(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126103
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】認識処理装置および認識処理方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240912BHJP
G06T 5/70 20240101ALI20240912BHJP
G06V 10/22 20220101ALI20240912BHJP
G06V 20/58 20220101ALI20240912BHJP
【FI】
G06T7/00 650B
G06T5/00 705
G06V10/22
G06V20/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034272
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】小倉 卓也
【テーマコード(参考)】
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
5B057AA16
5B057BA08
5B057CA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB02
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC03
5B057CE03
5B057CE05
5B057DB02
5B057DB05
5B057DB09
5L096AA06
5L096BA04
5L096CA02
5L096DA02
5L096EA03
5L096EA06
5L096GA51
5L096GA55
5L096HA11
5L096JA03
5L096JA11
5L096JA24
(57)【要約】
【課題】画像認識処理において人物をより適切に検出する。
【解決手段】認識処理装置10は、赤外線カメラによって撮像される映像を取得する映像取得部12と、映像の一部である特定範囲に、特定範囲外とは異なる画像処理を適用する画像処理部14と、画像処理が適用された映像を用いて、映像に含まれる人物を検出する人物検出部16と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線カメラによって撮像される映像を取得する映像取得部と、
前記映像の一部である特定範囲に、前記特定範囲外とは異なる画像処理を適用する画像処理部と、
前記画像処理が適用された映像を用いて、前記映像に含まれる人物を検出する人物検出部と、
を備える認識処理装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記特定範囲のコントラストおよび解像度の少なくとも一方を低下させる画像処理を前記映像に適用する、
請求項1に記載の認識処理装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記特定範囲外のコントラストおよび解像度の少なくとも一方を増加させる画像処理を前記映像に適用する、
請求項2に記載の認識処理装置。
【請求項4】
前記映像の撮像位置を示す位置情報、前記撮像位置の周囲に存在する建造物を示す地図情報、前記映像の撮像日時を示す時間情報、および前記映像の撮像方向を示す方位情報の少なくとも一つを用いて、前記特定範囲を検出する特定範囲検出部をさらに備え、
前記画像処理部は、前記特定範囲検出部によって検出された前記特定範囲に前記画像処理を適用する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の認識処理装置。
【請求項5】
赤外線カメラによって撮像される映像を取得するステップと、
前記映像の一部である特定範囲に、前記特定範囲外とは異なる画像処理を適用するステップと、
前記画像処理が適用された映像を用いて、前記映像に含まれる人物を検出するステップと、
を認識処理装置が実行する認識処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認識処理装置および認識処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の周囲を赤外線カメラで撮像し、撮像される映像に含まれる人物をパターンマッチング等の画像認識技術を用いて検出する技術が知られている。人物の誤検出を防ぐために、例えば、映像の一部範囲である区画の位置および大きさに基づいて、区画内に人物が存在する可能性を示すスコアを調整する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
映像に含まれる道路照明灯などの熱源の位置や大きさによっては、道路照明灯などが人物として誤検出されてしまう場合があった。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、画像認識処理において人物をより適切に検出する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の認識処理装置は、赤外線カメラによって撮像される映像を取得する映像取得部と、映像の一部である特定範囲に、特定範囲外とは異なる画像処理を適用する画像処理部と、画像処理が適用された映像を用いて、映像に含まれる人物を検出する人物検出部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、認識処理方法である。この方法は、赤外線カメラによって撮像される映像を取得するステップと、映像の一部である特定範囲に、特定範囲外とは異なる画像処理を適用するステップと、画像処理が適用された映像を用いて、映像に含まれる人物を検出するステップと、を認識処理装置が実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像認識処理において人物をより適切に検出する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る認識処理装置の機能構成を模式的に示すブロック図である。
【
図2】画像処理部による画像処理前の映像の一例を示す図である。
【
図3】画像処理部による画像処理後の映像の一例を示す図である。
【
図4】人物を検出するための切出領域の一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る認識処理方法の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態に係る認識処理装置の機能構成を模式的に示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態に係る認識処理方法の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。かかる実施の形態に示す具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、図面において、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る認識処理装置10の機能構成を模式的に示すブロック図である。認識処理装置10は、映像取得部12と、画像処理部14と、人物検出部16とを備える。認識処理装置10は、表示制御部18をさらに備えてもよい。認識処理装置10は、例えば、車両などの移動体に搭載され、車両の周囲における歩行者などの人物を検出する。本実施の形態では、認識処理装置10が車両に搭載される場合について例示する。
【0012】
本実施形態において示される各機能ブロックは、例えば、ハードウェアおよびソフトウェアの連携によって実現されうる。認識処理装置10のハードウェアは、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサおよびROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリをはじめとする素子や機械装置で実現される。認識処理装置10のソフトウェアは、コンピュータプログラム等によって実現される。
【0013】
映像取得部12は、カメラ20が撮像した映像を取得する。カメラ20は、移動体に搭載され、移動体の周囲の画像を撮像する。カメラ20は、例えば、移動体の前方の画像を撮像する。カメラ20は、移動体の後方を撮像してもよいし、移動体の側方を撮像してもよい。認識処理装置10は、カメラ20を備えてもよいし、カメラ20を備えなくてもよい。
【0014】
カメラ20は、赤外線を撮像するよう構成される赤外線カメラである。カメラ20は、いわゆる赤外線サーモグラフィであり、移動体の周辺の温度分布を画像化し、移動体の周辺に存在する熱源を特定できるようにする。カメラ20は、波長2μm~5μm程度の中赤外線を検出するよう構成されてもよいし、波長8μm~14μm程度の遠赤外線を検出するよう構成されてもよい。本実施の形態において、カメラ20は、遠赤外線による熱画像を撮像するカメラとして説明する。カメラ20が撮像する映像は、例えば、毎秒30フレームなどの動画像である。
【0015】
画像処理部14は、映像取得部12が取得した映像に画像処理を適用する。画像処理部14は、映像の一部である特定範囲に対し、特定範囲外とは異なる画像処理を適用する。ここで、特定範囲とは、映像において人物が存在する可能性が低い範囲であり、例えば映像の上部に設定される。画像処理部14は、特定範囲のコントラストや解像度を低下させる画像処理を適用する。コントラストや解像度を低下させる画像処理により、画像処理後の特定範囲における人物検出精度が低くなるようにする。
【0016】
画像処理部14は、特定範囲の外側である非特定範囲に対し、コントラストや解像度を低下させる画像処理を適用しない。画像処理部14は、非特定範囲のコントラストや解像度を増加させる画像処理を適用してもよい。画像処理部14は、コントラストや解像度を低下させる画像処理により、画像処理後の非特定範囲における人物検出精度が高くなるようにする。
【0017】
画像処理部14は、例えば所定のトーンカーブを適用することにより、映像のコントラストを調整できる。この場合、特定範囲と特定範囲外に適用されるトーンカーブの形状やパラメータ値が異なる。画像処理部14は、例えば平滑化フィルタやエッジ強調フィルタといったシャープネスフィルタを適用することにより、映像の解像度を調整できる。この場合、特定範囲と特定範囲外に適用されるフィルタの種類やパラメータ値が異なる。
【0018】
図2は、画像処理部14による画像処理前の映像50の一例を示し、映像取得部12が取得した映像である。
図2の映像50は、トンネル内の走行中に撮像されたものである。
図2の映像50を人物検出部16にそのまま入力した場合、トンネルの天井に設置される道路照明灯を含む区画52が人物として誤検出されることがある。誤検出の原因として、道路照明灯の点灯箇所が人物の頭部として誤認識され、点灯箇所の下部に縦長に存在する構造が人物の胴体や脚部として誤認識されることが考えられる。
【0019】
図3は、画像処理部14による画像処理後の映像54の一例を示し、
図2の映像50に画像処理を適用した映像である。
図3の例では、映像54の上部が特定範囲56であり、それ以外が非特定範囲58である。特定範囲56の高さh1は、例えば、映像54の全体の高さhの10%以上50%以下であり、例えば全体の高さhの20%~40%程度である。特定範囲56には、コントラストおよび解像度を低下させる画像処理が適用されている。一方、非特定範囲58には、コントラストおよび解像度を低下させる画像処理が適用されていない。
図3の例では、非特定範囲58のコントラストや解像度は調整されていないが、非特定範囲58のコントラストや解像度を増加させる画像処理が適用されてもよい。
図3の例では、特定範囲56を矩形の範囲として設定したが、人物が存在する可能性が低い範囲に合わせて、様々な形状の特定範囲が設定されてもよい。また、特定範囲は、複数設定されてもよい。例えば、複数に分割された特定範囲が設定されてもよい。
【0020】
画像処理部14は、特定範囲56内の位置に応じて、画像処理の強度(例えばパラメータ値)を変化させてもよい。画像処理部14は、例えば、特定範囲56内の上下方向の位置に応じて、画像処理の強度を段階的または連続的に変化させてもよく、例えば上側の位置になるほど画像処理の強度が大きくなるようにしてもよい。この場合、特定範囲56の下端ではコントラストや解像度の低下量が相対的に小さくなり、特定範囲56の上端ではコントラストや解像度の低下量が相対的に大きくなる。言い換えれば、特定範囲56内において、非特定範囲58に近いほどコントラストや解像度の低下量が小さくなり、非特定範囲58から遠いほどコントラストや解像度の低下量が大きくなる。
【0021】
図1に戻り、人物検出部16は、画像処理部14による画像処理が適用された映像を用いて、映像に含まれる人物を検出する。人物検出部16は、画像処理が適用された映像の一部領域を切り出し、切り出した一部領域(切出領域ともいう)に人物が含まれる可能性を示す認識スコアを算出する。認識スコアは、例えば0~1の範囲で算出され、切出領域に人物が含まれる可能性が高いほど大きな数値(つまり、1に近い値)となり、切出領域に人物が含まれる可能性が低いほど小さな数値(つまり、0に近い値)となる。人物検出部16は、認識スコアが所定の基準値以上である場合、切出領域において人物を検出する。
【0022】
人物検出部16は、人物の全身像を含む画像を正解画像として使用する機械学習によって生成される人物検出モデルを用いて人物を検出する。機械学習に用いる正解画像は、例えば、縦方向と横方向の画像サイズが2:1となる縦長の矩形画像となるように切り出される。機械学習に用いるモデルは、入力画像の画像サイズ(画素数)に対応する入力と、認識スコアを出力する出力と、入力と出力の間を接続する中間層とを含むことができる。中間層は、畳み込み層、プーリング層、全結合層などを含むことができる。中間層は、多層構造であってもよく、いわゆるディープラーニングが実行可能となるよう構成されてもよい。機械学習に用いるモデルは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて構築されてもよい。なお、機械学習に用いるモデルは上記に限られず、任意の機械学習モデルが用いられてもよい。
【0023】
図4は、人物を検出するための切出領域60,62,64の一例を示す図である。人物検出部16による切出領域は、第1切出領域60のように領域全体が特定範囲56に収まる場合と、第2切出領域62のように領域が特定範囲56と非特定範囲58にまたがる場合と、第3切出領域64のように領域全体が非特定範囲58に収まる場合とがある。
【0024】
第1切出領域60のように切出領域が特定範囲56に収まる場合、特定範囲56のコントラストや解像度が低いために、切出領域において人物が検出される可能性が低くなる。言い換えれば、切出領域において人物のような形状が撮影されていたとしても、その切出領域について出力される認識スコアの数値が低くなる。その結果、特定範囲56における人物の誤検出の可能性を下げることができる。
【0025】
一方、第3切出領域64のように切出領域が非特定範囲58に収まる場合、非特定範囲58のコントラストや解像度が低くないため、切出領域において人物が検出される可能性が高くなる。その結果、非特定範囲58において人物が適切に検出されない可能性を下げることができる。
【0026】
第2切出領域62のように切出領域が特定範囲56と非特定範囲58の双方にまたがる場合、切出領域に含まれる特定範囲56と非特定範囲58の面積割合に応じて、切出領域において人物が検出される可能性が変化する。例えば、切出領域に含まれる特定範囲56の割合が大きい場合には人物が検出される可能性が低くなり、切出領域に含まれる非特定範囲58の割合が大きい場合には人物が検出される可能性が高くなる。その結果、切出領域の上下方向の位置に応じて、人物が誤検出される可能性や人物が適切に検出されなくなる可能性を変化させることができる。
【0027】
図1に戻り、表示制御部18は、映像取得部12が取得した映像に人物検出部16による人物検出結果を付した表示用映像を生成し、生成した表示用映像を表示装置22に表示させる。表示制御部18は、例えば、画像処理部14による画像処理が適用されていない映像(例えば
図2の映像50)に人物検出部16による人物検出結果を付した表示用映像を生成する。表示制御部18は、例えば、人物検出部16によって検出された人物が含まれる領域を示すための枠画像などの付加画像を映像に重畳することにより、表示用映像を生成する。
【0028】
表示装置22は、例えば、移動体に設けられる。表示装置22は、液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)や有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OELD;Organic Electro Luminescence Display)などの画像表示素子を含む。表示装置22は、例えば、移動体が車両の場合、車両の運転者が視認できる位置に配置される。認識処理装置10は、表示装置22を備えてもよいし、表示装置22を備えなくてもよい。
【0029】
図5は、第1実施形態に係る認識処理方法の流れの一例を示すフローチャートである。映像取得部12は、カメラ20が撮像した映像を取得する(ステップS10)。画像処理部14は、取得した映像の一部である特定範囲に、特定範囲外とは異なる画像処理を適用する(ステップS12)。人物検出部16は、画像処理が適用された映像を用いて、映像に含まれる人物を検出する(ステップS14)。表示制御部18は、人物検出部16による人物検出結果を映像に付した表示用映像を生成し、生成した表示用映像を表示装置22に表示させる(ステップS16)。ステップS10からステップS16までの処理は、認識処理装置10が動作している間、または、カメラ20によって映像が撮像されている間、繰り返し実行される。
【0030】
本実施形態によれば、取得した映像において人物が存在する可能性が低い特定範囲のコントラストや解像度を低下させる画像処理を適用することにより、特定範囲において人物が誤検出される可能性を下げることができる。これにより、映像に含まれる人物をより適切に検出することができる。
【0031】
本実施形態によれば、取得した映像において人物が存在する可能性が高い非特定範囲において、コントラストや解像度を増加させる画像処理を適用することにより、非特定範囲において人物が適切に検出されなくなる可能性を下げることができる。これにより、映像に含まれる人物をより適切に検出することができる。
【0032】
本実施形態によれば、映像の一部である特定範囲に所定の画像処理を適用すればよいため、誤検出を防ぐための処理を単純化できる。これにより、人物を検出するための画像処理の負荷を低減でき、処理能力が限られた画像処理回路等を利用して、人物をより適切に検出することができる。
【0033】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る認識処理装置の10Aの機能構成を模式的に示すブロック図である。第2実施形態では、情報取得部24および特定範囲検出部26がさらに設けられる点で、第1実施形態と相違する。以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通的について説明を適宜省略する。
【0034】
認識処理装置10Aは、映像取得部12と、画像処理部14と、人物検出部16と、情報取得部24と、特定範囲検出部26とを備える。認識処理装置10Aは、表示制御部18をさらに備えてもよい。映像取得部12、画像処理部14、人物検出部16および表示制御部18は、第1実施形態と同様に構成されることができる。
【0035】
情報取得部24は、位置情報取得部30を備えてもよい。位置情報取得部30は、位置センサ40によって測位される位置情報を取得する。位置センサ40は、移動体に搭載され、移動体の位置を測定する。位置センサ40は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信モジュールなどである。位置センサ40は、認識処理装置10Aの位置、つまりカメラ20の撮像位置を検出する。認識処理装置10Aは、位置センサ40を含む構成であってもよいし、位置センサ40を含まない構成であってもよい。
【0036】
情報取得部24は、地図情報取得部32を備えてもよい。地図情報取得部32は、地図装置42から地図情報を取得する。地図装置42は、地図情報を記憶する装置であり、例えば、ナビゲーション装置である。地図情報は、高温物体となりうる建造物の位置や形状、高さを示す情報を含む。認識処理装置10Aは、地図装置42を含む構成であってもよいし、地図装置42を含まない構成であってもよい。地図情報取得部32は、図示しない無線通信機能を用いて、外部のサーバ等から地図情報を取得してもよい。
【0037】
情報取得部24は、時間情報取得部34を備えてもよい。時間情報取得部34は、計時装置44から時間情報を取得する。計時装置44は、例えば、現在日時を示す現在時間情報を生成する時計装置である。計時装置44は、カメラ20の撮像日時を出力する。認識処理装置10Aは、計時装置44を含む構成であってもよいし、計時装置44を含まない構成であってもよい。
【0038】
情報取得部24は、方位情報取得部36を備えてもよい。方位情報取得部36は、方位センサ46によって測定される方位情報を取得する。方位センサ46は、移動体に搭載され、移動体の方位を測定する。方位センサ46は、例えば、加速度センサやジャイロセンサであり、移動体の向きまたは方角を検出する。方位センサ46は、カメラ20の撮像方向を検出してもよい。方位センサ46は、移動体が走行する路面の傾斜を検出してもよい。方位センサ46は、カメラ20の撮像方向と水平面の間の仰角を検出してもよい。認識処理装置10Aは、方位センサ46を含む構成であってもよいし、方位センサ46を含まない構成であってもよい。
【0039】
特定範囲検出部26は、情報取得部24が取得する情報を用いて、映像取得部12が取得する映像に含まれる特定範囲を検出する。特定範囲検出部26は、位置情報、地図情報、時間情報、および方位情報の少なくとも一つを用いて、映像における特定範囲を検出する。
【0040】
特定範囲検出部26によって検出される特定範囲は、人物が存在する可能性が低い範囲であってもよい。特定範囲検出部26によって検出される特定範囲は、人物として誤検出される可能性が高い物体(例えば建造物)が存在する可能性が高い範囲であってもよい。人物として誤検出される可能性が高い物体は、例えば、道路やトンネル内の道路照明灯や換気ファン、ビルなどの建造物の室内灯や室外灯、繁華街における電飾看板といった熱源である。
【0041】
特定範囲検出部26は、例えば、位置情報および地図情報を用いて、現在の撮像位置の周囲に存在する熱源を特定する。特定範囲検出部26は、方位情報をさらに用いて、カメラ20の画角に含まれる熱源を特定する。特定範囲検出部26は、時間情報をさらに用いて、カメラ20の画角に含まれる熱源が点灯しているか否かを判定する。例えば、トンネル内の道路照明灯や換気ファンであれば、時間帯によらずに点灯または駆動して常時熱源となることが想定される。一方、屋外の道路照明灯や、建造物の照明灯、繁華街における電飾看板などであれば、夜間のみに点灯して熱源となることが想定される。
【0042】
特定範囲検出部26は、移動体がトンネル内を走行している場合、映像の上部を特定範囲として検出してもよい。特定範囲検出部26は、移動体がトンネル外を走行している場合、夜間である場合に映像の上部を特定範囲として検出してもよい。特定範囲検出部26は、人物が存在する可能性が高い範囲、例えば、映像の下側の範囲を特定範囲の検出対象から除外してもよい。
【0043】
特定範囲検出部26は、方位情報を用いて、検出する特定範囲の位置や大きさを変化させてもよい。例えば、移動体が上り勾配の道路を走行している場合、検出する特定範囲の上下方向の高さh1を相対的に大きくしてもよい。この場合、上り勾配の傾斜が大きくなるほど特定範囲の高さh1を大きくしてもよい。逆に、移動体が下り勾配の道路を走行している場合、検出する特定範囲の上下方向の高さh1を相対的に小さくしてもよい。この場合、下り勾配の傾斜が大きくなるほど特定範囲の高さh1を小さくしてもよい。
【0044】
画像処理部14は、特定範囲検出部26によって特定範囲が検出された場合、検出された特定範囲のコントラストや解像度を低下させる画像処理を映像に適用する。画像処理部14は、検出された特定範囲の外側となる非特定範囲のコントラストや解像度を増加させる画像処理を映像に適用してもよい。したがって、特定範囲が検出される場合、特定範囲と特定範囲外とで映像に適用される画像処理の内容が異なる。
【0045】
画像処理部14は、特定範囲検出部26によって特定範囲が検出されない場合、コントラストや解像度を低下させる画像処理を映像に適用しない。特定範囲検出部26によって特定範囲が検出されない場合、画像処理部14は、映像の全体に対してコントラストや解像度を増加させる画像処理を映像に適用してもよい。したがって、特定範囲が検出されない場合、映像全体に適用される画像処理の内容が共通となる。
【0046】
図7は、第2実施形態に係る認識処理方法の流れの一例を示すフローチャートである。映像取得部12は、カメラ20が撮像した映像を取得する(ステップS20)。情報取得部24は、位置情報、地図情報、時間情報および方位情報の少なくとも一つを取得し、特定範囲検出部26は、情報取得部24によって取得された情報を用いて、映像の一部である特定範囲を検出する(ステップS22)。特定範囲検出部26によって特定範囲が検出された場合(ステップS24のYes)、画像処理部14は、検出された特定範囲に特定範囲外とは異なる画像処理を適用する(ステップS26)。特定範囲検出部26によって特定範囲が検出された場合(ステップS24のNo)、ステップS26の処理がスキップされる。
【0047】
人物検出部16は、映像に含まれる人物を検出する(ステップS28)。人物検出部16は、特定範囲が検出された場合、特定範囲に特定範囲外とは異なる画像処理が適用された映像を用いて、映像に含まれる人物を検出する。人物検出部16は、特定範囲が検出されない場合、画像処理が適用されていない映像を用いて、または、映像の全体に共通の画像処理が適用された映像を用いて、映像に含まれる人物を検出する。表示制御部18は、人物検出部16による人物検出結果を映像に付した表示用映像を生成し、生成した表示用映像を表示装置22に表示させる(ステップS30)。ステップS20からステップS30までの処理は、認識処理装置10が動作している間、または、カメラ20によって映像が撮像されている間、繰り返し実行される。
【0048】
本実施形態によれば、位置情報、地図情報、時間情報および方位情報の少なくとも一つを用いて特定範囲を検出することにより、特定範囲を固定的に設定する場合に比べて、人物が誤検出される可能性や、人物が適切に検出されない可能性を下げることができる。これにより、映像に含まれる人物をより適切に検出することができる。
【0049】
上述した各実施形態において、表示制御部18は、画像処理部14によって特定範囲に画像処理が適用された映像を表示装置22に表示させてもよい。表示制御部18は、画像処理部14によって特定範囲に画像処理が適用された映像に、人物検出結果を付して表示用映像を生成してもよい。このような場合、画像処理部14は、画像処理後の映像に含まれる物体等をユーザが判別可能となる程度、かつ、人物検出部16による誤認識を抑制可能となる程度まで特定範囲のコントラストや解像度を低下させてもよい。
【0050】
上述した各実施形態において、画像処理部14によって特定範囲に画像処理が適用された映像は、人物検出部16による人物検出に使用され、表示制御部18によって表示装置22に表示させる映像は、画像処理部14による特定範囲への画像処理を適用しない映像であってもよい。このような場合に、画像処理部14によって特定範囲に画像処理が適用された映像を用いて人物検出部16が人物を検出した場合、表示制御部18は、画像処理部14による特定範囲への画像処理が適用されていない映像に、人物が含まれる領域を示すための付加画像を重畳させた表示用映像を生成する。
【0051】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態に示す各構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
10,10A…認識処理装置、12…映像取得部、14…画像処理部、16…人物検出部、20…カメラ、26…特定範囲検出部、50…映像、54…映像、56…特定範囲。