(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126175
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】集塵装置及び電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/16 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A47L9/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034394
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】品川 直子
【テーマコード(参考)】
3B062
【Fターム(参考)】
3B062AH02
(57)【要約】
【課題】塵埃の圧縮力を持続できるとともにメンテナンス性が良好な集塵装置及びこれを備えた電気掃除機を提供する。
【解決手段】傘状部302は、遠心分離部である第一分離部5の中央部に位置する第一筒状部300の一端側に第一筒状部300と隙間Gを空けて位置する。通気開口3022は、濾過機能を有し、隙間Gに連通して傘状部302に形成される。介在部303は、隙間Gの外側部に位置し、第一筒状部300と傘状部302とに亘る。通気口305は、隙間Gの外側部に位置し、隙間Gを介して通気開口3022と連通する。案内部304は、第一筒状部300の外側部に絡み付いた塵埃を傘状部302の第一筒状部300とは反対側へと案内可能とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含塵空気から塵埃を遠心分離する遠心分離部と、
前記遠心分離部の中央部に位置する筒状部と、
前記筒状部の一端側に前記筒状部と隙間を空けて位置する傘状部と、
濾過機能を有し、前記隙間に連通して前記傘状部に形成された通気開口と、
前記隙間の外側部に位置し、前記筒状部と前記傘状部とに亘る介在部と、
前記隙間の外側部に位置し、前記隙間を介して前記通気開口と連通する通気口と、
前記筒状部の外側部に絡み付いた塵埃を前記傘状部の前記筒状部とは反対側へと案内可能とする案内部と、
を備えることを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
前記案内部は、前記筒状部の外側部から、前記介在部の外側部、及び、前記傘状部の外側部に亘り、前記筒状部側から前記傘状部側へ段差状に拡大する部分を有さない形状である
ことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項3】
前記介在部は、前記隙間の外側部を覆う筒状に形成され、
前記通気口は、前記介在部に開口されている
ことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項4】
前記遠心分離部に含塵空気を導入する導入口を備え、
前記通気口は、前記導入口に対向しない位置にある
ことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項5】
前記筒状部の内部と前記傘状部の内部とを連通させる連通部を備える
ことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項6】
前記案内部は、前記筒状部の外側部の少なくとも一部と、前記介在部の外側部の少なくとも一部と、前記傘状部の外側部の少なくとも一部と、からなる
ことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか一記載の集塵装置を備える
ことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、遠心分離部を有する集塵装置及びこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機等に用いられる集塵装置として、含塵空気から粗い塵埃つまり粗塵を遠心分離する第一分離部と、第一分離部を通過した空気から細かい塵埃つまり細塵を遠心分離する第二分離部と、を備えるものが知られている。第一分離部で分離される粗塵は、限られた大きさの粗塵集積部に可能な限り多く溜められるように、圧縮されることが好ましい。そこで、第一分離部から第二分離部へと通過する気流を用いて粗塵を圧縮する集塵装置が知られている。
【0003】
例えば、第一分離部と第二分離部とを連通する筒状の通気部の下端部に拡大された傘状部材の天面に開口部を形成し、この開口部をフィルタで覆い、この開口部を介して粗塵集積部から第一分離部へと還流する気流によって、粗塵をフィルタに押し付けて傘状部材の圧縮するものがある。この場合には、メンテナンスの際に、通気部の周囲に絡み付いた塵埃をそのまま下方向に移動させても傘状部材に引っ掛かって除去することができないため、メンテナンス性が低下する。
【0004】
また、通気部の下端部に、通気部内部に連通する開口部を形成し、この開口部をフィルタで覆い、この開口部を介して第一分離部から第二分離部へと通過する気流によって粗塵をフィルタに押し付けて圧縮するものがある。この場合には、開口部を通過する気流が第一分離部から第二分離部へと流れるメインの気流であるため、フィルタが早期に目詰まりし、圧縮力が持続しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-14452号公報
【特許文献2】特許第7153708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、塵埃の圧縮力を持続できるとともにメンテナンス性が良好な集塵装置及びこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の集塵装置は、遠心分離部と、筒状部と、傘状部と、通気開口と、介在部と、通気口と、案内部と、を備える。遠心分離部は、含塵空気から塵埃を遠心分離する。筒状部は、遠心分離部の中央部に位置する。傘状部は、筒状部の一端側に筒状部と隙間を空けて位置する。通気開口は、濾過機能を有し、隙間に連通して傘状部に形成される。介在部は、隙間の外側部に位置し、筒状部と傘状部とに亘る。通気口は、隙間の外側部に位置し、隙間を介して通気開口と連通する。案内部は、筒状部の外側部に絡み付いた塵埃を傘状部の筒状部とは反対側へと案内可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の集塵装置の遠心分離部を拡大して示す縦断面図である。
【
図8】同上集塵装置を備える電気掃除機を示す斜視図である。
【
図9】第2の実施形態の集塵装置の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図6及び
図7において、1は集塵装置を示す。集塵装置1は、集塵カップ等とも呼ばれ、含塵空気から塵埃を分離して集積する。集塵装置1は、筒状、好ましくは円筒状の外観を呈し、その軸方向を長手方向として構成されている。集塵装置1は、様々な電気機器に様々な角度で適用されるが、本実施形態では、説明を明確にするために、図中に示す矢印D方向、つまり集塵装置1の長手方向の一端側又は一方側を下方として説明し、矢印U方向、つまり集塵装置1の長手方向の他端側又は他方側を上方として説明する。すなわち、本実施形態における上下方向は、あくまでも説明のために付すものであって、電気機器での集塵装置1の使用状態や使用姿勢における上下方向を限定するものではない。
【0011】
集塵装置1は、複数の部材からなる。好ましくは、集塵装置1は、互いに着脱可能な複数の部材からなる。なお、以下、「着脱可能」という文言については、基本的に工具等を用いたり過剰な外力によって一部を破壊したりすることなく標準的なユーザが手動操作により着脱できることを指すものとする。本実施形態では、集塵装置1は、長手方向に互いに着脱可能な複数の部材からなる。
【0012】
図示される例では、集塵装置1は、第一部材2と、第二部材3と、第三部材4と、からなる。第一部材2、第二部材3、及び、第三部材4は、それぞれさらに細かい部材に分解されていてもよいが、本実施形態の集塵装置1の組み立て状態において、基本的に第一部材2、第二部材3、及び、第三部材4は、それぞれが一群として一体的に用いられる部材として説明する。本実施形態では、集塵装置1は、第一部材2と第二部材3との間に第三部材4が挟み込まれて組み立て状態となる。以下、集塵装置1の組み立て状態又は使用状態とは、第一部材2、第二部材3及び第三部材4を互いに一体的に組み付けた状態を言うものとする。
【0013】
そして、集塵装置1には、少なくとも一つの遠心分離部が形成されている。本実施形態では、集塵装置1には、複数ステージの分離部が形成されている。図示される例では、集塵装置1には、含塵空気から粗い塵埃である粗塵D1を分離する第一ステージ又は上流側ステージである遠心分離部としての第一分離部5と、第一分離部5を通過した空気から細かい塵埃である細塵D2をさらに分離する第二ステージ又は下流側ステージである第二分離部6と、が形成される。さらに、集塵装置1には、第一分離部5で分離された塵埃である粗塵D1が集積される第一集積部7と、第二分離部6で分離された塵埃である細塵D2が集積される第二集積部8と、が形成される。図示される例では、第一分離部5及び第二分離部6は、それぞれ空気から塵埃を遠心分離する遠心分離部である。本実施形態においては、集塵装置1の組み立て状態で、第一分離部5を基準として、第一集積部7が第一分離部5の軸方向の一方側である下方に位置し、第二分離部6及び第二集積部8が第一分離部5の軸方向の一方側とは反対側である上方に位置するとともに、第二分離部6に対し、第二集積部8が下方に位置する。なお、第一分離部5の軸方向とは、第一分離部5における遠心分離の旋回軸の方向又はそれに平行な方向とする。以下、「平行」という文言については、完全に平行であるものに限らず、公差や誤差の範囲で略平行であるもの、実質的に平行であるものも含むものとする。また、粗塵D1とは、主として糸屑、髪の毛、綿埃等の繊維状の塵埃、砂粒等の質量が大きい塵埃を言い、細塵D2とは、主として粒子状又は粉末状で質量が小さい塵埃を言う。
【0014】
第一部材2は、カップ部、第一集塵カップ、あるいは集塵容器等とも呼ばれる。第一部材2は、筒状に形成されている。図示される例では、第一部材2は、円筒状に形成されている。第一部材2の内部に第一分離部5と第一集積部7とが配置される。本実施形態において、第一部材2は、第一分離部5と第一集積部7とを構成する部材である。集塵装置1の組み立て状態において、第一部材2の中心軸が、集塵装置1の中心軸と一致する。なお、以下、「一致」という文言については、完全に一致するものに限らず、公差や誤差の範囲内等で略一致するもの、実質的に一致するもの等も含むものとする。
【0015】
例えば、第一部材2は、円形状の底部20と、底部20の外縁部から立ち上がる側壁部21と、を有する有底円筒状である。
【0016】
底部20は、集塵装置1の最下部を構成する。底部20は、水平面に集塵装置1を載置した状態での集塵装置1の支持部となる。底部20は、円形の平板状に形成されている。
【0017】
側壁部21は、集塵装置1の下方の端部すなわち下端部側の外殻を構成する。側壁部21は、上下寸法が径寸法よりも大きい、上下方向に細長い形状となっている。側壁部21により、第一分離部5及び第一集積部7が囲まれている。すなわち、側壁部21は、第一分離部5及び第一集積部7の外壁を構成する。側壁部21の中心軸つまり第一部材2の中心軸が、第一分離部5の遠心分離の中心軸と一致する。好ましくは、側壁部21は、底部20から離れるにしたがい、つまり下方から上方に向かい、徐々に拡径されるように形成されている。
【0018】
また、第一部材2には、側壁部21に導入口22が形成されている。導入口22は、含塵空気を第一部材2の内部に位置する第一分離部5に導入する開口部である。導入口22は、集塵装置1及び第一分離部5における気流の最上流に位置する。導入口22は、側壁部21の内周面の接線方向に含塵空気を導入するように形成されている。本実施形態では、導入口22は、側壁部21の接線方向に延びるダクト状に形成されている。導入口22は、側壁部21の上下方向の中間部に位置する。図示される例では、導入口22は、側壁部21の上部寄りに位置する。
【0019】
また、本実施形態では、第一部材2には、第三部材4を支持する部材支持部24が形成されている。部材支持部24は、第三部材4が第一部材2の内部の第一分離部5及び第一集積部7に落ち込まないように支持する部分である。部材支持部24は、側壁部21の上方の端部すなわち上端部に対して段差状にさらに拡径された受け皿状に形成されている。本実施形態において、部材支持部24は、第一部材2の上端部を構成している。図示される例では、部材支持部24は、側壁部21の全周に亘り形成されている。部材支持部24の上端部は、端部開口25となっている。本実施形態では、端部開口25が第一集積部7に集積された粗塵D1を廃棄するための塵埃廃棄口として機能する。なお、塵埃廃棄口については、第一部材2の下端部に形成し、底部20により開閉可能としてもよい。
【0020】
部材支持部24には、第三部材4を第一部材2に対し周方向に位置決め及び回り止めする保持部26が形成されている。保持部26は、第一部材2の内方へと第一部材2の軸方向に対し交差又は直交する方向に突出する突出部として形成されている。
【0021】
好ましくは、第一部材2は、透明な部材により形成され、外部から内部、つまり第一分離部5及び第一集積部7の少なくとも一部が目視可能となっている。
【0022】
図1及び
図6に示される第二部材3は、第二分離部組立、あるいは分離体等とも呼ばれる。第二部材3の内部に、第二分離部6が配置される。第二部材3は、第三部材4を通じて第一部材2に少なくとも下端部側が内挿される内挿部30と、第一部材2及び第三部材4の上方であり外部に位置する部材本体部31と、を有する。
【0023】
内挿部30は、部材本体部31の下端部から下方に突出する。第一部材2に内挿された内挿部30は、第一部材2の側壁部21に対して内方に離れて、第一部材2又は側壁部21と同軸状に配置される。内挿部30は、円筒状に形成されている。内挿部30は、第一分離部5内に挿入され、内挿部30の内部の空間部が、第一分離部5からの排気部であって、第一分離部5と第二分離部6とを連通する連通部の一部として機能する。また、本実施形態において、内挿部30は、集塵装置1の組み立て状態で第一分離部5の中央部に位置し、補助的に第一分離部5の遠心分離の旋回中心を構成する。内挿部30の中心軸が、第一分離部5の遠心分離の中心軸と一致する。
【0024】
内挿部30は、円筒状の筒状部である第一筒状部300を有する。第一筒状部300は、通気部等とも呼ばれる。第一筒状部300は、第一分離部5における気流の最下流となる部分である。第一筒状部300は、上下方向において、導入口22と少なくとも一部がラップする位置にある。第一筒状部300の中心軸は、内挿部30の中心軸と一致している。
【0025】
第一筒状部300は、側面部である外周部3000が、少なくとも下端部が上端部側以下の径寸法となるように形成されている。本実施形態において、外周部3000は、下端部から上端部に向かい徐々に拡径される円筒状となっている。
【0026】
外周部3000は、最外側面が段差状の凸部を有さない滑らかな形状となっている。外周部3000の最外側面は、第一筒状部300の中心軸を中心とする円に沿う湾曲面でもよいし、第一筒状部300の中心軸を中心とする多角形の辺に沿う平面でもよい。外周部3000には、開口部3001が形成されている。開口部3001を通じて、第一分離部5から空気が流出して下流側である第二分離部6側へと流れる。開口部3001は、濾過機能を有する。本実施形態では、開口部3001は、フィルタ3002により覆われている。これに限らず、小面積の開口部3001が多数形成されることにより開口部3001自体がフィルタとして機能するように構成されていてもよい。
【0027】
外周部3000の下端部には、底面部をなす対向部3003が形成されている。対向部3003は、第一筒状部300の軸方向に対し交差又は直交する方向に延びる板状に形成されている。
【0028】
また、内挿部30は、接続部301を有する。接続部301は、集塵装置1の組み立て状態で、第一分離部5及び第一集積部7と、第二集積部8及び/又は第二分離部6と、を気密に接続する。接続部301は、第一筒状部300の上端側に位置する。接続部301は、開口部3001よりも上方の位置にある。接続部301は、第一筒状部300の外周壁から外方にフランジ状に突出している。接続部301は、第一筒状部300の全周に亘り連なる円環状に形成され、第一筒状部300と同軸状に配置されている。
【0029】
さらに、内挿部30は、傘状部302を有する。傘状部302は、シェード部等とも呼ばれる。傘状部302は、第一集積部7に集積される粗塵D1を、第一分離部5からの気流を利用して内部に圧縮する圧縮部である。また、傘状部302は、第一部材2の内部を第一分離部5と第一集積部7とに上下に概略仕切る仕切り部となっている。傘状部302は、第一筒状部300の対向部3003に対し、上下方向に隙間Gを空けて位置する。傘状部302は、集塵装置1の組み立て状態で、第一部材2の下部である底部20に上下方向に対向するとともに、底部20に対し上方に離れた位置にある。傘状部302は、第一筒状部300と同軸状であって、例えば下方が開口された有蓋円筒状つまり傘状に形成されている。すなわち、傘状部302は、第一筒状部300側である上側に位置する天井部3020と、天井部3020の外縁部から下方に延出する円筒状の外壁部3021と、を一体的に有する。
【0030】
天井部3020は、傘状部302の軸方向に対し交差又は直交する方向に延びる板状に形成されている。天井部3020の上部は隙間Gに面し、この隙間Gを介して第一筒状部300の対向部3003に対向する。天井部3020は、円形状に形成されている。天井部3020の径寸法は、第一筒状部300の対向部3003以下に設定されている。本実施形態では、天井部3020の径寸法は、対向部3003より小さく設定されている。
【0031】
天井部3020には、この天井部3020を厚み方向に貫通して隙間Gに連通する通気開口3022が形成されている。通気開口3022は、濾過機能を有し、第一集積部7に集積された粗塵D1の少なくとも一部が気流によって押し付けられる。本実施形態では、通気開口3022は、傘状部302又は天井部3020の周方向に延びて形成され、フィルタ3023により覆われている。これに限らず、小面積の通気開口3022が多数形成されることにより通気開口3022自体がフィルタとして機能するように構成されていてもよい。例えば、
図5に示すように、通気開口3022は、傘状部302又は天井部3020の周方向に複数、互いに離れて形成されている。図示される例では、通気開口3022は、傘状部302又は天井部3020の周方向に4つ形成されている。
【0032】
図1に示すように、本実施の形態において、天井部3020には、連通部3024がさらに形成されている。連通部3024は、傘状部302の内部と第一筒状部300の内部とを連通させる部分である。連通部3024は、円筒状に形成され、天井部3020から第一筒状部300に向かって上方に突出している。連通部3024の上端部は、対向部3003に開口された開口部30030に下方から挿入されて第一筒状部300の内部に位置する。連通部3024の周囲に、隙間Gが位置する。つまり、連通部3024の外周面と、第一筒状部300の対向部3003と、傘状部302の天井部3020と、の間に隙間Gがある。本実施形態では、連通部3024の外周面と、第一筒状部300の対向部3003と、傘状部302の天井部3020と、介在部303と、の間に隙間Gがある。連通部3024は、天井部3020すなわち傘状部302と同軸状に形成されている。連通部3024の周囲に通気開口3022が位置する。すなわち、通気開口3022は、天井部3020の外縁部寄りに形成されている。また、連通部3024の外周面は、上方に向かい徐々に縮径するように傾斜している。
【0033】
連通部3024は、第一筒状部300と同様に、第一分離部5における気流の最下流となる部分である。連通部3024の内部は、第一集積部7から第二分離部6側へと傘状部302の内部と第一筒状部300の内部とを連通させる連通開口3025となっている。連通開口3025を通じて、第一分離部5又は第一集積部7から空気が流出して下流側である第二分離部6側へと流れる。連通開口3025は、濾過機能を有する。本実施形態では、連通開口3025は、フィルタ3026により覆われている。これに限らず、小面積の連通開口3025が多数形成されることにより連通開口3025自体がフィルタとして機能するように構成されていてもよい。図示される例では、連通開口3025が通気開口3022と同一面上に位置し、フィルタ3026がフィルタ3023と同一のフィルタ体により一体的に構成されている。
【0034】
また、本実施形態では、連通部3024は、傘状部302と第一筒状部300とを連結する中央連結部である。
図5に示すように、連通部3024の上端部には、係止部30240が形成されている。係止部30240は、例えば連通部3024の上端部において、連通部3024の中心軸を基準として互いに反対側にフランジ状に突出している。係止部30240が
図1に示す第一筒状部300の対向部3003の開口部30030の縁部の上部に係止されることで、第一筒状部300と傘状部302とが互いに連結される。なお、
図5に示す例では、天井部3020の連通部3024の周囲において係止部30240を除く位置に連通開口3025が形成されている。
【0035】
外壁部3021は、傘状部302の外側部を規定する。外壁部3021は、円筒状に形成されている。外壁部3021は、少なくとも外側面が、段差状の凸部を有さない滑らかな形状に形成されている。本実施形態では、外壁部3021の外側面は、円筒面状となっている。外壁部3021は、上端部の径寸法が最小に形成されており、本実施形態では、下方に向かって徐々に拡径される円筒状となっている。
【0036】
そして、
図1及び
図6に示すように、傘状部302と第一筒状部300との間において、隙間Gの外側部に、介在部303が位置する。介在部303は、粗塵D1の隙間Gへの入り込みを阻止するガード部である。介在部303は、第一筒状部300と傘状部302とに亘り形成されている。介在部303は、第一筒状部300と傘状部302との少なくともいずれか一方と一体に形成されていてもよいし、第一筒状部300及び傘状部302と別体であってもよい。例えば、介在部303は、第一筒状部300の下端部から下方に突出していてもよいし、傘状部302の外壁部3021の上端部から上方に突出していてもよいし、第一筒状部300の下端部と傘状部302の上端部とからそれぞれ別個に突出していてもよいし、第一筒状部300の下端部と傘状部302の上端部とから突出した部分の先端部が、互いに突き当たる又は上下方向にラップされていてもよい。本実施形態では、介在部303は、第一筒状部300の外周部3000の下端部に一体に形成されている。図示される例では、介在部303は、第一筒状部300の外周部3000の下端部が対向部3003よりも下方に延出して形成されている。
【0037】
介在部303は、その外側面が段差状の凸部を有さない滑らかな形状であれば、任意の形状としてよい。本実施の形態では、介在部303は、隙間Gの外側部を覆う壁状に形成されている。図示される例では、介在部303は、第一筒状部300及び傘状部302と同軸状に配置されている。例えば、介在部303は、天井部3020の外縁部に形成された受け部30200の位置で、外壁部3021と連なっている。受け部30200は、天井部3020の外縁部の位置で下方に窪んだ凹部である。受け部30200は、必須の構成ではない。
【0038】
そして、内挿部30には、案内部304(
図1において太い二点鎖線に示す)が形成されている。案内部304は、内挿部30、特に第一筒状部300の外側部すなわち外周部3000に絡み付いた粗塵D1である髪の毛等の糸状ごみ等を、集塵装置1の非使用状態、例えばメンテナンス時に傘状部302の下方へと案内可能とするものである。本実施形態では、第一筒状部300の下端部の径寸法L1と、介在部303の上端部の径寸法L2と、が同一であり、介在部303の下端部の径寸法L3と、傘状部302の上端部の径寸法L4と、が同一又は略同一に設定されているため、
図1、
図3及び
図4に示すように、案内部304は、第一筒状部300の外側部から介在部303の外側部及び傘状部302の外側部に亘り上下方向に延びて実質的に段差状の凸部を有することなく連なる部分であり、第一筒状部300から傘状部302に向かって段差状の拡大部分、すなわち曲率が上下方向に急峻に変化する部分を有さない形状である。なお、以下、「面一」という文言については、完全に面一であるものに限らず、公差や誤差の範囲内等で略面一であるもの、実質的に面一であるもの等も含むものとする。
【0039】
案内部304は、少なくとも一部あるいは全体が面状でもよいし、少なくとも一部あるいは全体が線状でもよい。好ましくは、案内部304は、周方向に複数箇所形成され、さらに好ましくは、周方向に等配されている。
【0040】
案内部304は、第一筒状部300の外側部の少なくとも一部と、介在部303の外側部の少なくとも一部と、傘状部302の外側部の少なくとも一部と、からなっていてもよいし、これらとは別個の部材により形成されていてもよい。
【0041】
さらに、隙間Gの外側部には、この隙間Gを介して通気開口3022と連通する通気口305が形成されている。通気口305は、単数又は複数形成されている。好ましくは、通気口305は、周方向に複数等配されている。本実施形態では、通気口305は、一対形成され、内挿部30の中心軸を基準として互いに反対側に位置する。つまり、周方向に180°離れた位置にある。また、通気口305は、導入口22に対向しない位置にある。本実施形態では、通気口305は、上下方向及び周方向のそれぞれにおいて、導入口22と対向しない位置にある。図示される例では、通気口305は、導入口22の下端部よりも下方に位置するとともに、
図2に示すように、一方の通気口305は、内挿部30の中心軸を基準として導入口22と反対側にあり、他方の通気口305は、導入口22を上流端とする第一分離部5の旋回気流の下流端近傍にある。
【0042】
図1及び
図6に示すように、通気口305の上端部は、第一筒状部300の対向部3003に近接し、下端部は傘状部302の外壁部3021の上端部に近接している。本実施形態では、通気口305は、介在部303に開口されている。介在部303のうち、通気口305を除く部分が案内部304の一部を構成している。図示される例では、通気口305は、介在部303の下端部、つまり傘状部302の外壁部3021に接する部分が上方へと切り欠かれて形成されている。通気口305は、上側ほど周方向に狭くなるように形成されている。
【0043】
また、部材本体部31は、第一部材2及び第三部材4の蓋部又は第一集積部7及び第二集積部8の蓋部として機能する。部材本体部31は、内挿部30と同軸状の円筒状に形成されている。部材本体部31の径寸法は、第一部材2の最大径寸法と同等、又は、第一部材2の最大径寸法より僅かに大きく設定されている。
【0044】
本実施形態において、部材本体部31は、内挿部30の上端部と連なって形成された底面部310を有する。
図3に示すように、底面部310は、円形板状に形成され、内挿部30の上端部の全周から外方へとフランジ状に延びている。底面部310の外縁部寄りの位置には、底面部310から上方に立ち上がる円筒状の側面部311が形成され、側面部311の上端部の全周からさらに外方へと、フランジ部312が延びている。そして、フランジ部312の下部に、シール部313が配置されている。シール部313は、フランジ部312の全周に亘り連なる円環状であり、
図1及び
図6に示す集塵装置1の組み立て状態で、第三部材4に上下方向に圧接されることで、第二部材3と第三部材4とを、又は、第二集積部8と第三部材4の外方とを、気密にシールする。シール部313は、例えば弾性を有するエラストマあるいはシリコンゴム等により形成されている。
【0045】
また、部材本体部31は、フランジ部312の外方にカバー部314を有する。カバー部314は、部材本体部31の外殻及び集塵装置1の上端部側の外殻を構成する。カバー部314は、円筒状に形成されている。カバー部314は、上端部がフランジ部312よりも上方に延びている。
【0046】
さらに、部材本体部31は、カバー部314の上端部寄りの位置に、天面部315を有する。天面部315は、カバー部314の上端部側を覆っている。天面部315は、集塵装置1の上端部を構成する。天面部315は、円形状に形成されている。天面部315には、突起部3150が形成されている。突起部3150は、天面部315の外縁部近傍に沿って位置する円環状のリブである。天面部315の上面と突起部3150とにより、集塵装置1の下流側の空間部が囲まれている。
【0047】
また、部材本体部31には、底面部310、カバー部314及び天面部315により囲まれる空間部、つまり部材本体部31の内部に、第二分離部6を構成する第二筒状部316が配置されている。すなわち、集塵装置1の組み立て状態で、第一分離部5に対して上方に第二分離部6が位置する。本実施形態において、第二筒状部316は、例えば第二部材3又はカバー部314の中心軸を囲むように複数、円環状に配置されている。第二部材3又はカバー部314の中心軸は、第一部材2の中心軸及び/又は第一分離部5の中心軸及び/又は集塵装置1の中心軸とも一致する。複数の第二筒状部316により囲まれる部材本体部31の内部の空間部が、内挿部30の内部の空間部と連通する風路部317となっている。風路部317は、内挿部30の内部の空間部とともに、第一分離部5と第二分離部6とを連通する連通部の一部として機能する。
【0048】
第二筒状部316は、分離筒等とも呼ばれる。第二筒状部316は、筒状、好ましくは円筒状に形成されている。図示される例では、第二筒状部316は、下端部が小径で上端部が大径の截頭円錐状又は円錐台状に形成されている。
【0049】
第二筒状部316には、第一分離部5を通過した含塵空気を第二分離部6に導入する導入開口部3160が形成されている。導入開口部3160は、風路部317から空気を各第二筒状部316内に分配する分配開口部である。導入開口部3160は、第二分離部6における気流の最上流に位置する。導入開口部3160は、第二筒状部316の内周面の接線方向に含塵空気を導入するように形成されている。
【0050】
また、第二筒状部316は、内部で分離された塵埃、つまり細塵を下端部から排出する。すなわち、第二筒状部316の下端部は、細塵を第二集積部8に排出する塵埃排出口となっている。第二筒状部316の下端部は、底面部310に開口された開口部3100(
図4に示す)に対し上方から挿入されているため、塵埃排出口が底面部310の下部に露出している。塵埃排出口は、集塵装置1の組み立て状態で、第二集積部8の上方に対向して位置する。
【0051】
また、第二筒状部316は、細塵が分離された空気である清浄空気を上端部から排出する。すなわち、第二筒状部316の上端部の内方に、
図7に示すように、清浄空気を排出する排気口3162が形成されている。排気口3162は、集塵装置1及び第二分離部6(
図6に示す)における気流の最下流に位置する。排気口3162は、天面部315に開口されている。排気口3162は、
図6に示す第二筒状部316と同軸状に配置された排気筒部3163の上端部として形成されている。排気筒部3163は、筒状、好ましくは円筒状に形成されている。
【0052】
なお、
図7に示す排気口3162の下流側には、排気口3162から排出される空気に微細塵がごく僅かに残留している場合にその微細塵を捕集するフィルタ等が配置されていてもよい。
【0053】
また、第二部材3には、第二部材3を第一部材2又は第三部材4に対して着脱可能に組み付けるための分離体係止手段である取付部318が外側部、例えばカバー部314の外側面に設けられている。取付部318は、任意の構成としてよいが、本実施形態では、取付部318は、第二部材3を、第三部材4を上下方向に跨いで第一部材2に対して係止する係止部として構成されている。本実施形態では、取付部318は、一対設定され、集塵装置1の中心軸を基準として互いに反対側の位置に配置されている。
【0054】
また、本実施形態において、第二部材3には、集塵装置1を電気機器に対して装着するための装着部319が設けられている。装着部319は、カバー部314に形成され、上端部側がカバー部314の上端部よりも上方に突出している。装着部319は、集塵装置1の中心軸を基準として導入口22とは反対側にある。
【0055】
図1及び
図6に示される第三部材4は、集塵体、第二集塵カップ等とも呼ばれる。第三部材4の内部に、第二集積部8が配置される。第三部材4は、第一部材2の端部開口25に対し着脱可能となっている。第三部材4は、概略円筒状又は円環状に形成されている。第三部材4の中心軸は、集塵装置1の組み立て状態で、集塵装置1の中心軸と一致する。つまり、第一部材2、第二部材3及び第三部材4は、集塵装置1の組み立て状態で互いに一致する中心軸を有する。図示される例では、第三部材4は、第一部材2及び第二部材3よりも上下方向の長さが短い。
【0056】
第三部材4には、内部に第二集積部8を区画する受け部40が形成されている。受け部40の内部の第二集積部8は、円環状又は円弧状であって、上部が開口され下部が閉塞されたポケット状の凹状部となっている。集塵装置1の組み立て状態で、受け部40すなわち第二集積部8の上部の開口が、第二分離部6に対して下方に離れた位置で塵埃排出口に上下に対向している。受け部40の内壁によって、第二部材3の内挿部30が第一部材2内へと挿入される挿入開口部41が囲まれている。
【0057】
受け部40の内壁、つまり挿入開口部41の縁部には、シール部42が配置されている。シール部42は、受け部40の内壁の全周に亘り連なる円環状であり、集塵装置1の組み立て状態で、第二部材3の接続部301の下部に上下方向に圧接され、第三部材4と第二部材3との隙間を気密にシールする。シール部42は、例えば弾性を有するエラストマあるいはシリコンゴム等により形成されている。
【0058】
また、受け部40の外壁に、保持受け部43が形成されている。保持受け部43は、第一部材2の保持部26を受けて、第一部材2に対し第三部材4を周方向に保持する。保持受け部43は、保持部26と同数設定され、受け部40の外壁に凹設されている。本実施形態では、保持部26と保持受け部43とにより、第三部材4を第一部材2に係止する集塵体係止手段が構成されている。
【0059】
また、本実施形態において、第三部材4は、受け部40の上端部の全周に亘り周壁部44が連なって形成されている。周壁部44は、円筒状に形成され、集塵装置1の組み立て状態で、上下方向において、第一部材2の部材支持部24と第二部材3のカバー部314との間に位置して、集塵装置1の上下方向の中間部の外殻の一部を構成する。集塵装置1の組み立て状態で、周壁部44の上端部に対しシール部313が上下方向に圧接される。例えば、周壁部44は、第一部材2の部材支持部24の外径と略等しい外径を有し、受け部40の外壁の上端部に対して段差状に拡大されて連なっている。周壁部44と受け部40の外壁との段差部分にシール部45が配置されている。シール部45は、周壁部44及び受け部40の全周に亘り連なる円環状であり、集塵装置1の組み立て状態で、第一部材2の部材支持部24の上端部に上下方向に圧接され、第三部材4と第一部材2との隙間を、又は、第一集積部7と第一部材2の外方とを、気密にシールする。シール部45は、例えば弾性を有するエラストマあるいはシリコンゴム等により形成されている。
【0060】
そして、上記の集塵装置1が用いられる電気機器として、本実施形態では、
図8に示される電気掃除機9を例に挙げる。
図8には、電気掃除機9の例として、本体部90を把持して操作するスティック型の電気掃除機を示す。本実施形態の電気掃除機9において、本体部90には、組み立て状態の集塵装置1が、第二部材3の装着部319により着脱可能に取り付けられる。
【0061】
本体部90には、負圧により吸引力を発生させる電動送風機等の吸引源91が配置されている。吸引源91の吸引側つまり吸気流の上流側に連通して、本体部90には接続口900が形成されている。接続口900は、本体部90に装着された集塵装置1に対して排気口3162と気密に接続される。また、本体部90には、接続口900に対して離れた位置に、本体部90に装着された集塵装置1に対して導入口22と気密に接続される連通口901が形成されている。さらに、本体部90には、連通口901と連通する吸引口902が形成されている。そのため、吸引口902には、連通口901、集塵装置1、接続口900を介して、吸引源91の吸引力が作用する。吸引口902には、風路体である延長管等の直管部92、又は、風路体である吸込口体等の掃除ヘッド93が接続される。
【0062】
さらに、本体部90には、吸引源91で吸い込んだ空気を本体部90から排気するための本体排気口903が形成されている。また、本体部90には、ユーザが把持して掃除操作するための把持部904が形成されている。把持部904には、吸引源91の動作を設定するスイッチ等の設定手段94が配置される。さらに、本体部90には、吸引源91等の駆動源となる電源部95、及び、設定手段94による設定に応じて吸引源91の動作を制御する制御部96等が配置されている。電源部95は、好ましくは電気掃除機9をコードレス式とするために二次電池等の電池とするが、商用電源から電力を取るコードリール装置等を用いてもよい。
【0063】
図示される例では、本体部90は、長手状に形成され、長手方向の一端部側に吸引口902が位置し、長手方向の他端部側に本体排気口903、把持部904及び電源部95が位置して、集塵装置1が本体部90の長手方向においてこれらの間に本体部90の長手方向に沿って位置するように本体部90に装着される。
【0064】
これに限らず、電気掃除機9は、床走行型又はキャニスタ型、アップライト型、自走式の掃除ロボット等でもよい。また、集塵装置1は、自走式掃除ロボットの充電装置又はダストステーション等の電気機器に用いられてもよい。
【0065】
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
【0066】
集塵装置1を組み立てる際には、まず、第一部材2の端部開口25に第三部材4を取り付ける。本実施形態では、第三部材4は、保持受け部43を第一部材2の保持部26と位置合わせしつつ第一部材2の部材支持部24に載置する。次いで、第三部材4の挿入開口部41に第二部材3の内挿部30を挿入し、取付部318により第二部材3を第一部材2に係止する。この状態で、第三部材4のシール部45が第一部材2の上端部に圧接されるとともに、第二部材3の接続部301の下部に第三部材4のシール部42が圧接される。
【0067】
このように組み立て状態とした集塵装置1を本体部90に取り付けると、集塵装置1の導入口22が本体部90の連通口901と気密に接続され、集塵装置1の排気口3162が本体部90の接続口900と気密に接続される。そこで、吸引源91から、集塵装置1及び吸引口902に亘り連なる風路が形成される。
【0068】
電気掃除機9は、把持部904を把持したユーザが設定手段94を操作することで吸引源91の動作を設定すると、その設定に応じて制御部96が吸引源91を制御し、負圧が発生する。ユーザは、吸引口902に接続した風路体において、掃除ヘッド93を床面等の被掃除部上に載置し、把持部904により電気掃除機9の全体を前後に移動させながら、負圧を利用して掃除ヘッド93や直管部92等の風路体から塵埃を空気とともに吸い込む。
【0069】
掃除ヘッド93等から吸い込まれた含塵空気は、吸引口902から連通口901を介して導入口22を通じて集塵装置1の第一分離部5へと導入される。この導入された含塵空気は、第一部材2の側壁部21の内周面に沿って旋回する。この旋回により、塵埃のうち、特に重い塵埃である粗塵D1が第一分離部5で遠心分離される。分離された粗塵D1は、側壁部21の内周面に沿って落下し、第一部材2の内部の下部に位置する第一集積部7に集積される。
【0070】
本実施形態では、
図6の矢印に模式的に示すように、含塵空気が傘状部302の下部まで旋回し、さらに傘状部302の下部から通気開口3022へと吸い込まれることで、粗塵D1を圧縮しながら第一部材2の底部20、又は、傘状部302の内方にてフィルタ3023の下部に押し込む。
【0071】
第一分離部5を旋回する含塵空気の一部は、旋回中心にある第一筒状部300の開口部3001を通過し、その際に、塵埃の一部がフィルタ3002に捕集される。さらに、開口部3001及び連通開口3025を通過して第一分離部5から流出した含塵空気は、風路部317を上方へと通過し、導入開口部3160から第二分離部6を構成する各第二筒状部316の内部へと分配される。
【0072】
導入開口部3160から第二筒状部316の内部へと導入された含塵空気は、第二筒状部316の内周面に沿って旋回する。この旋回により、含塵空気に残留する軽い塵埃である細塵D2が第二分離部6で遠心分離されて第二筒状部316の内周面に沿って落下し、第二筒状部316の下端部の塵埃排出口から第二分離部6又は第二筒状部316の外部へと排出され、塵埃排出口の下方に位置する受け部40の内部に区画される第二集積部8に落下集積される。
【0073】
第二分離部6の第二筒状部316内を旋回する空気は、細塵D2が分離されて清浄空気となり、旋回の中心に位置する排気筒部3163から排気口3162を通じて第二分離部6及び集塵装置1から排出される。
【0074】
集塵装置1から排出された清浄空気は、
図8に示す吸引源91に吸い込まれ、吸引源91の各部等を冷却した後、本体排気口903から本体部90の外部へと排気される。
【0075】
掃除が終了し、ユーザが設定手段94を操作して吸引源91の停止を設定すると、制御部96が吸引源91を停止させる。必要に応じて、ユーザは集塵装置1を本体部90から取り外す。
【0076】
そして、取り外した集塵装置1は、まず、取付部318の操作により第一部材2に対する第二部材3の保持を解除した状態で、第二部材3を第一部材2及び第三部材4に対して上方に移動させて内挿部30を第一部材2から引き抜いて取り外すと、第三部材4が第一部材2の上端部に残留し、この状態で受け部40及び第二集積部8の上部が開放されて露出する。すなわち、第二部材3を第一部材2及び第三部材4に対して少なくとも動かすことにより、第二分離部6が分離されて第二集積部8が開放される。なお、第二分離部6の分離とは、第二分離部6を構成する第二部材3を移動や回動等させることにより、第一分離部5、第一集積部7、第二集積部8、第一部材2、第三部材4の少なくともいずれかとの相対位置や相対姿勢を変えること、及び/又は、第二分離部6を構成する第二部材3を、第一部材2及び/又は第三部材4に対して取り外すことにより分離すること、等も含む。
【0077】
そして、第三部材4を第一部材2に対して上方に持ち上げることにより、第三部材4が第一部材2から取り外される。この第三部材4の取り外しにより、第一部材2の端部開口25が開口し、第一分離部5及び第一集積部7がそれぞれ開放される。
【0078】
第一部材2の底部20上に集積された粗塵D1は、第一部材2の上下をごみ箱等の所定位置でひっくり返すことで、第一部材2の第一集積部7から端部開口25を介して廃棄される。細塵D2は、第一部材2から取り外した第三部材4の上下をごみ箱等の所定位置でひっくり返すことで、第三部材4の第二集積部8から廃棄される。
【0079】
また、内挿部30の第一筒状部300等の周囲に環状に絡み付いた粗塵である髪の毛等の糸状ごみD1aは、
図1に示すように、案内部304に沿って下方にずらしていくことで、環状を保ったまま、第一筒状部300から、介在部303、及び、傘状部302を通過し、容易に取り除くことができる。
【0080】
このように、第1の実施形態によれば、第一筒状部300の下端部と傘状部302の上端部との間に隙間Gを空け、傘状部302の第一筒状部300側である天井部3020に濾過機能を有する通気開口3022を形成するとともに、隙間Gの外側部に、隙間Gを介して通気開口3022と連通する通気口305を形成することで、第一分離部5を旋回する旋回気流が傘状部302の下端部から傘状部302の内部に入り込み、通気開口3022から隙間G及び通気口305を介して第一分離部5側へと還流することを利用して、粗塵D1をこの還流する気流によって傘状部302の天井部3020側に押し付けて圧縮する。したがって、第一筒状部300の開口部3001や傘状部302の連通部3024を介して第一分離部5から下流側へと流れるメインの気流を妨げることなく粗塵D1を圧縮できるので、開口部3001や連通部3024の目詰まりが生じにくく、塵埃の圧縮力を持続できるとともに、開口部3001や連通部3024の目詰まりに起因する吸引力の低下を抑制できる。
【0081】
そして、第一筒状部300の外側部に絡み付いた糸状ごみD1a等の塵埃を傘状部302の第一筒状部300とは反対側である下方へと案内可能とする案内部304を備えることで、掃除をしていないときには、案内部304を利用して、第一筒状部300の外側部に絡み付いた塵埃を下方にずらして容易に除去できるので、メンテナンス性が良好になるとともに、ユーザが塵埃に過剰に触れる必要がなく、衛生的である。
【0082】
案内部304を、第一筒状部300の外側部、介在部303の外側部、及び、傘状部302の外側部に亘り、第一筒状部300側から傘状部302側へ段差状に拡大する部分を有さない形状とすることで、第一筒状部300の外側部に絡み付いた塵埃を傘状部302の第一筒状部300とは反対側である下方へとずらして容易に除去できる。
【0083】
介在部303が隙間Gの外側部を覆う筒状に形成され、通気口305が、介在部303に開口されているため、旋回する含塵空気に含まれる粗塵が隙間Gに入り込んで絡み付くことを介在部303により阻止できる。
【0084】
また、通気口305が第一分離部5に含塵空気を導入する導入口22に対向しない位置にあるため、導入口22から第一分離部5に導入された含塵空気中の塵埃が通気口305に直接入り込んだり隙間Gの位置に絡み付いたりしにくくなる。
【0085】
第一筒状部300の内部と傘状部302の内部とを連通部3024によって連通させていることで、傘状部302の内部に入り込んだ旋回気流の一部が主として連通部3024から第一筒状部300の内部へと流れるメインの気流となるため、傘状部302の内部に圧縮される粗塵D1が連通部3024側に集まり、傘状部302の内部の外縁部に集まりにくくなるので、傘状部302の天井部3020の外縁部寄りに位置する通気開口3022が粗塵D1により閉塞されにくくなり、圧縮力を持続できる。
【0086】
案内部304は、第一筒状部300の外側部の少なくとも一部と、介在部303の外側部の少なくとも一部と、傘状部302の外側部の少なくとも一部と、を利用して、簡素に構成できる。
【0087】
そして、上記の集塵装置1を備えることで、粗塵D1を効率よく集積でき、かつ、メンテナンス性が良好で衛生的な電気掃除機9を提供できる。
【0088】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、
図9を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0089】
本実施形態は、介在部303及び傘状部302が、それぞれ第一筒状部300よりも小径に形成されていることにより、案内部304が、第一筒状部300から傘状部302に向かい、縮小する部分を有するものである。図示される例では、介在部303の上端部の径寸法L2が第一筒状部300の下端部の径寸法L1より小さく、傘状部302の上端部の径寸法L4が介在部303の下端部の径寸法L3より小さく設定されていることで、第一筒状部300の下端部から介在部303の上端部へと、及び、介在部303の下端部から傘状部302の上端部へと、外側部が段差状に縮小されている。図示される例では、介在部303の全体の径寸法が第一筒状部300の下端部の径寸法L1より小さく、かつ、傘状部302の全体の径寸法が介在部303の上端部の径寸法L2及び下端部の径寸法L3より小さい。
【0090】
この場合でも、案内部304が、第一筒状部300の外側部から、介在部303の外側部、及び、傘状部302の外側部に亘り、第一筒状部300側から傘状部302側へ段差状に拡大する部分を有さない部分として形成されるため、第一筒状部300の外側部に絡み付いた塵埃を下方にずらして容易に除去できるので、メンテナンス性が良好になる等、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0091】
なお、上記の各実施形態において、介在部303及び傘状部302は、例えば下方に向かって円錐台状に徐々に縮径されていてもよい。
【0092】
また、介在部303が隙間Gの外側部に柱状に形成され、介在部303の間が通気口305となっていてもよい。
【0093】
さらに、集塵装置1は、第一分離部5と第二分離部6とをともに遠心分離部としたが、これに限らず、第二分離部6は濾過分離部等としてもよい。つまり、第二分離部6の構成は任意である。
【0094】
また、集塵装置1は、遠心分離部である第一分離部5と第二分離部6とを備える構成としたが、少なくとも一つの遠心分離部があれば、複数ステージの分離部は必須の構成ではない。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 集塵装置
5 遠心分離部としての第一分離部
9 電気掃除機
22 導入口
300 筒状部である第一筒状部
302 傘状部
303 介在部
304 案内部
305 通気口
3022 通気開口
3024 連通部
G 隙間