(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126148
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】木材取引支援装置、木材取引支援方法および木材取引支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240912BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034350
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129012
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 雅史
(72)【発明者】
【氏名】宮田 俊太朗
(72)【発明者】
【氏名】西本 昌平
(72)【発明者】
【氏名】宮浦 宏之
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】木材の需要者からの需要情報に基づいて適正な木材取引を行うことが可能な木材取引支援装置、木材取引支援方法および木材取引支援プログラムを提供する。
【解決手段】木材取引支援装置10は、製材された木材を必要とする需要者からの需要情報に基づいて、木材の需要者と供給者との間の取引を成立させる装置であって、需要情報取得部11と、供給情報取得部12と、供給者選定部15とを備える。需要情報取得部11は、需要者から木材の需要情報を取得する。供給情報取得部12は、需要情報取得部11において需要情報が取得されると、木材の供給者から供給可能な木材の供給情報を取得する。供給者選定部15は、需要情報と供給情報とを照合し、木材を供給する供給者を選定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製材された木材を必要とする需要者からの需要情報に基づいて、前記木材の需要者と供給者との間の取引を成立させる木材取引支援装置であって、
前記需要者から前記木材の需要情報を取得する需要情報取得部と、
前記需要情報取得部において前記需要情報が取得されると、前記木材の供給者から供給可能な前記木材の供給情報を取得する供給情報取得部と、
前記需要情報と前記供給情報とを照合し、前記木材を供給する供給者を選定する供給者選定部と、
を備えている木材取引支援装置。
【請求項2】
前記供給情報に基づいて、前記供給者を選定する際の優先順位を設定する優先順位設定部を、さらに備えている、
請求項1に記載の木材取引支援装置。
【請求項3】
前記優先順位設定部は、前記供給情報に含まれる前記木材の供給量、質、樹種、供給場所の少なくとも1つに関する情報に基づいて、前記供給者の優先順位を設定する、
請求項2に記載の木材取引支援装置。
【請求項4】
前記優先順位設定部は、前記需要情報と前記供給情報とを照合して、前記供給者の優先順位を設定する、
請求項2に記載の木材取引支援装置。
【請求項5】
前記優先順位設定部は、新たに取得した前記供給情報を用いて、前記供給者の優先順位を更新する、
請求項2または3に記載の木材取引支援装置。
【請求項6】
前記供給者選定部は、前記需要情報に含まれる需要量に対して、前記供給情報に含まれる供給量が不足する場合には、前記優先順位設定部において設定された優先順位が最上位の第1供給者の1つ下位の第2供給者を選択し、前記第2供給者からの供給量を、前記第1供給者の供給量に加算した合計供給量を、前記需要量と比較して前記供給者を選定する、
請求項2または3に記載の木材取引支援装置。
【請求項7】
前記供給者選定部は、前記需要情報に含まれる需要量に対して、前記供給情報に含まれる供給量が不足する場合には、前記需要者に対して供給可能量に関する情報を送信する、
請求項1または2に記載の木材取引支援装置。
【請求項8】
前記供給者選定部は、前記需要情報取得部が前記需要情報を取得すると、前記供給者に対して問い合わせを送信する、
請求項1または2に記載の木材取引支援装置。
【請求項9】
前記供給者選定部は、前記需要情報に含まれる需要量に対して、前記供給情報に含まれる供給量が不足する場合には、前記供給者に対して供給量の増加の可否に関する問い合わせを送信する、
請求項1または2に記載の木材取引支援装置。
【請求項10】
前記供給情報は、前記木材を供給可能と想定されるポテンシャル供給量と、実際に供給可能な在庫量とを含む、
請求項1または2に記載の木材取引支援装置。
【請求項11】
前記供給情報に基づいて、前記供給者を選定する際の優先順位を設定する優先順位設定部を、さらに備え、
前記優先順位設定部は、前記ポテンシャル供給量と前記在庫量とを踏まえて、前記供給者の優先順位を設定する、
請求項10に記載の木材取引支援装置。
【請求項12】
前記需要者からの前記木材の需要情報および前記供給者からの前記木材の供給情報を保存する記憶部を、さらに備えている、
請求項1または2に記載の木材取引支援装置。
【請求項13】
前記需要情報は、前記木材の需要量、樹種、質、納入場所の少なくとも1つに関する情報を含む、
請求項1または2に記載の木材取引支援装置。
【請求項14】
前記供給情報は、前記木材の供給量、樹種、質、欠点、供給場所に関する情報を含む、
請求項1または2に記載の木材取引支援装置。
【請求項15】
前記木材の需要量は、製材量であって、前記木材の供給量は、原木量である、
請求項1または2に記載の木材取引支援装置。
【請求項16】
前記木材の供給量を、前記原木量と、前記木材の所定の歩留まり率とを用いて算出する供給量算出部を、さらに備えている、
請求項15に記載の木材取引支援装置。
【請求項17】
前記木材は、広葉樹である、
請求項1または2に記載の木材取引支援装置。
【請求項18】
前記供給者の選定結果を出力する出力部を、さらに備えている、
請求項1または2に記載の木材取引支援装置。
【請求項19】
製材された木材を必要とする需要者からの需要情報に基づいて、前記木材の供給者との間の取引を成立させる木材取引支援方法であって、
前記需要者から前記木材の需要量を含む需要情報を取得する需要情報取得ステップと、
前記需要情報取得ステップにおいて前記需要情報が取得されると、前記木材の供給者から供給可能な前記木材の供給情報を取得する供給情報取得ステップと、
前記需要情報と前記供給情報とを照合し、前記木材を供給する供給者を選定する供給者選定ステップと、
を備えている木材取引支援方法。
【請求項20】
製材された木材を必要とする需要者からの需要情報に基づいて、前記木材の供給者との間の取引を成立させる木材取引支援プログラムであって、
前記需要者から前記木材の需要量を含む需要情報を取得する需要情報取得ステップと、
前記需要情報取得ステップにおいて前記需要情報が取得されると、前記木材の供給者から供給可能な前記木材の供給情報を取得する供給情報取得ステップと、
前記需要情報と前記供給情報とを照合し、前記木材を供給する供給者を選定する供給者選定ステップと、
を備えている木材取引支援方法をコンピュータに実行させる木材取引支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材の取引を成立させる木材取引支援装置、木材取引支援方法および木材取引支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
国内において流通する木材は、川上業者(素材生産者)が森林の立木を伐採して市場に供給し、それを川中業者(製材/合板/チップ)が購入・加工した状態で流通し、最終的に、川下業者(住宅メーカ/家具メーカ等)によって使用される。
一般的に、川下業者は、使用したい樹種が安定して調達できることを望む。しかし、特に、例えば、国内の広葉樹は、樹種が多く、天然林や里山林を中心に広く分布しているため、人為的に特定の樹種を植林してきた人工林とは異なり、1つの事業者だけで、「要望に合った樹種を」「安定して」「まとまった量」供給するのが困難である。
【0003】
さらに、バリューチェーンが複雑で需給情報が分断されており、安定した供給体制を構築しやすい輸入木材が国内シェアを奪ってきた歴史もあり、一部地域(北海道・東北等)以外では広葉樹原木が流通していないという実情がある。また、このような地域においても、川下業者が求める条件を満たせないことが多く、伐採された木材が燃料用木質バイオマスチップ等として、安価に取引されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、原木データの格納部と製品データの格納部とを含むデータベース、及びこのデータベース内のデータを管理する手段、を有する木材集荷・在庫情報供給サーバを備え、原木データ格納部には、規格化された原木の等級情報が含まれ、製品データ格納部にも、製品の元となった原木の等級情報が含まれており、木材集荷・在庫情報供給サーバが、接続されたクライアントからの入力条件に応じてデータベースの情報を読み出して原木の等級情報と共に送信するとともに、その購入を促す木材の電子商取引方法について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の木材の電子商取引方法では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された木材の電子商取引方法では、原木の規格を加工後の製品にまで適用することで、商品である木材の信頼性を高めることが可能になるものの、川下業者からの需要に関係なく川上業者が起点になって木材の取引が行われるため、広葉樹等の木材が適正な価格で取引が行われているとは言い難かった。
【0007】
本発明の課題は、木材の需要者からの需要情報に基づいて適正な木材取引を行うことが可能な木材取引支援装置、木材取引支援方法および木材取引支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る木材取引支援装置は、製材された木材を必要とする需要者からの需要情報に基づいて、木材の需要者と供給者との間の取引を成立させる木材取引支援装置であって、需要情報取得部と、供給情報取得部と、供給者選定部と、を備えている。需要情報取得部は、需要者から木材の需要情報を取得する。供給情報取得部は、需要情報取得部において需要情報が取得されると、木材の供給者から供給可能な木材の供給情報を取得する。供給者選定部は、需要情報と供給情報とを照合し、木材を供給する供給者を選定する。
【0009】
ここでは、木材の取引を行う際に、需要者からの需要情報を起点にして、需要情報に対して適正な供給者を選定し、需要者と供給者とをマッチングする。
ここで、需要者は、例えば、家具メーカ等の小売業者、供給者には、例えば、原木を伐採する森林組合、木材協同組合、製材業者等を含む。
また、需要情報は、例えば、製材された乾燥材やグリーン材等の製材、あるいは原木の木材の需要量、質、樹種、納入場所等の情報を含む。
【0010】
供給情報は、供給者から取得される木材の供給情報であって、例えば、需要量に対して供給可能な木材の供給量、質、欠点、樹種、供給場所等の情報を含む。
これにより、開示された供給情報を起点にして需要情報に応じた供給者をマッチングする従来の取引方法と比較して、需要情報を起点にしてその条件に合致する供給情報を提供した供給者マッチングすることで、価値ある木材を適正な価格で取引することができる。
この結果、木材の需要者からの需要情報に基づいて適正な木材取引を行うことができる。
【0011】
第2の発明に係る木材取引支援装置は、第1の発明に係る木材取引支援装置であって、供給情報に基づいて、供給者を選定する際の優先順位を設定する優先順位設定部を、さらに備えている。
これにより、需要情報に対して複数の供給情報を提供する供給者が存在する場合でも、例えば、優先順位が高い供給者から順に需要情報に対応できるか等を問い合わせる等して、設定された優先順位に基づいて最適な供給者を選定することができる。
【0012】
第3の発明に係る木材取引支援装置は、第2の発明に係る木材取引支援装置であって、優先順位設定部は、供給情報に含まれる木材の供給量、質、樹種、供給場所の少なくとも1つに関する情報に基づいて、供給者の優先順位を設定する。
これにより、マッチングする複数の供給者について優先順位を設定する際に、供給情報に含まれる木材の供給量、質、樹種、供給場所等を参照して設定することで、需要情報を提供した需要者にとって最適な取引を成立させることができる。
【0013】
第4の発明に係る木材取引支援装置は、第2の発明に係る木材取引支援装置であって、優先順位設定部は、需要情報と供給情報とを照合して、供給者の優先順位を設定する。
これにより、需要情報と供給情報とを照合することで、需要者にとって最適な取引を成立させることができる。
【0014】
第5の発明に係る木材取引支援装置は、第2または第3の発明に係る木材取引支援装置であって、優先順位設定部は、新たに取得した供給情報を用いて、供給者の優先順位を更新する。
これにより、供給情報を常に最新の情報に更新することで、最新の供給情報に基づいて供給者の優先順位を設定することができる。
【0015】
第6の発明に係る木材取引支援装置は、第2または第3の発明に係る木材取引支援装置であって、供給者選定部は、需要情報に含まれる需要量に対して、供給情報に含まれる供給量が不足する場合には、優先順位設定部において設定された優先順位が最上位の第1供給者の1つ下位の第2供給者を選択し、第2供給者からの供給量を、第1供給者の供給量に加算した合計供給量を、需要量と比較して供給者を選定する。
これにより、複数の供給者の選定する際に、供給量が需要量に満たない場合には、優先順位1つ下の供給者を選定し、加算した供給量と需要量とを比較して、需要量にあった供給が可能な複数の供給者を選定することができる。
【0016】
第7の発明に係る木材取引支援装置は、第1または第2の発明に係る木材取引支援装置であって、供給者選定部は、需要情報に含まれる需要量に対して、供給情報に含まれる供給量が不足する場合には、需要者に対して供給可能量に関する情報を送信する。
これにより、供給量が需要量に満たない場合には、需要者への供給可能量を送信することで、需要者側で供給量が不足していることを容易に認識することができるため、例えば、需要量を調整する等の対応を採ることができる。
【0017】
第8の発明に係る木材取引支援装置は、第1または第2の発明に係る木材取引支援装置であって、供給者選定部は、供給者選定部は、需要情報取得部が需要情報を取得すると、供給者に対して問い合わせを送信する。
これにより、需要者からの需要情報に対して対応できるか否かを、供給者に問い合わせることで、木材の取引を効果的に支援することができる。
【0018】
第9の発明に係る木材取引支援装置は、第1または第2の発明に係る木材取引支援装置であって、供給者選定部は、需要情報に含まれる需要量に対して、供給情報に含まれる供給量が不足する場合には、供給者に対して供給量の増加の可否に関する問い合わせを送信する。
これにより、供給量が需要量に満たない場合には、供給者への供給量増加可否の問い合わせを送信して、供給者側において供給量を増加できるか否かを確認することで、需要量に見合った供給量を確保するように促すことができる。
【0019】
第10の発明に係る木材取引支援装置は、第1または第2の発明に係る木材取引支援装置であって、供給情報は、木材を供給可能と想定されるポテンシャル供給量と、実際に供給可能な在庫量とを含む。
これにより、供給情報に含まれる供給量として、現時点で確保できている実際の木材の在庫量に加えて今から供給可能となるポテンシャル供給量を含めて、需要情報とのマッチングを行い、最適な供給者を選定することができる。
【0020】
第11の発明に係る木材取引支援装置は、第10の発明に係る木材取引支援装置であって、供給情報に基づいて供給者を選定する際の優先順位を設定する優先順位設定部を、さらに備え、優先順位設定部は、ポテンシャル供給量と在庫量とを踏まえて、供給者の優先順位を設定する。
これにより、実際の木材の在庫量と、今から供給可能となるポテンシャル供給量とを含めて需要情報とのマッチングを行い、供給者の優先順位を設定することができる。
【0021】
第12の発明に係る木材取引支援装置は、第1または第2の発明に係る木材取引支援装置であって、需要者からの木材の需要情報および供給者からの木材の供給情報を保存する記憶部を、さらに備えている。
これにより、装置内の記憶部に保存された需要情報と供給情報とをマッチングして、適正な供給者を選定することができる。
【0022】
第13の発明に係る木材取引支援装置は、第1または第2の発明に係る木材取引支援装置であって、需要情報は、木材の需要量、樹種、質、納入場所の少なくとも1つに関する情報を含む。
これにより、木材の需要量、樹種、質、納入場所等を含む需要情報を起点として、取得される木材の供給情報を参照して、木材需要者と供給者とをマッチングして適正な木材取引を成立させることができる。
【0023】
第14の発明に係る木材取引支援装置は、第1または第2の発明に係る木材取引支援装置であって、供給情報は、木材の供給量、樹種、質、欠点、供給場所に関する情報を含む。
これにより、需要者から需要情報が入力されると、木材の供給量、樹種、質、欠点、供給場所等を含む供給情報を取得することで、取得される木材の供給情報を参照して、木材需要者と供給者とをマッチングして適正な木材取引を成立させることができる。
【0024】
第15の発明に係る木材取引支援装置は、第1または第2の発明に係る木材取引支援装置であって、木材の需要量は、製材量であって、木材の供給量は、原木量である。
これにより、木材の製材量を原木量に置換して需要量と供給量とをマッチングすることで、需要者と供給者とを適正にマッチングすることができる。
【0025】
第16の発明に係る木材取引支援装置は、第15の発明に係る木材取引支援装置であって、木材の供給量を、原木量と、木材の所定の歩留まり率とを用いて算出する供給量算出部を、さらに備えている。
これにより、各木材の樹種や質、製材方法によって所定される木材の歩留まり率を考慮して実際の供給量を算出することで、製材量としての需要量に対して適正な供給量をマッチングすることができる。
【0026】
第17の発明に係る木材取引支援装置は、第1または第2の発明に係る木材取引支援装置であって、木材は、広葉樹である。
これにより、国内に自生し樹種が多い広葉樹の取引において、需要情報に見合った供給情報をマッチングすることで、国内の広葉樹を適正に取引することができる。
【0027】
第18の発明に係る木材取引支援装置は、第1または第2の発明に係る木材取引支援装置であって、供給者の選定結果を出力する出力部を、さらに備えている。
これにより、選定された一または複数の供給者をリスト等に出力することで、木材取引管理者はマッチングの結果を容易に把握して、出力結果を需要者および供給者へ提供することができる。
【0028】
第19の発明に係る木材取引支援方法は、製材された木材を必要とする需要者からの需要情報に基づいて、木材の供給者との間の取引を成立させる木材取引支援方法であって、需要情報取得ステップと、供給情報取得ステップと、供給者選定ステップと、を備えている。需要情報取得ステップでは、需要者から木材の需要量を含む需要情報を取得する。供給情報取得ステップでは、需要情報取得ステップにおいて需要情報が取得されると、木材の供給者から供給可能な木材の供給情報を取得する。供給者選定ステップでは、需要情報と供給情報とを照合し、木材を供給する供給者を選定する。
【0029】
ここでは、木材の取引を行う際に、需要者からの需要情報を起点にして、需要情報に対して適正な供給者を選定し、需要者と供給者とをマッチングする。
ここで、需要者は、例えば、家具メーカ等の小売業者、供給者には、例えば、原木を伐採する森林組合、木材協同組合、製材業者等を含む。
また、需要情報は、例えば、製材された、あるいは原木の木材の需要量、質、樹種、納入場所等の情報を含む。
【0030】
供給情報は、供給者から取得される木材の供給情報であって、例えば、需要量に対して供給可能な木材の供給量、質、欠点、樹種、供給場所等の情報を含む。
これにより、開示された供給情報を起点にして需要情報に応じた供給者をマッチングする従来の取引方法と比較して、需要情報を起点にしてその条件に合致する供給情報を提供した供給者マッチングすることで、価値ある木材を適正な価格で取引することができる。
この結果、木材の需要者からの需要情報に基づいて適正な木材取引を行うことができる。
【0031】
第20の発明に係る木材取引支援プログラムは、製材された木材を必要とする需要者からの需要情報に基づいて、木材の供給者との間の取引を成立させる木材取引支援プログラムであって、需要情報取得ステップと、供給情報取得ステップと、供給者選定ステップと、を備えている木材取引支援方法をコンピュータに実行させる。需要情報取得ステップでは、需要者から木材の需要量を含む需要情報を取得する。供給情報取得ステップでは、需要情報取得ステップにおいて需要情報が取得されると、木材の供給者から供給可能な木材の供給情報を取得する。供給者選定ステップでは、需要情報と供給情報とを照合し、木材を供給する供給者を選定する。
【0032】
ここでは、木材の取引を行う際に、需要者からの需要情報を起点にして、需要情報に対して適正な供給者を選定し、需要者と供給者とをマッチングする。
ここで、需要者は、例えば、家具メーカ等の小売業者、供給者には、例えば、原木を伐採する森林組合、木材協同組合、製材業者等を含む。
また、需要情報は、例えば、製材された、あるいは原木の木材の需要量、質、樹種、納入場所等の情報を含む。
【0033】
供給情報は、供給者から取得される木材の供給情報であって、例えば、需要量に対して供給可能な木材の供給量、質、欠点、樹種、供給場所等の情報を含む。
これにより、開示された供給情報を起点にして需要情報に応じた供給者をマッチングする従来の取引方法と比較して、需要情報を起点にしてその条件に合致する供給情報を提供した供給者マッチングすることで、価値ある木材を適正な価格で取引することができる。
【0034】
この結果、木材の需要者からの需要情報に基づいて適正な木材取引を行うことができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る木材取引支援装置によれば、木材の需要者からの需要情報に基づいて適正な木材取引を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態に係る木材取引支援装置によって支援する木材取引の需要と供給との関係を示す概念図。
【
図2】
図2に示す木材の取引を支援する木材取引支援装置の構成を示す制御ブロック図。
【
図3】
図1の木材取引支援装置に対して、需要者から入力される需要情報を起点にして、供給者(川上業者、川中業者)とのマッチングを行う処理について説明する図。
【
図4】
図1の木材取引支援装置によってマッチングされた供給者から需要者に対して木材が供給される流れを示す図。
【
図5】
図1の木材取引支援装置によって実行される木材取引支援方法の処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の一実施形態に係る木材取引支援装置について、
図1~
図5を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、本実施形態では、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
また、出願人は、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0038】
(1)木材取引支援装置10の構成
本実施形態に係る木材取引支援装置10は、製材された木材を必要とする川下業者(木材の需要者)から入力される需要情報の取得を起点にして、森林組合等の川上業者および製材所等の川中業者(木材の需要者と供給者)との間の取引を成立させる。
【0039】
ここで、木材の取引において、家具メーカや工務店等の川下業者(需要者)は、製材の状態での需要情報を提示することはできるが、それに必要な原木の量等の供給情報を把握することは困難であることが想定される。このため、本実施形態の木材取引支援装置10では、川下業者(需要者)から需要情報が入力されると、需要情報を提示された川上業者および川中業者(供給者)が連携してそれに対応する出荷量を提示する。
【0040】
このとき、森林組合等の川上業者(供給者)および製材所等の川中業者(供給者)は、森林組合等の川上業者から納入可能な原木量から製材時の歩留まり率を考慮して、川下業者(需要者)へ供給可能な製材の量を提示する必要がある。
このため、本実施形態の木材取引支援装置10では、原木量と、木材の所定の歩留まり率とを用いて木材の供給量を算出し、供給可能な量として、川下業者(需要者)へ提示する。
【0041】
本実施形態の木材取引支援装置10は、需要者が木材の需要情報を入力すると、供給者の候補が提示している条件とマッチングを行い、供給者を選定するが、木材の需要情報が取得されてから木材の供給情報が取得されるまでの具体的な実施形態は、以下の形態であってもよい。
最初の例では、木材取引支援装置10は、木材の需要情報を取得すると、木材の供給者に供給可能な木材量等の問い合わせを行い、木材の供給者から当該問い合わせに対する供給量等の回答を受領することによって、供給量に関する情報を取得する。当該問い合わせが送信される木材の供給者は、例えば、木材取引支援装置10が予め記憶部等に保存している供給者のリストに付与されている優先順位のうち、条件が合致する最高順位の木材供給者に最初に問い合わせを行う。
【0042】
また、別の例では、木材取引支援装置10が、以下の実施形態において、木材の供給情報を取得する。すなわち、木材取引支援装置10は、木材の需要者から需要情報を取得すると、供給者が予めデータベース等に登録した供給量を参照して、条件が合致する供給者を選定する。なお、当該供給者には優先順位が付与されており、優先順位が高い方から探索することにしてもよい。
【0043】
より具体的には、
図1に示すように、例えば、家具メーカ等の川下業者(需要者)が、「テーブル販売に必要な製材の数量は・・・」と考えたとすると、その需要情報を木材取引支援装置10から提示された森林組合等の川上業者(供給者)のA社とB社とがそれぞれ「この原木なら〇〇m
3供給できそうだ」と原木での供給可能量を入力する。さらに、製材所等の川中業者(供給者)が、「この製品なら加工・供給できそうだ。既定の規格から歩留まり率を計算すると・・・」と、供給可能な製材の量を入力する。
【0044】
なお、森林組合等の川上業者(供給者)は、通常供給できる原木の種類と量等について、木材取引支援装置10と接続されたデータベース等に事前に登録されていてもよい。
なお、家具メーカや工務店等の川下業者(需要者)から入力される需要情報に含まれる木材の需要量は、例えば、製材量である。森林組合等の川上業者(供給者)から入力される供給情報に含まれる木材の供給量は、例えば、原木量である。
【0045】
本実施形態の木材取引支援装置10では、以上のように、家具メーカや工務店等の川下業者(需要者)から入力された需要情報を起点にして、入力された需要情報を、森林組合等の川上業者および製材所等の川中業者(供給者)に対して提示することで、その需要情報と川上業者および川中業者(供給者)から入力される供給情報とをマッチングして取引を成立させる。
【0046】
そして、木材取引支援装置10では、入力された需要情報に含まれる需要量に対して、供給情報に含まれる供給可能な供給量が不足する場合には、優先順位が付与された複数の供給者候補(川中業者及び川上業者の連携)の中から優先順位に基づいて複数の供給者を選定し、需要量を満たす供給量になるようにマッチングを行う。
なお、供給者候補には優先順位が付与されており、優先順位が高い供給者候補から順に供給者として決定していってもよい。具体的には、最も優先順位が高い供給者候補に供給量を問い合わせ、当該供給者からの回答が需要情報(量など)を満たすものでない場合は次の優先順位の供給者へ問い合わせを行うという方式で、需要情報が満たされるまで供給者とのマッチングを繰り返すことを行ってもよい。
【0047】
木材取引支援装置10は、
図2に示すように、需要情報取得部11と、供給情報取得部12と、供給量算出部13と、優先順位設定部14と、供給者選定部15と、送信部16と、受信部17と、出力部18と、記憶部19と、表示制御部20と、を備えている。
需要情報取得部11は、
図2に示すように、家具メーカや工務店等の川下業者(需要者)によって入力される木材の需要情報を取得する。
【0048】
ここで、家具メーカや工務店等の川下業者(需要者)から入力される需要情報は、木材の需要量、樹種、質、納入場所の少なくとも1つに関する情報を含む。
供給情報取得部12は、
図2に示すよう森林組合等の川上業者および製材所等の川中業者(供給者)等の木材の供給者が、需要情報取得部11が取得した需要情報を確認して、供給可能な木材の供給情報を取得する。
【0049】
ここで、森林組合等の川上業者および製材所等の川中業者(供給者)から入力される供給情報は、木材の供給量、樹種、質、欠点、供給場所に関する情報を含む。
供給量算出部13は、例えば、森林組合等の川上業者から供給可能な原木量と、製材所等の川中業者から取得した木材の所定の歩留まり率とを用いて、木材の供給量(製材量)を算出する。
【0050】
優先順位設定部14は、供給情報取得部12が取得した供給情報に基づいて、1または複数の供給者を選定する際の優先順位を設定する。例えば、優先順位設定部14は、供給情報に含まれる木材の供給量、質、樹種、供給場所の少なくとも1つに関する情報に基づいて、供給者の優先順位を設定する。
なお、供給者の優先順位は、木材取引支援装置10が事前に保有していてもよい。また、供給者の優先順位は、予め人が入力してもよい。さらに、事前に供給者の情報(量、質、樹種、産地等)の入力を受信し、木材取引支援装置10が、マッチング時には優先順位が設定されているように、供給者の優先順位を設定してもよい。
【0051】
優先順位の設定は、例えば、供給可能量が多い供給者の優先順位を高くする、あるいは、質の高い木材の供給量が多い供給者の優先順位を高くする、需要情報に記載の質の木材の供給量が多い供給者の優先順位を高くする、需要情報で規定している樹種の供給量が多い供給者の優先順位を高くする、需要情報で規定している産地の供給量が多い供給者の優先順位を高くする等、樹種ごとに供給量が多い供給者を求めて樹種ごとに優先順位を設定してもよいし、産地ごとに優先順位を設定してもよい。
【0052】
優先順位の設定は、例えば、実績が発生する前に行われ、毎回の回答内容によって優先順位を更新してもよい。
ここで、本実施形態の木材取引支援装置10では、複数の供給者の候補がある場合には、優先順位が上位の供給者から順に供給者候補とし、優先順位の上位の供給者に対して問い合わせを行い、供給者の候補から回答を受領すると、需要条件と照合して、供給量が需要量に対して不足している場合には、次の優先順位の供給者を選定して、問い合わせを行う処理を繰り返し実施する。
【0053】
なお、供給者に対する問い合わせ情報は、インターネット等の通信を活用して、供給者側のPC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット等の表示画面に表示させてもよい。
また、供給者から事前に入力された供給情報が保存されている場合において、供給情報を入力した供給者が複数ある場合には、優先順位設定部14は、需要情報と供給情報とを照合して、複数の供給者の優先順位を設定する。
【0054】
優先順位設定部14は、新たに取得した供給情報を用いて、供給者の優先順位を、最新の供給情報を含む情報に基づいて設定する。
これにより、入力された需要情報に対して、複数の供給者が供給情報を入力した場合でも、常に最新の供給情報に基づいて優先順位を設定し、最適な供給者を選定することができる。
【0055】
なお、供給情報に含まれる供給量は、木材を供給可能と想定されるポテンシャル供給量と、実際に供給可能な在庫量とを含む。
そこで、優先順位設定部14は、ポテンシャル供給量と在庫量とを踏まえて、供給者の優先順位を設定する。
これにより、際の木材の在庫量と、今から供給可能となるポテンシャル供給量とを含めて需要情報とのマッチングを行い、供給者の優先順位を設定することができる。
【0056】
供給者選定部15は、需要情報と供給情報とを照合し、木材を供給する供給者を選定する。
ここで、供給者選定部15は、優先順位設定部14において設定された優先順位に基づいて、最適な供給者を選定する。
例えば、
図3に示すように、木材取引支援装置10に対して、需要者から製材を買いたいという入力があった場合には、需要者によって入力された国産広葉樹に関する利用提案(規格・量・価格)が提示され、需要情報取得部11が、需要者から入力された需要量(製材120m
3)を需要情報として取得する。
【0057】
そして、需要情報に含まれる需要量(製材120m3)に対して、供給情報取得部12が取得した供給情報に含まれる1つの供給者による供給量が不足する場合には、供給者選定部15は、優先順位設定部14において設定された優先順位が最上位の第1供給者(製材60m3)の1つ下位の第2供給者(製材40m3)、さらに1つ下位の第3供給者(製材20m3)を選択し、第2・第3供給者からの供給量(40+20m3)を、第1供給者の供給量(60m3)に加算した合計供給量を、需要量と比較して供給者を選定する。
【0058】
よって、
図3に示すように、優先順位に基づいて3つの供給者を組み合わせて供給側とすることで、需要者の要求する需要量に見合った供給量を供給可能な複数の供給者をマッチングすることができる。
このとき、3つの供給者から提示される供給情報には、例えば、
図3に示すように、製材量、原木量、川上業者および川中業者の所在地(岡山、京都、滋賀)等の情報が含まれる。
【0059】
なお、供給者選定部15は、需要情報に含まれる需要量に対して、供給情報に含まれる供給量が不足する場合には、
図2に示すように、送信部16が、需要者に対して、需要量を供給量に見合った量に調整可能かを需要量調整依頼として送信する。
これに対して、需要者から需要量の調整可否に関する回答を受信部17が受信すると、その回答の内容に基づいて、供給者選定部15が供給者の選定を行う。
【0060】
すなわち、需要者から需要量の調整不可との回答があった場合には、供給者選定部15が、逐次更新される供給情報を参照しながら、需要量に見合った供給量が確保できるように供給者選定を行う。
なお、需要量の調整不可との回答がなかった場合でも、並行して、供給者に供給量の増加可否の問い合わせをしてもよい。
【0061】
そして、需要量に見合った供給量が確保できず、需要情報に含まれる需要量に対して、供給情報に含まれる供給量が不足する場合には、供給者選定部15は、
図2に示すように、送信部16が、供給者に対して供給量の増加の可否に関する問い合わせを送信する。
これに対して、供給者から供給量の増加に関する問い合わせの回答を、受信部17が受信すると、その回答の内容に基づいて、供給者選定部15が改めて供給者の選定を行う。
【0062】
すなわち、供給者選定部15は、供給量の増加が可能と回答してきた供給者があった場合には、需要量に見合った供給量が確保されるように、改めて供給者を選定する。
一方、供給者選定部15は、供給量の増加が可能と回答してきた供給者がなかった場合、あるいは、供給量の増加が可能な供給者があっても需要量に不足する場合には、送信部16を介して、不足分が生じる旨を需要者に対して連絡する。
【0063】
送信部16は、需要者および供給者との間において、各種連絡を送信する。また、送信部16は、供給者選定部15において選定された供給者と需要者との間で取引が成立すると、供給者に対して発注情報を送信するとともに、需要者に対して取引が成立した供給先の情報および供給量の情報を送信する。
受信部17は、需要者および供給者から送信される各種連絡を受信する。
【0064】
なお、需要者および供給者は、例えば、PC、タブレット端末、スマートフォン等の端末装置を用いて、木材取引支援装置10との間で通信を行うことができる。
出力部18は、供給者選定部15において選定された供給者のリスト等を、供給者の選定結果として出力する。
記憶部19は、需要者からの需要情報および供給者からの木材の供給情報を保存する。
【0065】
本実施形態の木材取引支援装置10では、以上の構成により、需要者から入力された木材の需要情報の取得を起点として、1または複数の供給者に対して供給提案を行い、供給者から入力された供給情報を取得して、需要情報に見合った供給情報をマッチングする。
これにより、家具メーカや工務店等の川下業者(需要者)と、森林組合等の川上業者および製材所等の川中業者を含む供給者との間における木材の取引を支援して、木材の取引を成立させることができる。
【0066】
よって、
図4に示すように、取引成立後の木材は、ネットワークを介して接続され、木材取引支援装置10の供給者選定部15によって選定された全国の森林組合等の川上業者(供給者)から、製材所等の川中業者(供給者)を経由して、需要情報を入力した需要者である東北、関東、関西の家具メーカA,B,Cへ製材として配送される。
このとき、木材取引支援装置10は、森林組合等の川上業者(供給者)との間で木材情報を送受信し、製材所等の川中業者(供給者)との間で予定供給量、納期に関する情報を送受信する。そして、木材取引支援装置10は、家具メーカA,B,C(需要者)との間で、材寸、数量、価格等の情報が送受信される。さらに、木材取引支援装置10は、例えば、全国各地のSDGs関心企業との間で、家具メーカA,B,Cから納入される家具等の国産、地産材、合法証明など情報を送受信する。
【0067】
<木材取引支援方法>
本実施形態の木材取引支援方法は、上述した木材取引支援装置10によって、
図5に示すフローチャートに従って実施される。
すなわち、ステップS11では、木材取引支援装置10の需要情報取得部11が、木材の需要者(家具メーカや工務店等の川下業者)から入力された木材(製材)の需要情報を取得する。
【0068】
このとき、木材取引支援装置10の表示制御部20が、ネットワークを介して接続された木材の供給者側のPC等の表示画面に、需要情報取得部11が取得した需要情報(需要量、樹種、納品場所等)を提示する。
次に、ステップS12では、木材取引支援装置10から優先順位が最上位の供給者に対して問い合わせを行い、木材取引支援装置10の供給情報取得部12が、木材の供給者(森林組合等の川上業者および製材所等の川中業者)から入力された木材の供給情報(供給量、樹種、供給場所等)を取得する。
【0069】
このとき、木材取引支援装置10の供給量算出部13が、取得した木材の供給量(原木)から、需要者側が入力した需要量(製材量)に対応するように、例えば、歩留まり率を考慮して供給量を算出する。
なお、ステップS12において、供給情報取得部12は、予め供給者から入力されて記憶部19に保存された供給情報を取得してもよい。
【0070】
次に、ステップS13では、木材取引支援装置10の送信部16が、供給者選定部15によって選定された優先順位が最上位(1番目)の供給者に対して、供給可否、供給可能量に関する問い合わせを送信する。
なお、供給者選定部15は、需要情報を参照して優先順位が高い供給者を選定してもよい。
【0071】
次に、ステップS14では、木材取引支援装置10の受信部17が、優先順位が最上位(1番目)の供給者から入力された供給可能量を受信する。
次に、ステップS15では、木材取引支援装置10の供給者選定部15が、ステップS14において受信した優先順位が最上位(1番目)の供給者からの供給可能量を供給可能量とする。
【0072】
なお、以下のステップS16において、供給可能量が需要量に不足している場合には、ステップS13以降の処理が繰り返され、優先順位が2番目の供給者へ問い合わせを行い、その供給可能量を受信して、ステップS12において取得した優先順位が最上位(1番目)の供給者からの供給可能量に加算する。
次に、ステップS16では、木材取引支援装置10の供給者選定部15が、供給可能量の合計が需要量に達したか否かを判定する。ここで、供給可能量の合計が需要量に達した場合には、ステップS17へ進み、達していない場合には、ステップS19へ進む。
【0073】
次に、ステップS17では、木材取引支援装置10の供給者選定部15が、ゼロでない供給可能量を回答した供給者を選定する。
次に、ステップS18では、木材取引支援装置10の出力部18が、供給者選定部15において選定された供給者をリストにして出力して、処理を終了する。
一方、ステップS19では、ステップS16において、複数の供給者からの供給可能量の合計が需要量に達していないと判定されたため、供給者選定部15が、優先順位設定部14において設定された優先順位が2番目の供給者を特定し、ステップS13へ進み、移行の処理を繰り返し実施する。
【0074】
<主な特徴>
本実施形態の木材取引支援装置10は、製材された木材を必要とする需要者からの需要情報に基づいて、木材の需要者と供給者との間の取引を成立させる木材取引支援装置であって、需要情報取得部11と、供給情報取得部12と、供給者選定部15とを備える。需要情報取得部11は、需要者から木材の需要情報を取得する。供給情報取得部12は、木材の供給者から供給可能な木材の供給情報を取得する。供給者選定部15は、需要情報と供給情報とを照合し、木材を供給する供給者を選定する。
【0075】
これにより、開示された供給情報を起点にして需要情報に応じた供給者をマッチングする従来の取引方法と比較して、需要者から入力される需要情報を起点にしてその条件に合致する供給情報をマッチングすることで、価値ある木材を適正な価格で取引することができる。
すなわち、価値ある木材が安価なチップ材になってしまうことを回避することで、良材が選木され、用材となることで適正な価格での取引が可能となる。
また、価値ある木材が適正な価格で取引されることで、流通経路が新しく構築されるので流通が促進される。
この結果、木材の需要者からの需要情報に基づいて適正な木材取引を行うことができる。
【0076】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0077】
(A)
上記実施形態では、木材取引支援装置および木材取引支援方法として、本発明を実現した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上述した木材取引支援方法をコンピュータに実行させる木材取引支援プログラムとして本発明を実現してもよい。
【0078】
この木材取引支援プログラムは、木材取引支援装置に搭載されたメモリ(記憶部)に保存されており、CPUがメモリに保存された木材取引支援プログラムを読み込んで、ハードウェアに各ステップを実行させる。より具体的には、CPUが木材取引支援プログラムを読み込んで、上述した需要情報取得ステップと、供給情報取得ステップと、供給業者選定ステップとを実行することで、上記と同様の効果を得ることができる。
また、本発明は、木材取引支援プログラムを保存した記録媒体として実現されてもよい。
【0079】
(B)
上記実施形態では、需要情報および供給情報が、木材取引支援装置10内に設けられた記憶部19の保存される例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、需要情報および供給情報の少なくとも一方が、外部サーバ等の木材取引支援装置の外部に設けられた記憶装置に保存されてもよい。
【0080】
(C)
上記実施形態では、需要情報に対して木材を供給する供給者が、森林組合等の川上業者および製材所等の川中業者が連携した連合体である例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、供給者は、森林組合等の川上業者のみであってもよいし、製材所等の川中業者のみであってもよい。
【0081】
(D)
上記実施形態では、家具メーカや工務店等の川下業者(需要者)から入力される需要情報が、製材の状態での需要量である例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、需要者側が原木状態での需要量を求めている場合には、製材状態ではなく原木状態等の他の形態での需要量であってもよい。
【0082】
(E)
上記実施形態では、主に、広葉樹の木材の取引を支援する木材取引支援装置10を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0083】
例えば、針葉樹等、広葉樹以外の木材の取引を支援する装置として、本発明が適用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の木材取引支援装置は、木材の需要者からの需要情報に基づいて適正な木材取引を行うことができるという効果を奏することから、木材の取引を行う各種システムに対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 木材取引支援装置
11 需要情報取得部
12 供給情報取得部
13 供給量算出部
14 優先順位設定部
15 供給者選定部
16 送信部
17 受信部
18 出力部
19 記憶部
20 表示制御装置