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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126078
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】支援装置及び支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240912BHJP
   B60C 23/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60C23/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034228
(22)【出願日】2023-03-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】永岡 辰也
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB17
5H181CC27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】車輪の取り付け状態を精度良く把握できるようにする。
【解決手段】支援装置100は、車両の車輪に設けられた加速度センサ22から、車輪に係る軸方向加速度を所定間隔で取得する受信部123と、加速度センサ22が所定時間に亘って検出した軸方向加速度の積算値が閾値よりも大きい場合に、車輪の取り付け状態に異常がある旨を出力する出力部126を備える。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に設けられたセンサから、前記車輪に係る車軸方向の加速度を所定間隔で取得する取得部と、
所定時間に亘る前記加速度の積算値が閾値よりも大きい場合に、前記車輪の取り付け状態に異常がある旨を出力する出力部と、
を備える、支援装置。
【請求項2】
所定時間に亘る前記加速度の積算値が閾値よりも大きい場合には、前記車輪の取り付け状態に異常があると判定する判定部を更に備え、
前記出力部は、前記判定部により前記取り付け状態に異常があると判定されると、前記異常がある旨を出力する、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記所定時間が経過する毎に、前記センサが検出した前記加速度の積算値をリセットする、
請求項2に記載の支援装置。
【請求項4】
前記車両の走行中の速度の大きさに応じて、前記閾値の大きさを調整する調整部を更に備える、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項5】
前記車両が走行する路面の状態に応じて、前記閾値の大きさを調整する調整部を更に備える、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項6】
前記支援装置は、前記車輪に設けられており、
前記出力部は、前記車両の制御装置に前記異常がある旨を出力する、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項7】
前記支援装置は、前記センサが検出した加速度を無線通信で受信する受信部を更に備え、
前記出力部は、前記受信部が受信した前記加速度の積算値が前記閾値よりも大きい場合に、前記異常がある旨を出力する、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項8】
プロセッサが実行する、
車両の車輪に設けられたセンサから、前記車輪に係る車軸方向の加速度を所定間隔で取得するステップと、
所定時間に亘る前記加速度の積算値が閾値よりも大きい場合に、前記車輪の取り付け状態に異常がある旨を出力するステップと、
を有する、支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支援装置及び支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、車輪に設けられたセンサで車軸方向の加速度を検出し、当該加速度が警告レベルを超えると車輪の取り付け状態に異常があると判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-329907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の技術においては、例えば車両が段差等を乗り上げる際にセンサが大きな加速度を検出すると、実際には車輪が適切に取り付けられていても、取り付け状態に異常があると誤って判定してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車輪の取り付け状態を精度良く把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、車両の車輪に設けられたセンサから、前記車輪に係る車軸方向の加速度を所定間隔で取得する取得部と、所定時間に亘る前記加速度の積算値が閾値よりも大きい場合に、前記車輪の取り付け状態に異常がある旨を出力する出力部と、を備える、支援装置を提供する。
【0007】
また、所定時間に亘る前記加速度の積算値が閾値よりも大きい場合には、前記車輪の取り付け状態に異常があると判定する判定部を更に備え、前記出力部は、前記判定部により前記取り付け状態に異常があると判定されると、前記異常がある旨を出力することとしてもよい。
【0008】
また、前記判定部は、前記所定時間が経過する毎に、前記センサが検出した前記加速度の積算値をリセットすることとしてもよい。
【0009】
また、前記車両の走行中の速度の大きさに応じて、前記閾値の大きさを調整する調整部を更に備えることとしてもよい。
【0010】
また、前記車両が走行する路面の状態に応じて、前記閾値の大きさを調整する調整部を更に備えることとしてもよい。
【0011】
また、前記支援装置は、前記車輪に設けられており、前記出力部は、前記車両の制御装置に前記異常がある旨を出力することとしてもよい。
【0012】
また、前記支援装置は、前記センサが検出した加速度を無線通信で受信する受信部を更に備え、前記出力部は、前記受信部が受信した前記加速度の積算値が前記閾値よりも大きい場合に、前記異常がある旨を出力することとしてもよい。
【0013】
本発明の第2の態様においては、プロセッサが実行する、車両の車輪に設けられたセンサから、前記車輪に係る車軸方向の加速度を所定間隔で取得するステップと、所定時間に亘る前記加速度の積算値が閾値よりも大きい場合に、前記車輪の取り付け状態に異常がある旨を出力するステップと、を有する、支援方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車輪の取り付け状態を精度良く把握できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一の実施形態に係る支援装置100が搭載された車両1の構成を説明するためのブロック図である。
図2】車両1の車輪を説明するための模式図である。
図3】加速度センサ22が検出する加速度の向きを説明するための模式図である。
図4】受信部123が受信した軸方向加速度の時系列データの一例を示す模式図である。
図5】受信部123が受信した軸方向加速度の時系列データを積算した積算値データの一例を示す模式図である。
図6】車輪10の取り付け状態の判定処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<支援装置の構成>
一の実施形態に係る支援装置の構成について、図1を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、一の実施形態に係る支援装置100が搭載された車両1の構成を説明するためのブロック図である。支援装置100は、車両1の車輪の取り付け状態を判定する。例えば、支援装置100は、車輪が脱輪するおそれがある状態であるか否かを判定する。車両1は、ここでは図2に示すトラックであるが、これに限定されない。
【0018】
図2は、車両1の車輪を説明するための模式図である。車両1には、車輪10a~10fが設けられている。車輪10a、10bは、前輪であり、車輪10c、10dは、第1後輪であり、車輪10e、10fは第2後輪である。車輪10a~10fのホイールは、それぞれボルト及びナットを介して車軸に固定されている。以下では、車輪10a~10fを総称して、車輪10とも呼ぶ。
【0019】
車両1の走行中に、車輪10が脱輪するケースが生じうる。車輪10のホイールのナットが緩んでいない(車輪10の取り付け状態が正常である)場合には、車輪10が車軸から脱輪するおそれはないが、ナットが緩んでいる(取り付け状態が異常である)場合には、走行中にナットが更に緩んでしまい車輪10が車軸から脱輪するおそれがある。走行時の安全性を確保するためには、車輪10が脱輪する前にナットの緩みを解消する等の整備を行うことが望ましい。
【0020】
そこで、本実施形態の支援装置100は、詳細は後述するが、車輪10に作用する軸方向加速度の積算値に基づいて、車輪10の取り付け状態が異常であるか否かを判定し、取り付け状態が異常である場合には運転者等に報知を行う。これにより、運転者等は、車輪10が脱輪する前に、車輪10が脱輪するおそれがある状態であることを把握でき、対策を講じやすくなる。なお、軸方向加速度を用いているのは、ナットが緩んでいる場合には、特異的な軸方向加速度が発生することが分かったためである。
【0021】
支援装置100は、ここでは車両1に搭載されたECU(Electronic Control Unit)である。支援装置100は、図1に示すように、記憶部110と、制御部120を有する。
【0022】
記憶部110は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部110は、制御部120が実行するためのプログラムや各種データを記憶する。例えば、記憶部110は、車輪10の取り付け状態の判定処理に用いる判定閾値を記憶する。
【0023】
制御部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラムを実行することにより、検出制御部122、受信部123、判定部124、調整部125及び出力部126として機能する。制御部120は、1つのプロセッサで構成されていてもよいし、複数のプロセッサ又は1以上のプロセッサと電子回路との組み合わせにより構成されていてもよい。
【0024】
検出制御部122は、車両1の各車輪10に設けられた検出装置20による検出を制御する。例えば、検出制御部122は、検出装置20に各車輪10に作用する加速度を検出させる。検出装置20は、検出した加速度を支援装置100に無線通信で送信する。
【0025】
検出装置20は、各車輪10のホイールに取り付けられている。検出装置20は、加速度を検出する加速度センサ22を含む。また、検出装置20は、支援装置100と無線通信を行う通信モジュールを含む。さらに、検出装置20は、無線通信の際に使用する電力を蓄えているバッテリを有してもよい。
【0026】
検出制御部122は、加速度センサ22に、車軸方向の加速度(以下、軸方向加速度と呼ぶ)を所定間隔で検出させる。例えば、検出制御部122は、所定間隔として100Hz(10ミリ秒間隔)で軸方向加速度を検出させる。検出制御部122は、車輪10の円周方向の加速度(周方向加速度とも呼ぶ)と半径方向の加速度(径方向加速度とも呼ぶ)を加速度センサ22に検出させてもよい。
【0027】
図3は、加速度センサ22が検出する加速度の向きを説明するための模式図である。加速度センサ22は、車両1の走行中に、車輪10の軸方向加速度に加えて周方向加速度及び径方向加速度も検出する。加速度センサ22は、検出した軸方向加速度、周方向加速度及び径方向加速度を、支援装置100に送信する。
【0028】
受信部123は、加速度センサ22から軸方向加速度を所定間隔で取得する取得部の機能を有する。受信部123は、加速度センサ22が所定間隔で検出した軸方向加速度を、無線通信で順次受信する。受信部123は、軸方向加速度に加えて周方向加速度及び径方向加速度も、加速度センサ22から受信しうる。受信部123は、受信した軸方向加速度を判定部124に出力する。
【0029】
図4は、受信部123が受信した軸方向加速度の時系列データの一例を示す模式図である。図4の横軸が時間を示し、縦軸が軸方向加速度の大きさを示す。受信部123は、図4に示すように大きさが変動する軸方向加速度を受信する。なお、ここでは、時刻t0と時刻t1の間の時刻t11の際に、車両1が段差を乗り上げているために、軸方向加速度が瞬間的に大きくなっているものとする。また、時刻t1から時刻t2の間に車輪10のホイールのナットが緩んで、軸方向加速度の大きさが大きくなっているものとする。
【0030】
判定部124は、各車輪10に設けられた加速度センサ22が検出した加速度に基づいて、各車輪10の取り付け状態を判定する。判定部124は、各車輪10の取り付け状態として、車両1の走行中に車輪10が脱輪するおそれがある状態であるか否かを判定する。例えば、判定部124は、車輪10に特異的な軸方向加速度が連続して作用した場合には、車輪10のホイールのナットが緩んでいると判定し、車輪10が脱輪するおそれがある状態であると判定する。
【0031】
判定部124は、加速度センサ22が検出した加速度の積算値に基づいて、車輪10の取り付け状態に異常があるか否かを判定する。例えば、判定部124は、加速度センサ22が所定時間に亘って検出した軸方向加速度の積算値が閾値よりも大きい場合には、車輪10の取り付け状態に異常があると判定する。すなわち、判定部124は、車両1の走行中に車輪10が脱輪するおそれがある状態であると判定する。所定時間は、一例として1秒であるが、これに限定されず、1秒より長くてもよい。所定時間は、様々な要因を加味して調整されうる。また、閾値は、予め設定されていてもよいし、調整部125によって調整されてもよい。
【0032】
判定部124は、軸方向加速度の積算値が閾値以下である場合には、車輪10の取り付け状態が正常であると判定する。すなわち、判定部124は、ホイールのナットが緩んでおらず、車両1の走行中に車輪10が脱輪するおそれがない状態であると判定する。
【0033】
図5は、受信部123が受信した軸方向加速度の時系列データを積算した積算値データの一例を示す模式図である。時刻t0から時刻t1の間では、前述した図4に示すように瞬間的に軸方向加速度が大きくなっている時刻t11が存在するが、それ以外の時刻での軸方向加速度が小さいため、図5に示すように積算値が閾値よりも小さい。このため、判定部124は、時刻t0から時刻t1の間については、取り付け状態が正常であると判定する。一方で、時刻t1から時刻t2の間では、図4に示すように軸方向加速度が大きくなっている時刻が多数あるため、図5に示すように積算値が閾値よりも大きい。このため、判定部124は、時刻t1から時刻t2については、取り付け状態が異常であると判定する。上記のように軸方向加速度の積算値を用いて判定を行う場合には、車両1が段差等に乗り上げて瞬間的に軸方向加速度が大きくなっても取り付け状態が異常であると誤判定することを抑制できる。
【0034】
判定部124は、所定時間が経過する毎に、加速度センサ22が検出した軸方向加速度の積算値をリセットする。判定部124は、リセット後に軸方向加速度を再度積算して、積算値が閾値よりも大きいか否かを判定する。これにより、判定部124は、所定時間毎に、車輪10の取り付け状態を精度良く判定できる。なお、判定部124が軸方向加速度を積算する方法は上記に限らない。判定部124が判定を行う時点から、所定の数の過去の軸方向加速度のデータを都度取得して、積算値を取得してもよい。これによれば、所定時間、積算値のカウントが累積されるのを待たずに、取り付け状態を判定することができる。
【0035】
調整部125は、判定部124が車輪10の取り付け状態の判定を行う際の閾値(以下、判定閾値とも呼ぶ)を調整する。例えば、調整部125は、車両1の走行中の速度(以下、車速とも呼ぶ)の大きさに応じて、判定閾値の大きさを調整しうる。具体的には、調整部125は、車速が所定値よりも小さい場合には第1判定閾値に設定し、車速が所定値以上である場合には第1判定閾値よりも大きい第2判定閾値に設定する。所定値は、例えば、時速60kmであるとする。車速が大きいほど軸方向加速度も大きくなる傾向を示すため、車速が速い場合の誤判定を防止するために判定閾値を大きくする。ただし、上記に限定されず、調整部125は、車速に応じて3つ以上の判定閾値を設定してもよい。
【0036】
調整部125は、車両1が走行する路面の状態に応じて、判定閾値の大きさを調整してもよい。例えば、調整部125は、舗装された路面を走行している場合の判定閾値と、砂利がある路面を走行している場合の判定閾値とを異ならせる。具体的には、調整部125は、砂利がある路面を走行している場合の判定閾値を、舗装された路面を走行している場合の判定閾値よりも大きく設定する。砂利がある路面を走行している場合には振動が大きくなりやすいことに起因して加速度も大きくなりやすいため、誤判定を防止するために判定閾値を大きくする。路面の状態は、車両1に設けられたカメラが撮影した画像に基づいて判定してもよい。また、調整部125は、GPS装置を用いて取得した車両1の位置情報と、位置情報と路面情報とがあらかじめ対応付けられたマップ情報とに基づいて、周辺の路面の状態を判定してもよい。
【0037】
調整部125は、判定閾値を調整するために、加速度センサ22が検出した周方向加速度及び径方向加速度に基づいて、路面の状態を判定してもよい。例えば、調整部125は、周方向加速度及び径方向加速度から路面の上下振動を抜き出し、抜き出した振動から路面の状態を判定する。具体的には、調整部125は、抜き出した振動の大きさが所定値よりも大きい場合には、砂利がある路面であると判定し、振動の大きさが所定値よりも小さい場合には、舗装された路面であると判定する。
【0038】
出力部126は、各車輪10の取り付け状態を出力する。例えば、出力部126は、報知装置30に、各車輪10の取り付け状態を出力して報知させる。報知装置30は、取り付け状態に関する情報を表示するディスプレイ、又は取り付け状態を音声で出力するスピーカである。
【0039】
出力部126は、判定部124により車輪10の取り付け状態に異常があると判定されると、異常がある旨を出力する。具体的には、出力部126は、車輪10の取り付け状態に異常がある旨を報知装置30に出力して、報知装置30に車輪10の取り付け状態に異常がある旨を報知させる。このように報知されることで、車両1の運転者は、走行を継続すると車輪10が脱輪するおそれがある状態であることを認識できる。なお、出力部126は、判定部124により取り付け状態に異常が無いと判定された場合には、取り付け状態に関する出力を行わない。
【0040】
出力部126は、受信部123が受信した軸方向加速度の積算値(すなわち、加速度センサ22が所定時間に亘って検出した軸方向加速度の積算値)が閾値よりも大きい場合に、車輪10の取り付け状態に異常がある旨を出力する。具体的には、出力部126は、判定部124により軸方向加速度の積算値が閾値よりも大きい場合に、車輪10の取り付け状態に異常がある旨を報知装置30に報知させる。これにより、取り付け状態に異常がある蓋然性が高い場合に、報知装置30が報知することになる。
なお、出力126は、車輪10の取り付け状態に異常があることを示す情報を、不図示の通信部を介して、ネットワーク上に設けられたクラウドサーバーに出力する機能を有してもよい。クラウドサーバーに設けられた車両1の管理装置は、車輪10の取り付け状態に異常があることを示す情報を受信した場合、あらかじめ定められた管理者に対して、異常が発生したことを通知する。また、管理装置は、車輪10の取り付け状態に異常があることを示す情報を記憶媒体に記録するものであってもよい。これにより、管理者が車両1に関する車両情報の1つとして、当該情報をモニタリングすることが可能となる。
【0041】
(変形例)
上記では、車輪10の検出装置20から軸方向加速度を無線通信で受信した支援装置100は、車輪10の取り付け状態に異常があるか否かを判定していた。これに限定されず、支援装置100は、車輪10に設けられていてもよい。
具体的には、支援装置100は、車輪10に設けられた検出装置20に組み込まれていてもよい。そして、支援装置100は、判定部124によって車輪10の取り付け状態に異常があると判定された場合に、車両1の制御装置に異常がある旨を出力する。すなわち、出力部126は、無線通信で車両1に制御装置に車輪10の取り付け状態に異常がある旨を出力する。この場合には、軸方向加速度を制御装置に送信する必要がなく、取り付け状態に異常がある場合にその旨を送信すればよい。このため、検出装置20と制御装置との間の通信の回数が減ることになり、検出装置20内のバッテリの消費を抑制できる。
【0042】
<取り付け状態の判定処理の流れ>
図6は、車輪10の取り付け状態の判定処理の流れを説明するためのフローチャートである。図6に示す処理は、車両1の走行中に行われる。ここでは、車輪10f(図2)に対して脱輪判定処理を行うものとするが、他の車輪10a~10eに対しても同様な処理が行われる。
【0043】
まず、検出制御部122は、加速度センサ22に軸方向加速度を検出させる(ステップS102)。加速度センサ22は、所定間隔で車輪10fに作用する軸方向加速度を検出する。
【0044】
次に、受信部123は、加速度センサ22が所定間隔で検出した軸方向加速度を受信する(ステップS104)。例えば、受信部123は、加速度センサ22が所定時間に亘って検出した軸方向加速度を、加速度センサ22から順次受信する。
【0045】
次に、判定部124は、加速度センサ22が所定時間に亘って検出した軸方向加速度の積算値が閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS106)。判定部124は、ステップS106で軸方向加速度の積算値が閾値よりも大きい場合には(Yes)、車輪10fの取り付け状態に異常があると判定する(ステップS108)。
【0046】
取り付け状態に異常があると判定されると、出力部126は、取り付け状態に異常がある旨を報知装置30に出力する(ステップS110)。そして、報知装置30は、走行を継続すると車輪10fの脱輪の蓋然性があることを運転者に認識させるべく、取り付け状態に異常がある旨を報知する。
【0047】
ステップS106で軸方向加速度の積算値が閾値以下である場合には(No)、判定部124は、軸方向加速度の積算値をリセットする。その後、ステップS104以降の処理が繰り返される。
【0048】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態の支援装置100は、加速度センサ22が検出した所定時間に亘る軸方向加速度の積算値が閾値よりも大きい場合に、車輪10の取り付け状態に異常がある旨を出力する。
これにより、例えば車両が段差等を乗り上げて瞬間的に加速度センサ22が検出する軸方向加速度が大きくなっても、積算値が閾値よりも大きくなり難いので、車輪10の取り付け状態に異常があると誤って出力することを抑制できる。この結果、運転者等は、車両1の走行中に、車輪の取り付け状態を精度良く把握できる。
【0049】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0050】
1 車両
10 車輪
22 加速度センサ
100 支援装置
122 検出制御部
123 受信部
124 判定部
125 調整部
126 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に設けられたセンサから、前記車輪に係る車軸方向の加速度を所定間隔で取得する取得部と、
所定時間に亘る前記加速度の積算値が閾値よりも大きい場合に、前記車輪の取り付け状態に異常がある旨を出力する出力部と、
を備え
前記取得部は、前記センサが検出した周方向加速度及び径方向加速度を、前記センサから更に取得し、
取得した前記周方向加速度及び前記径方向加速度に基づいて、前記車両が走行する路面の状態を判定して、前記閾値の大きさを調整する調整部を更に備える、支援装置。
【請求項2】
所定時間に亘る前記加速度の積算値が閾値よりも大きい場合には、前記車輪の取り付け状態に異常があると判定する判定部を更に備え、
前記出力部は、前記判定部により前記取り付け状態に異常があると判定されると、前記異常がある旨を出力する、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記所定時間が経過する毎に、前記センサが検出した前記加速度の積算値をリセットする、
請求項2に記載の支援装置。
【請求項4】
前記支援装置は、前記車輪に設けられており、
前記出力部は、前記車両の制御装置に前記異常がある旨を出力する、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項5】
前記支援装置は、前記センサが検出した加速度を無線通信で受信する受信部を更に備え、
前記出力部は、前記受信部が受信した前記加速度の積算値が前記閾値よりも大きい場合に、前記異常がある旨を出力する、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項6】
プロセッサが実行する、
車両の車輪に設けられたセンサから、前記車輪に係る車軸方向の加速度を所定間隔で取得するステップと、
所定時間に亘る前記加速度の積算値が閾値よりも大きい場合に、前記車輪の取り付け状態に異常がある旨を出力するステップと、
前記センサが検出した周方向加速度及び径方向加速度を、前記センサから更に取得するステップと、
取得した前記周方向加速度及び前記径方向加速度に基づいて、前記車両が走行する路面の状態を判定して、前記閾値の大きさを調整するステップと、
を有する、支援方法。