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  • 特開-船舶用造水装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126185
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】船舶用造水装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/04 20230101AFI20240912BHJP
   B01D 1/26 20060101ALI20240912BHJP
   B63J 1/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C02F1/04 A
B01D1/26 A
B63J1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034411
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000143972
【氏名又は名称】株式会社ササクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 修一
(72)【発明者】
【氏名】池田 充志
【テーマコード(参考)】
4D034
4D076
【Fターム(参考)】
4D034AA01
4D034BA03
4D034CA14
4D034DA04
4D076AA22
4D076BA35
4D076BC01
4D076CB02
4D076CB03
4D076CB07
4D076CB08
4D076DA04
4D076DA25
4D076DA36
4D076DA37
4D076EA11Y
4D076EA19X
4D076HA02
4D076HA16
4D076JA03
(57)【要約】
【課題】 船舶で必要な純度の水をコンパクトな構成により効率良く製造することができる船舶用造水装置を提供する。
【解決手段】 海水を加熱して第1蒸気を生成する第1蒸発器10と、第1蒸気を凝縮した第1蒸留水を加熱して第2蒸気を生成する第2蒸発器20と、第2蒸気を凝縮した第2蒸留水を生成する凝縮器30とを備え、第2蒸発器20および凝縮器30から、第1蒸留水および第2蒸留水をそれぞれ回収することができる船舶用造水装置である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水を加熱して第1蒸気を生成する第1蒸発器と、
前記第1蒸気を凝縮した第1蒸留水を加熱して第2蒸気を生成する第2蒸発器と、
前記第2蒸気を凝縮した第2蒸留水を生成する凝縮器とを備え、
前記第2蒸発器および前記凝縮器から、前記第1蒸留水および前記第2蒸留水をそれぞれ回収することができる船舶用造水装置。
【請求項2】
前記第1蒸発器は、複数設けられて、前段の前記第1蒸発器で生成された前記第1蒸気が後段の前記第1蒸発器の加熱源として供給されるように多重効用に構成されており、
前記第1蒸留水は、最後段の前記第1蒸発器に加熱源として供給された前記第1蒸気の蒸留水と、前記第2蒸発器に加熱源として供給された前記第1蒸気の蒸留水とを含む請求項1に記載の船舶用造水装置。
【請求項3】
前記第2蒸発器が生成する蒸気を前記第2蒸気から前記第1蒸気に変更できるように、前記第2蒸発器の加熱対象を切り替え可能な切替装置を更に備える請求項1に記載の船舶用造水装置。
【請求項4】
前記第2蒸発器から回収する前記第1蒸留水の純度を検出し、検出された純度が所望の純度でない場合に、前記第1蒸留水を前記第1蒸発器に戻して前記海水と共に再加熱する第1循環装置を更に備える請求項1に記載の船舶用造水装置。
【請求項5】
前記凝縮器から回収する前記第2蒸留水の純度を検出し、検出された純度が所望の純度でない場合に、前記第2蒸留水を前記第2蒸発器に戻して前記第1蒸留水と共に再加熱する第2循環装置を更に備える請求項1に記載の船舶用造水装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用造水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶用の造水装置においては、船舶に搭載されたボイラーの蒸気やディーゼル機関の冷却水等を熱源として海水を蒸発させることにより、淡水を製造することが従来から行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7129041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケミカル船等の船舶で生成される淡水は、船舶に搭載されたタンク等の洗浄にも利用されるが、最終洗浄を行う際には淡水よりも高純度の清水が必要になる場合が多いことから、従来においては、造水装置とは別に、イオン交換膜やイオン交換樹脂を備える純水装置を用いて純水の製造を行っていた。
【0005】
ところが、造水装置および純水装置の両方を船舶に設置するのはユーザ側の経済的負担が大きいだけでなく、船舶における占有スペースが過大になるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、船舶で必要な純度の水をコンパクトな構成により効率良く製造することができる船舶用造水装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、海水を加熱して第1蒸気を生成する第1蒸発器と、前記第1蒸気を凝縮した第1蒸留水を加熱して第2蒸気を生成する第2蒸発器と、前記第2蒸気を凝縮した第2蒸留水を生成する凝縮器とを備え、前記第2蒸発器および前記凝縮器から、前記第1蒸留水および前記第2蒸留水をそれぞれ回収することができる船舶用造水装置により達成される。
【0008】
この船舶用造水装置において、前記第1蒸発器は、複数設けられて、前段の前記第1蒸発器で生成された前記第1蒸気が後段の前記第1蒸発器の加熱源として供給されるように多重効用に構成されていることが好ましく、前記第1蒸留水は、最後段の前記第1蒸発器に加熱源として供給された前記第1蒸気の蒸留水と、前記第2蒸発器に加熱源として供給された前記第1蒸気の蒸留水とを含むことが好ましい。
【0009】
前記第2蒸発器が生成する蒸気を前記第2蒸気から前記第1蒸気に変更できるように、前記第2蒸発器の加熱対象を切り替え可能な切替装置を更に備えることが好ましい。
【0010】
前記第2蒸発器から回収する前記第1蒸留水の純度を検出し、検出された純度が所望の純度でない場合に、前記第1蒸留水を前記第1蒸発器に戻して前記海水と共に再加熱する第1循環装置を更に備えることが好ましい。
【0011】
前記凝縮器から回収する前記第2蒸留水の純度を検出し、検出された純度が所望の純度でない場合に、前記第2蒸留水を前記第2蒸発器に戻して前記第1蒸留水と共に再加熱する第2循環装置を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の船舶用造水装置によれば、船舶で必要な純度の水をコンパクトな構成により効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る船舶用造水装置の概略構成図である。
図2】本発明の他の実施形態に係る船舶用造水装置の要部構成図である。
図3】本発明の更に他の実施形態に係る船舶用造水装置の概略構成図である。
図4】本発明の更に他の実施形態に係る船舶用造水装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る船舶用造水装置の概略構成図である。本実施形態の船舶用造水装置1は、複数の第1蒸発器10と、第2蒸発器20と、凝縮器30とを備えている。船舶用造水装置1が設置される船舶は、必ずしも限定されないが、高純度の水を必要とする船舶に好適に設置することが好ましく、ケミカル船、タービン船、LNG船等を例示することができる。
【0015】
複数の第1蒸発器10は、前段の第1蒸発器10で生成された蒸気が、後段の第1蒸発器10の加熱源として供給されるように多重効用に構成されている。最前段の第1蒸発器10の加熱源には、船舶に搭載されたボイラーの蒸気やディーゼル機関の冷却水等を使用することができる。図1においては、第1蒸発器10を4つ示しているが、第1蒸発器10の効用数は特に限定されない。
【0016】
第1蒸発器10は、上下に延びる円筒状の容器本体11と、容器本体11の上方に設けられて水平に延びる円筒状の筐体16とを備えている。容器本体11は、下部開口および上部開口が、それぞれ底板12および閉塞板13によって覆われることにより、内部に蒸発室11aが形成されている。底板12および閉塞板13には、それぞれ複数の挿通孔が形成されており、これらの挿通孔を貫通するように上下に延びる複数の伝熱管15が蒸発室11a内に配置されている。
【0017】
底板12の下面側には、導入部14が連結されている。導入部14は、トレー状に形成されて、内部が伝熱管15の下端部と連通しており、最前段の第1蒸発器10の導入部14に海水が導入されて、伝熱管15の内部を上昇する。
【0018】
最前段の第1蒸発器10の蒸発室11aには、上述したように船舶で発生する蒸気や温水等の加熱源が導入される。この加熱源は、蒸発室11aにおいて伝熱管15の内部を通過する海水を加熱して蒸気を生成し、蒸発室11aの外部に排出される。2段目以降の第1蒸発器10の蒸発室11aには、前段の第1蒸発器10で生成された蒸気(第1蒸気)が、接続管17を介して加熱源として導入される。
【0019】
筐体16は、容器本体11の上端に閉塞板13を介して連結されており、内部に気水分離室16aが形成されている。気水分離室16aには、デミスタ16bが設けられている。デミスタ16bは、網板を積層した平板状の部材であり、気水分離室16a内に水平に支持されている。最後段の第1蒸発器10の筐体16には、後述する第2蒸発器20で純度がより高められた蒸留水を還流させることができる第1供給部18が形成されている。
【0020】
気水分離室16aの上部には、生成された蒸気が後段の第1蒸発器10に向けて排出される蒸気排出口16cが形成されている。また、気水分離室16aの下部には、蒸気から分離された海水が排出される排水口16dが形成されている。排水口16dから排出された海水は、後段の第1蒸発器10の導入部14に導入される。
【0021】
第2蒸発器20は、第1蒸発器10と同様に構成されており、上下に延びる円筒状の容器本体21と、容器本体21の上方に設けられて水平に延びる円筒状の筐体26とを備えている。
【0022】
容器本体21は、下部開口および上部開口が、それぞれ底板22および閉塞板23によって覆われることにより、内部に蒸発室21aが形成されている。底板22および閉塞板23には、それぞれ複数の挿通孔が形成されており、これらの挿通孔を貫通するように上下に延びる複数の伝熱管25が、蒸発室21a内に配置されている。
【0023】
底板22の下面側には、導入部24が連結されている。導入部24は、トレー状に形成されて、内部が伝熱管25の下端部と連通している。導入部24には、最後段の第1蒸発器10の蒸発室11aから排出された蒸気(第1蒸気)が凝縮された第1蒸留水が導入される。蒸発室21aには、最後段の第1蒸発器10で生成された蒸気(第1蒸気)が接続管27を介して加熱源として導入され、伝熱管25の内部を上昇する第1蒸留水を加熱することにより、第1蒸留水の蒸気(第2蒸気)を生成する。
【0024】
筐体26は、容器本体21の上端に閉塞板23を介して連結されており、内部に気水分離室26aが形成されている。気水分離室26aには、デミスタ26bが設けられている。デミスタ26bは、網板を積層した平板状の部材であり、気水分離室26a内に水平に支持されている。気水分離室26aの下部には、蒸気(第2蒸気)から分離された蒸留水(第1蒸留水)が排出される第1回収口26cが形成されている。筐体26には、後述する凝縮器30で純度がより高められた蒸留水を還流させることができる第2供給部28が形成されている。
【0025】
凝縮器30は、筐体26の内部に設けられており、気水分離室26aに連通する凝縮室31と、凝縮室31内に配置されて海水が通過する凝縮管32とを備えている。凝縮室31の上部には、抽気口33が形成されており、凝縮室31の下部には、凝縮室31で蒸気(第2蒸気)を凝縮して生成された蒸留水(第2蒸留水)を回収する第2回収口34が形成されている。
【0026】
上記の構成を備える船舶用造水装置1は、海水が、ポンプ41の作動によりエジェクタ40を介して凝縮器30の凝縮管32に供給され、凝縮室31内の蒸気(第2蒸気)を凝縮する。凝縮室31を通過した海水の一部は、各第1蒸発器10の予熱室19を通過して第1蒸発器10内の蒸気との熱交換により予熱された後、最前段の第1蒸発器10の導入部14に導入される。
【0027】
導入部14から伝熱管15に案内された海水は、蒸発室11a内で加熱源により加熱されて伝熱管15内で蒸発し、気水分離室16aに導入される。気水分離室16aに導入された蒸気(第1蒸気)は、混入する液滴がデミスタ16bによって除去された後、接続管17を介して後段の第1蒸発器10の蒸発室11aに加熱源として供給される。一方、蒸気(第1蒸気)から分離されて濃縮された海水は、後段の第1蒸発器10の導入部14に導入されて、伝熱管15の内部を通過する。こうして、複数の第1蒸発器10の各段において、海水が徐々に濃縮される。
【0028】
最後段の第1蒸発器10に加熱源として供給された蒸気(第1蒸気)は、伝熱管15内を通過する海水との熱交換により凝縮されて蒸留水(第1蒸留水)となり、オリフィスを介して第2蒸発器20の導入部24に導入されて、伝熱管25を上昇する。また、最後段の第1蒸発器10で生成された蒸気(第1蒸気)は、接続管27を介して第2蒸発器20の蒸発室21aに加熱源として供給され、伝熱管25内の蒸留水(第1蒸留水)との熱交換により凝縮されて蒸留水(第1蒸留水)となり、オリフィスを介して第2蒸発器20の導入部24に導入される。更に、第2蒸発器20には、最前段および最後段を除く第1蒸発器10に加熱源として供給された蒸気(第1蒸気)の蒸留水(第1蒸留水)が、第2供給部28から供給される。
【0029】
こうして、第2蒸発器20においては、第1蒸発器10で生成された第1蒸気の蒸留水(第1蒸留水)が、加熱源となる第1蒸気により加熱されて再び蒸発し、第2蒸気が生成される。第2蒸発器20の気水分離室26aに導入された蒸気(第2蒸気)は、混入する液滴がデミスタ26bによって除去された後、凝縮器30の凝縮室31に導入され、凝縮管32を通過する海水によって凝縮されて蒸留水(第2蒸留水)となる。凝縮器30で生成された蒸留水(第2蒸留水)は、第2回収口34から外部に排出され、ポンプ52の作動により回収することができる。一方、第2蒸発器20において蒸気(第2蒸気)から分離された蒸留水(第1蒸留水)は、第1回収口26cから外部に排出され、ポンプ50の作動により回収することができる。なお、凝縮室31で凝縮されない蒸気は、抽気口33から排出され、最後段の第1蒸発器10の排水口16dから排出された海水と共にエジェクタ40の吸引口に吸引され、凝縮器30の凝縮管32に向けて再び供給される。
【0030】
本実施形態の船舶用造水装置1によれば、第2蒸発器20の第1回収口26cから第1蒸留水を回収することができると共に、凝縮器30の第2回収口34から、第1蒸留水よりも高純度の第2蒸留水を回収することが可能であり、従来のように純水装置を別途設けることなく、船舶で必要な純度の水を効率良く製造することができる。
【0031】
本実施形態の船舶用造水装置1は、第2蒸発器20から回収される第1蒸留水の純度が所望の純度でない場合に、第1蒸留水を第1蒸発器10に戻す第1循環装置51と、凝縮器30から回収される第2蒸留水の純度が所望の純度でない場合に、第2蒸留水を第2蒸発器20に戻す第2循環装置53とを更に備えている。
【0032】
第1循環装置51は、第1蒸留水の電気伝導度を検出するセンサと、当該センサの検出に基づいて第1蒸留水の流路を回収側と循環側との間で切り替える切替弁とを備えており、検出された第1蒸留水の純度が所望の純度の場合には、第1蒸留水を回収側に供給する一方、検出された第1蒸留水の純度が所望の純度でない場合には、第1蒸留水を循環側に戻す。循環側に戻された第1蒸留水は、第1供給部18から第1蒸発器10に戻されて第1蒸発器10内の海水と共に再加熱される。第1供給部18は、本実施形態のように最後段の第1蒸発器10に形成することが好ましいが、他の第1蒸発器10に形成してもよい。
【0033】
第2循環装置53は、第2蒸留水の電気伝導度を検出するセンサと、当該センサの検出に基づいて第2蒸留水の流路を回収側と循環側との間で切り替える切替弁とを備えており、検出された第2蒸留水の純度が所望の純度の場合には、第2蒸留水を回収側に供給する一方、検出された第2蒸留水の純度が所望の純度でない場合には、第2蒸留水を循環側に戻す。循環側に戻された第2蒸留水は、第2供給部28から第2蒸発器20に戻されて第2蒸発器20内の第1蒸留水と共に再加熱される。
【0034】
このように、第1循環装置51および第2循環装置53を備えることによって、回収する第1蒸留水および第2蒸留水の純度を所望の純度に維持することができるので、船舶で必要な純度の水を確実に製造することができる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態の第2蒸発器20および凝縮器30は、高純度の第2蒸留水の製造用として使用しているが、高純度の蒸留水を必要としない状況下では、第2蒸発器20および凝縮器30で第1蒸留水を製造できるように、船舶用造水装置1を構成することができる。
【0036】
例えば、図1に示す船舶用造水装置1の第2蒸発器20が生成する蒸気を第2蒸気から第1蒸気に変更できるように、図2に示すように、複数の開閉弁61~68を備える切替装置60を備えることができる。図2に示す船舶用造水装置の要部において、図1と同様の構成部分には同一の符号を付している(以下の図においても同様)。
【0037】
図2に示す構成において、第2蒸発器20で第2蒸気を生成することにより、凝縮器30で第2蒸留水を製造する場合には、開閉弁61,63,65,67を開いて開閉弁62,64,66,68を閉じる制御を行う。一方、第2蒸発器20で第1蒸気を生成することにより、凝縮器30で第1蒸留水を製造する場合には、開閉弁62,64,66,68を開いて開閉弁61,63,65,67を閉じる制御を行う。なお、開閉弁64を通過した第1蒸留水は、凝縮器30に形成された第3供給部35に供給される。このような切替装置60の制御により、前者の場合は、例えば、10ppmの蒸留水(第1蒸留水)を5t/d製造し、純水(第2蒸留水)を5t/d製造することができる一方、後者の場合は、例えば、10ppmの蒸留水(第1蒸留水)を15t/d製造することができ、船舶での純度や造水量のニーズに柔軟に対応することができる。
【0038】
第1蒸発器10は、本実施形態のように複数設けて、多重効用に構成することが好ましく、第1蒸発器10をn個備える従来のn重効用の造水装置に対して、第2蒸発器20を新たに追加することで、外観上は(n+1)重効用と同様に構成することができるので、コンパクトな構成により高純度の蒸留水を製造することができる。但し、図3に示す船舶用造水装置1のように、第1蒸発器10は単一であってもよい。
【0039】
図3に示す船舶用造水装置1は、第1蒸発器10で生成された蒸気(第1蒸気)が、接続管27を介して第2蒸発器20の蒸発室21aに加熱源として供給され、伝熱管25内の蒸留水(第1蒸留水)との熱交換により凝縮されて蒸留水(第1蒸留水)となり、第2蒸発器20の導入部24に導入される。導入部24には、第2蒸発器20において蒸気(第2蒸気)から分離されて第1回収口26cから排出された蒸留水(第1蒸留水)の一部が導入される。また、導入部24には、凝縮器30で生成されて第2回収口34から排出された蒸留水(第2蒸留水)の一部を導入することができる。第2蒸発器20のオーバーフロー水は、オーバーフロー口29から排出されて、エジェクタ40の吸引口に吸引される。
【0040】
本実施形態の船舶用造水装置1は、第1蒸発器10および第2蒸発器20の蒸発室11a,21aにおいて、伝熱管15,25の内部を通過する海水または蒸留水を、伝熱管15,25の外部に導入した加熱源により加熱するように構成しているが、図4に示す船舶用造水装置1のように、蒸発室11a,21a内に設けた加熱槽11b,21bに加熱器11c,21cを設けて、加熱槽11b,21bに供給した海水または蒸留水を、加熱器11c,21cの内部を通過する熱源により加熱して蒸発させることもできる。第1蒸発器10で蒸発しない海水は、オーバーフロー槽11dを経て後段の第1蒸発器10の加熱槽11bに供給される。また、第2蒸発器20で蒸発しない第1蒸留水は、オーバーフロー槽21dを経て回収することができる。その他の構成は、図1に示す船舶用造水装置1と同様である。
【符号の説明】
【0041】
1 船舶用造水装置
10 第1蒸発器
20 第2蒸発器
30 凝縮器
51 第1循環装置
53 第2循環装置
60 切替装置
図1
図2
図3
図4