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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126098
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
E02F9/00 Z
E02F9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034267
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】池末 隆
(57)【要約】
【課題】機体の組立て時における制御弁装置の取付を容易化することができ、組立て作業の効率を向上させた建設機械を提供すること。
【解決手段】コントロールバルブ組付けユニット60は、掘削作業機1の組立作業において、コントロールバルブ50と、コントローラとコントロールバルブ50とを接続するハーネス80を、予め一体としてユニット化したものであり、コントロールバルブ50と、コントロールバルブ50を支持する支持板61と、コントロールバルブ50を駆動する信号を供給する駆動信号供給線としてのハーネス80と、ハーネス80の配策を案内するガイド部材62とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の油圧アクチュエータと、
前記複数の油圧アクチュエータの各々に対して圧油の給排を制御する制御弁装置と、
前記制御弁装置を支持する支持板と、
前記制御弁装置を駆動する信号を供給する複数の駆動信号供給線と、
前記支持板に配設され、前記複数の駆動信号供給線を案内するガイド部材
を備える建設機械。
【請求項2】
前記制御弁装置は、前記複数の駆動信号供給線の各々を接続する複数のポートを有し、
平面視において前記ガイド部材は、前記複数のポートの側方に配置される、
請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記複数のポートの下方に配置されている
請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記複数の駆動信号供給線を保持する保持部を有し、
前記保持部が前記制御弁装置の側部に配置されたパイロット圧が入力される油圧ポートの上方に配置されている、
請求項3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記支持板から立ち上がる一対の柱部と、一対の柱部の間を掛け渡す梁部を有し、前記保持部は前記梁部に配置されている、
請求項4記載の建設機械。
【請求項6】
前記複数のポートは、前記制御弁装置の異なる側面に対をなすように列設され、
前記ガイド部材は、前記制御弁装置の異なる側面のそれぞれに対向するように一対設けられている、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項7】
前記複数の駆動信号供給線は、当該複数の駆動信号供給線を束ねた幹線部と、前記幹線部から1本の駆動信号供給線に分岐した枝線部とを形成し、
前記保持部は、前記枝線部の分岐位置とは異なる位置において、前記幹線部を前記ガイド部材に保持させる、
請求項4に記載の建設機械。
【請求項8】
前記支持板には、開口部が設けられている、
請求項1に記載の建設機械。
【請求項9】
前記複数の駆動信号供給線は、電気信号を伝送する電気信号線である、
請求項1に記載の建設機械。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧アクチュエータを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば掘削作業機等の建設機械には、左右一対のクローラ式の走行部を有する下部走行体と、下部走行体に旋回可能に接続された上部旋回体と、上部旋回体の旋回フレームに俯仰動可能に設けられた作業機から構成されている。また、このような建設機械では、油圧により走行部および作業機を動作させている。
【0003】
例えば特許文献1には、作業機を動作させる油圧アクチュエータと、コントロールバルブ(制御弁装置)と、油圧アクチュエータとコントロールバルブと接続する複数の油圧配管と、コントロールバルブに接続され、コントロールバルブにパイロット圧を供給するための操作用配管とを備えた建設機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4941089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
掘削作業機のように、油圧によりアクチュエータを駆動して作業機を動作させる建設機械では、コントロールバルブに複数の動作用油圧配管および複数の操作用配管(コントロールバルブへ駆動信号を供給する駆動信号供給線)が接続される。機体を組立てる際には、まず、いずれの配管等も接続されていないコントロールバルブを旋回フレームの所定の位置に固定し、次に、コントロールバルブに設けられた複数のポートの各々に、対応する各配管等を接続する作業が行われる。
【0006】
特許文献1に開示された建設機械では、複数の配管をそれぞれの役割を考慮して上下に分けて配策するため、コントロールバルブを一対のパイプフレームに支持させ、コントロールバルブ下方のパイプフレームの枠内に配管の配策スペースを確保するようにしている。しかしながら、旋回フレーム内の縦方向のスペースに余裕がない場合には、コントロールバルブの下方に配管の配策スペースを確保することが困難となる。また、特許文献1の構成では、油圧配管の一部および操作用配管などの役割の異なる配管を、同じ配策スペースに通している。このため、コントロールバルブへの各配管の組付け時において、配管の交錯による作業効率の低下、および、配管交錯時に意図せずに加えられた曲げ荷重もしくは摩擦などによる細い配管または配線の損傷が問題となるため、配管等の接続作業が煩雑なものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、機体の組立て時における制御弁装置の取付を容易化することができ、組立て作業の効率を向上させた建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る建設機械は、複数の油圧アクチュエータと、前記複数の油圧アクチュエータの各々に対して圧油の給排を制御する制御弁装置と、前記制御弁装置を支持する支持板と、前記制御弁装置を駆動する信号を供給する複数の駆動信号供給線と、前記支持板に配設され、前記複数の駆動信号供給線を案内するガイド部材を備えるものである。
【0009】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記制御弁装置は、前記複数の駆動信号供給線の各々を接続する複数のポートを有し、平面視において前記ガイド部材は、前記複数のポートの側方に配置される、ものである。
【0010】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記ガイド部材は、前記複数のポートの下方に配置されている、ものである。
【0011】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記ガイド部材は、前記複数の駆動信号供給線を保持する保持部を有し、前記保持部が前記制御弁装置の側部に配置されたパイロット圧が入力される油圧ポートの上方に配置されている、ものである。
【0012】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記ガイド部材は、前記支持板から立ち上がる一対の柱部と、一対の柱部の間を掛け渡す梁部を有し、前記保持部は前記梁部に配置されている、ものである。
【0013】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記複数のポートは、前記制御弁装置の異なる側面に対をなすように列設され、前記ガイド部材は、前記制御弁装置の異なる側面のそれぞれに対向するように一対設けられている、ものである。
【0014】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記複数の駆動信号供給線は、当該複数の駆動信号供給線を束ねた幹線部と、前記幹線部から1本の駆動信号供給線に分岐した枝線部とを形成し、前記保持部は、前記枝線部の分岐位置とは異なる位置において、前記幹線部を前記ガイド部材に保持させる、ものである。
【0015】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記支持板には、開口部が設けられている、ものである。
【0016】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記複数の駆動信号供給線は、電気信号を伝送する電気信号線である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、機体の組立て時における制御弁装置の取付を容易化することができ、組立て作業の効率を向上させた建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る掘削作業機の左側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る掘削作業機の油圧システムの構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る掘削作業機のコントロールバルブ組付けユニットを示す説明図である。
図4】本発明の一実施形態に係る掘削作業機のコントロールバルブ組付けユニットを示す説明図である。
図5】本発明の一実施形態に係る掘削作業機のコントロールバルブ組付けユニットを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は建設機械の機体の組立てに際し、制御弁装置の組付け単位を工夫することにより、組立て効率を向上させるものである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
本発明の実施の形態では、本発明に係る建設機械として、旋回作業車である掘削作業機(ショベル)を例にとって説明する。ただし、本発明に係る建設機械には、掘削作業機に限らず、例えば、ブルドーザ、クレーン作業機、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ、ホイールローダ等の他の建設機械も含まれる。
【0021】
本発明の一実施形態に係る掘削作業機1の全体構成について、図1を用いて説明する。なお、以下では、特に方向視を定めない限り、掘削作業機1の運転席に着座したオペレータの位置を基準に、「前側」、「後側」、「左右側」、「平面側」又は「上側」、「底面側」又は「下側」と称する。
【0022】
図1に示すように、掘削作業機1は、比較的小型のいわゆるショベルであり、自走可能な走行車体2と、走行車体2に取り付けられた作業装置としての掘削装置3および排土装置4を備える。
【0023】
掘削作業機1は、左右一対のクローラ式の走行部5,5と、左右の走行部5,5を支持する基台としてのトラックフレーム6と、トラックフレーム6上に設けられた旋回フレーム7とを有する。
【0024】
走行部5は、トラックフレーム6を構成する所定のフレーム部分に支持された複数のスプロケット等の回転体に履帯を巻回した構成を有する。走行部5は、後端部に回転体としての駆動スプロケット5aを有する。トラックフレーム6は、左右の走行部5,5間に位置するセンターフレーム部6aと、センターフレーム部6aの左右両側に設けられたサイドフレーム部6bとを有する。
【0025】
左右の走行部5,5は、左右一対の走行用油圧モータ44,44により駆動する。走行用油圧モータ44は、作動油を供給されることで駆動する油圧アクチュエータである。走行用油圧モータ44は、各走行部5において、トラックフレーム6のサイドフレーム部6b等の所定の部位に取り付けられた状態で設けられており、駆動スプロケット5aを回転駆動させる。左右の走行用油圧モータ44,44がそれぞれ走行部5,5を動作させることで、掘削作業機1の前後直進走行や左右旋回走行が行われる。
【0026】
トラックフレーム6の前側には、排土装置4が取り付けられている。排土装置4は、左右の走行部5,5間において前後方向に伸延する一対の支持フレーム4bと、支持フレーム4bの先端側に設けられた排土板としてのブレード4aとを有する。排土装置4は、支持フレーム4bとトラックフレーム6との間に設けられたブレードシリンダ(図示せず)によって昇降回動可能に設けられている。
【0027】
旋回フレーム7は、平面視略円形状に構成され、トラックフレーム6に対して、トラックフレーム6の上側に設けられた旋回支持部である。旋回フレーム7は、旋回ベアリング6cを介してトラックフレーム6に支持され、旋回モータの駆動により、上下方向の軸線回りに左右いずれの方向にも旋回可能に設けられている。旋回モータは、作動油を供給されることで駆動する油圧アクチュエータである。
【0028】
旋回フレーム7の後下部には、カウンタウエイト7aが設けられている。また、旋回フレーム7は、左右の走行部5,5の左右幅内、つまり左側の走行部5の左外側縁端と右側の走行部5の右側縁端との間の幅内で旋回可能に構成されている。これにより、掘削作業機1による小旋回作業が可能となっている。
【0029】
旋回フレーム7上には、運転部10が設けられている。運転部10の右側には、タンク部9が設けられている。タンク部9には、掘削作業機1が有する油圧シリンダおよび油圧モータ等の油圧アクチュエータに供給される作動油を収容する作動油タンク41(図2参照)が設けられている。運転部10の床部8の左側が、運転部10に対するオペレータの乗降口となっている。また、旋回フレーム7上の後部には、駆動源として、原動機であるエンジン12が設けられている。エンジン12は、例えばディーゼルエンジンである。旋回フレーム7の後部および右側面はボンネットおよび外装カバーによって覆われ、その内部はエンジン12等を収容する機関室となっている。
【0030】
運転部10は、掘削装置3、排土装置4および走行部5を運転・操作するためのものである。旋回フレーム7上には、運転部10に対してキャノピ13が設けられている。キャノピ13は、旋回フレーム7の後部上方に立設された左右一対の支柱部36,36と、支柱部36,36に支持され前方に張り出して設けられたキャノピルーフ部38とを有する。キャノピルーフ部38は、運転部10を上方から覆っている。
【0031】
運転部10においては、床部8の後側に運転席支持台14が設けられており、運転席支持台14上に運転席15が設けられている。運転席15の前方には、オペレータが把持するグリップが先端に設けられた左右一対の操作レバーを有する走行レバー装置30が設けられている。床部8上において、走行レバー装置30を挟んだ左右両側には、作業用の複数の操作ペダル16が配設されている。また、運転部10において、運転席15の周囲には、掘削装置3等の作業装置を操作するための作業操作レバーであるサイドレバー17およびスイッチ等の各種操作部を有する操作パネル部等が設けられている。
【0032】
走行レバー装置30、操作ペダル16およびサイドレバー17は、電気式の操作装置である。これらの操作装置は、オペレータの操作量に応じた電気信号をコントローラ40(図2参照)に出力する。
【0033】
運転部10の前端には、正面視略門型に中実の丸棒または中空の鋼管を曲げ加工して形成した柵部材31が設けられている。また、柵部材31の下側には、泥除け板部32が取り付けられている。柵部材31は、オペレータが前方の作業対象を確認するために前傾姿勢となったときに体を支える柵としての役割を果たすとともに、オペレータが運転部10に対して乗降するときの手摺りとしての役割を果たす。
【0034】
掘削装置3は、掘削作業機1の前側に設けられたフロント作業装置である。旋回フレーム7の前端の左右中央部には、掘削装置3を支持する支持ブラケット18が前方に向けて突設されている。支持ブラケット18に、掘削装置3の基端部をなすブーム支持ブラケット19が、上下方向を回動軸方向として回動可能に支持させている。掘削装置3は、ブーム支持ブラケット19と旋回フレーム7との間に設けられたスイング用油圧シリンダ(図示せず)により、旋回フレーム7に対して左右にスイングするように設けられている。
【0035】
掘削装置3は、側面視でブーメラン状に屈曲した形状を有し掘削装置3の基部側の部分を構成するブーム21と、ブーム21の先端側に連結されたアーム22と、アーム22の先端部に取り付けられたバケット23とを有する。掘削装置3は、ブーム21を回動動作させるブームシリンダ26と、アーム22を回動動作させるアームシリンダ27と、バケット23を回動動作させる作業具シリンダ28とを有する。これらのシリンダは、いずれも油圧シリンダである。掘削装置3においては、作業内容に応じてバケット23に替えてグラップルまたはブレーカ等の他の装置が装着される。
【0036】
以上のような構成を備えた掘削作業機1においては、運転席15に着座したオペレータにより座席の前方に設置された走行レバー装置30、座席の側方に設置されたサイドレバー17、および、床部8に設置された操作ペダル16が適宜操作されることで、所望の動作・作業が行われる。
【0037】
掘削作業機1の油圧システムについて、図2を参照して説明する。なお、図2においては、油圧システムの主要な構成を示し、油圧アクチュエータとしてはブームシリンダ26を示し、他の油圧アクチュエータの図示を省略している。また、図2においては作動油ライン42を一点鎖線で、パイロットライン43を破線で、駆動信号供給線である電気信号ライン45を実線でそれぞれ示している。
【0038】
油圧システムは、メインポンプ46と、パイロットポンプ47と、コントロールバルブ50と、コントローラ40を含む。メインポンプ46とパイロットポンプ47はエンジン12と機械的に接続されており、エンジン12により駆動される。
【0039】
コントロールバルブ50は、メインポンプ46から吐出された作動油を、走行レバー装置30、操作ペダル16およびサイドレバー17等の操作装置の操作状態に応じて、対応する油圧アクチュエータに供給する制御弁装置である。コントロールバルブ50には、メインポンプ46の動作により作動油ライン42を通じて作動油が供給される。なお、コントロールバルブ50は、例えば、旋回フレーム7における運転部10の下に配置される(図1参照)。
【0040】
コントロールバルブ50は、ブームシリンダ26等の油圧アクチュエータに対応する複数の方向切換弁51a,51b,51c,51d,51e,51f,51g,51h,51i(以下、これらを総称する場合には方向切換弁51と呼称する。)から構成され、各油圧アクチュエータに対して選択的に作動油の給排を制御する。コントロールバルブ50は、各方向切換弁51に対応させて設けられた電磁比例減圧弁52a,52b,52c,52d,52e,52f,52g,52h,52i,53a,53b,53c,53d,53e,53f,53g,53h,53i(以下、これらを総称する場合には電磁比例減圧弁52,53と呼称する。)を有する。電磁比例減圧弁52,53は、パイロットポンプ47からの元圧を減圧して操作パイロット圧を生成する。コントロールバルブ50において、電磁比例減圧弁52,53から対応する方向切換弁51のパイロットポートに操作パイロット圧を入力し対応する方向切換弁51を動作させることで、メインポンプ46から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向が制御される。
【0041】
パイロットポンプ47と電磁比例減圧弁52,53との間のパイロットライン43には、圧力遮断弁54が設けられている。圧力遮断弁54は、コントローラ40からの制御信号により開閉動作が制御される。
【0042】
コントローラ40は、電子部品を配置した基板等が収容された制御装置の一例であり、各操作装置の操作信号を、電磁比例減圧弁52を駆動する駆動信号(制御信号)に変換する機能が任意のハードウェア、ソフトウェア若しくはそれらの組み合わせにより実現されるものであればよい。例えば、コントローラ40は、演算装置とメモリを含み、メモリに格納したプログラムを演算装置で実行するものであってもよい。
【0043】
コントロールバルブ50の支持構造について、図3図5を参照して説明する。図3は、コントロールバルブ50を含むコントロールバルブ組付けユニット60の前面上方視の斜視図であり、図4は、その底面側からの斜視図である。また、図5は、コントロールバルブ組付けユニット60の背面側からの斜視図である。なお、本実施形態に係る掘削作業機1では、コントロールバルブ組付けユニット60の前面が機体の略前面側を向くように旋回フレーム7の底板に配置されるが、機体の重量等に応じて旋回フレーム7上のコントロールバルブ組付けユニット60の配置は適宜変更される。したがって、図中に示すコントロールバルブ組付けユニット60における前後、左右、上下の方向は必ずしも掘削作業機1の各方向と一致するものではない。
【0044】
コントロールバルブ組付けユニット60は、掘削作業機1の組立て作業におけるコントロールバルブ50の組付け単位であり、コントロールバルブ50と、コントローラ40とコントロールバルブ50とを接続するハーネス80を、予め一体としてユニット化したものである。コントロールバルブ組付けユニット60は、コントロールバルブ50と、コントロールバルブ50を支持する支持板61と、コントロールバルブ50を駆動する信号を供給する駆動信号供給線としてのハーネス80と、ハーネス80の配策を案内するガイド部材62とを備える。
【0045】
コントロールバルブ50は、少なくとも3方向に複数の接続用のポートが形成された略直方体状の外観形状を有し、作動油ライン42を構成する油圧ホースを接続する複数の油圧ポート55と、パイロットライン43を構成する油圧ホースを接続する複数のパイロットポート56と、電気信号ライン45を構成するハーネス80を接続する複数の信号用ポート57を備える。
【0046】
コントロールバルブ50の上方側には、各方向切換弁51の供給側と排出側に対応する数の複数の油圧ポート55が設けられている。各油圧ポート55には、各油圧ホースを異なる高さ位置および異なる向きで接続可能とするホース接続部58が上方に突出させて設けられている。
【0047】
コントロールバルブ50の左右の側面には、複数のパイロットポート56が水平方向に列設されている。各油圧ホースは、該油圧ホースを異なる向きで接続可能とするホース接続部59を介して各パイロットポート56に接続される。さらにパイロットポート56の上方には、複数の信号用ポート57が列設されている。複数の信号用ポート57の各々には、後述するハーネス80の対応する枝線部84,85が接続される。
【0048】
支持板61は、コントロールバルブ50を下方から支持するものであり、板金により形成されている。支持板61は、略矩形状の外形を有し、軽量化の為に、開口部63が設けられている。開口部63は、図4に示すように、例えば、支持板61の外形の長辺方向を長さ方向とする3個の長孔である。支持板61の左右の長辺側には、ガイド部材62が立設されている。また、支持板61には、複数のネジ孔が設けられ、コントロールバルブ50をボルト91により支持板61に固定するとともに、支持板61をボルト92により旋回フレーム7の底板に固定可能となっている。
【0049】
ガイド部材62は、金属の丸棒を略U字状に屈曲させて形成させたものであり、一対の柱部62a、62bと、一対の柱部62a、62bに架け渡された梁部62cとから構成される。一対の柱部62a、62bの下端部を支持板61の上面に溶接等により固定することにより、ガイド部材62がコントロールバルブ50の左側方および右側方に配置される。すなわち、一対のガイド部材62がコントロールバルブ50を挟んで設けられる。なお、ガイド部材62において、梁部62cは、前後方向に列設された複数の信号用ポート57に対向配置される高さとなるように配置される。
【0050】
ハーネス80は、電力供給線および駆動信号供給線である電気信号線等の電線をチューブでまとめて一束としたものである。ハーネス80は、コントロールバルブ50とコントローラ40とを電気的に接続している。ハーネス80は、コントローラ40から延びる主幹線部81と、主幹線部81から分岐しコントロールバルブ50の左右に導かれる左幹線部82および右幹線部83と、左幹線部82から各信号用ポート57に接続される複数の枝線部84と、右幹線部83から各信号用ポート57に接続される複数の枝線部85を有する。また、主幹線部81から、左幹線部82および右幹線部83を分岐させた分岐位置からは、圧力遮断弁54に接続する枝線部86が分岐している。
【0051】
左幹線部82および右幹線部83は、複数の保持部68により保持されることにより、ガイド部材62の梁部62cに沿って配策経路が確保される。また、複数の保持部68の各々は、枝線部84の分岐位置とは異なる左幹線部82、および、枝線部85の分岐位置とは異なる右幹線部83を、ガイド部材62の梁部62cに固定する。これにより、左幹線部82および右幹線部83は、支持板61と複数の信号用ポート57の列設位置との間の位置で保持部68により保持されてガイド部材62により案内される。なお、本実施形態では、保持部68として結束バンドを採用しているが、例えば、カシメリング若しくはテープ部材を用いてもよい。また、各ガイド部材62に対して設けられる保持部68の数は特に限定されない。
【0052】
左幹線部82から分岐した複数の枝線部84、および、右幹線部83から分岐した複数の枝線部85は、各枝線部85の先端に設けたコネクタを介して対応する信号用ポート57に接続される。
【0053】
このような、コントロールバルブ50とハーネス80が支持板61上にガイド部材62を介して一体的に設けられたコントロールバルブ組付けユニット60を旋回フレーム7に取り付けるときには、支持板61をボルト92の締結により、旋回フレーム7の底板に固定する。
【0054】
図3図5を参照して説明したように、コントロールバルブ組付けユニット60は、支持板61に一対のガイド部材62,62を設けたことで、コントロールバルブ50の信号用ポート57に対向する位置のガイド部材62の梁部62cに、ハーネス80の左幹線部82および右幹線部83をそれぞれ沿わせて保持させることができる。このため、コントロールバルブ組付けユニット60を旋回フレーム7に取り付ける際に、コントロールバルブ50の信号用ポート57に枝線部84,85をそれぞれ接続した状態でも、各枝線部84,85,左幹線部82および右幹線部83に引張負荷および/または曲げ負荷がかかることがない。
【0055】
また、コントロールバルブ50において、油圧ポート55はガイド部材62と対向する面とは異なる面に配置され、複数のパイロットポート56はガイド部材62の梁部62cと異なる高さ位置に設けられている。これにより、コントロールバルブ組付けユニット60を旋回フレーム7に取付た後の油圧ホースの接続においても、油圧ホースがハーネス80に接触することによる断線を防ぐことができる。
【0056】
本実施形態に係る掘削作業機1では、コントロールバルブ50とハーネス(電気配線)80を予め一体化させたコントロールバルブ組付けユニット60とすることで、掘削作業機1の組立作業の作業効率を向上させることができる。
【0057】
なお、本実施形態に係る掘削作業機1のコントロールバルブ組付けユニット60は、支持板61にガイド部材62を設けているが、ガイド部材62は、コントロールバルブ50とハーネス80を一体化して保持できるものであれば、コントロールバルブ50側に設けてもよい。
【0058】
また、本実施形態に係る掘削作業機1のように、操作ペダル16、サイドレバー17および走行レバー装置30に電気式の操作装置を採用した場合には、特に、組立て作業の効率を向上させる。すなわち、操作装置の電気製品化により、油圧経路(作動油ライン42、パイロットライン43)とは別に、コントロールバルブ50を電気制御するため、コントロールバルブ50とコントローラ40との間を電気信号線(ハーネス80)で接続する必要が生じる。ハーネス80は油圧ホースと性質が異なり、油圧ホースよりも外的衝撃に弱い。このため、コントロールバルブ50とハーネス80を支持板61およびガイド部材62により予め一体とすることで、その後の油圧ホースのコントロールバルブ50への接続作業を、油圧ホースがハーネス80に物理的に干渉することを回避しつつ、スムーズに行うことが可能となる。また、ガイド部材62によりコントロールバルブ50の信号用ポート57に近い位置にハーネス80を固定できることから、掘削作業機1を掘削作業のために動作させたときに発生する、油圧アクチュエータへの油圧の供給による油圧ホースの脈動の影響がハーネス80に及ぶことを回避することができる。
【0059】
以上のような構成を備えた本実施形態に係る掘削作業機1は、次のような構成を備えていると言える。すなわち、掘削作業機1は、複数の油圧アクチュエータ(走行用油圧モータ44,44、旋回モータ、ブームシリンダ26、アームシリンダ27、作業具シリンダ28、ブレードシリンダ、スイングシリンダ)と、複数の油圧アクチュエータの各々に対して圧油の給排を制御する制御弁装置(コントロールバルブ50)と、制御弁装置(コントロールバルブ50)を支持する支持板61と、制御弁装置(コントロールバルブ50)を駆動する信号を供給する駆動信号供給線(ハーネス80)と、支持板61に配設され、複数の駆動信号供給線(ハーネス80)を案内するガイド部材62を備えている。
【0060】
このような構成の掘削作業機1によれば、制御弁装置(コントロールバルブ50)と駆動信号供給線(ハーネス80)とをガイド部材62を配設した支持板61に予め一体化させたユニットとすることで、掘削作業機1の組立作業の作業効率を向上させることができる。また、支持板61には、制御弁装置操作用の駆動信号供給線(ハーネス80)を介してコントローラ40に接続される制御弁装置(コントロールバルブ50)の動作に関連する周辺機器(例えば、圧力遮断弁54等の他の電磁式制御弁)を制御弁装置(コントロールバルブ50)と一体的に設けることもできる。これにより、組立て作業時の駆動信号供給線(ハーネス80)の配策がより容易になる。
【0061】
なお、本実施形態では、駆動信号供給線としてハーネス80を例に説明したが、駆動信号供給線は、駆動信号として油圧(パイロット圧)を入力する油圧ホースであってもよい。
【0062】
掘削作業機1の制御弁装置(コントロールバルブ50)は、複数の駆動信号供給線(ハーネス80)の各々を接続する複数のポート(信号用ポート57)を有し、平面視においてガイド部材62は、複数のポート(信号用ポート57)の側方に配置される、ものである。
【0063】
このような構成の掘削作業機1によれば、ハーネス80を曲げ負荷等を受けやすい信号用ポート57に近い位置に固定することができ、ハーネス80の損傷の発生率を低下させることができる。
【0064】
掘削作業機1において、ガイド部材62は、複数のポート(信号用ポート57)の下方に配置されているものである。
【0065】
このような構成の掘削作業機1によれば、ガイド部材62により、ハーネス80は信号用ポート57より低い位置に水平方向に配置されることになる。これにより、例えばハーネス80に水分が付着した場合に、ハーネス80から伝ってきた水滴が信号用ポート57に溜まることが防止され、電気ショート等のトラブルを回避することが可能となる。
【0066】
掘削作業機1において、ガイド部材62は、複数の駆動信号供給線(ハーネス80)を保持する保持部68を有し、保持部68がコントロールバルブ50の側部に配置されたパイロット圧が入力される油圧ポート(パイロットポート56)の上方に配置されている、ものである。さらに、ガイド部材62は、支持板61から立ち上がる一対の柱部62a,62bと、一対の柱部62a,62bの間に架け渡された梁部62cを有し、保持部68は、梁部62cに配置されている、ものである。
【0067】
このような構成の掘削作業機1によれば、駆動信号供給線(ハーネス80)は保持部68によりガイド部材62に沿って配策されることから、掘削作業機1の組立て時、より具体的には、旋回フレーム7への制御弁装置(コントロールバルブ50)を支持した支持板61の取り付け時に、駆動信号供給線(ハーネス80)に曲げ負荷がかかることが回避され、ハーネス80の損傷(断線)を防止できる。また、掘削作業機1を組立てた後の掘削作業時等においても、同様に、駆動信号供給線(ハーネス80)の損傷を防止することができる。また、梁部62cに沿って所定の高さ位置でハーネス80を配策できることから、複数の信号用ポート57のそれぞれとハーネス80との間の距離が一定に保たれ、ハーネス80の一部に負荷がかかることを防止することができる。
【0068】
制御弁装置(コントロールバルブ50)の複数のポート(信号用ポート57)は、制御弁装置(コントロールバルブ50)の異なる側面(右側面および左側面)に対をなすように列設され、ガイド部材62は、制御弁装置(コントロールバルブ50)の異なる側面のそれぞれに対向するように一対設けられている、ものである。
【0069】
このような構成の掘削作業機1によれば、制御弁装置(コントロールバルブ50)がスプールを移動させることにより油圧の流路を切り換える方向切換弁51を複数備えた装置の場合、スプールの両端側に対向して設けられた信号用ポート57に、それぞれ駆動信号を入力することができる。
【0070】
なお、上述した実施形態では、支持板61に一対のガイド部材62,62が設けられている例について説明したが、これに限定されない。制御弁装置(コントロールバルブ50)における方向切換弁51の配置および駆動方式等により、略直方体状の制御弁装置(コントロールバルブ50)の一の面に、信号用ポート57が集約された配置されている場合には、ガイド部材62は1つであってもよい。また、上述した実施形態では、駆動信号が電気信号によるものについて説明したが、これに限定されない。例えば、駆動信号がパイロット圧によるものであってもよい。すなわち、パイロット圧を供給するパイロット配管をガイド部材62に支持させてもよい。
【0071】
また、制御弁装置(コントロールバルブ50)に接続される複数の駆動信号供給線(ハーネス80)は、当該複数の駆動信号供給線を束ねた幹線部(主幹線部81、左幹線部82、右幹線部83)と、幹線部から1本の駆動信号供給線に分岐した枝線部84,85とを形成し、保持部68は、枝線部84,85の分岐位置とは異なる位置において、幹線部(左幹線部82、右幹線部83)をガイド部材62に保持させている、ものである。また、複数の駆動信号供給線(ハーネス80)は、電気信号を伝送する電気信号線である。
【0072】
このような構成の掘削作業機1によれば、外部衝撃に対して脆弱な枝線部84,85の分岐位置を避けた状態で、左幹線部82および右幹線部83をガイド部材62に保持部68を介して保持させることができる。
【0073】
また、制御弁装置(コントロールバルブ50)を支持する支持板61には、開口部63が設けられている、ものである。このような構成の掘削作業機1によれば、支持板61を軽量化することで、制御弁装置(コントロールバルブ50)およびハーネス80を一体化したコントロールバルブ組付けユニットを軽量化することができる。また、コントロールバルブ組付けユニットを旋回フレーム7に組付ける際に、支持板61の上側から開口部63を介して旋回フレーム7側の被組付け部分を視認することが可能となるので、良好な組付け作業性が得られ、掘削作業機1の組立作業の効率を向上させることができる。
【0074】
上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明に係る建設機械は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、本開示に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0075】
なお、本発明は、以下の態様をとることができる。
(付記1)
複数の油圧アクチュエータと、
前記複数の油圧アクチュエータの各々に対して圧油の給排を制御する制御弁装置と、
前記制御弁装置を支持する支持板と、
前記制御弁装置を駆動する信号を供給する複数の駆動信号供給線と、
前記支持板に配設され、前記複数の駆動信号供給線を案内するガイド部材
を備える建設機械。
(付記2)
前記制御弁装置は、前記複数の駆動信号供給線の各々を接続する複数のポートを有し、
平面視において前記ガイド部材は、前記複数のポートの側方に配置される、
(付記1)に記載の建設機械。
(付記3)
前記ガイド部材は、前記複数のポートの下方に配置されている
(付記1)または(付記2)に記載の建設機械。
(付記4)
前記ガイド部材は、前記複数の駆動信号供給線を保持する保持部を有し、
前記保持部が前記制御弁装置の側部に配置されたパイロット圧が入力される油圧ポートの上方に配置されている、
(付記1)から(付記3)の何れかに記載の建設機械。
(付記5)
前記ガイド部材は、前記支持板から立ち上がる一対の柱部と、一対の柱部の間を掛け渡す梁部を有し、前記保持部は前記梁部に配置されている、
(付記4)に記載の建設機械。
(付記6)
前記複数のポートは、前記制御弁装置の異なる側面に対をなすように列設され、
前記ガイド部材は、前記制御弁装置の異なる側面のそれぞれに対向するように一対設けられている、
(付記1)から(付記5)のいずれかに記載の建設機械。
(付記7)
前記複数の駆動信号供給線は、当該複数の駆動信号供給線を束ねた幹線部と、前記幹線部から1本の駆動信号供給線に分岐した枝線部とを形成し、
前記保持部は、前記枝線部の分岐位置とは異なる位置において、前記幹線部を前記ガイド部材に保持させる、
(付記4)から(付記6)のいずれかに記載の建設機械。
(付記8)
前記支持板には、開口部が設けられている、
(付記1)から(付記7)のいずれかに記載の建設機械。
(付記8)
前記複数の駆動信号供給線は、電気信号を伝送する電気信号線である、
(付記1)から(付記8)のいずれかに記載の建設機械。
【符号の説明】
【0076】
1 掘削作業機(作業機械)
2 走行車両
3 掘削装置
5 走行部
7 旋回フレーム
8 床部
9 タンク部
10 運転部
12 エンジン
13 キャノピ
14 運転席支持台
15 運転席
16 操作ペダル
17 サイドレバー
26 ブームシリンダ
27 アームシリンダ
28 作業具シリンダ
30 走行レバー装置
40 コントローラ
44 油圧モータ
50 コントロールバルブ(制御弁装置)
51 方向切換弁
52 電磁比例減圧弁
53 電磁比例減圧弁
54 圧力遮断弁
55 油圧ポート
56 パイロットポート(油圧ポート)
57 信号用ポート(ポート)
60 コントロールバルブ組付けユニット
61 支持板
62 ガイド部材
62a 柱部
62b 柱部
62c 梁部
63 開口部
68 保持部
80 ハーネス
82 左幹線部
83 右幹線部
84 枝線部
85 枝線部
図1
図2
図3
図4
図5