(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126250
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】トレーニング用器具
(51)【国際特許分類】
A63B 21/04 20060101AFI20240912BHJP
A63B 21/055 20060101ALI20240912BHJP
A63B 23/035 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A63B21/04
A63B21/055
A63B23/035 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034520
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】509198550
【氏名又は名称】大和興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193839
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 周平
(72)【発明者】
【氏名】網 雅男
(57)【要約】
【課題】多種多様なトレーニングに対応できるとともに、トレーニングを変更するための作業を容易に行うことができるトレーニング用器具を提供すること。
【解決手段】トレーニング用器具1は、トレーニング者Tの身体の少なくとも一部を入れることができる空間Sを有するベース部10と、ベース部10に配置され、少なくとも一側の端部が自由端である取付軸20~22と、輪の内側に取付軸20~22の自由端が通される輪状弾性部材してのチューブ100と、ベース部10における取付軸20~22の位置から離間した位置に配置され、チューブ100が掛け回される回転自在の回転部材(回転部材30R~31R、回転部材30L~31L)を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーニング者の身体の少なくとも一部を入れることができる空間を有するベース部と、
前記ベース部に配置され、少なくとも一側の端部が自由端である取付軸と、
輪の内側に前記取付軸の前記自由端が通される輪状弾性部材と、
前記ベース部における前記取付軸の位置から離間した位置に配置され、前記輪状弾性部材が掛け回される回転自在の回転部材と、
を備えるトレーニング用器具。
【請求項2】
前記自由端は、所定の横方向における前記ベース部の両側に配置され、
前記回転部材は、横方向の両側に位置する前記自由端に対応する位置にそれぞれ配置され、
前記輪状弾性部材は、横方向の両側の前記自由端と前記回転部材に対応して横方向の両側にそれぞれ配置され、
横方向一側の前記輪状弾性部材の輪の内側に一側の端部が挿通されるとともに、横方向他側の前記輪状弾性部材の輪の内側に他側の端部が挿通されるロッドが更に配置される、
請求項1に記載のトレーニング用器具。
【請求項3】
前記輪状弾性部材は、前記回転部材に対して上から掛け回され、
前記ロッドは、前記回転部材よりも下方位置であって前記トレーニング者を支持可能な位置に配置される、
請求項2に記載のトレーニング用器具。
【請求項4】
前記輪状弾性部材は、前記回転部材に対して下から掛け回され、
前記ロッドは、前記回転部材よりも上方位置で保持可能に構成される、
請求項2に記載のトレーニング用器具。
【請求項5】
前記ベース部に固定され、所定方向に延びるガイド軸と、
前記ガイド軸に対して前記所定方向にスライド移動可能に取り付けられるとともに、前記ロッドが連結されるガイド部材と、を更に備える、
請求項1から4の何れかに記載のトレーニング用器具。
【請求項6】
前記ベース部に取り付けられ、トレーニング者Tが体重を掛けることができる踏台部を更に備える、
請求項1から4の何れかに記載のトレーニング用器具。
【請求項7】
前記自由端及び前記回転部材は、軸方向の長さが複数の前記輪状弾性部材を軸方向に並列配置できるように構成される、
請求項1から4の何れかに記載のトレーニング用器具。
【請求項8】
前記ベース部に配置され、撮像装置、表示装置又はその両方を有するモバイル機器を着脱自在に支持する機器設置部を更に備える、
請求項1から4の何れかに記載のトレーニング用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トレーニング用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チューブ等の弾性部材を利用するトレーニング用器具が知られている。この種の技術が記載されるものとして、例えば特許文献1がある。
【0003】
特許文献1には、紐状弾性部材と、紐状弾性部材の一方側端部に設けられる身体取付具と、紐状弾性部材の他方側端部に設けられる取着用部材と、を備えたトレーニング用弾性部材と、トレーニング用弾性部材を取り付け可能な取付用バー及び受動的に回転可能な円筒状のローラーバーを有するローラー部材を有する支持部材と、支持部材を保持する固定用台と、を有する被取付部材を備え、トレーニング用弾性部材は、取着用部材によって取付用バーに取り付けられ、ローラー部材を介して身体取付具が身体側に配置されるトレーニング用器具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、トレーニングでは、鍛える肉体の部位に応じてトレーニング方法を変更する必要がある。しかし、複数種類のトレーニングを行うためには複数種類のトレーニング用器具が必要となる。バネや錘を使用するトレーニング用器具は、装置も大型化し、コストも抑制することは難しい。
【0006】
この点、特許文献1のトレーニング用器具では、紐状弾性部材の使い方を変えることにより、いくつかのトレーニングを行うことができるとしている。しかしながら、行うことができるトレーニングの種類は限定的である。また、特許文献1の構成では、バックル等の留め具や面ファスナー等の取着用部材によって取付用バーに紐状弾性部材を取り付ける構成であるため、高い負荷を必要とするトレーニングに耐え切れなくなって取着用部材が外れてしまうおそれもある。更に、取付用バーからの紐状弾性部材の着脱作業も、取着用部材を介して行う必要があり、トレーニング変更を容易に行い難い。負荷の高いトレーニングも含めた多種多様なトレーニングに対応できる、従来技術とは異なる構成のトレーニング用器具が望まれていた。
【0007】
本開示は、多種多様なトレーニングに対応できるとともに、トレーニングを変更するための作業を容易に行うことができるトレーニング用器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、トレーニング者の身体の少なくとも一部を入れることができる空間を有するベース部と、前記ベース部に配置され、少なくとも一側の端部が自由端である取付軸と、輪の内側に前記取付軸の前記自由端が通される輪状弾性部材と、前記ベース部における前記取付軸の位置から離間した位置に配置され、前記輪状弾性部材が掛け回される回転自在の回転部材と、を備えるトレーニング用器具である。
【0009】
前記自由端は、所定の横方向における前記ベース部の両側に配置され、前記回転部材は、横方向の両側に位置する前記自由端に対応する位置にそれぞれ配置され、前記輪状弾性部材は、横方向の両側の前記自由端と前記回転部材に対応して横方向の両側にそれぞれ配置され、横方向一側の前記輪状弾性部材の輪の内側に一側の端部が挿通されるとともに、横方向他側の前記輪状弾性部材の輪の内側に他側の端部が挿通されるロッドが更に配置されてもよい。
【0010】
前記輪状弾性部材は、前記回転部材に対して上から掛け回され、前記ロッドは、前記回転部材よりも下方位置であって前記トレーニング者を支持可能な位置に配置されてもよい。
【0011】
前記輪状弾性部材は、前記回転部材に対して下から掛け回され、前記ロッドは、前記回転部材よりも上方位置で保持可能に構成されてもよい。
【0012】
前記トレーニング用器具は、前記ベース部に固定され、上下方向に延びるガイド軸と、前記ガイド軸に対して上下方向にスライド移動可能に取り付けられるとともに、前記ロッドが連結されるガイド部材と、を更に備えてもよい。
【0013】
前記トレーニング用器具は、前記ベース部に取り付けられ、トレーニング者Tが体重を掛けることができる踏台部を更に備えてもよい。
【0014】
前記自由端及び前記回転部材は、軸方向の長さが複数の前記輪状弾性部材を軸方向に並列配置できるように構成されてもよい。
【0015】
前記トレーニング用器具は、前記ベース部に配置され、撮像装置、表示装置又はその両方を有するモバイル機器を着脱自在に支持する機器設置部を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、多種多様なトレーニングに対応できるとともに、トレーニングを変更するための作業を容易に行うことができるトレーニング用器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一形態に係る第1ポジションのトレーニング用器具の斜視図である。
【
図2】本実施形態の第1ポジションのトレーニング用器具の平面図である。
【
図3】本実施形態の第1ポジションのトレーニング用器具の側面図である。
【
図4】取付軸の端部及びその周囲の拡大斜視図である。
【
図7】本実施形態の第1ポジションのトレーニング用器具を用いたトレーニングの一例を示す平面図である。
【
図8】本実施形態の第2ポジションのトレーニング用器具の側面図である。
【
図9】本実施形態の第2ポジションのトレーニング用器具を用いたトレーニングの一例を示す平面図である。
【
図10】本実施形態の第2ポジションのトレーニング用器具を用いたトレーニングの初期位置を示す側面図である。
【
図11】本実施形態の第2ポジションのトレーニング用器具を用いたトレーニングの負荷位置を示す側面図である。
【
図12】本実施形態のトレーニング用器具を用いたトレーニング時のガイド部材の動きを示す拡大側面図である。
【
図13】本実施形態の第3ポジションのトレーニング用器具の側面図である。
【
図14】本実施形態の第3ポジションのトレーニング用器具を用いたトレーニングの一例を示す側面図である。
【
図15】本実施形態の第3ポジションのトレーニング用器具を用いたトレーニングの一例を示す側面図である。
【
図16】本実施形態の第4ポジションのトレーニング用器具を用いたトレーニングの一例を示す側面図である。
【
図17】本実施形態の第5ポジションのトレーニング用器具を用いたトレーニングの一例を示す側面図である。
【
図18】本実施形態の第6ポジションのトレーニング用器具を用いたトレーニングの一例を示す側面図である。
【
図19】本実施形態の第7ポジションのトレーニング用器具を用いたトレーニングの一例を示す側面図である。
【
図20】本実施形態のトレーニング用器具において複数のチューブを用いた例を示す拡大断面図である。
【
図21】機器設置部を介してモバイル機器をベース部に取り付けた状態のトレーニング用器具の拡大斜視図である。
【
図23】本実施形態の第1ポジションにおけるチューブを取り外した状態のトレーニング用器具の側面図である。
【
図24】変形例の第1ポジションのトレーニング用器具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の一形態に係る第1ポジションのトレーニング用器具1の斜視図である。
図2は第1ポジションのトレーニング用器具1の平面図であり、
図3は第1ポジションのトレーニング用器具1の側面図である。なお、便宜的に、
図2及び
図3の紙面における右側を前側とし、左側を後側としてトレーニング用器具1の前後方向を説明する。また、
図2の紙面上下方向及び
図3の紙面奥行方向をトレーニング用器具1の左右方向(横方向)として説明する。この左右方向は、トレーニングを行うトレーニング者Tから見たときの左右方向である。
【0020】
本実施形態のトレーニング用器具1は、ベース部10と、複数の取付軸20~22と、複数の回転軸30、31と、ベンチ40と、踏台部50と、複数のチューブ100と、ロッド110と、を備える。
【0021】
ベース部10は、複数の縦材11と複数の横材12が縦長の直方体状(立体形状)に組み上げられて構成される。縦材11及び横材12は、何れも、丸筒状のパイプ、角筒状のパイプ、中実の円柱、角柱等の所定方向の長さを有する長尺部材である。縦材11及び横材12は、連結パイプ、継手、クランプ等の結合部材や溶接等により結合される。
【0022】
ベース部10は、その内側にトレーニング者の身体の少なくとも一部を入れることができる空間Sを有する。空間Sは、トレーニング者の身体を外側から入れることができるように形成される。本実施形態のベース部10は、複数の縦材11と複数の横材12が枠組み状に結合されて構成されているので、トレーニング者は、縦材11と横材12の間の隙間を通じて空間Sに容易に出入りすることができる。
【0023】
また、ベース部10は、ディップスバー支持軸13とガイド軸15を備える。ディップスバー支持軸13とガイド軸15と配置される。ディップスバー支持軸13とガイド軸15は、何れも、上下方向に延びる左右一対の長尺部材である。
【0024】
ディップスバー支持軸13は、空間Sの内側で持ち手となるディップスバー14を支持するための長尺部材であり、上下の横材12に連結される。ディップスバー14は、丸棒状に形成されており、長手方向が水平方向に沿うように前側の縦材11とディップスバー支持軸13によって両持支持される。なお、ディップスバー支持軸13を省略し、ディップスバー14を縦材11によって片持支持する構成としてもよい。
【0025】
ガイド軸15は、ガイド部材90(
図1~
図3において不図示)を支持するための長尺部材であり、上下の横材12に連結される。ガイド部材90の機能については
図10~
図12を用いて後述する。
【0026】
取付軸20~22は、何れも、その長手方向が左右方向を向く丸棒状の長尺部材である。3本の取付軸20~22は、ベース部10の異なる位置に配置される。取付軸20は、前側の縦材11における上下方向の中央よりもやや上に配置される。取付軸21は、前側の縦材11の上部に配置される。取付軸20と取付軸21は、上下方向視では重なる位置に配置される。取付軸22は、側面視において、ベース部10の下部に位置する横材12の前後方向の中央よりやや前側に配置される。
【0027】
図3に示すように、取付軸20~22は、例えば、縦材11又は横材12の長手方向で取付位置を調整可能な連結部材としてのクランプ25によって縦材11又は横材12に固定される。これによって、取付軸20~22は、縦材11又は横材12の長手方向で取付位置を変更可能に構成される。
図3には、ベース部10の下部に位置する横材12に取付軸22を取り付けるための左右一対のクランプ25a~25dが複数配置される様子が示されている。前側(紙面左側)から後側(紙面右側)にクランプ25a、クランプ25b、クランプ25c、クランプ25dの順に間隔をあけて配置されている。
図3では、取付軸22は、クランプ25bにより固定されている。なお、連結部材の数や構成が限定される訳ではない。例えば、アイボルトのような連結部材により取付軸20~22をベース部10に固定する構成としてもよい。この場合、アイボルトのボルト部をベース部10の横材12に締結し、アイボルトの輪状部の内側に取付軸20~22の端部を内側に挿入することにより、取付軸20~22の移動を規制する。また、横材12に取付軸20~22の端部を挿入可能な貫通孔を形成し、当該貫通孔に取付軸20~22を挿入することにより、当該取付軸20~22がベース部10に固定される構成としてもよい。この構成の場合、貫通孔を横材12の長手方向に間隔をあけて複数形成することにより、取付軸20~22の取付位置を変更することもできる。このように、取付軸20~22の固定方法は、事情に応じて適宜変更することができる。
【0028】
回転軸30、31は、何れも、その長手方向が左右方向を向く丸棒状の長尺部材である。一方の回転軸30は、側面視において、ベース部10の上部に位置する横材12の前後方向の略中央に配置される。回転軸30の右側の端部には、当該回転軸30に対して回転自在の回転部材30Rが配置される。回転軸30の左側の端部には、当該回転軸30に対して回転自在の回転部材30Lが配置される。回転部材30Rと回転部材30Lは、何れも円周面を有する円柱状に形成される。もう一方の回転軸31は、側面視において、ベース部10の下部に位置する横材12の前後方向の後側に配置される。回転軸31は、取付軸22よりも後側に位置する。回転軸31の右側の端部には、当該回転軸31に対して回転自在の回転部材31Rが配置される。回転軸31の左側の端部には、当該回転軸30に対して回転自在の回転部材31Lが配置される。回転部材31Rと回転部材31Lは、円周面を有する円柱状に形成される。
【0029】
回転軸30、31は、例えば、縦材11又は横材12の長手方向で取付位置を調整可能なクランプ等の連結部材によって縦材11又は横材12に固定されており、縦材11又は横材12の長手方向において取付位置を変更可能に構成される。これによって、回転軸30、31に支持される回転部材30R、30L、31R、31Lについても、ベース部10上の位置を変更することができる。
【0030】
ベンチ40は、ベース部10の空間Sの内側に配置されるトレーニング者が座ったり、踏んだり、寝転ぶための座席部である。ベンチ40は、ベース部10の上下方向の中央よりも下側で横材12によって支持される。ベンチ40は、前後方向に延びる板状の第1部材41と左右方向に上る板状の第2部材42を組み合わせて構成されており、平面視において略十字状に形成されている。第1部材41は、トレーニング者Tが座る部分として機能し、第2部材42はトレーニング者Tが立つ部分として機能する(後述する
図19参照)。第1部材41に座るときは足を第2部材42の前後に置くことができ、ベンチ40の上で左右方向に足を開いて立つ場合は第2部材42を利用することができる。また、第2部材42の下面には、
図3に示すように、横材12に干渉することにより左右方向の移動を規制する規制部材43が配置されている。なお、本実施形態のベンチ40は、左右方向の移動が規制部材43により規制されているものの、締結部材等によってベース部10に固定されている訳ではない。ベンチ40は、横材12によって下から支持されているだけであり、ベース部10からベンチ40を容易に取り外すこともできる。
【0031】
踏台部50は、ベース部10の後側の縦材11の下部に配置される。踏台部50は、縦材11の下部に配置される基端部51に蝶番52を介して接続されている。踏台部50は、ベース部10の空間Sの外側の使用位置と、空間Sの内側に入る収納位置と、の間を回転可能に構成される(
図3の鎖線参照)。トレーニング者が踏台部50を使用する場合は、踏台部50を
図2の実線に示す使用位置に展開する。トレーニング者がトレーニングを行わない又は踏台部50を使用しない場合は、踏台部50を矢印の方向で鎖線に示す収納位置まで回転させる。これによって、踏台部50をベース部10の内側の空間Sに収容することができる。また、ベース部10の内側の空間Sでトレーニングを行う場合において、鎖線に示す収納位置の踏台部50を踏みながらトレーニングを行うこともできる。これによっても、トレーニング用器具1の転倒を防止できる。
【0032】
チューブ100は、取付軸20~22及び回転部材30R、30L、31R、31Lに着脱自在に掛けられる輪状弾性部材である。本実施形態のチューブ100は、無端状ベルトである。チューブ100は、3本の取付軸20~22のうちの1本に取り付けられる。チューブ100には、想定負荷が設定されている。例えば、チューブ100の厚さや長さに応じて7kg-11kg、23kg-34kg、45kg-54kg、54kg-79kg等の負荷範囲が設定されている。
【0033】
図1~
図3と同様に、取付軸20にチューブ100が取り付けられる例について説明する。
図4(a)はチューブ100が取り付けられた状態の取付軸20の端部及びその周囲の拡大斜視図であり、
図1の破線の矩形に囲まれる領域を拡大したものである。
図4(b)はチューブ100が取り外された状態の取付軸20の端部及びその周囲の拡大斜視図である。
図4(a)に示すように、チューブ100の輪の内側に取付軸20の右側自由端20Rが差し込まれることにより、チューブ100の一側が取付軸20に取り付けられる。取付軸20からチューブ100を外側に抜くだけで
図4(a)に示す状態から
図4(b)に示す状態に戻すことができる。このように、チューブ100の内側に取付軸20を挿抜するだけで着脱作業を容易に行うことができる。
【0034】
取付軸20の左側自由端20Lにも、同様の方法で別のチューブ100の一側が取付軸20に取り付けられる。即ち、1本の取付軸20に対して2本のチューブ100が取り付けられることになる。以上、取付軸20の例を説明したが、取付軸21及び取付軸22を使用する場合についても、同様の方法でチューブ100を取り付けることができる。
【0035】
チューブ100は、3本の取付軸20~22のうちの1本に取り付けられた状態で回転部材30R、30L、31R、31Lに掛け回される。
【0036】
図1~
図3と同様に、上側の回転部材30R、30Lにチューブ100が掛けられる例について説明する。
図5(a)は、チューブ100が掛けられた回転部材30R及びその周囲の拡大斜視図である。
図5(b)は、チューブ100が取り外された状態の回転部材30R及びその周囲の拡大斜視図である。
図5(a)に示すように、チューブ100は、回転部材30Rの上に掛け回される。チューブ100は、その輪の内側に回転部材30Rを入れるのではなく、二重にして上から下に掛け回す。回転部材30Rからチューブ100を上側に持ち上げるだけで
図5(a)に示す状態から
図5(b)に示す状態に戻すことができる。
【0037】
ロッド110は、トレーニング者が把持したり、座ったりする等、身体に接触させる接触部材である。
図6(a)はロッド110とチューブ100を示す斜視図である。
図6(a)では、ロッド110とチューブ100を見えやすくするため、一部の構成を鎖線で示している。
図6(b)はチューブ100から取り外したロッド110の斜視図である。
図6(c)は、取付軸20、回転部材30R及びロッド110を取り外したチューブ100の斜視図である。
【0038】
図6(a)及び
図6(b)に示すように、ロッド110は、丸筒状のパイプ、角筒状のパイプ、中実の円柱、角柱等の所定方向の長さを有する長尺部材である。本実施形態のロッド110の中央には、弾性変形可能な緩衝部111が配置される。緩衝部111は、ロッド110の中央にトレーニング者が身体を押し付けるようなトレーニングを行う場合に弾性変形し、トレーニング者が受ける痛みを軽減する。
【0039】
ロッド110は、その一側の端部を右側のチューブ100の輪の内側に入れるとともに、他側の端部を左側のチューブ100の輪の内側に入れた状態で使用される。ロッド110は、左右のチューブ100に対して容易に取り外すことができる。上述の通り、チューブ100は、取付軸20及び回転部材30R、30Lから容易に取り外すことができる。従って、チューブ100も、ロッド110と同様に、
図6(a)の使用状態から
図6(c)に示す取付前の状態に容易にすることができる。
【0040】
図7は、本実施形態の第1ポジションのトレーニング用器具1を用いたトレーニングの一例を示す平面図である。
図7には、トレーニング者Tがベース部10の内側の空間Sでベンチ40に座り、取付軸20及び取付軸21を正面に見てロッド110を順手で掴んでラットプルダウンを行う様子が示されている。ラットプルダウンでは、トレーニング者Tは、チューブ100の弾性力に抗してロッド110を初期位置から下側に移動させる動作を繰り返す。チューブ100の角度を変える回転部材30R及び回転部材30Lは、回転軸30に対して回転自在になっているので、チューブ100の移動に伴って回転する。回転部材30R及び回転部材30Lがそれぞれ回転することにより、摩擦力が低減されてチューブ100の延びが全体的に均一になる。
【0041】
このように、チューブ100の弾性力によって適切な負荷の下、効率的なトレーニングを行うことができる。
図7の第1ポジションにおいて、取付軸20及び取付軸21に対して背に向けた状態でベンチ40に座った状態でロッド110を下側に移動させるように力を加えてもよい。このように、同じ第1ポジションでも、ベース部10の内側の空間を利用して姿勢や立ち位置を変えることにより、身体の異なる部位に負荷を掛けることができる。
【0042】
更に、チューブ100の始端位置からトレーニング者Tがロッド110を介して力を作用させる作用位置までの長さを変更することにより、チューブ100によって受ける運動負荷(仕事量)を調整することができる。例えば、チューブ100を取り付ける取付軸20を取付軸21に変更することにより、始端位置から作用位置までの距離を短くしてトレーニング動作におけるチューブ100による負荷の掛かるタイミングを遅らせてトレーニング全体の運動負荷(仕事量)を小さくすることができる。また、チューブ100を取り付ける取付軸20又は取付軸21の位置そのものを変更することにより、運動負荷を調整することができる。例えば、取付軸20又は取付軸21をベース部10の上部の横材12に取り付けることにより、始端位置から作用位置までの距離をより短くすることができる。あるいは、取付軸20を
図7の位置よりも下側に移動させて始端位置から作用位置までの距離を長くとることにより、トレーニング者Tがトレーニング動作開始時点又は直後からチューブ100の負荷を受けるようにしてことができる。この場合、
図7の状態よりもよりトレーニング動作全体としての運動負荷(仕事量)を大きくすることができる。
【0043】
本実施形態のトレーニング用器具1は、チューブ100を取り付ける位置を変えることにより、負荷の変更、種目の変更を行うことができる。
【0044】
次に、上述した第1ポジションと異なる第2ポジションのトレーニング用器具1について説明する。
図8は、本実施形態の第2ポジションのトレーニング用器具1の側面図である。
図8には、チューブ100が、取付軸20の上方に位置する取付軸21の右側自由端21Rに取り付けられるとともに、回転部材30Rに掛け回された状態が示されている。同様に、別のチューブ100が、取付軸21の左側自由端21Lに取り付けられるとともに、回転部材30Lに掛け回されている。そして、ロッド110が、左右のチューブ100のそれぞれの輪の内側に差し込まれている。
【0045】
また、
図8の例では、ロッド110が、ガイド軸15にガイド部材90を介して接続されている。ガイド部材90は、ガイド軸15に対して上下方向にスライド移動可能に構成される円筒状の部材である。ガイド部材90は、ガイド軸15を挿入した状態でロッド110に連結される。ガイド部材90は、ロッド110を着脱自在に連結できる連結機構を有する。連結機構は、例えば、クランプ等によって構成される。ガイド部材90によってロッド110の移動範囲が上下方向に限定される。
【0046】
次に、第2ポジションによるトレーニングのサポート機能について説明する。
図9は、本実施形態の第2ポジションのトレーニング用器具1を用いたトレーニングの一例を示す平面図である。
図10は、本実施形態の第2ポジションのトレーニング用器具1を用いたトレーニングの初期位置を示す側面図である。
図11は、本実施形態の第2ポジションのトレーニング用器具1を用いたトレーニングの負荷位置を示す側面図である。
【0047】
図9及び
図10に示すように、トレーニング者Tは、ベース部10の内側の空間Sに入り、ロッド110の緩衝部111に座るとともに回転軸30を両手で掴んで初期位置の状態となる。この初期位置では、トレーニング者Tは、左右のチューブ100の弾性力によってロッド110を介して下から支持される。この状態でチンニング(懸垂)を行う。
図10の初期位置から
図11の負荷位置に至るチンニングの過程において、トレーニング者Tがロッド110に座った状態ではチューブ100が伸長状態になり、チューブ100の弾性力によって自重の一部が支えられた状態となる。チューブ100が伸長状態から元の状態に戻ろうとする弾性力の作用により、自重だけで懸垂を行う場合に比べて運動負荷を小さくすることができる。従って、筋力が弱い場合であっても、トレーニング者Tはチンニングを容易に行うことができ、必要な部位の筋肉の強化や維持を行うことができる。
【0048】
図12を参照して懸垂運動におけるガイド部材90の挙動を説明する。
図12は、本実施形態のトレーニング時のガイド部材90の動きを示す拡大側面図である。
図12に示すように、ガイド部材90は、ガイド軸15に上下方向に移動可能に取り付けられるとともにロッド110に固定されているので、ロッド110の前後方向の移動を規制する。
【0049】
以上、第2ポジションのトレーニング用器具1を用いたサポート機能について説明した。このサポート機能において、負荷範囲の異なるチューブ110を用いてサポート力を調整してもよい。また、このサポート機能では、チューブ100の始端位置からトレーニング者Tがロッド110を介してサポート力を受ける作用位置までの長さを変更することにより、身体の大きさに関係なく、トレーニング者Tに対して最適な高さに調整できる。また、始端位置から作用位置までの距離を調整することにより、チューブ100によるサポート力を調整することができる。例えば、チューブ100を取り付ける取付軸21を取付軸20に変更することにより、トレーニング動作におけるサポート力を受ける時間が長くなり全体としての運動負荷を更に下げることができる。また、チューブ100を取り付ける取付軸20又は取付軸21の位置そのものを変更することにより、始端位置から作用位置までの距離を調整してもよい。例えば、取付軸20又は取付軸21をベース部10の上部の横材12に取り付けることにより、始端位置から作用位置までの距離を短くし、トレーニング動作におけるサポート力を受ける時間を短くすることができる。あるいは、チューブ100が取り付けられる取付軸20を下側に移動させて始端位置から作用位置までの距離を長くとることにより、サポート力を受ける時間をより長くすることができる。
【0050】
次に、第3ポジションのトレーニング用器具1について説明する。
図13は、本実施形態の第3ポジションのトレーニング用器具1の側面図である。
図13には、チューブ100が、ベース部10の下部に位置する取付軸22の右側自由端22Rに取り付けられるとともに、回転部材31Rに下から掛け回された状態が示されている。同様に、別のチューブ100が、取付軸22の左側自由端22Lに取り付けられるとともに、回転部材31Lに下から掛け回されている。そして、左右のチューブ100にはロッド110が差し込まれている。
【0051】
また、
図13の例では、ロッド110が、後側の縦材11に配置されるフック16に引っ掛けられている状態が示されている。フック16は、ロッド110を一時的に置いておくために利用される。トレーニング時には、フック16からロッド110が取り外される。
【0052】
次に、第3ポジションのトレーニング用器具1によるトレーニングの負荷機能について説明する。
図14は、本実施形態の第3ポジションのトレーニング用器具1を用いたトレーニングの一例を示す側面図である。
【0053】
図14に示すように、トレーニング者Tは、ベース部10の外側に位置する展開状態の踏台部50の上に立ち、肩でロッド110を両手で掴む。これにより、左右のチューブ100の弾性力による負荷を加えながらスクワットを行うことができる。
【0054】
また、トレーニング者Tは、第3ポジションのトレーニング用器具1を用いて異なるトレーニングを行うことができる。
図15は、本実施形態の第3ポジションのトレーニング用器具を用いたトレーニングの一例を示す側面図である。
図15に示すように、トレーニング者Tは、ロッド110を身体の前にして逆手で持つことにより、アームカールを行うことができる。
図15の例では、トレーニング者Tは、空間Sの外側で踏台部50の上に立った状態でロッド110を上下動させることにより、アームカールを行う。この例のアームカールでは、ロッド110を基本的にベース部10の外側で保持しているが、ロッド110をベース部10の内側の空間Sで保持しながらアームカールを行ってもよい。
【0055】
次に、第4ポジションのトレーニング用器具1について説明する。
図16は、本実施形態の第4ポジションのトレーニング用器具1を用いたトレーニングの一例を示す側面図である。
図16に示す第4ポジションでは、取付軸22の取付位置がクランプ25bからクランプ25dに変更されている。取付軸22と回転軸30の前後方向の距離が第3ポジションの位置よりも長くなっており、トレーニング者Tは、トレーニング動作の初期からチューブ100の負荷を受けることになる。この状態で、チューブ100が、ベース部10の下部に位置する取付軸22の右側自由端22Rに取り付けられるとともに、回転部材31Rに掛け回された状態が示されている。同様に、別のチューブ100が、取付軸22の左側自由端22Lに取り付けられるとともに、回転部材31Lに掛け回されている。そして、左右のチューブ100にはロッド110が差し込まれている。
【0056】
図16に示すように、トレーニング者Tは、ロッド110を身体の前にした順手で持つことにより、デッドリフトを行うことができる。
図16の例では、トレーニング者Tは、空間Sの外側で踏台部50の上に立った状態でロッド110を上下動させることにより、デッドリフトを行う。この例のデッドリフトでは、ロッド110を基本的にベース部10の外側で保持しているが、ロッド110をベース部10の内側の空間Sで保持しながらデッドリフトを行ってもよい。
【0057】
次に、第5ポジションのトレーニング用器具1について説明する。
図17は、本実施形態の第5ポジションのトレーニング用器具1を用いたトレーニングの一例を示す側面図である。
図17に示す第5ポジションでは、取付軸22の取付位置がクランプ25dからクランプ25cに変更されている。第5ポジションでは、取付軸22と回転軸30の前後方向の距離が第4ポジションの位置よりも短くなっており、トレーニング動作におけるチューブ100の負荷が掛かるタイミングが第4ポジションより遅くなることになる。トレーニング者Tは、ベース部10の空間Sの内側でベンチ40の第1部材41に仰向けの状態となり、身体の上でロッド110を両手で掴む様子が示されている。トレーニング者Tは、ロッド110を上下に動かすことにより、チューブ100の負荷を利用したベンチプレスを行うことができる。
【0058】
次に、第6ポジションのトレーニング用器具1について説明する。
図18は、本実施形態の第6ポジションのトレーニング用器具1を用いたトレーニングの一例を示す側面図である。
図18に示す第6ポジションでは、取付軸22の取付位置がクランプ25cからクランプ25aに変更されている。第6ポジションでは、取付軸22と回転軸30の前後方向の距離が第5ポジションの位置よりも短くなっており、トレーニング動作におけるチューブ100の負荷が掛かるタイミングが更に遅くなることになる。トレーニング者Tは、ベース部10の空間Sの外側から踏台部50を踏んだ状態でベンチ40の第1部材41の前側端部に座り、内側の空間Sでロッド110を両手で掴む。トレーニング者Tは、チューブ100による負荷を受けた状態でロッド110を上下に動かすことにより、シーテッドバックプレスを行う。この例のシーテッドバックプレスでは、ロッド110をベース部10の内側の空間Sで保持しているが、ロッド110をベース部10の外側で保持しながらデッドリフトを行ってもよい。
【0059】
スクワット、アームカール、デッドリフト、シーテッドバックプレスでは、トレーニング者Tは、何れもロッド110を上下方向に移動させることにより、チューブ100による負荷を受けることができる。また、これらのトレーニングでは、踏台部50の上に立っている状態で行われているので、トレーニング者Tの自重によってベース部10の浮き上がり(前後方向に倒れるような動き)を確実に防止できる。
【0060】
次に、第7ポジションのトレーニング用器具1について説明する。
図19は、本実施形態の第7ポジションのトレーニング用器具1を用いたトレーニングの一例を示す側面図である。
図19に示す第7ポジションでは、取付軸22の取付位置はクランプ25aであり、回転軸31の取付位置がクランプ25bに変更されている。そして、チューブ100が取付軸22の右側自由端22Rに取り付けられるとともに、回転部材31Rに掛け回される。同様に、別のチューブ100が取付軸22の左側自由端22Lに取り付けられるとともに回転部材31Lに掛け回される。そして、左右のチューブ100にはロッド110が差し込まれている。トレーニング者Tは、ベース部10の空間Sの内側でベンチ40の第2部材42を踏んだ状態で立ち、肩にロッド110を引っ掛けるとともに脇でチューブ100を挟んだ状態とする。この状態で、トレーニング者Tは、ベース部10の上部に位置する回転軸30を両手で掴んでカーフレイズを行う。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のトレーニング用器具1は、トレーニング者Tの身体の少なくとも一部を入れることができる空間Sを有するベース部10と、ベース部10に配置され、少なくとも一側の端部が自由端である取付軸20~22と、輪の内側に取付軸20~22の自由端が通される輪状弾性部材してのチューブ100と、ベース部10における取付軸20~22の位置から離間した位置に配置され、チューブ100が掛け回される回転自在の回転部材(回転部材30R~31R、回転部材30L~31L)を備える。
【0062】
これにより、輪状のチューブ100の内側に取付軸20~22の自由端を挿抜するというシンプルな動作で、チューブ100の取付軸20~22への着脱作業を行うことができる。また、弾性力を付与するため引っ張りに対して破損に強いチューブ100の特性を利用して取付軸20~22とチューブ100の接続を実現できる。チューブ100を取付軸20~22に取り付けるための面ファスナー等の構成を必要としないので、装置構成をシンプルにまとめることができる。また、チューブ100を回転自在の回転部材に掛け回す構成を採るため、トレーニング中の静穏性を実現できる。更に、トレーニング動作の初期位置に戻るとチューブ100の弾性力による負荷が小さく又はなくなるので、常に一定の重量が掛かる金属ウェイトを用いるトレーニングに比べて怪我をし難い。
【0063】
特に、本実施形態の構成のように、長尺部材を立体形状に組んでベース部10を構成することにより、製造コスト及び重量を低減できるとともに、解体及び組立作業も容易になる。重量も軽いので台車等を利用した持ち運びも容易である。大きさを小さく(例えば、長さ100cm×幅70cm×高さ190cm)することにより、洋服タンス等の家具を置くような場所にも設置できる。重量も小さいので一般家庭の家屋に設置することもできる。
【0064】
また、本実施形態では、自由端(右側自由端20R~22R、左側自由端20L~22L)は、ベース部10の左右両側(横方向両側)に配置され、回転部材(回転部材30R~31R、回転部材30L~31L)は、左右両側の自由端(右側自由端20R~22R、左側自由端20L~22L)に対応する位置にそれぞれ配置され、チューブ100は、左右の自由端と回転部材に対応して左右それぞれに配置され、右側(横方向一側)のチューブ100の輪の内側に一側の端部が挿通されるとともに、左側(横方向他側)のチューブ100の輪の内側に他側の端部が挿通されるロッド110が更に配置される。なお、左右方向(横方向)は、厳密に水平方向である必要はなく、上下に傾いていてもよい。
【0065】
これにより、ロッド110を利用し、左右のチューブ100の弾性力をトレーニングの負荷に用いたり、自重を利用したトレーニングの負荷の低減に用いたりすることができる。
【0066】
また、本実施形態では、チューブ100は、回転部材30R、回転部材30Lに対して上から掛け回され、ロッド110は、回転部材30R、回転部材30Lよりも下方位置であってトレーニング者Tを支持可能な位置に配置される。
【0067】
これにより、ロッド110の上にトレーニング者Tが体重を載せた状態でトレーニングを行うことにより、自重を利用したトレーニングを行う際の負荷を低減できる。従って、力が弱いトレーニング者Tであっても、チンニング等のような自重を利用したトレーニングを行うことができる。特に、本実施形態の構成によれば、最初は弾性力が強いチューブ100を用いて強いサポート力のもと運動負荷を低減しながらトレーニングを開始し、トレーニングに慣れ始めたところで弾性力の弱いチューブ100に変更する等して徐々にサポート力を弱めて運動負荷を高めていくこともできる。更に、トレーニングが進んで一定程度筋肉が身につくとチューブ100を外して全体重でのトレーニング(例えば、チンニング)を行うこともできる。更に、トレーニング用器具1を
図19の第7ポジションにセットし、ロッド110を肩に掛けて懸垂を行うことにより、今度はチューブ100によって負荷を受けた状態でチンニングを行うこともできる。このように、筋肉の成長段階に応じてトレーニングの負荷をより精密に調整することができる。
【0068】
また、本実施形態では、チューブ100は、回転部材30R、回転部材30Lに対して下から掛け回され、ロッド110は、回転部材30R、回転部材30Lよりも上方位置で保持可能に構成される。
【0069】
これにより、トレーニング者は、ロッド110を上方に持ち上げることにより、チューブ100の負荷を利用したトレーニングを行うことができる。
【0070】
また、本実施形態のトレーニング用器具1は、ベース部10に固定され、上下方向(所定方向)に延びるガイド軸15と、ガイド軸15に対して上下方向(所定方向)にスライド移動可能に取り付けられるとともに、ロッド110が連結されるガイド部材90と、を更に備える。
【0071】
これにより、ロッド110の移動が上下方向(所定方向)に沿うものとなるので、トレーニング時にトレーニング者Tを支えるロッド110の位置を安定させることができ、トレーニング者Tは安定した姿勢で安全にトレーニングを行うことができる。
【0072】
また、本実施形態のトレーニング用器具1は、ベース部10に取り付けられ、トレーニング者Tが体重を掛けることができる踏台部50を更に備える。
【0073】
これにより、トレーニング者Tが自重により踏台部50を抑えておくことにより、チューブ100を介してトレーニング者Tの力がベース部10に加わることにより、ベース部10が設置面から浮いたり傾いたりする事態の発生を効果的に防止できる。
【0074】
次に、
図20を参照して取付軸20~21の位置調整とは異なる方法の位置調整について説明する。
図20は、本実施形態のトレーニング用器具1において複数のチューブ100~103を用いた例を示す拡大断面図である。
【0075】
図20に示される3本のチューブ100~102は、何れも輪状弾性部材であり、輪の内側に左側自由端21Lが挿通されている。チューブ101は、チューブ100よりも弾性力が強く、相対的に高い負荷の付与又は相対的に高いサポート力の付与を行うことができる。一方、チューブ102は、チューブ100よりも弾性力が弱く、相対的に低い負荷の付与又は相対的に低いサポート力の付与を行うことができる。
【0076】
図20では、取付軸21の左側自由端21Lに3本のチューブ100~102が取り付けられるとともに、3本のチューブ100~102が回転部材30Lに掛けまわされている。即ち、回転部材30Lの軸方向の長さdが、複数のチューブ100~102を軸方向に並べることができるように設定されている。
【0077】
このように、本実施形態の自由端(右側自由端20R~22R、左側自由端20L~22L)及び回転部材(回転部材30R~31R、回転部材30L~31L)は、軸方向の長さdが複数のチューブ100~102を軸方向に並列配置できるように構成される。
【0078】
これにより、取付軸20~21の位置を変えることなく、チューブ100~102によって付与する負荷又はサポート力を強くすることができる。また、取付軸20~21の位置の調整とともにチューブ100~102の数を調整することにより、負荷又はサポート力の調整範囲の拡大とより精密な調整の両立を実現できる。
【0079】
次に、
図21を参照してトレーニング用器具1にモバイル機器200を把持する機器設置部250について説明する。
図21は、機器設置部250を介してモバイル機器200をベース部10に取り付けた状態のトレーニング用器具1の拡大斜視図である。なお、モバイル機器200は、対象を撮像する撮像装置201と、画像を表示する表示装置202と、を備えるタブレット型のコンピュータである。
【0080】
図21の例では、機器設置部250は、取付軸21の中央に固定される。機器設置部250は、例えば、クランプ部材によって取付軸21に対して着脱可能に構成される。機器設置部250は、モバイル機器200を着脱自在に取り付けることができる把持機構251を有し、この把持機構251によってモバイル機器200をベース部10に取り付けることができる。
【0081】
機器設置部250の取付位置は、適宜変更できる。機器設置部250は、取付軸21、取付軸22、回転軸30、回転軸31に取り付けてもよいし、横材12や縦材11に取り付けることもできる。
【0082】
このように、本実施形態のトレーニング用器具1は、ベース部10に配置され、撮像装置201、表示装置202又はその両方を有するモバイル機器200を着脱自在に支持する機器設置部250を更に備える。
【0083】
これにより、インターネット等の通信ネットワークを利用したオンラインレッスン等において、モバイル機器200の撮像装置201によってトレーニング者Tのフォームを撮影することにより、遠隔地からトレーニングのフォーム矯正やトレーニングの順序等を指導者がトレーニング者Tに対して指示することができる。また、表示装置202に、トレーニングのフォームの動画を表示したり、トレーニングの種目や順序等のスケジュールを表示したりすることにより、トレーニングをサポートすることができる。
【0084】
図22を参照して変形例のロッド112について説明する。
図22は、変形例のロッド112を示す斜視図である。
図22に示す変形例のロッド112は、ロッド110に比べて軸方向の長さが長く設定されるとともに両端部が折れ曲がるように構成される。このロッド112を上記実施形態のトレーニング用器具1に適用することにより、より負荷の高いトレーニングを行うことができる。なお、ロッド110、112の何れにおいても、緩衝部111を省略することができる。
【0085】
本実施形態のトレーニング用器具1は、左右のチューブ100を取り外した状態でも使用することができる。
図23は、本実施形態の第1ポジションにおけるチューブ100を取り外した状態のトレーニング用器具1の側面図である。
図23のトレーニング用器具1からはベンチ40が取り外されている。
【0086】
図23の鎖線に示すように、トレーニング者Tは、空間Sの内側で左右のディップスバー14を両腕で掴み、身体を保持することにより、トレーニングの種目の一つであるディップスを行うことができる。ベンチ40をベース部10から取り外しておくことにより、より姿勢を安定させた状態でディップスを行うことができる。
【0087】
以上、本実施形態のトレーニング用器具1の構成について説明したが、第1ポジション~第7ポジションは、あくまで例示であり、トレーニングの種類によって他のポジションをとることもできる。また、トレーニングについても、輪状弾性部材を用いるものであれば、例示したもの以外のものも行うことができる。
【0088】
上記実施形態では、1本の取付軸20~22に対して2本のチューブ100が掛け回されているが、この構成に限定される訳ではない。例えば、自由端を有する取付軸を左右のそれぞれに配置する構成であってもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、ガイド部材90は、ガイド軸15に対して上下方向に移動可能に構成されているがこの構成に限定されない。例えば、ガイド部材が水平方向に移動可能にガイド軸を構成する等、ガイド部材の移動方向は適宜変更することができる。
【0090】
また、上記実施形態では、踏台部50は、トレーニング用器具1の外側で使用されているが、この構成に限定される訳ではない。踏台部をベース部10の空間Sの内側でトレーニング者Tが体重を掛けるように構成してもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、ベース部10は、複数の縦材11と複数の横材12が縦長の直方体状に構成されているが、この構成に限定される訳ではない。
図24は、変形例の第1ポジションのトレーニング用器具1aの側面図である。なお、
図24において、上記実施形態のトレーニング用器具1と共通又は同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0092】
図24に示すように、変形例のトレーニング用器具1aは、ベース部10aの形状が上記実施形態と異なっている。変形例のベース部10aは、側面視において直方体の一角が切り欠かれたL字形状に形成される。変形例ベース部10aにおいても、複数の取付軸20~22と、複数の回転軸30、31と、ベンチ40と、踏台部50と、複数のチューブ100と、ロッド110と、を備えており、複数のポジションにより種々のトレーニングを行うことができる。
【0093】
上記実施形態や変形例では、複数の縦材11と複数の横材12を組み合わせてベース部10やベース部10aを形成しているが、この構成に限定される訳ではない。板状部材を組み合わせてベース部を構成してもよい。このように、トレーニング用器具の形状は、適宜変更できる。
【0094】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、上記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0095】
1 トレーニング用器具
10 ベース部
15 ガイド軸
20、21、22 取付軸
20R、21R、22R 右側自由端
20L、21L、22L 左側自由端
30R、30L、31R、31L 回転部材
50 踏台部
90 ガイド部材
100 チューブ(輪状弾性部材)
110、112 ロッド