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特開2024-126229無線品質データ解析装置、無線品質データ解析システム、無線品質データ解析方法、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126229
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】無線品質データ解析装置、無線品質データ解析システム、無線品質データ解析方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/38 20180101AFI20240912BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20240912BHJP
   H04W 72/23 20230101ALI20240912BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W24/08
H04W72/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034475
(22)【出願日】2023-03-07
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「リアルタイムアプリケーションを支える動的制御型周波数共用技術に関する研究開発、技術課題ア-(3)-I 通信環境モニタリング技術」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(72)【発明者】
【氏名】玉井 森彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晃朗
(72)【発明者】
【氏名】横山 浩之
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067BB27
5K067CC02
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】センサノードにおいてキャプチャデータが取得できなかった場合であっても、IQデータを解析することにより干渉の発生の有無を適切に検出する無線品質データ解析システムを実現する。
【解決手段】無線品質データ解析システムでは、キャプチャデータが取得できなかった場合において、IQデータの送信元を推定し、IQデータから位相回転量を取得し、取得した位相回転量を、推定した送信元の正常時の位相回転量の分布を用いて(例えば、正常時の位相回転量の分布が正規分布であると仮定し、当該分布から最尤推定で取得されるパラメータ(平均および分散)を用いて)、異常度を算出(取得)する。そして、無線品質データ解析装置システムでは、異常度に基づいて、送信されたIQサンプルを含む無線通信フレームを、異常状態(例えば、干渉波の影響を受けている状態)で送信されたフレームであると判定し、異常検出を行う。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信フレームからIQデータを取得可能であるセンサ装置から前記IQデータを含む信号を受信でき、かつ、無線通信フレームからキャプチャデータを取得可能であるキャプチャデータ取得装置から前記キャプチャデータを含む信号を受信できる通信インターフェースと、
前記IQデータと前記キャプチャデータとを同期させた同期化IQデータおよび同期化キャプチャデータを取得するとともに、前記キャプチャデータが取得できなかった場合に、前記IQデータの送信元を推定する送信元推定処理を行う同期処理部と、
(1)前記同期化IQデータと当該同期化IQデータに対応する同期化キャプチャデータが取得できる状況である正常時において、前記同期化IQデータの送信元ごとに、前記同期化IQデータから位相回転量を正常時位相回転量として取得し記憶保持し、(2)前記同期化IQデータに対応する同期化キャプチャデータが取得できなかった場合、前記同期処理部による前記送信元推定処理により推定された送信元を把握するとともに、前記同期化IQデータから位相回転量を取得し、取得した前記位相回転量に対して、前記推定された送信元の正常時の位相回転量の分布を用いて、異常度を算出する異常度算出処理を行い、前記異常度算出処理により取得された前記異常度に基づいて、干渉の有無を判定することで、異常検出を行う干渉検出部と、
を備える無線品質データ解析装置。
【請求項2】
前記干渉検出部は、
前記同期化IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、同期化信号強度データを取得する信号強度データ生成処理部と、
前記同期化信号強度データに対して、当該同期化信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを同期化信号検出データとして取得する信号検出データ生成処理部と、
前記同期化信号検出データと、当該同期化信号検出データに対応する前記同期化キャプチャデータが存在するか否かを判定することで、前記同期化IQデータと当該同期化IQデータに対応する同期化キャプチャデータが取得できたか否かを判定するキャプチャデータ検出処理部を備える、
請求項1に記載の無線品質データ解析装置。
【請求項3】
前記干渉検出部は、
1つの無線通信フレームに相当する前記同期化IQデータのサンプル列に対して高速フーリエ変換を行うことで、無線通信フレームの各OFDMシンボルに含まれるパイロット信号に相当するサブキャリアを抽出することで受信パイロット信号を取得し、取得した受信パイロット信号に対して、当該パイロット信号の変調用の疑似乱数データ列を乗算することで復調パイロット信号を取得し、隣接するOFDMシンボル間における前記復調パイロット信号の偏角を、パイロット信号のサブキャリア番号について積算し、前記偏角の積算値に基づく値を前記位相回転量として取得する、
請求項1または2に記載の無線品質データ解析装置。
【請求項4】
前記干渉検出部は、
正常時位相回転量の分布のパラメータである平均μおよび分散σを取得し、
前記同期化IQデータに対応する同期化キャプチャデータが取得できなかった場合において、前記同期化IQデータから取得した前記位相回転量をs(k:整数、k∈[1,M-1]、M:1つの無線通信フレームに含まれるOFDMシンボル数)とすると、異常度f(s)を
f(s)={(s-μ)/σ}
により取得する、
請求項1または2に記載の無線品質データ解析装置。
【請求項5】
前記干渉検出部は、
前記異常度f(s)が所定の閾値fth以下である場合、異常検出結果データg(s)を「0」とし、前記異常度f(s)が所定の閾値fth以下ではない場合、異常検出結果データg(s)を「1」とすることで、前記異常検出結果データg(s)を取得する、
請求項4に記載の無線品質データ解析装置。
【請求項6】
前記干渉検出部は、
前記異常検出結果データg(s)について、k∈[1,M-1]の範囲で「1」が連続する区間のうち、区間幅の最大値を最大区間幅hとして取得し、前記最大区間幅hが所定の閾値hthを超えている場合、「干渉あり」と判定する、
請求項5に記載の無線品質データ解析装置。
【請求項7】
無線通信フレームからIQデータを取得可能であるセンサ装置と、
無線通信フレームからキャプチャデータを取得可能であるキャプチャデータ取得装置と、
請求項1または2に記載の無線品質データ解析装置と、
を備える無線品質データ解析システム。
【請求項8】
無線通信フレームからIQデータを取得可能であるセンサ装置から前記IQデータを含む信号を受信し、および/または、無線通信フレームからキャプチャデータを取得可能であるキャプチャデータ取得装置から前記キャプチャデータを含む信号を受信する通信ステップと、
前記IQデータと前記キャプチャデータとを同期させた同期化IQデータおよび同期化キャプチャデータを取得するとともに、前記キャプチャデータが取得できなかった場合に、前記IQデータの送信元を推定する送信元推定処理を行う同期処理ステップと、
(1)前記同期化IQデータと当該同期化IQデータに対応する同期化キャプチャデータが取得できる状況である正常時において、前記同期化IQデータの送信元ごとに、前記同期化IQデータから位相回転量を正常時位相回転量として取得し記憶保持し、(2)前記同期化IQデータに対応する同期化キャプチャデータが取得できなかった場合、前記同期処理ステップによる前記送信元推定処理により推定された送信元を把握するとともに、前記同期化IQデータから位相回転量を取得し、取得した前記位相回転量に対して、前記推定された送信元の正常時の位相回転量の分布を用いて、異常度を算出する異常度算出処理を行い、前記異常度算出処理により取得された前記異常度に基づいて、干渉の有無を判定することで、異常検出を行う干渉検出ステップと、
を備える無線品質データ解析方法。
【請求項9】
請求項8に記載の無線品質データ解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術に関し、特に、無線品質の監視技術に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な機器の稼働状況の把握、制御などを目的として、工場、病院、商業施設などの屋内環境へのIoT(Internet of Things)デバイスの導入が進んでいる。
【0003】
対象環境下で期待される通信性能を達成、維持するためには、ネットワーク管理者が、対象環境下における無線品質の現状をできるだけ詳細に把握できることが重要である。例えば、対象環境下に複数のセンサノード(センサ装置)を配置し、当該複数のセンサノードを用いて無線品質に関するデータを取得し、解析することで、ネットワーク管理者が、対象環境下における無線品質の現状を詳細かつ適切に把握することが可能となる。
【0004】
無線品質の把握に役立つデータの一つとして、キャプチャデータ(各受信フレーム(受信した無線通信フレーム)から抽出したヘッダ情報の時系列)がある。キャプチャデータを取得することで、対象環境下のIoT機器(IoT:Internet of Things)から送信される各無線フレームについて、その送信タイミング、送受信先アドレス、再送の有無、など多様な情報を得ることができ、対象環境下の無線品質についての様々な推定(例えば、IoT機器ごとの受信成功率の時間推移の推定等)が可能となる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-161290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、キャプチャデータの取得に関する問題点として、キャプチャデータはセンサノードにおいてフレームの受信が成功した場合にのみ取得可能である、という点が挙げられる。特に、ある機器が送信したフレームが他の機器が発する電波等による干渉を受けた場合、センサノードにおいて復調処理が失敗し、キャプチャデータが得られない場合がある。干渉の発生はできることならば避けたい事象であり、対象環境下においてその有無を把握しておくことは重要である。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、センサノード(センサ装置)においてキャプチャデータが取得できなかった場合であっても、IQデータを解析することにより干渉の発生の有無を適切に検出する無線品質データ解析システム、無線品質データ解析装置、無線品質データ解析方法、および、プログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の発明は、通信インターフェースと、同期処理部と、干渉検出部と、を備える無線品質データ解析装置である。
【0009】
通信インターフェースは、無線通信フレームからIQデータを取得可能であるセンサ装置からIQデータを含む信号を受信でき、かつ、無線通信フレームからキャプチャデータを取得可能であるキャプチャデータ取得装置からキャプチャデータを含む信号を受信できる。
【0010】
同期処理部は、IQデータとキャプチャデータとを同期させた同期化IQデータおよび同期化キャプチャデータを取得するとともに、キャプチャデータが取得できなかった場合に、IQデータの送信元を推定する送信元推定処理を行う。
【0011】
干渉検出部は、(1)同期化IQデータと当該同期化IQデータに対応する同期化キャプチャデータが取得できる状況である正常時において、同期化IQデータの送信元ごとに、同期化IQデータから位相回転量を正常時位相回転量として取得し記憶保持し、(2)同期化IQデータに対応する同期化キャプチャデータが取得できなかった場合、同期処理部による送信元推定処理により推定された送信元を把握するとともに、同期化IQデータから位相回転量を取得し、取得した位相回転量に対して、推定された送信元の正常時の位相回転量の分布を用いて、異常度を算出する異常度算出処理を行い、異常度算出処理により取得された異常度に基づいて、干渉の有無を判定することで、異常検出を行う。
【0012】
この無線品質データ解析装置では、異常が発生していない状況(IQデータとそれに対応するキャプチャデータが取得できる状況)(正常時)において、IQデータの送信元ごとに、IQデータから位相回転量(正常時の位相回転量)を取得し記憶保持しておく。
【0013】
そして、この無線品質データ解析装置では、キャプチャデータが取得できなかった場合において、IQデータの送信元を推定し、IQデータから位相回転量を取得し、取得した位相回転量を、推定した送信元の正常時の位相回転量の分布を用いて(例えば、正常時の位相回転量の分布が正規分布であると仮定し、当該分布から最尤推定で取得されるパラメータ(平均および分散)を用いて)、異常度を算出(取得)する。そして、この無線品質データ解析装置では、異常度に基づいて、送信されたIQサンプルを含むフレーム(無線通信フレーム)を、異常状態(例えば、干渉波の影響を受けている状態)で送信されたフレームであると判定し、異常検出を行う(「干渉あり」と判定する)。
【0014】
このように処理することで、無線品質データ解析装置では、センサノード(センサ装置、および/または、キャプチャデータ取得装置)においてキャプチャデータが取得できなかった場合であっても、IQデータを解析することにより干渉の発生(異常状態の発生)の有無を適切に検出することができる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明であって、干渉検出部は、信号強度データ生成処理部と、信号検出データ生成処理部と、キャプチャデータ検出処理部とを備える。
【0016】
信号強度データ生成処理部は、同期化IQデータに対して、信号強度データ生成処理を行うことで、同期化信号強度データを取得する。
【0017】
信号検出データ生成処理部は、同期化信号強度データに対して、当該同期化信号強度データの値が所定の閾値を所定の期間連続して超えるタイミングを検出し、検出した当該タイミングを示すデータを同期化信号検出データとして取得する。
【0018】
キャプチャデータ検出処理部は、同期化信号検出データと、当該同期化信号検出データに対応する同期化キャプチャデータが存在するか否かを判定することで、同期化IQデータと当該同期化IQデータに対応する同期化キャプチャデータが取得できたか否かを判定する。
【0019】
これにより、この無線品質データ解析装置では、同期化信号検出データを用いて、当該同期化信号検出データに対応する同期化キャプチャデータが存在するか否かを判定することができる。
【0020】
第3の発明は、第1または第2の発明であって、干渉検出部は、1つの無線通信フレームに相当する同期化IQデータのサンプル列に対して高速フーリエ変換を行うことで、無線通信フレームの各OFDMシンボルに含まれるパイロット信号に相当するサブキャリアを抽出することで受信パイロット信号を取得し、取得した受信パイロット信号に対して、当該パイロット信号の変調用の疑似乱数データ列を乗算することで復調パイロット信号を取得し、隣接するOFDMシンボル間における復調パイロット信号の偏角を、パイロット信号のサブキャリア番号について積算し、偏角の積算値に基づく値を位相回転量として取得する。
【0021】
これにより、この無線品質データ解析装置では、隣接するOFDMシンボル間における復調パイロット信号の偏角に基づく位相回転量データを用いて、同期化IQデータを解析することができ、その解析結果に基づいて、高精度に、干渉検出(異常検知)を行うことができる。
【0022】
第4の発明は、第1または第2の発明であって、干渉検出部は、正常時位相回転量の分布のパラメータである平均μおよび分散σを取得し、同期化IQデータに対応する同期化キャプチャデータが取得できなかった場合において、同期化IQデータから取得した位相回転量をs(k:整数、k∈[1,M-1]、M:1つの無線通信フレームに含まれるOFDMシンボル数)とすると、異常度f(s)を
f(s)={(s-μ)/σ}
により取得する。
【0023】
これにより、この無線品質データ解析装置では、上記で取得される異常度f(s)を用いて、干渉検出処理を行うことができる。
【0024】
第5の発明は、第4の発明であって、干渉検出部は、異常度f(s)が所定の閾値fth以下である場合、異常検出結果データg(s)を「0」とし、異常度f(s)が所定の閾値fth以下ではない場合、異常検出結果データg(s)を「1」とすることで、異常検出結果データg(s)を取得する。
【0025】
これにより、この無線品質データ解析装置では、異常度の発生状況を2値の値で取得することができる。
【0026】
第6の発明は、第5の発明であって、干渉検出部は、異常検出結果データg(s)について、k∈[1,M-1]の範囲で「1」が連続する区間のうち、区間幅の最大値を最大区間幅hとして取得し、最大区間幅hが所定の閾値hthを超えている場合、「干渉あり」と判定する。
【0027】
これにより、この無線品質データ解析装置では、一定期間以上、異常度が高い状態が継続する区間を適切に検出でき、その結果、高精度に異常検出を行うことができる。
【0028】
第7の発明は、センサ装置と、キャプチャデータ取得装置と、第1または第2の発明である無線品質データ解析装置と、を備える無線品質データ解析システムである。
【0029】
これにより、第1または第2の発明と同様の効果を奏する無線品質データ解析システムを実現することができる。
【0030】
第8の発明は、通信ステップと、同期処理ステップと、干渉検出ステップと、を備える無線品質データ解析方法である。
【0031】
通信ステップは、無線通信フレームからIQデータを取得可能であるセンサ装置からIQデータを含む信号を受信し、および/または、無線通信フレームからキャプチャデータを取得可能であるキャプチャデータ取得装置からキャプチャデータを含む信号を受信する。
【0032】
同期処理ステップは、IQデータとキャプチャデータとを同期させた同期化IQデータおよび同期化キャプチャデータを取得するとともに、キャプチャデータが取得できなかった場合に、IQデータの送信元を推定する送信元推定処理を行う。
【0033】
干渉検出ステップは、(1)同期化IQデータと当該同期化IQデータに対応する同期化キャプチャデータが取得できる状況である正常時において、同期化IQデータの送信元ごとに、同期化IQデータから位相回転量を正常時位相回転量として取得し記憶保持し、(2)同期化IQデータに対応する同期化キャプチャデータが取得できなかった場合、同期処理ステップによる送信元推定処理により推定された送信元を把握するとともに、同期化IQデータから位相回転量を取得し、取得した位相回転量に対して、推定された送信元の正常時の位相回転量の分布を用いて、異常度を算出する異常度算出処理を行い、異常度算出処理により取得された異常度に基づいて、干渉の有無を判定することで、異常検出を行う。
【0034】
これにより、第1の発明と同様の効果を奏する無線品質データ解析方法を実現することができる。
【0035】
第9の発明は、第8の発明である無線品質データ解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0036】
これにより、第8の発明と同様の効果を奏する無線品質データ解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを実現することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、センサノード(センサ装置)においてキャプチャデータが取得できなかった場合であっても、IQデータを解析することにより干渉の発生の有無を適切に検出する無線品質データ解析システム、無線品質データ解析装置、無線品質データ解析方法、および、プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】第1実施形態に係る無線品質データ解析システム1000の概略構成図。
図2】第1実施形態に係る無線品質データ解析システム1000のセンサ装置S_node1、キャプチャデータ取得装置PC1、および、無線品質データ解析装置Ana_node1の概略構成図。
図3】第1実施形態に係る無線品質データ解析装置Ana_node1の同期処理部32の概略構成図。
図4】第1実施形態に係る無線品質データ解析装置Ana_node1の干渉検出部33の概略構成図。
図5】無線品質データ解析システム1000で実行される処理のフローチャート。
図6】無線品質データ解析システム1000で実行される処理のフローチャート。
図7】無線品質データ解析システム1000で実行される処理のフローチャート。
図8】無線品質データ解析システム1000で実行される処理のフローチャート。
図9】無線品質データ解析システム1000で実行される処理のフローチャート。
図10】無線品質データ解析システム1000で実行される処理のフローチャート。
図11】無線品質データ解析システム1000で実行される処理のフローチャート。
図12】無線品質データ解析システム1000で実行される処理のフローチャート。
図13】無線品質データ解析装置Ana_node1で実行される信号強度データ生成処理を説明するための図。
図14】無線品質データ解析装置Ana_node1で実行される信号検出データ生成処理を説明するための図。
図15】無線品質データ解析装置Ana_node1で実行されるキャプチャデータ検出処理を説明するための図。
図16】IEEE802.11a/gのフレーム構成を示す図。
図17】信号強度データ、第1位相回転量データsk、異常検知結果データg(sk)および異常検出結果データを時系列に示した図。
図18】無線品質データ解析装置Ana_node1で取得される、(1)信号強度データ(bisync)、(2)信号検出データ(cisync)、(3)キャプチャデータ(sisync)、および、(4)異常検出結果データ(データDoutに含まれるデータ)を、時間軸を一致させて時系列に表示させた図。
図19】CPUバス構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[第1実施形態]
第1実施形態について、図面を参照しながら、以下、説明する。
【0040】
<1.1:無線品質データ解析システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る無線品質データ解析システム1000の概略構成図である。
【0041】
図2は、第1実施形態に係る無線品質データ解析システム1000のセンサ装置S_node1、キャプチャデータ取得装置PC1、および、無線品質データ解析装置Ana_node1の概略構成図である。
【0042】
図3は、第1実施形態に係る無線品質データ解析装置Ana_node1の同期処理部32の概略構成図である。
【0043】
図4は、第1実施形態に係る無線品質データ解析装置Ana_node1の干渉検出部33の概略構成図である。
【0044】
無線品質データ解析システム1000は、例えば、図1に示すように、無線品質データ解析装置Ana_node1と、複数のセンサ装置(図1では、センサ装置S_node1、センサ装置S_node2、および、センサ装置S_node3)と、1または複数の通信機器(図1では、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtC)と、キャプチャデータ取得装置PC1とを備える。
【0045】
なお、説明便宜のため、図1に示すように、無線品質データ解析システム1000に、センサ装置S_node1、センサ装置S_node2、および、センサ装置S_node3の3つセンサ装置が含まれ、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtCの3つの通信機器が含まれ、さらに、キャプチャデータ取得装置PC1が含まれる場合について、以下説明する。
【0046】
通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtCは、例えば、狭空間内(例えば、工場内)に設置される。そして、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtCは、例えば、IEEE802.11a、b、g、n、ac、ax等の無線LAN規格に従い、互いに無線通信を行うことができる。通信機器RbtA、通信機器RbtB、および/または、通信機器RbtCは、例えば、無線通信機能付きの工作機械である。
【0047】
無線品質データ解析装置Ana_node1と、1または複数のセンサ装置とは、無線または有線で接続されており、互いに通信することができる。
【0048】
また、無線品質データ解析装置Ana_node1と、キャプチャデータ取得装置(例えば、無線通信機能付きパーソナルコンピュータ)PC1とは、無線または有線で接続されており、互いに通信することができる。
【0049】
(1.1.1:センサ装置)
センサ装置S_node1は、図2に示すように、アンテナAnt1と、RF処理部11と、同期用時刻管理部12と、IQデータ取得部13と、包絡線データ取得部14と、同期検出用データ生成部15と、第1通信インターフェース16とを備える。
【0050】
アンテナAnt1は、外部から放射(送信)された電波(RF信号)を受信するためのアンテナである。なお、アンテナAnt1は、送受信用アンテナであってもよい。
【0051】
RF処理部11は、アンテナAnt1を介して、外部からRF信号を受信し、受信したRF信号に対して受信用のRF処理(RF復調処理、AD変換等)を実行し、RF処理後の信号Sig0(例えば、ベースバンドOFDM信号(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing))を取得する。そして、RF処理部11は、RF処理後の信号Sig0をIQデータ取得部13に出力する。
【0052】
同期用時刻管理部12は、時間情報(時計情報)を管理しており、当該時間情報(時計情報)に基づいて、IQデータの取得タイミングを決定するための制御信号Ctl_tを生成する。そして、同期用時刻管理部12は、生成した制御信号Ctl_tをIQデータ取得部13に出力する。なお、同期用時刻管理部12は、時間情報をセンサ装置S_node1内に設けられた時計部(不図示)により取得される時間情報に基づいて、上記制御信号Ctl_tを生成するものであってもよく、あるいは、外部装置(例えば、PTP(Precision Time Protocol)等で時間同期した時間情報(時計情報)を保持している外部装置(例えば、無線品質データ解析装置Ana_node1))から他のセンサ装置と同期した時間情報を(例えば、第1通信インターフェース16を介して)取得し、当該時間情報に基づいて、上記制御信号Ctl_tを生成するものであってもよい。
【0053】
IQデータ取得部13は、RF処理部11から出力される信号Sig0と同期用時刻管理部12から出力される制御信号Ctl_tとを入力する。IQデータ取得部13は、制御信号Ctl_tにより決定されるタイミングで、信号Sig0から、I成分信号(同相成分信号)のデータ(I成分データ)と、Q成分信号(直交成分信号)のデータ(Q成分データ)とを取得し、取得したデータをデータD1_IQとして、包絡線データ取得部14、同期検出用データ生成部15、および、第1通信インターフェース16に出力する。なお、データD1_IQは、サンプルデータ(時系列データ)から構成されており、データD1_IQのi番目(i:整数)のサンプルデータをaと表記し、データD1_IQを構成するサンプルデータaの集合を{a}と表記する。また、データD1_IQのサンプルデータaのタイムスタンプ(取得時の時間情報)をa.tsと表記する。なお、IQデータ取得部13は、データD1_IQのサンプルデータaを取得した時刻の情報を(例えば、同期用時刻管理部12の時間情報に基づいて)タイムスタンプa.tsとして取得し、取得したタイムスタンプa.tsをデータD1_IQに含めるものとする。
【0054】
包絡線データ取得部14は、IQデータ取得部13から出力されるデータD1_IQを入力し、データD1_IQから、信号強度の時系列のデータD1_envを取得する。そして、包絡線データ取得部14は、取得したデータD1_envを第1通信インターフェース16に出力する。
【0055】
同期検出用データ生成部15は、IQデータ取得部13から出力されるデータD1_IQを入力する。同期検出用データ生成部15は、データD1_IQに対して同期検出用データ生成処理を実行し、同期検出用データD1_p(属性としてタイムスタンプのみを含む時系列データ)を生成する。そして、同期検出用データ生成部15は、生成した同期検出用データD1_pを第1通信インターフェース16に出力する。なお、データD1_pは、サンプルデータ(時系列データ)から構成されており、データD1_pのi番目(i:整数)のサンプルデータをpと表記し、データD1_pを構成するサンプルデータpの集合を{p}と表記する。また、データD1_pのサンプルデータpのタイムスタンプ(取得時の時間情報)をp.tsと表記する。
【0056】
第1通信インターフェース16は、例えば、有線または無線のネットワーク(所定のシリアルバス規格(例えば、USBやPCI Express)等に準拠した通信路を含む)を介して、外部の装置とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。第1通信インターフェース16は、IQデータ取得部13から出力されるデータD1_IQと、包絡線データ取得部14から出力されるデータD1_envと、同期検出用データ生成部15から出力されるデータD1_pとを入力し、入力したデータを有線または無線のネットワークを介して通信できる形式のデータにして無線品質データ解析装置Ana_node1に送信する。なお、データD1_IQの送信用データを送信データDtx(D1_IQ)と表記し、データD1_envの送信用データを送信データDtx(D1_env)と表記し、データD1_pの送信用データを送信データDtx(D1_p)と表記し、送信データDtx(D1_IQ)、送信データDtx(D1_env)および送信データDtx(D1_p)をまとめてセンサ装置S_node1の送信データDtx(S_node1)と表記する。
【0057】
センサ装置S_node2、および、センサ装置S_node3は、センサ装置S_node1と同様の構成を有している。
【0058】
(1.1.2:キャプチャデータ取得装置)
キャプチャデータ取得装置PC1は、図2に示すように、アンテナAnt_pcと、RF処理部21と、BB処理部22と、ヘッダ取得部23と、第2通信インターフェース24とを備える。キャプチャデータ取得装置PC1は、例えば、無線通信インターフェースを備えた市販のパーソナルコンピュータ(無線通信インターフェースカードを搭載した市販のパーソナルコンピュータ)により実現される。なお、図2では、キャプチャデータ取得装置PC1において、無線信号のヘッダデータを取得するために必要な機能部のみを示してしている。
【0059】
アンテナAnt_pcは、外部から放射(送信)された電波(RF信号)を受信するためのアンテナである。なお、アンテナAnt_pcは、送受信用アンテナであってもよい。
【0060】
RF処理部21は、アンテナAnt_pcを介して、外部からRF信号を受信し、受信したRF信号に対して受信用のRF処理(RF復調処理、AD変換等)を実行し、RF処理後の信号SigBB(例えば、ベースバンドOFDM信号)を取得する。そして、RF処理部21は、RF処理後の信号SigBBをBB処理部22に出力する。
【0061】
BB処理部22は、RF処理部21から出力されるRF復調信号SigBBに対して、ベースバンド復調処理(例えば、変調方式がOFDMである場合、ガードインターバル(GI)除去処理、FFT変換、デマッピング処理、パラレル/シリアル変換等の処理)を行うことで、ベースバンド復調信号D0を取得する。そして、BB処理部22は、取得したベースバンド復調信号D0をヘッダ取得部23に出力する。
【0062】
ヘッダ取得部23は、BB処理部22から出力されるベースバンド復調信号D0を入力する。ヘッダ取得部23は、ベースバンド復調信号D0に対してヘッダ取得処理を実行し、ヘッダデータ(キャプチャデータ)を取得する。なお、「ヘッダデータ」(キャプチャデータ)とは、無線システム(例えば、IEEE802.11a等)の仕様に基づき復調後のビット列をデコードして得られるフレームの列について、各フレームのヘッダ部分の情報を抽出した時系列データである。
【0063】
そして、ヘッダ取得部23は、取得したヘッダデータを含むデータをデータD2_headとして、第2通信インターフェース24に出力する。
【0064】
第2通信インターフェース24は、例えば、有線または無線のネットワーク(所定のシリアルバス規格(例えば、USBやPCI Express)等に準拠した通信路を含む)を介して、外部の装置とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。第2通信インターフェース24は、ヘッダ取得部23から出力されるデータD2_headを入力し、入力したデータを有線または無線のネットワークを介して通信できる形式のデータにして無線品質データ解析装置Ana_node1に送信する。なお、データD2_headの送信用データを送信データDtx(D2_head)と表記し、キャプチャデータ取得装置PC1から無線品質データ解析装置Ana_node1への送信データをDtx(PC1)と表記する。
【0065】
(1.1.2:無線品質データ解析装置)
無線品質データ解析装置Ana_node1は、図2に示すように、第3通信インターフェース31と、同期処理部32と、干渉検出部33とを備える。
【0066】
第3通信インターフェース31は、例えば、有線または無線のネットワーク(所定のシリアルバス規格(例えば、USBやPCI Express)等に準拠した通信路を含む)を介して、外部の装置とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。第3通信インターフェース31は、ネットワークを介して、センサ装置S_node1からの送信データDtx(S_node1)および/または送信データDtx(D1_IQ)やキャプチャデータ取得装置PC1からの送信データDtx(PC1)を受信する。
【0067】
第3通信インターフェース31は、センサ装置S_node1からの送信データDtx(D1_IQ)からIQデータD1_IQを抽出し、抽出したIQデータD1_IQを同期処理部32に出力する。また、センサ装置S_node1からの送信データDtx(D1_env)から包絡線データD1_envを抽出し、抽出した包絡線データD1_envを同期処理部32に出力する。また、第3通信インターフェース31は、センサ装置S_node1からの送信データDtx(D1_p)から同期検出用データD1_pを抽出し、抽出した同期検出用データD1_pを同期処理部32に出力する。また、第3通信インターフェース31は、キャプチャデータ取得装置PC1からの送信データDtx(PC1)からヘッダデータD2_headを抽出し、抽出したヘッダデータD2_headを同期処理部32に出力する。
【0068】
同期処理部32は、図3に示すように、TS同期処理部321と、同期化データ取得部322と、信号検出処理部323と、送信元推定処理部324と、第1データ記憶部325とを備える。
【0069】
TS同期処理部321は、第3通信インターフェース31から出力されるデータD1_pおよびデータD2_headを入力し、データD1_pおよびデータD2_headを用いて、TS同期処理(タイムスタンプの補正処理(調整処理))を行うことで、タイムスタンプが補正されたTS補正ヘッダデータD2’_headを取得する。そして、TS同期処理部32は、取得したTS補正ヘッダデータD2’_headを、同期化データ取得部322および送信元推定処理部324に出力する。
【0070】
同期化データ取得部322は、第3通信インターフェース31から出力されるIQデータD1_IQおよび包絡線データD1_envと、TS同期処理部321から出力されるTS補正ヘッダデータD2’_headとを入力する。そして、同期化データ取得部322は、包絡線データD1_envと、TS補正ヘッダデータD2’_headとを用いて、タイムスタンプ間の同期がとれている状態のIQデータDIQ sync(このデータ(データ列)を、便宜上、{a sync}と表記する)とヘッダデータ(キャプチャデータ)Dcapt sync(このデータ(データ列)を、便宜上、{s sync}と表記する)とを取得し、取得したデータ(同期がとれている状態のIQデータDIQ syncとキャプチャデータDcapt syncとを含むデータ)を、データD_syncとして、干渉検出部33に出力する。
【0071】
信号検出処理部323は、第3通信インターフェース31から出力される包絡線データD1_envを入力し、当該包絡線データD1_envに対して信号検出処理を実行することで、信号Sig_IQを検出し、検出した当該信号Sig_IQを送信元推定処理部324に出力する。
【0072】
送信元推定処理部324は、信号検出処理部323から出力される信号Sig_IQと、TS同期処理部321から出力される補正ヘッダデータD2’_headと、を入力する。そして、送信元推定処理部324は、信号Sig_IQに該当するヘッダデータが存在すると判定したとき、信号Sig_IQに該当するヘッダデータから信号Sig_IQの送信元uを取得する。その後、送信元推定処理部324は、信号Sig_IQに該当するヘッダデータが存在するときの信号Sig_IQに対して、例えば、特願2022-22815号に記載されている方法によって、平均位相特性抽出処理を実行して信号Sig_IQの開始サンプル番号sと平均位相特性mとを取得する。そして、送信元推定処理部324は、第1データ記憶部325において、送信元uと同じ送信元に対応付けられたFIFOメモリに、開始サンプル番号sと平均位相特性mとからなる特性値Cを保存する保存処理を実行する。
【0073】
一方、送信元推定処理部324は、信号Sig_IQに該当するヘッダデータが存在しないと判定したとき、信号Sig_IQに該当するヘッダデータが存在しないときの信号Sig_IQに基づいて送信元の推定処理を実行し、信号Sig_IQに基づいて取得した”開始サンプル番号sおよび平均位相特性m”からなる特性値CSig_IQに最も近い特性値Cを有する送信元uSig_IQを第1データ記憶部325に記憶された送信元u,u,・・・から検出し、その検出した送信元uSig_IQを信号Sig_IQの送信元として推定する推定処理を実行する。
【0074】
また、送信元推定処理部324は、干渉検出部33からの問合せデータInq(c sync)を入力し、当該問合せデータInq(c sync)に基づいて、送信元推定処理の結果データD_src_detを取得し、取得した送信元推定処理の結果データD_src_detを干渉検出部33に出力する。
【0075】
第1データ記憶部325は、複数のFIFOメモリを含んでおり、当該複数のFIFOメモリ(FIFO:First In First Out)は、送信元u,u,・・・,uNu(Nu:整数)ごとに割り当てられており(対応付けられており)、送信元u(k:整数、1≦k≦Nu)用のFIFOメモリには、送信元u用のデータ(例えば、送信元uのMACアドレス、特徴量データ等)が記憶保持される。
【0076】
第1データ記憶部325に含まれる複数のFIFOメモリは、それぞれ、送信元u,u,・・・に対応付けられている。
【0077】
送信元u用のFIFOメモリは、送信元u(k:整数、1≦k≦Nu)のMACアドレスMACkと、サンプルデータの特性値C1_k,C2_k,・・・,CN_kとを記憶する。Nは、各FIFOメモリに格納可能な特性値の最大数nfifoである。特性値C1_k,C2_k,・・・,CN_kの各々は、ヘッダデータのプリアンブルの開始サンプル番号sと平均位相特性mとからなる(例えば、特願2022-22815号に記載されている内容を参照)。
【0078】
そして、送信元u用のデータ、すなわち、[送信元u/MAC1/C1_1,C2_1,・・・,CN_1],[送信元u/MAC2/C1_2,C2_2,・・・,CN_2],・・・は、デコードに成功したフレームの集合に基づいて、予め、第1データ記憶部325に記憶されている。
【0079】
干渉検出部33は、図4に示すように、信号強度データ生成処理部331と、信号検出データ生成処理部332と、干渉検出処理部333とを備える。
【0080】
信号強度データ生成処理部331は、同期処理部32から出力されるデータDIQ sync(データD_syncに含まれるデータ{a sync})を入力し、当該データDIQ syncを用いて、信号強度データ生成処理を実行し、当該処理により取得されたデータを、データD31(このデータ(データ列)を、便宜上、{b sync}と表記する)として、信号検出データ生成処理部332に出力する。
【0081】
信号検出データ生成処理部332は、信号強度データ生成処理部331から出力されるデータD31を入力し、当該データD31に対して信号強度データ生成処理を実行し、当該処理により取得されたデータを、データD32(このデータ(データ列)を、便宜上、{c sync}と表記する)として、干渉検出処理部333に出力する。
【0082】
干渉検出処理部333は、図4に示すように、キャプチャデータ検出処理部3331と、IQデータ保存処理部3332と、第2データ記憶部3333と、位相回転量抽出処理部3334と、異常検知部3335と、干渉検出データ取得部3336とを備える。
【0083】
キャプチャデータ検出処理部3331は、信号検出データ生成処理部332から出力されるデータD32と、同期処理部32から出力されるデータDcapt syncとを入力する。そして、キャプチャデータ検出処理部3331は、信号検出データc syncに対応する送信元が推定できているか否かを送信元推定処理部324に問い合わせるための問合せデータInq(c sync)を生成し、当該問合せデータInq(c sync)を送信元推定処理部324に出力する。キャプチャデータ検出処理部3331は、送信元推定処理部324から出力されるデータD_src_detを受け、当該データD_src_detから、データc syncに対応する送信元が推定できたか否かを判断する。
【0084】
データc syncに対応する送信元が推定できた場合、キャプチャデータ検出処理部3331は、信号検出データD32(信号検出データc sync)に対応するキャプチャデータが存在するか否かを判定する。
(1)判定の結果、信号検出データD32(信号検出データc sync)に対応するキャプチャデータが存在しないと判定された場合、キャプチャデータ検出処理部3331は、信号検出データD32(信号検出データc sync)に対応するキャプチャデータが存在しないことを示すデータ、および、送信元推定処理部324から取得した送信元推定処理結果データ(データD_src_detから取得されるデータ)をデータD_cap_detに含め、当該データD_cap_detをIQデータ保存処理部3332および干渉検出データ取得部3336に出力する。
(2)信号検出データD32(信号検出データc sync)に対応するキャプチャデータが存在すると判定された場合、キャプチャデータ検出処理部3331は、信号検出データD32(信号検出データc sync)に対応するキャプチャデータが存在することを示すデータをデータD_cap_detに含め、当該データD_cap_detをIQデータ保存処理部3332および干渉検出データ取得部3336に出力する。
【0085】
IQデータ保存処理部3332は、同期化データ取得部322から出力されるデータDIQ syncと、信号検出データ生成処理部332から出力されるデータD32と、キャプチャデータ検出処理部3331から出力されるデータD_cap_detとを入力する。
(1)データD_cap_detが、キャプチャデータ検出処理部3331によりキャプチャデータが正常に取得されたことを示す場合、IQデータ保存処理部3332は、データD32(データc sync)に対応するデータDIQ sync(データa sync)(干渉を受けていないフレーム(無線通信フレーム)のIQサンプル列)を、データD33として、第2データ記憶部3333に出力し、当該データD33を第2データ記憶部3333に記憶させる(送信元ごとに用意されたFIFOメモリに記憶させる)。
(2)データD_cap_detが、キャプチャデータ検出処理部3331によりキャプチャデータが取得されず、かつ、送信元を推定できたことを示す場合、IQデータ保存処理部3332は、データD32(データc sync)に対応するデータDIQ sync(データa sync)および推定された送信元のデータを含むデータを、データD33として、位相回転量抽出処理部3334に出力する。
【0086】
第2データ記憶部3333は、複数のFIFOメモリを含んでおり、当該複数のFIFOメモリは、送信元u,u,・・・,uNu(Nu:整数)ごとに割り当てられており(対応付けられており)、送信元u(k:整数、1≦k≦Nu)用のFIFOメモリには、送信元u用のデータ(IQデータ列)が記憶保持される。第2データ記憶部3333は、IQデータ保存処理部3332、および/または、位相回転量抽出処理部3334からの指令(データ書き込み指令、および/または、データ読み出し指令、FIFOメモリの占有状態を示すデータの読み出し指令等)に基づいて、データ書き込み処理、データ読み出し処理、FIFOメモリの占有状態を示すデータの読み出し処理等を行う。第2データ記憶部3333は、IQデータ保存処理部3332から出力されるデータD33を入力し、当該データD33を記憶保持する。また、第2データ記憶部3333は、位相回転量抽出処理部3334からデータ読み出し指令に従い読み出したデータを、データD34として、位相回転量抽出処理部3334に出力する。
【0087】
位相回転量抽出処理部3334は、IQデータ保存処理部3332から出力されるデータD33と、第2データ記憶部3333から出力されるデータD34とを入力する。位相回転量抽出処理部3334は、データD33(データ{a sync})に対して、位相回転量抽出処理(後述)を行い、当該処理後のデータを、データD351(データ{s}(k:整数、k∈[1,M-1]、M:データ列{c sync}に該当する部分のIQサンプル列({a sync})に含まれるOFDMシンボル数))として、異常検知部3335に出力する。また、位相回転量抽出処理部3334は、データD34(フレームの送信元に対応するFIFOから取り出したデータ(1フレームに相当するIQサンプル列))に対して、位相回転量抽出処理(後述)を行い、当該処理後のデータを、データD352(データ{r all})として、異常検知部3335に出力する。
【0088】
異常検知部3335は、位相回転量抽出処理部3334から出力されるデータD351(データ{s})およびデータD352(データ{r all})を入力する。異常検知部3335は、データD351(データ{s})およびデータD352(データ{r all})を用いて、異常検知処理(後述)を行い、当該処理結果のデータを、データD36として、干渉検出データ取得部3336に出力する。
【0089】
干渉検出データ取得部3336は、キャプチャデータ検出処理部3331から出力されるデータD_cap_detと、異常検知部3335から出力されるデータD36とを入力する。干渉検出データ取得部3336は、データD_cap_detおよびデータD36に基づいて、干渉検出データを取得し、取得した干渉検出データを、データDoutとして出力する。
【0090】
<1.2:無線品質データ解析システムの動作>
以上のように構成された無線品質データ解析システム1000の動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0091】
図5図12は、無線品質データ解析システム1000で実行される処理のフローチャートである。
【0092】
図13は、無線品質データ解析装置Ana_node1で実行される信号強度データ生成処理を説明するための図である。
【0093】
図14は、無線品質データ解析装置Ana_node1で実行される信号検出データ生成処理を説明するための図である。
【0094】
図15は、無線品質データ解析装置Ana_node1で実行されるキャプチャデータ検出処理を説明するための図である。
【0095】
図16は、IEEE802.11a/gのフレーム構成を示す図である。
【0096】
図17は、信号強度データ、第1位相回転量データs、異常検知結果データg(s)および異常検出結果データを時系列に示した図である。
【0097】
図18は、無線品質データ解析装置Ana_node1で取得される、(1)信号強度データ(b sync)、(2)信号検出データ(c sync)、(3)キャプチャデータ(s sync)、および、(4)異常検出結果データ(データDoutに含まれるデータ)を、時間軸を一致させて時系列に表示させた図である。
【0098】
以下では、説明便宜のため、狭空間(例えば、工場内)に、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtC、並びに、センサ装置S_node1~S_node3が設置されており、キャプチャデータ取得装置PC1(例えば、無線通信機能付きパーソナルコンピュータ)およびセンサ装置S_node1が無線品質データ解析装置Ana_node1に接続されている場合(一例)について説明する。
【0099】
(1.2.1:センサ装置での処理)
まず、センサ装置での処理について、説明する。
【0100】
図1に示すように、センサ装置S_node1~S_node3は、それぞれ、設置された無線通信環境下において、外部(自装置外)から放射(送信)された電波(無線信号)を受信し、受信した無線信号に対して所定の処理を行うことで、例えば、(1)受信した無線信号のIQデータ(IQデータのサンプル列)、(2)受信した無線信号の信号強度に関するデータ(包絡線データ)、および、(3)同期検出用データ等を取得する。
【0101】
センサ装置S_node1は、アンテナAnt1により、外部から放射(送信)された電波(RF信号)を受信し、受信したRF信号に対して受信用のRF処理(RF復調処理、AD変換等)を実行し、RF処理後の信号Sig0(例えば、ベースバンドOFDM信号)を取得する。そして、センサ装置S_node1のRF処理部11は、RF処理後の信号Sig0をIQデータ取得部13に出力する。
【0102】
IQデータ取得部13は、同期用時刻管理部12からの制御信号Ctl_tにより決定されるタイミングで、RF処理部11から出力される信号Sig0から、I成分信号(同相成分信号)のデータ(I成分データ)と、Q成分信号(直交成分信号)のデータ(Q成分データ)とを取得し、取得したデータをデータD1_IQとして、第1通信インターフェース16、包絡線データ取得部14および同期検出用データ生成部15に出力する。
【0103】
なお、データD1_IQは、サンプルデータ(時系列データ)から構成されており、データD1_IQのi番目(i:整数)のサンプルデータ(IQデータのサンプルデータ)をa(i:整数、iはサンプル番号)と表記し、IQデータaのサンプル列を{a}と表記する。また、IQデータaは、I成分とQ成分からなる複素数である。
【0104】
包絡線データ取得部14は、IQデータ取得部13から出力されるデータD1_IQから、信号強度の時系列のデータD1_envを取得する。
【0105】
センサ装置S_node1の包絡線データ取得部14は、例えば、下記文献Aに開示されているように、矩形で表現されたデータ(矩形データ)として、受信した無線信号Sig0の信号強度に関するデータ(包絡線データD1_env)を取得する。
(文献A):特開2022-13033号公報
1つのIQサンプル(信号Sigの1サンプルデータに相当)のI成分の値およびQ成分の値を、それぞれ、IおよびQとすると、包絡線データ取得部14は、当該IQサンプルの信号強度Sを、
S=10×log10(I+Q
として取得する。
【0106】
「矩形データ」は、矩形を特定するデータを含むものであればよく、例えば、(1)開始時点、終了時点、Y軸値を含むデータや、(2)開始時点、継続時間、Y軸値を含むデータである。
【0107】
そして、包絡線データ取得部14は、取得したデータD1_envを第1通信インターフェース16に出力する。
【0108】
なお、データD1_envは、サンプルデータ(時系列データ)から構成されており、データD1_envのi番目(i:整数)のサンプルデータをD1_envと表記し、サンプルデータD1_envのタイムスタンプ(取得時の時間情報)をD1_env.tsと表記する。
【0109】
センサ装置S_node1の同期検出用データ生成部15は、IQデータ取得部13から出力されるデータD1_IQに対して同期検出用データ生成処理を実行し、同期検出用データD1_p(属性としてタイムスタンプのみを含む時系列データ)を生成する。この同期検出用データ生成処理は、例えば、文献Aに開示されている同期検出用データ生成処理と同様の方法により実現される。そして、同期検出用データ生成部15は、同期検出用データ生成処理により取得したデータを、データD1_pとして、第1通信インターフェース16に出力する。
【0110】
第1通信インターフェース16は、IQデータ取得部13から出力されるデータD1_IQ(={a})と、包絡線データ取得部14から出力されるデータD1_envと、同期検出用データ生成部15から出力されるデータD1_pとを入力し、入力したデータを有線または無線のネットワークを介して通信できる形式のデータ(Dtx(D1_IQ)、Dtx(D1_env)、および、Dtx(D1_p))にして無線品質データ解析装置Ana_node1に送信する。
【0111】
(1.2.2:キャプチャデータ取得装置PC1での処理)
次に、キャプチャデータ取得装置PC1での処理について、説明する。
【0112】
キャプチャデータ取得装置PC1は、アンテナAnt_pcにより、外部から放射(送信)された電波(RF信号)を受信し、受信したRF信号に対して受信用のRF処理(RF復調処理、AD変換等)を実行し、RF処理後の信号SigBB(例えば、ベースバンドOFDM信号)を取得する。そして、キャプチャデータ取得装置PC1は、RF処理後の信号SigBBをBB処理部22に出力する。
【0113】
BB処理部22は、RF処理部21から出力されるRF復調信号SigBBに対して、ベースバンド復調処理(例えば、変調方式がOFDMである場合、ガードインターバル(GI)除去処理、FFT変換、デマッピング処理、パラレル/シリアル変換等の処理)を行うことで、ベースバンド復調信号D0を取得する。そして、BB処理部22は、取得したベースバンド復調信号D0をヘッダ取得部23に出力する。
【0114】
ヘッダ取得部23は、BB処理部22から出力されるベースバンド復調信号D0に対してヘッダ取得処理を実行し、ヘッダデータ(受信した無線信号に含まれるヘッダ(無線信号を復調して取得される無線フレームのヘッダ)に関する情報(例えば、IEEE802.11a等の仕様に基づく各フレームのヘッダ部分の情報))を取得する。ヘッダ取得部23は、例えば、ソフトウェア処理により(例えば、tcpdump等のプログラム(パケットキャプチャ用のソフトウェア)を実行させることにより)、ヘッダ取得処理を実行し、ヘッダデータを取得してもよい。
【0115】
フレームのヘッダ部分から抽出可能な代表的な情報として、以下のような情報がある。
(1)送信元MACアドレス
(2)受信先MACアドレス
(3)フレーム長(バイト数)
(4)フレームの種類(Beacon、Data、Ackなど)
(5)再送フラグ
(6)シーケンス番号
(7)データレート(6Mbps,54Mbpsなど)
したがって、キャプチャデータ取得装置PC1のヘッダ取得部23は、フレームのヘッダを解析する処理(例えば、tcpdump等を用いたヘッダ解析処理)を行い、例えば、フレームの開始時点、継続時間、送信元、送信先を含むデータを取得し、取得した当該データに対応する矩形データを取得する。
【0116】
例えば、ヘッダ取得部23は、各矩形に対応するヘッダデータ(i番目の無線フレームのヘッダデータをsと表記する)を、以下の形式のデータとして取得する。
ヘッダデータs
.type:データのタイプ
.s2d:送信元→送信先の情報
.ts:タイムスタンプ(無線フレームの開始時刻)
.dur:無線フレームの継続時間
.hd:無線フレームのヘッダ部分から抽出した情報(送信元MACアドレス等)
なお、キャプチャデータ取得装置PC1は、時計部(不図示)を有しており、無線フレームの開始時刻の時間(時刻)を時計部により取得し、取得した当該時間(時刻)を当該無線フレーム(ヘッダデータs)のタイムスタンプ(s.ts)に設定する。
【0117】
また、s.s2dは、例えば、「送信元→送信先」という表記で示される。
【0118】
ヘッダ取得部23は、上記のようにしてヘッダデータD1_head(データs)を取得し、取得したヘッダデータD1_headを第2通信インターフェース24に出力する。
【0119】
第2通信インターフェース24は、ヘッダ取得部23から出力されるデータD2_headを入力し、入力したデータを有線または無線のネットワークを介して通信できる形式のデータDtx(D2_head)にして無線品質データ解析装置Ana_node1に送信する。なお、キャプチャデータ取得装置PC1での処理は、例えば、特開2022-13033号公報に開示されているキャプチャデータ取得装置PC1での処理と同様の処理としてもよい。
【0120】
(1.2.3:無線品質データ解析装置Ana_node1での処理)
次に、無線品質データ解析装置Ana_node1での処理について、説明する。
【0121】
無線品質データ解析装置Ana_node1の第3通信インターフェース31は、ネットワーク(所定のシリアルバス規格(例えば、USBやPCI Express)等に準拠した通信路を含む)を介して、センサ装置S_node1からの送信データDtx(D1_IQ)、Dtx(D1_env)およびDtx(D1_p)と、キャプチャデータ取得装置PC1からの送信データDtx(D2_head)とを受信する。
【0122】
第3通信インターフェース31は、センサ装置S_node1からの送信データDtx(D1_IQ)からIQデータD1_IQ(={a})を抽出し、抽出したIQデータD1_IQを同期処理部32に出力する。また、第3通信インターフェース31は、センサ装置S_node1からの送信データDtx(D1_env)から包絡線データD1_envを抽出し、抽出した包絡線データD1_envを同期処理部32に出力する。また、第3通信インターフェース31は、センサ装置S_node1からの送信データDtx(D1_p)から同期検出用データD1_pを抽出し、抽出した同期検出用データD1_pをTS同期処理部32に出力する。また、第3通信インターフェース31は、キャプチャデータ取得装置PC1からの送信データDtx(PC1)からヘッダデータD2_headを抽出し、抽出したヘッダデータD2_headを同期処理部32に出力する。
【0123】
TS同期処理部321は、第3通信インターフェース31から出力されるデータD1_pおよびデータD2_headを入力し、データD1_pおよびデータD2_headを用いて、TS同期処理(タイムスタンプの補正処理(調整処理))を行うことで、タイムスタンプが補正されたTS補正ヘッダデータD2’_headを取得する。具体的には、TS同期処理部321は、例えば、文献Aに記載されているTS同期処理(オフセット取得処理、TS補正ヘッダ処理)と同様の処理であるTS同期処理(タイムスタンプの補正処理(調整処理))を実行することで、タイムスタンプが補正されたTS補正ヘッダデータD2’_headを取得する。
【0124】
そして、TS同期処理部32は、取得したTS補正ヘッダデータD2’_headを、同期化データ取得部322および送信元推定処理部324に出力する。
【0125】
信号検出処理部323は、第3通信インターフェース31から出力される包絡線データD1_envを入力し、当該包絡線データD1_envに対して信号検出処理を実行することで、信号Sig_IQを検出する。具体的には、信号検出処理部323は、下記文献Bに記載されている処理(文献Bの検出処理部122で実行される処理(信号を検出する処理))と同様の処理を実行することで、包絡線データD1_envから、信号Sig_IQを検出する。
(文献B):特願2022-22815号の明細書および図面
以下では、図5図12のフローチャートを参照しながら、無線品質データ解析システム1000の動作(処理)について、説明する。
【0126】
(ステップS1A):
ステップS1Aにおいて、同期化データ取得処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
同期化データ取得部322は、第3通信インターフェース31から出力されるIQデータD1_IQおよび包絡線データD1_envと、TS同期処理部321から出力されるTS補正ヘッダデータD2’_headとを入力する。そして、同期化データ取得部322は、包絡線データD1_envと、TS補正ヘッダデータD2’_headとを用いて、タイムスタンプ間の同期がとれている状態のIQデータDIQ sync(={a sync})とヘッダデータ(キャプチャデータ)Dcapt sync(={s sync})とを取得する。TS補正ヘッダデータD2’_headは、TS同期処理部321により、包絡線データD1_envと同期がとれている状態のデータとして取得されたデータであるので、TS補正ヘッダデータD2’_headと同期がとれている包絡線データD1_envに対応するIQデータ(={a})を取得し、取得したIQデータ(={a})をIQデータの同期化データDIQ sync(={a sync})とする。
【0127】
つまり、同期化データ取得部322は、(1)TS補正ヘッダデータD2’_headをヘッダデータ(キャプチャデータ)の同期化データDcapt sync(={s sync})とし、かつ、(2)TS補正ヘッダデータD2’_headと同期がとれている包絡線データD1_envに対応するIQデータ(={a})をIQデータの同期化データDIQ sync(={a sync})とする。
【0128】
そして、同期化データ取得部322は、取得したデータ(同期がとれている状態のIQデータDIQ sync(={a sync})とキャプチャデータDcapt sync(={s sync})とを含むデータ)を、データD_syncとして、干渉検出部33に出力する。
【0129】
(ステップS1B):
ステップS1Bにおいて、送信元推定処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
【0130】
送信元推定処理部324は、信号検出処理部323から出力される信号Sig_IQと、TS同期処理部321から出力される補正ヘッダデータD2’_headと、を入力する。そして、送信元推定処理部324は、信号Sig_IQに該当するヘッダデータが存在すると判定したとき、信号Sig_IQに該当するヘッダデータから信号Sig_IQの送信元uを取得する。その後、送信元推定処理部324は、信号Sig_IQに該当するヘッダデータが存在するときの信号Sig_IQに対して、例えば、文献B(特願2022-22815号)に記載されている方法によって、平均位相特性抽出処理を実行して信号Sig_IQの開始サンプル番号sと平均位相特性mとを取得する。そして、送信元推定処理部324は、第1データ記憶部325において、送信元uと同じ送信元に対応付けられたFIFOメモリに、開始サンプル番号sと平均位相特性mとからなる特性値Cを保存する保存処理を実行する。
【0131】
一方、送信元推定処理部324は、信号Sig_IQに該当するヘッダデータが存在しないと判定したとき、信号Sig_IQに該当するヘッダデータが存在しないときの信号Sig_IQに基づいて送信元の推定処理を実行し、信号Sig_IQに基づいて取得した”開始サンプル番号sおよび平均位相特性m”からなる特性値CSig_IQに最も近い特性値Cを有する送信元uSig_IQを第1データ記憶部325に記憶された送信元u,u,・・・から検出し、その検出した送信元uSig_IQを信号Sig_IQの送信元として推定する送信元推定処理を実行する。
【0132】
なお、送信元推定処理部324は、例えば、特願2022-22815号に記載されている方法(送信元を推定する処理)により、送信元を推定する処理(送信元推定処理)を行うようにすればよい。
【0133】
本実施形態では、図5に示すように、ステップS1A(同期化データ取得処理)とステップS1B(送信元推定処理)とは、並列に実行されることを想定しているが、これに限定されることはなく、ステップS1A(同期化データ取得処理)とステップS1B(送信元推定処理)とは、直列に(順次)実行されるものであってもよい。
【0134】
(ステップS2):
ステップS2(ステップS201~S207)において、信号強度データ生成処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される(図6を参照)。
【0135】
(ステップS201、S202):
ステップS201において、信号強度データ生成処理のIQデータを集約するサンプル数を示すパラメータNが設定される(例えば、N=20に設定される)。
【0136】
ステップS202において、変数j(j:整数)が「0」に設定される(初期化処理)。
【0137】
(ステップS203):
ステップS203において、信号強度データ生成処理部331は、同期化データ取得部322から出力される同期化IQデータDIQ syncのN個のサンプル分のデータ(Nサンプル分のデータ)を入力(取得)する。なお、データDIQ syncのN個のサンプルデータについて、i番目のIQデータのサンプルデータをa sync(i:整数、iはサンプル番号)と表記する。
【0138】
(ステップS204):
ステップS204において、信号強度データ生成処理部331は、N個の同期化IQデータのサンプルデータa syncに対して、下記数式に相当する処理を行い、IQデータa syncの最大値を取得し、当該最大値をb syncとする。
【数1】
なお、信号強度データ生成処理部331は、上記処理(最大値取得処理)の代わりに、N個のIQデータのサンプルデータa syncに対して、下記数式に相当する処理を行い、IQデータa syncの平均値を取得し、当該平均値をb syncとしてもよい。
【数2】
なお、上記(数式1)、(数式2)において、|a syncは、IQデータa syncの絶対値の2乗を表しており、IQデータa syncは、I成分とQ成分からなる複素数として表現されるので、
|a sync=(a syncのI成分)+(a syncのQ成分)
として取得される。
【0139】
(ステップS205、S206):
ステップS205において、信号強度データ生成処理部331は、ステップS204において取得したデータb sync(データb syncのデータ列(サンプル列)を{b sync}と表記する)を含むデータを、データD31として、信号検出データ生成処理部332に出力する。
【0140】
ステップS206において、信号強度データ生成処理部331は、変数jを+1だけインクリメントする(j←j+1に相当する処理を行う)。
【0141】
(ステップS207):
ステップS207において、信号強度データ生成処理部331は、信号検出データ生成処理の処理対象とするデータが残っているか否かを判定し、(1)信号検出データ生成処理の処理対象とするデータが残っていると判定した場合、処理をステップS203に戻し、(2)信号検出データ生成処理の処理対象とするデータが残っていないと判定した場合、処理をステップS3に進める。
【0142】
ここで、図13に、横軸を時間とし、縦軸を信号強度として、IQデータ列(IQデータa syncのデータ列)(一例)(図13の上図)と、当該IQデータ列から信号強度データ生成処理により取得された信号強度データ列(信号強度データb syncのデータ列)(図13の下図)を示す。
【0143】
図13は、N=5であり、信号データ生成処理において、N個のIQデータa syncの最大値を信号強度データb syncとして取得する場合を示している。
【0144】
図13に示すように、IQデータ列(IQデータa syncのデータ列)に対して、信号強度データ生成処理を実行することで、信号強度データ列(信号強度データb syncのデータ列)が取得される。
【0145】
(ステップS3):
ステップS3(ステップS301~S312)において、信号検出データ生成処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される(図7を参照)。
【0146】
(ステップS301):
ステップS301において、信号検出データ生成処理部332は、変数j、フラグflg_in、および、変数yを、それぞれ、「0」に設定する(初期化処理)。すなわち、信号検出データ生成処理部332は、
j=0
flg_in=0
y=0
とする処理を行う。
【0147】
(ステップS302):
ステップS302において、ループ処理(ループ2)が開始される(条件を満たすまで繰り返し実行される)。具体的には、無線品質データ解析装置Ana_node1の信号検出データ生成処理部332は、信号強度データb sync(信号強度データ生成処理部331から出力されるデータD31(=b sync))に対して、各i=0,1,2,・・・,N-1(N:整数、Nは、信号検出データ生成処理の処理対象とする信号強度データb syncのデータ数)でループ処理(ループ2)(ステップS303~S310の処理)が実行される。
【0148】
(ステップS303):
ステップS303において、信号検出データ生成処理部332は、信号強度データb syncと信号強度データの閾値rthとを比較し、(1)b sync≧rthである場合、処理をステップS304に進め、(2)b sync≧rthではない場合、処理をステップS306に進める。なお、信号強度データの閾値rthは、予め所定の値に設定されているものとする(例えば、無線品質データ解析装置Ana_node1の各機能部を制御する制御部(不図示)により、信号強度データの閾値rthは、予め所定の値に設定されているものとする)。信号強度データの閾値rthは、例えば、ノイズレベルと信号レベルが区別できる範囲内の所定の値とすればよい(例えば、信号強度データの閾値rthは、ノイズレベルよりも少し上の値に設定してもよい)。無線品質データ解析装置Ana_node1では、プリアンブル検出データ生成処理により精度の高い同期タイミングを示すデータを取得できるため、信号検出データ生成処理での信号強度データを取得するための閾値rthは、大雑把に決めても問題ない(ノイズレベルよりも大きな値となる広範な範囲から閾値rthを設定することができる)。
【0149】
(ステップS304、S305):
ステップS304において、信号検出データ生成処理部332は、フラグflg_inの値が「0」であるか否かを判定し、(1)フラグflg_inの値が「0」である場合、処理をステップS305に進め、(2)フラグflg_inの値が「0」ではない場合、処理をステップS311に進める。
【0150】
ステップS305において、信号検出データ生成処理部332は、フラグflg_inの値を「1」にセットし、また、変数yの値をi(信号強度データb syncのインデックス番号i)とし、処理をステップS311に進める。
【0151】
(ステップS306):
ステップS306において、信号検出データ生成処理部332は、フラグflg_inの値が「0」であるか否かを判定し、(1)フラグflg_inの値が「0」である場合、処理をステップS311に進め、(2)フラグflg_inの値が「0」ではない場合、処理をステップS307に進める。
【0152】
(ステップS307~S309):
ステップS307において、信号検出データ生成処理部332は、i-yの値と、信号の長さ(継続長)についての閾値nthとを比較し、(1)i-y≧nthである場合、処理をステップS308に進め、(2)i-y≧nthではない場合、処理をステップS310に進める。なお、信号の長さ(継続長)についての閾値nthは、予め所定の値に設定されているものとする(例えば、無線品質データ解析装置Ana_node1の各機能部を制御する制御部(不図示)により、閾値nthは、予め所定の値に設定されているものとする)。
【0153】
ステップS308において、信号検出データ生成処理部332は、データc syncの信号の開始時点(これをc sync.tsと表記する)、および、データc syncの信号の継続時間(これをc sync.durと表記する)を
sync.ts=(y×N/f)×10[μs]
sync.dur={(i-y)×N/f}×10[μs]
N:IQデータを集約するサンプル数を示すパラメータ
:サンプリング周波数
として取得する。なお、データc syncは、信号の開始時点c sync.ts、および、信号の継続時間c sync.durを含むデータであるものとする(c sync={c sync.ts,c sync.dur})。
【0154】
ステップS309において、信号検出データ生成処理部332は、変数jを+1インクリメントし(j←j+1)、変数numにjを代入する(num=j)。そして、処理をステップS310に進める。
【0155】
(ステップS310):
ステップS310において、信号検出データ生成処理部332は、フラグflg_inの値を「0」にし(リセットし)、処理をステップS311に進める。
【0156】
(ステップS311):
ステップS311において、信号検出データ生成処理部332は、ループ処理(ループ2)の処理対象のデータ(信号強度データb)が残っているか否かを判定し、(1)ループ処理(ループ2)の処理対象のデータ(信号強度データb sync)が残っていると判定した場合、処理をステップS302に戻し、上記と同様にして、ステップS303~S310の処理を実行し、(2)ループ処理(ループ2)の処理対象のデータ(信号強度データb sync)が残っていないと判定した場合、処理をステップS312に進める。
【0157】
(ステップS312):
ステップS312において、信号検出データ生成処理部332は、ループ処理(ループ2)により取得された信号検出データc sync(信号検出データc syncのデータ列(サンプル列)を{c sync}と表記する)、すなわち、信号検出データc sync,c sync,・・・,cnum-1 sync(num個の信号検出データc sync(j:整数、0≦j≦num-1))を、データD32として、干渉検出処理部333のキャプチャデータ検出処理部3331に出力する。
【0158】
ここで、図14に、横軸を時間とし、縦軸を信号強度として、信号強度データのデータ列(信号強度データb syncのデータ列)(一例)(図14の上図)と、当該信号強度データのデータ列から取得された信号検出データc syncとを示す。
【0159】
図14に示すように、上記の信号検出データ生成処理を行うことで、信号強度データb syncの値が閾値rth以上となる信号強度データb syncが、nth図14の場合、nth=5)個以上連続して出現する信号パターン(信号強度データb syncの信号パターン)を検出することができる。そして、上記により検出した信号パターン(信号強度データb syncの信号パターン)の先頭の信号強度データb syncのインデックス番号jから、
sync.ts=(y×N/f)×10[μs]
sync.dur={(i-y)×N/f}×10[μs]
N:IQデータを集約するサンプル数を示すパラメータ
:サンプリング周波数
により、信号検出データc sync={c sync.ts,c sync.dur}が取得される。
(1)図14の場合、信号強度データb sync~b12 syncにおいて、信号強度データb syncの値が閾値rth以上であり、かつ、その継続期間が6(=12-7+1)であり、nth図14の場合、nth=5)以上であるので、当該部分が信号ありと判定される部分(信号パターン)であり、その先頭の信号強度データb syncのインデックス番号j=7から、
sync.ts=(7×N/f)×10[μs]
sync.dur={(13-7)×N/f}×10[μs]
として、信号検出データc sync図14の場合、c sync)が取得される。
(2)また、図14の場合、信号強度データb17 sync~b18 syncにおいて、信号強度データb syncの値が閾値rth以上であるが、その継続期間が2(=18-17+1)であり、nth図14の場合、nth=5)以上ではないので、当該部分は信号なしと判定される。
(3)また、図14の場合、信号強度データb32 sync~b37 syncにおいて、信号強度データb syncの値が閾値rth以上であり、かつ、その継続期間が6(=37-32+1)であり、nth図14の場合、nth=5)以上であるので、当該部分が信号ありと判定される部分(信号パターン)であり、その先頭の信号強度データb32のインデックス番号j=32から、
sync.ts=(32×N/f)×10[μs]
sync.dur={(38-32)×N/f}×10[μs]
として、信号検出データc sync図14の場合、c sync)が取得される。
【0160】
(ステップS4):
ステップS4(ステップS401~S411)において、干渉検出処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
【0161】
(ステップS401):
ステップS401において、初期化処理が実行され、変数kが「0」に設定される(k=0)。
【0162】
(ステップS402):
ステップS402において、ループ処理(ループ3)が開始される(条件を満たすまで繰り返し実行される)。具体的には、無線品質データ解析装置Ana_node1の干渉検出処理部333は、信号検出データc sync(信号検出データ生成処理部332から出力されるデータD32(={c sync}))に対して、各i=0,1,2,・・・,N-1(N:整数、Nは、干渉検出処理の処理対象とする信号検出データc syncのデータ数)でループ処理(ループ3)(ステップS403~S411の処理)が実行される。
【0163】
(ステップS403):
ステップS403において、推定送信元の取得処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
【0164】
キャプチャデータ検出処理部3331は、信号検出データ生成処理部332から出力されるデータD32(={c sync})と、同期処理部32から出力されるデータDcapt syncとを入力する。そして、キャプチャデータ検出処理部3331は、信号検出データc syncに対応する送信元が推定できているか否かを送信元推定処理部324に問い合わせるための問合せデータInq(c sync)を生成し、当該問合せデータInq(c sync)を送信元推定処理部324に出力する。
【0165】
送信元推定処理部324は、キャプチャデータ検出処理部3331からの問合せデータInq(c sync)を受け、データc syncに対応する送信元(データc syncに対応する無線信号を送信した送信元)を推定する(データc syncに対応するデータSIG_IGおよびデータD2’_headを用いて実行した送信元推定処理の結果から、データc syncに対応する送信元の推定結果を取得する)。そして、送信元推定処理部324は、(1)送信元が推定できた場合、推定した送信元を特定するデータを含めたデータD_src_detを生成し、当該データD_src_detをキャプチャデータ検出処理部3331に出力し、(2)送信元が推定できなかった場合、送信元が推定できなかったことを示すデータを含めたデータD_src_detを生成し、当該データD_src_detをキャプチャデータ検出処理部3331に出力する。
【0166】
(ステップS404):
ステップS404において、キャプチャデータ検出処理部3331は、送信元推定処理部324から出力されるデータD_src_detから、データc syncに対応する送信元が推定できたか否かを判断する。(1)キャプチャデータ検出処理部3331は、データc syncに対応する送信元が推定できたと判断した場合、送信元推定処理部324から取得した送信元推定処理結果データ(データD_src_detから取得されるデータ)をデータD_cap_detに含め、当該データD_cap_detをIQデータ保存処理部3332および干渉検出データ取得部3336に出力し、処理をステップS405に進める。(2)キャプチャデータ検出処理部3331は、データc syncに対応する送信元が推定できなかったと判断した場合、処理をステップS411に進める。
【0167】
(ステップS405):
ステップS405において、キャプチャデータ検出処理部3331は、入力されるデータD32(={c sync})とデータDcapt syncとに対してキャプチャデータ検出処理を行い、信号検出データD32(信号検出データc sync)に対応するキャプチャデータが存在するか否かを判定する。
【0168】
具体的には、図15に示すように、キャプチャデータ検出処理部3331は、1つの信号検出データc syncに対し、その信号の継続時間(c sync.dur)とオーバーラップする継続時間を持つキャプチャデータ(Dcapt sync)について、(1)オーバーラップしていない時間(図15のw+wに相当する時間)の合計が閾値wth(例えば、wth=50[μs])以下である場合(w+w≦wthの場合)、そのキャプチャデータ(Dcapt sync)を、検出された信号(信号検出データc sync)に対応するキャプチャデータとみなし(「対応するキャプチャデータあり」と判定し)、(2)オーバーラップしていない時間(図15のw+wに相当する時間)の合計が閾値wth(例えば、wth=50[μs])よりも長い場合(w+w>wthの場合)、そのキャプチャデータ(Dcapt sync)を、検出された信号(信号検出データc sync)に対応するキャプチャデータではない(「対応するキャプチャデータなし」と)判定する。
【0169】
上記判定(キャプチャデータ検出処理)の結果、(1)信号検出データD32(信号検出データc sync)に対応するキャプチャデータが存在すると判定された場合、キャプチャデータ検出処理部3331は、処理をステップS406に進める。(2)一方、信号検出データD32(信号検出データc sync)に対応するキャプチャデータが存在しないと判定された場合、キャプチャデータ検出処理部3331は、処理をステップS407に進める。また、この場合、キャプチャデータ検出処理部3331は、信号検出データD32(信号検出データc sync)に対応するキャプチャデータが存在しないことを示すデータ、および、送信元推定処理部324から取得した送信元推定処理結果データ(データD_src_detから取得されるデータ)をデータD_cap_detに含め、当該データD_cap_detをIQデータ保存処理部3332および干渉検出データ取得部3336に出力する。そして、IQデータ保存処理部3332は、データD32(データc sync)に対応するデータDIQ sync(データa sync)および推定された送信元のデータを含むデータを、データD33として、位相回転量抽出処理部3334に出力する。
【0170】
(ステップS406):
ステップS406において、IQデータ保存処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
【0171】
IQデータ保存処理部3332は、同期化データ取得部322から出力されるデータDIQ syncと、信号検出データ生成処理部332から出力されるデータD32(信号検出データc sync)と、キャプチャデータ検出処理部3331から出力されるデータD_cap_detとを入力する。
【0172】
データD_cap_detが、キャプチャデータ検出処理部3331によりキャプチャデータが存在する(正常に取得された)ことを示しているので(ステップS405で「YES」であるので)、IQデータ保存処理部3332は、データD32(データc sync)に対応するデータDIQ sync(データa sync)(干渉を受けていないフレーム(無線通信フレーム)のIQサンプル列)を、データD33として、第2データ記憶部3333に出力し、当該データD33を第2データ記憶部3333に記憶させる(送信元ごとに用意されたFIFOメモリに記憶させる)。例えば、データD32(データc sync)に対応するデータDIQ sync(データa sync)(干渉を受けていないフレーム(無線通信フレーム)のIQサンプル列)の推定送信元が送信元u(k:整数、1≦k≦Nu)である場合(推定送信元を特定するデータは、データD_cap_detに含まれている)、キャプチャデータ検出処理部3331は、上記データDIQ sync(データa sync)を、第2データ記憶部3333の送信元u用のFIFOメモリに記憶させる。
【0173】
(ステップS407):
ステップS407において、フレーム(無線通信フレーム)の送信元(推定送信元)に対応する第2データ記憶部3333の送信元用のFIFOメモリ内の要素数がW(W:整数)に達しているか否かの判定処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
【0174】
位相回転量抽出処理部3334は、データD33から、推定された送信元uを特定し、フレーム(無線通信フレーム)の送信元(推定送信元)uに対応する第2データ記憶部3333の送信元u用のFIFOメモリにアクセスし、当該FIFOメモリ内に記憶されている要素数を読み出す(取得する)。そして、位相回転量抽出処理部3334は、送信元u用のFIFOメモリに記憶されている要素(フレーム単位のデータ)の数がW(W:整数)に達しているか否かの判定処理を行う。そして、当該判定処理の結果、(1)送信元u用のFIFOメモリに記憶されている要素数がWに達していないと判定した場合、位相回転量抽出処理部3334は、処理をステップS411に進め、(2)送信元u用のFIFOメモリに記憶されている要素数がWに達していると判定した場合、位相回転量抽出処理部3334は、処理をステップS408に進める。
【0175】
(ステップS408):
ステップS408(ステップS4081~S4086)において、第1位相回転量抽出処理(処理対象を信号検出データc syncに対応するIQデータDIQ sync(=a sync)とした位相回転量抽出処理)が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
【0176】
(ステップS4081):
ステップS4081において、サブキャリア抽出処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
【0177】
位相回転量抽出処理部3334は、データD33に含まれる、1つのフレーム(無線通信フレーム)に該当するIQサンプル列{a sync}を取得し、当該IQサンプル列{a sync}から、パイロット信号に該当するサブキャリアを抽出する。例えば、IEEE802.11a/g規格における1つのフレームには、図16に示すように、複数のOFDMシンボルが含まれる。SIGNAL部以降からのOFDMシンボルを0番、1番、・・・、M-1版(M:整数)とする。各OFDMシンボルは、80個(サンプリングを20MHzとした場合)のIQサンプルから成っている。そのうち、ガードインターバルに該当する16サンプルを除き、残りの64サンプルをFFT(高速フーリエ変換)することで、各サブキャリアごとのベースバンド信号が得られる。有効なサブキャリア数は52本であり、そのうちの4本(サブキャリア番号が、-21,7,7,21)は、パイロット信号に該当する。
【0178】
位相回転量抽出処理部3334は、データD33に含まれる、1つのフレーム(無線通信フレーム)に該当するIQサンプル列{a sync}に対して、上記のように、SIGNAL部以降からのOFDMシンボルごとに、カードインターバル以外の64サンプルをFFTすることで、各サブキャリアのベースバンド信号を取得し、4本のパイロット信号(サブキャリア番号が-21,7,7,21のサブキャリア)を取得(抽出)する。そして、位相回転量抽出処理部3334は、上記により抽出したサブキャリア(各受信パイロット信号)をdi,kとして取得する。なお、値i,k,Mは、以下の通りである。
i:OFDMシンボル番号(i:整数、i∈[0,M-1])
k:サブキャリア番号(k:整数、k∈{-21,-7,7,21})
M:OFDMシンボル数
(ステップS4082):
ステップS4082において、復調パイロット信号取得処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
【0179】
各受信パイロット信号di,kは、疑似乱数データ列により変調された信号であるので、疑似乱数データ列により変調されていない状態のパイロット信号を取得するために、位相回転量抽出処理部3334は、ステップS4081で取得した各受信パイロット信号di,kに対して、以下の数式に相当する処理を実行し、復調パイロット信号ei,k(疑似乱数データ列により変調されていない状態のパイロット信号)を取得する。
i,k=di,k×pi,k
i:OFDMシンボル番号(i:整数、i∈[0,M-1])
k:サブキャリア番号(k:整数、k∈{-21,-7,7,21})
M:OFDMシンボル数
i,k:復調パイロット信号
i,k:受信パイロット信号
i,k:既知のパイロット信号(変調用データ(例えば、疑似乱数データ列))
(ステップS4083):
ステップS4083において、ループ処理(ループ4)が開始される(条件を満たすまで繰り返し実行される)。具体的には、位相回転量抽出処理部3334は、各i=0,1,2,・・・,M-1(M:整数、Mは、OFDMシンボル数)でループ処理(ループ4)(ステップS4084の処理)が実行される。
【0180】
(ステップS4084):
ステップS4084において、位相回転量算出処理が実行される。具体的には、位相回転量抽出処理部3334は、下記数式に相当する処理を行うことで、位相回転量rを取得(算出)する。
【数3】
arg(z):zの偏角
i:整数、i∈[1,M-1]
i-1,k:ei-1,kの複素共役
つまり、位相回転量抽出処理部3334は、復調パイロット信号ei,kと、復調パイロット信号ei,kが取得されたOFDMシンボルに隣接するOFDMシンボルから取得された復調パイロット信号ei-1,kの複素共役e i-1,kとの積を、全てのパイロット信号のサブキャリア番号について和をとり、その値の偏角を(2×π×(80/64))で除算した値を、位相回転量rとして取得する。
【0181】
(ステップS4085):
ステップS4085において、位相回転量抽出処理部3334は、ループ処理(ループ4)の処理対象のデータが残っているか否かを判定し、(1)ループ処理(ループ4)の処理対象のデータが残っていると判定した場合、処理をステップS4083に戻し、上記と同様にして、ステップS4084の処理を実行し、(2)ループ処理(ループ4)の処理対象のデータが残っていないと判定した場合、処理をステップS4086に進める。
【0182】
(ステップS4086):
ステップS4086において、位相回転量抽出処理部3334は、ステップS4083~S4085で取得した位相回転量のデータ列{r}(={r,r,・・・,rM-1})を第1位相回転量データ{s}(={r,r,・・・,rM-1}={s,s,・・・,sM-1})(k:整数、k∈[1,M-1])として、異常検知部3335に出力する。
【0183】
(ステップS409):
ステップS409(ステップS4091~S409B)において、第2位相回転量抽出処理(処理対象を、第2データ記憶部3333の推定送信元u用FIFOから取得したIQデータとした位相回転量抽出処理)が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
【0184】
(ステップS4081):
ステップS4091において、位相回転量抽出処理部3334は、集合rsetを空集合にセットし、変数jを「0」にセットする(初期値設定処理)。
【0185】
(ステップS4092):
ステップS4092において、ループ処理(ループ5)が開始される(条件を満たすまで繰り返し実行される)。具体的には、フレームの送信元(推定送信元u)に対応する第2データ記憶部3333のFIFO内の各要素(1フレームに相当するIQサンプル列)についてループ5処理が実行される。
【0186】
(ステップS4093):
ステップS4093において、サブキャリア抽出処理が実行される。この処理は、ステップS4081と同様の処理である。なお、処理対象は、フレームの送信元(推定送信元u)に対応する第2データ記憶部3333のFIFO内の各要素(1フレームに相当するIQサンプル列)である。
【0187】
(ステップS4094):
ステップS4094において、復調パイロット信号取得処理が実行される。この処理は、ステップS4082と同様の処理である。なお、処理対象は、フレームの送信元(推定送信元u)に対応する第2データ記憶部3333のFIFO内の各要素(1フレームに相当するIQサンプル列)である。
【0188】
(ステップS4095):
ステップS4095において、ループ処理(ループ6)が開始される(条件を満たすまで繰り返し実行される)。具体的には、位相回転量抽出処理部3334は、各i=0,1,2,・・・,M-1(M:整数、Mは、OFDMシンボル数)でループ処理(ループ6)(ステップS4096の処理)が実行される。
【0189】
(ステップS4096):
ステップS4096において、位相回転量算出処理が実行される。具体的には、位相回転量抽出処理部3334は、ステップS4084と同様の処理を行うことで、位相回転量rを取得(算出)する。
【0190】
(ステップS4097):
ステップS4097において、位相回転量抽出処理部3334は、ステップS4096で取得した位相回転量rを、集合rsetに追加する(rset←rset∪{r})。
【0191】
(ステップS4098):
ステップS4098において、位相回転量抽出処理部3334は、変数jを+1だけインクリメントする(j←j+1)。
【0192】
(ステップS4099):
ステップS4099において、位相回転量抽出処理部3334は、ループ処理(ループ6)の処理対象のデータが残っているか否かを判定し、(1)ループ処理(ループ6)の処理対象のデータが残っていると判定した場合、処理をステップS4095に戻し、上記と同様にして、ステップS4096~S4098の処理を実行し、(2)ループ処理(ループ6)の処理対象のデータが残っていないと判定した場合、処理をステップS409Aに進める。
【0193】
(ステップS409A):
ステップS409Aにおいて、位相回転量抽出処理部3334は、ループ処理(ループ5)の処理対象のデータが残っているか否かを判定し、(1)ループ処理(ループ5)の処理対象のデータが残っていると判定した場合、処理をステップS4092に戻し、上記と同様にして、ステップS4093~S4099の処理を実行し、(2)ループ処理(ループ5)の処理対象のデータが残っていないと判定した場合、処理をステップS409Bに進める。
【0194】
(ステップS409B):
ステップS409Bにおいて、位相回転量抽出処理部3334は、ステップS4092~S409Aで取得した位相回転量の集合rsetを第2位相回転量データ{r all}(={r,r,・・・,rL-1})(L:取得された位相回転量の集合rsetの要素数)として、異常検知部3335に出力する。
【0195】
(ステップS410):
ステップS410(ステップS4101~S4108)において、異常検知処理が実行される。
【0196】
本実施形態では、異常検知処理を実現する手法として、1次元データのホテリング理論を用いる。ホテリング理論に基づく異常検知では、異常が含まれていないデータの分布を正規分布と仮定した上で、分布のパラメタ(平均と分散)を最尤推定で求める。本実施形態の場合には、第2データ記憶部3333の送信元ごとのFIFOメモリ(FIFOキュー)に保持されている最新のW個のフレーム(無線通信フレーム)のIQサンプル列から、正常な場合の位相回転量の分布の平均(μ^)と分散(σ^)を求める。
次に、干渉の有無を判断したいフレームに該当するIQサンプル列からも、位相回転量sを取得し、それをもとに、各位相回転量の異常度f(s)を求める。ホテリング理論に基づく異常検知では、f(s)は、f(s)={(s-μ^)/σ}と定義される。
【0197】
異常度f(s)に対し、ある閾値fthを設定し、f(s)>fthの場合、異常な位相回転量が得られたものと判断する。ここで、fthは、下記数式を満たす値である。
【数4】
χ(u|1,1):自由度1、スケール因子1のカイ二乗分布
なお、値αは、異常発生と判断されるような高い異常度が出現する確率を意味しており、例えば、α=0.001に設定される(このとき、fthは、約10.83となる)。
【0198】
上記に基づいて、ステップS410(ステップS4101~S4108)では、異常検知処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
【0199】
(ステップS4101):
ステップS4101において、データ入力処理が実行される。具体的には、異常検知部3335は、位相回転量抽出処理部3334から、第1位相回転量データs(k:整数、k∈[1,M-1])および第2位相回転量データr all(j:整数、j∈[0,L-1])を入力する。
【0200】
(ステップS4102):
ステップS4102において、第2位相回転量データの統計量(平均、分散)取得処理が実行される。具体的には、異常検知部3335は、以下の数式に相当する処理を実行することで、第2位相回転量データr allの統計量(平均、分散)(パラメータ)を取得する。
【数5】
(ステップS4103):
ステップS4103において、第1位相回転量データsの異常度f(s)算出処理が実行される。具体的には、異常検知部3335は、以下の数式に相当する処理を実行することで、第1位相回転量データsの異常度f(s)を算出する。
【数6】
(ステップS4104):
ステップS4104において、第1位相回転量データsの異常検出結果データg(s)取得処理が実行される。具体的には、異常検知部3335は、以下の数式に相当する処理を実行することで、第1位相回転量データsの異常検出結果データg(s)を取得する。
【数7】
なお、閾値fthは、値α(例えば、α=0.001)を所定の値に設定したときに(数式4)を満たす値に設定される。値α、閾値fthの設定処理は、異常検知部3335により実行される。
【0201】
(ステップS4105):
ステップS4105(ステップS41051~S4105A)において、異常検出結果データg(s)の最大区間幅取得処理が実行される。具体的には、以下の処理が実行される。
【0202】
(ステップS41051):
ステップS41051において、異常検知部3335は、変数n、m、flg_inを、それぞれ、「0」にセットする(n=0、m=0、flg_in=0)。
【0203】
(ステップS41052):
ステップS41052において、ループ処理(ループ7)が開始される(条件を満たすまで繰り返し実行される)。具体的には、異常検知部3335は、異常検知結果データg(s)に対して、各k=1,2,・・・,M-1(M:整数、Mは、OFDMシンボル数)でループ処理(ループ7)(ステップS41053~ステップS41058の処理)が実行される。
【0204】
(ステップS41053):
ステップS41053において、異常検知部3335は、異常検知結果データg(s)が「0」であるか否かを判定し、判定の結果、(1)g(s)=0である場合、処理をステップS41055に進め、(2)g(s)=0ではない場合、処理をステップS41054に進める。
【0205】
(ステップS41054):
ステップS41054において、異常検知部3335は、変数flg_inを「1」にセットし、変数nを+1だけインクリメントする(flg_in=1、n←n+1)。そして、処理をステップS41059に進める。
【0206】
(ステップS41055):
ステップS41055において、異常検知部3335は、変数flg_inの値が「1」であるか否かを判定し、判定の結果、(1)flg_in=1である場合、処理をステップS41056に進め、(2)flg_in=1ではない場合、処理をステップS41059に進める。
【0207】
(ステップS41056):
ステップS41056において、異常検知部3335は、変数nと変数mを比較し、(1)n>mである場合、処理をステップS41057に進め、(2)n>mではない場合、処理をステップS41058に進める。
【0208】
(ステップS41057):
ステップS41057において、異常検知部3335は、変数mに変数nの値をセットし(m=n)、処理をステップS41058に進める。
【0209】
(ステップS41058):
ステップS41058において、異常検知部3335は、変数n、flg_inの値をそれぞれ「0」にする(リセットする)(n=0、flg_in=0)。そして、処理をステップS41059に進める。
【0210】
(ステップS41059):
ステップS41059において、異常検知部3335は、ループ処理(ループ7)の処理対象のデータが残っているか否かを判定し、(1)ループ処理(ループ7)の処理対象のデータが残っていると判定した場合、処理をステップS41052に戻し、上記と同様にして、ステップS41053~S41058の処理を実行し、(2)ループ処理(ループ7)の処理対象のデータが残っていないと判定した場合、処理をステップS4105Aに進める。
【0211】
(ステップS4105A):
ステップS4105Aにおいて、異常検知部3335は、ループ処理(ループ7)が終了した後の変数mの値を、最大区間幅hの値とする(h=m)。これにより、異常検知部3335は、異常検出結果データg(s)の最大区間幅hを取得することができる。
【0212】
(ステップS4106~S4108):
ステップS4106において、異常検知部3335は、ステップS4105で取得した異常検出結果データg(s)の最大区間幅hと、閾値hth(閾値hthは、手動または自動で、予め設定されているものとする。例えば、hth=5)とを比較する。
(1)h>hthである場合、異常検知部3335は、「干渉あり」と判定し、「干渉あり」を示すデータ(異常検知処理の結果データ)を含めたデータを、データD36として、干渉検出データ取得部3336に出力する(ステップS4107)。
(2)h>hthではない場合、異常検知部3335は、「干渉なし」と判定し、「干渉なし」を示すデータ(異常検知処理の結果データ)を含めたデータを、データD36として、干渉検出データ取得部3336に出力する(ステップS4108)。
【0213】
干渉検出データ取得部3336は、キャプチャデータ検出処理部3331から出力されるデータD_cap_detと、異常検知部3335から出力されるデータD36とを入力する。干渉検出データ取得部3336は、データD_cap_detおよびデータD36に基づいて、干渉検出データを取得する。
【0214】
具体的には、(1)キャプチャデータ検出処理部3331から出力されるデータD_cap_detがキャプチャデータを取得できたことを示している場合、または、異常検知部3335から出力されるデータD36が「干渉なし」を示すデータである場合、干渉検出データ取得部3336は、「干渉なし」と判定し、「干渉なし」を示すデータを、干渉検出データとして取得する。
(2)異常検知部3335から出力されるデータD36が「干渉あり」を示すデータである場合、干渉検出データ取得部3336は、「干渉あり」と判定し、「干渉あり」を示すデータを、干渉検出データとして取得する。
【0215】
そして、干渉検出データ取得部3336は、上記により取得した干渉検出データを、データDoutとして出力する。
【0216】
以上のようにして、無線品質データ解析システム1000において、異常検出処理が実行される。無線品質データ解析システム1000での異常検出処理により取得されたデータ(一例)として、図17に、信号強度データ、第1位相回転量データs、異常検知結果データg(s)および異常検出結果データ(図17において、データDet_abn)を示す。図17において、時間軸(横軸)は、一致させている。図17に示すように、無線品質データ解析システム1000では、期間T2において、最大区間幅hが検出され、当該最大区間幅hがhthを超えていると判定されるので、期間T1(1フレームに相当する期間)において、異常を検出することができる。
【0217】
そして、無線品質データ解析システム1000の無線品質データ解析装置Ana_node1において、例えば、図18に示すように、無線品質データ解析装置Ana_node1で取得される、(1)信号強度データ(b sync)、(2)信号検出データ(c sync)、(3)キャプチャデータ(s sync)、および、(4)異常検出結果データ(データDoutに含まれるデータ)を、時間軸を一致させて時系列に表示させることで(例えば、可視化部(不図示)、表示部(不図示)により表示させることで)、干渉波の影響を受け、異常が発生している期間を適切に表示させ把握することができる。
【0218】
≪まとめ≫
以上のように、無線品質データ解析システム1000では、IQデータに対応するキャプチャデータが取得できなかった場合においても、IQデータを解析することにより干渉の発生の有無を適切に検出することができる。
【0219】
つまり、無線品質データ解析システム1000では、異常が発生していない状況(IQデータとそれに対応するキャプチャデータが取得できる状況)(正常時)において、IQデータの送信元ごとに、IQデータから位相回転量(正常時の位相回転量)を取得し記憶保持しておく。
【0220】
そして、無線品質データ解析システム1000では、キャプチャデータが取得できなかった場合において、IQデータの送信元を推定し、IQデータから位相回転量を取得し、取得した位相回転量を、推定した送信元の正常時の位相回転量の分布を用いて(正常時の位相回転量の分布が正規分布であると仮定し、当該分布から最尤推定で取得されるパラメータ(平均および分散)を用いて)、異常度を算出(取得)する。そして、無線品質データ解析システム1000では、異常度が高いと判定される期間が所定の期間よりも長く継続している場合、当該期間に送信されたIQサンプルを含むフレーム(無線通信フレーム)を、異常状態(例えば、干渉波の影響を受けている状態)で送信されたフレームであると判定し、異常検出を行う(「干渉あり」と判定する)。
【0221】
このように処理することで、無線品質データ解析システム1000では、センサノード(センサ装置、および/または、キャプチャデータ取得装置)においてキャプチャデータが取得できなかった場合であっても、IQデータを解析することにより干渉の発生の有無を適切に検出することができる。
【0222】
[他の実施形態]
上記実施形態では、無線通信フレームが、IEEE802.11a/gに準拠するフレームである場合について説明したが、これに限定されることなく、無線通信フレームが、他の規格に準拠するものであってもよい。この場合、準拠する規格に応じて、パイロット信号のサブキャリア番号を特定し、特定したサブキャリア番号のパイロット信号に対して、位相回転量を抽出する処理を行い、干渉検出処理を行うようにすればよい。
【0223】
また、上記実施形態では、無線品質データ解析システム1000が図1図4の構成の場合を例に説明したが、無線品質データ解析システム1000の構成は、上記(図1図4等)に限定されるものではなく、センサ装置、キャプチャデータ取得装置、無線品質データ解析装置の位置、数等は、上記以外のものであってもよい。また、上記では、センサ装置が、通信機器とは別個に存在している場合について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、通信機器がセンサ装置を含む、あるいは、付加されたものであってもよい。また、第1データ記憶部325、第2データ記憶部3333は、無線品質データ解析装置Ana_node1の外部にあってもよい(例えば、外部のデータベース装置により実現されるものであってもよい)。
【0224】
また、上記実施形態の無線品質データ解析装置Ana_node1とセンサ装置とは、無線により通信する場合、センサ装置のアンテナを用いて、無線品質データ解析装置とセンサ装置とが通信するようにしてもよい。
【0225】
また、上記実施形態の無線品質データ解析装置Ana_node1とキャプチャデータ取得装置PC1とは、無線により通信する場合、センサ装置のアンテナを用いて、無線品質データ解析装置とセンサ装置とが通信するようにしてもよい。
【0226】
また、上記実施形態において、無線品質データ解析装置Ana_node1の機能の一部を、センサ装置側、および/または、キャプチャデータ取得装置PC1側で実行するようにしてもよい。この場合、当該機能を実現する機能部を、センサ装置および/またはキャプチャデータ取得装置PC1が有する構成とすればよい。
【0227】
また、上記実施形態で説明した無線品質データ解析システム1000、無線品質データ解析装置Ana_node1、センサ装置、キャプチャデータ取得装置PC1において、各ブロックは、LSIなどの半導体装置により個別に1チップ化されても良いし、一部又は全部を含むように1チップ化されても良い。
【0228】
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0229】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
【0230】
また、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、プログラムにより実現されるものであってもよい。そして、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)により行われる。また、それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。
【0231】
また、上記実施形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0232】
また、例えば、上記実施形態(変形例を含む)の各機能部を、ソフトウェアにより実現する場合、図19に示したハードウェア構成(例えば、CPU(GPUであってもよい)、ROM、RAM、入力部、出力部等をバスBusにより接続したハードウェア構成)を用いて、各機能部をソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
【0233】
また、上記実施形態の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、当該ソフトウェアは、図19に示したハードウェア構成を有する単独のコンピュータを用いて実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータを用いて分散処理により実現されるものであってもよい。
【0234】
また、上記実施形態における処理方法の実行順序は、必ずしも、上記実施形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができるものである。また、上記実施形態における処理方法において、発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部のステップが、他のステップと並列に実行されるものであってもよい。
【0235】
前述した方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、大容量DVD、次世代DVD、半導体メモリを挙げることができる。
【0236】
上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0237】
なお、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【符号の説明】
【0238】
1000 無線品質監視システム
Ana_node1 無線品質データ解析装置
S_node1~S_node3 センサ装置
PC1 キャプチャデータ取得装置
31 第3通信インターフェース
32 同期処理部
33 干渉検出部
331 信号強度データ生成処理部
332 信号検出データ生成処理部
333 干渉検出処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19