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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126284
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】包装容器及び包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 73/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B65D73/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034568
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 由人
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA22
3E067AB81
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA20A
3E067BB01A
3E067EA04
3E067EB06
3E067EC38
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】紙を主体としたシート材で構成可能で、スティック状の物品の包装に好適な包装容器及びこれを用いた包装体を提供する。
【解決手段】紙を基材とするシート材で形成される包装容器であって、一対の矩形状の側面パネルで構成されたスリーブと、スリーブの一方端の近傍において、一対の側面パネルを架けわたす底面パネルとを備え、一対の側面パネルには、スリーブの他方端の幅方向全体に沿う帯状の領域に、内面同士がシールされたシール部が形成されており、底面パネルには、外部から物品を挿入するための開口部が設けられており、開口部は、物品の挿入に伴って撓むことが可能であり、最大限撓んだ時に、底面パネルに、物品の横断面の最大部分が通過可能な形状及び寸法を有する開口を形成可能な少なくとも1つの凸片を有し、凸片の撓みがない状態において、スリーブ内に物品を収容したときに底面パネル側となる物品の端面を包含できない形状を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を基材とするシート材で形成され、スティック状の物品を収容可能な包装容器であって、
一対の矩形状の側面パネルで構成されたスリーブと、
前記スリーブの一方端の近傍において、前記一対の側面パネルを架けわたす底面パネルとを備え、
前記一対の側面パネルには、前記スリーブの他方端の幅方向全体に沿う帯状の領域に、内面同士がシールされたシール部が形成されており、
前記底面パネルには、外部から前記物品を挿入するための開口部が設けられており、
前記開口部は、
前記物品の挿入に伴って撓むことが可能であり、最大限撓んだ時に、前記底面パネルに、前記物品の横断面の最大部分が通過可能な形状及び寸法を有する開口を形成可能な少なくとも1つの凸片を有し、
前記凸片の撓みがない状態において、前記スリーブ内に前記物品を収容したときに前記底面パネル側となる前記物品の端面を包含できない形状を有する、包装容器。
【請求項2】
前記底面パネルは、前記側面パネルの一方の幅方向と平行な第1折り曲げ線を介して、前記側面パネルの前記一方に接続された折り曲げ片を有し、
前記折り曲げ片は、前記側面パネルの前記一方に接続され、前記開口部が設けられた第1部分と、前記第1折り曲げ線と平行な第2折り曲げ線を介して前記第1部分に折り曲げ可能に接続された第2部分とを有し、
前記折り曲げ片は、前記スリーブ内に折り込まれ、前記折り曲げ片の前記第2部分が前記側面パネルの前記他方の内面に貼り合わされている、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記底面パネルは、前記側面パネルの一方の幅方向と平行な第1折り曲げ線を介して、前記側面パネルの前記一方に接続された第1折り曲げ片と、前記側面パネルの他方の幅方向と平行な第2折り曲げ線を介して、前記側面パネルの前記他方に接続された第2折り曲げ片とを有し、
前記第1折り曲げ片は、前記側面パネルの前記一方に接続され、前記開口部が設けられた第1部分と、前記第1折り曲げ線と平行な第3折り曲げ線を介して前記第1部分に折り曲げ可能に接続された第2部分とを有し、
前記第1折り曲げ片及び前記第2折り曲げ片はいずれも、前記スリーブ内に折り込まれ、前記第1折り曲げ片の前記第2部分が前記第2折り曲げ片に貼り合わされている、請求項1に記載の包装容器。
【請求項4】
前記側面パネルの一方には、幅方向に延びる切断可能な一対の弱化線によって挟まれた切り取り部が、前記シール部の幅方向全体に沿って設けられ、
前記側面パネルの他方の前記切り取り部と重なる領域に、幅方向に延び、前記一対の側面パネルのうち、前記シール部を含む一部分を折り曲げ可能とする第1罫線が設けられ、
更に、前記側面パネルの前記一方には、前記切り取り部を切断除去し、前記シール部を含む前記一部分を、前記第1罫線に沿って前記側面パネルの前記一方側から見て谷折りとなるように折り曲げた状態において、前記シール部の端縁の一部を差し込み可能なスリットが設けられる、請求項1に記載の包装容器。
【請求項5】
前記一対の側面パネルの各々には、前記スリーブの前記一方端から所定範囲の部分を、多角形の断面を有する筒状体に変形可能とする複数の折り曲げ可能な第2罫線が設けられる、請求項1に記載の包装容器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の包装容器と、
前記包装容器の前記スリーブに収容された物品とを有する、包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スティック状の物品を包装するための包装容器及びこれを用いた包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
スティック状の物品、例えば、糊や接着剤等の文房具やリップクリーム等の化粧品を包装するための包装容器として、ブリスターパックが広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。ブリスターパックの形態としては、商品名や説明書きを印刷した厚紙等の台紙と、凹部に物品を収容した透明プラスチックの真空成形品とを備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-43936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境保護や省資源化の観点から、包装容器における樹脂使用量の低減が求められており、紙を主体とした包装容器が種々検討されている。上述した従来のブリスターパックには樹脂成形品が用いられていることから、スティック状の物品を包装する用途において、ブリスターパックに代わる紙使用率の高い包装容器が求められている。
【0005】
本発明は、紙を主体としたシート材で構成可能で、スティック状の物品の包装に好適な包装容器及びこれを用いた包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る包装容器は、紙を基材とするシート材で形成され、スティック状の物品を収容可能であり、一対の矩形状の側面パネルで構成されたスリーブと、スリーブの一方端の近傍において、一対の側面パネルを架けわたす底面パネルとを備える。一対の側面パネルには、スリーブの他方端の幅方向全体に沿う帯状の領域に、内面同士がシールされたシール部が形成されており、底面パネルには、外部から物品を挿入するための開口部が設けられている。開口部は、物品の挿入に伴って撓むことが可能であり、最大限撓んだ時に、底面パネルに、物品の横断面の最大部分が通過可能な形状及び寸法を有する開口を形成可能な少なくとも1つの凸片を有し、凸片の撓みがない状態において、スリーブ内に物品を収容したときに底面パネル側となる物品の端面を包含できない形状を有する。
【0007】
また、本発明に係る包装体は、上記の包装容器と、包装容器のスリーブに収容された物品とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、紙を主体としたシート材で構成可能で、スティック状の物品の包装に好適な包装容器及びこれを用いた包装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る包装体を示す図
図2図1(b)に示す包装容器の拡大底面図
図3図1に示した包装容器を形成するためのブランクを示す平面図
図4】第1の実施形態に係る包装容器の使用方法を示す図
図5図4に続く使用方法を示す図
図6】第1の実施形態に係る包装体の開封及び再封方法を示す図
図7】第2の実施形態に係る包装体を示す図
図8図7に示した包装容器を形成するためのブランクを示す平面図
図9】第2の実施形態に係る包装容器の使用方法を示す図
図10図9(b)に示すX-X’ラインから見た断面図
図11】第3の実施形態に係る包装体を示す図
図12図11に示した包装容器を形成するためのブランクを示す平面図
図13図11に示した包装容器を形成するためのブランクを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る包装体を示す図であり、図1(a)は正面図であり、図1(b)は背面図である。また、図2は、図1(b)に示す包装容器の拡大底面図である。
【0011】
包装体100は、包装容器1と、包装容器1のスリーブ8に収容された物品(被包装物)9とを有する。物品9は、糊、接着剤、リップクリーム、スプレー缶、チューブ等のスティック状(棒状)の形態を有する。物品9の断面形状は特に限定されず、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、その他の多角形等の任意の形状で良い。また、物品9の一部または全体が、図1に示すように、先端に向かって形が狭まる順テーパー形状を有していても良い。以下では、包装容器1に円形の横断面を有する物品9を収容する場合について説明する。
【0012】
包装容器1は、一対の側面パネル2及び3で構成されたスリーブ8と、底面パネル4とを備える。詳細は後述するが、包装容器1は、紙を基材とするシート材を打ち抜いたブランクを折りたたみ、部分的に貼り合わせることによって形成することができる。
【0013】
スリーブ8は、矩形状の側面パネル2及び3の長辺部分を接続した構成を有し、側面パネル2及び3が重なり合った平坦な状態(図4(a)参照)から、図1及び図2に示すような中空の筒形状に変形可能である。
【0014】
底面パネル4は、スリーブ8の一方端(図1における下端)の近傍において、側面パネル2及び3を架けわたすように設けられている。本実施形態では、底面パネル4は、側面パネル2と一体的に設けられた折り曲げ片11をスリーブ8内に折り込み、折り曲げ片11の一部を側面パネル3の内面に貼り合わせることによって形成されている。底面パネル4の構成の詳細は後述する。
【0015】
図2に示すように、底面パネル4には、外部から包装容器1内にスティック状の物品9を挿入するための開口部7が設けられている。開口部7は、物品9の挿入に伴って撓むことが可能な少なくとも1つの凸片6を有する。本実施形態では、開口部7は、波状の輪郭線を有するように形成され、開口部7の内側に向かって突出する4つの凸片6を有するが、凸片6の数は特に限定されない。全ての凸片6が包装容器1の内側に向かって最大限撓んだ際、底面パネル4に、物品9の横断面(軸方向と直交する断面)の最大部分が通過可能な形状及び寸法(言い換えれば、物品9の横断面の最大部分を包含できる形状及び寸法)を有する開口を形成することが可能である。例えば、図2に示す例では、4つの凸片6が包装容器1の内側に最大限撓んだ場合、底面パネル4には、二点鎖線で示す略六角形の開口を形成することが可能である。この略六角形の開口の対辺の間隔が、物品9の外径の最大値以上となるように、開口部7及び凸片6が構成されている。
【0016】
また、開口部7は、凸片6の撓みがない状態において、物品9の後端面(挿入時に後端となる側の面であって、スリーブ8内に収容された状態で底面パネル4側となる端面)を包含できない形状を有する。例えば、図2の例では、4つの凸片6に内接する円(二点鎖線で示す円)の直径が、物品9の後端面の外径より小さくなるように凸片6の突出量を設定することによって、開口部7の形状を物品9の端面を包含しない形状とすることができる。このように開口部7(凸片6)を構成すれば、スリーブ8内に収容された物品9の後端面に凸片6が接触するため、物品9を開口部7から包装容器1の外部へと押し出す外力が加えられない限り、物品9は開口部7を通過することができない。したがって、スリーブ8内に収容された物品9の脱落を防止することができる。
【0017】
スリーブ8の他方端(図1における上端)部分には、側面パネル2及び3の端縁(図1における上辺)の幅方向全体に沿う帯状の領域に、側面パネル2及び3の内面同士がシールされたシール部5が形成されている。このシール部5によって、包装容器1が封止されている。尚、シール部5に実線の丸で示す部分は、包装体100を陳列棚のフック等に吊り下げるための開口である。この開口は必ずしも必要なものではなく、省略しても良い。
【0018】
図1(b)に示すように、背面側の側面パネル3には、その幅方向に伸びる一対の弱化線17a及び17bが側面パネル3の長さ方向に所定の間隔を空けて形成されている。弱化線17a及び17bは、相対的に強度が弱められた切断可能な線であり、例えば、ハーフカットやミシン線によって形成することができる。弱化線17a及び17bは、例えば、ミシン線は、直線の切断線を間欠的に連ねることによって形成しても良いし、図1(b)に示すように切断線の一部が折れ曲がっていても良い。弱化線17a及び17bで挟まれた帯状の部分は、包装体100の開封時に切断除去される切り取り部18である。切り取り部18は、シール部5の幅方向の全体に沿って設けられている。切り取り部18の切断除去により、スリーブ8内の物品9の取り出しが可能となる。
【0019】
また、図1(a)に示すように、側面パネル2には、その幅方向に伸びる第1罫線19が形成されている。第1罫線19は、側面パネル3の切り取り部18と重なる領域に形成されており、切り取り部18の切断除去後に、側面パネル2及び3のうち、シール部5を含む所定範囲の部分(第1罫線19より上側の部分)の折り曲げを容易とする。更に、側面パネル3には、第1罫線19より上側の部分を側面パネル3側に折り曲げたときに、シール部5の端縁の一部挿入可能なスリット16が設けられている。スリット16の使用方法の詳細については後述する。
【0020】
更に、側面パネル2及び3のそれぞれには、第2罫線20a~20dが形成されている。第2罫線20a~20dは、各罫線に沿って側面パネル2及び3を山折りに折り曲げて、スリーブ8の一方端(図1における下端)から所定範囲の部分を多角形の断面を有する筒状体に容易に変形できるようにするために設けられている。スリーブ8の下端から所定範囲の部分を多角形の断面を有する筒状体とすることで、スリーブ8の内部に物品9の収容空間を大きく取ることができる。したがって、底面パネル4から物品9を挿入する際に、スリーブ8内に挿入された物品9と側面パネル2及び3との干渉を低減し、物品9の収容がしやすい包装容器1とすることができる。
【0021】
図3は、図1に示した包装容器を形成するためのブランクを示す平面図である。
【0022】
図3(a)に示すブランク31は、紙を主体とするシート材を金型で打ち抜くことにより一体的に形成される。尚、図3において、実線は、金型によって切断される線を表し、一点鎖線及び細い実線は、折り曲げ前の罫線を表し、破線は紙面の背面側に折り返された部分を表す。
【0023】
ブランク31は、側面パネル2と、側面パネル2の右側に連続する側面パネル3と、側面パネル2の左側に連続する折り曲げ片34と、側面パネル2の下側に連続する折り曲げ片11とを有する。
【0024】
側面パネル2の下側の折り曲げ片11は、側面パネル2の幅方向と平行な第1折り曲げ線12を介して側面パネル2に接続されている。折り曲げ片11は、第1折り曲げ線12を介して側面パネル2に折り曲げ可能に接続された第1部分14と、第1折り曲げ線12と平行な第2折り曲げ線13を介して第1部分14に折り曲げ可能に接続された第2部分15とを有する。折り曲げ片11の第1部分14には、凸片6を有する開口部7が形成される。折り曲げ片11の第2部分15は、底面パネル4を形成するための糊代となる部分である。また、本実施形態では、折り曲げ片11の第1部分14を上下に二分する罫線52が設けられている。
【0025】
側面パネル2には、第2罫線20a及び20bと、吊り下げ用の開口部が形成されている。側面パネル2の左側には、第2罫線20c及び20dと、弱化線17a及び17b(切り取り部18)と、スリット16と、吊り下げ用の開口部が形成されている。側面パネル2の左側の折り曲げ片34は、スリーブ8を形成するための糊代となる部分である。折り曲げ片34には、スリーブ8を組み立てたときに、側面パネル3の第2罫線20dと重なる第2罫線20eが形成されている。
【0026】
ここで、包装容器1の組み立て方法を説明する。ただし、ここで説明する組み立て方法は、例示であり、各部の折り曲げ順序や折り曲げ方向、貼り合わせ順序等は適宜変更することができる。
【0027】
まず、図3(a)に示すブランク31を作製する。次に、折り曲げ片34を罫線51に沿って裏面側に山折りに折り返すと共に、折り曲げ片11のうち、第1部分14の一部及び第2部分15を罫線52に沿って裏面側に山折りに折り返し、図3(b)の状態とする。次に、図3(b)に示す罫線53に沿って側面パネル3を裏面側に山折りに折り返し、接着剤等を介して、折り曲げ片11の第2部分15及び折り曲げ片34を側面パネル3の内面に貼り合わせる。また、側面パネル2及び3の上端縁の幅方向全体に沿う帯状の部分の内面同士を貼り合わせてシール部5を形成する。貼り合わせ箇所は、図3(b)にハッチングで示す領域の裏面である。以上の工程により、側面パネル2に接続された折り曲げ片11が、スリーブ8内に折り込まれ、折り曲げ片11の第2部分15が側面パネル3の内面に貼り合わされた状態となる。
【0028】
図4及び図5は、第1の実施形態に係る包装容器の使用方法を示す図である。尚、図5(c)は、図5(a)に示すA-A’線から見た断面図であり、図5(d)は、図5(b)の底面図である。
【0029】
図4(a)は、図3(b)で説明した、貼り合わせ工程の直後に得られる平坦状の包装容器1を示す。包装容器1に物品9を収容するには、まず、図4(a)の矢印で示すように、包装容器1の下端近傍を両サイド(側面パネル2及び3の長辺部分)から内側に押し込む。この時、側面パネル2及び3に設けられた第2罫線20a~20d(図3参照)に沿って側面パネル2及び3が山折りに折り曲げられる。これにより、図4(b)及び図2に示すように、側面パネル2及び3の下端から所定範囲の部分が六角形の断面を有する筒状に変形し、底部に底面パネル4が現れる。この状態で、物品9を底面パネル4の開口部7に挿入する。
【0030】
図5(a)及び図5(c)は、スリーブ8内への物品9の挿入途中の状態を示す。図5(c)に示すように、物品9は、凸片6を撓ませながらスリーブ8内に挿入される。上述したように、全ての凸片6を包装容器1の内側に向かって最大限撓ませると、底面パネル4に、物品9の横断面(軸方向と直交する断面)の最大部分が通過可能な形状及び寸法の開口を形成することができる。したがって、図5(a)及び図5(c)に示す状態から更にスリーブ8内に物品9を押し込むと、図5(b)及び図5(d)に示すように、物品9は開口部7を通過してスリーブ8内に完全に収容される。この時、凸片6の撓みがある程度解消されるため、図5(d)に示すように、物品9の外部への脱落が防止された状態となる。
【0031】
図6は、第1の実施形態に係る包装体の開封及び再封方法を示す図である。
【0032】
包装体100は、図1(b)に示した弱化線17a及び17bを手で破断させ、切り取り部18を除去することによって開封することができる。図6(a)は、切り取り部18が除去された状態を示しており、切り取り部18が除去された部分をハッチングで表している。切り取り部18を除去した部分から物品9を取り出して使用することができる。
【0033】
物品9の使用後は、再度、包装容器1に物品9を収納して再封を行うことができる。具体的には、図6(a)において破線で示す第1罫線19(図1(a)参照)に沿って、側面パネル3側から見て谷折りとなるように、シール部5を折り曲げる。そして、図6(b)に示すように、シール部5の端縁の一部をスリット16に差し込むことにより、シール部5を折り曲げた状態に維持することができる。
【0034】
従来、接着剤や修正液のような薬液を収容した物品の包装に、台紙に樹脂の真空成形品からなるトレイをシールした構成のブリスターパックが使用されている。台紙には、薬液の使用方法や注意書きなどが印刷されて場合があり、この場合、台紙は説明書としての役割も有している。しかしながら、台紙にトレイをシールした構成のブリスターパックは、開封後の物品の再収納に適した形態ではないため、開封後の台紙はごみとして処分されてしまうことがあった。
【0035】
これに対して、本実施形態に係る包装容器1は、シール部5を折り曲げてスリット16に挟み込むことによって、一度取り出した物品9を再収納でき、保管容器としての機能を有する。包装容器1を保管容器として継続して利用できるため、包装容器1に、物品の説明書としての機能を物品9の保管期間中に渡って維持させることができる。
【0036】
以上説明した通り、本実施形態に係る包装容器1は、紙を主体としたシート材を用いて容易に形成することができる。したがって、プラスチックの減量化により環境保護や省資源化を図ることができる。また、包装容器1の底面パネル4の開口部7から物品9を挿入するだけで物品9を包装できる、特に、スティック状の物品の包装に好適である。
【0037】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る包装体を示す図である。より詳細には、図7(a)は正面図であり、図7(b)は図7(a)に示すB-B’線から見た断面図であり、図7(c)は図7(a)に示す包装容器の底面図である。以下、本実施形態と第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0038】
本実施形態に係る包装体200を構成する包装容器1は、側面パネル2に接続された底面パネル4の構成が第1の実施形態と異なる。本実施形態では、底面パネル4は、側面パネル3と一体的に設けられた第1折り曲げ片21と、側面パネル2と一体的に設けられた第2折り曲げ片22とをスリーブ8内に折り込み、第1折り曲げ片21の一部を第2折り曲げ片22に貼り合わせることによって形成されている。
【0039】
図8は、図7に示した包装容器を形成するためのブランクを示す平面図である。
【0040】
ブランク32は、側面パネル2と、側面パネル2の右側に連続する側面パネル3と、側面パネル2の左側に連続する折り曲げ片34と、側面パネル3の下側に連続する第1折り曲げ片21と、側面パネル2の下側に連続する第2折り曲げ片22とを有する。
【0041】
側面パネル3の下側の第1折り曲げ片21は、側面パネル3の幅方向と平行な第1折り曲げ線23を介して側面パネル3に接続されている。第1折り曲げ片21は、第1折り曲げ線23を介して側面パネル3に折り曲げ可能に接続された第1部分26と、第1折り曲げ線23と平行な第3折り曲げ線25を介して第1部分26に折り曲げ可能に接続された第2部分27とを有する。第1折り曲げ片21の第1部分26には、凸片6を有する開口部7が形成される。開口部7は、部分的に波形である輪郭を有し、この波形の部分によって4つの凸片6が構成されている。第1折り曲げ片21の第2部分27は、底面パネル4を形成するための糊代となる部分である。
【0042】
側面パネル2の下側の第2折り曲げ片22は、側面パネル2の幅方向と平行な第2折り曲げ線24を介して側面パネル2に接続されている。
【0043】
側面パネル2には、第2罫線20a及び20bと、吊り下げ用の開口部が形成されている。側面パネル2の左側には、第2罫線20c及び20dと、弱化線17a及び17b(切り取り部18)と、スリット16と、吊り下げ用の開口部が形成されている。側面パネル2の左側の折り曲げ片34は、スリーブ8を形成するための糊代となる部分である。折り曲げ片34には、スリーブ8を組み立てたときに、側面パネル3の第2罫線20dと重なる第2罫線20eが形成されている。
【0044】
ここで、包装容器1の組み立て方法を説明する。ただし、ここで説明する組み立て方法は、例示であり、各部の折り曲げ順序や折り曲げ方向、貼り合わせ順序等は適宜変更することができる。
【0045】
まず、図8(a)に示すブランク32を作製する。次に、折り曲げ片34を罫線51に沿って裏面側に山折りに折り返し、第1折り曲げ片21を第1折り曲げ線23に沿って裏面側に山折りに折り返し、更に、第2折り曲げ片22を第2折り曲げ線24に沿って裏面側に山折りに折り返し、図8(b)の状態とする。次に、図8(b)に示す罫線53に沿って側面パネル3を裏面側に山折りに折り返し、接着剤等を介して、第1折り曲げ片21の第2部分27を第2折り曲げ片22に貼り合わせると共に、折り曲げ片34を側面パネル3の内面に貼り合わせる。また、側面パネル2及び3の上端縁の幅方向全体に沿う帯状の部分の内面同士を貼り合わせてシール部5を形成する。貼り合わせ箇所は、図8(b)にハッチングで示す領域の裏面である。以上の工程により、側面パネル3に接続された第1折り曲げ片21と、側面パネル2に接続された第2折り曲げ片22とが、スリーブ8内に折り込まれ、図7(b)に示すように、第1折り曲げ片21の第2部分27と、第2折り曲げ片22の一部とが合掌状に突き合わされて貼り合わされた状態となる。このように構成することで、図7(b)に示すように、第2折り曲げ片22の端部が、開口部7が形成された第1折り曲げ片21の第1部分26よりも、包装容器1の内側(シール部5側)に突出した状態となっている。
【0046】
図9は、第2の実施形態に係る包装容器の使用方法を示す図であり、図10は、図9(b)に示すX-X’ラインから見た断面図である。
【0047】
図9(a)及び図9(c)は、スリーブ8内への物品9の挿入途中の状態を示す。図9(c)に示すように、物品9は、凸片6を撓ませながらスリーブ8内に挿入される。この状態から更にスリーブ8内に物品9を押し込むと、図9(b)及び図9(d)に示すように、物品9は開口部7を通過してスリーブ8内に完全に収容される。この時、凸片6の撓みがある程度解消されるため、図9(d)に示すように、物品9の外部への脱落が防止された状態となる。
【0048】
ただし、本実施形態においては、開口部7が形成された第1折り曲げ片21の第1部分26よりも包装容器1の内側に、第1折り曲げ片21の第2部分27及びこれに貼り合わされた第2折り曲げ片22の一部が突出している。このため、物品9の後端面が開口部7を通過した直後は、図10に示すように、物品9の後端面は、第2折り曲げ片22及び第1折り曲げ片21の第2部分27が貼り合わされた部分と、側面パネル3との間に挟まれた位置にある。この状態から、更に物品9をシール部5側に押し込むと、図7(b)に示すように、物品9が第2折り曲げ片22及び第1折り曲げ片21の第2部分27の端縁上に乗り上げ、第2折り曲げ片22及び第1折り曲げ片21の第2部分27が貼り合わされた部分によっても、物品9の包装容器1の下端方向への移動が規制される。
【0049】
したがって、本実施形態によれば、第2折り曲げ片22及び第1折り曲げ片21の第2部分27が貼り合わされた部分と、第1折り曲げ片21に設けられた開口部7の凸片6との両方により、物品9外部への脱落がより防止された包装容器1を得ることができる。
【0050】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態に係る包装体を示す図である。より詳細には、図11(a)は正面図であり、図11(b)は図11(a)に示すD-D’線から見た断面図であり、図11(c)は図11(a)に示す包装容器の底面図である。以下、本実施形態と第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0051】
本実施形態に係る包装体300を構成する包装容器1は、側面パネル2に接続された底面パネル4の構成が第1の実施形態と異なる。本実施形態では、底面パネル4は、側面パネル3と一体的に設けられた第1折り曲げ片41と、側面パネル2と一体的に設けられた第2折り曲げ片42とをスリーブ8内に折り込み、第1折り曲げ片41の一部を第2折り曲げ片42に貼り合わせることによって形成されている。
【0052】
図12及び図13は、図11に示した包装容器を形成するためのブランクを示す平面図である
【0053】
ブランク33は、側面パネル2と、側面パネル2の右側に連続する側面パネル3と、側面パネル2の左側に連続する折り曲げ片34と、側面パネル2の下側に連続する第2折り曲げ片42と、側面パネル3の下側に連続する第1折り曲げ片41とを有する。
【0054】
側面パネル3の下側の第1折り曲げ片41は、側面パネル3の幅方向と平行な第1折り曲げ線43を介して側面パネル3に接続されている。第1折り曲げ片41は、第1折り曲げ線43を介して側面パネル3に折り曲げ可能に接続された第1部分46と、第1折り曲げ線43と平行な第3折り曲げ線45を介して第1部分46に折り曲げ可能に接続された第2部分47とを有する。第1折り曲げ片41の第1部分46には、凸片6を有する開口部7が形成される。本実施形態では、凸片6は、第1折り曲げ片41の第1部分46に設けられたコの字型の切り込みによって形成されており、凸片6は開口部7を完全に閉鎖することができる。第1折り曲げ片41の第2部分47は、底面パネル4を形成するための糊代となる部分である。
【0055】
側面パネル2の下側の第2折り曲げ片42は、側面パネル2の幅方向と平行な第2折り曲げ線44を介して側面パネル2に接続されている。
【0056】
側面パネル2には、第2罫線20a及び20bと、吊り下げ用の開口部が形成されている。側面パネル2の左側には、第2罫線20c及び20dと、弱化線17a及び17b(切り取り部18)と、スリット16と、吊り下げ用の開口部が形成されている。側面パネル2の左側の折り曲げ片34は、スリーブ8を形成するための糊代となる部分である。折り曲げ片34には、スリーブ8を組み立てたときに、側面パネル3の第2罫線20dと重なる第2罫線20eが形成されている。
【0057】
ここで、包装容器1の組み立て方法を説明する。ただし、ここで説明する組み立て方法は、例示であり、各部の折り曲げ順序や折り曲げ方向、貼り合わせ順序等は適宜変更することができる。
【0058】
まず、図12(a)に示すブランク33を作製する。次に、第1折り曲げ片41の第2部分を第3折り曲げ線45に沿って表面側に谷折りに折り返し、図12(b)の状態とする。次に、折り曲げ片34を罫線51に沿って裏面側に山折りに折り返し、第1折り曲げ片41を第1折り曲げ線43に沿って裏面側に山折りに折り返し、更に、第2折り曲げ片42を第2折り曲げ線44に沿って裏面側に山折りに折り返し、図13の状態とする。次に、図13に示す罫線53に沿って側面パネル3を裏面側に山折りに折り返し、接着剤等を介して、第1折り曲げ片41の第2部分47を第2折り曲げ片42に貼り合わせると共に、折り曲げ片34を側面パネル3の内面に貼り合わせる。また、側面パネル2及び3の上端縁の幅方向全体に沿う帯状の部分の内面同士を貼り合わせてシール部5を形成する。貼り合わせ箇所は、図13にハッチングで示す領域の裏面である。以上の工程により、側面パネル3に接続された第1折り曲げ片41と、側面パネル2に接続された第2折り曲げ片42とが、スリーブ8内に折り込まれ、図11(b)に示すように、第1折り曲げ片41の第2部分47と、第2折り曲げ片42の一部とが貼り合わされた状態となる。このように構成することで、図11(b)に示すように、第2折り曲げ片42の端部が、開口部7が形成された第1折り曲げ片41の第1部分46よりも、包装容器1の内側(シール部5側)に突出した状態となっている。
【0059】
本実施形態に係る包装容器1の使用方法は、第1及び第2の実施形態と同様であり、開口部7(図11(c)参照)に物品9を挿入し、凸片6を撓ませながらスリーブ8内に押し込む。第2の実施形態と同様に、物品9が開口部7を通過したあと、更に物品9をシール部5側に押し込むことにより、物品9の端面が第2折り曲げ片42上に乗り上げる。したがって、本実施形態によれば、第2折り曲げ片42と、第1折り曲げ片21に設けられた開口部7の凸片6とにより、物品9の外部への脱落がより防止された包装容器1を得ることができる。
【0060】
(その他の変形例)
上記の第1の実施形態では、シール部5を含む部分を折り曲げるための第1罫線19をシール部5と未シール部との境界線(弱化線17aと重なる線)上に形成した例を説明したが、第1罫線19は、側面パネル2の幅方向と平行に、かつ、切り取り部18と重なる領域に形成されていれば良い。
【0061】
上記の第1の実施形態において、折り曲げ片11は、側面パネル2と一体的に設けられているが、側面パネル3と一体的に設け、側面パネル2の内面に貼り合わせても良い。
【0062】
上記の第2の実施形態において、第1折り曲げ片21を側面パネル2と一体的に設け、第2折り曲げ片22を側面パネル3と一体的に設けても良い。同様に、上記の第2の実施形態において、第1折り曲げ片41を側面パネル2と一体的に設け、第2折り曲げ片42を側面パネル3と一体的に設けても良い。
【0063】
また、上記の各実施形態において、必要に応じて、側面パネル2または3に窓部を設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、スティック状の内容物を包装するための包装容器として利用できる。
【符号の説明】
【0065】
1 包装容器
2 側面パネル
3 側面パネル
4 底面パネル
5 シール部
6 凸片
7 開口部
8 スリーブ
11 折り曲げ片
12 第1折り曲げ線
13 第2折り曲げ線
14 第1部分
15 第2部分
16 切り込み
17a、17b 弱化線
18 切り取り部
19 第1罫線
20a~20e 第2罫線
21 第1折り曲げ片
22 第2折り曲げ片
23 第1折り曲げ線
24 第2折り曲げ線
25 第3折り曲げ線
26 第1部分
27 第2部分
41 第1折り曲げ片
42 第2折り曲げ片
43 第1折り曲げ線
44 第2折り曲げ線
45 第3折り曲げ線
46 第1部分
47 第2部分
100 包装体
200 包装体
300 包装体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13