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  • 特開-ダンパ装置、及び動力伝達装置 図1
  • 特開-ダンパ装置、及び動力伝達装置 図2
  • 特開-ダンパ装置、及び動力伝達装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126264
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ダンパ装置、及び動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/134 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
F16F15/134 D
F16F15/134 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034538
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】児泉 直也
(57)【要約】
【課題】低コスト化が可能なダンパ装置を提供する。
【解決手段】ダンパ装置は、第1入力プレート、第2入力プレート、出力プレート、及び弾性部材を備える。第1入力プレートは、表面硬化熱処理されていない金属によって構成される。第1入力プレートは、フライホイールに取り付けられるように構成される。第2入力プレートは、表面硬化熱処理された金属によって構成される。第2入力プレートは、第1入力プレートと一体的に回転するように構成される。第2入力プレートは、軸方向においてフライホイールと第1入力プレートとの間に配置される。出力プレートは、第1入力プレート及び第2入力プレートと相対回転可能に配置される。弾性部材は、第1入力プレート及び第2入力プレートと出力プレートとを弾性的に連結する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライホイールに取り付けられるように構成されるダンパ装置であって、
表面硬化熱処理されていない金属によって構成され、前記フライホイールに取り付けられるように構成される第1入力プレートと、
表面硬化熱処理された金属によって構成され、前記第1入力プレートと一体的に回転するように構成され、軸方向において前記フライホイールと前記第1入力プレートとの間に配置される第2入力プレートと、
前記第1入力プレート及び前記第2入力プレートと相対回転可能に配置される出力プレートと、
前記第1入力プレート及び前記第2入力プレートと前記出力プレートとを弾性的に連結する弾性部材と、
を備える、ダンパ装置。
【請求項2】
前記第2入力プレートは、表面硬化熱処理として浸炭窒化処理された金属によって構成される、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項3】
前記弾性部材の両端部に取り付けられる樹脂製の一対のスプリングシートをさらに備える、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項4】
前記第1入力プレート及び前記第2入力プレートと前記出力プレートとの相対回転角度範囲を規制するように構成されるストッパ機構をさらに備え、
前記ストッパ機構は、
前記第2入力プレートと前記出力プレートとの一方に形成されるストッパ面と、
前記第2入力プレートと前記出力プレートとの他方に形成され、前記ストッパ面と周方向において対向するストッパ部と、
を有する、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項5】
フライホイールと、
前記フライホイールに取り付けられる請求項1から4のいずれかに記載のダンパ装置と、
を備える、動力伝達装置。
【請求項6】
前記フライホイールは、軸方向に延びるノックピンを有し、
前記第1入力プレートは、前記ノックピンが挿入される位置決め孔を有する、
請求項5に記載の動力伝達装置。
【請求項7】
前記フライホイールは、ネジ穴を有し、
前記第1入力プレートは、
外周端部において前記フライホイールに向かって突出し、前記フライホイールと当接する凸部と、
前記凸部に配置され、軸方向視において前記ネジ穴と重複する貫通孔と、
を有する、
請求項5に記載の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパ装置、及び動力伝達装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダンパ装置は、第1及び第2入力プレートと、出力プレートと、コイルスプリングとを備えている(特許文献1参照)。コイルスプリングは、第1及び第2入力プレートと出力プレートとを弾性的に連結している。第1入力プレートは、フライホイールに直接取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-53636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような構成のダンパ装置において、低コスト化が要望されている。そこで、本発明の課題は、低コスト化が可能なダンパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係るダンパ装置は、フライホイールに取り付けられるように構成されている。ダンパ装置は、第1入力プレート、第2入力プレート、出力プレート、及び弾性部材を備える。第1入力プレートは、表面硬化熱処理されていない金属によって構成される。第1入力プレートは、フライホイールに取り付けられるように構成される。第2入力プレートは、表面硬化熱処理された金属によって構成される。第2入力プレートは、第1入力プレートと一体的に回転するように構成される。第2入力プレートは、軸方向においてフライホイールと第1入力プレートとの間に配置される。出力プレートは、第1入力プレート及び第2入力プレートと相対回転可能に配置される。弾性部材は、第1入力プレート及び第2入力プレートと出力プレートとを弾性的に連結する。
【0006】
この構成によれば、第1入力プレートは、表面硬化熱処理されていない金属により構成されているため、その分のコストを低減することができ、ひいては低コスト化が可能となる。また、第2入力プレートは、フライホイールと第1入力プレートとの間に配置されるため、ダンパ装置に入力シャフトが挿入されるときの荷重が掛かる。このように第1入力プレートよりも荷重が掛かる第2入力プレートは表面硬化熱処理されているため、その荷重による変形などを抑制することができる。
【0007】
第2態様に係るダンパ装置は、第1態様に係るダンパ装置において、次のように構成される。第2入力プレートは、表面硬化熱処理として浸炭窒化処理された金属によって構成される。
【0008】
第3態様に係るダンパ装置は、第1又は第2態様に係るダンパ装置において、一対のスプリングシートをさらに備える。一対のスプリングシートは、弾性部材の両端部に取り付けられる。一対のスプリングシートは、樹脂製である。
【0009】
第4態様に係るダンパ装置は、第1から第3態様のいずれかに係るダンパ装置において、ストッパ機構をさらに備える。ストッパ機構は、第1入力プレート及び第2入力プレートと出力プレートとの相対回転角度範囲を規制するように構成される。ストッパ機構は、ストッパ面とストッパ部とを有する。ストッパ面は、第2入力プレートと出力プレートとの一方に形成される。ストッパ部は、第2入力プレートと出力プレートとの他方に形成される。ストッパ部は、ストッパ面と周方向において対向する。
【0010】
第5態様に係る動力伝達装置は、第1から第4態様のいずれかに係るダンパ装置と、フライホイールと、を備える。ダンパ装置は、フライホイールに取り付けられる。
【0011】
第6態様に係る動力伝達装置は、第5態様に係る動力伝達装置において、次のように構成される。フライホイールは、軸方向に延びるノックピンを有する。第1入力プレートは、ノックピンが挿入される位置決め孔を有する。
【0012】
第7態様に係る動力伝達装置は、第5又は第6態様に係る動力伝達装置において、次のように構成される。フライホイールは、ネジ穴を有する。第1入力プレートは、凸部と貫通孔を有する。凸部は、第1入力プレートの外周端部に配置される。凸部は、フライホイールに向かって突出する。凸部は、フライホイールと当接する。貫通孔は、凸部に配置される。貫通孔は、軸方向視においてネジ穴と重複する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、低コスト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】動力伝達装置の正面図。
図2図1のII-II線断面図。
図3】第1入力プレートを取り除いた状態のダンパ装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態に係る動力伝達装置100について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、ダンパ装置20の回転軸Oが延びる方向である。また、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。
【0016】
図1は、本実施形態に係る動力伝達装置100の正面図であり、図2は、図1のII-II線断面図である。図2において、O-O線は動力伝達装置100の回転軸である。なお、このO-O線は、ダンパ装置20の回転軸でもある。図2において、動力伝達装置100の左側にエンジンが配置され、右側に電動機又は変速装置等の出力側部材が配置される。
【0017】
図1及び図2に示すように、動力伝達装置100は、フライホイール10と、ダンパ装置20とを有している。フライホイール10とダンパ装置20とは、基本的に、互いに一体的に回転する。
【0018】
[フライホイール]
フライホイール10は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。フライホイール10は、本体部11、取付部12、及び複数のノックピン13を有している。本体部11及び取付部12は、一つの部材として互いに一体的に構成されている。なお、本体部11は、取付部12と別部材として構成されていてもよい。この場合、本体部11をフレキシブルプレートとすることができる。
【0019】
本体部11は、円板状である。取付部12は、フライホイール10の外周端部に配置されている。取付部12は、周方向に延びる環状である。取付部12は、本体部11に対して軸方向第1側に突出している。
【0020】
取付部12は、取付面121を有している。取付面121は、軸方向第1側を向く面である。軸方向視において、取付面121は、環状である。取付部12は、取付面121上に、複数のネジ穴122を有している。複数のネジ穴122は、周方向に配列されている。ネジ穴122は、軸方向の第1側に開口している。各ネジ穴122は、周方向に配列されている。
【0021】
複数のノックピン13は、周方向に配列されている。ノックピン13は、軸方向に延びている。詳細には、ノックピン13は、取付面121から軸方向第1側に突出している。なお、ノックピン13は、取付部12に形成された第1位置決め用孔(図示省略)内に嵌合している。ノックピン13は、取付部12と別部材であるが、取付部12と一つの部材によって一体的に形成されていてもよい。このノックピン13を、ダンパ装置20の外周部に形成されたノックピン13用の第2位置決め用孔212に挿入することによって、ダンパ装置20は、フライホイール10に対して位置決めがされる。
【0022】
[ダンパ装置]
ダンパ装置20は、フライホイール10と出力側部材の入力シャフト(図示省略)との間に設けられている。ダンパ装置20は、エンジンと出力側部材との間で伝達されるトルクの変動を減衰するように構成されている。
【0023】
ダンパ装置20は、フライホイール10に対して、軸方向の第1側に配置されている。ダンパ装置20は、フライホイール10に取り付けられている。詳細には、ダンパ装置20は、その外周端部において、フライホイール10の取付部12に取り付けられている。
【0024】
ダンパ装置20は、第1入力プレート21、第2入力プレート22、出力プレート23、複数の弾性部材24、複数のスプリングシート25、及び複数の締結部26を有している。また、ダンパ装置2は、ヒス発生機構27を有している。ダンパ装置2は、トルク変動を吸収するように構成されている。
【0025】
<第1及び第2入力プレート>
第1入力プレート21及び第2入力プレート22は、ともに中心孔を有する環状の部材である。第1入力プレート21は、第2入力プレート22よりも大きい外径を有している。
【0026】
第1入力プレート21と第2入力プレート22とは、軸方向において互いに間隔をあけて配置されている。第2入力プレート22は、第1入力プレート21に対して軸方向の第2側に配置されている。すなわち、第2入力プレート22は、軸方向において、フライホイール10と第1入力プレート21との間に配置されている。第1入力プレート21と第2入力プレート22とは、互いに一体的に回転するように構成されている。また、第1入力プレート21と第2入力プレート22とは、軸方向に相対的に移動不能である。
【0027】
第1入力プレート21は、複数の第1窓部211を有している。なお、本実施形態では、第1入力プレート21は、4つの第1窓部211を有している。各第1窓部211は、周方向において配列している。
【0028】
第2入力プレート22は、複数の第2窓部221を有している。なお、本実施形態では、第2入力プレート22は、4つの第2窓部221を有している。各第2窓部221は、周方向において配列している。各第2窓部221は、軸方向視において、各第1窓部211と重複する位置に配置されている。
【0029】
第1入力プレート21は、環状である。第1入力プレート21は、その外周端部において、複数の第2位置決め用孔212、及び複数の貫通孔213を有する。各第2位置決め用孔212は、第1入力プレート21を軸方向に貫通している。各第2位置決め用孔212は、周方向に配列されている。軸方向視において、第1入力プレート21の各第2位置決め用孔212は、フライホイール10の各第1位置決め用孔と重複している。各ノックピン13は、各第1位置決め用孔と各第2位置決め用孔212とに嵌合している。
【0030】
各貫通孔213は、周方向に配列されている。詳細には、第1入力プレート21は、その外周端部において、複数の凸部214を有している。各凸部214は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各凸部214は、軸方向の第2側に向かって突出している。すなわち、各凸部214は、フライホイール10側に突出している。各凸部214は、フライホイール10の取付部12の取付面121と当接している。この凸部214に、貫通孔213が形成されている。
【0031】
第1入力プレート21の各貫通孔213は、フライホイール10の取付部12に形成された各ネジ穴122と軸方向視において重複している。ボルト(図示省略)は、第1入力プレート21の貫通孔213を介して取付部12のネジ穴122に螺合される。これによって、第1入力プレート21は、フライホイール10に取り付けられる。第1入力プレート21は、フライホイール10に直接的に取り付けられる。第1入力プレート21は、フライホイール10と一体的に回転する。第1入力プレート21は、取付面121と接触している。
【0032】
第1入力プレート21は、表面硬化熱処理されていない金属によって構成されている。すなわち、第1入力プレート21は、浸炭窒化処理、又は高周波焼入れなどのように表面を硬化させるための処理がされていない。第1入力プレート21は、プレス加工をしただけで、そのプレス加工後に表面硬化熱処理されていない。第1入力プレート21は、いわゆる生材によって構成されている。第1入力プレート21は、金属として、鉄鋼によって構成される。具体的には、第1入力プレート21は、炭素鋼又は合金鋼によって構成される。より具体的には、第1入力プレート21は、熱間圧延軟鋼板、冷間圧延鋼板、機械構造用炭素鋼、又は機械構造用合金鋼などによって構成される。
【0033】
第2入力プレート22は、径方向視において、取付部12と重複している。第2入力プレート22の外径は、第1入力プレート21の外径よりも小さい。図2及び図3に示すように、第2入力プレート22は、第2プレート本体222と、複数のストッパ部223と、複数の取付部224とを有している。なお、本実施形態では、第2入力プレート22は、4つのストッパ部223と、4つの取付部224とを有している。
【0034】
第2プレート本体222は、環状である。ストッパ部223は、第2プレート本体222の外周部から軸方向の第1側に延びている。すなわち、ストッパ部223は、第2プレート本体222から第1入力プレート21に向かって軸方向に延びている。各ストッパ部223は、周方向において、間隔をあけて配置されている。ストッパ部223は、後述するストッパ面234と周方向において対向している。
【0035】
取付部224は、ストッパ部223から径方向外側に延びている。詳細には、取付部224は、ストッパ部223の軸方向第1側端部から、径方向外側に延びている。各取付部224は、周方向において、間隔をあけて配置されている。
【0036】
第2入力プレート22は、表面硬化熱処理されている金属によって構成されている。すなわち、第2入力プレート22は、浸炭窒化処理、又は高周波焼入れなどのように表面を硬化させるための処理がされている。本実施形態では、第2入力プレート22は、浸炭窒化処理がされている。詳細には、第2入力プレート22は、プレス加工された後、浸炭窒化処理されている。このように表面硬化熱処理がされているため、第2入力プレート22は、第1入力プレート21よりも高い硬度を有する。第2入力プレート22は、金属として、鉄鋼によって構成される。具体的には、第2入力プレート22は、炭素鋼又は合金鋼によって構成される。より具体的には、第2入力プレート22は、熱間圧延軟鋼板、冷間圧延鋼板、機械構造用炭素鋼、又は機械構造用合金鋼などによって構成される。
【0037】
<締結部>
締結部26は、第1入力プレート21と第2入力プレート22とを締結している。詳細には、締結部26は、第1入力プレート21と、第2入力プレート22の取付部224とを締結している。締結部26は、例えばリベットである。締結部26は、ノックピン13に対して径方向内側に配置されている。
【0038】
<出力プレート>
出力プレート23は、第1及び第2入力プレート21,22からのトルクを出力側部材に伝達するように構成されている。出力プレート23は、第1入力プレート21及び第2入力プレート22と相対回転可能に配置されている。
【0039】
出力プレート23は、ボス部231、フランジ部232、及び複数の収容孔233を有している。ボス部231とフランジ部232とは、別部材によって構成されているが、1つの部材によって一体的に構成されていてもよい。ボス部231とフランジ部232とは、ほぼ一体的に回転する。
【0040】
ボス部231は筒状であり、第1入力プレート21及び第2入力プレート22の中心孔内に配置されている。ボス部231の内周部には、軸方向に延びるスプライン孔が形成されている。このスプライン孔に出力側部材の入力シャフト(図示省略)がスプライン係合可能である。
【0041】
フランジ部232は、ボス部231の外周面から径方向に延びている。フランジ部232は、環状に形成されている。フランジ部232は複数の内歯を有している。このフランジ部232の内歯は、ボス部231の外周面に形成された複数の外歯と噛み合っている。このため、フランジ部232は、ボス部231と一体的に回転する。フランジ部232は、軸方向において、第1入力プレート21と第2入力プレート22との間に配置されている。
【0042】
収容孔233は、フランジ部232に形成されている。なお、本実施形態では、4つの収容孔233を有している。各収容孔233は、周方向において配列している。各収容孔233は、軸方向視において、各第1窓部211及び各第2窓部221と重複する位置に配置されている。
【0043】
出力プレート23は、複数のストッパ面234を有している。詳細には、出力プレート23は、径方向外側に突出する複数の突出部235を有している。本実施形態では、4つの突出部235を有している。突出部235は、周方向において、隣り合う一対のストッパ部223の間に配置されている。すなわち、周方向において、突出部235とストッパ部223とが交互に配置されている。この突出部235の周方向を向く面が、ストッパ面234となる。なお、本実施形態では、出力プレート23は、8つのストッパ面234を有している。このストッパ面234に、第2入力プレート22のストッパ部223が当接することによって、第1及び第2入力プレート21、22と出力プレート23との相対回転角度が規制される。すなわち、ストッパ面234とストッパ部223とによって、ストッパ機構が構成される。
【0044】
出力プレート23は、表面硬化熱処理されている金属によって構成されている。すなわち、出力プレート23は、浸炭窒化処理、又は高周波焼入れなどのように表面を硬化させるための処理がされている。本実施形態では、出力プレート23は、浸炭窒化処理がされている。詳細には、出力プレート23は、プレス加工された後、浸炭窒化処理されている。このように表面硬化熱処理がされているため、出力プレート23は、第1入力プレート21よりも高い硬度を有する。出力プレート23は、金属として、鉄鋼によって構成される。具体的には、出力プレート23は、炭素鋼又は合金鋼によって構成される。より具体的には、出力プレート23は、熱間圧延軟鋼板、冷間圧延鋼板、自動車構造用熱間圧延鋼板、一般構造用圧延鋼材、機械構造用炭素鋼、又は機械構造用合金鋼などによって構成される。
【0045】
<弾性部材>
弾性部材24は、第1及び第2入力プレート21,22とフランジ部232とを回転方向に弾性的に連結するように構成されている。弾性部材24は、例えば、コイルスプリングである。弾性部材24は、金属によって構成されている。詳細には、弾性部材24は、鋼鉄によって構成されている。例えば、弾性部材24は、オイルテンパー線によって構成されている。詳細には、弾性部材24は、弁バネ用オイルテンパー線によって構成されている。
【0046】
弾性部材24は、フランジ部232の収容孔233に収容されている。また、弾性部材24は、第1入力プレート21の第1窓部211に収容されるとともに、第2入力プレート22の第2窓部221にも収容されている。
【0047】
<スプリングシート>
スプリングシート25は、弾性部材24の両端部に取り付けられている。スプリングシート25は、周方向において、弾性部材24と第1入力プレート21及び第2入力プレート22との間に配置されている。また、スプリングシート25は、周方向において、弾性部材24と出力プレート23との間にも配置されている。このため、弾性部材24は、第1入力プレート21、第2入力プレート22、及び出力プレート23を周方向において直接押圧しない。すなわち、弾性部材24は、第1入力プレート21、第2入力プレート22、及び出力プレート23を、スプリングシート25を介して押圧する。スプリングシート25は、樹脂製である。具体的には、スプリングシート25は、エンジニアリングプラスチック等によって形成されている。スプリングシート25は、弾性部材24よりも硬度が小さい材料によって構成されている。
【0048】
<ヒス発生機構>
ヒス発生機構27は、第1及び第2入力プレート21,22と、出力プレート23とが相対回転したときに、ヒステリシストルクを発生させるように構成されている。
【0049】
[変形例]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。また、下記の変形例は同時に適用することができる。
【0050】
(a)ストッパ部が出力プレート23に形成され、ストッパ面が第2入力プレート22に形成されていてもよい。
【0051】
(b)上記実施形態では、ストッパ面234は、突出部235に形成されているが、ストッパ面234の構成はこれに限定されない。例えば、出力プレート23に周方向に延びる凹部が形成されており、その凹部を画定する面のうち周方向を向く面によってストッパ面234を構成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
2 :ダンパ装置
21 :第1入力プレート
22 :第2入力プレート
223 :ストッパ部
23 :出力プレート
234 :ストッパ面
24 :弾性部材
25 :スプリングシート
10 :フライホイール
13 :ノックピン
30 :ダンパ装置
100 :動力伝達装置
図1
図2
図3