(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126138
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】アンテナ構造体
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20240912BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20240912BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q21/06
H01Q21/24
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034332
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】501243317
【氏名又は名称】耀登科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江 啓名
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB06
5J021FA05
5J021FA32
5J021GA08
5J021JA06
5J045CA04
5J045DA10
5J045EA07
5J045FA02
5J045HA03
5J045JA17
(57)【要約】
【課題】移相器の数を効果的に減らすことができるため、コストを削減することができるアンテナ構造体を提供する。
【解決手段】本発明は、4つのアンテナアレイからなるアンテナ構造体を開示する。4つのアンテナアレイは、互いに隣接して構成され、それぞれが4つのアンテナから構成される。任意の2つの隣接するアンテナは、それらの間に第1の位相差を有し、第1の位相差は、4つのアンテナが協働して第1の円偏波を生成するように90°である。4つのアンテナアレイはそれらの間に共通中心点を有し、各アンテナアレイの共通中心点に隣接するアンテナは、共通アンテナとして定義される。複数の共通アンテナを合わせて共通アンテナアレイとする。隣接する任意の2つの共通アンテナ間には、第2の位相差がある。第2の位相差は、4つの共有アンテナが協働的に第2の円偏波を生成するように90°である。第2の円偏波の回転方向は、第1の円偏波の回転方向と同じである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置され、互いに隣接して構成された4つのアンテナアレイと、
を含むアンテナ構造体であって、
各前記アンテナアレイは、4つのアンテナを含み、隣接する前記アンテナのうちの任意の2つはそれらの間に第1の位相差を有し、前記第1の位相差は、4つの前記アンテナが共同で第1の円偏波を生成させるように90°であり、
4つの前記アンテナアレイがそれらの間に共通中心点を有し、前記アンテナアレイにおける前記共通中心点に隣接する前記アンテナの各々が共通アンテナとして定義され、複数の前記共通アンテナが共に共通アンテナアレイを形成し、
互いに隣接する前記共通アンテナの任意の2つがそれらの間に第2の位相差を有し、前記第2の位相差が、4つの前記共通アンテナが共に第2の円偏波を生成させるように90°であり、
前記第2の円偏波は、前記第1の円偏波と同じ回転方向である、
ことを特徴とするアンテナ構造体。
【請求項2】
前記アンテナアレイのそれぞれにおいて、4つの前記アンテナは、それらの間に副中心点を有し、隣接する任意の2つの前記アンテナアレイは、それらの前記副中心点の間に第1の離間距離を有し、前記副中心点のそれぞれは前記共通中心点との間に第2の離間距離を有し、前記第1の離間距離は前記第2の離間距離の10%以下である、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項3】
前記第1の離間距離は、前記第2の離間距離と等しい、請求項2に記載のアンテナ構造体。
【請求項4】
前記アンテナ構造体は特定の伝送帯域に適用し、前記第1の離間距離は、前記伝送帯域の中心周波数に対応する波長の1/2倍である、請求項2に記載のアンテナ構造体。
【請求項5】
前記アンテナアレイの各々における前記アンテナは、第1の給電点を有し、
前記アンテナアレイは、
前記各アンテナの前記第1の給電点をそれぞれ接続する第1のマイクロストリップ線路と、
前記第1のマイクロストリップ線路に接続される第1の移相器であって、前記第1の移相器と前記第1のマイクロストリップ線路との間に第1の接続点を有する第1の移相器と、
を備え、
前記第1のマイクロストリップ線路において、前記第1の接続点から前記アンテナアレイのうち2つの前記アンテナの前記第1の給電点までは、第1の最短経路を有し、前記第1の接続点から前記アンテナアレイのうち他の2つの前記アンテナの前記第1の給電点までは、第2の最短経路を有し、前記第1の最短経路と前記第2の最短経路とは第1の差があり、前記第1の移相器は、前記第1の差によって前記第1の位相差を生成する、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項6】
前記共通アンテナとして定義される前記アンテナは、第2の給電点をさらに有し、前記第1の給電点と前記第2の給電点とは90°の位相差を有する、請求項5に記載のアンテナ構造体。
【請求項7】
前記共通アンテナアレイは、さらに
前記共通アンテナの各々の前記第2の給電点にそれぞれ接続される、第2のマイクロストリップ線路と、
前記第2のマイクロストリップ線路に接続される第2の移相器であって、前記第2の移相器と前記第2のマイクロストリップ線路との間に第2の接続点を有する第2の移相器と、
を備え、
前記第2のマイクロストリップ線路において、前記第2の接続点から前記共通のアンテナのうちの2つの前記第2の給電点までは、第3の最短経路を有し、前記第2の接続点から前記共通のアンテナのうちの他の2つの前記共通のアンテナの前記第2の給電点までは、第4の最短経路を有し、前記第3の最短経路と前記第4の最短経路とは第2の差を有し、前記第2の移相器は前記第2の差によって前記第2の位相差を生成する、請求項6に記載のアンテナ構造体。
【請求項8】
前記共通アンテナアレイと前記各アンテナアレイとの位相差が45°である、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項9】
前記アンテナアレイの各々の前記アンテナは、第1の給電点を有し、
前記アンテナアレイは、
前記4つのアンテナの各々の前記第1の給電点に接続された4つの第1の移相器であって、各々の前記第1の移相器は、前記第1の給電点を介して前記アンテナに異なる位相の第1の給電信号を送信することができる、4つの第1の移相器と、
前記第1の移相器の4個に電気的に結合された第1の接続線と、
を備え、
前記4つのアンテナは、4つの前記第1の給電信号の異なる位相によって前記第1の円偏波を発生させる、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項10】
前記共通アンテナアレイの前記共通アンテナは、第2の給電点を有し、
前記共通アンテナアレイは、
4つの前記共通アンテナの前記第2の給電点にそれぞれ接続され、各前記第2の移相器は、前記第2の給電点を介して前記共通アンテナに第2の給電信号を送信することが可能である、4つの第2の移相器と、
前記第2の移相器の4つに電気的に結合された第2の接続線と、
を備え、
前記共通アンテナの4つは、4つの前記第2の給電信号の異なる位相によって前記第2の円偏波を生成する、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体に関し、特にアンテナ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のアンテナ構成は、各アンテナに2つの移相器を接続し、2つの移相器が水平方向と垂直方向に90°の位相差信号を入力し、各アンテナが独立して円偏波を発生させる。つまり、既存のアンテナ構造体は、「各アンテナが独立して円偏波を生成する」アーキテクチャのため、多数の移相器が使用される(例えば、複数のアンテナを32×32のアレイ状に配置した場合、既存のアンテナ構造体は2048個の移相器が必要である)。しかし、移相子は高価な部品であるため、既存のアンテナ構造体ではコストが高くつく可能性がある。
【0003】
そこで、本発明者は、上記不具合を改善することができると考え、科学的な原理を研究・応用して、合理的な設計で、上記不具合を改善する効果のある発明を考え出したのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、既存技術の欠点を解消したアンテナ構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、基板と、前記基板上に配置され、互いに隣接して構成された4つのアンテナアレイとを含むアンテナ構造体を提供する。4つのアンテナアレイのそれぞれは、4つのアンテナを備え、互いに隣接する任意の2つのアンテナの間に90°となる第1の位相差を有することによって、4つのアンテナが協働的に第1の円偏波を生成する。4つのアンテナアレイは、共通中心点を有し、各アンテナアレイにおける共通中心点に隣接するアンテナのそれぞれは、共通アンテナとして定義され、複数の共通アンテナは、一緒になって共通アンテナアレイを形成し、隣接する任意の2つの共通アンテナの間に90°第2の位相差を有することによって、4つの前記共通アンテナが協働的に第2の円偏波を生成する。第2の円偏光は、第1の円偏光と同じ回転方向である。
【発明の効果】
【0006】
上記を踏まえて、「互いに隣接する任意の2つのアンテナの間に90°となる第1の位相差を有することによって、4つのアンテナが協働的に第1の円偏波を生成する。」、「各アンテナアレイにおける共通中心点に隣接するアンテナのそれぞれは、共通アンテナとして定義され、複数の共通アンテナは、一緒になって共通アンテナアレイを形成し、隣接する任意の2つの共通アンテナの間に90°第2の位相差を有することによって、4つの前記共通アンテナが協働的に第2の円偏波を生成する。」、及び「第2の円偏光は、第1の円偏光と同じ回転方向である。」ことを特徴とするアンテナ構成は、移相器の使用数を減らしてコスト低減を図る上で有効である。
【0007】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のアンテナ構造体を示す斜視模式図である。
【
図2】本発明のアンテナ構造体を示す他の斜視模式図である。
【
図3】本発明のアンテナ構造体を示す平面模式図である。
【
図4】本発明のアンテナ構造体の局部を示す平面模式図である。
【
図5】本発明のアンテナ構造体の他の局部を示す平面模式図である。
【
図6】本発明のアンテナ構造体において1つのアンテナアレイが発生するフィールドパターンを示す模式図である。
【
図7】本発明のアンテナ構造体の他の実施形態を示す平面模式図である。
【
図8】本発明のアンテナ構造体の他の実施形態によるフィールドパターンを示す模式図である。
【
図9】本発明のアンテナ構造体のさらに他の実施形態によるフィールドパターンを示す模式図である。
【
図10】本発明のアンテナ構造体におけるアンテナアレイの位相差と共通アンテナアレイの位相差とが45°であるときに発生するフィールドパターンの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の「アンテナ構造体」を具体的な実施形態によって実施する方法を説明するが、その利点と効果は、本明細書の内容から当業者が理解することができるものである。本発明は、他の具体的な実施形態によって実施または適用することができ、本明細書の内容は、本発明の思想を逸脱しない範囲で、異なる観点および用途に応じて様々に修正および変更することができる。さらに、本発明の添付図面は、簡単に例示したに過ぎず、予め述べたように、実際の寸法を描写することを意図したものではない。以下、本発明の関連する技術的側面についてさらに詳しく説明するが、この開示は、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではない。
【0010】
本明細書では、様々なコンポーネントや信号を説明するために「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語を使用することがあるが、これらのコンポーネントや信号はこれらの用語によって制限されるべきものではないことを理解する必要がある。これらの用語は、主にある構成要素を他の構成要素から、またはある信号を他の信号から区別するために使用される。さらに、本明細書で使用する「又は」という用語は、適宜、列挙された項目のいずれか1つ又は相互の関連する組合せを含むことができる。
【0011】
また、以下の説明において、特定の図または特定の図に示されているように参照することが示されている場合、これは、以下の説明において、記載されている関連内容の相当部分がその特定の図に示されていることを強調するためのものであり、以下の説明をその特定の図への参照のみに限定するものではない。
【0012】
図1~
図10を参照すると、本実施形態は、特定の伝送帯域で使用されるアンテナ構造体100を提供する。
図1及び
図2に示すように、前記アンテナ構造体100は、基板1と、前記基板1上に配置された4つのアンテナアレイ2とを備える。アンテナアレイ2は、互いに隣接して配置される。前記アンテナアレイ2の各々は、円偏波を発生することができ、かつ、前記アンテナアレイ2は、一緒に同じ回転方向を有する別の円偏波を発生することができる。そのため、前記アンテナ構造体100は、既存のアンテナ構造体よりもはるかに少ない数の移相器を必要とするが、前記アンテナ構造体100が最終的に既存のアンテナ構造体と変わらない利得値を発生させることが可能である。以下、前記アンテナ構造体100の構成要素を別々に説明し、前記アンテナ構造体100の構成要素間の接続を順次に説明する。
【0013】
図1及び
図3に示すように、4つの前記アンテナアレイ2は2×2の行列に配置され、4つの前記アンテナアレイ2はそれらの間に共通中心点CP1を有する。各前記アンテナアレイ2は4つのアンテナ21を含み、4つの前記アンテナ21も2×2の行列に配置され、4つの前記アンテナアレイ2はそれらの間に副中心点CP2を有する。言い換えれば、前記アンテナ構造体100には16個の前記アンテナ21を有し、16個の前記アンテナ21は4×4のマトリクス状に配置されている。
【0014】
なお、本実施形態において、前記アンテナアレイ2の隣接する任意の2つの前記副中心点CP2は、それらの間に第1の離間距離D1を有し、前記第1の離間距離D1は、前記特定の伝送帯域の中心周波数に対応する波長の1/2倍であることが好ましい。さらに、各前記副中心点CP2と各前記共通中心点CP1との間は、それぞれ第2の離間距離D2を有し、前記第1の離間距離D1は、前記第2の離間距離D2と等しいことが好ましいが、本発明は、これに限定されない。原則的には、前記第1の離間距離D1は、前記第2の離間距離D2の10%以下であることが好ましい。
【0015】
図3及び
図4に戻り、前記アンテナアレイ2の各々において、互いに隣接する前記アンテナ21のうちの任意の2つは、それらの間に第1の位相差を有し、前記第1の位相差は、4つの前記アンテナ21が共同で第1の円偏波を生成できるように90°である。
【0016】
実用化においては、前記アンテナアレイ2の各々はまた、第1のマイクロストリップ線路22と、第1の移相器23とを備える。前記第1のマイクロストリップ線路22は、アンテナアレイ2における4つのアンテナ21の第1の給電点P21aに(導電性ポストを介して)接続され、前記第1の移相器23は、前記第1のマイクロストリップ線路22と(例えば、ハンダを介して)接続され、前記第1の移相器23と前記第1のマイクロストリップ線路22の接続部分は、第1の接続点を有している。好ましくは、前記第1の接続点は、前記副中心点CP2に位置するが、本発明により限定されない(例えば、前記第1の接続点は、前記副中心点CP2の一側に位置してもよい)。
【0017】
前記第1のマイクロストリップ線路22は、前記第1の接続点から前記アンテナアレイにおける2つの前記アンテナ21の前記第1の給電点P21Aまでの第1の最短経路を有し、前記第1のマイクロストリップ線路22は、前記第1の接続点から前記アンテナアレイ2における他の2つの前記アンテナの前記第1の給電点P21Aまでの第2の最短経路を有する。第1の最短経路と前記第2の最短経路との間に第1の差を有し、前記第1の移相器23は、前記第1の差によって前記第1の位相差を発生させる。従って、前記アンテナアレイ2は、前記第1のマイクロストリップ線路22及び前記第1の移相器23を介して前記第1の円偏波を発生させることができる。
【0018】
より詳細には、前記第1のマイクロストリップ線路22は、第1のメインセグメント221と2つの第1の接続セグメント222とを有し、前記第1のメインセグメント221は前記第1の移相器23に接続され、2つの前記第1の接続セグメント222は前記第1のメインセグメント221の両端で接続され、前記第1のメインセグメント221の幅は2つの前記第1の接続セグメント222の幅より大きくなっている。さらに、前記第1の接続セグメント222の一部分は、好ましくは、略U字形に設計され、前記第1の接続セグメント222の他の部分は、略L字形(またはV字形)に設計されている。このようにして、前記アンテナ構造体100は、前記第1のマイクロストリップ線路22が前記第1の差を生じる面積が最小となる。なお、本発明はこのように限定されるものではない。また、
図6に示すフィールドパターンPH1は、上述した1つのアンテナアレイ2の実測フィールドパターンである。
【0019】
図3及び
図5に再び示すように、前記アンテナ21の前記共通中心点CP1に隣接する前記アンテナアレイ2の各々は、共通アンテナとして定義することもでき、複数の前記共通アンテナは一緒に共通アンテナアレイWを形成し、互いに隣接する前記共通アンテナの任意の2つは第2の位相差を有し、前記第2の位相差が90°であるので4つの前記共通アンテナは一緒に第2の円偏波を生成することができる。実際には、前記共通アンテナとして定義される前記アンテナ21は、前記第1の給電点P21Aに加えて第2の給電点P21Bを有し、前記第1の給電点P21A及び前記第2の給電点P21Bは、前記共通アンテナアレイWが前記第2の円偏波を生成できるように90°の位相差を有している。
【0020】
なお、本発明では、信号の相互作用による悪影響(利得値の弱まりなど)を避けるために、前記第2の円偏波の回転方向は前記第1の円偏波の回転方向と同じでなければならない(例えば前記第2の円偏波が左巻きの場合、前記アンテナアレイ2の各々の前記第1の円偏波も左巻きである)。
【0021】
実用上、前記共通アンテナアレイWは、第2のマイクロストリップ線路W24と、第2の移相器W25とをさらに備え、前記第2のマイクロストリップ線路W24は、前記4つの前記共通アンテナの前記第2の給電点P21Bに(リードポストで)接続され、前記第2の移相器W25は、前記第2のマイクロストリップ線路W24と(例えば、ハンダで)接続され、前記第2の移相器W25と前記第2の移相器W24の間に第2の接続点を有している。好ましくは、前記第2の接続点は、前記共通中心点CP1に位置するが、本発明により限定されない(例えば、前記第2の接続点は、前記共通中心点CP1の片側に位置してもよい)。
【0022】
前記第2のマイクロストリップ線路W24は、前記第2の接続点から前記共通アンテナアレイWにおける2つの前記共通アンテナの前記第2の給電点P21Bまでの第3の最短経路を有し、前記第2のマイクロストリップ線路W24は、前記第2の接続点から前記共通アンテナアレイWにおける他の2つの前記共通アンテナの前記第2の給電点P21Bまでの第4の最短経路を有する。前記第3の最短経路と前記第4の最短経路との間に第2の差を有し、前記第2の移相器W25は、前記第2の差によって前記第2の位相差を生成する。従って、前記共通アンテナアレイWは、前記第2のマイクロストリップ線路W24及び前記第2の移相器W25を介して前記第2の円偏波を発生させることができる。
【0023】
より詳しく見ると、前記第2のマイクロストリップ線路W24は、第2のメインセグメントW241と2つの第2の接続セグメントW242とを有し、前記第2のメインセグメントW241は前記第2の移相器W25に接続され、2つの前記第2の接続セグメントW242は前記第2のメインセグメントW241の両端に接続され、前記第2のメインセグメントW241は、2つの前記第2の接続セグメントW242の幅も大きい。さらに、前記第2の連結セグメントW242の一部分は、略U字型に設計され、前記第2の連結セグメントW242の他の部分は、略L字型(またはV字型)に設計されることが好ましい。従って、前記アンテナ構造体100は、前記第2のマイクロストリップ線路W24が前記第2の差を生じる面積が最小となるが、本発明は、このように限定されるものではない。
【0024】
なお、本実施形態では、前記アンテナ構造体100は、4つの前記アンテナアレイ2によって例示されているが、本発明はこれに限定されるものではないことを付言しておく。具体的には、前記アンテナ構造体の前記アンテナアレイの数は、任意のM×N行列配置(M及びNは2以上)であればよい。例えば、本明細書に図示されていない本発明の他の実施形態において、前記アンテナ構造体100は、設計者のニーズに応じて、6つのアンテナアレイ(3×2行列配置)、又は9つのアンテナアレイ(3×3行列配置)、又は10のアンテナアレイ(5×2行列配置)に適合させることも可能である。例えば、
図7及び
図8に示すように、前記アンテナ構造体100’は、3×3マトリクス状に配置された9個のアンテナアレイ2を有し、
図8に示すフィールドパターンPH2を生成する。他の例として、
図9に示すように、16×16マトリクス状に配置された複数のアンテナアレイ2により、
図9に示すフィールドパターンPH3が生成される。
【0025】
なお、前記共通アンテナアレイWと前記各アンテナアレイ2との位相差は、45°になるように設計してもよい。例えば、前記共通アンテナアレイの位相が(1W,90°)であるとき、前記各アンテナアレイの位相は(1W,0°)であってもよいし、(1W,90°)であってもよい。あるいは、前記共通アンテナアレイの位相が(1W,135°)であるとき、前記アンテナアレイ2の各々の位相は、(1W,90°)、または(1W,180°)であってもよい。従って、アンテナ構造体100は、所望のビームフォーミング効果(Beam forming)を実現する。例えば、
図7及び
図10に示すように、前記アンテナ構造体100’の9つのアンテナアレイ2が3×3の行列状に配置され、前記共通アンテナアレイWと前記各アンテナアレイ2との位相差が45°となるように設計すると、前記アンテナ構造体は
図10に示すようなフィールドパターンPH4が得られる。
【0026】
さらに、本実施形態のアンテナ構造体100は、既存のアンテナ構造体と比較して、移相器の数を75%削減できることが分かる。例えば、使用するアンテナの本数が1024本である場合、本発明のアンテナ構造体100における移相器の数は、既存のアンテナ構造体における2048本に対して、481本である。つまり、アンテナ構造体100は、移相器の数を約75%削減することができる。
【0027】
前述した本発明の精神と同じように、前記アンテナ構造体100も好適に適合させることができる。例えば、本明細書に図示されていない本発明の他の実施形態において、前記アンテナアレイ2の各々は、4つの第1の移相器23と第1の接続線とを有することができる。前記4つの第1の移相器23は、4つの前記アンテナ21の各々の前記第1の給電点P21Aに接続され、各々の前記第1の移相器23は、前記第1の給電点P21Aを介して前記アンテナ21に対して異なる位相の第1の給電信号を送信することが可能である。前記第1の接続線は、4つの前記第1の移相器23に電気的に結合され、前記第1の接続線は、前記副中心点CP2からいずれかの前記第1の給電点P21Aまでの距離が等しい(例えば、前記第1の接続線はH字形状である)。ここで、前記アンテナ21の4つは、4つの前記第1の給電信号の異なる位相を通じて前記第1の円偏波を生成することが可能である。
【0028】
さらに、前記共通アンテナアレイWは、本実施形態では、4つの第2の移相器W25と、第2の接続線とを有している。前記4つの第2の移相器W25は、前記4つの共通アンテナそれぞれの前記第2の給電点P21Bに接続され、それぞれの前記第2の移相器W25は、前記第2の給電点P21Bを介して前記共通アンテナに異なる位相の第2の給電信号を送信することが可能である。前記第2の接続線は、4つの前記第2の移相器W25に電気的に結合され、前記第2の接続線は、前記共通中心点CP1からいずれかの前記第2の給電点P21Bまで等間隔(例えば、前記第2の接続線はH字状)に配置されていることを特徴とする。前記4つの前記共通アンテナは、4つの前記第2の給電信号の異なる位相を通じて前記第2の円偏波を生成することができる。
[実施形態による技術的効果]
【0029】
上記を踏まえて、「互いに隣接する任意の2つのアンテナの間に90°となる第1の位相差を有することによって、4つのアンテナが協働的に第1の円偏波を生成する。」、「各アンテナアレイにおける共通中心点に隣接するアンテナのそれぞれは、共通アンテナとして定義され、複数の共通アンテナは、一緒になって共通アンテナアレイを形成し、隣接する任意の2つの共通アンテナの間に90°第2の位相差を有することによって、4つの前記共通アンテナが協働的に第2の円偏波を生成する。」、及び「第2の円偏光は、第1の円偏光と同じ回転方向である。」ことを特徴とするアンテナ構成は、移相器の使用数を減らしてコスト低減を図る上で有効である。
【0030】
以上に開示される内容は本発明の好ましい実施可能な実施例に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではないので、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0031】
100,100’:アンテナ構造体
1:基板
2:アンテナアレイ
21:アンテナ
P21A:第1の給電点
P21B:第2の給電点
22:第1のマイクロストリップ線路
221:第1のメインセクション
222:第1の接続セクション
23:第1の移相器
W:共通アンテナアレイ
W24:第2のマイクロストリップ線路
W241:第2のメインセクション
W242:第2の接続セグメント
W25:第2のフェイズシフター
CP1:共通中心点
CP2:副中心点
D1:第1の離間距離
D2:第2の離間距離
PH1、PH2、PH3、PH4:フィールドパターン
【手続補正書】
【提出日】2024-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置され、共通中心点を囲むように互いに隣接して構成された4つのアンテナアレイと、
を含むアンテナ構造体であって、
各前記アンテナアレイは、副中心点、並びに前記副中心点を囲むように互いに隣接して構成された4つのアンテナを含み、隣接する前記アンテナのうちの任意の2つはそれらの間に第1の位相差を有し、前記第1の位相差は、4つの前記アンテナが共同で第1の円偏波を生成させるように90°であり、
前記アンテナアレイにおける前記共通中心点に隣接する前記アンテナの各々が共通アンテナとして定義され、複数の前記共通アンテナが共に前記共通中心点を囲むように互いに隣接して共通アンテナアレイを形成し、
互いに隣接する前記共通アンテナの任意の2つがそれらの間に第2の位相差を有し、前記第2の位相差が、4つの前記共通アンテナが共に第2の円偏波を生成させるように90°であり、
前記第2の円偏波は、前記第1の円偏波と同じ回転方向であり、
前記アンテナアレイのそれぞれにおいて、4つの前記アンテナは、それらの間に副中心点を有し、隣接する任意の2つの前記アンテナアレイは、それらの前記副中心点の間に第1の離間距離を有し、前記副中心点のそれぞれは前記共通中心点との間に第2の離間距離を有し、前記第1の離間距離は前記第2の離間距離の10%以下である、
ことを特徴とするアンテナ構造体。
【請求項2】
前記第1の離間距離は、前記第2の離間距離と等しい、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項3】
前記アンテナ構造体は特定の伝送帯域に適用し、前記第1の離間距離は、前記伝送帯域の中心周波数に対応する波長の1/2倍である、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項4】
前記アンテナアレイの各々における前記アンテナは、第1の給電点を有し、
前記アンテナアレイは、
前記各アンテナの前記第1の給電点をそれぞれ接続する第1のマイクロストリップ線路と、
前記第1のマイクロストリップ線路に接続される第1の移相器であって、前記第1の移相器と前記第1のマイクロストリップ線路との間に第1の接続点を有する第1の移相器と、
を備え、
前記第1のマイクロストリップ線路において、前記第1の接続点から前記アンテナアレイのうち2つの前記アンテナの前記第1の給電点までは、第1の最短経路を有し、前記第1の接続点から前記アンテナアレイのうち他の2つの前記アンテナの前記第1の給電点までは、第2の最短経路を有し、前記第1の最短経路と前記第2の最短経路とは第1の差があり、前記第1の移相器は、前記第1の差によって前記第1の位相差を生成する、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項5】
前記共通アンテナとして定義される前記アンテナは、第2の給電点をさらに有し、前記第1の給電点と前記第2の給電点とは90°の位相差を有する、請求項4に記載のアンテナ構造体。
【請求項6】
前記共通アンテナアレイは、さらに
前記共通アンテナの各々の前記第2の給電点にそれぞれ接続される、第2のマイクロストリップ線路と、
前記第2のマイクロストリップ線路に接続される第2の移相器であって、前記第2の移相器と前記第2のマイクロストリップ線路との間に第2の接続点を有する第2の移相器と、
を備え、
前記第2のマイクロストリップ線路において、前記第2の接続点から前記共通のアンテナのうちの2つの前記第2の給電点までは、第3の最短経路を有し、前記第2の接続点から前記共通のアンテナのうちの他の2つの前記共通のアンテナの前記第2の給電点までは、第4の最短経路を有し、前記第3の最短経路と前記第4の最短経路とは第2の差を有し、前記第2の移相器は前記第2の差によって前記第2の位相差を生成する、請求項5に記載のアンテナ構造体。
【請求項7】
前記共通アンテナアレイと前記各アンテナアレイとの位相差が45°である、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項8】
前記アンテナアレイの各々の前記アンテナは、第1の給電点を有し、
前記アンテナアレイは、
前記4つのアンテナの各々の前記第1の給電点に接続された4つの第1の移相器であって、各々の前記第1の移相器は、前記第1の給電点を介して前記アンテナに異なる位相の第1の給電信号を送信することができる、4つの第1の移相器と、
前記第1の移相器の4個に電気的に結合された第1の接続線と、
を備え、
前記4つのアンテナは、4つの前記第1の給電信号の異なる位相によって前記第1の円偏波を発生させる、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項9】
前記共通アンテナアレイの前記共通アンテナは、第2の給電点を有し、
前記共通アンテナアレイは、
4つの前記共通アンテナの前記第2の給電点にそれぞれ接続される第2の移相器であって、各前記第2の移相器は、前記第2の給電点を介して前記共通アンテナに第2の給電信号を送信することが可能である、4つの第2の移相器と、
前記第2の移相器の4つに電気的に結合された第2の接続線と、
を備え、
前記共通アンテナの4つは、4つの前記第2の給電信号の異なる位相によって前記第2の円偏波を生成する、請求項1に記載のアンテナ構造体。