(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126281
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】伝送線路-導波管変換器
(51)【国際特許分類】
H01P 5/107 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H01P5/107 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034563
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】301072650
【氏名又は名称】NECスペーステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】笹村 謙
(57)【要約】
【課題】低背な構成で取付が容易な伝送線路-導波管変換器を提供する。
【解決手段】実施形態に係る伝送線路-導波管変換器は、信号導体13を有するプリント配線板10と、プリント配線板10に実装され、信号導体13に接続される、アンテナ部222を含む変換パターン22を有するセラミックパッケージ20と、セラミックパッケージ20を囲むようにプリント配線板10上に設けられ、アンテナ部222と電磁的に結合された導波路を有する導波管30と、セラミックパッケージ20のプリント配線板10側に設けられ、導波管30を終端するバックショートとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送線路を有するプリント配線板と、
前記プリント配線板に実装され、前記伝送線路に接続される、アンテナ部を含むパターンを有するパターン部品と、
前記パターン部品を囲むように前記プリント配線板上に設けられ、前記パターンと電磁的に結合された導波路を有する導波管と、
前記パターン部品の前記プリント配線板側に設けられ、前記導波路を終端するバックショートと、
を備える、
伝送線路-導波管変換器。
【請求項2】
前記パターン部品は、セラミックパッケージである、
請求項1に記載の伝送線路-導波管変換器。
【請求項3】
前記プリント配線板上には、前記バックショートに接続される接地パターンが形成され、
前記セラミックパッケージは、前記接地パターン上に実装される、
請求項2に記載の伝送線路-導波管変換器。
【請求項4】
前記バックショートは、前記パターン部品上に形成される、
請求項1に記載の伝送線路-導波管変換器。
【請求項5】
前記セラミックパッケージは、前記導波管の延びる方向に向かって、前記プリント配線板側から離れるほどサイズが小さくなる、
請求項2に記載の伝送線路-導波管変換器。
【請求項6】
前記バックショートは、前記プリント配線板の前記パターン部品が実装される面とは反対側の面に設けられている、
請求項1に記載の伝送線路-導波管変換器。
【請求項7】
前記プリント配線板は多層基板であり、前記バックショートは前記プリント配線板中に設けられている、
請求項1に記載の伝送線路-導波管変換器。
【請求項8】
前記導波管は、当該導波管の内壁から、前記導波管の延びる方向に対して直交する方向に向かって突出する縮径部を備える、
請求項1に記載の伝送線路-導波管変換器。
【請求項9】
前記パターン部品は、集積回路部品を含むパッケージであり、
前記アンテナ部は、前記集積回路部品上に形成される、
請求項1に記載の伝送線路-導波管変換器。
【請求項10】
前記パッケージは、前記集積回路部品を覆うパッケージキャップをさらに備え、
前記パッケージキャップの、少なくとも前記アンテナ部に対応する部分は非金属である、
請求項9に記載の伝送線路-導波管変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送線路-導波管変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上の伝送線路を伝搬する信号から導波管を伝搬する信号への変換を行う伝送線路-導波管変換器が知られている。このような変換器は、マイクロ波又はミリ波の高周波信号を伝送するアンテナ装置に広く用いられている。この変換器として、例えば、導波管と、バックショートと呼ばれる金属カバーとの間に、マイクロストリップ線路やコプレーナ導波路等の伝送線路が形成された基板を挟み込んだ構造が知られている。
【0003】
バックショートは、基板上の変換パターンから信号を伝播したい方向とは逆の方向に導波管を閉じるように形成される。このバックショートの長さは、λg/4(λg:管内波長)程度に設定される。バックショート長は電波の波長で決まるため、周波数が低いほど長くなり、基板外にバックショートを設けるための大きな空間が必要となっていた。
【0004】
そこで、特許文献1は、低背な構成でバックショート機能を実現する高周波回路-導波管変換器を提案している。特許文献1に記載の変換器は、誘電体層内に設けられた、ストリップ導体及びアンテナを有する配線を備えている。誘電体層の一方側には第1導体層が形成され、他方側には電磁結合用の開口を有する第2導体層が形成されている。アンテナの周囲には、誘電体層を貫通して第1導体層と第2導体層を導通する導体壁が設けられており、第2導体層の下方には導波管が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、誘電体層を形成する誘電体材料として、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、ムライト等を主成分とするセラミック材料が用いられている。一方、導波管は、アルミナ等の金属酸化物や樹脂で管状に構成されており、その内壁は金、銀等の貴金属で被覆されている。特許文献1では、このような導波管の端部を、セラミック基板に直接接続する構造となっている。しかしながら、セラミック基板は固く割れやすいため、導波管等の金属部品を直接取り付けるのは困難である。
【0007】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、低背な構成で取付が容易な伝送線路-導波管変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る伝送線路-導波管変換器は、伝送線路を有するプリント配線板と、前記プリント配線板に実装され、前記伝送線路に接続されるパターンを有するセラミックパッケージと、前記セラミックパッケージを囲むように前記プリント配線板上に設けられ、前記パターンと電磁的に結合された導波路を有する導波管とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、低背な構成で取付が容易な伝送線路-導波管変換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る伝送線路-導波管変換器の構成を示す図である。
【
図2】
図1の伝送線路-導波管変換器に用いられるプリント配線板の一例を示す図である。
【
図4】
図1の伝送線路-導波管変換器に用いられるセラミックパッケージの一例を示す図である。
【
図8】実施形態2に係る伝送線路-導波管変換器の構成を示す図である。
【
図9】
図8の伝送線路-導波管変換器に用いられるプリント配線板の一例を示す図である。
【
図12】
図8の伝送線路-導波管変換器に用いられるセラミックパッケージの一例を示す図である。
【
図15】実施形態3に係る伝送線路-導波管変換器の構成を示す図である。
【
図16】
図15の伝送線路-導波管変換器に用いられるプリント配線板の一例を示す図である。
【
図19】
図15の伝送線路-導波管変換器に用いられるセラミックパッケージの一例を示す図である。
【
図22】実施形態4に係る伝送線路-導波管変換器の構成を示す図である。
【
図24】実施形態4に係る伝送線路-導波管変換器の他の構成例を示す図である。
【
図25】実施形態5に係る伝送線路-導波管変換器の構成を示す図である。
【
図26】実施形態6に係る伝送線路-導波管変換器の構成を示す図である。
【
図28】
図20の伝送線路-導波管変換器に用いられるセラミックパッケージの構成を説明する図である。
【
図29】
図20の伝送線路-導波管変換器に用いられるセラミックパッケージの構成を説明する図である。
【
図30】実施形態6に係る伝送線路-導波管変換器の他の構成例を示す図である。
【
図31】実施形態6に係る伝送線路-導波管変換器の他の構成例を示す図である。
【
図32】実施形態7に係る伝送線路-導波管変換器の構成を示す図である。
【
図33】
図32の伝送線路-導波管変換器に用いられるプリント配線板の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。なお、
図1において、紙面の左右方向をx方向、上下方向をy方向、垂直な方向をz方向とするxyz座標を適用する。また、他の図面においても、同様の方向を示すxyz座標を適用するものとする。また、
図2、9、16、28、33は、プリント配線板10のみの構成を示しており、セラミックパッケージ20や導波管30等の他の要素が設けられる箇所は一点鎖線で示されている。
【0012】
実施形態は、マイクロ波及びミリ波等の高周波信号を、プリント配線板(以下、単に基板と称する場合がある)上の伝送線路から導波管の伝搬モードに変換する変換器である。実施形態1~6は、伝送線路としてマイクロストリップ線路を用いた例を示しており、実施形態7はコプレーナ導波路を用いた例を示している。マイクロストリップ線路、コプレーナ導波路は、高周波信号を伝送することを目的として基板上に形成した伝送線路である。
【0013】
マイクロストリップ線路は、例えば、基板に形成された接地導体との距離dと、基板の比誘電率εrとに応じた幅wの線状の信号導体を形成することで、所望のインピーダンスを有するように調整した伝送線路である。また、コプレーナ導波路とは、基板の同一表面において、少なくとも一つの信号導体と、少なくとも一つの接地導体とを備える伝送線路である。
【0014】
導波管は、一般的にはアルミ、鉄、銅、真鍮等の金属で構成される管状の部材である。なお、導波管は、プラスチック、有機材料等の非金属に金属メッキをしたものであってもよい。導波管は、高周波信号を減衰させずに、その内部を良好に伝搬可能である。導波管は、例えば、断面が長方形であり、その縦横の寸法は伝搬する高周波信号の周波数によって決定される。
【0015】
基板上の伝送線路から導波管に変換する場合、基板に対して垂直に導波管が延びるように接続される構造が広く用いられる。伝送線路から導波管に信号の伝播方法を変換するために、基板上にはパッチアンテナないし類似形状を形成し、電界を発生させる。その際、導波管のある順方向と逆方向の両方向に伝播信号が発生する。そこで、導波管のない逆方向にアンテナ面からλg/4程度離れた適切な位置にバックショートと呼ばれるショート面を配置することで、バックショートによる反射波がアンテナの順方向信号と同相合成でき、低損失で導波管に伝播される。
【0016】
バックショート長は電波の波長で決まり、周波数が低いほど長くなる。6~40GHz程度の周波数の場合、基板厚では距離が足りないため、基板上にバックショートとして金属カバーなどの構造物を取り付ける必要があった。例えば、20GHz帯で、基板中の波長短縮効果が2/3程度である場合、バックショート長λg/4=2.5mm程度となる。基板厚は通常1~1.5mmであるため、基板中にバックショートを形成することはできず、基板外に大きな空間が必要となっていた。したがって、フェーズドアレイアンテナなど、基板の裏面側にアンテナが敷き詰められている場合、バックショートを設けることができないため伝送線路-導波管変換器を設けることができなかった。
【0017】
そこで、本実施形態では、低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics:LTCC)、高温同時焼成セラミックス(High Temperature Co-fired Ceramics:HTCC)などを用いたセラミックパッケージを用いることで、基板裏面側に構造物を用意せずに、容易に取り付けることができる伝送線路-導波管変換器を提供する。
【0018】
実施形態1.
図1~7を参照して、実施形態1に係る伝送線路-導波管変換器について説明する。
図1は、実施形態1に係る伝送線路-導波管変換器の構成を示す図である。
図2は、
図1の伝送線路-導波管変換器に用いられるプリント配線板の一例を示す図である。
図3は、
図2のIII-III断面図である。
図4は、
図1の伝送線路-導波管変換器に用いられるセラミックパッケージの一例を示す図である。
図5は、
図4のV-V断面図の一部である。
図6は
図1のA-A断面図であり、
図7は
図1のB-B断面図である。以下の説明では、伝送線路-導波管変換器を変換器1と称する。
【0019】
図1に示すように、変換器1は、プリント配線板10、セラミックパッケージ20、導波管30を含む。プリント配線板10は、基板11、GND(接地)パターン12、信号導体13、GNDパターン14、インナービア15を有する。基板11としては、ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、ガラスコンポジット基板、テフロン(登録商標)基板等が用いられ得る。例えば、基板11として、パナソニック株式会社製のMegtron6や、ロジャース社製のRogers材等を用いることができる。
【0020】
図2、3を参照すると、プリント配線板10は、多層基板であり、1層目にGNDパターン12及び信号導体13、2層目にGNDパターン14が設けられている。GNDパターン12、信号導体13、GNDパターン14の材料としては、通常、銅が用いられるが、金・銀・アルミニウム等を主成分とする金属等が用いられてもよい。GNDパターン12とGNDパターン14とは、インナービア15により接続されている。
図2に示すように、インナービア15は、GNDパターン12の下部に、信号導体13の先端を囲むように複数配置されている。なお、GNDパターン14より下層は、任意の導体層やビア導体が形成されて、他の回路パターンを形成していてもよい。
【0021】
基板11上の、xy平面視で略矩形の枠状の導波管30が配置される箇所及びその内側には、GNDパターン12が設けられている。セラミックパッケージ20は、基板11上において、枠状の導波管30内に配置される。すなわち、セラミックパッケージ20及び導波管30は、GNDパターン12上に設けられる。また、基板11のGNDパターン12が設けられている面と同一の面には、GNDパターン12に接触しないように、信号導体13が設けられている。信号導体13は、x方向の中央に、y方向に沿って線状に形成されている。信号導体13が、伝送線路であるマイクロストリップ線路となる。基板11の内部に形成されるGNDパターン14は、基板11を挟んで信号導体13に対向し、マイクロストリップ線路のグランドとして機能する。
【0022】
プリント配線板10のGNDパターン12上には、セラミックパッケージ20が設けられている。セラミックパッケージ20は、LTCCやHTCCなどの厚膜基板の製造技術を用いて製造される。
図4、5をさらに参照すると、セラミックパッケージ20は、セラミック層21、変換パターン22、金属パターン23を含む。実施形態1に示す例では、セラミック層21は上面視が正方形の直方体である。なお、セラミック層21の形状は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、セラミック層21は上面視が長方形であってもよい。セラミック層21は、酸化アルミニウム・窒化アルミニウム・窒化珪素・ムライト等を主成分とする誘電性を有するセラミック材料からなる、LTCC又はHTCCなどにより形成される。
【0023】
図1に示すように、変換パターン22は、例えば、信号導体13と同一の幅であり、当該信号導体と接続される接続部221と、接続部221の先端に連続して形成される、接続部221よりも大きい幅のアンテナ部222とを有し得る。信号導体13及び変換パターン22は、x方向の中央において、y方向に沿って線状に延びている。変換パターン22は、高周波信号を放射し、導波管30に電磁結合で給電する役割を果たす。
【0024】
図4には、セラミックパッケージ20の、プリント配線板10に対向する裏面側が示されている。セラミックパッケージ20の裏面側には、セラミックパッケージ20をプリント配線板10に実装した時に、信号導体13に接続される変換パターン22の一部が形成されている。変換パターン22は、セラミックパッケージ20の表面側から、側面を通って、裏面側まで延在している。
【0025】
また、セラミックパッケージ20の裏面側の、変換パターン22から間隔を空けた、残余の領域には金属パターン23が形成されている。すなわち、金属パターン23は、セラミックパッケージ20のプリント配線板10側に設けられる。金属パターン23は、プリント配線板10のGNDパターン12に接続される。GNDパターン12は、セラミックパッケージ20をプリント配線板10にはんだ付けして実装する時の接合箇所とすることができる。実施形態1では、金属パターン23が、導波路を終端するバックショートを構成する。
【0026】
セラミック層21のz方向の厚さは上述したバックショート長に基づいて決定され得る。換言すると、アンテナ部222と金属パターン23との間の距離は、アンテナ部222から放射された電波のうち、導波管30とは逆の方向に向かって放射する電波を反射させて、アンテナ部222に同相で戻すことができる長さである。アンテナ部222と金属パターン23との間の距離は例えば、λg/4である。なお、インピーダンス整合を確保するために、アンテナ部222と金属パターン23との間の距離はλg/4と異なっていてもよい。
【0027】
変換パターン22から放射される電波は、バックショートとしての金属パターン23において位相が180°反転して反射され、反射されて戻ってくる電波は、変換パターン22から直接導波管に放射される電波と同相となり、低損失で導波管に給電される。変換パターン22からバックショートの間には、セラミックパッケージ20の厚さが含まれる。LTCCなどを用いたセラミックパッケージ20は一般にプリント配線板10と比べて比誘電率が高く、波長短縮効果が大きい。そのため、薄いセラミックパッケージであってもバックショートまでの距離を稼ぐことができ、プリント配線板10の裏面側にバックショートとして他の構造物を設ける必要はない。
【0028】
セラミックパッケージ20は、Au、Ag、Ag/Pd、Ag/Pt系の導体ペーストを導体材料として使用して各セラミックグリーンシート層に印刷することで、上記の変換パターンを含む微細パターンを高精度に形成することができる。また、セラミックパッケージ20は誘電体材料からなるため、真空と比べてパッケージ中での波長短縮効果が得られる。また、セラミックパッケージ20は、はんだ付け等によりプリント配線板10に容易に実装することが可能である。
【0029】
図1に示すように、セラミックパッケージ20の周囲には、信号導体13に対応する部分を開口した、導波管30が設けられている。導波管30は、セラミックパッケージ20の周囲を略矩形の枠状に囲んでおり、変換パターン22と電磁的に結合された導波路を有する。
図6、7に示すように実施形態1では、導波管30は、プリント配線板10の他の箇所に形成される回路等を保護するためのケース31と一体的に形成されている。ケース31は、例えば、プリント配線板10に直接ねじ32により取り付けられる。このように、導波管30はプリント配線板10に固定されるため、変換器1は振動や衝撃に対する耐性が高くなる。なお、
図7に示すように、プリント配線板10の裏面側にもケースが配置されて、導波管30と一体的に形成されたケース31とともに共通のねじにより共締めされてもよい。なお、導波管30の、プリント配線板10への取付方法はねじ止めに限らず、接着剤等で取り付けることも可能である。
【0030】
このように、実施形態1によれば、伝送線路-導波管変換器において、プリント配線板10上にセラミックパッケージ20を実装することで、バックショートとして他の構造物を基板裏面に形成する必要がなくなる。また、セラミックパッケージ20は加工精度が高いため、金属カバーなどの構造物に比べて安価に品質のばらつきを抑えることができる。
【0031】
また、特許文献1では、セラミック基板に対して直接導波管を取り付ける構造となっており、セラミック基板は固く割れやすいため、導波管等の金属部品を直接取り付けるのは困難であった。これに対し、実施形態では、導波管30を含むケース31をプリント配線板10に対して取り付けるため、ねじ止め等の簡易な方法で導波管30を取り付けることができる。
【0032】
また、特許文献1では、誘電体層を貫通して、誘電体層の両面にそれぞれ形成された第1及び第2導体層を繋ぐ導体スルーホールをアンテナの周辺を囲むように形成した導体壁を設ける必要がある。高周波信号の周波数が低い場合、この導体壁の面積が非常に大きくなり、セラミック基板を大きくする必要がある。これに対し、実施形態では、プリント配線板10や、セラミックパッケージ20に導体壁を設ける必要がないため、サイズを小さくすることができる。このため、実施形態に係る発明は、部品に係るコストや、部品の強度の観点においても特許文献1に対して有利である。
【0033】
実施形態2.
図8~14を参照して、実施形態2に係る変換器1について説明する。
図8は、実施形態2に係る変換器1の構成を示す図である。
図9は、
図8の変換器1に用いられるプリント配線板の一例を示す図である。
図10は、
図9のX-X断面図であり、
図11は、
図9のXI-XI断面図である。
図12は、
図8の変換器1に用いられるセラミックパッケージの一例を示す図である。
図13は、
図12のXIII-XIII断面図の一部である。
図14は、
図8のC-C断面図である。
【0034】
実施形態2では、プリント配線板10上に形成されているGNDパターン12上に、セラミックパッケージ20を接合する方法として、はんだ合金といったはんだ接合用材料を用いたはんだ接合方法を用いた例について説明する。
【0035】
図8に示すように、実施形態2では、セラミックパッケージ20の一部が、xy平面視で開口が設けられた略矩形の枠状の導波管30からはみ出すように配置される。
図9、10、11に示すように、プリント配線板10の1層目にGNDパターン12、信号導体13、2層目にGNDパターン14が設けられている。信号導体13は、プリント配線板10のx方向の中央に、y方向に沿って線状に形成されている。信号導体13が、伝送線路であるマイクロストリップ線路となる。基板11の内部に形成されるGNDパターン14は、基板11を挟んで信号導体13に対向し、マイクロストリップ線路のグランドとして機能する。
【0036】
GNDパターン12は、枠状部分121と、枠状部分121から信号導体13の周囲を囲む囲繞部分122とを含むように設けられている。GNDパターン12は、インナービア15を介して、2層目のGNDパターン14に接続されている。インナービア15は、枠状のGNDパターン12の下部に複数並列して配置されている。
【0037】
本実施形態では、枠状のGNDパターン12とGNDパターン14とをつなぐインナービア15の列により導体壁が形成される。この導体壁は、アンテナ部222の周囲を矩形の枠状に囲んでいる。このインナービア15の列と、GNDパターン12、GNDパターン14とで疑似導波管が形成される。例えば、特許文献1に記載されているように、複数のインナービア15の間隔はλg/8以下に設定することができる。この疑似導波管で周囲を囲むことによって、アンテナ部222から放射された電波が外部に漏れることを抑制することができる。
【0038】
図10、11に示す例では、4層目のGNDパターンがバックショートとして機能する。このバックショートと同じエリアの5、6層目は、任意に設計することができる。このため、特許文献1のように、誘電体層の両側にそれぞれ形成された導電層を接続した導体壁をバックショートとする場合と比較して、設計の自由度が向上する。なお、必要に応じて、4層のGNDパターン以外の層を用いて、バックショートを形成してもよい。
【0039】
また、インナービア15は、GNDパターン12の下部において、xy平面視で信号導体13の先端を囲む位置にも複数配置されている。なお、GNDパターン14より下層は、任意の導体層やビア導体が形成されて、他の回路パターンを形成していてもよい。また、GNDパターン12は、x方向の中央において、枠の内側に突出する突出部123を含む。
【0040】
プリント配線板10上の突出部123から、導波管30の開口を通って、信号導体13にわたって、セラミックパッケージ20が配置される。
図12、13をさらに参照すると、セラミックパッケージ20は、セラミック層21、変換パターン22、金属パターン23を含む。実施形態2では、セラミック層21は上面視でy方向に長い長方形である。
【0041】
図8に示すように、変換パターン22は、例えば、信号導体13と同一の幅であり、当該信号導体と接続される接続部221と、接続部221の先端に連続して形成される、接続部221よりも大きい幅のアンテナ部222とを有し得る。信号導体13及び変換パターン22は、x方向の中央において、y方向に沿って線状に延びている。
【0042】
図12には、セラミックパッケージ20の、プリント配線板10に対向する裏面側が示されている。セラミックパッケージ20の裏面側には、セラミックパッケージ20をプリント配線板10に実装した時に、信号導体13に接続される変換パターン22が形成されている。すなわち、変換パターン22は、セラミックパッケージ20の表面側から、側面を通って、裏面側まで延在している。また、セラミックパッケージ20の裏面側の、変換パターン22から間隔を空けた、残余の領域において、セラミック層21のy方向の両縁部にはそれぞれ金属パターン23が形成されている。金属パターン23は、プリント配線板10のGNDパターン12に接続される。GNDパターン12は、セラミックパッケージ20をプリント配線板10にはんだ付けして実装する時の接合箇所とすることができる。実施形態2では、2つの金属パターン23が、セラミックパッケージ20をプリント配線板10にはんだで接合する時の接合部分となる。
【0043】
GNDパターン12の枠状部分121の上部には、導波管30が配置される。導波管30は、セラミックパッケージ20が通る部分を開口し、セラミックパッケージ20のx方向の両方の側面、y方向の一方の側面を囲むように設けられている。実施形態2における、導波管30とプリント配線板10との接続方法は実施形態1と同様である。例えば、
図14に示すように、導波管30とケース31とが一体となっており、ケース31をプリント配線板10にねじ止めすることで、導波管30をプリント配線板10に固定することができる。また、導波管30は、接着材等でプリント配線板10に取り付けられてもよい。
【0044】
このように、実施形態2では、伝送線路-導波管変換器において、プリント配線板10上にセラミックパッケージ20を実装することで、バックショートとして他の構造物を基板裏面に形成する必要がなくなる。また、
図12に示すように、セラミックパッケージ20のy方向の両端部に金属パターン23を形成することで、セラミックパッケージ20をプリント配線板10にはんだ等で実装したときにはがれにくくすることができる。さらに、セラミックパッケージ20のアンテナ部222の裏面側には金属パターン23が配置されていないため、バックショートの機能をプリント配線板10内に持たせることが可能となる。このように、プリント配線板10内にバックショートを収めることができるため、セラミックパッケージ20の厚さを薄くすることが可能となる。また、実施形態2では、導波管30をプリント配線板10に対して取り付けるため、簡易な方法で導波管30を取り付けることができる。
【0045】
実施形態3.
図15~21を参照して、実施形態3に係る変換器1について説明する。
図15は、実施形態3に係る変換器1の構成を示す図である。
図16は、
図15の変換器1に用いられるプリント配線板の一例を示す図である。
図17は、
図16のXVII-XVII断面図であり、
図18は、
図16のXVIII-XVIII断面図である。
図19は、
図15の変換器1に用いられるセラミックパッケージの一例を示す図である。
図20は、
図19のXX-XX断面図の一部である。
図21は、
図15のD-D断面図である。実施形態3では、プリント配線板10にセラミックパッケージ20を接合する方法として、接着剤を用いる方法を採用した例について説明する。
【0046】
図15に示すように、実施形態3では、セラミックパッケージ20の一端部が、導波管30の開口部分にかかるように配置される。実施の形態2と同様に、
図16、17、18に示すように、プリント配線板10の1層目にGNDパターン12、信号導体13、2層目にGNDパターン14が設けられている。信号導体13は、プリント配線板10のx方向の中央に、y方向に沿って線状に形成されている。信号導体13が、伝送線路であるマイクロストリップ線路となる。基板11の内部に形成されるGNDパターン14は、基板11を挟んで信号導体13に対向し、マイクロストリップ線路のグランドとして機能する。
【0047】
GNDパターン12は、枠状部分121と、枠状部分121から信号導体13の周囲を囲む囲繞部分122とを含むように設けられている。GNDパターン12は、インナービア15を介して、2層目のGNDパターン14に接続されている。インナービア15は、枠状のGNDパターン12の下部に複数並列して配置されている。
【0048】
また、実施の形態2と同様に、本実施形態においても、枠状のGNDパターン12とGNDパターン14とをつなぐインナービア15の列により導体壁が形成される。この導体壁は、アンテナ部222の周囲を矩形の枠状に囲んでおり、疑似導波管を形成する。導体壁の信号導体13の反対側に配置される面は、バックショートとして機能し得る。また、インナービア15は、GNDパターン12の下部において、xy平面視で信号導体13のx方向に隣接する位置で、y方向に沿って複数配置されている。なお、GNDパターン14より下層は、任意の導体層やビア導体が形成されて、他の回路パターンを形成していてもよい。
【0049】
セラミックパッケージ20は、プリント配線板10上において、xy平面視で略矩形の枠状の導波管の内側に配置される。
図19、20をさらに参照すると、セラミックパッケージ20は、セラミック層21、変換パターン22、接着剤を塗布することが可能な塗布領域24を含む。実施形態3では、セラミック層21は上面視でy方向に長い長方形である。上述した実施形態と同様に、
図15に示す変換パターン22は、信号導体13と同一の幅であり、当該信号導体と接続される接続部221と、接続部221の先端に連続して形成される、接続部221よりも大きい幅のアンテナ部222とを有し得る。
【0050】
図19には、セラミックパッケージ20の、プリント配線板10に対向する裏面側が示されている。セラミックパッケージ20の裏面側には、セラミックパッケージ20をプリント配線板10に実装した時に、信号導体13に接続される変換パターン22が形成されている。また、セラミックパッケージ20の裏面側の、変換パターン22から間隔を空けた、残余の領域には、接着剤の塗布領域24が配置されている。接着剤の塗布領域24は、セラミックパッケージ20をプリント配線板10に実装する際に用いられる。
図21に示すように、接続部221は、例えば、半田付けでプリント配線板10の信号導体13に接続される。
【0051】
GNDパターン12の枠状部分121の上部には、導波管30が配置される。導波管30は、セラミックパッケージ20の端部がかかる部分を開口し、セラミックパッケージ20のx方向の両方の側面、y方向の一方の側面を囲むように設けられている。上述したように、実施形態2では、導波管30は、実施形態1と同様にねじ止めや接着材等でプリント配線板10に容易に取り付けられ得る。このように、実施形態3では、伝送線路-導波管変換器において、セラミックパッケージ20及び導波管30のいずれも容易にプリント配線板10に取り付けることができる。
【0052】
実施形態4.
図22、23を参照して、実施形態4に係る変換器1について説明する。
図22は、実施形態4に係る変換器1の構成を示す図である。
図23は、
図22のE-E断面図である。実施形態4の実施形態1と異なる点は、セラミックパッケージ20の形状である。ここでは、実施形態4に用いられるセラミックパッケージ20の形状について詳細に説明する。
【0053】
図22、23に示すように、セラミックパッケージ20の信号導体13に対向する側には、信号導体13から離れるにつれて上り階段状にセラミックパッケージ20の厚みが増大する階段部25が形成されている。すなわち、セラミックパッケージ20は、導波管30の延びるz方向に向かって、プリント配線板10側から離れるほどxy平面視のサイズが小さくなる。一例として、階段部25は、セラミックパッケージ20のy方向に沿って、信号導体13に対向する端部から中央部にかけて設けられている。変換パターン22の接続部221はセラミック層21の階段部25の各段を通って最上段に至るように形成され、アンテナ部222はセラミック層21の最上段に形成される。セラミックパッケージ20を囲むように配置された導波管30は、セラミック層21の最上段に形成されたアンテナ部222と電磁的に結合して導波路を構成する。
【0054】
また、金属パターン23は、階段部25が設けられていないセラミック層21の裏面側に形成される。実施形態4では、実施形態1と同様に、金属パターン23は、プリント配線板10のGNDパターン12に接続される。GNDパターン12は、セラミックパッケージ20をプリント配線板10にはんだ付けして実装する時の接合箇所とすることができる。実施形態4では、金属パターン23が、導波路を終端するバックショートを構成する。したがって、セラミック層21の最上段のz方向の厚さは上述したバックショート長に基づいて決定され得る。
【0055】
このように、実施形態4によれば、上記実施形態と同様に、バックショートとして他の構造物を基板裏面に形成する必要がなく、導波管30を簡易な方法でプリント配線板10を取り付けることができる。また、実施形態4では、セラミックパッケージ20が階段部25を備えていることにより、より広帯域で、より特性の良いインピーダンスマッチングを行うことができるる。その結果、信号の入力方向への反射による伝搬ロス(リターンロス)を低減することが可能となる。
【0056】
なお、
図22、23に示す例では、セラミックパッケージ20が階段部25を有して、セラミック層21の厚さが段階的に増大するようにしたが、この例に限定されるものではない。例えば、階段部25に対応する位置のセラミック層21の厚さが線形的に増大する構成であってもよい。また、階段部25に対応する位置のセラミック層21がyz平面視で湾曲して、非線形的にその厚さが増大する構成であってもよい。
【0057】
なお、変換パターン22とバックショートとの距離が、セラミックパッケージ20の厚さのみでは、アンテナ部222から導波管30とは逆の方向に向かって放射した電波を反射させて、アンテナ部222に同相で戻すことができる長さ(λg/4)に足りない場合には、プリント配線板10に形成されるバックショートパターン16を用いることも可能である。
【0058】
図24は、実施形態4に係る伝送線路-導波管変換器の他の構成例を示す図である。例えば、
図24に示すように、バックショートパターン16は、プリント配線板10のセラミックパッケージ20が実装される面とは反対側の面に設けられ得る。なお、ここでは図示しないが、プリント配線板10が多層基板である場合、バックショートパターン16はプリント配線板10中に設けられていてもよい。
【0059】
このように、セラミックパッケージ20の厚さだけではバックショートの距離を確保できない場合でも、セラミックパッケージ20の厚さとプリント配線板10の厚さとを組み合わせてバックショートを構成することで、構造物を取り付ける必要がなくなる。すなわち、プリント配線板10とセラミックパッケージ20のみで伝送線路-導波管変換器に必要なパターンを形成することができる。
【0060】
実施形態5.
図25を参照して、実施形態5に係る変換器1について説明する。
図25は、実施形態5に係る変換器1の構成を示す図である。実施形態5の実施形態1と異なる点は、導波管30の形状である。ここでは、実施形態5に用いられる導波管30の形状について詳細に説明する。
【0061】
図25に示すように、導波管30の内壁には、導波管30の延びる方向に対して直交する方向に向かって突出する縮径部33が形成されている。
図25に示す例では、縮径部33は階段状に形成されており、導波管30の内径はセラミックパッケージ20に近づくにつれて、段階的に縮小している。すなわち、導波管30の内壁は、z方向に沿って、セラミックパッケージ20に近づくにつれて先細りになっている。
【0062】
先細りになった導波管30の先端位置には開口部34が形成されている。また、導波管30の開口部34よりもプリント配線板10側には、セラミックパッケージ20を配置するための空間が形成されている。
図25に示す例では、実施形態1と同様に、直方体のセラミックパッケージ20がプリント配線板10に実装されている。セラミックパッケージ20上に形成された変換パターン22のアンテナ部222と導波管30とが電磁的に結合して、導波路を構成する。また、同様に、セラミックパッケージ20の裏面側の金属パターン23がバックショートを構成する。
【0063】
このように、実施形態4では、導波管30が縮径部33を備えていることにより、リターンロスを低減することが可能となる。なお、
図25に示す例では、導波管30が階段状の縮径部33を有しているが、この例に限定されるものではない。例えば、導波管30が縮径部33の代わりに、導波管30の内径がセラミックパッケージ20に近づくにつれて線形的に縮小するような傾斜部が設けられていてもよい。また、傾斜部は、導波管30の断面をx方向から見た時に湾曲する、導波管30の内径がセラミックパッケージ20に近づくにつれて非線形的に縮小するような構成であってもよい。
【0064】
実施形態6.
図26~29を参照して、実施形態6に係る変換器1について説明する。
図26は、実施形態6に係る伝送線路-導波管変換器の構成を示す図である。
図27は、
図26のF-F断面図である。
図28、29は、
図26の伝送線路-導波管変換器に用いられるセラミックパッケージの構成を説明する図である。なお、
図28、29では、説明のため、パッケージキャップ28の図示を省略している。
【0065】
実施形態6が他の実施形態と異なる点は、アンテナ部222がセラミックパッケージ20上ではないところに形成される点である。ここでは、セラミックパッケージ内に実装された、MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)やMIC(Microwave Integrated Circuit)といった高周波回路が形成される部品上に形成される例について説明する。
【0066】
なお、MICとは、アルミナ基板などに形成された薄膜パターンと、マイクロ波ダイオードやトランジスタ等の単体の能動部品、チップと呼ばれる抵抗やコンデンサ等の受動部品を並べたものである。また、MMICとは単一の半導体基板上に能動素子(電界効果型トランジスタ(FET)やバイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)等)、受動素子(伝送線路、抵抗、コンデンサ等)などが形成されたものである。半導体プロセスとしては、化合物系(GaAs、GaN、InGaP等)や、シリコン系が代表して挙げられる。シリコン系の半導体デバイスには、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)、バイポーラトランジスタ)が含まれ得る。
【0067】
通常、MICやMMICなどは直接プリント配線板10に実装することはなく、パッケージに封入された状態で実装される。
図27、28を参照すると、実施形態6では、セラミックパッケージ20は、パッケージベース26、集積回路部品27、パッケージキャップ28を含む。パッケージベース26は、薄膜パターン261が形成されたパッケージ用のセラミック基板である。セラミック基板は、アルミナ(Al
2O
3)や窒化アルミニウム(AlN)等の材料が用いられ、LTCCやHTCCなどのプロセスで形成され得る。集積回路部品27は、例えば、上述したMMICに相当し、半導体基板上に集積回路が形成されたものである。集積回路部品27の裏面には、バックショートとして機能する金属パターン(不図示)が形成される。
【0068】
図28に示すように、集積回路部品27は、半導体基板上に、接続部221、アンテナ部222、アンプ等の回路271が形成された構成を有している。集積回路部品27は、パッケージベース26上にろう材などを用いて実装される。また、
図29に示すように、集積回路部品27の接続部221が、パッケージベース26の薄膜パターン261にワイヤ29によりボンディングされている。
【0069】
パッケージベース26に実装された集積回路部品27は、中空のパッケージキャップ28により気密に封止される。ここでは、パッケージキャップ28として、セラミックキャップが用いられる。パッケージキャップ28は、LTCCやHTCCなどの誘電体から形成され得る。セラミックキャップを用いる場合、キャップ内側に金属箔や電波吸収体シートを貼り付けて、干渉電波をシールドする構造をとることができる。
図27に示すように、パッケージキャップ28のアンテナ部222を覆う部分は、非金属部281で構成される。本実施形態のようにセラミックパッケージの場合は該当部分を金属メッキで覆わないようにすればよい。
【0070】
セラミックパッケージ20は、
図28に示すように、はんだ付け等によりプリント配線板10のGNDパターン12上に実装される。パッケージベース26上の薄膜パターン261は、プリント配線板10上の信号導体13に接続される。信号導体13からの信号は、集積回路部品27内部のアンプなどの回路271を通過し、アンテナ部222から出力される。アンテナ部222は、導波管30と電磁的に結合して導波路を構成する。
【0071】
なお、実施形態6は、セラミックパッケージに限定されず、金属パッケージ、プラスチックパッケージなどであってもよい。金属パッケージを用いる場合、パッケージキャップ28が金属で形成されることが多い。この場合、パッケージキャップ28のアンテナ部222を覆う部分は、非金属で覆う必要がある。金属パッケージは、例えば、パッケージベース26とパッケージキャップ28を接合するシーリング材としてガラスを用いたガラス封止などがある。
【0072】
また、プラスチックパッケージの場合、プリント配線板10に形成された金属の土台(リードフレーム)上に集積回路部品27が実装され、プラスチックを充填して固める。このため、パッケージベースとパッケージキャップの区別がない。プラスチックパッケージはもともと非金属であるため、パッケージキャップ28のアンテナ部222を覆う部分に対して、特別な処置は不要である。
【0073】
上述の例では、バックショートが集積回路部品27の裏面側に形成されていたが、この例に限定されない。例えば、
図30に示すように、プリント配線板10の1層目にバックショートパターン16を形成してもよい。又は、
図31に示すように、プリント配線板10中の4層のGNDパターンをバックショートとして用いてもよい。実施形態6と、上述の実施形態を適宜組み合わせることができる。
【0074】
実施形態7.
図32、33を参照して、実施形態7に係る変換器1について説明する。
図32は、実施形態7に係る伝送線路-導波管変換器の構成を示す図である。
図33は、
図32の伝送線路-導波管変換器に用いられるプリント配線板の一例を示す図である。実施形態7は、伝送線路としてコプレーナ導波路を用いた例を示している。上述したように、コプレーナ導波路とは、基板の同一表面において、少なくとも一つの信号導体と、少なくとも一つの接地導体とを備える伝送線路である。
【0075】
なお、実施形態7では、実施形態1と同様に、セラミックパッケージ20が、上面視が正方形の直方体であり、プリント配線板10のGNDパターン12上に実装されるものとする。なお、上述の通り、セラミックパッケージ20の形状は一例であり、この例に限定されない。セラミックパッケージ20は、基板11上において、枠状の導波管30内に配置される。
図33に示すように、実施形態7では、コプレーナ導波路となる信号導体13がx方向の中央に、y方向に沿って線状に形成されている。
【0076】
信号導体13の周囲には、インナービア15が設けられている。インナービア15は、信号の伝搬方向に沿って複数個設けられている。
図33に示す例では、インナービア15は、信号導体13のx方向における両側において、y方向に沿ってそれぞれ1列に並んでいる。インナービア15は、プリント配線板10の表面に形成されたGNDパターン12と、図示しないプリント配線板10内に形成された図示しないGNDパターン14とを接続する。GNDパターン12が信号導体13に対向し、コプレーナ導波路のグランドとして機能する。
【0077】
プリント配線板10のGNDパターン12上には、セラミックパッケージ20が設けられている。また、セラミックパッケージ20を囲むように、導波管30がプリント配線板10に取り付けられる。このように、伝送線路としてコプレーナ導波路を用いた場合でも、バックショートとして構造物を必要とせず、導波管30取り付けが容易な伝送線路-導波管変換器を提供することが可能となる。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上記実施形態では、プリント配線板10上にセラミックパッケージ20を実装する例が示されているが、これに限定されない。例えば、プリント配線板10上にアンテナ部を有する変換パターンが形成された他のプリント配線板が実装されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 変換器
10 プリント配線板
11 基板
12 GNDパターン
121 枠状部分
122 囲繞部分
13 信号導体
14 GNDパターン
15 インナービア
16 バックショートパターン
20 セラミックパッケージ
21 セラミック層
22 変換パターン
221 接続部
222 アンテナ部
23 金属パターン
24 塗布領域
25 階段部
26 パッケージベース
261 薄膜パターン
27 集積回路部品
271 回路
28 パッケージキャップ
29 ワイヤ
30 導波管
31 ケース
32 ねじ
33 縮径部
34 開口部