(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126197
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電池パックおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/293 20210101AFI20240912BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240912BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20240912BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20240912BHJP
【FI】
H01M50/293
H01M50/209
H01M50/244 Z
H01M50/284
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034425
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直剛
(72)【発明者】
【氏名】福田 雅樹
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC28
(57)【要約】
【課題】部材種類を削減して電池パックの製造工程を簡素化する。
【解決手段】電池パックは、電池セル100と、筐体200と、接着剤層300とを備える。筐体200は、電池セル100が載置される底部210および底部210から立設された側壁部220を含み、電池セル100を収容する。接着剤層300は、電池セル100と底部210とを接着する第1部分310および側壁部220と底部210とを接着する第2部分320を含む。第1部分310および第2部分320は、同一材質により構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと、
前記電池セルが載置される底部および前記底部から立設された側壁部を含み、前記電池セルを収容する筐体と、
前記電池セルと前記底部とを接着する第1部分および前記側壁部と前記底部とを接着する第2部分を含む接着剤層とを備え、
前記第1部分および前記第2部分は、同一材質により構成されている、電池パック。
【請求項2】
前記第1部分と前記第2部分との間において、前記接着剤層は、前記底部上に連続して形成されている、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記接着剤層の前記第1部分の厚みは、前記第2部分の厚みより厚い、請求項1または請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記筐体の内側に配置され、前記電池セルと電気的に接続された電装部品をさらに備え、
前記接着剤層は、前記電装部品と前記底部とを接着し、前記第1部分および前記第2部分と同一材質により構成された第3部分をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の電池パック。
【請求項5】
前記接着剤層の前記第1部分、前記第2部分および前記第3部分を含む領域において、前記接着剤層は、前記底部上に連続して形成されている、請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の電池パックを製造する方法であって、
前記底部を構成するプレート部材を準備する工程と、
前記プレート部材上における前記第1部分が形成される第1領域および前記第2部分が形成される第2領域に、同一材質により構成される接着剤を塗布する工程と、
前記電池セルを前記第1部分に載置する工程と、
前記側壁部を構成する側壁部材を前記第2部分に載置する工程とを備える、電池パックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池パックおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池モジュールの構成を開示した先行技術文献として、中国実用新案第213026245号明細書(特許文献1)がある。特許文献1に記載された電池モジュールは、底板と、セルとを備える。底板には、セルと底板とを接着するための構造接着剤、およびセルと底板との間に熱を伝達する熱伝導性接着剤が塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案第213026245号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電池モジュールにおいては、必要とされる接着強度または熱伝導性を満足させるために、異なる種類の接着剤を使用して電池パックの構成同士を互いに接着している。しかし、異なる種類の接着剤を使用すると、部材種類が多くなるため、電池パックの製造工程が複雑になる。
【0005】
本技術は、上記の課題を解決するためになされたものであって、部材種類を削減して製造工程を簡素化することができる電池パックおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、以下の電池パックおよびその製造方法を提供する。
[1]
電池セルと、
前記電池セルが載置される底部および前記底部から立設された側壁部を含み、前記電池セルを収容する筐体と、
前記電池セルと前記底部とを接着する第1部分および前記側壁部と前記底部とを接着する第2部分を含む接着剤層とを備え、
前記第1部分および前記第2部分は、同一材質により構成されている、電池パック。
[2]
前記第1部分と前記第2部分との間において、前記接着剤層は、前記底部上に連続して形成されている、[1]に記載の電池パック。
[3]
前記接着剤層の前記第1部分の厚みは、前記第2部分の厚みより厚い、[1]または[2]に記載の電池パック。
[4]
前記筐体の内側に配置され、前記電池セルと電気的に接続された電装部品をさらに備え、
前記接着剤層は、前記電装部品と前記底部とを接着し、前記第1部分および前記第2部分と同一材質により構成された第3部分をさらに含む、[1]から[3]のいずれか1つに記載の電池パック。
[5]
前記接着剤層の前記第1部分、前記第2部分および前記第3部分を含む領域において、前記接着剤層は、前記底部上に連続して形成されている、[4]に記載の電池パック。
[6]
[1]から[5]のいずれか1つに記載の電池パックを製造する方法であって、
前記底部を構成するプレート部材を準備する工程と、
前記プレート部材上における前記第1部分が形成される第1領域および前記第2部分が形成される第2領域に、同一材質により構成される接着剤を塗布する工程と、
前記電池セルを前記第1部分に載置する工程と、
前記側壁部を構成する側壁部材を前記第2部分に載置する工程とを備える、電池パックの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本技術によれば、部材種類を削減して電池パックの製造工程を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本技術の実施の形態1に係る電池パックの構成を示す斜視図である。
【
図2】本技術の実施の形態1に係る電池セルの構成を示す斜視図である。
【
図3】
図1の電池パックをIII-III線矢印方向から見た断面図である。
【
図4】本技術の実施の形態2に係る電池パックの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0010】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0011】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0012】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0013】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。
【0014】
また、「電池パック」は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、および電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などに搭載可能である。ただし、「電池パック」の用途は、車載用に限定されるものではない。
【0015】
なお、図面においては、複数の電池セルが並ぶ方向を第1の方向としてのY方向、筐体における一対の第2側壁部が並ぶ方向を第2の方向としてのX方向、電池セルの上面と底面とが並ぶ方向を第3の方向としてのZ方向とする。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本技術の実施の形態1に係る電池パックの構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本技術の実施の形態1に係る電池パック1は、複数の電池セル100と、筐体200とを備える。
【0017】
複数の電池セル100は、第1の方向(Y方向)に沿って並んでいる。本実施の形態における複数の電池セル100は、電池セル100同士の間に図示しないセパレータが介装されつつ、第1の方向(Y方向)に沿って並んでいる。セパレータは、絶縁性を有するプレートである。
【0018】
筐体200は、複数の電池セル100を収容する。筐体200は、たとえばアルミニウムまたは鋼によって構成されている。筐体200は、たとえば押し出し成形により形成される。
【0019】
本実施の形態における筐体200は、底部210と、側壁部220と、図示しない蓋部材とを含む。
【0020】
底部210には、複数の電池セル100が載置される。側壁部220は、底部210から立設されている。底部210および側壁部220は、互いが接する箇所において接合されている。本実施の形態における底部210および側壁部220は、接着剤によって互いに接着されている。底部210および側壁部220に対し、蓋部材が上方から複数の電池セル100を覆うように設けられる。
【0021】
側壁部220は、一対の第1側壁部230と、一対の第2側壁部240とを有する。一対の第1側壁部230は、一方の第1側壁部230aおよび他方の第1側壁部230bが互いに対向するように配置されている。一対の第2側壁部240は、一方の第2側壁部240aおよび他方の第2側壁部240bが互いに対向するように配置されている。
【0022】
一対の第1側壁部230は、第1の方向(Y方向)において複数の電池セル100を挟持する。本実施の形態においては、一方の第1側壁部230aおよび他方の第1側壁部230bによって複数の電池セル100を挟持している。
【0023】
一対の第2側壁部240は、第1の方向(Y方向)に直交する第2の方向(X方向)において一対の第1側壁部230の各々の端部同士を接続する。本実施の形態においては、一方の第2側壁部240aおよび他方の第2側壁部240bによって、一方の第1側壁部230aおよび他方の第1側壁部230bの各々の端部同士を接続している。一対の第1側壁部230および一対の第2側壁部240は、接着剤によって接合されている。
【0024】
積層された複数の電池セル100に対して第1の方向(Y方向)の圧縮力を作用させた状態で筐体200に挿入し、その後に圧縮力を解放することにより、一対の第1側壁部230同士を接続する一対の第2側壁部240に引張力が働く。その反作用として、一対の第2側壁部240は、一対の第1側壁部230を互いに近づける方向に押圧する。その結果、筐体200は、複数の電池セル100を第1の方向(Y方向)に拘束する。
【0025】
上述したように、本実施の形態の電池パック1は、筐体200の側壁部220が複数の電池セル100を直接支持する構造(Cell-to-Pack構造)によって、複数の電池セル100を拘束して支持する。なお、電池パック1は、Cell-to-Pack構造に限定されず、複数の電池セル100を含む電池モジュールを筐体200の内部に収容する構造(Cell-Module-Pack構造)であってもよい。
【0026】
図2は、本技術の実施の形態1に係る電池セルの構成を示す斜視図である。
図2に示すように、電池セル100は、たとえばリチウムイオン電池である。電池セル100は、角型形状を有する。
【0027】
複数の電池セル100の各々は、電極端子110と、ケース体120と、ガス排出弁130とを含む。
【0028】
電極端子110は、正極端子111と、負極端子112とを有する。電極端子110は、ケース体120上に形成されている。
【0029】
ケース体120は、図示しない電極体および電解液を収容する容器である。ケース体120は、略直方体形状を有している。ケース体120は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄または鉄合金などにより構成されている。
【0030】
ケース体120は、上面121と、下面122と、一対の長側面123と、一対の短側面124とを有する。
【0031】
上面121には、電極端子110が配置されている。下面122は、第3の方向(Z方向)において上面121に対向している。
【0032】
一対の長側面123および一対の短側面124は、ケース体120の側面を構成している。ケース体120の側面としての一対の長側面123および一対の短側面124は、上面121および下面122の各々に交差している。一対の長側面123の各々は、第1の方向(Y方向)において互いに対向している。一対の短側面124の各々は、第2の方向(X方向)において互いに対向している。一対の長側面123の各々は、一対の短側面124の各々より大きな面積を有している。
【0033】
ガス排出弁130は、ケース体120内の圧力が所定値以上となった際に破断する。これにより、ケース体120内のガスがケース体120外に排出される。
【0034】
図3は、
図1の電池パックをIII-III線矢印方向から見た断面図である。
図3に示すように、本実施の形態における電池パック1は、接着剤層300をさらに備える。
【0035】
接着剤層300は、電池パック1における構成要素同士を接着する。本実施の形態における接着剤層300は、筐体200の構成同士、または電池セル100と筐体200とを接着する。接着剤層300は、たとえば接着剤を塗布した後、当該接着剤が硬化することによって形成される。
【0036】
接着剤層300を形成する接着剤は、たとえばエポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤またはシリコーン系接着剤などが挙げられる。
【0037】
当該接着剤に求められる諸特性としては、接着強度(せん断強度)、体積抵抗率または絶縁破壊強さなどの絶縁性能、熱伝導性(熱伝導率)、変位追従性(伸び率)、耐環境性、硬化時間、可使時間、粘度、チクソ性、構成される接着剤が1液のみの構成または2液を混合する構成などが挙げられる。
【0038】
接着強度は、接着剤のせん断強度が接着される構成に印加される力よりも大きくなるように設定される。具体的には、接着強度は、たとえば電池セルの重量、重力加速度および衝撃力を乗じて、0.01MPa以上である。絶縁性能は、接着剤の体積抵抗率が電池パックの総電圧に対する接着剤の絶縁抵抗値より大きくなるように設定される。具体的には、絶縁性能は、たとえば1.0×109Ω・m以上である。熱伝導性(熱伝導率)は、たとえば1W/(m・K)以上が要求される。変位追従性は、電池パックの変位に対して、追従できる柔軟性が必要である。変位追従性は、たとえば破断伸び率50%以上である。
【0039】
なお、耐環境性は、環境試験後の接着剤のせん断強度が物体に印加される力より大きくなるように、定性的に設定される。また、可使時間は、接着剤を使用する場所で組立にかかる時間以上は必要であるが、製造工程によるため限定されない。硬化時間は、接着剤に荷重がかかるまでの時間以内には硬化が必要であるが、製造工程によるため、特に限定されない。粘度は、組立性の観点から、接着剤が垂れない程度の粘度は必要であるが、製造工程によるため、特に限定されない。チクソ性は、製造工程によるため、特に限定されない。
【0040】
接着剤層300は、第1部分310と、第2部分320とを含む。第1部分310は、電池セル100と底部210とを接着する。第2部分320は、側壁部220と底部210とを接着する。
【0041】
第1部分310および第2部分320は、同一材質により構成されている。第1部分310および第2部分320は、1つの接着剤層300によって構成されているため、1種類の材質により構成しやすい。なお、同一材質には、実質的に同一である場合を含む。具体的には、「同一」には接着剤を構成する成分の比率に対する製造時のばらつきなどの微小な誤差を含む。
【0042】
第1部分310は、電池セル100と底部210との間の少なくとも一部に配置されている。本実施の形態においては、第1部分310は、電池セル100と底部210との間の全体に配置されている。
【0043】
第2部分320は、側壁部220と底部210との間の少なくとも一部に配置されている。本実施の形態においては、第2部分320は、一方の第1側壁部230aと底部210との間の全体に配置されている。
【0044】
第1部分310と第2部分320との間において、接着剤層300は、底部210上に連続して形成されている。このため、本実施の形態においては、第1部分310と第2部分320との間において境界を有していない。
【0045】
第1部分310は、厚みt1を有する。第2部分320は、厚みt2を有する。接着剤層300の厚みは、底部210の平面から法線方向の厚みをいう。本実施の形態においては、当該法線方向は、第3の方向(Z方向)に沿っている。
【0046】
第1部分310の厚みt1は、底部210と電池セル100の下面122との間の厚みをいう。ただし、電池セル100における下面122と側面部との間の境界のR形状が厚みt1に影響しないように、下面122の端部から離れた中央部付近での厚みによって厚みが求められることが望ましい。
【0047】
第2部分320の厚みt2は、製造時における底部210と一方の第1側壁部230aとの組み付けのばらつきによって、底部210に対して一方の第1側壁部230aが傾斜し、厚みt2がXY平面上において変動する可能性がある。この場合には、第2部分320の厚みt2は、複数箇所の厚みの平均により求められる。
【0048】
複数の電池セル100の各々は、製造時の加工のばらつきによって第3の方向(Z方向)の高さ寸法にばらつきが生ずる場合がある。また、電池パック1を製造するにあたり、複数の電池セル100の上面を基準に高さを一定として製造する場合がある。
【0049】
この場合、接着剤層300の厚みは、複数の電池セル100の各々の直下においてその厚みが電池セル100ごとに異なる。そこで、本実施の形態においては、接着剤層300の第1部分310の厚みt1は、第2部分320の厚みt2より厚い。これにより、電池セル100の各々との位置関係で接着剤層300の厚みが変化しても、第1部分310の厚みt1が第2部分320の厚みt2より厚いため、電池セル100の上面を基準とする位置を調整しつつ接着剤を追従させやすい。
【0050】
なお、第1部分310の厚みt1は、電池セル100の高さ寸法がばらつき、かつ電池セル100の上面を基準として複数の電池セル100の高さが決まる場合、第1部分の厚みt1は、第1部分の厚みt1の最小厚みが第2部分の厚みt2より厚ければよい。
【0051】
ここで、本実施の形態に係る電池パック1の製造方法について説明する。まず、底部210を構成するプレート部材を準備する。次に、プレート部材上における第1部分310が形成される第1領域R1および第2部分320が形成される第2領域R2に、同一材質により構成される接着剤を塗布する。
【0052】
次に、電池セル100を第1部分310に載置する。これにより、底部210を構成するプレート部材と電池セル100とが接着剤層300の第1部分310によって接着される。次に、側壁部220を構成する側壁部材を第2部分320に載置する。これにより、底部210を構成するプレート部材と側壁部220を構成する側壁部材とが接着剤層300の第2部分320によって接着されて筐体200が形成される。
【0053】
なお、プレート部材と電池セル100との接着、およびプレート部材と側壁部材との接着の順番は限定されず、プレート部材および側壁部材がプレート部材および電池セル100より前に接着されてもよいし、それぞれを同時に接着してもよい。
【0054】
本技術の実施の形態1に係る電池パック1においては、異なる種類の接着剤を使用して筐体200の底部210に対して電池セル100または側壁部220を接着する場合と比較して、同一材質の接着剤を使うことによって接着剤層300の部材種類を削減することができるため、電池パック1の製造工程を簡素化することができる。
【0055】
本技術の実施の形態1に係る電池パック1においては、電池セル100および筐体200の底部210、ならびに、筐体200の側壁部220および底部210の接着に同一材質の接着剤を使用することにより、異なる接着材を使用した場合の意図しない化学反応が起きる可能性を排除できる。さらに、接着剤ごとの硬化時間の違いを考慮する必要がない。さらに、接着剤ごとの塗布量の管理を無くすことができるため、効率良く電池パック1を製造することができる。
【0056】
本技術の実施の形態1に係る電池パック1においては、第1部分310と第2部分320との間において、接着剤層300が底部210上に連続して形成されていることによって、第1部分310と第2部分320との境界を無くすことができるため、境界を起点とする接着剤の剥離などを抑制して、筐体200内のシーリング性能を向上させることができる。
【0057】
本技術の実施の形態1に係る電池パック1においては、接着剤層300の第1部分310の厚みt1が第2部分320の厚みt2より厚いことによって、複数の電池セル100の高さ寸法がばらつき、かつ電池セル100の上面を基準として複数の電池セル100の高さが決まる場合、第1部分310を厚くして電池セル100の高さ位置の調整代を確保することができる。これにより、電池セル100の高さ方向の位置合わせに影響することなく電池セル100と底部210とを接着することができる。
【0058】
本技術の実施の形態1に係る電池パック1の製造方法においては、異なる接着剤を使用して筐体200の底部210に対して電池セル100または側壁部220を接着する場合と比較して、同一材質の接着剤を使うことによって異なる種類の接着剤を塗布する工程を削減することができるため、電池パック1の製造工程を簡素化することができる。
【0059】
(実施の形態2)
以下、本技術の実施の形態2に係る電池パックについて説明する。実施の形態2に係る電池パックは、筐体の構成が本技術の実施の形態1に係る電池パック1と異なるため、本技術の実施の形態1に係る電池パック1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0060】
図4は、本技術の実施の形態2に係る電池パックの構成を示す断面図である。
図4に示すように、実施の形態2に係る電池パック1Aは、複数の電池セル100と、筐体200と、接着剤層300Aと、電装部品400とを備える。
【0061】
電装部品400は、たとえばジャンクションボックスである。電装部品400は、筐体200の内側に配置されている。電装部品400は、電池セル100と電気的に接続されている。電装部品400は、図示しないバスバーによって、複数の電池セル100の少なくとも1つに電気的に接続されている。
【0062】
接着剤層300Aは、第1部分310Aと、第2部分320Aと、第3部分330Aとを備える。第3部分330Aは、第1部分310Aおよび第2部分320Aと同一材質により構成されている。第3部分330Aは、電装部品400と底部210とを接着している。
【0063】
第1部分310Aは、電池セル100と底部210との間の少なくとも一部に配置されている。本実施の形態においては、第1部分310Aは、電池セル100と底部210との間の全体に配置され、かつ、その両端からはみ出して配置されている。
【0064】
第2部分320Aは、側壁部220と底部210との間の少なくとも一部に配置されている。本実施の形態においては、第2部分320Aは、一方の第1側壁部230aと底部210との間の全体に配置され、かつ、その端部からはみ出して配置されている。
【0065】
第3部分330Aは、電装部品400と底部210との間の少なくとも一部に配置されている。本実施の形態においては、第3部分330Aは、電装部品400と底部210との間の全体に配置され、かつ、その端部からはみ出して配置されている。このように、第1部分310A、第2部分320Aおよび第3部分330Aには、接着する構成同士の間からはみ出した接着剤層300Aの部分も含まれる。
【0066】
接着剤層300Aの第1部分310A、第2部分320Aおよび第3部分330Aを含む領域において、接着剤層300Aは、底部210上に連続して形成されている。このため、第1部分310A、第2部分320Aおよび第3部分330Aの各々の間には、境界が形成されていない。
【0067】
第1部分310Aの厚みt1は、第2部分320Aの厚みt2および第3部分330Aの厚みt3に対して厚い。これにより、複数の電池セル100の高さ寸法がばらつき、かつ、電池セル100の上面を基準として複数の電池セル100の高さが決まる場合、第1部分310Aを厚くして電池セル100の高さ位置の調整代を確保することができる。
【0068】
第3部分330Aは、底部210を構成するプレート部材上における第3部分330Aが形成される第3領域R3に、第1部分310Aおよび第2部分320Aと同一材質の接着剤を塗布し、電装部品400を第3部分330Aに載置することによって、電装部品400と底部210とを接着する。
【0069】
本技術の実施の形態2に係る電池パック1Aにおいては、電装部品400と底部210とを接着する第3部分330Aに、第1部分310Aおよび第2部分320Aと同一材質の接着剤を使用することによって、異なる種類の接着剤を使用して電池パック1Aの各構成を接着する場合と比較して、接着剤層300Aの部材種類を削減することができるため、電池パック1Aの製造工程を簡素化することができる。
【0070】
本技術の実施の形態2に係る電池パック1Aにおいては、第1部分310A、第2部分320Aおよび第3部分330Aを含む領域において、接着剤層300Aが底部210上に連続して形成されていることによって、第1部分310A、第2部分320Aおよび第3部分330Aとの境界を無くすことができるため、境界を起点とする接着剤の剥離などを抑制して、筐体200内のシーリング性能を向上させることができる。
【0071】
なお、上述した実施の形態においては、接着剤層は少なくとも第1部分および第2部分を含んで連続しているが、この実施の形態に限定されない。接着剤層は、接着剤の使用量を抑制する観点から、最低限の分だけ使用されて、同一材質の複数の接着剤の各々が不連続に配置されていてもよい。
【0072】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
1,1A 電池パック、100 電池セル、110 電極端子、111 正極端子、112 負極端子、120 ケース体、121 上面、122 下面、123 一対の長側面、124 一対の短側面、130 ガス排出弁、200 筐体、210 底部、220 側壁部、230,230a,230b 第1側壁部、240,240a,240b 第2側壁部、300,300A 接着剤層、310,310A 第1部分、320,320A 第2部分、330A 第3部分、400 電装部品、R1 第1領域、R2 第2領域、R3 第3領域、t1,t2,t3 厚み。