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特開2024-126160画像形成装置、処理条件設定方法および処理条件設定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126160
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】画像形成装置、処理条件設定方法および処理条件設定プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240912BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240912BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240912BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B41J29/00 H
B41J29/00 Z
G03G21/00 370
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034375
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(72)【発明者】
【氏名】勇川 淳一
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061AS13
2C061CK01
2C061HK05
2C061HK07
2C061HK11
2C061HK23
2C061HN06
2C061HN08
2C061HN15
2C061HN17
2H270KA57
2H270LC06
2H270LC07
2H270LD01
2H270LD08
2H270LD14
2H270MB25
2H270MC60
2H270NA15
2H270PA14
2H270PB03
2H270QA05
2H270QA43
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA07
3F048BB02
3F048CA02
3F048CC01
3F048DA06
3F048DC13
3F048EB22
3F048EB24
(57)【要約】
【課題】 複数の処理それぞれを正確に実行させる。
【解決手段】 画像形成装置は、記録媒体の種類を第1情報として検出する検出部51と、記録媒体の種類を第2情報として受け付ける種類取得部55と、記録媒体に複数の処理を実行可能な処理実行部と、複数の処理のうち処理実行部に実行させる実行処理を特定する設定を受け付ける実行処理設定部61と、処理実行部が実行処理を実行する際に用いる設定値として第1情報と第2情報とのいずれか一方を選択する選択部59と、を備える。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の種類を第1情報として検出する検出手段と、
記録媒体の種類を第2情報として受け付ける種類取得手段と、
記録媒体に複数の処理を実行可能な処理実行手段と、
前記複数の処理のうち前記処理実行手段に実行させる実行処理を特定する設定を受け付ける実行処理設定手段と、
前記処理実行手段が前記実行処理を実行する際に用いる設定値として前記第1情報と前記第2情報とのいずれか一方を選択する選択手段と、を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記処理実行手段は、記録媒体の搬送方向を反転させる反転手段と、
搬送中の記録媒体の表面に表面画像を形成した後に前記反転手段により搬送方向が反転されて搬送される前記記録媒体の裏面に裏面画像を形成可能な画像形成手段と、を含み、
前記選択手段は、前記実行処理として前記画像形成手段が記録媒体の両面に画像を形成する処理を示す設定が受け付けられる場合、前記表面画像を形成する処理と前記裏面画像を形成する処理に対して、前記第1情報と前記第2情報とのうち互いに異なる一方を選択する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記実行処理として前記表面画像および前記裏面画像それぞれの上端を揃えて画像を形成する処理を示す設定が受け付けられる場合は、前記表面画像を形成する処理に前記第2情報を選択し、前記裏面画像を形成する処理に前記第1情報を選択する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記実行処理として前記表面画像および前記裏面画像それぞれの下端を揃えて画像を形成する処理を示す設定が受け付けられる場合は、前記表面画像を形成する処理に前記第1情報を選択し、前記裏面画像を形成する処理に前記第2情報を選択する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記処理実行手段は、画像が形成された記録媒体を加工する加工処理を実行する後処理手段を含み、
前記選択手段は、前記実行処理として前記後処理手段が記録媒体を断裁する処理を示す設定が受け付けられる場合は、前記第1情報を選択する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記処理実行手段は、処理の実行に対して課金する課金処理を実行する課金手段を含み、
前記選択手段は、前記実行処理として前記課金処理を示す設定が受け付けられる場合は、前記第2情報を選択する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記選択手段は、記録媒体の種類を示す設定値に前記第1情報と前記第2情報とのいずれか一方を用いる優先設定がされている場合は、優先設定されている一方を選択する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検出手段の精度を測定する測定手段を、さらに備え、
前記選択手段は、前記測定手段により測定された精度がしきい値以下の場合は、前記第2情報を選択する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記実行処理に対して前記選択手段による選択を有効にするか否かを設定する設定手段を、さらに備えた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
画像形成装置で実行される処理条件設定方法であって、
前記画像形成装置は、記録媒体に複数の処理を実行可能な処理実行部を備え、
記録媒体の種類を第1情報として検出する検出ステップと、
記録媒体の種類を第2情報として受け付ける種類取得ステップと、
前記複数の処理のうち前記画像形成装置に処理実行手段に実行させる実行処理を特定する設定を受け付ける実行処理設定ステップと、
前記処理実行手段が前記実行処理を実行する際に用いる設定値として前記第1情報と前記第2情報とのいずれか一方を選択する選択ステップと、を前記画像形成装置に実行させる処理条件設定方法。
【請求項11】
画像形成装置を制御するコンピューターで実行される処理条件設定プログラムであって、
前記画像形成装置は、記録媒体に複数の処理を実行可能な処理実行部を備え、
記録媒体の種類を第1情報として検出する検出ステップと、
記録媒体の種類を第2情報として受け付ける種類取得ステップと、
前記複数の処理のうち前記画像形成装置に処理実行手段に実行させる実行処理を特定する設定を受け付ける実行処理設定ステップと、
前記処理実行手段が前記実行処理を実行する際に用いる設定値として前記第1情報と前記第2情報とのいずれか一方を選択する選択ステップと、を前記コンピューターに実行させる処理条件設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、処理条件設定方法および処理条件設定プログラムに関し、特に、媒体種類の異なる用紙に画像を形成可能な画像形成装置、その画像形成装置で実行される処理条件設定方法、および画像形成装置を制御するコンピューターにその処理条件設定方法を実行させる処理条件設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置においては、複数種類の用紙に画像を形成可能である。通常は、MFPが有する複数のトレイそれぞれに、用紙のサイズが割り当てられており、ユーザーが用紙をMFPに収納する際には、その用紙に割り当てられたトレイに用紙を収納する。
【0003】
用紙からの印刷画像のはみ出し等の印刷異常の発生を防止する技術として、特開2012-133077号公報には、印刷画像のサイズを取得する印刷サイズ取得手段と、記録用紙を搬送経路に搬送して当該記録用紙のサイズを計測する用紙サイズ計測手段と、搬送動作と印刷動作を制御する印刷制御手段と、を有し、前記用紙サイズ計測手段は、記録用紙のサイズが不明のときは、当該記録用紙を搬送経路に搬送して、印刷を行うことなく当該記録用紙のサイズを計測し、前記印刷制御手段は、前記用紙サイズ計測手段が計測した記録用紙のサイズが、前記印刷サイズ取得手段が取得した印刷画像のサイズと所定の許容範囲において一致するときは、当該記録用紙に画像印刷を行なう画像形成装置が記載されている。
【0004】
一方で、市販されている用紙は、サイズが定められているが、必ずしもすべての用紙が同じサイズとは限らない。例えば、製造時の誤差等によりサイズに多少のばらつきがある。特開2012-133077号公報に記載の画像形成装置においては、この用紙のサイズのばらつきに対応して画像を形成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-133077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の一つは、この発明のある局面によれば、複数の処理それぞれを正確に実行することが可能な画像形成装置を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、画像形成装置に複数の処理それぞれを正確に実行させることが可能な処理条件設定方法を提供することである。
【0008】
この発明のさらに他の目的は、画像形成装置に複数の処理それぞれを正確に実行させることが可能な処理条件設定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、画像形成装置は、記録媒体の種類を第1情報として検出する検出手段と、記録媒体の種類を第2情報として受け付ける種類取得手段と、記録媒体に複数の処理を実行可能な処理実行手段と、複数の処理のうち処理実行手段に実行させる実行処理を特定する設定を受け付ける実行処理設定手段と、処理実行手段が実行処理を実行する際に用いる設定値として第1情報と第2情報とのいずれか一方を選択する選択手段と、を備える。
【0010】
この発明の他の局面によれば、処理条件設定方法は、画像形成装置で実行される処理条件設定方法であって、画像形成装置は、記録媒体に複数の処理を実行可能な処理実行部を備え、記録媒体の種類を第1情報として検出する検出ステップと、記録媒体の種類を第2情報として受け付ける種類取得ステップと、複数の処理のうち画像形成装置に処理実行手段に実行させる実行処理を特定する設定を受け付ける実行処理設定ステップと、処理実行手段が実行処理を実行する際に用いる設定値として第1情報と第2情報とのいずれか一方を選択する選択ステップと、を画像形成装置に実行させる。
【0011】
この発明のさらに他の局面によれば、処理条件設定プログラムは、画像形成装置を制御するコンピューターで実行される処理条件設定プログラムであって、画像形成装置は、記録媒体に複数の処理を実行可能な処理実行部を備え、記録媒体の種類を第1情報として検出する検出ステップと、記録媒体の種類を第2情報として受け付ける種類取得ステップと、複数の処理のうち画像形成装置に処理実行手段に実行させる実行処理を特定する設定を受け付ける実行処理設定ステップと、処理実行手段が実行処理を実行する際に用いる設定値として第1情報と第2情報とのいずれか一方を選択する選択ステップと、をコンピューターに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態におけるMFPの外観を示す斜視図である。
図2】本実施の形態におけるMFPの本体部のハードウェア構成の概要を示すブロック図である。
図3】本実施の形態におけるMFPが備える画像形成部および給紙部の一部の内部構成を示す模式的側面図である。
図4】断裁装置の構成および動作を説明するための図である。
図5】本実施の形態におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
図6】画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】用紙サイズ選択処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】条件別設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態における画像形成装置について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。また、以下の説明においては、画像形成装置の一例としてMFPを説明する。さらに、以下に説明するMFPは、画像を形成する対象となる記録媒体として、媒体種類の異なる複数種類の記録媒体のいずれにも画像を形成することが可能である。媒体種類は、記録媒体に関する情報であり、縦横それぞれのサイズ、坪量、画像形成の有無、および材質を含む。本実施の形態においては、媒体種類は、サイズとする場合を例に説明する。また、本実施の形態におけるサイズは、用紙が搬送される際に搬送方向の用紙の長さを示す。
【0014】
図1は、本実施の形態におけるMFPの外観を示す斜視図である。図1において、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。また、以下の説明では、X方向において、矢印が向かう方向を右方と呼び、その逆方向を左方と呼ぶ。また、Y方向において、矢印が向かう方向(紙面手前方向)を前方と呼び、その逆方向を後方と呼ぶ。
【0015】
図1を参照して、MFP100は、画像形成装置の一例であり、本体部101と、検査装置200と、後処理装置300と、を含む。後処理装置300は、加工装置301と、断裁装置303と、を含む。また、検査装置200、加工装置301および断裁装置303は、この順で本体部101から左方に向かって並ぶ。
【0016】
MFP100の本体部101は、画像データに基づいて記録媒体に画像を形成する。MFP100は、画像を形成する対象となる記録媒体として、複数種類の記録媒体のいずれにも画像を形成することが可能である。記録媒体は、紙などの用紙の他、OHP(Overhead projector)シート、布等を含む。また、以下の説明では、特に言及しない限り、記録媒体を用紙とする場合を例に説明する。また、MFP100は、ユーザーインターフェースとして、操作パネル160を備える。
【0017】
検査装置200は、本体部101から画像が形成された用紙が供給される。検査装置200は、光電変換素子である第1スキャナ206および第2スキャナ207を備えている。第1スキャナ206および第2スキャナ207は、MFP100の本体部101から供給される用紙の搬送経路を挟んで配置される。したがって、検査装置200は、本体部101から供給される用紙の表裏にそれぞれ形成された表面画像および裏面画像を同時に読み取ることが可能である。また、検査装置200は、第1スキャナ206および第2スキャナ207が読み取って出力する読取データに基づいて、用紙に形成された画像に、ゴミ、汚れ、画像形成時の不良が原因で発生する部分をノイズとして検出する。
【0018】
後処理装置300のソート装置301に、検査装置200から用紙が供給される。ソート装置301は、1以上の用紙を1つにまとめた束を断裁装置303に排紙する。また、ソート装置301は、排紙トレイを有し、検査装置200により用紙に形成された画像からノイズが検出された用紙を、排紙トレイに排紙する。具体的には、検査装置200からエラー信号が入力される場合、そのエラー信号に対応する用紙を、予め定められた排紙トレイに排紙する。また、ソート装置301は、パンチ機構およびステープル機構を備えてもよい。パンチ機構は、1以上の用紙をまとめた束にパンチ穴をあける機構である。ステープル機構は、1以上の用紙をまとめた束にステープル針を打ち込む機構である。
【0019】
断裁装置173は、ソート装置301から排出される複数の用紙の用紙束BKに断裁処理を行う。本例の断裁処理は、用紙束BKの一端を断裁する処理をいう。断裁処理の具体例については後述する。
【0020】
図2は、本実施の形態におけるMFPの本体部のハードウェア構成の概要を示すブロック図である。MFP100の本体部101は、メイン回路110と、原稿を読み取るための原稿読取部130と、原稿を原稿読取部130に搬送するための自動原稿搬送装置120と、画像データに基づいて用紙に画像を形成するための画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給するための給紙部150と、ユーザーインターフェースとしての操作パネル160とを含む。
【0021】
原稿読取部130は、原稿を読み取るための矩形状の読取面を有する。自動原稿搬送装置120は、原稿トレイ125上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿読取部130の読取面まで搬送し、原稿読取部130により原稿に形成された画像が読み取られた原稿を原稿排紙トレイ127上に排出する。
【0022】
原稿読取部130は、光を照射する光源と、光を受光する光電変換素子とを含み、自動原稿搬送装置120により搬送される原稿が読取面を通過する間に原稿に形成されている画像を走査する。原稿が読取面を通過する際に、光源から照射された光は原稿で反射し、反射した光が光電変換素子で結像する。光電変換素子は、原稿で反射した光を受光すると、受光した光を電気信号に変換した画像データを生成する。原稿読取部130は、画像データをメイン回路110が備えるCPU111に出力する。
【0023】
給紙部150は、後述する給紙トレイ151~153および手差しトレイ154に収納された用紙を画像形成部140に搬送する。給紙部150による用紙の搬送についての詳細は後述する。
【0024】
画像形成部140は、CPU111により制御され、周知の電子写真方式により画像を形成する。本実施の形態では、画像形成部140は、CPU111から入力される画像データに基づいて、給紙部150により搬送される用紙に画像を形成する。画像が形成された用紙は検査装置200に排出される。CPU111が画像形成部140に出力する画像データは、原稿読取部130から入力される画像データの他、記憶装置に格納された画像データ、外部から受信されるプリントデータ等の画像データを含む。
【0025】
メイン回路110は、MFP100の全体を制御するCPU(中央演算処理装置)111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM(Read Only Memory)113と、RAM(Random Access Memory)114と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)115と、ファクシミリ部116と、外部記憶装置118と、を含む。CPU111は、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150、検査装置200、後処理装置300および操作パネル160と接続され、MFP100の全体を制御する。
【0026】
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。また、RAM114は、原稿読取部130から連続的に送られてくる画像データを一時的に記憶する。
【0027】
操作パネル160は、MFP100の上部に設けられる。操作パネル160は、表示部161と操作部163とを含む。表示部161は、例えば、液晶表示装置(LCD)であり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。なお、LCDに代えて、画像を表示する装置であれば、例えば、有機EL(electroluminescence)ディスプレイを用いることができる。
【0028】
操作部163は、タッチパネル165と、ハードキー部167とを含む。タッチパネル165は、静電容量方式である。なお、タッチパネル165は、静電容量方式に限らず、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式等の他の方式を用いることができる。
【0029】
タッチパネル165は、その検出面が表示部161の上面または下面に表示部161に重畳して設けられる。ここでは、タッチパネル165の検出面のサイズと、表示部161の表示面のサイズとを同じにしている。このため、表示面の座標系と検出面の座標系は同じである。タッチパネル165は、ユーザーが、表示部161の表示面を指示する位置を検出面で検出し、検出した位置の座標をCPU111に出力する。表示面の座標系と検出面の座標系は同じなので、タッチパネル165が出力する座標を、表示面の座標に置き換えることができる。
【0030】
ハードキー部167は、複数のハードキーを含む。ハードキーは、例えば接点スイッチである。タッチパネル165は、表示部161の表示面中でユーザーにより指示された位置を検出する。ユーザーがMFP100を操作する場合は直立した姿勢となる場合が多いので、表示部161の表示面、タッチパネル165の操作面およびハードキー部167は、上方を向いて配置される。ユーザーが表示部161の表示面を容易に視認することができ、ユーザーが指で操作部163を容易に指示することができるようにするためである。
【0031】
通信I/F部112は、MFP100をネットワークに接続するためのインターフェースである。通信I/F部112は、TCP(Transmission Control Protocol)またはFTP(File Transfer Protocol)等の通信プロトコルで、ネットワークに接続された他のコンピューターまたはデータ処理装置と通信する。通信I/F部112が接続されるネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。また、ネットワークは、LANに限らず、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆交換電話網(PSTN)、インターネット等であってもよい。
【0032】
ファクシミリ部116は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNにファクシミリデータを送信する、またはPSTNからファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部116は、受信したファクシミリデータを、HDD115に記憶するとともに、画像形成部140でプリント可能なプリントデータに変換して、画像形成部140に出力する。これにより、画像形成部140は、ファクシミリ部116により受信されたファクシミリデータの画像を用紙に形成する。また、ファクシミリ部116は、HDD115に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTNに接続されたファクシミリ装置に送信する。
【0033】
外部記憶装置118は、CPU111により制御され、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)118A、または半導体メモリが装着される。本実施の形態においては、CPU111は、ROM113に記憶されたプログラムを実行する例を説明するが、CPU111は、外部記憶装置118を制御して、CD-ROM118AからCPU111が実行するためのプログラムを読出し、読み出したプログラムをRAM114に記憶し、実行してもよい。
【0034】
なお、CPU111が実行するためのプログラムを記憶する記録媒体としては、CD-ROM118Aに限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)などの半導体メモリ等の媒体でもよい。さらに、CPU111がネットワークに接続されたコンピューターからプログラムをダウンロードしてHDD115に記憶する、または、ネットワークに接続されたコンピューターがプログラムをHDD115に書込みするようにして、HDD115に記憶されたプログラムをRAM114にロードしてCPU111で実行してもよい。ここでいうプログラムは、CPU111により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0035】
図3は、本実施の形態におけるMFPが備える画像形成部および給紙部の一部の内部構成を示す模式的側面図である。図3を参照して、MFP100の本体部101の内部には、太い点線で示される主搬送経路11および反転経路21が形成されている。主搬送経路11および反転経路21は、用紙が通過する経路である。主搬送経路11は、画像形成部140よりも上方に位置する上端部12と、上端部12の反対側の下端部13とを含み、下端部13から上端部12まで延びる。下端部13が給紙部150から用紙を受ける搬入口を構成し、上端部12が、画像形成後の用紙を検査装置200に排出する排出口を構成する。主搬送経路11において、用紙が搬送される搬送方向は、下端部13から上端部12に向かう方向である。
【0036】
主搬送経路11は、下端部30で、後述する給紙部150の複数の副搬送経路SP1,SP2,SP3に接続される。主搬送経路11は、上端部12と下端部13との間に設けられた分岐点15および合流点14で反転経路21と接続される。分岐点15には、搬送経路を切り換える切換爪が設けられている。
【0037】
主搬送経路11は、下端部13から合流点14まで延びる第1主部分経路11aと、合流点14から分岐点15まで延びる第2主部分経路11bと、分岐点15から上端部12まで延びる第3主部分経路11cと、を含む。第1主部分経路11aには、主搬送経路11内に検出領域を有する検出センサー159が設けられている。検出センサー159は、投光部159a,159bおよび受光部159cを含み、投光部159a,159bおよび受光部159cが第1主部分経路11aを挟んで互いに対向して配置されている。検出センサー159は、主搬送経路11の下端部30とタイミングローラー45との間に配置される。第2主部分経路11bには、タイミングローラー31、転写ローラー33および定着ローラー35がこの順で間隔をおいて配置されている。第3主部分経路11cには、排出ローラー37が配置されている。
【0038】
反転経路21は、反転下限点22および反転分岐点23を有する。反転分岐点23には、搬送経路を切り換える切換爪が設けられている。反転経路21は、分岐点15から反転分岐点23まで延びる第1反転部分経路21aと、反転分岐点23から反転下限点22まで延びる第2反転部分経路21bと、反転分岐点23から合流点14まで延びる第3反転部分経路21cと、を含む。第2反転部分経路21bに反転ローラー39が配置されている。
【0039】
用紙の表面に画像を形成する片面印刷の場合、給紙部150により搬送される用紙は、主搬送経路11の下端部13で受け入れられ、第1主部分経路11a、第2主部分経路11bおよび第3主部分経路11cを通って、検査装置200に搬送される。用紙は、第2主部分経路11bを通過する間に画像形成部140により、その表面に画像が形成される。
【0040】
用紙の両面に画像を形成する両面印刷の場合、給紙部150により搬送される用紙は、主搬送経路11の下端部13で受け入れられ、第1主部分経路11aを通って第2主部分経路11bに搬送される。用紙は、第2主部分経路11bを通過する間に画像形成部140によりその表面に画像が形成される。ここで、用紙に画像が形成される面は、転写ローラー33と接する面と反対側の面である。その表面に画像が形成された用紙は、定着ローラー35を通過した後、分岐点15から第1反転部分経路21aに進入する。分岐点15に設けられた切換爪が作用し、用紙が第1反転部分経路21aに進入する。ここで、用紙の表面に画像が形成される間における用紙の搬送方向における先端を上端といい、上端と反対側の端部を下端と言う。したがって、用紙の表面には、その上端から下端に向かう方向に画像が順に形成される。本実施の形態においては、用紙の表面に形成される画像は、画像の上端から下端に向かって用紙に形成される場合を例に説明する。
【0041】
第1反転部分経路21aに進入した用紙は、反転分岐点23を通って第2反転部分経路21bに進入する。第1反転部分経路21aを通過する用紙は、その上端が搬送方向における先端である。用紙は、第2反転部分経路21bを通過する間、反転ローラー39により搬送される。反転ローラー39は、用紙の後端が反転分岐点23を通過しかつ反転ローラー39に到達する前に回転方向を反転させる。用紙は、反転ローラー39により、搬送方向が反転された後は、その下端が搬送方向における先端である。
【0042】
反転ローラー39により搬送される用紙は、反転分岐点23から第3反転部分経路21cに進入する。反転分岐点23に設けられた切換爪が作用し、用紙が第3反転部分経路21cに進入する。
【0043】
第3反転部分経路21cを搬送される用紙は、合流点14で第2主部分経路11bに進入する。用紙は、第2主部分経路11bを通過する間に画像形成部140によりその裏面に画像が形成される。その裏面に画像が形成された用紙は、定着ローラー35を通過した後、分岐点15から第3主部分経路11cに進入し、第3主部分経路11cを通って、検査装置200に搬送される。第3反転部分経路21cから第2主部分経路11bに進入する用紙は、その下端が搬送方向における先端であり、裏面が転写ローラー33と反対側を向く。したがって、用紙の裏面には、その下端から上端に向かう方向に画像が順に形成される。また、用紙の裏面に形成される画像は、画像の下端から上端に向かって用紙に形成される。
【0044】
給紙部150は、3つの給紙トレイ151,152,153および手差しトレイ154を含む。3つの給紙トレイ151,152,153は、この順で上方から下方に向かって並んで配置される。手差しトレイ154は、本体部101の側壁101Aに設けられ、画像形成部140よりも下方に位置する。
【0045】
太い一点鎖線で示されるように、給紙部150においては、3つの給紙トレイ151,152,153のうち上段に位置する給紙トレイ151から主搬送経路11の下端部13へ延びる副搬送経路SP1が形成されている。また、手差しトレイ154から主搬送経路11の下端部13へ延びる副搬送経路SP2が形成されている。さらに、3つの給紙トレイ151,152,153のうち中段および下段に位置する給紙トレイ152,153それぞれから主搬送経路11の下端部13に延びる2つの搬送経路152a,153aが形成されている。2つの搬送経路152a,153aそれぞれの主搬送経路11の下端部13から所定の長さの部分は、2つの搬送経路152a,153aで共用される副搬送経路SP3である。
【0046】
副搬送経路SP1には、給紙トレイ151に収納された用紙を主搬送経路11へ供給するための給紙ローラー151rが設けられている。副搬送経路SP2には、手差しトレイ154に収納された用紙を主搬送経路11へ供給するための給紙ローラー154rが設けられている。搬送経路152aには、給紙トレイ152に収納された用紙を副搬送経路SP3を通して主搬送経路11へ供給するための給紙ローラー152rが設けられている。さらに、搬送経路153aには、給紙トレイ153に収納された用紙を副搬送経路SP3を通して主搬送経路11へ供給するための給紙ローラー153rが設けられている。
【0047】
MFP100においては、用紙への画像形成時に、3つの給紙トレイ151,152,153および手差しトレイ154のうちから画像形成されるべき用紙が収納されたトレイが対象トレイとして選択される。3つの給紙トレイ151,152,153および手差しトレイ154のうち対象トレイとして選択されたトレイに対応する給紙ローラーが動作することにより、対象トレイとして選択されたトレイから副搬送経路SP1,SP2,SP3のいずれかを通して主搬送経路11に画像形成されるべき用紙が供給される。
【0048】
画像形成部140は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックそれぞれの画像形成ユニット141Y,141M,141C,141Kを備える。画像形成ユニット141Y,141M,141C,141Kの少なくとも1つが駆動されることにより、画像が形成される。画像形成ユニット141Y,141M,141C,141Kのすべてが駆動されると、フルカラーの画像を形成する。画像形成ユニット141Y,141M,141C,141Kには、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの印字用データがそれぞれ入力される。画像形成ユニット141Y,141M,141C,141Kは、取扱うトナーの色彩が異なるのみなので、ここでは、イエローの画像を形成するための画像形成ユニット141Yについて説明する。
【0049】
画像形成ユニット141Yは、イエローの印字用データが入力される露光ヘッドと、感光体ドラム(像担持体)と、帯電チャージャと、現像器と、転写ローラー143Yとを備える。露光ヘッドは、受取った印字用データ(電気信号)に応じてレーザ光を発光する。発光されたレーザ光は露光ヘッドが備えるポリゴンミラーにより1次元走査され、感光体ドラムを露光する。感光体ドラムを1次元走査する方向は、主走査方向である。感光体ドラムは、帯電チャージャによって帯電された後、露光ヘッドが発光するレーザ光が照射される。これにより、感光体ドラムに静電潜像が形成される。続いて、現像器により、静電潜像上にトナーが載せられてトナー像が形成される。感光体ドラム上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト147上に、転写ローラー143Yにより転写される。
【0050】
一方、中間転写ベルト147は、駆動ローラー145とローラー145Aとにより弛まないように懸架されている。駆動ローラー145が図中で反時計回りに回転すると、中間転写ベルト147が所定の速度で図中反時計回りに回転する。中間転写ベルト147の回転に伴って、ローラー145Aが、反時計回りに回転する。
【0051】
これにより、画像形成ユニット141Y,141M,141C,141Kが、順に中間転写ベルト147上にトナー像を転写する。画像形成ユニット141Y,141M,141C,141Kそれぞれが、中間転写ベルト147上にトナー像を転写するタイミングは、中間転写ベルト147に付された基準マークを検出することにより、調整される。これにより、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト147上に重畳される。
【0052】
上記の主搬送経路11には、下端部30から上端部12にかけて、タイミングローラー31、転写ローラー33および定着ローラー35がこの順で間隔をおいて配置されている。給紙部150から主搬送経路11へ供給された用紙はタイミングローラー45へ送られる。
【0053】
タイミングローラー31は、用紙が転写ローラー33に到達するタイミングを調整する。具体的には、タイミングローラー31は、用紙が転写ローラー33に到達するタイミングを、中間転写ベルト147に形成されたトナー像が転写ローラー33に到達するタイミングに合わせる。タイミングローラー31により搬送される用紙は、転写ローラー33により中間転写ベルト147に押し当てられ、転写ローラー33を帯電させることにより、中間転写ベルト147上に重畳して形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が用紙に転写される。転写ローラー33の帯電量は用紙の坪量に適した値が定められており、CPU111によって、転写ローラー47に印加される電圧が制御される。
【0054】
トナー像が転写された用紙は、定着ローラー35に搬送され、定着ローラー35により加熱および押圧される。これにより、トナーが溶かされて用紙に定着する。その後、画像形成後の用紙は、排出ローラー37によって主搬送経路11の上端部12から検査装置200に排出される。定着ローラー35の温度およびローラー間隔は、用紙の坪量に適した値が定められており、CPU111によって制御される。
【0055】
給紙ローラー151r~154rおよびタイミングローラー31それぞれは、1つのモーターMの駆動力がギアを介して伝達される。また、転写ローラー33、定着ローラー35および排出ローラー37それぞれは、モーターMとは別のモーターの駆動力がギアを介して伝達される。モーターMとタイミングローラー31との間の動力伝達経路にクラッチが設けられており、また、モーターMと給紙ローラー151r~154rそれぞれとの間の動力伝達経路にクラッチが設けられている。タイミングローラー31および給紙ローラー151r~154rそれぞれは、それに対応するクラッチが切れた状態および繋がった状態に切り換えられることにより、モーターMの駆動力の伝達が切り換えられる。
【0056】
図4は、断裁装置の構成および動作を説明するための図である。図4では、断裁装置303の複数の構成要素のうち断裁処理を実行するための一部の構成要素が示される。また、図4の上段には、断裁処理を実行する際の断裁装置303の動作の一例が時系列で模式的な正面図により示される。さらに、図4の下段には、断裁処理を実行する際の断裁装置303の動作の一例が時系列で模式的な平面図により示される。X方向において共通の位置にある正面図および平面図は互いに対応している。
【0057】
図4を参照して、断裁装置303は、筐体310内に、主として搬送ベルト325、断裁部320および断裁駆動部330が収容される。筐体310は、右側壁310Rおよび左側壁310Lを有する。右側壁310Rおよび左側壁310Lには、それぞれ用紙束入口311および用紙束出口312が形成されている。用紙束入口311および用紙束出口312は、X方向において互いに対向する。
【0058】
搬送ベルト325は、用紙束出口312の近傍から用紙束入口311に向かって一定距離延びるように設けられている。X方向における搬送ベルト325と右側壁310Rとの間に断裁部320が設けられている。断裁部320は、下刃321および上刃322を含む。下刃321および上刃322は、搬送ベルト325の右端近傍の位置で、Z方向において互いに離間しかつ互いに対向して設けられている。さらに、下刃321はZ方向において移動不可能に構成され、上刃322はZ方向において移動可能に構成されている。断裁駆動部330は、例えばDCモータまたはエアシリンダ等のアクチュエータを含み、MFP100の本体部101が備えるCPU111の制御に基づいて上刃322を駆動することにより上刃322をZ方向に移動させる。
【0059】
図4の上下段左の正面図および平面図に太い一点鎖線の矢印で示すように、ソート装置301から排出される用紙束BKの一部は、右側壁310Rの用紙束入口311から断裁部320の下刃321と上刃322との間を通って搬送ベルト325上に進入する。
【0060】
搬送ベルト325は、ソート装置301から排出された用紙束BKの先端を受けると、その用紙束BKを用紙束出口312へ向けて、用紙の搬送方向の長さに基づき定められる距離だけ搬送し、その搬送を停止する。搬送ベルト325が用紙束BKを搬送する距離は、用紙束BKの断裁する予定の加工位置と下刃321と上刃322との間の位置との位置関係により定まる。また、用紙束BKの断裁する予定の加工位置は、用紙束BKに含まれる1以上の用紙のうち搬送方向の長さが最も短い用紙の搬送方向の長さに基づき定められる。搬送ベルト325は、用紙束BKの加工位置が下刃321と上刃322との間の位置に到達すると、搬送を停止する。なお、この位置決め動作は、例えば図示しない可動ストッパにより実現される。
【0061】
用紙束BKが搬送ベルト325上で位置決めされると、図4の上段中央の正面図に太い点線の矢印で示すように、断裁駆動部330が上刃322を駆動することにより上刃322が下刃321に向けて下降する。それにより、用紙束BKが下刃321および上刃322により挟みこまれ、用紙束BKが断裁加工位置で断裁される。
【0062】
その後、断裁駆動部330により上刃322が駆動され、上刃322が下刃321から離れて上方に移動する。断裁加工後の用紙束BKは、再度搬送ベルト325により搬送され、左側壁310Lの用紙束出口312から筐体310の外部に排出される。
【0063】
図5は、本実施の形態におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。図5に示す機能は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD-ROM118Aに記憶された画像形成制御プログラムを実行することにより、CPU111で実現される機能である。図5を参照して、CPU111は、検出部51と、操作受付部53と、種類取得部55と、画像取得部57と、選択部59と、実行処理設定部61と、処理実行部65と、課金部63と、を含む。
【0064】
検出部51は、検出センサー159を制御して、給紙部150から主搬送経路11に供給された用紙が検出センサー159の検出領域を移動する間に、用紙の媒体種類を検出する。検出部51は、用紙の媒体種類を第1情報として選択部59に出力する。本実施の形態においては、媒体種類は、用紙の搬送方向における長さである。具体的には、検出部51は、検出センサー159の投光部159a,159bが出射した光の光量に対して受光部159cが受光した光の光量の割合を算出する。投光部159a,159bと受光部159cとの間を用紙が通過する場合における割合を予め計測することにより、しきい値が定められている。検出部51は、割合がしきい値以下となる時間と、用紙が搬送される搬送速度とから用紙の搬送方向における長さを算出する。
【0065】
なお、検出部51は、投光部159a,159bが出射した光の光量に対する受光部159cが受光した光の光量の割合を透過率TRとして算出し、算出された透過率TRから変換情報を用いて透過率TRに対する坪量を決定してもよい。変換情報は、坪量と透過率との対応を定める情報である。変換情報は、予め実験等することにより生成され、HDD115に記憶されている。また、検出部51は、HDD115に記憶された対応テーブルを参照して、透過率TRに基づき決定された坪量に対する媒体種類を決定してもよい。この場合における媒体種別は、例えば、用紙の厚さ、材質である。
【0066】
画像取得部57は、検査装置200から読取データを取得する。読取データは、検査装置200が出力するデータであり、第1スキャナ206および第2スキャナ207が用紙を読み取って出力する画像データである。画像取得部57は、検査装置200から取得された読取データを、選択部59に出力する。検査装置200は、それが備える第1スキャナ206が出力する読取データと、第2スキャナ207が出力する読取データと、を出力する。第1スキャナ206および第2スキャナ207それぞれは、用紙の両面のいずれかを撮像するので、用紙に形成された画像に加えて用紙自体の画像を含む読取データを出力する。
【0067】
操作受付部53は、操作部163を制御して、ユーザーが操作部163に入力する操作を受け付ける。操作受付部53は、操作部163が受け付けた操作を種類取得部55および実行処理設定部61に出力する。
【0068】
種類取得部55は、表示部161に給紙トレイ設定画面が表示されている状態で、操作受付部53により給紙トレイ151~153、手差しトレイ154のいずれかに対して、そのトレイに対応する設定値を受け付ける。設定値は、用紙のサイズを示す用紙サイズと、搬送方向を示す収納方向と、を含む。なお、設定値は、用紙の坪量を含んでもよい。用紙サイズは、サイズの異なる複数種類の用紙それぞれに対して割り当てられた名称であり、A4、A3,B5,B4、レターを含む。用紙サイズは、縦方向および横方向の長さが、規格で定められている。このため、種類取得部55は、取得された用紙サイズおよび搬送方向とから用紙の搬送方向の長さを算出し、算出された用紙の搬送方向の長さを第2情報として選択部59に出力する。
【0069】
処理実行部65は、MFP100が実行可能な複数の処理を実行する。MFP100が実行可能な複数の処理は、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150、検査装置200、後処理装置300、通信I/F部112、HDD115、ファクシミリ部116および外部記憶装置118の少なくとも1つを制御して実行する処理である。例えば、複数の処理は、原稿読取部130が原稿を読み取って画像データを出力する原稿読取処理、画像形成部140が給紙部150から供給される用紙に形成する画像形成処理を含む。画像形成処理の対象となる画像は、原稿読取部130で読み取った原稿の画像、HDD115またはCD-ROM118Aに格納された画像、またはファクシミリ部116により受信されたファクシミリデータの画像である。また、画像形成処理は、用紙の表面に画像を形成する片面印刷処理、用紙の裏面に画像を形成する両面印刷処理を含む。さらに、複数の処理は、後処理装置300が実行する後処理を含む。後処理は、例えば、画像が形成された用紙を、ソート装置301が並び替える処理、断裁装置303が断裁する処理を含む。
【0070】
実行処理設定部61は、表示部161に実行処理設定画面が表示されている状態で、実行処理が実行される際に用いられる設定値を受け付ける。実行処理は、処理実行部65が実行可能な複数の処理である。実行処理設定部61は、処理実行部65が実行可能な複数の処理の少なくとも1つの実行処理を特定する設定値と、特定された少なくとも1つの実行処理それぞれを処理実行部65が実行するために用いる設定値と、を設定する。実行処理設定部61は、設定された設定値を選択部59および処理実行部65に出力する。
【0071】
課金部63は、処理実行部65により実行された実行処理に対して課金する。処理実行部65が実行可能な複数の処理のうちで、課金の対象となる処理および単価は、予め定められている。例えば、原稿読取処理は、課金の対象でない。また、画像形成処理は課金の対象である。そして、画像形成処理に対しては、画像が形成された用紙のサイズによって異なる単価が定められる。例えば、A4サイズに対しては10円、B4サイズに対して20円、A3サイズに対して40円が設定される。また、カラー印刷と、モノクロ印刷とで、単価を異ならせてもよい。課金部63は、処理実行部65により実行処理が課金の対象の場合に、その実行処理の実行に対して課金する。課金部63は、課金の対象となる処理の処理識別情報を選択部59に出力する。
【0072】
課金部63は、ユーザーと、そのユーザーに割り当てられた課金情報と、を関連付けた課金テーブルをHDD115に格納しており、ログインしたユーザーによる指示に従って実行した実行処理に対して予め定められた額を課金するために、課金テーブルを更新する。課金テーブルは、インターネット上の所定の記憶領域に格納されてもよい。また、課金処理は、インターネット上に配置されたサーバーにより実行されてもよい。この場合は、課金部63は、通信I/F部112を制御して、ユーザー識別情報と課金額とを含む課金情報をサーバーに送信する。
【0073】
選択部59は、検出部51から第1情報が入力され、種類取得部55から第2情報が入力される。選択部59は、第1情報および第2情報のうちからいずれか1つを処理実行部65が実行するために用いる設定値として選択する。
【0074】
選択部59は、実行処理設定部61から実行処理を特定する設定を示す情報が入力される。実行処理を特定する設定を示す情報は、実行処理を特定する処理識別情報と、実行処理を処理実行部65が実行するために用いる設定値と、を含む。選択部59は、処理識別情報および/または実行処理を実行するために用いる設定値に基づいて第1情報と第2情報とのいずれか一方を選択する。処理実行部65は、選択部59により第1情報および第2情報のいずれか1つが選択される場合、選択された一方を設定値として用いて実行処理を実行する。
【0075】
<両面印刷処理で上端揃え>
実行処理が用紙の両面に画像を形成する両面印刷処理で、かつ、その両面印刷処理を実行するための設定値として画像の上端を揃える設定値が設定されている場合、選択部59は、用紙の表面に表面画像を形成する際に用いる設定値として第2情報を選択し、用紙の裏面に裏面画像を形成する際に用いる設定値として第1情報を選択する。上述したように、両面印刷処理が実行される場合、用紙の表面に表面画像が形成される際には、用紙は上端を先端として画像形成部140に搬送され、表面画像は上端から順に形成される。これに対して、用紙の裏面に裏面画像が形成される際には、用紙は下端を先端として画像形成部140に搬送され、裏面画像は下端から順に形成される。このため、表面画像の上端の位置は、用紙の上端からの位置として特定される。このため、表面画像を用紙の表面に形成する際には第2情報を用いれば十分である。そして、裏面画像の上端の用紙中の位置を特定するためには、裏面画像の上端の位置を、用紙の下端を基準に定める必要がある。用紙の固体差から用紙の搬送方向の長さにばらつきがあるため、裏面画像を形成する際に、第1情報が用いられる。このため、裏面画像の上端を表面画像の上端と正確に合わせることができる。
【0076】
<両面印刷処理で下端揃え>
実行処理が用紙の両面に画像を形成する両面印刷処理で、かつ、その両面印刷処理を実行するための設定値として画像の下端を揃える設定値が設定されている場合、選択部59は、用紙の表面に画像を形成する際に用いる設定値として第1情報を選択し、用紙の裏面に画像を形成する際に用いる設定値として第2情報を選択する。上述したように、両面印刷処理が実行される場合、用紙の表面に表面画像が形成される際には、用紙は上端を先端として画像形成部140に搬送され、表面画像は上端から順に形成される。これに対して、用紙の裏面に裏面画像が形成される際には、用紙は下端を先端として画像形成部140に搬送され、裏面画像は下端から順に形成される。このため、裏面画像の下端の用紙中の位置を特定するためには、表面画像の下端の位置と用紙の下端との間の距離を特定する必要がある。用紙の固体差から用紙の搬送方向の長さにばらつきがあるため、表面画像を用紙の表面に形成する際には第1情報を用いて、表面画像の下端と用紙の下端との間の距離が算出される。
【0077】
一方、用紙の裏面に裏面画像を形成する際には、用紙が下端を先端として搬送され、裏面画像が下端から形成されるので、第2情報を用いて裏面画像を形成すれば十分である。したがって、表面画像を形成する際に第1情報が用いられ、裏面画像を形成する際に第2情報が用いられるので、裏面画像の下端を表面画像の下端と正確に合わせることができる。
【0078】
<断裁処理>
実行処理が用紙を断裁する断裁処理の場合、選択部59は、第1情報を選択する。上述したように、断裁処理は、用紙の搬送方向における後端を断裁する処理である。用紙の固体差から用紙の搬送方向の長さにばらつきがあるため、断裁処理を実行する際に第1情報が用いられるので、複数の用紙の束の搬送方向の長さを揃えることができる。搬送方向の長さが最も短い用紙の長さを基準に断裁処理を実行することにより、複数の用紙の長さを揃えることができる。
【0079】
<課金処理>
選択部59は、課金部63から課金処理の対象となる処理の処理識別情報が入力される。選択部59は、実行処理が課金の対象となる処理の場合、第1情報を選択することなく、第2情報を選択する。課金処理は、用紙サイズごとに単価が定められるため、第1情報が選択されると、単価を定めることができず、課金額の算出が複雑になる。このため、選択部59は、実行処理が課金の対象となる場合は、その課金処理を実行するために用いる設定値として第2情報を選択する。
【0080】
<選択処理の実行設定>
MFP100において、選択部59による選択の有効または無効に設定される場合がある。選択部59は、実行処理が両面印刷処理または断裁処理を含む場合に、操作受付部53により選択処理の実行が有効に設定されている場合に、第1情報または第2情報のいずれかを選択する。また、選択部は、操作受付部53により選択処理の実行が無効に設定されている場合に、実行処理が両面印刷処理または断裁処理を含む場合は、第1情報または第2情報のいずれかを選択しない。この場合は、デフォルトの値が選択される。本実施の形態においては、デフォルト値を第2情報としている。
【0081】
<検出センサー不良時設定>
選択部59は、検出部51から媒体種類が入力され、画像取得部57から読取データが入力される。媒体種類は、用紙の搬送方向における長さを含む。選択部59は、検出部51から入力される媒体種類に含まれる用紙の搬送方向における長さを第1用紙サイズに設定する。さらに、選択部59は、画像取得部57から入力される読取データに基づいて、用紙の搬送方向の長さを第2用紙サイズとして算出する。選択部59は、第1用紙サイズと第2用紙サイズとの差分が所定のしきい値以上の場合に、その時以降の選択処理の実行を無効に設定する。換言すれば、選択部59は、第1用紙サイズと第2用紙サイズとの差分が所定のしきい値以上の場合に、その時移行は、第1情報または第2情報のいずれかを選択しない。この場合は、デフォルトの値が選択される。本実施の形態においては、デフォルト値を第2情報としている。
【0082】
<優先設定>
MFP100において、第1情報と第2情報とのいずれか一方を他方よりも優先する優先設定が設定されている場合、選択部59は、第1情報および第2情報のうち優先設定で設定されている一方を選択する。したがって、選択部59は、実行処理が両面印刷処理または断裁処理を含む場合であっても、優先設定が設定されている場合は、第1情報および第2情報のうち優先設定で設定されている一方を選択する。選択処理の実行設定が有効に設定されている場合に、優先設定が有効とされる。
【0083】
図6は、画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。画像形成処理は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD-ROM118Aに記憶された画像形成プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。
【0084】
図6を参照して、MFP100が備えるCPU111は、処理条件を受け付ける(ステップS01)。処理条件は、画像形成処理を実行するために用いられる画像形成条件、後処理を実行するために用いられる後処理条件を含む。画像形成条件は、画像が形成される用紙の用紙サイズを特定する条件を含み、用紙サイズを特定する条件には、給紙トレイ151~153および手差しトレイ154のいずれかを特定する設定値が設定される。給紙トレイ151~153および手差しトレイ154それぞれに対して、それに収納される用紙のサイズおよび搬送方向を定めたテーブルがHDD115に格納されている。このため、給紙トレイ151~153および手差しトレイ154のいずれかが画像形成条件により特定されることにより、画像形成の対象となる用紙の搬送方向の長さが特定される。また、画像形成条件は、用紙に画像を形成する面を特定する条件を含む。画像形成条件の用紙の両面に画像を形成する条件に対して設定値として両面印刷を示す値が設定され、用紙の片面に画像を形成する条件に対して設定値として片面印刷を示す値が設定される。また、画像形成条件は、両面印刷を示す設定値が設定される場合、用紙の表面に形成される表面画像と用紙の裏面に形成される裏面画像とを揃える端部を特定する条件を含む。画像形成条件により表面画像と裏面画像とをそれらの上端を揃える条件に対して設定値として上端を示す値が設定され、表面画像と裏面画像とをそれらの下端を揃える条件に対して設定値として下端を示す値が設定される。
【0085】
後処理条件は、断裁処理を実行するか否かを示す条件を含む。後処理条件により断裁処理を実行する条件に対して設定値として断裁処理が有効であることを示す値が設定され、断裁処理を実行する条件に対して設定値として断裁処理が無効であることを示す値が設定される。
【0086】
次のステップS02においては、処理条件設定処理が実行され、処理はステップS03に進む。処理条件設定処理の詳細は後述するが、第1情報で定まる用紙サイズと、第2情報で定まる用紙サイズとのいずれを選択するかを決定する処理である。第1情報は、検出センサー159の出力に基づき決定される用紙の搬送方向の長さを示し、第2情報は、給紙トレイ151~153および手差しトレイ154にそれぞれ関連付けられた情報である。
【0087】
ステップS03においては、トレイが特定され、処理はステップS04に進む。ステップS01において受け付けられた処理条件において、画像形成の対象となる用紙を収容したトレイが選択されている。給紙トレイ151~153および手差しトレイ154のうちからステップS01において選択されたトレイが特定される。
【0088】
次のステップS04においては、第2情報が決定され、処理はステップS05に進む。ステップS03において、給紙トレイ151~153および手差しトレイ154のうちから特定されたトレイに収容される用紙サイズが取得され、取得された用紙サイズが第2情報に決定される。用紙サイズは、用紙が搬送される搬送方向の用紙の長さである。
【0089】
ステップS05においては、画像形成が開始され、処理はステップS06に進む。ステップS01において受け付けられた条件に従って画像形成が開始される。ステップS06においては、第1用紙サイズが取得され、処理はステップS07に進む。検出センサー159の出力値に基づいて画像形成の対象となる用紙の搬送方向の長さが算出され、算出された長さが第1用紙サイズとして取得される。
【0090】
ステップS07においては、ステップS06において取得された第1用紙サイズが第1情報に決定され、処理はステップS08に進む。ステップS08においては、画像形成が終了したか否かが判断される。画像形成が終了するまで待機状態となり(ステップS08でNO)、画像形成が終了したならば処理はステップS09に進む。
【0091】
ステップS09においては、読取データが取得され、処理はステップS10に進む。検査装置200が出力する読取データが取得される。ステップS10においては、第2用紙サイズが取得され、処理はステップS11に進む。読取データに基づいて、用紙の搬送方向の長さが検出され、検出された長さが第2用紙サイズとして取得される。
【0092】
ステップS11においては、第1用紙サイズと第2用紙サイズとの差分であるサイズ差がしきい値THと比較される。サイズ差がしきい値TH以上ならば処理はステップS12に進むが、そうでなければ処理はステップS13に進む。ステップS12においては、第1情報が第2情報に変更され、処理はステップS13に進む。第1情報が選択されている設定値に第2情報が設定される。
【0093】
ステップS13においては、次に画像形成の対象となる画像データが存在するか否かが判断される。画像形成の対象となる画像データが存在するならば処理はステップS05に戻るが、そうでなければ処理は終了する。
【0094】
図7は、処理条件設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。処理条件設定処理は、MFP100が備えるCPU111が処理条件設定プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。また、処理条件設定処理は、画像形成処理のステップS02においてCPU111により実行される。
【0095】
図7を参照して、選択処理が有効に設定されているか否かが判断される(ステップS21)。選択処理が有効に設定されているならば処理はステップS22に進むが、無効に設定されているならば処理はステップS29に進む。ステップS29においては、用紙サイズを設定する設定値にデフォルト値が設定され、処理は画像形成処理に戻る。本実施の形態においては、用紙サイズを設定する設定値に第2情報が設定される。
【0096】
ステップS22においては、課金対象か否かが判断される。画像形成処理のステップS01において受け付けられた処理条件で特定される処理のうちに課金対象の処理が含まれているか否かが判断される。課金対象の処理が含まれていれば処理はステップS23に進むが、そうでなければ処理はステップS24に進む。ステップS23においては、課金処理に用いる用紙サイズを設定する設定値に第2情報が選択され、処理はステップS24に進む。
【0097】
ステップS24においては、優先設定が有効か否かが判断される。優先設定が有効ならば処理はステップS25に進むが、優先設定が無効ならば処理はステップS28に進む。ステップS25においては、優先設定によって処理が分岐する。優先設定が第1情報を優先する設定ならば処理はステップS26に進むが、優先設定が第2情報を優先する設定ならば処理はステップS27に進む。ステップS26においては、第1情報が選択され、処理は画像形成処理に戻る。ステップS27においては、第2情報が選択され、処理は画像形成処理に戻る。
【0098】
ステップS28においては、条件別設定処理が実行され、処理は画像形成処理に戻る。図8は、条件別設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図8を参照して、画像形成処理のステップS01において受け付けられた処理条件のうちに、後処理条件に対する設定値に断裁処理が設定されているか否かが判断される(ステップS31)。後処理条件に対する設定値に断裁処理が設定されているならば処理はステップS32に進むが、そうでなければ処理はステップS33に進む。ステップS32においては、後処理条件に対する設定値のうち断裁処理で用いられる設定値に第1情報が選択され、処理はステップS33に進む。これにより、断裁処理が実行される場合に、第1情報を用いて用紙の断裁加工位置が決定される。
【0099】
ステップS33においては、画像形成処理のステップS01において受け付けられた処理条件のうちに、画像形成条件に対する設定値に両面印刷処理が設定されているか否かが判断される。画像形成条件に対する設定値に両面印刷処理が設定されているならば処理はステップS34に進むが、そうでなければ処理はステップS39に進む。ステップS39においては、両面印刷処理で用いられる設定値のうち用紙サイズが設定される設定値にデフォルト値が設定され、処理は処理条件設定処理に戻る。本実施の形態においては、用紙サイズが設定される設定値に第2情報が設定される。
【0100】
ステップS34においては、揃え方向の条件に対する設定値によって処理が分岐する。揃え方向の条件に対する設定値が表面画像と裏面画像との上端を揃えることを示す値ならば、処理はステップS35に進み、揃え方向の設定値が表面画像と裏面画像との下端を揃えることを示す値ならば、処理はステップS37に進む。
【0101】
ステップS35においては、表面画像を形成する処理で用いられる設定値のうち用紙サイズが設定される設定値に第2情報が選択され、処理はステップS36に進む。これにより、表面画像を形成する処理が実行される場合に、表面画像を形成する位置を算出するために第2情報が用いられる。ステップS36においては、裏面画像を形成する処理で用いられる設定値のうち用紙サイズが設定される設定値に第1情報が選択され、処理は用紙サイズ選択処理に戻る。これにより、表面画像を形成する処理が実行される場合に、用紙の裏面の上部マージンが第1情報を用いて算出される。
【0102】
ステップS37においては、表面画像を形成する処理で用いられる設定値のうち用紙サイズが設定される設定値に第1情報が選択され、処理はステップS38に進む。これにより、表面画像を形成する処理が実行される場合に、用紙の表面の下部マージンが第1情報を用いて算出される。ステップS38においては、裏面画像を形成する処理で用いられる設定値のうち用紙サイズが設定される設定値に第2情報が選択され、処理は処理条件設定処理に戻る。これにより、裏面画像を形成する処理が実行される場合に、用紙の裏面の上部マージンが第2情報を用いて算出される。
【0103】
以上説明したように、本実施の形態におけるMFP100は、画像形成装置として機能し、画像が形成される予定の用紙の搬送方向のサイズを検出センサー159で検出した搬送方向の長さを第1情報として取得し、その用紙が収容されていたトレイに関連付けられた用紙の搬送方向の長さを第2情報として取得し、MFP100が実行可能な複数の処理のうち実行処理の実行がユーザーにより指示されると、実行処理を実行する際に用いる設定値として第1情報と第2情報とのいずれか一方を選択する。第1情報は、記録媒体の固体差を有するのに対して、第2情報は個体差を有しない。複数の処理のうちには、用紙の個体差に関係なく実行される処理と、用紙の個体差により結果が異なる処理とがある。個体差に関係ない処理を実行する場合に個体差を有する用紙の搬送方向の長さを用いて処理できない場合がある。逆に、個体差により結果が異なる処理を実行する場合に個体差を有しない用紙の搬送方向の長さを用いると、正確に処理できない場合がある。このため、複数の処理にそれぞれ対応して用紙の搬送方向の長さが変更されるので、複数の処理を正確に実行させることができる。
【0104】
また、MFP100は、用紙の両面に画像を形成可能であり、両面印刷処理の実行が指示される場合、表面画像を形成する処理と裏面画像を形成する処理に対して、第1情報と第2情報とのうち互いに異なる一方を選択する。裏面画像を形成する場合における用紙の向きが表面画像を形成する場合における用紙の向き逆になるので、表面画像が上端から下端に向かう順に形成されるのに対して、裏面画像は下端から上端に向かって順に形成される。このため、用紙の上端と下端とのいずれか一方を基準とすることにより、表面画像および裏面画像が用紙の表裏にそれぞれ形成される位置を正確に合わせることができる。
【0105】
また、MFP100は、表面画像および裏面画像それぞれの上端を揃えて画像を形成する処理の実行が指示される場合、表面画像を形成する処理に第2情報を選択し、裏面画像を形成する処理に第1情報を選択する。このため、第2情報を用いて表面画像が形成され、第1情報を用いて裏面画像が形成される。裏面画像はその下端から上端に向かって順に用紙の下端から形成されるので、用紙の上端から裏面画像の上端までの距離を用紙の上端から表面画像の上端までの距離と等しくするために、用紙の下端から裏面画像の下端まで距離を算出する必要がある。用紙中で裏面画像の下端が形成される位置の算出に第1情報が用いられるので、裏面画像の上端を表面画像の上端に正確に揃えることができる。
【0106】
また、MFP100は、表面画像および前記裏面画像それぞれの下端を揃えて画像を形成する処理の実行が指示される場合、表面画像を形成する処理に前記第1情報を選択し、裏面画像を形成する処理に前記第2情報を選択する。このため、第1情報を用いて表面画像が形成され、第2情報を用いて裏面画像が形成される。裏面画像はその下端から上端に向かって順に用紙の下端から形成されるので、用紙の下端から裏面画像の下端までの距離を用紙の下端から表面画像の下端までの距離と等しくするために、用紙の下端から表面画像の下端までの距離を算出する必要がある。表面画像の下端が形成される位置の算出に第1情報が用いられるので、裏面画像の下端を表面画像の下端に正確に揃えることができる。
【0107】
また、MFP100は、用紙を断裁する処理の実行が指示される場合は、第1情報を選択する。このため、断裁する位置を正確に定めることができる。
【0108】
また、MFP100は、課金処理の実行が指示される場合は、第2情報を選択する。課金処理は、予め定められた用紙のサイズに対して単価を定めるテーブルを用いるので、第2情報を用いることにより容易に課金額を算出することがきる。
【0109】
また、MFP100は、用紙の搬送方向の長さが設定される設定値に第1情報と第2情報とのいずれか一方を用いる優先設定がされている場合は、優先設定されている一方を選択する。このため、ユーザーによる設定が優先されるので、利便性を向上させることができる。
【0110】
また、MFP100は、検出センサー159の精度がしきい値以下の場合は、第2情報を選択する。このため、信頼性の低い第1情報が用いられないようにして、誤った処理が実行されないようにできる。
【0111】
また、MFP100は、第1情報および第2情報の選択を有効にするか否かが設定されている場合には、有効に設定されている一方を選択する。このため、ユーザーは、第1情報と第2情報を自動的に選択するか否かを決定することができるので、利便性が向上する。
【0112】
<実施の形態の総括>
(項1) 記録媒体の種類を第1情報として検出する検出手段と、
記録媒体の種類を第2情報として受け付ける種類取得手段と、
記録媒体に複数の処理を実行可能な処理実行手段と、
前記複数の処理のうち前記処理実行手段に実行させる実行処理を特定する設定を受け付ける実行処理設定手段と、
前記処理実行手段が前記実行処理を実行する際に用いる設定値として前記第1情報と前記第2情報とのいずれか一方を選択する選択手段と、を備えた画像形成装置。
【0113】
この局面に従えば、実行処理を特定する設定が受け付けられると、実行処理を実行する際に用いる設定値として第1情報と第2情報とのいずれか一方が選択される。第1情報は、検出手段により検出される記録媒体の種類であり、第2情報は、種類受付手段により受け付けられた記録媒体の種類である。検出された記録媒体の種類は、記録媒体の固体差を有するのに対して、受け付けられた記録媒体の種類は個体差を有しない。複数の処理のうちには、記録媒体の種類の個体差に関係なく実行される処理と、記録媒体の種類の個体差により結果が異なる処理とがある。個体差に関係ない処理を実行する場合に個体差を有する記録媒体の種類を用いて処理できない場合がある。逆に、個体差により結果が異なる処理を実行する場合に個体差を有しない記録媒体の種類を用いると、正確に処理できない場合がある。このため、複数の処理にそれぞれ対応して記録媒体の種類を変更できるので、複数の処理を正確に実行することができる。その結果、複数の処理それぞれを正確に実行させることが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0114】
(項2) 前記処理実行手段は、記録媒体の搬送方向を反転させる反転手段と、
搬送中の記録媒体の表面に表面画像を形成した後に前記反転手段により搬送方向が反転されて搬送される前記記録媒体の裏面に裏面画像を形成可能な画像形成手段と、を含み、
前記選択手段は、前記実行処理として前記画像形成手段が記録媒体の両面に画像を形成する処理を示す設定が受け付けられる場合、前記表面画像を形成する処理と前記裏面画像を形成する処理に対して、前記第1情報と前記第2情報とのうち互いに異なる一方を選択する、項1に記載の画像形成装置。
【0115】
この局面に従えば、裏面画像を形成する場合における記録媒体の向きが表面画像を形成する場合における記録媒体の向きが逆になる。したがって、表面画像を上端から下端に向かう順に形成されるのに対して、裏面画像は下端から上端に向かって順に形成される。このため、記録媒体の上端と下端とのいずれか一方を基準とすることにより、表面画像および裏面画像が記録媒体の表裏にそれぞれ形成される位置を正確に合わせることができる。
【0116】
(項3) 前記選択手段は、前記実行処理として前記表面画像および前記裏面画像それぞれの上端を揃えて画像を形成する処理を示す設定が受け付けられる場合は、前記表面画像を形成する処理に前記第2情報を選択し、前記裏面画像を形成する処理に前記第1情報を選択する、項2に記載の画像形成装置。
【0117】
この局面に従えば、表面画像および裏面画像それぞれの上端を揃えて画像を形成する処理を示す設定が受け付けられる場合は、表面画像を形成する処理に第2情報が選択され、裏面画像を形成する処理に第1情報が選択される。このため、第2情報を用いて表面画像が形成され、第1情報を用いて裏面画像が形成される。裏面画像はその下端から上端に向かって順に記録媒体の下端から形成されるので、記録媒体の上端から裏面画像の上端までの距離を記録媒体の上端から表面画像の上端までの距離と等しくするために、記録媒体の下端から裏面画像の下端まで距離を算出する必要がある。記録媒体中で裏面画像の下端が形成される位置の算出に第1情報が用いられるので、裏面画像の上端を表面画像の上端に正確に揃えることができる。
【0118】
(項4) 前記選択手段は、前記実行処理として前記表面画像および前記裏面画像それぞれの下端を揃えて画像を形成する処理を示す設定値が受け付けられる場合は、前記表面画像を形成する処理に前記第1情報を選択し、前記裏面画像を形成する処理に前記第2情報を選択する、項2または3に記載の画像形成装置。
【0119】
この局面に従えば、表面画像および裏面画像それぞれの下端を揃えて画像を形成する処理を示す設定が受け付けられる場合は、表面画像を形成する処理に第1情報が選択され、裏面画像を形成する処理に第2情報が選択される。このため、第1情報を用いて表面画像が形成され、第2情報を用いて裏面画像が形成される。裏面画像はその下端から上端に向かって順に記録媒体の下端から形成されるので、記録媒体の下端から裏面画像の下端までの距離を記録媒体の下端から表面画像の下端までの距離と等しくするために、記録媒体の下端から表面画像の下端までの距離を算出する必要がある。表面画像の下端が形成される位置の算出に第1情報が用いられるので、裏面画像の下端を表面画像の下端に正確に揃えることができる。
【0120】
(項5) 前記処理実行手段は、画像が形成された記録媒体を加工する加工処理を実行する後処理手段を含み、
前記選択手段は、前記実行処理として前記後処理手段が記録媒体を断裁する処理を示す設定が受け付けられる場合は、前記第1情報を選択する、項1~4のいずれかに記載の画像形成装置。
【0121】
この局面に従えば、実行処理として記録媒体を断裁する処理を示す設定が受け付けられる場合は第1情報が選択されるので、断裁する位置を正確に定めることができる。
【0122】
(項6) 前記処理実行手段は、処理の実行に対して課金する課金処理を実行する課金手段を含み、
前記選択手段は、前記実行処理として前記課金処理を示す設定が受け付けられる場合は、前記第2情報を選択する、項1~5のいずれかに記載の画像形成装置。
【0123】
この局面に従えば、実行処理として課金処理を示す設定値が設定される場合は第2情報が選択される。課金処理は、予め定められた記録媒体の種類に対して単価を定めるテーブルを用いるので、第2情報を用いることにより正確に課金処理を実行することができる。
【0124】
(項7) 前記選択手段は、記録媒体の種類を示す設定値に前記第1情報と前記第2情報とのいずれか一方を用いる優先設定がされている場合は、優先設定されている一方を選択する、項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
【0125】
この局面に従えば、第1情報と第2情報とのいずれか一方を示す設定値が設定される場合は設定値により示される一方が選択される。ユーザーによる設定が優先されるので、利便性を向上させることができる。
【0126】
(項8) 前記検出手段の精度を測定する測定手段を、さらに備え、
前記選択手段は、前記測定手段により測定された精度がしきい値以下の場合は、前記第2情報を選択する、項1~7のいずれかに記載の画像形成装置。
【0127】
この局面に従えば、検出手段の精度がしきい値以下の場合は第2情報が選択されるので、信頼性の低い第1情報が用いられないようにして、誤った処理が実行されないようにできる。
【0128】
(項9) 前記実行処理に対して前記選択手段による選択を有効にするか否かを設定する設定手段を、さらに備えた項1~8のいずれかに記載の画像形成装置。
【0129】
この局面に従えば、選択を有効にするか否かが設定されるので、第1情報と第2情報の自動的な選択を実行させるか否かを、ユーザーが決定することができる。このため、利便性を向上させることができる。
【0130】
(項10) 画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
前記画像形成装置は、記録媒体に複数の処理を実行可能な処理実行部を備え、
記録媒体の種類を第1情報として検出する検出ステップと、
記録媒体の種類を第2情報として受け付ける種類取得ステップと、
前記複数の処理のうち前記画像形成装置に処理実行手段に実行させる実行処理を特定する設定を受け付ける実行処理設定ステップと、
前記処理実行手段が前記実行処理を実行する際に用いる設定値として前記第1情報と前記第2情報とのいずれか一方を選択する選択ステップと、を前記画像形成装置に実行させる画像形成方法。
【0131】
この局面に従えば、画像形成装置に複数の処理それぞれを正確に実行させることが可能な画像形成方法を提供することができる。
【0132】
(項11) 画像形成装置を制御するコンピューターで実行される画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置は、記録媒体に複数の処理を実行可能な処理実行部を備え、
記録媒体の種類を第1情報として検出する検出ステップと、
記録媒体の種類を第2情報として受け付ける種類取得ステップと、
前記複数の処理のうち前記画像形成装置に処理実行手段に実行させる実行処理を特定する設定を受け付ける実行処理設定ステップと、
前記処理実行手段が前記実行処理を実行する際に用いる設定値として前記第1情報と前記第2情報とのいずれか一方を選択する選択ステップと、を前記コンピューターに実行させる画像形成プログラム。
【0133】
この局面に従えば、画像形成装置に複数の処理それぞれを正確に実行させることが可能な画像形成プログラムを提供することができる。
【0134】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0135】
100 MFP、101 本体部、110 メイン回路、111 CPU、112 通信I/F部、113 ROM、114 RAM、115 HDD、116 ファクシミリ部、118 外部記憶装置、118A CD-ROM、120 自動原稿搬送装置、130 原稿読取部、140 画像形成部、141Y,141M,141C,141K 画像形成ユニット、143Y,143M,143C,143K 転写ローラー、147 中間転写ベルト、150 給紙部、151~153 給紙トレイ、154 手差しトレイ、159 検出センサー、160 操作パネル、161 表示部、163 操作部、165 タッチパネル、167 ハードキー部、200 検査装置、206 第1スキャナ、207 第2スキャナ、300 後処理装置、301 ソート装置、303 断裁装置、320 断裁部、321 下刃、322 上刃、325 搬送ベルト、330 断裁駆動部、11 主搬送経路、11a 第1主部分経路、11b 第2主部分経路、11c 第3主部分経路、12 上端部、13 下端部、14 合流点、15 分岐点、21 反転経路、21a 第1反転部分経路、21b 第2反転部分経路、21c 第3反転部分経路、22 反転下限点、23 反転分岐点、30 下端部、31 タイミングローラー、33 転写ローラー、35 定着ローラー、37 排出ローラー、39 反転ローラー、45 タイミングローラー、47 転写ローラー、51 検出部、53 操作受付部、55 種類取得部、57 画像取得部、59 選択部、61 実行処理設定部、63 課金部、65 処理実行部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8