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特開2024-126258ロボット、ロボットシステム、及びロボットの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126258
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ロボット、ロボットシステム、及びロボットの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034528
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】清澤 勇貴
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707CT05
3C707CV08
3C707CW08
3C707CX01
3C707CX03
3C707HS27
3C707KS21
3C707MS14
3C707MS15
3C707MS23
(57)【要約】
【課題】モーターが電力供給路の遮断によって停止すると、モーター及びモーターによって駆動するアームの停止位置が不定となる。
【解決手段】ロボットは、モーターと、動作指令を出力するコントローラーと、電力を供給もしくは遮断する供給切替部と、前記電力を貯留する電力貯留部と、前記モーターの動作異常を検出する監視部とを備え、前記監視部は、前記モーターを停止させる停止指令を受信することと、前記停止指令を受信したときに前記供給切替部に前記モーターへの前記電力を遮断させることと、を行い、前記電力貯留部は、前記供給切替部が前記モーターへの前記電力を遮断したときに前記モーターへ前記電力を供給すること、を行い、前記モーターは、前記電力貯留部から供給される前記電力を用いて、前記コントローラーから送信される前記動作指令に基づいて停止すること、を行う。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作指令に基づいて動作するモーターと、
前記モーターを制御する前記動作指令を出力するコントローラーと、
前記モーターへ電力を供給もしくは遮断する供給切替部と、
前記電力を貯留する電力貯留部と、
前記モーターの動作異常を検出する監視部と、を備え、
前記監視部は、
前記モーターを停止させる停止指令を受信することと、
前記停止指令を受信したときに前記供給切替部に前記モーターへの前記電力を遮断させることと、を行い、
前記電力貯留部は、前記供給切替部が前記モーターへの前記電力を遮断したときに前記モーターへ前記電力を供給すること、を行い、
前記モーターは、前記電力貯留部から供給される前記電力を用いて、前記コントローラーから送信される前記動作指令に基づいて停止すること、を行う、
ロボット。
【請求項2】
前記監視部は、
前記モーターの動作を監視することと、
前記モーターが前記動作異常であると判断したときに、異常停止指令を生成して前記コントローラーに送信することと、
前記供給切替部に前記モーターへの前記電力を遮断させることと、
前記電力貯留部に前記モーターへ前記電力を供給させないことと、を行い、
前記コントローラーは、前記異常停止指令を受信したときに前記動作指令を前記モーターに送信しないこと、を行う、
請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記モーターを停止させるブレーキを備え、
前記監視部は、前記停止指令を受信したとき、前記ブレーキを作動させること、を行う、
請求項1又は2に記載のロボット。
【請求項4】
前記モーターを停止させるブレーキを備え、
前記コントローラーは、前記モーターが前記停止指令に基づいて停止する前にエラー信号を受信したとき、前記ブレーキを用いて前記モーターを停止させること、を行う、
請求項1又は2に記載のロボット。
【請求項5】
動作指令に基づいて動作するモーター、前記モーターへ電力を供給もしくは遮断する供給切替部、及び前記電力を貯留する電力貯留部を有するロボットと、
前記モーターを制御する前記動作指令を出力するコントローラー、及び前記モーターの動作異常を検出する監視部を有するロボット制御装置と、を備え、
前記監視部は、
前記モーターを停止させる停止指令を受信することと、
前記停止指令を受信したときに前記供給切替部に前記モーターへの前記電力を遮断させることと、を行い、
前記電力貯留部は、前記供給切替部が前記モーターへの前記電力を遮断したときに前記モーターへ前記電力を供給すること、を行い、
前記コントローラーは、前記停止指令を前記モーターに送信すること、を行い、
前記モーターは、前記電力貯留部から供給される前記電力を用いて、前記コントローラーから送信される前記動作指令に基づいて停止すること、を行う、
ロボットシステム。
【請求項6】
モーターと、前記モーターの動作異常を検出する監視部と、電力を貯留する電力貯留部と、を備えるロボットの制御方法であって、
停止指令を受信することと、
前記停止指令に基づいて、外部電源から前記モーターへの前記電力を前記監視部に遮断させることと、
前記電力貯留部から前記モーターに前記電力を供給することと、
前記電力貯留部からの前記電力を用いて、前記モーターを停止させることと、
を含むロボットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット、ロボットシステム、及びロボットの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
演算処理部を有するロボットシステムが知られている。特許文献1に記載される演算処理部は、指令値比較部を有する。指令値比較部は、動作指令値とエンコーダー値とを比較する。動作指令値は、モーターの動作を制御する制御値である。エンコーダー値は、例えば、動作指令値で動作されたモーターの出力軸の角度位置である。指令値比較部は、動作指令値とエンコーダー値との比較結果を遮断信号出力部に出力する。遮断信号出力部は、比較結果に基づいて、遮断信号を遮断部に出力する。遮断部は、遮断信号を受信して、電力供給路を遮断する。演算処理部は、遮断部に電力供給路を遮断させることによって、モーターを停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-119095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モーターが電力供給路の遮断によって停止すると、モーター及びモーターによって駆動するアームの停止位置が不定となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のロボットは、動作指令に基づいて動作するモーターと、前記モーターを制御する前記動作指令を出力するコントローラーと、前記モーターへ電力を供給もしくは遮断する供給切替部と、前記電力を貯留する電力貯留部と、前記モーターの動作異常を検出する監視部と、を備え、前記監視部は、前記モーターを停止させる停止指令を受信することと、前記停止指令を受信したときに前記供給切替部に前記モーターへの前記電力を遮断させることと、を行い、前記電力貯留部は、前記供給切替部が前記モーターへの前記電力を遮断したときに前記モーターへ前記電力を供給すること、を行い、前記モーターは、前記電力貯留部から供給される前記電力を用いて、前記コントローラーから送信される前記動作指令に基づいて停止すること、を行う。
【0006】
本開示のロボットシステムは、動作指令に基づいて動作するモーター、前記モーターへ電力を供給もしくは遮断する供給切替部、及び前記電力を貯留する電力貯留部を有するロボットと、前記モーターを制御する前記動作指令を出力するコントローラー、及び前記モーターの動作異常を検出する監視部を有するロボット制御装置と、を備え、前記監視部は、前記モーターを停止させる停止指令を受信することと、前記停止指令を受信したときに前記供給切替部に前記モーターへの前記電力を遮断させることと、を行い、前記電力貯留部は、前記供給切替部が前記モーターへの前記電力を遮断したときに前記モーターへ前記電力を供給すること、を行い、前記コントローラーは、前記停止指令を前記モーターに送信すること、を行い、前記モーターは、前記電力貯留部から供給される前記電力を用いて、前記コントローラーから送信される前記動作指令に基づいて停止すること、を行う。
【0007】
本開示のロボットの制御方法は、モーターと、前記モーターの動作異常を検出する監視部と、電力を貯留する電力貯留部と、を備えるロボットの制御方法であって、停止指令を受信することと、前記停止指令に基づいて、外部電源から前記モーターへの前記電力を前記監視部に遮断させることと、前記電力貯留部から前記モーターに前記電力を供給することと、前記電力貯留部からの前記電力を用いて、前記モーターを停止させることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ロボットの概略構成を示す図。
図2】ロボットを模式的に示す図。
図3】モーターユニットの概略構成を示す図。
図4】ロボットのブロック構成を示す図。
図5】ロボットのブロック構成を模式的に示す図。
図6】ロボットのブロック構成を模式的に示す図。
図7】ロボットのブロック構成を模式的に示す図。
図8】ロボットのブロック構成を模式的に示す図。
図9】ロボットで実行される制御フローを示す図。
図10】ロボットシステムの概略構成を示す図。
図11】ロボットシステムのブロック構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1実施形態
図1は、ロボット10の概略構成を示している。図1は、ロボット10の斜視図を示している。図1に示すロボット10は、各種ワークの搬送、組立、検査等の各作業で用いられる。
【0010】
ロボット10は、基台11と、ロボットアーム20と、第1駆動部31と、第2駆動部32と、第3駆動部33と、第4駆動部34と、第5駆動部35と、第6駆動部36と、を有する。
【0011】
基台11は、水平な床FLに載置される。基台11は、床FLではなく、壁、天井、架台等に載置されてもよい。基台11は、後述する電源ユニット70、制御ユニット100等を収容する。
【0012】
ロボットアーム20は、複数のアームを含む。図1に示すロボットアーム20は、複数のアームとして、第1アーム21、第2アーム22、第3アーム23、第4アーム24、第5アーム25、及び第6アーム26を備える。第6アーム26の先端には、図示しないエンドエフェクターが着脱可能に取り付けられる。
【0013】
エンドエフェクターは、特に限定されないが、ワークを把持するハンド、ワークを吸着する吸着ヘッド等で構成される。ワークは、特に限定されない。ワークは、電子部品、電子機器等である。
【0014】
ロボット10は、基台11と複数のアームとを、基台11、第1アーム21、第2アーム22、第3アーム23、第4アーム24、第5アーム25、第6アーム26の順に連結した単腕の6軸垂直多関節ロボットである。
【0015】
第1アーム21、第2アーム22、第3アーム23、第4アーム24、第5アーム25、及び第6アーム26の長さは、それぞれ、特に限定されず、適宜設定可能である。ロボットアーム20が有するアームの数は、5本以下、又は、7本以上であってもよい。ロボット10は、スカラロボットであってもよく、2つ以上のロボットアーム20を備える双腕ロボットであってもよい。
【0016】
第1駆動部31は、第1アーム21に配置される。第1駆動部31は、基台11に対して、第1アーム21を回動させる。第1駆動部31は、第1モーターユニット40aと、図示しない減速機と、を有する。第1モーターユニット40aは、モーターユニット40の一例である。第1モーターユニット40aは、第1アーム21を回動させる推力を発生する。
【0017】
第2駆動部32は、第2アーム22に配置される。第2駆動部32は、第1アーム21に対して、第2アーム22を回動させる。第2駆動部32は、第2モーターユニット40bと、図示しない減速機と、を有する。第2モーターユニット40bは、モーターユニット40の一例である。第2モーターユニット40bは、第2アーム22を回動させる推力を発生する。
【0018】
第3駆動部33は、第2アーム22に配置される。第3駆動部33は、第2アーム22に対して、第3アーム23を回動させる。第3駆動部33は、第3モーターユニット40cと、図示しない減速機と、を有する。第3モーターユニット40cは、モーターユニット40の一例である。第3モーターユニット40cは、第3アーム23を回動させる推力を発生する。
【0019】
第4駆動部34は、第3アーム23に配置される。第4駆動部34は、第3アーム23に対して、第4アーム24を回動させる。第4駆動部34は、第4モーターユニット40dと、図示しない減速機と、を有する。第4モーターユニット40dは、モーターユニット40の一例である。第4モーターユニット40dは、第4アーム24を回動させる推力を発生する。
【0020】
第5駆動部35は、第4アーム24に配置される。第5駆動部35は、第4アーム24に対して、第5アーム25を回動させる。第5駆動部35は、第5モーターユニット40eと、図示しない減速機と、を有する。第5モーターユニット40eは、モーターユニット40の一例である。第5モーターユニット40eは、第5アーム25を回動させる推力を発生する。
【0021】
第6駆動部36は、第4アーム24に配置される。第6駆動部36は、第5アーム25に対して、第6アーム26を回動させる。第6駆動部36は、第6モーターユニット40fと、図示しない減速機と、を有する。第6モーターユニット40fは、モーターユニット40の一例である。第6モーターユニット40fは、第6アーム26を回動させる推力を発生する。
【0022】
図2は、ロボット10を模式的に示している。図2は、図1に示すロボット10を模式的に示している。図2は、第1関節51と、第2関節52と、第3関節53と、第4関節54と、第5関節55と、第6関節56と、を示している。
【0023】
基台11と第1アーム21は、第1関節51を介して連結する。第1アーム21は、基台11に対し、鉛直軸と平行な第1回動軸R1を回動中心として回動可能に構成される。鉛直軸は、床FLに対して垂直な軸である。第1アーム21は、第1駆動部31の駆動により第1回動軸R1を中心に回動する。
【0024】
第1アーム21と第2アーム22は、第2関節52を介して連結する。第2アーム22は、第1アーム21に対し、床FLと平行な第2回動軸R2を回動中心として回動可能に構成される。第2アーム22は、第2駆動部32の駆動により第2回動軸R2を中心に回動する。
【0025】
第2アーム22と第3アーム23は、第3関節53を介して連結する。第3アーム23は、第2アーム22に対し、床FLと平行な第3回動軸R3を回動中心として回動可能に構成される。第3アーム23は、第3駆動部33の駆動により第3回動軸R3を中心に回動する。
【0026】
第3アーム23と第4アーム24は、第4関節54を介して連結する。第4アーム24は、第3アーム23に対し、第3アーム23の中心軸と平行な第4回動軸R4を回動中心として回動可能に構成される。第4アーム24は、第4駆動部34の駆動により第4回動軸R4を中心に回動する。
【0027】
第4アーム24と第5アーム25は、第5関節55を介して連結する。第5アーム25は、第4アーム24に対し、第4アーム24の中心軸と直交する第5回動軸R5を回動中心として回動可能に構成される。第5アーム25は、第5駆動部35の駆動により第5回動軸R5を中心に回動する。
【0028】
第5アーム25と第6アーム26は、第6関節56を介して連結する。第6アーム26は、第5アーム25に対し、第5アーム25の先端部の中心軸と平行な第6回動軸R6を回動中心として回動可能に構成される。第6アーム26は、第6駆動部36の駆動により第6回動軸R6を中心に回動する。
【0029】
図3は、モーターユニット40の概略構成を示している。モーターユニット40は、モーター41と、エンコーダー45と、ブレーキ47と、プーリー49と、を備える。モーターユニット40は、モータープレートMPに支持される。モーターユニット40は、一例として、ロータリーエンコーダーを有するサーボモーターで構成される。
【0030】
モータープレートMPは、モーターユニット40をロボット10に固定する部材である。モーターユニット40は、モータープレートMPを介してロボット10に固定される。モータープレートMPは、アーム等を構成する部材でもよい。モータープレートMPがアームの一部を構成することによって、モーターユニット40は、ロボット10に直接固定される。モータープレートMPには、モーター41とブレーキ47とが固定される。モータープレートMPは、軸孔SHを備える。
【0031】
モーター41は、出力軸43を備える。モーター41は、電力の供給を受けて出力軸43の回転出力を生成する。また、モーター41は、出力軸43への回転力の供給を受けて電力を生成する。モーター41は、モータープレートMPに固定される。出力軸43は、モータープレートMPの軸孔SHを貫通する。
【0032】
プーリー49は、減速機を介して、モーター41の出力軸43に接続される。プーリー49は、モーター41の出力軸43によって回転される。プーリー49は、ベルトを介してアームに駆動力を伝達することによって、アームを回動させる。プーリー49は、モーター41に電力が供給されていない状態で、アームの回動に起因する回転力を伝達される。プーリー49は、アームの回動に起因する回転力を出力軸43に供給する。プーリー49がアームの回動に起因する回転力を出力軸43に供給することによって、モーター41は、発電機として機能する。
【0033】
エンコーダー45は、モーター41の出力軸43の回転位置を検出する。エンコーダー45は、検出する回転位置を用いて、出力軸43の回転速度を算出してもよい。エンコーダー45は、回転位置、もしくは回転速度をエンコーダー信号ESとして制御ユニット100等に出力する。エンコーダー45は、モーター41に対してモータープレートMPとは逆の側で、モーター41に固定される。
【0034】
ブレーキ47は、モータープレートMPに対してモーター41とは逆の側で、モータープレートMPに固定される。ブレーキ47は、機械式ブレーキ、電磁ブレーキ、油圧式ブレーキ等で構成される。ブレーキ47は、電磁ブレーキであることが好ましい。電磁ブレーキは、電力が供給されていない状態で、出力軸43を回転不能に保持する。電磁ブレーキは、バネ等の弾性部材、及び可動部材を有する。出力軸43と接続する接合部材に対して、弾性部材が可動部材を押圧する。接合部材と可動部材との間の摩擦力によって、出力軸43は回転不能に保持される。電磁ブレーキは、電力が供給されている状態で、出力軸43を回転可能にする。電力が供給されると、電磁ブレーキは、弾性部材に抗して、接合部材から可動部材を離間させる。可動部材が接合部材と離間することによって、出力軸43は回転可能となる。可動部材は、接合部材ではなく、出力軸43を押圧してもよい。
【0035】
図4は、ロボット10のブロック構成を示している。図4は、ロボットアーム20の動作に係る構成を示している。ロボット10は、複数のモーターユニット40と、複数のモータードライバー60と、電源ユニット70と、遮断ユニット80と、蓄電ユニット85と、制御ユニット100と、停止スイッチ150と、エリアセンサー160と、を備える。図4は、電力を供給する経路の一部等を省略して示している。
【0036】
複数のモーターユニット40のそれぞれは、アームを回動させる。図4は、複数のモーターユニット40として、第1モーターユニット40a、第2モーターユニット40b、第3モーターユニット40c、第4モーターユニット40d、第5モーターユニット40e、及び第6モーターユニット40fを示している。
【0037】
第1モーターユニット40aは、第1モーター41aと、第1エンコーダー45aと、第1ブレーキ47aと、を備える。第1モーター41aは、モーター41の一例である。第1エンコーダー45aは、エンコーダー45の一例である。第1エンコーダー45aは、第1モーター41aの出力軸43の回転位置、もしくは回転角度を出力する。第1ブレーキ47aは、ブレーキ47の一例である。
【0038】
第2モーターユニット40bは、第2モーター41bと、第2エンコーダー45bと、第2ブレーキ47bと、を備える。第2モーター41bは、モーター41の一例である。第2エンコーダー45bは、エンコーダー45の一例である。第2エンコーダー45bは、第2モーター41bの出力軸43の回転位置、もしくは回転角度を出力する。第2ブレーキ47bは、ブレーキ47の一例である。
【0039】
第3モーターユニット40cは、第3モーター41cと、第3エンコーダー45cと、第3ブレーキ47cと、を備える。第3モーター41cは、モーター41の一例である。第3エンコーダー45cは、エンコーダー45の一例である。第3エンコーダー45cは、第3モーター41cの出力軸43の回転位置、もしくは回転角度を出力する。第3ブレーキ47cは、ブレーキ47の一例である。
【0040】
第4モーターユニット40dは、第4モーター41dと、第4エンコーダー45dと、第4ブレーキ47dと、を備える。第4モーター41dは、モーター41の一例である。第4エンコーダー45dは、エンコーダー45の一例である。第4エンコーダー45dは、第4モーター41dの出力軸43の回転位置、もしくは回転角度を出力する。第4ブレーキ47dは、ブレーキ47の一例である。
【0041】
第5モーターユニット40eは、第5モーター41eと、第5エンコーダー45eと、第5ブレーキ47eと、を備える。第5モーター41eは、モーター41の一例である。第5エンコーダー45eは、エンコーダー45の一例である。第5エンコーダー45eは、第5モーター41eの出力軸43の回転位置、もしくは回転角度を出力する。第5ブレーキ47eは、ブレーキ47の一例である。
【0042】
第6モーターユニット40fは、第6モーター41fと、第6エンコーダー45fと、第6ブレーキ47fと、を備える。第6モーター41fは、モーター41の一例である。第6エンコーダー45fは、エンコーダー45の一例である。第6エンコーダー45fは、第6モーター41fの出力軸43の回転位置、もしくは回転角度を出力する。第6ブレーキ47fは、ブレーキ47の一例である。
【0043】
複数のモータードライバー60は、それぞれモーターユニット40と接続する。モータードライバー60は、モーターユニット40に各種信号を送信することによって、モーターユニット40の動作を制御する。モータードライバー60は、モーターユニット40から出力されるエンコーダー信号ESを受信する。複数のモータードライバー60は、第1モータードライバー60a、第2モータードライバー60b、第3モータードライバー60c、第4モータードライバー60d、第5モータードライバー60e、及び第6モータードライバー60fを含む。
【0044】
第1モータードライバー60aは、第1モーターユニット40aを制御する。第1モータードライバー60aは、第1モーターユニット40aに各種信号を送信することによって、第1モーター41a及び第1ブレーキ47aの動作を制御する。第1モータードライバー60aは、第1エンコーダー45aから出力されるエンコーダー信号ESを受信する。第1モータードライバー60aは、制御ユニット100にエンコーダー信号ESを送信する。
【0045】
第2モータードライバー60bは、第2モーターユニット40bを制御する。第2モータードライバー60bは、第2モーターユニット40bに各種信号を送信することによって、第2モーター41b及び第2ブレーキ47bの動作を制御する。第2モータードライバー60bは、第2エンコーダー45bから出力されるエンコーダー信号ESを受信する。第2モータードライバー60bは、制御ユニット100にエンコーダー信号ESを送信する。
【0046】
第3モータードライバー60cは、第3モーターユニット40cを制御する。第3モータードライバー60cは、第3モーターユニット40cに各種信号を送信することによって、第3モーター41c及び第3ブレーキ47cの動作を制御する。第3モータードライバー60cは、第3エンコーダー45cから出力されるエンコーダー信号ESを受信する。第3モータードライバー60cは、制御ユニット100にエンコーダー信号ESを送信する。
【0047】
第4モータードライバー60dは、第4モーターユニット40dを制御する。第4モータードライバー60dは、第4モーターユニット40dに各種信号を送信することによって、第4モーター41d及び第4ブレーキ47dの動作を制御する。第4モータードライバー60dは、第4エンコーダー45dから出力されるエンコーダー信号ESを受信する。第4モータードライバー60dは、制御ユニット100にエンコーダー信号ESを送信する。
【0048】
第5モータードライバー60eは、第5モーターユニット40eを制御する。第5モータードライバー60eは、第5モーターユニット40eに各種信号を送信することによって、第5モーター41e及び第5ブレーキ47eの動作を制御する。第5モータードライバー60eは、第5エンコーダー45eから出力されるエンコーダー信号ESを受信する。第5モータードライバー60eは、制御ユニット100にエンコーダー信号ESを送信する。
【0049】
第6モータードライバー60fは、第6モーターユニット40fを制御する。第6モータードライバー60fは、第6モーターユニット40fに各種信号を送信することによって、第6モーター41f及び第6ブレーキ47fの動作を制御する。第6モータードライバー60fは、第6エンコーダー45fから出力されるエンコーダー信号ESを受信する。第6モータードライバー60fは、制御ユニット100にエンコーダー信号ESを送信する。
【0050】
電源ユニット70は、外部電源からの電力を各ユニットに供給する。電源ユニット70は、各モーターユニット40、各モータードライバー60、制御ユニット100等に電力を供給する。電源ユニット70は、遮断ユニット80を経由して各モーターユニット40に電力を供給する。図4には、電源ユニット70から制御ユニット100へ電力を供給する経路等の一部の電力供給経路は、図示されない。
【0051】
遮断ユニット80は、モーター41を含むモーターユニット40へ外部電源からの電力を供給もしくは遮断する。遮断ユニット80は、スイッチ、リレー、コンタクター等で構成される。遮断ユニット80は、リレーで構成されることが好ましい。遮断ユニット80がリレーで構成されることによって、小さな電流で大きな電流のオン/オフをコントロールすることができる。遮断ユニット80は、電源ユニット70とモーターユニット40との間の電力供給経路に設けられる。ロボット10が動作するとき、遮断ユニット80は、電源ユニット70からの電力を各モーターユニット40に供給する。制御ユニット100が遮断信号DSを遮断ユニット80に送信すると、遮断ユニット80は、各モーターユニット40への電力を遮断する。遮断ユニット80は、供給切替部の一例に対応する。
【0052】
蓄電ユニット85は、電力を貯留する。遮断ユニット80が電源ユニット70から各モーターユニット40に供給する電力を遮断したとき、蓄電ユニット85は、各モーターユニット40に電力を供給することができる。蓄電ユニット85は、コンデンサー、キャパシター、及び2次電池のうちの少なくとも1つで構成される。蓄電ユニット85は、電源ユニット70から供給される電力を貯留する。蓄電ユニット85は、各モーターユニット40の回生によって発生する回生電力を貯留してもよい。図4に示す蓄電ユニット85は、複数のモーターユニット40と接続するが、この構成に限定されない。各モーターユニット40に、蓄電ユニット85が設けられてもよい。蓄電ユニット85は、電力貯留部の一例に対応する。
【0053】
制御ユニット100は、ロボット10の各ユニットを制御する。制御ユニット100は、各ユニットに各種信号を送信することによって、各ユニットの動作を制御する。制御ユニット100は、一例として、CPU(Central Processing Unit)を有するプロセッサー回路である。制御ユニット100は、1又は複数のプロセッサー回路で構成される。制御ユニット100は、ロボットコントローラー110、及び監視ユニット120として機能する。制御ユニット100は、ロボットコントローラー110、及び監視ユニット120とは異なる機能部として機能してもよい。制御ユニット100は、メモリー130と、通信インターフェイス140と、を備える。
【0054】
制御ユニット100は、ロボット制御プログラムを実行することによって、ロボットコントローラー110として機能する。制御ユニット100は、監視プログラムを実行することによって、監視ユニット120として機能する。ロボットコントローラー110と監視ユニット120は、同一のプロセッサーで機能してもよいし、異なるプロセッサーで機能してもよい。ロボットコントローラー110と監視ユニット120は、それぞれ独立して機能する。
【0055】
ロボットコントローラー110は、ロボットアーム20の動作を制御する。ロボットコントローラー110は、モータードライバー60に制御信号CSを送信する。ロボットコントローラー110は、モータードライバー60に制御信号CSを出力することによって、モーター41を有する各モーターユニット40の動作を制御する。制御信号CSは、動作指令の一例に対応する。ロボットコントローラー110は、各モーターユニット40の動作を制御することによって、各アームの動作を制御する。ロボットコントローラー110は、各モータードライバー60を介してエンコーダー45が出力するエンコーダー信号ESを受信する。ロボットコントローラー110は、エンコーダー信号ESを用いて各種制御を行う。ロボットコントローラー110は、停止スイッチ150等から各種信号を受信する。ロボットコントローラー110は、各種信号に基づいて制御を行う。ロボットコントローラー110は、信号処理部111、動作制御部113として機能する。ロボットコントローラー110は、コントローラーの一例に対応する。
【0056】
信号処理部111は、停止スイッチ150等から出力される各種信号を処理する。信号処理部111は、停止スイッチ150から出力される停止信号SSを受信する。信号処理部111は、停止信号SSを監視ユニット120等に送信する。信号処理部111は、エリアセンサー160から出力されるエリアエラー信号を受信する。信号処理部111は、エリアエラー信号を監視ユニット120等に送信する。信号処理部111は、停止スイッチ150、エリアセンサー160とは異なるセンサー等から出力された判別信号を受信してもよい。信号処理部111は、判別信号を監視ユニット120等に送信する。停止信号SS及びエリアエラー信号は、停止指令の一例に対応する。
【0057】
動作制御部113は、各モーターユニット40に送信する制御信号CSを生成する。動作制御部113は、各エンコーダー45から出力されたエンコーダー信号ESを受信する。動作制御部113は、エンコーダー信号ESを用いて制御信号CSを生成してもよい。動作制御部113は、一例として、エンコーダー信号ESをフィードバック信号として用いる。動作制御部113は、制御信号CSをモータードライバー60に送信する。動作制御部113は、制御信号CSをモータードライバー60に送信することによって、モーターユニット40の動作を制御する。
【0058】
監視ユニット120は、モーター41を有する各モーターユニット40の動作を監視する。監視ユニット120は、モーターユニット40の動作を監視することによって、モーター41の動作異常を検出する。監視ユニット120は、比較部121、及び信号出力部123として機能する。監視ユニット120は、監視部の一例に対応する。
【0059】
比較部121は、制御信号CSとエンコーダー信号ESとを比較する。比較部121は、所定の周期で制御信号CS及びエンコーダー信号ESを受信する。比較部121は、ロボットコントローラー110の動作制御部113が出力する各種信号を受信する。比較部121は、各モーターユニット40のエンコーダー45が出力するエンコーダー信号ESを受信する。エンコーダー信号ESは、出力軸43の回転位置、もしくは回転角度である。比較部121は、制御信号CS及びエンコーダー信号ESを受信するごとに、制御信号CSとエンコーダー信号ESの差分値を絶対値で算出する。比較部121は、差分値と許容値とを比較する。許容値は、予め定められた値である。比較部121は、差分値が許容値よりも小さいと判定すると、モーター41が正常に動作していると判断する。比較部121は、差分値が許容値よりも大きいと判定すると、モーター41が動作異常であると判断する。比較部121は、差分値が許容値よりも大きいと判定すると、動作不良信号FSを生成する。比較部121は、動作不良信号FSを信号出力部123に送信する。動作不良信号FSは、異常停止指令の一例に対応する。
【0060】
信号出力部123は、遮断ユニット80等に各種信号を出力する。信号出力部123は、比較部121が送信した動作不良信号FSを受信すると、遮断ユニット80に遮断信号DSを出力する。信号出力部123は、各モータードライバー60、信号処理部111等に動作不良信号FSを送信する。信号出力部123は、停止スイッチ150から出力される停止信号SSを受信する。信号出力部123は、停止信号SSを受信すると、遮断ユニット80に遮断信号DSを送信する。信号出力部123は、エリアセンサー160から出力されるエリアエラー信号を受信すると、遮断ユニット80に遮断信号DSを送信する。
【0061】
遮断信号DSは、STO機能を実行させる信号である。STOは、Safe Torque Offの略である。STO機能は、ロボット10にモーター41への駆動エネルギーを電気的に遮断する機能である。信号出力部123は、停止信号SS等を受信すると、遮断ユニット80に遮断信号DSを出力する。信号出力部123は、遮断信号DSを出力することによって、モーター41を含むモーターユニット40への電力を遮断させる。
【0062】
信号出力部123は、動作不良信号FSをロボットコントローラー110の信号処理部111に送信する。信号処理部111は、動作不良信号FSを動作制御部113に送信する。動作制御部113は、動作不良信号FSを受信すると、制御信号CSのモータードライバー60への送信を停止する。動作制御部113は、動作不良信号FSを受信したときに制御信号CSをモーターユニット40に送信しない。ロボットコントローラー110は、モーターユニット40の動作を制御しないことによって、直ちにモーター41の動作を停止させることができる。
【0063】
メモリー130は、各種データ等を記憶する。メモリー130は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリーで構成される。メモリー130は、制御ユニット100で実行されるロボット制御プログラム、及び監視プログラムを記憶する。メモリー130は、ロボットコントローラー110で用いられる各種制御データを記憶する。メモリー130は、比較部121で用いられる許容値等の監視データを記憶する。メモリー130は、比較部121で算出される差分値、比較結果等を履歴データとして記憶する。
【0064】
通信インターフェイス140は、外部装置と通信接続するインターフェイス回路である。通信インターフェイス140は、外部装置と所定の通信プロトコルに従って、有線、もしくは無線で接続する。通信インターフェイス140は、有線コネクター、もしくは無線通信ポートで構成される。有線コネクターは、USB(Universal Serial Bus)コネクター、LAN(Local Area Network)コネクター等である。無線通信ポートは、Wi-Fi通信ポート、Bluetooth通信ポート等である。Wi-Fi、及びBluetoothは、登録商標である。通信インターフェイス140は、外部装置から各種制御データを受信する。通信インターフェイス140は、履歴データ等を外部装置に送信する。
【0065】
停止スイッチ150は、ロボット10の使用者によって手動操作される。停止スイッチ150は、制御ユニット100と有線、もしくは無線で接続される。使用者は、一例として、ロボットアーム20が予期しない動作を実行したとき、停止スイッチ150に対して手動操作を行う。手動操作が行われると、停止スイッチ150は、停止信号SSを制御ユニット100の信号処理部111に出力する。停止スイッチ150は、停止信号SSを監視ユニット120の信号出力部123に直接出力してもよい。
【0066】
エリアセンサー160は、ロボットアーム20が所定の動作範囲内に位置しているか否かを検出する。エリアセンサー160は、ロボットアーム20が所定の動作範囲外に位置していると検出したとき、エリアエラー信号を信号処理部111に出力する。エリアセンサー160は、エリアエラー信号を監視ユニット120の信号出力部123に直接出力してもよい。
【0067】
図5は、ロボット10のブロック構成を模式的に示している。図5は、ロボットコントローラー110がモーターユニット40を制御しているときの状態を示している。図5は、各信号の流れと電力の供給状態とを示している。複数のモーターユニット40は、それぞれ図5に示す各信号の流れに基づいて制御される。図5は、エリアセンサー160を省略して示している。
【0068】
ロボットコントローラー110は、モーターユニット40を動作させるとき、所定の周期で制御信号CSをモータードライバー60に送信する。制御信号CSは、モーター41の出力軸43の回転位置、もしくは回転角度を指示する指示情報である。ロボットコントローラー110は、モータードライバー60に制御信号CSを送信するとき、監視ユニット120に制御信号CSを送信する。
【0069】
モータードライバー60は、制御信号CSを受信する。モータードライバー60は、制御信号CSをモーターユニット40に送信する。モータードライバー60は、制御信号CS、もしくはモーターユニット40に対応した動作制御信号に変換した制御信号CSをモーターユニット40に送信する。
【0070】
モーターユニット40は、制御信号CSを受信する。モーターユニット40のモーター41は、制御信号CSに基づいて出力軸43を回転させる。エンコーダー45は、モーター41が制御信号CSに基づいて出力軸43を回転したときのエンコーダー信号ESを生成する。エンコーダー信号ESは、出力軸43の回転位置、もしくは回転角度である。モーターユニット40は、エンコーダー信号ESをモータードライバー60に出力する。モーターユニット40は、エンコーダー信号ESを監視ユニット120に出力してもよい。
【0071】
モーターユニット40は、電源ユニット70からの電力によって駆動する。遮断ユニット80は、電源ユニット70からの電力をモーターユニット40に供給する。電源ユニット70は、図示しない供給経路を介してロボットコントローラー110、監視ユニット120等に電力を供給する。
【0072】
蓄電ユニット85は、電力を貯留する。蓄電ユニット85は、モーターユニット40が駆動するとき、モーターユニット40で生成される回生電力を貯留する。蓄電ユニット85は、電源ユニット70から供給される電力を貯留してもよい。
【0073】
モーターユニット40がエンコーダー信号ESをモータードライバー60に出力すると、モータードライバー60は、エンコーダー信号ESを受信する。モータードライバー60は、ロボットコントローラー110、及び監視ユニット120にエンコーダー信号ESを送信する。モーターユニット40が監視ユニット120に直接エンコーダー信号ESを送信する場合、モータードライバー60は、監視ユニット120にエンコーダー信号ESを送信しなくてもよい。
【0074】
監視ユニット120は、制御信号CS、及びエンコーダー信号ESを受信する。エンコーダー信号ESは、モーター41が制御信号CSに基づいて出力軸43を回転させたときの出力軸43の回転位置、もしくは回転角度である。監視ユニット120は、制御信号CSとエンコーダー信号ESとの間の差分を差分値として絶対値で算出する。監視ユニット120は、差分値と許容値とを比較する。監視ユニット120は、差分値が許容値よりも小さいと判定したとき、モーターユニット40が正常に駆動していると判断する。
【0075】
ロボットコントローラー110は、モータードライバー60からエンコーダー信号ESを受信する。ロボットコントローラー110は、エンコーダー信号ESを用いて、制御信号CSを修正してもよいし、修正しなくてもよい。
【0076】
ロボットコントローラー110は、モーターユニット40を動作させている間、遮断ユニット80がSTO機能を実行しているか否かを判定する。監視ユニット120の信号出力部123は、停止信号SS、もしくは動作不良信号FSを受信すると、遮断信号DSを遮断ユニット80に送信する。遮断ユニット80は、遮断信号DSを受信すると、STO機能を実行する。ロボットコントローラー110は、停止スイッチ150から停止信号SSを受信する。ロボットコントローラー110は、監視ユニット120から動作不良信号FSを受信する。ロボットコントローラー110は、停止信号SS、もしくは動作不良信号FSを受信しているか否かで、遮断ユニット80がSTO機能を実行しているか否かを判定する。ロボットコントローラー110は、一例として、停止信号SSを受信すると、遮断ユニット80がSTO機能を実行しているSTO状態であると判定する。ロボットコントローラー110は、停止信号SSを受信していないと、遮断ユニット80がSTO状態にないと判定する。
【0077】
ロボットコントローラー110は、エリアエラー信号等の他の信号を受信すると、遮断ユニット80がSTO状態であると判定してもよい。監視ユニット120の信号出力部123は、エリアエラー信号を受信したとき、遮断信号DSを遮断ユニット80に出力する。信号出力部123は、図示しない各種センサーから信号を受信したとき、遮断信号DSを遮断ユニット80に出力してもよい。
【0078】
図6は、ロボット10のブロック構成を模式的に示している。図6は、停止スイッチ150が停止信号SSを出力したときの状態を示している。図6は、各信号の流れと電力の供給状態とを示している。複数のモーターユニット40は、それぞれ図6に示す各信号の流れに基づいて制御される。図6は、エリアセンサー160を省略して示している。
【0079】
使用者が停止スイッチ150に対して手動操作を行うと、停止スイッチ150は停止信号SSを出力する。図6は、停止スイッチ150がロボットコントローラー110に停止信号SSに出力する場合を示している。
【0080】
ロボットコントローラー110は、停止信号SSを受信する。ロボットコントローラー110は、モータードライバー60、及び監視ユニット120に停止信号SSを送信する。ロボットコントローラー110は、停止信号SSを受信すると、モーター41を停止させる制御信号CSを生成する。ロボットコントローラー110は、停止信号SSを受信したのち、所定の周期で制御信号CSをモータードライバー60及び監視ユニット120に送信する。ロボットコントローラー110は、モーター41を停止させる制御信号CSを送信することによって、モーター41を減速させる減速処理を行う。
【0081】
監視ユニット120は、停止信号SSを受信すると、遮断ユニット80に遮断信号DSを出力する。監視ユニット120は、遮断ユニット80に遮断信号DSを送信することによって、遮断ユニット80にSTO機能を実行させる。監視ユニット120は、遮断ユニット80に遮断信号DSを出力するとき、ロボットコントローラー110に遮断信号DSを送信してもよい。監視ユニット120は、遮断ユニット80に遮断信号DSを送信したのち、ロボットコントローラー110から送信される制御信号CSを継続して受信する。
【0082】
モータードライバー60は、ロボットコントローラー110から送信される停止信号SSを受信する。モータードライバー60は、停止信号SSを受信したのち、制御信号CSを継続して受信する。モータードライバー60は、制御信号CSもしくは変換した制御信号CSをモーターユニット40に送信する。
【0083】
遮断ユニット80は、監視ユニット120から遮断信号DSを受信すると、モーターユニット40への電力を遮断する。遮断ユニット80は、STO機能を実行し、STO状態となる。
【0084】
遮断ユニット80がモーターユニット40への電力を遮断したのち、モーターユニット40は、モータードライバー60から制御信号CSを受信する。ロボットコントローラー110は、停止信号SSを受信すると、蓄電ユニット85を制御する。ロボットコントローラー110は、蓄電ユニット85にモーターユニット40へ電力を供給させる。蓄電ユニット85は、電力をモーターユニット40に供給し、制御信号CSに基づく動作をモーター41に実行させる。モーター41は、制御信号CSに基づいて減速し、停止する。
【0085】
モーターユニット40のエンコーダー45は、制御信号CSに基づいてモーター41が減速するとき、エンコーダー信号ESを出力する。モーターユニット40は、エンコーダー信号ESをモータードライバー60に送信する。モーターユニット40は、エンコーダー信号ESを監視ユニット120に送信してもよい。
【0086】
モータードライバー60は、停止信号SSを受信すると、所定のタイミングでブレーキ47を作動させるブレーキ作動信号を出力してもよい。モータードライバー60は、モーターユニット40もしくは蓄電ユニット85にブレーキ作動信号を出力する。ブレーキ47は、ブレーキ作動信号に基づいて電力が遮断されることによって、作動する。ブレーキ47は、出力軸43の回転を停止させる。所定のタイミングは、一例として、出力軸43の回転速度が予め定められた速度に減速したタイミングである。所定のタイミングは、停止信号SSを受信したタイミングでもよい。
【0087】
モータードライバー60は、エンコーダー信号ESを受信すると、受信したエンコーダー信号ESをロボットコントローラー110及び監視ユニット120に送信する。モーターユニット40が監視ユニット120にエンコーダー信号ESを送信する場合、モータードライバー60は、監視ユニット120にエンコーダー信号ESを送信しなくてもよい。
【0088】
監視ユニット120は、停止信号SSを受信したのち、継続して制御信号CS、及びエンコーダー信号ESを受信する。モーター41が減速処理を行っている間、監視ユニット120は、制御信号CSとエンコーダー信号ESとの間の差分を差分値として絶対値で算出する。監視ユニット120は、差分値と許容値とを比較する。監視ユニット120は、差分値が許容値よりも小さいと判定したとき、モーターユニット40が正常に駆動していると判断する。
【0089】
ロボットコントローラー110は、モータードライバー60からエンコーダー信号ESを受信する。ロボットコントローラー110は、エンコーダー信号ESを用いて、制御信号CSを修正してもよいし、修正しなくてもよい。
【0090】
図6では、停止スイッチ150は、ロボットコントローラー110に停止信号SSを送信するが、この構成に限定されない。停止スイッチ150は、監視ユニット120に停止信号SSを送信してもよい。監視ユニット120は、停止スイッチ150から停止信号SSを受信する。監視ユニット120は、停止信号SSを受信すると、遮断ユニット80に遮断信号DSを送信する。監視ユニット120は、停止信号SSをロボットコントローラー110の信号処理部111に送信する。
【0091】
ロボット10は、制御信号CSに基づいて動作するモーター41と、モーター41を制御する制御信号CSを出力するロボットコントローラー110と、モーター41へ電力を供給もしくは遮断する遮断ユニット80と、電力を貯留する蓄電ユニット85と、モーター41の動作異常を検出する監視ユニット120と、を備える。監視ユニット120は、モーター41を停止させる停止信号SSを受信することと、停止信号SSを受信したときに遮断ユニット80にモーター41への電力を遮断させることと、を行う。蓄電ユニット85は、遮断ユニット80がモーター41への電力を遮断したときにモーター41へ電力を供給すること、を行う。モーター41は、蓄電ユニット85から供給される電力を用いて、ロボットコントローラー110から送信される制御信号CSに基づいて停止すること、を行う。
モーター41は、制御信号CSに基づいて、減速し、停止する。ロボットコントローラー110は、モーター41によって動作するアームの停止位置を制御することができる。ロボット10は、停止信号SSを受信してモーター41を停止させるときに、所定の位置にアームを停止させることができる。
【0092】
ロボット10は、モーター41を停止させるブレーキ47を備える。監視ユニット120は、停止信号SSを受信したとき、ブレーキ47を作動させる。
ロボット10は、停止信号SSを受信してモーター41を停止させるときに、ブレーキ47で確実に停止させることができる。
【0093】
図7は、ロボット10のブロック構成を模式的に示している。図7は、停止スイッチ150が停止信号SSを出力したときの状態を示している。図7は、モーター41の減速処理中に蓄電ユニット85の蓄電量が不足した場合を示している。図7は、各信号の流れと電力の供給状態とを示している。複数のモーターユニット40は、それぞれ図7に示す各信号の流れに基づいて制御される。図7は、エリアセンサー160を省略して示している。
【0094】
停止スイッチ150が停止信号SSを出力したのち、ロボットコントローラー110は、制御信号CSをモーターユニット40に出力して減速処理を行う。モーター41は、ロボットコントローラー110の制御に基づいて減速し、停止する。ロボットコントローラー110が減速処理を行っているとき、モーター41は、蓄電ユニット85から電力を供給される。
【0095】
蓄電ユニット85は、図示しない蓄電量センサーで蓄電量を検出する。蓄電量が予め定めた蓄電量閾値よりも小さくなると、蓄電ユニット85は、蓄電エラー信号PSを生成する。蓄電ユニット85は、蓄電エラー信号PSをロボットコントローラー110に送信する。蓄電ユニット85は、蓄電エラー信号PSをモータードライバー60に送信してもよい。蓄電エラー信号PSは、エラー信号の一例に対応する。
【0096】
ロボットコントローラー110は、蓄電エラー信号PSを受信すると、蓄電ユニット85にモーターユニット40への電力を遮断させる。蓄電ユニット85は、図示しない蓄電ユニットリレー等を動作させ、モーターユニット40への電力を遮断する。蓄電ユニット85がモーターユニット40への電力を遮断すると、ブレーキ47が作動する。ロボットコントローラー110は、ブレーキ47を用いてモーター41を停止させる。
【0097】
蓄電ユニット85は、蓄電エラー信号PSをロボットコントローラー110に送信するときに、モーターユニット40への電力を遮断してもよい。蓄電ユニット85は、ロボットコントローラー110の制御に基づいて、モーターユニット40への電力を遮断することが好ましい。
【0098】
ロボットコントローラー110は、蓄電エラー信号PSを受信すると、モータードライバー60及び監視ユニット120に蓄電エラー信号PSを送信する。ロボットコントローラー110は、蓄電エラー信号PSを受信すると、モータードライバー60及び監視ユニット120に制御信号CSを送信しない。
【0099】
モータードライバー60は、蓄電エラー信号PSを受信すると、制御信号CSをモーターユニット40に送信しない。モータードライバー60は、蓄電エラー信号PSを受信したのち、モーターユニット40からのエンコーダー信号ESを受信しない構成としてもよい。モータードライバー60は、蓄電エラー信号PSを受信したのち、エンコーダー信号ESをロボットコントローラー110及び監視ユニット120に送信しない構成としてもよい。ロボットコントローラー110及びモータードライバー60は、蓄電エラー信号PSを受信後、制御信号CSに基づくモーター41の制御を停止する。
【0100】
監視ユニット120は、蓄電エラー信号PSを受信すると、制御信号CSとエンコーダー信号ESとを比較する処理を停止する。監視ユニット120は、蓄電エラー信号PSを受信後、モーター41の動作の監視を停止する構成としてもよい。
【0101】
図7は、蓄電ユニット85が蓄電エラー信号PSを送信したときの動作を示しているが、これに限定されない。モーターユニット40が蓄電ユニット85から供給される電圧を検出してもよい。検出する電圧が所定の電圧よりも低いときに、モーターユニット40が電圧エラー信号を出力してもよい。電圧エラー信号は、蓄電エラー信号PSと同様に機能する。モーターユニット40と蓄電ユニット85との間に電圧計が設けられてもよい。電圧計は、検出する検出する電圧が所定の電圧よりも低いときに、電圧計が電圧エラー信号を出力してもよい。電圧エラー信号は、エラー信号の一例に対応する。
【0102】
電圧エラー信号に代えて、動作不良信号FSが用いられてもよい。ロボットコントローラー110がモーター41を減速処理している間、監視ユニット120は、制御信号CSとエンコーダー信号ESとを比較する。監視ユニット120は、差分値が許容値よりも大きくなると、ロボットコントローラー110に動作不良信号FSを送信する。ロボットコントローラー110は、動作不良信号FSを受信すると、モータードライバー60に動作不良信号FSに送信する。ロボットコントローラー110は、動作不良信号FSを受信すると、モータードライバー60に制御信号CSを送信しない。モータードライバー60は、動作不良信号FSを受信すると、モーターユニット40に制御信号CSを送信しない。ロボットコントローラー110及びモータードライバー60は、動作不良信号FSを受信後、制御信号CSに基づくモーター41の制御を停止する。減速処理中に出力される動作不良信号FSは、エラー信号の一例に対応する。
【0103】
ロボットコントローラー110は、モーター41を停止させるブレーキ47を備え、モーター41が停止信号SSに基づいて停止する前に蓄電エラー信号PSを受信したとき、ブレーキ47を用いてモーター41を停止させる。
ロボットコントローラー110は、減速処理中に蓄電エラー等のエラーが発生したときに直ちにモーター41を停止させる。ロボットコントローラー110は、エラー発生時にエラーの影響をロボット10等に与える可能性を低減させる。
【0104】
図8は、ロボット10のブロック構成を模式的に示している。図8は、監視ユニット120が動作不良信号FSを出力したときの状態を示している。図8は、各信号の流れと電力の供給状態とを示している。複数のモーターユニット40は、それぞれ図8に示す各信号の流れに基づいて制御される。図8は、エリアセンサー160を省略して示している。
【0105】
監視ユニット120は、モーターユニット40が動作している間、所定の周期で制御信号CS、及びエンコーダー信号ESを受信する。監視ユニット120は、制御信号CSとエンコーダー信号ESとの間の差分を差分値として絶対値で算出する。監視ユニット120は、差分値と許容値とを比較する。監視ユニット120は、差分値と許容値とを比較することによって、モーター41の動作を監視する。監視ユニット120は、差分値が許容値よりも大きいと判定したとき、モーター41が動作異常であると判断する。監視ユニット120は、モーター41が動作異常であると判断すると、動作不良信号FSを生成する。監視ユニット120は、動作不良信号FSをロボットコントローラー110に送信する。監視ユニット120は、動作不良信号FSに基づいて、遮断信号DSを遮断ユニット80に出力する。
【0106】
遮断ユニット80は、監視ユニット120から遮断信号DSを受信すると、モーターユニット40への電力を遮断する。遮断ユニット80は、STO機能を実行し、STO状態となる。
【0107】
ロボットコントローラー110は、動作不良信号FSを受信すると、モータードライバー60に動作不良信号FSを送信する。ロボットコントローラー110は、動作不良信号FSを受信すると、モータードライバー60に制御信号CSを送信しない。ロボットコントローラー110は、動作不良信号FSを受信後、制御信号CSに基づくモーター41の制御を停止する。
【0108】
モータードライバー60は、動作不良信号FSを受信すると、モーターユニット40に制御信号CSを送信しない。モータードライバー60は、動作不良信号FSを受信したのち、モーターユニット40からのエンコーダー信号ESを受信しない。モータードライバー60は、動作不良信号FSを受信したのち、エンコーダー信号ESをロボットコントローラー110及び監視ユニット120に送信しない。モータードライバー60は、動作不良信号FSを受信後、制御信号CSに基づくモーター41の制御を停止する。
【0109】
ロボットコントローラー110もしくはモータードライバー60は、動作不良信号FSを受信すると、蓄電ユニット85によるモーターユニット40への電力の供給を制御する。ロボットコントローラー110もしくはモータードライバー60は、動作不良信号FSを受信すると、蓄電ユニット85によるモーターユニット40への電力を遮断させる。監視ユニット120は、動作不良信号FSを出力することによって、蓄電ユニット85に電力の供給を行わせない。ロボットコントローラー110もしくはモータードライバー60は、蓄電ユニット85に電力を遮断させることによって、ブレーキ47を作動させる。監視ユニット120は、電力の遮断と制御信号CSの停止を行わせることによって、モーター41を直ちに停止させることができる。
【0110】
監視ユニット120は、モーター41の動作を監視することと、モーター41が動作異常であると判断したときに、動作不良信号FSを生成してロボットコントローラー110に送信することと、遮断ユニット80にモーター41への電力を遮断させることと、蓄電ユニット85にモーター41へ電力を供給させないことと、を行う。ロボットコントローラー110は、動作不良信号FSを受信したときに制御信号CSをモーター41に送信しないこと、を行う。
監視ユニット120は、モーター41が動作異常であると判断したとき、モーター41への電力の遮断、及び制御信号CSの送信停止を行うことによって、直ちにモーター41を停止させることができる。
【0111】
図9は、ロボット10で実行される制御フローを示している。図9は、制御フローをフローチャートで示している。図9に示す制御フローは、モーター41を含むモーターユニット40、蓄電ユニット85、監視ユニット120を備えるロボット10で実行される。図9に示す制御フローは、制御ユニット100がロボット制御プログラム及び監視プログラムを実行することによって行われる。制御フローは、制御方法の一例に対応する。
【0112】
ロボット10は、ステップS101で、モーター41を駆動する。モーター41が駆動することによって、アームは移動する。ロボットコントローラー110は、所定の周期でモーター41を含むモーターユニット40に制御信号CSをモータードライバー60を介して送信する。ロボットコントローラー110は、所定の周期で制御信号CSを監視ユニット120に送信する。モーター41は、制御信号CSに基づいて駆動する。エンコーダー45は、制御信号CSに基づくモーター41の出力軸43の回転位置もしくは回転角度を検出する。エンコーダー45は、回転位置もしくは回転角度をエンコーダー信号ESとして生成する。モーターユニット40は、エンコーダー信号ESをモータードライバー60を介して、ロボットコントローラー110及び監視ユニット120に送信する。
【0113】
ロボット10は、モーター41を駆動している間、ステップS103で、STO状態であるか否かを判断する。ロボットコントローラー110は、モーターユニット40への電力が遮断されるSTO状態であるか否かを判断する。ロボットコントローラー110は、停止信号SS、動作不良信号FSのいずれかを受信しているか否かを判定する。ロボットコントローラー110は、停止信号SS等を受信していないと判定したとき、STO状態でないと判断する。ロボット10は、ステップS105に進む(ステップS103:NO)。ロボットコントローラー110は、停止信号SS等を受信していると判定したとき、STO状態であると判断する。ロボット10は、ステップS111に進む(ステップS103:YES)。
【0114】
ロボット10は、モーター41を駆動している間、ステップS105で、制御終了であるか否かを判断する。ロボットコントローラー110は、アームが所定の動作を終了しているか否かを判断する。ロボットコントローラー110は、所定の動作が終了したとき、制御終了であると判断する(ステップS105:YES)。ロボット10は、制御を終了する。ロボットコントローラー110は、所定の動作が終了していないとき、制御終了でないと判断する。ロボット10は、ステップS103に戻る(ステップS105:NO)。ロボット10は、継続してモーター41を駆動させる。
【0115】
ロボット10は、STO状態であると判断したのち、ステップS111で、停止信号SSを受信しているか否かを検出する。ロボットコントローラー110は、STO状態が停止信号SS起因であるか、動作不良信号FS起因であるかを判定する。ロボットコントローラー110は、動作不良信号FSを受信し、停止信号SSを受信していないと判定したとき、ステップS113に進む(ステップS111:NO)。ロボットコントローラー110は、停止信号SSを受信し、動作不良信号FSを受信していないと判定したとき、ステップS121に進む(ステップS111:YES)。
【0116】
ロボット10は、動作不良信号FSを受信して停止信号SSを受信していないと判定したとき、ステップS113で、モータードライバー60による制御を停止する。ロボットコントローラー110は、動作不良信号FSに起因してSTO状態になっていると判断する。ロボットコントローラー110は、制御信号CSを監視ユニット120及びモータードライバー60に送信しない。モータードライバー60は、制御信号CSに基づくモーター41の制御を停止する。
【0117】
ロボット10は、モータードライバー60によるモーター41の制御を停止するとき、ステップS115で、電力の供給を停止する。ロボットコントローラー110もしくはモータードライバー60は、蓄電ユニット85によるモーターユニット40への電力の供給を停止させる。蓄電ユニット85は、モーターユニット40への電力の供給を停止する。モーター41は、電力の供給が停止されることによって停止する。
【0118】
ロボット10は、停止信号SSを受信して動作不良信号FSを受信していないと判定したとき、ステップS121で、減速処理を行う。ロボットコントローラー110は、モータードライバー60を介してモーターユニット40にモーター41を減速させる制御信号CSを送信する。ロボットコントローラー110は、制御信号CSに基づいてモーター41を減速させる。モーター41は、ロボットコントローラー110の制御下で減速する。モーター41は、蓄電ユニット85からの電力を用いて減速する。
【0119】
ロボット10は、減速処理を行っている間、ステップS123で、エラーが発生しているか否かを検出する。ロボットコントローラー110は、減速処理を実行している間、蓄電エラー信号PS、動作不良信号FS等を受信しているか否かを検出する。ロボットコントローラー110は、蓄電エラー信号PS、動作不良信号FS等を受信すると、エラーが発生していると判断する。ロボット10は、ステップS113に進む(ステップS123:YES)。ロボット10は、ステップS113及びステップS115の動作を行う。ロボットコントローラー110は、蓄電エラー信号PS、動作不良信号FS等を受信していないと検出すると、エラーは発生していないと判断する。ロボット10は、ステップS125に進む(ステップS123:NO)。
【0120】
ロボット10は、エラーが発生していないと判断すると、ステップS125で、モーター41が停止しているか否かを検出する。ロボットコントローラー110は、モータードライバー60を介してエンコーダー信号ESを受信する。ロボットコントローラー110は、減速処理を行っている間、エンコーダー45から出力されるエンコーダー信号ESを受信する。ロボットコントローラー110は、エンコーダー信号ESを用いて、モーター41が停止しているか否かを検出する。モーター41は、蓄電ユニット85からの電力を用いて、減速し、停止する。ロボットコントローラー110は、モーター41が停止していないと検出したとき、ロボット10は、ステップS121に戻る(ステップS125:NO)。ロボットコントローラー110は、減速処理を継続する。ロボットコントローラー110は、モーター41が停止していると検出したとき、処理を終了する(ステップS125:YES)。
【0121】
図9では、ロボットコントローラー110は、STO状態であるときに、ステップS111で停止信号SSに起因するか否かを検出しているが、これに限定されない。ロボットコントローラー110は、停止信号SSの代わりにエリアエラー信号起因であるか否かを検出してもよい。図9は、ステップS113、ステップS115の順に示しているが、これに限定されない。各ステップの実行順は、適宜設定可能である。
【0122】
ロボット10は、モーター41と、モーター41の動作異常を検出する監視ユニット120と、電力を貯留する蓄電ユニット85と、を備える。ロボット10の制御フローは、停止信号SSを受信することと、停止信号SSに基づいて、外部電源からのモーター41への電力を遮断することと、蓄電ユニット85からモーター41に電力を供給することと、蓄電ユニット85からの電力を用いてモーター41を停止させることと、を含む。
モーター41は、制御信号CSに基づいて、減速し、停止する。ロボットコントローラー110は、モーター41によって動作するアームの停止位置を制御することができる。ロボット10は、停止信号SSを受信してモーター41を停止させるときに、所定の位置にアームを停止させることができる。
【0123】
第2実施形態
図10は、ロボットシステム500の概略構成を示している。図10は、ロボット10と制御装置200とを示している。図10に示すロボットシステム500は、各種ワークの搬送、組立、検査等の各作業で用いられる。
【0124】
図10に示すロボット10の構成は、図1に示すロボット10の構成と同じである。ロボット10は、床FLに載置される。ロボット10は、制御装置200と通信可能に接続される。
【0125】
制御装置200は、ロボット10の動作を制御する。制御装置200は、ロボット10と別体で構成される。制御装置200は、ロボット10と通信可能に接続する。制御装置200は、ケーブルを介してロボット10と有線で通信接続する。制御装置200は、無線でロボット10と通信接続してもよい。制御装置200は、ロボット10にケーブルを介して電力を供給する。制御装置200は、ロボット制御装置の一例に対応する。
【0126】
図11は、ロボットシステム500のブロック構成を示している。図11は、ロボット10及び制御装置200に含まれる各ユニット等の配置の一例を示している。各ユニット等の配置は、図11の構成に限定されない。
【0127】
ロボット10は、ロボットアーム20と、遮断ユニット80と、蓄電ユニット85と、エリアセンサー160と、を備える。ロボットアーム20は、モーターユニット40と、モータードライバー60とを含む。図11に示すロボットアーム20、モーターユニット40、モータードライバー60、遮断ユニット80、蓄電ユニット85、及びエリアセンサー160は、図4に示すロボットアーム20、モーターユニット40、モータードライバー60、遮断ユニット80、蓄電ユニット85、及びエリアセンサー160と同じ構成である。
【0128】
モーターユニット40は、モーター41、エンコーダー45、及びブレーキ47を有する。モーター41は、モータードライバー60から送信される制御信号CSに基づいて出力軸43を回転させる。エンコーダー45は、出力軸43の回転位置、もしくは回転角度をエンコーダー信号ESとして生成する。モーターユニット40は、エンコーダー信号ESをモータードライバー60に送信する。
【0129】
モータードライバー60は、制御装置200のロボットコントローラー110から送信される制御信号CSを受信する。モータードライバー60は、制御信号CSもしくは変換した制御信号CSをモーターユニット40に送信する。モータードライバー60は、エンコーダー信号ESをモーターユニット40から受信する。モータードライバー60は、エンコーダー信号ESを制御装置200のロボットコントローラー110及び監視ユニット120に送信する。
【0130】
遮断ユニット80は、制御装置200の電源ユニット70からの電力をモーターユニット40に供給もしくは遮断する。遮断ユニット80は、制御装置200の監視ユニット120から出力される遮断信号DSを受信すると、モーターユニット40への電力を遮断する。
【0131】
蓄電ユニット85は、電力を貯留する。蓄電ユニット85は、モーター41で生成される回生電力もしくは電源ユニット70から供給される電力を貯留する。蓄電ユニット85は、遮断ユニット80によって電源ユニット70からの電力が遮断されたとき、モーターユニット40に電力を供給することができる。
【0132】
エリアセンサー160は、ロボットアーム20もしくは各アームの動作範囲を検出する。ロボットアーム20が予め定めた動作領域を超えたとき、エリアエラー信号を制御装置200に送信する。
【0133】
制御装置200は、電源ユニット70と、メモリー130と、通信インターフェイス140と、停止スイッチ150と、第1プロセッサー210と、第2プロセッサー220と、を備える。図11に示す電源ユニット70、メモリー130、通信インターフェイス140、及び停止スイッチ150は、図4に示す電源ユニット70、メモリー130、通信インターフェイス140、及び停止スイッチ150と同じ構成である。
【0134】
電源ユニット70は、外部電源からの電力を制御装置200内の各ユニット及びロボット10に供給する。電源ユニット70は、遮断ユニット80を介してモーターユニット40に電力を供給する。
【0135】
メモリー130は、各種データ等を記憶する。メモリー130は、第1プロセッサー210で実行されるロボット制御プログラムを記憶する。メモリー130は、第2プロセッサー220で実行される監視プログラムを記憶する。メモリー130は、ロボットコントローラー110で用いられる各種制御データを記憶する。メモリー130は、監視ユニット120で用いられる許容値等の監視データを記憶する。メモリー130は、監視ユニット120で算出される差分値、比較結果等を履歴データとして記憶する。
【0136】
通信インターフェイス140は、外部装置と通信接続するインターフェイス回路である。通信インターフェイス140は、外部装置と所定の通信プロトコルに従って、有線、もしくは無線で接続する。
【0137】
停止スイッチ150は、ロボットシステム500の使用者によって手動操作されるスイッチである。使用者は、一例として、ロボットアーム20が予期しない動作を実行したとき、停止スイッチ150に対して手動操作を行う。手動操作が行われると、停止スイッチ150は、停止信号SSをロボットコントローラー110に出力する。停止信号SSは、監視ユニット120に直接出力されてもよい。
【0138】
第1プロセッサー210は、CPUを有するプロセッサー回路である。第1プロセッサー210は、メモリー130に記憶されるロボット制御プログラムを実行することによって、ロボットコントローラー110として機能する。ロボットコントローラー110は、第1プロセッサー210で動作する機能部である。図11に示すロボットコントローラー110は、図4に示すロボットコントローラー110と同じ機能を有する。
【0139】
第2プロセッサー220は、CPUを有するプロセッサー回路である。第2プロセッサー220は、メモリー130に記憶される監視プログラムを実行することによって、監視ユニット120として機能する。監視ユニット120は、第2プロセッサー220で動作する機能部である。図11に示す監視ユニット120は、図4に示す監視ユニット120と同じ機能を有する。
【0140】
第1プロセッサー210と第2プロセッサー220は、図4に示す制御ユニット100として機能する。図11は、第1プロセッサー210と第2プロセッサー220を備えるが、この構成に限定されない。1つのプロセッサーが図4に示す制御ユニット100として機能してもよい。
【0141】
ロボットコントローラー110は、モーター41を含むモーターユニット40を制御する。ロボットコントローラー110は、制御信号CSをモータードライバー60及び監視ユニット120に送信する。ロボットコントローラー110は、制御信号CSに基づいてモーターユニット40を制御する。
【0142】
監視ユニット120は、制御信号CS及びエンコーダー信号ESを受信する。監視ユニット120は、制御信号CSとエンコーダー信号ESとの差分値を算出する。監視ユニット120は、差分値と許容値とを比較する。監視ユニット120は、差分値が許容値よりも大きいとき、モーター41が動作異常であると判断する。監視ユニット120は、動作異常であると判断すると、動作不良信号FSを生成する。監視ユニット120は、動作不良信号FSに基づいて、遮断ユニット80に遮断信号DSを出力する。監視ユニット120は、停止信号SS、エリアエラー信号等を受信する。監視ユニット120は、停止信号SS等を受信すると、遮断信号DSを遮断ユニット80に出力する。監視ユニット120は、遮断信号DSを遮断ユニット80に送信することによって、電源ユニット70からモーター41への電力を遮断させる。
【0143】
停止スイッチ150が停止信号SSを出力すると、ロボットコントローラー110は、停止信号SSを受信する。ロボットコントローラー110は、停止信号SSを監視ユニット120及びロボット10のモータードライバー60に送信する。ロボットコントローラー110は、停止信号SSを受信したのち、減速処理を行う。ロボットコントローラー110は、モーター41を減速させる制御信号CSをモータードライバー60に送信する。
【0144】
監視ユニット120は、停止信号SSを受信すると、遮断ユニット80に遮断信号DSを出力する。監視ユニット120は、遮断信号DSを出力することによって、電源ユニット70からモーターユニット40への電力を遮断する。
【0145】
ロボットコントローラー110は、減速処理中、モーター41を減速させる制御信号CSをモータードライバー60に送信する。ロボットコントローラー110もしくはモータードライバー60は、減速処理中、蓄電ユニット85を制御する。ロボットコントローラー110もしくはモータードライバー60は、蓄電ユニット85にモーターユニット40へ電力を供給させる。モーター41は、蓄電ユニット85から供給される電力を用いて減速する。モーター41は、減速処理中、制御信号CSに基づいて減速し、停止する。
【0146】
ロボットシステム500は、ロボット10と制御装置200とを備える。ロボット10は、制御信号CSに基づいて動作するモーター41、モーター41へ電力を供給もしくは遮断する遮断ユニット80、及び電力を貯留する蓄電ユニット85を有する。制御装置200は、モーター41を制御する制御信号CSを出力するロボットコントローラー110、及びモーター41の動作異常を検出する監視ユニット120を有する。監視ユニット120は、モーター41を停止させる停止信号SSを受信することと、停止信号SSを受信したときに遮断ユニット80にモーター41への電力を遮断させることと、を行う。蓄電ユニット85は、遮断ユニット80がモーター41への電力を遮断したときにモーター41へ電力を供給する。ロボットコントローラー110は、停止信号SSをモーター41に送信する。モーター41は、蓄電ユニット85から供給される電力を用いて、ロボットコントローラー110から送信される制御信号CSに基づいて停止する。
モーター41は、制御信号CSに基づいて、減速し、停止する。ロボットコントローラー110は、モーター41によって動作するアームの停止位置を制御することができる。ロボット10は、停止信号SSを受信してモーター41を停止させるときに、所定の位置にアームを停止させることができる。
【0147】
図11では、遮断ユニット80は、ロボット10に設けられるが、これに限定されない。遮断ユニット80は、制御装置200に設けられてもよい。電源ユニット70は、ロボット10に設けられてもよい。各ユニットの配置は、適宜設定される。
【符号の説明】
【0148】
10…ロボット、11…基台、20…ロボットアーム、21…第1アーム、22…第2アーム、23…第3アーム、24…第4アーム、25…第5アーム、26…第6アーム、31…第1駆動部、32…第2駆動部、33…第3駆動部、34…第4駆動部、35…第5駆動部、36…第6駆動部、40…モーターユニット、40a…第1モーターユニット、40b…第2モーターユニット、40c…第3モーターユニット、40d…第4モーターユニット、40e…第5モーターユニット、40f…第6モーターユニット、41…モーター、41a…第1モーター、41b…第2モーター、41c…第3モーター、41d…第4モーター、41e…第5モーター、41f…第6モーター、43…出力軸、45…エンコーダー、45a…第1エンコーダー、45b…第2エンコーダー、45c…第3エンコーダー、45d…第4エンコーダー、45e…第5エンコーダー、45f…第6エンコーダー、47…ブレーキ、47a…第1ブレーキ、47b…第2ブレーキ、47c…第3ブレーキ、47d…第4ブレーキ、47e…第5ブレーキ、47f…第6ブレーキ、49…プーリー、51…第1関節、52…第2関節、53…第3関節、54…第4関節、55…第5関節、56…第6関節、60…モータードライバー、60a…第1モータードライバー、60b…第2モータードライバー、60c…第3モータードライバー、60d…第4モータードライバー、60e…第5モータードライバー、60f…第6モータードライバー、70…電源ユニット、80…遮断ユニット、85…蓄電ユニット、100…制御ユニット、110…ロボットコントローラー、111…信号処理部、113…動作制御部、120…監視ユニット、121…比較部、123…信号出力部、130…メモリー、140…通信インターフェイス、150…停止スイッチ、160…エリアセンサー、200…制御装置、210…第1プロセッサー、220…第2プロセッサー、CS…制御信号、DS…遮断信号、ES…エンコーダー信号、FL…床、FS…動作不良信号、MP…モータープレート、PS…蓄電エラー信号、R1…第1回動軸、R2…第2回動軸、R3…第3回動軸、R4…第4回動軸、R5…第5回動軸、R6…第6回動軸、SH…軸孔、SS…停止信号。
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