(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126270
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240912BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034545
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 文宣
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC18
5L050CC18
(57)【要約】
【課題】より柔軟な態様でNFTコンテンツの希少価値を調整する。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザが或るイベントに来場したか否かを判別するためのユーザ情報を取得し、ユーザ情報に基づいて、ユーザがイベントに来場したことを少なくとも含む許可条件が満たされているか否かを判別し、許可条件が満たされていると判別された場合には、イベントに係るデジタルコンテンツであって、非代替性トークンが関連付けられて登録されているデジタルコンテンツをユーザが取得可能となるようにデジタルコンテンツの取得可否に係る設定を行う処理部を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが或るイベントに来場したか否かを判別するためのユーザ情報を取得し、
前記ユーザ情報に基づいて、前記ユーザが前記イベントに来場したことを少なくとも含む許可条件が満たされているか否かを判別し、
前記許可条件が満たされていると判別された場合には、前記イベントに係るデジタルコンテンツであって、非代替性トークンが関連付けられて登録されている前記デジタルコンテンツを前記ユーザが取得可能となるように前記デジタルコンテンツの取得可否に係る設定を行う
処理部を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記許可条件が満たされていないと判別された場合には、前記デジタルコンテンツを前記ユーザが取得不可能となるように前記設定を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザ情報は、前記ユーザの位置に係る位置情報と、前記ユーザが前記位置にいた時刻を表す時刻情報と、からなる位置履歴情報を含み、
前記処理部は、
前記位置情報から特定される前記ユーザの位置が前記イベントの会場に含まれ、かつ、前記時刻情報が表す時刻が前記イベントの開催時間帯に含まれる、との滞在条件を満たす前記位置履歴情報が前記ユーザ情報に含まれている場合には、前記ユーザが前記イベントに来場したと判別し、
前記滞在条件を満たす前記位置履歴情報が前記ユーザ情報に含まれていない場合には、前記ユーザが前記イベントに来場していないと判別する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザ情報は、前記ユーザの位置に係る位置情報を含み、
前記デジタルコンテンツは、前記イベントの会場における或る対応位置に予め対応付けられており、
前記処理部は、
前記ユーザが前記イベントに来場したと判別された場合において、前記位置情報により特定される前記ユーザの位置、及び前記デジタルコンテンツの前記対応位置が、所定の位置関係条件を満たす場合に、前記許可条件が満たされていると判別し、
前記ユーザの位置及び前記対応位置が前記位置関係条件を満たさない場合には、前記許可条件が満たされていないと判別する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記ユーザの位置及び前記対応位置が、前記イベントの会場を区分した複数の区域のうち同一の区域に含まれている場合に、前記位置関係条件を満たすと判別する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記ユーザの位置と、前記対応位置との距離が基準距離以下である場合に、前記位置関係条件を満たすと判別する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記デジタルコンテンツは、前記イベントにおいて、前記対応位置で撮影された画像を含む、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、
前記ユーザ情報に基づいて、予め定められた方法で、前記イベントの開催時間帯に含まれる或る時間帯を特定し、
前記ユーザが前記イベントに来場したと判別された場合において、前記デジタルコンテンツが前記或る時間帯において生成されている場合には、前記許可条件が満たされていると判別し、
前記デジタルコンテンツが前記或る時間帯を除いた時間帯において生成されている場合には、前記許可条件が満たされていないと判別する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記ユーザ情報は、前記イベントの開催時間帯における前記ユーザのバイタルサインに係る情報を含み、
前記処理部は、前記バイタルサインの値が基準範囲に入っていた時間帯を、前記或る時間帯として特定する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記ユーザ情報は、前記ユーザの位置に係る位置情報と、前記ユーザが前記位置にいた時刻を表す時刻情報と、からそれぞれなる複数の位置履歴情報を含み、
前記処理部は、前記ユーザ情報に含まれる前記複数の位置履歴情報に基づいて、前記イベントの開催時間帯のうち、前記ユーザが前記イベントの会場にいた時間帯を、前記或る時間帯として特定する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記処理部は、複数の前記デジタルコンテンツの各々について、前記許可条件が満たされているか否かの判別、及び、当該判別の結果に応じた前記設定を行う、
請求項1~10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
ユーザが或るイベントに来場したか否かを判別するためのユーザ情報を取得し、
前記ユーザ情報に基づいて、前記ユーザが前記イベントに来場したことを少なくとも含む許可条件が満たされているか否かを判別し、
前記許可条件が満たされていると判別された場合には、前記イベントに係るデジタルコンテンツであって、非代替性トークンが関連付けられて登録されている前記デジタルコンテンツを前記ユーザが取得可能となるように前記デジタルコンテンツの取得可否に係る設定を行う
情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
ユーザが或るイベントに来場したか否かを判別するためのユーザ情報を取得する処理、
前記ユーザ情報に基づいて、前記ユーザが前記イベントに来場したことを少なくとも含む許可条件が満たされているか否かを判別する処理、
前記許可条件が満たされていると判別された場合に、前記イベントに係るデジタルコンテンツであって、非代替性トークンが関連付けられて登録されている前記デジタルコンテンツを前記ユーザが取得可能となるように前記デジタルコンテンツの取得可否に係る設定を行う処理
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブロックチェーンにおいて登録、管理される非代替性トークン(Non-Fungible Token、以下「NFT」と略す)をデジタルコンテンツに関連付けることで、複製が容易なデジタルコンテンツに唯一性を付与して資産価値を創出する技術が知られている(例えば、特許文献1)。近年では、この技術を用いて、イベントに関連するデジタルコンテンツ(例えば、スポーツの試合において撮影された選手の画像データ等)にNFTを関連付けたもの(以下、「NFTコンテンツ」と記す)が販売されている。NFTコンテンツの希少価値は、そのNFTコンテンツの販売数量に応じて増減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単に販売数量を調整する方法では、全ての顧客にとっての入手難度が一律に増減する単純な態様でしか希少価値を調整できないという課題がある。
【0005】
本発明は、より柔軟な態様でNFTコンテンツの希少価値を調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、
ユーザが或るイベントに来場したか否かを判別するためのユーザ情報を取得し、
前記ユーザ情報に基づいて、前記ユーザが前記イベントに来場したことを少なくとも含む許可条件が満たされているか否かを判別し、
前記許可条件が満たされていると判別された場合には、前記イベントに係るデジタルコンテンツであって、非代替性トークンが関連付けられて登録されている前記デジタルコンテンツを前記ユーザが取得可能となるように前記デジタルコンテンツの取得可否に係る設定を行う
処理部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より柔軟な態様でNFTコンテンツの希少価値を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】コンテンツ販売システムの構成を示す図である。
【
図4】コンテンツ設定データの内容例を示す図である。
【
図5】端末装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】ブロックチェーンにおいて登録される情報の一部を示す図である。
【
図8】コンテンツ販売処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図9】取得可否設定処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図10】コンテンツ購入処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図15】取得可否設定を反映した後のコンテンツ購入画面を示す図である。
【
図16】NFTコンテンツを購入した後の所有コンテンツ画面を示す図である。
【
図17】変形例に係る取得可否設定処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
<コンテンツ販売システムの概要>
図1は、本発明に係る実施形態のコンテンツ販売システム1の構成を示す図である。
コンテンツ販売システム1(情報処理システム)は、サーバ10(情報処理装置)と、端末装置20と、ブロックチェーン31を有するNFT管理システム30と、を備える。サーバ10は、ネットワークNを介して端末装置20及びNFT管理システム30とデータ通信が可能に接続されている。ネットワークNは、例えばインターネットであるが、これに限定されない。コンテンツ販売システム1のユーザは、1つの端末装置20を使用する。コンテンツ販売システム1は、複数のユーザが使用する複数の端末装置20を有していてもよい。本実施形態の端末装置20は、ユーザが手首に装着して用いるスマートウォッチである。ただし、端末装置20はこれに限られず、スマートフォン、タブレット端末、又はノートPC等であってもよい。
【0011】
コンテンツ販売システム1は、端末装置20を使用するユーザ(顧客)に対し、イベントに係るデジタルコンテンツを販売する。
イベントは、開催される会場と開催時間帯が定められているものであれば、特には限定されず、例えば、スポーツの試合、コンサート、音楽ライブ、映画、舞台、展覧会等であってもよい。また、イベントは、現実世界で開催されるものに限られず、メタバース等の仮想空間において開催されるものであってもよい。
デジタルコンテンツは、例えば、写真や動画等の画像、音楽等の音声、電子書籍等の電子出版物、ゲーム等のデータを含むものであってもよく、これらに限定されない。
本実施形態では、イベントがサッカーの試合であり、デジタルコンテンツが、当該試合においてプレーヤーを撮影したカード状の画像である場合を例に挙げて説明する。
【0012】
本実施形態のコンテンツ販売システム1は、NFT(非代替性トークン)が関連付けられて登録されているデジタルコンテンツであるNFTコンテンツ50(
図13~16参照)をユーザに販売する。NFTは、ブロックチェーン31上で発行、登録されることによって代替不可能性が担保されているデジタルデータである。デジタルコンテンツにNFTが関連付けられることで、複製が容易なデジタルコンテンツに唯一性が付与されて資産価値が創出される。NFT及びNFTコンテンツ50は、ブロックチェーン31上に実装された仮想マシンであるスマートコントラストにおいて、その発行や取引の内容が記録される。
【0013】
本実施形態では、イベントの終了後、サーバ10から端末装置20に、ユーザが購入することのできるNFTコンテンツ50が提示される。購入するNFTコンテンツ50を選択するユーザ操作に応じて、端末装置20からサーバ10にNFTコンテンツ50の購入指示が送信されると、サーバ10は、NFT管理システム30に、NFTコンテンツ50の所有者を端末装置20のユーザに変更する取引の記録を指示する。NFT管理システム30は、ブロックチェーン31において当該取引の内容を記録する。この方法により、ユーザは、NFTコンテンツ50を取得して所有することができる。NFTコンテンツ50の取得は、有償で譲り受けること(購入)に限定されず、無償で譲り受けることを含む。ユーザは、自身が所有するNFTコンテンツ50を端末装置20等において利用することができる。
【0014】
<コンテンツ販売システムの構成>
次に、コンテンツ販売システム1の各装置の構成について説明する。
図2は、サーバ10の機能構成を示すブロック図である。
サーバ10は、CPU11(Central Processing Unit)と、RAM12(Random Access Memory)と、記憶部13と、通信部14と、バス15等を備える。サーバ10の各部は、バス15を介して接続されている。なお、サーバ10は、サーバ10の管理者により使用される操作部や表示部等をさらに備えていてもよい。
【0015】
CPU11は、記憶部13に記憶されているプログラム131を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、サーバ10の各部の動作を制御するプロセッサである。本実施形態では、CPU11が「処理部」に相当する。なお、サーバ10は、複数のプロセッサ(例えば複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU11が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合には、複数のプロセッサが「処理部」に相当する。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0016】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0017】
記憶部13は、コンピュータとしてのCPU11により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム131及び各種データを記憶する。記憶部13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを含む。プログラム131は、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部13に格納されている。記憶部13には、ユーザデータ132及びコンテンツ設定データ133等が記憶されている。
【0018】
図3は、ユーザデータ132の内容例を示す図である。
ユーザデータ132は、イベントに参加したユーザに係るユーザ情報Iuを含む。ユーザ情報Iuは、ユーザがイベントに来場したか否かの判別等に用いられる。ユーザ情報Iuは、イベントの終了後にまとめて、又はイベントの開催中に継続的に、ユーザが使用する端末装置20からサーバ10に送信される。ユーザデータ132の各データ行は、「ユーザID」、「位置情報Ip」、「時刻情報It」、「区域」、「心拍数」のデータを含む。
「ユーザID」は、ユーザに割り当てられた固有の符号である。
「位置情報Ip」は、端末装置20の位置情報取得部26(
図5参照)により検出されたユーザ及び端末装置20の位置を表す。ここでは、位置情報Ipは緯度及び経度であるが、位置の表現形式はこれに限定されない。
「時刻情報It」は、位置情報Ipが検出された時刻、言い換えると、ユーザが位置情報Ipの位置にいた時刻を表す。
位置情報Ip及び時刻情報Itにより「位置履歴情報Ih」が構成される。位置履歴情報Ihは、時刻情報Itが表す時刻において、ユーザが、位置情報Ipにより特定される位置にいたことを表す。
「区域」は、イベントの会場70(
図7参照)に設定された複数の区域A1~A8(
図7参照;以下、区域A1~A8のうちの任意の1つを指す場合には「区域A」と記す)のうち、位置情報Ipにより特定される位置を含む区域Aを表す。
「心拍数」は、端末装置20の脈波センサ27(
図5参照)の検出結果から導出された心拍数である。心拍数は、バイタルサインの一態様である。
図3では、15分に1回の頻度でユーザ情報Iuの1つのデータ行が生成されているが、データの生成頻度はこれよりも高くてもよいし、低くてもよい。ユーザ情報Iuは、少なくとも1つのデータ行を含んでいればよい。
ユーザデータ132は、複数のユーザの各々に係るユーザ情報Iuを含む。
【0019】
図4は、コンテンツ設定データ133の内容例を示す図である。
コンテンツ設定データ133は、ユーザに販売されるNFTコンテンツ50、及び当該NFTコンテンツ50の画像に係る情報を含む。コンテンツ設定データ133の1つのデータ行は、1つのNFTコンテンツ50に対応し、「コンテンツID」、「撮影位置」、「撮影時刻」、「取得可否設定」のデータを含む。
「コンテンツID」は、各NFTコンテンツ50に付与された固有の符号である。
「撮影位置」は、そのデータ行のNFTコンテンツ50の画像が撮影された位置を表す。ここでは、「An-mm」の形式で位置が表されている。「n」は、区域Aの番号であり、「mm」は、当該区域A内における詳細な位置に予め対応付けられた符号である。撮影位置の表現形式はこれに限られず、例えば緯度及び経度であってもよい。撮影位置は、デジタルコンテンツに対応付けられている、イベントの会場70における「対応位置」の一態様である。
「撮影時刻」は、そのデータ行のNFTコンテンツ50の画像が撮影された時刻を表す。
「取得可否設定」は、そのデータ行のNFTコンテンツ50を、各ユーザが取得可能であるか否かを表す。「1」は、取得が許可されていること、すなわち、ユーザがNFTコンテンツ50を購入可能であることを表す。「0」は、取得が禁止されていること、すなわち、ユーザがNFTコンテンツ50を購入不可能であることを表す。各ユーザの取得可否設定は、ユーザデータ132における各ユーザのユーザ情報Iuに基づいて設定される。取得可否設定の設定方法については後に詳述する。
【0020】
図5は、端末装置20の機能構成を示すブロック図である。
端末装置20は、CPU21と、RAM22と、記憶部23と、表示部24と、操作部25と、位置情報取得部26と、脈波センサ27と、通信部28と、バス29等を備える。端末装置20の各部は、バス29を介して接続されている。
【0021】
CPU21は、記憶部23に記憶されているアプリケーションプログラム231(以下「アプリ231」と略す)等のプログラムを読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、端末装置20の各部の動作を制御するプロセッサである。CPU21は、アプリ231に従って各種処理を実行することで、イベントの電子チケット(入場券)の購入及び管理、イベントにおける位置情報Ip、時刻情報It、及び心拍数の取得及び送信、イベントに係るNFTコンテンツ50の表示、購入及び管理等に係る処理を行う。
【0022】
RAM22は、CPU21に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0023】
記憶部23は、コンピュータとしてのCPU21により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、アプリ231等のプログラム及び各種データを記憶する。記憶部23は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。
【0024】
表示部24は、CPU21による制御下で、アプリ231の操作画面や、NFTコンテンツ50の画像等の各種情報を表示する。表示部24としては、例えば、ドットマトリクス方式で表示を行う液晶表示装置を用いることができるが、これに限られない。
【0025】
操作部25は、ユーザの入力操作を受け付けて、入力操作に応じた入力信号をCPU21に出力する。操作部25は、表示部24の表示画面に重ねられて設けられたタッチパネルや、ハードウェアボタン等を備える。
【0026】
位置情報取得部26は、GPS(Global Positioning System)等の全地球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の測位衛星からの送信電波を受信及び復号して現在位置及び現在時刻を算出する。現在位置及び現在時刻の情報は、CPU21に出力される。
【0027】
脈波センサ27は、ユーザの脈波を検出して検出データをCPU21に出力する生体センサである。脈波センサ27は、血液中のヘモクロビンに吸収されやすい緑色の光を射出し、当該光の肌による反射光を受信してその強度を検出する。ユーザの肌に照射された光の一部は、血管内の血液により吸収されるので、脈波センサ27は、心臓の脈動に伴う血流量の変化に応じた受光量の経時変化に基づいて脈波を検出することができる。CPU21は、検出された波形に基づいて心拍数を計測する。
【0028】
通信部28は、予め定められた通信規格に従った通信動作を行う。通信部28は、この通信動作により、ネットワークNを介してサーバ10との間でデータの送受信を行う。
【0029】
図1に示すNFT管理システム30は、ブロックチェーン31を有する。NFT管理システム30は、ブロックチェーン31において、デジタルコンテンツに関連付けられたNFTを発行し、取引の履歴を記録すること等によりNFTコンテンツ50を管理する。
【0030】
図6は、ブロックチェーン31において登録される情報の一部を示す図である。
ブロックチェーン31においては、NFTに付与された固有の「トークンID」と、当該NFTの所有者を表す「所有者ID」と、当該NFTに関連付けられているデジタルコンテンツを表す「コンテンツID」と、が対応付けられて記録されている。また、NFTについて取引が行われた場合には、取引の内容がトークンIDに対応付けられて記録される。
図6では、便宜上、「所有者ID」として
図3のユーザデータ132の「ユーザID」と共通の符号を用いているが、これらは1対1に対応付けられた別個の符号であってもよい。また、
図6では、便宜上、「コンテンツID」として
図4のコンテンツ設定データ133の「コンテンツID」と共通の符号を用いているが、これらは1対1に対応付けられた別個の符号であってもよい。
【0031】
<取得可否設定に係る動作>
次に、サーバ10のCPU11が行う、NFTコンテンツ50の取得可否設定に係る動作について説明する。
【0032】
図7は、イベントの会場70を示す図である。
本実施形態の会場70は、イベントとしてのサッカーの試合が開催されるスタジアムである。会場70は、サッカーのプレーが行われるピッチ71と、グラウンドのうちピッチ71の外側の領域であるピッチ外領域72と、ピッチ外領域72を囲むように設けられている客席73と、を備える。ピッチ外領域72及び客席73は、ピッチ71の外周に沿って時計回りに区域A1~A8に区分されている。なお、区域Aの区分数は8つに限られない。各区域Aは、ピッチ外領域72及び客席73を含む。ピッチ外領域72には、複数のカメラ60が配置されている。カメラ60は客席73に配置されていてもよい。カメラ60は、位置が固定されていてもよいし、カメラマンが所持していてもよい。各カメラ60は、試合中にプレーヤーを撮影し、撮影データをサーバ10に送信する。撮影データは、撮影画像の画像データの他、撮影位置及び撮影時刻の情報を含み、これらの撮影位置及び撮影時刻がコンテンツ設定データ133に登録される。撮影位置は、例えばカメラ60に設けられているGPSモジュール等の位置情報取得部により毎回取得されてもよいし、固定のカメラ60については予め設置位置が取得されていてもよい。撮影された画像は、コンテンツIDが付与されて、イベントの終了後にNFTに関連付けられてNFTコンテンツ50として販売される。
【0033】
上述のとおり、本実施形態では、NFTコンテンツ50は、コンテンツ設定データ133の取得可否設定が「1(取得可能)」に設定されているユーザのみが購入することができる。取得可否設定は、所定の許可条件が満たされている場合に、サーバ10のCPU11により「1」に設定され、許可条件が満たされていない場合に、CPU11により「0(取得不可能)」に設定される。許可条件は、「ユーザ情報Iuに基づいてユーザがイベントに来場したと判別されていること」を、少なくとも成立要件として含む。すなわち、本実施形態では、ユーザが実際にイベントの会場70に来場した場合にのみ、許可条件が満たされ得る。
さらに、本実施形態では、ユーザがイベントに来場したと判別されていることに加えて、イベントの開催時間帯におけるユーザの位置と、NFTコンテンツ50の画像の撮影位置とが所定の位置関係条件を満たしている場合に、当該NFTコンテンツ50についての許可条件が満たされていると判別される。
【0034】
ユーザがイベントに来場したか否かの判別方法は、以下のとおりである。
図3に示すユーザ情報Iuに、滞在条件を満たす位置履歴情報Ihが含まれている場合には、ユーザがイベントに来場したと判別され、ユーザ情報Iuに、滞在条件を満たす位置履歴情報が含まれていない場合には、ユーザがイベントに来場していないと判別される。ここで、滞在条件は、位置履歴情報Ihの位置情報Ipから特定されるユーザの位置がイベントの会場70に含まれ、かつ、位置履歴情報Ihの時刻情報Itが表す時刻がイベントの開催時間帯に含まれる場合に満たされる。本実施形態のイベントの開催時間帯は、例えば、サッカーの試合開始時刻から試合終了時刻までとされる。ただし、開催時間帯は、試合の前後の時間帯をさらに含んでいてもよい。例えば、開催時間帯は、会場70の開場時刻から閉場時刻までとしてもよい。
【0035】
図3に例示するユーザデータ132は、2023年3月14日に行われたイベント(試合)における、ユーザIDが「U0001」のユーザのユーザ情報Iuを含む。当該イベントの開催時間帯は、15時30分から17時15分までであったものとする。このユーザ情報Iuにおける各行データの位置履歴情報Ihは、時刻情報Itが表す時刻が試合の開催時間帯に含まれており、位置情報Ipにより特定される位置が会場70に含まれている(区域A1内である)。このため、このユーザはイベントに来場したと判別される。
【0036】
ユーザの位置と、NFTコンテンツ50の画像の撮影位置とが位置関係条件を満たしているか否かの判別方法は、以下のとおりである。
まず、ユーザ情報Iuに基づいて、イベントにおけるユーザの位置が、区域A1~A8のいずれに含まれているかが特定される。同様に、画像の撮影位置が、区域A1~A8のいずれに含まれているかが特定される。そして、ユーザの位置及び画像の撮影位置が同一の区域に含まれている場合に、位置関係条件を満たすと判別される。
【0037】
図3に示すユーザ情報Iuの各行データにより特定されるユーザの位置は、区域A1に含まれている。一方、
図4に示すコンテンツ設定データ133において、コンテンツIDが「C0001」及び「C0005」の2つのNFTコンテンツ50の画像は、撮影位置が区域A1に含まれている。よって、当該2つのNFTコンテンツ50については、位置関係条件が満たされると判別される。これに対し、「C0002」~「C0004」のNFTコンテンツ50の画像は、区域A1以外で撮影されているので、位置関係条件が満たされないと判別される。
【0038】
よって、
図3及び
図4に示す例においては、「U0001」のユーザについては、「C0001」及び「C0005」のNFTコンテンツ50が許可条件を満たすので、これらの2つのNFTコンテンツ50の取得可否設定が「1」に設定される。また、当該ユーザについて、「C0002」~「C0004」のNFTコンテンツ50は許可条件を満たさないので、取得可否設定が「0」に設定される。
このような動作により、各ユーザについて、各NFTコンテンツ50の取得可否設定が行われる。
【0039】
なお、ユーザに付与されたイベントの電子チケットが会場70への入場のために使用された記録がある場合に、ユーザがイベントに来場したと判別してもよい。
また、この場合において、位置情報Ipは、ユーザに付与された電子チケットにおいてユーザに割り当てられた席を表すものであってもよい。また、この席の位置と、画像の撮影位置とが同一の区域Aに含まれる場合に、位置関係条件を満たすと判別してもよい。
また、位置関係条件は、上記で例示したものに限られず、例えば、ユーザの位置と、画像の撮影位置との間の距離が基準距離以下である場合に満たされる、等としてもよい。
【0040】
<コンテンツ販売処理>
次に、上述した動作を実現するためにサーバ10のCPU11が実行するコンテンツ販売処理について説明する。
図8は、コンテンツ販売処理の制御手順を示すフローチャートである。
或るイベントについてのコンテンツ販売処理は、例えば当該イベントが終了した場合に開始される。
【0041】
コンテンツ販売処理が開始されると、CPU11は、各カメラ60から受信した撮影データの情報をコンテンツ設定データ133に追加する(ステップS101)。CPU11は、端末装置20からユーザ情報Iuを受信したか否かを判別する(ステップS102)。ユーザ情報Iuを受信していないと判別された場合には(ステップS102で“NO”)、CPU11は、再度ステップS102を実行する。ユーザ情報Iuを受信したと判別された場合には(ステップS102で“YES”)、CPU11は、受信したユーザ情報Iuの内容をユーザデータ132に追加し(ステップS103)、取得可否設定処理を実行する(ステップS104)。
【0042】
図9は、取得可否設定処理の制御手順を示すフローチャートである。
取得可否設定処理が呼び出されると、CPU11は、ユーザ情報Iuに、上述の滞在条件を満たす位置履歴情報Ihが含まれるか否かを判別する(ステップS201)。ユーザ情報Iuに、滞在条件を満たす位置履歴情報Ihが含まれていないと判別された場合には(ステップS201で“NO”)、CPU11は、ユーザがイベントに来場していないと判別する(ステップS202)。また、CPU11は、全てのNFTコンテンツ50について、許可条件を満たさないと判別し、取得不可能となるように取得可否設定を「0」に設定する(ステップS203)。
【0043】
一方、ユーザ情報Iuに、滞在条件を満たす位置履歴情報Ihが含まれていると判別された場合には(ステップS201で“YES”)、CPU11は、ユーザがイベントに来場したと判別する(ステップS204)。
【0044】
CPU11は、
図8のステップS101でコンテンツ設定データ133に追加した1つのNFTコンテンツ50を選択する(ステップS205)。CPU11は、ユーザデータ132のユーザ情報Iuと、コンテンツ設定データ133とを参照し、ユーザの位置と、NFTコンテンツ50の画像の撮影位置とが同一の区域Aに含まれるか否かを判別する(ステップS206)。例えば、CPU11は、ユーザ情報Iuのうち少なくとも1つのデータ行において、ユーザの位置と画像の撮影位置とが同一の区域Aに含まれているか否かを判別する。あるいは、CPU11は、イベントにおいてユーザが最も長くいた代表の区域Aを特定し、この代表の区域Aと画像の撮影位置を含む区域Aとが同一であるか否かを判別してもよい。この場合の代表の区域Aは、例えば、ユーザ情報Iuの各データ行の位置情報Ipがどの区域Aに対応するかを特定した場合において、最も多くのデータ行に対応する区域Aとすることができる。
【0045】
ユーザの位置と画像の撮影位置とが同一の区域Aに含まれると判別された場合には(ステップS206で“YES”)、CPU11は、位置関係条件を満たすと判別する(ステップS207)。また、CPU11は、選択中のNFTコンテンツ50について、許可条件を満たすと判別し、取得可能となるように取得可否設定を「1」に設定する(ステップS208)。
【0046】
一方、ユーザの位置と画像の撮影位置とが異なる区域Aに含まれると判別された場合には(ステップS206で“NO”)、CPU11は、位置関係条件を満たさないと判別する(ステップS209)。また、CPU11は、選択中のNFTコンテンツ50について、許可条件を満たさないと判別し、取得不可能となるように取得可否設定を「0」に設定する(ステップS210)。
【0047】
ステップS208又はS210が終了すると、CPU11は、取得可否設定を設定していない次のNFTコンテンツ50があるか否かを判別する(ステップS211)。次のNFTコンテンツ50があると判別された場合には(ステップS211で“YES”)、CPU11は、処理をステップS205に戻す。次のNFTコンテンツ50がないと判別された場合(ステップS211で“NO”)、又は、ステップS203が終了した場合には、CPU11は、取得可否設定処理を終了させる。
【0048】
図8に戻り、取得可否設定処理(ステップS104)が終了すると、CPU11は、各NFTコンテンツ50の取得可否設定を、ユーザ情報Iuを送信してきた端末装置20に対して送信する(ステップS105)。
【0049】
CPU11は、端末装置20からNFTコンテンツ50の購入要求を受信した場合には(ステップS106で“YES”)、端末装置20のユーザを、購入対象のNFTコンテンツ50の所有者としてブロックチェーン31において登録するよう、NFT管理システム30に要求する(ステップS107)。
ステップS107が終了した場合、又は、ステップS106において購入要求を受信しなかったと判別された場合には(ステップS106で“NO”)、CPU11は、コンテンツ販売処理を終了させる。
【0050】
<コンテンツ購入処理>
次に、端末装置20のCPU21が実行するコンテンツ購入処理について説明する。
図10は、コンテンツ購入処理の制御手順を示すフローチャートである。
コンテンツ購入処理は、アプリ231が実行された場合に開始される。
【0051】
コンテンツ購入処理が開始されると、CPU21は、ユーザ操作等に応じてイベントの開催場所及び開催時間帯を記憶部23に登録する(ステップS301)。イベントの開催場所及び開催時間帯は、操作部25に対するユーザ操作により入力されたデータを登録してもよいし、CPU21が、イベントの電子チケットの購入処理を実行することで、当該イベントの開催場所及び開催時間帯を取得して登録してもよい。電子チケットの購入処理を行う場合には、CPU21は、表示部24にチケット購入画面41を表示させる。
【0052】
図11は、チケット購入画面41を示す図である。
チケット購入画面41は、図示略のホーム画面等において画面下部のチケットタブ413を選択する操作がなされた場合等に表示される。チケット購入画面41では、購入可能なイベントの電子チケットが表示される。各電子チケットの情報は、サーバ10から取得される。ユーザが或るイベントの購入ボタン411を選択する操作を行うと、CPU21は、チケット購入要求をサーバ10に送信する。チケット購入要求を受信したサーバ10は、チケット購入に係る決済処理を行う。CPU21は、決済完了の通知をサーバ10から受信すると、電子チケットを購入したイベントの開催場所及び開催時間帯を記憶部23に記憶させる。決済の完了後に、ユーザがチケット購入画面41において所有チケットボタン412を選択する操作を行うと、CPU21は、表示部24に、
図12に示す購入済チケット画面42を表示させる。購入済チケット画面42では、電子チケットを購入済のイベントについて、開催場所及び開催時間帯等の情報が表示される。
【0053】
図10に戻り、ステップS301が終了すると、CPU21は、現在時刻がイベントの開催時間帯に含まれるか否かを判別し(ステップS302)、現在時刻がイベントの開催時間帯に含まれないと判別された場合には(ステップS302で“NO”)、再度ステップS302を実行する。現在時刻がイベントの開催時間帯に含まれると判別された場合には(ステップS302で“YES”)、CPU21は、位置情報Ip、時刻情報It、及び心拍数の取得を開始する(ステップS303)。詳しくは、CPU21は、位置情報Ip及び時刻情報Itを位置情報取得部26から取得し、脈波センサ27が検出した脈波データに基づいて心拍数を計測し、これらの動作を所定の頻度で繰り返し実行する。
なお、ステップS302では、所定のユーザ操作(例えば、
図12の購入済チケット画面42の来場申告ボタン421を選択する操作)がなされた場合に“YES”に分岐してステップS303を実行することとしてもよい。
【0054】
CPU21は、現在時刻に基づいて、イベントが終了したか否か、すなわち、現在時刻がイベントの開催時間帯よりも後であるか否かを判別する(ステップS304)。イベントが終了していないと判別された場合には(ステップS304で“NO”)、CPU21は、再度ステップS304を実行する。
【0055】
イベントが終了したと判別された場合には(ステップS304で“YES”)、CPU21は、所定のユーザ操作に応じて、コンテンツ購入画面44(
図14参照)を表示部24に表示させる(ステップS305)。ここで、所定のユーザ操作は、例えば、まず画面下部のコンテンツタブ414を選択して所有コンテンツ画面43(
図13参照)を表示させ、次に、所有コンテンツ画面43においてコンテンツ購入ボタン431を選択する操作であってもよい。
図13に示す所有コンテンツ画面43は、ユーザが所有するNFTコンテンツ50を表示するための画面である。
図13では、カード状の画像のNFTコンテンツ50が2枚表示されている。
図13では、説明の便宜上、各NFTコンテンツ50内にコンテンツIDを表記しているが、実際には、NFTコンテンツ50には、コンテンツIDに対応する画像(サッカープレーヤー等の画像)が表示される(以降の
図14~16についても同様)。所有コンテンツ画面43には、NFTが関連付けられていない通常のデジタルコンテンツが併せて表示されてもよい。
【0056】
図14は、コンテンツ購入画面44を示す図である。
コンテンツ購入画面44には、終了したイベントに係る販売中のNFTコンテンツ50が表示される。コンテンツ購入画面44は、ユーザが購入可能なNFTコンテンツ50が表示される購入可能領域441と、ユーザが購入不可能なNFTコンテンツ50が表示される購入不可能領域442とを有する。この段階では、CPU21は、各NFTコンテンツ50の販売可否設定をサーバ10から取得していないので、全てのNFTコンテンツ50(ここでは、
図4に示すコンテンツIDが「C0001」~「C0005」の5つのNFTコンテンツ50とする)が購入不可能領域442に表示されている。表示部24をスワイプ操作することで、画面外にあるNFTコンテンツ50をスクロール表示させることができる。なお、予め全てのユーザが購入可能に設定されているNFTコンテンツ50や、NFTが関連付けられていない通常のデジタルコンテンツが販売されている場合には、これらのコンテンツが購入可能領域441に表示されていてもよい。
【0057】
図10に戻り、CPU21は、ユーザにより、ユーザ情報Iuの送信を指示する情報送信操作がなされたか否かを判別する(ステップS306)。情報送信操作は、例えば、
図14のコンテンツ購入画面44において来場情報送信ボタン443を選択する操作である。情報送信操作がなされていないと判別された場合には(ステップS306で“NO”)、CPU21は、再度ステップS306を実行する。情報送信操作がなされたと判別された場合には(ステップS306で“YES”)、CPU21は、イベントの開催時間帯に取得した位置情報Ip、時刻情報It、及び心拍数を含むユーザ情報Iuをサーバ10に送信する(ステップS307)。なお、CPU21は、ユーザ操作の有無によらず、イベントが終了した場合に自動的にユーザ情報Iuをサーバ10に送信してもよい。ユーザ情報Iuを受信したサーバ10は、上述のコンテンツ販売処理のステップS101~S105を実行して、各NFTコンテンツ50の取得可否設定を端末装置20に送信する。
【0058】
端末装置20のCPU21は、サーバ10から取得可否設定を受信し、取得可能に設定されているNFTコンテンツ50を、コンテンツ購入画面44の購入可能領域441に表示させる(ステップS308)。
【0059】
図15は、取得可否設定を反映した後のコンテンツ購入画面44を示す図である。
ここでは、
図4に示すように、コンテンツIDが「C0001」及び「C0005」のNFTコンテンツ50の取得可否設定が「1(取得可能)」に設定されているものとする。これを反映して、CPU21は、
図15のコンテンツ購入画面44において、コンテンツIDが「C0001」及び「C0005」のNFTコンテンツ50を購入可能領域441に表示させる。また、CPU21は、取得可否設定が「0(取得不可能)」に設定されている残りの「C0002」~「C0004」のNFTコンテンツ50については、購入不可能領域442に表示させたままとする。
【0060】
図10に戻り、CPU21は、ユーザにより、NFTコンテンツ50の購入操作がなされたか否かを判別する(ステップS309)。購入操作は、例えば、購入可能領域441に表示されているNFTコンテンツ50をタップする操作である。購入操作がなされたと判別された場合には(ステップS309で“YES”)、CPU21は、指示されたNFTコンテンツ50の購入要求をサーバ10に送信する(ステップS310)。購入要求を受信したサーバ10は、上述のコンテンツ販売処理のステップS106、S107を実行して、ブロックチェーン31上でNFTコンテンツ50の所有者の登録処理を行わせる。
【0061】
所有者の登録処理が完了すると、CPU21は、購入したNFTコンテンツ50を含む所有コンテンツ画面43を表示部24に表示させる(ステップS311)。
図16は、NFTコンテンツ50を購入した後の所有コンテンツ画面43を示す図である。ここでは、ユーザが、コンテンツIDが「C0001」であるNFTコンテンツ50を購入したものとする。所有コンテンツ画面43では、購入した当該NFTコンテンツ50が追加されて表示される。
【0062】
図10に戻り、CPU21は、ステップS311が終了した場合、又は、ステップS309において購入操作がなされていないと判別された場合には(ステップS309で“NO”)、アプリ231を終了させる操作がなされたか否かを判別する(ステップS312)。CPU21は、当該操作がなされていないと判別された場合には(ステップS312で“NO”)、処理をステップS309に戻し、当該操作がなされたと判別された場合には(ステップS312で“YES”)、コンテンツ購入処理を終了させる。
なお、ステップS304で“YES”に分岐した後の任意のタイミングでアプリ231の終了操作がなされた場合にも、CPU21は、コンテンツ購入処理を終了させる。
【0063】
<変形例>
続いて上記実施形態の変形例について説明する。以下では、上記実施形態との相違点について説明し、上記実施形態と共通する特徴については説明を省略する。
本変形例は、許可条件の判別において、位置関係条件に代えて、画像の撮影時刻が時間帯条件を満たしているか否かが用いられる。すなわち、本変形例の許可条件は、ユーザがイベントに来場したと判別されており、かつ、画像の撮影時刻が時間帯条件を満たしている場合に満たされる。ここで、時間帯条件は、ユーザ情報Iuに基づいて予め定められた方法で特定された判別用の時間帯(或る時間帯)にNFTコンテンツ50の画像が撮影されている(デジタルコンテンツが生成されている)場合に満たされる。また、時間帯条件は、判別用の時間帯を除いた時間帯においてNFTコンテンツ50の画像が撮影されている場合には満たされない。
【0064】
一例を挙げると、判別用の時間帯は、ユーザ情報Iuにおけるバイタルサインの値が基準範囲に入っていた時間帯とすることができる。本変形例では、バイタルサインは心拍数であり、基準範囲は90bpm以上の範囲であるものとする。
図3に示すユーザ情報Iuでは、心拍数が基準範囲に入っている15時45分から16時00分の時間帯が、判別用の時間帯となる。この場合、
図4に示す5つのNFTコンテンツ50のうち、判別用の時間帯に画像が撮影されているのは「C0002」及び「C0003」のNFTコンテンツ50である。よって、この2つのNFTコンテンツ50が時間帯条件を満たすと判別され、許可条件を満たすと判別される。残りの3つのNFTコンテンツ50は、時間帯条件及び許可条件が満たされないと判別される。
【0065】
図17は、変形例に係る取得可否設定処理の制御手順を示すフローチャートである。
図17のフローチャートは、
図9のフローチャートのステップS204の後にステップS212を追加し、ステップS206、S207、S209を、それぞれステップS206a、S207a、S209aに変更したものである。
本変形例では、ステップS204でユーザがイベントに来場したと判別された場合に、CPU11は、ユーザ情報Iuに基づいて、心拍数が基準範囲に入っていた判別用の時間帯を特定する(ステップS212)。その後、CPU11は、1つのNFTコンテンツ50を選択し(ステップS205)、当該NFTコンテンツ50の画像の撮影時刻が、判別用の時間帯に含まれるか否かを判別する(ステップS206a)。画像の撮影時刻が判別用の時間帯に含まれると判別された場合には(ステップS206aで“YES”)、CPU11は、時間帯条件を満たすと判別し(ステップS207a)、許可条件を満たすと判別する(ステップS208)。また、画像の撮影時刻が判別用の時間帯に含まれないと判別された場合には(ステップS206aで“NO”)、CPU11は、時間帯条件を満たさないと判別し(ステップS209a)、許可条件を満たさないと判別する(ステップS210)。
【0066】
なお、判別用の時間帯は、上記で例示したものに限られない。
例えば、バイタルサインとして、「心拍数」に代えて、「呼吸数」、「体温」、「血圧」等を用いてもよい。
また、ユーザ情報Iuに含まれる複数の位置履歴情報Ihに基づいて、イベントの開催時間帯のうち、ユーザがイベントの会場にいた時間帯を、判別用の時間帯としてもよい。
また、図示しないモーションセンサを端末装置20に設け、モーションセンサにより検出されたユーザの動きが所定の動作条件を満たしている時間帯を、判別用の時間帯としてもよい。
【0067】
また、時間帯条件と位置関係条件を併用してもよい。すなわち、許可条件は、ユーザがイベントに来場したと判別されており、ユーザの位置及び画像の撮影位置が位置関係条件を満たし、かつ、画像の撮影時刻が時間帯条件を満たす場合に満たされることとしてもよい。
【0068】
<効果>
以上のように、本実施形態に係るサーバ10は、CPU11を備え、CPU11は、ユーザが或るイベントに来場したか否かを判別するためのユーザ情報Iuを取得し、ユーザ情報Iuに基づいて、ユーザがイベントに来場したことを少なくとも含む許可条件が満たされているか否かを判別し、許可条件が満たされていると判別された場合には、NFTコンテンツ50をユーザが取得可能となるようにNFTコンテンツ50の取得可否に係る設定を行う。これにより、イベントに来場したユーザのみがNFTコンテンツ50を取得できるようにすることができる。よって、単に販売数量を調整する方法と比較して、より柔軟な態様でNFTコンテンツ50の希少価値を調整する(ここでは、増大させる)ことができる。この結果、ユーザの所有欲を満たしやすくすることができる。また、真に希望するユーザがNFTコンテンツ50を購入しやすくなるので、より納得性の高い方法でNFTコンテンツ50を販売することができる。
【0069】
また、CPU11は、許可条件が満たされていないと判別された場合には、NFTコンテンツ50をユーザが取得不可能となるように設定を行う。これにより、イベントに来場していないユーザがNFTコンテンツ50を取得できないようにすることができる。
【0070】
また、ユーザ情報Iuは、ユーザの位置に係る位置情報Ipと、ユーザが当該位置にいた時刻を表す時刻情報Itと、からなる位置履歴情報Ihを含み、CPU11は、位置情報Ipから特定されるユーザの位置がイベントの会場70に含まれ、かつ、時刻情報Itが表す時刻がイベントの開催時間帯に含まれる、との滞在条件を満たす位置履歴情報Ihがユーザ情報Iuに含まれている場合には、ユーザがイベントに来場したと判別し、滞在条件を満たす位置履歴情報Ihがユーザ情報Iuに含まれていない場合には、ユーザがイベントに来場していないと判別する。これにより、ユーザが来場したか否かを正確に判別することができる。
【0071】
また、ユーザ情報Iuは、ユーザの位置に係る位置情報Ipを含み、NFTコンテンツ50には、画像の撮影位置が予め対応付けられており、CPU11は、ユーザがイベントに来場したと判別された場合において、位置情報Ipにより特定されるユーザの位置、及び画像の撮影位置が位置関係条件を満たす場合に、許可条件が満たされていると判別し、ユーザの位置及び画像の撮影位置が位置関係条件を満たさない場合には、許可条件が満たされていないと判別する。これにより、位置関係条件を満たすNFTコンテンツ50のみを販売対象とすることができるので、NFTコンテンツ50の希少価値をさらに調整する(増大させる)ことができる。また、ユーザと関連性の高い画像のNFTコンテンツ50を販売対象とすることができる。
【0072】
また、CPU11は、ユーザの位置及び画像の撮影位置が、イベントの会場70を区分した複数の区域Aのうち同一の区域Aに含まれている場合に、位置関係条件を満たすと判別する。これにより、位置関係条件を満たすか否かを簡易な方法で判別することができる。また、ユーザは、ユーザの座席からの視点に近い画角の画像をNFTコンテンツ50として購入することができるようになり、当該NFTコンテンツ50に唯一性や思い入れを持たせることができるようになる。
【0073】
また、CPU11は、ユーザの位置と、画像の撮影位置との距離が基準距離以下である場合に、位置関係条件を満たすと判別してもよい。これにより、ユーザの位置と、画像の撮影位置とのより正確な位置関係に基づいて位置関係条件を満たすか否かを判別することができる。
【0074】
また、NFTコンテンツ50は、イベントにおいて、対応位置で撮影された画像を含む。これにより、ユーザは、自身の近くで撮影された画像のNFTコンテンツ50を購入することができる。
【0075】
また、変形例において、CPU11は、ユーザ情報Iuに基づいて、予め定められた方法で、イベントの開催時間帯に含まれる判別用の時間帯を特定し、ユーザがイベントに来場したと判別された場合において、NFTコンテンツ50が、判別用の時間帯において生成されている(時間帯条件を満たす)場合には、許可条件が満たされていると判別し、NFTコンテンツ50が判別用の時間帯を除いた時間帯において生成されている(時間帯条件を満たさない)場合には、許可条件が満たされていないと判別する。これにより、時間帯条件を満たすNFTコンテンツ50のみを販売対象とすることができるので、NFTコンテンツ50の希少価値をさらに調整する(増大させる)ことができる。また、ユーザと関連性の高い画像のNFTコンテンツ50を販売対象とすることができる。
【0076】
また、ユーザ情報Iuは、イベントの開催時間帯におけるユーザの心拍数の情報を含み、CPU11は、心拍数の値が基準範囲に入っていた時間帯を、判別用の時間帯として特定する。これにより、イベントの開催時間帯のうち、ユーザの関心が特に高かった時間帯に撮影された画像のNFTコンテンツ50を販売対象とすることができる。よって、ユーザが所望する画像のNFTコンテンツ50を選びやすくすることができる。
【0077】
また、CPU11は、ユーザ情報Iuに含まれる複数の位置履歴情報Ihに基づいて、イベントの開催時間帯のうち、ユーザがイベントの会場70にいた時間帯を、判別用の時間帯として特定してもよい。これにより、ユーザが会場で見ることのできた場面の画像のNFTコンテンツ50を販売対象とすることができる。よって、ユーザが所望する画像のNFTコンテンツ50を選びやすくすることができる。
【0078】
また、CPU11は、複数のNFTコンテンツ50の各々について、許可条件が満たされているか否かの判別、及び、当該判別の結果に応じた設定を行う。これにより、位置関係条件又は時間帯条件を満たすか否かに応じて、NFTコンテンツ50ごとに別個に取得可否設定を行うことができる。
【0079】
また、本実施形態に係る情報処理方法において、CPU11は、ユーザが或るイベントに来場したか否かを判別するためのユーザ情報Iuを取得し、ユーザ情報Iuに基づいて、ユーザがイベントに来場したことを少なくとも含む許可条件が満たされているか否かを判別し、許可条件が満たされていると判別された場合には、NFTコンテンツ50をユーザが取得可能となるようにNFTコンテンツ50の取得可否に係る設定を行う。これにより、より柔軟な態様でNFTコンテンツ50の希少価値を調整することができる。
【0080】
また、本実施形態に係るプログラム131は、CPU11に、ユーザが或るイベントに来場したか否かを判別するためのユーザ情報Iuを取得する処理、ユーザ情報Iuに基づいて、ユーザがイベントに来場したことを少なくとも含む許可条件が満たされているか否かを判別する処理、許可条件が満たされていると判別された場合に、NFTコンテンツ50をユーザが取得可能となるようにNFTコンテンツ50の取得可否に係る設定を行う処理を実行させる。これにより、より柔軟な態様でNFTコンテンツ50の希少価値を調整することができる。
【0081】
<その他>
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態においてサーバ10のCPU11が実行していた機能の少なくとも一部を端末装置20のCPU21が実行してもよい。NFTコンテンツ50の取得可否設定を端末装置20のCPU21が行う場合には、端末装置20が「情報処理装置」に相当し、CPU21が「処理部」に相当する。
【0082】
また、許可条件は、単に、ユーザがイベントに来場したと判別された場合に満たされることとしてもよい。すなわち、ユーザがイベントに来場したことのみを、NFTコンテンツ50の取得をユーザに許可する条件としてもよい。
【0083】
また、位置関係条件の判別に用いる対応位置は、画像の撮影位置に限られず、音声の録音位置等、NFTコンテンツ50に係るデジタルコンテンツに関連する位置であればどのような位置に定めてもよい。
【0084】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部13のHDD、SSDを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ、CD-ROM等の情報記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0085】
また、上記実施形態におけるコンテンツ販売システム1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0086】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0087】
1 コンテンツ販売システム(情報処理システム)
10 サーバ(情報処理装置)
11 CPU(処理部)
13 記憶部
14 通信部
20 端末装置
30 NFT管理システム
31 ブロックチェーン
50 NFTコンテンツ(デジタルコンテンツ)
60 カメラ
70 会場
A、A1~A8 区域
Ih 位置履歴情報
Ip 位置情報
It 時刻情報
Iu ユーザ情報