(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126177
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】空気処理装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/00 20060101AFI20240912BHJP
A61L 9/18 20060101ALI20240912BHJP
F24F 8/167 20210101ALI20240912BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/18
F24F8/167
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034399
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 淳
(72)【発明者】
【氏名】貴家 学
(72)【発明者】
【氏名】稗田 正直
(72)【発明者】
【氏名】福田 直生
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CC03
4C180DD01
4C180DD03
4C180DD04
4C180EA16X
4C180EA34X
4C180EA54X
4C180HH11
4C180HH12
4C180HH15
4C180HH19
(57)【要約】
【課題】ファンを使用せずに空気の流れを生成し、空気処理効率を向上できる空気処理装置を提供する。
【解決手段】空気処理装置10は、筐体11と、フィン47と、光触媒部12と、光源13と、を備える。筐体11は、内部の処理エリア35と、処理エリア35に連通する下部側の吸気口36と、処理エリア35に連通する上部側の排気口37と、を有する。フィン47は、処理エリア35内で吸気口36と排気口37とを結ぶ空気の流通経路46に沿って配置される。光触媒部12は、処理エリア35の流通経路46に配置される。光源13は、光触媒部12に光触媒励起光を照射し、照射時に発生する熱がフィン47に伝達される。光源13の点灯に伴なって流通経路46に空気の流れが生成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の処理エリアと、前記処理エリアに連通する下部側の吸気口と、前記処理エリアに連通する上部側の排気口と、を有する筐体と;
前記処理エリア内で前記吸気口と前記排気口とを結ぶ空気の流通経路に沿って配置されるフィンと;
前記処理エリアの前記流通経路に配置される光触媒部と;
前記光触媒部に光触媒励起光を照射し、この照射時に発生する熱が前記フィンに伝達される光源と;
を備え、前記光源の点灯に伴って前記流通経路に空気の流れが生成されることを特徴とする空気処理装置。
【請求項2】
前記光触媒部は、前記フィンに光触媒が担持されて一体に形成される
ことを特徴とする請求項1記載の空気処理装置。
【請求項3】
前記光触媒部は、前記フィンとは別に構成されて前記流通経路に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の空気処理装置。
【請求項4】
前記筐体は、背面側に壁面に取り付けられる壁取付部を有する
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体内に光触媒フィルタが配置され、筐体に設けられたファンによって外部の空気を筐体内に流通させることにより、光触媒フィルタで空気を処理する空気処理装置が知られている。しかし、このようなファンを使用する場合、ファンが発生する動作音やファンの動作によって発生する振動などが騒音となることがある。
【0003】
このような騒音の発生を抑制するためにファンを使用しない空気処理装置もあるが、空気の流れが効率よく生成されず、空気処理効率が向上できにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ファンを使用せずに空気の流れを生成し、空気処理効率を向上できる空気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の空気処理装置は、筐体と、フィンと、光触媒部と、光源と、を備える。筐体は、内部の処理エリアと、処理エリアに連通する下部側の吸気口と、処理エリアに連通する上部側の排気口と、を有する。フィンは、処理エリア内で吸気口と排気口とを結ぶ空気の流通経路に沿って配置される。光触媒部は、処理エリアの流通経路に配置される。光源は、光触媒部に光触媒励起光を照射し、照射時に発生する熱がフィンに伝達される。光源の点灯に伴って流通経路に空気の流れが生成される。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の空気処理装置によれば、ファンを使用せずに空気の流れを生成し、空気処理部での空気処理効率を向上させることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態を示す空気処理装置の斜視図である。
【
図2】同上空気処理装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図3】同上空気処理装置の背面側から見た斜視図である。
【
図5】第2の実施形態を示す空気処理装置の内部構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態を、
図1ないし
図4を参照して説明する。
【0010】
なお、以下の実施形態における空気処理装置は、空気処理装置の内部に流通する空気に対して、所定の手法により、殺菌、除菌、滅菌、減菌、脱臭、消臭のいずれかの空気処理を行う装置である。そして、空気処理装置の空気処理は、殺菌処理、除菌処理、滅菌処理、減菌処理、脱臭処理、消臭処理のいずれに置き換えて解釈可能である。また、ここでの所定の手法とは、光照射、光触媒などである。光照射は、UV-C領域、UV-B領域、UV-A領域、可視光領域、赤外領域などの波長の光を照射することをいう。光触媒は、空気処理装置の内部に配設された、酸化チタンなどの光触媒に光(紫外光や可視光)を照射することで生成される活性酵素やOHラジカルによって、空気中に浮遊する菌、ウイルス、においの元などの活動を抑制したり、水と二酸化炭素に分解したりすることをいう。
【0011】
図1および
図2に空気処理装置10の外観を示し、
図3に空気処理装置10の内部構造を示し、
図4に空気処理装置10の断面図を示す。空気処理装置10は、空間である部屋に配置された机や台あるいは床などの被載置面に載置される据置タイプとして使用されたり、壁面に設置される壁掛タイプとして使用され、部屋内の空気を処理する。
【0012】
空気処理装置10は、筐体11と、この筐体11内に配置される光触媒部12および光源13と、光源13に電力を供給する図示しない電源部と、を備えている。
【0013】
筐体11は、前面側からみて左右幅方向に幅広で、前後方向の奥行が小さい直方体状に形成されている。筐体11は、前面部20と、この前面部20の左右幅方向両側の側面部21と、前面部20と反対側の背面部22と、上面部23と、底面部24と、を備えている。
【0014】
筐体11は、本体部26と、前面部20を構成するものであって本体部26の前面側に着脱可能に取り付けられる前面カバー27と、を備えている。
【0015】
前面カバー27は、例えば板金製で、本体部26の前面の上部側に配置される上部側カバー部29と、この上部側カバー部29の左右幅方向両側から本体部26の左右幅方向両側に係合する側部側カバー部30と、上部側カバー部29の下部から本体部26内に略水平に入り込むように後方に折曲される下面側カバー部31と、この下面側カバー部31から下方に折曲される下部側カバー部32と、を備えている。筐体11の内部(処理エリア35)に対向する前面カバー27の内面には、例えば白色塗装や鏡面処理などによって光反射率の高い反射面33が形成されている。なお、前面カバー27は樹脂製でもよい。
【0016】
筐体11の内部には空気を処理する内部空間である処理エリア35が形成され、下部側には外部と処理エリア35の下部側とを連通する吸気口36が形成され、上部側には外部と処理エリア35の上部側とを連通する排気口37が形成されている。
【0017】
吸気口36は、前面カバー27の上部側カバー部29の下部側に左右幅方向に沿って横長に形成される前面側吸気口38と、前面カバー27の下面側カバー部31に左右幅方向に沿って横長に形成される下面側吸気口39と、本体部26の背面部22の下部側の上下2箇所に左右幅方向に沿って横長に形成される背面側吸気口40と、を備えている。また、排気口37は、本体部26の上面部23に形成されている。なお、背面側吸気口40は、背面部22の1箇所にのみ形成されてもよい。
【0018】
2箇所の背面側吸気口40の間には、仕切壁41が配設されている。背面側吸気口40の上下の仕切壁41は処理エリア35の中央側に延設され、背面側吸気口40から吸気される空気を処理エリア35の前後方向の中央域に導くように構成されている。
【0019】
また、本体部26は、例えば金属製で、筐体11の両側の側面部21、背面部22、上面部23および底面部24を構成し、前面カバー27が着脱可能に配置される前面側が開口されている。本体部26の内部には、前面カバー26との間に処理エリア35が形成されている。
【0020】
本体部26には、処理エリア35の底部に、光源13を配置する光源配置部43が設けられている。光源配置部43の上面が上方の処理エリア35に対向され、この光源配置部43の上面の前部側に光源13が配置される。光源配置部43の前面側は、筐体11の前面側(前面部20)よりも後方に配置され、前面カバー27の下部側カバー部32が配置されて覆われる。光源配置部43の両側部は、両側の側面部21と離反され、両側の側面部21との間に隙間44が形成されている。この隙間44は、吸気口36の下面側吸気口39の一部として利用される。
【0021】
処理エリア35内には、上下方向であって吸気口36と排気口37とを結ぶ空気の流通経路46に沿って複数のフィン47が配置されている。フィン47は、最も面積の広いフィン面48が側面部21と平行となるように、処理エリア35の左右幅方向に所定の間隔を空けて並ぶように配置されている。フィン47の下部側は吸気口36(前面側吸気口38、下面側吸気口39および背面側吸気口40)の位置まで配置され、上部側は排気口37の位置まで配置されている。例えば、フィン47の下部側は、下面側カバー部31と面一となるように配置される。フィン47は、後端部が背面部22に接続され、上端部が上面部23に接続され、下端部が光源配置部43に接続され、本体部26に一体に形成されている。
【0022】
フィン47の下端部のうち、後部側が光源配置部43に接続され、前部側が光源配置部43から上方に離反されている。フィン47の下端部の前部側と光源配置部43の上面との間には光源13が配置される。光源配置部43よりも前方に突出するフィン47の下端部の前部側には、前面カバー27の下面側カバー部31および下面側吸気口39が配置される。
【0023】
フィン47の前端部は、前面カバー27の内面位置または内面近傍に配置される。そのため、前面カバー27と背面部22との間において、隣り合うフィン47の間、およびフィン47と側面部22との間に、フィン47によって仕切られた個別の領域(流通経路46)が形成される。
【0024】
本体部26の背面部22には、壁掛タイプとして設置される場合に用いられる壁面取付部50が設けられている。壁面取付部50は、例えば壁面に設置される取付金具に取り付けられる。
【0025】
なお、複数のフィン47を備えたフィンユニットを本体部26(光源配置部43を含む)とは別構成に設け、このフィンユニットを本体部26の処理エリア35に着脱可能に配置してもよい。また、本体部26は、全体が金属製でもよいが、少なくとも光源配置部43およびこの光源配置部43に接続されるフィン47が金属製であれば、他は樹脂製でもよい。
【0026】
また、光触媒部12は、フィン47を担持体とし、この担持体であるフィン47の表面に光触媒が担持されている。光触媒は、酸化チタンなどで、フィン47の表面に塗布・保持されて担持されている。光触媒は、光源13から、光触媒励起光である例えば360nmから420nmのUV-Aの波長成分の紫外領域の光、もしくは可視光を受けることで、活性酵素とOHラジカルを生成し、生成された活性酵素やOHラジカルによって、空気中のにおい成分を分解して脱臭、消臭したり、空気中に浮遊する菌、ウイルスの活動を抑制したりする。
【0027】
なお、光触媒部12は、フィン47に設けられる場合に限らず、背面部22の前面側や、前面カバー27の内面側など、処理エリア35に臨む部位の表面に設けられてもよい。
【0028】
上述のように、複数のフィン47を有するフィンユニットを別構成とする場合には、所定の稼働時間毎にフィンユニットを本体部26から取り外して洗浄することで、所定の光触媒能力を継続的に維持することが可能となる。
【0029】
また、光源13には、少なくとも光触媒部12が備える光触媒を励起させる光触媒励起光を発光する発光素子52が用いられる。光源13は、長方形の基板53と、この基板53の表面に実装された発光素子52と、基板53に設けられた配線接続部54と、を備えた発光モジュール55で構成されている。
【0030】
発光素子52には、光触媒部12に担持された光触媒を励起するための少なくとも360nmから420nmのUV-A、もしくは可視領域の波長成分の光を放射する光触媒励起LEDが用いられる。なお、光触媒励起LEDに加えて、空気を殺菌するためのピーク波長が300nm以下のUV-Cの波長成分の紫外線であって、好ましくは200~280nmの波長成分の紫外線を放射する殺菌LEDも用いてもよい。また、配線接続部54は、電源部からの配線が直接電気的に接続される配線パターンのパッドでもよいし、コネクタでもよい。
【0031】
発光素子52は、発光面にレンズ部が配置されて光を広範囲に照射することが好ましい。なお、発光素子52の封止部材である樹脂材料を光の照射方向に向ってレンズ部を形成するように凸形状とすることで、レンズ部のように機能させるように構成されていてもよい。
【0032】
光源13は、光源配置部43に配置されることにより、処理エリア35の下部側に配置される。光源13は、発光素子52が上方に向くように基板53の裏面側が光源配置部43の上面の前部側に取り付けられ、発光素子52の光触媒励起光が上方のフィン47に形成された光触媒部12に向けて照射される。光源13は、光源配置部43の上面の前部側に取り付けられることにより、処理エリア35の前後方向の中央域に配置され、処理エリア35の前後方向の広い領域において光触媒部12に光触媒励起光が照射される。
【0033】
なお、発光素子52は、隣り合うフィン47の間に少なくとも1つずつ配置してもよいし、フィン47の直下(フィン47と光源配置部43との間の空間)に配置してもよい。。この場合、フィン47の間に効率良く光を照射できるという効果や、フィン47の下端部の前部側から後部側に亘る全体が光源配置部43に接続され、光源13から光源配置部43に伝達された熱がフィン47に効率よく伝達されるという効果を得ることが可能となる。
【0034】
また、電源部は、光源配置部43の内部に配置されて光源13と電気的に接続されるか、筐体11の外部に配置されて配線によって光源13と電気的に接続される。電源部は、例えば商用交流電源などからの外部電力を、発光素子52が点灯する所定の点灯電力に変換して光源13に供給し、発光素子52を点灯させる。
【0035】
次に、空気処理装置10の動作を説明する。
【0036】
電源部から光源13の発光素子52に点灯電力が供給されることにより、発光素子52が点灯する。点灯した発光素子52の光触媒励起光は、処理エリア35のフィン47に形成された光触媒部12に照射される。
【0037】
光触媒部12では、発光素子52から、光触媒励起光である例えば360nmから420nmのUV-Aの波長成分の紫外領域の光、もしくは可視光が照射されることにより、活性酵素とOHラジカルを生成し、生成された活性酵素やOHラジカルによって、処理エリア35内を通過する空気中のにおい成分を分解して脱臭、消臭したり、空気中に浮遊する菌、ウイルスの活動を抑制したりする。
【0038】
なお、光源13が、例えばピーク波長が300nm以下のUV-Cの波長成分の紫外線であって、好ましくは200~280nmの波長成分の紫外線を発光する発光素子52をも備える場合には、その発光素子52からの紫外線が処理エリア35の空気中に照射されることにより空気が殺菌される。
【0039】
また、点灯する発光素子52が熱を発生し、この発光素子52の熱の一部が処理エリア35の空気中に放熱され、かつ、発光素子52の熱の一部が基板53から光源配置部43に伝達されるとともに、この光源配置部43の上部に接続されている複数のフィン47に伝達されて、複数のフィン47から処理エリア35の空気中に放熱され、これらによって処理エリア35の空気が暖められて温度上昇する。
【0040】
処理エリア35では、発光素子52の熱によって筐体11の内部と、外部の空気と、の間で発生した温度差で自然対流が発生し、外部の温度の低い空気が筐体11の下部側の吸気口36から処理エリア35の下部側に吸気され、処理エリア35の上部側の温度の上昇した空気が筐体11の上部側の排気口37から外部に排気され、これにより、外部の空気が処理エリア35に循環して流れる。処理エリア35に循環して流れる空気が、上述のように光触媒部12によって処理される。
【0041】
処理エリア35には、フィン47が吸気口36から排気口37に向かう通通経路46に沿って配置されているため、および、フィン47が吸気口36から排気口37に亘って配置されるため、自然対流による空気の流れが整流されるとともに、煙突効果の作用が働き、処理エリア35に対する空気の循環が促進され、空気処理効率が向上される。
【0042】
前面カバー27と背面部22との間において、隣り合うフィン47の間、およびフィン47と側面部22との間に、フィン47によって仕切られた個別の領域(流通経路46)が形成されるため、煙突効果の作用が働き、処理エリア35に対する空気の循環が促進され、空気処理効率が向上される。
【0043】
また、光源配置部43からフィン47の下部側に伝達された熱は、上方に伝播されやすいため、フィン47の下部側から上部側に向かって多く伝達されていく。そのため、フィン47からは背面部22に熱が伝達されるものの、フィン47の方が背面部22よりも温度が高く、温度差がある。処理エリア35に配置されたフィン47の温度が高いことにより、処理エリア35で発生する自然対流の作用が増加され処理エリア35に対する空気の循環が促進され、空気処理効率が向上される。
【0044】
また、吸気口36においては、前面側吸気口38、下面側吸気口39、背面側吸気口40(据置タイプで載置されて背面側に空間がある場合)の3箇所から吸気される。そのため、処理エリア35の広い領域に空気が流れて処理される。さらに、下面側吸気口39は、筐体11の前面部20よりも筐体11の前後方向の中央側に配置されるため、下面側吸気口39から吸気される空気が処理エリア35の前後方向の中央域に流れやすく、光触媒部12に対する光源13からの光触媒励起光の照射方向であって照射強度の高い領域に流れやすく、空気が光触媒部12によって有効に処理される。さらに、背面側吸気口40の間の仕切壁41が処理エリア35の前後方向の中央域に向けて突出されているため、背面吸気口40から吸気される空気は、仕切壁41によって処理エリア35の前後方向の中央域に導かれ、光触媒部12に対する光源13からの光触媒励起光の照射方向であって照射強度の高い領域に流れやすく、空気が光触媒部12によって有効に処理される。
【0045】
このように、空気処理装置10によれば、筐体11の処理エリア35に光触媒部12および発光素子52を配置しているため、ファンを使用せずに、自然対流によって処理エリア35に循環する空気の流れを生成し、光触媒部12での空気処理効率を向上させることができる。
【0046】
処理エリア35には、フィン47が吸気口36から排気口37に向かう通通経路46に沿って配置されているため、自然対流による空気の流れが整流され、処理エリア35に対する空気の循環が促進され、空気処理効率が向上される。
【0047】
フィン47には発光素子52からの熱が伝達されるため、フィン47からの放熱によって処理エリア35の空気を効果的に暖め、自然対流の作用を増加させて処理エリア35に対する空気の循環を促進し、空気処理効率を向上できる。
【0048】
また、光触媒部12は、フィン47を担持体とし、このフィン47に光触媒を担持して一体に形成されているため、空気の流れの抵抗となることなく配置でき、空気処理効率を向上させることができる。
【0049】
また、前面カバー27の内面側に反射面33が形成されているため、光源13からの光触媒励起光を光触媒部12に反射させて光触媒作用を促進させることができる。
【0050】
また、発光素子52が発熱源となるため、光触媒部12を有効化して空気を処理できるとともに自然対流を発生させることができ、しかも、別の発熱源が必要なく、空気処理装置10を小形に構成できる。
【0051】
なお、筐体11の外郭は樹脂製とし、処理エリア35に位置する部材は金属製とし、発光素子52の熱が筐体11の外郭に伝わりにくくすることで、処理エリア35の位置する金属部材の温度を高くし、自然対流の作用が増加するようにしてもよい。
【0052】
また、光源13は、処理エリア35の上部側に配置し、下方へ向けて光を照射すようにしてもよい。
【0053】
【0054】
光触媒部12は、フィン47とは別体に構成されて処理エリア35の流通経路46に配置される光触媒体である光触媒フィルタ60によって構成されている。第2の実施形態においては、フィン47自体には光触媒は担持されていなくてもよい。
【0055】
本体部26には、複数のフィン47の前部側の一部が切り欠かれて光触媒部12が前方から着脱可能に装着される装着部61が設けられている。装着部61は、フィン47の上下方向の中間部で、上下方向の中間位置よりも上側寄り位置に設けられている。装着部61に装着される光触媒フィルタ60は、筐体11の下部側の吸気口36と上部側の排気口37との間で、処理エリア35およびフィン47の前後方向の中央域に配置される。
【0056】
光触媒フィルタ60は、平板状の担持体62と、この担持体62の表面に担持された光触媒と、を備えている。担持体62には、厚み方向に貫通する複数の通気孔63が形成されている。光触媒フィルタ60は、処理エリア35の装着部61に装着され、厚み方向が筐体11の前後方向を向くように処理エリア35の中央域に縦置き配置される。これにより、光触媒フィルタ60は、厚み方向の最も面積の広い面が、空気が流れる方向である通路経路46に沿って配置されている。
【0057】
仮に、光触媒フィルタ60の厚み方向の最も面積の広い面が、空気が流れる方向である通路経路46を横切るように水平に配置された場合、光触媒フィルタ60には通気孔63が存在しても、自然対流による空気の流れでは通気孔63を通過しにくく、処理エリア35の上部側の排気口37に蓋をする状況となり、下面側吸気口39から吸気された空気が前面側吸気口38や背面側吸気口40から外部に排気されるようになり、空気の処理能力が低下する。
【0058】
そのため、光触媒フィルタ60は、厚み方向の最も面積の広い面が、空気が流れる方向である通路経路46に沿って配置されることにより、処理エリア35における吸気口36から排気口37への空気の流通性を確保し、空気の処理能力を向上できる。
【0059】
なお、担持体62は、通気孔63を備えていない平板でもよく、また、表面には処理エリア35を自然対流によって流れる空気の流れに沿って複数の突条を設けて空気を処理する表面積を広くしてもよい。突条は、フィン47の位置に対応して配置することでフィンと同様に空気の整流機能を持たせてもよい。
【0060】
そして、筐体11に対して光触媒フィルタ60が着脱可能であるため、所定の稼働時間毎に光触媒フィルタ60を筐体11から取り出して洗浄することで、所定の光触媒能力を継続的に維持することができる。また、汎用の光触媒フィルタ60を用いることが可能となる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
10 空気処理装置
11 筐体
12 光触媒部
13 光源
35 処理エリア
36 吸気口
37 排気口
46 流通経路
47 フィン
50 壁取付部