(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126129
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】舗装材除去装置及びそれを用いる方法
(51)【国際特許分類】
E01C 23/12 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
E01C23/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034319
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000181354
【氏名又は名称】鹿島道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 八洋
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 泰
(72)【発明者】
【氏名】平藤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】木内 彬喬
【テーマコード(参考)】
2D053
【Fターム(参考)】
2D053AA03
2D053AA04
2D053BA05
2D053DA13
(57)【要約】
【課題】鋼板上のみならずコンクリート版上の舗装を除去することが出来て、騒音を伴うことがなく、凹凸に付着した舗装材を確実に除去することが出来る舗装材除去装置及びそれを用いた舗装材除去方法の提供。
【解決手段】本発明の舗装材除去装置(10)は、凹凸(例えば鋼板の添接部におけるボルトヘッド或いはコンクリート版における切削傷)を有する鋼板或いはコンクリート版を被覆する舗装材(例えばアスファルト舗装)を除去する舗装材除去装置(10)において、複数の線状部材(1)を有し、前記線状材料(1)は、前記凹凸における舗装材を掻き取ることが出来る剛性と、鋼板(添接部のボルトを含む)或いはコンクリート版を損傷せず且つ前記凹凸に対応して撓んで前記凹凸に付着した舗装材に当接する可撓性を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸を有する鋼板或いはコンクリート版を被覆する舗装材を除去する舗装材除去装置において、
複数の線状部材を有し、
前記線状材料は、前記凹凸における舗装材を掻き取ることが出来る剛性と、鋼板或いはコンクリート版を損傷せず且つ前記凹凸に対応して撓んで前記凹凸に付着した舗装材に当接する可撓性を有することを特徴とする舗装材除去装置。
【請求項2】
建設機械に脱着可能に取り付ける機構を有している請求項1の舗装材除去装置。
【請求項3】
建設機械に脱着可能に取り付ける機構と、舗装材除去装置を回転されることが可能な回転機構を有している請求項1の舗装材除去装置。
【請求項4】
前記複数の線状部材の各々における一部を収容する中空部材を複数有し、当該中空部材に収容されない線状部材の長さ寸法を調節する機構を有する請求項1~請求項3の何れか1項の舗装材除去装置。
【請求項5】
凹凸を有する鋼板或いはコンクリート版を被覆する舗装材を除去する舗装材除去方法において、
前記凹凸における舗装材を掻き取ることが出来る剛性と、鋼板或いはコンクリート版を損傷せず且つ前記凹凸に対応して撓んで前記凹凸に付着した舗装材に当接する可撓性を有する複数の線状部材を接触させることにより、前記凹凸に付着した舗装材を除去することを特徴とする舗装材除去方法。
【請求項6】
前記凹凸に付着した舗装材を除去する工程に先立って、舗装材を加熱する工程を有する請求項5の舗装材除去方法。
【請求項7】
前記凹凸に付着した舗装材を除去する工程に先立って、前記凹凸が露出しない様に舗装材を切削する工程を有する請求項5或いは請求項6の舗装材除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鋼板の添接部におけるボルトヘッド或いはコンクリート版における切削傷の様な凹凸を有する鋼板或いはコンクリート版を被覆する舗装材(例えばアスファルトが骨材の結合材として用いられているアスファルト舗装)を除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板上或いはコンクリート版上の舗装材(例えばアスファルト舗装)を除去するため、従来は、例えばブレーカーを用いて舗装材を除去していた。
しかし、ブレーカーにより舗装材を除去するに際しては大騒音を生じるという問題があった。また、例えば鋼板の添接部におけるボルトヘッドや、コンクリート版における切削傷の様な凹凸が存在する場合に、当該凹凸における舗装材を除去することは、従来のブレーカーによる除去方法では困難であった。
【0003】
その他の従来技術として、電磁誘導加熱によりアスファルト舗装に軟化層を形成して、アスファルト舗装材を塊として撤去する技術が提案されている(特許文献1)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は鋼板上の舗装の除去に限定されてしまう。また、実施に必要な装置が希少であり、他の工事と施工日程が重なってしまうことが多く、手配が困難、という問題が存在する。さらに、施工速度が遅いという問題を有している。
【0004】
また、圧縮した水を舗装に噴射して、水圧により舗装材を破砕する技術も提案されている(特許文献2)。
しかし、この技術(特許文献2)では、舗装に噴射した水を回収して周辺環境への影響を最小限にとどめる必要があるが、噴射された水の完全な回収は困難であり、周辺環境へ影響を及ぼす可能性が存在する。また、舗装に噴射された後に回収した水の処理施設を設ける必要があるが、当該施設で設けるべき装置が大掛かりであり、設置費用が嵩むという問題がある。さらに、圧縮した水を舗装に噴射するため、騒音が大きいという問題も有している。
【0005】
これに加えて、ショットブラストの投射装置を回転させながら投射材を鋼板に衝突させて、舗装撤去後に鋼板に残存している付着物を除去する技術が提案されている(特許文献3)。
しかし、この技術(特許文献3)では、厚さが薄い付着物を除去することは出来るが、鋼板上の舗装を除去することは出来ないという問題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4330639号公報
【特許文献2】特許第2989341号公報
【特許文献3】特開2021-13972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、鋼板上のみならずコンクリート版上の舗装を除去することが出来て、騒音を伴うことがなく、凹凸に付着した舗装材を確実に除去することが出来る舗装材除去装置及びそれを用いた舗装材除去方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の舗装材除去装置(10)は、
凹凸(例えば鋼板の添接部におけるボルトヘッド或いはコンクリート版における切削傷)を有する鋼板或いはコンクリート版を被覆する舗装材(例えばアスファルト舗装)を除去する舗装材除去装置(10)において、
複数の線状部材(1)を有し、
前記線状材料(1)は、前記凹凸における舗装材を掻き取ることが出来る剛性と、鋼板(添接部のボルトを含む)或いはコンクリート版を損傷せず且つ前記凹凸に対応して撓んで前記凹凸に付着した舗装材に当接する可撓性を有することを特徴としている。
ここで、「舗装材除去装置(10)」という文言は、「舗装材除去装置(10A~10E)」を含む包括的な表現の場合が存在する。
本発明の舗装材除去装置(10)は、建設機械に脱着可能に取り付ける機構(取付機構)を有しているのが好ましい。それに加えて、本発明の舗装材除去装置(10)は、舗装材除去装置(10)の方向を自在に変える機能を有する回転機構(30、30-1)を有していることが好ましい。換言すれば、本発明の舗装材除去装置(10)は、建設機械に脱着可能に取り付ける機構と、舗装材除去装置を回転されることが可能な回転機構を有しているのが好ましい。
また、本発明の舗装材除去装置(10)は、前記複数の線状部材(1:例えばワイヤーロープ)の各々における一部を収容する中空部材(2:例えばパイプ)を複数有し、当該中空部材(2)に収容されない線状部材(1)の長さ寸法(PL:出幅寸法)を調節する機構(3)を有するのが好ましい。
【0009】
また本発明の舗装材除去方法は、
凹凸(例えば鋼板の添接部におけるボルトヘッド或いはコンクリート版における切削傷)を有する鋼板或いはコンクリート版を被覆する舗装材(例えばアスファルト舗装)を除去する舗装材除去方法において、
前記凹凸における舗装材を掻き取ることが出来る剛性と、鋼板(添接部のボルトを含む)或いはコンクリート版を損傷せず且つ前記凹凸に対応して撓んで前記凹凸に付着した舗装材に当接する可撓性を有する複数の線状部材(1)を接触させることにより、前記凹凸に付着した舗装材を除去する(ステップS5)ことを特徴としている。
【0010】
本発明の舗装材除去方法において、
前記凹凸に付着した舗装材を除去する工程(ステップS5)に先立って、舗装材を加熱する工程(ステップS2)を有することが好ましい。
また本発明の舗装材除去方法において、
前記凹凸に付着した舗装材を除去する工程(ステップS5)に先立って、前記凹凸が露出しない様に舗装材を切削する工程(ステップS1)を有することが好ましい。
【0011】
本発明の舗装材除去方法の実施に際して、
前記舗装材除去装置(10:請求項1~請求項4の何れか1項の舗装材除去装置)を使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上述の構成を具備する本発明によれば、前記凹凸におけるアスファルト舗装を除去するに際しては、当該凹凸の近傍領域の舗装材に前記線状材料(1:例えばワイヤーロープ)を接触させて、本発明の舗装材除去装置(10)を往復動させる(例えば、本発明の舗装材料装置(10)を装着したバックホウのバケット(20)を、
図2の矢印SAで示す方向(
図9の紙面に垂直な方向)やSA方向と直交する方向(
図9の紙面左右方向)などさまざまな方向に往復動させる)ことにより、前記線状部材(1)の先端が凹凸の形状に沿って撓んだ状態で、凹凸近傍の舗装材を掻き取る様にして除去することが出来る。
ここで、前記線状材料(1)は、凹凸における舗装材を掻き取ることが出来る程度の剛性を有するので、凹凸に付着して従来の機器では除去が困難な舗装材料(例えばアスファルト舗装)を掻き取ることが出来る。
また前記線状材料(1)は、凹凸を形成する鋼板或いはコンクリート版を損傷せず且つ凹凸に対応して撓んで凹凸近傍の舗装材に当接する可撓性を有しているので、凹凸に付着したアスファルト舗装を掻き取る際に、凹凸を構成する部位、例えば鋼板の添接部におけるボルトヘッドを損傷させることはなく、コンクリート版の切削傷をさらに深く削ってしまうことも無い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る舗装材除去装置の使用時の状態を示す正面図である。
【
図4】
図1、
図2の舗装材除去装置でボルトヘッド周辺の領域に付着している舗装材を除去する状態の説明図である。
【
図5】
図1、
図2の舗装材除去装置におけるワイヤーロープの出幅を調節する機構の説明断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る舗装材除去方法の手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図6における一般領域のアスファルト舗装除去工程を示す説明図である。
【
図9】
図6における凹凸のアスファルト舗装除去工程を示す説明図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る舗装材除去装置の使用時の状態を示す正面図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る舗装材除去装置の使用時の状態を示す正面図である。
【
図12】第3実施形態に係る舗装材除去装置の使用時の状態を示す側面図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係る舗装材除去装置の使用時の状態を示す正面図である。
【
図14】本発明の第5実施形態に係る舗装材除去装置の使用時の状態を示す正面図である。
【
図15】第5実施形態に係る舗装材除去装置の使用時の状態を示す側面図である。
【
図16】本発明の第6実施形態に係る舗装材除去装置の使用時の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に
図1~
図5を参照して、第1実施形態に係る舗装材除去装置10について説明する。
図1において、第1実施形態に係る舗装材除去装置10は、バックホウのバケット20等の建設機械に装着されて使用される。なお、
図1ではバックホウ本体は図示しておらず、バケット20のみが破線で示されている。係る建設機械は、舗装材を除去する施工現場(例えば道路)において、凹凸が存在しない領域の舗装材の除去にも用いることが出来る。
上述した様に、舗装材を除去する施工現場の凹凸としては、例えば、鋼板の添接部におけるボルトヘッドやコンクリート版における切削傷がある。
バケット20の一端(
図1では上方端部)には図示しないバックホウ本体側のアームへの接続部21が設けられる。一方、バケット20の他端(
図1では下方端部)には、舗装材除去装置10が接続される。
【0015】
図1において、舗装材除去装置10は接続部4を備えており、接続部4は、バケット20の爪22(
図1、図を参照)と相補的な形状となっている。第1実施形態に係る舗装材除去装置10は、バケット20の先端(
図1の下方端部)において、バケット20の爪22(
図1、
図3)と接続部4が係合することにより、バックホウのバケット20に装着される。
図1ではバケット20の幅方向(
図1では左右方向)に延在する様に、舗装材除去装置10が取り付けられている。しかし、明確には図示されてはいないが、舗装材除去装置10は、例えば、バケット20の幅方向(
図1の左右方向)及びそれと直交する方向(
図1では紙面と直角の方向)の2方向に延在して、
図1の下方から見た場合に概略十字形に構成することが可能である。或いは、舗装材除去装置10は、例えば、バケット20の幅方向(
図1の左右方向)と、それとは異なる2方向、合計で3方向に延在する様に構成することも出来る。
さらに、舗装材除去装置10は、例えば円形や螺旋形状等の様に様々な態様で延在させることが可能であり、また、複数の舗装材除去装置10を複数の箇所に点在させて構成することも可能である。すなわち、様々な方向に1つまたは複数の舗装材除去装置10を取り付けることができる。
ここで、
図1ではバックホウに装着されているが、第1実施形態に係る舗装材除去装置10は、バックホウ以外の建設機械に装着することも可能である。また、明確には図示されていないが、
図1~
図5の第1実施形態に係る舗装材除去装置10をバックホウのバケット20に取り付けずに、例えばバックホウBH(
図9参照)の様な建設機械のアームの先端に取り付けることも可能である。すなわち、図示しない取付機構を介して、バックホウBHのアーム等の先端に、舗装材除去装置10を取り付けることが出来る。
【0016】
図2において、舗装材除去装置10は、鋼板で構成される本体部5、本体部5に設けられた接続部4、本体部5に取り付けられた複数(第1実施形態では9本)のパイプ2(中空部材)、各パイプ2に挿入され且つその一部(
図2で下方側部分)がパイプ2の(
図2の)下端部から突出した複数のワイヤーロープ1(線状部材:第1実施形態では9本)を有している。なお、複数のパイプ2を本体部5に取り付ける際には、公知の取付機構或いは公知技術を用いることが出来る。例えば、本体部5にパイプ2を溶接することも可能である。
接続部4は、バケット20の幅方向(紙面左右方向)と平行に舗装材除去装置10が1方向のみに取り付けられる場合には、本体部5の(
図2の)左右両端近傍において1箇所ずつ、合計2箇所に設けられており、(
図2の)上方に向かって開口部分が配置されている。
バケット20の幅方向に(
図1の左右方向の1方向のみに)延在する態様で構成された舗装材除去装置10がバケット20に取り付けられる場合以外は、接続部4は、舗装材除去装置10の形状に合わせて構成され、舗装材除去装置10が接続部4とバケット20の爪22を介してバケット20に装着するのに適した位置に設けられる。
接続部4は、
図3のバックホウのバケット20の爪22に脱着可能に構成されている。接続部4と爪22との接続態様について図示はされていないが、従来公知の脱着可能な取付機構を構成している。当該公知の取付機構により、舗装材除去装置10はバックホウ或いはその他の建設機械に取り付けられる。
なお、
図3ではバックホウのバケット20と爪22のみを図示している。そして、
図3に示すバケット20は、従来公知のバケットである。
【0017】
図2において、複数のワイヤーロープ1の各々が、複数のパイプ2にそれぞれ挿入され、固定されている。
そして
図2において、ワイヤーロープ1のそれぞれの下方部分はパイプ2の下端から突出しており、第1実施形態ではパイプ2の下端から突出したワイヤーロープ1の長さ(
図2における矢印V方向の長さ)である出幅PL(出幅寸法)は2種類設定されており、出幅PLは左右方向について1本おきに等しくなる様に設定されている。ここで、複数のワイヤーロープ1の出幅PLが均一であっても良く(出幅寸法が1種類)、2本おきに出幅PLが等しく設定されていても良く(出幅寸法が3種類)、3本毎に出幅PLが等しくなる様に設定されていても良く(出幅寸法が4種類)、或いは、その他の設定であっても良い。さらに、全てのワイヤーロープの出幅PLが不均一であっても良い。ただし、発明者の実験によれば、出幅寸法は300mm以下であることが望ましい。
【0018】
図5を参照して後述する様に、ワイヤーロープ1の出幅PL(パイプ2の下端から突出したワイヤーロープ1の長さ寸法)は出幅寸法を調節する機構3(出幅調節機構)により自在に調節できる。
図2では出幅調節機構3を構成する出幅調節用ボルトが符号3Bで示されている。
第1実施形態では、それぞれのワイヤーロープ1は、
図2における紙面に垂直方向については同一位置となる様に配置されている。ただし、個々のワイヤーロープ1の前記垂直方向位置を同一ではない様に設定することも可能である。
図2において、矢印SAは、ワイヤーロープ1(舗装材除去装置10)が凹凸近傍の舗装材を掻き取るために往復動する方向の一例を示している。当該舗装材を掻き取る作用については
図4を参照して後述する。
【0019】
ここでワイヤーロープ1は線状部材の例示であり、凹凸(例えば鋼板の添接部におけるボルトヘッド或いはコンクリート版における切削傷)における舗装材を掻き取ることが出来る程度の剛性と、凹凸を損傷しない程度の可撓性を有する線状材料1(繊維状材料を含む)であれば、ワイヤーロープに代えて用いることが出来る。
より詳細には、線状部材1(図示の実施形態ではワイヤーロープが例示)としては、凹凸に接触した場合には当該凹凸の形状に対応して撓み、当該凹凸における突出部や窪んだ部分(隙間等)に入り込む程度の可撓性が必要である。凹凸に付着した舗装材(例えばアスファルト舗装)に当接して舗装材を確実に掻き取って除去するためである。線状部材1に凹凸と当接した際に変形する程度の可撓性があって、線状部材1が撓むのであれば、鋼板の添接部におけるボルトヘッドを損傷させず、或いはコンクリート版の切削傷がそれ以上深くならずに、舗装材(アスファルト舗装)を掻き取ることが出来る。
それと共に、線状部材1には、凹凸に付着した舗装材(アスファルト舗装)を掻き取って除去出来る程度の剛性も必要である。
【0020】
第1実施形態では、
図2で示す様に、ワイヤーロープ1はその一部がパイプ2内に挿入されており、パイプ2内に挿入されていない他の部分(出幅寸法PLの部分)はパイプ2の下端部から突出している。そして、パイプ2内に挿入されているワイヤーロープ1は撓むことはなく、凹凸と当接(接触)して撓むのは、パイプ2から突出しているワイヤーロープの部分(出幅寸法PLの部分:パイプ2内に挿入されていない部分)のみである。そのため、ワイヤーロープ1の撓みと出幅寸法PLは密接に関係する。
例えば、出幅寸法PLが長過ぎると、ワイヤーロープ1が撓み過ぎてしまい、ワイヤーロープ1の剛性が不足するので、凹凸近傍領域に付着したアスファルト舗装を掻き取ることが出来ない。一方、出幅寸法PLが短すぎるとワイヤーロープは撓み難くなり、ワイヤーロープ1の剛性が過大となり、例えばボルトヘッドと接触するとボルトヘッドを傷つける可能性があることや、コンクリート版の切削傷をより深く削ってしまう恐れがある。
上述した様に、ワイヤーロープの出幅寸法PLは、300mm以下が望ましい。
【0021】
第1実施形態において、線状部材として選択されたワイヤーロープ1の仕様は、発明者の実験に基づいて、最良の仕様が設定されている。
発明者の実験では、24本線6ヨリ、ロープ径24mm、素線系1.31mmのワイヤーロープであれば、出幅PLは200mm以下が望ましく、100mmが最良である。出幅PLが200mmより長いと、除去するべきアスファルト舗装が十分に掻き取れなかった。
ここで、その他のタイプのワイヤーロープ、例えば37本線6ヨリのワイヤーロープや、その他の剛性及び可撓性を有する線状の材料も使用可能である。そして、24本線6ヨリ、ロープ径24mm、素線系1.31mmのワイヤーロープ以外のワイヤーロープやその他の線状材料を用いた場合には、好適な出幅寸法PLは上記とは異なる場合がある。
ここで、ワイヤーロープが撚ってあると、ワイヤーロープ全体が撓むので好適である。
【0022】
図4を参照して、例えば鋼板の添接部におけるボルトヘッドBの様な凹凸を有する鋼板Sに付着したアスファルト舗装P(舗装材)を除去する態様について説明する。
図4において、鋼板Sの添接部のボルトヘッドB近傍のアスファルト舗装Pを、舗装材除去装置10のワイヤーロープ1(
図4ではワイヤーロープ1のみを示す)により掻き取るに際しては、凹凸の部分のアスファルト舗装Pにワイヤーロープ1(線状部材)を接触させて、図示しないバックホウ本体のアームやバケット、あるいは回転機構を操作する。
係る操作により、バケット20(
図1参照)に装着された舗装材料除去装置10(ワイヤーロープ1)は、
図4の紙面に垂直な方向(
図2の矢印SA方向)に往復動する。ワイヤーロープ1の(
図2の矢印SA方向の)往復動は、必要に応じてワイヤーロープ1を
図4の上下方向に移動して行うことが出来る。そして、ワイヤーロープ1により、ボルトヘッドB近傍領域のアスファルト舗装Pを除去することが出来る。
ここで、舗装材料除去装置10は、
図2の矢印SA方向のみならず、
図2の紙面に垂直な方向に移動することが可能である。また舗装材料除去装置10は、
図2の矢印SA方向の移動と、
図2の紙面に垂直な方向の移動とを組み合わせて移動させることも出来る。
【0023】
図2を参照して上述した様に、ワイヤーロープ1は、凹凸近傍の舗装材Pを掻き取ることが出来る程度の剛性を有している。そして、凹凸を形成するボルトヘッドBや鋼板S或いはコンクリート版を損傷せず、且つ、凹凸の形状に対応して撓み(変形して)、凹凸近傍の舗装材Pに当接出来る様な可撓性を有している。
そのため、
図4で示す様に、凹凸近傍のアスファルト舗装Pにワイヤーロープ1を接触させて、紙面に垂直な方向(
図2の矢印SA方向)やSA方向と直交する方向(
図9の紙面左右方向)等のさまざまな方向に往復動させることにより、ワイヤーロープ1の先端が凹凸の形状に沿って撓み(変形し)、従来の機器では除去が困難な凹凸近傍のアスファルト舗装Pを掻き取って(或いは掻き出して)除去することが出来る。
またワイヤーロープ1の可撓性により、凹凸近傍に付着したアスファルト舗装Pを掻き取る際に、凹凸を構成する部位、例えば鋼板Sの添接部におけるボルトヘッドBは損傷することなく、また、コンクリート版の切削傷をさらに深く切削してしまうことも無い。
図4で説明した付着したアスファルト舗装を除去する態様は、例えば凹凸がコンクリート版における切削傷である場合の様に、凸凹を有するコンクリート版に付着したアスファルト舗装(舗装材)を除去する場合も同様である。
【0024】
次に
図5を参照して、ワイヤーロープ1の出幅を調節する機構について説明する。
図5は舗装材除去装置10のパイプ2の横断面を示している。パイプ2の中空部にはワイヤーロープ1が1本、配置されている。図示のワイヤーロープ1は、例えば、24本線6ヨリ、ロープ径24mm、素線系1.31mmである。
図5のパイプ2の中空部には、ワイヤー1を構成する6本の24本線ヨリ線が収容されている。
上述した様に、ワイヤーロープ1は、凹凸近傍の舗装材Pを掻き取ることが出来る程度の剛性を有し、凹凸を形成するボルトヘッドBや鋼板S或いはコンクリート版を損傷せず、且つ、凹凸の形状に対応して撓み(変形して)、凹凸近傍の舗装材Pに当接出来る様な可撓性を有している線状部材の一例である。換言すれば、前記線状部材はワイヤーロープに限定される訳ではない。ワイヤーロープの様に捩じって束にしたもののみならず、直線状に延伸した材料を束ねて構成された材料を用いることが可能である。
また、係る線状部材の材質は、鉄、鋼(圧延鋼、炭素鋼、モリブデン鋼、ステンレス鋼等)、合金(チタン合金(チタニウム合金)、アルミニウム合金、ジェラルミン等)、その他から選択することが出来る。
【0025】
図2で上述した様に、パイプ2はワイヤーロープ1の一部を収容しており、パイプ2に収容されていないワイヤーロープ1の部分(出幅の部分)が凹凸の部分のアスファルト舗装を掻き取って除去する。
図5において、パイプ2の中空部分には、ワイヤーロープ1の出幅寸法PL(ワイヤーロープ1の収容されていない長さ寸法:
図2参照)を調節する機構3(出幅調節機構)が設けられている。出幅調節機構3は、円弧状に湾曲した湾曲プレート3Aと出幅調節用ボルト3Bを有している。
出幅調節用ボルト3Bを締め付けることにより、湾曲プレート3Aがワイヤーロープ1を、パイプ2の出幅調節用ボルト3Bとは反対側の内壁面(
図5では右側の内壁面)に押圧して、ワイヤーロープ1をパイプ2に対して固定する。一方、出幅調節用ボルト3Bを緩めれば、ワイヤーロープ1がパイプ2の内壁面に押圧する状態が解除され、ワイヤーロープ1を
図5の紙面に垂直な方向(出幅を調整する方向)に動かすことが出来る。
【0026】
出幅調節に際しては、出幅調節用ボルト3Bを緩めた状態で、ワイヤーロープ1を
図5の紙面に垂直な方向(出幅を調整する方向)に動かして適当な出幅に調節する。そして、出幅調節用ボルト3Bを締め込んで、ワイヤーロープ1をパイプ2に対して固定する。
出幅を調節する機構については、
図5で示すものに限定される訳ではなく、公知の機構を採用することが出来る。
【0027】
次に、
図6~
図9を参照して、
図1~
図5で説明した舗装材除去装置10を用いてアスファルト(舗装材)を除去する方法について説明する。
図6~
図9の舗装材除去方法は、凹凸が鋼板の添接部R1におけるボルトヘッドBである鋼板上を被覆するアスファルト舗装を除去する場合を例示している。
図6において、ステップS1では、建設機械が例えば鋼板の添接部におけるボルトを破損しない程度に、舗装材を削り取って、その厚さ寸法を小さく(薄く)している。例えば、厚さ約80mmの既設のアスファルト舗装を、厚さ20mm~40mmを残して、既存の切削機により切削している(凹凸が露出しない様に舗装材を切削する工程)。アスファルト舗装を切削した際に発生した廃棄物である切削ガラは、例えばダンプトラックによりアスファルト混合物製造所等の中間処理施設等に搬送される。ここで、ステップS1を省略することが可能である。
【0028】
次のステップS2では、
図7で示す様に、ヒータ車HVやジョイントヒータを用いて、アスファルト舗装を上面から加熱して、アスファルト舗装下面(底面)の温度を、例えば50℃以上に加熱する(舗装材を加熱する工程)。
アスファルト舗装下面を50℃以上に加熱することにより、鋼板とアスファルト舗装の境界面が溶融して、アスファルト舗装が鋼板から剥がれ易くなる。ここで、当該加熱温度は、構造物(例えば、鋼板の塗装)が劣化しない温度180℃以下であることが望まれる。構造物が劣化しない温度以下であれば、ステップS2で加熱された際に、構造物が損傷することがないからである。
ステップS2についても、省略することが出来る。
【0029】
ステップS3では、
図8で示す様に、(凹凸の存在する鋼板の)添接部R1と隣接する添接部R1との間の平坦な領域である一般領域R2において、例えば既存の平爪タイプのバックホウBHによりアスファルト舗装を除去する(一般領域において舗装材を除去する工程)。換言すると、一般領域R2はボルトヘッドB(すなわち凹凸)が存在しない領域であり、ステップS3は凹凸が存在しない領域において、既存の建設機器により舗装材を除去する工程である。
ここで、鋼板の添接部R1には高力ボルトのボルトヘッドBが存在するので、上述した様に、既存の建設機器ではボルトヘッド(凹凸)近傍のアスファルト舗装は除去できない。しかし、添接部R1間の平坦な一般領域R2であれば、既存のバックホウBHにより、鋼板上のアスファルト舗装を容易に剥ぎ取ることが出来る。
【0030】
ここで、ステップS3で用いられるバックホウBHと、第1実施形態に係る舗装材除去装置10が装着されて凹凸近傍のアスファルト舗装を除去するのに用いられるバックホウは、同一のものであっても良いし、別個のバックホウであっても良い。換言すれば、第1実施形態では、ステップS3~S5では単一のバックホウを使用しても良いし、ステップS3のバックホウとステップS5のバックホウは別個のもの使用しても良い。ステップS3、S5で別個のバックホウを使用する場合には、バックホウに舗装材除去装置10を着脱する工程(後述するステップS4)が不要である。
ここで、廃棄するべきアスファルト舗装材を搬送用のダンプトラック(図示しない)に積み込む際には、ステップS3でアスファルト舗装を剥ぎ取るバックホウとは別のバックホウにより、ステップS3で?ぎ取られたアスファルト舗装材を掬って搬送用ダンプトラックに投入する。後述するステップS5においても同様である。
【0031】
ステップS3~S5で単一のバックホウを使用する場合、添接部R1間の平坦な領域である一般領域R2においてアスファルト舗装を除去した後(ステップS3の後)、バックホウBHのバケット20先端の平爪を、第1実施形態に係る舗装材除去装置10に換装する(ステップS4)。
すなわちステップS4では、
図1~
図3を参照して上述した様に、バケット20先端の爪22と舗装材除去装置10の接続部4を係合して、バックホウBH(
図8:建設機械)に舗装材除去装置10を装着する。そしてステップS5に進む。
なお、ステップS3のバックホウとステップS5のバックホウが別個な場合には、ステップS4は省略される。
【0032】
ステップS5では、
図9で示す様に、添接部R1においてボルトヘッドB周辺のアスファルト舗装を除去する(凹凸に付着した舗装材を除去する工程)。すなわち、
図4を参照して上述した様に、添接部R1のボルトヘッドB周辺のアスファルト舗装に、舗装材除去装置10(
図1~
図4:
図9では図示せず)のワイヤーロープ1を接触させて、バックホウBHのアームやバケットを操作して、
図9の紙面に垂直な方向(
図2の矢印SA方向)やSA方向と直交する方向(
図9の紙面左右方向)等のさまざまな方向に往復動させる。当該往復動の際には、必要に応じてワイヤーロープ1を上下方向に移動させつつ行う。これにより、ボルトヘッドB近傍(ボルトヘッドB周辺)のアスファルト舗装は、ワイヤーロープ1により剥ぎ取られる。そしてステップS6に進む。
図9では、図示の煩雑さを回避するため、バックホウBHの先端に装着した舗装材除去装置10は図示されていない。
【0033】
ステップS6では、対象施工範囲におけるアスファルト舗装の除去が終了したか否かを判断する。
ステップS6の判断の結果、対象施工範囲におけるアスファルト舗装の除去を終了した場合(ステップS6が「Yes」)、作業を終了する。
一方、ステップS6の判断の結果、対象施工範囲におけるアスファルト舗装の除去が終了していない場合(ステップS6が「No」)、ステップS7に進む。
ステップS7では、次にアスファルト舗装の除去を行うべき対象施工範囲内の特定領域にバックホウ等の設備を移動させた上、ステップS1に戻りアスファルト舗装の除去を継続する。
図6~
図9の舗装材除去方法は、凹凸を有する鋼板として、添接部におけるボルトヘッドBを有する鋼板を例示しており、当該鋼板上を被覆する舗装材を除去する場合を例示して説明されている。しかし、切削傷(凹凸)を有するコンクリート版を被覆する舗装材を除去する場合にも、第1実施形態を適用することが可能である。
【0034】
次に、
図10を参照して本発明の第2実施形態について説明する。
図10において、第1実施形態と対応する機器は符号に添字Aを付けて示し、第1実施形態と同一の機器には
図1~
図5と同一の符号を付して示す。
図10において、第2実施形態に係る舗装材除去装置は全体を符号10Aで示し、本体部5Aと、出幅調節機構3と、ワイヤーロープ1を有している。
本体部5Aは回転機構30に接続されており、回転機構30は舗装材除去装置10Aを回転軸30CLを中心に回動して、その方向を自在に変える機能を有している。また回転機構30は板材32と接続しており、板材32は接続部材34を介してバケット20に接続している。板材32と接続部材34は、舗装材除去装置10Aをバケット20等の建設機械に脱着可能に取り付ける機能を有する取付機構を構成している。そして回転機構30の回転動力は、例えば電動モーターの様な公知の駆動機械であっても良いし、或いは、人力であっても良い。
図10において、符号36は、バケット20を建設機械(例えばバックホウ)のアーム先端に取り付けるための取付用板状部材である。
【0035】
明確には図示されてはいないが、第1実施形態と同様に、舗装材除去装置10Aは、例えば、バケット20の幅方向(
図10の左右方向)及びそれと直交する方向(図では紙面と直角の方向)の2方向に延在して構成することが可能である。或いは、舗装材除去装置10Aは、例えば、バケット20の幅方向(
図1の左右方向)と、それとは異なる2方向、合計で3方向に延在する様に構成することも出来る。さらに、舗装材除去装置10Aは、例えば円形や螺旋形状等の様に様々な態様で延在させることが可能であり、また、複数の舗装材除去装置10Aを複数の箇所に点在させて構成することも可能である。すなわち、様々な方向に1つまたは複数の舗装材除去装置10Aを取り付けることができる。
第2実施形態では、回転機構30を備えることにより、凹凸であるボルトヘッドBの様々な配列に対して、舗装材料装置10Aをアスファルト舗装P(
図4参照)を除去し易い向き、角度に位置させることが可能となる。それにより、ボルトヘッドB近傍のアスファルト舗装Pを効率的に除去することが出来る.
図10の第2実施形態における上述した以外の構成及び作用効果は、
図1~
図9の第1実施形態と同様である。
【0036】
次に、
図11、
図12を参照して本発明の第3実施形態について説明する。
図11、
図12において、第1実施形態及び第2実施形態と対応する機器は符号に添字Bを付けて示し、第1実施形態及び第2実施形態と同一の機器には
図1~
図10と同一の符号を付して示す。
図11、
図12において、第3実施形態に係る舗装材除去装置は全体を符号10Bで示し、本体部5Bと、出幅調節機構3と、ワイヤーロープ1を有している。本体部5Bは、第2実施形態と同様な回転機構30を介して取付用板状部材36と接続しており、取付用板状部材36は図示しない建設機械(例えばバックホウ)のアーム先端に接続されている。
図11、
図12の第3実施形態では、
図10の第2実施形態とは異なり、バケット20が設けられていない。
図11、
図12の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、
図10の第2実施形態と同様である。
【0037】
次に、
図13を参照して本発明の第4実施形態について説明する。
図13において、第1~第3実施形態と対応する機器は符号に添字Cを付けて示し、第1~第3実施形態と同一の機器には
図1~
図12と同一の符号を付して示す。
図13において、第4実施形態に係る舗装材除去装置は全体を符号10Cで示し、第1の本体部5C-1と、第2の本体部5C-2と、出幅調節機構3と、ワイヤーロープ1を有している。
図10~
図12の第2、第3実施形態とは異なり、
図13の第4実施形態では、2種類の回転機構30、30-1が設けられておら、本体部も第1の本体部5C-1と第2の本体部5C-2の2種類が設けられている。
【0038】
図13において下方に位置する第1の本体部5C-1の下端側には複数の出幅調節機構3とワイヤーロープ1が設けられており、第1の本体部5C-1の上端側は第2の回転機構30-1と連続している。一方、
図13において上方に位置する第2の本体部5C-2の下端側は第2の回転機構30-1と接続されており、第2の本体部5C-2の上端側は第1の回転機構30と接続されている。
第1の回転機構30は中心軸30CLを中心に回動し、第2の回転機構30-1は中心軸30-1CLを中心に回動する。換言すると、第2の回転機構30-1は第1の本体部5C-1を中心軸30-1CLを中心に回動する機能を有し、第1の回転機構30は第2の本体部5C-2を中心軸30CLを中心に回動する機能を有している。係る構成により、バックホウ等の建設機械のアームと舗装材除去装置10Cは、2軸の回転機構を介して取り付けられている。
第1の回転機構30及び第2の回転機構30-1の回転動力は、例えば電動モーターの様な公知の駆動機械であっても良いし、或いは、人力であっても良い。
【0039】
図13の第4実施形態によれば、2軸の回転機構を備えることにより、凹凸を構成するボルトヘッドBの様々な配列に対して、回転機構30、30-1の何れか一方により舗装材料装置10Cをアスファルト舗装Pを除去し易い向き、角度に合わせ、回転機構30、30-1の他方を作動しつつ舗装材除去作業を行えば、ボルトヘッドB近傍領域のアスファルト舗装Pを第1~第3実施形態に比較してさらに効率的に除去することが出来る。
図13の第4実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、
図10の第2実施形態と同様である。
【0040】
次に、
図14、
図15を参照して本発明の第5実施形態について説明する。
図14、
図15において、第1~第4実施形態と対応する機器は符号に添字Dを付けて示し、第1実施形態及び第2実施形態と同一の機器には
図1~
図13と同一の符号を付して示す。
図14、
図15において、第5実施形態に係る舗装材除去装置は全体を符号10Dで示し、本体部5D-1、5D-2と、出幅調節機構3と、ワイヤーロープ1を有している。第1の本体部5D-1の上端側は第2の回転機構30-1と連続している。一方、上方に位置する第2の本体部5D-2の下端側は第2の回転機構30-1と接続されており、第2の本体部5D-2の上端側は第1の回転機構30と接続されている。
第1の回転機構30は中心軸30CL(
図14)を中心に回動し、第2の回転機構30-1は中心軸30-1CL(
図15)を中心に回動する。係る構成により、バックホウ等の建設機械のアームと舗装材除去装置10Dは、2軸の回転機構を介して取り付けられている。
図14、
図15の第5実施形態では、
図13の第4実施形態とは異なり、バケット20が設けられていない。
図14、
図15の第5実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、
図13の第4実施形態と同様である。
【0041】
次に
図16を参照して、本発明の第6実施形態を説明する。
図16において、第6実施形態に係る舗装材除去装置は全体を符号10Eで示されており、第1実施形態及び第2実施形態と同一の機器には
図1~
図13と同一の符号が付されている。
図1~
図9を参照して説明した第1実施形態では、舗装材除去装置10Eはバケット20先端部の爪22に取り付けられている。それに対して
図16の第6実施形態では、舗装材除去装置10Eはバケット20の底部(
図16におけるバケット20の最下部)において、取付部40を介して取り付けられている。
図16では図示されていないが、第6実施形態に係る舗装材除去装置10Eは(
図16では)図示しない回転機構を介してバケット20の底部に取り付けることが可能である。そして、バックホウ(
図16では図示せず)のアームやバケットを操作して、
図16の紙面に垂直な方向(
図2の矢印SA方向に対応)や、
図2のSA方向と直交する方向(
図16の紙面左右方向)等のさまざまな方向に往復動させることが出来る。
図16の第6実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、
図1~
図15の実施形態と同様である。
【0042】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
例えば、図示の実施形態では舗装材としてアスファルトを例示しており、アスファルト舗装の除去について説明している。しかし、除去するべき舗装材はアスファルト舗装に限定されるものではなく、防水層、セメント混合物、樹脂混合物、木質系混合物、土壌混合物も含む。また、すべり止め舗装、樹脂モルタル舗装、半たわみ舗装も本発明により除去することが出来る。
【符号の説明】
【0043】
1・・・ワイヤーロープ(線状部材)
2・・・パイプ(中空部材)
3・・・出幅調節機構(ワイヤーロープのパイプからの出幅寸法を調節する機構)
10・・・舗装材除去装置
B・・・ボルト、ボルトヘッド
P・・・アスファルト舗装(舗装材)
R1・・・添接部
R2・・・一般領域
S・・・鋼板