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  • 特開-積層電線 図1
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  • 特開-積層電線 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126066
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】積層電線
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H01B7/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034208
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】598146850
【氏名又は名称】後藤電子 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】後藤芳英
(72)【発明者】
【氏名】後藤大樹
【テーマコード(参考)】
5G309
【Fターム(参考)】
5G309CA04
5G309CA08
5G309CA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電線の導電率を維持しながら、生じた磁界をコントロールすることができる電線を提供する。
【解決手段】積層電線10は、丸型または角型の断面形状を有する。積層電線の長手方向に延びた芯材2と、芯材の表面に覆われた外周層3と、外周層の表面に形成された接着層および/または絶縁層4または隔離層と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸型または角型の断面形状を有する積層電線であって、
前記電線の長手方向に延びた芯材と、
前記芯材の表面に覆われた外周層と、
前記外周層の表面に形成された接着層および/または絶縁層、または隔離層と、を含む
ことを特徴とする積層電線。
【請求項2】
前記芯材と前記外周層との間に接着層および/または絶縁層が形成される、請求項1に記載の積層電線。
【請求項3】
前記芯材と前記外周層との間に中間層が形成される、請求項1に記載の積層電線。
【請求項4】
前記芯材と前記中間層との間に接着層および/または絶縁層、または隔離層がさらに形成される、請求項3に記載の積層電線。
【請求項5】
前記外周層と前記中間層との間に接着層および/または絶縁層、または隔離層がさらに形成される、請求項3に記載の積層電線。
【請求項6】
前記芯材は、銀、アルミ、銅、鉄、セラミック、銅クラッドアルミ、または金属をメッキした線、あるいは、樹脂またはコーネックス、ケプラー、ベクトランの繊維で構成される請求項1~5のいずれか1項に記載の積層電線。
【請求項7】
前記外周層は、銀、アルミ、銅、鉄、セラミック、銅クラッドアルミ、または他金属メッキした線で構成される請求項1~5のいずれか1項に記載の積層電線。
【請求項8】
前記中間層は、銀、アルミ、銅、鉄、セラミック、銅クラッドアルミ、または他金属メッキした線で構成される請求項3~5のいずれか1項に記載の積層電線。
【請求項9】
前記芯材の断面形状は、丸型または多角形である請求項1~5のいずれか1項に記載の積層電線。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターに使用され、とりわけ、磁界の中で電流を流すことに最適な電線に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は、高周波電流(例えば200kHZ)が流れるコイルを有するモーターを備えることが知られている。このタイプのモーターは大量の電力を消費するため、高電圧の大電流をコイルに流す必要がある。コイルには、複数の電線が巻かれ、その電線の一種として、従来技術では、銅の導電率の高さを利用し、銅めっき鉄線または鋼線が使用されている。
【0003】
例えば、銅めっき加工を施した鉄線または鋼線に、さらに伸線/圧延加工をして、高張力銅めっき鉄線または鋼線が製本中綴じ用ワイヤーや放電加工用ワイヤーに使用されている。こうした製品は銅特有の赤みの色調を有し、装飾性にも優れた製品である。また、銅めっきを厚く施した導電性に非常に優れた高導電率銅めっき鉄線または鋼線は電子機器内部のリード線として使用されている。特に、このような電線は、線径を100ミクロン以下の極細線で、高導電率と高強度を両立させるためにピアノ線に極厚めっきを施した高強度極細高導電率の電線も実現可能である。さらなる一例として、銅めっき鉄線に、最終工程で熱処理を施した無酸化焼鈍銅めっき鉄線または鋼線は、連続釘連結用ワイヤー、ブレードホース外装用ワイヤー等に使用されることが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、回転電機のコイルとして実際に使われたとき、従来の電線は導電率が高く、磁界が生じるため、コイルの抵抗値、電流値、または磁性、磁界、磁束密度などがコントロールできないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の積層電線は、丸型または角型の断面形状を有する積層電線であって、電線の長手方向に延びた芯材と、芯材の表面に覆われた外周層と、外周層の表面に形成された接着層および/または絶縁層、または隔離層と、を含む。
【0006】
本発明の一態様は、上記積層電線において、芯材と外周層との間に接着層および/または絶縁層が形成される。
【0007】
本発明の他の態様は、上記積層電線において、芯材と外周層との間に中間層が形成される。
【0008】
さらに、上記積層電線において、芯材と中間層との間に接着層および/または絶縁層がさらに形成される。
【0009】
または、外周層と中間層との間に接着層および/または絶縁層がさらに形成される。
【0010】
本発明の芯材は、銀、アルミ、銅、鉄、セラミック、銅クラッドアルミ、または金属をメッキした線、あるいは、樹脂またはコーネックス、ケプラー、ベクトランの繊維で構成される。
【0011】
本発明の外周層は、銀、アルミ、銅、鉄、セラミック、銅クラッドアルミ、または他金属メッキした線で構成される。
【0012】
本発明の中間層は、銀、アルミ、銅、鉄、セラミック、銅クラッドアルミ、または他金属メッキした線で構成される。
【0013】
芯材の断面形状は、丸型または多角形である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の積層電線は、少なくとも芯材、芯材の表面に覆われた外周層および外周層の表面に形成された接着層および/または絶縁層からなるように構成されているので、電線の高い導電率を維持しながら、生じた磁界をコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、積層電線の積層構造を示す断面図である。
図2図2は、積層電線の積層構造を示す断面図である。
図3図3は、図1および図2の積層構造の変形例を示す断面図である。
図4図4は、積層電線の第一実施態様を示す断面図である。
図5図5は、積層電線の第二実施態様を示す断面図である。
図6図6は、積層電線の第三実施態様を示す断面図である。
図7図7は、積層電線の第四実施態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の最適な実施態様について図面を参照しながら説明する。
【0017】
本発明の電線の積層構造は図1に示すように、当該積層構造1は、角型の断面形状で形成されている。その中心部分には、長手方向に延びた芯材2が形成され、芯材2の表面には、外周層3が覆われている。
【0018】
この積層構造では、芯材2の断面形状は角型でなく、丸型または多角形であっでも良い。例えば、図1(a)に示すように、丸型の断面形状を有する芯材2の表面において、外周層3が覆われることによって、角型の断面形状で積層構造が形成されても良い。
【0019】
また、本発明の電線の積層構造は図2に示すように、当該積層構造1は、丸型の断面形状で形成されている。その中心部分には、長手方向に延びた芯材2が形成され、芯材2の表面には、外周層3が覆われている。
【0020】
図1と同じように、この積層構造では、芯材2の断面形状は丸型でなく、丸型または多角形であっでも良い。例えば、図2(b)に示すように、角型の断面形状を有する芯材2の表面において、外周層3が覆われることによって、丸型の断面形状で積層構造が形成されても良い。
【0021】
さらに、もう一つの積層構造として、図1および図2の変形例は図3に示されている。積層構造1は上記の図1および図2の積層構造とほぼ同じですが、芯材2と外周層3との間に接着層または絶縁層4、またはその両方が形成された点で上記の積層構造と異なっている。
【0022】
これらの積層構造において、芯材は、銀、アルミ、銅、鉄、セラミック、銅クラッドアルミ、または金属をメッキした線、あるいは、樹脂またはコーネックス、ケプラー、ベクトランの繊維で構成され、外周層は、銀、アルミ、銅、鉄、セラミック、銅クラッドアルミ、または他金属メッキした線で構成されても良い。例えば、図3の積層構造においては、芯材2は鉄で構成され、外周層3は銅で構成されており、さらに、芯材2と外周層3との間に接着層または絶縁層4が形成されることで、コイルにした場合は、外周部はショートし、中央部は電流を通すことは特徴である。
【0023】
本発明の積層電線の第一実施態様は、図4に示すように、この積層電線10は、図1または図2の積層構造1の外周表面に接着層または絶縁層4、またはその両方が覆われている。
【0024】
本発明の積層電線の第二実施態様は、図5に示すように、この積層電線10は、図3の積層構造1の外周表面に接着層または絶縁層4、またはその両方が覆われている。
【0025】
上記に説明したように、本発明の積層電線では、芯材は、銀、アルミ、銅、鉄、セラミック、銅クラッドアルミ、または金属をメッキした線、あるいは、樹脂またはコーネックス、ケプラー、ベクトランの繊維で構成され、外周層は、銀、アルミ、銅、鉄、セラミック、銅クラッドアルミ、または他金属メッキした線で構成されても良い。これらの積層電線は、少なくとも芯材、芯材の表面に覆われた外周層および外周層の表面に形成された接着層および/または絶縁層からなるように構成されているので、電線の高い導電率を維持しながら、生じた磁界をコントロールすることができる。
【0026】
本発明の積層電線の第三実施態様は、図6に示すように、この積層電線10は、電線の長手方向に延びた芯材2と、芯材2の表面に覆われた外周層3および外周層3の表面に形成された接着層および/または絶縁層4からなり、さらに、芯材2と外周層3との間に中間層5が形成される。
【0027】
本実施態様では、芯材2、中間層5および外周層3のそれぞれの間において接着層または絶縁層4、またはその両方が形成されている。
【0028】
また、芯材2、中間層5および外周層3のそれぞれの間において、接着層または絶縁層4が形成されなくても良い。図7に示す本発明の積層電線の第四実施態様のように、この積層電線は、電線の長手方向に延びた芯材2と、芯材2の表面に覆われた外周層3および外周層3の表面に形成された接着層および/または絶縁層4からなり、さらに、芯材2と外周層3との間に中間層5が形成され、各積層の間に接着層または絶縁層4が形成されていない。
【0029】
上記に説明したように、本発明の積層電線では、芯材は、銀、アルミ、銅、鉄、セラミック、銅クラッドアルミ、または金属をメッキした線、あるいは、樹脂またはコーネックス、ケプラー、ベクトランの繊維で構成され、外周層は、銀、アルミ、銅、鉄、セラミック、銅クラッドアルミ、または他金属メッキした線で構成されても良い。さらに、中間層は、銀、アルミ、銅、鉄、セラミック、銅クラッドアルミ、または他金属メッキした線で構成されても良い。
【0030】
例えば、図6または図7の積層電線10においては、芯材2は鉄で構成され、外周層3は銅で構成されており、さらに、中間層5はアルミで構成されている。このような多重積層構造で、コイルにした場合は、コイルの抵抗値、電流値、または磁性、磁界、磁束密度などをより精密にコントロールすることは可能になる。
【0031】
本発明の積層電線は、コイルの抵抗値、電流値、または磁性、磁界、磁束密度などをコントロールできるため、コイル線としてモーターに使用される場合、電流を安定して伝送しながら、モーターの消費電力を削減することは可能であり、スピーカーや風力発電、電気自動車等のモーターの効率を大幅に改善できる。
【0032】
ここに開示された実施例を実現する代替方法がある点に留意すべきである。従って、本実施例は例示説明であり、制限的ではないとされるべきであり、特許請求の範囲は本明細書に与えられた詳細に限定されるべきではなく、範囲およびその等価物の範囲内で変更することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7