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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126275
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ダンパ装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/134 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
F16F15/134 D
F16F15/134 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034554
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】児泉 直也
(57)【要約】
【課題】強度の低下を抑制する。
【解決手段】第1プレートは、プレート本体、延在部、及び切欠き部を有する。延在部は、プレート本体の外周端部から軸方向に延びる。切欠き部は、延在部と周方向において隣り合う位置に配置されている。第2プレートは、第1プレートと一体的に回転するように構成される。第2プレートは、係合孔を有する。係合孔は、切欠き部と軸方向視において重複するように配置されている。第3プレートは、第1プレート及び第2プレートと相対回転可能に配置される。第3プレートは、軸方向において第1プレートと第2プレートとの間に配置される。第3プレートは、係合部を有する。係合部は、軸方向視において切欠き部及び係合孔と重複するように配置される。弾性部材は、第1プレート及び第2プレートと第3プレートとを弾性的に連結する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート本体、前記プレート本体の外周端部から軸方向に延びる延在部、前記延在部と周方向において隣り合う位置に配置されており位置決めピンと係合するように構成される切欠き部、を有する第1プレートと、
前記切欠き部と軸方向視において重複するように配置されており前記位置決めピンが挿入されるように構成される係合孔を有し、前記第1プレートと一体的に回転するように構成される第2プレートと、
軸方向視において前記切欠き部及び前記係合孔と重複するように配置されており前記位置決めピンと係合するように構成される係合部を有し、軸方向において前記第1プレートと前記第2プレートとの間に配置され、前記第1プレート及び前記第2プレートと相対回転可能に配置される第3プレートと、
前記第1プレート及び前記第2プレートと前記第3プレートとを弾性的に連結する弾性部材と、
を備える、ダンパ装置。
【請求項2】
前記係合部は、前記第3プレートの外周端部に切欠きとして構成される、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項3】
前記第3プレートは、一対の角部を含む突出部を有し、
前記係合部は、前記一対の角部のうち少なくとも一方の角部に形成される、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項4】
前記第3プレートは、一対の角部を含む突出部を有し、
前記係合部は、前記一対の角部のうち一方の角部のみに形成される、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項5】
前記第1プレートは、前記弾性部材を収容する第1窓部を有し、
前記切欠き部は、前記第1窓部に対して径方向外側に配置される、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項6】
前記第1プレートに取り付けられる第4プレートと、
前記第4プレートを前記第1プレートに締結する締結部材と、
をさらに備え、
前記第1プレートは、周方向に互いに間隔をあけて配置される複数の第1窓部と、隣り合う前記第1窓部の間に配置され前記締結部材が貫通する締結孔と、を有し、
前記切欠き部は、径方向視において、前記締結孔と重複しないように配置される、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項7】
前記切欠き部は、前記締結孔に対して径方向外側に配置される、
請求項6に記載のダンパ装置。
【請求項8】
前記第2プレートは、軸方向視において前記締結孔と重複するように配置され且つ前記締結孔よりも径の大きい開口部を有し、
前記係合孔は、径方向視において、前記開口部と重複しないように配置される、
請求項6に記載のダンパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダンパ装置は、第1プレート、第2プレート、ハブフランジ、及びトーションスプリングを有する(例えば、特許文献1参照)。トーションスプリングは、第1及び第2プレートとハブフランジとを弾性的に連結している。各プレートは、トーションスプリングを収容するための複数の窓部を有している。ダンパ装置を組み立てる際は、これらの3つのプレートのそれぞれに形成された位置決めピン用の貫通孔に位置決めピンを挿入し、3つのプレートの位置決めを行う。この位置決めピン用の貫通孔は、周方向において隣り合う窓部に挟まれた領域に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-196013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各プレートの隣り合う窓部に挟まれた領域はトルク伝達の際に応力が集中しやすい箇所となるため、この領域に位置決めピン用の貫通孔を形成すると強度が低下する恐れがある。そこで、本発明の課題は、強度の低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係るダンパ装置は、第1プレート、第2プレート、第3プレート、及び弾性部材を備える。第1プレートは、プレート本体、延在部、及び切欠き部を有する。延在部は、プレート本体の外周端部から軸方向に延びる。切欠き部は、延在部と周方向において隣り合う位置に配置されている。切欠き部は、位置決めピンと係合するように構成される。第2プレートは、第1プレートと一体的に回転するように構成される。第2プレートは、係合孔を有する。係合孔は、切欠き部と軸方向視において重複するように配置されている。係合孔は、位置決めピンが挿入されるように構成される。第3プレートは、第1プレート及び第2プレートと相対回転可能に配置される。第3プレートは、軸方向において第1プレートと第2プレートとの間に配置される。第3プレートは、係合部を有する。係合部は、軸方向視において切欠き部及び係合孔と重複するように配置される。係合部は、位置決めピンと係合するように構成される。弾性部材は、第1プレート及び第2プレートと第3プレートとを弾性的に連結する。
【0006】
この構成によれば、位置決めピンと係合するように構成された切欠き部は、プレート本体の外周端部に形成されている。そして、係合孔及び係合部は、切欠き部と重複するように位置している。このように、位置決めピン用の切欠き部、係合孔、及び係合部は、隣り合う窓部に挟まれた領域に形成されるものではないため、強度の低下を抑制することができる。
【0007】
第2態様に係るダンパ装置は、第1態様に係るダンパ装置において、次のように構成される。係合部は、第3プレートの外周端部に切欠きとして構成される。
【0008】
第3態様に係るダンパ装置は、第1又は第2態様に係るダンパ装置において、次のように構成される。第3プレートは、一対の角部を含む突出部を有する。係合部は、一対の角部のうち少なくとも一方の角部に形成される。
【0009】
第4態様に係るダンパ装置は、第1から第3態様のいずれかに係るダンパ装置において、次のように構成される。第3プレートは、一対の角部を含む突出部を有する。係合部は、一対の角部のうち一方の角部のみに形成される。
【0010】
第5態様に係るダンパ装置は、第1から第4態様のいずれかに係るダンパ装置において、次のように構成される。第1プレートは、弾性部材を収容する第1窓部を有する。切欠き部は、第1窓部に対して径方向外側に配置される。
【0011】
第6態様に係るダンパ装置は、第1から第5態様のいずれかに係るダンパ装置において、第4プレート及び締結部材をさらに備える。第4プレートは、第1プレートに取り付けられる。締結部材は、第4プレートを第1プレートに締結する。第1プレートは、複数の第1窓部と、締結孔とを有する。複数の第1窓部は、周方向に互いに間隔をあけて配置される。締結孔は、隣り合う第1窓部の間に配置される。締結部材は締結孔を貫通する。切欠き部は、径方向視において、締結孔と重複しないように配置される。
【0012】
第7態様に係るダンパ装置は、第6態様に係るダンパ装置において、次のように構成される。切欠き部は、締結孔に対して径方向外側に配置される。
【0013】
第8態様に係るダンパ装置は、第6又は第7態様に係るダンパ装置において、次のように構成される。第2プレートは、開口部を有する。開口部は、軸方向視において締結孔と重複するように配置される。開口部は、締結孔よりも径が大きい。係合孔は、径方向視において、開口部と重複しないように配置される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、強度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ダンパ装置の正面図。
図2図1のII-II線断面図。
図3】ダンパユニットの正面図。
図4】第1プレートの正面図。
図5】第2プレートの正面図。
図6】第3プレートの正面図。
図7】第1プレートと第3プレートとを重ね合わせた正面図。
図8】変形例に係る第3プレートの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態に係るダンパ装置100について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、ダンパ装置100の回転軸Oが延びる方向である。また、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。また、軸方向第1側とは図2の左側を意味し、軸方向第2側とは図2の右側を意味する。
【0017】
図1はダンパ装置の正面図、図2図1のII-II線断面図である。図1及び図2に示すように、ダンパ装置100は、トルクリミッタユニット3、及びダンパユニット4を有している。トルクリミッタユニット3及びダンパユニット4は、基本的に、互いに一体的に回転する。ダンパ装置100は、内燃機関(図示省略)と変速機などの出力側部材の入力シャフト(図示省略)との間に設けられている。ダンパ装置100は、フライホイール(図示省略)に取り付けられる。例えば、図2において、内燃機関は、ダンパ装置100の左側に配置され、出力側部材はダンパ装置100の右側に配置される。ダンパ装置100は、内燃機関と出力側部材との間で伝達されるトルクを制限するとともに、トルク変動を減衰するように構成されている。
【0018】
[トルクリミッタユニット]
トルクリミッタユニット3は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。トルクリミッタユニット3は、フライホイールに対して、軸方向第2側に配置されている。トルクリミッタユニット3は、環状である。トルクリミッタユニット3は、フライホイールに取り付けられている。
【0019】
トルクリミッタユニット3は、フライホイールとダンパユニット4との間で伝達されるトルクを制限するように構成されている。すなわち、トルクリミッタユニット3は、ダンパ装置100における所定値以上のトルクの伝達を規制するように構成されている。
【0020】
トルクリミッタユニット3は、サイドプレート31、カバープレート32、プレッシャプレート33、第4プレート34、第1摩擦材35a、第2摩擦材35b、及び皿バネ36を有している。
【0021】
サイドプレート31及びカバープレート32は、フライホイールに取り付けられている。サイドプレート31及びカバープレート32は、フライホイールと一体的に回転する。サイドプレート31及びカバープレート32は、環状である。カバープレート32は、サイドプレート31に対して、軸方向第2側に配置されている。カバープレート32の板厚は、サイドプレート31の板厚よりも薄い。
【0022】
プレッシャプレート33は、環状である。プレッシャプレート33は、軸方向において、サイドプレート31とカバープレート32との間に配置されている。詳細には、プレッシャプレート33は、軸方向において、第2摩擦材35bと皿バネ36との間に配置されている。プレッシャプレート33は、サイドプレート31と一体的に回転するように構成されている。なお、プレッシャプレート33は、サイドプレート31に対して軸方向に移動可能である。
【0023】
皿バネ36は、軸方向において、カバープレート32とプレッシャプレート33との間に配置されている。皿バネ36は、プレッシャプレート33を軸方向第1側に向かって付勢している。すなわち、皿バネ36は、プレッシャプレート33を第4プレート34に向かって付勢している。これにより、プレッシャプレート33とサイドプレート31とによって、第4プレート34、並びに第1及び第2摩擦材35a、35bが挟み込まれる。
【0024】
第4プレート34は、サイドプレート31と摩擦係合するように構成されている。詳細には、第4プレート34は、第1摩擦材35aを介して、サイドプレート31と摩擦係合するように構成されている。また、第4プレート34は、プレッシャプレート33とも摩擦係合するように構成されている。詳細には、第4プレート34は、第2摩擦材35bを介して、プレッシャプレート33と摩擦係合するように構成されている。
【0025】
ダンパ装置100に所定値以上のトルクが入力されると、第4プレート34は、摩擦材35a、35bを介して、サイドプレート31及びプレッシャプレート33と摺動し、サイドプレート31及びプレッシャプレート33と相対回転する。一方、所定値未満のトルクが入力されると、第4プレート34は、サイドプレート31及びプレッシャプレート33と一体的に回転する。
【0026】
第4プレート34は、環状である。第4プレート34は、軸方向において、サイドプレート31とカバープレート32との間に配置されている。第4プレート34は、後述する第1プレート41に取り付けられている。第4プレート34は、第1プレート41と一体的に回転する。
【0027】
第1及び第2摩擦材35a、35bは、環状である。第1摩擦材35aは、軸方向において、第4プレート34とサイドプレート31との間に配置されている。第2摩擦材35bは、軸方向において、第4プレート34とプレッシャプレート33との間に配置されている。
【0028】
第1及び第2摩擦材35a、35bは、第4プレート34に固定されている。第1摩擦材35aは、サイドプレート31と摩擦係合する。また、第2摩擦材35bは、プレッシャプレート33と摩擦係合する。ダンパ装置100に所定値以上のトルクが入力されると、第1摩擦材35aは、サイドプレート31と摺動し、第2摩擦材35bは、プレッシャプレート33と摺動する。この結果、サイドプレート31と第4プレート34とは相対回転する。なお、第1摩擦材35aは、サイドプレート31に固定されており、第4プレート34と摩擦係合していてもよい。また、第2摩擦材35bは、プレッシャプレート33に固定されており、第4プレート34と摩擦係合していてもよい。
【0029】
[ダンパユニット]
ダンパユニット4は、トルクリミッタユニット3に取り付けられている。ダンパユニット4は、回転変動を減衰するように構成されている。図3は、ダンパユニット4の正面図である。図2及び図3に示すように、ダンパユニット4は、第1プレート41、第2プレート42、第3プレート43、及び複数の弾性部材44を有している。
【0030】
<第1及び第2プレート>
第1プレート41と第2プレート42とは、互いに一体的に回転する。また、第1プレート41と第2プレート42とは、軸方向に相対的に移動不能である。第1プレート41及び第2プレート42は、第4プレート34と一体的に回転するように構成されている。
【0031】
第4プレート34は、第1締結部材37によって、第1プレート41に取り付けられている。第1締結部材37は、第4プレート34を第1プレート41に締結している。第1締結部材37としては、リベットを例示することができる。なお、第4プレート34は、第1プレート41と別部材であるが、第4プレート34は、第1プレート41と一つの部材として一体的に構成されていてもよい。第1プレート41及び第2プレート42は、ともに中心孔を有する環状の部材である。
【0032】
第1プレート41と第2プレート42とは、軸方向において互いに間隔をあけて配置されている。第2プレート42は、第1プレート41に対して軸方向第2側に配置されている。
【0033】
図4は、第1プレート41の正面図である。図2及び図4に示すように、第1プレート41は、第1プレート本体411、複数の第1窓部412、複数の延在部413、複数の第1取付部414、複数の切欠き部415、複数の締結孔416を有している。なお、本実施形態では、第1プレート41は、4つの第1窓部412、4つの延在部413、4つの第1取付部414、8つの切欠き部415、4つの締結孔416を有しているが、これらの数はこれに限定されない。
【0034】
第1プレート本体411は、円板状であり、中央に開口部を有している。各第1窓部412は、第1プレート本体411に形成されている。各第1窓部412は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各第1窓部412は、弾性部材44を収容するように構成されている。締結孔416は、周方向において隣り合う第1窓部412の間に形成されている。第1締結部材37が第4プレート34を第1プレート41に締結するとき、第1締結部材37は締結孔416内を貫通する。
【0035】
各延在部413は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各延在部413は、第1プレート本体411の外周端部から軸方向に延びている。詳細には、各延在部413は、第1プレート本体411の外周端部から軸方向第2側へ、すなわち、第2プレート42に向かって延びている。各第1取付部414は、各延在部413の先端部から径方向外側に延びている。
【0036】
各切欠き部415は、第1プレート本体411の外周端部に配置されている。各切欠き部415は、周方向において延在部413と隣り合う位置に形成されている。本実施形態では、各延在部413の両隣に切欠き部415が形成されている。切欠き部415は、延在部413と隣り合う位置において、第1プレート本体411を切り欠くことによって形成される。切欠き部415は、径方向内側に凹むように構成されている。すなわち、切欠き部415は、径方向外側に向かって開口している。
【0037】
切欠き部415は、径方向視において、締結孔416と重複しないように配置されている。また、切欠き部415は、締結孔416に対して径方向外側に配置されている。切欠き部415は、第1窓部412に対して径方向外側に配置されている。切欠き部415は、周方向において隣り合う一対の第1窓部412に挟まれた領域に対して径方向外側に配置されている。詳細には、切欠き部415は、周方向において隣り合う一対の第1窓部412の径方向外側の角部同士を繋げた線(図4の二点鎖線)に対して径方向外側に配置される。このように、切欠き部415は、周方向において隣り合う一対の第1窓部412に挟まれた領域には形成されていない。
【0038】
切欠き部415は、軸方向視において、円弧状に形成されている。切欠き部415は、ダンパ装置100を組み立てる際に使用される位置決めピンと係合するように構成されている。なお、位置決めピンは、第1プレート41、第2プレート42、及び第3プレート43を互いに位置決めするためのピンである。ダンパ装置100を組み立てる際、位置決めピンは、切欠き部415内を軸方向に貫通する。位置決めピンは、切欠き部415を画定する面と当接する。これにより、第1プレート41は、位置決めされる。
【0039】
図5は、第2プレート42の正面図である。図2及び図5に示すように、第2プレート42は、第2プレート本体421、複数の第2窓部422、複数の第2取付部423、複数の係合孔424、及び複数の開口部425を有している。なお、本実施形態では、第2プレート42は、4つの第2窓部422、4つの第2取付部423、及び8つの係合孔424を有しているが、これらの数はこれに限定されない。
【0040】
第2プレート本体421は、円板状であり、中央に開口部を有している。各第2窓部422は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各第2窓部422は、軸方向視において、各第1窓部412と重複する位置に配置されている。各第2窓部422は、弾性部材44を収容するように構成されている。
【0041】
開口部425は、周方向において隣り合う第2窓部422の間に形成されている。開口部425は、軸方向視において、締結孔416と重複するように配置されている。開口部425は、締結孔416よりも径が大きい。第1締結部材37によって第4プレート34を第1プレート41にカシメ加工するとき、開口部425を介して、第1締結部材37をかしめるための工具を使用する。
【0042】
各第2取付部423は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各第2取付部423は、第2プレート本体421から径方向外側に突出している。第2取付部423は、第2締結部材46によって、第1取付部414に固定されている。すなわち、第1プレート41と第2プレート42とは、第2締結部材46によって締結されることで、互いに一体的に回転する(図3参照)。
【0043】
各係合孔424は、位置決めピンが挿入されるように構成されている。図3に示すように、各係合孔424は、軸方向視において、各切欠き部415と重複するように配置されている。詳細には、各係合孔424の輪郭の一部と、各切欠き部415の輪郭の一部とが軸方向視において重複している。この重複している部分に位置決めピンが当接することによって、第1プレート41と第2プレート42とが互いに位置決めされる。
【0044】
図5に示すように、係合孔424は、第2プレート本体421の外周端部に配置されている。係合孔424は、径方向視において、開口部425と重複しないように配置されている。また、係合孔424は、開口部425に対して径方向外側に配置されている。係合孔424は、第2窓部422に対して径方向外側に配置されている。係合孔424は、周方向において隣り合う一対の第2窓部422に挟まれた領域に対して径方向外側に配置されている。詳細には、係合孔424は、周方向において隣り合う一対の第2窓部422の径方向外側の角部同士を繋げた線(図5の二点鎖線)に対して径方向外側に配置される。このように、係合孔424は、周方向において隣り合う一対の第2窓部422に挟まれた領域には形成されていない。
【0045】
<第3プレート>
図2に示すように、第3プレート43は、第1及び第2プレート41,42からのトルクを出力側部材に伝達するように構成されている。第3プレート43は、軸方向において、第1プレート41と第2プレート42との間に配置されている。第3プレート43は、第1プレート41及び第2プレート42と相対回転可能に配置されている。
【0046】
第3プレート43は、ハブ43a、及びフランジプレート43bを有している。ハブ43aとフランジプレート43bとは、別部材として構成されているが、一つの部材として一体的に形成されていてもよい。
【0047】
ハブ43aは筒状であり、第1プレート41及び第2プレート42の中心孔内に配置されている。ハブ43aの内周部には、軸方向に延びるスプライン孔が形成されている。このスプライン孔に出力側部材の入力シャフトがスプライン係合可能である。
【0048】
フランジプレート43bは、ハブ43aの外周面から径方向に延びている。フランジプレート43bは、環状に形成されている。フランジプレート43bは、第1プレート41及び第2プレート42と相対回転可能に配置されている。フランジプレート43bは、軸方向において、第1プレート41と第2プレート42との間に配置されている。
【0049】
図6は、ハブ43aを取り外した状態の第3プレート43の正面図である。図6に示すように、第3プレート43は、第3プレート本体431、複数の収容孔432、複数の突出部433、複数の係合部434、複数のストッパ部435を有している。なお、本実施形態では、第3プレート43は、4つの収容孔432、4つの突出部433、8つの係合部434、4つのストッパ部435を有しているが、これらの数はこれに限定されない。
【0050】
第3プレート本体431は、円板状である。各収容孔432は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各収容孔432は、弾性部材44を収容するように構成されている。各収容孔432は、軸方向視において、各第1窓部412及び各第2窓部422と重複する位置に配置されている。
【0051】
各突出部433は、第3プレート本体431から径方向外側に突出している。各突出部433は、一対の角部を有するように構成されている。具体的には、各突出部433は、軸方向視において、略矩形状である。
【0052】
各係合部434は、各突出部433の一対の角部の両方に形成されている。各係合部434は、第3プレート43の外周端部に切欠きとして構成されている。各係合部434は、位置決めピンと係合するように構成されている。
【0053】
図7に示すように、各係合部434は、軸方向視において、切欠き部415と重複するように配置されている。詳細には、各係合部434の輪郭は、各切欠き部415の輪郭に沿うように延びている。なお、各係合部434は、各切欠き部415よりもわずかに大きい。各係合部434を画定する面に位置決めピンが当接することによって、第1プレート41と第3プレート43とが互いに位置決めされる。
【0054】
各係合部434は、軸方向視において、係合孔424と重複するように配置されている。各係合部434の輪郭は、各係合孔424の輪郭に沿うように延びている。各係合部434は、各係合孔424よりもわずかに大きい。各係合部434を画定する面に位置決めピンが当接することによって、第2プレート42と第3プレート43とが互いに位置決めされる。
【0055】
図6に示すように、係合部434は、収容孔432に対して径方向外側に配置されている。係合部434は、周方向において隣り合う一対の収容孔432に挟まれた領域に対して径方向外側に配置されている。詳細には、係合部434は、周方向において隣り合う一対の収容孔432の径方向外側の角部同士を繋げた線(図6の二点鎖線)に対して径方向外側に配置される。このように、係合部434は、周方向において隣り合う一対の収容孔432に挟まれた領域には形成されていない。
【0056】
各ストッパ部435は、各突出部433の外周面から径方向外側に突出している。各ストッパ部435は、周方向において、各延在部413と対向している。各ストッパ部435と各延在部413とによって、第1及び第2プレート41,42と第3プレート43との相対回転角度を規制する。すなわち、第1プレート41及び第2プレート42が第3プレート43に対して所定角度回転すると、各ストッパ部435が各延在部413と当接する。
【0057】
<弾性部材>
図2及び図3に示すように、弾性部材44は、第1及び第2プレート41,42と第3プレート43とを回転方向に弾性的に連結するように構成されている。弾性部材44は、例えば、コイルスプリングである。
【0058】
弾性部材44は、第3プレート43の収容孔432に収容されている。また、弾性部材44は、第1プレート41の第1窓部412に収容されるとともに、第2プレート42の第2窓部422にも収容されている。
【0059】
[変形例]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。また、下記の各変形例は同時に適用可能である。
【0060】
(a)上記実施形態では、係合部434は、突出部433の両方の角部に形成されていたが、第3プレート43の構成はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、係合部434は、突出部433の一対の角部のうち一方の角部のみに形成されていてもよい。このように構成することで、第3プレート43がその表裏を逆にして組まれることを防止できる。
【0061】
(b)上記実施形態では、係合部434は、切欠きとして形成されていたがこれに限定されない。例えば、係合部434は、貫通孔として形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
41 :第1プレート
412 :第1窓部
413 :延在部
415 :切欠き部
416 :締結孔
42 :第2プレート
424 :係合孔
425 :開口部
43 :第3プレート
433 :突出部
434 :係合部
34 :第4プレート
44 :弾性部材
100 :ダンパ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8