IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャスティの特許一覧

<>
  • 特開-変位計測装置 図1
  • 特開-変位計測装置 図2
  • 特開-変位計測装置 図3
  • 特開-変位計測装置 図4
  • 特開-変位計測装置 図5
  • 特開-変位計測装置 図6
  • 特開-変位計測装置 図7
  • 特開-変位計測装置 図8
  • 特開-変位計測装置 図9
  • 特開-変位計測装置 図10
  • 特開-変位計測装置 図11
  • 特開-変位計測装置 図12
  • 特開-変位計測装置 図13
  • 特開-変位計測装置 図14
  • 特開-変位計測装置 図15
  • 特開-変位計測装置 図16
  • 特開-変位計測装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126223
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】変位計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/00 20060101AFI20240912BHJP
   G01B 5/24 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G01B5/00 A
G01B5/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034462
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】596112516
【氏名又は名称】株式会社ジャスティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 芳裕
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA01
2F062AA04
2F062AA81
2F062EE01
2F062EE62
2F062GG04
2F062GG57
(57)【要約】
【課題】変位計測対象物のあらゆる方向への変位量を直線的に安定して正確に計測する。
【解決手段】変位計測装置は全体が第1方向に伸縮可能なテレスコピック構造の測定子と測定子の基端部に設けられて測定子の基端部に対する先端部の変位量を計測する計測部とを備える。測定子は1の円筒体又は径が異なる複数の円筒体、及び最小径の円筒体に進退自在に挿入される先端部材からなり、伸縮方向に進退動作する際それに連動して基端部に回転動作を付与する回転付与機構を有する。計測部は測定子の基端部に連結された回転変位計と、この回転変位計を、第1方向と交差する第2方向に延びる内側回動軸を介して回動自在に支持する回動枠部と、を有し、回動枠部は、その外側において、第1方向及び第2方向と交差する第3方向に延びる外側回動軸を介して一対の支持部に回動自在に支持される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が第1方向に伸縮可能なテレスコピック構造の測定子と、
前記測定子の基端部に設けられて前記測定子の基端部に対する先端部の変位量を計測する計測部と、
を備え、
前記測定子は、
1の円筒体又は径が異なる複数の円筒体、及び前記1の円筒体又は前記複数の円筒体のうちの最小径の円筒体に進退自在に挿入されて先端部が変位計測対象物に取り付けられる円柱状又は円筒状の先端部材からなり、
前記1又は複数の円筒体及び前記先端部材は、外側の円筒体に対して内側の円筒体又は先端部材が伸縮方向に進退動作する際、その進退動作に連動して前記基端部に回転動作を付与する回転付与機構を有し、
前記計測部は、
前記測定子の基端部に連結されて前記先端部材に対する最大径の前記円筒体の回転角度を検出する回転変位計と、
この回転変位計を、前記第1方向と交差する第2方向に延びる内側回動軸を介して回動自在に支持する環状の回動枠部と、
を有し、
前記回動枠部は、その外側において、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延びる外側回動軸を介して一対の支持部に回動自在に支持され、
前記一対の支持部は、安全性評価用人体ダミーの体幹骨格部の脊椎部が延びる方向を前記第3方向として前記脊椎部に設けられ、前記測定子は、前記体幹骨格部の左右方向を前記第1方向として延び、前記測定子の先端部は、前記体幹骨格部の胸郭部に固定される
変位計測装置。
【請求項2】
前記計測部は、前記脊椎部に対する取付用基台を有し、
前記一対の支持部は、前記取付用基台の前記第3方向の両端から前記第1方向に立ち上がる一対の支持板である
請求項1記載の変位計測装置。
【請求項3】
前記回動枠部に設けられ、前記回転変位計の前記内側回動軸を中心とした回転角度を検出する第2の回転変位計を備える
請求項1又は2記載の変位計測装置。
【請求項4】
前記一対の支持部の一方に設けられ、前記回動枠部の前記外側回動軸を中心とした回転角度を検出する第3の回転変位計を備える
請求項1又は2記載の変位計測装置。
【請求項5】
前記回動枠部は、前記伸縮方向から見て前記第2方向の両側に、前記第3方向に平行な一対の平行枠部を有する
請求項4記載の変位計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線的に伸縮して変位計測対象物の変位量を計測可能な変位計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
相対変位する変位計測対象物に接続されて、例えば相対的な三次元の変位を計測する変位計測装置として、三次元変位計測システムが知られている(下記特許文献1参照)。この三次元変位計測システムは、変位計測対象物の6自由度の挙動を的確に計測し、非接触式のものより安価で小型なシステムを実現し、変位計測対象物への取付時の位置決めが容易とされている。
【0003】
また、例えば自動車の衝突試験等に用いられる安全性評価用人体ダミーの肋骨部と椎骨部との間に配置され、肋骨部の変位量を計測するタイプの変位計測装置も知られている(下記特許文献2参照)。この変位計測装置は、測定子が伸縮する際の進退動作を回転運動に変換して肋骨部の変位量を計測するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-315815号公報
【特許文献2】特開2022-182820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来技術の三次元変位計測システムでは、システムを構成する三次元変位検出ユニットにおいて、変位計測対象物に取付固定される測定子の変位を検出する変位計測装置が、連結ロッドの伸縮に伴い伸び縮みするワイヤの移動量を検出するワイヤタイプのものであるため、上記のような安全性評価用人体ダミーの肋骨部の変位量を計測する場合には、衝突時の肋骨部の変位速度にワイヤの収縮速度が追い付かず、正確に計測を行えないことがあった。また、肋骨部への衝突の力の入力方向が、変位計測装置が設置された2点間を結ぶ線分に対して変位計測装置の固定点に向けて斜め方向であったときには、連結ロッドの収縮が妨げられ、正確に計測を行えないことがあった。
【0006】
これらいずれの場合でも、変位計測対象物の変位量を直線的に安定して正確に計測することができず、従って、上記特許文献2に開示された従来技術の変位計測装置は、このような問題の解決を試みて提案されたものであった。
【0007】
本発明は、上述した従来技術を更に改良し、変位計測対象物のあらゆる方向への変位量を直線的に安定して正確に計測することができる変位計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る変位計測装置は、全体が第1方向に伸縮可能なテレスコピック構造の測定子と、前記測定子の基端部に設けられて前記測定子の基端部に対する先端部の変位量を計測する計測部と、を備え、前記測定子は、1の円筒体又は径が異なる複数の円筒体、及び前記1の円筒体又は前記複数の円筒体のうちの最小径の円筒体に進退自在に挿入されて先端部が変位計測対象物に取り付けられる円柱状又は円筒状の先端部材からなり、前記1又は複数の円筒体及び前記先端部材は、外側の円筒体に対して内側の円筒体又は先端部材が伸縮方向に進退動作する際、その進退動作に連動して前記基端部に回転動作を付与する回転付与機構を有し、前記計測部は、前記測定子の基端部に連結されて前記先端部材に対する最大径の前記円筒体の回転角度を検出する回転変位計と、この回転変位計を、前記第1方向と交差する第2方向に延びる内側回動軸を介して回動自在に支持する環状の回動枠部と、を有し、前記回動枠部は、その外側において、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延びる外側回動軸を介して一対の支持部に回動自在に支持され、前記一対の支持部は、安全性評価用人体ダミーの体幹骨格部の脊椎部が延びる方向を前記第3方向として前記脊椎部に設けられ、前記測定子は、前記体幹骨格部の左右方向を前記第1方向として延び、前記測定子の先端部は、前記体幹骨格部の胸郭部に固定される。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記計測部は、前記脊椎部に対する取付用基台を有し、前記一対の支持部は、前記取付用基台の前記第3方向の両端から前記第1方向に立ち上がる一対の支持板である。
【0010】
本発明の他の実施形態において、前記回動枠部に設けられ、前記回転変位計の前記内側回動軸を中心とした回転角度を検出する第2の回転変位計を備える。
【0011】
本発明の更に他の実施形態において、前記一対の支持部の一方に設けられ、前記回動枠部の前記外側回動軸を中心とした回転角度を検出する第3の回転変位計を備える。
【0012】
本発明の更に他の実施形態において、前記回動枠部は、前記伸縮方向から見て前記第2方向の両側に、前記第3方向に平行な一対の平行枠部を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、変位計測対象物のあらゆる方向への変位量を直線的に安定して正確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る変位計測装置を備えた安全性評価用人体ダミーの一部を透過して示す全体的な外観斜視図である。
図2】同変位計測装置の安全性評価用人体ダミーの体幹骨格部内への配置態様を示す上面図である。
図3】同変位計測装置の最大伸長時の状態を示す正面図である。
図4】同変位計測装置を示す上面図である。
図5】同変位計測装置の一部を断面で示す上面図である。
図6図5の一部拡大図である。
図7図4のA-A´線断面図である。
図8図4のB-B´線断面図である。
図9図7のC-C´線断面図である。
図10】同変位計測装置の最大収縮時の状態を示す断面図である。
図11】同変位計測装置の可動範囲の一例を説明するための図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る変位計測装置を示す正面図である。
図13】本発明の第3の実施形態に係る変位計測装置の一部を示す断面図である。
図14】本発明の第4の実施形態に係る変位計測装置を示す上面図である。
図15図14のD-D´線断面図である。
図16】本発明の第5の実施形態に係る変位計測装置の一部を断面で示す上面図である。
図17】同変位計測装置の可動範囲の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る変位計測装置を詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、以下の実施形態において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、実施形態においては、各構成要素の配置、縮尺及び寸法等が誇張或いは矮小化されて、実際のものとは一致しない状態で示されている場合、並びに一部の構成要素につき記載が省略されて示されている場合がある。なお、以下の実施形態は、本発明に係る変位計測装置を安全性評価用人体ダミーの体幹骨格部の内部に適用することで、安全性評価システムとして構成した場合を例示するものである。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る変位計測装置を備えた安全性評価用人体ダミーの一部を透過して示す全体的な外観斜視図である。図2は、この変位計測装置の安全性評価用人体ダミーの体幹骨格部内への配置態様を示す上面図である。図3は、この変位計測装置の最大伸長時の状態を示す正面図である。
【0017】
また、図4は、この変位計測装置を示す上面図である。図5は、この変位計測装置の一部を断面で示す上面図である。更に、図6図5の一部拡大図、図7図4のA-A´線断面図、図8図4のB-B´線断面図、図9図7のC-C´線断面図である。また、図10は、この変位計測装置の最大収縮時の状態を示す断面図、図11は、この変位計測装置の可動範囲の一例を説明するための図である。
【0018】
図1に示すように、安全性評価用人体ダミー(以下、「人体ダミー」と略記する。)100は、頭部101と、体幹部102と、一対の腕部103と、一対の脚部104と、を備えている。頭部101は、例えば首骨格部105を有する。体幹部102には、頭部101が設置される。一対の腕部103及び一対の脚部104は、体幹部102にそれぞれ取り付けられる。体幹部102は、例えば人体ダミー100の胸部、胴部及び腰部を構成している。
【0019】
体幹部102内には、体幹骨格部110が備えられる。体幹骨格部110は、例えば着座姿勢或いは立ち姿勢の人体ダミー100の体幹の骨格に相当する部分を構成し、体幹部102内の適正位置に設けられる。また、体幹骨格部110は、例えば首骨格部105を介して頭部101と接続されている。この体幹骨格部110は、例えば人体の脊椎に近似する脊椎部120及び人体の胸郭に近似する胸郭部130を備えている。
【0020】
脊椎部120は、例えば複数の椎骨部121を有している。胸郭部130は、一つの椎骨部121に対して人体ダミー100の左右方向に一組ずつ備えられるように、複数の肋骨部131を有している。そして、体幹骨格部110の内部には、本発明の第1の実施形態に係る変位計測装置10が複数設置されている。
【0021】
なお、以下の説明及び図面において、変位計測装置10のx軸方向(x方向)とは、人体ダミー100に配置された際の上下方向(第3方向)に相当するものとする。また、変位計測装置10のy軸方向(y方向)とは、人体ダミー100に配置された際の前後方向(第2方向)に相当するものとする。更に、変位計測装置10のz軸方向(z方向)とは、後述する測定子20の伸縮方向(第1方向)のみならず、人体ダミー100に配置された際の左右方向(第1方向)に相当するものとする。
【0022】
各変位計測装置10は、具体的には、図2に示すように、衝突試験等における人体ダミー100の肋骨部131が変形していない状態において、人体ダミー100の左右方向にそれぞれ測定子20の軸が配置されるように設置される。これにより、各変位計測装置10は、人体ダミー100の左右方向からの衝突等によってもたらされる肋骨部131の変形を変位量として計測可能である。
【0023】
また、各変位計測装置10は、人体ダミー100の左右方向、並びにこの左右方向を基準として肋骨部131の外部からの椎骨部121に向かう斜め上下方向及び斜め前後方向を含む各方向からの衝突等によってもたらされる肋骨部131の変形を三次元的な変形量として計測可能である。このように、各変位計測装置10は、上記の各方向にそれぞれ測定子20が全体的に伸縮可能となる状態で設置されている。
【0024】
すなわち、各変位計測装置10は、例えば体幹骨格部110の中心部を中心として、この中心を通る上記左右方向に沿った椎骨部121と左右の各肋骨部131との間に、それぞれ変位計測装置10の基端側及び先端側が取り付けられた状態で配置されている。なお、変位計測装置10は、図示は省略するが、例えば人体ダミー100の前後方向からの衝突等によってもたらされる胸郭部130の脊椎部120に対する変形量を計測可能となるように、この前後方向に測定子20が全体的に伸縮可能となる状態で別途追加して設置されていても良い。
【0025】
各変位計測装置10は、図2に示すように、測定子20と、計測部40と、を備えて構成されている。測定子20は、左右方向を含む上記各方向にそれぞれ全体が伸縮可能なテレスコピック構造を有する。計測部40は、測定子20の基端側(椎骨部121側)に対する先端側(肋骨部131側)の変位量を計測する。従って、各変位計測装置10は、本実施形態では変位計測対象物として、左右に配置された肋骨部131の変位量をそれぞれ計測する。
【0026】
図3図5並びに図7図8及び図10に示すように、変位計測装置10の測定子20は、全体が伸縮可能となるように、それぞれ径が異なる複数の円筒体22,23,24,25,26と、各円筒体22~26のうちの最小径の円筒体22に進退自在に挿入されて先端部21cが肋骨部131に取り付けられる円柱状又は円筒状の先端部材21と、からなる。なお、本実施形態においては、先端部材21は、例えば自在継手により構成された先端部21cを介して、肋骨部131の左右端部内側部分に対して取り付けられている。
【0027】
そして、このように構成された測定子20は、次のような特徴を備えている。すなわち、測定子20の各円筒体22~26及び先端部材21は、外側の円筒体22~26に対して内側の円筒体22~25又は先端部材21がz方向(第1方向)に進退動作する際、その進退動作に連動して回転動作を付与する回転付与機構を有している。
【0028】
この回転付与機構は、複数の円筒体22~26に設けられた、z方向に傾斜した溝部31,32,33,34,35又はガイド部(図示せず)と、複数の円筒体22~26のうちの最大径の円筒体26を除く円筒体22~25及び先端部材21の外周部に設けられ外側に隣接する円筒体22~26の溝部31~35又はガイド部に遊嵌する突起部11,12,13,14,15又はガイドピン(図示せず)と、を有する。
【0029】
本実施形態においては、回転付与機構は、上記のように、例えばそれぞれ外側に配置される円筒体22~26に設けられた傾斜した溝部31~35を有するように構成されている。また、回転付与機構は、内側に配置される円筒体22~25及び先端部材21の外周部である外周面21a,22a,23a,24a,25aから突出するように設けられ、外側に隣接する円筒体22~26の溝部31~35に対し遊びをもった状態で嵌まる(遊嵌する)突起部11~15を有するように構成されている。
【0030】
これら突起部11~15は、例えば円筒体22~25及び先端部材21の円周方向に沿って均等配置されている。また、突起部11~15は、隣接する円筒体22~25同士又は隣接する円筒体22及び先端部材21に設けられたものが、z方向から見て円周方向にずれて配置されている。
【0031】
具体的には、突起部11を例に挙げると、この突起部11は、例えば図4に示すように、先端部材21の円周方向に180°間隔で2つ設けられている。他の突起部12~15も、それぞれ円筒体22~25の円周方向に180°間隔でそれぞれ2つずつ設けられている。
【0032】
また、隣接する円筒体22~25同士に設けられた突起部12~15は、z方向から見て円周方向にずれて配置されている。更に、隣接する円筒体22及び先端部材21に設けられた突起部12,11は、z方向から見て円周方向にずれて配置されている。より具体的には、突起部11~15は、z方向から見て円周方向にそれぞれ90°ずつずれた状態で配置されている。
【0033】
一方、溝部31~35は、各円筒体22~26の軸(z軸)に対して所定角度、例えば2°~30°の範囲の角度(本実施形態では、例えば25°)で傾斜した状態で形成されている。各溝部31~35は、例えば各突起部11~15に対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0034】
各溝部31~35は、このように所定角度傾斜した状態でそれぞれ設けられることにより、各突起部11~15と共に、外側の円筒体22~26に対して内側の円筒体22~25又は先端部材21がz方向に進退動作する際に、その進退動作に連動して、外側の各円筒体22~26をz軸回りに回転動作させる回転付与機構を構成する。
【0035】
なお、各突起部11~15及び各溝部31~35は、例えば上記のような円周方向に沿って、120°間隔で3つ均等配置されたり、それ以上の数設けられたりしても良い。このように円周方向に均等配置することで、測定子20を伸縮方向(z方向)に伸縮させる力の偏りを極力防ぐことが可能となる。
【0036】
ここで、各溝部31~35及び各突起部11~15は、より具体的には次のように形成されることが好ましい。ここでは、図6に示すように、突起部13及び溝部33を例に挙げて説明するが、他の溝部31,32,34,35及び突起部11,12,14,15も同様に形成され得る。
【0037】
溝部33は、その開口部分の切欠内周面36が、円筒体24の内周面27側から外周面24a側に向けて開口径が広がるようなテーパ状に形成され得る。これに伴い、この溝部33に遊嵌する突起部13は、切欠内周面36に合致するテーパ状の突起外周面16を有するように形成され得る。
【0038】
なお、図示のように、突起部13は、例えば円筒体23の外周面23aに対して波ワッシャ17を介して取付ボルト18により取り付けられる。取付ボルト18のヘッド部18aと突起部13との間には、例えば平ワッシャ17aが備えられる。このような構造により、形状が合致する溝部33の切欠内周面36と突起部13の突起外周面16とが、上記進退動作に伴う回転動作時の摺動の際にも、最適な角度及び最適な当接力の下での面接触による遊嵌状態となるよう保たれる。
【0039】
また、図示は省略するが、各突起部11~15は、円周方向に均等配置されるのみならず、各溝部31~35の長手方向に沿うように、複数設けられていても良い。このようにすれば、測定子20の伸縮に伴い、先端部材21及び各円筒体22~26が、z軸に対して傾いた状態で進退動作してしまい、伸縮が阻害されてしまうことをより効果的に防止することができる。
【0040】
一方、変位計測装置10の計測部40は、矩形板状(例えば、正方形)の取付ベース(取付用基台)41を有する。この取付ベース41は、例えば複数形成されたボルト孔41a(図4等参照)に取付ボルト(図示せず)を挿入し、椎骨部121に形成されたネジ穴(図示せず)に締結することによって、椎骨部121に対して取付固定される。この取付ベース41には、取付ベース41のx方向の両端から測定子20の方向(z方向)に向かって立設された一対の支持部である一対の取付プレート(一対の支持板)41bが備えられている。
【0041】
一対の取付プレート41bの間には、例えば測定子20の伸縮方向(z方向)から見て、円形枠状(円環状)に形成された回動枠部41cが、回動軸(外側回動軸)41dを介して回動可能に取り付けられている。回動枠部41cは、具体的には、ジンバル機構を構成し、回動軸41dを介して、例えば取付ベース41の主面に平行で、且つz方向のz軸と直交するx軸回りに回動自在に配置されている。また、一対の取付プレート41bのx軸方向(第3方向)の一方の外側には、この回動枠部41cの回動軸41dを中心とした回転角度を検出するx軸回転変位計(第3の回転変位計)51が取り付けられている。そして、回動枠部41cは、例えばその外周部の大きさが、取付ベース41の主面上においてz方向に向かう空間領域の内側に収まるような大きさの形状をもって形成されている。
【0042】
一方、回動枠部41cの内側には、例えば測定子20の基端側に測定子20と一体的に設けられたz軸回転変位計50が、回動軸(内側回動軸)41fを介して回動可能に取り付けられている。z軸回転変位計50は、具体的には、円筒形状の外形を有し、例えばz軸及びx軸とそれぞれ直交するy軸回りに回動自在に配置されている。また、回動枠部41cのy軸に沿って対向する部分(y軸方向の対向部分)におけるy軸方向(第2方向)の一方の外側には、この回動枠部41cを介してz軸回転変位計50から延びた回動軸41fの回転角度、すなわちz軸回転変位計50の回動軸41fを中心とした回転角度を検出するy軸回転変位計(第2の回転変位計)52が取り付けられている。なお、回動枠部41cは、例えばその内周面(及び外周面)が、x軸方向及びy軸方向で形成される面におけるz軸方向の中心部から、それぞれz軸方向の枠端部に向けて傾斜するテーパ面(図示せず)を有するように形成されていても良い。
【0043】
なお、計測部40において、上述した取付ベース41及び取付プレート41b、回動枠部41c、回動軸41d、z軸回転変位計50、並びに回動軸41fの各部で自由度2のジンバル機構が構成されている。また、x軸回転変位計51及びy軸回転変位計52は、x軸及びy軸回りの回転角度をそれぞれ変位計測装置10全体の傾斜角として検出する傾斜角検出手段を構成する。
【0044】
計測部40は、図2に示すように、例えばx軸回転変位計51が、人体ダミー100に配置された際の上下方向(垂直方向)の下側(又は上側)に位置するように、回動軸41dの軸方向が上下方向(垂直方向)となる状態で、取付ベース41が椎骨部121に取り付けられて配置される。これにより、図11に示すように、回動枠部41cは、z軸に対してそれぞれx方向の回動軸41dを回動中心として、例えばy方向に±45°程度の範囲で回動することが可能となる。
【0045】
すなわち、第1の実施形態の変位計測装置10は、計測部40の回動枠部41cが、人体ダミー100の上下方向(x方向)に延びる回動軸41dによって支持されている。このため、人体ダミー100に対する前後の衝撃に対して、測定子20の先端部21cが前後方向(y方向)に大きく移動した場合でも、測定子20が一対の取付プレート41bと物理的に干渉することはない。
【0046】
これにより、測定子20の先端部21cが取り付けられた人体ダミー100の胸郭部130における各肋骨部131が、取付ベース41が取り付けられた脊椎部120における各椎骨部121に対して、前後方向(y方向)に大きく変形しても、上記のように測定子20の前後方向(y方向)における±45°程度の振れ幅を許容することが可能となる。従って、変位計測装置10は、特に人体ダミー100に対する前後方向の変位を、直線的に安定して正確に計測することができる。
【0047】
このように、図2に示した変位計測装置10の設置態様においては、肋骨部131に対する人体ダミー100の左右方向(z方向)のみならず、前後方向(y方向)、斜め前後方向からの力の入力に対しても、回動枠部41cがフレキシブルに対応して測定子20が伸縮動作することが可能となる。勿論、測定子20は、回動軸41f(図示せず)を中心としてy軸回りにも回動可能なので、人体ダミー100の左右斜め上下方向及び斜め前後方向における上下方向からの力の入力に対してもフレキシブルに伸縮可能である。このように、本実施形態の変位計測装置10は、測定子20による計測可能範囲を、従来のものよりもより一層広げて、あらゆる方向からの力の入力に対する変位を正確に計測することが可能となる。
【0048】
また、z軸回転変位計50は、例えば測定子20の最大径の円筒体26の基端側に設けられた回転板26dを介して、測定子20に一体的に設けられている。このz軸回転変位計50は、その外径が円筒体26の外径とほぼ同径、又は円筒体26の外径以下の径となるように構成されていると良い。
【0049】
本実施形態の計測部40におけるz軸回転変位計50は、例えばポテンショメータにより構成され得る。このようにz軸回転変位計50がポテンショメータにより構成される場合、ポテンショメータの回転シャフト57(図7図10参照)は、ポテンショメータの円筒状の外形の中心軸に沿ってz方向(第1方向)に延び、最大径の円筒体26の軸中心に取り付けられる。
【0050】
具体的には、図9に示すように、回転板26dは、先端部材21に対する最大径の円筒体26の基端側に、円筒体26の外周面26a側から、例えばx軸方向に沿ってそれぞれ螺合された一対の止めねじ41eによって取り付けられる。回転板26dを円筒体26に取り付けたら、ポテンショメータと回転板26dとの間にベアリング59(図7等参照)を介在させた上で、回転板26dの中心孔26eにネジ山を有する回転シャフト57を挿入する。
【0051】
その後、ナット58を回転シャフト57に取り付けて、ナット58を締め込むことにより、ポテンショメータと回転板26dとでベアリング59をz方向に挟み込んだ状態となる。このようにして、回転シャフト57が円筒体26の軸中心に据えられたz軸回転変位計50が、測定子20の基端部に一体的に接続されて設けられる。なお、ベアリング59は、ポテンショメータと測定子20とを回転自在に連結するものであるが、回転自在な連結構造を可能にする構成のものであれば、これに限定されるものではない。
【0052】
このように、測定子20に、回転板26dを介して一体的に接続されたz軸回転変位計50は、測定子20の基端に対する先端の変位量を直線的且つ正確に得るために、測定子20の伸縮に伴い回転する各円筒体22~26のうちの最大径の円筒体26の回転角度を検出し得る。
【0053】
また、z軸回転変位計50は、回動枠部41cの内側に配置され、回動枠部41cは、取付ベース41上の空間領域の内側に収まるように配置されているので、計測部40の全体的な小型化が可能となる。なお、各回転変位計50~52からの出力は、例えば取付ベース41に設けられた演算手段としてのセンサ回路42に入力される。センサ回路42は、計測部40の設置面積の大きさをなるべく拡大しないように、例えば取付ベース41の一つの隅部において、一つの取付プレート41bに隣接する主面上に配置されている。
【0054】
なお、特にポテンショメータからなるz軸回転変位計50は、測定子20の全変位量を表す任意の回転角が、所定の範囲で極力分解能が高くなるような検出信号を出力するように設定されている。センサ回路42は、肋骨部131の変位に伴い検出された最大径の円筒体26の回転角度を電圧に変換するz軸回転変位計50からの出力値に基づいて、肋骨部131のz方向の変位量(距離)を算出する。
【0055】
また、センサ回路42は、x軸回転変位計51及びy軸回転変位計52からのそれぞれの出力値に基づいて、変位計測装置10のx軸及びy軸の傾斜角を算出する。そして、センサ回路42は、これら複数の回転変位計50~52からの出力値に基づいて、肋骨部131の三次元的な変位量を算出する。
【0056】
第1の実施形態に係る変位計測装置10は、以上のような構造により、肋骨部131の三次元的な変位量を計測するときに、肋骨部131の変位速度に追従して測定子20が全体的に収縮し得る。また、肋骨部131への衝突の力の入力方向が上述した各方向であったとしても、取付ベース41及び回動枠部41cの脊椎部120への取付構造及び配置関係、各突起部11~15及び溝部31~35による回転付与機構、並びに計測部40のジンバル機構の作用等により、測定子20の収縮が妨げられることは皆無である。
【0057】
このため、各肋骨部131の三次元的な変位量を直線的に安定して正確に計測することが可能となる。なお、変位計測装置10は、測定子20が上記のような回転付与機構を備えたテレスコピック構造からなるため、繰り返し計測に供することが可能である。また、測定子20及び計測部40を含む各部の機構自体も簡易な構成であるため、安価に製造することが可能である。
【0058】
また、第1の実施形態によれば、z軸回転変位計50は、測定子20の基端部に直接取り付けられているので、ジンバル機構の他の枠部等に設置する場合に比べて、外径を大きくすることができる。例えば、本実施形態のように、z軸回転変位計50の外径を円筒体26の外径とほぼ同径となるようにすることができる。この場合には、回転角度に対する周長を長くすることができ、測定精度を向上させることができる。
【0059】
また、第1の実施形態によれば、z軸回転変位計50が測定子20の基端部に直接取り付けられているので、測定子20及び計測部40のz軸回転変位計50をコンパクトに設計することが可能である。例えば、本実施形態のように、z軸回転変位計50の外径を円筒体26の外径以下の径となるようにすることもできる。これにより、変位計測装置10は、例えば、胸郭部130の内側スペースよりも、より狭い設置スペースにおける三次元的な変位量の計測等に用いることも可能となる。
【0060】
更に、第1の実施形態によれば、z軸回転変位計50が測定子20の基端部に直接取り付けられて、取付ベース41の主面上の空間領域の内側に収まる円環状の回動枠部41cの内側に設けられているので、計測部40をコンパクトに設計することが可能である。これにより、変位計測装置10は、上記のようなより狭い設置スペースへの配置が容易な構造を備える。
【0061】
[第2の実施形態]
図12は、本発明の第2の実施形態に係る変位計測装置を示す正面図である。なお、図12を含む以降の説明においては、第1の実施形態と同一の構成要素に関しては同一の符号を付しているので、以下では重複する説明は省略する。
【0062】
図12に示すように、第2の実施形態に係る変位計測装置10Aは、測定子20及び計測部40の各部の構成は、第1の実施形態の変位計測装置10と同様であるが、計測部40において、z軸回転変位計50と共に、更に測定子20に可変抵抗器60が設けられた点が、第1の実施形態とは相違している。これにより、変位量を直線的に安定して正確に計測することについて、z軸回転変位計50の出力と可変抵抗器60の出力とを利用することで、より高い精度を期すことが可能となる。
【0063】
ここで、可変抵抗器60は、例えば測定子20の先端部材21に対する最大径の円筒体26と、その一つ内側の円筒体25とのz方向の変位を検出し得る。可変抵抗器60は、具体的には、円筒体25の外周面25a上に設けられた摺動子61と、円筒体26の内周面27上に設けられた抵抗体62と、から構成される。なお、図12中の円筒体25及び円筒体26に跨がる曲線は、曲線により区分けされた部分が、装置全体の断面とは異なる部分断面を表すことを示している。
【0064】
このように構成された可変抵抗器60からの出力値は、上述したようにz軸回転変位計50の出力値と共にセンサ回路42に入力され、これに基づき肋骨部131のz方向の変位量(距離)が算出される。なお、センサ回路42では、例えば入力した出力値に基づき、円筒体22~26の段数を係数として利用し、これに乗した結果により、先端部材21のz方向への移動距離を求めて肋骨部131の変位量を算出するようにしても良い。このような構成によっても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0065】
なお、第2の実施形態に係る変位計測装置10Aも、上述したようにz軸回転変位計50が測定子20に一体的に設けられており、例えば、ポテンショメータにより構成されていて、回動枠部41cの内側に配置されている。このため、z軸回転変位計50の全体及び計測部40の小型化を図りつつ、抵抗体に対してワイパー(摺動子)の位置を動かす回転体の直径を、z軸回転変位計50の内部で比較的大きく取ることが可能となる。これにより、小型化及び設置スペースの削減が可能にも拘わらず、z軸回転変位計50の分解能を求められる性能に維持或いはその向上を図ることが可能である。
【0066】
[第3の実施形態]
図13は、本発明の第3の実施形態に係る変位計測装置の一部を示す断面図である。
図13に示すように、第3の実施形態に係る変位計測装置10Bは、z軸回転変位計50が回転板26dを介して測定子20に一体的に接続されている点は、上述した第1及び第2の実施形態の変位測定装置10,10Aと同様であるが、z軸回転変位計50に別部材からなる回動軸(内側回動軸)41fが取り付けられた点が、第1及び第2の実施形態とは相違している。
【0067】
すなわち、図13に示すように、別部材からなる回動軸41fは、z軸回転変位計50のy軸方向(第2方向)の所定箇所に、y軸方向に沿って設けられた一対の差込孔50bにそれぞれ差し込まれる。回動軸41fは、差込孔50bに差し込まれる際に、z軸回転変位計50側から順に、スラストワッシャ52d、y軸回転変位計52の筐体52a及びベアリング52bを介して差し込まれる。
【0068】
回動軸41fの一方の端部に近い所定箇所には、z軸方向(第1方向)に貫通する穴部41faが備えられている。穴部41faは、z軸回転変位計50にz軸方向に延びるように設けられた固定孔50dと連通する。この固定孔50dに、z軸回転変位計50の下方側から固定ねじ50cを螺合することにより、固定ねじ50cの少なくとも先端部が回動軸41fの穴部41faにねじ止めされる。
【0069】
これにより、差込孔50bに差し込まれた回動軸41fが、z軸回転変位計50に対して固定される。なお、回動軸41fの他方の端部側には、y軸回転変位計52の変位計測軸52eのI字状先端部が嵌合するスリット部41fbが設けられている。このような嵌合構造によれば、y軸回転変位計52の原点位置を調整しやすい。
【0070】
このような構成によっても、第1及び第2の実施形態と同様の作用効果を奏することができると共に、z軸回転変位計50の外径に対してポテンショメータの回転体50aの直径を大きく取ることができる。これにより、第1及び第2の実施形態と同様に、z軸回転変位計50の分解能を求められる性能に維持或いはその向上を図ることが可能である。
【0071】
[第4の実施形態]
図14は、本発明の第4の実施形態に係る変位計測装置を示す上面図である。図15は、図14のD-D´線断面図である。
図14に示すように、第4の実施形態に係る変位計測装置10Cは、測定子20及び計測部40を備える点は、第1~第3の実施形態の変位計測装置10~10Bと同様であるが、z軸回転変位計50を内側に備える回動枠部41cが、伸縮方向(z方向)から見てy方向(第2方向)の両側に、x方向(第3方向)に平行な平行枠部41caを有する点が、第1~第3の実施形態とは相違している。
【0072】
このようにすれば、図15に示すように、回動枠部41cにおいて、y軸方向の距離を、平行枠部41ca間の距離Waのようにより狭めることができると共に、取付プレート41bの主面から回動枠部41cまでのz方向の距離Haをより短く構成することが可能となる。これにより、第1~第3の実施形態と同様の作用効果を奏することができると共に、更なる小型化及び設置スペースの削減が可能になる。
【0073】
[第5の実施形態]
図16は、本発明の第5の実施形態に係る変位計測装置の一部を断面で示す上面図である。図17は、変位計測装置の可動範囲の一例を説明するための図である。
図16に示すように、第5の実施形態に係る変位計測装置10Dは、測定子20及び計測部40を備える点は、第1~第3の実施形態の変位計測装置10~10Bと同様であるが、z軸回転変位計50を内側に備える回動枠部41cの内側に、y軸回転変位計52が設けられている点が、第1~第3の実施形態とは相違している。
【0074】
y軸回転変位計52は、z軸回転変位計50のy軸方向の一方の外形に形成された、y軸回転変位計52の筐体52aの形状に合わせた凹み等からなる取付部(図示せず)に取り付けられている。y軸回転変位計52の変位計測軸52eは、回動軸41fの外周面側を覆うような円筒状に形成され、回動枠部41cに一体的に取り付けられている。
【0075】
このような構成によっても、第1~第3の実施形態の変位計測装置10~10Bと同様の作用効果を奏することができると共に、回動枠部41cのy軸方向の外側にy軸回転変位計52のような障害物がない構造とすることができる。このため、図17に示すように、回動枠部41cは、z軸に対してそれぞれx方向の回動軸41dを回動中心として、例えばy方向に±45°の範囲か、y軸回転変位計52がない分だけ+又は-の方へそれ以上の範囲で回動することが可能となる。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0077】
例えば、上記の実施形態では、変位計測装置10,10Aの測定子20の基端に対する先端の変位量を、変位計測装置10ではz軸回転変位計50によって、また変位計測装置10Aではz軸回転変位計50及び可変抵抗器60を用いて、それぞれ検出することができるものとしたが、これに限定されるものではない。
【0078】
例えば、z軸回転変位計50の代わりに可変抵抗器60のみを備えるように、変位計測装置10,10Aを構成するようにしても良い。この場合でも、測定子20の伸縮に伴って測定子20の基端側が回転付与機構によって回転する。従って、可変抵抗器60をz軸回転変位計50と同様に回転板26dを介して接続し、円筒体26の回転変位を抵抗値の変化として検出して出力可能な構成とすれば、直線動作のみでの計測よりも、軋みや歪みなどの影響が出にくくなり、より正確な測定が可能になる。
【0079】
また、回転付与機構は、溝部31~35が円筒体22~26に対して螺旋状(スパイラル、ヘリカル)に形成されていたり、突起部11~15と溝部31~35との形成位置関係が、上記の例と反対であったりしても良い。更に、上述した実施形態における突起部11~15及び溝部31~35の形状は、遊嵌状態を維持可能な形状であればその他の種々の態様を採用し得る。
【0080】
また、測定子20の基端部に設けられたz軸回転変位計50は、例えば、最大径の円筒体26が基端側が閉塞された円筒体で構成される場合は、上述した回転板26dを介さずに、回転シャフト57をナット58で円筒体26の閉塞部分に直付けすることで、一体的に構成されても良い。
【符号の説明】
【0081】
10,10A~10D 変位計測装置
11~15 突起部
16 突起外周面
20 測定子
21 先端部材
21a 外周面
21c 先端部
22~26 円筒体
22a~26a 外周面
26d 回転板
27 内周面
31~35 溝部
36 切欠内周面
40 計測部
41 取付ベース
41c 回動枠部
41e 止めねじ
42 センサ回路
50 z軸回転変位計
51 x軸回転変位計
52 y軸回転変位計
57 回転シャフト
58 ナット
59 ベアリング
60 可変抵抗器
61 摺動子
62 抵抗体
100 安全性評価用人体ダミー
102 体幹部
110 体幹骨格部
120 脊椎部
121 椎骨部
130 胸郭部
131 肋骨部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17