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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126106
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】分電盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H02B1/40 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034279
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000109598
【氏名又は名称】テンパール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 悠磨
(72)【発明者】
【氏名】細川 智史
【テーマコード(参考)】
5G211
【Fターム(参考)】
5G211AA11
5G211AA12
5G211AA13
5G211AA14
5G211AA17
5G211BB06
5G211BB12
5G211BB14
5G211EE03
5G211EE05
(57)【要約】
【課題】配線作業を行いやすい分電盤を提供する。
【解決手段】電気機器と、前記電気機器を収容するケースであって、前記ケースの後面を構成し且つ前記ケースを取付面に取り付けた状態で前記取付面に対向する後壁部を有するケースと、を備え、前記後壁部には、前記電気機器に電気的に接続される接続導体を前後方向で前記ケース内に挿入する導体挿入部と、前記後壁部の後面から前側へ凹設される導体ガイド部とが形成され、前記導体ガイド部は、長さ方向の一方が前記導体挿入部に向けて開口し、前記長さ方向の他方が前記ケースの周縁から外方へ向けて開口する、分電盤である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器と、
前記電気機器を収容するケースであって、前記ケースの後面を構成し且つ前記ケースを取付面に取り付けた状態で前記取付面に対向する後壁部を有するケースと、を備え、
前記後壁部には、前記電気機器に電気的に接続される接続導体を前後方向で前記ケース内に挿入する導体挿入部と、前記後壁部の後面から前側へ凹設される導体ガイド部とが形成され、
前記導体ガイド部は、長さ方向の一方が前記導体挿入部に向けて開口し、前記長さ方向の他方が前記ケースの周縁から外方へ向けて開口する、分電盤。
【請求項2】
前記後壁部には複数の前記導体ガイド部が形成され、
隣り合う前記導体ガイド部同士は、前記後壁部の面方向で離間して配置され、
隣り合う前記導体ガイド部の間には、前記後壁部を前記前後方向に貫通する貫通孔が形成されている、請求項1に記載の分電盤。
【請求項3】
複数の前記電気機器が第一方向に並び、
前記導体挿入部は、複数の前記電気機器に対して第二方向の一方側に配置され、
前記導体ガイド部は、前記第一方向に複数配置されるとともに、前記長さ方向が前記第二方向に沿い且つ前記長さ方向の一方が前記第二方向の他方側から前記導体挿入部に向けて開口し、前記長さ方向の他方が前記ケースの前記第二方向の他方縁から前記第二方向の他方側へ向けて開口する、請求項1又は2に記載の分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば、特許文献1記載の分電盤がある。この分電盤は、略長方形状の底板及びこの底板の四周から立設し壁材に嵌合する嵌合部を含む側板にて一面を開口する箱状に形成されている下箱と、基板フレームと、前記基板フレームに固定されている主幹ブレーカ及び分岐ブレーカと、下箱の開口を塞ぐ上箱とを備える。前記底板は、固定用軸を有し、前記基板フレームのだるま孔を前記固定用軸に嵌め込んだ後、固定螺子を螺合させることによって、前記主幹ブレーカ及び前記分岐ブレーカが前記下箱内に配設される。前記嵌合部は、その一辺に前記底板に連設された基端から先端に向かって上向傾斜状に形成され電線導体が導入される入線部を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-315209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1記載の分電盤では、前記特許文献1の図4に記載されているように、前記入線部から分電盤内に導入された複数の前記電線導体は、前記基板プレートと前記底板との間を通った後、前記複数の分岐ブレーカに接続される。そのため、前記基板プレートと前記底板との間において、各電線導体がどのように配線されているかを確認できなかった。よって、前記基板プレートと前記底板との間を通った各電線導体が、どの分岐ブレーカに接続されるものかわからない。したがって、配線時の誤りを生じさせるおそれがあり、配線作業を行いにくかった。
【0005】
なお、このような問題は、前記電線導体を前記複数の分岐ブレーカに接続して配線作業を行う場合に限らず、前記電線導体を電気機器に接続して配線作業を行う場合全般において生じており、前記基板プレートと前記底板との間において前記電線導体がどのように配線されているかを確認できないため、配線時の誤りを招くおそれがあり、配線作業を行いにくかった。
【0006】
そこで、本発明は、配線作業を行いやすい分電盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電気機器と、前記電気機器を収容するケースであって、前記ケースの後面を構成し且つ前記ケースを取付面に取り付けた状態で前記取付面に対向する後壁部を有するケースと、を備え、前記後壁部には、前記電気機器に電気的に接続される接続導体を前後方向で前記ケース内に挿入する導体挿入部と、前記後壁部の後面から前側へ凹設される導体ガイド部とが形成され、前記導体ガイド部は、長さ方向の一方が前記導体挿入部に向けて開口し、前記長さ方向の他方が前記ケースの周縁から外方へ向けて開口する、分電盤である。
【0008】
前記構成によれば、前記取付面に沿わすように配線した前記接続導体を前記後壁部の後面から前側へ凹設される前記導体ガイド部に収容するようにして前記ケースを前記取付面に取り付けると、前記接続導体は、前記導体ガイド部により前記導体挿入部に案内されてから該導体ガイド部を介して前記ケース内に挿入されるため、前記接続導体がどのように配線されているかを確認できて、配線時の誤りを抑制できる。
【0009】
また、本発明において、前記後壁部には複数の前記導体ガイド部が形成され、隣り合う前記導体ガイド部同士は、前記後壁部の面方向で離間して配置され、隣り合う前記導体ガイド部の間には、前記後壁部を前記前後方向に貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
【0010】
前記構成によれば、前記貫通孔が前記後壁部を前記前後方向に貫通するため、例えば、前記ケース内に収容される前記電気機器が発した熱を帯びた空気が前記貫通孔から前記ケース外に流れることにより、前記ケース内の熱を前記ケース外に放熱できる。
【0011】
また、本発明では、複数の前記電気機器が第一方向に並び、前記導体挿入部は、複数の前記電気機器に対して第二方向の一方側に配置され、前記導体ガイド部は、前記第一方向に複数配置されるとともに、前記長さ方向が前記第二方向に沿い且つ前記長さ方向の一方が前記第二方向の他方側から前記導体挿入部に向けて開口し、前記長さ方向の他方が前記ケースの前記第二方向の他方縁から前記第二方向の他方側へ向けて開口してもよい。
【0012】
前記構成によれば、前記第一方向に並ぶ複数の前記電気機器の配置に応じて、前記複数の導体ガイド部それぞれで各電気接続機器に接続されるそれぞれの前記接続導体を前記導体挿入部に案内できるため、前記接続導体それぞれを分けて配線することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上、本発明によれば、前記接続導体がどのように配線されているかを確認できて、配線時の誤りを抑制できるため、配線作業を行いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る分電盤の分解斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係る分電盤の正面図であって、蓋ケースを取り外した状態を示す。
図3図3は、同実施形態に係る分電盤の背面図である。
図4図4は、図3のIV-IV位置における分電盤の断面図である。
図5図5は、図3のV-V位置における分電盤の断面図である。
図6図6は、本発明の第二実施形態に係る分電盤の背面図である。
図7図7は、図6のVII-VII位置における分電盤の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、本発明の第一実施形態に係る分電盤1について説明する。
【0016】
以下の説明に際しては、図1に示すように、分電盤1の前面と後面が並ぶ方向を「前後方向Z」と、前後方向Zに直交する方向を「第一方向X」と、前後方向Zと第一方向Xとに直交する方向を「第二方向Y」と称する。説明の便宜上、本実施形態において、第一方向Xとは設置状態の分電盤1を正面視したときの左右方向に対応する方向であり、第二方向Yとは上下方向に対応する方向のことである。第一方向Xの一方側とは右側のことであり、第一方向Xの他方側とは左側のことである。また、第二方向Yの一方側とは下側のことであり、第二方向Yの他方側とは上側のことである。さらに、前後方向Zの一方側とは後ろ側のことであり、前後方向Zの他方側とは前側のことである。
【0017】
図1に示すように、分電盤1は、ケース2と、該ケース2内に収容される内部機器5とを備える。ケース2は、後述する内部機器5を収容するためのものである。このケース2は、上下前後左右それぞれが囲われた箱状に形成されている。図2に示すように、本実施形態のケース2は、正面視において第一方向Xの長さが第二方向Yの長さよりも長い長方形状に構成されている。図1に示すように、ケース2は、内部機器5が取り付けられる底ケース3と、底ケース3を覆う蓋ケース4とを備える。
【0018】
図1,2に示すように、底ケース3は、ケース2の後面を構成する後壁部30と、該後壁部30の周縁に設けられる底縁部31とを備える。後壁部30は、面方向である第一方向X及び第二方向Yに広がる。本実施形態の後壁部30は、第一方向Xの長さが第二方向Yの長さよりも長い長方形状である。この後壁部30は、図4,5に示すように、ケース2を取付面B(例えば、壁の壁面)に取り付けた状態で取付面Bに対向(具体的には、後面が当接状態で対向)するよう構成されている。なお、取付面Bは、第一方向X及び第二方向Yに沿って広がる面である。
【0019】
図3に示すように、後壁部30には、後述する電気機器61に電気的に接続される接続導体A(図3にて図示しない)をケース2内に挿入するための導体挿入部3aと、該後壁部30の後面(採番しない)から前側である前後方向Zの他方側に凹設される導体ガイド部3Xとが形成されている。なお、接続導体Aは、電源(商用電源や分散電源)や負荷(例えば、電化製品)と電気機器61とを電気的に接続するためのものである。図5に示すように、本実施形態の接続導体Aは、線状の配線(具体的には、導線)である。また、この接続導体Aは、取付面Bに沿わすよう配線されている。本実施形態では、接続導体Aが上側である第二方向Yの他方側から下側である第二方向Yの一方側に配線されている。
【0020】
また、図3に示すように、本実施形態の後壁部30には複数の導体ガイド部3Xが形成され、導体ガイド部3X,3X同士の間に間配部3Yが設けられている。さらに、本実施形態の後壁部30には、ケース2の周縁において導体ガイド部3Xとケース2の外方との間を塞ぐノックアウト部302が形成されている。加えて、図1,2に示すように、後壁部30は、ケース2の内側において後述する内部機器5を取り付けるための取付部3Aを備える。
【0021】
図5に示すように、導体挿入部3aは、後壁部30を前後方向Zに貫通することにより形成されている。図2,3に示すように、本実施形態の導体挿入部3aは、第一方向Xの長さが第二方向Yの長さより長い矩形状の孔である。導体挿入部3aは、後述する取付部3Aよりも第二方向Yの一方側に配置されている。
【0022】
導体ガイド部3Xは、接続導体Aを導体挿入部3aに案内するためのものである。図3,4に示すように、この導体ガイド部3Xは、長さ方向の一方が導体挿入部3aに向けて開口し、且つ長さ方向の他方がケース2の周縁からケース2の外方へ向けて開口する、前側である前後方向Zの他方側に窪むように後壁部30に凹設された溝である。ここで、後述する一対の導体ガイド本体部3Xa,3Xaが対向する方向を幅方向とし、導体ガイド部3Xが凹設される前後方向Zと幅方向とに直交する方向を長さ方向とする。本実施形態では、第一方向Xを幅方向とし、第二方向Yを長さ方向とする。また、本実施形態の導体ガイド部3Xは、後壁部30の後面から前側に向けて凹設され、該後面に沿った第一方向Xである幅方向及び第二方向Yである長さ方向の長さを有する。図3に示すように、本実施形態の導体ガイド部3Xは長さ方向である第二方向Yに沿って配置される。ここで、本実施形態の導体ガイド部3Xは、導体挿入部3aよりも上側である第二方向Yの他方側に配置されている。そのため、本実施形態の導体ガイド部3Xは、長さ方向の一方が第二方向Yの他方側から導体挿入部3aに向けて開口している。また、本実施形態の導体ガイド部3Xは、長さ方向の他方がケース2の第二方向Yの他方縁20からケース2の外方である第二方向Yの他方側へ向けて開口している。図4に示すように、導体ガイド部3Xは、第一方向Xで対向する一対の導体ガイド本体部3Xa,3Xaと、一対の導体ガイド本体部3Xa,3Xaの間に配置される導体ガイド亘部3Xbとを備える。
【0023】
一対の導体ガイド本体部3Xa,3Xaは同一に構成される。そのため、一方の導体ガイド本体部3Xaについて説明し、他方の導体ガイド本体部3Xaに兼用する。図3,4に示すように、導体ガイド本体部3Xaは、前後方向Zと第二方向Yに広がる面である。この導体ガイド本体部3Xaは、第一方向Xで後壁部30の後面に連続している。図3に示すように、本実施形態の導体ガイド本体部3Xaは、ケース2の第二方向Yの他方縁20から導体挿入部3aに亘るよう第二方向Yに延びる。そのため、第二方向Yの全域において、一対の導体ガイド本体部3Xa,3Xaが対向している。即ち、導体ガイド本体部3Xaは、導体ガイド部3Xの幅方向の端部を構成し、一対の導体ガイド本体部3Xa,3Xaが幅方向で対向していることにより、導体ガイド部3Xの幅方向の長さが規定される。また、本実施形態の導体ガイド本体部3Xaは、第二方向Yに沿うよう配置される。さらに、図4に示すように、本実施形態の導体ガイド本体部3Xaは、前後方向Zに沿うよう配置される。よって、図3,4に示すように、本実施形態の導体ガイド部3Xは、第二方向Y及び前後方向Zの全域において第一方向Xである幅方向の長さが同じ溝である。なお、図4に示すように、導体ガイド本体部3Xaの前後方向Zの長さは、接続導体Aの直径よりも長い。そのため、導体ガイド部3Xは、接続導体Aを収容可能である。
【0024】
導体ガイド亘部3Xbは、導体ガイド部3Xの底を構成する。導体ガイド亘部3Xbは、第一方向Xである幅方向において一対の導体ガイド本体部3Xa,3Xaに連続している。そのため、導体ガイド部3Xは、導体ガイド亘部3Xbと、幅方向で対向する一対の導体ガイド本体部3Xa,3Xaとで形成される長さ方向に延びる溝であり、且つ長さ方向の一方及び他方が開口するように構成されている。図3,4に示すように、本実施形態の導体ガイド亘部3Xbは、第一方向Xと第二方向Yとに沿って広がる面である。そのため、本実施形態の導体ガイド部3Xは、第二方向Yの全域において前後方向Zでの位置が同じである。図4に示すように、導体ガイド亘部3Xbの第一方向Xの長さは、導体ガイド本体部3Xaの前後方向Zの長さよりも長い。そのため、本実施形態の導体ガイド部3Xは、第一方向Xの長さが前後方向Zの長さよりも長い溝である。
【0025】
図3に示すように、本実施形態では、導体ガイド部3Xが第一方向Xに複数(具体的には、3つ)配置されている。具体的に、隣り合う導体ガイド部3X同士は、後壁部30の面方向(具体的には、第一方向X)で離間して配置されている。よって、隣り合う導体ガイド部3X,3X同士の間には、間配部3Yが配置されている。ここで、本実施形態では3つの導体ガイド部3X,3X,3Xそれぞれが第一方向Xで離間して配置されている。よって、3つの導体ガイド部3X,3X,3Xにおける第一方向Xの間には、2つの間配部3Y,3Yが配置されている。図4に示すように、本実施形態の間配部3Yは、後壁部30の後面から前側である前後方向Zの他方側に凹設されている。また、本実施形態の間配部3Yは、前後方向Zで導体ガイド亘部3Xbと略同一の位置に配置されている。この間配部3Yは、第一方向Xの長さが導体ガイド部3Xの第一方向Xの長さよりも短い。また、図3,4に示すように、間配部3Yには、後壁部30を前後方向Zに貫通する貫通孔3Bが形成されている。よって、隣り合う導体ガイド部3X,3X同士の間に貫通孔3Bが配置されている。この貫通孔3Bは、間配部3Yと後述する取付部3Aとに亘るように後壁部30を貫通して設けられている。本実施形態の貫通孔3Bは、第一方向Xと第二方向Yに広がる矩形状の孔である。さらに、本実施形態の貫通孔3Bは、第二方向Yに複数(具体的には、2つ)形成されている。
【0026】
ノックアウト部302は、導体ガイド部3Xの長さ方向の他方を塞ぐためのものである。図3に示すように、本実施形態のノックアウト部302は、ケース2の第二方向Yの他方縁20に設けられている。このノックアウト部302は、後壁部30に対して打ち抜き加工により構成されている。よって、ノックアウト部302を除去することによって、導体ガイド部3Xの長さ方向の他方は、ケース2の外方と連通できる。なお、本実施形態では、3つのノックアウト部302が形成されている。
【0027】
図1,2に示すように、取付部3Aは、第一方向X及び第二方向Yに広がる平板状である。取付部3Aは、後壁部30のうち前側である前後方向Zの他方側に配置されている。よって、取付部3Aはケース2内に配置されている。具体的に、取付部3Aは、導体ガイド部3Xと間配部3Yよりも前側である前後方向Zの他方側に配置されている。この取付部3Aには、貫通孔3Bが設けられている。また、取付部3Aは、導体挿入部3aよりも上側である第二方向Yの他方側に配置されている。
【0028】
図1に示すように、底縁部31は、後壁部30の全周縁から前側である前後方向Zの他方側に突出している。この底縁部31は、底ケース3の周縁を規定する。底縁部31は周環状である。そのため、本実施形態の底ケース3は、前側である前後方向Zの他方側が開口する箱状である。
【0029】
図1に示すように、蓋ケース4は、第一方向X及び第二方向Yに広がる蓋本体部40と、該蓋本体部40の周縁に設けられる蓋縁部41とを備える。本実施形態の蓋本体部40は、後壁部30と同様、第一方向Xの長さが第二方向Yの長さよりも長い長方形状である。また、蓋本体部40には、後述する電気機器61をケース2外から操作するべく、前後方向Zに貫通する貫通孔400が形成されている。本実施形態では、複数(具体的には、2つ)の貫通孔400が形成されている。蓋縁部41は、蓋本体部40の全周縁から後ろ側である前後方向Zの一方側に設けられている。よって、蓋ケース4は、後ろ側である前後方向Zの一方側が開口する箱状である。
【0030】
本実施形態では、前後方向Zで蓋本体部40を後壁部30に対向させた状態で、蓋縁部41と底縁部31とを係合することにより、蓋ケース4と底ケース3とが一体となってケース2が構成される。
【0031】
内部機器5は、ケース2内に収容される。図1に示すように、本実施形態の内部機器5は、電気機器群6と母線群7と母線カバー部8とを備える。
【0032】
図1に示すように、電気機器群6は、第一方向X及び第二方向Yに広がる平板状の基台60と、基台60に設置される電気機器61とを備える。基台60は、第一方向X及び第二方向Yにおいて取付部3Aの長さよりも短い。そのため、基台60は、前側である前後方向Zの他方側から取付部3Aに対して取付可能に構成されている。
【0033】
本実施形態の電気機器群6は、複数の電気機器61を備える。また、本実施形態では、電気機器群6が種類の異なる二種類の電気機器61を備える。具体的には、図2に示すように、電気機器61は、第一電気機器6aである主幹ブレーカ6aと第二電気機器6Aである分岐ブレーカ6Aとを備える。なお、本実施形態では、複数(6つ)の分岐ブレーカ6Aを備える。
【0034】
主幹ブレーカ6aは、分電盤1外から分電盤1内に引き込まれた電気を、後述する導電接続部70を介して分岐ブレーカ6Aに送り、且つ電路を切断して負荷側の機器を保護するためのものである。図2に示すように、主幹ブレーカ6aは、接続導体Aに電気的に接続される第一側端子部6bと、後述する導電接続部70に電気的に接続される第二側端子部6cとを備える。第一側端子部6b及び第二側端子部6cは、いわゆる「挿込方式」の端子部である。本実施形態では、3つ(具体的には、L1極用、L2極用、N極用)の第一側端子部6b及び第二側端子部6cを備える。第一側端子部6bは下側である第二方向Yの一方側に配置され、第二側端子部6cは上側である第二方向Yの他方側に配置されている。また、第一側端子部6bは第二方向Yの一方側に向いており、第二側端子部6cは第二方向Yの他方側に向いている。なお、3つの第一側端子部6b及び第二側端子部6cは、第一方向Xに並んで配置されている。
【0035】
分岐ブレーカ6Aは、主幹ブレーカ6aから送られてきた電気を住宅内の電化製品などの負荷側の機器に分電し、且つ電路を切断して負荷側の機器を保護するためのものである。分岐ブレーカ6Aは、電路において、主幹ブレーカ6aよりも負荷側に配置されている。図2に示すように、本実施形態の分岐ブレーカ6Aは、主幹ブレーカ6aより右側である第一方向Xの一方側に配置される。分岐ブレーカ6Aは、後述する導電接続部70に電気的に接続される第一側端子部6Bと、負荷側の機器に電気的に接続される2つの第二側端子部6Cとを備える。第一側端子部6Bは、いわゆる「挿込方式」の端子部である。これに対して、第二側端子部6Cはいわゆる速結端子である。また、図示しないが、本実施形態では3つ(具体的には、L1極用、L2極用、N極用)の第一側端子部6Bを備える。第一側端子部6Bは上側である第二方向Yの他方側に配置され、第二側端子部6Cは下側である第二方向Yの一方側に配置されている。さらに、第一側端子部6Bは第二方向Yの他方側に向いており、第二側端子部6Cは第二方向Yの一方側に向いている。なお、本実施形態では、複数(具体的には、6つ)の分岐ブレーカ6Aが第一方向Xに並んで配置されている。
【0036】
電気機器61は、基台60に設置されている。具体的に、図2に示すように、主幹ブレーカ6aが左側である第一方向Xの他方側に、第一方向Xに並ぶ複数の分岐ブレーカ6Aが右側である第一方向Xの一方側に配置されるように、複数の電気機器61が基台60に設置されている。そのため、基台60が取付部3Aに取り付けられることにより、複数の電気機器61は、第一方向Xに並んだ状態でケース2内に収容されている。このようにして、電気機器群6が取付部3Aに設けられる。本実施形態では、ケース2内において複数の電気機器61が第一方向Xに並んで配置されている。なお、電気機器群6が取付部3Aに設けられた状態では、図3に示すように、主幹ブレーカ6a及び分岐ブレーカ6Aが前後方向Zで貫通孔3Bに重なる。
【0037】
また、図3に示すように、主幹ブレーカ6aと第一方向Xに並ぶ複数の分岐ブレーカ6Aが、前後方向Zにおいて導体ガイド部3Xに重なるように配置されている。なお、第一方向Xに並ぶ複数の分岐ブレーカ6Aは、2つの導体ガイド部3X,3Xに重なるよう配置されている。
【0038】
上述の通り、取付部3Aは、導体挿入部3aよりも上側である第二方向Yの他方側に配置されている。また、取付部3Aには電気機器群6が設けられている。よって、図2に示すように、電気機器群6が導体挿入部3aよりも上側である第二方向Yの他方側に配置されている。さらに、本実施形態では、下側である第二方向Yの一方側に配置された第一側端子部6b及び第二側端子部6Cが、導体挿入部3aに向いている。
【0039】
本実施形態の電気機器61は、第一方向Xにおいて導体挿入部3aよりも短い。また、複数の電気機器61における第一方向Xの長さは、導体挿入部3aの第一方向Xの長さよりも短い。よって、本実施形態において、電気機器群6が取付部3Aに取り付けられた状態では、全ての電気機器61の下側である第二方向Yの一方側には、導体挿入部3aが配置されている。
【0040】
図2に示すように、母線群7は、複数の電気機器61を電気的に接続する導電接続部70と、該導電接続部70をケース2内に固定するための導電固定部71とを備える。
【0041】
本実施形態の導電接続部70は、導電性を有する板状導体(具体的には、銅板)により構成される。図2に示すように、導電接続部70は、主幹ブレーカ6aの第二側端子部6cに電気的に接続される一次側挿込部700と、分岐ブレーカ6Aの第一側端子部6Bに電気的に接続される二次側挿込部701と、一次側挿込部700及び二次側挿込部701を電気的に接続する導電本体部702とを備える。一次側挿込部700は主幹ブレーカ6aの第二側端子部6cに挿込可能に構成され、二次側挿込部701は分岐ブレーカ6Aの第一側端子部6Bに挿込可能に構成される。ここで、本実施形態の導電接続部70は、主幹ブレーカ6aと複数の分岐ブレーカ6Aとを電気的に接続するためのものである。そのため、導電接続部70は、複数の二次側挿込部701を備える。一次側挿込部700及び二次側挿込部701は、第一方向Xに延びる導電本体部702から下側である第二方向Yの一方側に向かって設けられている。また、一次側挿込部700は、左側である第一方向Xの他方側に配置され、二次側挿込部701は右側である第一方向Xの一方側に配置される。本実施形態の導電接続部70は、複数(具体的には、3本)配置されている。これらの導電接続部70は、N極の導電接続部70、L2極の導電接続部70、L1極の導電接続部70の順に前から後ろに配置されている。
【0042】
図5に示すように、本実施形態の導電固定部71は、複数の導電接続部70を前後方向Zで離間させながら固定している。導電固定部71は、前側固定部710と、後側固定部711と、固定接続部712とを備える。前側固定部710は、第一方向Xを長辺とし、第二方向Yを短辺とするように構成されている。この前側固定部710の前面には、N極の導電接続部70(図5にて採番しない)が当接するように構成されている。この前側固定部710は、前後方向Zで、N極の導電接続部70とL1極及びL2極の導電接続部70との間を遮るためのものである。後側固定部711は、前側固定部710よりも後ろ側である前後方向Zの一方側に配置される。この後側固定部711は、第一方向Xを長辺とし、第二方向Yを短辺とするように構成されている。また、本実施形態の後側固定部711は、前後方向Zで前側固定部710と対向している。さらに、後側固定部711は、第一方向Xで前側固定部710と同じ長さに構成されている。なお、本実施形態では、後側固定部711が取付部3Aに取り付けられることにより、導電固定部71が取付部3Aに固定されている。固定接続部712は、前後方向Zにおいて前側固定部710と後側固定部711を接続している。本実施形態の固定接続部712は、前側固定部710と後側固定部711の下側である第二方向Yの一方側の端部に連結している。また、固定接続部712は、第二方向Yで分岐ブレーカ6Aの第二方向Yの他方側端面(採番しない)と対向するように配置されている。なお、本実施形態の固定接続部712には、二次側挿込部701を挿通する挿通孔(採番しない)が第二方向Yに形成されている。
【0043】
母線群7は、ケース2内において電気機器61よりも上側である第二方向Yの他方側に配置されている。具体的には、図2に示すように、導電接続部70は、第二方向Yで主幹ブレーカ6aや分岐ブレーカ6Aよりも他方側に配置される。そのため、一次側挿込部700が主幹ブレーカ6aの第二側端子部6cに挿し込まれ、二次側挿込部701が分岐ブレーカ6Aの第一側端子部6Bに挿し込まれることにより、主幹ブレーカ6aと分岐ブレーカ6Aとが電気的に接続される。
【0044】
母線カバー部8は、母線群7を覆うためのものである。図1に示すように、母線カバー部8は、絶縁性の板状部材により構成されている。母線カバー部8は、前側及び上側である前後方向Z及び第二方向Yの他方側から母線群7を覆う。本実施形態の母線カバー部8は、L字状に構成されている。なお、母線カバー部8は、母線群7を前側である前後方向Zの他方側から覆う前側導電カバー部80と、母線群7を上側である第二方向Yの他方側から覆う第二側導電カバー部81とを備える。
【0045】
以上のように構成された分電盤1では、ケース2内の電気機器61に接続導体Aを接続するとともに、分電盤1を取付面Bに対して取り付ける。具体的には、まず、ケース2の第二方向Yの他方縁20に設けられているノックアウト部302を除去する。これにより、導体ガイド部3Xの長さ方向の他方を開放する。その後、取付面Bに沿わすよう配線された接続導体Aを導体ガイド部3X内に収容する。具体的には、上側から下側に配線されている接続導体Aを、導体ガイド部3Xの長さ方向の他方から導体ガイド部3X内に収容する。
【0046】
ここで、主幹ブレーカ6aは3つの第一側端子部6bを備え、分岐ブレーカ6Aは2つの第二側端子部6Cを備える。また、本実施形態では、複数(具体的には、6つ)の分岐ブレーカ6Aが第一方向Xに並んで配置されている。よって、配線時の誤りを防止すべく、主幹ブレーカ6aの第一側端子部6bに接続される接続導体Aと、分岐ブレーカ6Aの第二側端子部6Cに接続される接続導体Aとを第一方向Xに並ぶ別々の導体ガイド部3X内に収容する。
【0047】
なお、本実施形態では、6つの分岐ブレーカ6Aの第二側端子部6Cに接続される接続導体Aを分けるべく、第一方向Xの一方側の3つの分岐ブレーカ6Aに接続される接続導体Aを第一方向Xの一方側の導体ガイド部3Xに収容し、残り3つの分岐ブレーカ6Aに接続される接続導体Aを第一方向Xの他方側の導体ガイド部3Xに収容する。
【0048】
続いて、図5に示すように、導体ガイド部3Xに収容された接続導体Aを、導体ガイド部3Xの長さ方向の一方から導体挿入部3aに案内し、該導体挿入部3aを介してケース2内に挿入する。それから、後壁部30の後面を取付面Bに当接させて、分電盤1を取付面Bに取り付ける。
【0049】
次に、ケース2内に挿入された接続導体Aを主幹ブレーカ6aの第一側端子部6bと分岐ブレーカ6Aの第二側端子部6Cに接続する。これにより、接続導体Aと電気機器61とが電気的に接続される。このようにして、分電盤1の取付面Bに対する取り付け作業と、接続導体Aを電気機器61に接続する配線作業を行う。
【0050】
以上、本実施形態では、取付面Bに沿わすよう配線された接続導体Aを導体ガイド部3X内に収容するようにしてケース2を取付面Bに取り付けると、導体ガイド部3Xが接続導体Aを導体挿入部3aに案内する。そして、導体ガイド部3Xによって案内された接続導体Aは、導体挿入部3aを介してケース2内に挿入される。よって、導体ガイド部3Xが接続導体Aを案内するため、接続導体Aがどのように配線されているかを確認できて、配線時の誤りを抑制できる。
【0051】
また、本実施形態の導体ガイド部3Xは、長さ方向である第二方向Yに沿って配置され、長さ方向の一方が第二方向Yの他方側から導体挿入部3aに向けて開口し、且つ長さ方向の他方がケース2の第二方向Yの他方縁20からケース2の外方である第二方向Yの他方側へ向けて開口している。そのため、接続導体Aは、ケース2の第二方向Yの他方側から導体ガイド部3X内に収容され、導体ガイド部3Xにより第二方向Yに沿って案内されて、第二方向Yの他方側から導体挿入部3aに挿入される。よって、本実施形態の導体ガイド部3Xは、接続導体Aを導体挿入部3aに案内しやすい。
【0052】
また、本実施形態では、ケース2の第二方向Yの他方縁20に導体ガイド部3Xの長さ方向の他方を塞ぐノックアウト部302が設けられ、このノックアウト部302を除去することによって、導体ガイド部3Xの長さ方向の他方をケース2の外方と連通できる。したがって、ノックアウト部302を除去することにより長さ方向の他方から導体ガイド部3Xに接続導体Aを収容できる。また、導体ガイド部3Xに接続導体Aを収容しない場合には、ノックアウト部302を除去しないことにより、虫やゴミなどが長さ方向の他方から導体ガイド部3X内に収容されることを防止できる。
【0053】
また、本実施形態の導体ガイド本体部3Xaは、第二方向Y及び前後方向Zに沿うよう配置されている。よって、本実施形態の導体ガイド部3Xは、第二方向Y及び前後方向Zの全域において第一方向Xの長さが同じ溝である。したがって、導体ガイド部3Xは、接続導体Aを導体挿入部3aに案内しやすい。
【0054】
また、本実施形態の導体ガイド本体部3Xaは、ケース2の第二方向Yの他方縁20から導体挿入部3aに亘るよう第二方向Yに延びる。よって、導体ガイド部3Xが接続導体Aを案内する際には、接続導体Aが第一方向Xで導体ガイド部3Xから抜けることを防止できる。
【0055】
また、本実施形態の導体ガイド亘部3Xbは、第一方向Xと第二方向Yとに沿って広がる面である。そのため、本実施形態の導体ガイド部3Xは、第二方向Yの全域において前後方向Zでの位置が同じである。よって、本実施形態の導体ガイド部3Xは、長さ方向の他方から一方に向けて接続導体Aを案内しやすい。
【0056】
また、導体ガイド本体部3Xaは、前後方向Zと第二方向Yに広がる面であり、本実施形態の導体ガイド亘部3Xbは、第一方向Xと第二方向Yとに沿って広がる面である。そのため、導体ガイド部3Xを用いて接続導体Aを導体挿入部3aに案内する際には、接続導体Aが導体ガイド本体部3Xaや導体ガイド亘部3Xbに引っ掛かるといったことを防止できる。
【0057】
また、本実施形態では、導体ガイド部3Xが第一方向Xに複数(具体的には、3つ)配置されている。そして、ケース2内において複数の電気機器61が第一方向Xに並んで配置されている。よって、各電気機器61に接続される接続導体Aを導体ガイド部3Xそれぞれで導体挿入部3aに案内できるため、接続導体Aそれぞれを分けて配線できる。
【0058】
また、本実施形態によれば、貫通孔3Bが後壁部30を前後方向Zに貫通するため、例えば、ケース2内に収容される電気機器61が発した熱を帯びた空気が貫通孔3Bからケース2外に流れることにより、ケース2内の熱をケース2外に放熱できる。
【0059】
ここで、本実施形態において、電気機器群6が取付部3Aに設けられた状態では、主幹ブレーカ6a及び分岐ブレーカ6Aが前後方向Zで貫通孔3Bに重なる。そのため、主幹ブレーカ6a及び分岐ブレーカ6Aそれぞれが発した熱は、空気を介して貫通孔3Bそれぞれからケース2外に流れる。よって、より効果的にケース2内の熱をケース2外に放熱できる。
【0060】
また、本実施形態の貫通孔3Bは、第二方向Yに複数(具体的には、2つ)形成されている。そのため、より多くの熱をケース2外に放熱できる。
【0061】
また、本実施形態の間配部3Yは、後壁部30の後面から前後方向Zの前側に凹設されている。そして、この間配部3Yには貫通孔3Bが形成されている。よって、図4に示すように、分電盤1を取付面Bに取り付けた際には、間配部3Yと取付面Bとが前後方向Zで離間するため、熱を帯びた空気を貫通孔3Bからケース2外に流すことができる。
【0062】
また、本実施形態では、隣り合う導体ガイド部3X同士の間に間配部3Yが配置され、間配部3Yには貫通孔3Bが形成されている。そのため、貫通孔3Bは隣り合う導体ガイド部3X,3X同士の間に配置される。よって、導体ガイド部3Xで接続導体Aを導体挿入部3aに案内する際には、接続導体Aが貫通孔3Bに引っ掛かることを防止できる。
【0063】
また、本実施形態では、電気機器群6が導体挿入部3aよりも上側である第二方向Yの他方側に配置され、下側である第二方向Yの一方側に配置された第一側端子部6b及び第二側端子部6Cが、導体挿入部3aに向いている。よって、導体挿入部3aを介してケース2内に挿入された接続導体Aを第一側端子部6b及び第二側端子部6Cに対して接続しやすい。
【0064】
次に、第二実施形態に係る分電盤1について説明する。第二実施形態に係る分電盤1の構成及び作用について説明するに際しては、第一実施形態と同一構成及び作用についての説明を省略する。
【0065】
まず、第二実施形態では、導体ガイド部3Xの構成が第一実施形態と異なる。図7に示すように、導体ガイド本体部3Xaは、前後方向Zに沿う導体ガイド沿部3Xcと、前後方向Zに対して傾斜する導体ガイド傾斜部3Xdとを備える。導体ガイド傾斜部3Xdは、後ろ側である前後方向Zの一方側ほど、導体ガイド部3Xを第一方向Xで長くするよう傾斜している。この導体ガイド傾斜部3Xdは、前後方向Zにおいて導体ガイド沿部3Xcよりも後ろ側である一方側に配置されている。また、導体ガイド傾斜部3Xdは、後壁部30の後面と導体ガイド沿部3Xcとに連続している。よって、第二実施形態の導体ガイド部3Xは、後ろ側である前後方向Zの一方側の第一方向Xの長さが、前側である前後方向Zの他方側の第一方向Xの長さよりも長い。また、第二実施形態の導体ガイド部3Xは、導体ガイド傾斜部3Xdにより後側ほど第一方向Xで長くなるよう構成されている。したがって、第二実施形態の導体ガイド部3Xは、前後方向Zの一方側と他方側で第一方向Xの長さが異なる溝である。
【0066】
また、図6,7に示すように、第二実施形態では間配部3Yの構成が第一実施形態と異なる。第二実施形態の間配部3Yは、後壁部30の後面である。よって、第二実施形態の間配部3Yは、後壁部30の後面から前後方向Zの前側に凹設されていない。したがって、分電盤1を取付面Bに取り付ける際には、間配部3Yが取付面Bに当接する。第二実施形態の間配部3Yは、導体ガイド亘部3Xbよりも後ろ側である前後方向Zの一方側に配置されている。
【0067】
さらに、第二実施形態では取付部3Aの構成が第一実施形態と異なる。図7に示すように、取付部3Aには、後ろ側である前後方向Zの一方側に凹設される取付凹部3Cが形成されている。この取付凹部3Cは、前後方向Zの一方側に窪むよう取付部3Aに凹設された溝である。取付凹部3Cは、第一方向Xにおいて導体ガイド部3Xの間に配置されている。また、取付凹部3Cは、第二方向Yに配置されている。なお、取付凹部3Cは、第一方向Xの長さが導体ガイド部3Xの第一方向Xの長さよりも短い。第二実施形態では、取付凹部3Cに貫通孔3Bが設けられている。
【0068】
以上、第二実施形態の導体ガイド部3Xは、後ろ側である前後方向Zの一方側の第一方向Xの長さが、前側である前後方向Zの他方側の第一方向Xの長さよりも長い。そのため、接続導体Aを導体ガイド部3X内に収容しやすい。具体的に、第二実施形態の導体ガイド部3Xは、前後方向Zに対して傾斜する導体ガイド傾斜部3Xdにより後ろ側ほど第一方向Xで長くなるよう構成されている。よって、第二実施形態の導体ガイド部3Xは、最も後ろ側における第一方向Xの長さが最も長いため、接続導体Aを導体ガイド部3X内に収容しやすい。
【0069】
また、第二実施形態では、導体ガイド傾斜部3Xdは、前後方向Zにおいて導体ガイド沿部3Xcよりも後ろ側である一方側に配置されている。そして、導体ガイド傾斜部3Xdは、後ろ側である前後方向Zの一方側ほど、導体ガイド部3Xを第一方向Xで長くするよう傾斜している。そのため、導体ガイド傾斜部3Xdによって導体ガイド部3Xに収容された接続導体Aを前側である前後方向Zの他方側に誘導できる。
【0070】
また、第二実施形態では、分電盤1を取付面Bに取り付ける際には、後壁部30の後面である間配部3Yが取付面Bに当接する。よって、第二実施形態では、分電盤1と取付面Bとの接触面積を増やすことができ、分電盤1を取付面Bに対して安定して設置できる。
【0071】
また、第二実施形態の取付部3Aには、後ろ側である前後方向Zの一方側に凹設される取付凹部3Cが形成されている。そして、取付凹部3Cには、貫通孔3Bが設けられている。よって、熱を帯びた空気を取付凹部3Cで貫通孔3Bに誘導できる。
【0072】
なお、本発明は上記第一及び第二実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0073】
上記実施形態では、第一方向Xが左右方向に対応する方向であり、第二方向Yが上下方向に対応する方向である場合を説明したが、これに限らず、第一方向Xが上下方向に対応する方向であり、第二方向Yが左右方向に対応する方向であってもよい。
【0074】
上記実施形態では、電気機器群6が複数の電気機器61を備えていた。しかし、これに限らず、電気機器群6は電気機器61を一つだけ備えていてもよい。この場合、ケース2内には一つの電気機器61が収容される。また、この場合には、後壁部30は導体ガイド部3Xを一つだけ備えるよう構成されていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、電気機器61が、第一電気機器6aである主幹ブレーカ6aと第二電気機器6Aである分岐ブレーカ6Aとを備えていた。しかし、これに限らず、電気機器61は、主幹ブレーカ6aや分岐ブレーカ6A以外の電気機器、例えば端子台を備えていてもよい。
【0076】
上記実施形態では、電気機器群6が種類の異なる二種類の電気機器61を備えていた。しかし、これに限らず、電気機器群6が同一種類の電気機器61を複数備えていてもよい。また、上記実施形態では、種類の異なる二種類の電気機器61として主幹ブレーカ6aと分岐ブレーカ6Aである場合について説明したが、種類の異なる二種類の電気機器61として主幹ブレーカ6aと分岐ブレーカ6A以外の組み合わせでもよい。
【0077】
上記実施形態では、複数の分岐ブレーカ6Aが第一方向Xに並んでいる場合について説明したが、これに限らず、例えば、複数の分岐ブレーカ6Aが第一方向Xに加えて又は代えて、第二方向Yに複数並んで配置されていてもよい。
【0078】
上記実施形態では、電気機器61同士が電気的に接続されている場合について説明したが、これに限らず、例えば、電気機器61同士が電気的に接続されていなくてもよい。
【0079】
さらに、ケース2は、電気機器群6と母線群7と母線カバー部8とを備える内部機器5を収容していたが、これに限らず、ケース2は、少なくとも電気機器61を収容するよう構成されていればよい。
【0080】
上記実施形態の導体ガイド本体部3Xaは、第二方向Yに沿うように配置されていた。しかし、これに限らず、導体ガイド本体部3Xaが第二方向Yに対して傾斜するよう配置されていてもよい。この場合、例えば導体ガイド部3Xは、第二方向Yの一方側と他方側において第一方向Xの長さが異なっていてもよい。
【0081】
上記実施形態では、隣り合う導体ガイド部3X,3X同士の間に配置された間配部3Yには、貫通孔3Bが形成されていた。しかし、例えば間配部3Yに貫通孔3Bを形成しないことにより、隣り合う導体ガイド部3X,3X同士の間に貫通孔3Bが配置されていなくてもよい。
【0082】
上記実施形態では、導体ガイド部3Xは長さ方向である第二方向Yに沿って配置されていた。そして、隣り合う導体ガイド部3X,3X同士は、後壁部30の面方向(具体的には、第一方向X)で離間して配置されていた。しかし、これに限らず、第一方向Xを長さ方向とし、第二方向Yを幅方向とし、導体ガイド部3Xが第一方向Xに沿って配置されている場合には、隣り合う導体ガイド部3X,3X同士は、後壁部30の面方向(具体的には、第二方向Y)で離間して配置されていてもよい。また、一対の導体ガイド本体部3Xa,3Xaが第一方向X及び第二方向Yで対向し、導体ガイド部3Xが第一方向X及び第二方向Yに配置されている場合には、隣り合う導体ガイド部3X,3X同士は、後壁部30の面方向(具体的には、第一方向X及び第二方向Y)で離間して配置されていてもよい。この場合、間配部3Yは、導体ガイド部3X,3X同士の第一方向X及び/又は第二方向Yの間に配置されていることが考えられる。
【0083】
上記実施形態では、導体ガイド部3Xは、第二方向Yにおいて導体挿入部3aよりも他方側に配置されていた。しかし、これに限らず、接続導体Aが配線される向きに合わせるべく、例えば、導体ガイド部3Xは、第二方向Yにおいて導体挿入部3aよりも一方側に配置されてもよい。この場合には、導体ガイド部3Xは、長さ方向の一方が第二方向Yの一方側から導体挿入部3aに向けて開口する。或いは、導体ガイド部3Xは、第一方向Xにおいて導体挿入部3aよりも一方側又は他方側に配置されていてもよい。この場合、例えば、導体ガイド部3Xは、長さ方向である第一方向Xに配置され、導体ガイド部3Xにおける長さ方向の一方が第一方向Xで導体挿入部3aに向けて開口していることが考えられる。
【0084】
上記実施形態では、導体ガイド部3Xは長さ方向である第二方向Yに沿って配置されていたため、長さ方向の他方がケース2の第二方向Yの他方縁20からケース2の外方である第二方向Yの他方側へ向けて開口していた。しかし、例えば、導体ガイド部3Xは、長さ方向の他方がケース2の第一方向Xの縁部からケース2の外方である第一方向Xの一方側又は他方側へ向けて開口していてもよい。ここで、導体ガイド部3Xは、長さ方向が第一方向X又は第二方向Yである場合に限らず、長さ方向が第一方向X及び第二方向Yに亘ってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1:分電盤、2:ケース、20:他方縁、3:底ケース、30:後壁部、302:ノックアウト部、3a:導体挿入部、3A:取付部、3B:貫通孔、3C:取付凹部、3X:導体ガイド部、3Xa:導体ガイド本体部、3Xb:導体ガイド亘部、3Xc:導体ガイド沿部、3Xd:導体ガイド傾斜部、3Y:間配部、31:底縁部、4:蓋ケース、40:蓋本体部、400:貫通孔、41:蓋縁部、5:内部機器、6:電気機器群、60:基台、61:電気機器、6a:主幹ブレーカ、6b:第一側端子部、6c:第二側端子部、6A:分岐ブレーカ、6B:第一側端子部、6C:第二側端子部、7:母線群、70:導電接続部、700:一次側挿込部、701:二次側挿込部、702:導電本体部、71:導電固定部、710:前側固定部、711:後側固定部、712:固定接続部、8:母線カバー部、80:前側導電カバー部、81:第二側導電カバー部、A:接続導体、B:取付面、X:第一方向、Y:第二方向、Z:前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7