(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126064
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20240912BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20240912BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20240912BHJP
E04F 19/08 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E04H1/02
E05B65/00 D
E05B65/00 B
E05B47/00 U
E04F19/08 D
E04F19/08 102J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034201
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】山下 登教
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA01
2E025AA12
2E025AA22
(57)【要約】
【課題】居住者と訪問者あるいは訪問者同士の動線の交わりを極力防いで安全性を高めるとともに衛生面での懸念点を払拭しつつ、訪問型サービスを受ける上での利便性を向上させる。
【解決手段】玄関扉121b付きの玄関出入口121aと、第一扉131b付きの第一出入口131aと、第二扉132b付きの第二出入口132aと、第三出入口141aがあり、第一施解錠制御装置21の第一認証部211によって、第一扉131bの開閉を行うユーザーの認証を行い、第一制御部212によって、第一扉131bの施解錠を可能とする第一錠の動作を制御し、第二施解錠制御装置22の第二認証部221によって、第二扉132bの開閉を行うユーザーの認証を行い、第二制御部222によって、第二扉132bの施解錠を可能とする第二錠の動作を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関前スペースと、
前記玄関前スペースに隣接して配置された玄関スペースと、
前記玄関前スペースに隣接して配置され、配達された物品が収納されるデリバリークローゼットと、
前記デリバリークローゼットに隣接して配置され、手洗い場が設けられたクリーンクローゼットと、
前記玄関前スペースと前記玄関スペースとの間に位置する玄関扉付きの玄関出入口と、
前記玄関前スペースと前記デリバリークローゼットとの間に位置する第一扉付きの第一出入口と、
前記デリバリークローゼットと前記クリーンクローゼットとの間に位置する第二扉付きの第二出入口と、
前記クリーンクローゼットと前記玄関スペースとの間に位置する第三出入口と、
前記第一扉の施解錠を可能とする第一錠の制御を行うための第一施解錠制御装置と、
前記第二扉の施解錠を可能とする第二錠の制御を行うための第二施解錠制御装置と、を備えており、
前記第一施解錠制御装置は、前記玄関前スペースに設けられて前記第一扉の開閉を行うユーザーの認証を行うための第一認証部と、前記第一認証部の認証結果に基づいて前記第一錠の動作を制御する第一制御部と、を有し、
前記第二施解錠制御装置は、前記デリバリークローゼットに設けられて前記第二扉の開閉を行うユーザーの認証を行うための第二認証部と、前記第二認証部の認証結果に基づいて前記第二錠の動作を制御する第二制御部と、を有していることを特徴とする住宅。
【請求項2】
請求項1に記載の住宅において、
前記玄関スペースと前記デリバリークローゼットとの間は通行不能の状態とされていることを特徴とする住宅。
【請求項3】
請求項1に記載の住宅において、
前記玄関前スペースと前記クリーンクローゼットとの間は通行不能の状態とされていることを特徴とする住宅。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の住宅において、
前記玄関スペースと前記玄関前スペースが隣接し合う方向と、前記デリバリークローゼットと前記玄関前スペースが隣接し合う方向は、互いに異なる方向であることを特徴とする住宅。
【請求項5】
請求項1に記載の住宅において、
前記デリバリークローゼットには、食品が収納される食品保管庫が設けられ、
前記食品保管庫は、温度設定の異なる複数の保管室を有していることを特徴とする住宅。
【請求項6】
請求項5に記載の住宅において、
前記デリバリークローゼットには、食品以外の物品が収納される複数の収納庫が設けられ、
前記複数の収納庫には、
前記デリバリークローゼットから前記第二出入口を通じて前記クリーンクローゼットへと進入する訪問者が荷物置き場として利用する第一収納庫と、
宅配業者が荷物の配達又は集荷に利用する第二収納庫と、
クリーニング業者が衣類等の配達又は集荷に利用する第三収納庫と、のうち少なくともいずれか一つが含まれていることを特徴とする住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、玄関スペースに設けられて外部との往来に使用される玄関扉と、玄関スペースと居住スペースとの間に設けられる室内扉と、を有する住宅についての技術が開示されている。そして、居住者が使用する第1鍵は、玄関扉と室内扉の双方の錠を解錠でき、荷物等の配達を行う配達員が使用する第2鍵は、玄関扉の錠だけを解錠できるようになっている。これにより、居住者が直接立ち会うことなく配達員が玄関スペースに進入して荷物を配達・集荷でき、配達員にとって利便性が高い。また、荷物を屋内に運んでもらえるため居住者にとっても利便性が高く、不在を悟られずに済んで防犯性も高い。
【0003】
また、近年、住宅に何らかの物品を配達したり集荷したりする各種宅配サービスや、住宅に訪問して何らかのサービスを提供する各種訪問サービスを始めとする、いわゆる訪問型サービスが多様化している(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-170064号公報
【特許文献2】特開2019-061675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、住宅を訪問する訪問者としては、訪問型サービスで住宅を訪れる配達員や訪問員の他に、近隣住民や居住者の知人などの通常の来客も挙げられる。
すなわち、住宅の玄関スペースに立ち入る可能性のある人は、居住者と配達員だけではなく、多くの人が立ち入る場合がある。そのため、従来のような住宅の場合、玄関スペースで、居住者と訪問者の動線が交わったり、あるいは訪問者同士の動線が交わったりしてしまう可能性が高まる。そこで、安全性に配慮し、様々な動線が玄関スペースで極力交わらないようにしたいという要望がある。
ところが、上記のように訪問型サービスの利用機会は年々増加しているため、様々な動線が玄関スペースで極力交わらないようにしつつも、訪問型サービスを受ける上での利便性が損なわれないようにしたいという要望がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、居住者と訪問者あるいは訪問者同士の動線の交わりを極力防いで安全性を高めるとともに衛生面での懸念点を払拭しつつ、訪問型サービスを受ける上での利便性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1~
図4に示すように、住宅1であって、
玄関前スペース11と、
前記玄関前スペース11に隣接して配置された玄関スペース12と、
前記玄関前スペース11に隣接して配置され、配達された物品が収納されるデリバリークローゼット13と、
前記デリバリークローゼット13に隣接して配置され、手洗い場143が設けられたクリーンクローゼット14と、
前記玄関前スペース11と前記玄関スペース12との間に位置する玄関扉121b付きの玄関出入口121aと、
前記玄関前スペース11と前記デリバリークローゼット13との間に位置する第一扉131b付きの第一出入口131aと、
前記デリバリークローゼット13と前記クリーンクローゼット14との間に位置する第二扉132b付きの第二出入口132aと、
前記クリーンクローゼット14と前記玄関スペース12との間に位置する第三出入口141aと、
前記第一扉131bの施解錠を可能とする第一錠の制御を行うための第一施解錠制御装置21と、
前記第二扉132bの施解錠を可能とする第二錠の制御を行うための第二施解錠制御装置22と、を備えており、
前記第一施解錠制御装置21は、前記玄関前スペース11に設けられて前記第一扉131bの開閉を行うユーザーの認証を行うための第一認証部211と、前記第一認証部211の認証結果に基づいて前記第一錠の動作を制御する第一制御部212と、を有し、
前記第二施解錠制御装置22は、前記デリバリークローゼット13に設けられて前記第二扉132bの開閉を行うユーザーの認証を行うための第二認証部221と、前記第二認証部221の認証結果に基づいて前記第二錠の動作を制御する第二制御部222と、を有していることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、玄関前スペース11から玄関スペース12に至るルートと、玄関前スペース11からデリバリークローゼット13に至るルートが異なるので、居住者と訪問者あるいは訪問者同士の動線の交わりを極力防ぐことができる。そのため、例えば各種宅配サービスの配達員は、居住者及び通常の来客が玄関出入口121aを行き来するのとは関係なく、第一出入口131aを行き来して荷物の配達や集荷を行うことができる。各種訪問サービスの訪問員も、居住者及び通常の来客が玄関出入口121aを行き来するのとは関係なく、第一出入口131a及び第二出入口132aを通過して、玄関前スペース11とクリーンクローゼット14との間を行き来することができる。
また、各種宅配サービスの配達員及び各種訪問サービスの訪問員は、第一施解錠制御装置21における第一認証部211で認証を受けた上でデリバリークローゼット13に入ることができ、各種訪問サービスの訪問員は、更に第二施解錠制御装置22における第二認証部221で認証を受けた上でクリーンクローゼット14に入ることができる。そのため、第一認証部211で認証を受けられない者の屋内への進入を禁止し、第二認証部221で認証を受けられない者のクリーンクローゼット14への進入を禁止することができる。
さらに、クリーンクローゼット14には手洗い場143が設けられているので、各種訪問サービスの訪問員は、手洗い等を済ませてから第三出入口141aを通過して玄関スペース12に入ることができる。なお、居住者及び通常の来客も、玄関スペース12から第三出入口141aを通過してクリーンクローゼット14に入り、手洗い場143で手洗い等を済ませることができる。
これにより、居住者と訪問者あるいは訪問者同士の動線の交わりを極力防いで安全性を高めるとともに衛生面での懸念点を払拭しつつ、訪問型サービスを受ける上での利便性を向上させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば
図1,
図2に示すように、請求項1に記載の住宅1において、
前記玄関スペース12と前記デリバリークローゼット13との間は通行不能の状態とされていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、玄関スペース12とデリバリークローゼット13との間は通行不能の状態とされているので、玄関スペース12側とデリバリークローゼット13側とで確実にルート分けすることができる。これにより、玄関スペース12とデリバリークローゼット13との間を直接行き来することを禁止でき、安全性を高めることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、例えば
図1,
図2に示すように、請求項1に記載の住宅1において、
前記玄関前スペース11と前記クリーンクローゼット14との間は通行不能の状態とされていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、玄関前スペース11とクリーンクローゼット14との間は通行不能の状態とされているので、玄関前スペース11からクリーンクローゼット14に進むために、玄関スペース12側かデリバリークローゼット13側にルートが形成されることとなる。これにより、玄関前スペース11とクリーンクローゼット14との間を直接行き来することを禁止し、玄関スペース12側とデリバリークローゼット13側とで確実にルート分けすることができるので、安全性を高めることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、例えば
図1,
図2に示すように、請求項1から3のいずれか一項に記載の住宅1において、
前記玄関スペース12と前記玄関前スペース11が隣接し合う方向と、前記デリバリークローゼット13と前記玄関前スペース11が隣接し合う方向は、互いに異なる方向であることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、玄関スペース12と玄関前スペース11が隣接し合う方向と、デリバリークローゼット13と玄関前スペース11が隣接し合う方向は、互いに異なる方向であるため、玄関前スペース11から屋内に進むルートを、玄関スペース12側とデリバリークローゼット13側に分離しやすくなり、安全性を高めることができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、例えば
図1~
図3に示すように、請求項1に記載の住宅1において、
前記デリバリークローゼット13には、食品が収納される食品保管庫135が設けられ、
前記食品保管庫135は、温度設定の異なる複数の保管室135a,135b,135cを有していることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明によれば、デリバリークローゼット13に設けられた食品保管庫135は、温度設定の異なる複数の保管室135a,135b,135cを有しているので、適した温度に設定された保管室135a,135b,135cに、食品を収納して保管することができる。そして、デリバリークローゼット13に、食品に適した温度に設定された保管室135a,135b,135cを有する食品保管庫135が用意されているため、食品宅配サービスの配達員にとっての利便性を高めることができる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、例えば
図1~
図3に示すように、請求項7に記載の住宅1において、
前記デリバリークローゼット13には、食品以外の物品が収納される複数の収納庫136,137,138が設けられ、
前記複数の収納庫136,137,138には、
前記デリバリークローゼット13から前記第二出入口132aを通じて前記クリーンクローゼット14へと進入する訪問者が荷物置き場として利用する第一収納庫136と、
宅配業者が荷物の配達又は集荷に利用する第二収納庫137と、
クリーニング業者が衣類等の配達又は集荷に利用する第三収納庫138と、のうち少なくともいずれか一つが含まれていることを特徴とする。
【0018】
請求項8に記載の発明によれば、デリバリークローゼット13には、食品以外の物品が収納される複数の収納庫136,137,138が設けられているので、食品以外の物品を収納して保管することができる。
さらに、複数の収納庫136,137,138のうち、第一収納庫136は、デリバリークローゼット13から第二出入口132aを通じてクリーンクローゼット14へと進入する訪問者が荷物置き場として利用できるので、クリーンクローゼット14へと進入する訪問者にとっての利便性を高めることができる。
加えて、複数の収納庫136,137,138のうち、第二収納庫137は、宅配業者が荷物の配達又は集荷に利用でき、第三収納庫138は、クリーニング業者が衣類等の配達又は集荷に利用できるので、各種宅配サービスの配達員にとっての利便性を高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、居住者と訪問者あるいは訪問者同士の動線の交わりを極力防いで安全性を高めるとともに衛生面での懸念点を払拭しつつ、訪問型サービスを受ける上での利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】住宅の玄関スペース周辺の構成を示す平面図である。
【
図2】玄関スペース周辺の構成を示す斜視図である。
【
図3】デリバリークローゼットの構成を示す斜視図である。
【
図4】第一施解錠制御装置及び第二施解錠制御装置に係る構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方角は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0022】
図1において符号1は、建物を示す。この建物1は複数階建ての住宅であり、1階の一部が居住者専用スペースとして用いられている。また、1階の他の一部が、事務所、店舗、テレワーク室や執務室、作業室、あるいはLDK(リビング・ダイニング・キッチン)等にも利用可能な多目的スペースとして用いられている。さらに、1階の更に他の一部が、多目的スペースを事務所等として利用する場合の従業者と居住者が使用する共用スペースとして用いられている。
【0023】
図1における建物1の中央には、多目的スペースの従業者と居住者が使用する共用スペースであるラウンジ2が設けられている。ラウンジ2は、図示はしないが南側に出入口があり、屋外からラウンジ2に直接進入することができる。ラウンジ2には、植物を植栽できるベンチ2aが設置されており、待合室として利用することができる。
【0024】
ラウンジ2の東側には、多目的スペースである大空間室3が設けられ、ラウンジ2の西側にはポーチ4が設けられている。また、ラウンジ2の北側には、居住者専用スペースにおける玄関スペース12が設けられている。
【0025】
大空間室3は、本実施形態においては事務所として利用されていて従業者が出入りするようになっている。また、事務所への訪問者(来客や配達員など)は、ラウンジ2から大空間室3へと進入する。ラウンジ2と大空間室3との間には、開口部2bが形成されており、この開口部2bにはガラス壁2cが設けられている。
【0026】
ポーチ4は、駐車スペースであり、多目的スペースの前記従業者と居住者が使用する共用スペースとされている。ラウンジ2とポーチ4との間には、開閉可能なガラス窓を含むガラス壁5が設けられている。すなわち、ラウンジ2とポーチ4との間は、ガラス壁5を通じて視線が通るようになっている。
【0027】
ポーチ4の北側には、上記の玄関スペース12に進入する直前のスペースである玄関前スペース11が設けられている。
また、ポーチ4の床は、玄関前スペース11(北側)から屋外(南側)に向かって下り勾配となるスロープ状に形成されている。そのため、屋外から玄関前スペース11に向かうルート上のバリアフリー化が可能となり、人の通行や車椅子での通行がしやすく、車両も駐車しやすい。
【0028】
ポーチ4の西側には、ポーチ壁6が設けられている。ポーチ壁6には、建物1の西側に位置し、かつ、ポーチ4と屋外とを連通する開口部6aが形成されている。そして、この開口部6aには、横長の冷却ルーバー材が上下に連なる冷却ルーバー装置7が設置されている。冷却ルーバー装置7は、保水した複数の冷却ルーバー材間を空気が流通したときの気化熱によって周囲の温度を下げるための装置であり、屋外からポーチ4内に空気を取り込むのに合わせてポーチ4内を冷却できるようになっている。
【0029】
そして、建物1における1階部分のうち、ラウンジ2、大空間室3、ポーチ4よりも北側に位置する領域は、居住者専用スペースとされている。
建物1における1階部分のうち居住者専用スペースとされた領域のうち、特に、玄関として認識され得る玄関領域10には、
図1~
図3に示すように、上記の玄関前スペース11や玄関スペース12が含まれている。換言すれば、住宅である建物1のうち、居住者専用スペースへの訪問者が屋内へと進もうとする際に立ち入る玄関領域10には、屋外の玄関前スペース11と、屋内の玄関スペース12と、が含まれている。さらに、当該玄関領域10には、屋内のデリバリークローゼット13と、屋内のクリーンクローゼット14と、が含まれている。
なお、玄関領域10の東側には、通路領域15が設けられている。通路領域15には、上階に上がるためのエレベーター16と、上階に上がるための階段17と、エレベーター16及び階段17の裏側(東側)に回り込んだ位置にある収納室に繋がる廊下18と、が含まれている。
【0030】
玄関前スペース11は、居住者専用スペースへの全ての訪問者が立ち入るスペースである。
玄関スペース12は、居住者と、訪問者のうち通常の来客(例えば近隣住民や居住者の知人など)が立ち入るスペースである。
デリバリークローゼット13は、居住者と、訪問者のうち訪問型サービスで住宅を訪れる配達員や訪問員が立ち入るスペースである。ここで、訪問型サービスとは、住宅に何らかの物品を配達したり集荷したりする各種宅配サービスや、住宅に訪問して何らかのサービスを提供する各種訪問サービス等を指している。なお、各種宅配サービスには、郵便や宅配便、フードデリバリー等のサービスが含まれている。また、各種訪問サービスには、訪問医療や訪問看護、訪問介護、家事代行、住宅メンテナンス等のサービスが含まれている。
クリーンクローゼット14は、居住者と、訪問者のうち通常の来客と、訪問者のうち各種訪問サービスの訪問員が立ち入るスペースである。すなわち、訪問者のうち各種宅配サービスの配達員はクリーンクローゼット14に立ち入ることが想定されていない。
【0031】
以下、玄関領域10の構成について詳細に説明する。
【0032】
玄関前スペース11は、上記のようにポーチ4の北側に隣接して設けられている。これら玄関前スペース11とポーチ4は、隔てのない連続した空間となっており、玄関前スペース11とポーチ4との間は容易に移動できる。
玄関前スペース11とポーチ4は、屋根(上階)のある状態ではあるが、屋外に連通しており、屋外空間又は半屋外空間として認識される。
また、玄関前スペース11における開口幅寸法(東西方向の寸法)は、ポーチ4における開口幅寸法(東西方向の寸法)よりも短く設定されている。
【0033】
玄関スペース12は、玄関前スペース11の東側であって、かつ、ラウンジ2の北側に隣接して設けられている。玄関前スペース11との間の壁121には、玄関扉121b付きの玄関出入口121aが形成されている。ラウンジ2との間の壁122には、引き込み戸付きの通用口122aが形成されている。
【0034】
また、玄関スペース12は、玄関土間部12aと玄関ホール部12bを有する。玄関土間部12aは、履物を脱いだり履いたりする場所であり、玄関ホール部12bは、履物を脱いだ状態で人が移動する場所である。
【0035】
玄関土間部12aは、玄関ホール部12bの南側に位置しており、玄関前スペース11との間の壁121が西側にあり、ラウンジ2との間の壁122が南側にある状態となっている。
玄関土間部12aの床は、玄関前スペース11の床及びラウンジ2の床と略等しい高さに設定されるとともに、これら玄関前スペース11の床及びラウンジ2の床と同様の床タイルによって仕上げられている。
【0036】
玄関ホール部12bは、玄関土間部12aの北側に位置しており、クリーンクローゼット14が西側にあり、廊下18が東側にある状態となっている。玄関ホール部12bと廊下18は、隔てのない連続した空間となっており、玄関ホール部12bと廊下18との間は容易に移動できる。
【0037】
玄関ホール部12bの床は、玄関土間部12aの床と略等しい高さに設定されているが、クリーンクローゼット14及び廊下18と連続するフローリング仕上げとされている。
【0038】
デリバリークローゼット13は、配達された物品が収納される室であり、玄関前スペース11及びクリーンクローゼット14の西側に隣接して設けられている。すなわち、デリバリークローゼット13は、玄関前スペース11から見た場合に、玄関スペース12とは反対の方向に設けられた状態となっている。換言すれば、玄関スペース12と玄関前スペース11が隣接し合う方向と、デリバリークローゼット13と玄関前スペース11が隣接し合う方向は、互いに異なる方向となっている。
【0039】
デリバリークローゼット13の床は、玄関土間部12aの床及びクリーンクローゼット14の床と略等しい高さに設定されるとともに、玄関土間部12aの床と同様の床タイルによって仕上げられている。
【0040】
玄関前スペース11との間の壁131には、第一扉131b付きの第一出入口131aが形成されている。なお、本実施形態の第一扉131bは引き込み戸とされているが、これに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
クリーンクローゼット14との間の壁132には、第二扉132b付きの第二出入口132aが形成されている。本実施形態の第二扉132bは片開き戸とされているが、これに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。より詳細に説明すると、第二出入口132aは、北側に位置する壁132と、後述する出入口のない仕切壁141との間に形成されている。
【0041】
また、デリバリークローゼット13と玄関スペース12との間は直接の通行が不能の状態となっている。
本実施形態においては、デリバリークローゼット13と玄関スペース12との間に、玄関前スペース11が介在していて、これにより、デリバリークローゼット13と玄関スペース12との間が通行不能の状態となっている。
ただし、これに限られるものではなく、デリバリークローゼット13と玄関スペース12がたとえ隣接していても、例えば出入口のない壁によって隔てられていれば、デリバリークローゼット13と玄関スペース12との間は通行不能の状態となる。
すなわち、デリバリークローゼット13と玄関スペース12との間には、デリバリークローゼット13と玄関スペース12との間における直接の通行を阻害する他の室(他の空間)や壁等の障害物が存在した状態となっている。
【0042】
さらに、デリバリークローゼット13は、上下二段の宅配ボックス133,134と、食品保管庫135と、第一収納庫136と、第二収納庫137と、第三収納庫138と、を有している。
【0043】
第一出入口131aが形成された壁131と西側の外壁との間に位置し、かつ、ポーチ4とデリバリークローゼット13との間に位置する箇所に、空洞状に形成されたスペースがある。当該空洞状のスペースは、ポーチ4側(屋外側)とデリバリークローゼット13側(屋内側)に開口している。
【0044】
また、宅配ボックス133,134のある空洞状スペースは、壁131と西側の外壁との間に架設された仕切床134Pによって上下二段に分かれている。
そして、空洞状スペースにおけるポーチ4側の開口も上下に分かれ、デリバリークローゼット13側の開口も上下に分かれた状態となる。そのうち、下段の宅配ボックス133における屋外側の開口部を第一屋外開口部133aと称し、屋内側の開口部を第一屋内開口部133bと称する。また、上段の宅配ボックス134における屋外側の開口部を第二屋外開口部134aと称し、屋内側の開口部を第二屋内開口部134bと称する。
【0045】
下段の宅配ボックス133の第一屋内開口部133bと、上段の宅配ボックス134の第二屋内開口部134bは、同一の屋内扉133cによって開閉可能とされている。屋内扉133cは、デリバリークローゼット13側から操作する錠が設けられた構成となっている。すなわち、下側の第一屋内開口部133bと上側の第二屋内開口部134bは、一枚の屋内扉133cによって、いっぺんに開放したり閉塞したりすることができ、居住者の任意で錠の操作を行うことができる。
ただし、これに限られるものではなく、下段の宅配ボックス133の第一屋内開口部133bと、上段の宅配ボックス134の第二屋内開口部134bは、別々の屋内扉によって開閉可能とされてもよい。
【0046】
下段の宅配ボックス133の第一屋外開口部133aは、屋外下扉133dによって開閉可能とされている。屋外下扉133dは、錠が掛けられるようになっており、この錠を解錠状態とすることによって、屋外下扉133dを開けて第一屋外開口部133aを開放でき、錠を施錠状態とすることによって、屋外下扉133dを閉めて第一屋外開口部133aを閉塞できる。
【0047】
上段の宅配ボックス134の第二屋外開口部134aは、屋外上扉134dによって開閉可能とされている。屋外上扉134dは、錠が掛けられるようになっており、この錠を解錠状態とすることによって、屋外上扉134dを開けて第二屋外開口部134aを開放でき、錠を施錠状態とすることによって、屋外上扉134dを閉めて第二屋外開口部134aを閉塞できる。
【0048】
上下の宅配ボックス133,134における屋外下扉133d及び屋外上扉134dの錠は、例えば施解錠制御装置(図示省略)によって操作可能となっている。施解錠制御装置は、宅配業者等の訪問者が使用している例えばスマートフォン等の情報端末と無線通信可能に構成されており、情報端末での操作に応じて錠を操作できるようになっている。これにより、宅配業者等の訪問者は、第一屋外開口部133aや第二屋外開口部134aから物品を収納したり取り出したりすることができる。
なお、上下二段の宅配ボックスのうち、一方を荷物の受け取り専用、他方を集荷専用として使い分けてもよい。その場合は、施解錠制御装置による制御プログラムに応じて使い分けの設定が行われるものとする。
【0049】
食品保管庫135は、デリバリークローゼット13における北側の端部に配置されている。つまり、食品保管庫135は、デリバリークローゼット13のうち最もクリーンクローゼット14側に近い位置に設けられている。
このような食品保管庫135は、温度設定の異なる複数の保管室を有している。複数の保管室には、食品を冷蔵保存できる冷蔵室135aと、食品を保温できる保温室135bと、食品を冷凍保存できる冷凍室135cと、が含まれている。これにより、生鮮食品から保存食、デリバリーの食事の保管にも対応できるので、日常の家事負担の軽減や、お店の料理や特産物など特別な食事の機会にも活用できる。
なお、
図3において、食品保管庫135の上方スペースは、エアコンの設置スペースとされている。
【0050】
第一収納庫136、第二収納庫137、第三収納庫138は、食品以外の物品が収納されるものであり、デリバリークローゼット13の西側の外壁に沿って配置されている。
【0051】
第一収納庫136は、デリバリークローゼット13のうち北側の端部付近に配置されている。この第一収納庫136は、デリバリークローゼット13から第二出入口132aを通じてクリーンクローゼット14へと進入する訪問者(各種訪問サービスの訪問員)が荷物置き場として利用するクローク又はロッカーとされている。
【0052】
第二収納庫137は、第一収納庫136の南側に隣接して配置されている。この第二収納庫137は、宅配業者が荷物の配達又は集荷に利用する棚又はロッカーとされている。この第二収納庫137は、ダンボールレスで荷物の受け取りが可能となっており、開梱の手間や廃棄物の量を減らすことができる。第二収納庫137は、複数段の収納部を有しており、同時に複数の荷物の受け取りができるので、多くの種類の宅配サービスを利用することができる。
【0053】
第三収納庫138は、第二収納庫137の南側に隣接して二か所に配置されているとともに、天棚のスペースの一か所に配置されている。
これらの第三収納庫138は、クリーニング業者が衣類等の配達又は集荷に利用する棚又はロッカーとされている。この第三収納庫138は、衣類のクリーニングや衣類のレンタル・売買などをダンボールレスで行うことができる。
また、第三収納庫138のうち特に天棚のスペースは、幅広に形成されているため、衣類だけでなく、布団のクリーニングやレンタルサービスにおいて布団の保管場所としても利用できる。
【0054】
なお、第一収納庫136、第二収納庫137、第三収納庫138の用途は、上記のものに限られるものではない。すなわち、第一収納庫136、第二収納庫137、第三収納庫138は、食品以外の物品が収納されるものであって、かつ、各種宅配サービスの配達員によって配達又は集荷される物品が収納されるものであればよい。
【0055】
クリーンクローゼット14は、手洗い場143が設けられた室であり、デリバリークローゼット13の東側に隣接するとともに、玄関ホール部12bの西側に隣接して設けられている。また、このクリーンクローゼット14は、玄関前スペース11の北側に位置している。
クリーンクローゼット14の床は、デリバリークローゼット13の床及び玄関ホール部12bの床と略等しい高さに設定されるとともに、玄関ホール部12bと連続するフローリング仕上げとされている。
【0056】
また、クリーンクローゼット14と玄関前スペース11との間は直接の通行が不能の状態となっている。
本実施形態においては、クリーンクローゼット14と玄関前スペース11との間に、出入口のない仕切壁141が設けられていて、これにより、クリーンクローゼット14と玄関前スペース11との間が通行不能の状態となっている。
ただし、これに限られるものではなく、例えばクリーンクローゼット14と玄関前スペース11との間にデリバリークローゼット13が介在していれば、クリーンクローゼット14と玄関前スペース11との間は直接の通行が不能の状態となる。
すなわち、クリーンクローゼット14と玄関前スペース11との間には、クリーンクローゼット14と玄関前スペース11との間における直接の通行を阻害する他の室(他の空間)や壁等の障害物が存在した状態となっている。
【0057】
玄関ホール部12bとの間には、第三出入口141aが形成されている。より詳細に説明すると、上記仕切壁141と、当該仕切壁141の北側に離間した位置に設けられた他の壁142との間に第三出入口141aが形成されている。他の壁142は、クリーンクローゼット14のうち玄関ホール部12b側に位置している。
第三出入口141aには扉が付いておらず、常時開放されているが、これに限られるものではなく、扉が設けられていてもよい。
【0058】
クリーンクローゼット14には、上記のように手洗い場143が設けられている。手洗い場143は、台の上に洗面ボウル及び水栓が設けられた構成となっており、当該台が、クリーンクローゼット14のうち、デリバリークローゼット13側の端部に配置されている。また、クリーンクローゼット14には、手洗い場143の台の東側に隣接して収納棚144が設けられている。
手洗い場143及び収納棚144は、北側の外壁に寄せて配置されており、当該手洗い場143及び収納棚144と出入口のない仕切壁141との間のスペースは、あたかも廊下のように東西方向に長く伸びている。
【0059】
以上のように構成された玄関領域10では、通常の来客と、各種宅配サービスの配達員と、各種訪問サービスの訪問員と、を選り分けて屋内に誘導する必要がある。
【0060】
近隣住民や居住者の知人などの通常の来客は、居住者によって、玄関前スペース11から玄関出入口121aを通過して玄関土間部12aへと誘導される。すなわち、通常の来客は、ドアホン等(図示省略)を通じて居住者に来訪を認識させ、居住者は、玄関出入口121aから通常の来客を招き入れるようにする。これにより、通常の来客は、玄関出入口121aを通過して玄関土間部12aへと誘導されることとなる。
【0061】
一方、各種宅配サービスの配達員及び各種訪問サービスの訪問員は、通常の来客ではないため、デリバリークローゼット13側へと進む。これを可能とするため、本実施形態の建物1は、第一出入口131aを開閉する第一扉131bの施解錠を可能とする第一錠の制御を行うための第一施解錠制御装置21を備えている。
【0062】
第一施解錠制御装置21は、
図4(a)に示すように、玄関前スペース11に設けられて第一扉131bの開閉を行う配達員及び訪問員の認証を行うための第一認証部211と、第一認証部211の認証結果に基づいて第一錠の動作を制御する第一制御部212と、を有する。
【0063】
第一認証部211は、例えば顔認証や指紋認証、暗証番号入力、スマートフォン等の携帯情報端末に具備されたNFC(Near Field Communication:近距離無線通信規格)を利用する認証手段等、様々なものが挙げられ、そのいずれを採用してもよい。また、この第一認証部211は、認証に必要な情報や各種プログラム等を登録するための記憶部や、通信モジュール等で構成された通信部を適宜備えているものとする。暗証番号を入力する際は、テンキーやタッチパネル等の入力手段を適宜備えているものとする。
なお、本実施形態においてはスマートフォン等の携帯情報端末に具備されたNFCを利用する認証手段が採用されているものとする。
【0064】
第一制御部212は、第一認証部211と通信可能に接続されており、第一認証部211の認証結果を受けて、第一扉131bの第一錠を動作させる。
すなわち、第一認証部211で認証を受けると、第一制御部212は、第一扉131bの第一錠を動作させて施錠状態から解錠状態にすることができる。また、第一認証部211での認証が失敗すると、第一制御部212は、第一錠の施錠状態を維持する。
なお、第一錠は、いわゆるオートロックであり、解錠状態となった後は、すぐに施錠状態となるように構成されている。また、デリバリークローゼット13側からは手動で解錠状態とすることができる。
【0065】
各種宅配サービスの配達員及び各種訪問サービスの訪問員は、第一認証部211での認証を行い、認証に成功したら第一制御部212によって第一錠が解錠状態となるため、第一扉131bを開けて第一出入口131aを開放する。そして、玄関前スペース11からデリバリークローゼット13へと進入する。各種宅配サービスの配達員は、デリバリークローゼット13内で、食品保管庫135や各収納庫136,137,138に荷物を収納したり、荷物の集荷を行ったり、デリバリー用コンテナを回収したり等の作業を行うことができる。
【0066】
各種訪問サービスの訪問員は、デリバリークローゼット13から更にクリーンクローゼット14へと進む必要がある。これを可能とするため、本実施形態の建物1は、第二出入口132aを開閉する第二扉132bの施解錠を可能とする第二錠の制御を行うための第二施解錠制御装置22を備えている。
【0067】
第二施解錠制御装置22は、
図4(b)に示すように、デリバリークローゼット13に設けられて第二扉132bの開閉を行う訪問員の認証を行うための第二認証部221と、第二認証部221の認証結果に基づいて第二錠の動作を制御する第二制御部222と、を有する。
【0068】
第二認証部221としては、第一認証部211と同様の構成のものが採用されているため説明を省略する。すなわち、各種訪問サービスの訪問員は、第一認証部211と同様の方法で認証を受けることができる。
セキュリティの強化を図るために、第二認証部221における認証方法と第一認証部211における認証方法をあえて異なるものとしてもよい。つまり、例えば第一認証部211をスマートフォン等の携帯情報端末を用いた認証手段とし、第二認証部221を顔認証とすれば、スマートフォン等の携帯情報端末を持った侵入者は、デリバリークローゼット13までは侵入できるが、クリーンクローゼット14には侵入できないこととなる。
【0069】
また、第二制御部222も、第一制御部212と同様の構成のものが採用されているため説明を省略する。
なお、第二錠は、いわゆるオートロックであり、解錠状態となった後は、すぐに施錠状態となるように構成されている。また、クリーンクローゼット14側からは手動で解錠状態とすることができる。
【0070】
各種訪問サービスの訪問員は、第二認証部221での認証を行い、認証に成功したら第二制御部222によって第二錠が解錠状態となるため、第二扉132bを開けて第二出入口132aを開放する。そして、デリバリークローゼット13からクリーンクローゼット14へと進入する。各種訪問サービスの訪問員は、クリーンクローゼット14内で手洗い等を済ませてから、第三出入口141aを通過して玄関ホール部12bへと進入する。
【0071】
本実施形態の建物1は、以上のように、第一出入口131aを開閉する第一扉131bの施解錠を可能とする第一錠の制御を行うための第一施解錠制御装置21と、第二出入口132aを開閉する第二扉132bの施解錠を可能とする第二錠の制御を行うための第二施解錠制御装置22と、を備えている。そのため、玄関領域10で、通常の来客と、各種宅配サービスの配達員と、各種訪問サービスの訪問員と、を選り分けて屋内に誘導することができる。
【0072】
なお、デリバリークローゼット13には防犯カメラや人感センサーが設置されていて、デリバリークローゼット13内に人がいることをモニターやランプ等の報知手段によって確認できるようになっている。
防犯カメラで撮影した映像を表示するモニターは、少なくとも玄関スペース12の壁に設けられていて、居住者が確認できるようになっている。
また、人感センサーでのセンシング結果を報知するランプ等の報知手段は、玄関スペース12に設けられていてもよいし、玄関前スペース11に設けられていてもよい。あるいは、第一施解錠制御装置21の第一認証部211に設けられていてもよい。
【0073】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、玄関前スペース11から玄関スペース12に至るルートと、玄関前スペース11からデリバリークローゼット13に至るルートが異なるので、居住者と訪問者あるいは訪問者同士の動線の交わりを極力防ぐことができる。そのため、例えば各種宅配サービスの配達員は、居住者及び通常の来客が玄関出入口121aを行き来するのとは関係なく、第一出入口131aを行き来して荷物の配達や集荷を行うことができる。各種訪問サービスの訪問員も、居住者及び通常の来客が玄関出入口121aを行き来するのとは関係なく、第一出入口131a及び第二出入口132aを通過して、玄関前スペース11とクリーンクローゼット14との間を行き来することができる。
また、各種宅配サービスの配達員及び各種訪問サービスの訪問員は、第一施解錠制御装置21における第一認証部211で認証を受けた上でデリバリークローゼット13に入ることができ、各種訪問サービスの訪問員は、更に第二施解錠制御装置22における第二認証部221で認証を受けた上でクリーンクローゼット14に入ることができる。そのため、第一認証部211で認証を受けられない者の屋内への進入を禁止し、第二認証部221で認証を受けられない者のクリーンクローゼット14への進入を禁止することができる。
さらに、クリーンクローゼット14には手洗い場143が設けられているので、各種訪問サービスの訪問員は、手洗い等を済ませてから第三出入口141aを通過して玄関スペース12に入ることができる。なお、居住者及び通常の来客も、玄関スペース12から第三出入口141aを通過してクリーンクローゼット14に入り、手洗い場143で手洗い等を済ませることができる。
これにより、居住者と訪問者あるいは訪問者同士の動線の交わりを極力防いで安全性を高めるとともに衛生面での懸念点を払拭しつつ、訪問型サービスを受ける上での利便性を向上させることができる。
【0074】
また、玄関スペース12とデリバリークローゼット13との間は通行不能の状態とされているので、玄関スペース12側とデリバリークローゼット13側とで確実にルート分けすることができる。これにより、玄関スペース12とデリバリークローゼット13との間を直接行き来することを禁止でき、安全性を高めることができる。
【0075】
また、玄関前スペース11とクリーンクローゼット14との間は通行不能の状態とされているので、玄関前スペース11からクリーンクローゼット14に進むために、玄関スペース12側かデリバリークローゼット13側にルートが形成されることとなる。これにより、玄関前スペース11とクリーンクローゼット14との間を直接行き来することを禁止し、玄関スペース12側とデリバリークローゼット13側とで確実にルート分けすることができるので、安全性を高めることができる。
【0076】
また、玄関スペース12と玄関前スペース11が隣接し合う方向と、デリバリークローゼット13と玄関前スペース11が隣接し合う方向は、互いに異なる方向であるため、玄関前スペース11から屋内に進むルートを、玄関スペース12側とデリバリークローゼット13側に分離しやすくなり、安全性を高めることができる。
【0077】
また、デリバリークローゼット13に設けられた食品保管庫135は、温度設定の異なる複数の保管室135a,135b,135cを有しているので、適した温度に設定された保管室135a,135b,135cに、食品を収納して保管することができる。そして、デリバリークローゼット13に、食品に適した温度に設定された保管室135a,135b,135cを有する食品保管庫135が用意されているため、食品宅配サービスの配達員にとっての利便性を高めることができる。
【0078】
また、デリバリークローゼット13には、食品以外の物品が収納される複数の収納庫136,137,138が設けられているので、食品以外の物品を収納して保管することができる。
さらに、複数の収納庫136,137,138のうち、第一収納庫136は、デリバリークローゼット13から第二出入口132aを通じてクリーンクローゼット14へと進入する訪問者が荷物置き場として利用できるので、クリーンクローゼット14へと進入する訪問者にとっての利便性を高めることができる。
加えて、複数の収納庫136,137,138のうち、第二収納庫137は、宅配業者が荷物の配達又は集荷に利用でき、第三収納庫138は、クリーニング業者が衣類等の配達又は集荷に利用できるので、各種宅配サービスの配達員にとっての利便性を高めることができる。
【0079】
また、近年、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標達成が求められており、建築業界においても、様々な取り組みが進められている。
本実施形態においては、住宅等の建物1における玄関領域10にデリバリークローゼット13が設けられているので、各種宅配サービスの配達員による再配達を防止できる。そのため、各種宅配サービスの配達員が荷物を配送する際に車両から排出される二酸化炭素の削減に貢献できる(目標13)。
さらに、本実施形態の建物1は、第一扉131bの施解錠を可能とする第一錠の制御を行うための第一施解錠制御装置21と、第二扉132bの施解錠を可能とする第二錠の制御を行うための第二施解錠制御装置22と、を備えているので、限られた人以外は容易に屋内に進入できないようになっている。すなわち、防犯性に優れるための地域の治安を良くすることができるので、住み続けられる街づくりに貢献できる(目標11)。
【符号の説明】
【0080】
1 建物(住宅)
4 ポーチ
10 玄関領域
11 玄関前スペース
12 玄関スペース
12a 玄関土間部
12b 玄関ホール部
121a 玄関出入口
121b 玄関扉
122a 引き込み戸付きの通用口
13 デリバリークローゼット
131a 第一出入口
131b 第一扉
132a 第二出入口
132b 第二扉
133 宅配ボックス
134 宅配ボックス
135 食品保管庫
14 クリーンクローゼット
141 仕切壁
141a 第三出入口
21 第一施解錠制御装置
22 第二施解錠制御装置