(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126165
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】粘着性フィルムおよび電子装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240912BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240912BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240912BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01L21/304 631
H01L21/68 N
C09J7/38
C09J133/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034381
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000220099
【氏名又は名称】アールエム東セロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】瀬古 航
(72)【発明者】
【氏名】栗原 宏嘉
(72)【発明者】
【氏名】木下 仁
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
4J004AA07
4J004AA10
4J004AB01
4J004FA08
4J040JA09
4J040JB09
4J040MA04
4J040MB05
4J040MB09
5F057AA12
5F057BA15
5F057CA14
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5F057EC07
5F057EC09
5F057EC17
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5F131AA02
5F131BA41
5F131CA32
5F131EC34
5F131EC55
(57)【要約】
【課題】電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用することができ、さらに耐ブロッキング性が向上した粘着性フィルムを提供する。
【解決手段】バックグラインド工程において電子部品の表面を保護するために用いることが可能な粘着性フィルム50であって、粘着性フィルム50は、粘着性樹脂層(A)20と、基材層30と、樹脂層(B)40とをこの順に備え、樹脂層(B)40のX線光電子分光装置により測定される酸素/炭素原子比(O/C)は、0.010以上であり、樹脂層(B)40のDSCにより測定される融点が65℃以上130℃以下である粘着性フィルム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックグラインド工程において電子部品の表面を保護するために用いることが可能な粘着性フィルムであって、
前記粘着性フィルムは、粘着性樹脂層(A)と、基材層と、樹脂層(B)とをこの順に備え、
前記樹脂層(B)のX線光電子分光装置により測定される酸素/炭素原子比(O/C)は、0.010以上であり、
前記樹脂層(B)のDSCにより測定される融点が65℃以上130℃以下である粘着性フィルム。
【請求項2】
前記樹脂層(B)は、変性ポリオレフィンを含む、請求項1に記載の粘着性フィルム。
【請求項3】
バックグラインド工程において電子部品の表面を保護するために用いることが可能な粘着性フィルムであって、
前記粘着性フィルムは、粘着性樹脂層(A)と、基材層と、樹脂層(B)とをこの順に備え、
前記樹脂層(B)は変性ポリオレフィンを含む、粘着性フィルム。
【請求項4】
前記樹脂層(B)のDSCにより測定される融点が65℃以上130℃以下である、請求項3に記載の粘着性フィルム。
【請求項5】
前記変性ポリオレフィンは、極性モノマー由来の構成単位と、オレフィン由来の構成単位とを含む共重合体であり、
前記極性モノマーは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、およびアコニット酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項2~4のいずれかに記載の粘着性フィルム。
【請求項6】
前記オレフィンは、エチレン、およびプロピレンからなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項5に記載の粘着性フィルム。
【請求項7】
前記樹脂層(B)の厚みは、0.05μm以上5.00μm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の粘着性フィルム。
【請求項8】
前記粘着性樹脂層(A)は、前記電子部品の表面に貼り付けるために設けられた層である、請求項1~4のいずれかに記載の粘着性フィルム。
【請求項9】
前記粘着性樹脂層(A)は、(メタ)アクリル系樹脂を含む、請求項1~4のいずれかに記載の粘着性フィルム。
【請求項10】
基材層は、樹脂フィルムであり、
前記樹脂フィルムを構成する樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、およびポリプロピレンからなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1~4のいずれかに記載の粘着性フィルム。
【請求項11】
電子部品と、前記電子部品の表面Aに貼り合わされた粘着性フィルムと、を備える構造体を準備する工程(A)と、
前記電子部品の前記表面A側とは反対側の表面Bをバックグラインドする工程(B)と、
前記粘着性フィルムの前記樹脂層(B)側に剥離用テープを貼り付けた後に、前記電子部品から、前記粘着性フィルムと前記剥離用テープとの接着体を除去する工程(C)と、
を少なくとも備える電子装置の製造方法であって、
前記粘着性フィルムが請求項1~4のいずれかに記載の粘着性フィルムである電子装置の製造方法。
【請求項12】
前記工程(C)において、前記粘着性フィルムの前記樹脂層(B)側に剥離用テープを貼り付けるときの温度が、40℃以上250℃以下である、請求項11に記載の電子装置の製造方法。
【請求項13】
前記工程(C)において、前記粘着性フィルムの前記樹脂層(B)側に剥離用テープを貼り付けるときの温度が、10℃以上40℃未満である、請求項11に記載の電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着性フィルムおよび電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置の製造工程において、ウエハ等の電子部品を研削して薄厚加工する工程(バックグラインド工程)がある。
このような薄厚加工方法として、電子部品を研削した後に電子部品を個片化する方法、電子部品の研削加工の前に、電子部品の片面に所定の深さの溝を形成し、次いで研削を行うことで電子部品を個片化する先ダイシング法、さらには、研削加工の前に、電子部品内部にレーザーを照射することで改質領域を形成し、次いで研削を行うことで電子部品を個片化する先ステルス法が知られている。
【0003】
上記のような研削工程において、電子部品を固定したり、電子部品の損傷を防止したりすることを目的として、電子部品の回路形成面を保護するための粘着性フィルムが用いられている。このような粘着性フィルムは、研削工程の後に、電子部品または個片化された電子部品から除去される。
粘着性フィルムおよび粘着性フィルムの除去方法に関する技術としては、例えば、特許文献1および特許文献2に記載のものが挙げられる。
【0004】
特許文献1には、半導体回路が形成されたウエハ表面からそのウエハ厚さよりも浅い切込み深さの溝を形成し、その後上記半導体ウエハの裏面研削をすることでウエハの厚みを薄くするとともに、最終的には個々のチップへの分割を行なうウエハ裏面研削において用いられる半導体ウエハの表面保護シートであって、基材と、その上に形成された粘着剤層とからなり、該基材が、2層以上の構成層を有し、第1の構成層の厚みが、10~300μmであり、かつそのヤング率が3,000~30,000N/m2であり、第2の構成層の、DSCで測定したガラス転移点が70℃以下であり、前記第2の構成層が最外層として形成されてなることを特徴とする表面保護シートが記載されている。
特許文献1に記載の表面保護シートによれば、いわゆる先ダイシング法において、裏面研削中あるいは後に、一定のカーフ幅を維持でき、しかも剥離用テープの取り付けが容易な表面保護シートおよびその使用方法を提供できることが記載されている。
【0005】
特許文献2には、多数のチップに分割され、表面に保護テープが貼着されたウェハをリングフレームに転写テープを介して貼付するウェハ転写装置であって、前記保護テープが貼着されたウェハを位置決めテーブル上に載置して、縦横方向及び回転方向に位置調整して基準位置にウェハを位置決めする位置決めユニットと、前記位置決めユニットにおいて所定の基準位置に位置決めされた保護テープが貼着されたウェハを、転写テープマウントテーブル上に載置して、転写テープを該ウェハの外周部に載置されたリングフレームとウェハ裏面に同時に貼着してリングフレームと一体化する転写テープマウントユニットと、前記転写テープマウントユニットにおいてウェハ裏面に転写テープが貼着されたリングフレームと一体となったウェハを、保護テープ剥がしテーブル上に載置して、剥離テープの一端をウェハ表面側の保護テープの一端に接着して、剥離テープを引っ張ることにより保護テープをウェハ表面より剥離する保護テープ剥離ユニットとを備えることを特徴とするウェハ転写装置が記載されている。
特許文献2に記載のウェハ転写装置によれば、先ダイシングにて多数のチップに分割され保護テープが貼着されたウェハを、連続的かつ自動的に転写テープ、リングフレームに転写するとともに、保護テープを剥離してキャリアに収納可能なウェハ転写装置を提供し、それにより、薄厚ウェハ(チップ)の搬送による割れ、装置間でのキャリアなどによる搬送により損傷、割れ、キャリア内からの取り出しによるウェハ(チップ)割れを防止できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-147300号公報
【特許文献2】特開2000-68293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子部品から粘着性フィルムを除去する方法として、例えば、粘着性フィルムと剥離用テープとをヒートシールにより接着し、粘着性フィルムと剥離用テープとの接着体ごと除去する方法(以下、ヒートシール方式という)、粘着性フィルムと剥離用テープとを常温で接着し、粘着性フィルムと剥離用テープとの接着体ごと除去する方法(以下、粘着テープ方式という)等が挙げられる。
従来の粘着性フィルムでは、電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式もしくは粘着テープ方式の一方は適用できるものの、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用することができない場合があった。
【0008】
本発明は上記事情を鑑みなされたものであり、電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用することができ、さらに耐ブロッキング性が向上した粘着性フィルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下に示す粘着性フィルムおよび電子装置の製造方法が提供される。
【0010】
[1]
バックグラインド工程において電子部品の表面を保護するために用いることが可能な粘着性フィルムであって、
前記粘着性フィルムは、粘着性樹脂層(A)と、基材層と、樹脂層(B)とをこの順に備え、
前記樹脂層(B)のX線光電子分光装置により測定される酸素/炭素原子比(O/C)は、0.010以上であり、
前記樹脂層(B)のDSCにより測定される融点が65℃以上130℃以下である粘着性フィルム。
[2]
前記樹脂層(B)は、変性ポリオレフィンを含む、前記[1]に記載の粘着性フィルム。
[3]
バックグラインド工程において電子部品の表面を保護するために用いることが可能な粘着性フィルムであって、
前記粘着性フィルムは、粘着性樹脂層(A)と、基材層と、樹脂層(B)とをこの順に備え、
前記樹脂層(B)は変性ポリオレフィンを含む、粘着性フィルム。
[4]
前記樹脂層(B)のDSCにより測定される融点が65℃以上130℃以下である、前記[3]に記載の粘着性フィルム。
[5]
前記変性ポリオレフィンは、極性モノマー由来の構成単位と、オレフィン由来の構成単位とを含む共重合体であり、
前記極性モノマーは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、およびアコニット酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種を含む、前記[2]~[4]のいずれかに記載の粘着性フィルム。
[6]
前記オレフィンは、エチレン、およびプロピレンからなる群から選択される少なくとも一種を含む、前記[5]に記載の粘着性フィルム。
[7]
前記樹脂層(B)の厚みは、0.05μm以上5.00μm以下である、前記[1]~[6]のいずれかに記載の粘着性フィルム。
[8]
前記粘着性樹脂層(A)は、前記電子部品の表面に貼り付けるために設けられた層である、前記[1]~[7]のいずれかに記載の粘着性フィルム。
[9]
前記粘着性樹脂層(A)は、(メタ)アクリル系樹脂を含む、前記[1]~[8]のいずれかに記載の粘着性フィルム。
[10]
基材層は、樹脂フィルムであり、
前記樹脂フィルムを構成する樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、およびポリプロピレンからなる群から選択される少なくとも一種を含む、前記[1]~[9]のいずれかに記載の粘着性フィルム。
[11]
電子部品と、前記電子部品の表面Aに貼り合わされた粘着性フィルムと、を備える構造体を準備する工程(A)と、
前記電子部品の前記表面A側とは反対側の表面Bをバックグラインドする工程(B)と、
前記粘着性フィルムの前記樹脂層(B)側に剥離用テープを貼り付けた後に、前記電子部品から、前記粘着性フィルムと前記剥離用テープとの接着体を除去する工程(C)と、
を少なくとも備える電子装置の製造方法であって、
前記粘着性フィルムが前記[1]~[10]のいずれかに記載の粘着性フィルムである電子装置の製造方法。
[12]
前記工程(C)において、前記粘着性フィルムの前記樹脂層(B)側に剥離用テープを貼り付けるときの温度が、40℃以上250℃以下である、前記[11]に記載の電子装置の製造方法。
[13]
前記工程(C)において、前記粘着性フィルムの前記樹脂層(B)側に剥離用テープを貼り付けるときの温度が、10℃以上40℃未満である、前記[11]に記載の電子装置の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用することができ、さらに耐ブロッキング性が向上した粘着性フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の粘着性フィルムの構造の一例を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。また、数値範囲の「A~B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。また、本実施形態において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル、メタクリルまたはアクリルおよびメタクリルの両方を意味する。
なお、「本実施形態の粘着性フィルム」は、特に断りがなければ、「第1の実施形態の粘着性フィルム」および「第2の実施形態の粘着性フィルム」の両方を含む実施形態を意味する。
【0014】
[粘着性フィルム]
図1は、本実施形態の粘着性フィルムの構造の一例を模式的に示した断面図である。なお、図は簡略図で、実際の寸法比率とは一致していない。
図1に示すように、粘着性フィルム50は、粘着性樹脂層(A)20と、基材層30と、樹脂層(B)40とをこの順に備える。
【0015】
第1の実施形態の粘着性フィルムは、バックグラインド工程において電子部品の表面を保護するために用いることが可能な粘着性フィルム50であって、粘着性フィルム50は、粘着性樹脂層(A)20と、基材層30と、樹脂層(B)40とをこの順に備え、樹脂層(B)40のX線光電子分光装置により測定される酸素/炭素原子比(O/C)は、0.010以上であり、樹脂層(B)40のDSCにより測定される融点が65℃以上130℃以下である。
【0016】
前述したように、従来の粘着性フィルムでは、電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式もしくは粘着テープ方式の一方は適用できるものの、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用することができない場合があった。電子部品の製造において、粘着性フィルムを除去する条件を柔軟に選択できるという観点から、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用することができる粘着性フィルムが求められている。また、粘着性フィルムは、例えば、ロール状にして販売される場合があり、電子装置の製造において、粘着性フィルムの取り扱い性が向上するという観点から、粘着性フィルムの耐ブロッキング性の向上が求められている。
【0017】
本発明者らは、第1の実施形態の粘着性フィルムにおいて、粘着性樹脂層(A)20と、基材層30と、樹脂層(B)40とをこの順に備える粘着性フィルムであって、樹脂層(B)の酸素/炭素原子比(O/C)および樹脂層(B)40の融点が特定の数値範囲内である粘着性フィルムは、電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用することができ、さらに耐ブロッキング性が向上できることを見出した。すなわち、本発明者らは、粘着性樹脂層(A)20と、基材層30と、樹脂層(B)40とをこの順に備える粘着性フィルムにおいて、樹脂層(B)40の酸素/炭素原子比(O/C)および樹脂層(B)40の融点という尺度が、電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用することができ、さらに耐ブロッキング性が向上するための設計指標として有効であるという知見を得た。
【0018】
第2の実施形態の粘着性フィルムは、バックグラインド工程において電子部品の表面を保護するために用いることが可能な粘着性フィルム50であって、粘着性フィルム50は、粘着性樹脂層(A)20と、基材層30と、樹脂層(B)40とをこの順に備え、樹脂層(B)40は変性ポリオレフィンを含む。
【0019】
本発明者らは、第2の実施形態の粘着性フィルムにおいて、粘着性樹脂層(A)20と、基材層30と、樹脂層(B)40とをこの順に備え、樹脂層(B)40が変性ポリオレフィンを含む粘着フィルムは、電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用することができ、さらに耐ブロッキング性が向上できることを見出した。
【0020】
以下、本実施形態の粘着性フィルムの好ましい形態について説明するが、特に断りがない限り、第1の実施形態の粘着性フィルムおよび第2の実施形態の粘着性フィルムは、好ましい形態が同じであるものとする。
【0021】
粘着性フィルム50の全体の厚みは、粘着性フィルムの取り扱い性をより向上させる観点から、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは30μm以上、さらに好ましくは50μm以上、さらに好ましくは60μm以上であり、そして、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。
【0022】
粘着性フィルム50は、粘着性樹脂層(A)20と、基材層30と、樹脂層(B)40とをこの順に備えており、粘着性樹脂層(A)20と、基材層30と、樹脂層(B)40との各層が直に接していることが好ましい。
【0023】
以下、本実施形態の粘着性フィルム50を構成する各層について説明する。
【0024】
<粘着性樹脂層(A)>
粘着性樹脂層(A)20は、粘着性を有する樹脂から構成される層であり、例えば、公知の粘着剤から構成することができる。
粘着性樹脂層(A)20は、電子部品の表面に貼り付けられるために設けられた層であることが好ましい。
【0025】
粘着性樹脂層(A)20は、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、およびスチレン系樹脂等を含み、これらの中でも、接着力の調整を容易にできる観点から、(メタ)アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
【0026】
粘着性樹脂層(A)20において、(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物の単独重合体、(メタ)アクリル酸エステル化合物とコモノマーとの共重合体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル化合物は一種単独で用いてもよく、二種以上を併用して用いてもよい。
また、(メタ)アクリル系共重合体を構成するコモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、(メタ)アクリルニトリル、スチレン、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリルアマイド、メチロール(メタ)アクリルアマイド、無水マレイン酸等が挙げられる。これらのコモノマーは一種単独で用いてもよく、二種以上を併用して用いてもよい。
(メタ)アクリル系樹脂を重合させるときには、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤等を用いることができ、より具体的には、アゾ化合物、過酸化物等を用いることができる。
【0027】
粘着性樹脂層(A)20は、架橋剤を含んでいてもよい。
架橋剤としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリストールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N’-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)等のアジリジン系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリイソシアネート等のイソシアネート系化合物等が挙げられる。
【0028】
粘着性樹脂層(A)20に含まれる架橋剤の含有量は、粘着性樹脂層(A)20に含まれる樹脂の固形分の含有量を100質量部としたとき、粘着性樹脂層(A)20の耐熱性および密着性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは2.0質量部以上、さらに好ましくは3.0質量部以上であり、粘着性樹脂層(A)20の耐熱性および密着性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは15.0質量部以下、より好ましくは10.0質量部以下、さらに好ましくは7.0質量部以下、さらに好ましくは5.0質量部以下、さらに好ましくは4.0質量部以下である。
【0029】
粘着性樹脂層(A)20は、必要に応じて増粘剤、造膜剤等を適宜含んでいてもよい。粘着性樹脂層(A)20中の増粘剤、造膜剤等の含有量は適宜量である。
【0030】
粘着性樹脂層(A)20の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、そして、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。
【0031】
粘着性樹脂層(A)20は、例えば、基材層30上に粘着剤組成物からなる塗布液を塗布することにより形成することができる。
塗布方法としては、例えば、ロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法等の従来公知の塗布方法を採用することができる。乾燥条件は特に制限はないが、80~200℃の温度範囲において、10秒~10分間乾燥することが好ましい。より好ましくは、80~170℃において、15秒~5分間乾燥する。架橋剤と(メタ)アクリル系樹脂との架橋反応を十分に促進させるために、粘着剤塗布液の乾燥が終了した後、40~80℃において5~300時間程度加熱してもよい。
【0032】
<基材層>
基材層30は、粘着性フィルム50の取り扱い性、機械的特性、および耐熱性等の性能バランスをより良好にするために設けられた層である。
基材層30は特に限定されず、例えば、樹脂フィルムであってよい。
【0033】
基材層30が樹脂フィルムである場合、樹脂フィルムを構成する樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン-6、ナイロン-66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;(メタ)アクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリイミド;ポリエーテルイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルエーテルケトンからなる群から少なくとも一種を含み、機械的特性をより向上させる観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体およびポリブチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、およびポリプロピレンからなる群から選択される少なくとも一種を含むことがより好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートから選択される少なくとも一種を含むことがさらに好ましく、ポリエチレンテレフタレートを含むことがさらに好ましい。
【0034】
基材層30は、単層であっても、二種以上の層であってもよい。
また、基材層30を形成するために使用する樹脂フィルムの形態としては、
未延伸フィルムであってもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよい。
【0035】
基材層30の厚みは、粘着性フィルム50の取り扱い性をより向上させる観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上、さらに好ましくは40μm以上であり、そして、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。
【0036】
基材層30は他の層との接着性をより向上させるために、表面処理を行ってもよい。具体的には、コロナ処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理等を行ってもよい。
【0037】
<樹脂層(B)>
第1の実施形態の粘着性フィルムにおいて、樹脂層(B)40のX線光電子分光装置により測定される酸素/炭素原子比(O/C)は、0.010以上である。
第1の実施形態の粘着性フィルムにおいて、樹脂層(B)40のX線光電子分光装置により測定される酸素/炭素原子比(O/C)は、好ましくは0.015以上、より好ましくは0.020以上、さらに好ましくは0.025以上、さらに好ましくは0.030以上であり、そして、好ましくは0.100以下、より好ましくは0.080以下、さらに好ましくは0.060以下である。
第2の実施形態の粘着性フィルムにおいて、樹脂層(B)40のX線光電子分光装置により測定される酸素/炭素原子比(O/C)は特に限定されないが、好ましくは0.010以上、より好ましくは0.015以上、さらに好ましくは0.020以上、さらに好ましくは0.025以上、さらに好ましくは0.030以上であり、そして、好ましくは0.100以下、より好ましくは0.080以下、さらに好ましくは0.060以下である。
樹脂層(B)40のX線光電子分光装置により測定される酸素/炭素原子比(O/C)が上記数値範囲内であると、電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用させ、粘着性フィルムの耐ブロッキング性をさらに向上させることができるため、好ましい。
ここで、X線光電子分光装置により測定される酸素/炭素原子比(O/C)とは、実施例に記載の方法により測定される値を意味する。
樹脂層(B)40の酸素/炭素原子比(O/C)は、例えば、樹脂層(B)40を形成する樹脂を構成するモノマーの種類、モノマーの含有量等によって、調整することができる。
【0038】
第1の実施形態の粘着性フィルムにおいて、樹脂層(B)40のDSCにより測定される融点は、65℃以上130℃以下である。
第1の実施形態の粘着性フィルムにおいて、樹脂層(B)40のDSCにより測定される融点は、好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、そして、好ましくは120℃以下、より好ましくは115℃以下、さらに好ましくは110℃以下、さらに好ましくは105℃以下である。
第2の実施形態の粘着性フィルムにおいて、樹脂層(B)40のDSCにより測定される融点は特に限定されないが、好ましくは65℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは75℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、そして、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは115℃以下、さらに好ましくは110℃以下、さらに好ましくは105℃以下である。
樹脂層(B)40のDSCにより測定される融点が上記数値範囲内であると、電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用させ、粘着性フィルムの耐ブロッキング性をさらに向上させることができるため、好ましい。
ここで、DSCにより測定される融点は、実施例に記載の方法により測定される値を意味する。
樹脂層(B)40の融点は、例えば、樹脂層(B)40を形成する樹脂を構成するモノマーの種類、モノマーの含有量等によって、調整することができる。
【0039】
第1の実施形態の粘着性フィルムにおいて、樹脂層(B)40を形成する樹脂は特に限定されないが、樹脂層(B)40は、変性ポリオレフィンを含むことが好ましく、酸変性ポリオレフィンを含むことがより好ましい。
第2の実施形態の粘着性フィルムにおいて、樹脂層(B)40は、変性ポリオレフィンを含み、その中でも、酸変性ポリオレフィンを含むことが好ましい。
樹脂層(B)40は、変性ポリオレフィンを含むことにより、電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用させ、粘着性フィルムの耐ブロッキング性をさらに向上させることができるため、好ましい。
なお、本実施形態の変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンに任意の官能基を導入したポリオレフィンのことを意味する。
【0040】
樹脂層(B)40を形成する変性ポリオレフィンは、極性モノマー由来の構成単位と、オレフィン由来の構成単位とを含む共重合体であることが好ましい。
極性モノマー由来の構成単位において、極性モノマーは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、およびアコニット酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、マレイン酸、およびマレイン酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種を含むことがより好ましく、マレイン酸を含むことがさらに好ましい。
オレフィン由来の構成単位において、オレフィンは、エチレン、およびプロピレンからなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0041】
樹脂層(B)40は、樹脂以外に、必要に応じて増粘剤、造膜剤等を適宜含んでいてもよい。樹脂層(B)40中の増粘剤、造膜剤等の含有量は適宜量である。
【0042】
樹脂層(B)40の厚みは、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.10μm以上、さらに好ましくは0.20μm以上、さらに好ましくは0.40μm以上であり、そして、好ましくは5.00μm以下、より好ましくは3.00μm以下、さらに好ましくは2.00μm以下、さらに好ましくは1.00μm以下、さらに好ましくは0.80μm以下、さらに好ましくは0.60μm以下である。
樹脂層(B)40の厚みが上記数値範囲内であると、電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用させ、粘着性フィルムの耐ブロッキング性をさらに向上させることができるため、好ましい。
【0043】
電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用させ、粘着性フィルムの耐ブロッキング性をさらに向上させる観点から、樹脂層(B)40は、粘着性フィルム50の最外層に設けられていることが好ましい。
【0044】
樹脂層(B)40は、例えば、基材層30上に、接着剤組成物からなる塗布液を塗布することにより形成することができる。
塗布方法としては、例えば、ロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法等の従来公知の塗布方法を採用することができる。乾燥条件は特に制限はないが、80~200℃の温度範囲において、10秒~10分間乾燥することが好ましい。より好ましくは、80~170℃において、15秒~5分間乾燥する。
【0045】
<その他の層>
粘着性フィルム50は、粘着性樹脂層(A)20と、基材層30と、樹脂層(B)40とをこの順に備えていれば、その他の層を備えてもよく、例えば、各層の間に接着層を設けてもよい。各層の間に接着層を設けると、各層の間の接着性を向上させることができる。
【0046】
[粘着性フィルムの製造方法]
本実施形態の粘着性フィルム50の製造方法の一例について説明する。
まず、基材層30の一方の面に、接着剤組成物からなる塗布液を塗布、乾燥することによって、樹脂層(B)40を形成する。次に、基材層30の他方の面に、粘着剤組成物からなる塗布液を塗布、乾燥することによって、粘着性樹脂層(A)20を形成することにより、粘着性フィルム50が得られる。
【0047】
[電子装置の製造方法]
本実施形態の電子装置の製造方法について説明する。
本実施形態の電子装置の製造方法は、電子部品と、前記電子部品の表面Aに貼り合わされた粘着性フィルムと、を備える構造体を準備する工程(A)と、前記電子部品の前記表面A側とは反対側の表面Bをバックグラインドする工程(B)と、前記粘着性フィルムの前記樹脂層(B)側に剥離用テープを貼り付けた後に、前記電子部品から、前記粘着性フィルムと前記剥離用テープとの接着体を除去する工程(C)と、を少なくとも備え、前記粘着性フィルムは本実施形態の粘着性フィルムである。
【0048】
本実施形態の電子装置とは、例えば、半導体装置、パワー半導体装置、半導体チップ、半導体素子、プリント配線基板、電気回路ディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術が適用された素子、デバイス、最終製品等を包含する意味である。
本実施形態の電子装置は、好ましくは半導体装置である。
【0049】
以下、本実施形態の電子装置の製造方法の各工程について説明する。
【0050】
<工程(A)>
工程(A)は、電子部品と、前記電子部品の表面Aに貼り合わされた粘着性フィルム50と、を備える構造体を準備する。
【0051】
本実施形態の電子部品とは、例えば、半導体ウエハ、サファイア基板、タンタル酸リチウム基板、モールドウエハ、モールドパネル、モールドアレイパッケージ、半導体基板等が挙げられ、好ましくは半導体ウエハである。
半導体ウエハは、例えば、シリコンウエハ、サファイアウエハ、ゲルマニウムウエハ、ゲルマニウム-ヒ素ウエハ、ガリウム-リンウエハ、ガリウム-ヒ素-アルミニウムウエハ、ガリウム-ヒ素ウエハ、タンタル酸リチウムウエハ等が挙げられるが、シリコンウエハが好ましい。
【0052】
本実施形態の電子部品の表面Aは、例えば、回路が形成されていてもよいし、バンプ電極等を有することにより、凹凸面となっていてもよい。
バンプ電極は、例えば、電子装置を実装面に実装する際に、実装面に形成された電極に対して接合されて、電子装置と実装面(プリント基板等の実装面)との間の電気的接続を形成するものである。
バンプ電極としては、例えば、ボールバンプ、印刷バンプ、スタッドバンプ、めっきバンプ、ピラーバンプ等が挙げられる。すなわち、バンプ電極は、通常凸電極である。これらのバンプ電極は1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
バンプ電極の高さおよび径は特に限定されないが、それぞれ、好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上、そして、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。その際のバンプピッチにおいても特に限定されないが、好ましくは20μm以上、より好ましくは100μm以上、そして、好ましくは600μm以下、より好ましくは500μm以下である。
また、バンプ電極を構成する金属種は特に限定されず、例えば、はんだ、銀、金、銅、錫、鉛、ビスマス及びこれらの合金等が挙げられるが、粘着性フィルム50はバンプ電極がはんだバンプの場合に好適に用いられる。これらの金属種は1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0053】
電子部品の表面Aに貼り合わされた粘着性フィルム50を備える構造体は、粘着性フィルム50の粘着性樹脂層(A)20が、電子部品の表面A側に位置するように貼り合わされた構造体であることが好ましい。
【0054】
電子部品の表面Aと、粘着性フィルム50とを貼り合わせる方法は特に限定されないが、公知の方法で貼り合わせることができる。例えば、人手により行ってもよいし、ロール状の粘着性フィルム50を取り付けた自動貼り機と称される装置によって行ってもよい。電子部品の表面Aと、粘着性フィルム50とを貼り合わせる条件は特に限定されないが、例えば、温度:18℃~80℃、圧力:0.05MPa~1.0MPaとすることができる。
【0055】
<工程(B)>
工程(B)は、電子部品の表面A側とは反対側の表面Bをバックグラインドする。
「バックグラインドする」とは、電子部品を破損することなく、所定の厚みまで薄化加工することを意味する。例えば、研削機のチャックテーブル等に構造体を固定し、電子部品の表面A側とは反対側の表面Bを研削する。
【0056】
このような裏面研削操作において、電子部品は、厚みが所望の厚み以下になるまで研削される。研削する前の電子部品の厚みは、電子部品の直径、種類等により適宜決められ、研削後の電子部品の厚みは、得られるチップのサイズ、回路の種類等により適宜決められる。
また、電子部品がハーフカットされている、またはレーザー照射により改質層が形成されている場合、電子部品は個片化されて、チップとなる。
【0057】
裏面研削方式は特に限定されず、公知の研削方式を採用することができる。研削は、水を電子部品と砥石にかけて冷却しながら行うことができる。必要に応じて、研削工程の最後に研削水を用いない研削方式であるドライポリッシュ工程を行うことができる。
裏面研削終了後、必要に応じてケミカルエッチングが行われる。ケミカルエッチングは、弗化水素酸、硝酸、硫酸、酢酸等の単独若しくは混合液からなる酸性水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液からなる群から選ばれたエッチング液に、粘着性フィルム50を貼着した状態で電子部品を浸漬する等の方法により行われる。エッチングは、電子部品の裏面に生じた歪みの除去、電子部品のさらなる薄層化、酸化膜等の除去、電極を裏面に形成する際の前処理等を目的として行われる。エッチング液は、上記の目的に応じて適宜選択される。
【0058】
<工程(C)>
工程(C)は、粘着性フィルム50の樹脂層(B)40側に剥離用テープを貼り付けた後に、電子部品から、粘着性フィルムと剥離用テープとの接着体を除去する。
粘着性フィルム50の樹脂層(B)40側に剥離用テープを貼り付ける方法、および、電子部品から、粘着性フィルムと剥離用テープとの接着体を除去する方法は特に限定されず、例えば、公知の方法、任意の条件とすることができる。
工程(C)において用いる剥離用テープは特に限定されず、例えば、公知の剥離用テープを用いることができる。
【0059】
工程(C)の第1の好ましい態様は、粘着性フィルム50の樹脂層(B)40側に剥離用テープを貼り付けるときの温度が、例えば40℃以上250℃以下である。
工程(C)の第1の好ましい態様において、粘着性フィルム50の樹脂層(B)40側に剥離用テープを貼り付けるときの温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上、さらに好ましくは150℃以上、さらに好ましくは170℃以上であり、そして、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下である。
【0060】
工程(C)の第1の好ましい態様において、粘着性フィルム50の樹脂層(B)40側に剥離用テープを貼り付ける方法として、例えば、熱圧着機により貼り付ける方法が挙げられる。
【0061】
工程(C)の第1の好ましい態様において用いる剥離用テープは特に限定されず、例えば、公知の剥離用テープを用いることができ、具体的には、ポリプロピレンフィルム(例えば、リンテック社製、製品名:Adwill S-75C)を用いることができる。
【0062】
工程(C)の第2の好ましい態様は、粘着性フィルム50の樹脂層(B)40側に剥離用テープを貼り付けるときの温度が、例えば10℃以上40℃未満であり、好ましくは15℃以上30℃以下であり、より好ましくは20℃以上25℃以下である。
【0063】
工程(C)の第2の好ましい態様において、粘着性フィルム50の樹脂層(B)40側に剥離用テープを貼り付ける方法として、例えば、人手によって貼り付ける方法、自動貼り機と称される装置を用いて貼り付ける方法が挙げられる。
【0064】
工程(C)の第2の好ましい態様において用いる剥離用テープは特に限定されず、例えば、公知の剥離用テープを用いることができ、具体的には、日東電工社製、製品名:ELP BT-315等を用いることができる。
【0065】
<その他の工程>
本実施形態の電子装置の製造方法は、上記以外のその他の工程を有していてもよい。その他の工程としては、電子装置の製造方法において公知の方法を用いることができる。
例えば、レジスト工程、現像工程、アッシング工程、スパッタ工程、ダイシング工程、ダイボンディング工程、ワイヤボンディング工程、フリップチップ接続工程、キュア加温テスト工程、封止工程、リフロー工程等の電子部品の製造工程において一般的に行われている任意の工程等をさらに行ってもよい。
【0066】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0067】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例0068】
以下、本実施形態を、実施例等を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0069】
[粘着性樹脂層(A)用の粘着剤組成物1Aの調製]
(アクリル系樹脂エマルジョンの調製)
重合開始剤として4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド(大塚化学社製、製品名:ACVA)0.5質量部を用い、アクリル酸ブチル74質量部、メタクリル酸メチル14質量部、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル9質量部、メタクリル酸2質量部、アクリルアミド1質量部、および、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウムの水溶液(第一工業製薬社製、製品名:アクアロンHS-1025)3質量部を、脱イオン水中で70℃において8時間乳化重合させた。重合終了後、アンモニア水でpH=7に調製し、固形分濃度42.5質量%の(メタ)アクリル系樹脂エマルジョンを得た。
【0070】
(粘着剤組成物の調製)
上記(アクリル系樹脂エマルジョンの調製)において得られた固形分濃度42.5質量%の(メタ)アクリル系樹脂エマルジョン100質量部とアジリジン系架橋剤(日本触媒社製、製品名:ケミタイトPZ-33)1.44質量部、増粘剤としてアクリル系樹脂エマルジョン(三井化学東セロ社製、製品名:SJ-250)1.5質量部、造膜剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテル(三協化学社製、製品名:ブチルカルビトール)5.00質量部、および水5質量部を混合し、粘着性樹脂層(A)用の粘着剤組成物1Aを得た。
【0071】
[樹脂層(B)用の接着剤組成物の調製]
(樹脂層(B)用の接着剤組成物2Aの調製)
変性ポリオレフィンとして酸変性ポリオレフィン(ユニチカ社製、製品名:アローベースSB-1205J2)100質量部に対して、溶媒としてエタノール(富士フィルム和光純薬社製)900質量部を混合して、樹脂層(B)用の接着剤組成物2Aを得た。
【0072】
(樹脂層(B)用の接着剤組成物2Bの調製)
変性ポリオレフィンとして酸変性ポリオレフィン(ユニチカ社製、製品名:アローベースSD-1205J2)を用いた以外は、上記(樹脂層(B)用の接着剤組成物2Aの調製)と同様の方法で、樹脂層(B)用の接着剤組成物2Bを得た。
【0073】
[実施例1]
厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ユニチカ社製、製品名:エンブレットS)に樹脂層(B)用の接着剤組成物2Aを乾燥後の膜厚が0.5μmとなるように塗布した後、120℃で3分乾燥させ、積層体を得た。得られた積層体のPETフィルム側に粘着性樹脂層(A)用の粘着剤組成物1Aを乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布した後、100℃で3分間乾燥させ、粘着性フィルムを得た。すなわち、実施例1の粘着性フィルムは、粘着性樹脂層(A)(20μm)/基材層(50μm)/樹脂層(B)(0.5μm)の三層構造であり、粘着性フィルムの厚みは70.5μmである。
【0074】
[実施例2]
実施例1において、樹脂層(B)用の接着剤組成物2Aに代えて、樹脂層(B)用の接着剤組成物2Bとした以外は、実施例1に記載の方法と同様にして粘着性フィルムを得た。
【0075】
[比較例1]
厚み130μmの超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)フィルム(作新工業社製、製品名:ニューライト#13W)に粘着剤組成物1Aを乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布した後、100℃で3分乾燥させ、厚み150μmの粘着性フィルムを得た。
【0076】
[比較例2]
厚み80μmの高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム(プライムポリマー社製、製品名:HI-ZEX3300F)に粘着剤組成物1Aを乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布した後、100℃で3分乾燥させ、厚み100μmの粘着性フィルムを得た。
【0077】
[比較例3]
厚み50μmの低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム(大倉工業社製、製品名:ET-50)に粘着剤組成物1Aを乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布した後、100℃で3分乾燥させ、厚み70μmの粘着性フィルムを得た。
【0078】
[比較例4]
厚み50μmのPETフィルム(ユニチカ社製、製品名:エンブレットS)に粘着剤組成物1Aを乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布した後、100℃で3分乾燥させ、厚み70μmの粘着性フィルムを得た。
【0079】
[比較例5]
厚み50μmのPETフィルム(東レ社製、製品名:ルミラーT83)に、エチレン-酢酸ビニル共重合体(三井・ダウポリケミカル社製、製品名:EV150)が厚み195μmとなるように押出ラミネートにより接着し、厚み245μmの積層体を得た。得られた積層体のPETフィルム側に粘着剤組成物1Aを乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布した後、100℃で3分間乾燥させ、厚み265μmの粘着性フィルムを得た。
【0080】
[測定および評価]
(1)酸素/炭素原子比(O/C)の測定
実施例1、2および比較例1~5で得られた粘着性フィルムを、6mm角の四角形にカットすることで、酸素/炭素原子比(O/C)の測定用サンプルをそれぞれ得た。
酸素/炭素原子比(O/C)は、X線光電子分光装置(島津製作所社製、製品名:ESCA-3400)により測定した。まず、測定用サンプルの樹脂層(B)側が上になるようにして、カーボンテープによって、測定用サンプルを試料台に固定し、1.0×10-4Pa以下の真空条件下で30分以上保持した後、測定室へ導入した。次いで、照射電圧を10kV、照射電流を20mAに設定し測定を行った。
酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、ケイ素(Si)元素の強度より各元素の元素濃度を得た。得られた元素濃度をもとに酸素/炭素原子比(O/C)を算出した。
なお、比較例1では、測定用サンプルのUHMWPEフィルムから構成される層側が上側になるようにして、測定用サンプルを試料台に固定した。比較例2では、HDPEフィルムから構成される層側が上側になるようにして、測定用サンプルを試料台に固定した。比較例3では、LDPEフィルムから構成される層側が上側になるようにして、測定用サンプルを試料台に固定した。比較例4では、PETフィルムから構成される層側が上側になるようにして、測定用サンプルを試料台に固定した。比較例5では、エチレン-酢酸ビニル共重合体から構成される層が上側になるようにして、測定用サンプルを試料台に固定した。
【0081】
(2)DSCにより測定される融点の測定
(2-1)DSC測定用サンプルの作製
まず、以下の方法により、DSC測定用サンプルをそれぞれ作製した。
(実施例1)
接着剤組成物2AをPETフィルム(東レ社製、製品名:ルミラーS10)上に、乾燥後の膜厚が2μmとなるように塗布した後、120℃で5分乾燥させ、接着剤組成物2Aからなる薄膜を得た。次に得られた薄膜を、スパチュラを用いてPETフィルムから剥離し、実施例1のDSC測定用サンプルを得た。
(実施例2)
実施例1のDSC測定用サンプルの作製方法において、接着剤組成物2Aを接着剤組成物2Bとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2のDSC測定用サンプルを得た。
(比較例1)
超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)フィルム(作新工業社製、製品名:ニューライト#13W)を比較例1のDSC測定用サンプルとした。
(比較例2)
高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム(プライムポリマー社製、製品名:HI-ZEX3300F)を比較例2のDSC測定用サンプルとした。
(比較例3)
低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム(大倉工業社製、製品名:ET-50)を比較例3のDSC測定用サンプルとした。
(比較例4)
PETフィルム(ユニチカ社製、製品名:エンブレットS)を比較例4のDSC測定用サンプルとした。
(比較例5)
エチレン-酢酸ビニル共重合体(三井・ダウポリケミカル社製、製品名:EV150)を押出法によって製膜した厚み500μmの単層のエチレン-酢酸ビニル共重合体フィルムを比較例5のDSC測定用サンプルとした。
【0082】
(2-2)DSCにより測定される融点の測定
融点は、示差走査型熱量計(TA Instruments社製、 製品名:Discovery DSC2500)によって測定した。DSC測定用サンプル約5mgをアルミパンの中に入れ、-40℃から200℃まで10℃/minで昇温した後(1st加熱)、10分間保持した。次いで-40℃まで10℃/minで降温し(冷却)、1分間保持した後、再度200℃まで10℃/minで昇温した(2nd加熱)。横軸に温度(単位:℃)、縦軸に熱流(単位:mW)を取った際の2nd加熱時のグラフにおいて、吸熱ピークをDSCにより測定される融点とした。
【0083】
(3)粘着フィルム貼合ウエハの作製
ポリイミドがコーティングされた6インチのミラーウエハに対して、実施例1、2および比較例1~5で得られた粘着性フィルムを、テープ貼り付け機(株式会社テクノビジョン社製、製品名:セミオートマウンターFM-3343)を用いて、ローラー圧力:0.5MPa、テーブル温度:23℃、貼り付け速度:10mm/secの条件にて貼り合わせた。なお、粘着性フィルムは、粘着性樹脂層(A)がウエハ側となるように貼り付けた。続いて、テープ貼り付け機に付属されたカッターを用いて、ウエハの外周にある余分な粘着フィルムをカッティングし、粘着フィルム貼合ウエハとした。
【0084】
(4)ヒートシール剥離試験
上記(3)で得られた粘着フィルム貼合ウエハに、剥離テープ(リンテック社製、製品名:Adwill S-75C)を、簡易型熱圧着機(大崎エンジニアリング社製)を用いて、熱圧着部をウエハの外周部からはみ出さずに、ウエハの外周部に沿うような位置とし、圧着幅:20mm、圧力:10N/49mm2、温度:190℃、時間:5sec条件にて熱圧着した。次に、剥離テープを熱圧着した粘着フィルム貼合ウエハを、ポーラスチャックテーブルに吸着させ、剥離テープをバネばかりに固定し、バネばかりとポーラスチャックテーブルとのなす角が45度となるように保ちながら剥離した。
ヒートシール剥離試験は、以下のように評価した。
A(良好):剥離テープとともに粘着性フィルムがウエハから剥がれた。
B(不良):剥離テープとともに粘着性フィルムがウエハから剥がれなかった。
【0085】
(5)粘着剥離試験
上記(3)で得られた粘着フィルム貼合ウエハに、剥離テープ(日東電工社製、製品名:ELP BT-315)を、ハンドローラーを用いて、圧着部をウエハの外周部の内側から外側にまたがるような位置とし、温度:23℃の条件にてハンドラミネートした。次に、剥離テープをハンドラミネートした粘着フィルム貼合ウエハを、ポーラスチャックテーブルに吸着させ、剥離テープをバネばかりに固定し、バネばかりとポーラスチャックテーブルとのなす角が45度となるように保ちながら剥離した。
粘着剥離試験は、以下のように評価した。
A(良好):剥離テープとともに粘着性フィルムがウエハから剥がれた。
B(不良):剥離テープとともに粘着性フィルムがウエハから剥がれなかった。
【0086】
(6)ブロッキング試験
実施例1、2および比較例1~5で得られた粘着性フィルムを、50mm×130mm角にカットした。粘着性フィルムと、ポリプロピレンセパレータ(日本マタイ社製、製品名:RS12)とを、剥離しろとして50mm×30mm角にカットした合紙を挟んだ状態で、荷重:20kg、圧力:3.92N/cm2条件にて、温度40℃設定のオーブン内で120hr保管し、ブロッキング試験用サンプルを得た。このとき、粘着性フィルムの樹脂層(B)側が、ポリプロピレンセパレータ側となるようにして、ブロッキング試験用サンプルを作製した。次に、ブロッキング試験用サンプルの剥離しろ部分を手で持ち、ポリプロピレンセパレータが地面側に向いて水平になるまでブロッキング試験用サンプルを傾けた。
なお、比較例1では、粘着性フィルムのUHMWPEフィルムから構成される層側が、ポリプロピレンセパレータ側となるようにして、ブロッキング試験用サンプルを作製した。比較例2では、HDPEフィルムから構成される層側が、ポリプロピレンセパレータ側となるようにして、ブロッキング試験用サンプルを作製した。比較例3は、LDPEフィルムから構成される層側が、ポリプロピレンセパレータ側となるようにして、ブロッキング試験用サンプルを作製した。比較例4では、PETフィルムから構成される層側が、ポリプロピレンセパレータ側となるようにして、ブロッキング試験用サンプルを作製した。比較例5では、エチレン-酢酸ビニル共重合体から構成される層が、ポリプロピレンセパレータ側となるようにして、ブロッキング試験用サンプルを作製した。
ブロッキング試験は、以下のように評価した。
A(良好):ブロッキング試験用サンプルを傾けたときに、プロピレンセパレータが自然に落下した。
B(不良):ブロッキング試験用サンプルを傾けたときに、プロピレンセパレータが自然に落下しなかった。
【0087】
実施例1、2および比較例1~5で得られた粘着性フィルムに対して、上記測定および評価をそれぞれ行った結果を、表1に示す。
【0088】
【0089】
表1より、実施例の粘着性フィルムは、ヒートシール剥離試験、粘着剥離試験、およびブロッキング試験のいずれも、評価が良好であることが分かる。すなわち、本実施形態の粘着性フィルムによれば、電子部品から粘着性フィルムを除去する際に、ヒートシール方式および粘着テープ方式の両方式を適用することができ、さらに耐ブロッキング性が向上した粘着性フィルムを得ることが理解できる。