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特開2024-126243情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126243
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240912BHJP
【FI】
G06T7/00 640
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034502
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591102095
【氏名又は名称】三菱電機ソフトウエア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 康平
(72)【発明者】
【氏名】福岡 遥佳
(72)【発明者】
【氏名】西村 健志
(72)【発明者】
【氏名】島田 拓弥
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096DA01
5L096GA30
(57)【要約】
【課題】高精度に浸水範囲を推定する。
【解決手段】比較部14は、水害があった水害領域を合成開口レーダにより撮影した画像である第1の画像に統計処理を行って得られた画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第1の確率分布と、水害前に水害領域を合成開口レーダにより撮影した画像である第2の画像に統計処理を行って得られた画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第2の確率分布とを画素単位で比較し、第1の確率分布において第2の確率分布から信号強度が変化している画素の分布である強度変化画素分布を抽出する。都市・郊外分離部13は、水害領域の土地被覆分類に応じて、水害領域を複数の部分領域に分類する。浸水推定部15は、強度変化画素分布と複数の部分領域との重複を解析して、水害領域内の強度変化画素分布に相当する範囲での浸水の発生の可能性を推定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水害があった水害領域を合成開口レーダにより撮影した画像である第1の画像に統計処理を行って得られた前記第1の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第1の確率分布と、水害前に前記水害領域を前記合成開口レーダにより撮影した画像である第2の画像に前記統計処理を行って得られた前記第2の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第2の確率分布とを画素単位で比較し、前記第1の確率分布において前記第2の確率分布から信号強度が変化している画素の分布である強度変化画素分布を抽出する比較部と、
前記水害領域の土地被覆分類及び前記水害領域の地形勾配のいずれかに応じて、前記水害領域を複数の部分領域に分類する分類部と、
前記強度変化画素分布と前記複数の部分領域との重複を解析して、前記水害領域内の前記強度変化画素分布に相当する範囲での浸水の発生の可能性を推定する推定部とを有する情報処理装置。
【請求項2】
前記比較部は、
前記強度変化画素分布として、前記第1の確率分布において前記第2の確率分布から信号強度が増加している画素の分布である強度増加画素分布と、前記第1の確率分布において前記第2の確率分布から信号強度が減少している画素の分布である強度減少画素分布との少なくともいずれかを抽出し、
前記分類部は、
前記複数の部分領域として、前記水害領域の土地被覆分類に応じて、前記水害領域を都市領域と郊外領域とに分類し、
前記推定部は、
前記強度増加画素分布と前記都市領域とが重複している範囲と前記強度減少画素分布と前記郊外領域とが重複している範囲とでは浸水の発生の可能性が高いと推定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記分類部は、
前記水害領域の土地被覆情報及び前記水害領域のリモートセンシング画像の少なくともいずれかを用いて、前記水害領域を前記都市領域と前記郊外領域とに分類する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記分類部は、
前記複数の部分領域として、前記水害領域の地形勾配に応じて、前記水害領域を傾斜のある傾斜領域と前記傾斜領域以外の領域とに分類し、
前記推定部は、
前記強度変化画素分布と前記傾斜領域とが重複している範囲では浸水の発生の可能性が低いと推定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記分類部は、
前記複数の部分領域として、前記水害領域の地形勾配に応じて、前記水害領域を窪地のある窪地領域と前記窪地領域以外の領域とに分類し、
前記推定部は、
前記強度変化画素分布と前記窪地領域とが重複している範囲では浸水の発生の可能性が高いと推定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記推定部は、
浸水の発生の可能性が高いと推定した範囲を推定浸水範囲又は高確信度範囲として通知する通知情報を出力する請求項2又は5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記推定部は、
浸水の発生の可能性が低いと推定した範囲を低確信度範囲として通知する通知情報を出力する請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが、水害があった水害領域を合成開口レーダにより撮影した画像である第1の画像に統計処理を行って得られた前記第1の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第1の確率分布と、水害前に前記水害領域を前記合成開口レーダにより撮影した画像である第2の画像に前記統計処理を行って得られた前記第2の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第2の確率分布とを画素単位で比較し、前記第1の確率分布において前記第2の確率分布から信号強度が変化している画素の分布である強度変化画素分布を抽出する比較処理と、
前記コンピュータが、前記水害領域の土地被覆分類及び前記水害領域の地形勾配のいずれかに応じて、前記水害領域を複数の部分領域に分類する分類処理と、
前記コンピュータが、前記強度変化画素分布と前記複数の部分領域との重複を解析して、前記水害領域内の前記強度変化画素分布に相当する範囲での浸水の発生の可能性を推定する推定処理とを有する情報処理方法。
【請求項9】
水害があった水害領域を合成開口レーダにより撮影した画像である第1の画像に統計処理を行って得られた前記第1の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第1の確率分布と、水害前に前記水害領域を前記合成開口レーダにより撮影した画像である第2の画像に前記統計処理を行って得られた前記第2の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第2の確率分布とを画素単位で比較し、前記第1の確率分布において前記第2の確率分布から信号強度が変化している画素の分布である強度変化画素分布を抽出する比較処理と、
前記水害領域の土地被覆分類及び前記水害領域の地形勾配のいずれかに応じて、前記水害領域を複数の部分領域に分類する分類処理と、
前記強度変化画素分布と前記複数の部分領域との重複を解析して、前記水害領域内の前記強度変化画素分布に相当する範囲での浸水の発生の可能性を推定する推定処理とをコンピュータに実行させる情報処理プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水害発生時の浸水範囲を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
洪水、大雨、台風といった水害発生時に、浸水被害を把握する手法として、従来は地上センサが使用されていた。地上センサを用いた浸水把握の手法は、エレベータ、発電所といった特定のスポットの浸水状況の把握には有用である。
しかし、地上センサを用いた浸水状況の把握手法は、被害が広域に発生する状況において、どの地域がより被害が大きいかといった面方向の広がりを持った情報を取得することには向いていない。
【0003】
広域の浸水被害を把握する手法として、リモートセンシングデータを活用した浸水深推定手法が提案されている(非特許文献1)。
非特許文献1では、水害の前後で取得された2時期の合成開口レーダ(Sythetic-Aperture Rador、SAR)衛星画像を用いる。より具体的には、非特許文献1では、画像中の後方散乱係数の分布を比較し、浸水範囲を推定する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“Sensitivity Study of ALOS-2 Data to Floodwaters in Joso City in 2015 and its Application.”M. Arii, Journal of The Remote Sensing Society of Japan,
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1では、SAR衛星画像が浸水時に生じる変化として、浸水時の後方散乱係数モデルを前提として浸水を推定している。
浸水時の後方散乱係数モデルは、郊外部では浸水により生じた水面への反射により後方散乱係数が小さくなり、都市部では水面と建物の壁の2回反射が起こるため後方散乱係数が大きくなることを内容とする。
【0006】
ここで、2時期のSAR衛星画像の変化には、浸水時の後方散乱係数モデルに当てはまらない変化が含まれる。浸水時の後方散乱係数モデルに当てはまらない変化には、例えば、植生など季節変化による信号強度の増加、都市の経時変化による信号強度の減少が含まれる。
浸水時の後方散乱係数モデルに当てはまらないこれらの変化を浸水と捉えた場合には、浸水範囲の過剰抽出又は過小抽出となるという課題がある。
【0007】
本開示は、このような課題を解決することを主な目的とする。より具体的には、本開示は、浸水時の後方散乱係数モデルに当てはまらない信号強度の変化を除外し、より高精度に浸水範囲を推定することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る情報処理装置は、
水害があった水害領域を合成開口レーダにより撮影した画像である第1の画像に統計処理を行って得られた前記第1の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第1の確率分布と、水害前に前記水害領域を前記合成開口レーダにより撮影した画像である第2の画像に前記統計処理を行って得られた前記第2の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第2の確率分布とを画素単位で比較し、前記第1の確率分布において前記第2の確率分布から信号強度が変化している画素の分布である強度変化画素分布を抽出する比較部と、
前記水害領域の土地被覆分類及び前記水害領域の地形勾配のいずれかに応じて、前記水害領域を複数の部分領域に分類する分類部と、
前記強度変化画素分布と前記複数の部分領域との重複を解析して、前記水害領域内の前記強度変化画素分布に相当する範囲での浸水の発生の可能性を推定する推定部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、浸水時の後方散乱係数モデルに当てはまらない信号強度の変化を除外し、より高精度に浸水範囲を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る比較部の処理を説明する図である。
図3】実施の形態1に係る比較部の処理を説明する図である。
図4】実施の形態2に係る情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図5】実施の形態3に係る情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図6】実施の形態4に係る情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図7】実施の形態5に係る情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
図8】実施の形態1に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を図を用いて説明する。以下の実施の形態の説明及び図面において、同一の符号を付したものは、同一の部分又は相当する部分を示す。
【0012】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、実施の形態1に係る情報処理装置1の機能構成例を示すブロック図である。
また、図8は、実施の形態1に係る情報処理装置1のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0013】
本実施の形態に係る情報処理装置1は、コンピュータである。情報処理装置1の動作手順は、情報処理方法に相当する。また、情報処理装置1の動作を実現するプログラムは、情報処理プログラムに相当する。
【0014】
図8に示すように、情報処理装置1は、ハードウェアとして、プロセッサ901、主記憶装置902、補助記憶装置903、通信装置904及び入出力装置905を備える。
また、図1に示すように、情報処理装置1は、機能構成として、第1の確率分布算出部11、第2の確率分布算出部12、都市・郊外分離部13、比較部14及び浸水判定部15を備える。第1の確率分布算出部11、第2の確率分布算出部12、都市・郊外分離部13、比較部14及び浸水判定部15の機能は、例えば、プログラムにより実現される。
補助記憶装置903には、第1の確率分布算出部11、第2の確率分布算出部12、都市・郊外分離部13、比較部14及び浸水判定部15の機能を実現するプログラムが記憶されている。
これらプログラムは、補助記憶装置903から主記憶装置902にロードされる。そして、プロセッサ901がこれらプログラムを実行して、後述する第1の確率分布算出部11、第2の確率分布算出部12、都市・郊外分離部13、比較部14及び浸水判定部15の動作を行う。
図8は、プロセッサ901が第1の確率分布算出部11、第2の確率分布算出部12、都市・郊外分離部13、比較部14及び浸水判定部15の機能を実現するプログラムを実行している状態を模式的に表している。
【0015】
図1において、第1の確率分布算出部11は、第1の画像DIN1を取得する。第1の画像DIN1は、水害があった水害領域を合成開口レーダにより撮影した画像データである。第1の画像DIN1は人工衛星、航空機、ドローン等のいずれにより撮影されていてもよい。
また、第1の確率分布算出部11は、第1の画像DIN1に統計処理を行う。より具体的には、第1の確率分布算出部11は、第1の画像DIN1のある注目画素とその近傍の画素とで構成される後方散乱係数の分布に対して統計処理を行う。統計処理により、第1の確率分布算出部11は、第1の画像DIN1の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第1の確率分布D11を取得する。
【0016】
第2の確率分布算出部12は、第2の画像DIN2を取得する。第2の画像DIN2は、水害前に水害領域を合成開口レーダにより撮影した画像データである。第2の画像DIN2も人工衛星、航空機、ドローン等のいずれにより撮影されていてもよい。
また、第2の確率分布算出部12は、第1の確率分布算出部11が行う統計処理と同じ統計処理を第2の画像DIN2に行う。統計処理により、第2の確率分布算出部12は、第2の画像DIN2の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第2の確率分布D12を取得する。
【0017】
第1の確率分布算出部11及び第2の確率分布算出部12は、統計処理として、例えば、注目画素を中心とした矩形ウインドウ内に存在する後方散乱係数のヒストグラムを算出する。
【0018】
また、第1の確率分布算出部11及び第2の確率分布算出部12は、別の統計処理として、例えば、矩形ウインドウ内に存在する後方散乱係数の累積分布関数または逆累積密度関数を算出する。
【0019】
比較部14は、第1の確率分布D11と第2の確率分布D12とを画素単位で比較する。
そして、比較部14は、第1の確率分布D11において第2の確率分布D12から信号強度が変化している画素の分布である強度変化画素分布を抽出する。より具体的には、比較部14は、強度変化画素分布として、第1の確率分布D11において第2の確率分布D12から信号強度が増加している画素の分布である強度増加画素分布D14uを抽出する。また、比較部14は、強度変化画素分布として、第1の確率分布D11において第2の確率分布D12から信号強度が減少している画素の分布である強度減少画素分布D14dを抽出する。
第1の確率分布D11と第2の確率分布D12との比較方法としては、例えば確率分布の中央値の信号強度、累積確率が予め設定した値に対応する信号強度を比較する方法が挙げられる。
【0020】
図2は、第1の確率分布D11及び第2の確率分布D12がヒストグラムであった場合の比較部14の処理を説明する。
図2の(a)、図2の(b)は、それぞれ水害前(第2の確率分布D12)及び水害後(第1の確率分布D11)のある注目画素を中心とした矩形ウインドウ内に存在する後方散乱係数のヒストグラムを示す。
【0021】
図2の(c)は、比較部14の比較処理を示す。比較部14は、2つのヒストグラムのピーク値を比較して、ピーク値の信号差Δsを算出する。図2の例では、水害前から水害後で信号成分が増加している。このため、比較部14は、図2に対応する画素を強度増加画素分布D14uの一部として抽出する。
【0022】
図3は、第1の確率分布D11及び第2の確率分布D12が逆累積密度関数であった場合の比較部14の処理を説明する。
図3の(a)、図3の(b)は、それぞれ水害前(第2の確率分布D12)及び水害後(第1の確率分布D11)のある注目画素を中心とした矩形ウインドウ内に存在する後方散乱係数の逆累積密度関数を示す。
【0023】
図3の(c)は、比較部14の比較処理を示す。比較部14は、2つの逆累積密度関数の、ある累積確率での信号値を比較して、信号差Δsを算出する。図3の例も、水害前から水害後で信号成分が増加している。このため、比較部14は、図3に対応する画素を強度増加画素分布D14uの一部として抽出する。
【0024】
都市・郊外分離部13は、土地被覆情報DIN3に示す土地被覆分類に応じて、水害領域を、部分領域である都市領域と郊外領域とに分類する。
土地被覆情報DIN3では、活用するリモートセンシングデータの種類にもよるが、対象領域が例えば水域、都市、水田、畑、裸地、森林等に分類される。都市・郊外分離部13は、例えば、水害領域のうち土地被覆情報DIN3において都市に分類されている領域を都市領域に分類する。また、都市・郊外分離部13は、水害領域のうち土地被覆情報DIN3において都市以外に分類されている領域を郊外領域に分類する。比較部14は、他の方法により、水害領域を都市領域と郊外領域とに分類してもよい。
都市・郊外分離部13は、分類結果が示される分類結果情報D13を浸水判定部15に出力する。
なお、土地被覆情報DIN3としては、リモートセンシング技術、測量によって作成、整備された情報を想定する。土地被覆情報DIN3は、例えば、宇宙航空研究開発機構:高解像度土地利用土地被覆図ホームページ(https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/jp/dataset/lulc_j.htm)から取得可能である。
【0025】
浸水判定部15は、分類結果情報D13と強度増加画素分布D14uと強度減少画素分布D14dとを用いて、強度増加画素分布D14uと強度減少画素分布D14dにおける浸水の発生の可能性を推定する。
より具体的には、浸水判定部15は、強度増加画素分布D14uと都市領域との重複、強度減少画素分布D14dと郊外領域との重複を解析する。
そして、浸水判定部15は、強度増加画素分布D14uと都市領域とが重複している範囲で浸水の発生の可能性が高いと推定する。更に、浸水判定部15は、強度減少画素分布D14dと郊外領域とが重複している範囲で浸水の発生の可能性が高いと推定する。
そして、浸水判定部15は、浸水の発生の可能性が高いと推定した範囲を推定浸水範囲として通知する通知情報DOUTを入出力装置905に出力する。
【0026】
一方、強度減少画素分布D14dと都市領域とが重複している範囲では浸水の発生の可能性が低いと推定される。また、強度増加画素分布D14uと郊外領域とが重複している範囲でも浸水の発生の可能性が低いと推定される。浸水判定部15は、このような浸水の発生の可能性の低い範囲は通知情報DOUTに含ませない。
これにより、浸水時の後方散乱係数モデルに当てはまらない信号変化を除外することができる。例えば、郊外領域にて発生した植生など季節変化での信号強度増加、都市領域で発生した経時変化による信号強度の減少を浸水状況の推定から除外することができる。
【0027】
***実施の形態の効果の説明***
以上のように、実施の形態1に係る情報処理装置1によれば、植生など季節変化による信号強度の増加、都市の経時変化による信号強度の減少等、浸水時の後方散乱係数モデルに当てはまらない信号変化を除外し、より高精度に浸水範囲を推定することができる。
【0028】
なお、第1の画像DIN1及び第2の画像DIN2は、確率分布の比較に際して、事前に相対的な位置合わせが行われていることが望ましい。もしくはオルソ補正により地図上に投影されていることが望ましい。
【0029】
また、以上では、土地被覆情報DIN3を用いて水害領域を都市領域及と郊外領域とに分類している。これに代えて、例えば、土地被覆情報の源泉となるリモートセンシング画像データ等から情報処理装置1が土地被覆情報DIN3を生成してもよい。また、情報処理装置1がリモートセンシング画像等から水害領域を都市領域と郊外領域とに分類してもよい。これらの詳細は実施の形態2で説明する。
【0030】
実施の形態2.
本実施の形態では、主に実施の形態1との差異を説明する。
なお、以下で説明していない事項は、実施の形態1と同様である。
【0031】
***構成の説明***
図4は、実施の形態2に係る情報処理装置1の機能構成例を示すブロック図である。
図4では、図1と比較して、土地利用判定部21が追加されている。また、図4では、土地利用判定部21が、土地被覆情報DIN3の代わりに第3の画像DIN4を取得する。第3の画像DIN4は、水害領域のリモートセンシング画像である。土地利用判定部21は、第3の画像DIN4を解析し、土地被覆情報D21を生成する。土地利用判定部21が生成する土地被覆情報D21は実施の形態1で説明した土地被覆情報DIN3と同様である。
これら以外の要素は、図1に示したものと同様である。
なお、土地利用判定部21も第1の確率分布算出部11等と同様にプログラムで実現可能である。
【0032】
第3の画像DIN4は、例えばSAR衛星画像である。また、第3の画像DIN4は、光学衛星画像、航空画像、ドローン画像等であってもよい。
【0033】
土地利用判定部21は、第3の画像DIN4の各画素値を解析して画素値に対応する領域の土地利用状況を判定して土地被覆情報D21を生成する。
【0034】
第3の画像DIN4がSAR衛星画像の場合は、土地利用判定部21は、HH偏波、HV偏波などの偏波成分を解析することで土地被覆情報D21を生成することができる。
また、土地利用判定部21は、偏波解析のより高度な手法を用いてもよい。例えば、土地利用判定部21は、目標物の情報を取得可能な散乱電力分解手法を用いることができる。この手法では、散乱電力を調べることにより、表面散乱物体(水面/裸地など)、2回反射散乱物体(人工物など)、体積散乱物体(植生など)といった、目標物の情報が取得可能である。
【0035】
また、第3の画像DIN4が光学衛星画像の場合は、土地利用判定部21は、各領域の分光特性を解析することで土地被覆情報D21を生成することができる。例えば、植生状況の解析には、近赤外帯域の画像を利用した植生指標であるNDVI(Normalized Difference Vegetation Index)を用いることができる。
ρNIR、ρREDをそれぞれある地点のNIR(Near Inreared:近赤外線波長光)、RED帯域(赤波長光)の計測値とした場合、NDVIは式(1)で表される。
【0036】
【数1】
【0037】
本実施の形態では、都市・郊外分離部13は土地利用判定部21から出力された土地被覆情報D21を用いて、実施の形態1と同様に、水害領域を都市領域と郊外領域とに分類する。
図4に示す、第1の確率分布算出部11、第2の確率分布算出部12、比較部14及び浸水判定部15は、実施の形態1と同様に動作する。
【0038】
***実施の形態の効果の説明***
実施の形態2に係る情報処理装置によれば、第1の画像DIN1の取得時期または第2の画像DIN2の取得時期に近い第3の画像DIN4を選定することにより、季節変化、経時変化による影響の少ない土地被覆情報を利用することが可能となる。
これにより、実施の形態1のケースよりも高精度に、植生など季節変化による信号強度の増加、都市の経時変化による信号強度の減少など浸水時の後方散乱係数モデルに当てはまらない信号変化を除外することが可能となる。
なお、土地利用判定部21が第3の画像DIN4から水害領域を都市領域と郊外領域とに分類してもよい。この場合は、都市・郊外分離部13は不要である。
【0039】
実施の形態3.
本実施の形態では、主に実施の形態1との差異を説明する。
なお、以下で説明していない事項は、実施の形態1と同様である。
【0040】
***構成の説明***
図5は、実施の形態3に係る情報処理装置1の機能構成例を示すブロック図である。
図5では、図1と比較して、浸水判定部15の代わりに確信度判定部31が含まれる。確信度判定部31は推定部に相当する。
また、確信度判定部31は、通知情報DOUTに代えて通知情報DOUT2を出力する。
これら以外の要素は図1に示すものと同様である。
なお、確信度判定部31も第1の確率分布算出部11等と同様にプログラムで実現可能である。
【0041】
確信度判定部31は、分類結果情報D13と強度増加画素分布D14uと強度増加画素分布D14uとを用いて、強度増加画素分布D14u及び強度減少画素分布D14dと都市領域及び郊外領域との重複を解析する。より具体的には、確信度判定部31は、強度増加画素分布D14uと都市領域との重複を解析する。また、確信度判定部31は、強度減少画素分布D14dと都市領域との重複を解析する。更に、確信度判定部31は、強度増加画素分布D14uと郊外領域との重複を解析する。また、確信度判定部31は、強度減少画素分布D14dと郊外領域との重複を解析する。
そして、確信度判定部31は、強度増加画素分布D14uと都市領域とが重複している範囲では浸水の発生の可能性が高いと推定する。また、確信度判定部31は、強度減少画素分布D14dと郊外領域とが重複している範囲でも浸水の発生の可能性が高いと推定する。一方、確信度判定部31は、強度減少画素分布D14dと都市領域とが重複している範囲では浸水の発生の可能性が低いと推定する。また、確信度判定部31は、強度増加画素分布D14uと郊外領域とが重複している範囲でも浸水の発生の可能性が低いと推定する。
【0042】
更に、浸水判定部15は、通知情報DOUT2を入出力装置905に出力する。
通知情報DOUT2では、浸水の発生の可能性が高いと推定した範囲を高確信度範囲として通知する。また、通知情報DOUT2では、浸水の発生の可能性が低いと推定した範囲を低確信度範囲として通知する。
【0043】
***実施の形態の効果の説明***
実施の形態3に係る情報処理装置によれば、浸水時の後方散乱係数モデルに当てはまらない信号変化を低確信度範囲としてラベリングすることで、浸水情報を用いたその後の意思決定に活用できる。
【0044】
実施の形態4.
本実施の形態では、主に実施の形態1との差異を説明する。
なお、以下で説明していない事項は、実施の形態3と同様である。
【0045】
***構成の説明***
図6は、実施の形態3に係る情報処理装置1の機能構成例を示すブロック図である。
図6では、図5と比較して、都市・郊外分離部13の代わりに地形勾配解析部41が含まれる。地形勾配解析部41は、土地被覆情報DIN3の代わりに標高情報DIN5を取得する。標高情報DIN5には、水害領域における標高が示される。地形勾配解析部41は分類部に相当する。
また、確信度判定部31は、通知情報DOUT2に代えて通知情報DOUT3を出力する。
これら以外の要素は図5に示すものと同様である。
なお、地形勾配解析部41も第1の確率分布算出部11等と同様にプログラムで実現可能である。
【0046】
標高情報DIN5としては、例えばレーザ測量、写真測量等の手法で作成されたDEM(Digital Elevation Model:数値標高モデル)が利用可能である。日本国内では、標高情報DIN5として、国土地理院が公開している5mメッシュDEM5Aなどが利用できる。全世界ではSRTM-3(Shuttle Rador Topography Mission)が公開されているほか、垂直分解能の高いDEMデータも入手可能である。
【0047】
地形勾配解析部41は、標高情報DIN5の2次元数値勾配を算出し、勾配の絶対値が予め設定した閾値以上となる座標の領域を抽出する。つまり、地形勾配解析部41は、標高情報DIN51に基づき、水害領域の地形勾配に応じて、水害領域を傾斜のある傾斜領域と傾斜領域以外の領域とに分類する。そして、地形勾配解析部41は、抽出結果(傾斜領域)が示される傾斜マップD41を確信度判定部31に出力する。
【0048】
本実施の形態では、確信度判定部31は、強度増加画素分布D14uと強度減少画素分布D14dと傾斜マップD41とを用いた解析を行う。
より具体的には、確信度判定部31は、傾斜マップD41に示される傾斜領域と強度変化画素分布(強度増加画素分布D14uと強度減少画素分布D14d)とが重複している範囲では浸水の発生の可能性が低いと推定する。
更に、浸水判定部15は、通知情報DOUT3を入出力装置905に出力する。通知情報DOUT3では、浸水の発生の可能性が低いと推定した範囲を低確信度範囲として通知する。通知情報DOUT3において、併せて、水害領域のうち低確信度範囲以外の範囲を浸水の発生の可能性が高い範囲(高確信度範囲)として通知するようにしてもよい。
【0049】
***実施の形態の効果の説明***
実施の形態4に係る情報処理装置は、土地の勾配情報を活用して、後方散乱係数モデルを用いた信号変化を精査する。そして、実施の形態4に係る情報処理装置は、勾配があるため浸水可能性の低い範囲を低確信度範囲としてラベリングする。この結果、低確信度範囲を浸水情報を用いたその後の意思決定に活用することができる。
【0050】
また、以上では、地形勾配解析部41は、土地被覆情報DIN3の代替として標高情報DIN5を入力する。これに代えて、例えば、地形勾配解析部41が、土地被覆情報DIN3と標高情報DIN5の両者を入力し、確信度判定部31が、これら情報から抽出できる情報の組合せで確信度を算出してもよい。
【0051】
また、以上では、地形勾配解析部41は、標高情報DIN5に基づき、水害領域の地形勾配に応じて傾斜領域を抽出している。これに代えて、地形勾配解析部41が、標高情報DIN5に基づき、水害領域の地形勾配に応じて水害領域内で窪地になっている窪地領域を抽出してもよい。つまり、地形勾配解析部41は、水害領域を窪地領域と窪地領域以外の領域に分類してもよい。そして、確信度判定部31は、窪地領域と強度変化画素分布(強度増加画素分布D14uと強度減少画素分布D14d)とが重複している範囲では浸水の発生の可能性が高いと推定してもよい。この場合には、通知情報DOUT3において、浸水の発生の可能性が高い範囲が高確信度範囲として通知される。
【0052】
実施の形態5.
***動作の説明***
図7は、実施の形態1に係る情報処理装置における動作手順(情報処理方法)を示すフローチャートである。
【0053】
ステップST1では、第1の確率分布算出部11が、第1の画像DIN1から第1の確率分布D11を算出する。また、第2の確率分布算出部12が、第2の画像DIN2から第2の確率分布D12を算出する。
【0054】
ステップST2では、比較部14が第1の確率分布D11と第2の確率分布D12を比較する。そして、比較部14は、強度増加画素分布D14u及び強度減少画素分布D14dを抽出する。
【0055】
ステップST3では、都市・郊外分離部13が、土地被覆情報DIN3を用いて水害領域を都市領域と郊外領域とに分類する。
【0056】
ステップST4では、浸水判定部15が、分類結果情報D13と強度増加画素分布D14uと強度減少画素分布D14dとを用いて、浸水範囲を推定する。つまり、前述のように、浸水判定部15が、都市領域と重複する強度増加画素分布D14uと、郊外領域と重複する強度減少画素分布D14dのみを浸水範囲として推定する。そして、浸水判定部15は、推定浸水範囲を通知する通知情報DOUTを出力する。
【0057】
以上、実施の形態1~5を説明したが、これらの実施の形態のうち、2つ以上を組み合わせて実施しても構わない。
あるいは、これらの実施の形態のうち、1つを部分的に実施しても構わない。
あるいは、これらの実施の形態のうち、2つ以上を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
また、これらの実施の形態に記載された構成及び手順を必要に応じて変更してもよい。
【0058】
***ハードウェア構成の補足説明***
ここで、情報処理装置1のハードウェア構成の補足説明を行う。
図8に示すプロセッサ901は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。
プロセッサ901は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等である。
図8に示す主記憶装置902は、RAM(Random Access Memory)である。
図8に示す補助記憶装置903は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等である。
図8に示す通信装置904は、データの通信処理を実行する電子回路である。
通信装置904は、例えば、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
入出力装置905は、例えば、マウス、キーボード、ディスプレイである。
【0059】
また、補助記憶装置903には、OS(Operating System)も記憶されている。
そして、OSの少なくとも一部がプロセッサ901により実行される。
プロセッサ901はOSの少なくとも一部を実行しながら、第1の確率分布算出部11、第2の確率分布算出部12、都市・郊外分離部13、比較部14、浸水判定部15、土地利用判定部21、確信度判定部31及び地形勾配解析部41の機能を実現するプログラムを実行する。
プロセッサ901がOSを実行することで、タスク管理、メモリ管理、ファイル管理、通信制御等が行われる。
また、第1の確率分布算出部11、第2の確率分布算出部12、都市・郊外分離部13、比較部14、浸水判定部15、土地利用判定部21、確信度判定部31及び地形勾配解析部41の処理の結果を示す情報、データ、信号値及び変数値の少なくともいずれかが、主記憶装置902、補助記憶装置903、プロセッサ901内のレジスタ及びキャッシュメモリの少なくともいずれかに記憶される。
また、第1の確率分布算出部11、第2の確率分布算出部12、都市・郊外分離部13、比較部14、浸水判定部15、土地利用判定部21、確信度判定部31及び地形勾配解析部41の機能を実現するプログラムは、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD等の可搬記録媒体に格納されていてもよい。そして、第1の確率分布算出部11、第2の確率分布算出部12、都市・郊外分離部13、比較部14、浸水判定部15、土地利用判定部21、確信度判定部31及び地形勾配解析部41の機能を実現するプログラムが格納された可搬記録媒体を流通させてもよい。
【0060】
また、第1の確率分布算出部11、第2の確率分布算出部12、都市・郊外分離部13、比較部14、浸水判定部15、土地利用判定部21、確信度判定部31及び地形勾配解析部41の少なくともいずれかの「部」を、「回路」又は「工程」又は「手順」又は「処理」又は「サーキットリー」に読み替えてもよい。
また、情報処理装置1は、処理回路により実現されてもよい。処理回路は、例えば、ロジックIC(Integrated Circuit)、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)である。
この場合は、第1の確率分布算出部11、第2の確率分布算出部12、都市・郊外分離部13、比較部14、浸水判定部15、土地利用判定部21、確信度判定部31及び地形勾配解析部41は、それぞれ処理回路の一部として実現される。
なお、本明細書では、プロセッサと処理回路との上位概念を、「プロセッシングサーキットリー」という。
つまり、プロセッサと処理回路とは、それぞれ「プロセッシングサーキットリー」の具体例である。
【0061】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
水害があった水害領域を合成開口レーダにより撮影した画像である第1の画像に統計処理を行って得られた前記第1の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第1の確率分布と、水害前に前記水害領域を前記合成開口レーダにより撮影した画像である第2の画像に前記統計処理を行って得られた前記第2の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第2の確率分布とを画素単位で比較し、前記第1の確率分布において前記第2の確率分布から信号強度が変化している画素の分布である強度変化画素分布を抽出する比較部と、
前記水害領域の土地被覆分類及び前記水害領域の地形勾配のいずれかに応じて、前記水害領域を複数の部分領域に分類する分類部と、
前記強度変化画素分布と前記複数の部分領域との重複を解析して、前記水害領域内の前記強度変化画素分布に相当する範囲での浸水の発生の可能性を推定する推定部とを有する情報処理装置。
(付記2)
前記比較部は、
前記強度変化画素分布として、前記第1の確率分布において前記第2の確率分布から信号強度が増加している画素の分布である強度増加画素分布と、前記第1の確率分布において前記第2の確率分布から信号強度が減少している画素の分布である強度減少画素分布との少なくともいずれかを抽出し、
前記分類部は、
前記複数の部分領域として、前記水害領域の土地被覆分類に応じて、前記水害領域を都市領域と郊外領域とに分類し、
前記推定部は、
前記強度増加画素分布と前記都市領域とが重複している範囲と前記強度減少画素分布と前記郊外領域とが重複している範囲とでは浸水の発生の可能性が高いと推定する付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記分類部は、
前記水害領域の土地被覆情報及び前記水害領域のリモートセンシング画像の少なくともいずれかを用いて、前記水害領域を前記都市領域と前記郊外領域とに分類する付記2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記分類部は、
前記複数の部分領域として、前記水害領域の地形勾配に応じて、前記水害領域を傾斜のある傾斜領域と前記傾斜領域以外の領域とに分類し、
前記推定部は、
前記強度変化画素分布と前記傾斜領域とが重複している範囲では浸水の発生の可能性が低いと推定する付記1又は2に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記分類部は、
前記複数の部分領域として、前記水害領域の地形勾配に応じて、前記水害領域を窪地のある窪地領域と前記窪地領域以外の領域とに分類し、
前記推定部は、
前記強度変化画素分布と前記窪地領域とが重複している範囲では浸水の発生の可能性が高いと推定する付記1~4のいずれかに記載の情報処理装置。
(付記6)
前記推定部は、
浸水の発生の可能性が高いと推定した範囲を推定浸水範囲又は高確信度範囲として通知する通知情報を出力する付記2又は5に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記推定部は、
浸水の発生の可能性が低いと推定した範囲を低確信度範囲として通知する通知情報を出力する付記4に記載の情報処理装置。
(付記8)
コンピュータが、水害があった水害領域を合成開口レーダにより撮影した画像である第1の画像に統計処理を行って得られた前記第1の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第1の確率分布と、水害前に前記水害領域を前記合成開口レーダにより撮影した画像である第2の画像に前記統計処理を行って得られた前記第2の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第2の確率分布とを画素単位で比較し、前記第1の確率分布において前記第2の確率分布から信号強度が変化している画素の分布である強度変化画素分布を抽出する比較処理と、
前記コンピュータが、前記水害領域の土地被覆分類及び前記水害領域の地形勾配のいずれかに応じて、前記水害領域を複数の部分領域に分類する分類処理と、
前記コンピュータが、前記強度変化画素分布と前記複数の部分領域との重複を解析して、前記水害領域内の前記強度変化画素分布に相当する範囲での浸水の発生の可能性を推定する推定処理とを有する情報処理方法。
(付記9)
水害があった水害領域を合成開口レーダにより撮影した画像である第1の画像に統計処理を行って得られた前記第1の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第1の確率分布と、水害前に前記水害領域を前記合成開口レーダにより撮影した画像である第2の画像に前記統計処理を行って得られた前記第2の画像の画素ごとの後方散乱係数の確率分布である第2の確率分布とを画素単位で比較し、前記第1の確率分布において前記第2の確率分布から信号強度が変化している画素の分布である強度変化画素分布を抽出する比較処理と、
前記水害領域の土地被覆分類及び前記水害領域の地形勾配のいずれかに応じて、前記水害領域を複数の部分領域に分類する分類処理と、
前記強度変化画素分布と前記複数の部分領域との重複を解析して、前記水害領域内の前記強度変化画素分布に相当する範囲での浸水の発生の可能性を推定する推定処理とをコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0062】
1 情報処理装置、11 第1の確率分布算出部、12 第2の確率分布算出部、13 都市・郊外分離部、14 比較部、15 浸水判定部、21 土地利用判定部、31、 確信度判定部、41 地形勾配解析部、901 プロセッサ、902 主記憶装置、903 補助記憶装置、904 通信装置、905 入出力装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8