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特開2024-126222サイリスタ起動装置およびその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126222
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】サイリスタ起動装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240912BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02M7/48 E
H02M7/48 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034461
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 泰明
(72)【発明者】
【氏名】荻野 宏之
(72)【発明者】
【氏名】安藤 彰修
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA05
5H770BA01
5H770BA11
5H770CA02
5H770DA03
5H770DA11
5H770DA41
5H770GA13
5H770HA02Y
5H770HA02Z
5H770HA03Y
5H770HA07Z
5H770LB07
(57)【要約】
【課題】コモンモードノイズを抑制することが可能なサイリスタ起動装置を実現する。
【解決手段】同期機を起動させるサイリスタ起動装置であって、交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電力を平滑化する直流リアクトルと、コンバータから直流リアクトルを介して与えられる直流電力を可変周波数の交流電力に変換して同期機に供給するインバータと、同期機の回転子位置を検出する位置検出器と、位置検出器の検出信号に基づいて、インバータにおけるサイリスタの点弧位相を制御する第1の制御部と、位置検出器の検出信号に基づいて、直流リアクトルを流れる直流電流が電流指令値に一致するように、コンバータにおけるサイリスタの点弧位相を制御する第2の制御部と、インバータにおけるサイリスタの点弧とコンバータにおけるサイリスタの点弧とのタイミングを制御するタイミング制御回路とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期機を起動させるサイリスタ起動装置であって、
交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記直流電力を平滑化する直流リアクトルと、
前記コンバータから前記直流リアクトルを介して与えられる直流電力を可変周波数の交流電力に変換して前記同期機に供給するインバータと、
前記同期機の回転子位置を検出する位置検出器と、
前記位置検出器の検出信号に基づいて、前記インバータにおけるサイリスタの点弧位相を制御する第1の制御部と、
前記位置検出器の検出信号に基づいて、前記直流リアクトルを流れる直流電流が電流指令値に一致するように、前記コンバータにおけるサイリスタの点弧位相を制御する第2の制御部と、
前記インバータにおけるサイリスタの点弧と前記コンバータにおけるサイリスタの点弧とのタイミングを制御するタイミング制御回路とを備える、サイリスタ起動装置。
【請求項2】
前記タイミング制御回路は、前記インバータにおけるサイリスタの点弧と前記コンバータにおけるサイリスタの点弧とのタイミングが重なった場合に前記コンバータあるいは前記インバータにおけるサイリスタの点弧を停止する、請求項1記載のサイリスタ起動装置。
【請求項3】
前記タイミング制御回路は、前記インバータにおけるサイリスタの点弧と前記コンバータにおけるサイリスタの点弧とのタイミングが重なった場合に既に前記コンバータあるいは前記インバータにおけるサイリスタの点弧が開始されている場合には点弧を継続するゲート防止回路を含む、請求項2記載のサイリスタ起動装置。
【請求項4】
同期機を起動させるサイリスタ起動装置の制御方法であって、
前記サイリスタ起動装置は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと、前記直流電力を平滑化する直流リアクトルと、前記コンバータから前記直流リアクトルを介して与えられる直流電力を可変周波数の交流電力に変換して前記同期機に供給するインバータとを含み、
前記同期機の回転子位置を検出するステップと、
検出信号に基づいて、前記インバータにおけるサイリスタの点弧位相を制御するステップと、
前記検出信号に基づいて、前記直流リアクトルを流れる直流電流が電流指令値に一致するように、前記コンバータにおけるサイリスタの点弧位相を制御するステップと、
前記インバータにおけるサイリスタの点弧と前記コンバータにおけるサイリスタの点弧とのタイミングを制御するステップとを備える、サイリスタ起動装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サイリスタ起動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機および電動機等の同期機を起動するためのサイリスタ起動装置が開発されている。サイリスタ起動装置は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電力を平滑化する直流リアクトルと、コンバータから直流リアクトルを介して与えられる直流電力を可変周波数の交流電力に変換して同期機に供給するインバータとを備えている。同期機に供給する交流電力を制御することにより、停止状態の同期機を起動させて所定の回転速度で駆動させることができる(特許文献1参照)。
【0003】
インバータ等をサイリスタ等で構成する場合、開閉サージが生じることが知られている。この点で、当該サージを抑制するための種々の方式が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/159346号公報
【特許文献2】特開平7-163156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、インバータおよびコンバータのサイリスタが同時に点弧した際にはターンオンサージに起因するコモンモードノイズが生じる可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、上記の課題を解決するためのものであって、ターンオンサージに起因するコモンモードノイズを抑制することが可能なサイリスタ起動装置およびその制御方法を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施形態に従えば、同期機を起動させるサイリスタ起動装置であって、交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電力を平滑化する直流リアクトルと、コンバータから直流リアクトルを介して与えられる直流電力を可変周波数の交流電力に変換して同期機に供給するインバータと、同期機の回転子位置を検出する位置検出器と、位置検出器の検出信号に基づいて、インバータにおけるサイリスタの点弧位相を制御する第1の制御部と、位置検出器の検出信号に基づいて、直流リアクトルを流れる直流電流が電流指令値に一致するように、コンバータにおけるサイリスタの点弧位相を制御する第2の制御部と、インバータにおけるサイリスタの点弧とコンバータにおけるサイリスタの点弧とのタイミングを制御するタイミング制御回路とを備える。
【0008】
好ましくは、タイミング制御回路は、インバータにおけるサイリスタの点弧とコンバータにおけるサイリスタの点弧とのタイミングが重なった場合にコンバータあるいはインバータにおけるサイリスタの点弧を停止する。
【0009】
好ましくは、タイミング制御回路は、インバータにおけるサイリスタの点弧とコンバータにおけるサイリスタの点弧とのタイミングが重なった場合に既にコンバータあるいはインバータにおけるサイリスタの点弧が開始されている場合には点弧を継続するゲート防止回路を含む。
【0010】
ある実施形態に従えば、同期機を起動させるサイリスタ起動装置の制御方法であって、サイリスタ起動装置は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電力を平滑化する直流リアクトルと、コンバータから直流リアクトルを介して与えられる直流電力を可変周波数の交流電力に変換して同期機に供給するインバータとを含み、同期機の回転子位置を検出するステップと、検出信号に基づいて、インバータにおけるサイリスタの点弧位相を制御するステップと、検出信号に基づいて、直流リアクトルを流れる直流電流が電流指令値に一致するように、コンバータにおけるサイリスタの点弧位相を制御するステップと、インバータにおけるサイリスタの点弧とコンバータにおけるサイリスタの点弧とのタイミングを制御するステップとを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示のサイリスタ起動装置およびその制御方法は、ターンオンサージに起因するコモンモードノイズを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に従うサイリスタ起動装置100の構成を示す回路ブロック図である。
図2】比較例に従うインバータにおけるサイリスタの点弧とコンバータにおけるサイリスタの点弧とのタイミングが重なった場合のコモンモードノイズについて説明する図である。
図3】実施形態1に従うタイミング制御回路18の構成について説明する図である。
図4】実施形態1に従うタイミング制御回路18の動作について説明する図である。
図5】実施形態1の変形例に従うタイミング制御回路18の構成について説明する図である。
図6】実施形態2に従うサイリスタ起動装置100#の構成を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。
【0014】
図1は、実施の形態1に従うサイリスタ起動装置100の構成を示す回路ブロック図である。図1を参照して、実施の形態1に従うサイリスタ起動装置100は、停止している同期機20を所定の回転速度まで加速させることにより、同期機20を始動させる。
【0015】
同期機20は、電機子巻線ATU、ATV,ATWを有する固定子と、界磁巻線22とを有する回転子とを含む。同期機20は、たとえば火力発電所のガスタービンに結合されており、ガスタービンによって回転駆動される。以下の説明では、所定の回転速度を「定格回転速度」とも称する。
【0016】
サイリスタ起動装置100は、変圧器TRの二次側に接続されている。変圧器TRの一次側は交流電源30に接続されている。変圧器TRは、交流電源30から供給される三相交流電圧を所定の電圧値の三相交流電圧に変換してサイリスタ起動装置100に与える。
【0017】
サイリスタ起動装置100は、コンバータ1、直流リアクトル3、およびインバータ2を備える。コンバータ1は、少なくとも6個のサイリスタRP,SP,TP,RN,SN,TNを含む三相全波整流器である。サイリスタRP,SP,TPのカソードはともに正側出力端子1aに接続され、それらのアノードはそれぞれ入力端子1c,1d,1eに接続される。サイリスタRN,SN,TNのカソードはそれぞれ入力端子1c,1d,1eに接続され、それらのアノードはともに負側出力端子1bに接続される。コンバータ1は、変圧器TRからの三相交流電力を可変電圧の直流電力に変換する。
【0018】
直流リアクトル3は、コンバータ1の正側出力端子1aとインバータ2の正側出力端子2aとの間に接続される。直流リアクトル3は、コンバータ1から出力される直流電流Idを平滑化する。コンバータ1の負側出力端子1bとインバータ2の負側出力端子2bとは互いに接続される。なお、もう1つの直流リアクトル3が、コンバータ1の負側出力端子1bとインバータ2の負側出力端子2bとの間に接続されていてもよい。
【0019】
インバータ2の3つの出力端子2c,2d,2eは、同期機20の3つの電機子巻線ATU,ATV,ATWにそれぞれ接続される。インバータ2は、少なくとも6個のサイリスタU,V,W,X,Y,Zを含む三相他励式インバータである。サイリスタU,V,Wのアノードはともに正側入力端子2aに接続され、それらのカソードはそれぞれ出力端子2c,2d,2eに接続される。サイリスタX,Y,Zのアノードはそれぞれ出力端子2c,2d,2eに接続され、それらのカソードはともに負側入力端子2bに接続される。
【0020】
サイリスタ起動装置100は、変流器4,5、電圧検出器6、位置検出器7、電流検出器9、インバータ制御部10、コンバータ制御部13、タイミング制御回路18をさらに備える。
【0021】
変流器4は、変圧器TRからコンバータ1に流れる三相交流電流を検出し、検出値を示す信号を電流検出器9に与える。電流検出器9は、変流器4からの信号に基づいて、コンバータ1から出力される直流電流Idに比例した直流電流Id♯を演算し、その演算値を示す信号をコンバータ制御部13に与える。具体的には、電流検出器9は、全波整流型のダイオード整流器を有しており、検出された三相交流電流を整流し、直流電流Id♯に変換する。
【0022】
変流器5は、インバータ2から同期機20の電機子巻線ATU,ATV,ATWに流れる電流を検出し、検出値を示す信号を位置検出器7に与える。
【0023】
電圧検出器6は、インバータ2から同期機20に供給される三相交流電圧VU,VV,VWの瞬時値を検出し、検出値を示す信号を位置検出器7に与える。具体的には、電圧検出器6は、同期機20の電機子巻線ATU,ATV,ATWにおける三相交流電圧の線間電圧のうちの2つの線間電圧(図1では、U相-V相間の交流電圧VU-VVおよびV相-W相間の交流電圧VV-VWとする)を検出する。なお、電圧検出器6は、3つの線間電圧(U相-V相間の交流電圧VU-VV、V相-W相間の交流電圧VV-VWおよび、W相-U相間の交流電圧VW-VU)を検出する構成としてもよい。
【0024】
このように、U相-V相間の交流電圧VU-VV、V相-W相間の交流電圧VV-VWおよびW相-U相間の交流電圧VW-VUのうちの少なくとも2つの線間電圧を検出することにより、U相、V相、W相の交流電圧を計算により求めることができる。この線間電圧から相電圧への変換は、電圧検出器6または位置検出器7において行なわれる。
【0025】
位置検出器7は、変流器5および電圧検出器6からの信号に基づいて同期機20の回転子の位置を検出し、検出値を示す信号をインバータ制御部10およびコンバータ制御部13に与える。
【0026】
インバータ制御部10は、位置検出器7からの信号に基づいて、インバータ2の点弧位相を制御する。具体的には、インバータ制御部10は、制御角演算部11と、ゲートパルス発生器12とを含む。制御角演算部11は、検出された同期機20の回転子の位置に基づいて位相制御角(点弧角)γを演算し、演算した位相制御角γをゲートパルス発生器12に与える。ゲートパルス発生器12は、制御角演算部11から受けた位相制御角γに基づいてインバータ2のサイリスタのゲートに与えるゲートパルス(点弧指令)を生成する。インバータ制御部10は「第1の制御部」の一実施例に対応する。
【0027】
コンバータ制御部13は、位置検出器7からの信号、電流検出器9からの信号に基づいて、コンバータ1の点弧位相を制御する。具体的には、コンバータ制御部13は、電流検出器9により検出される直流電流Id♯が電流指令値Id*に一致するように、コンバータ1の点弧位相を制御する。なお、直流電流Id♯は直流電流Idに比例しているため、直流電流Id♯を電流指令値Id*に一致させることは、直流電流Idを電流指令値Id*に一致させることに相当する。コンバータ制御部13は「第2の制御部」の一実施例に対応する。
【0028】
具体的には、コンバータ制御部13は、速度制御部14と、電流制御部15と、制御角演算部16と、ゲートパルス発生器17とを含む。速度制御部14は、検出された同期機20の回転子の位置に基づいて、同期機20の回転速度を演算する。速度制御部14は、演算した回転速度に基づいて、直流電流Idの目標値である電流指令値Id*を生成する。
【0029】
電流制御部15は、直流電流Id♯を電流指令値Id*に追従させるための制御演算を実行して、電圧指令値VDC1*を生成する。例えば、電流制御部15は、電流指令値Id*と直流電流Id♯との偏差ΔIdを演算し、演算した偏差ΔIdを比例積分(PI:Proportional-Integral)演算することにより電圧指令値VDC1*を生成する。なお、電流制御部15は、比例積分微分(PID:Proportional-Integral-Differential)演算を行なうように構成されていてもよい。
【0030】
電圧指令値VDC1*は、コンバータ1が出力すべき直流電圧VDC1を規定する制御指令に相当する。なお、コンバータ1は、インバータ2の入力端子2a,2b側の直流電圧VDC2よりも直流リアクトル3による電圧降下分だけ大きくなるように直流電圧VDC1を制御する。これにより、直流電流Idが制御される。
【0031】
制御角演算部16は、電流制御部15から与えられる電圧指令値VDC1*に基づいて、位相制御角αを制御する。制御角演算部16は、演算した位相制御角αをゲートパルス発生器17に与える。
【0032】
ゲートパルス発生器17は、制御角演算部16から受けた位相制御角αに基づいてコンバータ1のサイリスタのゲートに与えるゲートパルス(点弧指令)を生成する。ゲートパルス発生器17によって生成されたゲートパルスに従ってコンバータ1がスイッチング制御されることにより、電流指令値Id*に従った直流電流Idがコンバータ1から出力される。
【0033】
タイミング制御回路18は、コンバータ1に対応して設けられ、インバータ2におけるサイリスタのゲートに与えるゲートパルス(点弧指令)とコンバータ1におけるサイリスタのゲートパルス(点弧指令)とのタイミングを制御する。
【0034】
図2は、比較例に従うインバータにおけるサイリスタの点弧とコンバータにおけるサイリスタの点弧とのタイミングが重なった場合のターンオンサージに起因するコモンモードノイズについて説明する図である。
【0035】
図2を参照して、コンバータ側のサイリスタのゲートパルス(点弧指令)とインバータ側のサイリスタのゲートパルス(点弧指令)とのタイミングが重なった場合(点線のタイミング)が示されている。
【0036】
この場合、当該図に示されるように、ターンオンサージによりコンバータおよびインバータのサイリスタのアノード-カソード間の電圧が同時に変動したことによりコモンモードノイズが発生する。
【0037】
本例においては、コンバータあるいはインバータと電気的に接続されている制御信号線に当該コモンモードノイズが重畳される。特に当該重畳されるコモンモードノイズはインバータとコンバータのスイッチングのタイミングが重なるときに大きくなる。
【0038】
これにより制御信号線にコモンモードノイズが発生するため誤動作を生じさせる可能性がある。
【0039】
図3は、実施形態1に従うタイミング制御回路18の構成について説明する図である。
【0040】
図3を参照して、タイミング制御回路18は、AND回路182と、NAND回路184と、ワンショットパルス生成回路186とを含む。
【0041】
ワンショットパルス生成回路186は、一例としてインバータ2からのゲートパルス(点弧指令)の入力が有った場合に所定のワンショットパルス信号をNAND回路184に出力する。
【0042】
NAND回路184は、コンバータ1からのゲートパルス(点弧指令)と、ワンショットパルス生成回路186からの出力信号との入力を受けてNAND論理演算結果をAND回路182に出力する。
【0043】
AND回路182は、コンバータ1からのゲートパルス(点弧指令)と、NAND回路184の出力信号との入力を受けてAND論理演算結果をゲートパルス(点弧指令)として出力する。
【0044】
図4は、実施形態1に従うタイミング制御回路18の動作について説明する図である。
【0045】
図4(A)を参照して、タイミング制御回路18にコンバータ1からのゲートパルスが入力された場合について説明する。この場合、インバータ2からのゲートパルスは入力されない場合について説明する。
【0046】
NAND回路184は、AND回路182にNAND論理演算結果(「1」)を出力する。
【0047】
AND回路182は、NAND回路184からの出力信号(「1」)とコンバータ1からのゲートパルス(「1」)を受けてゲートパルス(点弧指令)(「1」)を出力する。
【0048】
図4(B)を参照して、次に、タイミング制御回路18にコンバータ1からのゲートパルスおよびインバータ2からのゲートパルスが入力された場合について説明する。
【0049】
NAND回路184は、AND回路182にNAND論理演算結果(「0」)を出力する。
【0050】
AND回路182は、NAND回路184からの出力信号(「1」)とコンバータ1からのゲートパルス(「1」)を受けてゲートパルス(点弧指令)(「0」)を出力する。
【0051】
すなわち、AND回路182は、コンバータ1に対してゲートパルス(点弧指令)(「1」)を出力しない。
【0052】
これにより、コンバータ側のサイリスタのゲートパルス(点弧指令)とインバータ側のサイリスタのゲートパルス(点弧指令)とのタイミングが重なる場合には、コンバータ1のゲートパルスの出力を停止することにより、同時に点弧する状況を回避し、ターンオンサージに起因するコモンモードノイズの発生を抑止することが可能である。
【0053】
図4(C)を参照して、タイミング制御回路18にコンバータ1からのゲートパルスおよびインバータ2からのゲートパルスが入力されない場合には、そのままの状態を維持する。
【0054】
なお、本例においては、AND回路およびNAND回路を用いた論理回路を用いて当該構成について説明したがフリップフロップ回路を必要に応じて用いて同様の構成を実現することも可能である。
【0055】
当該構成により、タイミング制御回路18を設けることによりコンバータあるいはインバータへのゲートパルスが同時に入力されて同時にターンオンする状況を回避することが可能である。これにより、ターンオンサージに起因するコモンモードノイズの発生を回避して、制御信号線にコモンモードノイズが重畳されることを抑制して誤動作を回避することが可能である。
【0056】
図5は、実施形態1の変形例に従うタイミング制御回路18の構成について説明する図である。
【0057】
図5を参照して、実施形態1の変形例に従うタイミング制御回路18は、過小ゲート防止回路188をさらに設けた点が異なる。
【0058】
過小ゲート防止回路188は、AND回路182の出力を受けて動作する。
【0059】
具体的には、過小ゲート防止回路188は、コンバータ1へのゲートパルスが出力された場合に後にコンバータ1へのゲートパルスが停止する場合であっても当該コンバータ1へのゲートパルスを継続するための回路である。
【0060】
例えば、コンバータ1へのゲートパルスが出力され始めた直後に、インバータ2からのゲートパルスが入力された場合には、当該インバータ2からのゲートパルスの入力によりAND回路182の出力を停止する。この場合、コンバータ1へのゲートパルスが適切な時間の間、サイリスタに入力されない可能性がある。
【0061】
したがって、過小ゲート防止回路188は、当該場合にAND回路182からの出力信号が変化した場合であってもコンバータ1へのゲートパルスが適切な時間の間出力されるように状態を維持する。これによりコンバータ1を不安定にさせることなく安定的に動作させることが可能である。
【0062】
また、当該場合には、コンバータ1へのゲートパルスと、インバータ2からのゲートパルスのターンオンのタイミングにはずれが生じているため、ターンオンサージに起因するコモンモードノイズの発生は抑制することが可能であると考えられる。したがって、コモンモードノイズの発生を抑制して、制御信号線にノイズが重畳されることを抑制して誤動作を回避することが可能である。
【0063】
図6は、実施形態2に従うサイリスタ起動装置100#の構成を示す回路ブロック図である。図6を参照して、実施形態2に従うサイリスタ起動装置100#は、図1の実施形態1に従うサイリスタ起動装置100と比較して、タイミング制御回路18をタイミング制御回路19に変更した点が異なる。
【0064】
具体的には、タイミング制御回路19は、インバータ2に対応して設けられ、インバータ2におけるサイリスタのゲートに与えるゲートパルス(点弧指令)とコンバータ1におけるサイリスタのゲートパルス(点弧指令)とのタイミングを制御する。
【0065】
他の構成については実施形態1で説明したのと同様である。
【0066】
具体的には、により、コンバータ1側のサイリスタのゲートパルス(点弧指令)とインバータ2側のサイリスタのゲートパルス(点弧指令)とのタイミングが重なる場合には、インバータ2のゲートパルスの出力を停止することにより、同時に点弧する状況を回避し、コモンモードノイズの発生を抑止することが可能である。
【0067】
当該構成により、タイミング制御回路19を設けることによりコンバータあるいはインバータへのゲートパルスが同時に入力されて同時にターンオンする状況を回避することが可能である。これにより、ターンオンサージに起因するコモンモードノイズの発生を回避して、制御信号線にノイズが重畳されることを抑制して誤動作を回避することが可能である。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1 コンバータ、2 インバータ、3 直流リアクトル、4,5 変流器、6 電圧検出器、7 位置検出器、9 電流検出器、10 インバータ制御部、11,16 制御角演算部、12,17 ゲートパルス発生器、13 コンバータ制御部、14 速度制御部、15 電流制御部、18,19 タイミング制御回路、20 同期機、22 界磁巻線、30 交流電源、100,100# サイリスタ起動装置、182 AND回路、184 NAND回路、186 ワンショットパルス生成回路、188 過小ゲート防止回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6