、はんだにより金属ベース11に固定される。第1絶縁基板21a、第2絶縁基板21bは、熱伝導性に優れたセラミックスにより構成されている。このようなセラミックスは、高温伝導性の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などである。
【0036】
第1絶縁基板21aのおもて面には、図2に示すように、第1半導体素子22aと、第1半導体素子22aに電気的に接続された第1導電板23aとが設けられている。第2絶縁基板21bのおもて面にも同様に、第2半導体素子22bと、第2半導体素子22bに電気的に接続された第2導電板23bとが設けられている。
【0037】
図2に示されている第1半導体素子22aと第2半導体素子22bは、例えば、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、またはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのスイッチング素子を含む。第1半導体素子22aが上アームのスイッチング素子、第2半導体素子22bが下アームのスイッチング素子として機能する。このようなスイッチング素子は、パワーMOSFETの場合は、裏面に主電極として入力電極であるドレイン電極を、おもて面に、主電極として制御電極であるゲート電極及び出力電極であるソース電極をそれぞれ備えている。IGBTの場合は、裏面に主電極として入力電極であるコレクタ電極を、おもて面に、主電極として制御電極であるゲート電極及び出力電極であるエミッタ電極をそれぞれ備えている。
なお、第1半導体素子22aと第2半導体素子22bは、RC(Reverse-Conducting)-IGBTであってもよい。RC-IBGTは、IGBTとダイオード素子であるFWD(Free Wheeling Diode)との機能を合わせ持つ。また、第1半導体素子22aと第2半導体素子22bは、炭化シリコンにより構成されるパワーMOSFETであってもよい。また、パワーMOSFET(炭化シリコンにより構成されるものも含む)のボディダイオードが、RC-IGBTのFWDと同様の機能を果たしてしてもよい。
【0038】
第1導電板23aは、第1絶縁基板21aのおもて面に設けられた回路パターンに含まれている。第2導電板23bは、第2絶縁基板21bのおもて面に設けられた回路パターンに含まれている。これらの回路パターンは、導電性に優れた金属で構成されている。このような金属は、銅あるいは銅合金などである。なお、回路パターンの数及び形状は、半導体モジュール10の仕様などに応じて適宜選択される。このような回路パターンが設けられた第1絶縁基板21a及び第2絶縁基板21bとして、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板、AMB(Active Metal Brazed)基板を用いることができる。
【0039】
第1半導体素子22aの裏面と、第1導電板23aのおもて面とは、例えば、はんだにより接合されることで、第1半導体素子22aと第1導電板23aとが電気的に接続される。なお、第1半導体素子22aの出力電極は、第1絶縁基板21aのおもて面に設けられた回路パターンに含まれる第3導電板23cに電気的に接続されている。第1半導体素子22aのゲート電極は、ケース30に設けられている制御端子35aに電気的に接続されている。図示を省略しているが、電気的接続には、ボンディングワイヤなどの配線部材が用いられる。
【0040】
第2半導体素子22bの出力電極は、図示を省略しているが、例えば、ボンディングワイヤなどの配線部材によって、第2導電板23bと電気的に接続されている。第2半導体素子22bのゲート電極も、図示を省略しているが、例えば、ボンディングワイヤなどの配線部材によって、ケース30に設けられている制御端子35bに電気的に接続されている。なお、第2半導体素子22bの裏面は、第2絶縁基板21bのおもて面に設けられた回路パターンに含まれる第4導電板23dのおもて面と、例えば、はんだにより接合されている。
【0041】
第1絶縁基板21a上及び第2絶縁基板21b上には、他の半導体素子が設けられていてもよい。図1図2の例では、第2絶縁基板21b上にダイオードを含む半導体素子24bが設けられている。ダイオードは、例えば、SBD(Schottky Barrier Diode)、PiN(P-intrinsic-N)ダイオードなどであり、FWDとしてスイッチング素子に対して逆並列に設けられている。このような半導体素子24bは、裏面に主電極として出力電極(カソード電極)を、おもて面に主電極として入力電極(アノード電極)をそれぞれ備えている。半導体素子24bの裏面は、はんだにより第4導電板23dのおもて面に接合されている。半導体素子24bのおもて面の入力電極は、図示を省略しているが、例えば、ボンディングワイヤなどの配線部材によって、第2導電板23bと電気的に接続されている。
【0042】
図1図2では第2リードフレーム32の下方(-Z方向)に隠れているが、第1絶縁基板21a上にも同様のダイオードを含む半導体素子が設けられている。
【0043】
詳細な説明は省略するが、上記のような各半導体素子や各導電板が設けられた第1絶縁基板21aと第2絶縁基板21bの対が、金属ベース11上に、X方向に3対配置されている。また、金属ベース11上には、ブレーキ回路などが形成された絶縁基板が配置されていてもよい。
【0044】
ケース30は、第1リードフレーム31、第2リードフレーム32、第3リードフレーム33の他、前述の制御端子35a,35bなどの各種端子が、枠状の筐体34と一体成型されたものである。
【0045】
第1リードフレーム31、第2リードフレーム32、第3リードフレーム33は、主電流用の外部接続端子である。
【0046】
第1リードフレーム31は、第1絶縁基板21a及び第2絶縁基板21bのおもて面に平行に配線される第1配線部(後述の図3の第1配線部31a)を備え、第1導電板23aに接合されている。第1リードフレーム31と第1導電板23aとの接合には、はんだ接合や超音波接合などが用いられる。第1リードフレーム31の両端は、端子部31b,31cとして機能している。端子部31b,31cは、筐体34の上部及び半導体モジュール10のフタ(図示せず)のおもて面に露出している。
【0047】
第2リードフレーム32は、第1配線部のおもて面に対して間隙を設けて重畳して第1配線部の配線方向(X方向)に沿って配線される第2配線部(後述の図3の第2配線部32a)を備えている。また、第2リードフレーム32は、第2導電板23bに接合されている。第2リードフレーム32と第2導電板23bとの接合には、はんだ接合や超音波接合などが用いられる。第2リードフレーム32の両端は、端子部32b,32cとして機能している。端子部32b,32cは、筐体34の上部及び半導体モジュール10のフタ(図示せず)のおもて面に露出している。
【0048】
第3リードフレーム33は、第3導電板23cと第4導電板23dに接合されている。第3リードフレーム33と第3導電板23c及び第4導電板23dとの接合には、はんだ接合や超音波接合などが用いられる。第3リードフレーム33の一端は、端子部33aとして機能している。端子部33aは、筐体34の上部に露出している。端子部33aは、半導体モジュール10の出力端子(U端子、V端子またはW端子)の1つとして機能する。
【0049】
第1リードフレーム31、第2リードフレーム32、第3リードフレーム33は、導電性に優れた材料により構成されている。当該材料は、例えば、アルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種を含む合金である。
【0050】
第1絶縁部材40は、例えば、以下のような構成を有する。
図3は、第1絶縁部材の取付例を示す断面図である。図3には、図2の一点鎖線III-IIIにおける断面での、第1絶縁部材40と、第1リードフレーム31の第1配線部31a、第2リードフレーム32の第2配線部32aが示されている。
【0051】
第1絶縁部材40は、重畳する第1配線部31a及び第2配線部32aのそれぞれの一部の取付領域に取り付けられた挟持部40aを有する。挟持部40aは、第1配線部31aの裏面と第2配線部32aのおもて面とを挟持する。また、第1絶縁部材40は、上記取付領域における、第1配線部31aと第2配線部32aとの間の間隙を充填する配線間隙部40bを有する。
【0052】
挟持部40aは、第2配線部32aのおもて面に接する第1部分40a1と第1配線部31aの裏面に接する第2部分40a2とを含む。さらに、図3の第1絶縁部材40の例では、挟持部40aは、第1部分40a1及び第2部分40a2の、上記配線方向に平行であって同一平面を成すそれぞれの側部40a3,40a4を接続する第3部分40cを含む。
【0053】
なお、上記では、第1絶縁部材40の形状を説明するために、第1絶縁部材40を、挟持部40aと配線間隙部40bとに分けて説明したが、挟持部40aと配線間隙部40bは一体的に作製可能である。第1絶縁部材40のサイズは特に限定されるものではないが、例えば、下方のボンディングワイヤなどの構造物と干渉しない程度の大きさであることが好ましい。第1絶縁部材40は、例えば、3次元プリンタ、金型成型、樹脂切削などにより作製できる。
【0054】
このような第1絶縁部材40は、後述のように、第1リードフレーム31を第1導電板23aに、第2リードフレーム32を第2導電板23bに、それぞれ接合する接合工程の前に行われる工程にて、取り付けられる。
【0055】
第2絶縁部材50は、例えば、以下のような構成を有する。
図4は、第2絶縁部材を示す断面図である。図4には、図2の一点鎖線IV-IVにおける断面での、第2絶縁部材50と、第1リードフレーム31の第1配線部31a、第2リードフレーム32の第2配線部32aが示されている。
【0056】
第2絶縁部材50は、第2配線部32aの、おもて面、裏面及び、配線方向に対して垂直方向(±Y方向)に対向する2つの側面を覆うように形成されている。なお、第2絶縁部材50は、さらに、第1配線部31aの、裏面及び、配線方向に対して垂直方向(±Y方向)に対向する2つの側面を覆うように形成されていてもよい。このような第2絶縁部材50は、後述のように、ケース30を一体成型により作製する工程の前の工程で形成される。
【0057】
第1絶縁部材40及び第2絶縁部材50は、例えば、熱可塑性樹脂により構成されている。熱可塑性樹脂として、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリアミド(PA)、または、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などがある。
【0058】
なお、第1絶縁部材40及び第2絶縁部材50は、それぞれ複数あってもよい。また、第1絶縁部材40は、半導体モジュール10の製造工程の途中で取外し可能である。第1絶縁部材40及び第2絶縁部材50を設けることによる効果については、後述する。
【0059】
図示を省略しているが、半導体モジュール10には、さらに、ケース30の制御端子35a,35bなどの各種端子と電気的に接続されるプリント基板や、筐体34で囲われた収納領域内に充填される封止部材、ケース30内を密閉するフタが設けられる。
【0060】
(半導体モジュール10の製造方法)
図5は、第1の実施の形態の半導体モジュールの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0061】
ステップS1:半導体モジュール10の各部品を用意する用意工程が行われる。金属ベース11、第1導電板23aや第2導電板23bなどを含む回路パターンが設けられた第1絶縁基板21a及び第2絶縁基板21b、第1半導体素子22a、第2半導体素子22b、ケース30を作製するための部品などが用意される。ケース30を作製するための部品には、第1リードフレーム31、第2リードフレーム32、第3リードフレーム33、筐体34、制御端子35a,35b、第1絶縁部材40などがある。第1絶縁部材40は、予め、例えば、3次元プリンタ、金型成型、樹脂切削などにより作製される。
【0062】
ステップS2:第1リードフレーム31及び第2リードフレーム32と第2絶縁部材50を一体化した結合部品を形成する結合部品形成工程が行われる。このような結合部品は、金型を用いて、一体成型により形成できる。第2絶縁部材50は、図4に示したように、第2リードフレーム32の第2配線部32aの、おもて面、裏面及び、配線方向に対して垂直方向に対向する2つの側面を覆うように形成される。第2絶縁部材50の下面は、第1リードフレーム31の第1配線部31aのおもて面を覆っている。なお、第2絶縁部材50は、さらに、第1配線部31aの、裏面及び、配線方向に対して垂直方向に対向する2つの側面を覆うように形成されていてもよい。
【0063】
ステップS3:第1配置工程が行われる。第1配置工程では、金属ベース11上に、第1絶縁基板21a及び第2絶縁基板21bなどが配置される。第1絶縁基板21a、第2絶縁基板21bは、例えば、はんだにより金属ベース11に固定される。第1配置工程では、さらに、各半導体素子が第1絶縁基板21a、第2絶縁基板21bのおもて面の回路パターン上に配置される。例えば、図2に示したように、第1半導体素子22aは、第1絶縁基板21aの回路パターンに含まれる第1導電板23a上に配置され、第2半導体素子22bは、第2絶縁基板21bの回路パターンに含まれる第4導電板23d上に配置される。
【0064】
ステップS4:第1配線工程が行われる。第1配線工程では、各半導体素子を所定の回路パターン(導電板)に電気的に接続することが行われる。図2の例では、第1半導体素子22aは、裏面に設けられた入力電極と、第1導電板23aのおもて面とを、例えば、はんだ接合することで、第1導電板23aに電気的に接続される。第2半導体素子22bは、おもて面に設けられた出力電極と、第2導電板23bとを、例えば、ボンディングワイヤなどの配線部材によって接続することで、第2導電板23bに電気的に接続される。
なお、第1半導体素子22aの出力電極は、例えば、ボンディングワイヤなどの配線部材によって、第3導電板23cに電気的に接続される。第2半導体素子22bの裏面に設けられた入力電極は、第4導電板23dのおもて面と、例えば、はんだにより接合される。
【0065】
ステップS5:ケース作製工程が行われる。ケース30は、第1リードフレーム31、第2リードフレーム32、第3リードフレーム33の他、前述の制御端子35a,35bなどの各種端子が、枠状の筐体34と一体成型されることで作製される。ケース作製工程では、第1リードフレーム31と第2リードフレーム32と第2絶縁部材50は一体化された結合部品として、金型にセットされる。これにより、ケース作製工程における一体成型時の熱履歴により筐体34と第1リードフレーム31と第2リードフレーム32との間の位置関係が、適切な位置からずれることを防止できる。ただ、このような位置ずれを考慮しなくてよい場合などには、第2絶縁部材50はなくてもよい。その場合、ステップS2の工程が省略されてもよい。
【0066】
ステップS6:取付工程が行われる。取付工程では、前述した図3のように、第1絶縁部材40が、第1リードフレーム31の第1配線部31aと第2リードフレーム32の第2配線部32aの一部の取付領域に取り付けられる。第1絶縁部材40は、例えば、下方のボンディングワイヤなどの構造物と干渉しないような取付領域に取り付けることができる。なお、図1図2の例では、第1絶縁部材40は1つ取り付けられているが、複数取り付けられていてもよい。第1絶縁部材40の個数や各取付位置は、下方の構造物の状況などに応じて適宜選択される。
【0067】
図3に示したような第1絶縁部材40は、第1リードフレーム31及び第2リードフレーム32の配線方向(X方向)に移動可能である。このため、第1絶縁部材40は、一旦取り付けられた後でも、X方向の位置を調整可能である。また、第1絶縁部材40は、図3の例では、+X方向に見た時にE字状となっており、+Y方向に、第1配線部31aと第2配線部32aから取り外し可能である。このため、第1絶縁部材40は、一旦取り付けられた後でも、取り外しでき、より適切な位置に取り付けることも可能である。これにより、ボンディングワイヤなどの配線部材を配線する際の自由度も向上する。なお、取付工程は、人手により行われてもよいし、自動機により行われてもよい。
【0068】
ステップS7:第2配置工程が行われる。第2配置工程では、ステップS5の工程で作製されたケース30が、金属ベース11上に配置される。ケース30は、金属ベース11の外周上面に配置され、例えば、接着剤などにより固定される。
【0069】
ステップS8:接合工程が行われる。接合工程では、第1リードフレーム31が第1導電板23aに、第2リードフレーム32が第2導電板23bに、それぞれ接合される。
【0070】
ステップS9:第2配線工程が行われる。第1半導体素子22a及び第2半導体素子22bと、ケース30の間の配線が行われる。例えば、ボンディングワイヤなどの配線部材によって、第1半導体素子22aのゲート電極が、ケース30に設けられている制御端子35aに電気的に接続される。同様に、第2半導体素子22bのゲート電極が、ケース30に設けられている制御端子35bに電気的に接続される。
【0071】
ステップS10:取り外し工程が行われる。ここでは、前述の取付領域から、第1絶縁部材40が取り外される。取り外し工程において、第1絶縁部材40は、図3の例では+Y方向へ引き抜かれる。なお、第1絶縁部材40は、他の構造物(ボンディングワイヤや、後に配置されるプリント基板など)に悪影響を与えなければ、取り外さなくてもよい。
【0072】
ステップS11:第3配置工程が行われる。スイッチング素子の制御用のプリント基板が、ケース30内の第2リードフレーム32の上方に配置され、ケース30の制御端子35a,35bなどの各種端子と電気的に接続される。
【0073】
ステップS12:封止工程が行われる。封止部材(絶縁樹脂材)が筐体34で囲われた収納領域内に充填され硬化される。フタが筐体34の上面に接着されることで、収納領域内が封止される。これにより、半導体モジュール10が完成する。
【0074】
上記の工程の順序は一例である。例えば、ステップS2の工程をステップS3またはS4の工程の後に行ってもよいし、ステップS6の工程をステップS7の工程の次に行ってもよい。さらに、ステップS10の工程を、ステップS8の工程とステップS9の工程の間に行ってもよいし、ステップS11の工程とステップS12の工程の間に行ってもよい。
【0075】
以上のように第1の実施の形態の半導体モジュール10の製造方法では、第1リードフレーム31を第1導電板23aに、第2リードフレーム32を第2導電板23bに、それぞれ接合する接合工程の前に、第1絶縁部材40の取付工程が行われる。
【0076】
接合工程において、第1絶縁部材40が第1リードフレーム31と第2リードフレーム32に取り付けられていることにより、接合時の熱などによって、第1リードフレーム31が凸形状に反り、第2リードフレーム32に接触することを防止できる。また、第1絶縁部材40によって、第2リードフレーム32が凹形状に反り、第1リードフレーム31に接触することも防止できる。このような効果は、図4に示したような第2絶縁部材50によっても得られる。
【0077】
また、第2絶縁部材50は、図4に示したように、第2リードフレーム32の第2配線部32aの一部を封止している。これにより、第2絶縁部材50は、第2リードフレーム32から取り外されることはなく、第2リードフレーム32の第2配線部32aと第1リードフレーム31の第1配線部31aとの±Z方向の距離を維持し、絶縁性を保持することができる。しかしながら、第2絶縁部材50のみでは、第1リードフレーム31が凹形状に反ることを十分に防止できない。このような変形が生じた場合、第1リードフレーム31が、第1絶縁基板21aや第2絶縁基板21b上の構造物(ボンディングワイヤなど)に強く当たり、金属ベース11上へのケース付けの不具合、端子付けの不具合などが発生する可能性がある。それにより、信頼性が悪化する可能性がある。
【0078】
これに対して、図3に示したような第1絶縁部材40が第1リードフレーム31と第2リードフレーム32に取り付けられていることにより、第1リードフレーム31が凹形状に反ることを防止できる。これにより、上記のような不具合の発生を防止でき、信頼性の低下を抑制できる。
なお、ステップS10の工程で第1絶縁部材40の取り外しを行う場合、取り外した第1絶縁部材40は、別の半導体モジュールを製造する際にも使用可能である。すなわち、第1絶縁部材40は、使いまわしが可能であり、半導体モジュールの製造のたびに、新しく第1絶縁部材40を作製しなくてよい。
【0079】
なお、上記の例では、半導体モジュール10は、第1絶縁基板21a及び第2絶縁基板21bを含む複数の絶縁基板を有しているが、半導体モジュール10は、1つの絶縁基板のみを有していてもよい。
また、上記の例では、第1リードフレーム31が第1導電板23aに、第2リードフレーム32が第2導電板23bにそれぞれ接合されるものとしたが、このような形態に限定されない。第1リードフレーム31は、金属ベース11上の第1回路パターンに接合され、第2リードフレーム32は、金属ベース11上の第2回路パターンに接合される。第1リードフレーム31と第2リードフレーム32には異なる電位が印加されるため、第1回路パターンと第2回路パターンにも異なる電位が印加される。第1導電板23aは、第1回路パターンの一例であり、第2導電板23bは、第2回路パターンの一例である。
また、第1回路パターンは、第1半導体素子22aのおもて面の主電極、第2回路パターンは、第2半導体素子22bのおもて面の主電極であってもよい。その場合、これら主電極と第1リードフレーム31または第2リードフレーム32との接合は、例えば、銀焼結材を用いた接合などにより行うことができる。
【0080】
なお、第1回路パターン(第1導電板23aを含む)または第1半導体素子22aのおもて面の主電極は、第1導電部の一具体例である。また、第2回路パターン(第2導電板23bを含む)または第2半導体素子22bのおもて面の主電極は、第2導電部の一具体例である。
【0081】
(第1絶縁部材の変形例)
図6は、第1絶縁部材の第1の変形例を示す断面図である。図6において、図3に示した要素と同じ要素については同一符号が付されている。
【0082】
変形例の第1絶縁部材41の挟持部40aには、第1配線部31aの裏面及び第2配線部32aのおもて面の配線方向に平行な側部側の先端に、先端から第1配線部31a及び第2配線部32aにそれぞれ向いたかえし部41d1,41d2が設けられている。このような第1絶縁部材41は、図5のステップS6の取付工程において、図3に示した第1絶縁部材40と同様に取付可能である。
【0083】
このような、かえし部41d1,41d2を設けることで、第1絶縁部材41が、第1リードフレーム31及び第2リードフレーム32から+Y方向に抜けてしまうことが防止される。なお、このような第1絶縁部材41が用いられる場合、前述のステップS10の取り外し工程において、第1絶縁部材41は取り外されない。
【0084】
図7は、第1絶縁部材の第2の変形例を示す半導体モジュールの平面図である。また、図8は、第1絶縁部材の第2の変形例を示す断面図である。図8には、図7の一点鎖線VIII-VIIIにおける断面での、第1絶縁部材42と、第1リードフレーム31の第1配線部31a、第2リードフレーム32の第2配線部32a及び第3配線部32dが示されている。図7図8において、図2図3に示した要素と同じ要素については、同一符号が付されている。なお、図7では、図2に示した第2絶縁部材50については、図示が省略されている。
【0085】
図7に示す半導体モジュール10aにおいて、第2リードフレーム32は、第2配線部32aから、第2配線部32aのおもて面に対して平行に突出する第3配線部32dを有している。
【0086】
第1絶縁部材42において、挟持部40aの第1部分40a1と、配線間隙部40bは、第3配線部32dを挟持する延長部分42a,42bを含む。このような第1絶縁部材42を用いることで、第2配線部32aから第2配線部32aのおもて面に対して平行に突出する第3配線部32dが、前述の図5のステップS8の接合工程において変形することを防止できる。
【0087】
なお、第1絶縁部材42は、前述のステップS10の取り外し工程において取り外し可能である。取り外し工程において、第1絶縁部材42は、図8の例では+Y方向へ引き抜かれる。
【0088】
図示を省略するが、第1リードフレーム31が、第1配線部31aから、第1配線部31aのおもて面に対して平行に突出する第3配線部を有している場合にも、同様の延長部分を第1絶縁部材42に設けることで、同様の効果が得られる。その場合、挟持部40aの第2部分40a2と、配線間隙部40bが、第3配線部を挟持する延長部分を含むようにすればよい。
【0089】
図9は、第1絶縁部材の第3の変形例を示す半導体モジュールの平面図である。図9において、図2図7に示した要素と同じ要素については、同一符号が付されている。なお、図9では、図2に示した第2絶縁部材50については、図示が省略されている。
【0090】
図9に示す半導体モジュール10bにおいて、第1絶縁部材43の延長部分43aは、図7に示した第1絶縁部材42の延長部分42aに対応している。ただし、延長部分43aは、延長部分42aよりも、第3配線部32dに沿って、さらに長く形成されている。なお、図示を省略しているが、第1絶縁部材43の配線間隙部の延長部分についても、延長部分42aと同様に、図8の延長部分42bよりも、第3配線部32dに沿って、さらに長く形成されている。
【0091】
このように、第1絶縁部材42,43の形状は、第3配線部32dの形状などに応じて適宜変更可能である。
なお、上記の第1絶縁部材40~43は、互いに組み合わせて用いることも可能である。
【0092】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態の半導体モジュール及びその製造方法について、図10図13を用いて説明する。
【0093】
図10は、第2の実施の形態の半導体モジュールの平面図である。図10において、図2に示した要素と同じ要素については、同一符号が付されている。
第2の実施の形態の半導体モジュール60において、第1絶縁部材61は、例えば、以下のような構成を有する。
【0094】
図11は、第2の実施の形態における第1絶縁部材の一例を示す断面図である。図11には、図10の一点鎖線XI-XIにおける断面での、第1絶縁部材61と、第1リードフレーム31の第1配線部31a、第2リードフレーム32の第2配線部32aが示されている。
【0095】
第1絶縁部材61は、重畳する第1配線部31a及び第2配線部32aのそれぞれの一部の領域を、第1配線部31aの裏面と第2配線部32aのおもて面とから挟持する挟持部40aを有する。また、第1絶縁部材61は、上記領域における、第1配線部31aと第2配線部32aとの間の間隙を充填する配線間隙部40bを有する。
【0096】
挟持部40aは、第2配線部32aのおもて面に接する第1部分40a1と第1配線部31aの裏面に接する第2部分40a2を含む。第1絶縁部材61は、さらに、第1部分40a1と配線間隙部40bの第1端部と接続する第3部分61aと、第2部分40a2と配線間隙部40bの第1端部に対向する第2端部と接続する第4部分61bを含む。
【0097】
なお、上記では、第1絶縁部材61の形状を説明するために、第1絶縁部材61を、複数の部分に分けて説明したが、複数の部分は一体的に作製可能である。第1絶縁部材61のサイズは特に限定されるものではないが、例えば、下方のボンディングワイヤなどの構造物と干渉しない程度の大きさであることが好ましい。
【0098】
このような第1絶縁部材61は、後述のように、ケース30を一体成型により作製する工程の前の工程で形成される。
第1絶縁部材61は、例えば、熱可塑性樹脂により構成されている。熱可塑性樹脂として、例えば、PPS、PPT、PBT、PBS、PA、または、ABSなどがある。
なお、第1絶縁部材61は、複数あってもよい。
【0099】
(半導体モジュール60の製造方法)
図12は、第2の実施の形態の半導体モジュールの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0100】
ステップS20:半導体モジュール60の各部品を用意する用意工程が行われる。金属ベース11、第1導電板23aや第2導電板23bなどを含む回路パターンが設けられた第1絶縁基板21a及び第2絶縁基板21b、第1半導体素子22a、第2半導体素子22b、ケース30を作製するための部品などが用意される。ケース30を作製するための部品には、第1リードフレーム31、第2リードフレーム32、第3リードフレーム33、筐体34、制御端子35a,35bなどがある。
【0101】
ステップS21:第1リードフレーム31及び第2リードフレーム32と第1絶縁部材61、第2絶縁部材50を一体化した結合部品を形成する結合部品形成工程が行われる。このような結合部品は、金型を用いて、一体成型により形成できる。第1の実施の形態の半導体モジュール10の製造方法と異なり、第2の実施の形態の半導体モジュール60の製造方法では、第1絶縁部材61は、この工程により、第1リードフレーム31及び第2リードフレーム32に取り付けられる。このため、ステップS21の工程は、取付工程ということもできる。
【0102】
ステップS22~S23は、図5に示したステップS3~S4の工程と同じである。
【0103】
ステップS24:ケース作製工程が行われる。ステップS24の工程では、ケース30は、第1リードフレーム31、第2リードフレーム32、第3リードフレーム33の他、前述の制御端子35a,35bなどの各種端子が、枠状の筐体34と一体成型されることで作製される。ケース作製工程では、第1リードフレーム31と第2リードフレーム32と第1絶縁部材61及び第2絶縁部材50は一体化された結合部品として、金型にセットされる。これにより、ケース作製工程における一体成型時の熱履歴により筐体34と第1リードフレーム31と第2リードフレーム32との間の位置関係が、適切な位置からずれることを防止できる。なお、このような効果は、第2絶縁部材50だけでなく、図11に示したような第1絶縁部材61によっても得られるため、第2絶縁部材50はなくてもよい。ただ、第2絶縁部材50を用いることで、その効果はより強まる。また、第2絶縁部材50を用いることで、絶縁距離を長くすることができる。
【0104】
ステップS25~S27の工程は、図5に示したステップS7~S9の工程と同じである。
【0105】
前述のように第2の実施の形態の半導体モジュール60の製造方法では、第1絶縁部材61は、ケース作製工程後ではなく、ケース作製工程前に第1リードフレーム31及び第2リードフレーム32に取り付けられる。ただ、図11に示したような第1絶縁部材61は、第1リードフレーム31及び第2リードフレーム32の配線方向(X方向)に移動可能である。このため、第1絶縁部材61は、X方向の位置を調整可能である。これにより、ボンディングワイヤなどの配線部材を配線する際の自由度も向上する。
【0106】
第2の実施の形態の半導体モジュール60の製造方法では、第1絶縁部材61は、図11の例では、+X方向に見た時にS字状となっており、第1配線部31aと第2配線部32aから取り外しできない。このため、図5に示したステップS10の取り外し工程は行われない。
【0107】
ステップS28,S29は、図5に示したステップS11,S12の工程と同じである。
【0108】
上記の工程の順序は一例である。例えば、ステップS21の工程をステップS22またはS23の工程の後に行ってもよい。
【0109】
以上のように第2の実施の形態の半導体モジュール60の製造方法では、第1リードフレーム31を第1導電板23aに、第2リードフレーム32を第2導電板23bに、それぞれ接合する接合工程の前に、第1絶縁部材61の取付工程が行われる。
【0110】
接合工程において、第1絶縁部材61が第1リードフレーム31と第2リードフレーム32に取り付けられていることにより、接合時の熱などによって、第1リードフレーム31が凸形状に反り、第2リードフレーム32に接触することを防止できる。また、第1絶縁部材61によって、第2リードフレーム32が凹形状に反り、第1リードフレーム31に接触することも防止できる。さらに、第1絶縁部材61が第1リードフレーム31と第2リードフレーム32に取り付けられていることにより、第1リードフレーム31が凹形状に反ることを防止できる。これにより、第1リードフレーム31が、第1絶縁基板21aや第2絶縁基板21b上の構造物に強く当たり、金属ベース11上へのケース付けの不具合、端子付けの不具合などの発生を防止でき、信頼性の低下を抑制できる。
【0111】
なお、第2の実施の形態の半導体モジュール60においても、図3図6図9に示した第1絶縁部材40~43を、第1リードフレーム31と第2リードフレーム32に取り付け可能である。その場合、第1絶縁部材40~43をステップS24とステップS26の工程の間に、第1リードフレーム31と第2リードフレーム32に取り付けてよい。
【0112】
また、第1絶縁部材40,42,43が用いられる場合、これらは、例えば、ステップS26の接合工程の後に、取り外してもよい。
【0113】
なお、第1の実施の形態の半導体モジュール10と同様に、第2の実施の形態の半導体モジュール60は、第1絶縁基板21a及び第2絶縁基板21bを含む複数の絶縁基板を有しているが、半導体モジュール60は、1つの絶縁基板のみを有していてもよい。
また、上記の例では、第1リードフレーム31が第1導電板23aに、第2リードフレーム32が第2導電板23bにそれぞれ接合されるものとしたが、このような形態に限定されない。第1リードフレーム31は、金属ベース11上の第1回路パターンに接合され、第2リードフレーム32は、金属ベース11上の第2回路パターンに接合される。第1リードフレーム31と第2リードフレーム32には異なる電位が印加されるため、第1回路パターンと第2回路パターンにも異なる電位が印加される。第1導電板23aは、第1回路パターンの一例であり、第2導電板23bは、第2回路パターンの一例である。
なお、第1回路パターンは、第1半導体素子22aのおもて面の主電極、第2回路パターンは、第2半導体素子22bのおもて面の主電極であってもよい。その場合、これら主電極と第1リードフレーム31または第2リードフレーム32との接合は、例えば、銀焼結材を用いた接合などにより行うことができる。
【0114】
(第1絶縁部材の変形例)
図13は、第1絶縁部材の変形例を示す断面図である。図13において、図11に示した要素と同じ要素については同一符号が付されている。
【0115】
変形例の第1絶縁部材62の挟持部40aには、第1配線部31aの裏面及び第2配線部32aのおもて面の配線方向に平行な側部側の先端に、先端から第1配線部31a及び第2配線部32aにそれぞれ向いたかえし部62a,62bが設けられている。このような第1絶縁部材62は、図12のステップS21の取付工程において、図11に示した第1絶縁部材61と同様に取付可能である。
【0116】
このような、かえし部62a,62bを設けることで、第1絶縁部材62が、適切な取付領域からずれることが抑制される。
【0117】
以上、実施の形態に基づき、本発明の半導体モジュールの製造方法及び半導体モジュールの一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0118】
10,10a,10b,60 半導体モジュール
11 金属ベース
21a 第1絶縁基板
21b 第2絶縁基板
22a 第1半導体素子
22b 第2半導体素子
23a 第1導電板
23b 第2導電板
23c 第3導電板
23d 第4導電板
24b 半導体素子
30 ケース
31 第1リードフレーム
31a 第1配線部
31b,31c,32b,32c,33a 端子部
32 第2リードフレーム
32a 第2配線部
32d 第3配線部
33 第3リードフレーム
34 筐体
35a,35b 制御端子
40,41,42,43,61,62 第1絶縁部材
40a 挟持部
40a1 第1部分
40a2 第2部分
40a3,40a4 側部
40b 配線間隙部
40c 第3部分
41d1,41d2,62a,62b かえし部
42a,42b,43a 延長部分
50 第2絶縁部材
61a 第3部分
61b 第4部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13