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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012607
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】杭施工性評価システム
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/00 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
E02D1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194429
(22)【出願日】2023-11-15
(62)【分割の表示】P 2022053932の分割
【原出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】塚田 義明
(72)【発明者】
【氏名】島崎 傑
(72)【発明者】
【氏名】室城 智志
(72)【発明者】
【氏名】内 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】中田 貴之
(57)【要約】
【課題】杭の施工結果を推定する。
【解決手段】杭施工性評価システムは、施工現場の位置を示す施工場所情報と、施工現場において得られた深度ごとの土質と標準貫入試験の結果を示すN値とを少なくとも含む施工現場試験結果情報と、を現場情報として取得する現場情報取得部と、試験において得られた深度ごとの土質と標準貫入試験の結果を示すN値とを少なくとも含む試験結果情報と、試験の実施場所を示す情報と、実施場所における杭施工時の施工結果の特徴の発生結果と、を対応付けて記憶した辞書情報と、現場情報取得部が取得した現場情報とに基づいて、施工現場において発生する施工結果の特徴を推定する推定部と、推定部が推定した結果を出力する出力部と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工現場の位置を示す施工場所情報と、前記施工現場において得られた深度ごとの土質と標準貫入試験の結果を示すN値とを少なくとも含む施工現場試験結果情報と、を現場情報として取得する現場情報取得部と、
試験において得られた深度ごとの土質と標準貫入試験の結果を示すN値とを少なくとも含む試験結果情報と、前記試験の実施場所を示す情報と、前記実施場所における杭施工時の施工結果の特徴の発生結果と、を対応付けて記憶した辞書情報と、前記現場情報取得部が取得した前記現場情報とに基づいて、前記施工現場において発生する施工結果の特徴を推定する推定部と、
前記推定部が推定した結果を出力する出力部と、
を含む杭施工性評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭施工性評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の基礎工事に際して必要な地層分布や地質性状を推定する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-37427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術においては、建物の基礎杭(以下、単に杭ともいう。)の施工時に、杭の施工結果までは推定することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、杭の施工結果を推定することができる杭施工性評価システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、施工現場の位置を示す施工場所情報と、前記施工現場において得られた深度ごとの土質と標準貫入試験の結果を示すN値とを少なくとも含む施工現場試験結果情報と、を現場情報として取得する現場情報取得部と、試験において得られた深度ごとの土質と標準貫入試験の結果を示すN値とを少なくとも含む試験結果情報と、前記試験の実施場所を示す情報と、前記実施場所における杭施工時の施工結果の特徴の発生結果と、を対応付けて記憶した辞書情報と、前記現場情報取得部が取得した前記現場情報とに基づいて、前記施工現場において発生する施工結果の特徴を推定する推定部と、前記推定部が推定した結果を出力する出力部と、を含む杭施工性評価システムである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、杭の施工結果を推定することができる杭施工性評価システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の杭施工性評価システムの機能構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態の杭施工性評価システムの動作の流れの一例を示す図である。
図3】本実施形態の現場情報生成装置の機能構成の一例を示す図である。
図4】手書きのボーリング試験結果帳票の一例を示す図である。
図5】本実施形態の現場情報生成部によって生成される土質区分情報の一例を示す図である。
図6】本実施形態の現場情報生成部によって生成される標準貫入試験結果情報の一例を示す図である。
図7】本実施形態の特徴種類情報の一例を示す図である。
図8】施工結果の特徴(高止まり・低止まり)の一例を示す図である。
図9】施工結果の特徴(中間層未発現)の一例を示す図である。
図10】施工結果の特徴(すべり)の一例を示す図である。
図11】施工結果の特徴(支持層への根入れ不足)の一例を示す図である。
図12】本実施形態の辞書情報の一例を示す図である。
図13】本実施形態の推定部による推定結果の一例を示す図である。
図14】推定装置の機能構成の変形例を示す図である。
図15】推定装置の動作の流れの一例を示す図である。
図16】施工機械が出力する施工情報の一例である。
図17】本変形例の出力部が出力する比較結果の一例を示す図である。
図18】従来のボーリング試験結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態の杭施工性評価システム1は、杭施工の設計段階あるいは資材発注段階、つまり施工の前段階で利用される場合と、現場での杭施工段階で利用される場合とがある。まず、杭施工性評価システム1が、杭施工の設計段階あるいは資材発注段階で利用される場合について、図1及び図2を参照して説明する。
なお、杭施工性評価システム1が扱う杭の種類は問わず、例えば鋼管杭でもコンクリート杭でもよいが、本実施形態においては、先端部にらせん状の羽根を有し、杭の回転による羽根の推進力で地盤中に貫入する鋼管杭を一例にして説明する。
【0010】
[杭施工性評価システムの機能構成]
図1は、本実施形態の杭施工性評価システム1の機能構成の一例を示す図である。
図2は、本実施形態の杭施工性評価システム1の動作の流れの一例を示す図である。
杭施工性評価システム1は、推定装置10と、現場情報生成装置20と、出力装置30と、辞書情報記憶部40とを備える。
推定装置10は、コンピュータ装置であり、プログラムに基づいて動作する。推定装置10は、現場情報取得部110と、推定部120と、出力部130とを、その機能部として備える。
【0011】
(ステップS10)現場情報取得部110は、現場情報生成装置20から現場情報221を取得する。現場情報221とは、杭施工予定の現場から得られる情報である。例えば、杭施工予定の現場において、ボーリング試験が行われる。このボーリング試験において、深度ごとの土質と、標準貫入試験の結果を示すN値とが得られる。この場合、現場情報221には、杭施工予定の現場の位置を示す施工場所情報と、この施工予定の現場における事前のボーリング試験の結果得られるボーリング試験結果211(施工現場ボーリング結果情報)とが含まれる。
この現場情報221を生成する、現場情報生成装置20の機能構成について説明する。
[現場情報生成装置の機能構成]
図3は、本実施形態の現場情報生成装置20の機能構成の一例を示す図である。
現場情報生成装置20は、現場情報生成部210と、操作部220と、スキャナ230と、メモリスロット240と、表示部250と、現場情報記憶部260とを備える。
【0012】
現場情報生成部210は、コンピュータ装置であり、プログラムに基づいて動作する。
操作部220は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなどを備えており、現場情報生成装置20の操作者による操作を検出する。操作部220は、検出した操作を現場情報生成部210に出力する。
スキャナ230は、紙の書面をデジタル画像に変換する。スキャナ230は、変換したデジタル画像を現場情報生成部210に出力する。
メモリスロット240は、可搬型の記録媒体からデジタルデータを読み出す。メモリスロット240は、読みだしたデジタルデータを現場情報生成部210に出力する。
表示部250は、例えば、液晶ディスプレイを備えており、現場情報生成部210による各種の演算結果を表示する。
現場情報記憶部260は、例えば、半導体記憶装置、ハードディスク装置、またはクラウドサーバなどであり、現場情報生成部210が生成した現場情報221を記憶する。
【0013】
現場情報生成装置20は、例えば、手書きのボーリング試験結果帳票をスキャナ230で読み取ることにより、または、ボーリング試験機が出力するデジタルデータをメモリスロット240から読み出すことにより、現場情報221を生成する。
【0014】
図4は、手書きのボーリング試験結果帳票の一例を示す図である。この一例におけるボーリング試験結果211の帳票には、深度を縦軸にして、深度ごとの土質名と、N値とが記載されている。スキャナ230は、このボーリング試験結果211の帳票をデジタル画像に変換して、現場情報生成部210に出力する。
現場情報生成部210は、ボーリング試験結果211の帳票のデジタル画像を、土質区分情報222及び標準貫入試験結果情報223のデジタルデータに変換する。
【0015】
図5は、本実施形態の現場情報生成部210によって生成される土質区分情報222の一例を示す図である。
図6は、本実施形態の現場情報生成部210によって生成される標準貫入試験結果情報223の一例を示す図である。
現場情報生成部210は、これら土質区分情報222や標準貫入試験結果情報223を現場情報221として生成する。
【0016】
なお、現場情報221には、現場で施工される杭の仕様や施工機械の仕様などの、施工条件を示す情報が含まれていてもよい。
また、この一例では、施工予定の現場で実施されたボーリング試験結果を、現場情報221とする場合について説明したが、これに限られない。現場情報取得部110は、過去に実施された様々な地点のボーリング試験結果をまとめた、地盤・地質に関する公開情報などのデータベースに蓄積されている情報の中から、施工予定の現場に近い位置の情報を、現場情報221として取得してもよい。
図1に戻り、現場情報取得部110は、取得した現場情報221を推定部120に出力する。
【0017】
(ステップS20)図2に戻り、推定部120は、現場情報取得部110が出力する現場情報221を取得する。また、推定部120は、辞書情報記憶部40に記憶されている辞書情報401を取得する。
辞書情報401とは、過去に、様々な地点において実施されたボーリング試験結果が蓄積された情報である。辞書情報記憶部40には、ボーリング試験の結果得られる深度ごとの土質と標準貫入試験の結果を示すN値とを少なくとも含むボーリング結果情報414と、ボーリング試験の実施場所を示す実施場所情報411と、実施場所における杭施工時の施工結果情報413とが対応付けられて、記憶されている。この辞書情報401について、図7から図12を参照して説明する。
【0018】
[施工結果の特徴の種類の一例]
図7は、本実施形態の特徴種類情報402の一例を示す図である。特徴種類情報402とは、過去に発生した施工結果の特徴の内容を分類した情報である。本実施形態の一例では、特徴種類情報402は、施工結果の特徴IDと、重要度と、施工結果の特徴の内容を示す情報とが、互いに対応付けられて記憶されている。施工結果の特徴IDとは、施工結果の特徴の内容を識別する識別子である。重要度とは、施工結果の特徴が与える影響の大きさのランクを示す指標である。施工結果の特徴の内容の一例について説明する。
【0019】
図8は、施工結果の特徴(高止まり・低止まり)の一例を示す図である。高止まりとは、設計時の計画深度よりも高い位置(浅い位置)に支持層が存在し、杭が計画よりも高い位置で止まっている状況を指す。高止まりの場合、施工現場で杭のカットが必要になる場合がある。低止まりとは、設計時の計画深度よりも低い位置(深い位置)に支持層が存在し、杭が計画よりも低い位置で止まっている状況である。低止まりの場合、杭の追加(継ぎ足し)が必要になる場合がある。
【0020】
図9は、施工結果の特徴(中間層未発現)の一例を示す図である。中間層未発現とは、設計時に想定した中間層(中間支持層)が、実際の施工現場においては、設計時の想定と異なり存在していない、あるいは想定したN値よりも小さい傾向にある、層厚が想定よりも薄い、等の状況を指す。中間層未発現の場合には、杭の追加(継ぎ足し)が必要になる場合がある。
【0021】
図10は、施工結果の特徴(すべり)の一例を示す図である。すべりとは、主に粘性土の層境目で、杭の羽根から推進力が得られず空転してしまう状況である。すべりが発生する場合には、工期が計画から大幅に延びる場合がある。
【0022】
図11は、施工結果の特徴(支持層への根入れ不足)の一例を示す図である。支持層への根入れ不足(あるいは支持層掘削難)とは、密実な砂層や礫層などで支持層の掘削ができず、支持力が十分に発現しない状況である。支持層への根入れ不足の場合には、杭の本数を増やすことや、工法変更などの対応が必要になる場合がある。
【0023】
[辞書情報]
図12は、本実施形態の辞書情報401の一例を示す図である。辞書情報401とは、過去の杭の施工時における、ボーリング試験結果や施工条件と、その施工において生じた施工結果の特徴の内容とを蓄積した情報である。この一例では、辞書情報401は、実施場所情報411と、施工条件情報412と、施工結果情報413と、ボーリング結果情報414とが対応付けられている。実施場所情報411は、杭施工の実施場所を、例えば、緯度経度や行政区画上の位置などで示す情報である。施工条件情報412は、例えば、杭の仕様や、施工機械の仕様などを示す情報である。ここで、杭の仕様には、杭の材質や形状(例えば、羽根を有する鋼管杭の場合には、羽根の形状)や板厚などが含まれる。
施工結果情報413は、当該現場において発生した施工結果の特徴が、上述した特徴種類情報402のいずれに該当するのかを示す情報である。ボーリング結果情報414は、当該現場において実施されたボーリング試験の結果を示す情報である。
【0024】
(ステップS30)図1に戻り、推定部120は、ステップS10において取得した現場情報221と、ステップS20において取得した辞書情報401とに基づいて、施工現場で生じうる施工結果の特徴を推定する。推定部120による施工結果の特徴の推定方法の一例について説明する。
【0025】
(1)推定部120は、辞書情報401の中から、現場情報221が示す施工予定の現場の位置に近い位置の辞書情報401に基づいて、施工予定の現場で発生しうる施工結果の特徴を推定する。この場合、推定部120は、施工予定の現場の付近における過去の施工結果と、施工予定の現場における推定結果とを比較可能な形式にして、推定結果を生成してもよい。
【0026】
(2)推定部120は、辞書情報401の中から、現場情報221が示す施工予定の現場の土質構成に近い土質構成を有する辞書情報401に基づいて、施工予定の現場で発生しうる施工結果の特徴を推定する。土質構成とは、深度ごとの土質の種類の並び順や各層の厚さの組み合わせをいう。
【0027】
(3)推定部120は、辞書情報401の中から、現場情報221が示す施工予定の現場のN値の変化パターンに近いN値の変化パターンを有する辞書情報401に基づいて、施工予定の現場で発生しうる施工結果の特徴を推定する。N値の変化パターンとは、深度ごとのN値の大きさの組み合わせをいう。
【0028】
(4)推定部120は、辞書情報401の中から、現場情報221が示す施工条件に近い施工条件を有する辞書情報401に基づいて、施工予定の現場で発生しうる施工結果の特徴を推定する。
【0029】
なお、推定部120は、上述した(1)~(4)の推定方法を組み合わせることにより、施工予定の現場で発生しうる施工結果の特徴を推定してもよい。
例えば、推定部120は、現場情報221が示す施工予定の現場の土質構成に近い土質構成を有し、かつ、現場情報221が示す施工予定の現場のN値の変化パターンに近いN値の変化パターンを有する辞書情報401に基づいて、施工予定の現場で発生しうる施工結果の特徴を推定するようにしてもよい。
【0030】
すなわち、推定部120は、辞書情報401と、現場情報取得部110が取得した現場情報221とに基づいて、施工現場において発生する特徴を推定する。
推定部120は、推定結果を出力部130に出力する。
【0031】
(ステップS40)出力部130は、推定部120が推定した施工予定の現場で発生しうる施工結果の特徴の推定結果を、出力装置30に出力する。出力装置30は、例えば、液晶ディスプレイやプリンタを備えており、推定結果を出力する。出力装置30が出力する推定結果の一例について、図13を参照して説明する。
【0032】
[推定結果の例]
図13は、本実施形態の推定部120による推定結果の一例を示す図である。同図の一例において、グラフの縦軸は深さを、横軸はN値、施工機械が杭に与える回転力(トルク)の推測値、回転数の推測値、杭の掘削速度の推測値の、それぞれの大きさを示す。この一例の場合、出力装置30は、ある施工現場において施工される杭について、施工結果の特徴の種類と、施工結果の特徴の生じる深さとを、推定部120による推定結果として出力する。この一例では、施工結果の特徴とは、深度9mにおける「すべり80%」、深度10mにおける「すべり45%」、深度13mにおける「高止まり40%」、深度14mにおける「高止まり60%」、深度15mにおける「高止まり50%」、及び深度16mおける「貫入不能50%」である。
なお、出力装置30は、計画上の掘削時間に対して予想される掘削時間の差(予実差)を出力してもよい。
【0033】
なお、出力部130は、施工予定の現場の付近における過去の施工結果と、施工予定の現場における推定結果とを、地図上でそれらの位置を比較可能な形式にして出力してもよい。
【0034】
また、出力部130は、深さ方向の土質の並び順毎に、施工結果の特徴の種類を出力してもよい。
【0035】
上述したように、杭施工性評価システム1は、杭施工の設計段階あるいは資材発注段階(つまり、施工の前段階)において、当該施工現場で発生しうる施工結果の特徴を推定する。従来、施工現場において発生しうる施工結果の特徴の事前推定は、経験を積んだ熟練技能者によって行われていることがあった。上述したように構成された杭施工性評価システム1によれば、熟練技能者によらずに施工結果の特徴の事前推定をすることができる。
【0036】
また、従来は、杭施工の設計段階において、ボーリング試験結果が紙面に印刷され(あるいは、画像データとして表示され)ており、このボーリング試験結果に杭の施工条件を記入する、といった作業が行われていた。
【0037】
図18は、従来のボーリング試験結果の一例を示す図である。同図に示すように、従来のボーリング試験結果では、コンピュータが直接的に分析することができず、情報の共有が困難であるという課題があった。
一方、本実施形態の杭施工性評価システム1によれば、現場情報生成装置20がボーリング試験結果211に基づき、コンピュータが直接的に分析可能な形式の情報である現場情報221を生成する。このように構成された杭施工性評価システム1によれば、コンピュータが直接的に分析可能になり、情報の共有を容易にすることができる。
【0038】
[現場での杭施工段階で利用される場合]
図14は、推定装置10aの機能構成の変形例を示す図である。推定装置10aは出力部130aと、比較部140とを備える点で、上述した推定装置10と異なる。なお、上述した推定装置10と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
本変形例の推定装置10aは、施工機械50に接続される。
【0039】
図15は、推定装置10aの動作の流れの一例を示す図である。
(ステップS110)比較部140は、推定部120による推定結果を取得する。
(ステップS120)比較部140は、施工機械50が出力する施工情報を取得する。
【0040】
図16は、施工機械50が出力する施工情報の一例である。施工機械50は、杭の掘削施工を行う。同図に示す一例では、施工機械50は、施工機械が杭に与える回転力(トルク)を、施工中に常時計測している。施工機械50は、杭の掘削施工時に得られる回転力を、施工情報として推定装置10aに出力する。
なお、施工機械50は、回転力のほかに、回転数、杭の掘削速度などの各種情報を、施工中に常時計測している。施工機械50は、これらの各種情報についても、施工情報として推定装置10aに出力する。すなわち、施工機械50は、施工情報を施工の進捗に従って(つまり、リアルタイムに)、推定装置10aに出力する。
【0041】
(ステップS130)図15に戻り、比較部140は、施工機械50が出力する施工情報と、推定部120による推定結果とを比較する。上述したように、施工情報には、施工機械が杭に与える回転力(トルク)、回転数、杭の掘削速度などの各種リアルタイム情報が含まれる。推定部120による推定結果には、施工機械が杭に与える回転力(トルク)の推定値、回転数の推定値、杭の掘削速度の推定値、施工結果の特徴の推定結果などの各種の推定情報が含まれる。比較部140は、リアルタイム情報と、事前に推定された推定結果とを比較する。比較部140は、比較の結果、リアルタイム情報と推定結果とに乖離が生じている場合には、施工機械50による施工が推定通りに行われていないことを、比較結果として生成する。例えば、比較部140は、リアルタイム情報が示す杭の掘削速度と、推定結果が示す杭の掘削速度との間に乖離が生じている場合には、杭の掘削速度の異常を知らせる警告情報を、比較結果として生成する。比較部140は、比較結果を出力部130aに出力する。
【0042】
(ステップS140)出力部130aは、比較部140による比較結果を、上述した推定部120による推定結果とともに、出力装置30に出力する。
【0043】
図17は、本変形例の出力部130aが出力する比較結果の一例を示す図である。同図の一例において、グラフの縦軸は深さを、横軸はN値、施工機械が杭に与える回転力(トルク)、回転数、杭の掘削速度の、それぞれの大きさを示す。この一例の場合、出力装置30には、ある施工現場において施工される複数の杭のそれぞれについての推定結果(つまり、設計時に得られた情報)と、施工機械50が出力するリアルタイム情報(つまり、施工中に得られた情報)とを、比較可能な形式にして出力する。同図において、推定グラフが、設計時に得られた推定結果を示す。実杭グラフが、施工機械50が出力するリアルタイム情報を示す。
【0044】
本変形例のように構成された杭施工性評価システム1によれば、設計時における推定結果と、施工現場での杭の施工状況との比較結果を、リアルタイムに提示することができる。
【0045】
なお、本変形例において、出力装置30は、施工機械50のオペレータ席に備えられたディスプレイ装置として構成されていてもよい。また、出力装置30は、杭施工現場の監督者が携帯する携帯端末として構成されていてもよい。このように構成された杭施工性評価システム1によれば、施工機械50のオペレータや施工監督者が、杭の施工状況をリアルタイムに把握することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0047】
なお、上記の実施形態における各装置が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
【0048】
なお、各装置が備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、各装置が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0049】
また、各装置が備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、制御部が備える各部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0050】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…杭施工性評価システム、10…推定装置、20…現場情報生成装置、30…出力装置、40…辞書情報記憶部、50…施工機械、110…現場情報取得部、120…推定部、130…出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18