(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126230
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ダンプの制御方法およびこれを適用した運搬車両
(51)【国際特許分類】
B60P 1/04 20060101AFI20240912BHJP
B62D 55/06 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
B60P1/04 C
B62D55/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034478
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹山 詠祐
(72)【発明者】
【氏名】松村 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 和季
(57)【要約】
【課題】荷台のダンプ可能範囲を好適に制限し得るダンプの制御方法およびこれを適用した運搬車両を提供する。
【解決手段】車体2に対し荷台6をダンプ可能に備えると共に、車体2を走行体(クローラ)3に対し旋回可能に取り付けた運搬車両(クローラキャリア)1におけるダンプの制御方法に関し、車体2の傾斜角rが閾値t以内である第一の条件と、地面の傾斜に対する車体2の角度θが範囲ω以内である第二の条件とを満たす場合にダンプ操作を可能とし、それ以外の場合にはダンプ操作を不可とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対し荷台をダンプ可能に備えると共に、前記車体を走行体に対し旋回可能に取り付けた運搬車両におけるダンプの制御方法であって、
車体の傾斜角が閾値以内である第一の条件と、
地面の傾斜に対する車体の傾斜の向きが範囲以内である第二の条件と
を満たす場合にダンプ操作を可能とし、それ以外の場合にはダンプ操作を不可とすること
を特徴とするダンプの制御方法。
【請求項2】
前記第二の条件は、地面の傾斜方向に対し前記車体の前後方向が一致し、前記車体の後方が前方に対して高い位置にあって前方が沈み込んでいる状態における前記車体の角度を基準角とし、平面視において前記基準角に対する前記車体の角度が角度範囲ω以内にあるか否かによって判定されることを特徴とする請求項1に記載のダンプの制御方法。
【請求項3】
前記第二の条件の判定は、平面視において前記基準角を270°と定義すると共に、前記車体のピッチ値をa、ロール値をb、水平方向に対する前記車体の傾斜角の絶対値をrとした場合に、a,bがそれぞれ下記の範囲にあるか否かによって行われることを特徴とする請求項2に記載のダンプの制御方法。
-r≦a≦rsin(270°±ω)
rcos(270°-ω)≦b≦rcos(270°+ω)
【請求項4】
前記車体のピッチ値およびロール値を検出する傾斜計と、
前記傾斜計の測定値に応じて前記荷台のダンプ操作の可否を判定する制御装置とを備え、
請求項1に記載のダンプの制御方法を実行可能に構成されたことを特徴とする運搬車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンプ可能な荷台を備えた運搬車両においてダンプを制御する方法、およびこれを適用した運搬車両に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場等で用いられるダンプカーやクローラキャリアといった運搬用の車両は、傾斜して積荷をダンプ可能な荷台を備えている。さらに、旋回式の運搬車両では、車両下部の走行体の上に、荷台が旋回台を介して水平方向に旋回可能に取り付けられており、荷台が走行体に対して横向きや斜め向きに回転した状態でもダンプができるようになっている。
【0003】
この種の運搬車両に関連する先行技術文献としては、例えば、下記の特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、積荷のダンプを行う場合、車両の重心が移動することになるため、車両の姿勢によっては車両が不安定になってしまう場合がある。すなわち、車両が水平面に位置している場合や、車両の前方が地面の傾斜に関して下を向いている(車両の前方が沈み込んでいる)場合には問題ないが、車両の後方が傾斜に関して下を向いている場合には、ダンプによって重心が車体の中心に対し大きく後方寄りに移動することになり、車両が不安定になる可能性が増してしまう。
【0006】
このような問題への対策としては、例えば車両の傾斜を監視し、傾斜状態が所定の範囲内にある場合にのみダンプを可能とし、それ以外の場合はダンプの操作を制限する(オペレータからダンプ操作が入力されても荷台のダンプを実行しないか、スイッチをロックする等してダンプ操作の入力自体を行えないようにする)ことが有効である。ただしここで、旋回式の運搬車両では、車両が斜面上にある場合、斜面に対する荷台の角度は旋回状態によって変わる。よって、旋回式の運搬車両では、ダンプの可否を判断するにあたり、例えば単に走行体の角度を考慮するだけでは足りず、走行体に対する荷台の角度をも考慮する必要がある。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、荷台のダンプ可能範囲を好適に制限し得るダンプの制御方法およびこれを適用した運搬車両を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車体に対し荷台をダンプ可能に備えると共に、前記車体を走行体に対し旋回可能に取り付けた運搬車両におけるダンプの制御方法であって、車体の傾斜角が閾値以内である第一の条件と、地面の傾斜に対する車体の角度が範囲内である第二の条件とを満たす場合にダンプ操作を可能とし、それ以外の場合にはダンプ操作を不可とすることを特徴とするダンプの制御方法にかかるものである。
【0009】
本発明のダンプの制御方法において、前記第二の条件は、地面の傾斜方向に対し前記車体の前後方向が一致し、前記車体の後方が前方に対して高い位置にあって前方が沈み込んでいる状態における前記車体の角度を基準角とし、平面視において前記基準角に対する前記車体の角度が角度範囲ω以内にあるか否かによって判定することができる。
【0010】
本発明のダンプの制御方法において、前記第二の条件の判定はさらに、平面視において前記基準角を270°と定義すると共に、前記車体のピッチ値をa、ロール値をb、水平方向に対する前記車体の傾斜角の絶対値をrとした場合に、a,bがそれぞれ下記の範囲にあるか否かによって行うことができる。
-r≦a≦rsin(270°±ω)
rcos(270°-ω)≦b≦rcos(270°+ω)
【0011】
また、本発明は、前記車体のピッチ値およびロール値を検出する傾斜計と、前記傾斜計の測定値に応じて前記荷台のダンプ操作の可否を判定する制御装置とを備え、上述のダンプの制御方法を実行可能に構成されたことを特徴とする運搬車両にかかるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のダンプの制御方法およびこれを適用した運搬車両によれば、荷台のダンプ可能範囲を好適に制限するという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の適用対象としての運搬車両(クローラキャリア)の形態の一例を示す側面図である。
【
図3】地面の傾斜に対する車体の角度の定義を説明する平面図である。
【
図4】地面の傾斜に対する車体の角度に関し、ダンプ操作が可能な範囲を説明する平面図である。
【
図5】車体の傾斜角および傾斜方向と、ピッチ値およびロール値の関係を説明する線図である。
【
図6】ダンプ操作の可否を判定する手順の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0015】
図1、
図2は本発明の実施による運搬車両の形態の一例を示しており、ここではクローラキャリアを想定している。クローラキャリア1は、車体2の下部にクローラである走行体3を備えており、車体2を構成するフレームは、旋回台4を介して走行体3に対し旋回可能に取り付けられている。車体2の前部には運転室5が設けられ、運転室5よりも後方に荷台6が取り付けられている。荷台6は、運転室5における操作入力に基づき、図示しない油圧機構によって前部を持ち上げる形で車体2に対して傾斜し、これによって積荷を車体2の後方へ排出するダンプ操作を実行できるようになっている。
【0016】
また、車体2の所定位置(ここでは、運転室5と荷台6の間)には傾斜計7が取り付けられており、車体2の前後方向および左右方向の傾斜値(ピッチ値およびロール値)を検出するようになっている。傾斜計7によって検出される傾斜値は、傾斜信号として制御装置8に入力される。制御装置8は、クローラキャリア1を構成する各部の機器の動作を制御する装置であり、特に本実施例においては、傾斜計7から傾斜信号として入力される測定値に応じ、荷台6のダンプ操作の可否を判定し、条件に応じてダンプ操作を制限するようになっている。
【0017】
このダンプ操作の可否の判断について説明する。本実施例のクローラキャリア1では、ダンプ操作に関し、車体2の傾斜の程度が特定の範囲内であり、且つ地面の傾斜に対し車体2の角度が特定の範囲内にある場合にのみダンプ操作を可能とし、それ以外の場合にはダンプ操作ができないよう、制御装置8がダンプ操作をロックするようになっている。
【0018】
一般に、運搬車両は、水平な地面にあり、最大積載量以下の積荷を積載した状態であれば、支障なくダンプ操作を行えるよう設計されている。また、仮に地面が傾斜していても、傾斜角の絶対値が大きくなければ、やはりダンプ操作に支障はない。さらに、傾斜の向きも重要である。ダンプ操作の際、積荷を積載した荷台を持ち上げることによって車両の重心は後方へ移動するので、車両の傾斜が、車体前方が沈み込んだ状態であれば問題ないが、後方が沈み込んだ状態で傾斜していると、傾斜による重心の移動に、さらにダンプ操作による重心の移動が重畳されることになるため、車両がより不安定になりやすい。そこで本実施例では、上述の如く、「車体2の傾斜の程度(基準1)」と、「地面の傾斜に対する車体2の向き(基準2)」という2つの基準を設定し、これらの基準をクリアする場合にのみ、ダンプ操作を可能とするようにしている。
【0019】
車体2の傾斜の向きおよび程度(傾斜角)は、傾斜計7によって把握することができる。傾斜計7では、前後方向および左右方向における車体2の傾き(ピッチおよびロール)を検出することができる。ここで、ピッチ値をa[°]、ロール値をb[°]とし、ピッチ値aに関しては、車体2の後方が沈み込んだ状態において正の値、前方が沈み込んだ状態において負の値を取るものとする。ロール値bに関しては、車体2の右側が沈み込んだ状態において正の値、左側が沈み込んだ状態において負の値を取るものとする。
【0020】
さらに、旋回角によって変わる車体2の向きを表す値としてθを定義する。平面視において、地面の傾斜に対する車体2の角度をθとし、車体2の後方が地面の傾斜に関して高い側にある状態をθ=270°とする。θ=270°のとき(
図3(A)参照)、ロール値b=0°であり、ピッチ値aは負の値を取る。すなわち、車体2の前方が沈み込んだ状態である。θ=0°のとき(
図3(B)参照)、ピッチ値a=0°であり、ロール値bは正の値を取る。すなわち、車体2の右側が沈み込んだ状態である。θ=135°のとき(
図3(C)参照)、車体2は後方が沈み込み且つ左側が沈み込むので、ピッチ値aは正の値をとり、ロール値bは負の値を取る。
【0021】
このように車体2の傾きを定義する場合、車体2の傾斜方向における水平方向に対する傾斜角の絶対値をrとすると、ピッチ値a、ロール値b、傾斜の向きθおよび傾斜角rの関係は、次のように表せる。
[式1]
rsinθ=a
rcosθ=b
r2=a2+b2
【0022】
傾斜角rは、すなわち上記した基準1である。この傾斜角rが閾値以内(例えば、9°以内)にある場合にのみ、ダンプ操作を可能とする。つまり、ダンプ操作を可能とする第一の条件は、前記閾値をtとすると、
[式2]
0°≦r≦t
と表せる。
【0023】
さらに、地面の傾斜状態に対し、車体2がどの角度にあるかによっても、ダンプ操作の可否を判定する。傾斜角rが所定の範囲内にあることを前提に、地面の傾斜に対し、車体2の前方が沈み込んだ状態であれば、ダンプ操作を行うにあたり支障がないと言える。そこで、地面の傾斜方向に対し車体2の前後方向が一致し、車体2の後方が前方に対して高い位置にあって前方が沈み込んでいる状態(θ=270°、a=rsinθ=rsin270°=-r)における車体2の角度を基準角とし、この基準角を中心に、ダンプ操作を許容する車体2の角度範囲ωを定義する。すなわち、基準角(θ=270°)に対し、車体2が特定の範囲(270°±ω)にある場合にのみ、ダンプ操作を可能とする(
図4参照)。つまり、ダンプ操作を可能とする第二の条件は、次のように表すことができ、車体2の角度θを基準角と比較することで簡便に判定することができる。
[式3]
270°-ω≦θ≦270°+ω
【0024】
さらにここで、傾斜の向きθは、傾斜計7によって検出されるピッチ値aとロール値bを用い、上記式1から導出される値であり、第二の条件を表す上記式3は、上記式1の関係を用いて次のように変換できる。すなわち、傾斜の向きθが上記式3の範囲にある場合、ピッチ値a(=rsinθ)とロール値b(=rcosθ)はそれぞれ以下の範囲の値を取る(
図5参照)。
[式4]
-r≦a≦rsin(270°±ω)
rcos(270°-ω)≦b≦rcos(270°+ω)
【0025】
つまり、第二の条件の判定には、必ずしもθの値自体を算出する必要はなく、ピッチ値aとロール値bがそれぞれ上記式4の範囲にあるか否かにより、さらに簡便に行うこともできる。
【0026】
ここで、ダンプ操作を可能とする傾斜の向きθの範囲ωは、0°以上180°以下の範囲で決定される角度値であるが、これは、クローラキャリア1を構成する車体2や走行体3、荷台6等における各部の寸法、車体2の通常時や旋回時、さらに荷台6のダンプ時におけるクローラキャリア1の重心の位置、荷台6における最大積載量や現在の積載量、といった各種の条件を考慮して決定することができる。具体的なωの値は、一定の定数として設定しておいてもよいし、また例えば、傾斜角rや傾斜の向きθ、ピッチ値aやロール値bといった車体2の傾斜に関する数値、さらには荷台6における積載重量といった積荷の積載量に関する数値等から選択される数値の関数として導出するようにしてもよい。あるいは、これらの値が取り得る範囲と、それに応じて決定されるωの関係をテーブルにまとめたデータを制御装置8に格納しておき、傾斜計7から得られるaやb、あるいはそこから導出されるrやθの値に応じ、その場合に対応するωの値を読み出すようにしてもよい。例えば、傾斜角rが上記式2の範囲内であれば、傾斜角rの値によらずωを一律の値としてもよいし、例えばr=0°の場合はω=180°あるいはそれに準じるような広い角度範囲とし、rがゼロより大きい場合にはωをそれより小さく設定して、ダンプ操作可能な角度範囲を狭めるようにしてもよいわけである。
【0027】
こうして、第一の条件(上記式2)および第二の条件(上記式3または式4)の両方を満たす場合にのみ、ダンプ操作を可能とする。これにより、地面の傾斜およびそれに対する車体2の角度を考慮し、適切な場合にのみダンプ操作を可能とし、それ以外の場合にはダンプ操作を不可として、ダンプ操作に伴い車両が不安定になることを防止することができる。尚、旋回式のクローラキャリア1では、旋回によって車体2の角度を変えることができるため、第二の条件をクリアしていないことによってダンプ操作が不可となっている場合には、走行体(クローラ)3の操作によって車両全体の位置や角度を変更せずとも、車体2の角度を変更するだけでダンプ操作が可能となる場合もあり得る。
【0028】
以上の如き判定は、例えば
図6に示すようなフローチャートにまとめることができる。
【0029】
クローラキャリア1の運転中、制御装置8は、傾斜計7から車体2のピッチ値aおよびロール値bを受け取る。この値a、bから、車体2の傾斜角rを算出する(ステップS1;上記式1)。この傾斜角rについて、第一の条件、すなわち傾斜角rが閾値t以内かどうかを判定する(ステップS2;上記式2)。傾斜角rが閾値tを超えていればダンプ操作を不可とし(ステップS3)、ステップS1に戻る。
【0030】
ステップS2において、傾斜角rが閾値t以下であった場合には、ステップS4に進む。ステップS4では、ダンプ操作が可能な角度範囲ωを決定する。ωの値は、上に説明したように定数を用いてもよいし、車体2の傾斜に関する各種の値に基づいて決定してもよい。続いて、地面の傾斜に対する車体2の角度が、ステップS4で決定したωの範囲内にあるかどうかを判定する(ステップS5;上記式3または4)。車体2の角度がダンプ操作可能な範囲を超えていると判断された場合は、ダンプ操作を不可とし(ステップS3)、ステップS1に戻る。車体2の角度がダンプ操作可能な範囲内にあると判断された場合は、ダンプ操作を可能とし(ステップS6)、ステップS1に戻る。
【0031】
以上のように、上記本実施例のダンプの制御方法においては、車体2に対し荷台6をダンプ可能に備えると共に、車体2を走行体(クローラ)3に対し旋回可能に取り付けた運搬車両(クローラキャリア)1におけるダンプの制御方法に関し、車体2の傾斜角rが閾値t以内である第一の条件と、地面の傾斜に対する車体2の角度θが範囲ω以内である第二の条件とを満たす場合にダンプ操作を可能とし、それ以外の場合にはダンプ操作を不可としている。
【0032】
また、本実施例の運搬車両(クローラキャリア)1は、車体2のピッチ値aおよびロール値bを検出する傾斜計7と、傾斜計7の測定値に応じて荷台6のダンプ操作の可否を判定する制御装置8とを備え、上述のダンプの制御方法を実行可能に構成している。
【0033】
このようにすれば、地面の傾斜およびそれに対する車体2の角度を考慮し、適切な場合にのみダンプ操作を可能とし、それ以外の場合にはダンプ操作を不可とすることで、ダンプ操作に伴い車両が不安定になることを防止することができる。
【0034】
本実施例のダンプの制御方法において、第二の条件は、地面の傾斜方向に対し車体2の前後方向が一致し、車体2の後方が前方に対して高い位置にあって前方が沈み込んでいる状態における車体2の角度を基準角とし、平面視において前記基準角に対する車体2の角度が角度範囲ω以内にあるか否かによって判定することができる。このようにすれば、第二の条件の判定を、車体2の角度を基準角と比較することで簡便に行うことができる。
【0035】
本実施例のダンプの制御方法において、第二の条件の判定はさらに、平面視において前記基準角を270°と定義すると共に、前記車体のピッチ値をa、ロール値をb、水平方向に対する前記車体の傾斜角の絶対値をrとした場合に、a,bがそれぞれ下記の範囲にあるか否かによって行うこともできる。
-r≦a≦rsin(270°±ω)
rcos(270°-ω)≦b≦rcos(270°+ω)
【0036】
このようにすれば、第二の条件の判定を、ピッチ値aとロール値bに基づいてさらに簡便に行うことができる。
【0037】
したがって、上記本実施例によれば、荷台のダンプ可能範囲を好適に制限し得る。
【0038】
尚、本発明のダンプの制御方法およびこれを適用した運搬車両は、上述の実施例にのみ限定されるものではない。例えば、上記実施例においては運搬車両としてクローラキャリアを例示したが、本発明はこれに限らず、ダンプ可能な荷台を備えた旋回式の車両であれば各種の運搬車両を対象として想定し得る。例えば、走行体としてクローラの代わりに車輪を備えたダンプカーに本発明を適用してもよい。その他、本発明は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
1 運搬車両(クローラキャリア)
2 車体
3 走行体(クローラ)
6 荷台
7 傾斜計
8 制御装置