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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126181
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/02 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B66B11/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034406
(22)【出願日】2023-03-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】大脇 裕之
(72)【発明者】
【氏名】井上 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】片山 知
(72)【発明者】
【氏名】能 愛莉
【テーマコード(参考)】
3F306
【Fターム(参考)】
3F306AA12
3F306CA07
3F306CA27
3F306CB06
3F306CB60
(57)【要約】
【課題】かご室の振動が抑えられるエレベータを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、昇降路を昇降するかご室と、上下方向に延びる軸まわりにかご室を回転駆動する回転駆動部と、かご室と回転駆動部とに挟み込まれる第一除振部と、を備える、ことを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を昇降するかご室と、
上下方向に延びる軸まわりに前記かご室を回転駆動する回転駆動部と、
前記かご室と前記回転駆動部とに挟み込まれる第一除振部と、を備える、エレベータ。
【請求項2】
主索と、
前記主索に接続されると共に前記かご室及び前記回転駆動部を保持するフレームと、
前記回転駆動部と前記フレームとに挟み込まれる第二除振部と、を備える、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記かご室の回転をガイドする回転ガイド部と、
第三除振部と、を備え、
前記回転駆動部は、前記かご室の下側又は上側に配置され
前記回転ガイド部は、前記かご室における上下方向の前記回転駆動部と反対側において該かご室と前記フレームとの間に配置され、
前記第三除振部は、前記回転ガイド部と前記フレームとに挟み込まれる、請求項2に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かご室が上下方向に延びる軸まわりに回転するエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、かご室が上下方向に延びる軸まわりに回転するエレベータが知られている(特許文献1参照)。具体的に、このエレベータ500は、図7に示すように、建築物に固定され、骨組みとなる昇降ガイド501と、昇降ガイド501に沿ってスライドするかご室502と、かご室502を昇降する昇降装置503と、かご室502を昇降装置503に対して旋回する旋回装置504と、を備える。
【0003】
かご室502は、側面の対向位置に出入口502Aを有する。
【0004】
昇降装置503は、ワイヤー510を巻き付けたかご支持昇降構造511と、ワイヤー510を巻き上げる昇降駆動装置512と、かご室502と重量を合わせたバランスウェイト513等と、で構成される。
【0005】
かご支持昇降構造511は、レール515に沿ってスライド可能なようにガイドローラ511Aを有する。このかご支持昇降構造511に、かご室502が吊り下げられている。昇降駆動装置512がワイヤー510を巻き上げることで、かご支持昇降構造511がレール515に沿って昇降し、かご室502も昇降する。
【0006】
旋回装置504は、エレベータかご502とかご支持昇降構造511との間に配置され、かご支持昇降構造511に対してかご室502を水平面内で90°、180°等旋回させる。
【0007】
以上のエレベータ500によれば、かご室502が旋回装置504によって水平面内で旋回する(即ち、上下方向を軸として該軸まわりに旋回する)ことで、各階によって乗場の方向が異なる場合でも、一つのかご室502から乗り降りできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-213585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のようなかご室が回転するエレベータにおいても、走行時の振動がかご室に伝搬しないことが求められている。
【0010】
そこで、本発明は、かご室の振動が抑えられるエレベータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るエレベータは、
昇降路を昇降するかご室と、
上下方向に延びる軸まわりに前記かご室を回転駆動する回転駆動部と、
前記かご室と前記回転駆動部とに挟み込まれる第一除振部と、を備える。
【0012】
かかる構成によれば、かご室を回転駆動するときに回転駆動部において生じた振動がかご室に伝搬されるのを第一除振部によって抑える、即ち、前記振動を第一除振部が吸収し、これにより、かご室の振動が抑えられる。
【0013】
前記エレベータは、
主索と、
前記主索に接続されると共に前記かご室及び前記回転駆動部を保持するフレームと、
前記回転駆動部と前記フレームとに挟み込まれる第二除振部と、を備えてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、かご室の走行時における主索やフレームからの振動が回転駆動部を通じてかご室に伝搬されるのを第二除振部によって抑える、即ち、前記振動を第二除振部が吸収し、これにより、かご室の振動がより好適に抑えられる。
【0015】
また、前記エレベータでは、
前記かご室の回転をガイドする回転ガイド部と、
第三除振部と、を備え、
前記回転駆動部は、前記かご室の下側又は上側に配置され
前記回転ガイド部は、前記かご室における上下方向の前記回転駆動部と反対側において該かご室と前記フレームとの間に配置され、
前記第三除振部は、前記回転ガイド部と前記フレームとに挟み込まれてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、かご室の走行時における主索やフレームからの振動が回転ガイド部を通じてかご室に伝搬されるのを第三除振部によって抑える、即ち、前記振動を第三除振部が吸収し、これにより、かご室の振動がより好適に抑えられる。
【発明の効果】
【0017】
以上より、本発明によれば、かご室の振動が抑えられるエレベータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本実施形態に係るエレベータの構成を説明するための概略図である。
図2図2は、前記エレベータが備えるかごの斜視図である。
図3図3は、前記かごの分解斜視図である。
図4図4は、前記かごが有する除振部の位置を示す模式図である。
図5図5は、前記除振部の斜視図である。
図6図6は、前記かごが有するフレームの斜視図である。
図7図7は、従来のエレベータを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図1図6を参照しつつ説明する。
【0020】
本実施形態に係るエレベータは、図1及び図2に示すように、昇降路Sを昇降するかご室2と、かご室2を回転駆動する回転駆動部3と、かご室2と回転駆動部3とに挟み込まれる少なくとも一つの除振部5と、を備える。
【0021】
具体的に、エレベータは、建物内を複数の階層に跨って上下方向に延びる昇降路Sと、昇降路S内を昇降するかご1と、かご1と連動して昇降路S内を昇降するカウンターウェイトと、かご1とカウンターウェイトとを連結する主索9と、主索9を駆動する巻上機と、を備える。また、エレベータは、かご1を昇降路S内で案内するかごレールRと、カウンターウェイトを昇降路S内で案内するウェイトガイドと、を備える。本実施形態のエレベータでは、前記建物の所定の階層の第一の乗場P1と、第一の乗場P1と異なる階層(図1に示す例では、第一の乗場P1より上側の階層)の第二の乗場P2とが、上下方向から見て昇降路Sを挟んで互いに反対側に配置されている。
【0022】
かごレールRは、上下方向に延び、水平方向にかご1を挟むように該かご1の両側に配置される。これら一対のかごレールRは、水平方向に間隔をあけて平行に配置され、昇降路S内においてかご1を上下方向に案内(ガイド)する。尚、以下では、一対のかごレールRの並び方向をX軸方向とし、上下方向をZ軸方向とし、X軸方向及びZ軸方向と直交する方向をY軸方向とする。
【0023】
かご1は、図3及び図4にも示すように、乗客や荷物等が乗降するかご室(キャブ)2と、上下方向に延びる軸まわりにかご室2を回転駆動する回転駆動部3と、主索9に接続されると共にかご室2及び回転駆動部3を保持するフレーム4と、外部からかご室2に伝わる振動を抑える除振部5と、を備える。本実施形態のかご1は、かご室2の回転をガイドする回転ガイド部6も備える。このかご1では、上側に向けて順に、回転駆動部3とかご室2と回転ガイド部6とが並び、これら回転駆動部3とかご室2と回転ガイド部6とは、全体として上下方向に延びる略円柱状の外観を有する。
【0024】
本実施形態のかご1では、かご出入口21が一つしか設けられていないが、回転駆動部3によってかご室2が回転駆動されることで、かご1のY軸方向の一方側に設置された第一の乗場P1と、Y軸方向の他方側に配置された第二の乗場P2とのいずれにおいても、乗客等が該かご1に乗り降りできる。
【0025】
除振部5は、二つの構成(部材)間に配置されて一方の構成から他方の構成に向かう振動を吸収等することによって他方の構成に振動が伝わるのを防ぐ又は低減する。本実施形態のかご1は、複数の除振部5を有する。具体的に、除振部5は、図5に示すように、板状又はブロック状の防振ゴム51と、防振ゴム51を挟むように該防振ゴム51に取り付けられている一対の固定部材52と、を有する。これら一対の固定部材52は、プレート状の部材であり、前記一方の構成又は前記他方の構成に除振部5を固定するための部材である。本実施形態の固定部材52は、金属製である。
【0026】
本実施形態の複数の除振部5は、図3及び図4に示すように、かご室2と回転駆動部3とに挟み込まれる少なくとも一つの第一除振部5aと、回転駆動部3とフレーム4とに挟み込まれる少なくとも一つの第二除振部5bと、回転ガイド部6とフレーム4とに挟み込まれる少なくとも一つの第三除振部5cと、を含む。また、本実施形態の複数の除振部5は、第三除振部5cと異なる位置において回転ガイド部6とフレーム4とに挟み込まれる少なくとも一つの第四除振部5dと、を含む。これら第一~第四除振部5a~5dは、それぞれ同じ構成を有する。即ち、第一~第四除振部5a~5dは、防振ゴム51と一対の固定部材52とをそれぞれ有する。尚、各構成51、52の大きさや形、弾性率(除振性能)等は、配置される場所に応じて除振部5a~5d毎に適宜設定されている。
【0027】
かご室2は、図1図3に示すように、かご出入口21が開口し且つ内部に乗客や荷物等を収容可能なかご室本体22と、かご出入口21を開閉するかごドア23と、を有する。
【0028】
かご室本体22は、中心軸Cが上下方向に延びる円柱状の外観を有し、乗客や荷物等を収容可能な収容空間S1を内部に有する。このかご室本体22では、矩形状のかご出入口21が周面(側面)に開口している。
【0029】
かごドア23は、かご出入口21の出入り方向から見て矩形状で且つ上下方向から見てかご室本体22の周面に対応した円弧状であり、かご室本体22の周面に沿って開閉移動する。
【0030】
回転駆動部3は、かご室2の下側又は上側に配置される。本実施形態の回転駆動部3は、図4にも示すように、かご室2の下側に配置される。この回転駆動部3は、かご室2が載置される第一ターンテーブル31と、第一ターンテーブル31をZ軸方向に延びる軸まわりに回転可能に保持又は支持する第一基部32と、を有する。
【0031】
第一ターンテーブル31は、水平面方向に沿って広がり且つ上方を向いた載置面31aを有する円盤状の部材である。この第一ターンテーブル31の直径は、かご室本体22の直径と対応する大きさである。即ち、円盤状の第一ターンテーブル31の中心とかご室本体22の中心軸Cとが一致するように、かご室本体22が第一ターンテーブル31上に配置されている。
【0032】
本実施形態のかご1では、かご室本体22が第一除振部5aを介して第一ターンテーブル31上に配置(載置)されている。具体的には、複数の第一除振部5aが、第一ターンテーブル31の載置面31aと、かご室本体22の底面22aと、の間に挟み込まれるように配置されている。より具体的には、複数の第一除振部5aは、少なくとも、第一ターンテーブル31とかご室本体22の底面22aとの周縁部間において周方向に間隔をあけて配置されている。このとき、各第一除振部5aは、一対の固定部材52のうちの一方の固定部材52がボルト等の連結部材によって第一ターンテーブル31に連結され、一対の固定部材52のうちの他方の固定部材52がボルト等の連結部材によってかご室本体22に連結されている。
【0033】
第一基部32は、Z軸方向に延び且つ第一ターンテーブル31の中心を通る軸(回転軸)まわりに第一ターンテーブル31が回転するように該第一ターンテーブル31を保持又は支持している。この第一基部32は、第一ターンテーブル31を回転軸まわりに回転駆動する駆動部を内部に有している。本実施形態の第一基部32は、第一ターンテーブル31の直径と対応する直径の円盤状の外観を有している。本実施形態のかご1では、かご室2の中心軸と第一ターンテーブル31の回転軸とが一致しているため、以下では、回転軸Cとも称する。
【0034】
回転ガイド部6は、かご室2におけるZ軸方向の回転駆動部3と反対側において該かご室2とフレーム4との間に配置される。本実施形態の回転ガイド部6は、かご室2の上側においてかご室2とフレーム4との間に配置されている。この回転ガイド部6は、かご室2の上端部が固定される第二ターンテーブル61と、第二ターンテーブル61をZ軸方向に延びる軸まわりに回転可能に保持する第二基部62と、を有する。
【0035】
第二ターンテーブル61は、水平面方向に沿って広がり且つ下方を向いた取付面61aを有する円盤状の部材である。この第二ターンテーブル61の直径は、かご室本体22の直径と対応する大きさである。即ち、円盤状の第二ターンテーブル61の中心とかご室本体22の中心軸Cとが一致するように、かご室本体22の上端部が第二ターンテーブル61に固定されている。
【0036】
第二基部62は、Z軸方向に延び且つ第二ターンテーブル61の中心を通る軸(回転軸)Cまわりに第二ターンテーブル61が回転するように該第二ターンテーブル61を保持している。本実施形態の第二基部62は、第二ターンテーブル61の直径と対応する直径の円盤状の外観を有している。
【0037】
フレーム4は、主索9によって吊り下げられた状態で、上方に向かって順に並ぶ回転駆動部3、かご室2、及び回転ガイド部6を保持する。本実施形態のフレーム4は、Y軸方向から見て、回転駆動部3、かご室2、及び回転ガイド部6を囲うように保持する(図4参照)。このフレーム4は、回転駆動部3の下側に配置される下部フレーム41と、回転ガイド部6の上側に配置される上部フレーム44と、X軸方向におけるかご室2の両側に配置されて下部フレーム41と上部フレーム44とを接続する側部フレーム47と、を有する。また、フレーム4は、該フレーム4をかごレールRに沿って昇降(移動)させるためのガイドローラ部48も有する。
【0038】
一対の側部フレーム47は、X軸方向におけるかご室2の両側においてそれぞれZ軸方向に延びている。即ち、一対の側部フレーム47は、それぞれがZ軸方向に延び且つX軸方向に間隔をあけて平行に配置されている。本実施形態の各側部フレーム47は、いわゆる溝形鋼であり、互いに溝の開口がX軸方向の外側を向くように配置されている。
【0039】
下部フレーム41は、X軸方向に延びる一対の第一フレーム42と、各第一フレーム42と交差し且つ水平面に沿って延びる複数の第二フレーム43と、を有する。本実施形態の下部フレーム41は、二つの第二フレーム43を有し、各第二フレーム43は、各第一フレーム42と直交し且つ水平面に沿って延びている。
【0040】
一対の第一フレーム42は、それぞれがX軸方向に延び且つY軸方向に間隔をあけて平行に配置されている。これら一対の第一フレーム42は、各側部フレーム47の下端部をY軸方向に挟み込むように配置されている。本実施形態の一対の第一フレーム42は、X軸方向の端部によって側部フレーム47の下端部を挟み込んでいる。この側部フレーム47の下端部と、該下端部を挟み込む一対の第一フレーム42の各端部とは、接続されている。本実施形態の各第一フレーム42は、いわゆるリップ溝形鋼であり、互いの溝の開口がY軸方向の外側を向くように配置されている。
【0041】
二つの第二フレーム43は、それぞれがY軸方向に延び且つX軸方向に間隔をあけて平行に配置されている。これら二つの第二フレーム43は、一対の第一フレーム42の上端に固定されている。本実施形態の各第二フレーム43は、いわゆるリップ溝形鋼であり、互いの溝の開口がX軸方向の内側を向くように配置されている。
【0042】
以上のように構成される下部フレーム41は、回転駆動部3を下側から支持する。本実施形態の下部フレーム41は、第二除振部5bを介して回転駆動部3を下側から支持している。具体的には、複数の第二除振部5bが、二つの第二フレーム43と、回転駆動部3の第一基部32と、の間に挟み込まれるように配置されている。より具体的には、複数の第二除振部5bは、少なくとも、第一基部32の底面32aにおける周縁部に位置するように配置されている。詳しくは、複数の第二除振部5bは、各第二フレーム43の両端部と、第一基部32の底面32aとの間に挟み込まれるように配置されている。即ち、本実施形態のかご1では、四つの第二除振部5bが下部フレーム41と回転駆動部3との間に配置されている。このとき、各第二除振部5bは、一対の固定部材52のうちの一方の固定部材52がボルト等の連結部材によって第二フレーム43に連結され、一対の固定部材52のうちの他方の固定部材52がボルト等の連結部材によって第一基部32に連結されている。
【0043】
上部フレーム44は、X軸方向に延びる一対の第三フレーム45と、各第三フレーム45と交差し且つ水平面に沿って延びる複数の第四フレーム46と、を有する。本実施形態の上部フレーム44は、二つの第四フレーム46を有し、各第四フレーム46は、各第三フレーム45と直交し且つ水平面に沿って延びている。
【0044】
一対の第三フレーム45は、それぞれがX軸方向に延び且つY軸方向に間隔をあけて平行に配置されている。これら一対の第三フレーム45は、各側部フレーム47の上端部をY軸方向に挟み込むように配置されている。本実施形態の一対の第三フレーム45は、X軸方向の端部によって側部フレーム47の上端部を挟み込んでいる。この側部フレーム47の上端部と、該上端部を挟み込む一対の第三フレーム45の各端部とは、接続されている。本実施形態の各第三フレーム45は、いわゆるリップ溝形鋼であり、互いの溝の開口がY軸方向の外側を向くように配置されている。
【0045】
二つの第四フレーム46は、それぞれがY軸方向に延び且つX軸方向に間隔をあけて平行に配置されている。これら二つの第四フレーム46は、一対の第三フレーム45の下端に固定されている。本実施形態の各第四フレーム46は、いわゆるリップ溝形鋼であり、互いの溝の開口がX軸方向の内側を向くように配置されている。
【0046】
以上のように構成される上部フレーム44は、回転ガイド部6を上側から支持する。本実施形態の上部フレーム44は、第三除振部5cを介して回転ガイド部6を上側から支持している。具体的には、複数の第三除振部5cが、二つの第四フレーム46と、回転ガイド部6の第二基部62と、の間に挟み込まれるように配置されている。より具体的には、複数の第三除振部5cは、少なくとも、第二基部62の天面62aにおける周縁部に位置するように配置されている。詳しくは、複数の第三除振部5cは、各第四フレーム46の両端部と、第二基部62の天面62aとの間に挟み込まれるように配置されている。即ち、本実施形態のかご1では、四つの第三除振部5cが上部フレーム44と回転ガイド部6との間に配置されている。このとき、各第三除振部5cは、一対の固定部材52のうちの一方の固定部材52がボルト等の連結部材によって第四フレーム46に連結され、一対の固定部材52のうちの他方の固定部材52がボルト等の連結部材によって第二基部62に連結されている。
【0047】
また、回転ガイド部6は、第四除振部5dを介して側部フレーム47に接続されている。具体的に、第四除振部5dは、第二基部62の周面62bと側部フレーム47の上端部との間にそれぞれ配置されている。このとき、各第四除振部5dは、一対の固定部材52のうちの一方の固定部材52がボルト等の連結部材によって側部フレーム47に連結され、一対の固定部材52のうちの他方の固定部材52がボルト等の連結部材によって第二基部62に連結されている。
【0048】
ガイドローラ部48は、各側部フレーム47の上端と下端とにそれぞれ配置されている。即ち、フレーム4は、複数(本実施形態の例では、四つ)のガイドローラ部48を有する。
【0049】
以上のように構成されるエレベータでは、かご1が第一の乗場P1に着床しているときには、かご1のかご出入口21は、Y軸方向の一方側(第一の乗場P1側)を向いている。そして、このかご1が第一の乗場P1から第二の乗場P2に移動(図1の例では上昇)するときに、かご1が第二の乗場P2に向けてZ軸方向に移動しつつかご室2が回転駆動部3によって回転駆動されて中心軸Cまわりに回転することで、かご1が第二の乗場P2に着床するタイミングでかご出入口21がY軸方向の他方側(第二の乗場P2側)を向く。
【0050】
一方、かご1が第二の乗場P2から第一の乗場P1に移動するときにも、かご1がZ軸方向に移動しつつかご室2が中心軸Cまわりに回転することで、かご1が第一の乗場P1に着床するタイミングでかご出入口21がY軸方向の一方側(第一の乗場P1側)を向く。
【0051】
本実施形態のエレベータは、昇降路Sを昇降するかご室2と、中心軸(上下方向に延びる軸)Cまわりにかご室2を回転駆動する回転駆動部3と、かご室2と回転駆動部3とに挟み込まれる第一除振部5aと、を備える。これにより、かご室2を回転駆動するときに回転駆動部3において生じた振動がかご室2に伝搬されるのを第一除振部5aによって抑える(除振される)、即ち、前記振動を第一除振部5aが吸収し、その結果、かご室2の振動が抑えられる。
【0052】
また、本実施形態のエレベータは、主索9と、主索9に接続されると共にかご室2及び回転駆動部3を保持するフレーム4と、回転駆動部3とフレーム4とに挟み込まれる第二除振部5bと、を備えている。これにより、かご室2の走行時における主索9やフレーム4からの振動が回転駆動部3を通じてかご室2に伝搬されるのを第二除振部5bによって抑える(除振される)、即ち、前記振動を第二除振部5bが吸収し、その結果、かご室2の振動がより好適に抑えられる。
【0053】
また、本実施形態のエレベータでは、回転駆動部3は、かご室2の下側に配置されている。これにより、Z軸方向(上下方向)から見てかご室2から回転駆動部3が外側に突出する量が抑えられ、その結果、昇降路Sの横断面(Z軸方向と直交する断面)の面積を抑えることができる。
【0054】
また、本実施形態のエレベータは、かご室2における上下方向の回転駆動部3と反対側において該かご室2とフレーム4との間に配置されると共に、該かご室2の回転をガイドする回転ガイド部6と、回転ガイド部6とフレーム4とに挟み込まれる第三除振部5c及び第四除振部5dと、を備えている。これにより、かご室2の走行時における主索9やフレーム4からの振動が回転ガイド部6を通じてかご室2に伝搬されるのを第三及び第四除振部5c、5dによって抑える(除振される)、即ち、前記振動を第三及び第四除振部5c、5dが吸収し、その結果、かご室2の振動がより好適に抑えられる。
【0055】
また、本実施形態のエレベータでは、かご室2を回転駆動する回転駆動部3がかご1の下端部に配置されているため、かご室2の上端部側が水平方向に振られやすいが、回転ガイド部6の第二基部62と側部フレーム47の上端部とが第四除振部5dによって接続されていることで、この振れを好適に抑えることができる。
【0056】
尚、本発明のエレベータは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0057】
除振部5の具体的な構成は、限定されない。除振部5は、二つの構成(部材)間に配置されて一方の構成から他方の構成に向かう振動を吸収等することによって他方の構成に振動が伝わるのを防ぐ又は低減する構成であればよい。
【0058】
また、上記実施形態のかご1における第四除振部5dは、板状又はブロック状の防振ゴム51と、一対の固定部材52と、を有しているが、この構成に限定されない。例えば、第四除振部5dは、ブロック状や柱状等の防振ゴムによって構成され、側部フレーム47と回転ガイド部6(詳しくは、第二基部62)との間において側部フレーム47に固定されると共に、第二基部62と接するように(即ち、第二基部62には固定されていない状態で)配置されていてもよい。
【0059】
上記実施形態のかご1は、第一~第四除振部5a~5dを有しているが、この構成に限定されない。かご1は、少なくとも第一除振部5aを有していればよい。かご1が第一除振部5aを有することで、かご室2を回転駆動するときに回転駆動部3において生じた振動がかご室2に伝搬されるのを抑えることができる。
【0060】
また、上記実施形態のかご1では、かご室2の下側に回転駆動部3が配置され、かご室2の上側に回転ガイド部6が配置されているが、この構成に限定されない。例えば、かご室2の上側に回転駆動部3が配置され、かご室2の下側に回転ガイド部6が配置される構成であってもよい。この場合、第四除振部5dは、側部フレーム47の上端部と、回転駆動部3の第一基部32の周面との間に挟み込まれるように配置される。また、回転駆動部3によってかご室2が十分に支持されていれば、回転ガイド部6が無い構成であってもよい。また、回転駆動部3は、かご室2の上側又は下側に限定されず、かご室2の周囲(周面に沿った位置)等に配置されてもよい。
【0061】
また、かご室2を回転駆動する回転駆動部3の具体的な構成も限定されない。かご室2を中心軸Cまわりに回転駆動する構成であればよい。
【符号の説明】
【0062】
1…かご、2…かご室、21…かご出入口、22…かご室本体、22a…底面、23…かごドア、3…回転駆動部、31…第一ターンテーブル、31a…載置面、32…第一基部、32a…底面、4…フレーム、41…下部フレーム、42…第一フレーム、43…第二フレーム、44…上部フレーム、45…第三フレーム、46…第四フレーム、47…側部フレーム、48…ガイドローラ部、5…除振部、5a…第一除振部、5b…第二除振部、5c…第三除振部、5d…第四除振部、51…防振ゴム、52…固定部材、6…回転ガイド部、61…第二ターンテーブル、61a…取付面、62…第二基部、62a…天面、62b…周面、9…主索、500…エレベータ、501…昇降ガイド、502…かご室、502A…出入口、503…昇降装置、504…旋回装置、510…ワイヤー、511…かご支持昇降構造、511A…ガイドローラ、512…昇降駆動装置、513…バランスウェイト、515…レール、C…中心軸、回転軸、P1…第一の乗場、P2…第二の乗場、R…かごレール、S…昇降路、S1…収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を昇降するかご室と、
上下方向に延びる軸まわりに前記かご室を回転駆動する回転駆動部と、
前記かご室と前記回転駆動部とに挟み込まれる第一除振部と、
主索と、
前記主索に接続されると共に前記かご室及び前記回転駆動部を保持するフレームと、
前記回転駆動部と前記フレームとに挟み込まれる第二除振部と、を備える、エレベータ。
【請求項2】
前記かご室の回転をガイドする回転ガイド部と、
第三除振部と、を備え、
前記回転駆動部は、前記かご室の下側又は上側に配置され
前記回転ガイド部は、前記かご室における上下方向の前記回転駆動部と反対側において該かご室と前記フレームとの間に配置され、
前記第三除振部は、前記回転ガイド部と前記フレームとに挟み込まれる、請求項に記載のエレベータ。