(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126246
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】インダクタおよび部品実装モジュール
(51)【国際特許分類】
H01F 27/30 20060101AFI20240912BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20240912BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240912BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01F27/30 101A
H01F37/00 T
H01F17/04 F
H01F27/29 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034507
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】星合 暁洋
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AB01
5E070BB03
5E070DB02
(57)【要約】
【課題】インダクタの耐振動性を向上する。
【解決手段】インダクタ1は、磁性材料粉体と結合剤との混合物を含む磁心10と、磁心10の内部に設けられたコイル部20と、コイル部20につながり磁心10の外部に設けられた電極部30と、磁心10の内部および外部に設けられた固定金具60と、を備える。固定金具60は、磁心10の内部において、コイル部20の外周の一部を囲むように配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料粉体と結合剤との混合物を含む磁心と、
前記磁心の内部に設けられたコイル部と、
前記コイル部につながり前記磁心の外部に設けられた電極部と、
前記磁心の内部および外部に設けられた固定金具と、
を備え、
前記固定金具は、前記磁心の内部において、前記コイル部の外周の一部を囲むように配置されている
インダクタ。
【請求項2】
前記固定金具は、前記磁心の内部に埋設された埋設固定部と、前記磁心の表面にて前記埋設固定部につながり、前記磁心の外部に設けられた突出固定部と、を有する
請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記埋設固定部は、前記コイル部に対して間隔を空けて配置された枠状部と、前記枠状部と前記突出固定部とをつなぐ中継部と、を有する
請求項2に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記枠状部は、前記中継部よりも厚みが厚い
請求項3に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記埋設固定部および前記突出固定部は、厚みが同じである
請求項2に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記磁心は、底面と、前記底面に背向する天面と、前記底面および前記天面をつなぐ側面と、を有し、
前記突出固定部は、前記側面から突出している
請求項2に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記突出固定部は、前記底面に対して平行に配置されている
請求項6に記載のインダクタ。
【請求項8】
前記側面は、第1側面と、前記第1側面に背向する第2側面と、前記第1側面および前記第2側面をつなぎかつ前記底面および前記天面をつなぐ第3側面と、前記第3側面と背向する第4側面と、を有し、
前記電極部は、前記第1側面から突出し、
前記突出固定部は、前記第2側面、前記第3側面および前記第4側面の少なくとも1つから突出している
請求項6に記載のインダクタ。
【請求項9】
前記磁心は、底面と、前記底面に背向する天面と、前記底面および前記天面をつなぐ第1側面と、前記第1側面に背向する第2側面と、前記第1側面および前記第2側面をつなぎかつ前記底面および前記天面をつなぐ第3側面と、前記第3側面と背向する第4側面と、を有し、
前記電極部は、前記第1側面から突出し、
前記突出固定部は、前記第2側面と前記第3側面とをつなぐ角部、および、前記第2側面と前記第4側面とをつなぐ角部から突出している
請求項2に記載のインダクタ。
【請求項10】
前記突出固定部は、さらに、前記第1側面と前記第3側面とをつなぐ角部、および、前記第1側面と前記第4側面とをつなぐ角部から突出している
請求項9に記載のインダクタ。
【請求項11】
前記磁心は、底面と、前記底面に背向する天面と、前記底面および前記天面をつなぐ第1側面と、前記第1側面に背向する第2側面と、前記第1側面および前記第2側面をつなぎかつ前記底面および前記天面をつなぐ第3側面と、前記第3側面と背向する第4側面と、を有し、
前記天面に垂直な方向から見た場合に、前記コイル部は、円形状の部分を有し、前記枠状部は、前記第2側面、前記第3側面および前記第4側面に沿って配置されている
請求項3に記載のインダクタ。
【請求項12】
前記磁心は、底面と、前記底面に背向する天面と、前記底面および前記天面をつなぐ側面と、を有し、
前記天面に垂直な方向から見た場合に、前記コイル部は、円形状の部分を有し、前記枠状部は、円弧状の形状を有し、前記コイル部の外周の一部に沿って配置されている
請求項3に記載のインダクタ。
【請求項13】
前記磁心は、底面と、前記底面に背向する天面と、前記底面および前記天面をつなぐ第1側面と、前記第1側面に背向する曲面状の第2側面と、前記第1側面および前記第2側面をつなぎかつ前記底面および前記天面をつなぐ第3側面と、前記第3側面と背向する第4側面と、を有し、
前記電極部は、前記第1側面から突出し、
前記突出固定部は、前記第2側面、前記第3側面および前記第4側面の少なくとも1つから突出している
請求項2に記載のインダクタ。
【請求項14】
前記埋設固定部は、前記コイル部の巻回軸に平行な方向に前記埋設固定部を貫通する複数の孔部を有し、
前記複数の孔部には、前記磁心の前記混合物が充填されている
請求項2に記載のインダクタ。
【請求項15】
前記固定金具は、前記コイル部の巻回軸に垂直な方向から見た場合に、前記コイル部の両端の間に配置されている
請求項1に記載のインダクタ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のインダクタと、
前記インダクタが実装されるプリント回路基板と、
を備える部品実装モジュール。
【請求項17】
前記プリント回路基板は、前記磁心よりも大きな開口部を有し、
前記磁心は、前記開口部に挿入され、
前記電極部および前記固定金具のそれぞれは、前記プリント回路基板に固定されている
請求項16に記載の部品実装モジュール。
【請求項18】
さらに、
前記インダクタを冷却するための冷却板と、
前記冷却板に接触する熱伝導性部材と、
を備え、
前記熱伝導性部材は、前記磁心の底面および天面の少なくとも一方に接触している
請求項16に記載の部品実装モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インダクタ、および、インダクタが実装された部品実装モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の電子化に伴い、車両に搭載される電子機器が増加している。これらの電子機器の駆動電源であるDC-DCコンバータなどの電源装置には、電源電圧の昇降圧および直流電流の平滑化を目的としてインダクタなどの部品が用いられている。
【0003】
特許文献1には、チョークコイルなどの電子部品と、電子部品が搭載されるプリント回路基板と、を備える電源装置が開示されている。この電源装置では、電子部品がプリント回路基板の穴に挿入された状態で、電子部品の引き出し電極がプリント回路基板に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用の電源装置はエンジンルームなどの過酷な環境に置かれるため、電源装置には高い耐振動性が求められる。そのため、電源装置に用いられるインダクタなどの部品、および、インダクタが実装された部品実装モジュールにも高い耐振動性が求められる。
【0006】
本開示は、上記に鑑みて、インダクタ等の耐振動性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るインダクタは、磁性材料粉体と結合剤との混合物を含む磁心と、前記磁心の内部に設けられたコイル部と、前記コイル部につながり前記磁心の外部に設けられた電極部と、前記磁心の内部および外部に設けられた固定金具と、を備え、前記固定金具は、前記磁心の内部において、前記コイル部の外周の一部を囲むように配置されている。
【0008】
本開示の一態様に係る部品実装モジュールは、上記のインダクタと、前記インダクタが実装されるプリント回路基板と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、インダクタ等の耐振動性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係るインダクタの斜視図である。
【
図2】実施の形態に係るインダクタに含まれるコイル部、電極部および固定金具の斜視図である。
【
図3】インダクタに含まれる固定金具の斜視図である。
【
図6】実施の形態に係るインダクタの製造方法を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態に係る部品実装モジュールの平面図である。
【
図8】実施の形態に係る部品実装モジュールの側面図である。
【
図9A】実施の形態の変形例に係る部品実装モジュールの平面図である。
【
図9B】実施の形態の変形例に係る部品実装モジュールの側面図である。
【
図10】実施の形態の変形例1に係るインダクタを上から見た透視図である。
【
図11】実施の形態の変形例2に係るインダクタを上から見た透視図である。
【
図12】実施の形態の変形例3に係るインダクタを上から見た透視図である。
【
図13】実施の形態の変形例4に係るインダクタを上から見た透視図である。
【
図14】実施の形態の変形例5に係るインダクタを上から見た透視図である。
【
図15】実施の形態の変形例6に係るインダクタを上から見た透視図である。
【
図16】実施の形態の変形例7に係るインダクタを上から見た透視図である。
【
図17】実施の形態の変形例8に係るインダクタに含まれるコイル部、電極部および固定金具の斜視図である。
【
図18】実施の形態の変形例8に係るインダクタを上から見た透視図である。
【
図19】実施の形態の変形例9に係るインダクタを上から見た透視図である。
【
図20】実施の形態の変形例10に係るインダクタを上から見た透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例えば、インダクタがプリント回路基板の穴に挿入された状態で、インダクタの引き出し電極がプリント回路基板に接続されている部品実装モジュールでは、車両の振動によってプリント回路基板が振動したときに、引き出し電極に振動の応力が集中して金属疲労が発生することがある。また、インダクタのコイルの発熱が大きい場合、インダクタがプリント回路基板の穴に挿入された状態ではインダクタとプリント回路基板との接触面積が小さく、コイルで発生した熱をプリント回路基板に十分に放熱できないという問題がある。
【0012】
それに対し、本実施の形態に係るインダクタ等は、インダクタの耐振動性または放熱性を向上するため、以下に示す構成を有している。以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0013】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、接続形態、ステップおよびステップの順序等は一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0014】
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、および、直方体などの要素の形状を示す用語、ならびに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0015】
また、各図は、本開示を示すために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係および比率とは異なる場合がある。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡素化される場合がある。
【0016】
また、各図には、互いに直交する3方向を意味するX軸、Y軸およびZ軸を示し、必要に応じてこれらの軸および当該軸に沿う軸方向を説明のために用いる。なお、各軸は、説明のために付されたものであり、インダクタが使用される方向および姿勢を限定するものではない。
【0017】
(実施の形態)
[インダクタの構成]
実施の形態に係るインダクタの構成について、
図1~
図5を参照しながら説明する。インダクタは、コイル素子に流れる電気エネルギーを磁気エネルギーとして蓄える受動素子である。
【0018】
図1は、実施の形態に係るインダクタ1の斜視図である。
図2は、インダクタ1に含まれるコイル部20、電極部30および固定金具60の斜視図である。なお
図2では、磁心10が破線で示されている。
【0019】
図1および
図2に示すように、インダクタ1は、磁心10と、磁心10の内部に設けられたコイル部20と、コイル部20につながり、磁心10の外部に設けられた電極部30と、を備えている。電極部30は、一対の第1電極部31および第2電極部32によって構成されている。コイル部20は、導線が巻回されることで形成された巻回体部21と、一対の引き出し部22aおよび22bと、によって構成されている。
【0020】
また、インダクタ1は、磁心10の内部および外部に設けられた固定金具60を備えている。固定金具60は、インダクタ1の耐振動性および放熱性を向上するために設けられた部材である。以下、インダクタ1が備える各構成要素について説明する。
【0021】
インダクタ1は、例えば、直方体状の磁性成形体である磁心10の形状によって、およその外形が決定されている。磁心10は、金型成形によって任意の形状に成形できる。磁心10は、例えば、X軸方向の寸法が50mm、Y軸方向の寸法が50mm、Z軸方向の寸法が18mmである。なお、磁心10は、X軸方向の寸法が20mm以上80mm以下、Y軸方向の寸法が20mm以上80mm以下、Z軸方向の寸法が10mm以上50mm以下の範囲から適宜選択される。
【0022】
磁心10は、金属磁性体粉末などの磁性材料粉体と、樹脂材料等からなる結合剤との混合物を含む圧粉磁心である。なお、磁心10は、磁性材料を用いて形成されていればよい。磁性材料には、フェライトが用いられてもよく、その他の磁性材料が用いられてもよい。金属磁性体粉末には、Fe-Si-Al系、Fe-Si系、Fe-Si-Cr系、またはFe-Si-Cr-B系等、所定の元素組成を有する粒子状材料が用いられる。また、樹脂材料には、シリコーン系樹脂等、金属磁性体粉末の粒子間を絶縁しつつ、金属磁性体粉末の粒子を結着することで一定の形状を保持可能な材料が用いられる。
【0023】
磁心10の形状は、例えば、直方体状である。磁心10は、底面18と、天面19と、底面18および天面19をつなぐ4つの面と、を有する。4つの面は、第1側面11、第2側面12、第3側面13および第4側面14である。底面18、天面19、第1側面11、第2側面12、第3側面13および第4側面14は、それぞれ、平坦な平面である。底面18および天面19は、互いに平行であり、Z軸方向に互いに背向している。第1側面11と第2側面12とは、Y軸方向に互いに背向している。第3側面13と第4側面14とは、X軸方向に互いに背向している。
【0024】
底面18および天面19と、第1側面11、第2側面12、第3側面13および第4側面14とは、交差する方向、具体的には直交する方向に延びている。また第1側面11および第2側面12と、第3側面13および第4側面14とは、交差する方向、具体的には直交する方向に延びている。
【0025】
コイル部20、第1電極部31および第2電極部32は、例えば、同じ材料からなる1つの部材を加工することで一体的に成形された部品である。コイル部20、第1電極部31および第2電極部32は、例えば、平角状の導線である平角導線によって形成される。導線の軸方向に垂直な断面すなわち導線の横断面は、長方形状であり、例えば、長辺が6.0mm、短辺が3.5mmである。導線は、金属線と、金属線を被覆する絶縁皮膜とで構成される。金属線は、例えば、アルミニウム、銅、銀、および金等の金属、これらの金属のうち1つ以上を含む合金、ならびに、金属または合金と他の物質とからなる材料等から選択された金属材料で形成される。絶縁皮膜は、ポリイミドまたはポリイミドアミドなどの樹脂材料で形成される。本実施の形態の導線は、例えば、ポリイミド樹脂で被覆された銅線である。
【0026】
コイル部20は、磁心10によって覆われている部位である。コイル部20は、円形状の部分を有し、1つの巻回体部21と、巻回体部21の一方端および他方端に1対1の対応で接続される一対の引き出し部22aおよび22bと、で構成されている。
【0027】
巻回体部21は、巻回軸ATを中心に螺旋状に巻回された導線で構成され、コイルとして機能する。巻回体部21は、巻回軸ATが底面18および天面19に交差するように磁心10に埋設されている。巻回体部21の巻回数には特に限定はなく、例えば、1.5ターンから10ターン等、インダクタ1に要求される性能、および、磁心10の大きさなどの制約に合わせ、適宜選択される。
【0028】
一対の引き出し部のうちの一方の引き出し部22aは、巻回体部21の一方端に接続され、磁心10内にて2回屈曲された後に第1側面11まで延びている。他方の引き出し部22bは、巻回体部21の他方端に接続され、第1側面11まで直線状に延びている。第1側面11に接する一方の引き出し部22aの位置および他方の引き出し部22bの位置は、底面18を基準として同じ高さ位置にある。
【0029】
第1電極部31および第2電極部32は、磁心10によって覆われておらず、磁心10の外に位置する部位である。
【0030】
第1電極部31は、第1側面11において一方の引き出し部22aにつながっており、第2電極部32は、第1側面11において他方の引き出し部22bにつながっている。第1側面11に垂直な方向から見て、第1電極部31は、巻回軸ATよりも左寄りである第3側面13側に設けられ、第2電極部32は、巻回軸ATよりも右寄りである第4側面14側に設けられている。第1電極部31および第2電極部32のそれぞれは、同じ形状をしており、底面18を基準として同じ高さ位置に設けられている。
【0031】
第1電極部31および第2電極部32のそれぞれは、磁心10の第1側面11から突出している。第1電極部31および第2電極部32は、底面18に対して平行に、Y軸方向に延びている。第1電極部31および第2電極部32の突出先に位置する先端部は、導線表面の絶縁皮膜が除去されている。第1電極部31および第2電極部32の先端部は、インダクタ1がプリント回路基板に取り付けられる際、はんだ等を用いてプリント回路基板に接続される。
【0032】
本実施の形態に係るインダクタ1は、インダクタ1の耐振動性および放熱性を向上するため、以下に示す固定金具60を有している。
【0033】
図3は、インダクタ1に含まれる固定金具60の斜視図である。
図4は、インダクタ1を上から見た透視図である。
図3では、埋設固定部61と突出固定部68との境界が破線で示されている。
図4では、磁心10を透視して固定金具60およびコイル部20を見た図が示されている。
【0034】
インダクタ1を上から見た透視図では、埋設固定部61がハッチングドットで示されている。また、コイル部20の形状が模式的に示されている。以降の図においても同様である。
【0035】
図3および
図4に示す固定金具60は、磁心10の内部および外部に設けられ、底面18に対して平行に配置されている。また、固定金具60は、磁心10の内部において、コイル部20の外周の一部を囲むように配置されている。
【0036】
例えば固定金具60は、天面19に垂直な方向から見て、第1側面11側が開口したU字状の形状を有しており、U字状の形状の内側のスペースに巻回体部21を収容するように配置されている。また、固定金具60は、第3側面13と第4側面14とが背向する方向(X軸方向)において一対の引き出し部22a、22bの両外側にも配置され、各引き出し部22a、22bに沿って第1側面11に到達する手前まで延びている。このように固定金具60は、電極部30が位置する方向以外の3方向からコイル部20を囲むように配置されている。以下、固定金具60について詳しく説明する。
【0037】
固定金具60は、磁心10の内部に埋設された埋設固定部61と、磁心10の表面にて埋設固定部61につながり、磁心10の外部に設けられた突出固定部68と、を有している。埋設固定部61は、磁心10によって圧接固定される部位であり、突出固定部68は、プリント回路基板に接続される部位である。
【0038】
埋設固定部61および突出固定部68は、例えば、同じ材料からなる1つの部材を加工することで一体的に成形された部品である。埋設固定部61および突出固定部68は、例えば、金属部材を切削加工することで形成される。なお、埋設固定部61および突出固定部68は、溶接加工によって形成されてもよい。埋設固定部61および突出固定部68は、例えば、アルミニウム、鉄、銅等の金属、これらの金属のうち1つ以上を含む合金、ならびに、金属または合金と他の物質とからなる材料等から選択された金属材料によって構成される。埋設固定部61および突出固定部68は、絶縁皮膜が形成されておらず、金属面が露出している。
【0039】
埋設固定部61は、コイル部20に対して間隔をあけて配置された枠状部63と、枠状部63と突出固定部68とをつなぐ中継部64と、を有する。
【0040】
枠状部63は、3辺からなる枠形状をしており、磁心10の第2側面12、第3側面13および第4側面14に沿って配置されている。枠状部63は、コイル部20に対して所定の距離を空けて配置されている。所定の距離は、例えば、導線の長辺以上の距離である。枠状部63とコイル部20との間には磁性材料粉体と結合剤との混合物が設けられており、枠状部63は、コイル部20に対して絶縁されている。
【0041】
枠状部63は、X軸方向に直線状に延びる埋設バー63aと、Y軸方向に直線状に延びる埋設バー63bおよび63cと、を有している。各埋設バー63a~63cの長さは、例えば40mmであり、巻回体部21のコイル外径よりも長い。各埋設バー63a~63cは、柱状であり、横断面が四角形である。例えば、各埋設バー63a~63cの横断面の一辺の長さは、5mmである。各埋設バー63a~63cの厚み(高さ)寸法は、巻回体部21のコイル長(後述するコイル部20の両端25a、25bの距離)の0.1倍以上0.9倍以下である。
【0042】
埋設バー63aは、第2側面12に沿って、コイル部20と第2側面12との間に配置されている。埋設バー63aの一方端は、第3側面13側に位置し、他方端は第4側面14側に位置している。埋設バー63bは、第3側面13に沿って、コイル部20と第3側面13との間に配置されている。埋設バー63bは、埋設バー63aの一方端に接続され、埋設バー63aに対して直角である。埋設バー63cは、第4側面14に沿って、コイル部20と第4側面14との間に配置されている。埋設バー63cは、埋設バー63aの他方端に接続され、埋設バー63aに対して直角である。
【0043】
中継部64は、板状の埋設プレート64a、64bおよび64cを有している。埋設プレート64aは、埋設バー63aと後述する突出プレート68aとをつなぐ部位であり、埋設プレート64bは、埋設バー63bと後述する突出プレート68bとをつなぐ部位であり、埋設プレート64cは、埋設バー63cと後述する突出プレート68cとをつなぐ部位である。
【0044】
突出固定部68は、板状であり、底面18に対して平行に配置されている。突出固定部68は、第2側面12、第3側面13および第4側面14のそれぞれから突出している。突出固定部68が各側面から突出する長さは、例えば、磁心10のX軸方向の寸法またはY軸方向の寸法の0.2倍以上0.8倍以下である。本実施の形態において、突出固定部68が各側面から突出する長さは、例えば25mmである。
【0045】
突出固定部68は、3つの突出プレート68a、68bおよび68cを有している。各突出プレート68a~68cは、底面18を基準として、同じ高さ位置に設けられている。
【0046】
突出プレート68aは、第2側面12にて埋設プレート64aにつながり、第2側面12からY軸方向に突出している。突出プレート68aおよび埋設プレート64aのそれぞれの幅(X軸方向の長さ)は、埋設バー63aの長さ(X軸方向の長さ)よりも短く、例えば、30mmである。突出プレート68bは、第3側面13にて埋設プレート64bにつながり、第3側面13からX軸方向に突出している。突出プレート68bおよび埋設プレート64bのそれぞれの幅(Y軸方向の長さ)は、埋設バー63bの長さ(Y軸方向の長さ)よりも短く、例えば、30mmである。突出プレート68cは、第4側面14にて埋設プレート64cにつながり、第4側面14からX軸方向に突出している。突出プレート68cおよび埋設プレート64cのそれぞれの幅(Y軸方向の長さ)は、埋設バー63cの長さ(Y軸方向の長さ)よりも短く、例えば、30mmである。
【0047】
突出プレート68aおよび埋設プレート64aは一体的に形成され、突出プレート68bおよび埋設プレート64bは一体的に形成され、突出プレート68cおよび埋設プレート64cは一体的に形成される。突出固定部68の厚みおよび中継部64の厚みは、同じであり(例えば1.0mm)、枠状部63の厚み(高さ寸法)よりも薄い。言い換えると、枠状部63の厚みは、中継部64および突出固定部68のそれぞれの厚みよりも厚い。
【0048】
この例では、埋設固定部61および突出固定部68のそれぞれの下面(底面18側の面)は面一となっており、底面18を基準とする下面の高さ位置は同じである。一方、固定金具60の上面(天面19側の面)は段付き形状となっており、底面18を基準とする枠状部63の上面の高さ位置は、中継部64および突出固定部68のそれぞれの上面の高さ位置よりも高くなっている。
【0049】
図5は、インダクタ1を横から見た図である。
図5には、磁心10を透視して固定金具60およびコイル部20を見た図が示されている。なお同図では、コイル部20の形状が模式的に示されている。
【0050】
図5に示すようにコイル部20の巻回軸ATに垂直な方向から見た場合に、固定金具60は、コイル部20の両端25a、25bの間に配置されている。この例では、底面18を基準とする突出固定部68の下面(底面18側の面)の高さ位置が、電極部30の下面(底面18側の面)の高さ位置と同じになっている。突出固定部68は、インダクタ1がプリント回路基板に取り付けられる際、はんだ等を用いてプリント回路基板に接続される。
【0051】
本実施の形態に係るインダクタ1は、磁性材料粉体と結合剤との混合物を含む磁心10と、磁心10の内部に設けられたコイル部20と、コイル部20につながり磁心10の外部に設けられた電極部30と、磁心10の内部および外部に設けられた固定金具60と、を備える。固定金具60は、磁心10の内部において、コイル部20の外周の一部を囲むように配置されている。
【0052】
このように、固定金具60が、磁心10の内部および外部に設けられていることで、電極部30だけでなく、固定金具60を用いてインダクタ1をプリント回路基板等に固定することが可能となる。これにより、インダクタ1の耐振動性を向上することができる。また、固定金具60が、コイル部20の外周の一部を囲むように配置されていることで、コイル部20で発熱した熱を固定金具60で吸収し、磁心10の外へ放熱することができる。これにより、インダクタ1の放熱性を向上することができる。また、本実施の形態のインダクタ1は、第1電極部31、第2電極部32、突出プレート68a、68bおよび68cの5箇所によってプリント回路基板に接続されるので、Z軸方向、X軸方向およびY軸方向の耐振動性を向上することができる。
【0053】
[インダクタの製造方法]
インダクタ1の製造方法について、
図6を参照しながら説明する。
【0054】
図6は、実施の形態に係るインダクタ1の製造方法を示すフローチャートである。
【0055】
図6に示すように、インダクタ1の製造方法は、コイル素子形成工程S101、固定金具形成工程S102および圧粉磁心形成工程S103を含む。
【0056】
コイル素子形成工程S101では、平角導線を巻回することでコイル素子が形成される。具体的には、平角導線の短辺を巻回軸ATに平行にし、巻回軸ATを中心に平角導線を1.5ターン巻回することでコイル素子を形成する。
【0057】
固定金具形成工程S102では、金属部材を切削することで、固定金具60が形成される。なお、固定金具60は、枠状部63に中継部64および突出固定部68を溶接することで形成されてもよい。固定金具60が板状である場合(後述する変形例2)、固定金具60は、板金を打ち抜き加工することで形成されてもよい。固定金具形成工程S102は、コイル素子形成工程S101の前に実行されてもよい。
【0058】
圧粉磁心形成工程S103では、コイル素子および固定金具60とともに磁心10がプレス成形される。この工程では、コイル素子の一部および固定金具60一部を金型内に入れ、磁性材料粉体と結合剤とを含む混合物で覆い、コイル素子の他の一部および固定金具60の他の一部を混合物で覆わないようにして、プレス成形することで磁心10を形成する。磁心10で覆われたコイル素子の一部が巻回体部21および引き出し部22a、22bとなり、磁心10で覆われていないコイル素子の他の一部が第1電極部31および第2電極部32となる。また、磁心10で覆われた固定金具60の一部が埋設固定部61となり、磁心10で覆われていない固定金具60の他の一部が突出固定部68となる。プレス成形時の加圧力は、例えば5ton/cm
2であり、熱硬化温度は、例えば185℃である。
図6に示すこれらの工程によって、インダクタ1が作製される。
【0059】
[部品実装モジュールの構成]
上記のインダクタ1が実装された部品実装モジュールの構成について、
図7および
図8を参照しながら説明する。
【0060】
図7は、実施の形態に係る部品実装モジュール2の平面図である。
図8は、部品実装モジュール2の側面図である。
【0061】
図7および
図8に示すように、部品実装モジュール2は、インダクタ1と、インダクタ1が実装されるプリント回路基板70とを備えている。
【0062】
同図では、1つのインダクタ1がプリント回路基板70に実装されているが、実際にはインダクタ1以外の他の電子部品もプリント回路基板70に実装される。プリント回路基板70の実装面70aには、ランドおよび配線が形成されている(図示省略)。
【0063】
プリント回路基板70は、磁心10よりも大きな開口部75を有している。インダクタ1は、磁心10が開口部75に挿入された状態で、電極部30および固定金具60を介してプリント回路基板70に固定される。例えば、電極部30および固定金具60は、はんだ等を用いてプリント回路基板70に接続される。インダクタ1がプリント回路基板70に固定された状態において、磁心10はプリント回路基板70に接触しておらず、電極部30および突出固定部68のそれぞれが実装面70aに接続されている。部品実装モジュール2が電子機器に内蔵されて実際に使用される場合、電極部30には、電源電圧または信号電位が入力される。固定金具60は、例えばグランド電位に設定される。
【0064】
本実施の形態の部品実装モジュール2では、インダクタ1が第1電極部31、第2電極部32および固定金具60によってプリント回路基板70に接続される。この接続構造により、例えば、第1電極部31および第2電極部32の2箇所によってプリント回路基板に接続される他のインダクタに場合に比べて、プリント回路基板70に対する接続箇所が増える。そのため、インダクタ1を含む部品実装モジュール2の耐振動性および放熱性を向上することができる。
【0065】
なお上記の例では、固定金具60がはんだを用いてプリント回路基板70に固定される例を示したが、それに限られない。例えば、固定金具60は、締結部材または接着剤を用いてプリント回路基板70に固定されてもよい。
【0066】
[部品実装モジュールの変形例]
実施の形態の変形例に係る部品実装モジュール2Aについて説明する。この変形例では、部品実装モジュール2Aが、インダクタ1を冷却するための冷却装置を有している例について説明する。
【0067】
図9Aは、変形例に係る部品実装モジュール2Aの平面図である。
図9Bは、変形例に係る部品実装モジュール2Aの側面図である。なお、
図9Aでは、冷却装置の一例である冷却板91および熱伝導性部材92が破線で示されている。
【0068】
これらの図に示すインダクタ1は、第1電極部31および第2電極部32が、第1側面11から離れた位置にて第1側面11側に屈曲し、第1側面11に沿って底面18に向かって延び、さらに底面18を含む面を越える位置まで延びている。
【0069】
プリント回路基板70は、磁心10よりも大きな開口部75を有している。また、プリント回路基板70は、プリント回路基板70を厚み方向に貫通する一対の貫通孔71、および、実装面70aとは反対の裏面70bに形成された一対のランド(図示省略)を有している。インダクタ1の第1電極部31および第2電極部32は、貫通孔71を挿通して裏面70bから下に突出した状態で、はんだspを用いてランドに接続される。また、固定金具60の突出固定部68は、はんだを用いてプリント回路基板70に接続される。
【0070】
図9Aおよび
図9Bに示すように、変形例に係る部品実装モジュール2Aは、インダクタ1の底面18側および天面19側のそれぞれに、熱伝導性部材92および冷却板91が配置されている。
【0071】
冷却板91は、ヒートシンクとして機能する部材である。冷却板91は、例えば、アルミニウムなどの金属によって形成された筐体の一部である。下側の冷却板91は、磁心10の底面18に対して所定の間隔を空けて配置され、上側の冷却板91は、磁心10の天面19に対して所定の間隔を空けて配置されている。
【0072】
熱伝導性部材92は、磁心10と冷却板91との間に設けられるゲル状の部材である。熱伝導性部材92は、TIM(Thermal Interface Material)であり、シリコーンまたはアクリルなどの樹脂材料にフィラーを配合することで形成される。下側の熱伝導性部材92は、磁心10の底面18および下側の冷却板91に接触し、上側の熱伝導性部材92は、天面19および上側の冷却板91に接触している。
【0073】
冷却板91は、インダクタ1で発生した熱を、熱伝導性部材92を介して吸熱する。この冷却装置により、インダクタ1が必要以上に発熱して機能低下することを抑制できる。
【0074】
[インダクタの変形例1]
実施の形態の変形例1に係るインダクタ1Aについて説明する。変形例1では、埋設固定部61に複数の孔部61hが設けられている例について説明する。
【0075】
図10は、実施の形態の変形例1に係るインダクタ1Aを上から見た透視図である。
【0076】
変形例1のインダクタ1Aは、磁心10と、コイル部20と、電極部30と、固定金具60Aと、を備えている。磁心10、コイル部20および電極部30の構成は、実施の形態と同様である。
【0077】
固定金具60Aは、複数の孔部61hを有している。複数の孔部61hは、埋設固定部61の枠状部63に形成されている。また、複数の孔部61hは、埋設固定部61の厚み方向、すなわち巻回軸ATに平行な方向に埋設固定部61を貫通するように形成されている。複数の孔部61hには、磁性材料粉体と結合剤との混合物が充填されている。
【0078】
変形例1では、孔部61hに上記の混合物が充填されているので、磁心10から固定金具60Aが抜けたり、磁心10に対する固定金具60Aの位置がずれたりすることを抑制できる。これにより、インダクタ1Aの耐振動性を向上することができる。また、孔部61hに上記の混合物が充填されているので、コイルの磁束が孔部61h内を通るように形成され、実施の形態に比べて、インダクタンス値が低下することを抑制できる。
【0079】
[インダクタの変形例2]
実施の形態の変形例2に係るインダクタ1Bについて説明する。変形例2では、固定金具60Bが板物で形成されている例について説明する。
【0080】
図11は、実施の形態の変形例2に係るインダクタ1Bを上から見た透視図である。
【0081】
変形例2のインダクタ1Bは、磁心10と、コイル部20と、電極部30と、固定金具60Bと、を備えている。磁心10、コイル部20および電極部30の構成は、実施の形態と同様である。
【0082】
図11に示す固定金具60Bは、磁心10の内部および外部に設けられている。固定金具60Bは、磁心10の内部において、コイル部20の外周の一部を囲むように配置されている。また、固定金具60Bは、底面18に対して平行に配置されている。固定金具60Bは、磁心10の内部に埋設された埋設固定部61と、磁心10の表面にて埋設固定部61につながり、磁心10の外部に設けられた突出固定部68と、を有する。
【0083】
埋設固定部61および突出固定部68は、例えば、同じ材料からなる1つの部材を加工することで一体的に成形された部品である。埋設固定部61および突出固定部68は、例えば、板金を打ち抜き加工することで形成される。埋設固定部61および突出固定部68は、厚みが同じであり、固定金具60Bの厚みは、例えば1.0mmである。
【0084】
図11に示す埋設固定部61は、コイル部20に対して間隔をあけて配置された枠状部63と、枠状部63と突出固定部68とをつなぐ中継部64と、を有している。突出固定部68は、第2側面12、第3側面13および第4側面14から突出しており、底面18に対して平行に配置されている。
【0085】
変形例2のインダクタ1Bにおいても、プリント回路基板70に対する接続箇所が増え、インダクタ1Bの耐振動性および放熱性を向上することができる。また、固定金具60Bが板物であるため、固定金具60Bを簡易に形成することができ、また、インダクタ1Bの構造をシンプルにすることができる。
【0086】
[インダクタの変形例3]
実施の形態の変形例3に係るインダクタ1Cについて説明する。変形例3では、突出固定部68が第2側面12のみから突出している例について説明する。
【0087】
図12は、実施の形態の変形例3に係るインダクタ1Cを上から見た透視図である。
【0088】
変形例3のインダクタ1Cは、磁心10と、コイル部20と、電極部30と、固定金具60Cと、を備えている。固定金具60Cは、埋設固定部61と、突出固定部68と、を有している。埋設固定部61は、枠状部63と、中継部64と、を有している。枠状部63の構成は、実施の形態と同じである。
【0089】
変形例3では、中継部64が1つの埋設プレート64aで構成され、突出固定部68が1つの突出プレート68aで構成され、突出固定部68が第2側面12という1つの側面から突出している。
【0090】
変形例3のインダクタ1Cによれば、Z軸方向およびY軸方向の耐振動性を向上することができる。
【0091】
[インダクタの変形例4]
実施の形態の変形例4に係るインダクタ1Dについて説明する。変形例4では、突出固定部68が第3側面13および第4側面14のみから突出している例について説明する。
【0092】
図13は、実施の形態の変形例4に係るインダクタ1Dを上から見た透視図である。
【0093】
変形例4のインダクタ1Dは、磁心10と、コイル部20と、電極部30と、固定金具60Dと、を備えている。固定金具60Dは、埋設固定部61と、突出固定部68と、を有している。埋設固定部61は、枠状部63と、中継部64と、を有している。枠状部63の構成は、実施の形態と同じである。
【0094】
変形例4では、中継部64が2つの埋設プレート64b、64cで構成され、突出固定部68が2つの突出プレート68b、68cで構成され、突出固定部68が第3側面13および第4側面14という2つの側面から突出している。
【0095】
変形例4のインダクタ1Dによれば、Z軸方向およびX軸方向の耐振動性を向上することができる。
【0096】
[インダクタの変形例5]
実施の形態の変形例5に係るインダクタ1Eについて説明する。変形例5では、突出固定部68が磁心10の角部r3およびr4から突出している例について説明する。
【0097】
図14は、実施の形態の変形例5に係るインダクタ1Eを上から見た透視図である。
【0098】
変形例5のインダクタ1Eは、磁心10と、コイル部20と、電極部30と、固定金具60Eと、を備えている。
【0099】
図14に示すように、磁心10は、第1側面11と第3側面13とをつなぐ角部r1、第1側面11と第4側面14とをつなぐ角部r2、第2側面12と第3側面13とをつなぐ角部r3、および、第2側面12と第4側面14とをつなぐ角部r4を有している。各角部r1~r4は、天面19に垂直な方向から見て、丸みを帯びた形状をしている。
【0100】
固定金具60Eは、埋設固定部61と、突出固定部68と、を有している。埋設固定部61は、枠状部63と、中継部64と、を有している。枠状部63の構成は、実施の形態と同じである。
【0101】
変形例5では、中継部64が、2つの埋設プレート64d、64eで構成され、突出固定部68が2つの突出プレート68d、68eで構成され、突出固定部68が角部r3およびr4という2つの角部から突出している。
【0102】
埋設プレート64dは、埋設バー63aおよび63bと、突出プレート68dとをつなぐ部位であり、埋設プレート64eは、埋設バー63aおよび63cと、突出プレート68eとをつなぐ部位である。突出プレート68dは、第2側面12および第3側面13に対して斜めになるように角部r3から突出し、突出プレート68eは、第2側面12および第4側面14に対して斜めになるように角部r4から突出している。
【0103】
変形例5のインダクタ1Eによれば、Z軸方向、X軸方向およびY軸方向の耐振動性を向上することができる。
【0104】
[インダクタの変形例6]
実施の形態の変形例6に係るインダクタ1Fについて説明する。変形例6では、突出固定部68が磁心10の角部r1、r2、r3およびr4から突出している例について説明する。
【0105】
図15は、実施の形態の変形例6に係るインダクタ1Fを上から見た透視図である。
【0106】
変形例6のインダクタ1Fは、磁心10と、コイル部20と、電極部30と、固定金具60Fと、を備えている。固定金具60Fは、埋設固定部61と、突出固定部68と、を有している。埋設固定部61は、枠状部63と、中継部64と、を有している。枠状部63の構成は、実施の形態と同じである。
【0107】
変形例6では、中継部64が、4つの埋設プレート64d、64e、64f、64gで構成され、突出固定部68が4つの突出プレート68d、68e、68f、68gで構成され、突出固定部68が角部r1、r2、r3およびr4という4つの角部から突出している。なお、突出プレート68f、68gは、それぞれ、側面13、14からも突出している。埋設プレート64d、64eおよび突出プレート68d、68eの構成は、変形例5と同様である。
【0108】
変形例6の埋設プレート64fは、埋設バー63bと、突出プレート68fとをつなぐ部位であり、埋設プレート64gは、埋設バー63cと、突出プレート68gとをつなぐ部位である。突出プレート68fは、第1側面11および第3側面13に対して斜めになるように角部r1から突出し、突出プレート68gは、第1側面11および第4側面14に対して斜めになるように角部r2から突出している。
【0109】
変形例6のインダクタ1Fによれば、Z軸方向、X軸方向およびY軸方向の耐振動性を向上することができる。
【0110】
[インダクタの変形例7]
実施の形態の変形例7に係るインダクタ1Gについて説明する。変形例7では、固定金具60Gが円弧状の形状を有している例について説明する。
【0111】
図16は、変形例7に係るインダクタ1Gを上から見た透視図である。
【0112】
変形例7のインダクタ1Gは、磁心10と、コイル部20と、電極部30と、固定金具60Gと、を備えている。固定金具60Gは、埋設固定部61と、突出固定部68と、を有している。埋設固定部61は、枠状部63と、中継部64と、を有している。中継部64および突出固定部68の構成は、実施の形態と同様なので、ここでは枠状部63について説明する。
【0113】
枠状部63は、円弧状に形成された埋設バー63aと、Y軸方向に直線状に延びる埋設バー63bおよび63cと、を有している。
【0114】
埋設バー63aは、巻回軸ATを中心とした半円の外周形状をしており、コイル部20に沿って配置されている。埋設バー63aの一方端は、第3側面13側に位置し、他方端は第4側面14側に位置している。埋設バー63bは、第3側面13に沿って、コイル部20と第3側面13との間に配置されている。埋設バー63bは、埋設バー63aの一方端に接続されている。埋設バー63cは、第4側面14に沿って、コイル部20と第4側面14との間に配置されている。埋設バー63cは、埋設バー63aの他方端に接続されている。
【0115】
変形例7のインダクタ1Gによれば、Z軸方向、X軸方向およびY軸方向の耐振動性を向上することができる。また、変形例7のインダクタ1Gによれば、固定金具60Gがコイル部20に沿って配置されているので、コイル部20で発生した熱を固定金具60Gでより多く吸収して外へ放熱することができる。
【0116】
[インダクタの変形例8]
実施の形態の変形例8に係るインダクタ1Hについて説明する。変形例8では、磁心10の第2側面12が曲面状の形状をしている例について説明する。
【0117】
図17は、実施の形態の変形例8に係るインダクタ1Hの斜視図である。
図18は、変形例8に係るインダクタ1Hを上から見た透視図である。
【0118】
変形例8のインダクタ1Hは、磁心10と、コイル部20と、電極部30と、固定金具60Hと、を備えている。
【0119】
変形例8では、磁心10の4つの側面のうち、第1側面11、第3側面13および第4側面14のそれぞれは平坦な平面であるが、第2側面12は円弧状の曲面形状をしている。第2側面12は、例えば、巻回軸ATを中心とした半円の外周形状をしている。
【0120】
固定金具60Hは、埋設固定部61と、突出固定部68と、を有している。埋設固定部61の埋設バー63aは、半円の外周形状をしており、巻回体部21および第2側面12に沿って、巻回体部21と第2側面12との間に配置されている。埋設バー63bは、引き出し部22aおよび第3側面13に沿って配置されている。埋設バー63cは、引き出し部22bおよび第4側面14に沿って配置されている。突出固定部68は、第2側面12、第3側面13および第4側面14のそれぞれから突出している。
【0121】
変形例8のインダクタ1Hによれば、Z軸方向、X軸方向およびY軸方向の耐振動性を向上することができる。
【0122】
[インダクタの変形例9]
実施の形態の変形例9に係るインダクタ1iについて説明する。変形例9のインダクタ1iは、変形例8のインダクタ1Hに対し、突出固定部68が第2側面12のみから突出している点で変形例8と異なる。
【0123】
図19は、実施の形態の変形例9に係るインダクタ1iを上から見た透視図である。
【0124】
変形例9のインダクタ1iは、磁心10と、コイル部20と、電極部30と、固定金具60iと、を備えている。固定金具60iは、埋設固定部61と、突出固定部68と、を有している。埋設固定部61は、枠状部63と、中継部64と、を有している。枠状部63の構成は、変形例8と同じである。
【0125】
変形例9では、中継部64が1つの埋設プレート64aで構成され、突出固定部68が1つの突出プレート68aで構成され、突出固定部68が第2側面12という1つの曲面状の側面から突出している。
【0126】
変形例9のインダクタ1iによれば、Z軸方向およびY軸方向の耐振動性を向上することができる。
【0127】
[インダクタの変形例10]
実施の形態の変形例10に係るインダクタ1Jについて説明する。変形例10のインダクタ1Jは、変形例8のインダクタ1Hに対し、突出固定部68が第3側面13および第4側面14のみから突出している点で変形例8と異なる。
【0128】
図20は、実施の形態の変形例10に係るインダクタ1Jを上から見た透視図である。
【0129】
変形例10のインダクタ1Jは、磁心10と、コイル部20と、電極部30と、固定金具60Jと、を備えている。固定金具60Jは、埋設固定部61と、突出固定部68と、を有している。埋設固定部61は、枠状部63と、中継部64と、を有している。枠状部63の構成は、変形例8と同じである。
【0130】
変形例10では、中継部64が2つの埋設プレート64b、64cで構成され、突出固定部68が2つの突出プレート68b、68cで構成され、突出固定部68が第3側面13および第4側面14という2つの側面から突出している。
【0131】
変形例10のインダクタ1Jによれば、Z軸方向およびX軸方向の耐振動性を向上することができる。
【0132】
(まとめ)
実施の形態に係るインダクタ等の構成を以下に例示する。
【0133】
[例1]本実施の形態に係るインダクタ1は、磁性材料粉体と結合剤との混合物を含む磁心10と、磁心10の内部に設けられたコイル部20と、コイル部20につながり磁心10の外部に設けられた電極部30と、磁心10の内部および外部に設けられた固定金具60と、を備える。固定金具60は、磁心10の内部において、コイル部20の外周の一部を囲むように配置されている。
【0134】
このように、固定金具60が、磁心10の内部および外部に設けられていることで、電極部30だけでなく、固定金具60を用いてインダクタ1をプリント回路基板等に固定することが可能となる。これにより、インダクタ1の耐振動性を向上することができる。また、コイル部20で発熱した熱を、コイル部20を囲む固定金具60で吸収し、磁心10の外へ放熱することができる。これにより、インダクタ1の放熱性を向上することができる。
【0135】
[例2]固定金具60は、磁心10の内部に埋設された埋設固定部61と、磁心10の表面にて埋設固定部61につながり、磁心10の外部に設けられた突出固定部68と、を有する。
【0136】
このように、固定金具60が埋設固定部61および突出固定部68を有することで、埋設固定部61を用いて磁心10を保持し、突出固定部68を用いてインダクタ1をプリント回路基板等に固定することが可能となる。これにより、インダクタ1の耐振動性を向上することができる。また、コイル部20で発熱した熱を、埋設固定部61で吸収し、突出固定部68を介して外へ放熱することができる。これにより、インダクタ1の放熱性を向上することができる。例2の構成は、例1に適用可能である。
【0137】
[例3]埋設固定部61は、コイル部20に対して間隔を空けて配置された枠状部63と、枠状部63と突出固定部68とをつなぐ中継部64と、を有する。
【0138】
このように、埋設固定部61が枠状部63および中継部64を有することで、枠状部63および中継部64を用いて磁心10を保持することができる。これにより、インダクタ1の耐振動性を向上することができる。また、コイル部20で発熱した熱を、枠状部63および中継部64で吸収し、突出固定部68を介して外へ放熱することができる。これにより、インダクタ1の放熱性を向上することができる。例3の構成は、例2に適用可能である。
【0139】
[例4]枠状部63は、中継部64よりも厚みが厚い。
【0140】
この構成によれば、埋設固定部61の形状が厚み方向に段違いとなり、磁心10から固定金具60が抜けたり、磁心10に対する固定金具60の位置がずれたりすることを抑制できる。これにより、インダクタ1の耐振動性を向上することができる。また、枠状部63の厚みが厚いことにより、コイル部20発熱した熱を枠状部63でより多く吸収することができる。これにより、インダクタ1の放熱性を向上することができる。例4の構成は、例3に適用可能である。
【0141】
[例5]埋設固定部61および突出固定部68は、厚みが同じである。
【0142】
この構成によれば、固定金具60Bを板金等で簡易に形成し、インダクタ1Bの構造をシンプルにすることができる。例5の構成は、例2または例3に適用可能である。
【0143】
[例6]磁心10は、底面18と、底面18に背向する天面19と、底面18および天面19をつなぐ側面と、を有し、突出固定部68は、側面から突出している。
【0144】
この構成によれば、側面から突出した突出固定部68を用いてインダクタ1をプリント回路基板等に固定することが可能となる。これにより、インダクタ1の耐振動性を向上することができる。また、コイル部20で発熱した熱を、突出固定部68を介して外へ放熱することができる。これにより、インダクタ1の放熱性を向上することができる。例6の構成は、例2~例5のいずれかに適用可能である。
【0145】
[例7]突出固定部68は、底面18に対して平行に配置されている。
【0146】
この構成によれば、突出固定部68を用いて、インダクタ1をプリント回路基板に対して安定して固定することが可能となる。これにより、インダクタ1の耐振動性を向上することができる。また、プリント回路基板に対する突出固定部68の接触面積を増やすことが可能となり、インダクタ1の放熱性を向上することができる。例7の構成は、例6に適用可能である。
【0147】
[例8]上記の側面は、第1側面11と、第1側面11に背向する第2側面12と、第1側面11および第2側面12をつなぎかつ底面18および天面19をつなぐ第3側面13と、第3側面13と背向する第4側面14と、を有する。電極部30は、第1側面11から突出し、突出固定部68は、第2側面12、第3側面13および第4側面14の少なくとも1つから突出している。
【0148】
この構成によれば、上記の少なくとも1つの側面から突出した突出固定部68を用いてインダクタ1(または1C、1D)をプリント回路基板等に固定することが可能となる。これにより、インダクタの耐振動性を向上することができる。また、コイル部20で発熱した熱を、突出固定部68を介して外へ放熱することができる。これにより、インダクタの放熱性を向上することができる。例8の構成は、例2~例7のいずれかに適用可能である。
【0149】
[例9]磁心10は、底面18と、底面18に背向する天面19と、底面18および天面19をつなぐ第1側面11と、第1側面11に背向する第2側面12と、第1側面11および第2側面12をつなぎかつ底面18および天面19をつなぐ第3側面13と、第3側面13と背向する第4側面14と、を有する。電極部30は、第1側面11から突出し、突出固定部68は、第2側面12と第3側面13とをつなぐ角部r3、および、第2側面12と第4側面14とをつなぐ角部r4から突出している。
【0150】
この構成によれば、磁心10の角部r3およびr4から突出した突出固定部68を用いてインダクタ1Eをプリント回路基板等に固定することが可能となる。これにより、インダクタ1Eの耐振動性を向上することができる。また、コイル部20で発熱した熱を、突出固定部68を介して外へ放熱することができる。これにより、インダクタ1Eの放熱性を向上することができる。例6の構成は、例2~例7のいずれかに適用可能である。
【0151】
[例10]突出固定部68は、さらに、第1側面11と第3側面13をつなぐ角部r1、および、第1側面11と第4側面14とをつなぐ角部r2から突出している。
【0152】
この構成によれば、磁心10の角部r1、r2、r3およびr4から突出した突出固定部68を用いてインダクタ1Fをプリント回路基板等に固定することが可能となる。これにより、インダクタ1Fの耐振動性を向上することができる。また、コイル部20で発熱した熱を、突出固定部68を介して外へ放熱することができる。これにより、インダクタ1Fの放熱性を向上することができる。例10の構成は、例9に適用可能である。
【0153】
[例11]磁心10は、底面18と、底面18に背向する天面19と、底面18および天面19をつなぐ第1側面11と、第1側面11に背向する第2側面12と、第1側面11および第2側面12をつなぎかつ底面18および天面19をつなぐ第3側面13と、第3側面13と背向する第4側面14と、を有する。天面19に垂直な方向から見た場合に、コイル部20は、円形状の部分を有し、枠状部63は、第2側面12、第3側面13および第4側面14に沿って配置されている。
【0154】
このように、枠状部63が、第2側面12、第3側面13および第4側面14に沿って配置されていることで、円形状の部分を有するコイル部20と枠状部63との間の磁路断面積を大きくすることができる。これによれば、例えば、枠状部63をコイル部20に沿って配置した場合に比べて、インダクタンス値が低下することを抑制できる。例11の構成は、例3または例4に適用可能である。
【0155】
[例12]磁心10は、底面18と、底面18に背向する天面19と、底面18および天面19をつなぐ側面と、を有する。天面19に垂直な方向から見た場合に、コイル部20は、円形状の部分を有し、枠状部63は、円弧状の形状を有し、コイル部20の外周の一部に沿って配置されている。
【0156】
このように、枠状部63が、円形状の部分を有するコイル部20の外周の一部に沿って配置されていることで、コイル部20で発熱した熱を固定金具60で吸収し、磁心10の外へ放熱することができる。これにより、インダクタ1Gの放熱性を向上することができる。例12の構成は、例3または例4に適用可能である。
【0157】
[例13]磁心10は、底面18と、底面18に背向する天面19と、底面18および天面19をつなぐ第1側面11と、第1側面11に背向する曲面状の第2側面12と、第1側面11および第2側面12をつなぎかつ底面18および天面19をつなぐ第3側面13と、第3側面13と背向する第4側面14と、を有する。電極部30は、第1側面11から突出し、突出固定部68は、第2側面12、第3側面13および第4側面14の少なくとも1つから突出している。
【0158】
この構成によれば、上記の少なくとも1つの側面から突出した突出固定部68を用いてインダクタ1H(1iまたは1J)をプリント回路基板等に固定することが可能となる。これにより、インダクタの耐振動性を向上することができる。また、コイル部20で発熱した熱を、突出固定部68を介して外へ放熱することができる。これにより、インダクタの放熱性を向上することができる。例13の構成は、例2~例7のいずれかに適用可能である。
【0159】
[例14]埋設固定部61は、コイル部20の巻回軸ATに平行な方向に埋設固定部61を貫通する複数の孔部61hを有する。複数の孔部61hには、磁心10の混合物が充填されている。
【0160】
このように、孔部61hに上記の混合物が充填されていることで、磁心10から固定金具60Aが抜けたり、磁心10に対する固定金具60Aの位置がずれたりすることを抑制できる。これにより、インダクタ1Aの耐振動性を向上することができる。また、孔部61hに上記の混合物が充填されているので、コイルの磁束が孔部61hを通るように形成され、インダクタンス値が低下することを抑制できる。例14の構成は、例2~例7のいずれかに適用可能である。
【0161】
[例15]固定金具60は、コイル部20の巻回軸ATに垂直な方向から見た場合に、コイル部20の両端25a、25bの間に配置されている。
【0162】
このように、固定金具60がコイル部20の両端25a、25bの間に配置されていることで、コイル部20で発生した熱を吸収しやすくでき、吸収した熱を外へ放熱することができる。これにより、インダクタ1の放熱性を向上することができる。例15の構成は、例1~例14のいずれかに適用可能である。
【0163】
[例16]実施の形態に係る部品実装モジュール2は、上記のインダクタ1と、インダクタ1が実装されるプリント回路基板70と、を備える。
【0164】
これによれば、耐振動性および放熱性を有するインダクタ1が実装された部品実装モジュール2を提供することができる。
【0165】
[例17]プリント回路基板70は、磁心10よりも大きな開口部75を有し、磁心10は、開口部75に挿入される。電極部30および固定金具60のそれぞれは、プリント回路基板70に固定されている。
【0166】
このように電極部30および固定金具60のそれぞれが、プリント回路基板70に固定されることで、磁心10がプリント回路基板70の開口部75に挿入される形態であっても、部品実装モジュール2の耐振動性および放熱性を確保することができる。例17の構成は、例16に適用可能である。
【0167】
[例18]部品実装モジュール2Aは、さらに、インダクタ1を冷却するための冷却板91と、冷却板91に接触する熱伝導性部材92と、を備える。熱伝導性部材92は、磁心10の底面18および天面19の少なくとも一方に接触している。
【0168】
このように、部品実装モジュール2Aが冷却板91および熱伝導性部材92を備えることで、インダクタ1が必要以上に発熱して機能低下することを抑制できる。
【0169】
(その他の実施の形態等)
以上、本開示の実施の形態および各変形例に係るインダクタ等について説明したが、本開示は、上記実施の形態および各変形例に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態および各変形例に施したもの、ならびに、実施の形態および各変形例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。
【0170】
上記の実施の形態では、導線の横断面が平角状である例を示したが、それに限られず、導線の横断面は、円形状または正方形状であってもよい。
【0171】
例えば、上記したインダクタを用いた電気製品または電気回路についても、本開示に含まれる。電気製品としては、上述したインダクタを備えた電源装置や、当該電源装置を備える各種機器等が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0172】
本開示に係るインダクタは、各種装置および機器等に用いられるインダクタとして有用である。
【符号の説明】
【0173】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1i、1J インダクタ
2、2A 部品実装モジュール
10 磁心
11 第1側面
12 第2側面
13 第3側面
14 第4側面
18 底面
19 天面
20 コイル部
21 巻回体部
22a、22b 引き出し部
25a、25b コイル部の端
30 電極部
31 第1電極部
32 第2電極部
60、60A、60B、60C、60D、60E、60F、60G、60H、60i、60J 固定金具
61 埋設固定部
61h 孔部
63 枠状部
63a、63b、63c 埋設バー
64 中継部
64a、64b、64c、64d、64e、64f、64g 埋設プレート
68 突出固定部
68a、68b、68c、68d、68e、68f、68g 突出プレート
70 プリント回路基板
70a 実装面
70b 裏面
71 貫通孔
75 開口部
91 冷却板
92 熱伝導性部材
AT 巻回軸
r1、r2、r3、r4 角部
sp はんだ