(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126168
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】フレキシブル管用継手
(51)【国際特許分類】
F16L 33/00 20060101AFI20240912BHJP
F16L 21/08 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F16L33/00 B
F16L21/08 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034385
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000231121
【氏名又は名称】日本継手株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 充志
(72)【発明者】
【氏名】成田 和央
(72)【発明者】
【氏名】岸本 裕司
(72)【発明者】
【氏名】磯部 諒
【テーマコード(参考)】
3H015
3H017
【Fターム(参考)】
3H015JA02
3H017CA03
(57)【要約】
【課題】 外径と長さとを抑え、かつ、フレキシブル管への接続の困難さを抑え得るフレキシブル管用継手を提供する。
【解決手段】 フレキシブル管用継手10は、継手本体20、リテーナ24、および、押輪26を備える。リテーナ24が、引掛部94と固定部96とを有する。引掛部94は、フレキシブル管300の外周面に引っ掛かる。固定部96には引掛部94が固定される。固定部96が、筒部110と筒接続部112とを有する。筒部110には引掛部94が収容される。筒接続部112は引掛部94を筒部110へ接続する。筒部110が、筒本体部120と潤滑物質含有部122とを有している。潤滑物質含有部122は、筒本体部120の外周のうち次に述べられる箇所に配置される。その箇所は、リテーナ24が継手本体20内に進入し収容されるとき継手本体20内に接触し得る箇所である。潤滑物質含有部122は、潤滑物質を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手本体、前記継手本体内に進入し収容されるリテーナ、および、前記継手本体内に進入する押輪を備え、
前記継手本体内にフレキシブル管が進入すると前記継手本体と前記フレキシブル管の外周との間をシールするフレキシブル管シール材と、
前記継手本体内に前記押輪が進入すると前記押輪が前記継手本体内から抜け落ちることを防止する抜止体とをさらに備え、
前記継手本体が、
前記フレキシブル管の進入口と、
前記リテーナが配置され、かつ、前記進入口を介して前記継手本体の外に連通する前記フレキシブル管の進入路とを有し、
前記リテーナが、前記フレキシブル管が貫通する貫通空間を取囲み、かつ、前記フレキシブル管が前記貫通空間を貫通すると前記フレキシブル管が前記貫通空間から後退し抜けることを防止し、
前記押輪が、前記リテーナが前記フレキシブル管ごと前記継手本体内から抜け落ちることを防止し、
前記リテーナが、
前記貫通空間を取囲み、前記フレキシブル管が前記貫通空間を貫通すると前記フレキシブル管の外周に引っ掛かる引掛部と、
前記引掛部が固定される固定部とを有し、
前記固定部が、
前記引掛部が収容される筒部と、
前記引掛部を前記筒部へ接続する筒接続部とを有するフレキシブル管用継手であって、
前記継手本体の前記進入路が、
前記進入口から離れるにつれ窄まるシール材引込テーパ部と、
前記継手本体の外から見て前記シール材引込テーパ部の奥に前記シール材引込テーパ部に連なるように配置され、前記フレキシブル管の外周に嵌められた前記フレキシブル管シール材が前記フレキシブル管と共に進入すると前記フレキシブル管シール材を収容するシール材密着部とを有しており、
前記筒部が、
前記筒接続部に連なる筒本体部と、
前記筒本体部の外周のうち前記リテーナが前記継手本体内に進入し収容されるとき前記継手本体内に接触し得る箇所に配置され潤滑物質を含む潤滑物質含有部とを有していることを特徴とするフレキシブル管用継手。
【請求項2】
前記潤滑物質が固体潤滑材であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル管用継手。
【請求項3】
前記固体潤滑材が膨張黒鉛であることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブル管用継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブル管用継手に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はフレキシブル管用継手を開示する。このフレキシブル管用継手は、継手本体と弾性変形可能なシール材とを備える。シール材は継手本体内に収容される。継手本体内にはフレキシブル管が挿入される。フレキシブル管の外周部には円周方向全周に延びる山部と谷部とが管軸方向へ交互に並設されている。シール材の中央には管挿入孔が形成されている。管挿入孔にフレキシブル管が挿入される。シール材は、管挿入孔に挿入されたフレキシブル管の外周面と継手本体の内周面との間をシールする。継手本体は、挿入口と第1収容部とシール材縮径案内部と第2収容部とを有する。挿入口にはフレキシブル管が挿入される。第1収容部は挿入口の奥に形成されその挿入口に連通される。シール材縮径案内部は第1収容部の挿入口とは反対側に形成される。シール材縮径案内部は第1収容部から離れるにつれ窄まる。第2収容部はシール材縮径案内部の奥に形成される。第2収容部は、フレキシブル管の先端部とこのフレキシブル管の先端部の外周のシール材とを収容する。シール材は、胴部とシール作用部とを有する。胴部は、継手本体内に収容されたフレキシブル管の先端部により第2収容部の奥へ押し込まれる。シール作用部は、胴部の第2収容部の奥への押し込みによって第2収容部の中へ引き込まれる。シール作用部は、第2収容部の中へ引き込まれる際、シール材縮径案内部によりフレキシブル管の谷部にかみ合う。シール作用部は、第2収容部の中へ引き込まれた後、第2収容部の内周とフレキシブル管の外周との間をシールする。特許文献1に開示されたフレキシブル管用継手は、フレキシブル管を容易に接続できる。
【0003】
特許文献2はフレキシブル管用継手を開示する。このフレキシブル管用継手は、継手本体、リテーナ、および、押輪を備える。リテーナは継手本体内に収容される。押輪は継手本体内に進入する。継手本体がフレキシブル管の進入口とフレキシブル管の進入路とを有する。進入路にリテーナが配置される。進入路は進入口を介して継手本体の外に連通する。リテーナが、フレキシブル管が貫通する貫通空間を取囲む。リテーナが、フレキシブル管が貫通空間を貫通するとフレキシブル管が貫通空間から後退し抜けることを防止する。押輪が、リテーナがフレキシブル管ごと継手本体内から抜け落ちることを防止する。リテーナが、複数の引掛部と、固定部とを有する。引掛部は、フレキシブル管の外周面にそれぞれ引っ掛かる。固定部には複数の引掛部が固定される。特許文献2に開示されたフレキシブル管用継手は、狭い場所に設けられているフレキシブル管への接続を容易化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-43706号公報
【特許文献2】国際公開WO2013/132585号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたフレキシブル管用継手には、外径が大きくなりやすく、かつ、長くなりやすいという問題点がある。特許文献2に開示されたフレキシブル管用継手はこの問題点を解決する。しかしながら、特許文献2に開示されたフレキシブル管用継手には、狭くない場所に設けられているフレキシブル管への接続については特許文献1に開示されたフレキシブル管用継手ほど容易でないという問題点がある。
【0006】
本発明は、この問題点を解消するためになされたものである。その目的は、外径と長さとを抑え、かつ、フレキシブル管への接続の困難さを抑え得るフレキシブル管用継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図面に基づいて本発明のフレキシブル管用継手が説明される。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためである。この欄で図中の符号を使用することには発明の内容を図示した範囲に限定する意図がない。
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、フレキシブル管用継手10は、継手本体20、リテーナ24、および、押輪26を備える。リテーナ24は継手本体20内に進入し収容される。押輪26は継手本体20内に進入する。フレキシブル管用継手10が、フレキシブル管シール材22と、抜止体28とをさらに備える。フレキシブル管シール材22は、継手本体20内にフレキシブル管300が進入すると継手本体20と継手本体20内に進入したフレキシブル管300の外周310,312との間をシールする。抜止体28は、継手本体20内に押輪26が進入すると押輪26が継手本体20内から抜け落ちることを防止する。継手本体20がフレキシブル管300の進入口54とフレキシブル管300の進入路56とを有する。進入路56にリテーナ24が配置される。進入路56は進入口54を介して継手本体20の外に連通する。リテーナ24が、フレキシブル管300が貫通する貫通空間200を取囲む。リテーナ24が、フレキシブル管300が貫通空間200を貫通するとフレキシブル管300が貫通空間200から後退し抜けることを防止する。押輪26が、リテーナ24がフレキシブル管300ごと継手本体20内から抜け落ちることを防止する。リテーナ24が、引掛部94と、固定部96とを有する。引掛部94は、貫通空間200を取囲む。引掛部94は、フレキシブル管300が貫通空間200を貫通するとフレキシブル管300の外周310,312に引っ掛かる。固定部96は、引掛部94が固定される。固定部96が、筒部110と、筒接続部112とを有する。筒部110は引掛部94が収容される。筒接続部112は引掛部94を筒部110へ接続する。継手本体20の進入路56が、シール材引込テーパ部74と、シール材密着部76とを有している。シール材引込テーパ部74は、進入口54から離れるにつれ窄まる。シール材密着部76は、継手本体20の外から見てシール材引込テーパ部74の奥にシール材引込テーパ部74に連なるように配置される。シール材密着部76は、フレキシブル管300の外周310,312に嵌められたフレキシブル管シール材22がフレキシブル管300と共に進入するとフレキシブル管シール材22を収容する。筒部110が、筒接続部112に連なる筒本体部120と、潤滑物質含有部122とを有している。潤滑物質含有部122は、筒本体部120の外周のうち次に述べられる箇所に配置される。その箇所は、リテーナ24が継手本体20内に進入し収容されるとき継手本体20内に接触し得る箇所である。潤滑物質含有部122は、潤滑物質を含む。
【0009】
本発明のある局面に従うフレキシブル管用継手10へフレキシブル管300が接続されるに先立ち、フレキシブル管300はリテーナ24が取り囲む貫通空間200を貫通させられる。次いで、そのフレキシブル管300の外周310,312をフレキシブル管シール材22がシールする。その後、リテーナ24はフレキシブル管300ごと継手本体20内に進入し収容される。これにより、フレキシブル管300の外周310,312のシールのためにシール材が継手本体20内でどこかに引き込まれる必要はなくなる。その必要がなくなるので、外径の大きなシール材を用いる必要がなくなる。引き込みに伴ってシール材がフレキシブル管300の谷部312にかみ合うことが可能となるよう継手本体20を長くする必要がなくなる。その結果、外径と長さとを抑え得るフレキシブル管用継手10が提供される。また、上述されたように、フレキシブル管用継手10への接続に先立ち、フレキシブル管300の外周310,312をフレキシブル管シール材22がシールする。これにより、リテーナ24がフレキシブル管300ごと継手本体20内に進入し収容されるに伴い、フレキシブル管シール材22も継手本体20内に進入し収容される。一方、継手本体20の進入路56が、シール材引込テーパ部74と、シール材密着部76とを有している。シール材引込テーパ部74は、進入口54から離れるにつれ窄まる。シール材密着部76は、継手本体20の外から見てシール材引込テーパ部74の奥にシール材引込テーパ部74に連なるように配置される。シール材密着部76は、フレキシブル管300の外周310,312に嵌められたフレキシブル管シール材22がフレキシブル管300と共に進入するとフレキシブル管シール材22を収容する。これにより、フレキシブル管300の進入に伴って継手本体20と継手本体20内に進入したフレキシブル管300の外周310,312との間のシールが実現することとなる。その収容の際、フレキシブル管シール材22はシール材引込テーパ部74を経由することとなる。進入口54から離れるにつれ窄まるシール材引込テーパ部74を経由するので、シール材密着部76へのフレキシブル管シール材22の進入がスムーズに進む。フレキシブル管シール材22の進入がスムーズに進むので、フレキシブル管300への接続の困難さが一層抑えられる。しかも、リテーナ24が潤滑物質含有部122を有している。潤滑物質含有部122は、リテーナ24が継手本体20内に進入し収容されるとき継手本体20内に接触し得る箇所に配置される。潤滑物質含有部122は、潤滑物質を含む。これにより、リテーナ24が継手本体20内に進入し収容されるときリテーナ24は継手本体20内をスムーズに進むことができる。そのように進むと、フレキシブル管300への接続の困難さが抑えられる。その結果、フレキシブル管300への接続の困難さを抑え得るフレキシブル管用継手10が提供される。
【0010】
また、上述された潤滑物質が固体潤滑材であることが望ましい。これにより、潤滑物質が液体である場合に比べて、時間の経過に伴い潤滑物質の流失が生じる可能性が低くなる。その可能性が低くなると、その流失に伴ってリテーナ24が継手本体20内をスムーズに進み難くなる可能性も低くなる。その結果、時間の経過に伴いフレキシブル管300への接続が困難になる可能性の低いフレキシブル管用継手10が提供される。
【0011】
また、上述された固体潤滑材が膨張黒鉛であることが望ましい。これにより、本発明のある局面に従うフレキシブル管用継手10へフレキシブル管300が接続されている際にそれらが加熱されると、その膨張黒鉛が膨張する。その膨張黒鉛が膨張すると、継手本体20とフレキシブル管300との間が塞がれる。その結果、その加熱の際に継手本体20とフレキシブル管300との隙間を流体漏れる恐れを低減させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外径と長さとを抑え、かつ、フレキシブル管への接続の困難さを抑え得るフレキシブル管用継手が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態にかかるフレキシブル管用継手の図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかる継手本体の断面図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかるリテーナの斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかる2個の引掛部が互いに対向している状態が示される斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態にかかる固定部の側面図である。
【
図6】本発明の実施形態にかかる押輪の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態にかかるフレキシブル管用継手が説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能は同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返されない。
【0015】
[構造の説明]
図1は、本実施形態にかかるフレキシブル管用継手10の図である。
図1において、フレキシブル管用継手10の一部が切り欠かれている。
図1に基づいて、本実施形態のフレキシブル管用継手10の構成が説明される。
【0016】
本実施形態にかかるフレキシブル管用継手10は、フレキシブル管300に接続されるものである。フレキシブル管300は、山部310と谷部312とを備える。山部310の表面と谷部312の表面とがフレキシブル管300の外周を構成している。本実施形態にかかるフレキシブル管300の外周は被覆層314によって覆われている。
【0017】
図1に示すように、フレキシブル管用継手10は、継手本体20と、フレキシブル管シール材22と、リテーナ24と、押輪26と、抜止体28と、外周シール材30と、防水パッキン32とを備える。
【0018】
継手本体20にフレキシブル管300の先端部分が挿入される。継手本体20には被接続体が接続される。被接続体の例はソケットである。以下の説明では、被接続体は図示されない。
【0019】
本実施形態の場合、フレキシブル管シール材22の形状は環状である。フレキシブル管シール材22の断面は円形である。フレキシブル管シール材22はゴム製である。本実施形態にかかるフレキシブル管用継手10へフレキシブル管300が接続された結果、フレキシブル管シール材22は継手本体20内に収容されることとなる。フレキシブル管シール材22は、継手本体20内にフレキシブル管300が進入すると継手本体20とフレキシブル管300の外周との間をシールする。このシールに伴い、フレキシブル管シール材22の断面形状は例えば
図1に示されるような形へ変形することとなる。
【0020】
リテーナ24は継手本体20内に進入し収容される。リテーナ24はフレキシブル管300が継手本体20から抜けることを防止する。
【0021】
押輪26の一端は、継手本体20内に進入する。押輪26はリテーナ24がフレキシブル管300ごと継手本体20から抜けることを防止する。
【0022】
抜止体28は、継手本体20内に押輪26が進入すると押輪26が継手本体20内から抜け落ちることを防止する。本実施形態の場合、抜止体28は一部が連なっていない金属製のリングである。その結果、本実施形態の場合にかかる抜止体28の形状は「C」字状となる。
図1から明らかなように、本実施形態の場合における抜止体28の断面形状は一部が扇形に切り欠かれた円形である。
【0023】
本実施形態の場合、外周シール材30の形状は環状である。外周シール材30の断面は円形である。外周シール材30はゴム製である。本実施形態にかかるフレキシブル管用継手10へフレキシブル管300が接続された結果、外周シール材30は継手本体20内に収容されることとなる。外周シール材30は、継手本体20と押輪26の外周との間をシールする。このシールに伴い、外周シール材30の断面形状は例えば
図1に示されるような形へ変形することとなる。
【0024】
本実施形態の場合、防水パッキン32は、EPDMなどで作られている。防水パッキン32の断面はT字形である。防水パッキン32は押輪26の内部に予め配置される。防水パッキン32は、押輪26の内周と被覆層314の外周との間をシールする。防水パッキン32の円周方向数箇所には、選択透過性部材が埋設されている。選択透過性部材の形状はピン状である。選択透過性部材は、気体を透過するが固体と液体とは透過しない。これにより、ガス漏れ検査が可能である。選択透過性部材は、例えば、連続多孔質膜を含む部材、あるいは連続気孔を有する多孔質体である。前者の連続多孔質膜は、四フッ化エチレン樹脂粉体を成形することによって得られる。後者の多孔質体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルアクリレートなどの熱可塑性樹脂粉体から成形することによって得られる。
【0025】
図2は、本実施形態にかかる継手本体20の断面図である。
図1および
図2に基づいて、本実施形態の継手本体20の構成が説明される。
【0026】
継手本体20の形状は筒状である。
図1に示されるように、継手本体20の外面にはナット型部50が設けられている。スパナなどの工具はナット型部50を保持することになる。
図1および
図2に示されるように、継手本体20の一端には接続部52が設けられている。接続部52に上述された被接続体が接続される。本実施形態の場合、接続部52とは雄ねじのことである。
【0027】
図2に示されるように、継手本体20の他端には、フレキシブル管300の進入口54が設けられている。継手本体20は、その内部に、進入路56と、流体路58とを有している。進入路56は進入口54を介して継手本体20の外と連通している。進入路56にリテーナ24が配置される。流体路58は進入口54から見て進入路56の奥に設けられる。流体路58の内径はフレキシブル管300の外径よりも小さい。流体路58は継手本体20の一端を介して継手本体20の外部と連通している。
【0028】
進入路56は、押輪収容部70と、リテーナ収容部72と、シール材引込テーパ部74と、シール材密着部76と、フレキシブル管先端収容部78とを有する。
【0029】
押輪収容部70は継手本体20の外から見て進入口54の奥に設けられている。本実施形態の場合、押輪収容部70は、口側押輪収容部84と、抜止体嵌込溝形成部86と、奥側押輪収容部88とを有する。
【0030】
口側押輪収容部84は進入口54に直接連なる。口側押輪収容部84は押輪26のうち基端側の一部を収容する。
【0031】
抜止体嵌込溝形成部86は継手本体20の外から見て口側押輪収容部84の奥に設けられている。抜止体嵌込溝形成部86は抜止体28が嵌まる溝を形成する。
【0032】
奥側押輪収容部88は継手本体20の外から見て抜止体嵌込溝形成部86の奥に設けられている。奥側押輪収容部88は押輪26のうち先端側の一部を収容する。
【0033】
リテーナ収容部72は継手本体20の外から見て奥側押輪収容部88の奥に設けられている。リテーナ収容部72はリテーナ24を収容する。
【0034】
シール材引込テーパ部74は継手本体20の外から見てリテーナ収容部72の奥に設けられている。シール材引込テーパ部74はリテーナ収容部72から離れるにつれ窄まっている。
【0035】
シール材密着部76は継手本体20の外から見てシール材引込テーパ部74の奥にこれに連なるように設けられている。シール材密着部76はフレキシブル管300およびこれが貫通するフレキシブル管シール材22を収容する。
【0036】
フレキシブル管先端収容部78は継手本体20の外から見てシール材密着部76の奥に設けられている。継手本体20の外から見たフレキシブル管先端収容部78の奥に流体路58が連なっている。フレキシブル管先端収容部78はフレキシブル管300の先端部を収容する。
【0037】
図3は、本実施形態にかかるリテーナ24の斜視図である。
図4は、本実施形態にかかる2個の引掛部94が互いに対向している状態が示される斜視図である。
図5は、本実施形態にかかる固定部96の側面図である。
図5において、固定部96の一部は切り欠かれている。
図3乃至
図5に基づいて、本実施形態のリテーナ24の構成が説明される。
【0038】
図3から明らかなように、リテーナ24の外形はほぼ円筒形である。リテーナ24は継手本体20の進入路56のリテーナ収容部72に収容される。リテーナ24は、2個の引掛部94と、固定部96とを有する。
【0039】
本実施形態の場合、引掛部94は金属製である。本実施形態にかかる引掛部94は、ベース部100と、2個の爪部102と、係合部104とを有する。ベース部100は半分に割られた円筒のような形状をしている。爪部102はベース部100のうち凹んでいる方の側面から突出するように設けられる。2個の爪部102は、ベース部100の中心軸250に沿って並ぶように配置される。係合部104はベース部100のうち凸となっている方の側面から突出するように設けられる。本実施形態の場合、ベース部100と2個の爪部102と係合部104とは一体である。
【0040】
固定部96は、筒部110と筒接続部112とを有する。筒部110と筒接続部112とは、引掛部94よりも弾性変形が容易である。弾性変形を容易とするため、固定部96の素材は合成樹脂であることが好ましい。本実施形態の場合、固定部96の素材は膨張黒鉛が含まれるポリエチレンである。筒部110はすべての引掛部94を収容する。筒接続部112は筒部110の内周側に配置される。これにより、筒接続部112は貫通空間200から見て引掛部94のベース部100の裏側に配置されることとなる。本実施形態の場合、筒接続部112には溝が形成されている。その溝に引掛部94の係合部104が嵌まる。これにより、筒接続部112は筒部110と引掛部94の係合部104とを連結することとなる。
【0041】
本実施形態の場合、筒部110は、次に述べる一箇所で、筒部110の中心軸252方向の一端から他端にわたって分離している。その一箇所とは、隣り合う引掛部94間に対向する箇所である。その一箇所は、複数の引掛部94間のいずれに対向していてもよい。筒接続部112の一箇所も筒部110の中心軸252方向の一端から他端にわたって分離している。その箇所とは、筒部110の分離している一箇所と同じ箇所である。この筒部110と筒接続部112との分離している箇所に力を加えると、この箇所は開く。筒部110が弾性変形するためである。この箇所に力を加えなくなると、この箇所は元通りに閉じる。この箇所が本実施形態に言う分離箇所114である。
【0042】
筒部110は、筒本体部120と、潤滑物質含有部122とを有している。筒本体部120は筒接続部112および潤滑物質含有部122の基部となる。本実施形態の場合、筒接続部112は筒部110のうち筒本体部120に連なっている。潤滑物質含有部122は筒本体部120から見て筒部110の外周面にあたる箇所に配置される。リテーナ24がリテーナ収容部72に収容されることから明らかなように、潤滑物質含有部122はリテーナ24が継手本体20内に進入し収容されるとき継手本体20内に接触し得る。上述されたように、本実施形態の場合、固定部96の素材は膨張黒鉛が含まれるポリエチレンである。これにより、潤滑物質含有部122には膨張黒鉛が含まれることとなる。膨張黒鉛は黒鉛の一種なので固体潤滑材でもある。その結果、潤滑物質含有部122は固体潤滑材を含むこととなる。
【0043】
図3および
図4から明らかなように、本実施形態の場合、リテーナ24において2個の引掛部94はそれらのベース部100のうち凹んでいる方の側面を互いに対向させるように配置される。それら2個の引掛部94は貫通空間200を取囲むように配置されることとなる。フレキシブル管300はこの貫通空間200を貫通する。本実施形態の場合、引掛部94の爪部102はフレキシブル管300の谷部312にそれぞれ嵌まる。これにより、引掛部94がフレキシブル管300の外周面に引っ掛かることとなる。それら引掛部94は固定部96に固定される。このような構造なので、リテーナ24は貫通空間200を取囲むこととなる。
【0044】
図6は、本実施形態にかかる押輪26の側面図である。
図6において、押輪26の一部は切り欠かれている。
図6に基づいて、本実施形態の押輪26の構成が説明される。押輪26の中をフレキシブル管300が貫通できる。押輪26は、環状部140と、抜止体収容溝形成部142と、押輪側シール材収容溝形成部144と、基端シール材収容溝形成部146とを有する。環状部140は、継手本体20内で、リテーナ24の筒部110に覆われる。抜止体収容溝形成部142は溝を形成する。その溝には抜止体28が嵌まる。押輪側シール材収容溝形成部144も溝を形成する。その溝には外周シール材30が嵌まる。基端シール材収容溝形成部146も溝を形成する。その溝は、フレキシブル管300の先端部分が押輪26を貫通する際にフレキシブル管300を取囲むように形成される。その溝には防水パッキン32が嵌まる。
【0045】
[接続方法の説明]
次に、本実施形態にかかるフレキシブル管用継手10にフレキシブル管300を接続する方法が説明される。
【0046】
予め継手本体20の抜止体嵌込溝形成部86が形成する溝に抜止体28が嵌められている。その際、抜止体28はその切り欠かれた部分が流体路58側に配置されるようその溝に嵌められる。この状態で作業者は押輪26の基端シール材収容溝形成部146が形成する溝に防水パッキン32を嵌めておく。
【0047】
抜止体28および防水パッキン32が嵌められると、作業者はフレキシブル管300の先端より山部310数個分(例えば5個分)の被覆層314を除去する。被覆層314の除去が完了すると、作業者はフレキシブル管300に押輪26を貫通させる。これにより、本実施形態の場合、フレキシブル管300の先端のうち3個の山部310と3個の谷部312とが押輪26の環状部140より突出する。
【0048】
次いで作業者はリテーナ24の固定部96の分離箇所114を拡げる。分離箇所114が拡がると、作業者はフレキシブル管300の先端から2番目と3番目との谷部312にリテーナ24の爪部102を嵌める。フレキシブル管300の谷部312にリテーナ24の爪部102が嵌まると、固定部96の筒部110は自ずと押輪26の環状部140を覆う。こうしてリテーナ24はフレキシブル管300に取り付けられる。この時、フレキシブル管300の先端はリテーナ24からも突出している。
【0049】
次いで作業者はフレキシブル管シール材22をフレキシブル管300の先端の谷部312に嵌める。フレキシブル管シール材22が嵌められると、作業者はフレキシブル管300をリテーナ24および押輪26ごと継手本体20の進入路56に挿入する。これに伴い押輪26の抜止体収容溝形成部142が抜止体嵌込溝形成部86の存在する位置へ到達すると、抜止体嵌込溝形成部86が形成する溝に嵌められている抜止体28は抜止体収容溝形成部142が形成する溝にも嵌まる。これにより本実施形態にかかるフレキシブル管用継手10へのフレキシブル管300の接続が完了する。
【0050】
[本実施形態にかかるフレキシブル管用継手の効果]
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかるフレキシブル管用継手10へフレキシブル管300が接続されるに先立ち、フレキシブル管300は貫通空間200を貫通させられる。そのように貫通させられるので、フレキシブル管300の外周のシールのためにシール材が継手本体20内でどこかに引き込まれる必要はなくなる。その必要がなくなるので、外径の大きなシール材を用いる必要がなくなる。引き込みに伴ってシール材がフレキシブル管300の谷部312にかみ合うことが可能となるよう継手本体20を長くする必要がなくなる。
【0051】
また、本実施形態にかかるフレキシブル管用継手10へのフレキシブル管シール材22の進入の際、フレキシブル管シール材22はシール材引込テーパ部74を経由することとなる。進入口54から離れるにつれ窄まるシール材引込テーパ部74をフレキシブル管シール材22が経由するので、シール材密着部76へのフレキシブル管シール材22の進入がスムーズに進む。フレキシブル管シール材22の進入がスムーズに進むので、フレキシブル管300への接続の困難さが一層抑えられる。
【0052】
しかも、本実施形態にかかるリテーナ24が潤滑物質含有部122を有している。潤滑物質含有部122は、リテーナ24が継手本体20内に進入し収容されるとき継手本体20内に接触し得る。潤滑物質含有部122は、潤滑物質を含む。これにより、リテーナ24が継手本体20内に進入し収容されるときリテーナ24は継手本体20内をスムーズに進むことができる。スムーズに進むことができるので、フレキシブル管300への接続の困難さが抑えられる。特に、進入路56が延びる方向とフレキシブル管300が延びる方向とが斜めに交差するようにフレキシブル管300が継手本体20内に進入するときに、継手本体20内におけるリテーナ24の進入をリテーナ24は継手本体20内をスムーズに進むことができる。その結果、本実施形態にかかるフレキシブル管用継手10によれば、進入路56が延びる方向とフレキシブル管300が延びる方向とが斜めに交差するようにフレキシブル管300が継手本体20内に進入しても、フレキシブル管300への接続の困難さが抑えられる。そのようにフレキシブル管300が進入する場合のほか、次に述べられる場合にも、リテーナ24は継手本体20内をスムーズに進むことができる。その場合とは、リテーナ24が多少押し潰されているフレキシブル管300に嵌められることに伴ってそのリテーナ24の固定部96が変形した場合である。その結果、多少押し潰されているフレキシブル管300が継手本体20内に進入しても、フレキシブル管300への接続の困難さが抑えられる。
【0053】
また、本実施形態にかかる潤滑物質含有部122が潤滑物質として含んでいるのは膨張黒鉛である。これにより、本実施形態にかかるフレキシブル管用継手10へフレキシブル管300が接続されている際に火災その他の理由でそれらが加熱されると、その膨張黒鉛が膨張する。その膨張黒鉛が膨張すると、継手本体20とフレキシブル管300との間が塞がれる。その結果、火災その他の際に継手本体20とフレキシブル管300との隙間から流体が行き来する恐れを低減させることができる。さらに、潤滑物質として膨張黒鉛が含まれていることにより、潤滑物質が液体である場合に比べて、時間の経過に伴い潤滑物質の流失が生じる可能性が低くなる。その可能性が低くなると、その流失に伴ってリテーナ24が継手本体20内をスムーズに進み難くなる可能性も低くなる。その結果、時間の経過に伴いフレキシブル管300への接続が困難になる可能性の低いフレキシブル管用継手10が提供される。
【0054】
<変形例の説明>
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよいのはもちろんである。
【0055】
例えば、上述した潤滑物質含有部122が潤滑物質として含むのは膨張黒鉛に限定されない。その潤滑物質は、膨張黒鉛のほか、ポリテトラフルオロエチレンおよび二流化モリブテンといった固体潤滑材であってもよい。その潤滑物質は、マイクロカプセルに封入された油脂などの液体潤滑剤であってもよい。そのような油脂の例にはグリースがある。
【0056】
また、潤滑物質含有部122が潤滑物質を含むための具体的態様も特に限定さない。したがって、例えば潤滑物質含有部122が潤滑物質の層からなっていてもよい。
【0057】
また、引掛部94が有する爪部102の個数は特に限定されない。例えばその数は3個以上であってもよい。フレキシブル管シール材22および外周シール材30の断面形状は円形に限定されない。リテーナ24および押輪26の具体的態様も特に限定されない。したがって、例えば固定部96は、筒部110に連なる外径が細い筒状部分を有していてもよい。その外径が細い筒状部分は、シール材密着部76に進入し得る外径であってもよい。また、例えば押輪26は環状部140を有していなくてもよい。押輪26が環状部140を有していない場合、押輪26の一部がリテーナ24内に進入しないこととなってもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…フレキシブル管用継手
20…継手本体
22…フレキシブル管シール材
24…リテーナ
26…押輪
28…抜止体
30…外周シール材
32…防水パッキン
50…ナット型部
52…接続部
54…進入口
56…進入路
58…流体路
70…押輪収容部
72…リテーナ収容部
74…シール材引込テーパ部
76…シール材密着部
78…フレキシブル管先端収容部
84…口側押輪収容部
86…抜止体嵌込溝形成部
88…奥側押輪収容部
94…引掛部
96…固定部
100…ベース部
102…爪部
104…係合部
110…筒部
112…筒接続部
114…分離箇所
120…筒本体部
122…潤滑物質含有部
140…環状部
142…抜止体収容溝形成部
144…押輪側シール材収容溝形成部
146…基端シール材収容溝形成部
200…貫通空間
250,252…中心軸
300…フレキシブル管
310…山部
312…谷部
314…被覆層