(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126305
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】スライドスイッチ機構、スライドスイッチ、及びそれを備える操作レバー装置
(51)【国際特許分類】
G05G 1/08 20060101AFI20240912BHJP
H01H 9/02 20060101ALI20240912BHJP
G05G 1/02 20060101ALI20240912BHJP
G05G 5/05 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G05G1/08 Z
H01H9/02 A
G05G1/02 D
G05G5/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034599
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】安永 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】清水 博明
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 匠
【テーマコード(参考)】
3J070
5G052
【Fターム(参考)】
3J070AA03
3J070AA05
3J070BA05
3J070BA09
3J070BA51
3J070BA81
3J070CB01
3J070CB37
3J070CC71
3J070CD12
3J070CD15
3J070CE01
3J070DA03
3J070DA21
5G052AA40
5G052BB04
5G052HA01
5G052HC06
(57)【要約】
【課題】部品点数が少なく、且つスライド部材の組付けが容易であるスライドスイッチ機構を提供する。
【解決手段】スライドスイッチ機構は、ハウジング本体と開口部と内側カバー部とを有するハウジングと、スライド本体と操作部とを含むスライド部材とを備え、ハウジング本体は、所定方向において第1ハウジング部と第2ハウジング部とに分割可能に構成され、第1ハウジング部は、開口部及び内側カバー部が形成されると共に開口部から周方向一方側に延在する挿通路が形成される本体部分と、挿通路を塞ぐように本体部分に取り付けられる蓋部分とを有し、第2ハウジング部は、第1ハウジング部に所定方向他方側から組付けられ、スライド部材は、蓋部分が本体部分から取り外された状態で、操作部に挿通路を周方向一方側から通過させて第1ハウジング部に組付けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空に形成されるハウジング本体と、前記ハウジング本体の所定方向一方側にある天井部分に形成される開口部と、前記天井部分に対向させるように前記ハウジング本体内に形成され且つ前記ハウジング本体内を通る回動軸線を中心として周方向に延在する円弧状の内側カバー部とを有するハウジングと、
前記内側カバー部と前記天井部分との間で回動軸線まわりに回動可能に配置されるスライド本体と、前記開口部の所定方向一方側に突き出るように前記スライド本体に設けられている操作部と、を含むスライド部材と、を備え、
前記ハウジング本体は、所定方向において第1ハウジング部と第2ハウジング部とに分割可能に構成され、
前記第1ハウジング部は、前記開口部及び前記内側カバー部が形成されると共に前記開口部から周方向一方側に延在する挿通路が形成される本体部分と、前記挿通路を塞ぐように本体部分に取り付けられる蓋部分とを有し、
前記第2ハウジング部は、前記第1ハウジング部に所定方向他方側から組付けられ、
前記スライド部材は、前記蓋部分が前記本体部分から取り外された状態で、前記操作部に前記挿通路を周方向一方側から通過させて前記第1ハウジング部に組付けられるスライドスイッチ機構。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記ハウジング本体内において前記内側カバー部によって所定方向一方側から覆われ且つ所定の回動軸線周りに形成される軸支部を更に含み、
前記スライド部材は、回動軸線を中心に回動可能に前記軸支部に軸支され且つ前記スライド本体と互いに連動して回動する軸部を更に含み、
前記軸支部は、前記第1ハウジング部の本体部分に形成される第1部分と、前記第2ハウジング部に形成される第2部分とを有している、請求項1に記載のスライドスイッチ機構。
【請求項3】
前記操作部は、前記スライド部材が周方向に所定の制限角度まで回動すると、前記開口部の周方向の縁部分に当接する、請求項2に記載のスライドスイッチ機構。
【請求項4】
前記内側カバー部及び前記スライド本体は、それらの間にラビリンスを形成している、請求項1に記載のスライドスイッチ機構。
【請求項5】
前記内側カバー部は、周方向に延在し且つ前記スライド本体に向かって突出する第1突条を有し、
前記スライド本体は、周方向に延在し且つ前記内側カバー部に向かって突出する第2突条を有し、
前記第1突条及び前記第2突条は、軸方向に互いに間隔をあけ且つ隣り合うように配置されることによって前記ラビリンスを形成する、請求項4に記載のスライドスイッチ機構。
【請求項6】
前記スライド本体は、軸方向両側面において内周縁部分より軸方向に幅広に形成される外周縁部分を有し、
前記スライド本体の外周縁部分は、前記開口部において所定方向一方側に表出して前記開口部の軸線方向両側の外縁部分を覆っている、請求項1に記載のスライドスイッチ機構。
【請求項7】
請求項1に記載のスライドスイッチ機構と、
前記スライド部材の回動量を検出するセンサ機構と、を備え、
前記スライドスイッチ機構は、所定の中立位置から回動する前記スライド部材を周方向に付勢して前記スライド部材を中立位置に戻す付勢部材を更に含む、スライドスイッチ。
【請求項8】
所定方向に延在し、且つ所定方向一方側を枢支される操作レバーと、
請求項7に記載のスライドスイッチとを備え、
前記スライドスイッチは、前記操作レバーの所定方向他方側に配置されている、操作レバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スライド操作可能なスライドスイッチ機構、及びスライドスイッチ、及びそれを備える操作レバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の操作レバー及びその他の様々な機器においてスライドスイッチが用いられている。スライドスイッチの一例として、例えば特許文献1の回転制御装置が知られている。特許文献1の回転制御装置では、移動作動部が軸を中心に回転可能(即ち、スライド操作可能)に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の回転制御装置は、それ自体に移動作動部を囲う部材を有しておらず、回転制御装置をハンドルに取り付けることによって移動作動部が覆われる。それ故、回転制御装置では、ケーシングがハンドルと別体で構成されている。また、回転制御装置では、軸及び移動作動部もまた別体で構成されている。それ故、回転制御装置の部品点数が多くなっている。他方、部品点数を少なくするために、構成部品の一部を一体化する、例えばハウジングの上側部分とハンドルとを一体化することが考えられる。しかし、一体化した場合、以下のような事態が生じる。即ち、ハウジングの上側部分とハンドルとの間に移動作動部材を回して入れる必要がある。他方、移動作動部材に突起状の操作部が形成されているので、回し入れる際に操作部がハンドルに当たることになる。それ故、移動作動部材(即ち、スライド部材)のケーシング(即ちハウジング)への組付けが容易ではない。
【0005】
そこで本開示は、部品点数が少なく、且つスライド部材の組付けが容易であるスライドスイッチ機構、スライドスイッチ、及び操作レバー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のスライドスイッチ機構は、中空に形成されるハウジング本体と、前記ハウジング本体の所定方向一方側にある天井部分に形成される開口部と、前記天井部分に対向させるように前記ハウジング本体内に形成され且つ前記ハウジング本体内を通る回動軸線を中心として周方向に延在する円弧状の内側カバー部とを有するハウジングと、前記内側カバー部と前記天井部分との間で回動軸線まわりに回動可能に配置されるスライド本体と、前記開口部の所定方向一方側に突き出るように前記スライド本体に設けられている操作部と、を含むスライド部材と、を備え、前記ハウジング本体は、所定方向において第1ハウジング部と第2ハウジング部とに分割可能に構成され、前記第1ハウジング部は、前記開口部及び前記内側カバー部が形成されると共に前記開口部から周方向一方側に延在する挿通路が形成される本体部分と、前記挿通路を塞ぐように本体部分に取り付けられる蓋部分とを有し、前記第2ハウジング部は、前記第1ハウジング部に所定方向他方側から組付けられ、前記スライド部材は、前記蓋部分が前記本体部分から取り外された状態で、前記操作部に前記挿通路を周方向一方側から通過させて前記第1ハウジング部に組付けられる。
【0007】
本開示のスライドスイッチ機構に従えば、第1ハウジング部の本体部分には、開口部から周方向一方側に延在する挿通路が形成されている。そして、スライド部材は、蓋部分が本体部分から取り外された状態で、操作部に挿通路を周方向一方側から通過させて第1ハウジング部に組付けられる。従って、スライド部材は、例えば以下のようにしてハウジングに組み付けられる。即ち、スライド部材が内側カバー部に沿って回動軸線まわりに回すようにしてハウジングに組み付けられる。つまり、スライド部材が内側カバー部に沿って周方向他方に回されると、操作部が挿通路を通って開口部の方に送られる。その後、蓋部分が本体部分に取り付けられて挿通路が塞がれる。更に、第1ハウジング部に第2ハウジング部が所定方向他方側から組付けられる。このように、スライド部材をハウジングに組み付けることができるので、スライド部材が操作部を有するスライドスイッチ機構に関して、部品点数の増加を抑制しつつ容易に組み立てることができる。即ち、内側カバー部を第1ハウジング部に形成することによって部品点数の増加が抑えられつつ、スライド部材が操作部を有するスライドスイッチ機構を容易に組み立てることができる。
【0008】
本開示のスライドスイッチは、前述するスライドスイッチ機構と、前記スライド部材の回動量を検出するセンサ機構と、を備え、前記スライドスイッチ機構は、所定の中立位置から回動する前記スライド部材を周方向に付勢して前記スライド部材を中立位置に戻す付勢部材を更に含む、スライドスイッチ。
【0009】
本開示のスライドスイッチに従えば、スライドスイッチは、ばね部材を更に含む前述するスライドスイッチ機構と、センサ機構とを備える。それ故、前述するような機能を有するスライドスイッチを実現することができる。
【0010】
本開示の操作レバー装置は、所定方向に延在し、且つ所定方向一方側を枢支される操作レバーと、前述するライドスイッチとを備え、前記スライドスイッチは、前記操作レバーの所定方向他方側に配置されている、操作レバー装置。
【0011】
本開示の操作レバー装置に従えば、操作レバー装置は、操作レバーの所定方向他方側に配置される前述するスライドスイッチを備えている。それ故、前述する機能を有する操作レバー装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示のスライドスイッチ機構、スライドスイッチ、及び操作レバー装置によれば、部品点数が少なく、且つスライド部材の組付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態のスライドスイッチを備える操作レバー装置を示す斜視図
【
図2】
図1のスライドスイッチを示す斜視図である。
【
図3】
図2のスライドスイッチを切断面Xで切断して示す断面図である。
【
図4】スライドスイッチを
図3に示す切断線IV-IVで切断して示す断面図である。
【
図5】
図2のスライドスイッチを分解して示す分解図である。
【
図6】
図2のスライドを所定方向一方から見た平面図である。
【
図7】スライドスイッチにおいて、操作部を所定制限角度まで回動させた状態を
図3に示す切断線VI-VIで切断して示す断面図である。
【
図8】第1ハウジング部の本体部分にスライド部材を組み入れる際の各状態を示す断面図である。
【
図9】第1ハウジング部の本体部分に蓋部分を取り付ける際の各状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示に係る実施形態のスライドスイッチ1、スライドスイッチ機構11、及び操作レバー装置2について前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明するスライドスイッチ1、スライドスイッチ機構11、及び操作レバー装置2は、本開示の一実施形態に過ぎない。従って、本開示は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0015】
<操作レバー装置>
図1に示す操作レバー装置2は、例えばショベルやクレーン等の建設車両及びフォークリフト等の産業車両等の作業車両に備わっている。操作レバー装置2は、作業車両の運転席等に設けられている。より詳細に説明すると、操作レバー装置2は、キャビンに備わる図示しない基台に枢支されている。そして、作業車両の運転者等の操作者は、操作レバー装置2を把持して動かすことによって作業車両の各種構成を操作することができる。操作レバー装置2は、操作レバー5と、複数のスイッチ6~9と、スライドスイッチ1とを備えている。
【0016】
操作レバー5は、所定方向に延在する中空の棒状部材であって、操作レバー5は、把持可能に構成されている。また、操作レバー5は、所定方向一方側の部分(本実施形態において、所定方向一端部)を図示しない基台に枢支されている。そして、操作レバー5は、種々の方向(例えば前後左右を含む全方向)に傾倒操作される。
【0017】
複数のスイッチ6~9は、操作レバー5の所定方向他方側に配置されている。本実施形態では、4つのスイッチ6~9が操作レバー5の所定方向他端部に配置されている。4つのスイッチ6~9は、例えばボタンスイッチであって、操作レバー5の所定方向他端部において2列に並べて配置されている。4つのスイッチ6~9の各々は、押される(即ち、操作される)ことによって信号を出力する。
【0018】
<スライドスイッチ>
スライドスイッチ1もまた操作レバー5の所定方向他方側に配置されている。本実施形態において、スライドスイッチ1は、4つのスイッチ6~9に対してそれらの列方向一方側に配置されている。スライドスイッチ1は、磁気スイッチであって、以下のように構成されている。
【0019】
即ち、
図2に示すようにスライドスイッチ1は、スライド操作可能に構成されている(矢印A参照)。そして、スライドスイッチ1は、スライド操作されると信号を出力する。スライドスイッチ1は、
図3に示すようにスライドスイッチ機構11と、センサ機構12とを備えている。
【0020】
<スライドスイッチ機構>
スライドスイッチ機構11は、
図2に示すようにスライド操作可能に構成されている(矢印A参照)。そして、スライドスイッチ機構11は、
図3乃至
図5に示すようにハウジング15と、スライド部材16と、ばね部材17を備えている。
【0021】
<ハウジング>
ハウジング15は、センサ機構12、スライド部材16及びばね部材17を収容する。そして、ハウジング15は、ハウジング本体18と、開口部19と、軸支部20と、内側カバー部21とを含んでいる。
【0022】
ハウジング本体18は、中空に形成されている。ハウジング本体18は、例えば所定方向に高さを有する直方体の箱状に形成されている。また、ハウジング本体18は、
図5に示すように第1ハウジング部31と第2ハウジング部32とを有している。第1ハウジング部31は、ハウジング本体18の所定方向一方側を成している。また、第2ハウジング部32は、ハウジング本体18の所定方向他方側を成している。そして、ハウジング本体18は、所定方向(本実施形態では上下方向)において、第1ハウジング部31と第2ハウジング部32とに分割可能に構成されている。
【0023】
更に詳細に説明すると、第1ハウジング部31は、所定方向他方側が開口する中空の直方体状に形成されている。第2ハウジング部32は、少なくとも所定方向一方側が開口する中空の直方体状に形成されている。第2ハウジング部32は、所定方向他方側から第1ハウジング部31に組み付けることができる。そして、第1ハウジング部31に第2ハウジング部32は、組み付けられることによって互いに係合してハウジング本体18を構成する。
【0024】
開口部19は、
図2に示すようにハウジング本体18の所定方向一方側にある端部である天井部分(本実施形態において、上端部)18aに形成されている。より詳細に説明すると、開口部19は、第1ハウジング部31の天井部分(本実施形態において、上端部)31aに形成されている。また、開口部19は、天井部分31aにおいて長手方向(又は後で詳述する周方向)に延在している。本実施形態において、開口部19は、
図6に示すように所定方向一方側から見た平面視で例えば矩形状に形成されている。
【0025】
軸支部20は、
図3及び
図4に示すようにハウジング本体18内において所定の回動軸線L1周りに形成されている。回動軸線L1は、ハウジング本体18内を通る軸線である。より詳細に説明すると、回動軸線L1は、所定方向に直交する方向に延在する軸線である。本実施形態において、回動軸線L1は、ハウジング本体18の中心を通り且つ短手方向に延在している。また、軸支部20は、以下のように構成されている。
【0026】
即ち、軸支部20は、後で詳述する軸部25が挿通される。そして、軸支部20は、回動軸線L1まわりに回動可能に軸部25を軸支する。本実施形態では、軸支部20は、軸部25の軸方向両端部を軸支している。また、軸支部20は、第1ハウジング部31に形成される第1部分20aと、第2ハウジング部32に形成される第2部分20bとを有している。第1部分20a及び第2部分20bは、回動軸線L1周りに円弧状に夫々形成され、且つ回動軸線L1の所定方向一方側及び他方側に夫々配置されている。そして、第1部分20a及び第2部分20bは、所定方向に互いに対向するように配置されている。それ故、第1部分20a及び第2部分20bは、第1ハウジング部31に第2ハウジング部32を組み付けた際に軸支部20を構成する。
【0027】
内側カバー部21は、天井部分18aに対向させるようにハウジング本体18内に形成されている。より詳細に説明すると、内側カバー部21は、天井部分31aに対向させるように第1ハウジング部31内に形成されている。本実施形態において、内側カバー部21は、開口部19に対向するように配置されている。また、内側カバー部21は、回動軸線L1を中心とする周方向に延在する円弧状になっている。更に詳細に説明すると、内側カバー部21は、例えば半円状に形成されている。なお、内側カバー部21は、半円に限定されない。そして、内側カバー部21は、軸支部20を所定方向一方側から覆っている。これにより、内側カバー部21は、開口部19から入り込むコンタミから軸支部20を保護している。また、内側カバー部21は、後で詳述する挿通溝21aが形成されている。
【0028】
また、内側カバー部21は、ハウジング本体18の天井部分18aに対向させるように第1ハウジング部31内に形成されることによって、以下のようなスライド空間22を形成している。スライド空間22は、ハウジング本体18の天井部分18aと内側カバー部21との間に形成される空間であって、回動軸線L1を中心とする円弧状に形成されている。本実施形態において、スライド空間22は、半円状に形成されている。また、スライド空間22は、所定方向一方側において開口部19と繋がっている。そしてスライド空間22は、少なくとも一部分が開口部19を介して外方に臨んでいる。
【0029】
<スライド部材>
スライド部材16は、回動軸線L1まわりに回動可能にハウジング本体18内に配置されている。より詳細に説明すると、スライド部材16は、回動軸線L1まわりに回動可能にハウジング本体18の天井部分18aと内側カバー部21との間、即ちスライド空間22に配置されている。また、スライド部材16は、親指等の指を押し当てることができる。そして、スライド部材16は、指によって押し引きする(即ち、スライド操作される)ことによって、回動軸線L1まわりに回動する(即ち、スライドする)。スライド部材16は、軸部25と、スライド本体26と、操作部27とを有している。
【0030】
軸部25は、回動軸線L1を中心に回動可能に軸支部20に軸支されている。軸部25は、例えば円柱状に形成されている。そして、軸部25は、軸支部20に挿通されて軸支されている。より詳細に説明すると、軸部25は、本実施形態において軸方向両端部に軸受29が夫々嵌装されている。そして、軸部25の軸方向両端部が軸受29を介して軸支部20に軸支されている。それ故、軸部25は、回動軸線L1まわりに回動することができる。また、軸部25は、後で詳述するようにスライド本体26と互いに連動して回動軸線L1まわりに回動する。
【0031】
スライド本体26は、スライド空間22において回動軸線L1まわりに回動可能に配置される。より詳細に説明すると、スライド本体26は、内側カバー部21と同じように周方向に延在する円弧状に形成されている。そして、スライド本体26は、本実施形態において開口部19から一部分を突き出させるようにしてスライド空間22に挿通されている。そして、スライド本体26は、スライド空間22内において回動軸線L1を中心に回動する。なお、スライド本体26は、スライド空間22において内側カバー部21に対して径方向に隙間22aを空けて配置されている。また、スライド本体26は、スライド空間22より周方向一方及び他方に延在している。即ち、スライド本体26は、内側カバー部21より大きい中心角を有する円弧状に形成されている。
【0032】
更に、スライド本体26は、回動することによって軸部25を回動させる。より詳細に説明すると、スライド本体26は、連結部28を介して軸部25と繋がっている。本実施形態において、連結部28は、例えば軸部25からスライド本体26に向かって径方向外方に延在している。そいて、連結部28は、軸部25とスライド本体26とを連結している。また、内側カバー部21には、連結部28に対応する位置に挿通溝21aが形成されている。挿通溝21aは、例えば内側カバー部21の周方向一端から他端まで周方向に延在している。連結部28は、挿通溝21aに挿通され、且つ挿通溝21aにおいて周方向に移動することができる。これにより、スライド本体26が回動すると、連結部28を介して軸部25が回動する。また、連結部28は、挿通溝21aとの間が狭くなるように形成されている。より詳細に説明すると、連結部28の幅(本実施形態において、軸線方向であって短手方向の長さ)が挿通溝21aの幅と略同じに形成されている。これにより、連結部28と挿通溝21aとの間の隙間が小さくなっている。
【0033】
また、スライド本体26は、ハウジング本体18の天井部分18aとの間が狭くなるように配置されている。より詳細に説明すると、ハウジング本体18の天井部分18aの内周面は、回動軸線L1を中心とする曲面で形成されている。そして、スライド本体26の外径は、天井部分18aの内周面の曲率半径と略同じに形成されている。それ故、スライド本体26と天井部分18aとの間の隙間が小さくなっている。
【0034】
また、スライド本体26は、
図3に示すように軸方向両側面において内周縁部分26aより軸方向に幅広に形成される外周縁部分26bを有している。スライド本体26の外周縁部分26bは、開口部19において所定方向一方側に表出している。即ち、スライド本体26は、外周縁部分26bを開口部19から所定方向一方に突き出させている(
図2及び
図4も参照)。そして、スライド本体26の外周縁部分26bは、開口部19の軸線方向両側の外縁部分19a,19bを覆っている。これにより、スライド本体26と外縁部分19a,19bとの間に埃等のコンタミが入り込むことが抑制される。
【0035】
操作部27は、スライド部材16を操作するためのものである。操作部27は、スライド本体26に設けられている。より詳細に説明すると、操作部27は、スライド本体26の周方向中間部分から径方向外方に突出している。そして、操作部27は、開口部19の所定方向一方側に突き出ている。それ故、操作部27は、親指等の指を押し当てることができる。そして、操作部27は、押し当てた指を押し引きすることによって、スライド本体26を回動軸線L1まわりに回動させることができる。
【0036】
また、操作部27は、
図7に示すようにスライド部材16が回動軸線L1まわりにおいて所定の制限角度α回動すると、開口部19の周方向両側に夫々ある縁部分19c,19dに当接するようになっている。他方、スライド本体26は、回動軸線L1まわりに所定の制限角度α回動する際にスライド部材16がハウジング15の他の部分、例えば軸支部20の第2部分20bに当たらない。これにより、開口部19の縁部分19c,19dがストッパの役割を果たす。そうすると、スライド部材16の回動を規制する際に力点となる操作部27と支点となる縁部分19c,19dとの距離l1が作用点となる軸部25と縁部分19c,19dとの距離l2よりも小さくなる。それ故、軸部25に作用する荷重を抑えることができる。
【0037】
<ラビリンス>
また、スライドスイッチ機構11では、
図3の拡大図に示すように内側カバー部21とスライド本体26とがそれらの間(即ち、隙間22a)にラビリンス30を形成している。ラビリンス30は、例えば内側カバー部21とスライド本体26との間の空間を所定方向に蛇行するように形成されている。より詳細に説明すると、内側カバー部21は複数の第1突条21bを有し、またスライド本体26は複数の第2突条26cを有している。本実施形態において、内側カバー部21は4つの第1突条21bを有し、またスライド本体26は2つの第2突条26cを有している。そして、ラビリンス30は、第1突条21bと第2突条26cとによって形成されている。以下では、各突条21b、26cが更に詳細に説明される。
【0038】
第1突条21bは、内側カバー部21においてスライド本体26に対向する面に形成されている。そして、第1突条21bは、挿通溝21aの軸方向両側に2つずつ配置され、且つ軸方向に互いに間隔をあけて配置されている。そして、第1突条21bは、周方向に延在し且つスライド本体26に向かって突出している。第2突条26cは、スライド本体26において内側カバー部21に対向する面に形成されている。第2突条26cは、第1突条21bと軸方向に互いに間隔をあけ且つ隣り合うように配置されている。第2突条26cは、例えば4つの第1突条21bを軸方向一方及び他方から夫々挟むように配置されている。本実施形態において、第2突条26cは、例えばスライド本体26の軸方向両端部に形成されている。なお、第2突条26cは、隣り合う2つの第1突条21bの間に配置されてもよい。第2突条26cは、周方向に延在し且つ内側カバー部21に向かって突出している。それ故、隣接する第1突条21bと第2突条26cによって、内側カバー部21とスライド本体26との間の空間が蛇行するように形成される、即ち内側カバー部21とスライド本体26との間にラビリンス30が形成される。これにより、内側カバー部21とスライド本体26との間を通るコンタミをそこで留める、つまり挿通溝21aまで達することが抑制されている。また、内側カバー部21が円弧状に形成されている。それ故、ラビリンス30にて留めたコンタミは、スライド本体26が回動された際に内側カバー部21に沿って所定方向一方又は他方に落とされる。これにより、コンタミが挿通溝21aまで達することが更に抑制されている。
【0039】
更に、第1ハウジング部31は、以下のように構成されている。即ち、第1ハウジング部31は、
図5に示すように本体部分31bと、蓋部分31cとを有している。本体部分31bには、開口部19、軸支部20、及び内側カバー部21が夫々形成されている。そして、本体部分31bは、例えば所定方向一方側から見た平面視でU字状に形成されている。より詳細に説明すると、開口部19は、本体部分31bの天井部分31aに形成され、軸支部20及び内側カバー部21は、本体部分31b内に夫々形成されている。更に本体部分31bには、挿通路33が形成されている。
【0040】
挿通路33は、開口部19から周方向一方側に延在している。そして、挿通路33は、周方向一方側から操作部27を通せるように形成されている。より詳細に説明すると、挿通路33は、開口部19から第1ハウジング部31の天井部分31aを通ってハウジング本体18の側面31dまで延在している。そして、挿通路33は、第1ハウジング部31の側面31dにおいて所定方向一方に開口している。それ故、本体部分31bは、所定方向一方側から見た平面視で周方向一方側に開口するU字状に形成されている。蓋部分31cは、挿通路33を塞ぐように本体部分31bに取り付けられる(
図2参照)。また、蓋部分31cは、着脱可能に本体部分31bに取り付けられる。挿通路33は、蓋部分31cが本体部分に取り付けられていない状態において塞がれていない、即ち開いている。それ故、操作部27は、挿通路33を通過することができる。従って、スライド部材16は、蓋部分31cが本体部分31bから取り外された状態で操作部27に挿通路33を周方向一方側から通過させて、第1ハウジング部31に組付けられる。
【0041】
<ばね部材>
図4に示す付勢部材の一例であるばね部材17は、所定の中立位置から回動するスライド部材16を周方向一方及び他方の何れかに付勢する。これにより、スライド部材16は、ばね部材17によって中立位置に戻される。中立位置は、操作部27が所定の姿勢となるようなスライド部材16の位置である。本実施形態において、中立位置は、操作部27が所定方向一方に直立している状態である。但し、中立位置は、前述するような姿勢に限定されず、操作部27が傾倒している状態であってもよい。また、中立位置は、操作部27の姿勢に限定されず、操作部27の周方向位置によって規定されてもよい。
【0042】
ばね部材17は、本実施形態においてねじりコイルばねである。そして、ばね部材17は、例えばコイル17aと一対のアーム17b,17bを有している。ばね部材17は、コイル17aを軸部25に外装させている。一対のアーム17b,17bは、コイル17aから所定方向他方に延在している。また、一対のアーム17b,17bは、互いに周方向に間隔をあけるように配置されている。スライド部材16には、一対のアーム17b,17bに対応させるように可動部35が形成されている。また、第2ハウジング部32には、一対のアーム17b,17bに対応させるように固定部36が形成されている。そして、可動部35及び固定部36は、共に一対のアーム17b,17bの間に配置されている。
【0043】
このように構成されるばね部材17は、以下のように作動する。即ち、ばね部材17では、スライド部材16が周方向一方に回動すると、可動部35によって一方のアーム17bが周方向一方に移動させられる。他方、他方のアーム17bが固定部36によって固定される。これにより、ばね部材17は、スライド部材16に対して中立位置に戻すような付勢力を生じる。同様に、スライド部材16が周方向他方に回動すると、可動部35によって他方のアーム17bが周方向他方に移動させられる。他方、一方のアーム17bが固定部36によって固定される。これにより、ばね部材17は、スライド部材16に対して中立位置に戻すような付勢力を生じる。このように、ばね部材17は、スライド部材16が周方向一方及び他方の何れの方向に回動される場合でも、スライド部材16に中立位置に戻すような付勢力を生じる。
【0044】
<センサ機構>
図3に示すセンサ機構12は、スライド部材16の操作量、即ち回動量(例えば、中立位置からの角度)を検出する。そして、センサ機構12は、検出した回動量に応じた信号を出力する。センサ機構12は、本実施形態においてマグネット式の回転角センサである。センサ機構12は、例えば磁石12aと検出部12bとを有している。但し、センサ機構12は、マグネット式の回転角センサ以外の回転角センサであってもよい。磁石12aは、軸部25に埋設されている。検出部12bは、ハウジング本体18(より詳細に説明すると、第2ハウジング部32内)に組み込まれている。磁石12a及び検出部12bは、共に回動軸線L1上に配置される。そして、検出部12bは、軸部25が回動する際の磁石12aの磁界の変化に基づいて軸部25の回動量(即ち、各変位量)を検出する。そして、検出部12bは、軸部25の回動量を出力する。
【0045】
<スライドスイッチの組立方法>
以下では、スライドスイッチ1の組立方法が説明される。まず、スライドスイッチ1では、軸部25に磁石12aが埋設される。また、第2ハウジング部32内には検出部12bが組み込まれる。なお、磁石12aの埋設及び検出部12bの組み込みは、以下で説明する組立作業の途中に行われてもよい。埋設及び組付けの作業が終了すると、スライドスイッチ1は、例えば以下のようにして組み立てられる。
【0046】
まず、第1ハウジング部31の本体部分31bにスライド部材16が組み入れられる。より詳細に説明すると、まず、本体部分31bにスライド部材16を組み入れるべく、スライド部材16の軸部25が所定方向他方側から第1部分20aに押し当てられる(
図8の実線参照)。これにより、例えばスライド本体26の周方向他方側の端部が本体部分31b内に入れられる。即ち、スライド本体26の周方向他方側の端部が本体部分31bの所定方向他方側にある開口部分から本体部分31b内に入れられる。そうすると、スライド本体26の周方向他方側の端部が内側カバー部21の周方向一方側の端部に被さる。そして、スライド本体26が軸部25を中心に周方向他方に回わされる(
図8の矢印B参照)。そうすると、スライド本体26の周方向他方側の端部が内側カバー部21に沿って周方向他方に移動する。
【0047】
スライド部材16が回されると、やがて操作部27が挿通路33に入る(
図8の一点鎖線参照)。更に回し続けられると、スライド本体26の周方向他方側の端部が内側カバー部21と天井部分31aとの間に挿入される。その後も回し続けられると、やがて操作部27が挿通路33から脱する。つまり、操作部27が開口部19に達する(
図8の二点鎖線参照)。操作部27が開口部19に達すると、蓋部分31cが本体部分31bに取り付けられる(
図9の一点鎖線参照)。即ち、挿通路33が塞がれる。このようにして第1ハウジング部31にスライド部材16が組み入れられる。更に、スライド部材16が組み入れられた後、ばね部材17が軸部25に取り付けられる。この際、ばね部材17の一対のアーム17b,17bの中に可動部35が入れられる。
【0048】
第1ハウジング部31にスライド部材16が組み入れられると、次に第1ハウジング部31に第2ハウジング部32が組付けられる(
図4参照)。この際、第2ハウジング部32は、ばね部材17の一対のアーム17b,17bの中に固定部36を入れるようにして第1ハウジング部31に所定方向他方側から組付けられる。これにより、スライドスイッチ機構11が組み立てられる。即ち、スライドスイッチ1が組み立てられる。
【0049】
このようにして組み立てられたスライドスイッチ1は、前述の通り操作レバー装置2に備わっている。操作レバー装置2では、操作者によって例えば操作レバー5の上下方向中間部分が把持される。そして、操作レバー5は、図示をしない基台を支点に360度全方向に傾倒される。また、操作レバー装置2において、各スイッチ1,6~9は例えば操作者の親指で操作される。例えば、スイッチ6~9は、親指で操作される(例えば押される)。そうすると、スイッチ6~9は、信号を出力する。他方、スライドスイッチ1は、以下のように操作される。
スライド部材16の操作部27に親指等の指を押し当てる。そして、操作部27を指で押し引きすることによって、スライド部材16が周方向一方又は他方に回動させられる(
図2の矢印A参照)。そうすると、軸部25に設けられる磁石12aの磁界が変化する。これにより、検出部12bがスライド部材16の回動量に応じた信号を出力する。即ち、センサ機構12によってスライド部材16の回動量に応じた信号が出力される。
【0050】
本実施形態のスライドスイッチ機構11において、第1ハウジング部31の本体部分31bには開口部19から周方向一方側に延在する挿通路33が形成されている。そして、スライド部材16は、蓋部分31cが本体部分31bから取り外された状態で、操作部27に挿通路33を周方向一方側から通過させて第1ハウジング部31に組付けられる。従って、スライド部材16は、例えば以下のようにしてハウジング15に組み付けられる。即ち、スライド部材16が内側カバー部21に沿って回動軸線L1まわりに回すようにしてハウジング15に組み付けられる。つまり、スライド部材16が内側カバー部21に沿って周方向一方に回されると、操作部27が挿通路33を通って開口部19の方に送られる。その後、蓋部分31cが本体部分31bに取り付けられて挿通路33が塞がれる。更に、第1ハウジング部31に第2ハウジング部32が所定方向他方側から組付けられる。このように、スライド部材16をハウジング15に組み付けることができるので、スライド部材16が操作部27を有するスライドスイッチ機構11に関して、部品点数の増加を抑制しつつ容易に組み立てることができる。即ち、内側カバー部21を第1ハウジング部31に形成することによって部品点数の増加が抑えられつつ、スライド部材16が操作部27を有するスライドスイッチ機構11を容易に組み立てることができる。
【0051】
また、本実施形態のスライドスイッチ機構11において、スライド部材16は、回動軸線L1を中心に回動可能に軸支部20に軸支され且つスライド本体26と互いに連動して回動する軸部25を更に含む。また、軸支部20は、第1ハウジング部31の本体部分31bに形成される第1部分20aと、第2ハウジング部32に形成される第2部分20bを有している。それ故、スライド部材16を第1ハウジング部31に組付ける際、軸部25を第1部分20aに当てた状態でスライド部材16を回動軸線L1まわりに回動させることができる。従って、スライド部材16を内側カバー部21に沿って容易に回すことができるので、スライド部材16を第1ハウジング部31に容易に組み付けることができる。
【0052】
更に、本実施形態のスライドスイッチ機構11において、操作部27は、周方向に所定の制限角度αまで回動すると、開口部19の周方向の縁部分19c,19dに当接するようになっている。即ち、縁部分19c,19dがスライド部材16の回動を規制すべくストッパの役割を果たす。そうすると、スライド部材16の回動が規制される際に軸部25に作用する荷重を抑えることができる。即ち、力点となる操作部27と支点となる縁部分19c,19dとの距離l1を小さくし、作用点となる軸部25と縁部分19c,19dとの距離l2を大きくすることができる。具体的に説明すると、軸部25を固定部36に当てる場合、作用点と支点との距離l3より距離l2の方が大きくなるので、軸部25に作用する荷重を抑えることができる。
【0053】
更に、本実施形態のスライドスイッチ機構11において、内側カバー部21及びスライド本体26の間にラビリンス30が形成されている。それ故、内側カバー部21及びスライド本体26の間にコンタミを留めることができる。また、スライドスイッチ機構11では、留めたコンタミを内側カバー部21に沿って第2ハウジング部32の方に導くことができる。これにより、軸部25から遠ざけることができる。従って、コンタミが軸部25と軸支部20との間に入り込んで、軸部25が動きにくくなることを抑制することができる。
【0054】
更に、本実施形態のスライドスイッチ機構11において、内側カバー部21の第1突条21bとスライド本体26の第2突条26cは、軸方向に互いに間隔をあけて且つ隣り合うように配置されることによってラビリンス30を形成する。それ故、周方向に直交する断面において、軸方向に直交する直交方向一方及び他方に蛇行するようなラビリンス30が形成される。それ故、内側カバー部21及びスライド本体26の間にコンタミを留めることができる。
【0055】
更に、本実施形態のスライドスイッチ機構11において、スライド本体26は、天井部分18aと間が狭くなるように形成されている。それ故、スライド部材16と天井部分18aとの間の隙間から第1ハウジング部31内にコンタミが入り込むことが抑制される。
【0056】
更に、本実施形態のスライドスイッチ機構11において、スライド本体26の外周縁部分26bは、開口部19において所定方向一方側に表出して開口部19の軸線方向両側の外縁部分19a,19bを覆っている。それ故、天井部分18aにおいて、スライド本体26と開口部19の軸線方向両側の外縁部分19a,19bからハウジング内にコンタミが入り込むことが抑制される。
【0057】
更に、本実施形態のスライドスイッチ機構11において、連結部28は、挿通溝21aにおいて内側カバー部21との間が狭くなるように形成されている。それ故、連結部28と内側カバー部21との間の隙間から内側カバー部21内にコンタミが入り込むことを抑制することができる。
【0058】
本実施形態のスライドスイッチ1において、スライドスイッチ1は、ばね部材17を更に含む前述するスライドスイッチ機構11と、センサ機構12とを備える。それ故、前述するような機能を有するスライドスイッチ1を実現することができる。
【0059】
本実施形態の操作レバー装置2は、操作レバー5の所定方向他方側に配置される前述するスライドスイッチ1を備えている。それ故、前述する機能を有する操作レバー装置2を実現することができる。
【0060】
<その他の実施形態>
本実施形態のスライドスイッチ機構11では、操作部27がスライド本体26と同じ幅で形成されているが、スライド本体26より狭い幅に形成さてもよい。センサ機構12及びばね部材17の構成も一例であり、その他の構成であってもよい。
【0061】
本実施形態の操作レバー装置2は、作業車両を操作する操作装置であるが、ロボットを操作する操作装置やゲーム機の操作装置であってもよい。また、本実施形態のスライドスイッチ1が設けられる装置も操作レバー装置2に限定されず、操作装置以外の各種機器に設けられてもよい。
【0062】
<例示的な実施形態>
第1の局面におけるスライドスイッチ機構は、中空に形成されるハウジング本体と、前記ハウジング本体の所定方向一方側にある天井部分に形成される開口部と、前記天井部分に対向させるように前記ハウジング本体内に形成され且つ前記ハウジング本体内を通る回動軸線を中心として周方向に延在する円弧状の内側カバー部とを有するハウジングと、前記内側カバー部と前記天井部分との間で回動軸線まわりに回動可能に配置されるスライド本体と、前記開口部の所定方向一方側に突き出るように前記スライド本体に設けられている操作部と、を含むスライド部材と、を備え、前記ハウジング本体は、所定方向において第1ハウジング部と第2ハウジング部とに分割可能に構成され、前記第1ハウジング部は、前記開口部及び前記内側カバー部が形成されると共に前記開口部から周方向一方側に延在する挿通路が形成される本体部分と、前記挿通路を塞ぐように本体部分に取り付けられる蓋部分とを有し、前記第2ハウジング部は、前記第1ハウジング部に所定方向他方側から組付けられ、前記スライド部材は、前記蓋部分が前記本体部分から取り外された状態で、前記操作部に前記挿通路を周方向一方側から通過させて前記第1ハウジング部に組付けられる。
【0063】
上記局面に従えば、第1ハウジング部の本体部分には、開口部から周方向一方側に延在する挿通路が形成されている。そして、スライド部材は、蓋部分が本体部分から取り外された状態で、操作部に挿通路を周方向一方側から通過させて第1ハウジング部に組付けられる。従って、スライド部材は、例えば以下のようにしてハウジングに組み付けられる。即ち、スライド部材が内側カバー部に沿って回動軸線まわりに回すようにしてハウジングに組み付けられる。つまり、スライド部材が内側カバー部に沿って周方向他方に回されると、操作部が挿通路を通って開口部の方に送られる。その後、蓋部分が本体部分に取り付けられて挿通路が塞がれる。更に、第1ハウジング部に第2ハウジング部が所定方向他方側から組付けられる。このように、スライド部材をハウジングに組み付けることができるので、スライド部材が操作部を有するスライドスイッチ機構に関して、部品点数の増加を抑制しつつ容易に組み立てることができる。即ち、内側カバー部を第1ハウジング部に形成することによって部品点数の増加が抑えられつつ、スライド部材が操作部を有するスライドスイッチ機構を容易に組み立てることができる。
【0064】
第2の局面におけるスライドスイッチ機構は、第1の局面のスライドスイッチ機構において、前記ハウジングは、前記ハウジング本体内において前記内側カバー部によって所定方向一方側から覆われ且つ所定の回動軸線周りに形成される軸支部を更に含み、前記スライド部材は、回動軸線を中心に回動可能に前記軸支部に軸支され且つ前記スライド本体と互いに連動して回動する軸部を更に含み、前記軸支部は、前記第1ハウジング部の本体部分に形成される第1部分と、前記第2ハウジング部に形成される第2部分とを有している。
【0065】
上記局面に従えば、スライド部材は、回動軸線を中心に回動可能に軸支部に軸支され且つスライド本体と互いに連動して回動する軸部を更に含む。また、軸支部は、第1ハウジング部の本体部分に形成される第1部分と、第2ハウジング部に形成される第2部分を有している。それ故、スライド部材を第1ハウジング部に組付ける際、軸部を第1部分に当てた状態でスライド部材を回動軸線まわりに回動させることができる。従って、スライド部材を内側カバー部に沿って容易に回すことができるので、スライド部材を第1ハウジング部に容易に組み付けることができる。
【0066】
第3の局面におけるスライドスイッチ機構は、第2の局面のスライドスイッチ機構において、前記操作部は、前記スライド部材が周方向に所定の制限角度まで回動すると、前記開口部の周方向の縁部分に当接する。
【0067】
上記局面に従えば、操作部は、周方向に所定の制限角度まで回動すると、開口部の周方向の縁部分に当接するようになっている。即ち、縁部分がスライド部材の回動を規制すべくストッパの役割を果たす。そうすると、スライド部材の回動が規制される際に軸部に作用する荷重を抑えることができる。即ち、力点となる操作部と支点となる縁部分との距離とを小さくし、作用点となる軸部と縁部分との距離を大きくすることができる。それ故、軸部に作用する荷重を抑えることができる。
【0068】
第4の局面におけるスライドスイッチ機構は、第1乃至3の何れかの局面のスライドスイッチ機構において、前記内側カバー部及び前記スライド本体は、それらの間にラビリンスを形成している。
【0069】
上記局面に従えば、内側カバー部及びスライド本体の間にラビリンスが形成されている。それ故、内側カバー部及びスライド本体の間にコンタミを留めることができる。
【0070】
第5の局面におけるスライドスイッチ機構は、第4の局面のスライドスイッチ機構において、前記内側カバー部は、周方向に延在し且つ前記スライド本体に向かって突出する第1突条を有し、前記スライド本体は、周方向に延在し且つ前記内側カバー部に向かって突出する第2突条を有し、前記第1突条及び前記第2突条は、軸方向に互いに間隔をあけ且つ隣り合うように配置されることによって前記ラビリンスを形成する。
【0071】
上記局面に従えば、内側カバー部の第1突条とスライド本体の第2突条は、軸方向に互いに間隔をあけて且つ隣り合うように配置されることによってラビリンスを形成する。それ故、周方向に直交する断面において、軸方向に直交する直交方向一方及び他方に蛇行するようなラビリンスが形成される。それ故、内側カバー部及びスライド本体の間にコンタミを留めることができる。
【0072】
第6の局面におけるスライドスイッチ機構は、第1乃至5の何れかの局面のスライドスイッチ機構において、前記スライド本体は、軸方向両側面において内周縁部分より軸方向に幅広に形成される外周縁部分を有し、前記スライド本体の外周縁部分は、前記開口部において所定方向一方側に表出して前記開口部の軸線方向両側の外縁部分を覆っている。
【0073】
上記局面に従えば、スライド本体の外周縁部分は、開口部において所定方向一方側に表出して開口部の軸線方向両側の外縁部分を覆っている。それ故、天井部分において、スライド本体と開口部の軸線方向両側の外縁部分からハウジング内にコンタミが入り込むことが抑制される。
【0074】
第7の局面におけるスライドスイッチは、第1乃至6の何れかの局面のスライドスイッチ機構と、前記スライド部材の回動量を検出するセンサ機構と、を備え、
前記スライドスイッチ機構は、所定の中立位置から回動する前記スライド部材を周方向に付勢して前記スライド部材を中立位置に戻す付勢部材を更に含む。
【0075】
上記局面に従えば、スライドスイッチは、ばね部材を更に含む前述するスライドスイッチ機構と、センサ機構とを備える。それ故、前述するような機能を有するスライドスイッチを実現することができる。
【0076】
第8の局面における操作レバー装置は、所定方向に延在し、且つ所定方向一方側を枢支される操作レバーと、第7の局面のスライドスイッチとを備え、前記スライドスイッチは、前記操作レバーの所定方向他方側に配置されている。
【0077】
上記局面に従えば、操作レバー装置は、操作レバーの所定方向他方側に配置される前述するスライドスイッチを備えている。それ故、前述する機能を有する操作レバー装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 スライドスイッチ
11 スライドスイッチ機構
12 センサ機構
15 ハウジング
16 スライド部材
17 ばね部材(付勢部材)
18 ハウジング本体
18a 天井部分
19 開口部
19a,19b 外縁部分
19c,19d 縁部分
20 軸支部
20a 第1部分
20b 第2部分
21 内側カバー部
21a 挿通溝
21b 第1突条
25 軸部
26 スライド本体
26a 内周縁部分
26b 外周縁部分
26c 第2突条
27 操作部
28 連結部
30 ラビリンス
31 第1ハウジング部
31b 本体部分
31c 蓋部分
32 第2ハウジング部
33 挿通路