(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126085
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B66C 13/48 20060101AFI20240912BHJP
B66C 15/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B66C13/48 A
B66C15/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034241
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】万仲 徹
【テーマコード(参考)】
3F204
【Fターム(参考)】
3F204AA02
3F204BA02
3F204BA05
3F204CA01
3F204DA01
3F204DA08
3F204DB01
3F204DB05
3F204DC08
3F204DD03
(57)【要約】
【課題】 クレーンで搬送中の物品が障害物と接触する可能性を低減することを高い処理負荷をかけずに実現する。
【解決手段】 処理装置1400は、レードルクレーン20の位置と、クレーン側接触回避簡略化領域2210の形状および大きさと、障害物簡略化領域1911の形状および大きさと、のうち少なくとも一方と、を算出し、レードルクレーン20の位置と、障害物の位置と、クレーン側接触回避簡略化領域2210の形状および大きさと、障害物簡略化領域1911の形状および大きさと、のうち少なくとも一方と、を用いて、レードルクレーン20と障害物との接触の可能性判定を実行する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンと、障害物との、接触の可能性を低減するための処理を行う処理装置であって、
前記クレーン側において前記障害物との接触を回避する必要がある領域であるクレーン側接触回避領域の位置を算出する位置算出部と、
前記クレーン側接触回避領域の位置、形状、および大きさと、前記障害物の領域を示す障害物領域の位置、形状、および大きさと、を用いて、前記クレーンと前記障害物との接触の可能性判定を実行する接触判定部と、
を備え、
前記クレーン側接触回避領域および前記障害物領域のうちの少なくとも一方は、予め定められている図形のみを用いて簡略化される、処理装置。
【請求項2】
前記障害物領域は、その位置、形状、および大きさが示された地図に表され、
前記接触判定部は、前記地図を用いて、前記クレーンと前記障害物との接触の可能性判定を実行する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記クレーンが備える吊具であるオリジナル吊具に対して着脱可能な変換吊具が、前記オリジナル吊具に装着されているか否かの装着判定を実行する装着判定部を、さらに備え、
前記位置算出部は、前記クレーンに前記変換吊具が装着とされていると判定された場合には、前記クレーンに前記変換吊具が装着されていない場合と比較して、前記クレーン側接触回避領域の高さ方向の位置を、前記変換吊具の高さ方向の長さに応じて定められるオフセット量だけ低くする、請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記装着判定部は、前記変換吊具の保管置場に設置された、前記保管置場に前記変換吊具が置かれているか否かを判定するためのセンサの検知値に基づいて、前記装着判定を実行する、請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記クレーンが備える吊具であるオリジナル吊具に対して、変換吊具が着脱可能であり、
前記クレーンが備える吊具であるオリジナル吊具に前記変換吊具が取り付けられている場合の前記クレーン側接触回避領域は、前記オリジナル吊具の領域と、前記変換吊具の領域と、を含む、請求項3に記載の処理装置。
【請求項6】
1つの前記クレーン側接触回避領域は、前記クレーンで吊っている物品の領域と、前記クレーンが備える吊具の領域と、を含む領域である、請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項7】
前記位置算出部は、前記簡略化されたクレーン側接触回避領域の底面の頂点の位置を、前記クレーン側接触回避領域の位置として算出し、
前記接触判定部は、前記簡略化されたクレーン側接触回避領域の底面の頂点の位置を用いて、前記クレーンが障害物周辺領域にあるか否を判定する、請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項8】
前記予め定められている図形は、直方体または立方体である六面体である、請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項9】
前記障害物領域が変更されたか否かを、障害物検知センサの障害物検知信号に基づいて判定する障害物判定部と、
前記障害物判定部により、前記障害物領域が変更されたと判定された場合に、そのことを報知する報知部を備える、請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項10】
前記クレーン側接触回避領域と、前記障害物領域と、のそれぞれに対して、前記簡略化がなされており、
前記接触判定部は、前記クレーンの位置と、前記障害物の位置と、前記簡略化されたクレーン側接触回避領域の形状および大きさと、前記簡略化された障害物領域の形状および大きさと、を用いて、前記クレーンと前記障害物との接触の可能性判定を実行する、請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項11】
クレーンと、障害物との、接触の可能性を低減するための処理を行う処理方法であって、
前記クレーン側において前記障害物との接触を回避する必要がある領域であるクレーン側接触回避領域の位置を算出する位置算出工程と、
前記クレーン側接触回避領域の位置、形状、および大きさと、前記障害物の領域を示す障害物領域の位置、形状、および大きさと、を用いて、前記クレーンと前記障害物との接触の可能性判定を実行する接触判定工程と、
を備え、
前記クレーン側接触回避領域および前記障害物領域のうちの少なくとも一方は、予め定められている図形のみを用いて簡略化される、処理方法。
【請求項12】
請求項1または2に記載の処理装置の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンで物品を搬送する際に、物品が障害物と接触することを抑制するための技術として特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、ロープに吊り下げた吊荷をクレーンで移動させる際に、吊荷およびロープが地上の障害物と接触することを抑制するための技術が開示されている。具体的に特許文献1には以下のことが開示されている。まず、障害物の位置および形状を検出して、吊荷およびロープが進入することが出来ない保護領域を記憶した三次元環境地図を作成する。次に、三次元環境地図に基づいて、吊荷およびロープが通過不可能な通過不可領域を記憶した二次元環境地図を作成する。そして、吊荷の形状と、吊荷の三次元位置と、二次元環境地図と、に基づいて、吊荷およびロープが障害物と衝突する干渉状態、または、吊荷およびロープが保護領域に進入する干渉状態が生じる可能性があるかを予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、障害物の表面形状を三次元レーザ距離センサにより測定し、測定した表面形状を障害物の形状として三次元環境地図を更新する。また、特許文献1に記載の技術では、吊荷の表面形状についても、三次元レーザ距離センサにより測定し、測定した表面形状を吊荷の形状とする。したがって、特許文献1に記載の技術では、吊荷および障害物の領域の算出精度が、三次元レーザ距離センサによる吊荷および障害物の表面形状の測定精度に依存する。よって、三次元レーザ距離センサによる吊荷および障害物の表面形状の測定精度が低い場合には、吊荷の形状および三次元位置の精度と、三次元環境地図(二次元環境地図)の精度と、が低くなる。さらに、吊荷および障害物が三次元レーザ距離センサの測定範囲にない場合(例えば、吊荷および障害物が三次元レーザ距離センサの死角となる位置にある場合)には、吊荷および障害物を認識することすら出来ない虞がある。例えば、上方から下方の吊荷の形状を計測する場合には吊荷の形状によっては死角が生じる可能性がある。また、三次元レーザ距離センサ等を用いて障害物や吊荷の形状を精緻に求めると、衝突検知のための処理負荷が高くなる。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、クレーンで搬送中の物品が障害物と接触する可能性を低減することを高い処理負荷をかけずに実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の処理装置は、クレーンと、障害物との、接触の可能性を低減するための処理を行う処理装置であって、前記クレーン側において前記障害物との接触を回避する必要がある領域であるクレーン側接触回避領域の位置を算出する位置算出部と、前記クレーン側接触回避領域の位置、形状、および大きさと、前記障害物の領域を示す障害物領域の位置、形状、および大きさと、を用いて、前記クレーンと前記障害物との接触の可能性判定を実行する接触判定部と、を備え、前記クレーン側接触回避領域および前記障害物領域のうちの少なくとも一方は、予め定められている図形のみを用いて簡略化される。
【0007】
本発明の処理方法は、クレーンと、障害物との、接触の可能性を低減するための処理を行う処理方法であって、前記クレーン側において前記障害物との接触を回避する必要がある領域であるクレーン側接触回避領域の位置を算出する位置算出工程と、前記クレーン側接触回避領域の位置、形状、および大きさと、前記障害物の領域を示す障害物領域の位置、形状、および大きさと、を用いて、前記クレーンと前記障害物との接触の可能性判定を実行する接触判定工程と、を備え、前記クレーン側接触回避領域および前記障害物領域のうちの少なくとも一方は、予め定められている図形のみを用いて簡略化される。
【0008】
本発明のプログラムは、前記処理装置の各部としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、クレーンで搬送中の物品が障害物と接触する可能性を低減することを高い処理負荷をかけずに実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】製鋼工場の設備の一例を示す平面図である。
【
図1B】製鋼工場の設備のうちレードルクレーンに関連する部分の概略構成の一例を示す正面図である。
【
図4】溶銑用レードルクレーンのオリジナル吊具の構成の一例を示す図である。
【
図5】溶銑用レードルクレーンのオリジナル吊具により溶銑鍋が吊り上げられている様子の一例を示す図である。
【
図6】溶鋼用レードルクレーンのオリジナル吊具の構成の一例を示す図である。
【
図7】溶鋼用レードルクレーンのオリジナル吊具により溶鋼鍋が吊り上げられている様子の一例を示す図である。
【
図8】溶鋼鍋用変換吊具の構成の一例を示す図である。
【
図9A】溶銑用レードルクレーンのオリジナル吊具に溶鋼鍋用変換吊具が取り付けられた状態の一例を示す図である。
【
図9B】溶銑用レードルクレーンのオリジナル吊具に溶鋼鍋用変換吊具が取り付けられ、溶鋼鍋用変換吊具により溶鋼鍋が吊り上げられている様子の一例を示す図である。
【
図9C】溶銑用レードルクレーンのオリジナル吊具に溶鋼鍋用変換吊具が取り付けられていない状態と取り付けられている状態との一例を示す図である。
【
図10】溶銑鍋用変換吊具の構成の一例を示す図である。
【
図11A】溶鋼用レードルクレーンのオリジナル吊具に溶銑鍋用変換吊具が取り付けられた状態の一例を示す図である。
【
図11B】溶鋼用レードルクレーンのオリジナル吊具に溶銑鍋用変換吊具が取り付けられ、溶銑鍋用変換吊具により溶銑鍋が吊り上げられている様子の一例を示す図である。
【
図11C】溶鋼用レードルクレーンのオリジナル吊具に溶銑鍋用変換吊具が取り付けられていない状態と取り付けられている状態との一例を示す図である。
【
図12】溶鋼鍋用変換吊具の保管具および置台の構成の一例を示す図である。
【
図13】溶銑鍋用変換吊具の保管具および置台の構成の一例を示す図である。
【
図14】処理装置の機能的な構成の一例を示す図である。
【
図15A】障害物側外形算出部、障害物側位置算出部、および出力部の処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図15B】障害物判定部および地上側報知部の処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図16A】クレーン側外形算出部の処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図16B】クレーン側位置算出部の処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図16C】接触判定部、クレーン側報知部、および制御部の処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図17A】保管具および置台に対する障害物簡略化領域の第1の例を示す図である。
【
図17B】保管具および置台に対する障害物簡略化領域の第2の例を示す図である。
【
図18】台車に対する障害物簡略化領域の一例を示す図である。
【
図19】障害物簡略化領域の位置の一例を示す図である。
【
図20A】溶銑用レードルクレーンのオリジナル吊具に溶鋼鍋用変換吊具が取り付けられておらず、且つ、取鍋が吊られていない場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第1の例を示す図である。
【
図20B】溶銑用レードルクレーンのオリジナル吊具に溶鋼鍋用変換吊具が取り付けられておらず、且つ、取鍋が吊られていない場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第2の例を示す図である。
【
図20C】溶銑用レードルクレーンのオリジナル吊具に溶鋼鍋用変換吊具が取り付けられており、且つ、取鍋が吊られていない場合のクレーン側接触回避簡略化領域の一例を示す図である。
【
図21A】溶鋼用レードルクレーンのオリジナル吊具に溶銑鍋用変換吊具が取り付けられておらず、且つ、取鍋が吊られていない場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第1の例を示す図である。
【
図21B】溶鋼用レードルクレーンのオリジナル吊具に溶銑鍋用変換吊具が取り付けられておらず、且つ、取鍋が吊られていない場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第2の例を示す図である。
【
図21C】溶鋼用レードルクレーンのオリジナル吊具に溶銑鍋用変換吊具が取り付けられており、且つ、取鍋が吊られていない場合のクレーン側接触回避簡略化領域の一例を示す図である。
【
図22A】溶銑用レードルクレーン(オリジナル吊具)で溶銑鍋が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第1の例を示す図である。
【
図22B】溶銑用レードルクレーン(オリジナル吊具)で溶銑鍋が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第2の例を示す図である。
【
図23A】溶鋼用レードルクレーン(オリジナル吊具)で溶鋼鍋が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第1の例を示す図である。
【
図23B】溶鋼用レードルクレーン(オリジナル吊具)で溶鋼鍋が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第2の例を示す図である。
【
図24A】溶銑用レードルクレーン(変換吊具)で溶鋼鍋が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第1の例を示す図である。
【
図24B】溶銑用レードルクレーン(変換吊具)で溶鋼鍋が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第2の例を示す図である。
【
図25A】溶鋼用レードルクレーン(変換吊具)で溶銑鍋が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第1の例を示す図である。
【
図25B】溶鋼用レードルクレーン(変換吊具)で溶銑鍋が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第2の例を示す図である。
【
図27】進入時アクション要否情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
なお、以下の説明において、長さ、位置、大きさ、間隔等、比較対象が同じであることは、厳密に同じである場合の他、発明の主旨を逸脱しない範囲で異なるもの(例えば、設計時に定められる公差の範囲内で異なるもの)も含むものとする。また、各図において、表記および説明の都合上、必要に応じて構成を省略または簡略化している。また、各図に示すX-Y-Z座標は、各図における向きの関係の一例を示す。各図において、白丸の中に黒丸が付されている記号は、X-Y-Z座標を示す記号であり、紙面の奥側から手前側に向かう方向が正の方向であることを示す矢印線を表す。また、白丸の中にクロスマークが付されている記号も、X-Y-Z座標を示す記号であり、紙面の手前側から奥側に向かう方向が正の方向であることを示す矢印線を表す。
【0012】
本実施形態では、クレーンが障害物に接触することを抑制することを目的とする場合を例示する。クレーンは、天井クレーンであっても、その他のクレーンであっても良く、限定されないが、本実施形態では、クレーンがレードルクレーンである場合を例示する。レードルクレーンは、製鋼工場において溶融金属(溶銑や溶鋼)を搬送するための天井クレーンである。
図1Aは、製鋼工場の設備の一例を示す平面図(Z軸方向に沿って俯瞰した図)である。なお、
図1Aでは、製鋼工場の設備の一部を示す。また、製鋼工場における設備は、
図1Aに示す設備に限定されない。なお、本実施形態では、Z軸方向が、高さ方向(地面に対し垂直な方向)である場合を例示する。
【0013】
図1Aでは、一対の走行レール11a~11bに、2つのレードルクレーン20a~120bが設置されている場合を例示する。レードルクレーン20a~20bは、取鍋31a~31e、32a~32eを搬送する。なお、本実施形態では、クレーンが搬送する物品が取鍋31a~31e、32a~32eである場合を例示するが、クレーンが搬送する物品はクレーンの用途に応じて定められるので、取鍋31a~31e、32a~32eに限定されない。取鍋31a~31e、32a~32eには、それぞれ、溶銑、溶鋼が収容される。本実施形態では、溶銑が収容される取鍋31a~31eと、溶鋼が収容される取鍋32a~32eと、が異なる形状の取鍋である場合を例示する(後述する
図2および
図3を参照)。ただし、溶銑を搬送する取鍋と、溶鋼を搬送する取鍋とは、同じ構成を有していても良い(すなわち、溶銑および溶鋼を収容する取鍋を共通化しても良い)。以下の説明では、溶銑を搬送するための取鍋を、必要に応じて溶銑鍋と称し、溶鋼を搬送するための取鍋を、必要に応じて溶鋼鍋と称する。また、溶銑鍋31a~31eおよび溶鋼鍋32a~32eを区別しない場合、これらを必要に応じて取鍋31、32と総称する。なお、レードルクレーン20a~20b、溶銑鍋31a~31e、および溶鋼鍋32a~32eの構成の一例については後述する。
【0014】
溶解炉41は、鉄スクラップを溶解して溶銑を製造する。
図1Aでは、溶解炉41で製造された溶銑が溶銑鍋31aに収容されている場合を例示するが、溶解炉41から空の溶銑鍋31a~31eが搬送されることもある。なお、溶解炉41に溶鋼鍋32a~32eが搬送されても良いが、一般に、溶鋼鍋32a~32eは溶解炉41に搬送されない。また、本実施形態では、溶解炉41で溶銑を製造する場合を例示するが、溶銑は、溶解炉41以外の設備(例えば高炉)で製造されても良い。
【0015】
転炉42は、溶銑に含まれる炭素および不純物を低減(好ましくは除去)して溶鋼を製造する。
図1Aでは、転炉42で製造された溶鋼が、溶鋼鍋32cに収容されている場合を例示する。転炉42には、溶銑が収容された溶銑鍋31a~31eが搬送され、転炉42で製造された溶鋼が溶鋼鍋32a~32eに注がれて収容される。したがって、転炉42には、溶銑が収容された溶銑鍋31a~31eおよび空の溶鋼鍋32a~32eが搬送されることもある。また、転炉42から、空の溶銑鍋31a~31eおよび空の溶鋼鍋32a~32eが搬送されることもある。
【0016】
RH(Ruhrstahl-Heraeus)真空脱ガス設備43は、溶鋼鍋32a~32e内の溶鋼にアルゴンガスを吹き付けながら、真空槽と溶鋼鍋32a~32eとの間で溶鋼を還流させることにより、溶鋼鍋32a~32e内の溶鋼の成分を調整する。
図1Aでは、RH真空脱ガス設備43で成分が調整された溶鋼が、溶鋼鍋32eに収容されている場合を例示する。RH真空脱ガス設備43から空の溶鋼鍋32a~32eが搬送されることもある。なお、RH真空脱ガス設備43に溶銑鍋31a~31eが搬送されても良いが、一般に、溶銑鍋31a~31eはRH真空脱ガス設備43に搬送されない。また、RH真空脱ガス設備43に代えて、他の精錬設備(例えば、予備精錬設備や取鍋精錬設備(LF;Ladle Furnace))が用いられても良い。また、RH真空脱ガス設備43に加えて、他の精錬設備が設置されていても良い。
【0017】
鍋予熱装置44a~44bは、空の取鍋31、32を予備加熱する。取鍋31、32は、例えば、鍋予熱装置44a~44bで予備加熱された後に使用(すなわち、溶銑および溶鋼が収容される)。
図1Aでは、鍋予熱装置44aで溶銑鍋31dが予備加熱され、鍋予熱装置44bで溶鋼鍋32aが予備加熱されていることを示す。なお、鍋予熱装置44aで溶鋼鍋32a~32eが予備加熱され、鍋予熱装置44bで溶銑鍋31a~31eが予備加熱されても良い。鍋予熱装置44a~44bは、同じ構成で実現することが可能である。
【0018】
ここで、レードルクレーン20a~20bが移動する領域の下方の空間を操業エリアOEと称することとする。台車51a~51dは、一対のレール52a~52d、52e~52h上を移動し、取鍋を搬送する。本実施形態では、台車51aが、溶解炉41と操業エリアOEとの間で溶銑鍋31a~31eを搬送する場合を例示する。また、本実施形態では、台車51bが、操業エリアOEと不図示の他の設備との間で溶銑鍋31a~31eおよび溶鋼鍋32a~32eを搬送する場合を例示する。なお、他の設備は、例えば、前述した予備精錬設備や取鍋精錬設備であっても良いし、製鋼工場のその他の設備(例えば電気炉)であっても良いし、製鋼工場以外の工場の設備であっても良い。また、本実施形態では、台車51cが、転炉42と操業エリアOEとの間で溶銑鍋31a~31eおよび溶鋼鍋32a~32eを搬送する場合を例示する。また、本実施形態では、台車51dが、RH真空脱ガス設備43と操業エリアとの間、および、操業エリアOEと不図示の他の設備との間で溶鋼鍋32a~32eを搬送する場合を例示する。なお、その他の設備は、例えば、前述した予備精錬設備や取鍋精錬設備であっても良いし、製鋼工場のその他の設備(例えば電気炉)であっても良いし、製鋼工場以外の工場の設備であっても良い。台車51a~51dは、同じ構成で実現することが可能である。また、レール52a~52d、52e~52hも、同じ構成で実現することが可能である。以下の説明では、台車51a~51dを、必要に応じて台車51と総称する。また、レール52a~52d、52e~52hを、必要に応じてレール52と総称する。
【0019】
前述したようにレードルクレーン20a~20bは、取鍋31、32を搬送する。例えば、レードルクレーン20a~20bは、取鍋31、32を台車51に置くこと、台車51に置かれた取鍋31、32を吊り上げて搬送すること、取鍋31、32を鍋置場PSに置くこと、および鍋置場PSに置かれた取鍋31、32を吊り上げて搬送すること等を行う。なお、後述するように本実施形態では、レードルクレーン20aは、主として溶銑鍋31a~31eを搬送するためのクレーンであり、後述する変換吊具90aが取り付けれた場合に限り、溶鋼鍋32a~32eを搬送することが出来る場合を例示する。また、本実施形態では、レードルクレーン20bは、主として溶鋼鍋32a~32eを搬送するためのクレーンであり、後述する変換吊具90bが取り付けられた場合に限り、溶銑鍋31a~31eを搬送することが出来る場合を例示する。以下の説明では、レードルクレーン20が取鍋31、32を置くことを、必要に応じて荷下ろしと称し、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊り上げることを、必要に応じて荷上げと称する。
【0020】
図1Bは、製鋼工場の設備のうちレードルクレーン20a~20bに関連する部分の概略構成の一例を示す正面図(X軸方向に沿って見た図)である。レードルクレーン20a20bは、当該レードルクレーン20a~20bにもともと取り付けられている吊具以外は、同じ構成で実現することが可能である。以下の説明では、レードルクレーン20a~20bを、必要に応じてレードルクレーン20と総称する。
【0021】
図1Bにおいて、レードルクレーン20は、例えば、クレーンガーダ21と、サドル22a~22bと、主トロリ23と、運転室24と、を備える。
クレーンガーダ21は、横行方向(Y軸方向)に延設され、
図1Aに示す一対の横行レール25a~25b、25c~25dを備える。
【0022】
サドル22aは、横行方向の一方側(Y軸の正の方向側)の端部に取り付けられ、
図1Bに示すように車輪26aを備える。サドル22bは、横行方向の他方側(Y軸の負の方向側)の端部に取り付けられ、
図1Bに示すように車輪26bを備える。
【0023】
図1Bに示すように、操業エリアOEにおいて、横行方向の一方側(Y軸の正の方向側)と他方側(Y軸の負の方向側)には、それぞれ、地面GDから高さ方向(Z軸方向)に延設される支柱60a、60bが設置される。なお、支柱60a、60bは、それぞれ、複数あり、複数の支柱60a、60bは、それぞれ、走行方向(X軸方向)において間隔を有した状態で設置されている。また、支柱60a、60bは、階段などを備えていても良い。支柱60a、60bの上面には、それぞれ、走行方向(X軸方向)に延設されるランウェイ10a、10bが設置される。ランウェイ10a、10bは、それぞれ、
図1Aに示す走行レール11a、11bを備える。サドル22a~22bに備わる車輪26a、26bは、それぞれ走行レール11a、11bに載せられる。クレーンガーダ21は、不図示の走行装置(制御装置)からの指示に基づいて、走行レール11a~11bに沿って走行方向(X軸方向)に移動(走行)する。不図示の走行装置は、レードルクレーン20に設置されていても良いし、レードルクレーン20の外部に設置されていても良い。
【0024】
主トロリ23は、車輪231a~231bを備える。車輪231a~231bは、
図1Aに示す横行レール25a~25b、25c~25dに載せられる。なお、表記の都合上、図示を省略するが、主トロリ23は、横行レール25c~25dに載せられる車輪も備える(
図1Bにおいて横行レール25c~25dに載せられる車輪は、車輪231a~231bの後側(X軸の正の方向側)にあり隠れている)。主トロリ23は、例えば、不図示の横行装置(制御装置)からの指示に基づいて、クレーンガーダ21上で横行方向(Y軸方向)に横行する。不図示の横行装置は、レードルクレーン20に設置されていても良いし、レードルクレーン20の外部に設置されていても良い。
【0025】
図1Bにおいて、主トロリ23は、主巻装置232と、索条233と、吊具234と、を備える。主巻装置232は、索条233の巻き上げおよび巻き下げを行うための装置である。主巻装置232は、レードルクレーン20に備わる公知のものを利用すれば良い。本実施形態では、主巻装置232が、吊荷から受ける荷重を測定する吊荷センサ71を備える場合を例示する。吊荷センサ71は、例えば、吊荷の吊り上げによって荷重がかかる部分(例えば、索条233の方向を案内する不図示の滑車の回転軸)に取り付けられたロードセルを有する。本実施形態では、吊荷センサ71の検知信号であるクレーン荷重信号が、クレーン側処理装置1410に送信される場合を例示する。そのために、吊荷センサ71には不図示の通信装置が接続されている。通信装置は、クレーン荷重信号を無線通信で送信しても有線通信で送信しても良い。また、通信装置は、ネットワーク通信を行っても良い。
【0026】
また、索条233の基端は、主巻装置232(例えば、回転軸にモータが取り付けられた不図示のドラム)に取り付けられている。索条233の先端には吊具234が取り付けられている。索条233は、吊荷(本実施形態では、取鍋31、32)の搬送に耐えられる強度を有していればどのようなものであっても良い。例えば、索条233は、ワイヤーロープであっても、チェーンであっても、その他のものであっても良い。吊具234は、レードルクレーン20で搬送中の取鍋31、32を保持するためのものであり、フック等とも称される。
【0027】
前述したように本実施形態では、溶銑鍋31a~31eの形状と、溶鋼鍋32a~32eの形状と、が異なる場合を例示する。このため、本実施形態では、溶銑鍋31a~31eを搬送するための吊具の形状と、溶鋼鍋32a~32eを搬送するための吊具の形状と、が異なる場合を例示する(後述する
図4および
図5を参照)。本実施形態では、溶銑鍋31a~31eが同じ構成を有する場合を例示し、溶鋼鍋32a~32eが同じ構成を有する場合を例示する。したがって、以下の説明では、溶銑鍋31a~31eを、必要に応じて溶銑鍋31と総称すると共に、溶鋼鍋32a~32eを、必要に応じて溶鋼鍋32と総称する。
【0028】
本実施形態では、レードルクレーン20aの索条233の先端には、溶銑鍋31を搬送するための吊具234が取り付けられており、レードルクレーン20bの索条233の先端には、溶鋼鍋32を搬送するための吊具234が取り付けられている場合を例示する。以下の説明では、索条233の先端に取り付けられている吊具を、必要に応じてオリジナル吊具と称する。また、レードルクレーン20aを、必要に応じて溶銑用レードルクレーン20aと称し、レードルクレーン20bを、必要に応じて溶鋼用レードルクレーン20bと称する。
【0029】
図2は、溶銑鍋31の構成の一例を示す図である。
図3は、溶鋼鍋32の構成の一例を示す図である。
図2(a)および
図3(a)は正面図であり、
図2(b)および
図3(b)は左側面図であり、
図2(c)および
図3(c)は平面図である。
【0030】
図2において、溶銑鍋31は、溶銑が収容される本体部311と、トラニオン部312a~312bと、を備える。
図2では、本体部311の形状が有底円筒状である場合を例示する。また、
図2では、トラニオン部312a~312bが、同じ構成を有し、溶銑鍋31の右側面図が、
図2(b)に示す左側面図と同じになる場合を例示する(ただし符号は異なる)。
【0031】
図3において、溶鋼鍋32は、溶鋼が収容される本体部321と、トラニオン部322a~322bと、を備える。
図3では、本体部321の形状が有底円筒状である場合を例示する。また、
図3では、トラニオン部322a~322bが、同じ構成を有し、溶鋼鍋32の右側面図が、
図3(b)に示す左側面図と同じになる場合を例示する(ただし符号は異なる)。
【0032】
図2において、溶銑鍋31のトラニオン部312a、312bは、被保持部3121a、3121bと、支持部3122a、3122bと、を有する。
図2(b)に示す例では、被保持部3121a~3121bの平面形状は、概ねアラビア数字の6の形状である。支持部3122a、3122bは、円筒に対し、溶銑鍋31の本体部311と対向する端面の形状が、本体部311の側面の形状に合わせて湾曲した形状を有する。支持部3122a、3122bは、当該端面が溶銑鍋31側を向いた状態で、被保持部3121a、3121bにおける前述の6の形状により形成される貫通穴に通され、支持部3122a~3122bの当該端面が、本体部311の側面に接続される。
【0033】
図3において、溶鋼鍋32のトラニオン部322a、322bは、被保持部3221a、3221bを有する。被保持部3221a~3221bは、円柱に対し、溶鋼鍋32の本体部321と対向する端面の形状が、本体部321の側面の形状に合わせて湾曲した形状を有する。被保持部3221a~3221bの当該端面が、本体部321の側面に接続される。
図2および
図3に示すように、溶銑鍋31と溶鋼鍋32とでは、トラニオン部312a~312b、322a~322bの形状(特に、被保持部3121a~3121b、3221a~3222bの形状)が異なる場合を例示する。
【0034】
図4は、溶銑鍋31を搬送するためのオリジナル吊具234aの構成の一例を示す図である。オリジナル吊具234aは、溶銑用レードルクレーン20aが備える吊具234である。
図4(a)は正面図であり、
図4(b)は左側面図であり、
図4(c)は平面図である。
図5は、オリジナル吊具234aにより溶銑鍋31が吊り上げられている様子の一例を示す図である。
図5(a)は正面図であり、
図5(b)は左側面図であり、
図5(c)は平面図である。
【0035】
図4において、オリジナル吊具234aは、天板部2341と、一対の左側板部2342a~2342bと、一対の右側板部2343a~2343bと、保持部2344a~2344bと、を有する。
【0036】
天板部2341は、例えば、直方体の形状を有し、その上面の中心に索条233が接続される。
左側板部2342a~2342bは、例えば、直方体に対し、右側板部2343a~2343bと対向する方向(X軸方向)に貫通する貫通穴を有する形状を有する。左側板部2342a~2342bは、その長手方向の一端面(Z軸の正の方向側の端面)が、索条233よりも一端側(X軸の負の方向側)の位置において、天板部2341の下面に接続される。その際、左側板部2342a~24342bは、X軸方向において相互に間隔を有するようにする。また、左側板部2342a~2342bに形成されている前述の貫通穴が下側(Z軸の負の方向側)に位置するようにする。
【0037】
右側板部2343a~2343bは、例えば、直方体に対し、左側板部2342a~2342bと対向する方向(X軸方向)に貫通する貫通穴を有する形状を有する。右側板部2343a~24343bは、その長手方向の一端面(Z軸の正の方向側の端面)が、索条233よりも他端側(X軸の正の方向側)の位置において、天板部2341の下面に接続される。その際、右側板部2343a~2343bは、X軸方向において相互に間隔を有するようにする。また、右側板部2343a~2343bに形成されている前述の貫通穴が下側(Z軸の負の方向側)に位置するようにする。
【0038】
保持部2344a~2344bは、例えば、円柱形状を有する。保持部2344a、2344bは、それぞれ、左側板部2342a~2342bの前述の貫通穴、右側板部2343a~2343bの前述の貫通穴に通された状態で左側板部2342a~2342b、右側板部2343a~2343bに接続される。
【0039】
図4では、左側板部2342a~2342bと、右側板部2343a~2343bと、が同じ構成を有すると共に、保持部2344a~2344bが同じ構成を有する場合を例示する。この場合、オリジナル吊具234aの右側面図は、
図4(b)に示す左側面図と同じになる(ただし符号は異なる)。
【0040】
図5(a)および
図5(b)に示すように、溶銑鍋31をオリジナル吊具234aで保持(吊止)する際には、トラニオン部312a~312bの被保持部3121a、3121bを、それぞれ、オリジナル吊具234aの保持部2344a、2344bの領域のうち、左側板部2342a~2342b、右側板部2343a~2343bの間の領域に掛止する。
図4に、オリジナル吊具234aの保持位置HP1、HP2(オリジナル吊具234aが溶銑鍋31を保持する位置として算出する位置)を例示する。オリジナル吊具234aの保持位置HP1、HP2については後述する。
【0041】
図6は、溶鋼鍋32を搬送するためのオリジナル吊具234bの構成の一例を示す図である。オリジナル吊具234bは、溶鋼用レードルクレーン20bが備える吊具234である。
図6(a)は正面図であり、
図6(b)は左側面図であり、
図6(c)は平面図である。
図7は、オリジナル吊具234bにより溶鋼鍋32が吊り上げられている様子の一例を示す図である。
図7(a)は正面図であり、
図7(b)は左側面図であり、
図7(c)は平面図である。
【0042】
図6において、オリジナル吊具234bは、天板部2345と、保持部2346a~2346bと、を有する。
天板部2345は、例えば、直方体の形状を有し、その上面の中心に索条233が接続される。
図6(b)に示す例では、保持部2346a~2346bの平面形状は、概ねアラビア数字の7を逆さまにした形状であり、当該逆さまにした7の下端面が、索条233の下面に接続される(なお、7の下端面は7を逆さまにすると上側に位置し、Z軸の正の方向側の端面となる)。その際、保持部2346aが、索条233よりも一端側(X軸の負の方向側)の位置になり、保持部2346bが索条233よりも他端側(X軸の正の方向側)の位置になるようにする。
【0043】
図7(a)および
図7(b)に示すように、溶鋼鍋32をオリジナル吊具234bで保持(吊止)する際には、トラニオン部322a~322bの被保持部3221a、3221bを、それぞれ、オリジナル吊具234bの保持部2346a、2346bに掛止する。
図6に、オリジナル吊具234bの保持位置HP3、HP4(オリジナル吊具234bが溶鋼鍋32を保持する位置として算出する位置)を例示する。オリジナル吊具234bの保持位置HP3、HP4については後述する。なお、以下の説明では、オリジナル吊具234a~234bを、必要に応じてオリジナル吊具234と総称する。
【0044】
図1Bの説明に戻り、主巻装置232には、距離センサ72が設置される。距離センサ72は、距離センサ72の設置位置から、吊具234(オリジナル吊具234)までの距離を測定するセンサである。距離センサ72は、例えば、レーザ距離計を有する。本実施形態では、距離センサ72が、距離センサ72の設置位置から、吊具234までの高さ方向(Z軸方向)の距離を測定する場合を例示する。この場合、吊具234の高さ方向の位置は、距離センサ72の設置位置の高さ方向(Z軸方向)の位置と、距離センサ72の設置位置から吊具234までの高さ方向(Z軸方向)の距離と、に基づいて算出される。本実施形態では、距離センサ72の設置位置の高さ方向(Z軸方向)の位置が既知であり、変化しない場合を例示する。
【0045】
なお、本実施形態では、吊具234の位置が、吊具234の所定の代表位置で定められる場合を例示する。本実施形態では、
図4および
図6に示すように、オリジナル吊具234a、234bが有する天板部2341、2345の上面の索条233との接続位置が、オリジナル吊具234a、234bの代表位置RP1、RP2である場合を例示する。この場合、オリジナル吊具234の保持位置HP1~HP4(の座標)は、例えば、オリジナル吊具234の代表位置RP1~RP2から、オリジナル吊具234の保持位置HP1~HP4までのX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向における距離と、オリジナル吊具234の代表位置RP1~RP2(の座標)と、に基づいて算出される。オリジナル吊具234の代表位置RP1~RP2から、オリジナル吊具234の保持位置HP1~HP4までのX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向における距離は、例えば、オリジナル吊具234の形状および大きさに基づいて算出される。オリジナル吊具234を含め、本実施形態で説明する形状および大きさは、例えば、輪郭線の長さおよび向きにより特定される。また、形状および大きさは、設計図面から特定されても良いし、不図示のセンサで事前に測定されても良い。
【0046】
なお、オリジナル吊具234aの保持位置(オリジナル吊具234aが溶銑鍋31を保持する位置として算出する位置)は、
図4に示すHP1、HP2の位置に限定されない。例えば、オリジナル吊具234aの保持位置は、HP1、HP2の中間の位置であっても良い。この場合、オリジナル吊具234aの保持位置は、1つになる。本実施形態では、走行方向(X軸方向)および横行方向(Y軸方向)の位置が、レードルクレーン20の走行方向の位置および主トロリ23の横行方向の位置で定まる場合を例示する。したがって、荷上げおよび荷下ろしを行う際には、オリジナル吊具234aが溶銑鍋31を保持する位置として、少なくとも高さ方向の位置(Z軸方向の位置)が算出されれば良い。よって、オリジナル吊具234aが溶銑鍋31を保持する位置として算出する位置は、高さ方向の位置(Z軸方向の位置)が少なくとも算出されていれば良い。以上のことは、
図6を参照しながら後述するオリジナル吊具234bの保持位置H3、H4、
図9Aを参照しながら後述する溶鋼鍋用変換吊具90aの保持位置HP5、HP6、および
図11Aを参照しながら後述する溶銑鍋用変換吊具90bの保持位置HP7、HP8においても同じである。
【0047】
また、本実施形態では、距離センサ72の検知信号である高さ位置検知信号が、クレーン側処理装置1410に送信される場合を例示する。そのために、距離センサ72には不図示の通信装置が接続されている。通信装置は、高さ位置検知信号を無線通信で送信しても有線通信で送信しても良い。また、通信装置は、ネットワーク通信を行っても良い。
また、吊具234の高さ方向の位置を検知することが出来れば、必ずしも距離センサ72を用いる必要はない。例えば、パルスジェネレータやシンクロ発振器および受信器を用いても良い。これらを使用する場合、索条233の巻き上げおよび巻き下げを行うためのモータの回転数に基づいて、吊具234の高さ方向の位置が検知される。
【0048】
図1Bにおいて、クレーンガーダ21の底部には、操業エリアOEの少なくとも一部の領域が撮影範囲となるようにカメラ73aが設置されている。カメラ73aは、レードルクレーン20の走行方向(X軸方向)への移動(走行)に伴い走行方向に移動する。また、カメラ73aは、主トロリ23が横行方向(Y軸方向)に移動(横行)した際に、横行方向に移動しても良い。また、ランウェイ10a、10bの底面にも、それぞれ、操業エリアOEの少なくとも一部の領域が撮影範囲となるようにカメラ73b、73cが設置されている。なお、カメラ73a~73c以外にも、操業エリアOEの少なくとも一部の領域を撮影範囲とするカメラが設置されていても良い。また、撮影エリアOE内の可及的に広い領域(好ましくは全ての領域)が1つまたは複数のカメラにより撮影されるようにしていれば、カメラの設置位置および数は、
図1Bに例示する位置および数に限定されない。また、カメラ73a~73cは、動画像を撮影しても良いし、静止画像を撮影しても良い。静止画像を撮影する場合、カメラ73a~73cは、同一の撮影範囲を複数のタイミングで撮影する。本実施形態では、カメラ73a~73cの撮影画像が地上側処理装置1420に送信される場合を例示する(
図1Aにおいて地上側処理装置1420の傍らに示す両矢印線は、地上側処理装置1420が外部と通信することを表す)。そのために、カメラ73a~73cにはそれぞれ不図示の通信装置が接続されている。通信装置は、クレーン荷重信号を無線通信で送信しても有線通信で送信しても良い。また、通信装置は、ネットワーク通信を行っても良い。カメラ73a~73cは、同じ構成で実現することが可能である。以下の説明では、カメラ73a~73cを、必要に応じてカメラ73と総称する。
【0049】
また、
図1Bにおいて、走行方向検知センサ74は、レードルクレーン20の走行方向(X軸方向)の位置を検知するセンサである。本実施形態では、走行方向検知センサ74がパルスジェネレータを備える場合を例示する。パルスジェネレータは、サドル22aに備わる車輪26aが1回転する度にパルス信号を発生する。走行方向検知センサ74は、パルス信号の計数値と、車輪26aの回転方向と、に基づいて、レードルクレーン20の走行方向の位置を検知する。具体的に、走行方向検知センサ74は、パルスジェネレータから発生するパルス信号の数(車輪26aの回転回数)と、車輪26aの直径と、に基づいて、走行方向の基準位置X0(
図1Aに示すX0a、X0bも参照)からの、X軸方向(走行方向)におけるレードルクレーン20の移動距離を算出すると共に、車輪26aの回転方向に基づいてレードルクレーン20の移動方向を算出することにより、レードルクレーン20の走行方向の位置を検知する。本実施形態では、走行方向の基準位置X0aが、溶銑用レードルクレーン20aに対する基準位置であり、走行方向の基準位置X0bが、溶鋼用レードルクレーン20bに対する基準位置である場合を例示する。なお、溶銑用レードルクレーン20aおよび溶鋼用レードルクレーン20bの双方が通過する位置を走行方向の基準位置X0とする場合には、溶銑用レードルクレーン20aに対する基準位置と、溶鋼用レードルクレーン20bに対する基準位置とを、同じにしても良い。また、本実施形態では、走行方向検知センサ74の検知信号である走行位置検知信号が、クレーン側処理装置1410に送信される場合を例示する。そのために、走行方向検知センサ74には不図示の通信装置が接続されている。通信装置は、走行位置検知信号を無線通信で送信しても有線通信で送信しても良い。また、通信装置は、ネットワーク通信を行っても良い。
【0050】
なお、レードルクレーン20の走行方向(X軸方向)の位置を検知することが出来れば、走行方向検知センサ74は、パルスジェネレータを備えるセンサに限定されない。例えば、走行方向検知センサ74は、3軸加速度センサを備えていても良い。この場合、走行方向検知センサ74は、3軸加速度センサで検知される加速度のX軸成分の値を時間で2階積分にすることにより、走行方向の基準位置X0からの、X軸方向(走行方向)におけるレードルクレーン20の移動距離を算出する。また、走行方向検知センサ74は、加速度センサに加えて電子コンパスを備え、電子コンパスによりレードルクレーン20の移動方向が特定されるようにしていても良い。また、走行方向検知センサ74は、レードルクレーン20に設置されたGPS(Global Positioning System)を備えていても良い。
【0051】
横行方向検知センサ75は、主トロリ23の横行方向(Y軸方向)の位置を検知するセンサである。横行方向検知センサ75は、例えば、走行方向検知センサ74と同様の構成のもので実現することが出来る。横行方向検知センサ75がパルスジェネレータと、レードルクレーン20の移動方向が特定する電子コンパスと、を備える場合、横行方向検知センサ75は、パルスジェネレータから発生するパルス信号の数(車輪231aの回転回数)と、車輪231aの直径と、主トロリ23の車輪231a~231bの回転方向と、に基づいて、横行方向の基準位置Y0(
図1Aに示すY0a、Y0bも参照)からの、Y軸方向(横行方向)における主トロリ23の移動距離と、主トロリ23の移動方向と、を算出することにより、主トロリ23の横行方向の位置を検知する。本実施形態では、横行方向検知センサ75の検知信号である横行位置検知信号が、クレーン側処理装置1410に送信される場合を例示する。そのために、横行方向検知センサ75には不図示の通信装置が接続されている。通信装置は、横行位置検知信号を無線通信で送信しても有線通信で送信しても良い。また、通信装置は、ネットワーク通信を行っても良い。
【0052】
また、
図1Aにおいて、横行基準検知センサ76a~76bは、主トロリ23が横行方向の基準位置Y0を通過したか否かを検知するセンサである。横行基準検知センサ76aは、溶銑用レードルクレーン20aに備わる主トロリ23が横行方向の基準位置Y0aを通過したか否かを判定する。また、横行基準検知センサ76bは、溶鋼用レードルクレーン20bに備わる主トロリ23が横行方向の基準位置Y0bを通過したか否かを判定する。横行基準検知センサ76a~76bは、同じ構成で実現することが可能である。以下の説明では、横行基準検知センサ76a~76bを、必要に応じて横行基準検知センサ76と総称する。また、本実施形態では、主トロリ23の横行方向(Y軸方向)の位置が、後述する横行基準検知センサ76a~76bで検知される位置で特定される場合を例示する。ただし、主トロリ23の横行方向(Y軸方向)の位置は、主トロリ23のどの位置で特定されても良い。
【0053】
図1Bにおいて、横行基準検知センサ76は、例えば、発光部と受光部とを備える。発光部は、例えば、主トロリ23の車輪231aまたは231bの通過領域に向けて光を出力する。受光部は、例えば、発光部から出力された光の反射光を入力する位置に設置される。この場合、横行基準検知センサ76は、受光部が反射光を入力すると、主トロリ23が横行方向の基準位置Y0を通過したことを検知する。なお、横行基準検知センサ76は、主トロリ23が横行方向の基準位置Y0を通過したか否かを検知することが出来れば、以上の構成のものに限定されない。例えば、受光部は、主トロリ23の通過領域を介して発光部と対向する位置に設置されても良い。この場合、横行基準検知センサ76は、受光部が発光部から出力された光を入力しなくなると、主トロリ23が横行方向の基準位置Y0を通過したと検知する。また、横行基準検知センサ76は、例えば、近接センサを備えていても良い。また、横行基準検知センサ76は、主トロリ23に設定されたGPSを備えていても良い。また、横行基準検知センサ76は、リミットスイッチ等の接触式のセンサであっても良い。本実施形態では、横行基準検知センサ76の検知信号である横行基準位置信号が、クレーン側処理装置1410に送信される場合を例示する。そのために、横行基準検知センサ76には不図示の通信装置が接続されている。通信装置は、走行位置検知信号を無線通信で送信しても有線通信で送信しても良い。また、通信装置は、ネットワーク通信を行っても良い。
【0054】
また、
図1Bにおいて、クレーンガーダ21の底部には、運転室24が設置される。運転室24は、レードルクレーン20の走行方向(X軸方向)への移動(走行)に伴い走行方向に移動する。なお、運転室24は、主トロリ23が横行方向(Y軸方向)に移動(横行)した際に、横行方向に移動しても良いし、移動しなくても良い。
【0055】
また、
図1Bにおいて、運転室24の内部には、レードルクレーン20に対する操作をオペレータが行うための各種の装置が設置される。以下の説明では、レードルクレーン20の操作を行うオペレータを、必要に応じてクレーンオペレータとも称する。
図1Bでは、クレーン側処理装置1410が運転室24の内部に設置される場合を例示する。なお、クレーン側処理装置1410は、運転室24の外側からは見えないが、説明および表記の都合上、
図1Bでは、クレーン側処理装置1410を破線で示す。また、
図1Bにおいて、クレーン側処理装置1410の傍らに示す両矢印線は、クレーン側処理装置1410が外部と通信することを表す。
【0056】
なお、溶銑鍋31a~31e、溶鋼鍋32a~32e、レードルクレーン20、およびレードルクレーン20を動作させるための装置の構成自体は、公知の技術で実現することが出来、
図1Aおよび
図1Bに示す構成のものに限定しない。例えば、レードルクレーン20には、以上の装置の他、公知のレードルクレーンに備わる装置を備えていても良い。例えば、レードルクレーン20は、レードルクレーンに保持(吊止)された状態で取鍋を傾ける動作を行うための装置を備えていても良い。
【0057】
図1Aの説明に戻り、走行基準検知センサ77a、77bは、それぞれ、溶銑用レードルクレーン20a、溶鋼用レードルクレーン20bが、走行方向の基準位置X0a、X0bを通過したか否かを検知するセンサである。走行基準検知センサ77a、77bは、例えば、横行基準検知センサ76と同様の構成のもので実現することが出来る。本実施形態では、走行基準検知センサ77a~77bの検知信号である走行基準位置信号が、クレーン側処理装置1410に送信される場合を例示する。そのために、走行基準検知センサ77a~77bには不図示の通信装置が接続されている。通信装置は、走行位置検知信号を無線通信で送信しても有線通信で送信しても良い。また、通信装置は、ネットワーク通信を行っても良い。走行基準検知センサ77a~77bは、同じ構成で実現することが可能である。以下の説明では、走行基準検知センサ77a~77bを、必要に応じて走行基準検知センサ77と総称し、走行方向の基準位置X0a、X0bを、必要に応じて走行方向の基準位置X0と総称する(
図1Bでは、これらの符号77、X0を付している)。本実施形態では、レードルクレーン20の走行方向(X軸方向)の位置が、後述する走行基準検知センサ77a~77bで検知される位置で特定される場合を例示する。ただし、レードルクレーン20の走行方向(X軸方向)の位置は、レードルクレーン20のどの位置で特定されても良い。また、溶銑用レードルクレーン20a、溶鋼用レードルクレーン20bが、走行基準検知センサ77a、77bを備えていても良い。この場合、走行方向の基準位置X0a、X0bから出力される光を反射する反射板を走行方向の基準位置X0a、X0bに設置すれば良い。このようにすれば、走行基準検知センサ77a~77bの検知信号である走行基準位置信号を、クレーン側処理装置1410に送信する必要がなくなる。
【0058】
図2~
図7を参照しながら説明したように、本実施形態では、溶銑用レードルクレーン20aに備わる吊具234aが、溶銑鍋31a~31eを保持(吊止)することは出来るが、溶鋼鍋32a~32eを保持することは出来ない場合を例示する。また、本実施形態では、溶鋼用レードルクレーン20bに備わる吊具234bが、溶鋼鍋32a~32eを保持(吊止)することは出来るが、溶銑鍋31a~31eを保持することは出来ない場合を例示する。また、
図1Aを参照しながら説明したように、台車51b~51cでは、溶銑鍋31a~31eおよび溶鋼鍋32a~32eのいずれもが搬送され得る。また、鍋予熱装置44a~44bでは、溶銑鍋31a~31eおよび溶鋼鍋32a~32eのいずれもが予備加熱され得る。したがって、溶銑用レードルクレーン20aでも溶鋼鍋32a~32eを搬送することが出来るようにするのが好ましい。同様に、レードルクレーン20dでも溶銑鍋31a~31eを搬送することが出来るようにするのが好ましい。
【0059】
そこで、本実施形態では、溶銑用レードルクレーン20aに備わるオリジナル吊具234aに、溶鋼鍋32a~32eを保持することが出来る変換吊具を取り付けることが可能である場合を例示する。同様に本実施形態では、溶鋼用レードルクレーン20bに備わるオリジナル吊具234bに、溶銑鍋31a~31eを保持することが出来る変換吊具を取り付けることが可能である場合を例示する。以下の説明では、溶鋼鍋32a~32eを保持することが出来る変換吊具を、必要に応じて溶鋼鍋用変換吊具90と称する。また、溶銑鍋31a~31eを保持することが出来る変換吊具を、必要に応じて溶銑鍋用変換吊具と称する。また、溶鋼鍋用変換吊具および溶銑鍋用変換吊具を区別しない場合、これらを必要に応じて変換吊具と総称する。
【0060】
図8は、溶鋼鍋用変換吊具90の第1の例である溶鋼鍋用変換吊具90aの構成の一例を示す図である。
図8(a)は正面図であり、
図8(b)は左側面図であり、
図8(c)は平面図である。
図9Aは、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに溶鋼鍋用変換吊具90aが取り付けられた状態の一例を示す図である。
図9Bは、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに溶鋼鍋用変換吊具90aが取り付けられ、溶鋼鍋用変換吊具90aにより溶鋼鍋32が吊り上げられている様子の一例を示す図である。
図9A(a)および
図9B(a)は正面図であり、
図9A(b)および
図9B(b)は左側面図であり、
図9A(c)および
図9B(c)は平面図である。
【0061】
図8において、溶鋼鍋用変換吊具90aは、例えば、一対の保持部91a~91bを有する。
図8に示す例では、保持部91a~91bの平面形状は、概ね、回転対称性を有するように2つのアラビア数字の7の下端同士を組み合わせた形状である。また、保持部91a~91bの長手方向(Z軸方向)の端の凹部は、オリジナル吊具234bが備える保持部2346a~2346bの長手方向(Z軸の負の方向)の端の凹部(
図6(b)を参照)と同じ構成である。
図8では、保持部91a~91bが、同じ構成を有し、溶鋼鍋用変換吊具90aの右側面図が、
図8(b)に示す左側面図と同じになる場合を例示する(ただし符号は異なる)。
【0062】
図9A(a)および
図9A(b)に示すように、溶鋼鍋用変換吊具90aをオリジナル吊具234aに取り付ける際には、オリジナル吊具234aの保持部2344a、2344bの領域のうち、左側板部2342a~2342b、右側板部2343a~2343bの間の領域に、保持部91a、91bの長手方向の一端側(Z軸の正の方向側)の凹部を掛止する。保持部91a、91bの長手方向の他端側(Z軸の負の方向側)の凹部は、オリジナル吊具234bが備える保持部2346a~2346bの長手方向(Z軸の負の方向)の端の凹部と同じ構成を有する。したがって、
図9B(a)および
図9B(b)に示すように、トラニオン部322a~322bの被保持部3221a、3221bを、それぞれ、保持部91a、91bに掛止することが出来る。
図9A(a)および
図9A(b)に、溶鋼鍋用変換吊具90aの保持位置HP5、HP6(溶鋼鍋用変換吊具90aが溶鋼鍋32を保持する位置として算出する位置)を例示する。また、
図9A(a)および
図9(b)には、
図4に示した、オリジナル吊具234aの保持位置HP1、HP2も併せて示す。
図5および
図9A(a)を比較すれば明らかなように、オリジナル吊具234aに溶鋼鍋用変換吊具90aが取り付けられている場合と、取り付けられていない場合とで、取鍋31、32を保持(吊止)する位置の高さ方向(Z軸方向)の位置が変わる(溶鋼鍋用変換吊具90aの保持位置HP5、HP6は、オリジナル吊具234aの保持位置HP1、HP2よりも下方になる)。
【0063】
図10は、溶鋼鍋用変換吊具90の第2の例である溶銑鍋用変換吊具90bの構成の一例を示す図である。
図10(a)は正面図であり、
図10(b)は左側面図であり、
図10(c)は平面図である。
図11Aは、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234bに溶銑鍋用変換吊具90bが取り付けられた状態の一例を示す図である。
図11Bは、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234bに溶銑鍋用変換吊具90bが取り付けられ、溶銑鍋用変換吊具90bにより溶銑鍋31が吊り上げられている様子の一例を示す図である。
図11A(a)および
図11B(a)は正面図であり、
図11A(b)および
図11B(b)は左側面図であり、
図11A(c)および
図11B(c)は平面図である。
【0064】
図10において、溶銑鍋用変換吊具90bは、例えば、一対の左側板部92a~92bと、一対の右側板部93a~93bと、保持部94a~94bと、被保持部95a~95bと、を有する。
【0065】
図10に示す例では、左側板部92a~92bは、オリジナル吊具234bが有する左側板部2342a~2342bに対し、右側板部93a~93bと対向する方向(X軸方向)に貫通する貫通穴が1つ追加された形状を有し、その長手方向(Z軸方向)に2つの貫通穴を有する。
【0066】
右側板部93a~93bは、例えば、オリジナル吊具234bが有する右側板部2343a~2343bに対し、左側板部92a~92bと対向する方向(X軸方向)に貫通する貫通穴が1つ追加された形状を有し、その長手方向(Z軸方向)に2つの貫通穴を有する。
【0067】
保持部94a~94bは、例えば、オリジナル吊具234bが有する保持部2344a~2344bと同じ構成を有する。保持部94aは、左側板部92a~92bに形成される2つの貫通穴のうち、下側(Z軸の負の方向側)に形成されている貫通穴に通された状態で左側板部92a~92bに接続される。同様に、保持部94bは、右側板部93a~93bに形成される2つの貫通穴のうち、下側(Z軸の負の方向側)に形成されている貫通穴に通された状態で右側板部93a~93bに接続される。
【0068】
被保持部95a~95bは、円柱形状を有し、当該円柱の直径は、溶鋼鍋32が有する被保持部3221a~3221bの(円柱形状部分の)直径と同じである。被保持部95aは、左側板部92a~92bに形成される2つの貫通穴のうち、上側(Z軸の正の方向側)に形成された貫通穴(すなわち、保持部94aが通されていない方の貫通穴)に通された状態で左側板部92a~92bに接続される。同様に、被保持部95bは、右側板部93a~93bに形成される2つの貫通穴のうち、上側(Z軸の正の方向側)に形成された貫通穴(すなわち、保持部94bが通されていない方の貫通穴)に通された状態で右側板部93a~93bに接続される。
【0069】
図11A(a)および
図11A(b)に示すように、溶銑鍋用変換吊具90bをオリジナル吊具234bに取り付ける際には、溶銑鍋用変換吊具90bの被保持部95a、95bの領域のうち、左側板部92a~92b、93a~93bの間の領域を、それぞれ、オリジナル吊具234bの保持部2346a、2346bに掛止する。保持部94a~94bは、オリジナル吊具234bが有する保持部2344a~2344bと同じ構成を有する。したがって、
図11B(a)および
図11B(b)に示すように、トラニオン部312a~312bの被保持部3121a、3121bを、それぞれ、保持部94a、94bに掛止することが出来る。
図11A(a)および
図11A(b)に、溶銑鍋用変換吊具90bの保持位置HP7、HP8(溶銑鍋用変換吊具90bが溶銑鍋31を保持する位置として算出する位置)を例示する。また、
図11A(a)および
図11A(b)には、
図6に示した、オリジナル吊具234bの保持位置HP3、HP4も併せて示す。
図7および
図11A(a)を比較すれば明らかなように、オリジナル吊具234bに溶銑鍋用変換吊具90bが取り付けられている場合と、取り付けられていない場合とで、取鍋31、32を保持(吊止)する位置の高さ方向(Z軸方向)の位置が変わる(溶銑鍋用変換吊具90bの保持位置HP7、HP8は、オリジナル吊具234bの保持位置HP3、HP4よりも下方になる)。
【0070】
前述したように本実施形態では、オリジナル吊具234の代表位置RP1~RP2で、オリジナル吊具234の位置が特定される場合を例示する。この場合、変換吊具90の保持位置HP5~HP8の座標は、例えば、オリジナル吊具234の代表位置RP1~RP2から、変換吊具90の保持位置HP5~HP8までのX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向における距離と、オリジナル吊具234の代表位置RP1~RP2の座標と、に基づいて算出される。オリジナル吊具234の代表位置RP1~RP2から、変換吊具90の保持位置HP5~HP8までのX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向における距離は、例えば、オリジナル吊具234および変換吊具90の形状および大きさに基づいて算出される。
【0071】
図1Aの説明に戻り、本実施形態では、
図1Aに示す保管具81a、81bに、溶鋼鍋用変換吊具90a、溶銑鍋用変換吊具90bがそれぞれ保管される場合を例示する。保管具81a~81bは、置台82a~82bに置かれている。
図12は、保管具81aおよび置台82aの構成の一例を示す図である。保管具81aは、溶鋼鍋用変換吊具90aを保管する。本実施形態では、保管具81aが、溶鋼鍋用変換吊具90aを保管することが出来るが、溶銑鍋用変換吊具90bを保管することが出来ない場合を例示する。
図12では、保管具81aが、直方体に対し、溶鋼鍋用変換吊具90a)を入れる穴811a~811bが形成された構成を有する場合を例示する。このようにする場合、溶鋼鍋用変換吊具90aを穴811a~811bに入れることは出来るが、溶銑鍋用変換吊具90bを穴811a~811bに入れることが出来ないように、穴811a~811bの形状および大きさが調整される。
【0072】
また、変換吊具検知センサ78aは、保管具81aで溶鋼鍋用変換吊具90aが保管されているか否かを検知するセンサである。変換吊具検知センサ78aは、例えば、保管具81aから受ける荷重を測定する荷重センサを備えていても良い。この場合、変換吊具検知センサ78aは、保管具81aから受ける荷重が閾値を上回る場合に、保管具81aで溶鋼鍋用変換吊具90aが保管されていること検知する。変換吊具検知センサ78aは、保管具81aで溶鋼鍋用変換吊具90aが保管されているか否かを検知することが出来れば、荷重を測定するセンサに限定されない。例えば、変換吊具検知センサ78aは、近接センサを備えていても良い。
【0073】
図13は、保管具81bおよび置台82bの構成の一例を示す図である。保管具81bは、溶銑鍋用変換吊具90bを保管する。本実施形態では、保管具81bが、溶銑鍋用変換吊具90bを保管することが出来るが、溶鋼鍋用変換吊具90aを保管することが出来ない構成を有する場合を例示する。
図13では、保管具81bが、直方体に対し、溶銑鍋用変換吊具90bを入れる穴811c~811dが形成された構成を有する場合を例示する。このようにする場合、溶銑鍋用変換吊具90bを穴811c~811dに入れることは出来るが、溶鋼鍋用変換吊具90aを穴811c~811dに入れることが出来ないように、穴811c~811dの形状および大きさが調整される。
【0074】
また、変換吊具検知センサ78bは、保管具81bで溶銑鍋用変換吊具90bが保管されているか否かを検知するセンサである。変換吊具検知センサ78bは、例えば、変換吊具検知センサ78aと同じ構成のもので実現することが出来る。
【0075】
以上のように本実施形態では、保管具81a、81bが、溶鋼鍋用変換吊具90aおよび溶銑鍋用変換吊具90bの一方のみを保管することが出来るようにする。したがって、変換吊具検知センサ78a~78bの検知信号により、溶鋼鍋用変換吊具90aおよび溶銑鍋用変換吊具90bのいずれが使用されているのかを特定することが出来る。
【0076】
本実施形態では、変換吊具検知センサ78aの検知信号である溶鋼鍋用変換吊具検知信号が、溶銑用レードルクレーン20aに設置されるクレーン側処理装置1410に送信される場合を例示する。同様に本実施形態では、変換吊具検知センサ78bの検知信号である溶銑鍋用変換吊具検知信号が、溶鋼用レードルクレーン20bに設置されるクレーン側処理装置1410に送信される場合を例示する。そのために、変換吊具検知センサ78a~78bにはそれぞれ不図示の通信装置が接続されている。通信装置は、クレーン荷重信号を無線通信で送信しても有線通信で送信しても良い。また、通信装置は、ネットワーク通信を行っても良い。以下の説明では、変換吊具検知センサ78a~78bを、必要に応じて変換吊具検知センサ78と総称し、溶鋼鍋用変換吊具検知信号および溶銑鍋用変換吊具検知信号を、必要に応じて変換吊具検知信号と総称する。前述したように本実施形態では、溶銑用レードルクレーン20aには、溶鋼鍋用変換吊具検知信号が変換吊具検知信号として送信され、溶鋼用レードルクレーン20bには、溶銑鍋用変換吊具検知信号が変換吊具検知信号として送信される場合を例示する。また、保管具81a~81bを、必要に応じて保管具81と総称し、置台82a~82bを、必要に応じて置台82と総称する。
【0077】
また、
図1Aにおいて、本実施形態では、台車51が所定の停車位置で停車しているときに限り、取鍋31、32の荷上げおよび荷下ろしが出来る場合を例示する。本実施形態では、台車51が所定の停車位置で停車していることと、台車51に取鍋31、32が載せられていることと、をセンサで検知する場合を例示する。そのために、本実施形態では、
図1Aに示すように、台車検知センサ70a~70dおよび鍋検知センサ79a~79dが用いられる場合を例示する。なお、台車51が所定の停車位置で停車していることと、台車51に取鍋31、32が載せられていることは、センサで検知する場合に限定されない。例えば、オペレータがこれらのことを確認し、当該確認した結果を示す情報が、クレーン側処理装置1410等に入力されるようにしても良い。
【0078】
台車検知センサ70a、70b、70c、70dは、それぞれ、台車51a、51b、51c、51dが所定の停車位置で停止しているか否かを検知するセンサである。台車検知センサ70a~70dは、例えば、横行基準検知センサ76と同様の構成のもので実現することが出来る。この場合、台車検知センサ70a~70dは、例えば、台車51が所定の停車位置で停止していることを所定の時間以上継続している場合に、台車51a~51dが所定の停車位置で停止していると検知する。
【0079】
本実施形態では、台車検知センサ70a~70dの検知信号である台車検知信号が、クレーン側処理装置1410に送信される場合を例示する。そのために、台車検知センサ70a~70dにはそれぞれ不図示の通信装置が接続されている。通信装置は、クレーン荷重信号を無線通信で送信しても有線通信で送信しても良い。また、通信装置は、ネットワーク通信を行っても良い。台車検知センサ70a~70dは、同じ構成で実現することが可能である。以下の説明では、台車検知センサ70a~70dを、必要に応じて台車検知センサ70と総称する。
【0080】
鍋検知センサ79a、79b、79c、79dは、それぞれ、台車51a、51b、51c、51dに取鍋31、32が載せられているか否かを検知するセンサである。鍋検知センサ79a~79dは、例えば、変換吊具検知センサ78aと同じ構成のもので実現することが出来る。鍋検知センサ79a~79dは、同じ構成で実現することが可能である。以下の説明では、鍋検知センサ79a~79dを、必要に応じて鍋検知センサ79と総称する。
【0081】
本実施形態では、台車51が所定の停車位置で停車し、且つ、当該台車51に取鍋31、32が載せられている場合に、当該台車51からの取鍋31、32の荷上げが行われる場合を例示する。また、台車51が所定の停車位置で停車し、且つ、当該台車51に取鍋31、32が載せられていない場合に、当該台車51に対する取鍋31、32の荷下ろしが行われる場合を例示する。
【0082】
また、荷上げおよび荷下ろしが行われる場所において、レードルクレーン20の様子を撮影する不図示のカメラ(例えば、ITV(Industrial Television))が操業エリアOEに設置されていても良い。この場合、撮影角度および撮影場所のうちの少なくとも一方が異なるレードルクレーン20の撮影画像が得られるように、荷上げおよび荷下ろしが行われる場所のそれぞれに複数のカメラが設置されるのが好ましい。カメラの撮影画像は、例えば、クレーン側処理装置1410に送信され、クレーン側処理装置1410によって、運転室24内に設置されているコンピュータディスプレイに表示される。このようにする場合、例えば、クレーンオペレータのクレーン側処理装置1410の操作に基づいて、コンピュータディスプレイに表示されるカメラの撮影画像(前述の撮影角度および撮影場所)が切り替わるようにするのが好ましい。クレーンオペレータによる荷上げおよび荷下ろしのための操作をより効果的に支援することが出来るからである。
【0083】
図14は、処理装置1400の機能的な構成の一例を示す図である。本実施形態では、処理装置1400が、レードルクレーン20の運転室24に設置されるクレーン側処理装置1410と、地上側に設置される地上側処理装置1420と、を備える場合を例示する。クレーン側処理装置1410は、溶銑用レードルクレーン20aの運転室24と、溶鋼用レードルクレーン20bの運転室24と、のそれぞれに設置される(この場合、クレーン側処理装置1410は2つ存在する)。クレーン側処理装置1410および地上側処理装置1420が備えるハードウェアは、例えば、プロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェア、または、PLC(Programmable Logic Controller)を用いることにより実現される。なお、クレーン側処理装置1410が有する機能のうちの少なくとも一部の機能が、地上側処理装置1420で実現されて良いし、地上側処理装置1420が有する機能のうちの少なくとも一部の機能が、クレーン側処理装置1410で実現されても良い。
図15A~
図16Cは、処理装置1400を用いて行われる処理方法の一例を説明するフローチャートである。
図15A~
図15Bは、地上側処理装置1420における処理の一例を説明するフローチャートである。
図16A~
図16Cは、クレーン側処理装置1410における処理の一例を説明するフローチャートである。
図14~
図16C等を参照しながら、本実施形態の処理装置1400が有する機能の一例、および、本実施形態の処理方法の一例を説明する。
【0084】
<地上側処理装置1420>
まず、地上側処理装置1420の一例について説明する。
図14に示すように、地上側処理装置1420は、障害物側外形算出部1421と、障害物側位置算出部1422と、出力部1423と、を備える。
<<障害物側外形算出部1421、障害物側位置算出部1422、出力部1423>>
障害物側外形算出部1421は、障害物の領域を示す障害物領域を、予め定められている図形のみを用いて簡略化した領域である障害物簡略化領域の形状および大きさを算出する。予め定められている図形(立体図形)は、直方体または立方体である六面体であっても良い(以下の説明では、直方体または立方体である六面体を必要に応じて六面体と略称する)。この場合、障害物毎に、障害物が六面体の内部に収まるように、あるいは、少なくとも1面が障害物に接するように、六面体を拡大又は縮小などして障害物簡略化領域の形状および大きさを算出しても良い。具体的には、障害物の平面視の形状(Z軸方向から見た場合の形状)からX-Y平面形状を決めて、障害物の高さまでX-Y平面形状をZ軸方向へ伸ばすようにして障害物簡略化領を決めるなど、任意の平面形状に基づいて決めて良い。前記の予め定められている図形は、円柱でも良く、前記と同様に障害物簡略化領域の形状および大きさを算出しても良い。また、複数の障害物が近接あるいは接している場合には、これを一体とみなして、1つの六面体などの図形で簡略化しても良い。
【0085】
障害物側位置算出部1422は、障害物簡略化領域の形状および大きさが算出された場合に、当該障害物簡略化領域の位置を、当該障害物簡略化領域により簡略化される障害物の設置位置に基づいて算出する。なお、障害物簡略化領域の位置および障害物の設置位置は、例えば、それぞれ、障害物簡略化領域、障害物の代表位置で定められる。障害物簡略化領域の代表位置および障害物の代表位置は、例えば、障害物簡略化領域および障害物が占める空間の位置のうち、X座標およびY座標が最小となり、且つ、Z座標が0(零)となる位置(座標)である。なお、Z座標が0(零)の(高さ方向の)位置は、設置面(地面GD等)の高さ方向の位置である。このようにして算出された位置に、形状および大きさが算出済みの障害物簡略化領域が配置される。
【0086】
出力部1423は、障害物側位置算出部1422により算出された障害物簡略化領域の位置を示す障害物簡略化領域位置情報を出力する。本実施形態では、障害物簡略化領域位置情報がクレーン側処理装置1410に送信される場合を例示する。
【0087】
図15Aは、障害物側外形算出部1421、障害物側位置算出部1422、および出力部1423の処理の一例を説明するフローチャートである。なお、
図15Aに示すブロックで明示しているものの他、
図15Aのフローチャートによる処理を行うに際し予め設定しておく必要がある情報は、
図15Aのフローチャートが開始する前に、地上側処理装置1420に入力されているものとする。
【0088】
ステップS1501において、障害物側外形算出部1421は、操業エリアOEに存在する少なくとも1つの障害物の障害物情報を入力する。本実施形態では、地上側処理装置1420のオペレータの入力操作に基づいて障害物情報が入力される場合を例示する。しかしながら、障害物情報の入力形態は限定されない。例えば、障害物側外形算出部1421は、外部装置から送信された障害物情報を受信しても良いし、記憶媒体に記憶された障害物情報を読み出しても良い。以下の説明では、地上側処理装置1420のオペレータを、必要に応じて地上オペレータと称する。
【0089】
本実施形態では、障害物が、レードルクレーン20が動作する際に障害となる物体のうち、操業エリアOEに設置されている物体を含む場合を例示する。障害物情報は、例えば、障害物の設置位置、形状、および大きさを特定することが出来る地図情報である。
図1Aに示す例では、台車51a~51d、レール52a~52d、台車51a~51dに置かれている取鍋31a、31c、32c、32e、保管具81a~81b、置台82a~82b、鍋予熱装置44a~44b、および鍋置場PSに置かれている取鍋31e、32bが障害物の一例である。なお、本実施形態では、鍋予熱装置44a、44bの内側に取鍋31、32がセットされる場合を例示する。この場合、鍋予熱装置44a、44bにセットされている取鍋31、32は、レードルクレーン20が動作する際に障害にならない(すなわち、障害物ではない)。また、本実施形態では、レードルクレーン20が動作する際に台車検知センサ70a~70dが障害にならない場合を例示するが、台車検知センサ70a~70dを障害物として取り扱っても良い。また、操業エリアOEに設置されているその他の物体(例えば、前述のITV等のカメラ)を障害物として取り扱っても良い。
【0090】
次に、ステップS1502において、障害物側外形算出部1421は、障害物情報に基づいて、障害物簡略化領域の形状および大きさを算出する。本実施形態では、障害物簡略化領域の形状をどのようにして定めるのかが、地上側処理装置1420に予め設定されている場合を例示する。
【0091】
障害物簡略化領域の形状は限定されないが、本実施形態では、形状を簡略化することによる処理負荷をより低減するために、個々の障害物領域が、予め定められている図形の一例として、直方体または立方体である六面体のみを用いて簡略化される場合を例示する。この際、個々の障害物簡略化領域は、当該障害物簡略化領域で簡略化される障害物の実際の領域の全てを含むのが好ましい。また、障害物簡略化領域の表面は、障害物の設置面(地面GD等)に略平行(好ましくは平行)または略垂直(好ましくは垂直)であるのが好ましい。
【0092】
図17Aは、保管具81および置台82に対する障害物簡略化領域の第1の例を示す図である。
図17A(a)は正面図であり、
図17A(b)は左側面図であり、
図17A(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図17Aでは、保管具81および置台82が1つの六面体で表され、当該1つの六面体の領域で障害物簡略化領域1710が表される場合を例示する。この場合、障害物側外形算出部1421は、障害物簡略化領域1710の8つの頂点1711~1718の位置関係に基づいて、障害物簡略化領域1710の形状および大きさを算出する。8つの頂点の位置関係は、例えば、他の7つの頂点との距離および他の7つの頂点の方向を、それぞれの頂点において特定することにより得られる。なお、頂点1718は、
図17A(a)に示す頂点1714と、
図17A(b)に示す頂点1716と、
図17A(c)に示す頂点1717の後ろに位置する。
図17A(a)、
図17A(b)、および
図17A(c)に示す(1718)は、このことを表している。また、このような表記は、後述する
図18Aでも同じであるものとする。
【0093】
図17Bは、保管具81および置台82に対する障害物簡略化領域の第2の例を示す図である。
図17B(a)は正面図であり、
図17B(b)は左側面図であり、
図17B(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図17Bでは、保管具81および置台82が、高さ方向(Z軸方向)に隣接して並ぶ2つの六面体1720a~1720bで表され、当該2つの六面体1720a~1720bが一体化された領域で障害物簡略化領域1720が表される場合を例示する。この場合、障害物側外形算出部1421は、障害物簡略化領域1720の16個の頂点1721~1736の位置関係に基づいて、障害物簡略化領域1720の形状および大きさを算出する。16個の頂点の位置関係は、例えば、他の15個の頂点との距離および他の15個の頂点の方向を、それぞれの頂点において特定することにより得られる。
【0094】
なお、頂点1735は、
図17B(a)に示す頂点1724と、
図17B(b)に示す頂点1730と、
図17B(c)に示す頂点1733の後ろに位置する。また、頂点1736は、
図17B(a)に示す頂点1728と、
図17B(b)に示す頂点1732と、
図17B(c)に示す頂点1734の後ろに位置する。
図17B(a)、
図17B(b)、および
図17B(c)に示す(1735)、(1736)は、このことを表している。
【0095】
前述したように取鍋31、32は、鍋予熱装置44a、44bの内側にある。したがって、取鍋31、32を予備加熱しているか否かに関わらず、鍋予熱装置44a~44bの外観は変わらない。よって、鍋予熱装置44a~44bについても、保管具81および置台82と同様にして、障害物簡略化領域を定めることが出来、鍋予熱装置44a~44bの障害物簡略化領域の形状および大きさが算出される。
【0096】
一方、台車51および鍋置場PSについては、取鍋31、32が置かれているか否かによって、外観が変わる。したがって、本実施形態では、台車51および鍋置場PSについては、取鍋31、32が置かれているか否かに関わらず、台車51および鍋置場PSに取鍋31、32が置かれているものとして、障害物簡略化領域が定められる場合を例示する。また、台車51および鍋置場PSに複数の取鍋31、32を置くことが出来る場合、最大数の取鍋31、32が置かれているものとして、障害物簡略化領域が定められる場合を例示する。また、取鍋31、32の大きさが異なる場合、最大の取鍋が置かれているものとして、障害物簡略化領域が定められる場合を例示する。
【0097】
図18は、台車51に対する障害物簡略化領域の一例を示す図である。
図18(a)は正面図であり、
図18(b)は左側面図であり、
図18(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図18では、台車51、台車51が走行するレール52、および台車51に置かれる取鍋31、32が1つの六面体で表され、当該1つの六面体の領域により障害物簡略化領域1810が表される場合を例示する。この場合、障害物側外形算出部1421は、障害物簡略化領域1810の8つの頂点1811~1818の位置に基づいて、障害物簡略化領域1810の形状および大きさを算出する。前述したように障害物簡略化領域1810は、台車51に取鍋31、32が載せられているか否かに関わらず変わらない(すなわち、
図18において、取鍋31、32がなくても障害物簡略化領域1810は
図18に示す領域である)。また、前述したように障害物簡略化領域1810は、取鍋31、32のうち、台車51に載せることが出来る最大の取鍋の情報と、台車51に載せることができる取鍋の数の情報と、を用いて定められる。したがって、障害物情報には、個々の台車51について、これらの情報を特定するための情報が含まれる。
【0098】
鍋置場PSについても、台車51、台車51が走行するレール52、および台車51に置かれる取鍋31、32と同様にして、障害物簡略化領域を定めることが出来、鍋置場PSの障害物簡略化領域の形状および大きさが算出される。
【0099】
図15Aの説明に戻り、ステップS1503において、障害物側位置算出部1422は、障害物情報に含まれる各障害物の設置位置に基づいて、障害物側外形算出部1421により形状および大きさが算出された障害物簡略化領域の位置を算出する。
図19は、障害物簡略化領域の位置の一例を示す図である。
図19(a)は、平面図であり、
図19(b)は、正面図である。本実施形態では、
図19に示すX-Y-Z座標系の座標により、障害物簡略化領域1911a~1911iの位置が定められる場合を例示する。なお、前述したように障害物簡略化領域1911a~1911iの位置は、例えば、障害物簡略化領域1911a~1911iの代表位置1912a~1912iで定められる。
図19に示す原点0のX座標は、例えば、
図1Aに示す走行方向の基準位置X0aに対応する。障害物情報に含まれる各障害物の設置位置は、例えば、
図19に示すX-Y-Z座標系の座標(X座標、Y座標、Z座標)で特定される。本実施形態では、
図19(a)および
図19(b)に示すような地図において、障害物簡略化領域1911a~1911iの位置、形状、大きさが特定される場合を例示する。なお、後述するように障害物の形状は、必ずしも簡略化される必要はない。この場合、実際の障害物の領域の位置、形状、大きさが示される地図を用いても良い。
【0100】
障害物簡略化領域1911aは、台車51a、レール52a、52e、および取鍋31、32の障害物簡略化領域である。障害物簡略化領域1911bは、台車51b、レール52b、52f、および取鍋31、32の障害物簡略化領域である。障害物簡略化領域1911cは、保管具81aおよび置台82aの障害物簡略化領域である(なお、
図19(b)において、障害物簡略化領域1911cは、障害物簡略化領域1911dの後ろに隠れた位置(Y軸の正の方向側の位置)にある)。障害物簡略化領域1911dは、保管具81bおよび置台82bの障害物簡略化領域である。障害物簡略化領域1911eは、鍋予熱装置44aの障害物簡略化領域である。障害物簡略化領域1911fは、鍋予熱装置44bの障害物簡略化領域である。障害物簡略化領域1911gは、鍋置場PSおよび取鍋31、32の障害物簡略化領域である。障害物簡略化領域1911hは、台車51c、レール52c、52g、および取鍋31、32の障害物簡略化領域である。障害物簡略化領域1911iは、台車51d、レール52d、52h、および取鍋31、32の障害物簡略化領域である。以下の説明では、障害物簡略化領域1911a~1911iを、必要に応じて障害物簡略化領域1911と略称する。
【0101】
障害物側位置算出部1422は、例えば、障害物情報に含まれる各障害物の設置位置に基づいて、障害物簡略化領域1911の位置が、当該障害物簡略化領域1911で簡略化される障害物の設置位置に最も近くなるように、障害物簡略化領域1911の位置を算出する。例えば、障害物側位置算出部1422は、障害物簡略化領域1911のうち、当該障害物簡略化領域1911で簡略化される障害物に対応する部分のX-Y-Z座標が、当該障害物の設置位置(X-Y-Z座標)と一致するように、当該障害物簡略化領域1911のX-Y-Z座標を算出する。
【0102】
図15Aの説明に戻り、ステップS1504において、出力部1423は、障害物簡略化領域1911の位置を示す障害物簡略化領域位置情報を出力する。障害物簡略化領域位置情報には、例えば、
図19に示す各障害物簡略化領域1911の頂点のX-Y-Z座標が含まれる。本実施形態では、障害物簡略化領域位置情報がクレーン側処理装置1410に送信される場合を例示する。ただし、障害物簡略化領域位置情報の出力形態は限定されない。例えば、出力部1423は、障害物簡略化領域位置情報をコンピュータディスプレイに表示しても良いし、記憶媒体に記憶しても良いし、クレーン側処理装置1410以外の外部装置に送信しても良い。
【0103】
また、出力部1423は、障害物簡略化領域位置情報をクレーン側処理装置1410に送信する前にコンピュータディスプレイに表示しても良い。このようにする場合、地上オペレータは、障害物簡略化領域位置情報を確認し、障害物簡略化領域1911の位置が適切である場合に、地上側処理装置1420のユーザインターフェースを操作して、当該障害物簡略化領域位置情報を承認しても良い。出力部1423は、地上オペレータによって承認された場合に限り障害物簡略化領域位置情報をクレーン側処理装置1410に送信しても良い。また、障害物簡略化領域1911の位置が適切でない場合、地上オペレータは、地上側処理装置1420のユーザインターフェースを操作して、障害物情報を地上側処理装置1420に再入力しても良い。この場合、再入力された障害物情報に基づいて、障害物側外形算出部1421、障害物側位置算出部1422、および出力部1423の処理(ステップS1501~S1504の処理)が再び行われる。ステップS1504の処理が終了すると、
図15Aのフローチャートによる処理は終了する。
【0104】
また、
図14に示すように、地上側処理装置1420は、障害物判定部1424と、地上側報知部1425とを備えても良い。
<<障害物判定部1424、地上側報知部1425>>
障害物判定部1424は、障害物領域が変更されたか否かを、障害物検知センサの障害物検知信号に基づいて判定する。本実施形態では、障害物検知センサがカメラ73である場合を例示する。地上側報知部1425は、障害物判定部1424により、障害物領域が変更されたと判定された場合に、そのことを報知する。
【0105】
図15Bは、障害物判定部1424および地上側報知部1425の処理の一例を説明するフローチャートである。なお、
図15Bに示すブロックで明示しているものの他、
図15Bのフローチャートによる処理を行うに際し予め設定しておく必要がある情報は、
図15Bのフローチャートが開始する前に、地上側処理装置1420に入力されているものとする。なお、本実施形態では、カメラ73の撮影画像が、所定の周期で繰り返し地上側処理装置1420に送信される場合を例示する。
【0106】
ステップS1511において、障害物判定部1424は、カメラ73で撮影された操業エリアOEの撮影画像を入力する。
次に、ステップS1512において、障害物判定部1424は、カメラ73で撮影された操業エリアOEの撮影画像に基づいて、障害物が変更されたか否かを判定する。なお、障害物の変更には、例えば、障害物の位置が変更されることと、操業エリアOEから障害物が存在しなくなることと、操業エリアOEに新たな障害物が存在することと、が含まれる。障害物判定部1424は、例えば、カメラ73で撮影された操業エリアOEの撮影画像に対して、テンプレートマッチング等の公知の手法を用いることにより、当該撮影画像に映し出されている1つまたは複数の障害物を検知する。このようにする場合、障害物判定部1424は、例えば、同一のカメラ73で異なるタイミングで撮影された操業エリアOEの撮影画像から検知した障害物を比較することにより障害物に変化があるか否かを判定する。なお、障害物検知センサは、カメラに限定されない。例えば、障害物が設置されることが想定される位置毎に、障害物の有無を検知するその他のセンサ(例えば、近接センサや荷重センサ)を障害物検知センサとして設置しても良い。
【0107】
ステップS1512の判定の結果、障害物が変更された場合(ステップS1512でYESの場合)、ステップS1513の処理が行われる。ステップS1513において、地上側報知部1425は、障害物が変更されたことを報知する。障害物が変更されたことの報知形態は限定されない。例えば、障害物が変更されたことを示す障害物変更情報をコンピュータディスプレイに表示しても良いし、障害物変更情報を発音しても良いし、その他の方法で報知しても良い。
【0108】
地上側報知部1425により障害物が変更されたことが報知されると、地上オペレータ(作業員)は、例えば、操業エリアOEに出向いて、地上側報知部1425により報知された障害物の変更を確認する。そして、地上オペレータは、地上側処理装置1420のユーザインターフェースを操作して、障害物情報を地上側処理装置1420に再入力する。このようにする場合、ステップS1513において、地上側報知部1425は、地上オペレータの確認を容易にするために、どの位置で障害物が変更されたのかを示す情報を、障害物変更情報に含めて出力するのが好ましい。また、障害物情報が地上側処理装置1420に再入力された場合、再入力された障害物情報に基づいて、障害物側外形算出部1421、障害物側位置算出部1422、および出力部1423の処理(
図15Aのフローチャートによる処理)が再び行われるようにするのが好ましい。
【0109】
なお、ここでは、障害物情報が地上側オペレータにより再入力される場合を例示した。しかしながら、地上側報知部1425に代えてまたは加えて、障害物検知センサの障害物検知信号(本実施形態では、カメラ73で撮影された操業エリアOEの撮影画像)に基づいて、障害物情報を更新する更新部を地上側処理装置1420が備えていても良い。
ステップS1512の結果、障害物が変更されていない場合(ステップS1512でNOの場合)、ステップS1513の処理は行われずに、
図15Bのフローチャートによる処理は終了する。
【0110】
<クレーン側処理装置1410>
次に、クレーン側処理装置1410の一例について説明する。なお、本実施形態では説明を簡単にするため、各種のセンサ71~72、74~78の検知信号が、同一のタイミングで繰り返しクレーン側処理装置1410に送信される場合を例示する。
【0111】
<<装着判定部1411、クレーン側外形算出部1412、クレーン側位置算出部1413>>
装着判定部1411は、レードルクレーン20に変換吊具90が取り付けられているか否かを判定する。クレーン側外形算出部1412は、クレーン側において障害物との接触を回避する必要がある領域であるクレーン側接触回避領域を、予め定められている図形のみを用いて簡略化した領域であるクレーン側接触回避簡略化領域として、形状および大きさを算出する。前記の予め定められている図形(立体図形)は、前述した障害物簡略化領域の場合と同様であり、省略する。クレーン側接触回避簡略化領域の形状および大きさは、レードルクレーン20の吊具234に溶銑鍋31あるいは溶鋼鍋32などの搬送物が取り付けられている場合(吊下げられている場合)と、そうでない場合とで異なる。クレーン側接触回避簡略化領域は、吊具234に搬送物が取り付けられている場合には、搬送物および吊具234、あるいは、搬送物、吊具234および索条233を一体とみなして、1つの六面体などの図形で簡略化しても良い。
【0112】
クレーン側位置算出部1413は、クレーン側接触回避簡略化領域の形状および大きさが算出された場合に、当該クレーン側接触回避簡略化領域の位置を、クレーン位置検知センサの位置検知信号に基づいて算出する。本実施形態では、クレーン位置検知センサが、既に説明した距離センサ72(Z軸方向位置測定用)、走行方向検知センサ74(X軸方向位置測定用)、および横行方向検知センサ75(Y軸方向位置測定用)を用いることにより実現される場合を例示する。
【0113】
図16Aは、装着判定部1411およびクレーン側外形算出部1412の処理の一例を説明するフローチャートである。なお、
図16Aに示すブロックで明示しているものの他、
図16Aのフローチャートによる処理を行うに際し予め設定しておく必要がある情報は、
図16Aのフローチャートが開始する前に、クレーン側処理装置1410に入力されているものとする。
【0114】
ステップS1601において、クレーン側外形算出部1412は、オリジナル吊具情報を入力する。本実施形態では、クレーンオペレータの入力操作に基づいてオリジナル吊具情報が入力される場合を例示する。しかしながら、オリジナル吊具情報の入力形態は限定されない。例えば、クレーン側外形算出部1412は、外部装置(例えば、地上側処理装置1420)から送信されたオリジナル吊具情報を受信しても良いし、記憶媒体に記憶されたオリジナル吊具情報を読み出しても良い。
【0115】
オリジナル吊具情報は、レードルクレーン20のオリジナル吊具234の形状および大きさを特定することが出来る情報である。溶銑用レードルクレーン20aのクレーン側外形算出部1412が取得するオリジナル吊具情報は、
図4に示すオリジナル吊具234aの形状および大きさを特定することが出来る情報である。溶鋼用レードルクレーン20bのクレーン側外形算出部1412が取得するオリジナル吊具情報は、
図6に示すオリジナル吊具234bの形状および大きさを特定することが出来る情報である。なお、オリジナル吊具情報を既に入力している場合には、ステップS1601の処理は省略されても良い。
【0116】
次に、ステップS1602において、装着判定部1411、レードルクレーン20に変換吊具90が取り付けられているか否かを判定する。本実施形態では、クレーン側外形算出部1412が、変換吊具検知センサ78の検知信号(検知値を示す信号)である変換吊具検知信号に基づいて、レードルクレーン20に変換吊具90が取り付けられているか否かを判定する場合を例示する。
【0117】
前述したように本実施形態では、溶鋼鍋用変換吊具90aが、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに取り付けられる場合を例示する(
図8および
図9Bを参照)。同様に本実施形態では、溶銑鍋用変換吊具90bが、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234bに取り付けられる場合を例示する(
図10および
図11Bを参照)。また、本実施形態では、保管具81aは、溶鋼鍋用変換吊具90aを保管することが出来るが、溶銑鍋用変換吊具90bを保管することが出来ない場合を例示する。同様に本実施形態では、保管具81bは、溶銑鍋用変換吊具90bを保管することが出来るが、溶鋼鍋用変換吊具90aを保管することが出来ない場合を例示する。そして、本実施形態では、変換吊具検知センサ78aの検知信号である溶鋼鍋用変換吊具検知信号が、溶銑用レードルクレーン20aに設置されるクレーン側処理装置1410に送信され、変換吊具検知センサ78bの検知信号である溶銑鍋用変換吊具検知信号が、溶鋼用レードルクレーン20bに設置されるクレーン側処理装置1410に送信される場合を例示する。
【0118】
以上のことから、本実施形態では、溶銑用レードルクレーン20aのクレーン側外形算出部1412は、変換吊具検知センサ78aの検知信号である溶鋼鍋用変換吊具検知信号を変換吊具検知信号として入力している場合、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに変換吊具90aが取り付けられていないと判定し、そうでない場合に、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに変換吊具90aが取り付けられていると判定する場合を例示する。同様に本実施形態では、溶鋼用レードルクレーン20bのクレーン側外形算出部1412は、変換吊具検知センサ78bの検知信号である溶銑鍋用変換吊具検知信号を変換吊具検知信号として入力している場合、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234bに変換吊具90bが取り付けられていないと判定し、そうでない場合に、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234bに変換吊具90bが取り付けられていると判定する場合を例示する。
【0119】
なお、レードルクレーン20に変換吊具90が取り付けられているか否かを判定する手法は、以上の手法に限定されない。例えば、クレーン側外形算出部1412は、吊荷センサ71の検知信号であるクレーン荷重信号に基づいて、吊具の質量を算出し、算出した質量が、変換吊具90が取り付けられている場合に対応する質量であるか、それとも、変換吊具90が取り付けられていない場合に対応する質量であるかを判定しても良い。
【0120】
ステップS1602の判定の結果、レードルクレーン20に変換吊具90が取り付けられていない場合(ステップS1602でNOの場合)、ステップS1603の処理は省略されて後述するステップS1604の処理が行われる。一方、レードルクレーン20に変換吊具90が取り付けられている場合(ステップS1602でYESの場合)、ステップS1603の処理が行われる。
【0121】
ステップS1603において、クレーン側外形算出部1412は、変換吊具情報を入力する。本実施形態では、クレーンオペレータの入力操作に基づいて変換吊具情報が入力される場合を例示する。しかしながら、変換吊具情報の入力形態は限定されない。例えば、クレーン側外形算出部1412は、外部装置(例えば、地上側処理装置1420)から送信された変換吊具情報を受信しても良いし、記憶媒体に記憶された変換吊具情報を読み出しても良い。
【0122】
変換吊具情報は、レードルクレーン20のオリジナル吊具234に取り付けられる変換吊具の形状および大きさを特定することが出来る情報である。溶銑用レードルクレーン20aのクレーン側外形算出部1412が取得する変換吊具情報は、
図8に示す変換吊具90aの形状および大きさを特定することが出来る情報である。溶鋼用レードルクレーン20bのクレーン側外形算出部1412が取得する変換吊具情報は、
図10に示す変換吊具90bの形状および大きさを特定することが出来る情報である。なお、変換吊具情報を既に入力している場合には、ステップS1603の処理は省略されても良い。
【0123】
次に、ステップS1604において、クレーン側外形算出部1412は、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊っているか否かを判定する。本実施形態では、クレーン側外形算出部1412が、吊荷センサ71の検知信号であるクレーン荷重信号に基づいて、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊っているか否かを判定する場合を例示する。例えば、クレーン側外形算出部1412は、クレーン荷重信号に示される荷重が閾値を上回らない場合に、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊っていないと判定し、そうでいない場合に、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊っていると判定する。
【0124】
なお、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊っているか否かを判定する手法は、以上の手法に限定されない。例えば、クレーン側外形算出部1412は、レードルクレーン20が走行または横行を行っている場合、レードルクレーン20が実際に取鍋31、32を吊っているか否かに関わらず安全のために、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊っていると判定しても良い。また、クレーン側外形算出部1412は、吊具234の動きに基づいて、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊っているか否かを判定しても良い。例えば、クレーン側外形算出部1412は、吊具234の一部の領域が、取鍋31、32のトラニオン部312a~312b、322a~322bの真下に位置した後、吊具234が、取鍋31、32の底面からトラニオン部312a~312b、322a~322bまでの高さ方向(Z軸方向)の長さを上回る距離だけ上方に移動した場合に、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊っていると判定しても良い。また、地上側処理装置1420において、各レードルクレーン20の操業(例えば、どの取鍋31、32をどのレードルクレーン20がどのタイミングで搬送するのか)が管理されている場合、クレーン側外形算出部1412は、地上側処理装置1420から送信される情報に基づいて、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊っているか否かを判定しても良い。
【0125】
ステップS1604の判定の結果、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊っていない場合(ステップS1604でNOの場合)、ステップS1605の処理は省略されて後述するステップS1606の処理が行われる。一方、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊っている場合(ステップS1604でYESの場合)、ステップS1605の処理が行われる。
【0126】
ステップS1605において、クレーン側外形算出部1412は、鍋情報を入力する。本実施形態では、クレーンオペレータの入力操作に基づいて鍋情報が入力される場合を例示する。しかしながら、鍋情報の入力形態は限定されない。例えば、クレーン側外形算出部1412は、外部装置(例えば、地上側処理装置1420)から送信された鍋情報を受信しても良いし、記憶媒体に記憶された鍋情報を読み出しても良い。
【0127】
鍋情報は、レードルクレーン20が吊っている取鍋31、32の形状および大きさを特定することが出来る情報である。溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに溶鋼鍋用変換吊具90aが取り付けられていない場合、溶銑用レードルクレーン20aが吊っているのは、溶銑鍋31である。また、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに溶鋼鍋用変換吊具90aが取り付けられている場合、溶銑用レードルクレーン20aが吊っているのは、溶鋼鍋32である。同様に、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234bに溶銑鍋用変換吊具90bが取り付けられていない場合、溶鋼用レードルクレーン20bが吊っているのは、溶鋼鍋32である。また、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234bに溶銑鍋用変換吊具90bが取り付けられている場合、溶鋼用レードルクレーン20bが吊っているのは、溶銑鍋31である。クレーン側外形算出部1412は、このようにして特定される溶銑鍋31または溶鋼鍋32の鍋情報を少なくとも入力する。なお、鍋情報を既に入力している場合には、ステップS1603の処理は省略されても良い。
【0128】
次に、ステップS1606において、クレーン側外形算出部1412は、ステップS1601、S1603、およびS1605で取得された情報に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域の形状および大きさを算出する。
【0129】
本実施形態では、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊っている場合、クレーン側接触回避領域が、当該レードルクレーン20で吊っている取鍋31、32の領域と、当該レードルクレーン20が備える吊具234(オリジナル吊具)の領域と、を含む場合を例示する。前述したように溶銑用レードルクレーン20aが備える吊具234は、オリジナル吊具234aであり(
図4を参照)、溶鋼用レードルクレーン20bが備える吊具234は、オリジナル吊具234bである(
図6を参照)。この場合、レードルクレーン20で吊っている取鍋31、32の領域と、当該レードルクレーン20が備える吊具234(オリジナル吊具)の領域と、を別々のクレーン側接触回避簡略化領域としても良い。しかしながら、処理負荷をより低減するため、本実施形態では、これらの領域が、一体化された領域である場合を例示する。また、本実施形態では、レードルクレーン20が取鍋31、32を吊っていない場合、クレーン側接触回避領域が、当該レードルクレーン20が備える吊具234(オリジナル吊具)の領域を含む場合を例示する。
【0130】
また、本実施形態では、クレーン側接触回避領域をどのようにして簡略化するのかが、地上側処理装置1420に予め設定されている場合を例示する。具体的には、障害物簡略化領域1911と同様に、形状を簡略化することによる処理負荷をより低減するために、個々のクレーン側接触回避簡略化領域および個々のクレーン側接触回避領域が、それぞれ、予め定められている図形の一例として、直方体または立方体である六面体のみを用いて簡略化される場合を例示する。また、障害物簡略化領域1911と同様に、個々のクレーン側接触回避簡略化領域は、当該クレーン側接触回避簡略化領域で簡略化されるクレーン側接触回避領域の実際の領域の全てを含むのが好ましい。また、クレーン側接触回避簡略化領域の表面は、走行方向(X軸方向)および横行方向(Y軸方向)のうちの少なくとも一方の方向に略平行(好ましくは平行)または略垂直(好ましくは垂直)であるのが好ましい。
【0131】
図20Aは、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに溶鋼鍋用変換吊具90aが取り付けられておらず、且つ、取鍋31、32が吊られていない場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第1の例を示す図である。
図20A(a)は正面図であり、
図20A(b)は左側面図であり、
図20A(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図20Aでは、オリジナル吊具234aが1つの六面体で表され、当該1つの六面体の領域でクレーン側接触回避簡略化領域2010が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2010の8つの頂点2011~2018の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2010の形状および大きさを算出する。なお、8つの頂点の位置関係は、例えば、他の7つの頂点との距離および他の7つの頂点の方向を、それぞれの頂点において特定することにより得られる。
【0132】
【0133】
図20Bは、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに溶鋼鍋用変換吊具90aが取り付けられておらず、且つ、取鍋31、32が吊られていない場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第2の例を示す図である。
図20B(a)は正面図であり、
図20B(b)は左側面図であり、
図20B(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図20Bでは、オリジナル吊具234aが、高さ方向(Z軸方向)に隣接して並ぶ2つの六面体2020a~2020bで表され、当該2つの六面体2020a~2020bが一体化された領域でクレーン側接触回避簡略化領域2020が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2020の16個の頂点2021~2036の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2020の形状および大きさを算出する。なお、16個の頂点の位置関係は、例えば、他の15個の頂点との距離および他の15個の頂点の方向を、それぞれの頂点において特定することにより得られる。
【0134】
なお、頂点203は、それぞれ、
図20B(a)に示す頂点2024と、
図20B(c)に示す頂点2032の後ろに位置する。
図20B(a)および
図20B(c)に示す(2033)は、このことを表している。頂点2034、2035は、それぞれ、
図20B(a)に示す頂点2025、2026の後ろに位置する。
図20B(a)に示す(2034)、(2035)は、このことを表している。また、頂点2036は、
図20B(a)に示す頂点2028と、
図20B(b)に示す頂点2031の後ろに位置する。
図20B(a)および
図20B(b)に示す(2036)は、このことを表している。このような表記は、後述する
図21B、
図22B、
図23B、
図24B、
図25Bでも同じであるものとする。
【0135】
図20Cは、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに溶鋼鍋用変換吊具90aが取り付けられており、且つ、取鍋31、32が吊られていない場合のクレーン側接触回避簡略化領域の一例を示す図である。
図20C(a)は正面図であり、
図20C(b)は左側面図であり、
図20C(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図20Cでは、オリジナル吊具234aおよび溶鋼鍋用変換吊具90aが1つの六面体で表され、当該1つの六面体の領域でクレーン側接触回避簡略化領域2030が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2030の8つの頂点2031~2038の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2030の形状および大きさを算出する。なお、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに溶鋼鍋用変換吊具90aが取り付けられている場合にも、クレーン側接触回避簡略化領域を複数の六面体で表しても良い。
【0136】
図21Aは、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234bに溶銑鍋用変換吊具90bが取り付けられておらず、且つ、取鍋31、32が吊られていない場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第1の例を示す図である。
図21A(a)は正面図であり、
図21A(b)は左側面図であり、
図21A(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図21Aでは、オリジナル吊具234bが1つの六面体で表され、当該1つの六面体の領域でクレーン側接触回避簡略化領域2110が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2110の8つの頂点2111~2218の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2110の形状および大きさを算出する。
【0137】
図21Bは、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234bに溶銑鍋用変換吊具90bが取り付けられておらず、且つ、取鍋31、32が吊られていない場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第2の例を示す図である。
図21B(a)は正面図であり、
図21B(b)は左側面図であり、
図21B(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図21Bでは、オリジナル吊具234bが、高さ方向(Z軸方向)に隣接して並ぶ2つの六面体2120a~2120bで表され、当該2つの六面体2120a~2120bが一体化された領域でクレーン側接触回避簡略化領域2120が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2120の16個の頂点2121~2136の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2120の形状および大きさを算出する。
【0138】
図21Cは、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234aに溶鋼鍋用変換吊具90bが取り付けられており、且つ、取鍋31、32が吊られていない場合のクレーン側接触回避簡略化領域の一例を示す図である。
図21C(a)は正面図であり、
図21C(b)は左側面図であり、
図21C(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図21Cでは、オリジナル吊具234bおよび溶銑鍋用変換吊具90bが1つの六面体で表され、当該1つの六面体の領域でクレーン側接触回避簡略化領域2130が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2130の8つの頂点2131~2138の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2130の形状および大きさを算出する。なお、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234aに溶鋼鍋用変換吊具90bが取り付けられている場合にも、クレーン側接触回避簡略化領域を複数の六面体で表しても良い。
【0139】
図16AのステップS1602およびS1604でNOと判定されてステップS1606の処理が行われる場合、例えば、
図20A~
図21Bに示すクレーン側接触回避簡略化領域2010、2020、2110、2120の形状および大きさが算出される。また、
図16AのステップS1602でYESと判定され、ステップS1604でNOと判定されてステップS1606の処理が行われる場合、例えば、
図20C、
図21Cに示すクレーン側接触回避簡略化領域2030、2130の形状および大きさが算出される。
【0140】
図22Aは、溶銑用レードルクレーン20aで溶銑鍋31が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第1の例を示す図である。この場合、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに溶鋼鍋用変換吊具90aは取り付けられていない。
図22A(a)は正面図であり、
図22A(b)は左側面図であり、
図22A(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図22Aでは、オリジナル吊具234aおよび溶銑鍋31が1つの六面体で表され、当該1つの六面体の領域でクレーン側接触回避簡略化領域2210が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2210の8つの頂点2211~2218の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2210の形状および大きさを算出する。
【0141】
図22Bは、溶銑用レードルクレーン20aで溶銑鍋31が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第2の例を示す図である。
図22B(a)は正面図であり、
図22B(b)は左側面図であり、
図22B(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図22Bでは、オリジナル吊具234aおよび溶銑鍋31が、高さ方向(Z軸方向)に隣接して並ぶ2つの六面体2220a~2220bで表され、当該2つの六面体2220a~2220bが一体化された領域でクレーン側接触回避簡略化領域2220が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2220の16個の頂点2221~2236の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2220の形状および大きさを算出する。
【0142】
図23Aは、溶鋼用レードルクレーン20bで溶鋼鍋32が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第1の例を示す図である。この場合、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234bに溶銑鍋用変換吊具90bは取り付けられていない。
図23A(a)は正面図であり、
図23A(b)は左側面図であり、
図23A(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図23Aでは、オリジナル吊具234bおよび溶鋼鍋32が1つの六面体で表され、当該1つの六面体の領域でクレーン側接触回避簡略化領域2310が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2310の8つの頂点2311~2318の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2310の形状および大きさを算出する。
【0143】
図23Bは、溶鋼用レードルクレーン20bで溶鋼鍋32が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第2の例を示す図である。
図23B(a)は正面図であり、
図23B(b)は左側面図であり、
図23B(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図23Bでは、オリジナル吊具234bおよび溶鋼鍋32が、高さ方向(Z軸方向)に隣接して並ぶ2つの六面体2320a~2320bで表され、当該2つの六面体2320a~2320bが一体化された領域でクレーン側接触回避簡略化領域2320が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2320の16個の頂点2321~2336の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2320の形状および大きさを算出する。
【0144】
図16AのステップS1602でNOと判定され、ステップS1604でYESと判定されてステップS1606の処理が行われる場合、例えば、
図22A~
図23Bに示すクレーン側接触回避簡略化領域2210、2220、2310、2320の形状および大きさが算出される。
【0145】
図24Aは、溶銑用レードルクレーン20aで溶鋼鍋32が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第1の例を示す図である。この場合、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに溶鋼鍋用変換吊具90aが取り付けられている。
図24A(a)は正面図であり、
図24A(b)は左側面図であり、
図24A(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図24Aでは、オリジナル吊具234a、変換吊具90a、および溶鋼鍋32が1つの六面体で表され、当該1つの六面体の領域でクレーン側接触回避簡略化領域2410が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2410の8つの頂点2411~2418の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2410の形状および大きさを算出する。
【0146】
図24Bは、溶銑用レードルクレーン20aで溶鋼鍋32が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第2の例を示す図である。
図24B(a)は正面図であり、
図24B(b)は左側面図であり、
図24B(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図24Bでは、オリジナル吊具234a、変換吊具90a、および溶鋼鍋32が、高さ方向(Z軸方向)に隣接して並ぶ2つの六面体2420a~2420bで表され、当該2つの六面体2420a~2420bが一体化された領域でクレーン側接触回避簡略化領域2420が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2420の16個の頂点2421~2436の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2420の形状および大きさを算出する。
【0147】
図25Aは、溶鋼用レードルクレーン20bで溶銑鍋31が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第1の例を示す図である。この場合、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234bに溶銑鍋用変換吊具90bが取り付けられている。
図25A(a)は正面図であり、
図25A(b)は左側面図であり、
図25A(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図25Aでは、オリジナル吊具234b、変換吊具90b、および溶銑鍋31が1つの六面体で表され、当該1つの六面体の領域でクレーン側接触回避簡略化領域2510が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2510の8つの頂点2511~2518の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2510の形状および大きさを算出する。
【0148】
図25Bは、溶鋼用レードルクレーン20bで溶銑鍋31が吊られている場合のクレーン側接触回避簡略化領域の第2の例を示す図である。
図25B(a)は正面図であり、
図25B(b)は左側面図であり、
図25B(c)は平面図である。なお、ここでは、右側面図が、左側面図と同じになる場合を例示する。
図25Bでは、オリジナル吊具234b、変換吊具90b、および溶銑鍋31が、高さ方向(Z軸方向)に隣接して並ぶ2つの六面体2520a~2520bで表され、当該2つの六面体2520a~2520bが一体化された領域でクレーン側接触回避簡略化領域2520が表される場合を例示する。この場合、クレーン側外形算出部1412は、クレーン側接触回避簡略化領域2520の16個の頂点2521~2536の位置関係に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2520の形状および大きさを算出する。
【0149】
図16AのステップS1602、S1604でYESと判定されてステップS1606の処理が行われる場合、例えば、
図24A~
図25Bに示すクレーン側接触回避簡略化領域2410、2420、2510、2520の形状および大きさが算出される。
以上のようにしてステップS1606の処理が終了すると、
図16Aのフローチャートによる処理は終了する。
【0150】
<<<クレーン側位置算出部1413>>>
図16Bは、クレーン側位置算出部1413の処理の一例を説明するフローチャートである。なお、
図16Bに示すブロックで明示しているものの他、
図16Bのフローチャートによる処理を行うに際し予め設定しておく必要がある情報は、
図16Bのフローチャートが開始する前に、クレーン側処理装置1410に入力されているものとする。
【0151】
ステップS1611において、クレーン側位置算出部1413には、走行方向検知センサ74の検知信号である走行位置検知信号と、横行方向検知センサ75の検知信号である横行位置検知信号と、距離センサ72の検知信号である高さ位置検知信号と、吊荷センサ71の検知信号であるクレーン荷重信号と、が入力される。以下の説明では、走行位置検知信号、横行位置検知信号、および高さ位置検知信号を、必要に応じて位置検知信号と総称する。
【0152】
クレーン側位置算出部1413は、位置検知信号に基づいて、レードルクレーン20の走行方向(X軸方向)の現在位置と、主トロリ23の横行方向(Y軸方向)の現在位置と、オリジナル吊具234の高さ方向(Z軸方向)の現在位置と、を算出する。
【0153】
この際、クレーン側位置算出部1413は、レードルクレーン20の走行方向(X軸方向)の現在位置と、レードルクレーン20からオリジナル吊具234までの走行方向における距離と、に基づいて、オリジナル吊具234の走行方向の現在位置を算出する。レードルクレーン20からオリジナル吊具234までの走行方向における距離は、例えば、レードルクレーン20の所定の位置(例えば、
図1Aに示す走行基準検知センサ77a~77bで検知される位置)から、オリジナル吊具234の代表位置RP1~RP2までの距離として定められる。
【0154】
また、クレーン側位置算出部1413は、主トロリ23の横行方向(Y軸方向)の現在位置と、主トロリ23からオリジナル吊具234までの横行方向における距離と、に基づいて、オリジナル吊具234の横行方向の現在位置を算出する。主トロリ23からオリジナル吊具234までの横行方向における距離は、例えば、主トロリ23の所定の位置(例えば、
図1Aに示す横行基準検知センサ76a~76bで検知される位置)から、オリジナル吊具234の代表位置RP1~RP2までの距離として、定められる。
【0155】
レードルクレーン20からオリジナル吊具234までの走行方向における距離と、主トロリ23からオリジナル吊具234までの横行方向における距離は、クレーン側処理装置1410に予め設定されていても、本ステップS1611において不図示のセンサを用いて測定しても良い。
【0156】
次に、ステップS1612において、クレーン側位置算出部1413は、走行基準検知センサ77の検知信号である走行基準位置信号として、レードルクレーン20が走行方向の基準位置X0を通過したことを示す信号を入力したか否かを判定する。ステップS1612の判定の結果、レードルクレーン20が走行方向の基準位置X0を通過したことを示す信号を入力していない場合(ステップS1612でNOの場合)、ステップS1613~S1614の処理は省略されて、後述するステップS1615の処理が行われる。
【0157】
一方、ステップS1612の判定の結果、レードルクレーン20が走行方向の基準位置X0を通過したことを示す信号を入力した場合(ステップS1612でYESの場合)、ステップS1613の処理が行われる。ステップS1613において、クレーン側位置算出部1413は、レードルクレーン20の走行方向(X軸方向)の位置を補正する必要があるか否かを判定する。例えば、クレーン側位置算出部1413は、溶銑用レードルクレーン20の走行方向の基準位置X0と、ステップS1611で算出した溶銑用レードルクレーン20の走行方向の現在位置と、の差の絶対値が、閾値を上回る場合に、溶銑用レードルクレーン20の走行方向の位置を補正する必要があると判定し、そうでいない場合に、溶銑用レードルクレーン20の走行方向の位置を補正する必要がないと判定する。なお、走行方向の基準位置X0は、クレーン側処理装置1410に予め設定されている。
【0158】
ステップS1613の判定の結果、レードルクレーン20の走行方向(X軸方向)の位置を補正する必要がないと判定した場合(ステップS1613でNOの場合)、ステップS1614の処理は省略されて、後述するステップS1615の処理が行われる。一方、ステップS1613の判定の結果、レードルクレーン20の走行方向の位置を補正する必要があると判定した場合(ステップS1613でYESの場合)、ステップS1614の処理が行われる。なお、クレーン側位置算出部1413は、溶銑用レードルクレーン20の走行方向の基準位置X0と、ステップS1611で算出した溶銑用レードルクレーン20の走行方向の現在位置と、の差の絶対値が、閾値を上回り、且つ、当該絶対値と、閾値との差が、所定値以上である場合には、故障の可能性があるとしてクレーンオペレータなどに報知しても良い。
【0159】
ステップS1614において、クレーン側位置算出部1413は、レードルクレーン20の走行方向の基準位置X0と、ステップS1611で算出したレードルクレーン20の走行方向(X軸方向)の現在位置と、の差が低減する(好ましくは0(零)になる)ように、レードルクレーン20およびオリジナル吊具234の走行方向(X軸方向)の現在位置を補正する。
【0160】
次に、ステップS1615において、クレーン側位置算出部1413は、横行方向検知センサ75の検知信号である横行位置検知信号として、主トロリ23が横行方向(Y軸方向)の基準位置Y0を通過したことを示す信号を入力したか否かを判定する。ステップS1615の判定の結果、主トロリ23が横行方向の基準位置Y0を通過したことを示す信号を入力していない場合(ステップS1615でNOの場合)、ステップS1616~S1617の処理は省略されて、後述するステップS1618の処理が行われる。
【0161】
一方、ステップS1615の判定の結果、主トロリ23が横行方向(Y軸方向)の基準位置Y0を通過したことを示す信号を入力した場合(ステップS1615でYESの場合)、ステップS1616の処理が行われる。ステップS1616において、クレーン側位置算出部1413は、主トロリ23の横行方向の位置を補正する必要があるか否かを判定する。例えば、クレーン側位置算出部1413は、主トロリ23の横行方向の基準位置Y0と、ステップS1611で算出した主トロリ23の横行方向の現在位置と、の差の絶対値が、閾値を上回る場合に、主トロリ23の横行方向の位置の位置を補正する必要があると判定し、そうでいない場合に、主トロリ23の横行方向の位置を補正する必要がないと判定する。なお、主トロリ23の横行方向の基準位置Y0は、クレーン側処理装置1410に予め設定されている。
【0162】
ステップS1616の判定の結果、主トロリ23の横行方向(Y軸方向)の位置を補正する必要がないと判定した場合(ステップS1616でNOの場合)、ステップS1617の処理は省略されて、後述するステップS1618の処理が行われる。一方、ステップS1616の判定の結果、主トロリ23の横行方向の位置を補正する必要があると判定した場合(ステップS1616でYESの場合)、ステップS1617の処理が行われる。なお、クレーン側位置算出部1413は、主トロリ23の横行方向の基準位置Y0と、ステップS1611で算出した主トロリ23の横行方向の現在位置と、の差の絶対値が、閾値を上回り、且つ、当該絶対値と、閾値との差が、所定値以上である場合には、故障の可能性があるとしてクレーンオペレータなどに報知しても良い。
【0163】
ステップS1617において、クレーン側位置算出部1413は、主トロリ23の横行方向の基準位置Y0と、ステップS1611で算出した主トロリ23の横行方向の現在位置と、の差が低減する(好ましくは0(零)になる)ように、主トロリ23およびオリジナル吊具234の横行方向の現在位置を補正する。
【0164】
次に、ステップS1618において、クレーン側位置算出部1413は、オリジナル吊具234の高さ方向(Z軸方向)の位置を補正する必要があるか否かを判定する。
例えば、クレーン側位置算出部1413は、オリジナル吊具234の高さ方向の現在位置と、オリジナル吊具234の高さ方向の基準位置と、に基づいて、オリジナル吊具234の高さ方向の位置を補正する必要があるか否かを判定する。
【0165】
このようにする場合、オリジナル吊具234の高さ方向(Z軸方向)の基準位置は、クレーン側処理装置1410に予め設定される。
オリジナル吊具234の高さ方向の基準位置は、例えば、台車51(鍋置場PS)に置かれている取鍋31、32を、取鍋31、32が台車51(鍋置場PS)から離れず、且つ、索条233が弛まない状態で保持した場合のオリジナル吊具234の高さ方向(Z軸方向)の代表位置RP1~RP2である。
【0166】
図9Cの左側に、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aにより溶銑鍋31が台車51(鍋置場PS)から離れず、且つ、索条233が弛まない状態で保持されている状態の一例を示す。
図9Cの右側に、溶銑用レードルクレーン20aのオリジナル吊具234aに取り付けられた溶鋼鍋用変換吊具90aにより溶鋼鍋32が台車51(鍋置場PS)から離れず、且つ、索条233が弛まない状態で保持されている状態の一例を示す。
【0167】
図11Cの左側に、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234bにより溶鋼鍋32が台車51(鍋置場PS)から離れず、且つ、索条233が弛まない状態で保持されている状態の一例を示す。
図11Cの右側に、溶鋼用レードルクレーン20bのオリジナル吊具234bに取り付けられた溶銑鍋用変換吊具90bにより溶銑鍋31台車51(鍋置場PS)から離れず、且つ、索条233が弛まない状態で保持されている状態の一例を示す。
【0168】
図9Cおよび
図11Cの左側に示すオリジナル吊具234の高さ方向の代表位置RP1~RP2と、同図の右側に示すオリジナル吊具234の高さ方向の代表位置RP1~RP2と、から明らかなように、オリジナル吊具234の高さ方向の基準位置は、変換吊具90が取り付けられている場合と、そうでない場合とで異なり、変換吊具90が取り付けられている場合の方がそうでない場合よりも、変換吊具90の高さ方向の長さに応じたオフセット量ΔRP1、ΔRP2だけ高い位置になる。
【0169】
したがって、取鍋31、32が台車51(鍋置場PS)から離れた状態で吊り上げられている場合にも、オリジナル吊具234の高さ方向の代表位置RP1~RP2から取鍋31、32の底面までの距離は、変換吊具90が取り付けられていない場合よりも取り付けられている場合の方が、変換吊具90の高さ方向の長さに応じたオフセット量ΔRP1、ΔRP2だけ長くなる。
【0170】
例えば、
図9Cに示す例において、オリジナル吊具234aの保持位置HP1、HP2から、溶鋼鍋用変換吊具90aの保持位置HP5、HP6までの高さ方向の距離をΔH15とする。また、溶銑鍋31の上面からオリジナル吊具234aの保持位置HP1、HP2までの高さ方向の距離をΔHP1とする。また、溶鋼鍋32の上面から溶鋼鍋用変換吊具90aの保持位置HP5、HP6までの高さ方向の距離をΔHP5とする。そうすると、溶鋼鍋用変換吊具90aの高さ方向の長さに応じたオフセット量ΔRP1は、ΔHP15-(ΔHP5-ΔHP1)になる。
【0171】
また、
図11Cに示す例において、オリジナル吊具234bの保持位置HP3、HP4から、溶銑鍋用変換吊具90bの保持位置HP7、HP8までの高さ方向の距離をΔH37とする。また、溶鋼鍋32の上面からオリジナル吊具234bの保持位置HP3、HP4までの高さ方向の距離をΔHP3とする。また、溶銑鍋31の上面から溶銑鍋用変換吊具90bの保持位置HP7、HP8までの高さ方向の距離をΔHP7とする。そうすると、溶銑鍋用変換吊具90bの高さ方向の長さに応じたオフセット量ΔRP2は、ΔHP37-(ΔHP7-ΔHP3)になる。
【0172】
そして、クレーン側位置算出部1413は、ステップS1611で入力したクレーン荷重信号に基づいて特定される吊荷の質量が、取鍋31、32を吊っていない状態(台車51や鍋置場PSに置かれた状態)に対応する質量から、取鍋31、32を吊っている状態(台車51や鍋置場PSに置かれていない状態)に対応する質量に変化したか否かを判定する。また、このようにすることに代えて、クレーン側位置算出部1413は、ステップS1611で入力したクレーン荷重信号に基づいて特定される吊荷の質量が、取鍋31、32を吊っている状態に対応する質量から、取鍋31、32が吊っていない状態に対応する質量に変化したか否かを判定しても良い。
【0173】
そして、クレーン側位置算出部1413は、このような質量の変化があった場合に、オリジナル吊具234の高さ方向(Z軸方向)の基準位置と、ステップS1611で算出したオリジナル吊具234の高さ方向の現在位置と、の差の絶対値が、閾値を上回るか否かを判定する。クレーン側位置算出部1413は、この判定の結果、オリジナル吊具234の高さ方向の基準位置と、オリジナル吊具234の高さ方向の現在位置と、の差の絶対値が、閾値を上回る場合、オリジナル吊具234の高さ方向の位置を補正する必要があると判定し、そうでいない場合に、オリジナル吊具234の高さ方向の位置を補正する必要がないと判定する。
【0174】
ステップS1618の判定の結果、オリジナル吊具234の高さ方向(Z軸方向)の位置を補正する必要がないと判定した場合(ステップS1618でNOの場合)、ステップS1619の処理は省略されて、後述するステップS1620の処理が行われる。一方、ステップS1618の判定の結果、オリジナル吊具234の高さ方向の位置を補正する必要があると判定した場合(ステップS1618でYESの場合)、ステップS1619の処理が行われる。なお、クレーン側位置算出部1413は、オリジナル吊具234の高さ方向の基準位置と、オリジナル吊具234の高さ方向の現在位置と、の差の絶対値が、閾値を上回り、且つ、当該絶対値と、閾値との差が、所定値以上である場合には、衝突の可能性があるとしてクレーンオペレータなどに報知しても良い。
【0175】
ステップS1619において、クレーン側位置算出部1413は、オリジナル吊具234の高さ方向(Z軸方向)の基準位置と、ステップS1611で算出したオリジナル吊具234の高さ方向の現在位置と、の差が低減する(好ましくは0(零)になる)ように、オリジナル吊具234の高さ方向の現在位置を補正する。
【0176】
次に、ステップS1620において、クレーン側位置算出部1413は、
図16Aのフローチャートにより算出されたクレーン側接触回避簡略化領域の形状および大きさを示すクレーン側接触回避簡略化領域外形情報を入力する。
【0177】
次に、ステップS1621において、クレーン側位置算出部1413は、ステップS1620で入力したクレーン側接触回避簡略化領域外形情報と、ステップS1611で算出されたオリジナル吊具234の現在位置と、に基づいて、クレーン側外形算出部1412により形状および大きさが算出されたクレーン側接触回避簡略化領域の1つまたは複数の箇所の位置を算出する。後述するように本実施形態では、クレーン側接触回避簡略化領域の位置が、クレーン側接触回避簡略化領域2210の頂点のうち、底面の頂点の座標である場合を例示する。
【0178】
図9Cおよび
図11Cを参照しながら例示したように、取鍋31、32が台車51(鍋置場PS)から離れた状態で吊り上げられている場合、オリジナル吊具234の高さ方向の代表位置RP1~RP2から取鍋31、32の底面までの距離は、変換吊具90が取り付けられていない場合よりも取り付けられている場合の方が、変換吊具90の高さ方向の長さに応じたオフセット量ΔRP1、ΔRP2(例えば、ΔHP15-(ΔHP5-ΔHP1)、ΔHP37-(ΔHP7-ΔHP3))だけ長くなる。
【0179】
したがって、クレーン側位置算出部1413は、変換吊具90が取り付けられている場合の方がそうでない場合よりも、変換吊具90の高さ方向の長さに応じたオフセット量だけ低い位置を、クレーン側接触回避簡略化領域の位置として算出する。
【0180】
例えば、溶鋼鍋用変換吊具90aが取り付けられているクレーン側接触回避簡略化領域2410(
図24Aを参照)の底面の頂点のZ座標の方が、溶鋼鍋用変換吊具90aが取り付けられていないクレーン側接触回避簡略化領域2210(
図22Aを参照)の底面の頂点のZ座標よりも、溶鋼鍋用変換吊具90aの高さ方向の長さに応じたオフセット量ΔPP1だけ低い位置になる。当該オフセット量ΔPP1は、ΔHP15-(ΔHP5-ΔHP1)になる。
【0181】
同様に、例えば、溶銑鍋用変換吊具90bが取り付けられているクレーン側接触回避簡略化領域2510(
図25Aを参照)の底面の頂点のZ座標の方が、溶銑鍋用変換吊具90bが取り付けられていないクレーン側接触回避簡略化領域2310(
図23Aを参照)の底面の頂点のZ座標よりも、溶銑鍋用変換吊具90bの高さ方向の長さに応じたオフセット量ΔPP2だけ低い位置になる。当該オフセット量ΔPP2は、ΔHP37-(ΔHP7-ΔHP3)になる。
【0182】
なお、クレーン側外形算出部1412により算出され得るクレーン側接触回避簡略化領域は、例えば、
図20A~
図25Bに示すクレーン側接触回避簡略化領域2010、2020、2030、2110、2120、2130、2210、2220、2310、2320、2410、2420、2510、2520である。ステップS1620で入力されるクレーン側接触回避簡略化領域外形情報は、これらのクレーン側接触回避簡略化領域のうちのいずれか1つの情報である。
【0183】
図16AのステップS1602およびS1604でNOと判定されてステップS1606の処理が行われた場合、溶銑用レードルクレーン20aのクレーン側外形算出部1412により、例えば、
図20A~
図20Bに示すクレーン側接触回避簡略化領域2010、2020の形状および大きさが算出され、溶鋼用レードルクレーン20bのクレーン側外形算出部1412により、例えば、
図21A~
図21Bに示すクレーン側接触回避簡略化領域2110、2120の形状および大きさが算出されている。また、
図16AのステップS1602でYESと判定され、ステップS1604でNOと判定されてステップS1606の処理が行われた場合、溶銑用レードルクレーン20aのクレーン側外形算出部1412により、例えば、
図20Cに示すクレーン側接触回避簡略化領域2030の形状および大きさが算出され、溶鋼用レードルクレーン20bのクレーン側外形算出部1412により、例えば、
図21Cに示すクレーン側接触回避簡略化領域2130の形状および大きさが算出されている。
【0184】
図16AのステップS1602でNOと判定され、ステップS1604でYESと判定されてステップS1606の処理が行われた場合、溶銑用レードルクレーン20aのクレーン側外形算出部1412により、例えば、
図22A~
図22Bに示すクレーン側接触回避簡略化領域2210、2220の形状および大きさが算出され、溶鋼用レードルクレーン20aのクレーン側外形算出部1412により、例えば、
図23A~
図23Bに示すクレーン側接触回避簡略化領域2310、2320の形状および大きさが算出されている。
【0185】
図16AのステップS1602、S1604でYESと判定され、ステップS1606の処理が行われた場合、溶銑用レードルクレーン20aのクレーン側外形算出部1412により、例えば、
図24A~
図24Bに示すクレーン側接触回避簡略化領域2410、2420の形状および大きさが算出され、溶鋼用レードルクレーン20bのクレーン側外形算出部1412により、例えば、
図25A~
図25Bに示すクレーン側接触回避簡略化領域2510、2520の形状および大きさが算出されている。
【0186】
以下の説明では、クレーン側接触回避簡略化領域を代表する符号として、必要に応じて2210を用いる。ただし、変換吊具90で取鍋31、32を吊っている場合のクレーン側接触回避簡略化領域を代表する符号としては、必要に応じて2410を用いる。また、取鍋31、32を吊っていない場合のクレーン側接触回避簡略化領域を代表する符号としては、必要に応じて、2010を用いる。
【0187】
クレーン側位置算出部1413は、例えば、オリジナル吊具234の現在位置に基づいて、以上のようにして算出されているクレーン側接触回避簡略化領域2210の位置が、オリジナル吊具234の現在位置に最も近くなるように、クレーン側接触回避簡略化領域2210の位置を算出する。例えば、クレーン側位置算出部1413は、クレーン側接触回避簡略化領域2210のうち、当該クレーン側接触回避簡略化領域2210で簡略化されているオリジナル吊具234に対応する部分のX-Y-Z座標が、当該オリジナル吊具234の現在位置(X-Y-Z座標)と一致するように、当該クレーン側接触回避簡略化領域2210のX-Y-Z座標を算出する。
【0188】
本実施形態では、クレーン側位置算出部1413が、クレーン側接触回避簡略化領域2210の頂点の座標を算出する場合を例示する。また、クレーン側接触回避簡略化領域2210の底面が、障害物簡略化領域に含まれなければ、オリジナル吊具234、変換吊具90、および取鍋31、32が、障害物に接触することはない。そこで、本実施形態では、クレーン側位置算出部1413が、クレーン側接触回避簡略化領域2210の頂点のうち、底面の頂点の座標を算出する場合を例示する。
【0189】
なお、底面は、障害物の載置面と間隔を有して向き合う面である。
図22Aに示す例では、クレーン側接触回避簡略化領域2210の底面は、4つの頂点2213、22142316、2218を有する四角形の面である。
図22Bに示す例では、クレーン側接触回避簡略化領域2220の底面は、4つの頂点2227、2228、2231、2236を有する四角形の面と、4つの頂点2223、2225、2230、2034を有する四角形の面と、4つの頂点2224、2226、2233、2235を有する四角形の面と、の3つの面である。
【0190】
ただし、クレーン側接触回避簡略化領域2210の位置は、必ずしもこのようにして定めなくても良い。例えば、クレーン側位置算出部1413は、クレーン側接触回避領域の簡略化の程度に応じて、クレーン側接触回避簡略化領域2210のより多くの頂点(例えば、全ての頂点)の座標を算出しても良い。
クレーン側位置算出部1413は、以上のようにして算出したクレーン側接触回避簡略化領域2210の位置を示すクレーン側接触回避簡略化領域位置情報を接触判定部1414に出力する。以上のようにしてステップS1621の処理が終了すると、
図16Bのフローチャートによる処理は終了する。
【0191】
<<接触判定部1414、クレーン側報知部1415、制御部1416>>
図16Cは、接触判定部1414、クレーン側報知部1415、および制御部1416の処理の一例を説明するフローチャートである。なお、
図16Cに示すブロックで明示しているものの他、
図16Cのフローチャートによる処理を行うに際し予め設定しておく必要がある情報は、
図16Cのフローチャートが開始する前に、クレーン側処理装置1410に入力されているものとする。
【0192】
ステップS1631において、接触判定部1414には、障害物簡略化領域位置情報、障害物周辺領域情報、進入時アクション要否情報、およびランク情報が入力される。前述したように本実施形態では、障害物簡略化領域位置情報には、各障害物簡略化領域1911の頂点のX-Y-Z座標が含まれ、障害物簡略化領域位置情報が、地上側処理装置1420から送信される場合を例示する。また、本実施形態では、障害物簡略化領域位置情報と共に、障害物周辺領域情報、進入時アクション要否情報、およびランク情報が地上側処理装置1420から送信される場合を例示する。
【0193】
ただし、これらの情報の入力形態は限定されない。例えば、これらの情報は、クレーンオペレータの入力操作に基づいて入力されても、地上側処理装置1420以外の外部装置から送信されても、記憶媒体からの読み出しにより入力されても良い。
【0194】
障害物周辺領域情報は、障害物簡略化領域1911の周辺の領域である障害物周辺領域の範囲を特定することが出来る情報である。本実施形態では、障害物周辺領域に、警報領域と、速度制限領域と、が含まれる場合を例示する。クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が警報領域に進入すると、クレーンオペレータに対し、警報が行われる。また、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が速度制限領域に進入すると、レードルクレーン20の走行速度(走行方向の速度)と、主トロリ23の横行速度(横行方向の速度)と、吊具234の巻上速度および巻下速度と、のうちの少なくとも1つが制限される。
【0195】
図26Aは、警報領域2611の一例を示す図である。
図26Aでは、警報領域2611に、近接警報領域2611aと、最近接警報領域2611bと、が含まれる場合を例示する。
【0196】
近接警報領域2611aにクレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が進入すると、障害物に近づいていることを示す警報が行われる。また、最近接警報領域2611bにクレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が進入すると、障害物に接触する可能性があることを示す警報が行われる。
警報を行う手段は限定されない。例えば、警報は、発音、発光、およびコンピュータディスプレイに対する表示のうちの少なくとも1つを用いて行われる。
【0197】
なお、近接警報領域2611aに進入した場合よりも、最近接警報領域2611bに進入した場合の方が、クレーンオペレータにより強い注意喚起を促すように、警報を行う手段や警報の内容を定めるのが好ましい。
【0198】
以上のように
図26Aでは、警報領域2611に、近接警報領域2611aと、最近接警報領域2611bと、が含まれる場合を例示する。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。近接警報領域2611aと、最近接警報領域2611bと、を区別せずに1つの警報領域2611としても良い。また、相互に異なる警報が行われる3つ以上の領域が警報領域2611に含まれていても良い。
【0199】
また、
図26Aでは、障害物周辺領域情報に、警報領域2611の情報として、例えば、近接警報領域2611aの、障害物簡略化領域1911からのX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の距離の範囲X11、Y11、Z11と、最近接警報領域2611bの、障害物簡略化領域1911からのX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の距離の範囲X12、Y12、Z12と、が含まれる場合を例示する。
【0200】
なお、以上のような障害物簡略化領域1911からの警報領域2611(近接警報領域2611aおよび最近接警報領域2611b)の範囲は、障害物簡略化領域1911ごとに定めても良いし、複数の障害物簡略化領域1911において共通としても良い。
【0201】
また、本実施形態では、障害物簡略化領域1911のそれぞれに対して警報領域2611の情報が設定されている場合を例示する。例えば、障害物簡略化領域1911の位置の情報と、警報領域2611の情報と、が相互に関連付けられた状態で、これらの情報が地上側処理装置1420から送信される。
【0202】
図26Bは、速度制限領域2621の一例を示す図である。
図26Bでは、速度制限領域2621に、速度制限弱領域2621aと、速度制限強領域2621bと、強制停止領域2621cと、が含まれる場合を例示する。ここでは、レードルクレーン20がインバータ制御により制御され、速度制御が可能である場合を例示する。しかしながら、レードルクレーン20の制御は、インバータ制御に限定されず、例えば、速度制御が出来ない二次抵抗制御のような制御であっても良い。この場合、速度制限領域2621は設定されない。
【0203】
クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が速度制限弱領域2621aに進入すると、レードルクレーン20の速度が第1制限速度以下になるようにしてレードルクレーン20を減速させる。また、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が速度制限強領域2621bに進入すると、レードルクレーン20の速度が第1制限速度よりも低い第2制限速度以下になるようにしてレードルクレーン20を減速させる。また、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が強制停止領域2621cに進入すると、制限速度を0(零)としてレードルクレーン20を停止させる。なお、レードルクレーン20が走行している場合、レードルクレーン20の速度は走行速度である。また、レードルクレーン20が横行している場合、レードルクレーン20の速度は横行速度である。また、第1制限速度および第2制限速度は、走行時および横行時で同じにしても良いし、異なるようにしても良い。また、レードルクレーン20が走行および横行の双方を行っている場合、走行速度および横行速度の双方を制限速度(第1制限速度および第2制限速度)以下になるようにしても良いし、いずれか一方のみを制限速度以下になるようにしても良い。また、吊具234の巻き下げが行われている場合、吊具234の巻下速度を制限速度以下としても良い。
【0204】
以上のように
図26Bでは、速度制限領域2621に、速度制限弱領域2621aと、速度制限強領域2621bと、強制停止領域2621cと、が含まれる場合を例示した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。速度制限弱領域2621aと、速度制限強領域2621bと、を区別せずに1つの速度制限領域2621としても良い。また、相互に異なる制限速度の3つ以上の領域が速度制限領域2621に含まれていても良い。また、強制停止領域2621cのみを速度制限領域2621としても良い。
【0205】
また、
図26Bでは、速度制限領域情報に、速度制限領域2621の情報として、例えば、速度制限弱領域2621aの、障害物簡略化領域1911からのX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の距離の範囲X21、Y21、Z21と、速度制限強領域2621bの、障害物簡略化領域1911からのX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の距離の範囲X22、Y22、Z22と、強制停止領域2621cの、障害物簡略化領域1911からのX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の距離の範囲X23、Y23、Z23と、が含まれる場合を例示する。
【0206】
なお、以上のような障害物簡略化領域1911からの速度制限領域2621(速度制限弱領域2621a、速度制限強領域2621b、および強制停止領域2621c)の範囲は、障害物簡略化領域1911ごとに定めても良いし、複数の障害物簡略化領域1911において共通としても良い。
【0207】
本実施形態では、障害物簡略化領域1911のそれぞれに対して速度制限領域2621の情報が設定されている場合を例示する。例えば、障害物簡略化領域1911の位置の情報と、速度制限領域2621の情報と、が相互に関連付けられた状態で、これらの情報が地上側処理装置1420から送信される。
【0208】
進入時アクション要否情報は、警報領域2611への進入による警報の要否と、速度制限領域2621への進入による速度制限の要否と、を障害物簡略化領域1911ごとに定めるための情報である。
【0209】
図27は、進入時アクション要否情報2700の一例を示す図である。
図27において、「近接警報」、「最近接警報」の下の欄には、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、それぞれ、近接警報領域2611a、最近接警報領域2611bに進入した場合に警報を行うか否かを示す「有効」または「無効」が設定される。当該欄において、「有効」は警報を行うことを示し、「無効」は警報を行わないことを示す。
【0210】
また、「速度制限弱」、「速度制限強」、「強制停止」の下の欄には、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、それぞれ、速度制限弱領域2621a、速度制限強領域2621b、強制停止領域2621cに進入した場合に速度制限を行うか否かを示す「有効」または「無効」が設定される。当該欄において、「有効」は速度制限を行うことを示し、「無効」は速度制限を行わないことを示す。
【0211】
図27では、ランクA、Bの障害物簡略化領域1911に対して設定された警報領域2611(近接警報領域2611aおよび最近接警報領域2611b)にクレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が進入した場合には、
図26Aを参照しながら説明したようにして警報が行われることを示す。
【0212】
また、
図27では、ランクAの障害物簡略化領域1911に対して設定された速度制限領域2621(速度制限弱領域2621a、速度制限強領域2621b、および強制停止領域2621c)にクレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が進入した場合には、
図26Bを参照しながら説明したようにして速度制限が行われることを示す。
【0213】
また、
図27では、ランクBの障害物簡略化領域1911に対して設定された速度制限強領域2621bおよび強制停止領域2621cにクレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が進入した場合には、
図26Bを参照しながら説明したようにして速度制限が行われることを示す。これに対し、
図27では、ランクBの障害物簡略化領域1911に対して設定された速度制限弱領域2621aにクレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が進入した場合には、速度制限は行われないことを示す。
【0214】
また、
図27では、ランクCの障害物簡略化領域1911に対して設定された最近接警報領域2611bにクレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が進入した場合には、
図26Aを参照しながら説明したようにして警報が行われることを示す。これに対し、
図27では、ランクCの障害物簡略化領域1911に対して設定された近接警報領域2611aにクレーン側接触回避簡略化領域221020の少なくとも一部が進入した場合には、警報が行われないことを示す。
【0215】
また、
図27では、ランクCの障害物簡略化領域1911に対して設定された強制停止領域2621cにクレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が進入した場合には、
図26Bを参照しながら説明したようにして速度制限が行われることを示す。これに対し、
図27では、ランクCの障害物簡略化領域1911に対して設定された速度制限弱領域2621aおよび速度制限強領域2621bにクレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が進入した場合には、速度制限は行われないことを示す。
【0216】
ランク情報は、進入時アクション要否情報2700に含まれるランクを、障害物簡略化領域1911ごとに示す情報である。
図27に示す例では、ランクA、B、Cのいずれかが、障害物簡略化領域1911のそれぞれに対して設定される。本実施形態では、障害物簡略化領域1911のそれぞれに対してランクの情報(ランクA、B、Cのいずれか)が設定されている場合を例示する。例えば、障害物簡略化領域1911の位置の情報と、ランクの情報と、が相互に関連付けられた状態で、これらの情報が地上側処理装置1420から送信される。
【0217】
なお、警報領域2611(近接警報領域2611aおよび最近接警報領域2611b)の情報、速度制限領域2621(速度制限弱領域2621a、速度制限強領域2621b、および強制停止領域2621c)の情報、進入時アクション要否情報2700、およびランクの情報の入力形態は限定されない。例えば、これらの情報は、
図15AのステップS1501において、同ステップにおいて説明した入力形態で入力されても良い。
【0218】
図16Cの説明に戻り、ステップS1632において、接触判定部1414は、取鍋31、32の荷上げまたは荷下ろしが行われるか否かを判定する。
本実施形態では、接触判定部1414が、台車51において荷上げまたは荷下ろしが行われるか否かを判定する場合を例示する。前述したように本実施形態では、台車51が所定の停車位置で停車し、且つ、当該台車51に取鍋31、32が載せられている場合に、当該台車51からの取鍋31、32の荷上げが行われる場合を例示する。また、台車51が所定の停車位置で停車し、且つ、当該台車51に取鍋31、32が載せられていない場合に、当該台車51に対する取鍋31、32の荷下ろしが行われる場合を例示する。この場合、接触判定部1414は、例えば、台車検知信号および鍋検知信号に基づいて、台車51において荷上げまたは荷下ろしが行われるか否かを判定する。
【0219】
また、接触判定部1414は、鍋置場PSにおいて荷上げまたは荷下ろしが行われるか否かを判定する。鍋置場PSにおいて荷上げまたは荷下ろしが行われるか否かは、例えば、鍋置場PSに対する操業スケジュールに基づいて行われても、鍋置場PSに設置された鍋検知センサ79と同様の不図示のセンサの検知信号に基づいて行われても良い。鍋置場PSに対する操業スケジュールには、例えば、鍋置場PSのどの位置にどのタイミングでどの取鍋31、32を荷下ろしするかと、鍋置場PSのどの位置の取鍋31、32をどのタイミングで荷上げするかと、が少なくとも特定される情報が含まれる。また、台車51において荷上げまたは荷下ろしが行われるか否かについても、台車51に対する操業スケジュールに基づいて行われても良い。操業スケジュールは、クレーン側処理装置1410に予め設定されている。
【0220】
ステップS1632の判定の結果、取鍋31、32の荷上げまたは荷下ろしが行われない場合(ステップS1632でNOの場合)、後述するステップS1637の処理が行われる。一方、ステップS1632の判定の結果、取鍋31、32の荷上げまたは荷下ろしが行われる場合(ステップS1632でYESの場合)、ステップS1633の処理が行われる。
【0221】
ステップS1633において、接触判定部1414は、クレーン側接触回避簡略化領域位置情報と、障害物簡略化領域位置情報と、に基づいて、レードルクレーン20およびレードルクレーン20で搬送中の取鍋31、32が障害物と接触する可能性の有無を判定する。前述したようにクレーン側接触回避簡略化領域位置情報は、クレーン側接触回避簡略化領域2210の位置を示す情報であり、
図16BのフローチャートのステップS1621でクレーン側位置算出部1413から出力される。
【0222】
本実施形態では、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、警報領域2611に存在する場合に、レードルクレーン20およびレードルクレーン20で搬送中の取鍋31、32が障害物と接触する可能性がある場合を例示する。そこで、本実施形態では、接触判定部1414は、クレーン側接触回避簡略化領域位置情報と、障害物簡略化領域位置情報と、に加えて、進入制限範囲情報をさらに用いて、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、警報領域2611に存在するか否かを判定する場合を例示する。障害物簡略化領域位置情報および進入制限範囲情報は、ステップS1631で入力した情報である。ただし、必ずしもこのようにする必要はない。接触判定部1414は、例えば、クレーン側接触回避簡略化領域2210と、障害物簡略化領域と、の間の距離が閾値以下である場合に、レードルクレーン20およびレードルクレーン20で搬送中の取鍋31、32が障害物と接触する可能性があると判定しても良い。
【0223】
また、本実施形態では、クレーン側接触回避簡略化領域2210の底面の頂点の少なくとも1つが、少なくとも1つの警報領域2611に含まれている場合に、当該クレーン側接触回避簡略化領域2210が、警報領域2611に存在すると判定する場合を例示する。また、本実施形態では、クレーン側接触回避簡略化領域2210の底面の頂点の少なくとも1つが、近接警報領域2611aおよび最近接警報領域2611bのいずれに存在するのかをさらに判定する場合を例示する。この場合、例えば、クレーン側接触回避簡略化領域2210の底面の頂点のZ座標の少なくとも1つが、少なくとも1つの警報領域2611のZ座標以下になるか否かを判定し、クレーン側接触回避簡略化領域2210の底面の頂点のZ座標の少なくとも1つが、少なくとも1つの警報領域2611のZ座標以下になる場合に、クレーン側接触回避簡略化領域2210の底面の頂点のX座標およびY座標の少なくとも1つが、少なくとも1つの警報領域2611のX座標及びY座標に含まれるか否かを判定しても良い。
【0224】
なお、前述したように、
図22Aに示す例では、クレーン側接触回避簡略化領域2210の底面は、4つの頂点2213、2214、2316、2218を有する四角形の面である。
図22Bに示す例では、クレーン側接触回避簡略化領域2220の底面は、4つの頂点2227、2228、2231、2236を有する四角形の面と、4つの頂点2223、2225、2230、2034を有する四角形の面と、4つの頂点2224、2226、2233、2235を有する四角形の面と、の3つの面である。
【0225】
ステップS1633の判定の結果、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部(すなわち、クレーン側接触回避簡略化領域2210の全て)が、警報領域2611に存在しない場合(ステップS1633でNOの場合)、ステップS1634の処理は省略されて、後述するステップS1635の処理が行われる。一方、ステップS1633の判定の結果、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、警報領域2611に存在する場合(ステップS1633でYESの場合)、ステップS1634の処理が行われる。
【0226】
ステップS1634において、クレーン側報知部1415は、警報を行う。本実施形態では、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、どの障害物簡略化領域1911に対する警報領域2611に進入したかによって警報の要否が定まる場合を例示する。また、本実施形態では、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、近接警報領域2611aおよび最近接警報領域2611bのいずれに存在するかによって異なる警報が行われる場合を例示する。
【0227】
例えば、クレーン側報知部1415は、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が存在する警報領域2611(近接警報領域2611aおよび最近接警報領域2611b)に隣接する障害物簡略化領域1911のランクをランク情報から特定する。なお、ランク情報は、ステップS1631で入力される情報の一つである。そして、クレーン側報知部1415は、特定したランクと、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が存在する警報領域2611(近接警報領域2611aまたは最近接警報領域2611b)と、進入時アクション要否情報2700と、に基づいて、警報が必要であるか否か(進入時アクション要否情報2700において「有効」と設定されているか否か)を判定する。
【0228】
この判定の結果、警報が必要である場合、クレーン側報知部1415は、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が存在する警報領域2611(近接警報領域2611aまたは最近接警報領域2611b)に応じた警報を行う。なお、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、近接警報領域2611aおよび最近接警報領域2611bの双方にある場合、クレーン側報知部1415は、例えば、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、最近接警報領域2611bのみにあるものとして処理を行えば良い。
【0229】
次に、ステップS1635において、接触判定部1414は、クレーン側接触回避簡略化領域位置情報と、障害物簡略化領域位置情報と、進入制限範囲情報と、に基づいて、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、速度制限領域2621に存在するか否かを判定する。
【0230】
本実施形態では、クレーン側接触回避簡略化領域2210の底面の頂点の少なくとも1つが、少なくとも1つの速度制限領域2621に含まれている場合に、当該クレーン側接触回避簡略化領域2210が、速度制限領域2621に存在すると判定する場合を例示する。また、本実施形態では、クレーン側接触回避簡略化領域2210の底面の頂点の少なくとも1つが、速度制限弱領域2621a、速度制限強領域2621b、および強制停止領域2621cのいずれに存在するのかをさらに判定する場合を例示する。
【0231】
ステップS1635の判定の結果、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部(すなわち、クレーン側接触回避簡略化領域2210の全て)が、速度制限領域2621に存在しない場合(ステップS1635でNOの場合)、ステップS1636の処理は省略されて、
図16Cのフローチャートによる処理は終了する。一方、ステップS1635の判定の結果、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、速度制限領域2621に存在する場合(ステップS1635でYESの場合)、ステップS1636の処理が行われる。
【0232】
ステップS1636において、制御部1416は、レードルクレーン20の走行速度を制御する制御装置1430に速度指令を出力する。ここでの速度指令の出力対象の制御装置1430は、例えば、前述した走行装置および横行装置である。本実施形態では、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、どの障害物簡略化領域1911に対する速度制限領域2621に進入したかによって速度制限の要否が定まる場合を例示する。また、本実施形態では、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、速度制限弱領域2621a、速度制限強領域2621b、および強制停止領域2621cのいずれにあるかによって制御部1416が異なる処理を行う場合を例示する。
【0233】
例えば、制御部1416は、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が存在する速度制限領域2621(速度制限弱領域2621a、速度制限強領域2621b、および強制停止領域2621c)に隣接する障害物簡略化領域1911のランクをランク情報から特定する。そして、制御部1416は、特定したランクと、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が存在する速度制限領域2621(速度制限弱領域2621a、速度制限強領域2621b、および強制停止領域2621c)と、進入時アクション要否情報2700と、に基づいて、速度制限が必要であるか否か(進入時アクション要否情報2700において「有効」と設定されているか否か)を判定する。
【0234】
この判定の結果、速度制限が必要である場合、制御部1416は、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が存在する速度制限領域2621(速度制限弱領域2621a、速度制限強領域2621b、および強制停止領域2621c)に応じた制限速度を速度指令として制御装置1430に出力する。なお、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、速度制限弱領域2621a、速度制限強領域2621b、および強制停止領域2621cのうちの少なくとも2つの領域にある場合、制御部1416は、例えば、クレーン側接触回避簡略化領域2210の少なくとも一部が、制限速度が最も低くなる領域のみにあるものとして処理を行えば良い。
ステップS1636の処理が終了すると、
図16Cのフローチャートによる処理は終了する。
【0235】
前述したように、ステップS1632の判定の結果、取鍋31、32の荷上げまたは荷下ろしが行われない場合(ステップS1632でNOの場合)、ステップS1637の処理が行われる。ステップS1637において、接触判定部1414は、ステップS1631で入力した障害物簡略化領域位置情報に示される障害物簡略化領域1911のうち、取鍋31、32の荷上げまたは荷下ろしが行われる領域を、接触判定対象外領域とする。接触判定対象外領域は、障害物として扱われない領域(すなわち、クレーン側接触回避簡略化領域2210との接触の有無の判定を行わない領域)である。例えば、
図1Aに示す台車51aにおいて溶銑鍋31の荷上げまたは荷下ろしが行われる場合、
図19に示す障害物簡略化領域1911aが接触判定対象外領域として設定される。
ステップS1637の処理が終了すると、
図16Cのフローチャートによる処理は終了する。
【0236】
<まとめ>
以上のように本実施形態では、処理装置1400は、レードルクレーン20の位置と、障害物の位置と、クレーン側接触回避簡略化領域2210の形状および大きさと、障害物簡略化領域1911の形状および大きさと、を用いて、レードルクレーン20と障害物との接触の可能性判定を実行する。したがって、レードルクレーン20で搬送中の取鍋31、32と障害物とが接触する可能性が低減すること(好ましくは接触を防止すること)を高い処理負荷をかけずに実現することが出来る。なお、レードルクレーン20で搬送中の取鍋31、32が障害物と接触する可能性と、処理負荷と、をより低減する観点から、本実施形態のように、クレーン側接触回避簡略化領域2210の形状および大きさと、障害物簡略化領域1911の形状および大きさと、の双方を算出するのが好ましい。しかしながら、クレーン側接触回避簡略化領域2210の形状および大きさと、障害物簡略化領域1911の形状および大きさと、のうち、少なくとも一方を算出せずに、実際の領域等としても良い。実際の領域は、設計図面で特定される領域としても良いし、センサで測定される領域としても良い。
【0237】
また、本実施形態では、処理装置1400は、障害物簡略化領域1911または障害物領域は、その位置、形状、および大きさが示された地図を用いて、レードルクレーン20と障害物との接触の可能性判定を実行する。したがって、地図を更新すれば、障害物簡略化領域1911または障害物領域を更新することが出来、障害物簡略化領域1911または障害物領域の更新を容易にすることが出来る。
【0238】
また、本実施形態では、処理装置1400は、レードルクレーン20に変換吊具90が取り付けられているか否かの装着判定を実行し、レードルクレーン20に変換吊具90が装着とされていると判定された場合には、レードルクレーン20に変換吊具90が装着されていない場合(クレーン側接触回避簡略化領域2210)と比較して、クレーン側接触回避簡略化領域2410の高さ方向の位置を、変換吊具90の高さ方向の長さに応じて定められるオフセット量だけ低くする。したがって、レードルクレーン20に変換吊具90が取り付けられている場合でも、レードルクレーン20で搬送中の取鍋31、32と障害物とが接触する可能性が低減することが出来る。
【0239】
また、本実施形態では、処理装置1400は、保管具81a~81bに保管されている変換吊具検知センサ78の検知信号(検知値を示す信号)である変換吊具検知信号に基づいて、レードルクレーン20に変換吊具90が取り付けられているか否かを判定する。したがって、レードルクレーン20に変換吊具90が取り付けられているか否かを自動的に判定することが出来、オペレータの負担を軽減することが出来る。
【0240】
また、本実施形態では、オリジナル吊具234に変換吊具90が取り付けられている場合のクレーン側接触回避簡略化領域2410が、オリジナル吊具234の領域と、変換吊具90の領域と、を含むようにする。したがって、変換吊具90の領域を含めて簡略化することが出来る。
【0241】
また、本実施形態では、レードルクレーン20が取鍋31、32を搬送している場合の個々のクレーン側接触回避簡略化領域2210が、レードルクレーン20で吊っている取鍋31、32の領域と、オリジナル吊具234の領域と、を含むようにする。したがって、取鍋31、32の領域を含めて簡略化することが出来る。
【0242】
また、本実施形態では、クレーン側接触回避簡略化領域2010、2210、2410を、直方体または立方体である六面体のみを用いてクレーン側接触回避領域を簡略化したものとする。したがって、クレーン側接触回避簡略化領域2010、2210、2410の形状が複雑になることによる処理負荷の増加を抑制することが出来る。
【0243】
また、本実施形態では、処理装置1400は、クレーン側接触回避簡略化領域2010の底面の頂点2013、2014、2016、2018の位置を、クレーン側接触回避簡略化領域2010の位置として算出し、当該位置を用いて、レードルクレーン20と障害物との接触の可能性を判定する。したがって、クレーン側接触回避簡略化領域2010の位置の情報が多くなることによる処理負荷の増加を抑制することが出来る。
【0244】
また、本実施形態では、障害物簡略化領域1911を、直方体または立方体である六面体のみを用いて障害物領域を簡略化したものとする。したがって、障害物簡略化領域1911の形状が複雑になることによる処理負荷の増加を抑制することが出来る。
【0245】
また、本実施形態では、処理装置1400は、カメラ73で撮影された操業エリアOEの撮影画像に基づいて、操業エリアOE内の障害物に変化があったか否かを判定し、障害物に変化があった場合に、そのことを報知する。したがって、操業エリアOE内の障害物が変更された場合に、変更前の障害物に対応する障害物簡略化領域1911が変更されないことを抑制することが出来る。
【0246】
(その他の実施形態)
なお、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。また、本発明の実施形態は、PLC(Programmable Logic Controller)により実現されてもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェアにより実現されてもよい。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0247】
なお、以上の実施形態の開示は、例えば以下のようになる。
(開示1)
クレーンと、障害物との、接触の可能性を低減するための処理を行う処理装置であって、
前記クレーン側において前記障害物との接触を回避する必要がある領域であるクレーン側接触回避領域の位置を算出する位置算出部と、
前記クレーン側接触回避領域の位置、形状、および大きさと、前記障害物の領域を示す障害物領域の位置、形状、および大きさと、を用いて、前記クレーンと前記障害物との接触の可能性判定を実行する接触判定部と、
を備え、
前記クレーン側接触回避領域および前記障害物領域のうちの少なくとも一方は、予め定められている図形のみを用いて簡略化される、処理装置。
(開示2)
前記障害物領域は、その位置、形状、および大きさが示された地図に表され、
前記接触判定部は、前記地図を用いて、前記クレーンと前記障害物との接触の可能性判定を実行する、開示1に記載の処理装置。
(開示3)
前記クレーンが備える吊具であるオリジナル吊具に対して着脱可能な変換吊具が、前記オリジナル吊具に装着されているか否かの装着判定を実行する装着判定部を、さらに備え、
前記位置算出部は、前記クレーンに前記変換吊具が装着とされていると判定された場合には、前記クレーンに前記変換吊具が装着されていない場合と比較して、前記クレーン側接触回避領域の高さ方向の位置を、前記変換吊具の高さ方向の長さに応じて定められるオフセット量だけ低くする、開示1または2に記載の処理装置。
(開示4)
前記装着判定部は、前記変換吊具の保管置場に設置された、前記保管置場に前記変換吊具が置かれているか否かを判定するためのセンサの検知値に基づいて、前記装着判定を実行する、開示3に記載の処理装置。
(開示5)
前記クレーンが備える吊具であるオリジナル吊具に対して、変換吊具が着脱可能であり、
前記クレーンが備える吊具であるオリジナル吊具に前記変換吊具が取り付けられている場合の前記クレーン側接触回避領域は、前記オリジナル吊具の領域と、前記変換吊具の領域と、を含む、開示3または4に記載の処理装置。
(開示6)
1つの前記クレーン側接触回避領域は、前記クレーンで吊っている物品の領域と、前記クレーンが備える吊具の領域と、を含む領域である、開示1または2に記載の処理装置。
(開示7)
前記位置算出部は、前記簡略化されたクレーン側接触回避領域の底面の頂点の位置を、前記クレーン側接触回避領域の位置として算出し、
前記接触判定部は、前記簡略化されたクレーン側接触回避領域の底面の頂点の位置を用いて、前記クレーンが障害物周辺領域にあるか否を判定する、開示1~6のいずれか1に記載の処理装置。
(開示8)
前記予め定められている図形は、直方体または立方体である六面体である、開示1~7のいずれか1に記載の処理装置。
(開示9)
前記障害物領域が変更されたか否かを、障害物検知センサの障害物検知信号に基づいて判定する障害物判定部と、
前記障害物判定部により、前記障害物領域が変更されたと判定された場合に、そのことを報知する報知部を備える、開示1~8のいずれか1に記載の処理装置。
(開示10)
前記クレーン側接触回避領域と、前記障害物領域と、のそれぞれに対して、前記簡略化がなされており、
前記接触判定部は、前記クレーンの位置と、前記障害物の位置と、前記簡略化されたクレーン側接触回避領域の形状および大きさと、前記簡略化された障害物領域の形状および大きさと、を用いて、前記クレーンと前記障害物との接触の可能性判定を実行する、開示1~9のいずれか1に記載の処理装置。
(開示11)
クレーンと、障害物との、接触の可能性を低減するための処理を行う処理方法であって、
前記クレーン側において前記障害物との接触を回避する必要がある領域であるクレーン側接触回避領域の位置を算出する位置算出工程と、
前記クレーン側接触回避領域の位置、形状、および大きさと、前記障害物の領域を示す障害物領域の位置、形状、および大きさと、を用いて、前記クレーンと前記障害物との接触の可能性判定を実行する接触判定工程と、
を備え、
前記クレーン側接触回避領域および前記障害物領域のうちの少なくとも一方は、予め定められている図形のみを用いて簡略化される、処理方法。
(開示12)
開示1~10のいずれか1に記載の処理装置の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0248】
10a~10b ランウェイ
11a~11b 走行レール
20 溶銑用レードルクレーン
20b 溶鋼用レードルクレーン
21 クレーンガーダ
22a~22b サドル
23 主トロリ
24 運転室
25a~25d 横行レール
26a~26b レードルクレーンの車輪
31a~31e 溶銑鍋
32a~32e 溶鋼鍋
44a~44b 鍋予熱装置
51a~51d 台車
52a~52h レール
60a~60b 支柱
70a~70d 台車検知センサ
71 吊荷センサ
72 距離センサ
73a~73c カメラ
74 走行方向検知センサ
75 横行方向検知センサ
76a~76b 横行基準検知センサ
77a~77b 走行基準検知センサ
78a~78b 変換吊具検知センサ
79a~79d 鍋検知センサ
81a~81b 保管具
811a~811d 保管具に形成されている穴
82a~82b 置台
90a 溶鋼鍋用変換吊具
90b 溶銑鍋用変換吊具
91a~91b 溶鋼鍋用変換吊具の保持部
92a~92b 溶銑鍋用変換吊具の左側板部
93a~93b 溶銑鍋用変換吊具の右側板部
94a~94b 溶銑鍋用変換吊具の保持部
95a~95b 溶銑鍋用変換吊具の被保持部
231a~231b 主トロリの車輪
232 主巻装置
233 索条
234 吊具(オリジナル吊具)
234a 溶銑鍋を搬送するためのオリジナル吊具
234b 溶鋼鍋を搬送するためのオリジナル吊具
2341 天板部
2342a~2342b 左側板部
2343a~2343b 右側板部
2344a~2344b 保持部
2345 天板部
2346a~2346b 保持部
311 溶銑鍋の本体部
312a~312b 溶銑鍋のトラニオン部
321 溶鋼鍋の本体部
322a~322b 溶鋼鍋のトラニオン部
3121a~3121b 溶銑鍋のトラニオン部の被保持部
3122a~3122b 溶銑鍋のトラニオン部の支持部
3221a~3221b 溶鋼鍋のトラニオン部の被保持部
1400 処理装置
1410 クレーン側処理装置
1411 装着判定部
1412 クレーン側外形算出部
1413 クレーン側位置算出部
1414 接触判定部
1415 クレーン側報知部
1416 制御部
1420 地上側処理装置
1421 障害物側外形算出部
1422 障害物側位置算出部
1423 出力部
1424 障害物判定部
1425 地上側報知部
1430 制御装置
1710 障害物簡略化領域
1711~1718 障害物簡略化領域の頂点
1720 障害物簡略化領域
1721~1736 障害物簡略化領域の頂点
1720a~1720b 障害物簡略化領域を構成する六面体
1911a~1911i 障害物簡略化領域
1912a~1912i 障害物簡略化領域の代表位置
2010 クレーン側接触回避簡略化領域
2011~2018 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2020 クレーン側接触回避簡略化領域
2021~2036 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2110 クレーン側接触回避簡略化領域
2111~2118 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2120 クレーン側接触回避簡略化領域
2121~2136 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2130 クレーン側接触回避簡略化領域
2131~2138 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2140 クレーン側接触回避簡略化領域
2141~2148 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2210 クレーン側接触回避簡略化領域
2211~2218 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2220 クレーン側接触回避簡略化領域
2221~2236 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2310 クレーン側接触回避簡略化領域
2311~2318 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2320 クレーン側接触回避簡略化領域
2321~2336 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2410 クレーン側接触回避簡略化領域
2411~2418 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2420 クレーン側接触回避簡略化領域
2421~2436 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2510 クレーン側接触回避簡略化領域
2511~2518 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2520 クレーン側接触回避簡略化領域
2521~2536 クレーン側接触回避簡略化領域の頂点
2611 警報領域
2611a 近接警報領域
2611b 最近接警報領域
2621 速度制限領域
2621a 速度制限弱領域
2621b 速度制限強領域
2621c 強制停止領域
2700 進入時アクション要否情報
HP1~HP8 吊具の保持位置
GD 地面
OE 操業エリア
PS 鍋置場
RP1~RP2 吊具の代表位置
X0、X0a、X0b 走行方向の基準位置
Y0、Y0a、Y0b 横行方向の基準位置
ΔHP15、ΔHP37 変換吊具が取り付けられている場合のオフセット量
ΔHP1、ΔHP3 取鍋の上面から取鍋の保持位置までの距離(変換吊具が取り付けられていない場合)
ΔHP5、ΔHP7 取鍋の上面から取鍋の保持位置までの距離(変換吊具が取り付けられている場合)
ΔRP1、ΔRP2 変換吊具が取り付けられている場合の高さ方向の位置のオフセット量